JP6919153B2 - 水洗大便器 - Google Patents
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Description
より具体的には、特許文献1に示すような従来の特許文献におけるボウル部の前部においては、棚部は、ボウル部の前面の内周面から内方に水平に突出するように形成されている。このような棚部に小水が斜め上方から落下して衝突する場合、突出した棚部が小水を跳ね返すように機能してしまい、衝突後の小水が棚部の上方、上方外側、使用者側等に飛び散るように跳ね返りやすいという問題が生じる。
ボウル部の前部において、このような鉛直方向に立ち上がるように形成されたリム部を採用しようとすると、リム部がオーバーハング形状に形成されていないため、使用者の小水が、ボウル部の上方側及び/又はボウル部の外側に跳ね返り、ボウル部の上方に座っている使用者自身に跳ね返ってくること、及びリム部の上端からボウル部の外側に飛散する又は溢れ出てしまうことが、特に顕著な問題となる。
このように構成された本発明においては、使用者の小水が当たりやすいボウル部の前部領域において、内方に突出する部分、例えば棚状の突出部分が形成されておらず、汚物受け面の上部の水平方向における第1の弧状の内面の曲率R1と、鉛直方向に立ち上がるリム部の下部の内周面と汚物受け面とにより形成される垂直方向における第2の弧状の内面の曲率R2の比が、1:3〜3:1の範囲の比となっており、水平方向及び垂直方向のいずれにおいても同様に内側が凹むように形成されている弧状の内面が、ボウル部の内面に衝突する小水の跳ね返りを比較的抑制することができる。従って、使用者の小水が、ボウル部の上方側及び/又はボウル部の外側に跳ね返り、ボウル部の上方に座っている使用者自身に跳ね返ってくること、及びリム部からボウル部の外側に飛散する又は流出することを抑制することができる。
このように構成された本発明においては、便座に座った状態で用を足す使用者の小水が当たりやすいボウル部の前部領域は、原点を中心とする中心角20度以上100度以下の範囲の領域に形成されている。このようなボウル部の前部領域において、内方に突出する部分、例えば棚状の突出部分が形成されておらず、水平方向及び垂直方向のいずれにおいても同様に内側が凹むように形成されている弧状の内面が、ボウル部の内面に衝突する小水の跳ね返りを比較的抑制することができる。従って、使用者の小水が、ボウル部の上方側及び/又はボウル部の外側に跳ね返り、ボウル部の上方に座っている使用者自身に跳ね返ってくること、及びリム部からボウル部の外側に飛散する又は流出することを抑制することができる。
このように構成された本発明においては、使用者の小水が当たりやすいボウル部の前部領域において、内方に突出する部分、例えば棚状の突出部分が形成されておらず、第1の弧状の内面の曲率R1と、第2の弧状の内面の曲率R2とが、同一に形成され、より確実に、ボウル部の内面に衝突する小水の跳ね返りを抑制することができる。従って、より確実に、使用者の小水が、ボウル部の上方側及び/又はボウル部の外側に跳ね返り、ボウル部の上方に座っている使用者自身に跳ね返ってくること、及びリム部からボウル部の外側に飛散する又は流出することを抑制することができる。
このように構成された本発明においては、リム内壁上部傾斜面の水平方向の幅がリム外壁上部傾斜面の水平方向の幅よりも大きく形成され、汚物受け面の上部が外側に広がるように視認される使用者の視認性を向上させ及び使用者のリム部の清掃性を向上させようとする場合において、リム内壁部のうち、ボウル部の前部領域において、リム内壁部の上部にリム内壁上部傾斜面が形成されるため、リム部のほぼ鉛直方向に立ち上がる内周面の上部の高さが比較的低い高さに形成され、その分、小水がボウル部の外側に飛散する又は流出しやすくなる。本発明は、このようなリム内壁上部傾斜面を有するようなリム部を備えた水洗大便器においても、水平方向及び垂直方向のいずれにおいても同様に内側が凹むように形成されている弧状の内面が、ボウル部の内面に衝突する小水の跳ね返りを比較的抑制することができる。従って、使用者の小水が、ボウル部の上方側及び/又はボウル部の外側に跳ね返り、ボウル部の上方に座っている使用者自身に跳ね返ってくること、及びリム部からボウル部の外側に飛散する又は流出することを抑制することができる。
先ず、図1乃至図3により、本発明の第1実施形態による水洗大便器の構造を説明する。ここで、図1は本発明の第1実施形態による水洗大便器において、便座及び給水装置の一部を取り外した状態を示す平面図であり、図2は、本発明の第1実施形態による水洗大便器の便器本体の内部を中央断面に沿って示す中央断面図であり、図3は図1のIII−III線に沿って見た断面図である。以下、本発明の実施形態における説明において、便器本体2を便器本体2を使用する使用者側から見て手前側を前方側とし、使用者から見て奥側を後方側とし、便器本体2を前方から見て右側を右側とし、前方から見て左側を左側として説明している。
ジェット吐水口10は、ボウル部6の底部に形成されており、排水トラップ管路8の入口に指向してほぼ水平に配置され、洗浄水を排水トラップ管路8に向けて吐出するようになっている。
なお、本実施形態においては、便器本体2にジェット吐水口10が形成されているが、本発明はこのような形態に限定されるものではなく、例えば、ジェット吐水口とリム吐水口の内、ジェット吐水口が形成されずリム吐水口のみが形成されてもよい。
なお、水洗大便器1の給水装置4は、ハイブリッド式の給水装置以外にも適用可能である。例えば、水道の水圧を利用して給水する水道直圧式の給水装置のみを備えている水道直圧式の水洗大便器や、重力給水式の貯水タンクを備えたタンク式の水洗大便器や、フラッシュバルブ式のものや、ポンプの補圧を利用して洗浄水を供給するものであってもよい。また、アキュムレーター等を用いて便器に洗浄水を供給するタイプの給水装置であってもよい。
ボウル部6には、ボウル部6の全周の上方外側に形成されたリム部16の内側にボウル開口7が形成されている。
リム吐水口12は、洗浄水をボウル部6の前方側領域から前方に吐水し、ボウル部6の前部領域6aに向かう流れを形成し、さらにボウル部6の前部領域6aから折り返して、ボウル部6のリム吐水口12と反対側の棚部18上を、後方側に向かう流れを形成するようになっている。
リム部16は、リム部16の内周面を形成し且つ汚物受け面14の上端14aから便器本体2の頂部までの全部又は一部がほぼ鉛直方向に立ち上がるように立壁状に形成されているリム内壁部(内周面)26と、このリム部16の上面を形成するリム上面部28と、リム部16の外周面を形成し且つ便器本体2の外面上をリム上面部28まで立ち上がるように立壁状に形成されているリム外壁部30と、を備えている。
また、リム内壁部26がほぼ鉛直方向に立ち上がるように形成されている場合には、高さ方向において、リム内壁部26の一部がほぼ鉛直方向に立ち上がるように形成されている場合を含んでいる。
棚部18は、ボウル部6のうち、ボウル部6の前部領域6a以外の部分、すなわち、ボウル部6の前部領域6aより後方側の右側領域6b及び左側領域6c並びに後部領域6dにおいて形成されている。従って、リム吐水口12から吐水された洗浄水が、ボウル部6の前部領域6aを通過した後、右側領域6bの棚部18から、後部領域6dの棚部18上を流れ、左側領域6cの棚部18まで旋回するように流れやすくなっている。後述するように、ボウル部6の前部領域6aにおいては、棚部18は形成されていない。このように、ボウル部6の前部領域6aにおいて棚部18が形成されていない場合においても、洗浄水が、汚物受け面14の上縁の棚部18上を旋回するように流れやすく形成されるので、棚部18から流下する洗浄水が汚物受け面14上に旋回流を形成しやすくなり、汚物受け面14を満遍なく洗い流すことができる。
このように、棚部18は、リム吐水口12から吐水された洗浄水を、汚物受け面14全体を周回するように旋回流を形成させる機能を果たしている。本実施形態においては、ボウル部6の前部領域6aにおいて、棚部18を形成せずに汚物受け面14の第1の弧状の内面32を形成し、ボウル部6の前部領域6a以外の領域において棚部18を形成することにより、リム吐水口12から吐水された洗浄水を、汚物受け面14全体を周回するように旋回流を形成させることができる。
ボウル部6の前部領域6aは、ボウル部6のボウル開口7を左右に二等分する前後方向軸線A1と、ボウル開口7を前後に二等分する左右方向軸線A2との交点を原点(中心点)Cとし、この原点Cを中心とする中心角20度以上100度以下の範囲、且つ前後方向軸線A1に対して左右対称な範囲の角度範囲領域D内の領域に形成されている。
第1の弧状の内面32は、前後方向軸線A1を中心に左右対称に形成され、その右側端部32a及び左側端部32bが、原点Cを中心とする中心角20度以上100度以下の範囲の角度領域D内に位置するように形成されている。
従って、第1の弧状の内面32は、立った状態及び座った状態で用を足す使用者の小水がボウル部6に比較的衝突しやすいとされる領域のうち、特に座った状態で用を足す使用者の小水がボウル部6に比較的衝突しやすいとされる領域、すなわち原点Cを中心とする中心角20度以上100度以下の範囲の角度領域D内に位置する。従って、多くの小水が第1の弧状の内面32に衝突した際に、所定の大きさの曲率半径を有する弧の内側(ボウル部6の内側)に向かって流れ落ちやすくされ、使用者やボウル部6の外方に向かって跳ね返ることや、使用者の小水がリム部に沿って上昇しリム部の上端からボウル部の外側に溢れるように流れ出てしまうことが抑制される。
また、第1の弧状の内面32は、上述するように所定の曲率を有し且つ内方に突出する部分(例えば流路を遮るような凸部)が形成されていないことから、棚部18の形成されていない前部領域6aにおいて、棚部18と棚部18との間の切れ目の領域を一定の弧状の曲面で接続し、上流側の棚部18から流入する洗浄水の旋回しようとする流れを比較的維持した状態で、下流側の棚部18に引き継がせ、旋回させる流れを形成させることができる。
第2の弧状の内面34は、前後方向軸線A1上に形成されている。第2の弧状の内面34は、リム上面部28から140mmまでの高さの範囲内に形成され、より好ましくはリム上面部28から120mmまでの高さの範囲内に形成されている。
また、第2の弧状の内面34は、前部領域6a近傍における棚部18の高さから、第2の弧状の内面34の上端34aが棚部18より上方に80mmまでの高さ、より好ましくは棚部18より上方に50mmまでの高さの範囲に形成されている。また、第2の弧状の内面34の下端34bが棚部18より下方に80mmまでの高さ、より好ましくは棚部18より下方に30mmまでの高さの範囲に形成されている。
本発明の水洗大便器は、第1の弧状の内面32と、第2の弧状の内面34とを有していれば、ボウル部の内面に衝突する小水の跳ね返りを抑制することができるが、さらに、第1の弧状の内面32の曲率R1と、第2の弧状の内面34の曲率R2とが、上述の所定の比の範囲内の関係を有しているようなさまざまな形状の水洗大便器に適用した場合に、より確実に、ボウル部の内面に衝突する小水の跳ね返りを抑制することができる。
第2実施形態は、本発明の第1実施形態による水洗大便器1の便器本体2のリム部16の形状を、本発明の第2実施形態による水洗大便器101においては、リム部16の上部に傾斜面を形成した形状とした例である。
図5は、本発明の第2実施形態による水洗大便器の便器本体のリム部の変形例を示す、便器本体の内部を中央断面に沿って示す中央断面図であり、図6は図5のボウル部の前部のリム部の中央断面を拡大して示す断面図である。第2実施形態による水洗大便器は、上述した第1実施形態による水洗大便器と構造がほぼ同じであるため、ここでは、第2実施形態の第1実施形態とは異なる部分等を説明する。
また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、ボウル部6の前部領域6aにおいて、水平方向においては、汚物受け面14の上端14a近傍の水平方向における第1の弧状の内面32が形成されている。また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、ボウル部6の前部領域6aにおいて、ほぼ鉛直方向に立ち上がるリム内壁部126の上部の鉛直部126aから下方側のリム部116のリム内壁部126と汚物受け面14とにより球面状の曲面が形成されている。
このような場合においても、リム内壁上部傾斜面126b及び鉛直部126aの下方側に配置された、第2の弧状の内面34及び第1の弧状の内面32により、ボウル部6の内面に衝突する小水の跳ね返りを比較的抑制し、さらに、小水の跳ね返りをボウル部6の外側方向又は上部方向に向かいにくくするように比較的抑制することができる。従って、使用者の小水が、ボウル部6の上方に座っている使用者自身に跳ね返ってくること、及びリム部116の上端からボウル部6の外側に流出してしまうことを抑制することができる。
2 便器本体
4 給水装置
6 ボウル部
6a 前部領域
6b 右側領域
6c 左側領域
6d 後部領域
7 ボウル開口
8 排水トラップ管路
8a 入口部
8b トラップ上昇管
8c トラップ下降管
10 ジェット吐水口
12 リム吐水口
14 汚物受け面
14a 上端
16 リム部
18 棚部
20 溜水部
22 導水路
22a 入口部
24 リム側給水路
26 リム内壁部
26a 鉛直部
28 リム上面部
30 リム外壁部
32 第1の弧状の内面
32a 右側端部
32b 左側端部
34 第2の弧状の内面
34a 上端
34b 下端
35 第2の弧状の内面
101 水洗大便器
102 便器本体
116 リム部
126 リム内壁部
126a 鉛直部
126b リム内壁上部傾斜面
128 リム上面部
130 リム外壁部
130a リム外壁上部傾斜面
A1 前後方向軸線
A2 左右方向軸線
C 原点
D 角度領域
R1 曲率
R2 曲率
R3 曲率
W0 溜水面
W1 幅
W2 幅
Claims (4)
- 洗浄水源から供給される洗浄水により便器本体を洗浄して汚物を排出する水洗大便器であって、
ボウル形状の汚物受け面と、この汚物受け面の上縁部に形成されたリム部と、を備えたボウル部と、
このボウル部の下方に入口が接続され汚物を排出する排水路と、
上記ボウル部に洗浄水を吐水して旋回流を形成する吐水部と、
上記吐水部に洗浄水を供給する導水路と、
上記導水路に洗浄水を供給する給水装置と、を有し、
上記ボウル部は、前部領域と、この前部領域よりも後方側の左側領域及び右側領域と、後部領域とを備えており、上面視において、上記左側領域及び上記右側領域における曲率半径が、上記前部領域の曲率半径よりも大きく形成され、
上記ボウル部の上記左側領域及び上記右側領域及び上記後部領域は、上記汚物受け面と上記リム部との間に形成された棚部を備え、
上記リム部は、上記ボウル部の上記前部領域において、オーバーハングすることなく鉛直方向又は前方に向けて立ち上がるリム内壁部を備えており、
上記ボウル部の上記前部領域において、少なくとも上記前部領域の前端部には上記棚部は形成されず、上記棚部と同じ高さ位置に水平方向に延びる円弧を形成する第1の弧状の内面の曲率R1と、上記第1の弧状の内面の前端部と交差するように上記リム内壁部の内周面と上記汚物受け面とによって垂直方向における円弧を形成する第2の弧状の内面の曲率R2とが形成され、
上記第1の弧状の内面の曲率R1と上記第2の弧状の内面の曲率R2との比が、1:3〜3:1の範囲の比となっていることを特徴とする水洗大便器。 - 上記ボウル部の上記前部領域は、上記ボウル部のボウル開口を左右に二等分する前後方向軸線と、上記ボウル開口を前後に二等分する左右方向軸線との交点を原点とし、この原点を中心とする中心角20度以上100度以下の範囲の領域に形成されている請求項1に記載の水洗大便器。
- 上記ボウル部の上記前部領域において、上記第1の弧状の内面の曲率R1と、上記第2の弧状の内面の曲率R2とが、同一に形成されている請求項1又は2に記載の水洗大便器。
- 上記リム部は、このリム部の上面を形成するリム上面部と、上記リム部の外周を形成するリム外壁部と、上記リム部の内周を形成する上記リム内壁部と、を備え、
上記リム外壁部は、上記ボウル部の上記前部領域において、上記リム外壁部の上部領域の外側が下方に傾斜するリム外壁上部傾斜面を有し、
上記リム内壁部は、上記ボウル部の上記前部領域において、上記リム内壁部の上部領域の内側が下方に傾斜するリム内壁上部傾斜面を有し、
上記リム内壁上部傾斜面の水平方向の幅は上記リム外壁上部傾斜面の水平方向の幅よりも大きく形成されている、請求項1乃至3の何れか1項に記載の水洗大便器。
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