JP6863749B2 - 水洗式便器 - Google Patents

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Description

本発明は水洗式便器に関する。
特許文献1には従来の水洗式便器が開示されている。この水洗式便器は、大便器のリム直下でボウル部(便鉢部)の内面に沿ってほぼ水平にボウル部の側部より前方に洗浄水を供給するノズル(吐水口)が取付けられている。また、ボウル部のノズルが取付けられている高さより若干下の位置には、ノズルより吐水された洗浄水をボウル部の全周へ導くための棚(洗浄棚)を設け、棚の上方には棚を覆うようなリム形状が形成されている。さらに、この水洗式便器は、便器の外形形状とボウル内面形状の間のリムの幅を、側部より前方に行くにつれて大きくなるように構成されている。
この水洗式便器はボウル内面形状の前方部の曲率が小さくなり、洗浄水がスムーズに伝わるようになり、その結果給水源の圧力が低圧の場合でも、ボウル後端部まで洗浄水が伝わり、ボウル洗浄を行うことができる。また、この水洗式便器のボウル内面の前方部の曲率が小さくなるため、洗浄水の遠心力が小さくなり、ボウル前方部で洗浄水がボウル外へ飛び出したり飛散ったりすることを抑えることができる。
特開2002−294842号公報
しかし、特許文献1の水洗式便器は、ボウル部を棚から流下する洗浄水によって洗浄している。棚から流下する洗浄水は、棚の周方向の位置によって流下する水量が異なる。このため、この水洗式便器はボウル部に洗浄水が斑無く流れなくなるおそれがある。つまり、この水洗式便器はボウル部を満遍なく洗浄することができないおそれがある。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、便鉢部の表面を良好に洗浄することができる水洗式便器を提供することを解決すべき課題としている。
本発明の水洗式便器は、
鉢面と、
前記鉢面の下部に形成され、底面を具備した凹部と、
前記鉢面に洗浄水を供給する吐水口と、
を有した便鉢部、
及び前記凹部の前記底面の後部に形成された流入口に連続した排水路を備えた水洗式便器であって、
前記吐水口から吐水された洗浄水が、前記鉢面を流下して前記凹部の前方から前記凹部に流入し、前記底面に衝突して前記凹部の後側上方に向けて流れた後、上方から見た平面視において、前記凹部に形成された溜水部内で前記凹部の後方又は側方から前記凹部に流入する流れと共に、前記溜水部を反時計方向に旋回する旋回流を形成する第1主流と、
前記鉢面の後部を流下して前記凹部の後方から前記凹部に流入する第2主流とを形成することを特徴とする。
この水洗式便器は、凹部内の洗浄水の水面の位置が上昇し、凹部のより広い範囲を洗浄することができる。
したがって、本発明の水洗式便器は便鉢部の表面を良好に洗浄することができる。
実施例1の水洗式便器の平面図である。 図1における矢視A−A断面図である。 図1における矢視B−B断面図である。 図1における矢視C−C断面図である。 図1における矢視D−D断面図である。 図1における矢視E−E断面図である。 図2における矢視F−F断面図である。 図2における矢視G−G断面図である。 実施例1の水洗式便器の便鉢部内の洗浄水の流れを示す平面図である。 実施例1の水洗式便器の洗浄水の流れを示す、図1における矢視A−A断面図である。
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
本発明の水洗式便器は凹部の後方又は側方から凹部に流入して、凹部内で横方向に旋回し、第1主流と合流する第2主流を形成し得る。この場合、この水洗式便器は、第2主流が凹部内で第1主流と合流することによって、凹部内で形成される旋回流の勢いをより大きくすることができる。これにより、凹部内の洗浄水の水面の位置をより上昇させることができるため、凹部のより広い範囲を洗浄することができる。
本発明の水洗式便器の流入口の前後方向の寸法は、凹部の左右方向の中央部において凹部の前後方向の寸法の半分よりも小さくし得る。この場合、この水洗式便器は凹部に流入する洗浄水の全てが直ちに排水路に流入することなく凹部内に留めることができ、凹部内の洗浄水の水面の高さを上昇させることができるため、凹部のより広い範囲を洗浄することができる。
本発明の水洗式便器の便鉢部は、鉢面の上部に連続し、吐水口から吐水された洗浄水が流れる洗浄棚を有しており、鉢面は、前部の左右方向の中央部に上部から下部に向けて凹面と凸面とが形成されており、凸面の上下方向の中央部と洗浄棚との上下方向の間隔よりも凸面の上下方向の中央部と凹部の底面との上下方向の間隔の方が大きくなり得る。この場合、この水洗式便器は洗浄水が凹部に流入する勢いをより大きくすることができる。このため、凹部内に形成される旋回流の旋回する勢いをより大きくすることができるため、凹部内のさらに広い範囲を洗浄することができる。
本発明の水洗式便器の第1主流の一部は排水路に直接流入する流れを形成し得る。この場合、この水洗式便器は排水路に直接流入する流れによって汚物等を良好に排出することができる。
本発明の水洗式便器を具体化した実施例1について図面を参照しつつ説明する。
<実施例1>
実施例の水洗式便器1は、便鉢部10、及び排水路30を備えている。
便鉢部10は、図1、3〜6に示すように、洗浄棚12、立面11、膨出部11B、及び鉢面13を有している。
洗浄棚12は、図1に示すように、左側洗浄棚12A、右側洗浄棚12B、後側洗浄棚12C、及び第1境界部10Bを具備している(左右は、図1における左側右側である。以下同じ。)(前後は、図1における下側上側である。以下同じ。)。洗浄棚12は便鉢部10の内側上部の周縁に沿って形成されており、吐水口11Aから吐水された洗浄水が流れる(上下は、図1における手前側奥側である。以下同じ。)。
左側洗浄棚12A、右側洗浄棚12B、及び後側洗浄棚12Cは、図2〜6に示すように、それぞれが便鉢部10の上部周縁から連続して便鉢部10の中央部に向けて伸びつつ、下り傾斜して形成されている。以降、便鉢部10の中央部に向かう方向を内向き方向という。また、右側洗浄棚12Bの内向き方向の下り傾斜した傾斜角度は、左側洗浄棚12Aの内向き方向の下り傾斜した傾斜角度より小さい。
また、図1、3〜5に示すように、左側洗浄棚12Aの棚幅が、右側洗浄棚12Bの棚幅よりも大きい。ここで、棚幅とは、上方から見た平面視において、便鉢部10の周方向に対して直角方向の洗浄棚12の寸法である。また、右側洗浄棚12Bの棚幅は、図1に示すように、洗浄水が流れる方向の中央部に比べて上流側である前側が大きい。ここで、右側洗浄棚12Bにおける上流側とは、右側洗浄棚12Bの前側であり、右側洗浄棚12Bに洗浄水が流入する側である。また、右側洗浄棚12Bにおける下流側とは、右側洗浄棚12Bの後側であり、右側洗浄棚12Bから洗浄水が流出する側である。また、左側洗浄棚12Aにおける上流側とは、左側洗浄棚12Aの後側であり、左側洗浄棚12Aに洗浄水が流入する側である。また、左側洗浄棚12Aにおける下流側とは、左側洗浄棚12Aの前側であり、左側洗浄棚12Aから洗浄水が流出する側である。
また、後側洗浄棚12Cの便鉢部10の後側左右中央部よりも上流側である右側に位置する後側洗浄棚12Cの棚幅、及び右側洗浄棚12Bの下流側の端部である後端部の棚幅が、便鉢部10の前後方向の中央部の右側洗浄棚12Bの棚幅よりも小さい。ここで、後側洗浄棚12Cにおける上流側とは、後側洗浄棚12Cの右側であり、後側洗浄棚12Cに洗浄水が流入する側である。また、後側洗浄棚12Cにおける下流側とは、後側洗浄棚12Cの左側であり、後側洗浄棚12Cから洗浄水が流出する側である。後側洗浄棚12Cは洗浄棚12の後部である。また、後側洗浄棚12Cは便鉢部10の後側左右中央部よりも上流側である右側から後側左右中央部に向けて徐々に棚幅が大きくなる。右側洗浄棚12Bの後端部の棚幅は後側洗浄棚12Cの左右方向の中央部の棚幅より小さい。また、洗浄棚12の左右における上流側とは、左側洗浄棚12A、及び右側洗浄棚12Bの内の一方であって、吐水口11Aから吐水された洗浄水が左側洗浄棚12A、又は右側洗浄棚12Bの伸びる長さの半分以上の区間を先に流れた側である。また、洗浄棚12における下流側とは、左側洗浄棚12A、及び右側洗浄棚12Bの内の他方側である。実施例1において、洗浄棚12における上流側は左側洗浄棚12Aであり、下流側が右側洗浄棚12Bである。
第1境界部10Bは、左側洗浄棚12A、右側洗浄棚12B、及び後側洗浄棚12Cの外周縁に連続して形成されている。第1境界部10Bは、斜め外側下方へ向けて凹んだ曲面で形成されている。立面11は第1境界部10Bの外周縁に連続して立ち上がっている。つまり、立面11は洗浄棚12の外周縁に連続して立ち上がっている。立面11は、上方からの平面視において、前側と後側との曲率が大きく形成されている。ここで、立面11の曲率が大きい前側に囲まれた領域を前部領域Gといい、立面11の曲率が大きい後側に囲まれた空間を後部領域Hという。また、第1境界部10Bは斜め外側下方へ向けて凹んだ曲面で形成されており、洗浄棚12と立面11とを滑らかに繋ぐように形成されている(図3〜6参照。)。第1境界部10Bは、左側洗浄棚12Aに設けられ、左側洗浄棚12Aの外周側に位置して立ち上がる立面11に連続する部分における上下方向の曲率が、右側洗浄棚12Bに設けられ、右側洗浄棚12Bの外周側に位置して立ち上がる立面11に連続する部分における上下方向の曲率より小さい。
また、立面11には吐水口11Aが設けられている。吐水口11Aは水洗式便器1を前方から見て左側であって、立面11の後側に前後方向に開口して設けられている(図1、3〜5参照。)。吐水口11Aは洗浄水を吐水して便鉢部10内に洗浄水を供給する。
膨出部11Bは、後部領域Hの右側の洗浄棚12と立面11とに接続して設けられている。具体的には、膨出部11Bは、便鉢部10を上方から見た平面視において立面11の上端縁の曲率が大きくなる後部領域Hであって、便鉢部10の後側左右中央部よりも上流側である右側の後側洗浄棚12C、及び右側洗浄棚12Bの後端部の外周縁に連続して上側に膨らみ設けられている。膨出部11Bは、斜め外側下方へ向けて凹んだ曲面で形成されており、洗浄棚12と立面11とを滑らかに繋ぐように形成されている。膨出部11Bは、図3〜5に示すように、膨出部11Bの左右両端部から膨出部11Bの左右方向の中央部に向けて上下方向の幅が大きく形成されており、左右両端部に比べて左右方向の中央部が上側に位置している。つまり、膨出部11Bは、便鉢部10の内側から水平方向に見た形状において、上縁が洗浄水が流れる上流端から中央部に向けて徐々に高くなり、中央部から下流端に向けて徐々に低くなっている。
鉢面13は、図1、2に示すように、前側鉢面13A、後側鉢面13B、及び底面13Lを具備している。また、前側鉢面13Aは第1鉢面13C、第2鉢面13D、及び第3鉢面13Eを具備している。
第1鉢面13Cは鉢面13の前側の上部に位置している。第1鉢面13Cの左右両側は、図1に示すように、左側洗浄棚12Aの前端縁及び右側洗浄棚12Bの前端縁に連続している。また、第1鉢面13Cの前側は、図2に示すように、立面11の前端部の下端部に連続している。第1鉢面13Cは斜め外側下方に湾曲して凹んだ凹面である前側凹面13Hを具備している。前側凹面13Hは後側に向かうにつれて下りつつ、後側下方に向かう傾斜が緩やかになっている。
第2鉢面13Dは、図1、2に示すように、前側が第1鉢面13Cの後端部に連続している。また、第2鉢面13Dは左右両側が左側洗浄棚12Aの前側の右端縁、及び右側洗浄棚12Bの前側の左端縁に第2境界部10Cを介して連続し、内向き方向に伸びて形成されている。第2境界部10Cは鉢面13と、洗浄棚12との間に設けられ、斜め上方内側に突出するように形成された曲面であり、鉢面13と、洗浄棚12とを滑らかに繋ぐように形成されている。つまり、鉢面13は上部に第2境界部10Cを介して洗浄棚12の内周縁が連続している。また、右側洗浄棚12Bと、鉢面13との第2境界部10Cは、後側洗浄棚12Cの便鉢部10の後側左右中央部よりも上流側である右側、及び右側洗浄棚12Bの後端部における第2境界部10Cの内側に突出する度合いが、右側洗浄棚12Bの前後方向の中央部における第2境界部10Cの内側に突出する度合いに比べて小さく形成されている(図3、6参照。)。具体的には、右側洗浄棚12Bと、鉢面13との第2境界部10Cは、後側洗浄棚12Cの便鉢部10の後側左右中央部よりも上流側、及び右側洗浄棚12Bの後端部における第2境界部10Cの曲率半径が、便鉢部10の前後方向の中央部の右側洗浄棚12Bにおける第2境界部10Cの曲率半径よりも大きく形成されている(図3、6参照。)。ここで、突出する度合いとは、洗浄棚12と鉢面13とを滑らかに繋ぐ第2境界部10Cにおいて、洗浄棚12と鉢面13との中央が、斜め上方内側に突出する量である。つまり、突出する度合いが大きいとは、洗浄棚12と鉢面13とを滑らかに繋ぐ第2境界部10Cにおいて、洗浄棚12と鉢面13との中央が、斜め上方内側に突出する量が大きいことを意味する。
また、第2鉢面13Dは後側下方に向けた傾斜が第1鉢面13Cに比べて緩やかである。また、第2鉢面13Dは後端部の左右方向の中央部が左右両側に比べて前側に位置している(図1参照。)。
第3鉢面13Eは上端が第2鉢面13Dの後端部の左右方向の中央部に連続して後側下方に垂下して形成されている。第3鉢面13Eは左右方向の中央部が左右両側に比べて前側に位置している(図1参照。)。第3鉢面13Eは、上方から見た平面視において、左右中央が最も前側に位置するように前側に湾曲して形成されており、左右両側に比べて左右中央部の前側に湾曲する曲率が大きい。また、第2鉢面13D及び第3鉢面13Eには、前後方向において上方に湾曲して膨らむ凸面である前側凸面13Kを具備している(図2参照。)。つまり、鉢面13は、第1鉢面13C、第2鉢面13D、及び第3鉢面13Eの左右方向の中央部に上部から下部に向けて前側凹面13Hと前側凸面13Kとが形成されている。
後側鉢面13Bは鉢面13の後部である。後側鉢面13Bは左右方向の中央部が左右両側に比べて後側に位置している。後側鉢面13Bは、上方から見た平面視において、左右中央が最も後側に位置するように湾曲して形成されている。後側鉢面13Bは左側洗浄棚12Aの後側の右端縁、右側洗浄棚12Bの後側の左端縁、及び後側洗浄棚12Cの前端縁に第2境界部10Cを介して連続して内向き方向に傾斜しつつ垂下している。また、後側鉢面13Bの左側の前端は、第2鉢面13Dの左側の後端、及び第3鉢面13Eの左側の後端に連続している。そして、後側鉢面の右側の前端は、第2鉢面13Dの右側の後端、及び第3鉢面13Eの右側の後端に連続している。以降、第3鉢面13Eと後側鉢面13Bの下部とで囲まれた空間を凹部10Dという。つまり、凹部10Dは鉢面13の下部に形成され、鉢面13の上部から連続して設けられている(図2参照。)。
また、図3に示すように、後側鉢面13Bの上端部において、左側が右側よりも内向き方向の傾斜が急である。また、後側鉢面13Bの左側の上下方向の中央部は上下方向で外側に凹んだ第1左側凹面13Fで形成され、右側の上下方向の中央部は上下方向で内側に突出した凸面である右側凸面13Jで形成されている。また、右側凸面13Jは凹部10Dの左右方向の中央部における前後方向の中央部よりも後方に形成されている(図1参照。)。
また、鉢面13には、水平方向の断面形状において、後側鉢面13Bの左側には外側に凹んだ第1左側凹面13F、及び第1左側凹面13Fより前側に内側に突出した左側凸面13Gが形成されている(図8参照。)。また、上下方向の断面形状においても、第1左側凹面13Fが外側に凹んで形成され、左側凸面13Gが内側に突出して形成されている(図3、4参照。)。また、上下方向の断面形状において、鉢面13は、左側凸面13Gの上側に、外側に凹んで形成された第2左側凹面13Pが形成されている(図4参照。)。また、左側凸面13Gは凹部10Dの左右方向の中央部における前後方向の中央部よりも前方に形成されている(図1参照。)。また、鉢面13は、上部における水平方向の断面形状において、右側凸面13Jの前方に外側に凹んだ右側凹面13Mが形成されている(図7参照。)。また、上下方向の断面形状においても、右側凸面13Jは内側に突出して形成され、右側凹面13Mが外側に凹んで形成されている(図3、4参照。)。
底面13Lは、図1に示すように、外周縁の左右両側及び前側が、第3鉢面13Eの下端及び後側鉢面13Bの左右両側の下端に連続して後方向に向けて伸びて形成されている。つまり、底面13Lは凹部10Dの下端に連続して設けられている。底面13Lは後側下方に向けて傾斜している(図2参照。)。また、底面13Lは後端部の左右方向の中央部が後端部の左右両側に比べて前側に位置している。つまり、底面13Lの後端部は、上方から見た平面視において、左右方向の中央部が最も前側に位置するように前側に湾曲して形成されている。また、底面13Lの後部には流入口30Aが形成されている。詳しくは、流入口30Aは底面13Lの後端部及び後側鉢面13Bの下端に連続して形成されている。また、流入口30Aの前後方向の寸法は凹部10Dの左右方向の中央部において、、凹部10Dの前後方向の寸法の半分よりも小さい。実施例1においては、流入口30Aの前後方向の寸法は凹部10Dの左端から右端に亘り、凹部10Dの前後方向の寸法の半分よりも小さい。上方からの平面視において、流入口30Aの面積も、第3鉢面13Eと後側鉢面13Bの下部とで囲まれた空間の面積の半分より小さい。
こうして形成された便鉢部10において、第2鉢面13D及び第3鉢面13Eの前側凸面13Kは、図2に示すように、洗浄棚12より低く、底面13Lより高い位置に位置している。具体的には、第2鉢面13D及び第3鉢面13Eの前側凸面13Kの上下方向の中央部と、洗浄棚12との上下方向の間隔Uよりも第2鉢面13D及び第3鉢面13Eの前側凸面13Kの上下方向の中央部と凹部10Dの底面13Lとの上下方向の間隔Lの方が大きく形成されている。
排水路30は上流端が凹部10Dの底面13Lの後部に形成された流入口30Aに連続している。また、排水路30は後側下方に向けて伸びる下降流路30Bと、下降流路30Bの下流端に連続して後側上方に向けて伸びる上昇流路30Cとを有している。上昇流路30Cの下流端は後方向に開口しており、接続部材(図示せず)の上流端の開口に挿入して接続される。この水洗式便器1は排水路30を設置する場所に設けられた壁面から引き出された排水管に接続部材を介して連通することができる(図示せず。)。
また、図1、2に示すように、水洗式便器1の後部には洗浄水供給口14が設けられている。洗浄水供給口14は水洗式便器1に載置して固定される洗浄タンクの排水口等が挿入される(図示せず。)。洗浄タンクの排水口から洗浄水供給口14に供給された洗浄水は、吐水管を介して立面11に設けられた吐水口11Aから便鉢部10内に吐水される(図示せず。)。
こうして形成された水洗式便器1は、図2に示すように、便鉢部10に溜水部Pを形成することができる。詳しくは、溜水部Pは、凹部10D、底面13L、下降流路30B、及び上昇流路30Cで囲まれた空間に形成される。溜水部Pの溜水面Wは底面13Lより上方に位置している。排水路30は溜水部Pによって、便鉢部10と、設置する場所に設けられた壁面から引き出された排水管とが連通することを遮断するトラップ排水路である。
次に、この水洗式便器1の便鉢部10における洗浄水の流れ方について説明する。
洗浄タンクに貯留された洗浄水が洗浄タンクの排水口から排水される(図示せず。)。すると、洗浄水が吐水管を介して、吐水口11Aから便鉢部10内に吐水される。すると、図9、10に示すように、吐水口11Aから吐水された洗浄水の一部は後側鉢面13Bの後部の左側を流下して凹部10D内の溜水部Pに流入して、第2主流である流れZになる(以降、流れZという。)。つまり、流れZは鉢面13の後部の左側から流下して凹部10Dの後方又は側方から凹部10Dに流入する。また、吐水口11Aから吐水された洗浄水の別の一部は左側洗浄棚12Aの表面を前方向に流れる(以降、流れAという。)。左側洗浄棚12Aは内向き方向に下り傾斜している。これにより、流れAは内向き方向に流れ易くなる。また、左側洗浄棚12Aの棚幅は右側洗浄棚12Bの棚幅より大きい(図3〜5参照。)。これにより、左側洗浄棚12Aは表面を前方向に流れる流れAの水量を確保して、第1鉢面13Cや右側洗浄棚12B等の洗浄に必要な水量の流れAを第1鉢面13Cや右側洗浄棚12B等に流入させることができる。そして、流れAは左側洗浄棚12Aの前側から第1鉢面13Cの左側に流入する。また、左側洗浄棚12Aの棚幅は、所定の棚幅を保ち形成されている(図1参照。)。これにより、左側洗浄棚12Aは表面を前方向に流れる流れAが左側洗浄棚12Aから流下することを適度に抑えることができる。
そして、流れAは、上方から見た平面視において、第1鉢面13Cを反時計方向に旋回して流れて、流れAの一部が第1鉢面13Cの右側から第2鉢面13Dの右側及び第3鉢面13Eの右側を流下して凹部10D内の溜水部Pに流入して、第1主流である流れYになる(以降、流れYという。)。つまり、流れYは、吐水口11Aから吐水された洗浄水が、第1鉢面13Cの右側から流下して凹部10Dの前方から凹部10Dに流入する。
また、右側洗浄棚12Bの前側に到達した流れAの一部は、右側洗浄棚12Bの前側、第1鉢面13Cの右側、第2鉢面13Dの右側、及び第3鉢面13Eの右側を流下して凹部10D内の溜水部Pに流入して、流れVになる(以降、流れVという。)。流れVは右側凹面13Mを流下し、右側凸面13Jに到達すると、流れる方向が下方向に変更される。
また、流れAの別の一部は右側洗浄棚12Bの前側から右側洗浄棚12Bに流入し、右側洗浄棚12Bの表面を後方向に流れる。右側洗浄棚12Bの棚幅は、洗浄水が流れる方向の中央部に比べて上流側である前側が大きく形成され、第1鉢面13Cと滑らかに連続しているため、流れAが第1鉢面13Cの右側から右側洗浄棚12Bの前側に流入し易い。つまり、左側洗浄棚12Aは洗浄棚12を流れる流れAの上流側に位置し、右側洗浄棚12Bは洗浄棚12を流れる流れAの下流側に位置している。
また、右側洗浄棚12Bの表面を後方向に流れる流れAは吐水口11Aから吐出された直後の洗浄水に比べて流れる勢い及び水量が小さい。このため、右側洗浄棚12Bの内向き方向に下り傾斜した傾斜角度を左側洗浄棚12Aの内向き方向に下り傾斜した傾斜角度より小さくすることによって、右側洗浄棚12Bの表面を後方向に流れる流れAを鉢面13に向かい難くしている。これにより、流れAが右側洗浄棚12Bの表面を満遍なく流れて、流れAを右側洗浄棚12Bの後端部に到達することができる。そして、右側洗浄棚12Bの後端部に到達した流れAは後側洗浄棚12Cの右側から後側洗浄棚12Cの表面を左方向に流れて、流れZに合流する。右側洗浄棚12Bは後端部に向かうにつれて棚幅が徐々に小さくなっている。また、右側洗浄棚12Bの下流側である後端部に連続する後側洗浄棚12Cの上流側の棚幅は、便鉢部10の後側左右中央部の棚幅よりも小さく形成されており、便鉢部10の後側左右中央部よりも上流側から後側左右中央部に向けて徐々に棚幅が大きくなる。これにより、後側洗浄棚12Cの表面を左方向に流れる流れAが、後側鉢面13Bに流下することを抑えつつ後側洗浄棚12Cの表面を満遍なく流れ洗浄することができる。また、右側洗浄棚12Bは左側洗浄棚12Aより高い位置に配置されている。このため、左側洗浄棚12Aに比べて洗浄水の流れる勢い及び水量が小さい下流側の洗浄棚12である右側洗浄棚12Bにおいても、左側洗浄棚12Aとほぼ同じ所定の高さまで立面11を洗浄することができる。
右側洗浄棚12Bの後端部に到達した流れAの一部は膨出部11Bの表面に乗り上げて流れることになる。これにより、洗浄棚12を流れる流れAの下流側において、洗浄棚12の上側に位置する立面11を洗浄する範囲を大きくすることができる。つまり、膨出部11Bは、前部領域G又は後部領域Hの内、吐水口11Aから吐水されて洗浄棚12を流れる洗浄水の下流側の後部領域Hであって、右側洗浄棚12B及び便鉢部10の後側左右中央部よりも上流側である右側における後側洗浄棚12Cの外周側に連続する位置に形成されている。
ここで、前部領域G又は後部領域Hの内、前部領域Gの前端部又は後部領域Hの後端部を吐水口11Aから吐水された洗浄水が先に流れた方が上流側であり、後に流れた方が下流側である。実施例1において、前部領域Gが上流側であり、後部領域Hが下流側である。また、膨出部11Bは、上方から見た平面視において、立面11の上端縁の曲率が大きくなる後部領域Hに形成されている。これにより、右側洗浄棚12Bの表面を後方向に流れる流れAは、膨出部11Bが設けられた位置に流れる流れAに係る遠心力が大きくなるため、膨出部11Bの表面に乗り上げて流れ易くなる。また、膨出部11Bは斜め外側下方へ向けて湾曲して凹んだ曲面で形成されている。これにより、流れAは膨出部11Bに小さい抵抗で流入することができ、流れAの勢いが小さくなり難いため、膨出部11Bの表面に乗り上げて、膨出部11Bの表面を良好に流れることができる。また、膨出部11Bを流れる流れAの一部は膨出部11Bを流れることによって内向き方向の流れ(以降、流れDという)になる。これにより、後側鉢面13Bの後側は流れDが流下することによって洗浄することができる。
また、膨出部11Bの上端縁は、便鉢部10の内側から水平方向に見た場合において、洗浄水の上流側から膨出部11Bの左右方向の中央部に向けて徐々に高くなり、膨出部11Bの左右方向の中央部から洗浄水の下流側に向けて徐々に低くなっている。これにより、流れAは膨出部11Bの表面及び膨出部11Bの周囲を乱れることなく流れることができる。
また、後側洗浄棚12Cよりも上流側である右側洗浄棚12Bの後端部の棚幅は、便鉢部10の前後方向の中央部の右側洗浄棚12Bの棚幅より小さい。これにより、流れAが便鉢部10の前後方向の中央部の右側洗浄棚12Bのから後端部に向けて流れると、右側洗浄棚12Bの左端側を流れる流れAが鉢面13に向けて流下する流れになる(以降、流れEという)。さらに、右側洗浄棚12Bの後部に位置する第2境界部10Cの上下方向の曲率半径が、便鉢部10の前後方向の中央部の右側洗浄棚12Bに位置する第2境界部10Cの上下方向の曲率半径よりも大きく形成されており、後側鉢面13Bの右側には右側凸面13Jが形成されている。これにより、流れEの下方向へ向かう勢いを小さく抑えることができるため、流れEが後側鉢面13Bの後側に到達し易くなる。これにより、後側鉢面13Bの後側に流れEを流下させることができるため、後側鉢面13Bの後側が流れEによっても洗浄することができる。また、右側凸面13Jは凹部10Dの左右方向の中央部における前後方向の中央部よりも後方に形成されている。これにより、流れEをより後側鉢面13Bの後側に到達させ易くなる。このため、後側鉢面13Bの後側に流れEをより多く流下させることができるため、後側鉢面13Bの後側をより良好に洗浄することができる。
吐水口11Aから吐水され、左側洗浄棚12Aの表面を前方向に流れる流れAは、左側洗浄棚12Aが内向き方向に下り傾斜しているため、鉢面13に向かう方向に流れ易くなる。これにより、左側洗浄棚12Aの表面を前方向に流れる流れAの一部は鉢面13の左側を流下する流れ(以降、流れBという)になる。流れBは鉢面13の後部の左側から流下して凹部10Dの後方又は側方から凹部10Dに流入する第2主流である。そして、流れBの一部である流れB0は鉢面13の第1左側凹面13Fを流下しつつ前方向に流れる。また、左側洗浄棚12Aの表面の左側を前方向に流れる流れAは左側洗浄棚12Aと立面11との間の第1境界部10Bの表面に乗り上げながら流れることになる。左側洗浄棚12Aと、左側洗浄棚12Aの外周側に位置して立ち上がる立面11との第1境界部10Bにおける上下方向の曲率は、右側洗浄棚12Bと、右側洗浄棚12Bの外周側に位置して立ち上がる立面11との第1境界部10Bにおける上下方向の曲率より小さい。これにより、左側洗浄棚12Aと、左側洗浄棚12Aの外周側に位置して立ち上がる立面11との第1境界部10Bの表面を流れる流れAは第1境界部10Bを流下することによって、内向き方向の流れ(以降、流れCという)を形成する。
後側鉢面13Bの上端部において、左側が右側よりも内向き方向の傾斜が急であり、第1左側凹面13Fは便鉢部10の外側に凹んで形成されているため、第1左側凹面13Fの上部である後側鉢面13Bの上端部の左側を流下する流れB0は下方向に流れる勢いが大きくなる。これにより、後側鉢面13Bの左側は流れB0が流下することによって洗浄することができる。また、後側鉢面13Bの上端部の左側、及び第1左側凹面13Fを流下する流れB0は下方向に流れる勢いが大きくなるため、溜水部Pの左側に流入し、溜水部Pの洗浄水や汚物等を攪拌する。さらに、第1左側凹面13Fは凹部10Dの左右方向の中央部における前後方向の中央部よりも後方に形成されている。これにより、後側鉢面13Bのより後側において、吐水口11Aから吐水された洗浄水の一部を吐水口11Aから吐水されて直に後側鉢面13Bに流下させることができる。つまり、流れB0をより後側鉢面13Bの後側に近い位置で流下させることができる。
また、第1左側凹面13Fを流下する流れBの一部である流れB1は前方向に流れつつ第1左側凹面13Fの前側に形成された左側凸面13Gに到達する。すると、左側凸面13Gに到達した流れB1は左側凸面13Gに衝突することで前方向に向かう勢いが小さくなる。このため、左側凸面13Gに到達した流れB1は、左側凸面13Gを下方向に流下して溜水部Pの左側に流入し、溜水部Pの洗浄水や汚物等を攪拌する。また、左側凸面13Gに到達した流れBの一部である流れB2は、第3鉢面13Eの左側から第3鉢面13Eに流入し、第3鉢面を右方向に流れて凹部10Dに流入する。
また、流れBの一部である流れB3は左側凸面13Gの上側の第2左側凹面13Pを前方向に流れる。すると、第2左側凹面13Pを前方向に流れる流れB3は第2鉢面13Dの左側に案内されて第2鉢面13Dの左側から第2鉢面13Dを前方向に流れる。つまり、第2左側凹面13Pを流れる流れB3は前方向に向かう勢いが小さくなることが抑えられて第2鉢面13Dの左側から第2鉢面13Dを前方向に流れることができる。また、左側凸面13G及び第2左側凹面13Pは凹部10Dの左右方向の中央部における前後方向の中央部よりも前方に形成されている。これにより、左側凸面13Gに衝突する流れB1,B2は凹部10Dに向けて流れ、第2左側凹面13Pを前方向に流れる流れB3は第2鉢面13Dの左側により良好に案内されて第2鉢面13Dを前方向に流れることができる。そして、第2鉢面13Dの左側から第2鉢面13Dに流入した流れB3、及び流れBの一部である流れB4は、第2鉢面13Dの前側を反時計方向に旋回しつつ流れて、流れYに合流する。
また、図10に示すように、凹部10Dの溜水部Pに流入する流れYの一部は底面13Lに衝突する(以降、流れY1という)。すると、流れY1は流れる方向が後側上方に変更されて後側鉢面13Bに向けて流れる。つまり、第1主流である流れYの一部である流れY1は吐水口11Aから吐水された洗浄水が、鉢面13を流下して凹部10Dの前方から凹部10Dに流入し、底面13Lに衝突して凹部10Dの後面に向けて跳ねる。そして、流れY1は、上方から見た平面視において、溜水部P内で凹部10Dの後方又は側方から凹部10Dに流入する流れZ,Bと共に、溜水部Pを反時計方向に旋回する旋回流Xを形成する(図9参照。)。流れZは後方又は側方から凹部10Dに流入すると、第3鉢面13Eに沿って横方向である反時計方向に旋回することになる。第3鉢面13Eは、上方からの平面視において、従来の便器に比べて左右中央部の前側に湾曲する曲率半径が大きく形成されている。これにより、流れZをより旋回し易くすることができる。つまり、第2主流である流れZ,Bは第1主流である流れYと合流する。これにより、鉢面13の表面側の溜水面Wの位置が上昇するため、溜水部P、及び溜水部Pより上側の鉢面13を洗浄することができる。このときの溜水面Wは第1左側凹面13Fの下端部13Nの位置とほぼ同じ位置まで上昇する(図3参照。)。また、流れYの別の一部は流入口30Aを介して排水路30に直接流入する流れY2を形成する(以降、流れY2という。)。
また、流入口30Aの前後方向の寸法は凹部10Dの左右方向の中央部において、前後方向の寸法の半分よりも小さい。実施例1においては、流入口30Aの前後方向の寸法は凹部10Dの左端から右端に亘り、凹部10Dの前後方向の寸法の半分よりも小さい。上方からの平面視において、流入口30Aの面積も、第3鉢面13Eと後側鉢面13Bの下部とで囲まれた空間の面積の半分より小さい。これにより、溜水部Pに流入する洗浄水の全てが直ちに排水路30に流入することなく凹部10D内に留めることができ、溜水部Pの鉢面13の表面側の溜水面Wの位置を上昇させることができるため、凹部10Dのより広い範囲を洗浄することができる。
また、第2鉢面13D及び第3鉢面13Eの前側凸面13Kの上下方向の中央部と、洗浄棚12との上下方向の間隔Uよりも第2鉢面13D及び第3鉢面13Eの前側凸面13Kの上下方向の中央部と凹部10Dの底面13Lとの上下方向の間隔Lの方が大きく形成されている(図2参照。)。つまり、前側凸面13Kの上下方向の位置を洗浄棚12の位置に近づけることによって、前側凸面13Kと底面13Lとの間隔がより大きくなる。これにより、流れYが溜水部Pに流入する勢いをより大きくすることができる。このため、流れY1の流れる勢いが大きくなり、底面13Lに衝突して跳ねて、後側上方に変更された流れの勢いをより大きくすることができるため、より良好に溜水部P、及び溜水部Pより上側の鉢面13を洗浄することができる。また、流れY2の勢いもより大きくすることができるため、より良好に汚物を排水路30に排出することができる。
また、後側鉢面13Bの左側や左側凸面13Gを下方向に流下して溜水部Pの左側に流入する流れB0,B1は、底面13Lに到達すると、底面13Lの表面を右方向に流れることになる。これにより、後側鉢面13Bの左側や左側凸面13Gを下方向に流下して溜水部Pの左側に流入する流れB0,B1は旋回流Xの下側の流れを崩して、旋回流Xの下側の流れを流れY2に合流させることができる。これにより、旋回流Xと共に旋回する汚物等を流れY2に合流させて、汚物等を排水路30に押し込んで良好に排出することができる。また、流れB0,B1の内、底面13Lの前側に到達し右方向に流れる流れは、凹部10D内において、反時計方向に旋回する旋回流Xを形成する(図9参照。)。
また、この水洗式便器1は左側洗浄棚12Aの上流側に対応する位置の鉢面13に第1左側凹面13Fを形成し、下流側に対応する位置の鉢面13に左側凸面13Gに形成している。これにより、第1左側凹面13Fを流れて左側凸面13Gに到達した洗浄水は、凹部10Dに向けて流下し易くなり、良好に洗浄水や汚物等の排出することができる。また、左側凸面13Gの上側を前方向に流れる洗浄水を鉢面13に旋回して流し易くして、良好に鉢を洗浄することができる。そして、右側洗浄棚12Bの上流側に対応する位置の鉢面13に右側凹面13Mを形成し、下流側に対応する位置の鉢面13に右側凸面13Jを形成している。これにより、右側凹面13Mを流れて右側凸面13Jに到達した洗浄水は、凹部10Dに向けて流下し易くなり、良好に洗浄水や汚物等の排出することができる。また、右側凸面13Jの上側を後方向に流れる洗浄水を鉢面に旋回して流し易くして、良好に鉢を洗浄することができる。つまり、この水洗式便器1は、左側洗浄棚12A及び右側洗浄棚12Bのそれぞれの上流側に対応する位置の鉢面13に凹面(第1左側凹面13F、右側凹面13M)を形成し、下流側に対応する位置の鉢面13に凸面(左側凸面13G、右側凸面13J)を形成している。これにより、この水洗式便器1は、鉢面13の左側、及び右側のそれぞれにおいて、凹面(第1左側凹面13F、右側凹面13M)を流れて凸面(左側凸面13G、右側凸面13J)に到達した洗浄水を凹部10Dに向けて流下し易くして、良好に洗浄水や汚物等の排出することができ、凸面(左側凸面13G、右側凸面13J)の上側を流れる洗浄水を鉢面13に流し易くして、良好に鉢を洗浄することができる。
このように、この水洗式便器1は、凹部10D内の溜水面Wの位置が上昇し、凹部10Dのより広い範囲を洗浄することができる。
したがって、本発明の水洗式便器1は、便鉢部10の表面を良好に洗浄することができる。
また、この水洗式便器1は凹部10Dの後方又は側方から凹部10Dに流入して、凹部10D内で反時計方向に旋回し、流れYと合流する流れZを形成する。このため、この水洗式便器1は、流れZが凹部10D内で流れYと合流することによって、凹部10D内で形成される旋回流Xの勢いをより大きくすることができる。これにより、凹部10D内の洗浄水の水面の高さをより上昇させることができるため、凹部10Dのより広い範囲を洗浄することができる。
また、この水洗式便器1の流入口30Aの前後方向の寸法は、凹部10Dの左右方向の中央部において凹部10Dの前後方向の寸法の半分よりも小さい。このため、この水洗式便器1は凹部10Dに流入する洗浄水の全てが直ちに排水路30に流入することなく凹部10D内に留めることができ、凹部10D内の洗浄水の水面の高さを上昇させることができるため、凹部10Dのより広い範囲を洗浄することができる。
また、この水洗式便器1の便鉢部10は、鉢面13の上部に連続し、吐水口11Aから吐水された洗浄水が流れる洗浄棚12を有しており、鉢面13は、前部の左右方向の中央部に上部から下部に向けて前側凹面13Hと前側凸面13Kとが形成されており、前側凸面13Kの上下方向の中央部と洗浄棚12との上下方向の間隔よりも前側凸面13Kの上下方向の中央部と凹部10Dの底面13Lとの上下方向の間隔の方が大きくなっている。このため、この水洗式便器1は洗浄水が凹部10Dに流入する勢いをより大きくすることができる。このため、洗浄水の流れる勢いが大きくなり、凹部10D内に形成される旋回流Xの旋回する勢いをより大きくすることができるため、凹部10D内のさらに広い範囲を洗浄することができる。
また、この水洗式便器1の流れYの一部である流れY2は排水路30に直接流入する流れを形成する。このため、この水洗式便器1は排水路30に直接流入する流れY2によって汚物等を良好に排出することができる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例1に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1では、流入口の前後方向の寸法を凹部の前後方向の寸法の半分よりも小さくしているが、流入口の前後方向の寸法を凹部の前後方向の寸法の半分よりも大きくしてもよい。
(2)実施例1では、左側洗浄棚の前側と右側洗浄棚の前側とが離れて形成されているが、左側洗浄棚の前側と右側洗浄棚の前側とを連続して形成してもよい。
(3)実施例1では、洗浄水を貯留する洗浄タンクを例示したが、洗浄タンクを設けず、給水源から開閉弁を介して洗浄水を直接吐水してもよい。
(4)実施例1では、吐水管を介して立面に設けられた吐水口から便鉢部内に吐水されることを例示したが、吐水管を設けず、洗浄タンクから直接吐水口まで導水してもよい。
(5)実施例1では、立面が、第1境界部を介して洗浄棚の外周縁に連続して立ち上がっているが、上方からの平面視において、立面が洗浄棚を覆うように形成されていてもよい。
(6)実施例1では、吐水口が水洗式便器を前端側から見て左側であって、立面の後側に前後方向に開口して設けられているが、立面の右側や前側に設けられていてもよい。また、吐水口を2つ以上設けてもよい。
(7)実施例1では、左側洗浄棚の前側と右側洗浄棚の前側との間に鉢面が形成されているが、左側洗浄棚の前側と右側洗浄棚の前側とを洗浄棚で連続して形成してもよい。
10…便鉢部
10D…凹部
11A…吐水口
12…洗浄棚
13…鉢面
13H…前側凹面(凹面)
13K…前側凸面(凸面)
13L…底面
30…排水路
30A…流入口
Y1…流れ(第1主流)
Y2…流れ(排水路に直接流入する流れ)
Z,B…流れ(第2主流)

Claims (4)

  1. 鉢面と、
    前記鉢面の下部に形成され、底面を具備した凹部と、
    前記鉢面に洗浄水を供給する吐水口と、
    を有した便鉢部、
    及び前記凹部の前記底面の後部に形成された流入口に連続した排水路を備えた水洗式便器であって、
    前記流入口は、前記底面の後端部に連続して形成され、
    前記流入口の前後方向の寸法は、前記凹部の左右方向の中央部において前記凹部の前後方向の寸法の半分よりも小さく、
    前記吐水口から吐水された洗浄水が、前記鉢面を流下して前記凹部の前方から前記凹部に流入し、前記底面に衝突して前記凹部の後側上方に向けて流れた後、上方から見た平面視において、前記凹部に形成された溜水部内で前記凹部の後方又は側方から前記凹部に流入する流れと共に、前記溜水部を反時計方向に旋回する旋回流を形成する第1主流を形成し、前記凹部の洗浄水の水面の位置を上昇させることを特徴とする水洗式便器。
  2. 前記凹部の後方又は側方から前記凹部に流入して、前記凹部内で横方向に旋回し、前記第1主流と合流する第2主流を形成することを特徴とする請求項1に記載の水洗式便器。
  3. 前記便鉢部は、前記鉢面の上部に連続し、前記吐水口から吐水された洗浄水が流れる洗浄棚を有しており、
    前記鉢面は、前部の左右方向の中央部に上部から下部に向けて凹面と凸面とが形成されており、
    前記凸面の上下方向の中央部と前記洗浄棚との上下方向の間隔よりも前記凸面の上下方向の中央部と前記凹部の前記底面との上下方向の間隔の方が大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の水洗式便器。
  4. 前記第1主流の一部は前記排水路に直接流入する流れを形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水洗式便器。
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