WO2015068237A1 - カバーの板バネ取付装置 - Google Patents

Abstract

スライドファスナー用スライダーのカバーに板バネを外れることがないように加締め加工して取り付けできるカバーの板バネ取付装置とする。カバー(１０)に板バネ(２０)を、カバー(１０)の突起(１６)に板バネ(２０)の凹部(２１)を嵌め込むようにして載置し、その突起(１６)の一対の突片(１７)を一次加締パンチ(３０)でＶ字形状に一次加締め加工し、その後に、Ｖ字形状の一対の突片(１７)を二次加締パンチ(４０)で偏平形状に二次加締め加工して板バネ(２０)をカバー(１０)に取り付けることで、板バネ(２０)をカバー(１０)に外れることがないように加締め加工して取り付けできるようにする。

Description

カバーの板バネ取付装置

　本発明は、スライドファスナー用のスライダーにおけるカバーに板バネを取り付ける装置に関する。

　スライドファスナー用のスライダーが特許文献１に開示されている。
　このスライダーは、胴体、引手、爪杆、板バネ、カバーを備え、カバーを胴体の取付柱に加締め固定することで、胴体に引手、爪杆、板バネを組み付けてスライダーを組み立てする。
　このスライダーは、板バネにより爪杆の停止爪が胴体の爪孔からガイド溝に突出し、引手を操作することで板バネを弾性変形して爪杆の停止爪がガイド溝から抜け出すようにした自動停止機能を有したスライドファスナー用のスライダーである。

　前述のスライドファスナー用のスライダーを組み立てる際に、カバーを胴体の取付柱に加締め固定する以前に、カバーに板バネを取り付け、その板バネを取り付けたカバーを胴体の取付柱に加締め固定してカバーとともに板バネを胴体に取り付けている。
　すなわち、図１及び図２に示すように、カバー１は、一面が開口した箱型で、その上壁１ａの内面に突起１ｂを有している。
　板バネ２は、両端に凹部２ａを有している。
　そして、板バネ２の凹部２ａをカバー１の突起１ｂに嵌め合わせて板バネ２をカバー１の上壁１ａの内面に接し、突起１ｂを加締パンチにより加締めることで、図３に示すように、突起１ｂをＶ字溝１ｃが拡がるように変形し、突起１ｂのＶ字溝１ｃを形成する一対の突片１ｄを板バネ２に押しつけることで、板バネ２をカバー１の上壁１ａの内面に加締めてカバー１に板バネ２を取り付けている。
　図１には、爪杆３、引手４、胴体５が図示してある。

特開２００４－１４７７２９号公報

　特許文献１に開示したように、カバー１の突起１ｂを、そのＶ字溝１ｃが拡がるように加締パンチにより一度に加締めて突起１ｂの一対の突片１ｄを拡開変形し、その突片１ｄを板バネ２に押しつけてカバー１に板バネ２を取り付けているので、突片１ｄの拡開変形量には限度があり、拡開変形した一対の突片１ｄ間の寸法、つまり突起１ｂの加締幅Ｈが小さく、かつ、突片１ｄが板バネ２の上面に対して斜めで、板バネ２が外れ易い。
　このために、板バネ２を取り付けたカバー１をスライダー組立機まで搬送する際等に、カバー１から板バネ２が外れることがある。

　本発明は、前述の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、カバーに板バネを外れることがないように加締め加工して取り付けできるカバーの板バネ取付装置とすることである。

　本発明は、スライドファスナー用のスライダーにおけるカバー１０内に板バネ２０を取り付けるカバーの板バネ取付装置であって、
　前記カバー１０は、一面が開口した箱型で、底面１０ｂの長手方向両側部に、一対の突片１７，１７を備えた突起１６をそれぞれ有し、
　前記板バネ２０は、長手方向両側部に前記カバー１０の各突起１６が嵌まり合う凹部２１をそれぞれ有し、
　前記各突起１６の一対の突片１７，１７を、離隔する方向に段階的に加締め加工する複数の加締パンチを設けたことを特徴とするカバーの板バネ取付装置である。

　本発明のカバーの板バネ取付装置は、前記加締パンチは、前記各突起１６の一対の突片１７，１７をＶ字形状に一次加締め加工する一次加締パンチ３０と、前記一次加締め加工したＶ字形状の一対の突片１７，１７を偏平形状に二次加締め加工する二次加締パンチ４０を備えたものにできる。

　このようにすれば、カバー１０に設けた突起１６の一対の突片１７を一次加締パンチ３０でＶ字形状に一次加締め加工した後に、そのＶ字形状の一対の突片１７を二次加締パンチ４０で偏平形状に二次加締め加工することで、カバー１０に板バネ２０を取り付けするから、突起１６の加締幅が大きく、突片１７を板バネ２０の上面と平行とすることができ、カバー１０に板バネ２０を外れることがないように加締め加工して取り付けできる。
　しかも、突起１６の一対の突片１７が欠損することがない。

　本発明のカバーの板バネ取付装置は、前記一次加締パンチ３０を有した第１加締部８ｃと、前記二次加締パンチ４０を有した第２加締部８ｄを備え、
　前記第１加締部８ｃ、第２加締部８ｄと前記カバー１０を、相対的に移動可能とすることで、第１加締部８ｃの一次加締パンチ３０がカバー１０の突起１６と対向した後に、第２加締部８ｄの二次加締パンチ４０がカバー１０の突起１６と対向するようにきる。

　本発明のカバーの板バネ取付装置は、間欠回転駆動するターンテーブル７のカバー支持部に、前記カバー１０を、開口が上に向けて支持し、前記ターンテーブル７が間欠回転駆動することでカバー１０が間欠的に移動するようにし、
　前記ターンテーブル７の上方に、前記一次加締パンチ３０を有した第１加締部８ｃと、前記二次加締パンチ４０を有した第２加締部８ｄを、第１加締部８ｃがターンテーブル７の回転方向の上流側で、第２加締部８ｄがターンテーブル７の回転方向の下流側となるように設けることができる。

　本発明のカバーの板バネ取付装置は、前記第１加締部８ｃは、一次加締パンチ３０をカバー１０の長手方向に位置決めする長手方向位置決め部材５０を備え、
　前記第２加締部８ｄは、二次加締パンチ４０をカバー１０の長手方向に位置決めする長手方向位置決め部材５０を備えているものにできる。

　このようにすれば、一次加締パンチ３０、二次加締パンチ４０をカバー１０の長手方向に位置決めできるから、カバー１０の突起１６を長手方向に誤差なく一次加締め加工、二次加締め加工できる。

　本発明のカバーの板バネ取付装置は、前記長手方向位置決め部材５０は、前記カバー１０の幅方向一対の長手方向に向かう側壁１１の開口部１４に嵌まり合う幅方向一対の位置決め突部５３を有しているものにできる。

　このようにすれば、カバー１０の開口部１４を基準として長手方向に位置決めするので、一次加締パンチ３０、二次加締パンチ４０を高精度にカバー１０の長手方向に位置決めできる。

　本発明のカバーの板バネ取付装置は、前記第１加締部８ｃは、一次加締パンチ３０をカバー１０の幅方向に位置決めする幅方向位置決め部材６０を備え、
　前記第２加締部８ｄは、二次加締パンチ４０をカバー１０の幅方向に位置決めする幅方向位置決め部材６０を備えているものにできる。

　このようにすれば、一次加締パンチ３０、二次加締パンチ４０をカバー１０の幅方向に位置決めできるから、カバー１０の突起１６を幅方向に誤差なく一次加締加工、二次加締加工ができる。

　本発明のカバーの板バネ取付装置は、前記幅方向位置決め部材６０は、前記カバー１０の幅方向一対の長手方向に向かう側壁１１の内側面１１ａ間に嵌合する位置決め突条６３を有しているものにできる。

　このようにすれば、カバー１０の内側面を基準として幅方向に位置決めするので、一次加締パンチ３０、二次加締パンチ４０を高精度にカバー１０の幅方向に位置決めできる。

　本発明のカバーの板バネ取付装置は、前記第１加締部８ｃは、前記長手方向位置決め部材５０及び幅方向位置決め部材６０を備え、
　前記第２加締部８ｄは、長手方向位置決め部材５０及び幅方向位置決め部材６０を備えているものにできる。

　このようにすれば、一次加締パンチ３０及び二次加締パンチ４０をカバー１０の長手方向、幅方向に位置決めできるから、カバー１０の突起１６を長手方向及び幅方向に誤差なく一次加締め加工、二次加締め加工できる。

　本発明のカバーの板バネ取付装置は、前記長手方向位置決め部材５０は、前記カバー１０の幅方向一対の長手方向に向かう側壁１１の開口部１４に嵌まり合う幅方向一対の位置決め突部５３を有し、
　前記幅方向位置決め部材６０は、前記カバー１０の幅方向一対の長手方向に向かう側壁１１の内側面１１ａ間に嵌合する位置決め突条６３を有し、
　前記長手方向位置決め部材５０及び幅方向位置決め部材６０は、一次加締パンチ３０、二次加締パンチ４０を基準としてそれぞれ上下方向に移動自在で、前記長手方向位置決め部材５０及び幅方向位置決め部材６０はバネ部材で下方に移動付勢されて位置決め突部５３、位置決め突条６３が一次加締パンチ３０、二次加締パンチ４０の加締め加工部３０ａ，４０ａよりも下方に突出した下方位置にそれぞれ保持することができる。

　このようにすれば、一次加締パンチ３０及び二次加締パンチ４０をカバー１０の長手方向及び幅方向に位置決めできると共に、長手方向位置決め部材５０で長手方向に位置決めし、幅方向位置決め部材６０で幅方向に位置決めした状態で一次加締パンチ３０で一次加締め加工し、二次加締パンチ４０で二次加締め加工するから、カバー１０の突起１６を高精度に一次加締め加工、二次加締め加工してカバー１０に板バネ２０を正しく取り付けできる。

　本発明のカバーの板バネ取付装置は、前記カバー１０は、底面１０ｂの長手方向両側部に、板バネ２０の長手方向両側部が載置する一対の板バネ支持部１５を有し、その各板バネ支持部１５の上面１５ａに突起１６をそれぞれ備え、
　前記一次加締パンチ３０は、各突起１６の一対の突片１７を同時に一次加締め加工する一対の加締め加工部３０ａを有し、
　前記二次加締パンチ４０は、一次加締め加工した各突起１６の一対の突片１７を同時に二次加締め加工する一対の加締め加工部４０ａを有し、
　前記各突起１６の一対の突片１７を二次加締パンチ４０の加締め加工部４０ａで偏平形状に二次加締め加工することで、その一対の突片１７は板バネ支持部１５の上面１５ａと平行となると共に、一対の突片１７は板バネ支持部１５の上面１５ａに載置した板バネ２０の上面と離隔しているものにできる。

　このようにすれば、板バネ２０をカバー１０に対して長手方向に動くように取り付けできるから、板バネ２０は板バネとしての機能を有する。

　本発明によれば、突起１６の一対の突片１７を、複数の加締パンチで離隔する方向に段階的に加締めることで、カバー１０に板バネ２０を取り付けるので、１つの加締めパンチによる一対の突片１７の拡開変形量を少なくして一対の突片１７が欠損しないようにしながら、突起１６の加締幅を大きく、突片１７を板バネ２０の上面と平行とすることができ、カバー１０に板バネ２０を外れないように加締め加工して取り付けできる。

スライドファスナー用スライダーを分解した状態の斜視図である。 カバーの縦断面図である。 カバーに板バネを取り付けた状態の縦断面図である。 カバーに板バネを取り付ける装置の概略平面図である。 カバーと板バネの斜視図である。 カバーの平面図である。 板バネを載置した状態のカバーの平面図である。 図７のＡ－Ａ断面図である。 図７のＢ－Ｂ断面図である。 一次加締め加工動作の説明図である。 二次加締め加工動作の説明図である。 第１加締部の側面図である。 一次加締パンチと長手方向位置決め部材と幅方向位置決め部材の取り外した状態の斜視図である。 一次加締パンチと長手方向位置決め部材と幅方向位置決め部材を組み合わせた状態の斜視図である。 図１４の底面図である。 長手方向位置決め動作の説明図である。 幅方向位置決め動作の説明図である。 一次加締パンチで一次加締め加工した状態の説明図である。 二次加締パンチと長手方向位置決め部材と幅方向位置決め部材を組み合わせた状態の斜視図である。

　図４は本発明のカバーの板バネ取付装置を概略的に示す平面図で、フレーム６に、回転盤であるターンテーブル７が回転自在に設けてある。
　このターンテーブル７は図示しないモータで所定角度ごとに間欠回転駆動する。
　ターンテーブル７の外周縁寄りには、スライダーのカバーを動かないように支持するカバー支持部、例えば収納凹部７ａを回転方向に等間隔で複数有している。
　ターンテーブルの周囲に、カバー供給部８ａ、板バネ供給部８ｂ、第１加締部８ｃ、第２加締部８ｄ等が設けてある。

　本発明の装置で取り付けるカバー及び板バネを図５乃至図９に基づいて説明する。なお、胴体に取り付けてスライダーを組み立てた状態においてスライダーの移動方向に向かう方向を長手方向とし、スライダーの移動方向と直交する方向に向かう方向を幅方向とし、スライダーの上下方向に向かう方向を高さ方向として説明する。
　本発明のカバー１０は、長手方向に向かう幅方向一対の側壁１１，１１と、幅方向に向かう長手方向一対の端壁１２，１２と上壁１３とで高さ方向の一面（下面）が開口した箱型である。
　カバー１０の内周面１０ａは、幅方向に対向した長手方向に向かう一対の側壁１１の幅方向に対向した内側面１１ａ，１１ａと、長手方向に対向した幅方向に向かう一対の端壁１２の内側面１２ａ，１２ａとで平面長方形状である。
　一対の側壁１１の長手方向中間部には、引手の枢軸が挿通する開口部１４が形成してある。
　開口部１４は、一対の側壁１１の高さ方向の一面（下面）１１ｂに開口し、長手方向に向かう底面１４ａと、底面１４ａの長手方向両端から側壁１１の一面（下面）１１ｂまで連続した長手方向一対の高さ方向に向かう端面１４ｂ，１４ｂとでコ字形状である。

　カバー１０の底面１０ｂ、つまり上壁１３の内側面１３ａにおける長手方向両側部に一対の板バネ支持部１５が設けてある。この一対の板バネ支持部１５の幅方向中間に突起１６が設けてある。
　突起１６は凹溝１６ａを有し、その凹溝１６ａを境として幅方向に離隔した一対の突片１７，１７を有している。一対の突片１７は起立形状で、板バネ支持部１５の上面１５ａと直角である。

　板バネ２０は、カバー１０の内周面１０ａに嵌まり込み、長手方向の両端部がカバー１０の板バネ支持部１５に載置する長方形の板状である。
　板バネ２０の長手方向の両端面２０ａには、図７、図８に示すように、突起１６が嵌まり合う凹部２１を有している。
　図９に示すように、突起１６の幅方向の寸法、つまり幅Ｈ１は、凹部２１の幅方向の寸法、つまり開口幅Ｈ２よりも小さく、突起１６の上から板バネ２０を下方に移動することで凹部２１が突起１６に嵌まり込み、板バネ２０を板バネ支持部１５に接することができるようにしてある。
　突起１６の凹溝１６ａの底面と板バネ支持部１５の上面１５ａとの間の寸法Ｈ３は、板バネ２０の厚さＴよりも大きい。

　次に、カバー１０に板バネ２０を取り付ける動作を説明する。
　カバー供給部８ａでカバー１０をターンテーブル７の収納凹部７ａに向けて供給し、カバー１０を収納凹部７ａに、上壁１３が下で、開口が上向きとして収納して動かないように支持する。
　ターンテーブル７の間欠回転により、収納凹部７ａに支持したカバー１０を板バネ供給部８ｂと対向した位置まで移動し、その状態で板バネ供給部８ｂでカバー１０に板バネ２０を供給し、図７、図８に示すように、板バネ２０の長手方向の両端部をカバー１０の板バネ支持部１５に載置し、かつ板バネ２０の凹部２１が突起１６に嵌まり合うようにする。
　板バネ２０とカバー１０の底面１０ｂとの間には隙間があり、板バネ２０がカバー１０の上壁１３に向けて湾曲変形できるようにしてある。
　板バネ供給部８ｂは、長尺なワイヤーを連続して送るワイヤー送り部と、送られたワイヤーに穴を明ける穴明け部と、穴を明けたワイヤーを穴部分で切断して両端に凹溝を有する板バネとする切断部を備えている。

　ターンテーブル７の間欠回転により板バネ２０を支持したカバー１０を第１加締部８ｃと対向した位置まで移動する。
　この状態で、図１０に示すように一次加締パンチ３０で突起１６を、一対の突片１７がＶ字形状に拡開変形するように一次加締め加工する。

　つまり、一次加締パンチ３０の先端部である加締め加工部３０ａは、図１０（ａ）に示すように、幅方向両側部の円弧面３１，３１と、この円弧面３１の下端部を連続する幅方向中央部の平坦面３２とでほぼＶ字形状で、平坦面３２が一次加締め加工以前の突起１６の凹溝１６ａに入り込むようにしてある。

　そして、一次加締パンチ３０を押し下げ、その加締め加工部３０ａの平坦面３２を、カバー１０の板バネ支持部１５に設けた突起１６の凹溝１６ａの開口部に接し、一次加締パンチ３０を凹溝１６ａに順次押しこむことで、図１０（ｂ）に示すように、起立形状である一対の突片１７，１７をカバー１０の幅方向に拡開変形し、一次加締パンチ３０の一対の円弧面３２に沿ったほぼＶ字形状に一次加締め加工する。

　このように、一対の突片１７をほぼＶ字形状とする一次加締め加工では、カバー１０の板バネ支持部１５の上面１５ａに載置した板バネ２０と突片１７は離れている。

　前述のように突起１６の一次加締め加工が終了した時点で、ターンテーブル７を間欠回転して板バネ２０を有したカバー１０を第２加締部８ｄと対向する位置まで移動する。
　この状態で、図１１に示すように、二次加締めパンチ４０で一次加締め加工した突起１６のＶ字形状の一対の突片１７，１７を、板バネ支持部１５の上面１５ａと平行である偏平形状に二次加締め加工する。なお、平行とはほぼ平行であることと、正しく平行であることを含むものである。

　つまり、二次加締パンチ４０の先端部である加締め加工部４０ａは、図１１ａに示すように、幅方向両側部の平坦面４１，４１を、この平坦面４１と連続した幅方向両側の円弧面４２と、この円弧面４２を連続する幅方向中央部の平坦面４３とで幅方向中央部に突部を有したほぼ平坦面形状である。

　そして、二次加締パンチ４０を押し下げ、その加締め加工部４０ａの幅方向中央部の平坦面４３を一次加締め加工した突起１６の凹溝１６ａの開口部に接し、二次加締パンチ４０を凹溝１６ａに順次押し込むことで、図１１（ｂ）に示すように、Ｖ字形状の一対の突片１７を板バネ支持部１５の上面１５ａと平行になる偏平形状に二次加締め加工する。

　このように、加締め加工部の形状が異なる一次加締パンチ３０と二次加締パンチ４０とで、突起１６の一対の突片１７を２段階に加締め加工するので、拡開変形した一対の突片１７間の寸法、つまり加締幅Ｈを大きくできる。しかも、突片１７を板バネ２０の上面２０ａと平行にできるから、板バネ２０をカバー１０に外れないようにしっかりと取り付けできる。

　しかも、一対の突片１７をＶ字形状に一次加締め加工した後に、そのＶ字形状の一対の突片１７を板バネ支持部１５の上面１５ａと平行になる偏平形状に二次加締め加工するので、突片１７を加締めるときに局部的な変形を緩和し、大きな変形量を確保できると共に、突片１７が欠損することもない。

　板バネ２０をカバー１０に取り付けた状態で、板バネ２０の長手方向両端部と、カバー１０の板バネ支持部１５の上面１５ａ、偏平形状に加締めた突片１７との間に隙間があり、板バネ２０はカバー１０に対して長手方向に動くことができ、板バネとしての機能を有する。

　前述のように、カバー１０に板バネ２０を取り付けが完了した時点で、ターンテーブル７を間欠回転して板バネ２０を取り付けたカバー１０を図示しない排出位置まで移動し、ターンテーブル７の収納凹部７ａから板バネ２０を取り付けたカバー１０を排出する。

　次に、第１加締部８ｃを説明する。
　図１２に示すように、フレーム６におけるターンテーブル７よりも上方に可動体６ａが上下方向に移動自在に設けてある。
　第１加締部８ｃは、パンチ取付体８に一次加締パンチ３０を取り付けてある。
　このパンチ取付体８を可動体６ａに取り付け、一次加締パンチ３０をターンテーブル７の収納凹部７ａの上に位置する。
　そして、可動体６ａとともにパンチ取付体８を下方に移動することで、収納凹部７ａに支持したカバー１０の突起１６を一次加締めパンチ３０で一次加締め加工し、板バネ２０をカバー１０に仮取り付けするようにしてある。

　ターンテーブル７の収納凹部７ａは、板バネ２０をセットしたカバー１０を、その長手方向がターンテーブル７の回転中心と外周面７ｂを結ぶ方向である径方向に向かうように収納する形状である。
　一次加締パンチ３０は一対の加締め加工部３０ａを有し、その一対の加締め加工部３０ａが、ターンテーブル７の収納凹部７ａに収納したカバー１０の一対の突起１６の上に位置している。
　これにより、一次加締パンチ３０を下方に移動することで、カバー１０の一対の突起１６を同時に一次加締め加工できる。

　一次加締部８ｃのパンチ取付体８には、一次加締パンチ３０をカバー１０の長手方向に位置決めする長手方向位置決め部材５０が取り付けてある。
　長手方向位置決め部材５０は、パンチ取付体８に上下方向に移動自在に設けてある。
　その長手方向位置決め部材５０は図示しないバネ部材で下方に向けて移動付勢され、一次加締パンチ３０の加締め加工部３０ａよりも下方に突出した下方位置に保持してある。

　このようであるから、パンチ取付体８が下方に移動することで長手方向位置決め部材５０がカバー１０に接してパンチ取付体８のカバー１０の長手方向位置を所定の位置とし、一次加締めパンチ３０をカバー１０の長手方向に位置決めし、一対の加締め加工部３０ａの長手方向位置がカバー１０の一対の突起１６の上となる。
　この状態で、パンチ取付体８がさらに下方に移動することで一次加締パンチ３０の一対の加締め加工部３０ａでカバー１０の一対の突起１６、つまり一対の突片１７をＶ字形状に一次加締め加工する。
　このとき、長手方向位置決め部材５０はバネ部材を縮めてパンチ取付体８の上方に移動する。

　一次加締部８ｃのパンチ取付体８には、一次加締パンチ３０をカバー１０の幅方向に位置決めする幅方向位置決め部材６０が取り付けてある。
　幅方向位置決め部材６０は、パンチ取付体８に上下方向に移動自在に設けてある。
　その幅方向位置決め部材６０は、図示しないバネ部材で下方に向けて移動付勢され、一次加締パンチ３０の加締め加工部３０ａよりも下方に突出した下方位置に保持してある。

　このようであるから、パンチ取付体８が下方に移動することで幅方向位置決め部材６０がカバー１０に接してパンチ取付体８のカバー１０の幅方向位置を所定の位置とし、一次加締めパンチ３０をカバー１０の幅方向に位置決めし、一対の加締め加工部３０ａの幅方向位置がカバー１０の一対の突起１６の上となる。
　この状態で、パンチ取付体８がさらに下方に移動することで一次加締パンチ３０の一対の加締め加工部３０ａでカバー１０の一対の突起１６、つまり一対の突片１７をＶ字形状に一次加締め加工する。
　このとき、幅方向位置決め部材６０はバネ部材を縮めてパンチ取付体８の上方に移動する。

　前述のように、長手方向位置決め部材５０及び幅方向位置決め部材６０を設けることで、一次加締めパンチ３０の加締め加工部３０ａをカバー１０の長手方向及び幅方向に位置決めすれば、一次加締パンチ３０でカバー１０の突起１６をより正確に加締め加工できる。

　長手方向位置決め部材５０と幅方向位置決め部材６０の両方を設けなくとも、どちらか一方のみを設けることで一次加工パンチ３０でカバー１０の突起１６を正確に加締め加工できる。

　一次加締パンチ３０、長手方向位置決め部材５０、幅方向位置決め部材６０の詳細を図１３乃至図１５に基づき説明する。
　一次加締パンチ３０は、幅方向両側面に凹溝３３を有した横断面がＨ字形状の縦長の取付本体３４と、この取付本体３４の下部に一体的に設けた長手方向一対の垂下片３５，３５と、一対の垂下片３５の下部に設けた長手方向一対の加締め加工部３０ａを有している。
　取付本体３４をパンチ取付体８に取り付け、一対の垂下片３５を取付本体３４よりも下方に突出し、その一対の垂下片３５がカバー１０内に入り込むようにしてある。

　長手方向位置決め部材５０は、幅方向一対の位置決め部材５１，５１を有し、その位置決め部材５１は一次加締パンチ３０の取付本体３４の凹溝３３に上下方向にスライド自在に嵌合して取り付ける縦長の本体５２と、この本体５２の下面に設けた位置決め突部５３を有している。

　そして、一対の位置決め部材５１の本体５２を取付本体３４の凹溝３３にそれぞれ嵌合して一対の位置決め部材５１を取付本体３４に上下方向にスライド自在に取り付け、位置決め突部５３を、一次加締パンチ３０における一対の加締め加工部３０ａの長手方向中間で、かつ一対の加締め加工部３０ａの幅方向両側に位置させる。

　幅方向位置決め部材６０は、縦長の板状となった本体６１と、この本体６１の下部に設けた横向片６２と、この横向片６２の下面に設けた位置決め突条６３を有し、横向片６１には一次加締パンチ３０の垂下片３５が挿通する孔６４を有している。
　本体６１には、一次加締パンチ３０の取付本体３４の長手方向一側面に設けたガイド片３６が上下方向にスライド自在に嵌合する長孔６５が形成してある。

　そして、横向片６２の孔６４を一次加締パンチ３０の一方の垂下片３５に挿通して位置決め突条６３を一対の垂下片３５間に嵌め込むと共に、長孔６５をガイド片３６に嵌合することで、幅方向位置決め部材６０を一次加締パンチ３０に上下方向に移動自在に取り付ける。

　一次加締パンチ３０の長手方向一対の加締め加工部３０ａ間に幅方向位置決め部材６０の位置決め突条６３が位置し、長手方向一対の加締め加工部３０ａの幅方向両側に長手方向位置決め部材５０の一対の位置決め突部５３が位置する。幅方向位置決め部材６０の位置決め突条６３が一次加締パンチ３０の加締め加工部３０ａよりも下方に位置し、長手方向位置決め部材５０の一対の位置決め突部５３が位置決め突条６３よりも下方位置で、この位置決め突部５３が最も下方位置である。

　このように、第１加締部８ｃは、一次加締パンチ３０の取付本体３４に、長手方向位置決め部材５０の一対の位置決め部材５１の本体５２及び、幅方向位置決め部材６０の本体６１を上下動自在に取り付けてあるので、長手方向位置決め部材５０及び幅方向位置決め部材６０は一次加締パンチ３０を基準として上下に移動するから、その位置決め部材５０及び位置決め部材６０によって一次加締パンチ３０をカバー１０に対して長手方向及び幅方向に高精度に位置決めできる。

　一次加締めパンチ３０の取付本体３４をパンチ取付体８に固定して取り付け、長手方向位置決め部材５０、幅方向位置決め部材６０を図示しないバネ部材で下方に移動付勢して下方位置に保持することで、第１加締部８ｃを組み立てることができる。

　長手方向位置決め部材５０による位置決め動作を説明する。
　長手方向位置決め部材５０の一対の位置決め突部５３の長手方向の寸法は、図１６（ａ），（ｂ）に示すようにカバー１０の一対の側壁１１に形成した開口部１４の長手方向の寸法と同一で、各位置決め突部５３が一対の側壁１１の開口部１４にそれぞれ嵌合して、一次加締パンチ３０をカバー１０の長手方向に位置決めする。
　このように、長手方向位置決め部材５０を用いてカバー１０の開口部１４を基準として一次加締パンチ３０をカバー１０の長手方向に位置決めするので、一次加締パンチ３０を高精度に長手方向に位置決めできる。

　一対の位置決め突部５３はカバー１０の側壁１１よりも内面側への突出量が制限され、位置決め突部５３が板バネ２０と干渉しないようにしてある。本体５２の下面５２ａがカバー１０の側壁１１の端面に接することで位置決め突部５３の開口部１４への嵌合深さ（上下方向の寸法）を規制する。
　なお、ターンテーブル７には、その収納凹部７ａと連続して位置決め突部５３が嵌まり合う凹陥部７ｃが形成してある。

　幅方向位置決め部材６０による位置決め動作を説明する。
　幅方向位置決め部材６０の位置決め突条６３は図１７（ａ），（ｂ）に示すように、その位置決め突条６３の長手方向の長さがカバー１０の開口部１４の長手方向の長さよりも長く、位置決め突条６３の幅方向の長さはカバー１０の一対の側壁１１の内側面１１ａ間の寸法と同一で、その位置決め突条６３をカバー１０の一対の側壁１１の内側面１１ａ間に嵌合することで一次加締パンチ３０をカバー１０の幅方向に位置決めする。
　このように、幅方向位置決め部材６０を用いてカバー１０の内側面を基準として一次加締パンチ３０をカバー１０の幅方向に位置決めするので、一次加締めパンチ３０を高精度に幅方向に位置決めできる。

　一次加締パンチ３０の一対の加締め加工部３０ａ，３０ａの長手方向の間隔は、図１８に示すようにカバー１０の一対の突起１６，１６の長手方向の間隔で同一で、一対の加締め加工部３０ａで一対の突起１６の突片１７を同時に一次加締め加工する。

　第２加締部８ｄは、図１９に示すように、第１加締部８ｃと同様に長手方向位置決め部材５０及び幅方向位置決め部材６０を備え、この位置決め部材５０及び位置決め部材６０は第１加締部８ｃの位置決め部材５０、位置決め部材６０と同一で、二次加締パンチ４０の加締め加工部４０ａの形状が一次加締パンチ３０の加締め加工部３０ａの形状と異なる。

　これにより、第２加締部８ｄの二次加締パンチ４０を、長手方向位置決め部材５０及び幅方向位置決め部材６０によってカバー１０の長手方向及び幅方向に高精度で位置決めできる。

　長手方向位置決め部材５０及び幅方向位置決め部材６０は、パンチ取付体８にそれぞれ単独で上下方向に移動自在に取り付け、ばね部材でそれぞれ下方に移動付勢して下方位置に保持するようにしても良い。

　また、ターンテーブル７を回転せずにカバー１０を移動しない状態で第１加締部８ｃと第２加締部８ｄをカバー１０に対して移動しても良い。
　例えば、フレーム６に設けた可動体６ａに第１加締部８ｃと第２加締部８ｄを取り付け、可動体６ａをターンテーブル７に対して水平方向に移動自在とし、第１加締部８ｃをターンテーブル７の収納凹部７ａに支持したカバー１０と対向する位置とし、一次加締め加工した後に、第２加締部８ｄを前述のカバー１０と対向する位置とし、二次加締め加工する。
　または、パンチ取付体８に一次加締パンチ３０を上向きに設け、二次加締パンチ４０を下向きに設け、パンチ取付体８を１８０°回転することで一次加締パンチ３０がカバー１０と対向したり、二次加締パンチ４０がカバー１０と対向したりするようにする。
　つまり、第１加締部８ｃ、第２加締部８ｄとカバー１０とが相対的に移動するようにすれば良い。

　前述の実施の形態では、一対の突片１７を一次加締パンチ３０で一次加締め加工し、その後に一対の突片１７を二次加締パンチ４０で二次加締め加工して板バネ２０をカバー１０に取り付けしたが、一対の突片１７を３つ以上の加締パンチで離隔する方向に段階的に加締め加工して板バネ２０をカバー１０に取り付けしても良い。
　つまり、本発明は、一対の突片１７を、加締め加工部の形状が異なる複数の加締パンチを用い、一対の突片１７が離隔する方向に段階的に加締め加工し、１つの加締パンチによる拡開変形量を少なくすることで、板バネ２０をカバー１０に加締め加工して取り付けるカバーの板バネ取付装置である。

　７…ターンテーブル、７ａ…収納凹部（カバー支持部）、８ｃ…第１加締部、８ｄ…第２加締部、１０…カバー、１０ｂ…底壁、１１…側壁、１１ａ…内側面、１４…開口部、１５…板バネ支持部、１５ａ…上面、１６…突起、１６ａ…凹溝、１７…突片、２０…板バネ、２１…凹部、３０…一次加締パンチ、３０ａ…加締め加工部、４０…二次加締パンチ、４０ａ…加締め加工部、５０…長手方向位置決め部材、５３…位置決め突部、６０…幅方向位置決め部材、６３…位置決め突条。

Claims (11)

1. 　スライドファスナー用のスライダーにおけるカバー（１０）内に板バネ（２０）を取り付けるカバーの板バネ取付装置であって、
   　前記カバー（１０）は、一面が開口した箱型で、底面（１０ｂ）の長手方向両側部に、一対の突片（１７），（１７）を備えた突起（１６）をそれぞれ有し、
   　前記板バネ（２０）は、長手方向両側部に前記カバー（１０）の各突起（１６）が嵌まり合う凹部（２１）をそれぞれ有し、
   　前記各突起（１６）の一対の突片（１７），（１７）を、離隔する方向に段階的に加締加工する複数の加締パンチを設けたことを特徴とするカバーの板バネ取付装置。
2. 　前記加締パンチは、前記各突起（１６）の一対の突片（１７），（１７）をＶ字形状に一次加締め加工する一次加締パンチ（３０）と、
   　前記一次加締め加工したＶ字形状の一対の突片（１７），（１７）を偏平形状に二次加締め加工する二次加締パンチ（４０）を備えている請求項１記載のカバーの板バネ取付装置。
3. 　前記一次加締パンチ（３０）を有した第１加締部（８ｃ）と、前記二次加締パンチ（４０）を有した第２加締部（８ｄ）を備え、
   　前記第１加締部（８ｃ）、第２加締部（８ｄ）と前記カバー（１０）を、相対的に移動可能とすることで、第１加締部（８ｃ）の一次加締パンチ（３０）がカバー（１０）の突起（１６）と対向した後に、第２加締部（８ｄ）の二次加締パンチ（４０）がカバー（１０）の突起（１６）と対向するようにした請求項２記載のカバーの板バネ取付装置。
4. 　間欠回転駆動するターンテーブル（７）のカバー支持部に、前記カバー（１０）を、開口が上に向けて支持し、前記ターンテーブル（７）が間欠回転駆動することでカバー（１０）が間欠的に移動するようにし、
   　前記ターンテーブル（７）の上方に、前記一次加締パンチ（３０）を有した第１加締部（８ｃ）と、前記二次加締パンチ（４０）を有した第２加締部（８ｄ）を、第１加締部（８ｃ）がターンテーブル（７）の回転方向の上流側で、第２加締部（８ｄ）がターンテーブル（７）の回転方向の下流側となるように設けた請求項３記載のカバーの板バネ取付装置。
5. 　前記第１加締部（８ｃ）は、一次加締パンチ（３０）をカバー（１０）の長手方向に位置決めする長手方向位置決め部材（５０）を備え、
   　前記第２加締部（８ｄ）は、二次加締パンチ（４０）をカバー（１０）の長手方向に位置決めする長手方向位置決め部材（５０）を備えている請求項３又は４記載のカバーの板バネ取付装置。
6. 　前記長手方向位置決め部材（５０）は、前記カバー（１０）の幅方向一対の長手方向に向かう側壁（１１）の開口部（１４）に嵌まり合う幅方向一対の位置決め突部（５３）を有している請求項５記載のカバーの板バネ取付装置。
7. 　前記第１加締部（８ｃ）は、一次加締パンチ（３０）をカバー（１０）の幅方向に位置決めする幅方向位置決め部材（６０）を備え、
   　前記第２加締部（８ｄ）は、二次加締パンチ（４０）をカバー（１０）の幅方向に位置決めする幅方向位置決め部材（６０）を備えている請求項３又は４記載のカバーの板バネ取付装置。
8. 　前記幅方向位置決め部材（６０）は、前記カバー（１０）の幅方向一対の長手方向に向かう側壁（１１）の内側面（１１ａ）間に嵌合する位置決め突条（６３）を有している請求項７記載のカバーの板バネ取付装置。
9. 　前記第１加締部（８ｃ）は、前記長手方向位置決め部材（５０）及び幅方向位置決め部材（６０）を備え、
   　前記第２加締部（８ｄ）は、長手方向位置決め部材（５０）及び幅方向位置決め部材（６０）を備えている請求項３又は４記載のカバーの板バネ取付装置。
10. 　前記長手方向位置決め部材（５０）は、前記カバー（１０）の幅方向一対の長手方向に向かう側壁（１１）の開口部（１４）に嵌まり合う幅方向一対の位置決め突部（５３）を有し、
    　前記幅方向位置決め部材（６０）は、前記カバー（１０）の幅方向一対の長手方向に向かう側壁（１１）の内側面（１１ａ）間に嵌合する位置決め突条（６３）を有し、
    　前記長手方向位置決め部材（５０）及び幅方向位置決め部材（６０）は、一次加締パンチ（３０）、二次加締パンチ（４０）を基準としてそれぞれ上下方向に移動自在で、前記長手方向位置決め部材（５０）及び幅方向位置決め部材（６０）はバネ部材で下方に移動付勢されて位置決め突部（５３）、位置決め突条（６３）が一次加締パンチ（３０）、二次加締パンチ（４０）の加締め加工部（３０ａ），（４０ａ）よりも下方に突出した下方位置にそれぞれ保持した請求項９記載のカバーの板バネ取付装置。
11. 　前記カバー（１０）は、底面（１０ｂ）の長手方向両側部に、板バネ（２０）の長手方向両側部が載置する一対の板バネ支持部（１５）を有し、その各板バネ支持部（１５）の上面（１５ａ）に突起（１６）をそれぞれ備え、
    　前記一次加締パンチ（３０）は、各突起（１６）の一対の突片（１７）を同時に一次加締め加工する一対の加締め加工部（３０ａ）を有し、
    　前記二次加締パンチ（４０）は、一次加締め加工した各突起（１６）の一対の突片（１７）を同時に二次加締め加工する一対の加締め加工部（４０ａ）を有し、
    　前記各突起（１６）の一対の突片（１７）を二次加締ペンチ（４０）の加締め加工部（４０ａ）で偏平形状に二次加締め加工することで、その一対の突片（１７）は板バネ支持部（１５）の上面（１５ａ）と平行となると共に、一対の突片（１７）は板バネ支持部（１５）の上面（１５ａ）に載置した板バネ（２０）の上面と離隔している請求項２～１０いずれか１項記載のカバーの板バネ取付装置。

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