WO2015097864A1

WO2015097864A1 - 補強フィルム接着装置及び開離嵌挿具付きスライドファスナー

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Publication number: WO2015097864A1
Application number: PCT/JP2013/085119
Authority: WO
Inventors: 裕晶中口; 武宏梅木; 貢海野
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2013-12-27
Filing date: 2013-12-27
Publication date: 2015-07-02
Also published as: CN104736011B; TW201528995A; TWI546029B; CN104736011A

Abstract

ファスナーチェーン（１１）を間欠搬送するファスナーチェーン搬送手段（２０）と、補強フィルムテープ（１７）を供給する補強フィルムテープ供給手段（３０）と、補強フィルムテープ（１７）を加工する加工位置（ＯＰ）と、補強フィルムテープ（１７）から離間する待機位置（ＷＰ）との間を移動可能なパンチ（５１）及びダイ（５２）を備え、補強フィルムテープ（１７）の側縁に台形形状の切欠き部（１０１）を形成する打抜き機構（５０）と、補強フィルムテープ（１７）を所定の長さに切断して補強フィルム片（１６）を形成する切断機構（７０）と、補強フィルム片（１６）を把持して搬送するグリッパ（８１）と、ファスナーチェーン（１１）に補強フィルム片（１６）を接着する補強フィルム片接着手段（９０）と、を備える。

Description

補強フィルム接着装置及び開離嵌挿具付きスライドファスナー

　本発明は、補強フィルム接着装置及び開離嵌挿具付きスライドファスナーに係り、特に、ファスナーエレメント列の終端に設けられる補強フィルムを接着する補強フィルム接着装置及び、該補強フィルムが接着された開離嵌挿具付きスライドファスナーに関する。

　開離嵌挿具付きスライドファスナーは、嵌挿具の挿脱を容易にするため、エレメント列の一端部に合成樹脂製の補強フィルムを接着して剛性を付与している。エレメント列の一端部は、開離操作によって変形を生じ易いため、補強フィルムは、エレメント列の一端部のスペース部の側方だけでなく、エレメント列の側部にまで延びて接着されることが好ましい。従来、打抜きパンチによってフィルム側縁に略コの字形の打抜き部を形成したフィルムを、ファスナーチェーンのスペース部の上方に位置させた後、熱圧着してエレメント列に続く下端部に剛性を付与するようにしたファスナーチェーンの成形方法及び装置が開示されている（例えば、特許文献１，２，３参照）。

日本国特公昭５６－５２５６１号公報日本国特公昭５６－５２５６２号公報日本国特公昭５９－３３３６５号公報

　ところで、上記特許文献１，２，３の成形装置では、補強フィルムを略コの字形に打ち抜いた際、打ち抜いた際の切り屑が補強フィルムに付着したままとなる可能性があり、改善の余地があった。また、略コの字形の打抜き部が形成された補強フィルムを、スペース部からファスナーエレメント列の側方にまで延びて接着することで剛性を付与しているが、ファスナーエレメント列の下端にさらに近接して補強フィルムを接着し、強度補強することが望まれている。

　本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、補強フィルムテープの側縁に台形形状の切欠き部を効率的に形成してファスナーチェーンに接着することができる補強フィルム接着装置を提供することにある。また、他の目的は、補強フィルムによって、開離嵌挿具が取り付けられる部分のファスナーストリンガーの強度補強を図ることができ、開離操作を容易にすると共に、耐久性の向上が図られる開離嵌挿具付きスライドファスナーを提供することにある。

　本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
（１）　ファスナーチェーンを搬送するファスナーチェーン搬送手段と、
　補強フィルムテープを供給する補強フィルムテープ供給手段と、
　補強フィルムテープを加工する加工位置と、補強フィルムテープから離間する待機位置との間を移動可能なパンチ及びダイを備え、補強フィルムテープ供給手段から引き出される補強フィルムテープの側縁に台形形状の切欠き部を形成する打抜き機構と、
　補強フィルムテープを所定の長さに切断して、切欠き部を有した補強フィルム片を形成する切断機構と、
　補強フィルム片を把持してファスナーチェーンの搬送方向と直交する方向に搬送するグリッパと、
　ファスナーチェーンの上面及び下面の少なくとも一方に補強フィルム片を接着する補強フィルム片接着手段と、
を備えることを特徴とする補強フィルム接着装置。
（２）　補強フィルムテープ供給手段は、補強フィルムテープが巻回されるテープリールと、テープリールから引き出された補強フィルムテープを案内する案内部材と、備え、
　案内部材の長手方向側方には、パンチ及びダイが加工位置に位置する際に入りこむ凹部が形成されていることを特徴とする（１）に記載の補強フィルム接着装置。
（３）　一対のファスナーテープの対向するテープ側縁部にファスナーエレメント列が形成された左右一対のファスナーストリンガーと、
　一方のファスナーストリンガーのファスナーエレメント列の端部側に設けられた樹脂製の蝶棒と、
　他方のファスナーストリンガーのファスナーエレメント列の端部側に設けられた樹脂製の箱棒と、
　蝶棒及び箱棒がそれぞれ位置するファスナーテープの部分を覆うように、ファスナーテープに接着される補強フィルム片と、
を有し、
　補強フィルム片のファスナーエレメント列寄りの辺は、ファスナーエレメント列の端部とファスナーテープの長手方向で対向して、ファスナーテープの幅方向に沿って延びる第１辺と、ファスナーエレメント列の側方で、ファスナーテープの幅方向に沿って延びる第２辺と、第１辺から第２辺に向かって、テープ側縁部から徐々に離れるように傾斜する傾斜辺とによって構成されることを特徴とする開離嵌挿具付きスライドファスナー。
（４）　蝶棒及び箱棒は、ファスナーエレメント列の側方に配置された補強条部を有し、
　補強条部は、傾斜辺の両端部と、傾斜辺の第２辺側の端部からファスナーテープの長手方向に沿って延びる仮想線と、傾斜辺の第１辺側の端部からファスナーテープの幅方向に沿って延びる仮想線との交点と、を結ぶ三角形領域内に位置することを特徴とする（３）に記載の開離嵌挿具付きスライドファスナー。
（５）　補強フィルム片は、三角形領域に、蝶棒及び箱棒を形成するための樹脂が入り込む貫通孔を備えることを特徴とする（４）に記載の開離嵌挿具付きスライドファスナー。

　本発明の補強フィルム接着装置によれば、ファスナーチェーン搬送手段と、補強フィルムテープを供給する補強フィルムテープ供給手段と、補強フィルムテープを加工する加工位置と待機位置との間を移動して、補強フィルムテープの側縁に台形形状の切欠き部を形成する打抜き機構と、補強フィルムテープを所定の長さに切断して補強フィルム片を形成する切断機構と、補強フィルム片を把持してファスナーチェーンへ搬送するグリッパと、ファスナーチェーンに補強フィルム片を接着する補強フィルム片接着手段と、を備える。これにより、打抜き機構が、加工位置にて補強フィルムテープの側縁に台形形状の切欠き部を形成した後、切り屑とともに待機位置に移動するので、切り屑が補強フィルムテープに付着したままとなることが防止される。また、補強フィルム接着装置は、補強フィルムテープの側縁に台形形状の切欠き部を効率的に形成して、該補強フィルム片をファスナーチェーンに接着することができる。

　また、本発明の開離嵌挿具付きスライドファスナーによれば、ファスナーエレメント列の端部側においてファスナーテープに接着される補強フィルム片を備え、補強フィルム片は、ファスナーテープの幅方向に沿って延びる、ファスナーエレメント列の端部と対向する第１辺及びファスナーエレメント列の側方に位置する第２辺と、第１辺から第２辺に向かってテープ側縁部から離れるように傾斜する傾斜辺と、からなる辺を有する。これにより、強度が比較的弱くなるスペース部からファスナーエレメント列の側部にかかる領域に、ファスナーエレメント列の下端に近接させて補強フィルム片を接着することができ、ファスナーエレメント列の下端部近傍の剛性を補強することができる。これにより、開離嵌挿具付きスライドファスナーの開離操作を容易にすると共に、耐久性の向上が図られる。

　また、蝶棒及び箱棒は、ファスナーエレメント列の側方に配置された補強条部を有し、補強条部は、傾斜辺の両端部と、傾斜辺の第２辺側の端部からファスナーテープの長手方向に沿って延びる仮想線と、傾斜辺の第１辺側の端部からファスナーテープの幅方向に沿って延びる仮想線との交点と、を結ぶ三角形領域内に位置する。これにより、蝶棒及び箱棒は、ファスナーテープに接着された補強フィルム片からはみ出すことなく補強フィルム片に強固に固着され、ファスナーチェーンとの接着強度が向上する。

本発明の一実施形態に係る補強フィルム接着装置の要部斜視図である。補強フィルム供給部材、打抜き機構、切断機構、補強フィルム片接着手段の側面図である。打抜き機構の平面図である。打抜き機構の斜視図である。本発明に係る補強フィルム片が接着されたファスナーストリンガーの平面図である。本発明に係る補強フィルム片が接着されたファスナーストリンガーに貫通孔が形成された平面図である。図６に示すファスナーストリンガーの補強フィルム片上に樹脂製の蝶棒及び箱棒が形成されたファスナーチェーンの平面図である。図７のファスナーチェーンを切断して、スライダーが取り付けられた開離嵌挿具付きスライドファスナーの平面図である。

　以下、本発明に係る補強フィルム接着装置の一実施形態について、図１から図４を参照して詳細に説明する。
　図１に示すように、補強フィルム接着装置１０は、ファスナーチェーン１１の後述するスペース部１２に、補強フィルム片１６を接着する接着装置である。この補強フィルム接着装置１０は、ファスナーチェーン搬送手段２０と、感知手段２４と、補強フィルムテープ供給手段３０と、打抜き機構５０と（図２参照）、切断機構７０と、補強フィルム片搬送手段８０と、補強フィルム片接着手段としての超音波溶着装置９０と、を備える。

　ファスナーチェーン１１は、図５に示すように、長尺な一対のファスナーテープ１３と、ファスナーテープ１３の対向するテープ側縁部１３ａに沿って取り付けられたファスナーエレメント列１５を有する。ファスナーエレメント列１５は、ファスナーチェーン１１の長さ方向に隣り合う多数のファスナーエレメント１４を有する。そして、ファスナーチェーン１１には、ファスナーエレメント列１５の所定の間隔ごとに、所定数のファスナーエレメント１４が除去されたスペース部１２が形成されている。

　ファスナーチェーン搬送手段２０は、超音波溶着装置９０の設置位置よりもファスナーチェーンの１１の搬送方向下流側に配置されている。ファスナーチェーン搬送手段２０は、搬送経路に沿ってファスナーチェーン１１を搬送する。そして、ファスナーチェーン搬送手段２０は、ファスナーチェーン１１の搬送経路を挟んで対向して配置された駆動ローラ２１と従動ローラ２２とを備えている。駆動ローラ２１は、図示せぬモータに接続されている。従動ローラ２２は、ファスナーチェーン１１を駆動ローラ２１に向けて押圧している。即ち、駆動ローラ２１と従動ローラ２２は、ファスナーチェーン１１を挟持している。ファスナーチェーン搬送手段２０は、駆動ローラ２１を回転駆動させることで、従動ローラ２２を同期的に回転させるとともに、ファスナーチェーン１１を搬送方向下流側へ向けて搬送する。

　感知手段２４は、超音波溶着装置９０の設置位置よりファスナーチェーン１１の搬送方向上流側に配置されている。感知手段２４は、ファスナーエレメント列１５の上方に配置された感知ローラ２５と、感知ローラ２５を上下方向に揺動可能に支持する揺動レバー２６を有する。感知ローラ２５は、搬送されるファスナーチェーン１１のファスナーエレメント列１５に接しながら回転する。感知ローラ２５は、搬送されるファスナーチェーン１１のスペース部１２が感知ローラ２５の下方位置に達した時、スペース部１２に侵入する。この時、感知ローラ２５は、一対のファスナーテープ１３のテープ側縁部１３ａ間に形成された隙間１２ａに入り込む。これにより、感知手段２４は、感知ローラ２５が下方へ移動するとともに、揺動レバー２６が下方へ揺動して、スペース部１２を検出する。

　ファスナーチェーン搬送手段２０は、感知手段２４によりスペース部１２が検出されると、所定の距離だけファスナーチェーン１１をさらに搬送する。そして、ファスナーチェーン搬送手段２０は、スペース部１２が超音波溶着装置９０の位置と上面視で重なる位置に移動した時、ファスナーチェーン１１の搬送を停止する。そして、ファスナーチェーン搬送手段２０は、後述するように超音波溶着装置９０での接着が完了した後、ファスナーチェーン１１の搬送を再開する。ファスナーチェーン搬送手段２０は、上記動作を繰り返して、ファスナーチェーン１１を搬送する。

　図２及び図３に示すように、補強フィルムテープ供給手段３０は、ファスナーチェーン１１の搬送経路の側方に配置されている。補強フィルムテープ供給手段３０は、補強フィルム供給部材３１と、補強フィルム供給部材３１を着脱自在に支持する支持手段３２と、を備える。

　補強フィルム供給部材３１は、補強フィルムテープ１７が巻回された一対のテープリール３３と、テープリール３３を支持するテープリール支持部３４と、テープリール３３から引き出された補強フィルムテープ１７を案内する案内ロッド（案内部材）３５及びガイドヘッド３６と、を備える。テープリール支持部３４は、その長さ方向の一方端で第１テープリール３３ａを回転自在に支持し、一方端と反対側の他方端で第２テープリール３３ｂを支持している。案内ロッド３５は、テープリール支持部３４の長手方向中間部に固定されて、テープリール支持部３４の長手方向と直交する方向に延びている。即ち、案内ロッド３５は、補強フィルムテープ１７の引き出し方向に延びている。ガイドヘッド３６は、案内ロッド３５の先端側に配置されるとともに、案内ロッド３５に対して補強フィルムテープ１７の引き出し方向（案内ロッド３５の延在方向）に相対移動自在に配設されている。

　なお、補強フィルムテープ１７は、ナイロン系やポリエステル系などの比較的低融点の合成樹脂で形成されたフィルムテープである。

　ガイドヘッド３６には、一対の軸３８が固定されている。一対の軸３８は、案内ロッド３５の先端部に設けられたガイドヘッド支持部３７に対して摺動自在に嵌合する。これにより、ガイドヘッド３６は、ガイドヘッド支持部３７に接近する位置と離間する位置とに移動可能に支持されている。そして、ガイドヘッド３６は、不図示のコイルばねの弾性力により、ガイドヘッド支持部３７から離間する方向（補強フィルムテープ１７の引き出し方向）へ常に付勢されている。図１に示すように、ガイドヘッド３６には、補強フィルムテープ１７を挿通する一対のスリット３９が形成されている。各スリット３９は、上下方向に間隔を空けて、互いに平行に配置されている。各スリット３９は、補強フィルムテープ１７を、補強フィルムテープ１７の引き出し方向に沿って案内する。また、ガイドヘッド３６の先端面側の上下方向縁部には、面取り３６ａが施されている。面取り３６ａは、切断機構７０の切断機能を補助するように形成されており、後に詳述する。

　ガイドヘッド支持部３７には、テープリール３３から引き出される補強フィルムテープ１７を挿通する一対のスリット４１が形成されている。各スリット４１は、補強フィルムテープ１７を、補強フィルムテープ１７の引き出し方向に沿って案内する。また、ガイドヘッド支持部３７の側面には、後述する打抜き機構５０のパンチ５１及びダイ５２が加工位置ＯＰに位置する際に入りこむ凹部４０が形成されている。凹部４０は、ファスナーチェーン１１の搬送方向上流側に向けて開口している。スリット４１は、凹部４０を挟んで、補強フィルムテープ１７の引き出し方向に分断されている。これにより、補強フィルムテープ１７は、スリット４１に挿通するとともに、凹部４０にも通される。これにより、補強フィルムテープ１７は、凹部４０において露出している。
　なお、本実施形態では、各スリット３９，４１は、ガイドヘッド３６及びガイドヘッド支持部３７の幅方向側面まで切欠かれているが、補強フィルムテープ１７の挿通を許容するものであれば、孔であってもよい。

　案内ロッド３５には、ガイドヘッド支持部３７とテープリール支持部３４の間の位置に、支持手段３２に載置されるための被支持部４２が設けられている。この被支持部４２の上下の角部には、支持手段３２に形成された溝３２ａと係合して、補強フィルム供給部材３１を固定するための係止凸部４３が設けられている。係止凸部４３は、上下対称に設けられており、補強フィルム供給部材３１が上下反転して使用される場合にも適用可能に構成されている。これにより、打抜き機構に配置に応じて、補強フィルム供給部材３１は、凹部４０がファスナーチェーン１１の搬送方向上流側に開口する場合と、凹部４０がファスナーチェーン１１の搬送方向下流側に開口する場合とに選択して配置することができる。また、被支持部４２内には、案内ロッド３５の先端に向けて、テープリール３３から引き出される補強フィルムテープ１７の移動を許容すると共に、逆方向への移動を阻止する不図示の制動部材が配設されている。

　図３及び図４に示すように、打抜き機構５０は、補強フィルムテープ１７を加工する加工位置ＯＰと、補強フィルムテープ１７から離間する待機位置ＷＰとの間を移動するパンチ５１とダイ５２を備え、補強フィルム供給部材３１から引き出される補強フィルムテープ１７の側縁に台形形状の切欠き部１０１を形成する。

　打抜き機構５０は、基台５３に固定された固定台５５と、固定台５５に沿って移動可能な保持部材５７を備える。パンチ５１とダイ５２は、保持部材５７に保持されている。固定台５５は、基台５３の上面から起立する支柱５４に固定されている。この固定台５５の上面には、リニアガイド５６が固定されている。保持部材５７は、リニアガイド５６に案内されながら、補強フィルムテープ１７の搬送方向と直交する方向に沿って移動可能に配設されている。

　固定台５５の上面には、保持部材駆動手段であるエアシリンダ５８が固定されている。エアシリンダ５８のピストンロッドは、保持部材５７に連結されている。保持部材５７は、エアシリンダ５８が作動することにより、リニアガイド５６に案内されて補強フィルムテープ１７の搬送方向と直交する方向に移動する。これにより、パンチ５１及びダイ５２が、加工位置ＯＰと待機位置ＷＰとの間を移動する。

　保持部材５７には、支持手段３２の側面と対向する部位に、支持手段３２に向けて突出するストッパ５９が設けられている。ストッパ５９は、突出長さを調節可能である。ストッパ５９は、パンチ５１及びダイ５２が待機位置ＷＰに移動した時、支持手段３２の側面から離間している。一方、ストッパ５９は、パンチ５１及びダイ５２が加工位置ＯＰに移動した時、支持手段３２の側面に当接する。これにより、ストッパ５９は、パンチ５１及びダイ５２を加工位置ＯＰに位置決めする。

　また、保持部材５７には、摺動子６０ｂと協働してリニアガイド６０を構成するガイドレール６０ａが固定されている。ガイドレール６０ａは、上下方向に延びている。摺動子６０ｂは、ガイドレール６０ａに沿って上下方向に移動可能に配置されている。摺動子６０ｂには、パンチ５１が一体に固定されている。パンチ５１の下方にはダイ５２が配置されている。ダイ５２には、補強フィルムテープ１７を案内する一対のスリット６１が形成されている。各スリット６１は、上下方向に間隔を空けて、互いに平行に配置されている。また、スリット６１は、ガイドヘッド支持部３７の一対のスリット４１に対向する位置に配置されている。

　保持部材５７には、パンチ駆動手段であるエアシリンダ６２が固定されている。エアシリンダ６２は、摺動子６０ｂに連結されている。摺動子６０ｂは、エアシリンダ６２を作動させることにより、パンチ５１とともに、ガイドレール６０ａに沿って上下方向に移動する。これにより、パンチ５１は、ダイ５２に対して上下方向に相対移動して、スリット６１で案内される補強フィルムテープ１７を加工する。

　ダイ５２の下部には、補強フィルムテープ１７の加工により発生する切り屑を排出する排出路６４が接続されている。排出路６４の下端には、ダクトホース６３の一端が接続されている。そして、ダクトホース６３の他端は、不図示の吸引装置に接続されている。吸引装置は、切り屑を排出路６４及びダクトホース６３を通してバキューム吸引する。この吸引装置としては、例えば、真空ポンプを採用できる。更に、不図示の送風装置が排出路６４に接続されている。送風装置は、排出路６４内にエアを噴出して、排出路６４内の切り屑をダクトホース６３へ向けて排出するようにしている。送風装置としては、例えば、ブロワーを採用できる。

　また、図２及び図４に示すように、一対のフィルムセンサ６５が上下方向に対向して配設されている。各フィルムセンサ６５は、固定台５５に固定されたフレーム６６に支持されている。一対のフィルムセンサ６５は、ガイドヘッド支持部３７の側面に設けられた凹部４０に対応して、上下に配置されている。これにより、フィルムセンサ６５は、補強フィルムテープ１７の有無を検出する。フィルムセンサとしては、例えば、光の反射を検知する反射センサを採用できる。

　図１及び図２に戻り、切断機構７０は、ガイドヘッド３６の下方に配置され、シリンダなどの駆動装置７１で上下方向に駆動される移動刃７２を備える。即ち、移動刃７２は、ガイドヘッド３６に接近する位置と、離間する位置とに移動可能である。移動刃７２は、不図示の弾性部材により、図２において支持ピン７３を中心として時計回り方向に付勢されている。移動刃７２は、移動刃７２が上下動する際、ガイドヘッド３６の先端面３６ｂに摺接する。この時、移動刃７２には、弾性部材によって、ガイドヘッド３６を補強フィルムテープ１７の引き出し方向と反対方向に押圧する押圧力が作用している。

　ガイドヘッド３６の先端面３６ｂは、刃物台として機能する。ガイドヘッド３６は、移動刃７２と協働して、ガイドヘッド３６の一対のスリット３９から引き出された一対の補強フィルムテープ１７を切断して、補強フィルム片１６を形成する。

　なお、ガイドヘッド３６の先端面３６ｂの上下縁部に設けられた面取り３６ａは、移動刃７２が先端面３６ｂに沿って摺動するように移動刃７２を案内する。また、移動刃７２とガイドヘッド３６には、移動刃７２がガイドヘッド３６の先端面３６ｂを上方移動する際に、互いを押圧する押圧力が作用している。これにより、移動刃７２とガイドヘッド３６は、補強フィルムテープ１７を精度よく切断することができる。切断機構７０により切断される補強フィルム片１６の長さは、ファスナーチェーン１１の幅寸法よりも僅かに短くなるように設定されている。

　図１に示すように、補強フィルム片搬送手段８０は、一対の補強フィルムテープ１７又は一対の補強フィルム片１６を把持するグリッパ８１と、グリッパ８１を補強フィルムテープ１７の引き出し方向に沿って移動させるグリッパ駆動手段（図示せず）と、を備える。

　グリッパ８１は、先端部にファスナーチェーン１１を収容可能な溝８３ａを有する固定ジョー８３と、固定ジョー８３に対向して上下に配置された一対の可動ジョー８４ａ，８４ｂとを備える。可動ジョー８４ａ，８４ｂは、補強フィルムテープ１７の引き出し方向に長尺で、ガイドヘッド３６に対向する先端と、先端と反対側の基端と、先端と基端との間の中間部を有する。この可動ジョー８４ａ，８４ｂは、中間部に設けられた軸８５を中心にして、不図示のホルダーに揺動自在に支持されている。そして、可動ジョー８４ａ，８４ｂは、その先端が固定ジョー８３の先端から離間するように、不図示のばねで付勢されている。即ち、可動ジョー８４ａ，８４ｂは、固定ジョー８３の先端に接近する位置と、固定ジョー８３の先端から離間する位置とに移動可能である。

　固定ジョー８３の先端と可動ジョー８４ａ，８４ｂの先端との間には、一対の開口部８６ａ，８６ｂが開閉可能に形成されている。各開口部８６ａ，８６ｂは、それぞれガイドヘッド３６の一対のスリット３９に臨む位置にある。一対の補強フィルムテープ１７の先端は、スリット３９から突出した時、それぞれ対応する開口部８６ａ，８６ｂに挿入されて把持される。

　また、一対の可動ジョー８４ａ，８４ｂの基端間には隙間８７が形成されている。この隙間８７には、ピストン８８の先端に形成されたカム部８８ａが進入可能に配置されている。ピストン８８は、不図示のばねにより隙間８７から離間するように付勢されている。可動ジョー８４ａ，８４ｂの先端は、ピストン８８のカム部８８ａがばねの弾性力によって隙間８７から離間しているとき、固定ジョー８３の先端から離間している。これにより、可動ジョー８４ａ，８４ｂの先端と固定ジョー８３の先端の間には、開口部８６ａ，８６ｂが開口する。

　そして、グリッパ８１は、一対の補強フィルムテープ１７を開口部８６ａ，８６ｂに挿入した後、ピストン８８のカム部８８ａを隙間８７に進入させる。これにより、一対の可動ジョー８４ａ，８４ｂは、軸８５を中心にして揺動し、開口部８６ａ，８６ｂを閉じる。この時、固定ジョー８３の先端と可動ジョー８４ａ，８４ｂの先端とが一対の補強フィルムテープ１７を把持する。

　グリッパ駆動手段（図示せず）は、例えば、サーボモータで回転駆動されるボールねじ機構（図示せず）によって、グリッパ８１をファスナーチェーン１１の搬送方向と直交する方向（補強フィルムテープ１７の引き出し方向）に沿って移動させる。

　これにより、グリッパ８１は、ファスナーチェーン１１の搬送方向と直交する方向に沿う複数の任意の位置で停止可能である。例えば、グリッパ８１は、スリット３９で案内される一対の補強フィルムテープ１７の先端をグリッパ８１で把持する把持位置、一対の補強フィルムテープ１７を所定長さ引き出して切断する切断位置、一対の補強フィルム片１６をファスナーチェーン１１に接着する接着位置などで停止可能である。また、グリッパ８１は、サーボモータによって駆動されるボールねじ機構で移動するので、補強フィルムテープ１７を引き出す長さを任意の長さに設定することができる。これにより、補強フィルムテープ１７を切断して得られる補強フィルム片１６の長さは、ファスナーチェーン１１の幅寸法に合わせて、任意の長さに容易に設定することができる。

　超音波溶着装置９０は、ガイドヘッド３６から引き出された一対の補強フィルムテープ１７とファスナーチェーン１１とが、上面視で交差する位置に配置されている。

　超音波溶着装置９０は、補強フィルム片１６に接し、補強フィルム片１６を加熱する。この超音波溶着装置９０は、ファスナーチェーン１１の搬送経路を挟んで対向して配置された超音波ホーン９１とアンビル９２とを備える。超音波ホーン９１は、ファスナーチェーン１１の上方に配置されている。アンビル９２は、ファスナーチェーン１１の下方に配置されている。超音波溶着装置９０は、ファスナーチェーン１１と、ファスナーチェーン１１の上下面に対向して配置した一対の補強フィルム片１６とを、超音波ホーン９１とアンビル９２とで挟持して超音波加工する。これにより、補強フィルム片１６がファスナーチェーン１１の上下面に溶着する。

　次に、補強フィルム接着装置１０の作用について説明する。なお、補強フィルム供給部材３１は、一対のテープリール３３から繰り出された補強フィルムテープ１７が、案内ロッド３５に沿って導出され、被支持部４２内と、ガイドヘッド支持部３７の上下一対のスリット４１と、ガイドヘッド３６の一対のスリット３９に挿通されているものとする。

　補強フィルム供給部材３１は、被支持部４２の上下の角部に形成された係止凸部４３を、支持手段３２の溝３２ａに係合させて、支持手段３２に装着する。

　そして、図３及び図４に示すように、保持部材５７が、エアシリンダ５８のピストンロッドが伸びることで、パンチ５１及びダイ５２と共に待機位置ＷＰから加工位置ＯＰに移動する。これにより、ダイ５２が、ガイドヘッド支持部３７の側面に設けられた凹部４０に入り込む。この時、凹部４０を通る補強フィルムテープ１７は、ダイ５２の上下一対のスリット６１に侵入する。即ち、ダイ５２は、ガイドヘッド支持部３７に干渉することなく、補強フィルムテープ１７に接近し、補強フィルムテープ１７の側縁と上下方向に対応するように位置することができる。

　ここで、パンチ５１は、エアシリンダ６２を作動させることで、ダイ５２に対して上下方向に相対移動する。この時、パンチ５１とダイ５２は、補強フィルムテープ１７の側縁の一部を打ち抜く。これにより、補強フィルムテープ１７の側縁には、台形形状の切欠き部１０１が形成される。次いで、保持部材５７は、エアシリンダ５８のピストンロッドが縮むことで、パンチ５１及びダイ５２と共に加工位置ＯＰから待機位置ＷＰに移動する。パンチ５１とダイ５２により打ち抜かれた補強フィルムテープ１７の切り屑は、パンチ５１及びダイ５２とともに待機位置ＷＰに移動した後、バキューム吸引されて、排出路６４及びダクトホース６３から不図示のダストボックスに排出される。

　パンチ５１及びダイ５２は、切欠き部１０１を形成するごとに待機位置ＷＰと加工位置ＯＰとの間を移動する。また、パンチ５１及びダイ５２は、後述する補強フィルムテープ１７の引き出し時に待機位置ＷＰにある。よって、補強フィルムテープ１７は、補強フィルムテープ１７の引き出し時に、ダイ５２と干渉することなく引き出される。なお、切欠き部１０１の形状については、後に詳述する。

　ここで、図１に示すように、グリッパ８１は、可動ジョー８４ａ，８４ｂの先端が固定ジョー８３の先端から離間して、開口部８６ａ，８６ｂが開口している。グリッパ８１は、ボールねじ機構によりガイドヘッド３６に向けて移動し、固定ジョー８３の先端をガイドヘッド３６の先端面３６ｂに当接させる。そして、グリッパ８１は、コイルばね（図示せず）の弾性力に抗して、ガイドヘッド３６を補強フィルムテープ１７の引き出し方向と逆方向に移動させる。

　この時、補強フィルムテープ１７は、制動部材によって、補強フィルムテープ１７の引き出し方向と逆方向への移動が阻止されている。よって、補強フィルムテープ１７は、ガイドヘッド３６が移動した長さだけ、先端１７ａがスリット３９から突出し、グリッパ８１の開口部８６ａ，８６ｂに挿入される。

　次いで、グリッパ８１は、ピストン８８のカム部８８ａをグリッパ８１の隙間８７から進入させることで、開口部８６ａ，８６ｂを閉じる。これにより、固定ジョー８３の先端と可動ジョー８４ａ，８４ｂの先端は、一対の補強フィルムテープ１７の先端１７ａを把持する。その後、グリッパ８１は、補強フィルムテープ１７の引き出し方向へ所定の距離だけ移動する。この距離としては、例えば、ファスナーチェーン１１の幅寸法より僅かに短い距離である。これにより、グリッパ８１は、一対の補強フィルムテープ１７をガイドヘッド３６のスリット３９から引き出す。

　このとき、固定ジョー８３は、ガイドヘッド３６の先端面３６ｂから離間する。即ち、グリッパ８１は、ガイドヘッド３６の押圧を解除する。これにより、ガイドヘッド３６は、コイルばねの弾性力により元の位置に復帰する。この時、ガイドヘッド３６とガイドヘッド支持部３７との間には隙間が形成される。また、補強フィルムテープ１７は、ガイドヘッド３６のスリット３９内に、次にガイドヘッド３６が押圧された時に、ガイドヘッド３６から突出する長さが準備される。

　補強フィルムテープ１７は、グリッパ８１によって引き出される時、不図示の制動装置によって、引き出し方向への移動に抵抗力が作用している。これにより、補強フィルムテープ１７は、張力が作用した状態で引き出される。よって、補強フィルムテープ１７は、曲がった姿勢で引き出されることがなく、安定した姿勢で引き出すことができる。

　そして、切断機構７０は、駆動装置７１を作動させることにより、移動刃７２をガイドヘッド３６の先端面３６ｂに沿って上昇させる。この時、移動刃７２は、グリッパ８１が把持する一対の補強フィルムテープ１７を、ガイドヘッド３６の先端面３６ｂと協働して切断する。これにより、切断機構７０は、補強フィルムテープ１７を切断することで、所定長さの補強フィルム片１６を形成する。即ち、補強フィルム片１６は、補強フィルムテープ１７から分離した部分である。この補強フィルム片１６は、台形形状の切欠き部１０１を有する。

　一方、ファスナーチェーン１１は、ファスナーチェーン搬送手段２０によって、搬送方向上流側から下流側に向けて搬送される。この時、感知手段２４は、感知ローラ２５が、ファスナーチェーン１１のファスナーエレメント列１５に接触しながら回転している。感知ローラ２５は、ファスナーチェーン１１のスペース部１２が感知ローラ２５の位置に達すると、ファスナーエレメント列１５との接触から解放され、スペース部１２に侵入する。この時、感知ローラ２５は、一対のファスナーテープのテープ側縁部１３ａ間に形成された隙間１２ａに入り込む。これにより、感知手段２４は、感知ローラ２５が下方へ移動するとともに、揺動レバー２６が揺動することでスペース部１２を検出する。検出後、スペース部１２は、超音波溶着装置９０の超音波ホーン９１とアンビル９２との間に位置するまで更に搬送されて停止する。

　そして、グリッパ８１は、一対の補強フィルム片１６を把持しながら、超音波ホーン９１とアンビル９２との間に移動させる。この時、一対の補強フィルム片１６のうち、一方の補強フィルム片１６は、ファスナーチェーン１１の上面に対向するように配置され、他方の補強フィルム片１６は、ファスナーチェーン１１の下面に対向するように配置される。そして、超音波溶着装置９０は、一対の補強フィルム片１６をファスナーチェーン１１と共に挟持して超音波加工する。これにより、一対の補強フィルム片１６は、ファスナーチェーン１１の上下面に溶着する。なお、補強フィルム片接着手段は、上記超音波溶着装置に限定されない。補強フィルム片接着手段は、例えば、ヒータであってもよい。この場合、ヒータを内蔵した加熱部材が、補強フィルム片に接し、補強フィルム片１６を加熱する。

　以後、補強フィルム接着装置は、上述した動作と同様の動作を繰り返す。これにより、補強フィルム片１６は、ファスナーチェーン１１のスペース部１２に順次溶着される。

　次に、本実施形態の補強フィルム接着装置により補強フィルム片が接着されたファスナーチェーン（ファスナーストリンガー）及び開離嵌挿具付きスライドファスナーについて図５～図７を参照して説明する。

　ファスナーチェーン１１は、図５～図７に示すように、長尺の一対のファスナーテープ１３と、各ファスナーテープ１３の対向するテープ側縁部１３ａに沿って取り付けられたファスナーエレメント列１５を有する。ファスナーエレメント列１５は、ファスナーチェーンの１１の長さ方向に隣り合う多数のファスナーエレメント１４を有する。そして、ファスナーチェーン１１は、その長さ方向の所定の間隔ごとに、ファスナーエレメント１４が除去されたスペース部１２を有する。スペース部１２には、補強フィルム片１６が接着されている。補強フィルム片１６は、ファスナーエレメント列１５の端部（搬送方向下流側の端部）１５ａに近接して配置されるとともに、ファスナーエレメント列１５の端部の側方に配置される。なお、スペース部１２を挟んで配置された、一方のファスナーエレメント列１５の端部１５ａのファスナーエレメント１４と、他方のファスナーエレメント列１５の端部１５ｂのファスナーエレメント１４は、テープ側縁部１３ａに溶着されている。

　補強フィルム片１６は、台形形状の切欠き部１０１を有する。切欠き部１０１は、互いに平行に形成された第１辺１０２及び第２辺１０３と、第１辺１０２と第２辺１０３とを繋ぐ一対の傾斜辺１０４とから構成されている。なお、第１辺１０２は、台形形状の底部を構成する。

　第１辺１０２は、ファスナーエレメント列１５の端部１５ａと対向して配置されるとともに、ファスナーテープ１３の幅方向に沿って延びるように配置されている。第２辺１０３は、ファスナーエレメント列１５の側方に配置されるとともに、ファスナーテープ１３の幅方向に沿って延びるように配置されている。傾斜辺１０４は、スペース部１２からファスナーエレメント列１５の側方に向けて延びるとともに、第１辺１０２から第２辺１０３に向かうに従って、テープ側縁部１３ａから徐々に離れるように配置されている。

　このように、補強フィルム片１６は、スペース部１２からファスナーエレメント列１５の端部１５ａの側方にかけて、ファスナーテープ１３に接着されている。これにより、補強フィルム片１６は、ファスナーエレメント列１５の端部１５ａ近傍の剛性を高めることができる。また、補強フィルム片１６は、開離嵌挿具の蝶棒１１１及び箱棒１１２がそれぞれ位置するファスナーテープ１３の部分を覆うように、ファスナーテープ１３に接着されている。これにより、ファスナーテープ１３は、蝶棒１１１及び箱棒１１２を射出成形する時の圧力によって姿勢を乱すことなく、蝶棒１１１及び箱棒１１２に対して適正な姿勢で固定される。また、ファスナーテープ１３と補強フィルム片１６との境界部に作用する応力が傾斜辺１０４によって緩和される。よって、補強フィルム片１６の耐久性が向上する。

　次に、図６に示すように、補強フィルム片１６は、スペース部１２において、一対のファスナーテープ１３のテープ側縁部１３ａ間に形成された隙間１２ａに位置する部分が切断される。また、ファスナーテープ１３及び補強フィルム片１６には、開離嵌挿具が固定される部分に、複数の貫通孔１１３が設けられている。貫通孔１１３には、開離嵌挿具の蝶棒１１１及び箱棒１１２を射出成形する時に、溶融状態の樹脂が流入する。これら貫通孔１１３のうち、ファスナーエレメント列１５の端部１５ａに最も接近して配置された貫通孔１１３ａは、貫通孔１１３ａの少なくとも一部が、傾斜辺１０４の両端Ａ，Ｂと、傾斜辺１０４の一端Ａからファスナーテープ１３の長手方向に沿って延びる仮想線Ｌ１と傾斜辺１０４の他端Ｂからファスナーテープ１３の幅方向に沿って延びる仮想線Ｌ２との交点Ｃと、を結ぶ三角形領域Ｓに位置している。

その後、図７に示すように、補強フィルム片１６とファスナーテープ１３には、ファスナーチェーン１１の上下方向に貫通する開口部１０５が形成される。開口部１０５は、ファスナーエレメント列１５の端部１５ａから離間した位置に形成される。そして、蝶棒１１１及び箱棒１１２が、補強フィルム片１６上に射出成形される。蝶棒１１１及び箱棒１１２は、ポリアセタール、ポアミドなどの熱可塑性樹脂で形成されている。蝶棒１１１及び箱棒１１２は、各々を形成する樹脂が貫通孔１１３に入り込むことで、補強フィルム片１６及びファスナーテープ１３に対して強固に固定される。

　蝶棒１１１及び箱棒１１２は、ファスナーエレメント列１５の側方に配置された補強条部１１１ａ，１１２ａを有する。そして、補強条部１１１ａ，１１２ａの少なくとも一部は、前述した三角形領域Ｓ内に位置している。これにより、補強条部１１１ａ，１１２ａは、補強フィルム片１６と共に、ファスナーエレメント列１５の端部１５ａ近傍の剛性を向上させることができる。

　そして、ファスナーチェーン１１は、スペース部１２の位置Ｐで切断される。位置Ｐは、ファスナーチェーン１１の幅方向において、開口部１０５を挟んだ位置である。図８は、切断後の開離嵌挿具付きスライドファスナー１００を示している。開離嵌挿具付きスライドファスナー１００は、所定の長さの一対のファスナーストリンガー１１ａ，１１ｂを備える。各ファスナーストリンガー１１ａ，１１ｂは、ファスナーテープ１３の対向するテープ側縁部１３ａにファスナーエレメント列１５が取り付けられている。また、蝶棒１１１は、一方のファスナーストリンガー１１ａのファスナーエレメント列１５の端部１５ａ側に設けられ、箱棒１１２は、他方のファスナーストリンガー１１ｂのファスナーエレメント列１５の端部１５ａ側に設けられる。さらに、第１スライダー１２０と第２スライダー１２１がファスナーエレメント列１５に挿通されている。各スライダー１２０、１２１は、ファスナーエレメント列１５に沿って移動可能である。各スライダー１２０、１２１は、互いに離間した時、ファスナーエレメント列１５を噛み合せ、互いに接近した時、ファスナーエレメント列１５の噛み合いを分離させる。また、ファスナーエレメント列１５の他端側には、第１スライダー１２０がファスナーエレメント列１５から抜け取れることを防止するための止具１３０，１３１が固着されている。

　以上説明したように、本実施形態の補強フィルム接着装置１０は、ファスナーチェーン搬送手段２０と、補強フィルムテープ１７を供給する補強フィルム供給部材３１と、補強フィルムテープ１７の側縁に台形形状の切欠き部１０１を形成する打抜き機構５０と、補強フィルムテープ１７を所定の長さに切断して補強フィルム片１６を形成する切断機構７０と、補強フィルム片１６を把持してファスナーチェーン１１へ搬送するグリッパ８１と、ファスナーチェーン１１に補強フィルム片１６を接着する超音波溶着装置９０と、を備える。これにより、補強フィルム接着装置１０は、打抜き機構５０のパンチ５１及びダイ５２が、加工位置ＯＰにて補強フィルムテープ１７の側縁に台形形状の切欠き部１０１を形成した後、パンチ５１及びダイ５２が切り屑とともに待機位置ＷＰに移動するので、切り屑が補強フィルムテープ１７に付着したままとなることが防止される。よって、補強フィルム接着装置１０は、補強フィルムテープ１７の側縁に台形形状の切欠き部１０１を効率的に形成して、該補強フィルム片１６をファスナーチェーン１１に接着することができる。

　また、補強フィルム供給部材３１は、補強フィルムテープ１７を引き出し方向に案内するガイドヘッド支持部３７を備える。ガイドヘッド支持部３７には、パンチ５１及びダイ５２が加工位置ＯＰに位置する際に入りこむ凹部４０が形成されている。これにより、パンチ５１及びダイ５２は、加工位置ＯＰに移動した時、ガイドヘッド支持部３７に干渉することなく、補強フィルムテープ１７に接近することができる。そして、パンチ５１及びダイ５２は、補強フィルムテープ１７の側縁に台形形状の切欠き部１０１を形成することができる。

　また、打抜き機構５０は、ダイ５２及びパンチ５１を保持する保持部材５７と、パンチ５１を上下方向に駆動するエアシリンダ（パンチ駆動手段）６２と、パンチ５１及びダイ５２を加工位置ＯＰと待機位置ＷＰとの間で駆動するエアシリンダ（保持部材駆動手段）５８と、を備える。打抜き機構５０は、パンチ５１及びダイ５２を加工位置ＯＰと待機位置ＷＰへ一緒に移動させることができる。よって、パンチ５１及びダイ５２は、補強フィルムテープ１７を引き出す際の障害にならない。

　また、本発明の開離嵌挿具付きスライドファスナー１００は、ファスナーエレメント列１５の一端近傍においてスペース部１２に接着される補強フィルム片１６を備える。補強フィルム片１６は、ファスナーテープ１３の幅方向に沿って延び、ファスナーエレメント列１５の端部１５ａと近接対向する第１辺１０２及びファスナーエレメント列１５の側方に位置する第２辺１０３と、第１辺１０２から第２辺１０３に向かってテープ側縁部１３ａから離れるように傾斜する傾斜辺１０４と、からなる辺を有する。これにより、補強フィルム片１６は、スペース部１２からファスナーエレメント列１５の側部にかかる領域の剛性を向上させることができる。また、蝶棒１１１及び箱棒１１２は、ファスナーエレメント列１５の側方に配置された補強条部１１１ａ，１１２ａを有する。補強条部１１１ａ，１１２ａは、傾斜辺１０４の両端部Ａ，Ｂと、傾斜辺１０４の第２辺１０３側の端部Ａからファスナーテープ１３の長手方向に沿って延びる仮想線Ｌ１と、傾斜辺１０４の第１辺１０２側の端部Ｂからファスナーテープ１３の幅方向に沿って延びる仮想線Ｌ２との交点Ｃと、を結ぶ三角形領域Ｓ内に位置している。これにより、補強条部１１１ａ，１１２ａは、ファスナーエレメント列１５の端部１５ａ近傍の剛性を向上させることができる。また、補強フィルム片１６及び補強条部１１１ａ，１１２ａは、開離嵌挿具付きスライドファスナー１００の開離操作を容易にすると共に、耐久性を向上させることができる。

　また、補強フィルム片１６の三角形領域Ｓには、蝶棒１１１及び箱棒１１２を射出成形した時、蝶棒１１１及び箱棒１１２を形成するための樹脂が入り込む貫通孔１１３を備える。これにより、蝶棒１１１及び箱棒１１２とファスナーチェーン１１とは、接着強度が向上する。

　なお、本発明は上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、コイル状のエレメントが縫着されたエレメント列について説明したが、射出成形された合成樹脂製エレメント列や、金属製エレメント列であってもよい。

１０　補強フィルム接着装置
１１　ファスナーチェーン
１１ａ，１１ｂ　ファスナーストリンガー
１３　ファスナーテープ
１３ａ　テープ側縁部
１５　ファスナーエレメント列
１５ａ　端部（一端）
１６　補強フィルム片
１７　補強フィルムテープ
２０　ファスナーチェーン搬送手段
３０　補強フィルムテープ供給手段
３１　補強フィルム供給部材
３３　テープリール
３４　テープリール支持部
３５　案内ロッド（案内部材）
４０　凹部
５０　打抜き機構
５１　パンチ
５２　ダイ
５７　保持部材
５８　エアシリンダ（保持部材駆動手段）
６２　エアシリンダ（パンチ駆動手段）
７０　切断機構
８０　補強フィルム片搬送手段
８１　グリッパ
９０　超音波溶着装置（補強フィルム片接着手段）
１００　開離嵌挿具付きスライドファスナー
１０１　切欠き部
１０２　第１辺
１０３　第２辺
１０４　傾斜辺
１１１　蝶棒
１１１ａ，１１２ａ　補強条部
１１２　箱棒
１１３　貫通孔
Ａ，Ｂ　傾斜辺の両端部
Ｃ　交点
Ｌ１，Ｌ２　仮想線
ＯＰ　加工位置
Ｓ　三角形領域
ＷＰ　待機位置

Claims

　ファスナーチェーン（１１）を搬送するファスナーチェーン搬送手段（２０）と、
　補強フィルムテープ（１７）を供給する補強フィルムテープ供給手段（３０）と、
　前記補強フィルムテープを加工する加工位置（ＯＰ）と、前記補強フィルムテープから離間する待機位置（ＷＰ）との間を移動可能なパンチ（５１）及びダイ（５２）を備え、前記補強フィルムテープ供給手段から引き出される前記補強フィルムテープの側縁に台形形状の切欠き部（１０１）を形成する打抜き機構（５０）と、
　前記補強フィルムテープを所定の長さに切断して、前記切欠き部（１０１）を有した補強フィルム片（１６）を形成する切断機構（７０）と、
　前記補強フィルム片を把持して前記ファスナーチェーンの搬送方向と直交する方向に搬送するグリッパ（８１）と、
　前記ファスナーチェーンの上面及び下面の少なくとも一方に前記補強フィルム片を接着する補強フィルム片接着手段（９０）と、
を備えることを特徴とする補強フィルム接着装置（１０）。
　前記補強フィルムテープ供給手段（３０）は、前記補強フィルムテープ（１７）が巻回されるテープリール（３３）と、前記テープリール（３３）から引き出された前記補強フィルムテープ（１７）を案内する案内部材（３５）と、備え、
　前記案内部材（３５）には、前記パンチ（５１）及びダイ（５２）が前記加工位置（ＯＰ）に位置する際に入りこむ凹部（４０）が形成されていることを特徴とする請求項１に記載の補強フィルム接着装置（１０）。
　一対のファスナーテープ（１３）の対向するテープ側縁部（１３ａ）にファスナーエレメント列（１５）が形成された一対のファスナーストリンガー（１１ａ，１１ｂ）と、
　前記一方のファスナーストリンガー（１１ａ）の前記ファスナーエレメント列の端部（１５ａ）側に設けられた蝶棒（１１１）と、
　前記他方のファスナーストリンガー（１１ｂ）の前記ファスナーエレメント列の端部側に設けられた箱棒（１１２）と、
　前記蝶棒及び前記箱棒がそれぞれ位置する前記ファスナーテープの部分を覆うように、前記ファスナーテープに接着される補強フィルム片（１６）と、
を有し、
　前記補強フィルム片の前記ファスナーエレメント列寄りの辺は、前記ファスナーエレメント列の端部と前記ファスナーテープの長手方向で対向して、前記ファスナーテープの幅方向に沿って延びる第１辺（１０２）と、前記ファスナーエレメント列の側方で、前記ファスナーテープの幅方向に沿って延びる第２辺（１０３）と、前記第１辺から前記第２辺に向かって、テープ側縁部から徐々に離れるように傾斜する傾斜辺（１０４）とによって構成されることを特徴とする開離嵌挿具付きスライドファスナー（１００）。
　前記蝶棒及び前記箱棒は、前記ファスナーエレメント列の側方に配置された補強条部（１１１ａ，１１２ａ）を有し、
　前記補強条部は、前記傾斜辺の両端部（Ａ，Ｂ）と、前記傾斜辺の前記第２辺側の端部（Ａ）から前記ファスナーテープの長手方向に沿って延びる仮想線（Ｌ１）と、前記傾斜辺の前記第１辺側の端部（Ｂ）から前記ファスナーテープの幅方向に沿って延びる仮想線（Ｌ２）との交点（Ｃ）と、を結ぶ三角形領域（Ｓ）内に位置することを特徴とする請求項３に記載の開離嵌挿具付きスライドファスナー（１００）。
　前記補強フィルム片（１６）は、前記三角形領域（Ｓ）に、前記蝶棒（１１１）及び前記箱棒（１１２）を形成するための樹脂が入り込む貫通孔（１１３）を備えることを特徴とする請求項４に記載の開離嵌挿具付きスライドファスナー（１００）。