WO2015097883A1 - ファスナーチェーンのスペース作成方法及びその装置 - Google Patents

Abstract

ファスナーエレメントの脚部の表裏面に被覆帯が当接したファスナーチェーンにスペースを作成する方法とする。 ファスナーチェーン（１）の被覆帯（５）の連結部側縁（５ｃ）を起立状に変位してファスナーエレメント（４）の脚部（４ｂ）の表裏面と離隔し、その状態でグリッパー（４０）はファスナーエレメント（４）の脚部（４ｂ）を把持する。この状態でファスナーエレメント（４）の噛合頭部（４ａ）をダイ（２０）とパンチ（３０）で切断し、グリッパー（４０）をファスナーエレメント（４）と離れる方向に移動することで、グリッパー（４０）で把持した残りのファスナーエレメント（４－１）をファスナーチェーン（１）から引き抜き、ファスナーチェーン（１）にスペース（７）を作成する方法。

Description

ファスナーチェーンのスペース作成方法及びその装置

　本発明は、スライドファスナーの連続した長尺のファスナーチェーンに、ファスナーエレメントが除去されたスペースを所定間隔で作成する方法及び、その連続した長尺のファスナーチェーンにスペースを作成する装置に関する。

　スライドファスナーの連続した長尺のファスナーチェーンにスペースを作成する方法が特許文献１に開示されている。
　このファスナーチェーンのスペース作成方法は、ファスナーテープの一側縁に縫糸で縫着したファスナーエレメントの脚部をクリッパーで把持する。その状態でファスナーエレメントの噛合部をパンチとダイで切断する。次いで、グリッパーをファスナーエレメントと離れる方向に移動してファスナーエレメントの脚部を縫糸より引き抜き、ファスナーチェーンにファスナーエレメントを除去したスペースを作成する。

　スライドファスナーのファスナーチェーンが特許文献２に開示されている。
　このファスナーチェーンは、ファスナーテープの一側縁に、ファスナーエレメントの脚部と小幅の被覆帯が縫糸で縫着された２つのファスナーストリンガを有する。２つのファスナーストリンガのファスナーエレメントの噛合頭部を噛合してファスナーチェーンとしている。

実開昭４８－３２２０３号公報 特開昭５４－３１３３４号公報

　特許文献２に開示されたファスナーチェーンは、ファスナーエレメントの脚部の表裏面に小幅の被覆帯が当接している。
　このために、特許文献２に開示されたファスナーチェーンに、特許文献１に開示されたファスナーチェーンのスペース作成方法でスペースを作成できない。
　つまり、グリッパーがファスナーエレメントの脚部を把持する際に、グリッパーは小幅の被覆帯を把持し、被覆帯は長手方向に連続しているので、被覆帯を把持したグリッパーをファスナーエレメントと離れる方向に移動してもファスナーエレメントの噛合頭部を切断した残りのファスナーエレメントをファスナーテープと被覆帯との間から引き抜きできない。
　したがって、ファスナーチェーンにスペースを作成できない。

　本発明は、前述の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ファスナーエレメントの脚部の表裏面に被覆帯を当接したファスナーチェーンにスペースを作成できるようにしたファスナーチェーンのスペース作成方法及びその装置とすることである。

　本発明のファスナーチェーンのスペース作成方法は、ファスナーテープ３に、ファスナーエレメント４を、縫糸６で縫着し、ファスナーエレメント４の表裏面に被覆帯５が当接したファスナーチェーン１に、スペース７を作成する方法であって、
　前記ファスナーエレメント４は、噛合頭部４ａと、噛合頭部４ａからファスナーテープ３の幅方向に延びた脚部４ｂと、ファスナーテープ３の長さ方向に隣接した脚部４ｂ同士を連結する連結部４ｃを有し、
　前記被覆帯５の連結部側縁５ｃを起立状に変位し、被覆帯５の連結部側縁５ｃをファスナーエレメント４の脚部４ｂの表裏面と離隔し、その状態でファスナーエレメント４の脚部４ｂのスペース７を作成する部分を、グリッパー４０が、スペース７の長さに合わせて把持する工程と、
　前記ファスナーエレメント４の噛合頭部４ａのスペース７を作成する部分を、スペース７の長さに合わせて切断する工程と、
　前記グリッパー４０をファスナーエレメント４と離れる方向に移動することで、グリッパー４０が把持しているファスナーエレメント４における噛合頭部４ａを切断した残りのファスナーエレメント４－１をファスナーチェーン１から引き抜く工程を備えていることを特徴とするファスナーチェーンのスペース作成方法である。

　本発明のスペース作成方法においては、グリッパー４０を被覆帯５に向けて移動させ、グリッパー４０を被覆帯５の連結部側端５ｂに接した後、さらに、グリッパー４０が、被覆帯５の連結部側縁５ｃを起立状に変位させながらファスナーエレメント４の脚部４ｂの表裏面に沿って噛合頭部側方に移動させ、
　この後、グリッパー４０のファスナーテープ幅方向への移動を停止し、グリッパー４０で脚部４ｂを把持するようにできる。

　このようにすれば、グリッパー４０を被覆帯５に向けて移動した後に、グリッパー４０を把持動作することでファスナーエレメント４の脚部４ｂをグリッパー４０が把持できるから、グリッパー４０がファスナーエレメント４の脚部４ｂを迅速に把持できる。

　本発明のスペース作成方法においては、グリッパー４０がファスナーエレメント４と離れる方向に移動し、グリッパー４０が把持した噛合頭部４ａを切断した残りのファスナーエレメント４－１をファスナーチェーン１から引き抜くときに、被覆帯５がファスナーエレメント４と離れる方向へ移動することを規制するようにできる。

　このようにすれば、被覆帯５がファスナーエレメント４と離れる方向に移動しないので、残りのファスナーエレメント４－１をファスナーチェーン１から確実に引き抜くことができる。

　本発明のスペース作成方法においては、ファスナーチェーン１の一方の被覆帯５の噛合頭部側端５ｄと他方の被覆帯５の噛合頭部側端５ｄとの間の隙間を拡げる工程を有することができる。

　このようにすれば、被覆帯５の噛合頭部側縁５ａがファスナーエレメント４の噛合頭部４ｂの表裏面に当接しているファスナーチェーンにスペース７を作成できる。

　本発明のスペース作成方法においては、一方の被覆帯５の噛合頭部側端５ｄと他方の被覆帯５の噛合頭部側端５ｄと間に拡げ片を配設し、
　ファスナーチェーン１を搬送することで、一方の被覆帯５の噛合頭部側端５ｄと他方の被覆帯５の噛合頭部側端５ｄを、拡げ片に沿って移動して両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａを起立状にそれぞれ変位することで、一方の被覆帯５と他方の被覆帯５の噛合頭部側端５ｄ間の隙間を拡げるようにできる。

　このようにすれば、ファスナーチェーン１にスペース７を、ファスナーチェーン１の長手方向に間隔を置いて連続して作成できる。

　本発明のファスナーチェーンのスペース作成装置は、ファスナーテープ３に、ファスナーエレメント４を縫糸６で縫着し、ファスナーエレメント４の表裏面に被覆帯５が当接したファスナーチェーン１にスペース７を作成するスペース作成装置であって、
　前記ファスナーエレメント４は、噛合頭部４ａと、噛合頭部４ａからファスナーテープ３の幅方向に延びた脚部４ｂと、ファスナーテープ３の長さ方向に隣接した脚部４ｂ同士を連結する連結部４ｃを有し、
　前記ファスナーチェーン１が搬送される搬送路（１と、
　前記搬送路１１に沿って搬送されるファスナーチェーン１のファスナーエレメント４の噛合頭部４ａと対向して設けたダイ２０とパンチ３０と、
　前記ダイ２０とパンチ３０のファスナーチェーン搬送方向と直交方向の両側にそれぞれ設けたグリッパー４０を備え、
　前記グリッパー４０は、搬送路１１に沿って搬送されるファスナーチェーン１のファスナーエレメント４に接近する方向及びファスナーチェーン１のファスナーエレメント４と離れる方向に移動し、
　前記グリッパー４０はファスナーエレメント４に接近する方向に移動することで、ファスナーチェーン１の被覆帯５の連結部側縁５ｃを起立状に変位し、その状態でグリッパー４０はファスナーエレメント４の脚部４ｂを把持できるようにしたことを特徴とするファスナーチェーンのスペース作成装置である。

　本発明のスペース作成装置においては、前記グリッパー４０は、前記ファスナーエレメント４の脚部４ｂを把持及び把持解除する一対の把持爪４１を備え、
　前記把持爪４１の爪４２は、爪４２の前面４２ａがファスナーチェーン１の被覆帯５の連結部側端５ｂと対向したときに、爪４２の把持部４２ｃがファスナーチェーン１のファスナーエレメント４の脚部４ｂの表裏面と同一高さとなるようにできる。

　このようにすれば、爪４２の前面４２ａで被覆帯５の連結部側端５ｂを押しながら爪４２の把持部４ｃを脚部４ｂの表裏面に沿って移動し、一対の把持爪４１は被覆帯５の連結部側縁５ｃを起立状に変位するので、一対の把持爪４１はファスナーエレメント４の脚部４ｂを把持できる。

　本発明のスペース作成装置においては、前記グリッパー４０をファスナーエレメント４と離れる方向に移動することで、グリッパー４０が把持している噛合頭部４ａを切断した残りのファスナーエレメント４－１をファスナーチェーン１から引き抜くときに、被覆帯５のファスナーエレメント４と離れる方向への移動を規制する規制部材６０を設けることができる。

　このようにすれば、被覆帯５がファスナーエレメント４と離れる方向に移動しないので、残りのファスナーエレメント４－１をファスナーチェーン１から確実に引き抜きできる。

　本発明のスペース作成装置においては、前記ダイ２０、パンチ３０のファスナーチェーン搬送方向上流側に、ファスナーチェーン１の一方の被覆帯５の噛合頭部側端５ｄと他方の被覆帯５の噛合頭部側端５ｄとの間に位置する拡げ片を設け、各被覆帯５の噛合頭部側端５ｄが拡げ片に沿って移動することで各被覆帯５の噛合頭部側縁５ａが起立状に変位するようにできる。

　このようにすれば、被覆帯５の噛合頭部側縁５ａがファスナーエレメント４の噛合頭部４ｂの表裏面に当接しているファスナーチェーンにスペースを作成できる。

　本発明は、被覆帯５の連結部側縁５ｃを起立状に変位してファスナーエレメント４の脚部４ｂをグリッパー４０で把持し、グリッパー４０をファスナーエレメント４と離れる方向に移動することで、ファスナーエレメント４の噛合頭部４ａを切断した残りのファスナーエレメント４－１を引き抜き、ファスナーチェーン１にスペース７を作成するので、ファスナーエレメント４の脚部４ｂの表裏面に被覆帯５が当接したファスナーチェーンにスペースを作成できる。

ファスナーチェーンの平面図である。 図１のＡ－Ａ拡大断面図である。 本発明のスペース作成装置の概略正面図である。 本発明のスペース作成装置の概略平面図である。 図３のＢ－Ｂ断面図である。 図３のＣ－Ｃ断面図である。 被覆帯の噛合頭部側縁が拡げ片により起立状に変位した状態の縦断面図である。 被覆帯の噛合頭部側端間の隙間を拡げた状態の説明図である。 ダイとパンチの縦断面図である。 グリッパーが被覆帯を起立状に変位するときの縦断面図である。 グリッパーが被覆帯を起立状に変位した状態の縦断面図である。 グリッパーがファスナーエレメントの脚部を把持した状態の縦断面図である。 ダイとパンチがファスナーエレメントの噛合頭部を切断した状態の縦断面図である。 ファスナーエレメントの噛合頭部を切断した残りのファスナーエレメントを引き抜いた状態の縦断面図である。 規制部材が被覆帯のファスナーエレメントと離れる方向への移動を規制している状態の縦断面図である。

　本発明のスペース作成方法でスペースを作成するファスナーチェーンを図１及び図２を参照して説明する。
　ファスナーチェーン１は２つのファスナーストリンガ２，２を備えている。
　ファスナーストリンガ２は、ファスナーテープ３にファスナーエレメント４と被覆帯５が縫糸６で縫着してある。被覆帯５はファスナーエレメント４の脚部４ａと噛合頭部４ｂの一部分とに当接している。

　ファスナーエレメント４は、エレメント線条をファスナーテープ３の上下の面に交互に連続して設けた線条ファスナーエレメントである。
　ファスナーエレメント４は、噛合頭部４ａと、噛合頭部４ａからファスナーテープ３の幅方向に延びた脚部４ｂと、ファスナーテープ３の長さ方向に隣接した脚部４ｂを連結する連結部４ｃを有している。
　ファスナーエレメント４の噛合頭部４ａはファスナーテープ３の上下の面に連続したＵ字状となっている。
　ファスナーエレメント４の連結部４ｃはファスナーテープ３の上下の面に沿ったＵ字状となっている。
　つまり、実施の形態のファスナーチェーン１は被覆帯付Ｌ型ファスナーチェーンである。
　被覆帯５はファスナーエレメント４の脚部４ｂと、噛合頭部４ａの一部分と、連結部４ｃの一部分とに当接している。

　次に、ファスナーチェーン１を詳細に説明する。なお、ファスナーテープ３、被覆帯５の対向した幅方向一方側を噛合頭部側、幅方向他方側を連結部側とし、ファスナーエレメント４のファスナーテープ３の幅方向一方側に向かう側を噛合頭部側、ファスナーテープ３の幅方向他方側に向かう側を連結部側とし、ファスナーテープ１の厚さ方向一方側を上、厚さ方向他方側を下とし、ファスナーエレメント４のファスナーテープ３に接する面を底面、ファスナーテープ３と反対側の面を表裏面として説明する。

　ファスナーテープ３の噛合頭部側に、ファスナーエレメント４と、ファスナーエレメント４の表裏面に当接した被覆帯５とが縫糸６で縫着してある。
　ファスナーエレメント４は、脚部４ｂをファスナーテープ３に縫着し、ファスナーエレメント４の噛合頭部側部分がファスナーテープ３の噛合頭部側端３ａから突出している。
　被覆帯５はファスナーエレメント４の表裏面に当接している。これにより被覆帯５がファスナーエレメント４の脚部４ｂ及び連結部４ｃの一部分を被覆する。
　被覆帯５はファスナーテープ３の噛合頭部側端３ａから突出している。これにより、被覆帯５がファスナーエレメント４の噛合頭部４ａの一部分を被覆する。

　なお、ファスナーテープ３にファスナーエレメント４を縫着する縫糸６を幅広い範囲に渡って密に縫着することで、縫糸６により被覆帯５とすることができる。

　一方のファスナーストリンガ２のファスナーエレメント４の噛合頭部４ａと他方のファスナーストリンガ２のファスナーエレメント４の噛合頭部４ａを噛合し、ファスナーチェーン１とする。
　ファスナーチェーン１は、ファスナーエレメント４、被覆帯５、縫糸６がファスナーテープ３の長手方向に連続している。
　ファスナーチェーン１にスペース７を作成するには、ファスナーエレメント４の長手方向のスペース７を作成する部分を除去する。ファスナーエレメント４を除去した部分がファスナーチェーン１のスペース７である。
　すなわち、ファスナーチェーン１のスペース７は、ファスナーエレメント４が存在しない部分で、スペース７からファスナーチェーン１に上止、下止やスライダーを取り付ける。ファスナーチェーン１の被覆帯５及び縫糸６はスペース７においても存在し、被覆帯５及び縫糸６はファスナーテープ３の長手方向に連続している。

　本発明のファスナーチェーンのスペース作成装置を図３乃至図６を参照して説明する。
　ファスナーチェーンのスペース作成装置１０は、ファスナーチェーン１を長手方向に搬送するファスナーチェーンの搬送路１１を備えている。
　ファスナーチェーンの搬送路１１は、ファスナーチェーン１のファスナーエレメント４をガイドするチェーンガイド（図示せず）を有している。
　ファスナーチェーンの搬送路１１に、ファスナーチェーン１を搬送する搬送ローラ１２が設けてある。
　これにより、搬送ローラ１２を矢印方向に回転駆動することで、ファスナーチェーン１はファスナーチェーンの搬送路１１に沿って矢印ａ方向に搬送される。

　ファスナーチェーンの搬送路１１に、ファスナーチェーン１のファスナーエレメント４の噛合頭部４ａを切断するダイ２０とパンチ３０が対向して設けてある。
　ダイ２０は、ファスナーチェーンの搬送路１１の下方に、切断部２１を上向きとして固定してある。
　ファスナーチェーンの搬送路１１に沿って搬送されるファスナーチェーン１のファスナーエレメント４が、ダイ２０の切断部２１の上面２１ａに接する。

　パンチ３０は、ファスナーチェーンの搬送路１１の上方に、切断部３１を下向きに設けてある。
　パンチ３０の切断部３１はダイ２０の切断部２１の真上に位置している。
　パンチ３０はファスナーチェーンの搬送路１１よりも上の第１位置に保持される。
　パンチ３０はスペース作成時には、第１位置から第２位置まで下降し、第２位置で停止する。
　パンチ３０が第２位置のときは、図５に示すように、パンチ３０の切断部３１の下面３１ａがダイ２０の切断部２１の上面２１ａよりも上方で、切断部３１の下面３１ａはファスナーチェーン１のファスナーエレメント４の噛合頭部４ａの表裏面に接する。
　これにより、ダイ２０の切断部２１の上面２１とパンチ３０の切断部３１の下面３１ａとの間をファスナーチェーン１が挿通する。
　パンチ３０は、第２位置から切断位置まで下降する。
　パンチ３０が切断位置のときは、図５に仮想線で示すようにパンチ３０の切断部３１がダイ２０の穴２２に嵌合する下方まで移動する。これにより、ファスナーチェーン１のファスナーエレメント４の噛合頭部４ａを切断する。

　ダイ２０の切断部２１の平面形状は、ファスナーチェーン搬送方向を長さ方向とし、ファスナーチェーン搬送方向と直交する方向を幅方向とする長方形である。
　ダイ２０の穴２２の平面形状は長方形で、この穴２２はダイ２０の切断部２１の上面２１ａ及びダイ２０の下面に開口している。
　パンチ３０の切断部３１の平面形状は、ファスナーチェーン搬送方向を長さ方向とし、ファスナーチェーン搬送方向と直交する方向を幅方向とする長方形である。パンチ３０の長さ、幅はダイ２０の穴２２の長さ、幅と同一である。
　パンチ３０の切断部３１の下面３１ａは、図５に示すように漏斗状に凹んでいる。

　ダイ２０、パンチ３０の幅方向両側方に一対のグリッパー４０，４０が設けてある。幅方向両側方とはファスナーチェーン搬送方向（矢印ａ方向）と直交する方向である。
　グリッパー４０は、一対の把持爪４１を有している。一対の把持爪４１はファスナーチェーン１のファスナーエレメント４における脚部４ｂを把持する。
　さらに、グリッパー４０は、一対の把持爪４１を幅方向に移動する移動機構４２を備えている。
　グリッパー４０は移動機構４２で、ファスナーチェーン１のファスナーエレメント４に接近する方向（矢印ｂ方向）及びファスナーエレメント４から離れる方向（矢印ｃ方向）に移動する。

　グリッパー４０の把持爪４１は、図５に示すように爪４２を有している。
　爪４２は、ファスナーエレメント４に向かう前面４２ａと、ファスナーエレメント４と反対側の後面４２ｂと、前面４２ａと後面４２ｂを連続し、ファスナーエレメント４を把持する把持部４２ｃと、両側面４２ｄ，４２ｄとで囲まれた横断面長方形の板状である。
　爪４２の両側面４２ｄ，４２ｄ間の寸法、つまりファスナーチェーン搬送方向に向かう爪４２の長さは、パンチ３０の切断部３１のファスナーチェーン搬送方向に向かう寸法、つまり切断部３１の長さと同一である。
　爪４２の前面４２ａと後面４２ｂ間の寸法、つまり、爪４２の幅は、把持部４２ｃ寄りが小さく、把持部４２ｃと離れるにつれて順次大きくなっている。つまり、爪４２は尖端形状である。

　グリッパー４の一対の把持爪４１は、爪４２が接近する方向である把持方向及び爪４２が離れる方向である把持解放方向に揺動する。
　グリッパー４０の一方の把持爪４１はファスナーチェーン搬送路１１の上方に位置している。グリッパー４０の他方の把持爪４１はファスナーチェーン搬送路１１の下方に位置している。これによって、一対の把持爪４１を把持方向に揺動することで、一対の把持爪４１の爪４２がファスナーチェーン１のファスナーエレメント４の脚部４ｂの表裏面に喰い込むので、一対の把持爪４１が脚部４ｂを把持する。

　ダイ２０、パンチ３０のファスナーチェーンの搬送方向上流側に第１拡げ片５０及び第２拡げ片５１が設けてある。
　ダイ２０，３０のファスナーチェーンの搬送方向下流側に第３拡げ片５２及び第４拡げ片５３が設けてある。
　第１拡げ片５０は、搬送方向下流側端５０ａの幅がパンチ５０の切断部３１の幅と同一である。第１拡げ片５０の幅は搬送方向上流側に向けて順次幅狭くなっている。第１拡げ片５０の搬送方向上流側部５０ｂが尖端形状で、幅方向両側面５０ｃ，５０ｃが円弧形状に湾曲している。
　第２拡げ片５１は、搬送方向下流側端５１ａの幅がダイ２０の切断部２１の幅と同一である。第２拡げ片５１の幅は搬送方向上流側に向けて順次狭くなっている。第２拡げ片５１の幅方向上流側部５１ｂが尖端形状で、幅方向両側面５１ｃ，５１ｃが円弧形状に湾曲している。
　つまり、第１拡げ片５０及び第２拡げ片５１の平面形状は、搬送方向上流側端を頂点とし、搬送方向下流端を底面とする三角形状である。

　図４に示すように、第１拡げ片５０は、一方のファスナーストリンガ２の上の被覆帯５（一方の被覆帯５）の噛合頭部側端５ｄと、他方のファスナーストリンガ２の上の被覆帯５（他方の被覆帯５）の噛合頭部側端５ｄとの間に位置する。
　第１拡げ片５０の搬送方向下流側端５０ａはパンチ３０の切断部３１と接している。
　第１拡げ片５０の下面５０ｄは図６に仮想線で示すファスナーチェーン１のファスナーエレメント４の噛合頭部４ａの表裏面に接する。

　このようであるから、第１拡げ片５０を固定した状態で、ファスナーチェーン１が搬送方向に移動することにより、ファスナーテープ３の上に設けられた一方の被覆帯５の噛合頭部側端５ｄ及び他方の被覆帯５の噛合頭部側端５ｄが、第１拡げ片５０の両側面５０ｃに沿って移動する。
　これによって、両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａが、ファスナーエレメント４の噛合頭部４ａと離れる方向に起立状に変位するので、両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａ間の隙間が順次拡げられる。
　そして、両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａ間の隙間は第１拡げ片５０の搬送方向下流側端５０ａの幅、つまりパンチ３０の切断部３１の幅と同一となる。

　第２拡げ片５１は、第１拡げ片５０と同様に一方のファスナーストリンガ２の下の被覆帯５（一方の被覆帯５）の噛合頭部側端５ｄと他方のファスナーストリンガ２の下の被覆帯５（他方の被覆帯５）の噛合頭部側端５ｄとの間に位置する。
　第２拡げ片５１の搬送方向下流側端５１ａはダイ２０の切断部２１に接している。
　第２拡げ片５１の上面５１ｄは、図６に仮想線で示すファスナーチェーン１のファスナーエレメント４の噛合頭部４ａの表裏面に接する。

　このようであるから、第２拡げ片５１を固定した状態でファスナーチェーン１が搬送方向に移動することにより、前述と同様に、両方の被覆帯５の噛合頭部側端５ｄが第２拡げ片５１の両側面５１ｃに沿って移動し、両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａが起立状に変位するので、両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａ間の隙間が順次拡げられる。
　そして、両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａ間の隙間は第２拡げ片５１の搬送方向下流側端５１ａの幅、つまりダイ２０の切断部２１の幅と同一となる。

　第３拡げ片５２は第１拡げ片５０をファスナーチェーン搬送方向に反転した形状である。
　第３拡げ片５２の搬送方向上流側端５２ａの幅はパンチ３０の切断部３１の幅と同一で、第３拡げ片５２の搬送方向下流側部５２ｂが尖端形状である。
　そして、第３拡げ片５２は第１拡げ片５０と同様に両方の被覆帯５の噛合頭部側端５ｄ間に設けられる。第３拡げ片５２の下面５２ｄがファスナーチェーン１のファスナーエレメント４の噛合頭部４ａの表裏面に接する。

　このようであるから、ファスナーチェーン１の上の両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａが第３拡げ片５２の両側面５２ｃに沿って移動すると、上の両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａが順次元の状態に変位する。そして、第３拡げ片５２の両側面５２ｃを通過することで、上の両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａは元の状態に復元する。

　第４拡げ片５３は第２拡げ片５１をファスナーチェーン搬送方向に反転した形状である。
　第４拡げ片５３の搬送方向上流側端５３ａの幅はダイ２０の切断部２１の幅と同一で、第４拡げ片５３の搬送方向下流側部５４ｂが尖端形状である。
　そして、第４拡げ片５３は第２拡げ片５１と同様に下の両方の被覆帯５の噛合頭部側端５ｄ間に設けられる。第４拡げ片５３の上面５３ｄがファスナーチェーン１のファスナーエレメント４の噛合頭部４ａの表裏面に接する。

　このようであるから、ファスナーチェーン１の下の両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａが第４拡げ片５３の両側面５３ｃに沿って移動すると、下の２つの被覆帯５の噛合頭部側縁５ａが順次元の状態に変位する。そして、第４拡げ片５３の両側面５３ｃを通過することで、下の２つの被覆帯５の噛合頭部側縁５ａは元の状態に復帰する。

　ファスナーチェーン１にスペース７を作成する方法を工程ごとに説明する。
　図１及び図２に示すファスナーチェーン１は、両方の被覆帯５が両方のファスナーエレメント４の噛合頭部４ａの一部分をそれぞれ被覆している。このために、ファスナーエレメント４の噛合頭部４ａをダイ２０とパンチ３０で切断することができない。
　本発明は、両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａ間の隙間を拡げ、拡げた２つの被覆帯５の噛合頭部側縁５ａ間からダイ２０とパンチ３０とでファスナーエレメント４の噛合頭部４ａを切断できるようにする。

　次に、両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａ間の隙間拡げ工程を説明する。
　ファスナーチェーン１をファスナーチェーンの搬送路１１に沿って搬送し、ファスナーチェーン１の上の両方の被覆帯５の噛合頭部側端５ｄを第１拡げ片５０の両側面５０ｃに沿って移動する。これと同時に、下の両方の被覆帯５の噛合頭部側端５ｄを第２拡げ片５１の両側面５１ｃに沿って移動する。

　これにより、図７に示すように、ファスナーチェーン１の上の両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａは第１拡げ片５０の両側面５ｃに沿って起立状に変位し、上の両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａ間の隙間Ｓ１は、第１拡げ片５０の搬送方向下流側端５０ａの幅Ｈ１と同一となる。
　一方、ファスナーチェーン１の下の両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａは第２拡げ片５１の両側面５１ｃに沿って起立状に変位し、下の両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａ間の隙間Ｓ２は、第２拡げ片５１の搬送方向下流側端５１ａの幅Ｈ２と同一となる。

　つまり、被覆帯５は縫糸６でファスナーエレメント４とともにファスナーテープ３に縫着固定してある。
　被覆帯５の噛合頭部側縁５ａはファスナーテープ３の噛合頭部側端３ａから突出しているので、被覆帯５の噛合頭部側縁５ａがファスナーエレメント４の噛合頭部４ａに接している。
　これにより、被覆帯５の縫糸６よりも内側の噛合頭部側縁５ａは、ファスナーエレメント４の噛合頭部４ａと離れる方向に変位可能であるので、被覆帯５の噛合頭部側縁５ａは、前述のように起立状に変形する。

　上の両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａ間の隙間Ｓ１は、２つのファスナーテープ３の噛合頭部側端３ａ間の隙間Ｓ３よりも小さい。
　下の両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａ間の隙間Ｓ２は、２つのファスナーテープ３の噛合頭部側端３ａ間の隙間Ｓ３よりも大きい。

　ファスナーチェーン１をさらに搬送することで、上の両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａは第３拡げ片５２の搬送方向上流端５２ａに到達する。下の両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａは第４拡げ片５３の搬送方向上流側端５３ａに到達する。
　この状態からファスナーチェーン２１をさらに搬送することで、上の両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａは第３拡げ片５２を通過する。これにより、上の両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａは元の状態になる。下の両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａは第４拡げ片５３を通過する。これにより、下の両方の被覆帯５の噛合頭部側縁部５ａは元の状態となる。

　このようであるから、図８に示すように第１拡げ片５０と第２拡げ片５２との間において、上の両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａ間に隙間Ｓ１が形成される。
　この隙間Ｓ１は、一方のファスナーエレメント４の噛合頭部４ａと他方のファスナーエレメント４の噛合頭部４ａ、つまりファスナーエレメント４の噛合部の真上に位置している。
　下の両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａ間の隙間Ｓ２はファスナーエレメント４の噛合部の真下に位置する。

　第１拡げ片５０の搬送方向下流側端５０ａと第２拡げ片５２の搬送方向上流側端５２ａとの間の距離が、スペース７の長さで、隙間Ｓ１がスペース７の幅である。
　パンチ３０の切断部３１の長さはスペース７の長さと同一である。
　パンチ３０の切断部３１の幅はスペース７の幅と同一である。
　前述の隙間拡げ動作時に、図９に示すようにパンチ３０は第２位置に下降している。これにより、上の両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａはパンチ３０の切断部３１の両側面３１ｂに接する。
　下の両方の被覆帯５の噛合頭部側縁５ａは、図９に示すようにダイ２０の切断部２１の両側面２１ｂに接する。

　次に、グリッパー４０によるファスナーエレメント４の脚部４ｂの把持工程を説明する。
　隙間拡げ工程が終了した時点でファスナーチェーン１の搬送を中止し、ファスナーチェーン１を停止する。
　グリッパー４０の一対の把持爪４１はファスナーチェーン１のスペース作成部と対向している。
　グリッパー４０の一対の把持爪４１は図１０に示すようにファスナーエレメント４と離隔した位置である。
　一対の把持爪４１を把持方向又は把持解放方向に揺動し、爪４２を被覆帯押し位置とする。
　爪４２が被覆帯押し位置であると、爪４２の把持部４２ｃがファスナーエレメント４の表裏面と同一高さで、爪４２の前面４２ａが被覆帯５の連結部側端５ｂと対向する。

　移動機構４２を作動し、一対の把持爪４１をファスナーエレメントに接近する方向（矢印ｂ方向）に移動し、把持爪４１をファスナーエレメント４に接近する。
　これにより、把持爪４１の爪４２の前面４２ａを被覆帯５の連結部側端５ｂに当接する。
　さらに、一対の把持爪４１を内側方に移動することで、図１１に示すように爪４２が被覆帯５の連結部側端５ｂを押し、爪４２が被覆帯５の連結部側縁５ｃを起立状に変位する。これにより被覆帯５の連結部側縁５ｃはファスナーエレメント４の脚部４ｂの表裏面から離れる。
　これにより把持爪４１の爪４２は、ファスナーエレメント４の連結部４ｃよりも噛合頭部４ａ寄りに移動するので、一対の把持爪４１はファスナーエレメント４の脚部４ｂのみを把持可能である。

　つまり、被覆帯５の連結部側端５ｂとファスナーエレメント４の連結部４ｃはファスナーチェーン１の幅方向にほぼ同一位置であるから、一対の把持爪４１は被覆帯５とともにファスナーエレメント４を把持することになる。これではファスナーエレメント４の脚部４ｂを引き抜きできない。
　本発明は、前述のように把持爪４１の爪４２で被覆帯５の連結部側縁５ｃを起立状に変位させることで、爪４２の把持部４２ｃをファスナーエレメント４の連結部側端４ｃよりも噛合頭部４ａ寄りでファスナーエレメント４の脚部４ｂの表裏面に接するようにする。
　これによって、一対の把持爪４１はファスナーエレメント４の脚部４ｂのみを把持可能となる。

　図１２に示すように、一対の把持爪４１を把持方向に揺動することで、爪４２をファスナーエレメント４の脚部４ｂに喰い込ませる。
　これによって一対の把持爪４１がファスナーエレメント４の脚部４ｂを把持する。
　爪４２の長さはファスナーチェーン１のスペース７と同じ長さである。これにより、一対の把持爪４１は、ファスナーエレメント４の脚部４ｂにおけるスペース作成部の全長を把持する。

　次に、ファスナーエレメント４の噛合頭部４ａを切断する工程を説明する。
　図１３に示すように、一対の把持爪４１がファスナーエレメント４の脚部４ｂを把持している状態で、パンチ３０をダイ２０に向けて下降する。
　パンチ３０の切断部３１はファスナーエレメント４の脚部４ｂを押しながら下降し、切断部３１はダイ２０の切断部２１の穴２２に嵌合した切断位置まで移動する。これにより、ファスナーエレメント４の噛合頭部４ａ、つまり噛合部を切断する。
　切断したファスナーエレメント４の噛合頭部４ａは、ダイ２０の切断部２１の穴２２に落下する。
　パンチ３０の切断部３１の長さは、スペース７の長さと同一であるから、ファスナーエレメント４の噛合頭部４ａをスペース７の長さ分だけ１度に切断する。

　前述のようにファスナーエレメント４の噛合頭部４ａを切断するときに、一対の把持爪４１はファスナーエレメント４の脚部４ｂを把持しているから、ファスナーエレメント４の幅方向のたるみが抑制される。
　これにより、ファスナーエレメント４の噛合頭部４ａを容易に切断できる。

　ダイ２０とパンチ３０がファスナーエレメント４の噛合頭部４ａを切断するときに、図１３に仮想線で示すように一対の把持爪４１をファスナーテープ３を把持した状態まで把持方向に揺動し、一対の把持爪４１はファスナーテープ３及びファスナーエレメント４の脚部４ｂを把持しても良い。
　このようにすれば、ダイ２０とパンチ３０がファスナーエレメント４の噛合頭部４ａを切断する際に、ファスナーエレメント４の幅方向のたるみがより一層抑制される。
　これにより、ファスナーエレメント４の噛合頭部４ａをより容易に切断できる。

　次に、ファスナーエレメント４の噛合頭部４ａを切断した残りのファスナーエレメント４－１をファスナーチェーン１から引き抜く工程を説明する。
　ファスナーエレメント４の噛合頭部４ａを切断した残りのファスナーエレメント４－１、つまり脚部４ｂと連結部４ｃは、噛合頭部４ａを有したファスナーエレメント４と不連続である。
　つまり、ファスナーエレメント４の噛合頭部４ａを切断することで、ファスナーエレメント４のエレメント線条が切断されるので、残りのファスナーエレメント４－１のエレメント線条は他のエレメント線条と不連続となるので、残りのファスナーエレメント４－１はファスナーエレメント４と不連続である。
　残りのファスナーエレメント４－１のファスナーテープ３の上面の部分のエレメント線条と、ファスナーテープ３の下面の部分のエレメント線条は不連続である。

　図１３に示すように、グリッパー４０の一対の把持爪４１が、ファスナーエレメント４の噛合頭部４ａを切断した残りのファスナーエレメント４－１を把持している。
　グリッパー４０の移動機構４２を作動し、一対の把持爪４１をファスナーエレメント４と離れる方向（矢印ｃ方向）に移動し、一対の把持爪４１で把持している残りのファスナーエレメント４－１をファスナーエレメント４と離れる方向に向かって引っ張る。
　これにより、図１４に示すように、一対の把持爪４１が把持している残りのファスナーエレメント４－１はファスナーテープ３と被覆帯５との間からファスナーエレメント４と離れる方向に引き抜きされる。
　一対の把持爪４１が残りのファスナーエレメント４－１をファスナーテープ３と被覆帯５との間からファスナーエレメント４と離れる方向に引き抜きした後は、一対の把持爪４１を把持解放方向に揺動しながらファスナーエレメント４と離れる方向に移動する。

　これにより、残りのファスナーエレメント４－１のファスナーテープ３の上の部分とファスナーテープの３の下の部分がファスナーテープ３からそれぞれ離れ、残りのファスナーエレメント４－１はファスナーチェーン１から取り除かれる。

　実施の形態では、一対の把持爪４１の爪４２の長さがファスナーチェーン１のスペース７の長さと同一である。これにより、一対の把持爪４１はファスナーエレメント４の脚部４ａのスペース７の長さ相当の部分を把持している。
　このようであるから、一対の把持爪４１はファスナーエレメント４の噛合頭部４ａを切断した残りのファスナーエレメント４－１を１度に引き抜くことができる。

　前述したように、ファスナーエレメント４の噛合頭部４ａをスペース７の長さ相当部分を１度に切断できることと、残りのファスナーエレメント４－１を１度に引き抜くことができることにより、ファスナーチェーン１にスペース７を効率良く、短時間で作成できる。

　噛合頭部４ａが切断された残りのファスナーエレメント４－１は、ファスナーテープ３と被覆帯５に縫着してあるので、残りのファスナーエレメント４－１をファスナーテープ３と被覆帯５との間から引き抜きする際に、図１５に示すように、残りのファスナーエレメント４－１とともにファスナーテープ３、被覆帯５がファスナーエレメント４と離れる方向に向けて移動することがある。
　本発明は、被覆帯５がファスナーエレメント４と離れる方向に向けて移動することを規制する規制部材６０を設ける。
　規制部材６０は、被覆帯５に接して被覆帯５がファスナーエレメント４と離れる方向に向けて移動しないようにする規制位置と、被覆帯５と離れた非規制位置とに渡って移動する。
　規制部材６０は、残りのファスナーエレメント４－１を引き出すときは規制位置で、その他のときには非規制位置である。

　これにより、被覆帯５がファスナーエレメント４と離れる方向に移動しないようにして残りのファスナーエレメント４－１をファスナーテープ３と被覆帯５との間から引き抜きできる。
　規制部材６０は、残りのファスナーエレメント４－１を引き抜くとき以外は被覆帯５と離れるから、ファスナーチェーン１の搬送などの邪魔にならない。

　規制部材６０の一例を図１５を参照して説明する。
　規制部材６０は、第１規制片６１と第２規制片６２を、一方の上の被覆帯５と一方の下の被覆帯５に対向してそれぞれ設ける。
　第３規制片６３と第４規制片６４を他方の上の被覆帯５と他方の下の被覆帯５と対向してそれぞれ設ける。
　各規制片は被覆帯５に接近する方向と被覆帯５と離れる方向に移動する。
　各規制片を被覆帯５に接近する方向に移動することで、規制片が被覆帯５の連結部側端５ｂに接した規制位置となる。これによって、被覆帯５がファスナーエレメント４と離れる方向に向けて移動することを規制する。
　各規制片を被覆帯５と離れる方向に移動することで、規制片が被覆帯５と離れる。

　実施の形態のファスナーチェーン１は、被覆帯５をファスナーテープ３の噛合頭部側端３ａから突出することで、被覆帯５の噛合頭部側縁５ａがファスナーエレメント４の噛合頭部４ａを被覆し、２つの被覆帯５の噛合頭部側端５ｄ間の隙間が小さい。
　このために、拡げ片を設けて２つの被覆帯５の噛合頭部側縁５ａを起立状に変位し、２つの被覆帯５の噛合頭部側端５ｄ間の隙間を拡げている。
　実施の形態のファスナーチェーン１とは異なり、被覆帯５がファスナーテープ３の噛合頭部側端３ａから突出しない、または僅かに突出し、２つの被覆帯５の噛合頭部側端５ｄ間の隙間が大きいファスナーチェーン１の場合は、拡げ片を設けて２つの被覆帯５の噛合頭部側端５ｄ間の隙間を拡げなくとも、ファスナーエレメント４の噛合頭部４ａを切断することが可能である。

　実施の形態は、ファスナーエレメント４の噛合頭部４ａをスペース７の長さ相当だけ１度に切断したが、これに限ることはなく、ファスナーエレメント４の噛合頭部４ａを複数回切断することでスペース７の長さ相当としても良い。
　例えば、ファスナーチェーン１を、１回の切断長さ相当だけ間欠的に搬送し、パンチ３０を複数回上昇、下降を繰り返して複数回切断するようにする。
　このようにすれば、ファスナーチェーン１にパンチ３０の長さよりも長いスペース７を作成できるので、長いスペースを作成できる、スペースの長さを調整できるなどの利点がある。

　実施の形態では、グリッパー４０の一対の把持爪４１の爪４２の長さをスペースの長さと同一としたが、これに限ることはない。
　例えば、爪４２の長さをスペースの長さよりも短くする。または、スペースの長さよりも短い長さの爪４２を複数設ける。

　１…ファスナーチェーン、２…ファスナーストリンガ、３…ファスナーテープ、３ａ…噛合頭部側端、４…ファスナーエレメント、４ａ…噛合頭部、４ｂ…脚部、４ｃ…連結部、４－１…残りのファスナーエレメント、５…被覆帯、５ａ…噛合頭部側縁、５ｂ…連結部側端、５ｃ…連結部側縁、５ｄ…噛合頭部側端、６…縫糸、１１…搬送路、２０…ダイ、２１…切断部、３０…パンチ、３１…切断部、４０…グリッパー、４１…把持爪、４２…爪、４２ａ…前面、４２ｃ…把持部、５０…第１拡げ片、５１…第２拡げ片、５２…第３拡げ片、５３…第４拡げ片、６０…規制部材。

Claims (9)

1. 　ファスナーテープ（３）に、ファスナーエレメント（４）を、縫糸（６）で縫着し、ファスナーエレメント（４）の表裏面に被覆帯（５）が当接したファスナーチェーン（１）に、スペース（７）を作成する方法であって、
   　前記ファスナーエレメント（４）は、噛合頭部（４ａ）と、噛合頭部（４ａ）からファスナーテープ（３）の幅方向に延びた脚部（４ｂ）と、ファスナーテープ（３）の長さ方向に隣接した脚部（４ｂ）同士を連結する連結部（４ｃ）を有し、
   　前記被覆帯（５）の連結部側縁（５ｃ）を起立状に変位し、被覆帯（５）の連結部側縁（５ｃ）をファスナーエレメント（４）の脚部（４ｂ）の表裏面と離隔し、その状態でファスナーエレメント（４）の脚部（４ｂ）のスペース（７）を作成する部分を、グリッパー（４０）が、スペース（７）の長さに合わせて把持する工程と、
   　前記ファスナーエレメント（４）の噛合頭部（４ａ）のスペース（７）を作成する部分を、スペース（７）の長さに合わせて切断する工程と、
   　前記グリッパー（４０）をファスナーエレメント（４）と離れる方向に移動することで、グリッパー（４０）が把持しているファスナーエレメント（４）における噛合頭部（４ａ）を切断した残りのファスナーエレメント（４－１）をファスナーチェーン（１）から引き抜く工程を備えていることを特徴とするファスナーチェーンのスペース作成方法。
2. 　グリッパー（４０）を被覆帯（５）に向けて移動させ、グリッパー（４０）を被覆帯（５）の連結部側端（５ｂ）に接した後、さらに、グリッパー（４０）が、被覆帯（５）の連結部側縁（５ｃ）を起立状に変位させながらファスナーエレメント（４）の脚部（４ｂ）の表裏面に沿って噛合頭部側方に移動させ、
   　この後、グリッパー（４０）のファスナーテープ幅方向への移動を停止し、グリッパー（４０）で脚部（４ｂ）を把持するようにした請求項１記載のファスナーチェーンのスペース作成方法。
3. 　グリッパー（４０）がファスナーエレメント（４）と離れる方向に移動し、グリッパー（４０）が把持した噛合頭部（４ａ）を切断した残りのファスナーエレメント（４－１）をファスナーチェーン（１）から引き抜くときに、被覆帯（５）がファスナーエレメント（４）と離れる方向へ移動することを規制するようにした請求項１又は２記載のファスナーチェーンのスペース作成方法。
4. 　ファスナーチェーン（１）の一方の被覆帯（５）の噛合頭部側端（５ｄ）と他方の被覆帯（５）の噛合頭部側端（５ｄ）との間の隙間を拡げる工程を有する請求項１～３いずれか１項記載のファスナーチェーンのスペース作成方法。
5. 　一方の被覆帯（５）の噛合頭部側端（５ｄ）と他方の被覆帯（５）の噛合頭部側端（５ｄ）と間に拡げ片を配設し、
   　ファスナーチェーン（１）を搬送することで、一方の被覆帯（５）の噛合頭部側端（５ｄ）と他方の被覆帯（５）の噛合頭部側端（５ｄ）を、拡げ片に沿って移動して両方の被覆帯（５）の噛合頭部側縁（５ａ）を起立状にそれぞれ変位することで、一方の被覆帯（５）と他方の被覆帯（５）の噛合頭部側端（５ｄ）間の隙間を拡げるようにした請求項４記載のファスナーチェーンのスペース作成方法。
6. 　ファスナーテープ（３）に、ファスナーエレメント（４）を縫糸（６）で縫着し、ファスナーエレメント（４）の表裏面に被覆帯（５）が当接したファスナーチェーン（１）にスペース（７）を作成するスペース作成装置であって、
   　前記ファスナーエレメント（４）は、噛合頭部（４ａ）と、噛合頭部（４ａ）からファスナーテープ（３）の幅方向に延びた脚部（４ｂ）と、ファスナーテープ（３）の長さ方向に隣接した脚部（４ｂ）同士を連結する連結部（４ｃ）を有し、
   　前記ファスナーチェーン（１）が搬送される搬送路（１１）と、
   　前記搬送路（１１）に沿って搬送されるファスナーチェーン（１）のファスナーエレメント（４）の噛合頭部（４ａ）と対向して設けたダイ（２０）とパンチ（３０）と、
   　前記ダイ（２０）とパンチ（３０）のファスナーチェーン搬送方向と直交方向の両側にそれぞれ設けたグリッパー（４０）を備え、
   　前記グリッパー（４０）は、搬送路（１１）に沿って搬送されるファスナーチェーン（１）のファスナーエレメント（４）に接近する方向及びファスナーチェーン（１）のファスナーエレメント（４）と離れる方向に移動し、
   　前記グリッパー（４０）はファスナーエレメント（４）に接近する方向に移動することで、ファスナーチェーン（１）の被覆帯（５）の連結部側縁（５ｃ）を起立状に変位し、その状態でグリッパー（４０）はファスナーエレメント（４）の脚部（４ｂ）を把持できるようにしたことを特徴とするファスナーチェーンのスペース作成装置。
7. 　前記グリッパー（４０）は、前記ファスナーエレメント（４）の脚部（４ｂ）を把持及び把持解除する一対の把持爪（４１）を備え、
   　前記把持爪（４１）の爪（４２）は、爪（４２）の前面（４２ａ）がファスナーチェーン（１）の被覆帯（５）の連結部側端（５ｂ）と対向したときに、爪（４２）の把持部（４２ｃ）がファスナーチェーン（１）のファスナーエレメント（４）の脚部（４ｂ）の表裏面と同一高さとなるようにした請求項６記載のファスナーチェーンのスペース作成装置。
8. 　前記グリッパー（４０）をファスナーエレメント（４）と離れる方向に移動して把持している噛合頭部（４ａ）を切断した残りのファスナーエレメント（４－１）ファスナーチェーン（１）から引き抜くときに、被覆帯（５）のファスナーエレメント（４）と離れる方向への移動を規制する規制部材（６０）を設けた請求項６又は７記載のファスナーチェーンのスペース作成装置。
9. 　前記ダイ（２０）、パンチ（３０）のファスナーチェーン搬送方向上流側に、ファスナーチェーン（１）の一方の被覆帯（５）の噛合頭部側端（５ｄ）と他方の被覆帯（５）の噛合頭部側端（５ｄ）との間に位置する拡げ片を配設し、各被覆帯（５）の噛合頭部側端（５ｄ）が拡げ片に沿って移動することで各被覆帯（５）の噛合頭部側縁（５ａ）が起立状に変位するようにした請求項６～８いずれか１項記載のファスナーチェーンのスペース作成装置。

Images