WO2016027644A1

WO2016027644A1 - 水洗式便器、便器及び水洗式大便器

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Publication number: WO2016027644A1
Application number: PCT/JP2015/071758
Authority: WO
Inventors: 寛明筒井; 善博吉澤; 友樹足立
Original assignee: 株式会社Ｌｉｘｉｌ
Priority date: 2014-08-18
Filing date: 2015-07-31
Publication date: 2016-02-25
Also published as: CN110056065A; CN106661880A; CN106661880B; CN110056066A; CN110056066B

Abstract

　水洗式大便器は、便鉢１１０と、便鉢１１０の上端縁部に形成されたリム１１１と、リム１１１の上端面１１１Ｓの内周縁に連なるように便鉢１１０の内面に形成され、平面視において前部領域１１５Ｆ及び後部領域１１５Ｒの曲率が左右両側部領域１１５Ｓよりも大きい上部内壁面１１５と、上部内壁面１１５の下端縁に沿って内側に張り出して上方に面するように形成された棚面１１８と、上部内壁面１１５の下端縁と棚面１１８の外周縁とを繋ぐ連結面１１７と、上部内壁面１１５、棚面１１８及び連結面１１７に接する旋回流１２９を生成するように洗浄水を吐出する吐水口１２７とを備え、連結面１１７の前部領域１１７Ｆ及び後部領域１１７Ｒが、連結面１１７の左右両側部領域１１７Ｓより低い位置に設定されている。

Description

水洗式便器、便器及び水洗式大便器

　本発明は水洗式便器、便器及び水洗式大便器に関するものである。

１．特許文献１には、便鉢と、便鉢の上端縁部に沿って形成されたリムと、便鉢の内面上端縁に沿って形成された上部内壁面と、上部内壁面の下端縁から内側へ張り出した上向きの棚面とを有する水洗式大便器が開示されている。上部内壁面に沿って前向きに吐出された洗浄水は、棚面によって上部内壁面に接する高さを保ちながら旋回し、便鉢内を洗浄する。上部内壁面に沿った旋回経路の前部領域では、曲率が左右両側部領域の曲率より大きいため、旋回する洗浄水が遠心力によってリムの上方へ飛散する虞がある。その対策として、上部内壁面の前部領域において、棚面を幅狭にしたり棚面を無くしたりすることにより、洗浄水を流下し易くしている。

特許第４７２１０２６号公報特開２０１３－１９４４１０号公報特開２００５－９８００３号公報特開２０１３－４４１７６号公報特許第４９４１７９６号公報

　ところが、特許文献１の水洗式大便器のように、棚面を幅狭にしたり棚面を無くしたりすると、旋回流の流量が少なくなるため、上部内壁面の前部領域から後方へ向かう旋回経路では、洗浄水の流量不足によって洗浄効率が低下することになる。

　第１の発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、洗浄水の飛散を防止することを解決すべき課題としている。

２．特許文献２は従来の水洗式便器を開示している。この水洗式便器は、上端部の前側に吐水口を有する便鉢、便鉢の上端部から連続して前方及び左右方向の外側に拡がったリム、リムの外周端部に連続して下方に延びた周囲壁、及び便鉢の上端部から後方向に拡がった上面部を備えている。この水洗式便器は上面部の後端部に洗浄水が流入する流入口が形成されている。この水洗式便器は、流入口に連通して上面部の下方に洗浄水が通過する給水部が形成されている。給水部は、上面部の下方を前方に向けて延び、便鉢の上端部後方から便鉢の上端左側の外側面に沿って吐水口まで延びている。この水洗式便器は、便鉢の上端部が外側に突出するように段差を形成し、リムの下方に洗浄水が通過する給水部を形成している。この水洗式便器は、このような構造にすることによって、鋳込成形で、便鉢、リム、周囲壁、上面部、及び給水部を鋳込成形によって一体に成形する（以下、一体成形という。）ことができる。このため、この水洗式便器は製造工数及びコストを抑えることができる。

　また、他の従来の水洗式便器として、便鉢上端に沿った給水部を別工程で成形した後、成形工程の途中で便鉢の上端部に接着することで、給水部を便鉢と周囲壁との間に形成された空洞部と遮断し洗浄水が空洞部に流入しないようしたものも一般的に知られている。

　しかし、特許文献２の水洗式便器は、一体成形でかつ、便鉢の上端部の前側に形成された吐水口に連通する給水部を形成するために便鉢の上端部が外側に突出するように段差を形成している。このため、この水洗式便器は意匠性が良好でない。

　第２の発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、意匠性が良好で一体成形することができる水洗式便器を提供することを解決すべき課題としている。

３．特許文献３は従来の便器を開示している。この便器は、立壁部、連結部、及び中間壁部を備えている。立壁部はリムの内周から内側の下方へ延びている。連結部は立壁部の下端から内側に向かって外側に突出するように湾曲した曲面によって形成され下端部が内側を向いて延びている。中間壁部は連結部の下端から内側に向かって水平方向に延びている。また、中間壁部は立壁部の上端縁と所定の距離を離して設けられている。このため、この便器は、中間壁部を覆うように立壁部の上端部を内側に向けて迫り出すオーバーハング部を形成しなくても、中間壁部の表面を流れる洗浄水が便器の外に飛び出すことを抑えることができる。また、この便器は、オーバーハング部を有していないため、便鉢の内側全体を一目で見渡すことができ、便鉢の表面の汚れを視認しやすく、便鉢の清掃を容易に行うことができる。

　しかし、特許文献３の便器は、連結部が急激に湾曲して内側に向きを変えて延びている。このため、この便器は、連結部に小便がぶつかった場合、立壁部の下端部に滞留するおそれがある。立壁部の下端部に滞留した小便にさらに小便がぶつかると、飛沫が発生し便鉢外へ飛散するおそれがある。

　第３の発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、小便の飛沫の発生を抑えることができる便器を提供することを解決すべき課題としている。

４．従来、便器を洗浄して汚物を排出する水洗式便器として、例えば特許文献４に記載のものが知られている。この水洗式便器は、便鉢部の後端寄りの位置に吐水口を設け、吐水口から吐水された洗浄水が、便鉢部の後面側を経由し前面側に至るように旋回しながら便鉢部を洗浄するものとしている。

　ところで、特許文献４の水洗式便器は、前端部に向けて幅寸法が徐々に狭まる形状をなしており、便鉢部の前面側の曲率半径が小さくなっているため、洗浄水をスムーズに旋回させて十分な洗浄力を得ることが難しい。そこで、便鉢部の前面側の曲率半径を大きくすることが考えられるけれども、そのために水洗式便器の幅寸法を増すと、専用の便座が必要になるから望ましくなかった。

　第４の発明は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、洗浄水をスムーズに旋回させて十分な洗浄力を得ることが可能な水洗式便器を提供することを目的とする。

５．特許文献５には、便鉢と、便鉢の上端縁部に沿って形成されたリムと、便鉢の内面上端縁に沿った形成された上部鉛直内壁面と、上部鉛直内壁面に開口する吐水口とを備えた水洗式大便器が開示されている。この水洗式大便器は、吐水口から吐出した洗浄水により、便鉢内を洗浄するとともに、便鉢内の汚物を排出するようになっている。

　特許文献５の水洗式大便器では、便鉢の上部鉛直内壁面のうち吐水口の開口領域の近傍に、オーバーハング部が形成されている。オーバーハング部の上面は、便鉢の水平な上面とほぼ面一状に連なっている。したがって、便鉢の上部鉛直内壁面のうちオーバーハング部が形成されている領域が汚れていた場合に、上から便鉢を覗き込んでも、その汚れ具合を目視で確認し難いという問題がある。

　第５の発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、便鉢の上部鉛直内壁面を全周に亘って目視できる水洗式大便器を提供することを解決すべき課題としている。

１．第１の発明の水洗式大便器は、
　便鉢と、
　前記便鉢の上端縁部に形成されたリムと、
　前記リムの上端面内周縁に連なるように前記便鉢の内面に形成され、平面視において前部領域及び後部領域の曲率が左右両側領域よりも大きい上部内壁面と、
　前記上部内壁面の下端縁に沿って内側に張り出して上方に面するように形成された棚面と、
　前記上部内壁面の下端縁と前記棚面の外周縁とを繋ぐ連結面と、
　前記上部内壁面、前記棚面及び前記連結面に接する旋回流を生成するように洗浄水を吐出する吐水口とを備え、
　前記連結面の前部領域及び後部領域が、前記連結面の左右両側部領域よりも低い位置に設定されていることを特徴とする。

２．第２の発明の水洗式便器は、
　上端部に吐水口を有する便鉢と、
　前記便鉢の上端部から前方及び左右方向の外側に拡がったリムと、
　前記リムの外周端部から下方に延びた周囲壁と、
　前記便鉢の上端部から後方向に拡がった上面部とを備え、
　前記便鉢、前記リム、及び前記周囲壁によって形成され前記便鉢の前側及び左右側の下部に拡がる空洞部と、前記上面部の下方に形成され、前記吐水口に連通して洗浄水が通過する給水空間とが形成され、一体成形された水洗式便器であって、
　前記空洞部と前記給水空間とを隔てる遮断部が設けられていることを特徴とする。

　第２の発明の水洗式便器は、遮断部によって空洞部と給水空間とを隔てているため、洗浄水が空洞部に流入しない構造であるので、一体成形であってもリムの外周端部から下方に延びる周囲壁を段差なく形成することができ、意匠性を良好にすることができる。

３．第３の発明の便器は、
　上端部において上下方向に延びた表面を形成する立壁部と、
　この立壁部の下端に連続し、表面が外側に突出するように湾曲した曲面を形成し、下端部が内側に延びており、前記曲面の上下方向の曲率半径が前側領域の左右中央で最大となり左右両側に向けて徐々に小さくなる連結部と、
　この連結部の下端に連続し、内側に向けて僅かに傾斜した表面を形成する中間壁部とを有した便鉢を備えていることを特徴とする。

　第３の発明の便器は、表面が外側に突出するように湾曲した曲面によって形成された連結部が立壁部と中間壁部とを連結している。便鉢の前側領域の左右中央部における連結部が、直接的に小便がぶつかることが想定される部分である。この部分が上下方向の曲率半径が最大となる曲面によって形成されている。このため、この便器は、小便が便鉢の前側領域の左右中央部の曲面にぶつかった場合、この部分の上下方向の曲率半径が大きいため、小便を流れやすくすることができる。つまり、この便器は、立壁部と連結部との境界部分に小便が滞留することを抑えることができる。

４．第４の発明の水洗式便器は、平面視略卵型をなして旋回流により洗浄される便鉢部と、前記便鉢部の外周側を覆う周囲壁部と、前記便鉢部の上端部と前記周囲壁部の上端部とを連結するリム部と、を備え、前記便鉢部が、前記リム部の内周縁部から略垂直もしくは内外方向における内側に向かって垂下する立壁部を有し、前記便鉢部の前面側における前記リム部の内外方向の寸法が、前記便鉢部の左右両面側における前記リム部の内外方向の寸法よりも大きくされている。

５．第５の発明の水洗式大便器は、
　便鉢と、
　前記便鉢の上端縁部に形成されたリムと、
　前記便鉢の内面上端部に形成され、前記便鉢の全周に亘って前記リムの上端面内周縁部に連なる上部鉛直内壁面と、
　前記上部鉛直内壁面に開口し、洗浄水を吐出して前記上部鉛直内壁面に接する旋回流を生成する吐水口とを備えていることを特徴とする。　
　第５の発明において、リムの上端面に対して直角に連なる上部鉛直内壁面の向きは、厳密な鉛直方向に限らず、鉛直方向に対して上端側が便鉢の内側へ僅かに傾いた向き（つまり、リムの上端面と鋭角をなす向き）と、鉛直方向に対して上端側が便鉢の外側へ僅かに傾いた向き（つまり、リムの上端面と鈍角をなす向き）も含む。

　第１の発明の水洗式大便器では、旋回経路の前部領域と後部領域では、曲率が大きいために旋回速度が高まるのであるが、第１の発明では、連結面を低くすることにより、リムの上端面と旋回経路との高低差を大きくしているので、洗浄水が上方へ飛散する虞がない。

　第２の発明の水洗式便器は意匠性が良好で一体成形することができる。

　第３の発明の便器は、小便の飛沫の発生を抑えることができる。

　第４の発明によれば、水洗式便器の幅寸法を維持したまま、便鉢部の前面側の曲率半径を大きくすることで、洗浄水をスムーズに旋回させて十分な洗浄力を得ることができる。

　第５の発明の水洗式大便器では、吐水口が開口する上部鉛直内壁面は、全周に亘り、リムの上端面と直角に連なっていてオーバーハング部を有していないので、リムより高い位置の視点からでも、上部鉛直内壁面の全領域を全周に亘って目視することが可能である。

実施例１の水洗式大便器の平面図図１のＡ－Ａ線断面図図１のＢ－Ｂ線断面図図１のＣ－Ｃ線断面図図１のＤ－Ｄ線断面図実施例２の水洗式便器を示す斜視図である。実施例２の水洗式便器を示す上面図である。実施例２の水洗式便器を示す左側面図である。図７における矢視Ａ－Ａ断面図である。図８における矢視Ｂ－Ｂ断面図である。図７における矢視Ｃ－Ｃ断面図である。図７における矢視Ｄ－Ｄ断面図である。図７における矢視Ｅ－Ｅ断面図である。実施例３の便器の斜視図である。実施例３の便器を示す上面図である。実施例３の便器の左右中央断面図である。図１５における矢視Ａ－Ａ部の断面図である。図１５における矢視Ｂ－Ｂ部の断面図である。図１５における矢視Ｃ－Ｃ部の断面図である。図１５における矢視Ｄ－Ｄ部の断面図である。実施例４における水洗式便器を示す斜視図実施例４の水洗式便器を示す平面図実施例４の水洗式便器を示す断面図であって、図２２のＡ－Ａ位置における断面に相当する断面図実施例４の水洗式便器を示す断面図であって、図２２のＢ－Ｂ位置における断面に相当する断面図実施例５の水洗式大便器の平面図図２５のＸ－Ｘ線断面図図２５のＹ－Ｙ線断面図図２５のＺ－Ｚ線断面図

１．第１の発明における好ましい実施の形態を説明する。

　第１の発明の水洗式大便器は、前記連結面の前記前部領域から前記後部領域に至る旋回経路は、高さが徐々に変化するように滑らかに連続していてもよい。
　この構成によれば、旋回流の流動抵抗が低減されるので、洗浄効率が良好となる。

　第１の発明の水洗式大便器は、前記連結面の高さは、前記側部領域のうち平面視の曲率が最小となる周長中央部が最高点となり、この最高点から前記前部領域及び前記後部領域に向かって下り勾配が続く形態となっていてもよい。
　この構成によれば、側部領域のうち最も洗浄水の飛散し難い領域は、平面視の曲率が最小となる周長中央部なので、この点を側部領域の最高点とすることで、上部内壁面の洗浄範囲をできるだけ広くすることができる。

　第１の発明の水洗式大便器は、前記吐水口における前記洗浄水の吐出方向が、前方又は後方のいずれか一方向とされており、前記連結面の前記前部領域と前記後部領域のうち、前記吐水口から吐出した洗浄水が最初に到達する側の前記端部領域の高さが、他方の前記端部領域より低く設定されていてもよい。
　連結面の前後両端部領域のうち吐水口から吐出した洗浄水が最初に到達する側の端部領域では、他方の端部領域に比べて旋回速度が高速であるが、リムの上端面と旋回経路との高低差を大きくしているので、洗浄水が飛散する虞はない。

　第１の発明の水洗式大便器は、前記上部内壁面、前記棚面及び前記連結面が、左右対称であってもよい。
　この構成によれば、便鉢を製造し易いので、コスト低減を実現できる。
　また、本発明の水洗式大便器は、前記上部内壁面が、鉛直面又は上端側が前記便鉢の外側へ傾斜した面であってもよい。

　＜実施例１＞
　以下、第１の発明を具体化した実施例１を図１～図５を参照して説明する。尚、実施例１の説明において、前後方向に関しては、図１における下側及び図２，３における右側を前側と定義する。また、左右方向に関しては、図１，４，５にあらわれる向きを、そのまま左側及び右側と定義する。本実施例１の水洗式大便器は、便鉢１１０と、排水路１２０と、給水部１２３とを備えて構成されている。

　＜便鉢１１０＞
　便鉢１１０は、上方へ開放された略擂り鉢状をなす。便鉢１１０には、その上端縁部に沿うようにリム１１１が形成されている。リム１１１は左右対称な形状である。リム１１１の上端面１１１Ｓは、全周に亘って略水平であり、全周に亘って一定高さで連続している。便鉢１１０の下端部は、溜水部１１２となっている。溜水部１１２は、便鉢１１０の左右方向（幅方向）における中央に配置されている。また、溜水部１１２は、便鉢１１０の前後方向における中央よりも後方に偏った位置に配置されている。溜水部１１２の上端部内面は、ほぼ鉛直な立壁１１３で構成されている。立壁１１３の上端部は、後述する棚面１１８の内周縁部に滑らかに連続している。便鉢１１０の内面は、汚物（図示省略）を受け止めるための鉢面１１４となっている。

　＜上部内壁面１１５＞
　鉢面１１４の上端部領域、つまりリム１１１の内周面は、全周に亘って連続する上部内壁面１１５となっている。上部内壁面１１５もリム１１１と同様、左右対称である。図２～５に示すように、上部内壁面１１５は、リム１１１の略水平な上端面１１１Ｓの内周縁に対し、曲率半径の小さい弧状凸面１１６を介して直角をなすように連なっている。上端面１１１Ｓと上部内壁面１１５は、弧状凸面１１６に対し滑らかに（接線状）に連なっている。

　図２～４に示すように、便鉢１１０の平面視中心部を通る鉛直面に沿った切断面においては、上部内壁面１１５の上端側領域が、ほぼ直線状であって概ね鉛直方向を向いている。上部内壁面１１５は、厳密な鉛直面に限らず、上端側が便鉢１１０の内側へ傾いたオーバーハング状の面や、上端側が便鉢１１０の外側へ傾いた面であってもよい。上部内壁面１１５と上端面１１１Ｓが弧状凸面１１６のみを介して直角に連なる形態は、便鉢１１０（リム１１１）の全周に亘って連続しているので、上部内壁面１１５には、凸部（オーバーハング部）や凹部は形成されていない。したがって、リム１１１の上端面１１１Ｓより高い位置の視点からでも、上部内壁面１１５の全領域を全周に亘って目視することが可能である。

　図１に示すように、リム１１１の平面視形状は、長軸（図示省略）を前後方向に向けた略楕円形をなしている。したがって、上部内壁面１１５の平面視形状も、リム１１１と同様、長軸を前後方向に向けた略楕円形をなす。つまり、平面視における上部内壁面１１５の曲率は一定ではなく、前部領域１１５Ｆと後部領域１１５Ｒの曲率が左右両側部領域１１５Ｓの曲率より大きく、前部領域１１５Ｆの曲率が後部領域１１５Ｒの曲率より大きい。前部領域１１５Ｆ、後部領域１１５Ｒ及び左右両側部領域１１５Ｓは、上部内壁面１１５を前後左右に４分割し、この４つの領域１１５Ｆ，１１５Ｒ，１１５Ｓが左右対称な配置となるように設定したものである。

　＜連結面１１７＞
　鉢面１１４には、上部内壁面１１５の下端縁に全周に亘って滑らかに連なる凹面状の連結面１１７が形成されている。連結面１１７は、上部内壁面１１５と同様、左右対称である。連結面１１７は上部内壁面１１５に連なっているので、上部内壁面１１５と同様、平面視における連結面１１７の曲率は一定ではない。即ち、前部領域１１７Ｆと後部領域１１７Ｒの曲率は左右両側部領域１１７Ｓの曲率より大きく、前部領域１１７Ｆの曲率は後部領域１１７Ｒの曲率より大きい。前部領域１１７Ｆ、後部領域１１７Ｒ及び左右両側部領域１１７Ｓは、上部内壁面１１５と同様、連結面１１７を前後左右に４分割し、且つこの４つの領域１１７Ｆ，１１７Ｒ，１１７Ｓが左右対称な配置となるように設定したものである。

　次に、連結面１１７の高さについて説明する。実施例１において、「連結面の高さ」は、周方向と直交する断面において連結面１１７の弧長方向における中央位置の高さと定義し、図面には鎖線で示す。連結面１１７には、周方向において一定高さで連続する領域が存在せず、連結面１１７の高さは周方向に沿って変化している。具体的には、平面視における連結面１１７の曲率が大きい領域ほど、連結面１１７の高さが低く設定されている。

　即ち、相対的に曲率の大きい前部領域１１７Ｆと後部領域１１７Ｒの高さは、曲率の小さい左右両側部領域１１７Ｓに比べて低くなっている。前部領域１１７Ｆの高さは後部領域１１７Ｒよりも低く設定されている。換言すると、連結部１１７の高さは、側部領域１１７Ｓが最も高い領域であり、前部領域１１７Ｆが最も低い領域となっている。

　また、側部領域１１７Ｓにおいて最も高い最高点１１７Ｈは、側部領域１１７Ｓの周方向における中央付近、即ち、平面視における曲率が最も小さくなる部位である。そして、側部領域１１７Ｓの高さは、この最高点１１７Ｈから前部領域１１７Ｆ及び後部領域１１７Ｒに向かって下り勾配が続く形態となっている。前部領域１１７Ｆにおいて最も低い位置１１７Ｌは、前部領域１１７Ｆ中、平面視曲率が最も大きい最前端である。この最前端位置は、連結面１１７全体として平面視曲率が最も大きく、連結面１１７全体として最も低い位置となる。尚、後部領域１１７Ｒにおいて最も低い位置は、後部領域１１７Ｒ中、平面視曲率が最も大きい最後端である。

　この高さ設定は、曲率の大きい領域ほど、連結面１１７とリム１１１の上端面１１１Ｓとの高低差（即ち、上部内壁面１１５の高さ寸法）を大きくすることを意味している。また、連結面１１７は、全周に亘って徐々に高さが変化するように滑らかに連続する傾斜面となっている。つまり、連結面１１７には、段差状に高さが急激に変化する部分や、勾配が急に変化する部分などは存在しない。

　＜棚面１１８＞
　鉢面１１４には、連結面１１７の内周縁に全周に亘って滑らかに（接線状）に連なる棚面１１８が形成されている。棚面１１８は、上部内壁面１１５及び連結面１１７と同様、左右対称である。棚面１１８は斜め上方に面しており、棚面１１８の外周縁は、連結面１１７を介すことにより上部内壁面１１５の下端縁に対し全周に亘って連続して連なっている。棚面１１８は、上部内壁面１１５から遠ざかるほど（便鉢１１０の中央に向かうほど）低くなるように傾斜している。棚面１１８の水平面に対する傾斜角度は、周方向において一定ではなく部位によって異なるが、全周において４５°よりも小さい角度に設定されている。

　棚面１１８は連結面１１７に連なっているので、棚面１１８の上端の高さは、連結面１１７と同様に設定されている。即ち、棚面１１８のうち上部内壁面１１５及び連結面１１７の前部領域１１５Ｆ，１１７Ｆ及び後部領域１１５Ｒ，１１７Ｒに連なる前部領域１１８Ｆと後部領域１１８Ｒの高さは、上部内壁面１１５及び連結面１１７の左右両側部領域１１５Ｓ，１１７Ｓに連なる側部領域１１８Ｓよりも低く設定されている。また、前部領域１１８Ｆの高さは、後部領域１１８Ｒよりも低く設定されている。また、棚面１１８は、連結面１１７と同様、全周に亘って徐々に高さが変化するように滑らかに連続する傾斜面となっている。つまり、棚面１１８には、段差状に高さが急激に変化する部分や、勾配が急に変化する部分などは存在しない。

　＜排水路１２０＞
　図２に示すように、排水路１２０は、溜水部１１２に連なる上昇路１２１と、上昇路１２１の下流端（上端）に連なる下降路１２２とを備えて構成されている。下降路１２２は、トイレの床面に設けた排水管（図示省略）に接続されている。溜水部１１２は、排水路１２０の入口に位置する。排水路１２０は、左右対称であり、便鉢１１０の左右方向（幅方向）における中央に配置されている。洗浄前は、洗浄水が溜水として溜水部１１２と上昇路１２１に貯留され、水封状態となっている。鉢面１１４で受け止められた汚物や溜水部１１２内に沈下した汚物は、鉢面１１４に沿って旋回又は流下する洗浄水とともに、排水路１２０を通って排出される。

　＜給水部１２３＞
　給水部１２３は、便鉢１１０部に洗浄水を供給するためのものであり、便鉢１１０の上面部後方に隣接して形成されている。給水部１２３の前端における左右方向中央部は、リム１１１の後端縁部に連なっていて、給水部１２３の上面とリム１１１の上端面１１１Ｓが面一状に連続している。図２，３に示すように、給水部１２３は、上面が開放されて洗浄タンク等の給水口（図示省略）に連通するように形成された後部給水空間１２４と、後部給水空間１２４の前方に位置し、連通孔１２６を介して後部給水空間１２４に連通する前部給水空間１２５とを備えて構成されている。

　＜吐水口１２７＞
　便鉢１１０の上端部（リム１１１）には、給水部１２３内に供給された洗浄水を、便鉢１１０内に吐出するための吐水口１２７が形成されている。吐水口１２７は、上部内壁面１１５と前部給水空間１２５とを仕切る隔壁部１２８を貫通した形態である。つまり、吐水口１２７は、上部内壁面１１５の後部領域１１５Ｒに位置し、前方に向かって開口している。吐水口１２７は、その全体が、便鉢１１０の左右方向中央よりも左方の領域に開口している。図４，５に示すように、吐水口１２７の開口形状（正面視形状）は、全体として横長の方形をなし、四隅が弧状に成形されているとともに、上下非対称且つ左右非対称である。

　吐水口１２７からは、洗浄水が便鉢１１０内に吐出される。吐水口１２７からの洗浄水の吐出方向は、上部内壁面１１５に沿うような向きであり、平面視において反時計回り方向の向きである。つまり、吐水口１２７は、上部内壁面１１５及び連結面１１７の前部領域１１５Ｆ，１１７Ｆに向かうように洗浄水を吐出する。吐出された洗浄水は、上部内壁面１１５の下端部、連結面１１７及び棚面１１８の外周縁部に接するように流れる旋回流１２９となる。

　＜実施例１の作用及び効果＞
　旋回流１２９の旋回経路となる棚面１１８は、水平面に対する傾斜角度が４５°以下の緩斜面となっているので、吐出された旋回流１２９は棚面１１８と連結面１１７に接しながら、鉢面１１４内をほぼ一周する。したがって、棚面１１８に付着している汚物は、旋回流１２９によって確実に洗い流され、溜水部１１２に流入する。溜水部１１２は、排水路１２０の入口に連通しているので、便鉢１１０内の洗浄水と汚物は確実に排出される。

　旋回流１２９の旋回経路のうち平面視の曲率が大きい前部領域１１５Ｆ，１１７Ｆ，１１８Ｆや後部領域１１５Ｒ，１１７Ｒ，１１８Ｒでは、遠心力が大きくなり、旋回流１２９の周速度が増す。そのため、旋回流１２９の一部が上部内壁面１１５に沿って上方へ移動し、リム１１１の上方へ飛散することが懸念される。しかし、曲率の大きい前部領域１１５Ｆ，１１７Ｆ，１１８Ｆと後部領域１１５Ｒ，１１７Ｒ，１１８Ｒでは、連結面１１７及び棚面１１８の高さを側部領域１１７Ｓ，１１８Ｓよりも低くし、旋回流１２９とリム１１１の上端面１１１Ｓとの高低差を大きくしている。したがって、洗浄水がリム１１１の上方へ飛散する虞はない。

　また、吐水口１２７からの洗浄水の吐出方向は前方向となっているため、吐出後の洗浄水は、前部領域１１５Ｆ，１１７Ｆ，１１８Ｆに到達した後、右側の側部領域１１５Ｓ，１１７Ｓ，１１８Ｓを経由して後部領域１１５Ｒ，１１７Ｒ，１１８Ｒに至ることになる。洗浄水の流速（勢い）は次第に低下していくため、前部領域１１５Ｆ，１１７Ｆ，１１８Ｆにおける洗浄水の流速は、後部領域１１５Ｒ，１１７Ｒ，１１８Ｒにおける流速より高速である。しかも、前部領域１１５Ｆ，１１７Ｆ，１１８Ｆの曲率は後部領域１１５Ｒ，１１７Ｒ，１１８Ｒよりも大きい。そのため、前部領域１１５Ｆ，１１７Ｆ，１１８Ｆにおいて洗浄水が上方へ飛散する懸念が高い。しかし、実施例１では、連結面１１７と棚面１１８の前部領域１１７Ｆ，１１８Ｆの高さを後部領域１１７Ｒ，１１８Ｒより低くしている。つまり、全周に亘る範囲において、連結面１１７と棚面１１８の高さは、前部領域１１７Ｆ，１１８Ｆで最も低くなっている。したがって、前部領域１１７Ｆ，１１８Ｆにおいて洗浄水が上方へ飛散する虞はない。

　実施例１の水洗式大便器は、便鉢１１０と、便鉢１１０の上端縁部に形成されたリム１１１を備えている。便鉢１１０の内面には、リム１１１の上端面１１１Ｓと略直角をなし、平面視において前部領域１１５Ｆ及び後部領域１１５Ｒの曲率が左右両側部領域１１５Ｓよりも大きい上部内壁面１１５が形成されている。同じく、便鉢１１０の内面には、上部内壁面１１５の下端縁に沿って内側に張り出して上方に面するように形成された棚面１１８と、上部内壁面１１５の下端縁と棚面１１８の外周縁とを繋ぐ連結面１１７とが形成されている。さらに、便鉢１１０には、上部内壁面１１５、棚面１１８及び連結面１１７に接する旋回流１２９を生成するように洗浄水を吐出する吐水口１２７が形成されている。そして、連結面１１７の前部領域１１７Ｆ及び後部領域１１７Ｒが、連結面１１７の左右両側部領域１１７Ｓよりも低い位置に設定されている。

　旋回流１２９の旋回経路の前部領域１１５Ｆ，１１７Ｆ，１１８Ｆと後部領域１１５Ｒ，１１７Ｒ，１１８Ｒでは、曲率が大きいために旋回速度が高まるのであるが、本実施例では、連結面１１７を低くすることにより、リム１１１の上端面１１１Ｓと旋回経路との高低差を大きくしているので、洗浄水が上方へ飛散する虞がない。また、飛散防止対策として棚面１１８を幅狭にしたり棚面１１８を無くしたりする必要がないので、旋回経路における洗浄水の流量不足が生じることがなく、上部内壁面１１５や棚面１１８の洗浄効率低下を回避することができる。

　また、吐水口１２７における洗浄水の吐出方向は、前方に向かう一方向とされている。そのため、連結面１１７の前後両端部領域１１７Ｆ，１１７Ｒのうち吐水口１２７からの吐出方向先方側に位置する前部領域１１７Ｆでは、吐出方向後方側に位置する後部領域１１７Ｒに比べて旋回速度が高速である。そこで、実施例１では、連結面１１７の前部領域１１７Ｆと後部領域１１７Ｒのうち、吐水口１２７から吐出した洗浄水が最初に到達する側である前部領域１１７Ｆの高さを、前部領域１１７Ｆの後に到達する後部領域１１７Ｒよりも低く設定している。これにより、前部領域１１７Ｆでは、リム１１１の上端面１１１Ｓと旋回経路（旋回流１２９）との高低差が大きくなっているので、洗浄水が飛散する虞はない。

　また、連結面１１７の前部領域１１７Ｆ，１１８Ｆから後部領域１１７Ｒに至る旋回経路は、高さが徐々に変化するように滑らかに連続しているので、旋回流１２９の流動抵抗が低減される。したがって、旋回流１２９の水勢が強く、流速の高い状態が保たれるので、洗浄効率が良好となる。また、上部内壁面１１５と棚面１１８と連結面１１７は左右対称であるから、便鉢１１０を成形するための鋳型の形状が簡素化される。したがって、製造コストを低減することができる。

　また、連結面１１７の高さは、側部領域１１７Ｓのうち平面視の曲率が最小となる周長中央部が最高点１１７Ｈとなり、この最高点１１７Ｈから前部領域１１７Ｆ及び後部領域１１７Ｒに向かって下り勾配が続く形態となっている。側部領域１１７Ｓのうち最も洗浄水の飛散し難い領域は、平面視の曲率が最小となる周長中央部なので、この点を側部領域１１７Ｓの最高点１１７Ｈとすることで、上部内壁面１１５の洗浄範囲をできるだけ広くすることができる。

　＜他の実施例＞
　第１の発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。　
　（１）上記実施例１では、連結面の前部領域から後部領域に至る旋回経路が、徐々に高さが変化するように滑らかに連続した形態であったが、連結面の前部領域から後部領域に至る旋回経路は、段差状に高さが変化する部分や、勾配が急激に変化する部分を有していてもよい。　
　（２）上記実施例１では、連結面の前後両端部領域のうち、吐水口から吐出した洗浄水が最初に到達する側に位置する前部領域の高さを、吐出方向後方側に位置する後部領域よりも低く設定したが、前部領域の高さと後部領域高さを同じ高さとしてもよく、後部領域の高さを前部領域より低くしてもよい。　
　（３）上記実施例１では、吐水口を１つだけとしたが、吐水口は複数設けられていてもよい。　
　（４）上記実施例１では、上部内壁面、棚面及び連結面を左右対称としたが、上部内壁面、棚面及び連結面は、左右非対称であってもよい。　
　（５）上記実施例１では、棚面が全周に亘って連続しているが、棚面の一部が途切れていてもよい。　
　（６）上記実施例１では、連結面の高さが周方向に沿って変化するようにしたが、連結面は、周方向において一定高さで連続する領域が存在しない形態であってもよい。

２．第２の発明における好ましい実施の形態を説明する。

　第２の発明の水洗式便器は遮断部が周囲壁より後方に形成され得る。この場合、この水洗式便器は、周囲壁より後方に遮断部を設けるため、周囲壁内に遮断部を設ける場合に比べ、周囲壁の外観を変えることなく、意匠性を損なわず、成形時に遮断部を容易に製造することができる。

　第２の発明の水洗式便器は吐水口が便鉢の前後方向の中央より後方に設けられ得る。この場合、この水洗式便器は、給水空間が便鉢の前後方向の中央より後方に設けられることに伴って、遮断部の前端部も便鉢の前後方向の中央より後方に設けることができる。こうすることで、この水洗式便器は周囲壁を便鉢の前後方向の中央より後方まで延ばすことができる。つまり、この水洗式便器は、段差の無い周囲壁を便鉢の中央より後方に拡げることができるため、意匠性を向上させることができる。

　第２の発明の水洗式便器は遮断部が空洞部と給水空間との間に外部に開放した空間を有するように設けられ得る。この場合、この水洗式便器は、鋳込成形時に空間を形成する成形型を所定の位置に配置することによって、空洞部と給水空間の前端部との間に空間を有する遮断部を容易に一体成形することができる。

　第２の発明の水洗式便器は遮断部が上方から見た平面視においてリムに隠れた位置に設けられ得る。この場合、この水洗式便器は、使用者が遮断部を視認し難く、良好な外観を有することができる。

　第２の発明の水洗式便器は便鉢の上端部の表面が垂直又は上方に向けて外側に僅かに傾斜し得る。この場合、この水洗式便器は、便鉢の表面全体を一目で見渡すことができる。このため、この水洗式便器は、便鉢の表面の汚れを視認しやすく、便鉢の清掃を容易に行うことができる。

　次に、第２の発明の水洗式便器を具体化した実施例について、図面を参照しつつ説明する。

＜実施例２＞
　実施例２の水洗式便器は、図６～図９に示すように、便鉢２１０、排水路２３０、リム２１１、周囲壁２１２、支持壁２１７、上面部２５０、及び遮断部２７０を備えている。

　便鉢２１０は、図６、図９、及び図１０に示すように、椀状をなしている。この便鉢２１０は第一立壁部２１３、中間壁部２１４、及び第二立壁部２１５を有している。第一立壁部２１３は上下方向に延びており外側に僅かに傾斜している。中間壁部２１４は第一立壁部２１３の下端部から内側に向けて下方に僅かに傾斜して延びている。第二立壁部２１５は中間部の下端部から下方に向けて内側に僅かに傾斜して延びている。つまり、便鉢２１０の表面は、上端部が第一立壁部２１３の表面で形成されて上方に向けて外側に僅かに傾斜し、中間部が中間壁部２１４の表面で形成されて内側に向けて下方に僅かに傾斜し、下端部が第二立壁部２１５の表面で形成されて下方に向けて内側に僅かに傾斜している。

　排水路２３０は、図９に示すように、便鉢２１０の下流側に連通している。この排水路２３０は、第一下降流路２３１、上昇流路２３２、及び第二下降流路２３３を有している。第一下降流路２３１は便鉢２１０の下流側に連通して便鉢２１０の後方に向けて下降して延びている。上昇流路２３２は第一下降流路２３１の下流側に連通して便鉢２１０の後方に向けて上昇して延びている。第二下降流路２３３は上昇流路２３２の下流側に連通してほぼ垂直に下方に向けて延びている。第二下降流路２３３は下流側の開口部２３４が下向きに開口している。この水洗式便器は、便鉢２１０の下端部と第一下降流路２３１と、上昇流路２３２とによって溜水部２１６を形成している。

　便鉢２１０は、図７に示すように、開口形状が上方から見た平面視において前端部の曲率半径が後端部の曲率半径より小さい卵型形状をなしている（前後は図７における下側上側である。以下、第２の発明に係る実施例の説明では同じ。）。第一立壁部２１３は、図７及び図１２に示すように、左側の後端部で上下方向の中間に吐水口２１８が設けられている（左右は図７及び図１２における左側右側である。上下は図１２における上側下側である。以下、第２の発明に係る実施例の説明では同じ。）。つまり、この吐水口２１８は便鉢２１０の前後方向の中央より後方に設けられている。吐水口２１８は外形形状が横方向に長いほぼ長円形状である。また、吐水口２１８は下端縁が右側より左側が高く形成されている。

　リム２１１は便鉢２１０の上端部に連続して前方及び左右方向の外側に向けてほぼ水平に拡がっている。リム２１１は前端部から左右領域の中央部に向けて徐々に幅を狭く形成されている。

　周囲壁２１２は、図８及び図９に示すように、リム２１１の外周端部に連続して下方に延びている。この周囲壁２１２は便鉢２１０の前及び左右を覆っている。この周囲壁２１２はリム２１１の外周端部から下方に向けて内側に向けて僅かに凹むように湾曲している。周囲壁２１２は下部が後方に向けて延びている。周囲壁２１２は下端面が床面に設置される。支持壁２１７は、図９に示すように、便鉢２１０の下部と周囲壁２１２の下端部２１９の前側とを繋いで形成されている。

　上面部２５０は、図６、図７、及び図９に示すように、便鉢２１０の上端部に連続して後方向に拡がっている。この水洗式便器は、上面部２５０の後方に便鉢２１０に供給する洗浄水を貯留する洗浄タンク（図示せず）を載置する洗浄タンク載置部２５１を有している。上面部２５０は、図８及び図１０に示すように、左右端部のそれぞれから下方に向けて左右壁部２５２，２５３が延びている。左右壁部２５２，２５３はそれぞれの下端部が上面部２５０とほぼ平行な下面部２５４で連結されている。

　この水洗式便器は、図９及び図１０に示すように、便鉢２１０の第一立壁部２１３、上面部２５０、左右壁部２５２，２５３、下面部２５４、及び洗浄タンク載置部２５１の前壁２５１Ａで囲まれた給水空間２５５を形成している。給水空間２５５は水洗式便器の後部の上端部に設けられている。給水空間２５５は洗浄タンク載置部２５１の前壁２５１Ａに設けられた給水孔２５６を介して洗浄タンク載置部２５１に連通している。また、この給水空間２５５は吐水口２１８を介して便鉢２１０内に連通している。

　上面部２５０は、図６、図７、図１０及び図１３に示すように、垂直方向に貫設された一対の貫通孔２５７を有している。これら貫通孔２５７は水洗式便器の左右中心線に対して対称位置に貫設されている。これら貫通孔２５７は上面部２５０から下面部２５４まで貫通している。これら貫通孔２５７は給水空間２５５と隔てられている。これら貫通孔２５７は図示しない便座装置を固定する取付具が挿通される。

　この水洗式便器は、図９に示すように、便鉢２１０、リム２１１、周囲壁２１２、及び支持壁２１７で囲まれた空洞部２２０を有している。空洞部２２０は、図９～図１２に示すように、便鉢２１０の前及び左右の下部に拡がって形成されている。空洞部２２０は、図１０に示すように、給水空間２５５から便鉢２１０の後部の左右両側で遮断部２７０によって隔てられている。遮断部２７０は、第１遮断壁２７０Ａと第２遮断壁２７０Ｂとを有している。また、遮断部２７０は、第一遮断壁２７０Ａと第二遮断壁２７０Ｂとの間に外部に開放した空間２７０Ｃを有している。第一遮断壁２７０Ａは周囲壁２１２の左右の後端部２２２と便鉢２１０の裏面とをそれぞれ連結している。第二遮断壁２７０Ｂは左右壁部２５２，２５３の前端部と便鉢２１０の裏面とをそれぞれ連結している。第一遮断壁２７０Ａ及び第二遮断壁２７０Ｂは上端部がリム２１１の下面２２１に連結されている。つまり、この空間２７０Ｃは、図８及び図１０に示すように、周囲壁２１２、左右壁部２５２，２５３、及びリム２１１の下面２２１で囲まれた凹形状である。

　このように、この水洗式便器は、空洞部２２０と給水空間２５５とが、空間２７０Ｃを間に挟み形成された第１遮断壁２７０Ａ、第二遮断壁２７０Ｂとからなる遮断部２７０によって隔てられている。このため、この水洗式便器は、後工程で成形の追加工をすることなく一体成形で給水空間２５５を通過する洗浄水が空洞部２２０に流入することを防ぐ機能を設けつつ、意匠性を良好にすることができる。また、遮断部２７０は、図８及び図１２に示すように、リム２１１の下方に設けられている。つまり、上方から見た平面視においてリム２１１に隠れた位置に設けられているため、使用者がこの水洗式便器を見た際、遮断部２７０を視認し難く、良好な外観にすることができる。

　また、遮断部２７０は、図８に示すように、周囲壁２１２の後端部２２２で、便鉢２１０の前後方向の中央より後方に設けられている。つまり、この水洗式便器は、周囲壁２１２の後端部２２２より後方に遮断部２７０を設けるため、遮断部２７０が周囲壁２１２の一部に食い込んで形成されない。このため、この水洗式便器は、周囲壁２１２の凹凸を少なくすることができるため、意匠性を良好にすることができる。

　遮断部２７０は、図８及び図１０に示すように、空間２７０Ｃを間に挟み形成された第１遮断壁２７０Ａ、第二遮断壁２７０Ｂとからなり、空洞部２２０と給水空間２５５との間に空間２７０Ｃが設けられている。このため、この水洗式便器は、鋳込成形時に空間２７０Ｃを形成する成形型を所定の位置に配置することによって、空洞部２２０と給水空間２５５との間の空間２７０Ｃを有する遮断部２７０を容易に一体成形することができる。

　このような構成を有する水洗式便器は、遮断部２７０によって空洞部２２０と給水空間２５５とを隔てているため、洗浄水が空洞部２２０に流入しない構造であるので、一体成形であってもリム２１１の外周端部から下方に延びる周囲壁２１２を段差なく形成することができ、意匠性を良好にすることができる。

　したがって、実施例２の水洗式便器は意匠性が良好で一体成形することができる。

　また、この水洗式便器は吐水口２１８が便鉢２１０の前後方向の中央より後方に設けられている。このため、この水洗式便器は、給水空間２５５が便鉢２１０の前後方向の中央より後方に設けられることに伴って、遮断部２７０の前端部も便鉢２１０の前後方向の中央より後方に設けることができる。こうすることで、この水洗式便器は周囲壁２１２を便鉢２１０の前後方向の中央より後方まで延ばすことができる。つまり、この水洗式便器は段差の無い周囲壁２１２を便鉢２１０の中央より後方に拡げることができるため、意匠性を向上させることができる。

　また、実施例２の水洗式便器は便鉢２１０の上端部の表面が上方に向けて外側に僅かに傾斜している。このため、この水洗式便器は、便鉢２１０の表面全体を一目で見渡すことができる。このため、この水洗式便器は、便鉢２１０の表面の汚れを視認しやすく、便鉢２１０の清掃を容易に行うことができる。

　第２の発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も第２の発明の技術的範囲に含まれる。
（１）実施例２では、遮断部は、横方向から見えるが、リムの外周端から垂下した垂下壁で隠してもよい。
（２）実施例２では、周囲壁の後方は構造が隠れていないが化粧カバーを取り付けて隠してもよい。
（３）実施例２では、便鉢の上端面が上方に向けて外側に僅かに傾斜しているが、垂直又は上方に向けて内側に傾斜していてもよい。
（４）実施例２では、吐水口が便鉢の左側の後端部に１箇所設けてあったが、複数設けてもよい。
（５）実施例２では、空洞部と給水空間との間に空間を設けているが、空間を設けずに空洞部と給水空間とを隔てる壁のみを設けてもよい。
（６）実施例２では、洗浄タンク載置部を設けているが、洗浄タンク載置部を設けずに、水道管直結式や、フラッシュバルブ式等の他の給水方式を採用してもよい。
（７）実施例２では、支持壁を設けているが、設けなくてもよい。

３．第３の発明における好ましい実施の形態を説明する。

　第３の発明の便器は、前記曲面の上下方向の弧の中点が前記便鉢の前側領域の左右中央で最も低くなり得る。この場合、便鉢の前側領域の左右中央における連結部が、直接的に小便がぶつかることが想定される部分であり、この部分の上下方向の弧の中点を最も低くし、便鉢の上端縁との間隔を大きくすることによって、小便の飛沫が便鉢外へ飛散し難くすることができる。

　第３の発明の便器は、前記上端部の表面が垂直又は上方に向けて外側に僅かに傾斜し得る。この場合、この便器は、便鉢の表面全体を一目で見渡すことができる。このため、この便器は、便鉢の表面の汚れを視認しやすく、便鉢の清掃を容易に行うことができる。

　次に、第３の発明の便器を具体化した実施例について、図面を参照しつつ説明する。

＜実施例３＞
　実施例３の便器は、図１４～図１７に示すように、便鉢３１０、排水路３３０、リム３１１、周囲壁３１２、支持壁３１７、及び上面部３５０を備えている。

　便鉢３１０は、図１４、図１５、及び図１６に示すように、椀状をなしている。この便鉢３１０は、第一立壁部３１３（立壁部）、連結部３２３、中間壁部３１４、及び第二立壁部３１５を有している。第一立壁部３１３は、表面が上下方向に延びており外側に僅かに傾斜している（上下は図１６における左側右側。以下、第３の発明に係る実施例の説明では同じ。）。連結部３２３は、表面が第一立壁部３１３の下端に連続し、外側に突出するように湾曲した曲面３２３Ａが形成され下端部が内側に向かい延びている。中間壁部３１４は、表面が連結部３２３の下端に連続して内側に向けて下方に僅かに傾斜して延びている。第二立壁部３１５は、表面が中間壁部３１４の下端部から下方に向けて延びており内側に僅かに傾斜している。つまり、便鉢３１０の上端部は表面が上方に向けて外側に僅かに傾斜している。また、便鉢３１０の上端部と中間部との間は表面が外側に突出するように湾曲した曲面３２３Ａである。また、便鉢３１０の中間部は表面が内側に向けて下方に僅かに傾斜している。さらに、便鉢３１０の下端部は表面が下方に向けて内側に僅かに傾斜している。

　連結部３２３の曲面３２３Ａは、図１４～図１６に示すように、上下方向の曲率半径が便鉢３１０の前側領域３２４の左右中央で最も大きくなっている（左右は図１４における左側右側。以下、第３の発明に係る実施例の説明では同じ。）。

　また、連結部３２３の曲面３２３Ａは、図１６及び図１７に示すように、上下方向の弧の中点３２５が便鉢３１０の前側領域３２４の左右中央で最も低くなっている（前は図１６における上側。以下、第３の発明に係る実施例の説明では同じ。）。

　排水路３３０は、図１６に示すように、便鉢３１０の下流側に連通している。この排水路３３０は、第一下降流路３３１、上昇流路３３２、及び第二下降流路３３３を有している。第一下降流路３３１は、便鉢３１０の下流側に連通して便鉢３１０の後方に向けて下降して延びている（後は図１６における下側。以下、第３の発明に係る実施例の説明では同じ。）。上昇流路３３２は、第一下降流路３３１の下流側に連通して便鉢３１０の後方に向けて上昇して延びている。第二下降流路３３３は、上昇流路３３２の下流側に連通してほぼ垂直に下方に向けて延びている。第二下降流路３３３は、下流側の開口部３３４が下向きに開口している。この便器は、便鉢３１０の下端部と、第一下降流路３３１と、上昇流路３３２とによって溜水部３１６を形成している。

　便鉢３１０は、図１５に示すように、上方から見た平面視において、表面の開口形状が前端部の曲率半径が後端部の曲率半径より小さい卵型形状をなしている。便鉢３１０は、図１５及び図２０に示すように、第一立壁部３１３の左側の後端部で上下方向の中間に吐水口３１８が設けられている。吐水口３１８は、外形形状が横方向に長いほぼ長円形状である。また、吐水口３１８は下端縁が右側より左側が高く形成されている。

　リム３１１は、便鉢３１０の上端部に連続して前方及び左右方向の外側にほぼ水平に拡がっている。リム３１１は、図１４及び図１５に示すように、前端部から左右領域３２６の中央部に向けて徐々に幅を狭く形成されている。つまり、この便器は、上方から見た平面視において、便器の左右の幅を拡げることなく便鉢３１０の左右領域３２６の上端部の周方向の曲率半径を小さくし、便鉢３１０の前側領域３２４の上端部の周方向の曲率半径を大きくすることができる。これに伴い、この便器は、便鉢３１０の前側領域３２４における連結部３２３の周方向の曲率半径も大きくすることができる。この形状によっても、この便器は、連結部３２３の前端部の左右中央部の曲面３２３Ａに小便がぶつかった場合、小便が左右方向に拡がって流れやすくすることができる。つまり、この便器は、第１立壁部３１３と連結部３２３との境界部分に小便が滞留することを抑えることにより小便の飛沫が便鉢３１０外に飛散することを抑えることができる。

　周囲壁３１２は、図１６、図１７、図１８、及び図１９に示すように、リム３１１の外周端部に連続して下方に延びている。この周囲壁３１２は便鉢３１０の前及び左右を覆っている。この周囲壁３１２はリム３１１の外周端部から下方に向けて内側に向けて僅かに凹むように湾曲している。周囲壁３１２は下端面が床面に設置される。支持壁３１７は、図１６に示すように、便鉢３１０の下部と周囲壁３１２の下端部３１９の前側とを繋いで形成されている。

　上面部３５０は、図１４、図１５、及び図１６に示すように、便鉢３１０の上端部に連続して後方向に拡がっている。この便器は、上面部３５０の後方に便鉢３１０に供給する洗浄水を貯留する洗浄タンク（図示せず）を載置する洗浄タンク載置部３５１を有している。この便器は、上面部３５０の下方において上面部と間を離して下面部３５４が設けられている。

　この便器は、図１６に示すように、第一立壁部３１３、上面部３５０、下面部３５４、及び洗浄タンク載置部３５１の前壁３５１Ａで囲まれた給水空間３５５を形成している。この給水空間３５５は、便器の後部の上端部に設けられている。給水空間３５５は、洗浄タンク載置部３５１の前壁３５１Ａに設けられた給水孔３５６を介して洗浄タンク載置部３５１に連通している。また、この給水空間３５５は、吐水口３１８を介して便鉢３１０内に連通している。この便器は、洗浄タンク載置部３５１側から給水口３５６にディストリビューター（図示せず）が挿通される。

　上面部３５０は、図１４及び図１５に示すように、垂直方向に貫設された一対の貫通孔３５７を有している。これら貫通孔３５７は便器の左右中心線に対して対称位置に貫設されている。これら貫通孔３５７は上面部３５０から下面部３５４まで貫通している。これら貫通孔３５７は給水空間３５５と隔てられている。これら貫通孔３５７は便座装置を固定する取付具（図示せず）が挿通される。

　この便器は、図１６～図２０に示すように、便鉢３１０、リム３１１、周囲壁３１２、及び支持壁３１７で囲まれた空洞部３２０を有している。また、この便器は、図１４に示すように、後部の下端部に一対のフランジ部３５８を備えている。これらフランジ部３５８は、便器の左右中心線に対して対称位置に設けられている。これらフランジ部３５８は、それぞれの中間部に貫通穴３５９が設けられている。これら貫通穴３５９は、便器の左右中心線に対して対称位置に貫設されている。これら貫通穴３５９は、フランジ部３５８のそれぞれに垂直方向に貫設されている。これら貫通穴３５９は、便器を床面に設置する際に固定する取付具（図示せず）が挿通される。

　このような構成を有する便器は、表面が外側に突出するように湾曲した曲面３２３Ａによって形成された連結部３２３が第一立壁部３１３と中間壁部３１４とを連結している。便鉢３１０の前側領域３２４の左右中央部における連結部３２３が、直接的に小便がぶつかることが想定される部分である。この部分が上下方向の曲率半径が最大となる曲面によって形成されている。このため、この便器は、小便が便鉢３１０の前側領域３２４の左右中央部の曲面３２３Ａにぶつかった場合、この部分の上下方向の曲率半径が大きいため、小便を流れやすくすることができる。つまり、この便器は、第一立壁部３１３と連結部３２３との境界部分に小便が滞留することを抑えることができる。

　したがって、第３の発明の便器は、小便の飛沫の発生を抑えることができる。

　また、実施例３の便器は、曲面３２３Ａの上下方向の弧の中点３２５が便鉢３１０の前側領域３２４の左右中央で最も低くなっている。これにより、この便器は、便鉢３１０の前側領域３２４の左右中央部における連結部３２３の上下方向の弧の中点３２５を最も低くし、便鉢３１０の上端縁との間隔を大きくすることによって、小便の飛沫が便鉢３１０外へ飛散し難くしている。

　また、実施例３の便器は、便鉢３１０の上端部の表面が上方に向けて外側に僅かに傾斜している。このため、この便器は、便鉢３１０の表面全体を一目で見渡すことができる。このため、この便器は、便鉢３１０の表面の汚れを視認しやすく、便鉢３１０の清掃を容易に行うことができる。

　第３の発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も第３の発明の技術的範囲に含まれる。
（１）実施例３では、洗浄水の供給にディストリビューターを用いたが、水道管を直結する方法等でもよい。
（２）実施例３では、便鉢の上端部の表面が上方に向けて外側に? .かに傾斜しているが、垂直又は上方に向けて内側に傾斜していてもよい。
（３）実施例３では、吐水口が便鉢の左側の後端部に１箇所設けてあったが、複数設けてもよい。
（４）実施例３では、水洗式であったが、水洗式でなくてもよい。
（５）実施例３では、便器の左右の幅を拡げることなく、便鉢の左右端部の曲率半径を大きくしているが、便器の左右の幅を拡げてもよい。
（６）実施例３では、排水路の開口部が下向きに開口しているが、後ろ向きに開口していてもよい。

４．第４の発明における好ましい実施の形態を説明する。

　第４の発明の水洗式便器は、前記便鉢部の左右両面側における前記リム部の内外方向の寸法が、前後方向の略中心において最も小さくされるとともにそこから前方に向かって少しずつ大きくされているものとしてもよい。このような構成によれば、便鉢部の左右両面側の曲率半径を小さくすることができる。

　＜実施例４＞
　以下、第４の発明を具体化した実施例４について、図２１～図２４を参照しつつ詳細に説明する。
　実施例４における水洗式便器４１０は、便鉢部４１１と、便鉢部４１１の外周側を覆う周囲壁部４１２と、これらの上端部を連結するリム部４１３とを備えている。便鉢部４１１、周囲壁部４１２およびリム部４１３は一体的に形成されている。

　リム部４１３は、便鉢部４１１の前面側から左右両面側にわたり連続して設けられ、後端は上面壁部４１４に連なっている。上面壁部４１４は、水洗式便器４１０の全幅にわたり略水平をなすように形成された壁である。上面壁部４１４の後方（水洗式便器４１０の後端部）には、洗浄タンク載置部４１５が設けられている。なお、リム部４１３の上面側には、図示しない便座が載置される。

　便鉢部４１１は、上方に開口するボウル形状をなしている。便鉢部４１１は、リム部４１３の内周縁部から略垂直もしくは内外方向における内側に向かって垂下する立壁部４１６と、立壁部４１６の下端から便鉢部４１１の下部に設けられた凹部４１７に向かって斜め下方に傾斜する傾斜壁部４１８とを備えている。

　便鉢部４１１の上端周縁部には、洗浄水を吐水する吐水口４１９が設けられている（図２１参照）。吐水口４１９は、便鉢部４１１の後面側に設けられて前方に開口している。吐水口４１９は、便鉢部４１１の幅方向（左右方向）における中心よりも若干右側（水洗式便器４１０に座る人から見て右側であって、図２１における左側）に寄った位置に設けられてる。吐水口４１９から吐水された洗浄水は、平面視において便鉢部４１１内を反時計方向に旋回する旋回流を形成する。

　水洗式便器４１０は、便鉢部４１１の下流側に連通した排水路４２１を有している（図２３参照）。排水路４２１は、便鉢部４１１の封水面Ｌよりも下方に設けられた流出口４２２の下流側に連続して形成されている。

　排水路４２１は、流出口４２２から斜め後方に下降する第１下降流路４２３と、この第１下降流路４２３の下流側に連続して形成され、斜め後方に上昇する上昇流路４２４と、この上昇流路４２４の下流側に連続して形成され、略垂直方向に下降する第２下降流路４２５とを有している。第２下降流路４２５の下端部は、下方に突出した形状とされ、図示しない排水接続管が接続可能とされている。

　周囲壁部４１２は、便鉢部４１１の前面側から左右両側面側にわたって覆うとともに、便鉢部４１１の下方に配された排水接続管等を内部に収容可能とされている。周囲壁部４１２は、リム部４１３の外周縁部から内外方向における内側に向かって垂下している（図２４参照）。

　さて、便鉢部４１１の前面側におけるリム部４１３の幅寸法（内外方向の寸法）は、便鉢部４１１の左右両面側におけるリム部４１３の幅寸法（内外方向の寸法）よりも大きくされている（図２２参照）。

　リム部４１３のうち便鉢部４１１の左右両側面側に位置する部分（以下、リム側面部４２６と称する）における前後方向の略中心は、最も幅寸法が小さい小幅部４２７とされている。そして、リム側面部４２６のうち小幅部４２７より前側の部分は、前方に向かって少しずつ幅寸法が大きくなり、リム側面部４２６のうち小幅部４２７より後側の部分は、後方に向かって少しずつ幅寸法が大きくなっている。

　リム部４１３のうち便鉢部４１１の前面側に位置する部分（以下、リム前面部４２８と称する）における左右方向の略中心は、最も幅寸法が大きい大幅部４２９とされている。リム前面部４２８のうち大幅部４２９の左右両側の部分は、それぞれ左右両側方に向かって少しずつ幅寸法が小さくなっている。

　便鉢部４１１のうち前面側の部分（リム前面部４２８に連結された部分）は、略同一の曲率半径ρ１を有して湾曲し、後面側の部分は、略同一の曲率半径ρ２を有して湾曲している。便鉢部４１１の前面側の曲率半径ρ１は、従来の便鉢部の前面側の曲率半径よりも大きくされている。また、便鉢部４１１の左右両面側の曲率半径ρ３は、従来の便鉢部の左右両側面の曲率半径よりも小さくされている。便鉢部４１１の前面側の曲率半径ρ１は、後面側の曲率半径ρ２よりも若干小さくされ、便鉢部４１１の左右両面側の曲率半径ρ３は、後面側の曲率半径ρ２より若干大きくされている。便鉢部４１１の曲率半径ρ１，ρ２，ρ３は左右対称とされている。便鉢部４１１の前面側の曲率半径ρ１を有する曲率円Ｃ１は、便鉢部４１１の後面側の曲率半径ρ２を有する曲率円Ｃ２と、半分程度が重なって配される。そして、便鉢部４１１は、従来よりも新円に近い形状をなして大きく開口している。

　次に、上記のように構成された実施例４の作用および効果について説明する。
　実施例４の水洗式便器４１０は、便鉢部４１１と、便鉢部４１１の外周側を覆う周囲壁部４１２と、便鉢部４１１の上端部と周囲壁部４１２の上端部とを連結するリム部４１３と、を備え、便鉢部４１１の前面側におけるリム部４１３の内外方向の寸法が、便鉢部４１１の左右両面側におけるリム部４１３の内外方向の寸法よりも大きくされている。

　この構成によれば、水洗式便器４１０の幅寸法を維持したまま、便鉢部４１１の前面側の曲率半径ρ１を大きくするとともに左右両面側の曲率半径ρ３を小さくする、すなわち従来よりも便鉢部４１１を円形に近い形状にすることができるから、洗浄水をスムーズに旋回させて十分な洗浄力を得ることができる。

　そして、実施例４の水洗式便器４１０は、従来の水洗式便器と同等の外形形状を維持しているから、専用の便座装置ではなく、従来と同じ便座装置を使用することができる。また、洗浄水をスムーズに旋回させることができるから、広い範囲にわたり洗浄することができる。

　また、便鉢部４１１が、リム部４１３の内周縁部から略垂直もしくは内外方向における内側に向かって垂下する立壁部４１６を有している。この構成によれば、リム部４１３の下側に窪んだ部分が形成されないから、清掃しやすく、また汚れを視認しやすくすることができる。

　＜他の実施例＞
　第４の発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
　（１）上記実施例４では、便鉢部４１１の前面側の曲率半径ρ１が、後面側の曲率半径ρ２よりも若干小さくされているが、これに限らず、例えば便鉢部の前面側の曲率半径と、後面側の曲率半径とが同等であってもよい。

５．第５の発明における好ましい実施の形態を説明する。

　第５の発明の水洗式大便器は、
　前記吐水口が、前記上部鉛直内壁面の上下方向中間位置に開口していてもよい。
　この構成によれば、上部鉛直内壁面に沿って一周した旋回流は、吐水口より低い位置を流れるのであるが、この一周した旋回流に対し、吐水口から吐出された洗浄水が上から覆い被さるので、洗浄水が上方へ飛散することを防止できる。

　第５の発明の水洗式大便器は、
　前記便鉢の内面には、前記上部鉛直内壁面の下端縁に沿って上方へ面するように棚面が形成されており、
　前記吐水口の開口領域の最下端が、前記棚面より上方に設定されていてもよい。
　この構成によれば、棚面上を旋回する洗浄水に対し、吐水口から吐出された洗浄水が上から覆い被さるので、棚面上の洗浄水が上方へ飛散することを防止できる。

　第５の発明の水洗式大便器は、
　前記上部鉛直内壁面の平面視形状は、前端部と後端部の曲率半径が左右両側縁部の曲率半径よりも小さい形状をなしており、
　前記吐水口が、前記上部鉛直内壁面の前端部又は後端部に開口していてもよい。
　この構成によれば、吐水口から斜めに吐出された洗浄水が、吐出の直後に曲率半径の大きい側縁部に対して接線状に接触するので、水勢の低下が抑えられ、洗浄力の高い旋回流が生成される。

　第５の発明の水洗式大便器は、
　前記便鉢のうち前後方向における中央よりも後方の位置には、排水路に連なる溜水部が配されており、
　前記吐水口が、前記溜水部の溜水面よりも後方に配され、
　前記吐水口から吐出した洗浄水の一部が、下向きの誘導流を生成してもよい。
　この構成によれば、吐水口から吐出された洗浄水の一部が、溜水部に向かう下向きの誘導流となるので、汚物を効果的に排水路へ誘導することができる。

　＜実施例５＞
　以下、第５の発明を具体化した実施例５を図２５～図２８を参照して説明する。尚、以下の説明において、前後方向に関しては、図２５における下側及び図２６，２７における右側を前側と定義する。また、左右方向に関しては、図２５，２８にあらわれる向きを、そのまま左側及び右側と定義する。本実施例５の水洗式大便器は、便鉢５１０と、溜水部５１７と、排水路５１９と、給水部５２４とを備えて構成されている。

　＜便鉢５１０＞
　便鉢５１０は、上方へ開放された略擂り鉢状をなす。便鉢５１０には、その上端縁部に沿うようにリム５１１が形成されている。リム５１１の上端面５１１Ｓは、全周に亘って略水平であり、且つ全周に亘って一定高さで連続している。便鉢５１０の内面は、汚物（図示省略）を受け止めるための鉢面５１２となっている。鉢面５１２のうち上端部領域は、全周に亘って連続する上部鉛直内壁面５１３となっている。図２６～２８に示すように、上部鉛直内壁面５１３は、リム５１１の上端面５１１Ｓに対し、曲率半径の小さい弧状凸面５１４を介して直角をなすように連なっている。上端面５１１Ｓと上部鉛直内壁面５１３は、弧状凸面５１４に対し滑らかに（接線状に）連なっている。

　図２６～２８に示すように、便鉢５１０の平面視中心部を通る鉛直面に沿った切断面においては、上部鉛直内壁面５１３の上端側領域がほぼ直線状をなし、弧状凸面５１４は、凸面のみで構成されている。そして、上部鉛直内壁面５１３と上端面５１１Ｓが弧状凸面５１４を介して直角に連なる形態は、便鉢５１０（リム５１１）の全周に亘って連続している。したがって、上部鉛直内壁面５１３には、その全領域に亘り、便鉢５１０の内部へ突き出すオーバーハング部や凸部や凹部が形成されていない。これにより、リム５１１の上端面５１１Ｓより高い位置から斜め下方に向けた視線で上部鉛直内壁面５１３を見たときに、上部鉛直内壁面５１３の全領域を目視することが可能である。

　上部鉛直内壁面５１３は、リム５１１の略水平な上端面５１１Ｓに対して直角をなしている、本実施例における「直角」は、厳密な９０°の角度に限定されるものではなく、９０°より少し小さい角度と、９０°よりも少し大きい角度も含む。したがって、上部鉛直内壁面５１３の向きは、厳密な鉛直方向（上下方向）に限らず、鉛直方向に対して上端側が便鉢５１０の内側へ僅かに倒れるように傾いた向き（つまり、リム５１１の上端面５１１Ｓと鋭角をなす向き）と、鉛直方向に対して上端側が便鉢５１０の外側へ僅かに傾いた向き（つまり、リム５１１の上端面５１１Ｓと鈍角をなす向き）も含む。

　鉢面５１２のうち上部鉛直内壁面５１３よりも下方の領域は、全周に亘って連続する棚面５１５となっている。棚面５１５は、上部鉛直内壁面５１３の下端に対し弧状凹面５１６を介して滑らかに連続している。棚面５１５は、全周に亘り、上方に面しており、上部鉛直内壁面５１３から遠ざかるほど低くなるように傾斜している。棚面５１５の水平面に対する傾斜角度は、周方向において一定ではなく部位によって異なるが、全周において４５°よりも小さい角度に設定されている。

　＜溜水部５１７及び排水路５１９＞
　便鉢５１０の下端部は、溜水部５１７となっている。溜水部５１７は、便鉢５１０の左右方向（幅方向）における中央に配置されている。また、溜水部５１７は、便鉢５１０の前後方向における中央よりも後方に偏った位置に配置されている。溜水部５１７の上端部内面は、全周に亘り、ほぼ鉛直な立壁５１８で構成されている。この立壁５１８の上端部は、棚面５１５の内周縁部に滑らかに連続している。

　図２６に示すように、排水路５１９は、溜水部５１７に連なる上昇路５２０と、上昇路５２０の下流端（上端）に連なる下降路５２１とを備えて構成されている。下降路５２１は、トイレの床面に設けた排水管（図示省略）に接続されている。溜水部５１７は、排水路の入口に位置する。排水路５１９は、左右対称であり、便鉢５１０の左右方向（幅方向）における中央に配置されている。

　洗浄前は、洗浄水が溜水として溜水部５１７と上昇路５２０に貯留されている。溜水部５１７において溜水が静止しているときの液面を、溜水面５２３と定義する。鉢面５１２で受け止められた汚物や溜水部５１７内に沈下した汚物は、鉢面５１２に沿って旋回又は流下する洗浄水とともに、排水路５１９を通って排出される。

　＜給水部５２４＞
　給水部５２４は、便鉢５１０に洗浄水を供給するためのものであり、便鉢５１０の上面部後方に隣接して形成されている。給水部５２４の前端における左右方向中央部は、リム５１１の後端部に連なっていて、給水部５２４の上面とリム５１１の上端面５１１Ｓが面一状に連続している。図２６，２７に示すように、給水部５２４は、上面が開放されて洗浄タンク等の給水口（図示省略）に連通するように形成された後部給水空間５２５と、後部給水空間５２５の前方に位置し、連通孔５２７を介して後部給水空間５２５に連通する前部給水空間５２６とを備えて構成されている。

　＜吐水口５２８＞
　便鉢５１０の上端部（リム５１１）には、給水部５２４内に供給された洗浄水を、便鉢５１０内に吐出するための吐水口５２８が形成されている。吐水口５２８は、上部鉛直内壁面５１３と前部給水空間５２６とを仕切る隔壁部５２９を貫通した形態である。つまり、吐水口５２８は、上部鉛直内壁面５１３の後端部に位置し、前方に向かって開口している。

　図２８に示すように、吐水口５２８の開口形状（正面視形状）は、全体として横長の方形をなし、四隅が弧状に成形されているとともに、上下非対称且つ左右非対称である。吐水口５２８の開口縁を構成する４つの縁辺のうち、上縁辺５３０は水平方向に延びている。右縁辺５３１は鉛直方向に延びている。左縁辺５３２は弧状をなしている。下縁辺５３３は、水平ではなく、左方に向かって次第に高くなるように少し傾斜している。換言すると、吐水口５２８の下縁辺５３３は、便鉢５１０の左側から中央に向かって下るように傾斜している。したがって、吐水口５２８の高さ寸法は、右側から左側に向かって次第に小さくなっている。

　図２５に示すように、前後方向において、吐水口５２８は、その全体に亘り、溜水部５１７の溜水面５２３の後端よりも後方の領域に開口している。また、吐水口５２８は、その全体が、便鉢５１０の左右方向中央よりも左方の領域に開口している。そして、吐水口５２８のうち左端部を除いた大部分の領域は、左右方向において溜水面５２３と重なるように開口している。また、図２８に示すように、吐水口５２８の開口領域の最上端（上縁辺５３０）は、上部鉛直内壁面５１３の上端（弧状凸面５１４の下端）よりも下方の位置に設定されている。吐水口５２８の開口領域の最下端（下縁辺５３３の右端）は、棚面５１５よりも上方の位置に設定されている。

　吐水口５２８からは、洗浄水が便鉢５１０内に吐出される。吐水口５２８からの洗浄水の吐出方向は、上部鉛直内壁面５１３に沿うような向きであり、平面視において反時計回り方向の向きである。洗浄水の吐出流量（単位時間当たりの吐水量）は、吐出開始時がほぼ最大であり、その後、徐々に減少し、吐出終了間際で最小となる。したがって、吐出開始から吐出終了間際までの間は、吐出された洗浄水が、上部鉛直内壁面５１３の下端部及び棚面５１５に接する旋回流５３４となる。この旋回流５３４は、上部鉛直内壁面５１３の下端部に沿うように流れるので、便鉢５１０（リム５１１）の上方に飛散することはない。旋回流５３４の旋回経路は、重力により次第に下方へ移動していき、溜水部５１７に流入する。

　そして、吐出終了間際では、吐出した洗浄水が、溜水部５１７に向かってほぼ鉛直下向きの誘導流５３５となる。この吐出終了間際の下向きの誘導流５３５は、棚面５１５の後端部における旋回流５３４に上から覆い被さるように流れ落ちる。したがって、棚面５１５の後端部では、旋回流５３４が誘導流５３５によって下向きに誘導され、溜水部５１７に流れ込む。溜水部５１７は、排水路５１９の入口に連通しているので、便鉢５１０内の洗浄水と汚物は確実に排出される。

　実施例５の水洗式大便器は、便鉢５１０と、便鉢５１０の内面上端部に形成され、便鉢５１０の略水平な上端面５１１Ｓの内周縁に対し、便鉢５１０の全周に亘って直角に連なる上部鉛直内壁面５１３とを有する。この上部鉛直内壁面５１３には、洗浄水を吐出して上部鉛直内壁面５１３に接する旋回流５３４を生成する吐水口５２８が開口している。吐水口５２８が開口する上部鉛直内壁面５１３は、全周に亘り、便鉢５１０の水平な上端面５１１Ｓと直角に連なっていてオーバーハング部を有していないので、リム５１１の上端面５１１Ｓより高い位置の視点からでも、上部鉛直内壁面５１３の全領域を全周に亘って目視することが可能である。

　また、吐水口５２８は、上部鉛直内壁面５１３の上下方向中間位置に開口している。この構成によれば、上部鉛直内壁面５１３に沿って一周した旋回流５３４は、吐水口５２８より低い位置を流れるのであるが、この一周した旋回流５３４に対し、吐水口５２８から吐出された洗浄水が上から覆い被さるので、洗浄水が上方へ飛散することを防止できる。

　また、便鉢５１０の内面には、上部鉛直内壁面５１３の下端縁に沿った上向きの棚面５１５が全周に亘って連続して形成されており、吐水口５２８の開口領域の最下端は、棚面５１５より上方に設定されている。この構成によれば、棚面５１５上を旋回する洗浄水に対し、吐水口５２８から吐出された洗浄水が上から覆い被さるので、棚面５１５上の洗浄水が上方へ飛散することを防止できる。

　また、上部鉛直内壁面５１３の平面視形状は、前端部と後端部の曲率半径が左右両側縁部の曲率半径よりも小さい形状をなしている。即ち、長軸を前後方向に向けた略楕円形をなしている。そして、吐水口５２８が、上部鉛直内壁面５１３の後端部（つまり、曲率半径の小さい領域）に開口している。この構成によれば、吐水口５２８から斜め前方に吐出された洗浄水は、吐出の直後に曲率半径の大きい側縁部に対して接線状に接触するので、洗浄水の水勢の低下が抑えられる。したがって、洗浄力の高い旋回流５３４が生成される。

　また、便鉢５１０のうち前後方向における中央よりも後方の位置には、排水路５１９に連なる溜水部５１７が配されており、吐水口５２８が、溜水部５１７の溜水面５２３よりも後方に配され、吐水口５２８から吐出した洗浄水の一部が、下向きの誘導流５５５を生成するようになっている。この構成によれば、吐水口５２８から吐出された洗浄水の一部が、溜水部５１７に向かう下向きの誘導流５３５となるので、汚物を効果的に排水路５１９へ誘導することができる。

　＜他の実施例＞
　第５の発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。　
　（１）上記実施例５では、吐水口を便鉢（リム）の後端部に配置したが、吐水口は、便鉢の後端よりも前方の位置に配置してもよい。　
　（２）上記実施例５では、吐水口の数を１つだけとしたが、吐水口は、異なる位置に複数配置してもよい。この場合、２つ目からの吐水口は、旋回流を生成する吐水口でなくてもよい。例えば、下方にのみ吐水する吐水口でもよい。　
　（３）上記実施例５では、吐水口の開口領域の最下端を棚面より上方に設定したが、吐水口の開口領域の最下端が棚面と同じ高さであってもよい。　
　（４）上記実施例５では、吐水口の全体が、便鉢の左右方向中央より左方の領域に開口しているが、吐水口の全体が便鉢の左右方向中央より右方の領域に開口してもよく、吐水口が便鉢の左右方向中央線を跨ぐように開口してもよい。　
　（５）上記実施例５では、吐水口の全体が、溜水部の溜水面の後端より後方の領域に開口しているが、吐水口の全体が溜水部の溜水面の前端より前方の領域に開口してもよく、吐水口の開口領域の一部が、前後方向において溜水面と重なるような位置関係であってもよい。　
　（６）上記実施例５では、吐水口を前方から見た開口形状が左右非対称であるが、吐水口を前方から見た開口形状は左右対称であってもよい。

　１１０…便鉢、１１１…リム、１１１Ｓ…リムの上端面、１１５…上部内壁面、１１５Ｆ…上部内壁面の前部領域、１１５Ｒ…上部内壁面の後部領域、１１５Ｓ…上部内壁面の側部領域、１１７…連結面、１１７Ｆ…連結面の前部領域、１１７Ｈ…連結面の最高点、１１７Ｒ…連結面の後部領域、１１７Ｓ…連結面の側部領域、１１８…棚面、１２７…吐水口、１２９…旋回流。
　２１０…便鉢、２１１…リム、２１２…周囲壁、２１３…第一立壁部（便鉢の上端部）、２１８…吐水口、２２０…空洞部、２５０…上面部、２５５…給水空間、２７０…遮断部。
　３１０…便鉢、３１３…第一立壁部（立壁部）、３１４…中間壁部、３２３…連結部、３２３Ａ…曲面、３２４…前側領域、３２５…弧の中点。
　４１０…水洗式便器、４１１…便鉢部、４１２…周囲壁部、４１３…リム部、４１６…立壁部、４２６…リム側面部（便鉢部の左右両面側におけるリム部）、４２８…リム前面部（便鉢部の前面側におけるリム部）。
　５１０…便鉢、５１１…リム、５１１Ｓ…リムの上端面、５１３…上部鉛直内壁面、５１５…棚面、５１７…溜水部、５１９…排水路、５２３…溜水面、５２８…吐水口、５３４…旋回流、５３５…誘導流。

　本発明は便器に関する。

Claims

　便鉢と、
　前記便鉢の上端縁部に形成されたリムと、
　前記リムの上端面内周縁に連なるように前記便鉢の内面に形成され、平面視において前部領域及び後部領域の曲率が左右両側領域よりも大きい上部内壁面と、
　前記上部内壁面の下端縁に沿って内側に張り出して上方に面するように形成された棚面と、
　前記上部内壁面の下端縁と前記棚面の外周縁とを繋ぐ連結面と、
　前記上部内壁面、前記棚面及び前記連結面に接する旋回流を生成するように洗浄水を吐出する吐水口とを備え、
　前記連結面の前部領域及び後部領域が、前記連結面の左右両側部領域よりも低い位置に設定されていることを特徴とする水洗式大便器。
　前記連結面の前記前部領域から前記後部領域に至る旋回経路は、高さが徐々に変化するように滑らかに連続していることを特徴とする請求項１記載の水洗式大便器。
　前記連結面の高さは、前記側部領域のうち平面視の曲率が最小となる周長中央部が最高点となり、この最高点から前記前部領域及び前記後部領域に向かって下り勾配が続く形態となっていることを特徴とする請求項１又は２記載の水洗式大便器。
　前記吐水口における前記洗浄水の吐出方向が、前方又は後方のいずれか一方向とされており、
　前記連結面の前記前部領域と前記後部領域のうち、前記吐水口から吐出した洗浄水が最初に到達する側の前記端部領域の高さが、他方の前記端部領域よりも低く設定されていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項記載の水洗式大便器。
　前記上部内壁面、前記棚面及び前記連結面が、左右対称であることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項に記載の水洗式大便器。
　前記上部内壁面が、鉛直面又は上端側が前記便鉢の外側へ傾斜した面であることを特徴とする請求項１乃至５のいずれか１項に記載の水洗式大便器。
　上端部に吐水口を有する便鉢と、
　前記便鉢の前記上端部に連続して前方及び左右方向の外側に拡がったリムと、
　前記リムの外周端部に連続して下方に延びた周囲壁と、
　前記便鉢の上端部に連続して後方向に拡がった上面部とを備え、
　前記便鉢、前記リム、及び前記周囲壁によって形成され前記便鉢の前及び左右の下部に拡がる空洞部と、前記上面部の下方に形成され、前記吐水口に連通して洗浄水が通過する給水空間とが形成され、一体成形された水洗式便器であって、　
　前記空洞部と前記給水空間とを隔てる遮断部が設けられていることを特徴とする水洗式便器。
　前記遮断部は前記周囲壁より後方に形成されていることを特徴とする請求項７記載の水洗式便器。
　前記吐水口は前記便鉢の前後方向の中央より後方に設けられていることを特徴とする請求項７又は８記載の水洗式便器。
　前記遮断部は前記空洞部と前記給水空間との間に外部に開放した空間を有するように設けられていることを特徴とする請求項７乃至９のいずれか１項記載の水洗式便器。
　前記遮断部は上方から見た平面視において前記リムに隠れた位置に設けられていることを特徴とする請求項７乃至１０のいずれか１項記載の水洗式便器。
　前記便鉢は上端部の表面が垂直又は上方に向けて外側に僅かに傾斜していることを特徴とする請求項７乃至１１のいずれか１項記載の水洗式便器。
　上端部において上下方向に延びた表面を形成する立壁部と、
　この立壁部の下端に連続し、表面が外側に突出するように湾曲した曲面を形成し、下端部が内側に延びており、前記曲面の上下方向の曲率半径が前側領域の左右中央で最大となり左右両側に向けて徐々に小さくなる連結部と、
　この連結部の下端に連続し、内側に向けて傾斜した表面を形成する中間壁部とを有した便鉢を備えていることを特徴とする便器。
　前記曲面の上下方向の弧の中点が前記便鉢の前側領域の左右中央で最も低くなることを特徴とする請求項１３記載の便器。
　前記上端部の表面が垂直又は上方に向けて外側に傾斜していることを特徴とする請求項１３または１４記載の便器。
　平面視略卵型をなして旋回流により洗浄される便鉢部と、
　前記便鉢部の外周側を覆う周囲壁部と、
　前記便鉢部の上端部と前記周囲壁部の上端部とを連結するリム部と、
　を備え、
　前記便鉢部が、前記リム部の内周縁部から略垂直もしくは内外方向における内側に向かって垂下する立壁部を有し、
　前記便鉢部の前面側における前記リム部の内外方向の寸法が、前記便鉢部の左右両面側における前記リム部の内外方向の寸法よりも大きくされている水洗式便器。
　前記便鉢部の左右両面側における前記リム部の内外方向の寸法が、前後方向の略中心において最も小さくされるとともにそこから前方に向かって少しずつ大きくされている請求項１６に記載の水洗式便器。
　便鉢と、
　前記便鉢の上端縁部に形成されたリムと、
　前記便鉢の内面上端部に形成され、前記便鉢の全周に亘って前記リムの上端面内周縁部に連なる上部鉛直内壁面と、
　前記上部鉛直内壁面に開口し、洗浄水を吐出して前記上部鉛直内壁面に接する旋回流を生成する吐水口とを備えていることを特徴とする水洗式大便器。
　前記吐水口が、前記上部鉛直内壁面の上下方向中間位置に開口していることを特徴とする請求項１８記載の水洗式大便器。
　前記便鉢の内面には、前記上部鉛直内壁面の下端縁に沿って上方に面するように棚面が形成されており、
　前記吐水口の開口領域の最下端が、前記棚面より上方に設定されていることを特徴とする請求項１８又は１９記載の水洗式大便器。
　前記上部鉛直内壁面の平面視形状は、前端部と後端部の曲率半径が左右両側縁部の曲率半径よりも小さい形状をなしており、
　前記吐水口が前記上部鉛直内壁面の前端部又は後端部に開口していることを特徴とする請求項１８乃至２０のいずれか１項記載の水洗式大便器。
　前記便鉢のうち前後方向における中央よりも後方の位置には、排水路に連なる溜水部が配されており、
　前記吐水口が、前記溜水部の溜水面よりも後方に配され、
　前記吐水口から吐出した洗浄水の一部が、下向きの誘導流を生成することを特徴とする請求項１８乃至２１のいずれか１項記載の水洗式大便器。