WO2015080113A1

WO2015080113A1 - 剃刀

Info

Publication number: WO2015080113A1
Application number: PCT/JP2014/081149
Authority: WO
Inventors: 樹也古田
Original assignee: 株式会社貝印刃物開発センター
Priority date: 2013-11-27
Filing date: 2014-11-26
Publication date: 2015-06-04
Also published as: EP3075498A1; JP6293464B2; US10183408B2; EP3075498B1; JP2015100621A; EP3075498A4; US20170001323A1

Abstract

替刃は、刃体（１３）を設けた刃部材（１５）と、替刃の裏側に位置する刃台部材（１６）と、替刃の表側に位置する天部材（１７）とを備える。刃部材（１５）を刃台部材（１６）と天部材（１７）との間に配置し、刃体（１３）の刃先（１３ａ）を天部材（１７）を通じて露出させている。刃部材（１５）に設けた刃体支持部（２４）には、刃先（１３ａ）の延設方向に対し直交する刃体並設方向（Ｚ）で複数並べた段板（２９）を設ける。また、段板（２９）の剛性を高める補強板部（３３）を段板（２９）から屈曲して設ける。また、刃体支持部（２４）には互いに連結する架橋部（３０）が設けられる。

Description

剃刀

　本発明は、剃刀ヘッド内で刃体を支持する剃刀に関する。

　特許文献１に開示される剃刀の剃刀ヘッドは、刃体が取着される刃部材と、剃刀ヘッドの裏側に位置する刃台部材と、剃刀ヘッドの表側に位置する天部材とを備えている。刃部材は刃台部材と天部材との間に挟持されている。

　刃部材は、刃体と、その刃体が設置される台座とを備える。台座は、刃体を支持する刃体支持部と、その刃体支持部を支持する複数の弾性脚部とを備えている。各弾性脚部は、刃台部材に設置されている。刃体支持部には、複数の刃体載設部、複数の架橋部及び複数の剃りかす排除孔が形成されている。刃体載設部は、刃体の刃先の延設方向に延出するとともに、同延設方向に対し直交する刃体並設方向に並べられている。複数の架橋部は、複数の刃体載設部を連結するように、刃体並設方向に延出している。剃りかす排除孔は、各刃体載設部ごとに設けられるとともに、刃体の刃先に対応するようにその延設方向に沿って延設されている。刃体を支持する台座は、刃部材の各刃体が皮膚面を押圧した際に、各刃体に与えられる押圧力に応じて各弾性脚部が弾性変形することで刃台部材と天部材との間で動き得る。

特開２００７－２１５５９０号公報

　台座の刃体支持部の剛性が低過ぎると、各刃体に与えられる押圧力により、刃体支持部が変形し易くなる。このため、各刃体載設部上の刃体が相対移動してそれら刃体の位置関係が変わり、剃刀の剃り味に悪影響を及ぼすおそれがある。また、各刃体載設部に対し刃体を点溶接等により取着する際に生じる熱などにより、刃体支持部が変形し易くなる。このため、刃体の溶接時に各刃体載設部の位置関係が変わることで各刃体の位置関係も変わり、剃刀の剃り味に悪影響を及ぼすおそれもある。そこで、刃体支持部の板厚を大きくして剛性を高めることもできるが、刃体支持部の曲げ加工又は刃体載設部に対する刃体の溶接が行いにくくなるため好ましくない。

　この発明は、刃体支持部の剛性を高め、刃体支持部の変形を抑制することで剃り味を維持する剃刀を提供することを目的としている。

　上記の目的を達成するため、本発明の剃刀では、刃体及び刃体支持部を含む刃部材と、前記刃部材の裏側に設けられた刃台部材と、前記刃部材の表側に設けられ、前記刃部材の刃体を外部に露出させた状態で、前記刃台部材との間に前記刃部材を保持する天部材とを備えた剃刀において、前記刃体支持部は、前記各刃体が並設される方向に並ぶ複数の刃体載設部と、前記刃体載設部の剛性を高める補強部と、前記複数の刃体載設部を互いに連結する連結部とを備えている。

　補強部が刃体載設部に設けられている。これにより、例えば刃体支持部の曲げ加工又は刃体載設部に対する刃体の溶接を行い易い程度に刃体支持部の板厚を大きく設定した場合でも、刃体載設部の剛性を高く設定することができ、ひいては、刃体支持部の変形を抑制することができる。前記補強部は前記刃体載設部から屈曲されることで形成されることが好ましい。

　この構成によれば、補強部を刃体載設部から屈曲して容易に成形することができる。
　前記補強部は、前記刃体載設部から前記刃台部材に向けて屈曲されることで、前記刃体載設部と前記刃台部材との間に配置されていることが好ましい。

　この構成によれば、補強部を刃体載設部から屈曲して容易に成形することができる。また、補強部を刃体載設部と刃台部材との間に配置することで、補強部は剃刀の使用に支障のない位置に設けられる。

　前記補強部は前記刃体載設部と前記刃台部材との間に配置されていることが好ましい。
　この構成によれば、補強部を刃体載設部と刃台部材との間に配置することで、補強部は剃刀の使用に支障のない位置に設けられる。

　前記刃体載設部は前記刃体の延設方向に沿って延設されていることが好ましい。
　この構成によれば、刃体を刃体載設部に安定的に載設することができる。
　前記補強部は前記刃体載設部ごとに設けられていることが好ましい。

　この構成によれば、刃体載設部ごとに設けられた補強部により、複数の刃体を有する刃体支持部の全体の剛性を高めることができる。
　前記刃体載設部と前記補強部とは一体成形されていることが好ましい。

　この構成によれば、刃体載設部と補強部とを容易に成形することができる。その場合、好ましくは板材を用い、例えばプレス加工により一体成形するのが好ましい。
　前記刃体支持部は一体成形されていることが好ましい。

　この構成によれば、刃体支持部を容易に成形することができる。
　前記連結部は前記各刃体載設部を連結するように前記刃体の並設方向に延出することが好ましい。

　この構成によれば、架橋部により刃体載設部の剛性を高めることができる。
　前記刃体支持部には、前記連結部を跨いで前記刃体の延設方向に並ぶ剃りかす排除孔が形成され、
　前記排除孔は、前記各刃体の刃先に対応するように、前記刃体の刃先の延設方向に沿って延設されることが好ましい。

　この構成によれば、刃体載設部ごとの剃りかす排除孔を通じて剃りかすを円滑に外部に排除することができる。
　前記各補強部は、前記各刃体載設部における刃体並設方向の両側のうち刃体の刃先とは反対側から、前記刃台部材に向けて屈曲されることが好ましい。

　この構成によれば、剃りかす排除孔を成形する際に補強部を容易に成形することができる。この場合、各刃体載設部に補強部を設けることが好ましい。それによって刃体支持部の全体の剛性を高めるとともに剃りかすも排除し易い。

　前記補強部は前記各剃りかす排除孔に対応して前記刃体の刃先の延設方向に沿って延設されていることが好ましい。
　この構成によれば、剃りかす排除孔ごとに設けた補強部により、剃りかす排除孔の形成にかかわらず、刃体支持部の全体の剛性を高めることができる。

　前記刃部材に設けられた台座は、一体成形されるとともに、刃台部材に支持される載置台を有することが好ましい。
　この構成によれば、刃部材の台座を載置台により刃台部材と天部材との間に安定性良く配置することができる。

　前記台座の載置台と刃台部材との間には、刃部材の刃体が皮膚面に接触された際に、刃体に与えられる押圧力に応じて刃部材が一体的に動き得るように弾性部を設けることが好ましい。

　前記台座の載置台は、刃部材の刃体が皮膚面に接触された際に刃体に与えられる押圧力に応じて刃部材が一体的に動き得るように、刃台部材に支持される弾性脚部を有することが好ましい。

　前記刃台部材は、刃部材の刃体が皮膚面に接触された際に刃体に与えられる押圧力に応じて刃部材が一体的に動き得るように、刃部材の載置台に支持される弾性部を有することが好ましい。

　上記各構成によれば、弾性部（弾性脚部、弾性部）により、刃部材を弾性的に動かし、剃り抵抗を軽減させることができる。

第１実施形態にかかる替刃着脱式剃刀を正面側から見た斜視図である。（ａ）は図１の替刃着脱式剃刀を示す部分側面図であり、（ｂ）は図１の替刃着脱式剃刀を示す部分断面図である。（ａ）は図１の替刃着脱式剃刀においてホルダから替刃を取り外した状態を正面側から見た分解斜視図であり、（ｂ）はホルダから替刃を取り外した状態を背面側から見た分解斜視図である。（ａ）は図３の替刃着脱式剃刀を示す分解側面図であり、（ｂ）は図３の替刃着脱式剃刀を示す分解断面図である。図１の替刃着脱式剃刀の替刃の分解斜視図である。（ａ）は図５の替刃において台座上に各刃体を取着した刃部材を示す斜視図であり、（ｂ）は底台上に台板を載置した刃台部材を示す斜視図であり、（ｃ）は刃台部材の台板上に刃部材の台座を載置した状態を示す斜視図である。（ａ）は図５の替刃において天部材に刃部材を嵌め込んだ状態を示す斜視図であり、（ｂ）は天部材に刃部材及び台板を嵌め込んだ状態を示す斜視図であり、（ｃ）（ｄ）は図５の替刃の全体を示す斜視図である。（ａ）は図７（ｄ）の８ａ－８ａ線における拡大断面図であり、（ｂ）は図７（ｄ）の８ｂ－８ｂ線における拡大断面図である。（ａ）は第２実施形態にかかる替刃着脱式剃刀の替刃において図８（ａ）に相当する拡大断面図であり、（ｂ）は第３実施形態にかかる替刃着脱式剃刀の替刃において図８（ａ）に相当する拡大断面図である。第４実施形態にかかる替刃着脱式剃刀の替刃の分解斜視図である。（ａ）（ｂ）（ｃ）（ｄ）は図１０に示す補助刃体の製造過程を示す斜視図である。（ａ）は図１０の替刃において台座上に各刃体を取着した刃部材を示す斜視図であり、（ｂ）は底台を示す斜視図であり、（ｃ）は底台上に台板を載置した刃台部材を示す斜視図であり、（ｄ）は刃台部材の台板上に刃部材の台座を載置した状態を示す斜視図である。（ａ）は図１０の替刃において天部材に刃部材を嵌め込んだ状態を示す斜視図であり、（ｂ）は天部材に刃部材及び台板を嵌め込んだ状態を示す斜視図であり、（ｃ）（ｄ）は図１０の替刃の全体を示す斜視図である。（ａ）は図１３（ｄ）の１４ａ－１４ａ線における拡大断面図であり、（ｂ）は図１３（ｄ）の１４ｂ－１４ｂ線における拡大断面図である。

　第１実施形態にかかる替刃着脱式剃刀について図１～８を参照して説明する。
　図１に示す替刃着脱式剃刀では、ホルダ１に替刃１１が着脱可能に構成されている。各図において、替刃着脱式剃刀に関して、剃刀の使用時に替刃１１が皮膚に接近又は離間する方向をＸ方向、替刃１１の刃先が延出する方向をＹ方向、及びホルダ１が延出する方向をＺ方向とそれぞれ規定している。Ｘ方向、Ｙ方向及びＺ方向は互いに直交している。また、剃刀において、ユーザに近接する側が前側又は表側と規定され、ユーザから離間している側が後側又は裏側と規定される。

　図１に示すように、ホルダ１は、ユーザによって把持される把持部２と、同把持部２の上端部に設けられる頭部３とを備える。図３（ａ）に示すように、頭部３には環状の支持部４が形成されている。支持部４の内部には、弾性板６を介して筒状の受け入れ部５が設けられている。この受け入れ部５は、支持部４の中心位置においてＸ方向の前側に突出するように形成されている。図４（ｂ）に示すように、受け入れ部５には、Ｘ方向に延びる連結孔７が形成されている。連結孔７は、前方に開口する着脱口８と、後方に開口する操作口９とを備える。図３（ａ）に示すように、連結孔７は、Ｚ方向で相対向する上面７ａ並びに下面７ｂ、及びＹ方向で相対向する左面７ｃ並びに右面７ｄを含む。上面７ａと下面７ｂとは互いにほぼ平行に設定されている。左面７ｃと右面７ｄとの間隔は下面７ｂから上面７ａへ向かうに従い大きくなるように設定されている。連結孔７の左面７ｃ及び右面７ｄにはＸ方向へ延びる規制溝１０が形成されている。

　図４（ａ），（ｂ）に示すように、替刃１１（剃刀ヘッド）は、刃体組付部１２と、連結突部１４とを有している。刃体組付部１２は、その表側に肌に接触する複数（４枚）の刃体１３を備える。連結突部１４は、刃体組付部１２の裏側に連結されるとともに、各刃体１３と離間する方向、すなわち後方へ延びている。詳しくは、図５に示すように、刃体組付部１２は、刃部材１５と、刃台部材１６と、天部材１７とを備える。刃台部材１６の裏面には、連結突部１４が連結されている。天部材１７は、長方枠状に形成されている。刃部材１５は、刃台部材１６と天部材１７との間で挟み込まれることで、それらの間で保持される。刃体組付部１２の詳細な構成については後で説明する。

　図３（ａ），（ｂ）及び図４（ａ），（ｂ）に示すように、替刃１１の連結突部１４は、案内部１８と、片持ち梁状の弾性部１９と、操作部２０とを有している。案内部１８は、刃体組付部１２の刃台部材１６の背面に設けられ、後方に向かって延設されている。案内部１８は、上板部１８ａ、左板部１８ｃ及び右板部１８ｄを備えている。上板部１８ａは、刃体組付部１２の長さ方向に沿って延出している。左板部１８ｃ及び右板部１８ｄは、上板部１８ａの両端に接続されるとともに、刃体組付部１２の幅方向に延出している。案内部１８において、左板部１８ｃと右板部１８ｄとの間隔は上板部１８ａに向かうに従い大きくなるように設定されている。図３（ｂ）に示すように、左板部１８ｃの外面及び右板部１８ｄの外面にはＸ方向へ延びる規制突部２１が形成されている。弾性部１９は、案内部１８と一体形成されるとともに、刃体組付部１２の刃台部材１６の背面における案内部１８内の下側に設けられている。弾性部１９は、案内部１８の凹部１８ｂの開口部に位置している。弾性部１９はＺ方向の可撓性を有している。弾性部１９の先端には、操作部２０が弾性部１９と一体で形成されている。図４（ｂ）に示すように、操作部２０は、弾性部１９の延出方向に直交する方向に沿って、案内部１８の上板部１８ａに向かって延出するように形成されている。図３（ｂ）に示すように、操作部２０は、略台形柱状に形成されるとともに、その先端面がＺ方向に対して傾斜している。図４（ｂ）に示すように、弾性部１９と操作部２０との間には段差部２０ａが形成されている。この段差部２０ａは、弾性部１９及び操作部２０の間の境界部分の下側に設けられるとともに、Ｘ方向に延出する弾性部１９の面と、その面に直交する操作部２０の面とを備えている。

　次に、第１実施形態における替刃着脱式剃刀の使用方法について説明する。
　図２（ａ）、図３（ａ）及び図４（ａ）に示すように、替刃１１の連結突部１４をホルダ１の連結孔７に着脱口８から挿入する。案内部１８が連結孔７に挿入される際、案内部１８の上板部１８ａの外面、左板部１８ｃの外面及び右板部１８ｄの外面がそれぞれ連結孔７の上面７ａ、左面７ｃ及び右面７ｄに摺接しつつ、案内部１８における左板部１８ｃ及び右板部１８ｄの規制突部２１が連結孔７における左面７ｃ及び右面７ｄの規制溝１０に沿って移動する。替刃１１のホルダ１への挿入が完了したとき、替刃１１がホルダ１に保持された保持状態となる。この保持状態においては、弾性部１９及び操作部２０の間の段差部２０ａが操作口９の縁部９ａに係止され、受け入れ部５は、刃体組付部１２の刃台部材１６と段差部２０ａとの間で挟持される。このとき、操作部２０が連結孔７の操作口９から外側へ突出するため外部に露出する。この保持状態において、替刃１１を肌面に押し当てて使用することで、替刃１１に加わる力の向き及び大きさに応じて弾性板６が撓む。これにより、替刃１１を三方向に首振りさせることができる。

　例えば、上記のような正しいホルダ１に対する替刃１１の向きを正しく設定した状態から替刃１１を逆向きに配置した状態で、替刃１１をホルダ１の連結孔７に接近させると、案内部１８の外形及び連結孔７の内形が合致せず、さらに、案内部１８の規制突部２１及び連結孔７内の規制溝１０の位置も合致しない。よって、替刃１１の連結突部１４をホルダ１の連結孔７内に挿入することができない。

　さらに、替刃１１をホルダ１から取り外す際には、図２に示す操作部２０の上部に、ホルダ１の後側から前側への操作力を加える。これにより、弾性部１９及び操作部２０の間の段差部２０ａが操作口９の縁部９ａから離脱するように、弾性部１９が弾性変形する。この状態においては、替刃１１をホルダ１から離間させることができ、替刃１１をホルダ１から取り外すことができる。

　次に、替刃１１の刃体組付部１２の構成について詳述する。
　図５に示すように、刃部材１５は、上記複数の刃体１３に加えて、台座２２を備えている。

　台座２２は、金属、例えばオーステナイト系ステンレス鋼の板材をプレス加工することにより成形されている。台座２２は、載置台２３及び刃体支持部２４を備えている。載置台２３は、弾性脚部の一例である４つの脚板２６を備えている。各脚板２６は、台座２２の長さ方向に沿って台座２２の中央から離間するように延出している。４つの脚板２６は、台座２２の厚さ方向からみて略長方形をなす台座２２の４つの角部付近に配置されている。各脚板２６は、その先端に向かうにつれて刃体支持部２４から離間するように傾斜して配置されている。図６（ａ）に示すように、各脚板２６の先端は、台座２２の長さ方向に沿って直線状をなす。図６（ｂ）に示すように、各脚板２６の先端は、刃台部材１６の上面に接触している。４つの脚板２６が刃台部材１６の上面に接触することで、台座２２の刃体支持部２４が、刃台部材１６の上面から離間した位置に保持されている。

　図５及び図８（ａ），（ｂ）に示すように、刃体支持部２４は、架設腕部２８と、刃体取着板２７とを備えている。刃体取着板２７は、台座２２の長さ方向へ延出する複数（４枚）の刃体載設部に相当する段板２９と、補強部に相当する補強板部３３と、複数（４枚）の段板２９を連結する４つの架橋部３０（連結部）とを備える。複数の段板２９は、台座２２の幅方向に沿って階段状をなすように並設されている。図８（ａ）に示すように、各補強板部３３は、各段板２９に対して屈曲するように構成されている。各補強板部３３は、刃体組付部１２の内側に向けて各段板２９から屈曲されている。複数の段板２９、複数の補強板部３３及び複数の架橋部３０は一体に形成されている。各段板２９及び各補強板部３３は、刃体取着板２７をその幅方向に沿って切断したとき、鈍角、例えば約１０８度をなすように略Ｌ字状に形成される。補強板部３３は、台座２２の厚さ方向に延出し、各段板２９は台座２２の幅方向に対して傾斜している。具体的には、段板２９は、補強板部３３の基端から前方に向かって刃台部材１６から離間するように傾斜している。各段板２９は、台座２２の厚さ方向において同一の高さに位置する。図５及び図８（ｂ）に示すように、前記各架橋部３０（連結部）は、各段板２９の並設方向に延出している。４つの架橋部３０は、各段板２９の長さ方向に沿って離間して配置されている。４つの架橋部３０のうち刃体支持部２４の両端に位置する２つの架橋部３０は、台座２２の長さ方向の両端に対応している。隣接する２つの段板２９の間には、貫通孔３１（剃りかす排除孔）が形成されている。各貫通孔３１は、台座２２の長さ方向に延出する長四角形状をなすとともに、台座２２の幅方向に並設されている。各貫通孔３１は、その長さ方向において架橋部３０によって分割されている。よって、台座２２の長さ方向には、一つの刃体１３について３つの貫通孔３１が配列されている。各貫通孔３１は、台座２２を形成するための板材から補強板部３３を折り曲げ形成する際に形成される。すなわち、各貫通孔３１の面積と、それに対応する補強板部３３の面積とは同一となる。図８（ａ）に示すように、台座２２において載置台２３の内側に設けられた空洞３２（剃りかす排除孔）は各貫通孔３１を介して外部に連通している。図５に示すように、架設腕部２８は、刃体取着板２７と上下両載置台２３とを連結している。詳しくは、４つのうち２つの架設腕部２８は、台座２２の長さ方向の中央に位置する２つの架橋部３０の第１端部にそれぞれ連結されている。４つのうち残りの２つの架設腕部２８は、同２つの架橋部３０の第２端部にそれぞれ連結されている。

　図８（ａ）及び図８（ｂ）に示すように、刃体取着板２７の各段板２９の上面には、それぞれ、金属、例えばマルテンサイト系ステンレス鋼からなる刃体１３が設置されている。刃体１３は、各段板２９に複数の点溶接部により固定されている。補強板部３３はこの各点溶接部に対し刃体並設方向（Ｚ方向）で並んでいることが好ましい。各刃体１３はこの刃体取着板２７上で階段状に配置され、各刃体１３の刃先１３ａの内側には、貫通孔３１が位置している。

　図５に示すように、刃台部材１６は、プラスチックからなる底台３４と、アルミニウムからなる台板３５とからなる。底台３４の背面には、上述した連結突部１４が連結されている。この底台３４は長方形の枠部３６を含む。この枠部３６は、上枠部３６ａ、下枠部３６ｂ、左枠部３６ｃ及び右枠部３６ｄを備えている。上枠部３６ａ及び下枠部３６ｂは、底台３４の長さ方向に延出するとともに、底台３４の幅方向に離間して配置されている。左枠部３６ｃ及び右枠部３６ｄは、上枠部３６ａ及び下枠部３６ｂをそれらの両端において連結するように、底台３４の幅方向に延出している。上枠部３６ａ及び下枠部３６ｂは、左枠部３６ｃ及び右枠部３６ｄより長く形成されている。枠部３６は、上枠部３６ａ及び右枠部３６ｄの境界部と連結突部１４とを連結する第１の傾斜枠部を備え、上枠部３６ａ及び左枠部３６ｃの境界部と連結突部１４とを連結する第２の傾斜枠部を備えている。各枠部３６ａ～３６ｄにより囲まれた領域内は、第１及び第２の傾斜枠部によって区画されることで、３つの剃りかす排除孔３７が形成されている。上枠部３６ａ及び右枠部３６ｄの間の境界部には、底台３４を厚さ方向に貫通する位置決め孔４４ｂが形成されている。上枠部３６ａ及び左枠部３６ｃの間の境界部にも底台３４を厚さ方向に貫通する位置決め孔４４ｂが形成されている。下枠部３６ｂには、底台３４の厚さ方向に貫通する一対の位置決め孔４４ｂが形成されている。下枠部３６ｂの一対の位置決め孔４４ｂは、上記各境界部の位置決め孔４４ｂと比較して、底台３４の中央部付近に位置する。

　前記台板３５は、その長さ方向に延出する上枠部３８ａと、上枠部３８ａの左端部から台板３５の幅方向に延出する左枠部３８ｃと、上枠部３８ａの右端部から台板３５の幅方向に延出する右枠部３８ｄとを備える。すなわち、台板３５は略Ｕ形状をなし、切欠き３９を形成している。図６（ｂ）に示すように、この台板３５は、底台３４の上枠部３６ａの上面に載置されている。台板３５の切欠き３９は底台３４における第１及び第２の傾斜枠部の間の１つの剃りかす排除孔３７に重ねられ、その剃りかす排除孔３７及び切欠き３９は互いに連通する。

　図５に示すように、天部材１７は、プラスチックからなるとともに、長方形の枠部４１を含む。枠部４１は、上枠部４１ａ、下枠部４１ｂ、左枠部４１ｃ及び右枠部４１ｄを備える。上枠部４１ａ及び下枠部４１ｂは、天部材１７の長さ方向に延出するとともに、互いに天部材１７の幅方向に離間している。左枠部４１ｃ及び右枠部４１ｄは、上枠部４１ａ及び下枠部４１ｂをそれらの両端において接続するように、天部材１７の幅方向に延出する。上枠部４１ａ及び下枠部４１ｂは、左枠部４１ｃ及び右枠部４１ｄより長く形成されている。各枠部４１ａ～４１ｄにより囲まれた領域には、刃体露出孔４２が形成されている。図７（ｄ）に示すように、この天部材１７の下枠部４１ｂの上面には、皮膚に接触するシェービングエイド４０が載置されている。図７（ｂ）に示すように、上枠部４１ａの内面には、刃台部材１６に向かって突出する２つの位置決め軸４４ａが設けられている。２つの位置決め軸４４ａは、上枠部４１ａの両端に位置している。同様に、下枠部４１ｂの内面にも２つの位置決め軸４４ａが設けられている。上枠部４１ａの２つの位置決め軸４４ａは、下枠部４１ｂの２つの位置決め軸４４ａよりも天部材１７の長さ方向の中央部に近い位置に配置されている。

　図５に示すように、刃台部材１６と天部材１７との間に刃部材１５が介在された状態で、この底台３４の枠部３６と天部材１７の枠部４１とが互いに重ねられる。このとき、天部材１７の各位置決め軸４４ａが底台３４の各位置決め孔４４ｂに嵌合することで、天部材１７が底台３４に位置決めされる。これにより、刃台部材１６と天部材１７とが互いに結合される。

　図６（ａ）～（ｃ）に示すように、替刃１１内において、台座２２における４つの脚板２６のうち一対の脚板２６が、台板３５の左右枠部３８ｃ，３８ｄの上面に設置され、４つの脚板２６のうち残りの一対の脚板２６が下枠部３６ｂの上面に載置される。下枠部３６ｂの上面と一対の脚板２６との間には、金属又は樹脂からなる緩衝部材３４ａが設けられている。

　図７（ｃ），（ｄ）に示すように、底台３４の上下枠部３６ａ，３６ｂと、天部材１７の上下枠部４１ａ，４１ｂとの間の空隙には、台座２２の各載置台２３が外部から隠されるように配置されている。底台３４の左右枠部３６ｃ，３６ｄと天部材１７の左右両枠部４１ｃ，４１ｄとの間には、刃体支持部２４に支持される各刃体１３の両端部が位置し、その各刃体１３の両端部は、各脚板２６の弾性力により天部材１７の左右枠部４１ｃ，４１ｄの内面に向かって付勢されている。

　図８（ａ）に示すように、各刃体１３の刃先１３ａは、天部材１７の上下枠部４１ａ，４１ｂの表面に連なる皮膚接触面の付近に位置している。各刃体１３は刃体支持部２４とともに上記皮膚接触面に対し直交する方向へ両載置台２３の弾性力に抗して一体的に動き得る。

　図８（ａ）に示すように、台座２２の内側に位置する空洞３２（剃りかす排除孔）は、刃台部材１６における台板３５の切欠き３９及び底台３４の剃りかす排除孔３７を介して刃体組付部１２の背面から外部に連通する。また、台座２２における空洞３２は、貫通孔３１及び天部材１７の刃体露出孔４２を介して刃体組付部１２の表面から外部に連通している。

　次に、替刃１１の組み立て方法について説明する。
　まず、図７（ａ）に示すように、シェービングエイド４３が取着された天部材１７の内側に刃部材１５を重ねる。そして、図７（ｂ）に示すように、刃部材１５に台板３５を重ねる。さらに、図７（ｃ）に示すように、台板３５に底台３４を重ねて、底台３４を天部材１７に結合する。以上で、替刃１１の組み立てが完了する。

　次に、このように構成された替刃着脱式剃刀の作用について説明する。
　ユーザが天部材１７の表面及び各刃体１３を皮膚面に当てがった状態で剃刀を使用すると、その皮膚面から各刃体１３に与えられる押圧力により、刃台部材１６及び天部材１７の間で両載置台２３、特に各脚部２６が弾性的に撓む。これにより、台座２２が各段板２９上の刃体１３とともに一体的に動く。本実施形態では、刃体取着板２７に形成される補強板部３３により段板２９の剛性が高く設定されている。上記皮膚面からの押圧力は、補強板部３３に、補強板部３３の厚さ方向に直交する方向に作用する。このため、補強板部３３は、上記皮膚面からの押圧力により変形しづらい。よって、その補強板部３３が連結される段板２９も変形しづらくなる。このように、刃体取着板２７の剛性が高められることで、上記皮膚面からの押圧力に関わらず、各刃体１３の位置関係が維持される。一方、刃体取着板に補強板部が形成されていない従来構成においては、刃体取着板は平板状をなす。この構成において、上記皮膚面からの押圧力は、平板の上面に、その上面に直交する方向に作用する。このため、上記皮膚面からの押圧力により、刃体取着板が曲げ変形を生じやすい。

　各刃体１３で生じた剃りかすは、刃部材１５において、天部材１７の刃体露出孔４２から刃体取着板２７の貫通孔３１を通じて空洞３２に入った後、底台３４の剃りかす排除孔３７を通じて外部に排出される。

　図９（ａ）に示す第２実施形態においては、刃体１３の枚数が５枚に変更されている。図９（ｂ）に示す第３実施形態においては、刃体１３の枚数が３枚に変更されている。これらの変更に伴い、台座２２の形状、すなわち段板２９、補強板部３３及び刃体取着板２７の貫通孔３１の数も変更されている。また、台座２２のサイズが変更されるため、それに合わせて刃台部材１６及び天部材１７のサイズも変更される。第２及び第３実施形態は、以上の点を除き第１実施形態とほぼ同様に構成されるとともに、同様の作用効果を有する。

　次に、本発明の第４実施形態にかかる替刃着脱式剃刀について図１０～図１４を参照して説明する。第４実施形態における図１０、図１２、図１３及び図１４は、それぞれ、第１実施形態における図５、図６、図７及び図８に対応する。

　図１３（ｃ），（ｄ）に示すように、替刃１１（剃刀ヘッド）は、刃体組付部１２と、連結突部４５とを有している。連結突部４５は、刃体組付部１２が組み立てられた状態において、刃体組付部１２の裏面と刃体組付部１２の長さ方向に延びる側面との間に配置される。連結突部４５は、刃体組付部１２から裏側へ延びる。図１０に示すように、刃体組付部１２には、その表側に複数（５枚）の主刃体１３が組み付けられている。第４実施形態においては、連結突部４５の形態及びその連結突部４５が連結されるホルダ（図示せず）の形態が第１実施形態と異なる。

　刃部材１５は、複数（５枚）のメインの刃体１３と、１つの台座２２とを有する。刃部材１５は、刃台部材１６と天部材１７との間に挟み込まれている。第４実施形態においては、刃部材１５、刃台部材１６及び天部材１７の形態も第１実施形態と異なる。

　図１０に示すように、刃部材１５の台座２２は、金属、例えばオーステナイト系ステンレス鋼の板材をプレス加工することにより一体成形されている。台座２２は、複数の脚部４６と、刃体支持部２４とからなる。複数の脚部４６は、刃体支持部２４の幅方向の両側に配設されるとともに、刃体支持部２４に対して刃台部材１６に向かって略直角に屈曲されている。刃体支持部２４の長さ方向に沿う各縁部には、３つの脚部４６が配置されている。３つの脚部４６のうち中央の脚部４６がそれ以外の２つの脚部４６より長く形成されている。刃体支持部２４は、複数の脚部４６によって支持されている。この脚部４６は、刃体支持部２４と一体成形されている。第４実施形態における台座２２の脚部４６は、弾性を有していない。この点で、第４実施形態は、第１実施形態と異なる。

　図１４（ａ），（ｂ）に示すように、台座２２には、台座２２の長さ方向へ延設された複数（５枚）の刃体載設部である段板２９が形成されている。複数の段板２９は、全体として階段状をなすように台座２２の幅方向に並設されている。図１０に示すように、台座２２の刃体取着板２７には、各段板２９が延出する方向に対して直交する方向に延びる４つの架橋部３０（連結部）が設けられている。４つの架橋部３０は、各段板２９が延出する方向に沿って互いに離間して配置されている。４つの架橋部３０のうち両端に位置する２つの架橋部３０は、台座２２の長さ方向の両端に対応している。架橋部３０は各段板２９を互いに連結する。複数の段板２９のうち、隣接する２つの段板２９の間には、貫通孔３１（剃りかす排除孔）が形成されている。各貫通孔３１は、台座２２の長さ方向に沿って延出している。図１０に示すように、複数の貫通孔３１は、各架橋部３０に対し台座２２の長さ方向の両側に配置されている。図１４（ａ）に示すように、台座２２の内側に設けられた空洞３２（剃りかす排除孔）は、各貫通孔３１を通じて天部材１７の外側に開放されている。

　各貫通孔３１を成形する際には、各貫通孔３１の外形をなす長方形のうち一つの長辺を除いた形状に沿って刃体取着板２７に切り込みが形成される。刃体取着板２７における切り込まれた部分を段板２９から刃台部材１６に向けて断面Ｌ字状に屈曲させる。これにより、段板２９と刃台部材１６との間に補強板部３３（補強部）が貫通孔３１ごとに形成されている。段板２９と補強板部３３とがなす角度は、例えば、約１０８度である。各補強板部３３は、各貫通孔３１に対応するとともに、メインの刃体１３の刃先１３ａの延設方向に沿って延設されている。

　図１４（ａ），（ｂ）に示すように、刃体取着板２７の各段板２９の上面には、第１の実施形態と同様の刃体１３が設置されている。刃体１３は、各段板２９に複数の点溶接部により固定されている。補強板部３３は刃体並設方向に並んでいることが好ましい。各刃体１３はこの刃体取着板２７上で階段状に配置されている。

　図１２（ｂ），（ｃ）に示すように、刃台部材１６は、プラスチックからなる底台３４と、アルミニウムからなる台板３５とにより構成されている。この底台３４は長方形の枠部３６を含む。この枠部３６は、上枠部３６ａ、下枠部３６ｂ、左枠部３６ｃ及び右枠部３６ｄを備えている。上枠部３６ａ及び下枠部３６ｂは、底台３４の長さ方向に延出するとともに、互いに底台３４の幅方向に離間して配置されている。左枠部３６ｃ及び右枠部３６ｄは、上枠部３６ａ及び下枠部３６ｂをそれらの両端において連続するように、底台３４の幅方向に延出している。各枠部３６ａ～３６ｄにより囲まれた領域には、剃りかす排除孔３７が形成されている。図１２（ｂ）に示すように、底台３４の上面には、４つの片持ち梁状の棒ばね部４７（弾性部）と、４つの係止凸部４９とが形成されている。棒ばね部４７及び係止凸部４９は枠部３６と一体に形成される。各棒ばね部４７は、排除孔３７の四隅部に対応して位置するとともに、底台３４の長さ方向に沿って底台３４の中央部に向かって延出する。各棒ばね部４７は、その基端部から先端部に向かうにつれて枠部３６から離間するように傾斜している。底台３４の厚さ方向からみたとき、各棒ばね部４７の基端部は排除孔３７の内縁部と重なり、各棒ばね部４７の基端部から先端部へ延出する部分は排除孔３７と重なる。４つの係止凸部４９は、各棒ばね部４７に対応して位置している。底台３４の幅方向において、２つの係止凸部４９間に２つの棒ばね部４７が位置している。各係止凸部４９の先端は、底台３４の幅方向の外側に屈曲している。

　台板３５は、平板により略Ｃ字状に形成されている。詳しくは、台板３５は、上枠部３８ａと、左枠部３８ｃと、右枠部３８ｄとを備えている。上枠部３８ａは、台板３５の長さ方向に延出している。左枠部３８ｃは、上枠部３８ａの左端部から台板３５の幅方向に延出し、さらにその先端が内側に略９０°に屈曲されている。右枠部３８ｄは、上枠部３８ａの右端部から台板３５の幅方向に延出し、さらにその先端が内側に略９０°に屈曲されている。右枠部３８ｄ及び左枠部３８ｃは、それぞれ略Ｌ字状に形成されている。台板３５の内部には切欠き３９が形成されている。この台板３５は、底台３４の上枠部３６ａの上面に載置される。台板３５の切欠き３９が底台３４の排除孔３７に重ねられ、それらが互いに連通する。

　図１０に示すように、天部材１７は、プラスチックからなるとともに、長方形の枠部４１を含む。枠部４１は、上枠部４１ａ、下枠部４１ｂ、左枠部４１ｃ及び右枠部４１ｄを備える。上枠部４１ａ及び下枠部４１ｂは、天部材１７の長さ方向に延出するとともに、互いに天部材１７の幅方向に離間して配置されている。左枠部４１ｃ及び右枠部４１ｄは、上枠部４１ａ及び下枠部４１ｂをそれらの両端において連結するように、天部材１７の幅方向に延出している。各枠部４１ａ～４１ｄにより囲まれた領域には、刃体露出孔４２が形成されている。枠部４１には、底台３４の各係止凸部４９の先端が嵌合可能な４つの係止凹部５０が形成されている。２つの係止凹部５０は、上枠部４１ａの長さ方向の両端内面に形成され、残りの２つの係止凹部５０は、下枠部４１ｂの長さ方向の両端内面に形成されている。上枠部４１ａの底面には、上枠部４１ａの長さ方向に互いに離間した一対の位置決め突起５２ｂが形成されている。下枠部４１ｂの下端には、上述した連結突部４５が装着されている。

　図１３（ａ）～（ｄ）に示すように、この天部材１７の肌接触面には、環状のスムーザー機能部４８が設けられている。スムーザー機能部４８にはそれを構成するプラスチックに対する表面改質処理により親水性が付与されている。このため、スムーザー機能部４８の表面に水分が保持されることで、薄い水膜が替刃１１の肌接触面に生じる、従って、剃刀の使用時に替刃１１を滑り易くすることで剃刀の剃り味を向上させることができる。使用後は、スムーザー機能部４８の表面の乾燥により、その表面に保持されていた水分が除去され、スムーザー機能部４８の表面に水分が保持されていない使用前の状態に戻る。このため、剃刀の使用に際しスムーザー機能部４８が溶け出すことがなく、繰り返し剃刀を使用してもスムーザー機能部４８としての機能を発揮させることができる。

　図１０及び図１４（ａ）に示すように、刃台部材１６と天部材１７との間には、補助刃体５１が配置されている。補助刃体５１は、刃体組付部１２を構成する独立した部品である。図１１（ｄ）に示すように、補助刃体５１は、金属板材により略断面Ｌ字状に形成されるとともに、支持板部５２及び刃板部５３から構成される。図１１（ｄ）に示すように、支持板部５２及び刃板部５３は屈曲部５５を介して略直角に屈曲されている。刃板部５３は、補助刃体５１の長さ方向に延びる縁部に形成される刃先５３ａを備える。図１４（ａ）に示すように、支持板部５２は、刃台部材１６と天部材１７との間で挟持され、刃板部５３の刃先５３ａは刃体組付部１２の外部に露出している。刃板部５３のサブの刃先５３ａは、メインの刃体１３の刃先１３ａとほぼ反対方向に向いている。また、刃板部５３のサブの刃先５３ａは刃体組付部１２の側面に配置され、メインの刃体１３の刃先１３ａは刃体組付部１２の上面に配置されている。図１１（ｄ）に示すように、支持板部５２には、その支持板部５２を厚さ方向に貫通する一対の位置決め孔５２ａが形成されている。一対の位置決め孔５２ａは、補助刃体５１の長さ方向に沿って離間して配置されている。

　次に、第４の実施形態に係る替刃１１の組み立て方法について説明する。
　図１２（ｃ），（ｄ）に示すように、底台３４の各棒ばね部４７の先端部に台板３５が載置される。そして、刃部材１５が底台３４の上部に設置される。図１４（ａ）に示すように、台板３５によって刃部材１５の一部が支持されることで、台座２２の幅方向に対面する両脚部４６の間に台板３５が載置される。各棒ばね部４７が弾性変形していないとき、刃部材１５の台座２２の各脚部４６は底台３４から離間している。次に、図１０に示すように、底台３４の枠部３６と天部材１７の枠部４１とが補助刃体５１を挟んだ状態で互いに重ねられる。このとき、底台３４の係止凸部４９の先端が天部材１７の係止凹部５０に嵌合し、補助刃体５１の各位置決め孔５２ａに天部材１７の位置決め突起５２ｂが嵌合することで、底台３４と天部材１７との間に補助刃体５１が固定される。このように、この刃台部材１６と天部材１７とが互いに結合される。係止凸部４９と係止凹部５０は位置決め部に相当する。以上で、替刃１１の組み立てが完了する。

　組み立てられた替刃１１において、台座２２の各脚部４６は、底台３４の上下枠部３６ａ，３６ｂと天部材１７の上下枠部４１ａ，４１ｂとの間の間隙に挿入されることで外部から隠される。刃部材１５の長さ方向における各刃体１３の両端部は、刃台部材１６の底台３４の左右枠部３６ｃ，３６ｄと天部材１７の左右枠部４１ｃ，４１ｄとの間に挿入される。台座２２は、各棒ばね部４７の弾性力により天部材１７の左右枠部４１ｃ，４１ｄの内面に向かって付勢され、押さえ付けられている。各刃体１３の刃先１３ａは、天部材１７の上下枠部４１ａ，４１ｂ上の表面に連なる皮膚接触面付近に位置している。各刃体１３は刃体支持部２４とともに皮膚接触面に対し直交する内方向へ各棒ばね部４７の弾性力に抗して動き得る。各刃体１３は刃体支持部２４とともに所定量だけ移動したとき、台座２２の各脚部４６が底台３４に接触する。これにより、各刃体１３が所定量を超えて移動することを規制できる。

　本実施形態でも、刃体取着板２７に形成される補強板部３３により段板２９の剛性が高く設定される。このため、各刃体１３の位置関係が維持される。各刃体１３で生じた剃りかすは、天部材１７の刃体露出孔４２及び刃体取着板２７の貫通孔３１を通じて空洞３２に入った後、底台３４の排除孔３７を通じて外部に排出される。また、本実施形態の剃刀は、刃台部材１６の底台３４を補助刃体５１とともに皮膚面に接触させることで剃毛することもできる。

　図１４（ａ）に示すように、刃部材１５において台座２２の内側における空洞３２（剃りかす排除孔）は、台板３５の切欠き３９及び底台３４の剃りかす排除孔３７を介して刃体組付部１２の背面から外部に連通する。また、台座２２内の空洞３２は、台座２２の貫通孔３１及び天部材１７の刃体露出孔４２を介して刃体組付部１２の表面から外部に連通している。

　次に、上記補助刃体５１の成形方法について説明する。
　図１１（ａ）に示すように、略長方形の板材５４、例えばステンレス鋼でＳＵＳ４２０Ｊ２材を用意し、プレス加工により複数の孔を形成する。図１１（ｂ）に示すように、この板材５４の長さ方向に延出する両縁のうち第１の縁に刃先５３ａを形成する。次に、図１１（ｃ）に示すように、上記両側縁のうち第２の側縁とその刃先５３ａとの間に設定される、板材５４の長さ方向に延出する折り線に沿って板材５４を屈曲させる。次に、板材５４の第２の側縁と屈曲部５５との間に板材５４の長さ方向に延出する切断線５６ａを設定し、その切断線５６ａに沿って板材５４を切断する。これにより、板材５４から切断板部５６が切り離されることで補助刃体５１が完成する。図１１（ｃ）に示す曲げ加工又は図１１（ｄ）に示す切断加工は、例えば、刃部材１５を天部材１７と刃台部材１６との間に組み付ける際に剃刀ヘッド組付け機内で行ってもよい。

　本実施形態は下記の効果を有する。
　（１）替刃１１において、補強板部３３が段板２９に設けられている。これにより、例えば刃体支持部２４の曲げ加工又は段板２９への刃体１３の溶接を行い易い程度に刃体支持部２４の板厚を小さく設定した場合でも、段板２９の剛性を高く維持することができる。これにより、刃体支持部２４に貫通孔３１（剃りかす排除孔）を形成した場合であっても、刃体支持部２４の変形を抑制し、剃刀の剃り味を維持することができる。

　段板２９に対し刃体１３を点溶接等により取着する。この際に生じる熱などにより刃体支持部２４が変形し易くなることを補強板部３３により抑制することができる。
　（２）替刃１１の刃体支持部２４において、補強板部３３は、刃体支持部２４から刃台部材１６に向けて屈曲される。従って、補強板部３３は、台座２２内の空洞３２内に形成される。これにより、刃体支持部２４を屈曲するだけで、補強板部３３を容易に成形することができる。また、補強板部３３を剃刀の使用に支障なく配置することができる。

　（３）各補強板部３３は、各補強板部３３と各段板２９との境界において、かつ刃体支持部２４の長さ方向に沿って、各段板２９から刃台部材１６に向けて屈曲される。これにより、剃りかす排除孔３１を成形する際に補強板部３３を容易に成形することができる。また、各段板２９ごとに補強板部３３及び剃りかす排除孔３１が設けられる。それによって刃体支持部２４の全体の剛性を高めるとともに剃りかすも外部に排除し易い。

　（４）刃体５１を有する剃刀ヘッド１１は、メインの刃体１３を設けた刃部材１５と、剃刀ヘッド１１の裏側に位置する刃台部材１６と、剃刀ヘッド１１の表側に位置する天部材１７とを備え、この刃部材１５をこの刃台部材１６と天部材１７との間に配置し、刃部材１５のメインの刃体１３の刃先１３ａを天部材１７を介して外部に露出させ、前記刃台部材１６と天部材１７との間には補助刃体５１を設け、その補助刃体５１の刃先５３ａをメインの刃体１３の刃先１３ａが向く側と反対側に露出させ、その補助刃体５１には刃台部材１６と天部材１７との間で挟持される支持板部５２と刃先５３ａを有する刃板部５３とを設け、その刃板部５３を支持板部５２から刃台部材１６側へ屈曲されている。

　特表２００７－５２８２６８号公報に開示される剃刀の剃刀ヘッドにおいては、メインの刃体を設けた刃部材と、剃刀ヘッドの裏側に位置する刃台部材と、剃刀ヘッドの表側に位置する天部材とを備える。この刃部材はこの刃台部材と天部材との間に配置され、刃部材のメインの刃体の刃先は天部材を介して露出される。この剃刀は、メインの刃体以外にメインの刃体の刃先が向く側に対する反対側に補助刃体を備える。その補助刃体の刃先は刃台部材側へ向いている。この従来の剃刀では、補助刃体を鼻の下又は鬢などに当てがい易いため、鼻下のひげ剃りや鬢の手入れなどを行い易くなるため使い勝手が良くなる。しかし、平面的な刃体を保持するために部品点数が多くなって刃体取着構造が複雑になる。

　上記構成では、剃刀ヘッド１１には、メインの刃体１３の刃先１３ａが向く側に対する反対側に補助刃体５１が設けられる。その補助刃体５１を屈曲させて刃先５３ａを刃台部材１６側へ向けている。このため、その支持板部５２又は、その支持板部５２と刃板部５３との間の屈曲部５５を支持した状態で補助刃体５１を剃刀ヘッド１１に取着可能となる。従って、部品点数の少ない簡単な刃体取着構造にすることができる。

　（５）刃先５３ａを有する刃板部５３と、支持板部５２とを備えた剃刀用の補助刃体５１を成形する方法は、板材の対辺の両側縁のうち第１の側縁部に刃先５３ａを形成する工程と、板材の対辺の両側のうち第２の側縁部とその刃先５３ａとの間で板材を屈曲させる工程と、その工程により形成された屈曲部５５及び前記板材の第２の側縁部の間に位置し、かつ板材の長さ方向に延びる切断線５６ａに沿って板材から切断板部５６を切断する工程とを含む。この方法によれば、板材から補助刃体５１を容易に成形することができる。

　前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
　・互いに分離された複数の刃部材１５を用意し、刃台部材１６と天部材１７との間に各刃部材１５をその幅方向に沿って並べて配置してもよい。この場合、剃刀の刃体１３の総数は、各刃部材１５の刃体１３の枚数に、刃部材１５の数を乗じた数となる。例えば、３枚の刃体１３を有する第一の刃部材１５と３枚の刃体１３を有する第二の刃部材１５とを組み合わせた場合には６枚の刃体１３を有する替刃１１を構成する。また、３枚の刃体１３を有する第一の刃部材１５と２枚の刃体１３を有する第二の刃部材１５とを組み合わせた場合には５枚の刃体１３を有する替刃１１を構成する。また、２枚の刃体１３を有する第一の刃部材１５と２枚の刃体１３を有する第二の刃部材１５とを組み合わせた場合には４枚の刃体１３を有する替刃１１を構成する。

　・段板２９に対して補強板部３３が屈曲される方向は、上記各実施形に限定されない。具体的には、上記各実施形態においては、各補強板部３３は、各補強板部３３と各段板２９との境界部に位置し、かつ刃体支持部２４の長さ方向、すなわち図８（ａ）の紙面垂直方向に延びる折り線に沿って屈曲されていた。この折り線の方向を変更してもよい。例えば、各補強板部３３は、刃体支持部２４の幅方向に延びる折り線に沿って各段板２９又は架橋部３０から屈曲されてもよい。

　・補強板部３３は、その延設方向の途中で途切れることで、複数に分割されてもよい。その際、補強板部３３の延設長さは、段板２９の延設長さに対し好ましくは５０％以上、より好ましくは７５％以上に設定する。

　・段板２９に設ける補強板部３３の形態については、段板２９の剛性を高めることができれば変更可能である。例えば、補強板部は、対応する段板２９の裏側に重なるように複数の補強板部を設けてもよい。

　・補強板部３３は、台座２２と別体に構成されてもよい。この場合、補強板部３３は、台座２２に溶接、接着材又はボルトナット等の連結手段によって連結される。
　・台座２２はプレス加工以外の方法、例えば射出成形等により成形されてもよい。

　・補強板部３３を刃体支持部２４から刃台部材１６に向けてほぼ１８０度屈曲させ、その補強板部３３を刃体支持部２４に重ねてもよい。
　・架橋部３０は刃体支持部２４と別体で構成されてもよい。この構成においては、架橋部３０が上記連結手段により刃体支持部２４に連結される。

　１１…替刃（剃刀ヘッド）、１３…刃体、１３ａ…刃先、１５…刃部材、１６…刃台部材、１７…天部材、２４…刃体支持部、２９…段板（刃体載設部）、３０…架橋部（連結部）、３１…貫通孔（剃りかす排除孔）、３３…補強板部（補強部）。

Claims

　刃体及び刃体支持部を含む刃部材と、前記刃部材の裏側に設けられた刃台部材と、前記刃部材の表側に設けられ、前記刃部材の刃体を外部に露出させた状態で、前記刃台部材との間に前記刃部材を保持する天部材とを備えた剃刀において、
　前記刃体支持部は、
　前記各刃体が並設される方向に並ぶ複数の刃体載設部と、
　前記刃体載設部の剛性を高める補強部と、
　前記複数の刃体載設部を互いに連結する連結部と備えたことを特徴とする剃刀。
　前記補強部は前記刃体載設部から屈曲されることで形成されることを特徴とする請求項１に記載の剃刀。
　前記補強部は、前記刃体載設部から前記刃台部材に向けて屈曲されることで、前記刃体載設部と前記刃台部材との間に配置されていることを特徴とする請求項１に記載の剃刀。
　前記補強部は前記刃体載設部と前記刃台部材との間に配置されていることを特徴とする請求項１に記載の剃刀。
　前記刃体載設部は前記刃体の延設方向に沿って延設されていることを特徴とする請求項１～４のうちいずれか一項に記載の剃刀。
　前記補強部は前記刃体載設部ごとに設けられていることを特徴とする請求項１～５のうちいずれか一項に記載の剃刀。
　前記刃体載設部と前記補強部とは一体成形されていることを特徴とする請求項１～６のうちいずれか一項に記載の剃刀。
前記刃体載設部、補強部及び連結部は一体成形されていることを特徴とする請求項１～６のうちいずれか一項に記載の剃刀。
　前記連結部は前記各刃体載設部を連結するように前記刃体の並設方向に延出することを特徴とする請求項１～８のうちいずれか一項に記載の剃刀。
　前記刃体支持部には、前記連結部を跨いで前記刃体の延設方向に並ぶ剃りかす排除孔が形成され、
　前記排除孔は、前記各刃体の刃先に対応するように、前記刃体の刃先の延設方向に沿って延設されることを特徴とする請求項９に記載の剃刀。
　前記各補強部は、前記刃体載設部における刃体並設方向の両側のうち刃体の刃先とは反対側から、前記刃台部材に向けて屈曲されることを特徴とする請求項１０に記載の剃刀。
　前記補強部は前記各剃りかす排除孔に対応して前記刃体の刃先の延設方向に沿って延設されていることを特徴とする請求項１０または請求項１１に記載の剃刀。
　前記刃部材に設けられた台座は、一体成形されるとともに、前記刃台部材に支持される載置台を有することを特徴とする請求項１～１２のうちいずれか一項に記載の剃刀。
　前記台座の載置台と前記刃台部材との間には、前記刃部材の刃体が皮膚面に接触された際に、前記刃体に与えられる押圧力に応じて前記刃部材が一体的に動き得るように弾性部を設けたことを特徴とする請求項１３に記載の剃刀。
　前記台座の載置台は、前記刃部材の刃体が皮膚面に接触された際に前記刃体に与えられる押圧力に応じて前記刃部材が一体的に動き得るように、前記刃台部材に支持される弾性脚部を有することを特徴とする請求項１４に記載の剃刀。
　前記刃台部材は、前記刃部材の刃体が皮膚面に接触された際に前記刃体に与えられる押圧力に応じて前記刃部材が一体的に動き得るように、前記刃部材を支持する弾性部を有することを特徴とする請求項１４に記載の剃刀。