WO2015050049A1 - 吸水性樹脂と繊維粉からなる複合物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来の衛材製品に使用される粉砕パルプと吸水性樹脂とを混合した吸収体では、吸水性樹脂とパルプとの均一混合が困難であることから、吸水時にゲルブロッキングが発生し、吸収量、通液性、瞬間吸収速度の低下およびリウェットの増大、ドライ感に劣る問題が生起する。 【解決手段】 吸水性樹脂と繊維粉を直接接触させ、ゲルブロッキングを防止することができ、吸水速度や吸収後のドライ感および通液性が向上し、瞬間吸収速度の向上やリウェットが低減できる複合物を提供するものである。 また、特定の粒径の紙粉と吸水性樹脂を直接接着させ、かつ従来吸水性樹脂製造時にゲルブロッキングを防ぐ目的の外表面架橋をせず、ゲルブロッキングを防ぐことが可能となった。本発明の複合物は高性能の吸水力の維持、さらに従来困難であった高粘度溶液をも吸収することも可能であることを見出した。
Description
本発明は、吸水性樹脂と繊維粉とから構成され、含水性液体吸収体に用いる複合物及びその製造方法に関する。
近年、大量の水を吸収する吸水性樹脂が開発され、紙おむつ、生理用ナプキン等の衛材製品分野を中心に先進国はもとより急速な経済発展を遂げている国、地域においても広く利用されている。吸水性樹脂は、通常は微粉末の状態で使用されるため紙おむつ等の衛材製品製造時のハンドリングが悪いという欠点がある。紙おむつ等の衛材製品分野においては、パルプ等と混合し、シート状にして実用に供されている。パルプは吸水性樹脂を担持する役割と、吸水性樹脂同士が接触して通液を妨げるゲルブロッキングを防止する役割を果たす。しかしながら、吸水性樹脂とパルプは比重および形態が異なるため分離しやすく、吸水性樹脂粒子が内部で偏在し、ゲルブロッキングの生成を抑制することが出来ず、吸水性能を一定に発現するのが困難であり、せっかくの吸水性樹脂の高吸水性能を十分発揮出来ていないという問題点がある。また、必要パルプ量が多く厚みが厚くなり成人が外出時や業務上着用する場合ファッション性に劣り、円滑な行動を阻害するという問題がある。更には、これらの現状製品は、吸水性樹脂を固定化するために比較的長い繊維のパルプを使用しており、粉砕・混合条件が難しく工業的な生産性が低く製品製造装置の長大化を招いている。また粉砕時に生成した繊維粉が工程でロスになり、原材料の歩留まりが低下するという問題がある。
このような問題を解決するために、粉末吸水性樹脂と繊維を複合化したり、粉末の吸水性樹脂をシートに固定化しシート状に成型した吸収体を使用したりすることが検討されている。粉末吸水性樹脂と繊維を複合化する方法として以下の方法が知られている。
例えば、引用特許文献1には吸水性樹脂とセルロース等の多糖類からなる吸水性樹脂が提案されているが外表面架橋された吸水性樹脂に関するものである。引用特許文献2には球状吸水性樹脂と繊維との複合物が提案されているが、該繊維を吸水性樹脂重合時に複合化するものであり、製造工程及び装置が複雑且つ長大化し、安価で高い特性性能を持つ含水性液体の吸収性物品提供には難点がある。引用特許文献3では、水分が少なく粉末状の繊維と吸水性樹脂の接着強度が不足し、このため吸水性樹脂が脱落偏在化する。引用特許文献4では、粒子径の大きい繊維を用い、その一部が樹脂に埋め込まれたものであるが、一定以上の長さの繊維を用いるために、前述したごとく均一混合が困難で、工業的製造に適しているとは言えない。引用特許文献5および引用特許文献6では、吸収補助体として無機物を混合させ、高粘度性液体の吸収性を向上させることを提案しているが、水不溶性無機物質を吸水性樹脂に比較的大量に使うものである。引用特許文献7では疎水性有機溶媒下で作製する他、バインダーを用いて作製する方法が提案されている。引用特許文献8および引用特許文献9では親水性の基材へ吸水性樹脂を直接結合させることで、基材から吸水性樹脂への水分の通路をつくり、吸水性樹脂自体の高い吸水倍率を発揮できる吸水シートおよびその製造方法が提案されている。引用特許文献10では繊維質基材に凝集性吸水性樹脂粒子群を固定する時に固定する方法が提案されている。
例えば、引用特許文献1には吸水性樹脂とセルロース等の多糖類からなる吸水性樹脂が提案されているが外表面架橋された吸水性樹脂に関するものである。引用特許文献2には球状吸水性樹脂と繊維との複合物が提案されているが、該繊維を吸水性樹脂重合時に複合化するものであり、製造工程及び装置が複雑且つ長大化し、安価で高い特性性能を持つ含水性液体の吸収性物品提供には難点がある。引用特許文献3では、水分が少なく粉末状の繊維と吸水性樹脂の接着強度が不足し、このため吸水性樹脂が脱落偏在化する。引用特許文献4では、粒子径の大きい繊維を用い、その一部が樹脂に埋め込まれたものであるが、一定以上の長さの繊維を用いるために、前述したごとく均一混合が困難で、工業的製造に適しているとは言えない。引用特許文献5および引用特許文献6では、吸収補助体として無機物を混合させ、高粘度性液体の吸収性を向上させることを提案しているが、水不溶性無機物質を吸水性樹脂に比較的大量に使うものである。引用特許文献7では疎水性有機溶媒下で作製する他、バインダーを用いて作製する方法が提案されている。引用特許文献8および引用特許文献9では親水性の基材へ吸水性樹脂を直接結合させることで、基材から吸水性樹脂への水分の通路をつくり、吸水性樹脂自体の高い吸水倍率を発揮できる吸水シートおよびその製造方法が提案されている。引用特許文献10では繊維質基材に凝集性吸水性樹脂粒子群を固定する時に固定する方法が提案されている。
しかしながら、上記の繊維と吸水性樹脂との複合物では吸水性樹脂の吸水後の膨潤空間が十分に確保されておらず、ゲルブロッキングの発生を抑制しきれず、更に吸水性樹脂の濡れ性や吸収水の保持性が悪い等の理由により、吸水速度、ドライ感の点で満足のいくものは得られていなかった。更に加えて工業的生産時に煩雑な工程や多岐にわたる種類の使用材料が必要となる等の問題点があった。また、近年全世界的にみても高齢化社会へと移行する国々が増えており、失禁用の紙おむつが乳幼児向けを上回る需要の上昇となっている。健常な高齢者は社会活動も活発であり薄型・軽量化を指向した失禁用の紙おむつが提供されるようになっている。しかしながら、従来の吸水性樹脂を使用して薄型化・軽量化を実現するためにはパルプの使用量を減らすので、吸収速度の低下や吸水性樹脂の不均一分布が起こり、性能満足度が低下している。更に経血などの高粘度溶液においては従来の吸水性樹脂では表面が血液成分に覆われてしまい液体吸収が困難であるという問題点があった。
本発明は、吸水性樹脂と繊維粉とを複合化することによって、粒子スケールでのゲルブロッキングを防止し、また、吸水性樹脂の外表面架橋度を制御することによって、吸水性樹脂の濡れ性を改善することで、吸収速度、吸収後のドライ感に優れる吸収体を構成するための複合物を提供するものである。特に尿や血液更には経血等の低粘度から高粘度にわたる含水性液体の吸収性に優れた、吸水性樹脂と親水性繊維からなる含水性液体の吸収複合物を提供すると共に、この複合物を使用した吸水シート、該吸水シートを使用した紙おむつ・生理用品の如き吸収性物品の液戻り、液漏れを確実に防止し得る優れた吸収性、保液性を有しかつ薄型で柔軟性に富む性能(以下、「特性性能」という)向上、及びそれらの製造方法の改善ならびに用いられる複合物を供することを目的とする。更に、本発明の複合物を用いて紙おむつ・生理用品の如き吸収性物品製造時の原材料点数や用いられる製造機械・プロセスの簡略化に効果を発現するものである。
本発明者は上記課題に対して鋭意検討を重ねた結果、特定の大きさの親水性繊維粉と特定の大きさの吸水性樹脂が直接接着された複合物は、どのような形態で使用されても粒子同士のゲルブロッキングが発生せず、また高い濡れ性及び低リウェット性を示すため、吸収速度とドライ感が優れることを見出した。また、吸水性樹脂と水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉、もしくは水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉及び疎水性繊維粉が吸水性樹脂とを混合した状態から脱水乾燥する工程を含んで製造することで、理想的な複合物が形成されることを見出した。
更に驚くべきことには、従来の吸水性樹脂では吸収困難であった経血の吸収性能も向上した。
更に従来、当該用途に用いられる製品製造に必須であった吸水性樹脂の外表面架橋を必要とせず上記目的を達することを見出し、製品の性能もさることながら製品の工業的製造工程の簡略化や多岐にわたる種類の使用材料の削減を実現し、以って人類の生活利便性(QOL)に優れた製品を提供することに成功したものである。また、その複合物を用いて、特性性能を持つ衛材製品を、少ない原単位で提供することを目的とする。
本発明は従来の当該技術分野における常識を覆す吸水性樹脂と繊維粉とから構成される複合物とその製造方法に関するものである。
更に驚くべきことには、従来の吸水性樹脂では吸収困難であった経血の吸収性能も向上した。
更に従来、当該用途に用いられる製品製造に必須であった吸水性樹脂の外表面架橋を必要とせず上記目的を達することを見出し、製品の性能もさることながら製品の工業的製造工程の簡略化や多岐にわたる種類の使用材料の削減を実現し、以って人類の生活利便性(QOL)に優れた製品を提供することに成功したものである。また、その複合物を用いて、特性性能を持つ衛材製品を、少ない原単位で提供することを目的とする。
本発明は従来の当該技術分野における常識を覆す吸水性樹脂と繊維粉とから構成される複合物とその製造方法に関するものである。
すなわち、以下の発明が提供される。
[1]吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と親水性繊維粉を含有する複合物であって、該吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と親水性繊維粉が直接接着し、該吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂の平均粒子径が75~710μm、該親水性繊維粉の平均粒子径が10~100μmであり、かつ、該吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂100重量部に対し外表面架橋剤を0~1.0重量部含むことを特徴とする複合物。
[2]吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と、親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を含有する複合物であって、該吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と、該親水性繊維粉及び該疎水性繊維粉が直接接着し、該吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂の平均粒子径が75~710μm、該親水性繊維粉の平均粒子径が10~100μmであり、かつ、該吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂100重量部に対し外表面架橋剤を0~1.0重量部含むことを特徴とする複合物。
[3]前記吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂の外表面が架橋されていないことを特徴とする、[1]または[2]のいずれかに記載の複合物。
[4]前記親水性繊維粉がセルロース系繊維粉であり、前記疎水性繊維粉がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンまたはポリプロピレンであることを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載の複合物。
[5]前記吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と前記親水性繊維粉、または前記親水性繊維粉及び前記疎水性繊維粉が直接接触し、接触後の外表面架橋により直接接着することを特徴とする[1]~[4]のいずれかに記載の複合物。
[6]吸水性樹脂と前記親水性繊維粉、または前記親水性繊維粉及び前記疎水性繊維粉と水の配合物の乾燥前重量比が、10:1:0.1~10:5:5であることを特徴とする[1]~[5]のいずれかに記載の複合物。
[7]前記吸水性ポリアクリル酸ナトリウムと繊維粉とが接着する際に、前記親水性繊維粉または前記親水性繊維粉及び前記疎水性繊維粉が、前記吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子100重量部に対し0~1.0重量部の外表面架橋剤水溶液、もしくは水を1~50重量部含有していることを特徴とする[1]~[6]のいずれかに記載の複合物。
[8]前記吸水性ポリアクリル酸ナトリウム吸水性樹脂が酸基と反応しうる官能基を有しており、前記親水性繊維粉、または前記親水性繊維粉及び前記疎水性繊維粉が吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と反応しうる酸基及び官能基を有している、又は、吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂がナトリウム基及び酸基を有しており、親水性繊維粉、または親水性繊維粉及び疎水性繊維粉が吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂のナトリウム基及び酸基と反応しうる酸基及び官能基を2つ以上有する化合物を含有しており、該ナトリウム基がナトリウム基と反応しうる官能基により架橋していることを特徴とする[1]~[7]のいずれかに記載の複合物。
[9]尿、経血、血液等の体液、または水及び含水液体を吸収することを特徴とする[1]~[8]のいずれかに記載の複合物。
[10]吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子と、水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉、もしくは親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を混合する工程を含む、[1]~[9]のいずれかに記載の複合物の製造方法。
[11]吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子と、水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉、もしくは水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を直接接着して得られる混合物を脱水乾燥させる工程を含む、[1]~[10]のいずれかに記載の複合物の製造方法。
[12]外表面が架橋されていない吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子と、水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉、もしくは親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を混合する工程を含む、[3]~[9]に記載の複合物の製造方法。
[13]外表面が架橋されていない吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子と、水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉、もしくは水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を直接接着後、該混合物を脱水乾燥させる工程を含む[3]~[9]および[12]のいずれかに記載の複合物の製造方法。
[14]吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子と、水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉、または親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を混合し、該混合物に水または外表面架橋剤水溶液を加える工程を含む、[1]~[13]に記載の複合物の製造方法。
[15]外表面が架橋されていない吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子と、水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉、または親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を混合し、該混合物に水または外表面架橋剤水溶液を加える工程を含む、[3]~[9]、[12]および[13]に記載の複合物の製造方法。
[16]脱水乾燥させる工程以前の吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と親水性繊維粉、または親水性繊維粉及び疎水性繊維粉と水または外表面架橋剤水溶液の混合物中の、吸水性樹脂と親水性繊維粉、または親水性繊維粉及び疎水性繊維粉と水または外表面架橋剤水溶液の重量比が10:1:0.1~10:5:5であることを特徴とする[1]~[15]に記載の複合物の製造方法。
[1]吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と親水性繊維粉を含有する複合物であって、該吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と親水性繊維粉が直接接着し、該吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂の平均粒子径が75~710μm、該親水性繊維粉の平均粒子径が10~100μmであり、かつ、該吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂100重量部に対し外表面架橋剤を0~1.0重量部含むことを特徴とする複合物。
[2]吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と、親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を含有する複合物であって、該吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と、該親水性繊維粉及び該疎水性繊維粉が直接接着し、該吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂の平均粒子径が75~710μm、該親水性繊維粉の平均粒子径が10~100μmであり、かつ、該吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂100重量部に対し外表面架橋剤を0~1.0重量部含むことを特徴とする複合物。
[3]前記吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂の外表面が架橋されていないことを特徴とする、[1]または[2]のいずれかに記載の複合物。
[4]前記親水性繊維粉がセルロース系繊維粉であり、前記疎水性繊維粉がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンまたはポリプロピレンであることを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載の複合物。
[5]前記吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と前記親水性繊維粉、または前記親水性繊維粉及び前記疎水性繊維粉が直接接触し、接触後の外表面架橋により直接接着することを特徴とする[1]~[4]のいずれかに記載の複合物。
[6]吸水性樹脂と前記親水性繊維粉、または前記親水性繊維粉及び前記疎水性繊維粉と水の配合物の乾燥前重量比が、10:1:0.1~10:5:5であることを特徴とする[1]~[5]のいずれかに記載の複合物。
[7]前記吸水性ポリアクリル酸ナトリウムと繊維粉とが接着する際に、前記親水性繊維粉または前記親水性繊維粉及び前記疎水性繊維粉が、前記吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子100重量部に対し0~1.0重量部の外表面架橋剤水溶液、もしくは水を1~50重量部含有していることを特徴とする[1]~[6]のいずれかに記載の複合物。
[8]前記吸水性ポリアクリル酸ナトリウム吸水性樹脂が酸基と反応しうる官能基を有しており、前記親水性繊維粉、または前記親水性繊維粉及び前記疎水性繊維粉が吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と反応しうる酸基及び官能基を有している、又は、吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂がナトリウム基及び酸基を有しており、親水性繊維粉、または親水性繊維粉及び疎水性繊維粉が吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂のナトリウム基及び酸基と反応しうる酸基及び官能基を2つ以上有する化合物を含有しており、該ナトリウム基がナトリウム基と反応しうる官能基により架橋していることを特徴とする[1]~[7]のいずれかに記載の複合物。
[9]尿、経血、血液等の体液、または水及び含水液体を吸収することを特徴とする[1]~[8]のいずれかに記載の複合物。
[10]吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子と、水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉、もしくは親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を混合する工程を含む、[1]~[9]のいずれかに記載の複合物の製造方法。
[11]吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子と、水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉、もしくは水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を直接接着して得られる混合物を脱水乾燥させる工程を含む、[1]~[10]のいずれかに記載の複合物の製造方法。
[12]外表面が架橋されていない吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子と、水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉、もしくは親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を混合する工程を含む、[3]~[9]に記載の複合物の製造方法。
[13]外表面が架橋されていない吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子と、水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉、もしくは水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を直接接着後、該混合物を脱水乾燥させる工程を含む[3]~[9]および[12]のいずれかに記載の複合物の製造方法。
[14]吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子と、水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉、または親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を混合し、該混合物に水または外表面架橋剤水溶液を加える工程を含む、[1]~[13]に記載の複合物の製造方法。
[15]外表面が架橋されていない吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子と、水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉、または親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を混合し、該混合物に水または外表面架橋剤水溶液を加える工程を含む、[3]~[9]、[12]および[13]に記載の複合物の製造方法。
[16]脱水乾燥させる工程以前の吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と親水性繊維粉、または親水性繊維粉及び疎水性繊維粉と水または外表面架橋剤水溶液の混合物中の、吸水性樹脂と親水性繊維粉、または親水性繊維粉及び疎水性繊維粉と水または外表面架橋剤水溶液の重量比が10:1:0.1~10:5:5であることを特徴とする[1]~[15]に記載の複合物の製造方法。
本発明によれば、吸収速度、吸収後のドライ感に優れる含水性液体吸収用複合物を提供できる。該複合物はどのような使用方法をしてもゲルブロッキングが発生することはなく、高い通液性と濡れ性を示すために、衛材製品等に好適に使用できる。
したがって、該複合物は衛材製品製造時に使用部材点数を減らすことができ、製造プロセスの簡略化、省資源化にも貢献することもできる。
また、本発明の該複合物を用いた吸水シートは、薄型でありながらリウェット量が少なく、保水倍率も保たれるため、尿漏れ等のリスクを低減できる。
したがって、該複合物は衛材製品製造時に使用部材点数を減らすことができ、製造プロセスの簡略化、省資源化にも貢献することもできる。
また、本発明の該複合物を用いた吸水シートは、薄型でありながらリウェット量が少なく、保水倍率も保たれるため、尿漏れ等のリスクを低減できる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
〔1.複合物〕
本発明の複合物は、平均粒子径が75~710μmの吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と平均粒子径が10~100μmの親水性繊維粉から構成され、吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と親水性繊維粉または親水性繊維粉及び疎水性繊維粉が直接接着していることを特徴とし、吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂100量部に対し外表面架橋剤が0~1.0重量部を含むものであり、また、平均粒子径が75~710μmの外表面架橋されていない(以下、外表面未架橋という)吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と平均粒子径が10~100μmの親水性繊維粉または親水性繊維粉及び疎水性繊維粉から構成され、外表面未架橋吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と親水性繊維粉または親水性繊維粉及び疎水性繊維粉が直接接着していることを特徴とし、外表面未架橋吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂100量部に対し外表面架橋剤が0~1.0重量部を含むものである。
〔1.複合物〕
本発明の複合物は、平均粒子径が75~710μmの吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と平均粒子径が10~100μmの親水性繊維粉から構成され、吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と親水性繊維粉または親水性繊維粉及び疎水性繊維粉が直接接着していることを特徴とし、吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂100量部に対し外表面架橋剤が0~1.0重量部を含むものであり、また、平均粒子径が75~710μmの外表面架橋されていない(以下、外表面未架橋という)吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と平均粒子径が10~100μmの親水性繊維粉または親水性繊維粉及び疎水性繊維粉から構成され、外表面未架橋吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と親水性繊維粉または親水性繊維粉及び疎水性繊維粉が直接接着していることを特徴とし、外表面未架橋吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂100量部に対し外表面架橋剤が0~1.0重量部を含むものである。
一般に親水性繊維は液体を一時的に捕獲する速度は速いが、圧力が加わると液体を離してしまう、また親水性繊維および疎水性繊維の混合物は親水性繊維の液体を一時的に捕獲する能力と疎水性繊維の樋能力(水を導く通路となる能力)の補完効果により一時的な捕獲能力と同時に拡散移動速度が向上するが、圧力が加わると液体を離してしまう。一方、吸水性樹脂は、液体の拡散移動速度は遅いが液体を完全に取り込み、圧力がかかっても液体を保持することができる。
本発明の複合物は、親水性繊維、または親水性繊維および疎水性繊維が捕獲した液体を、表面から速やかに吸水性樹脂へ送り込むことができる構造であるため、スポット吸収速度が速く、ドライ感に優れると考えられる。
本発明の複合物は、親水性繊維、または親水性繊維および疎水性繊維が捕獲した液体を、表面から速やかに吸水性樹脂へ送り込むことができる構造であるため、スポット吸収速度が速く、ドライ感に優れると考えられる。
吸水性樹脂の性能を測定する方法として、吸水倍率ではティーバッグ法(JIS K7223-1996)、吸収速度では、ボルテックス法(JIS K7224-1996)がある。これらの性能は液体に吸水性樹脂全体に浸す方法であるため、液を一部に滴下する方法、すなわち一部(スポット)への吸収に対する性能ではない。このため、今回は液を一部に滴下した場合の吸収速度として、スポット吸収速度で測定を行った。
本発明で用いる複合物のスポット吸収速度は、一定時間内で複合物が吸水できなかった液量、つまり液戻(リウェット)量で評価する(短時間リウェット試験)。
具体的には、秤量した吸水性樹脂約0.5gをトレー上で直径4cmの円状となるようにする。そこに、サーマルボンド不織布(親水処理済み)を表面に乗せ、サンプルを作製する。サンプルに生理食塩水を一定量滴下し、滴下終了から一定時短時間後に、その上にあらかじめ定量していたろ紙と錘を乗せる。ろ紙に乗せてから一定時間放置後に錘を外し、ろ紙の重量を測定する。
スポット吸収速度のリウェット量は使用感から、滴下した液体量の1%以下であることが好ましい。更に、0.5%以下であることが好ましく、最も好ましいのは、0.1%以下である。十分に液体を吸収した後に残っている液量、つまり液戻(リウェット)量で評価する(長時間リウェット試験)。
本発明で用いる複合物のドライ感の測定方法は、具体的に、吸水性樹脂のスポット吸収速度と同様のサンプルを作製後、サンプルに生理食塩水を一定量滴下し、滴下終了から一定時長時間後に、その上にあらかじめ定量していたろ紙と錘を乗せる。ろ紙に乗せてから一定時間放置後に錘を外し、ろ紙の重量を測定する。
ドライ感のリウェット量は使用感から、滴下した液体量の1%以下であることが好ましい。更に、0.5%以下であることが好ましく、最も好ましいのは、0.1%以下である。
本発明で用いる複合物のスポット吸収速度は、一定時間内で複合物が吸水できなかった液量、つまり液戻(リウェット)量で評価する(短時間リウェット試験)。
具体的には、秤量した吸水性樹脂約0.5gをトレー上で直径4cmの円状となるようにする。そこに、サーマルボンド不織布(親水処理済み)を表面に乗せ、サンプルを作製する。サンプルに生理食塩水を一定量滴下し、滴下終了から一定時短時間後に、その上にあらかじめ定量していたろ紙と錘を乗せる。ろ紙に乗せてから一定時間放置後に錘を外し、ろ紙の重量を測定する。
スポット吸収速度のリウェット量は使用感から、滴下した液体量の1%以下であることが好ましい。更に、0.5%以下であることが好ましく、最も好ましいのは、0.1%以下である。十分に液体を吸収した後に残っている液量、つまり液戻(リウェット)量で評価する(長時間リウェット試験)。
本発明で用いる複合物のドライ感の測定方法は、具体的に、吸水性樹脂のスポット吸収速度と同様のサンプルを作製後、サンプルに生理食塩水を一定量滴下し、滴下終了から一定時長時間後に、その上にあらかじめ定量していたろ紙と錘を乗せる。ろ紙に乗せてから一定時間放置後に錘を外し、ろ紙の重量を測定する。
ドライ感のリウェット量は使用感から、滴下した液体量の1%以下であることが好ましい。更に、0.5%以下であることが好ましく、最も好ましいのは、0.1%以下である。
本発明の複合物において、親水性繊維、または親水性繊維および疎水性繊維は吸水性樹脂同士の接触を防ぎ、吸水性樹脂の通液を阻害するゲルブロッキングの形成を防止する。
更に繊維粉との複合化により、毛管現象により繊維部から吸水性樹脂部へと液の移動が起こるため、吸水性樹脂の吸収効率が上がる。つまり、吸水性樹脂の有効利用率が向上したといえる。
本発明ではゲルブロッキング防止効果、および吸水性樹脂の有効利用率を吸水性樹脂換算値によって評価する。
複合物と吸水性樹脂のみの吸水倍率および保水倍率を比較する場合、上記ティーバッグ試験方法(JIS K7223-1996)にて吸水後に水切りを行うと、親水性繊維粉が含む水分は、吸水した水をはなしてしまうため、保水性がある複合物中の親水性繊維粉の影響を考慮する必要があり、吸水性樹脂との単純比較による評価は不適である。
そこで、複合物の吸水倍率および保水倍率を下記に示す吸水性樹脂換算値に変換し、複合物中の吸水性樹脂有効利用率を比較する。すなわち、複合物の吸水量を繊維粉の吸水量と吸水性樹脂の吸水量の加重平均値とし、繊維粉重量の吸水量を差し引き吸水性樹脂100重量%当たりに逆算して吸水性樹脂換算値とする。吸水倍率および保水倍率の吸水性樹脂換算値算出方法は下記に示す式3・式4でそれぞれ算出する。なお、実施例との式番号の混乱を避けるために、実施例と統一した。
更に繊維粉との複合化により、毛管現象により繊維部から吸水性樹脂部へと液の移動が起こるため、吸水性樹脂の吸収効率が上がる。つまり、吸水性樹脂の有効利用率が向上したといえる。
本発明ではゲルブロッキング防止効果、および吸水性樹脂の有効利用率を吸水性樹脂換算値によって評価する。
複合物と吸水性樹脂のみの吸水倍率および保水倍率を比較する場合、上記ティーバッグ試験方法(JIS K7223-1996)にて吸水後に水切りを行うと、親水性繊維粉が含む水分は、吸水した水をはなしてしまうため、保水性がある複合物中の親水性繊維粉の影響を考慮する必要があり、吸水性樹脂との単純比較による評価は不適である。
そこで、複合物の吸水倍率および保水倍率を下記に示す吸水性樹脂換算値に変換し、複合物中の吸水性樹脂有効利用率を比較する。すなわち、複合物の吸水量を繊維粉の吸水量と吸水性樹脂の吸水量の加重平均値とし、繊維粉重量の吸水量を差し引き吸水性樹脂100重量%当たりに逆算して吸水性樹脂換算値とする。吸水倍率および保水倍率の吸水性樹脂換算値算出方法は下記に示す式3・式4でそれぞれ算出する。なお、実施例との式番号の混乱を避けるために、実施例と統一した。
複合物の吸水倍率をF(g/g)、保水倍率をG(g/g)、繊維粉の吸水倍率をH(g/g)、保水倍率をI(g/g)とし、複合物の全量をJ(g)、複合物中の吸水性樹脂部量をK(g)、複合物中の繊維粉量をL(g)とおいた。
吸水倍率の吸水性樹脂換算値(g/g)={ F(g/g)-( H(g/g)× L(g)/ J(g) )} ×J(g)/ K(g)・・・(式3)
保水倍率の吸水性樹脂換算値(g/g)={ G(g/g)-( I(g/g)× L(g)/ J(g) )} ×J(g)/ K(g) ・・・(式4)
なお、本発明における吸水倍率及び保水倍率は次のように測定する。
本発明で用いる吸水倍率は複合物がどれだけ吸水したかを示す値で、十分に吸水した複合物の重量と吸水前の複合物の重量を測定し、JIS K7223-1996を準拠する(ティーバッグ法)。
本発明で用いる吸水倍率の測定方法は、具体的には、一定量の複合物A(g)をナイロン製の袋(ティーバッグ)に均一に入れ、一定温度の生理食塩水中に浸漬する。一定時間経過後に当該ティーバッグを取り出し、ティーバッグの角を固定し斜めの状態で一定時間吊るして水切り後、ティーバッグの重量B(g)を測定する。ブランク条件値として吸水性樹脂を入れないティーバッグで同様の操作を行い水切り後のティーバッグの重量C(g)を測定する。これらの値から、吸水倍率を次式(式1)より算出する。
吸水倍率(g/g)=(B(g)-C(g))/A(g)・・・(式1)
本発明で用いる保水倍率は、複合物が吸水した液体を保持する力を示す値で、吸水倍率測定後のティーバッグを用いて測定し、吸水倍率と同様の計算方法で求める。
本発明で用いる保水倍率の測定方法は、具体的には、ティーバッグ法に基づいた上記の吸水倍率測定試験実施直後の含水した複合物を包含したティーバッグに、ろ紙を一定枚数重ねたものではさみ、上から一定重量の錘をのせて一定時間加圧下で水気を取り除いた後、ティーバッグの重量D(g)を測定する。ブランク条件値として吸水性樹脂を入れないティーバッグで同様の操作を行いティーバッグの重量E(g)を測定する。これらの値から、次式(式2)に従って保水倍率を算出する。
吸水性樹脂の保水倍率(g/g)=(D(g)-E(g))/A(g)・・・(式2)
また、本発明では、親水性繊維、または親水性繊維および疎水性繊維が通水路となって吸水性樹脂へ液体を輸送することで、スポット吸収速度を高めることができる。
吸水倍率の吸水性樹脂換算値(g/g)={ F(g/g)-( H(g/g)× L(g)/ J(g) )} ×J(g)/ K(g)・・・(式3)
保水倍率の吸水性樹脂換算値(g/g)={ G(g/g)-( I(g/g)× L(g)/ J(g) )} ×J(g)/ K(g) ・・・(式4)
なお、本発明における吸水倍率及び保水倍率は次のように測定する。
本発明で用いる吸水倍率は複合物がどれだけ吸水したかを示す値で、十分に吸水した複合物の重量と吸水前の複合物の重量を測定し、JIS K7223-1996を準拠する(ティーバッグ法)。
本発明で用いる吸水倍率の測定方法は、具体的には、一定量の複合物A(g)をナイロン製の袋(ティーバッグ)に均一に入れ、一定温度の生理食塩水中に浸漬する。一定時間経過後に当該ティーバッグを取り出し、ティーバッグの角を固定し斜めの状態で一定時間吊るして水切り後、ティーバッグの重量B(g)を測定する。ブランク条件値として吸水性樹脂を入れないティーバッグで同様の操作を行い水切り後のティーバッグの重量C(g)を測定する。これらの値から、吸水倍率を次式(式1)より算出する。
吸水倍率(g/g)=(B(g)-C(g))/A(g)・・・(式1)
本発明で用いる保水倍率は、複合物が吸水した液体を保持する力を示す値で、吸水倍率測定後のティーバッグを用いて測定し、吸水倍率と同様の計算方法で求める。
本発明で用いる保水倍率の測定方法は、具体的には、ティーバッグ法に基づいた上記の吸水倍率測定試験実施直後の含水した複合物を包含したティーバッグに、ろ紙を一定枚数重ねたものではさみ、上から一定重量の錘をのせて一定時間加圧下で水気を取り除いた後、ティーバッグの重量D(g)を測定する。ブランク条件値として吸水性樹脂を入れないティーバッグで同様の操作を行いティーバッグの重量E(g)を測定する。これらの値から、次式(式2)に従って保水倍率を算出する。
吸水性樹脂の保水倍率(g/g)=(D(g)-E(g))/A(g)・・・(式2)
また、本発明では、親水性繊維、または親水性繊維および疎水性繊維が通水路となって吸水性樹脂へ液体を輸送することで、スポット吸収速度を高めることができる。
本発明の複合物は滴下時のスポット吸収速度が速く、滴下含水液が広範囲に拡散するので、初期吸収後には、吸水性樹脂のみの場合と比較して、表面部から吸水性樹脂部へと通水路が多く形成される。再吸収時にはそれらの通水路は滴下含水液を直ちに吸水性樹脂部へと移動させるため、再吸収性能がよい。したがって、2度目以降のスポット吸収速度(以降、再吸収時のスポット吸収速度と呼ぶ)及びドライ感(以降、再吸収時のドライ感と呼ぶ)などの再吸収性能は吸水性樹脂と比較してよい性能を示す。
本発明における再吸収性能には、再吸収時のスポット吸収速度と再吸収時のドライ感の2種類ある。それぞれ初回測定後の各サンプルを一定量の液滴下後リウェット量を測定し、それを基に評価を行う。
本発明における再吸収性能には、再吸収時のスポット吸収速度と再吸収時のドライ感の2種類ある。それぞれ初回測定後の各サンプルを一定量の液滴下後リウェット量を測定し、それを基に評価を行う。
上記の機構で吸収速度を高めるためには、親水性繊維粉、または親水性繊維粉および疎水性繊維粉と吸水性樹脂が接着剤などを介さず直接接着していることが好ましい。
接着剤を使用して接着した場合、接着剤が親水性繊維粉、または親水性繊維粉および疎水性繊維粉から吸水性樹脂への液体の輸送を妨げるため、吸収速度を高めるという効果が得られない。直接接着している形態としては、特に限定されないが、例えば、吸水性樹脂と親水性繊維粉、または親水性繊維粉および疎水性繊維粉との水素結合や化学結合、または吸水性樹脂の表面や内部に親水性繊維粉が取り込まれるような形態であることが好ましい。親水性繊維粉、または親水性繊維粉および疎水性繊維粉から吸水性樹脂への液体の輸送により吸収速度を向上させるという観点からは、吸水性樹脂の表面に親水性繊維粉、または親水性繊維粉および疎水性繊維粉が直接接触していている形態で接着していることが最も好ましい。
接着剤を使用して接着した場合、接着剤が親水性繊維粉、または親水性繊維粉および疎水性繊維粉から吸水性樹脂への液体の輸送を妨げるため、吸収速度を高めるという効果が得られない。直接接着している形態としては、特に限定されないが、例えば、吸水性樹脂と親水性繊維粉、または親水性繊維粉および疎水性繊維粉との水素結合や化学結合、または吸水性樹脂の表面や内部に親水性繊維粉が取り込まれるような形態であることが好ましい。親水性繊維粉、または親水性繊維粉および疎水性繊維粉から吸水性樹脂への液体の輸送により吸収速度を向上させるという観点からは、吸水性樹脂の表面に親水性繊維粉、または親水性繊維粉および疎水性繊維粉が直接接触していている形態で接着していることが最も好ましい。
また、外表面未架橋吸水性樹脂と親水性繊維粉が直接接触することにより、親水性繊維の優れた水分の捕獲・浸透・運搬性により吸水性樹脂表面まで達した含水性液体は、外表面未架橋吸水性樹脂部に瞬時に吸収される。従来、当該技術分野で必須であった吸水性樹脂の外表面架橋はゲルブロッキング形成を防止し、リウェット性を改善する有効な手段であったが、この表面の架橋層により吸収速度を低下させると共に同一組成、同一粒径吸水性樹脂でも外表面架橋層の体積により吸水量の低下、すなわち最大限の吸水性能を発揮させるに有効な樹脂の内部体積を減少せしめていた。例えば粒子直径100μmφの球形を想定すると、通常の外表面架橋層の厚みは数10μm程度とされているが、外表面架橋層の厚みを10μmと仮定した場合外表面架橋層の体積は当該粒子の約半分になり、粒子直径200μmφの球形を想定したとすると、外表面架橋層の体積は当該粒子の約3割に達し、粒子直径300μmφの球形を想定した場合でも外表面架橋層の体積は、当該粒子の約2割に達する。架橋層の厚みが数10μmの場合は、更に外表面架橋層の体積は増加し、外表面架橋層は吸水性能を最大限に発揮することを妨げることになる。
また、本発明に用いる親水性繊維粉、または親水性繊維粉と疎水性繊維粉は、吸水性樹脂同士の接触を防ぎ、吸水性樹脂の膨潤を阻害するゲルブロッキングの形成を防止すると共に、剛直な親水性繊維粉、または親水性繊維粉と疎水性繊維粉により、吸水性樹脂の周囲に空隙を保持し、この空隙層に順次吸水性樹脂内部に吸収拡散していく含水性液体を保持することが出来、吸水性樹脂全体の有効利用が可能になるのである。また、尿などの低粘度含水性液体以外では、血液や経血のような粘性を持つ水分以外の成分を含む高粘度含水性液体の吸収に用いた場合、水分は可及的速やかに吸水性樹脂に吸収されるが、それ以外の成分、すなわちタンパク質、脂質等は親水性繊維粉、または親水性繊維粉と疎水性繊維粉により吸水性樹脂の周囲に確保された空隙に保持され、これらが吸水性樹脂表面を被覆し、水分の吸収を妨げるのを抑制する。このため、従来経血吸収の生理用品では十分な特性性能を発揮できなかった吸水性樹脂の性能を発揮させ、女性のQOL向上に貢献するものである。更には本発明による複合物を使用した吸水シート、該吸水シートを使用した紙おむつ・生理用品の如き吸収性物品の利便性を高めるものである。
本発明において、水以外の高粘度含水性液体の吸収性評価には、下記に示す高粘度溶液を用いて測定を行う。
容器に入れた精製水を一定温度に温め、攪拌機で混合しながら、グリセリンとカルボキシメチルセルロースナトリウムをよく混合したものを少量ずつ添加し、撹拌する。さらに撹拌しながら、塩化ナトリウムと炭酸水素ナトリウムを少量ずつ加え、試薬が十分に分散するまでよく混ぜる。これを高粘度含水性液体に見立てて実験に使用する。
高粘度溶液では、吸水性樹脂は初期吸収時の濡れ性が悪く、樹脂表面で液体をはじき、浸透が遅くなるが、本発明による複合物ではすぐに浸透・吸収する。
高粘度溶液においても、生理食塩水のような低粘度溶液と同様に、親水性繊維粉、または親水性繊維粉および疎水性繊維粉から吸水性樹脂への液体の輸送による吸収速度を向上および空隙による通液性の向上のため、吸水性樹脂と比較して、スポット吸収速度およびドライ感がある。そのため、本発明による複合物を用いて、血液・経血などの高粘度含水性液体の吸収に適した吸収性物品を作製することができる。
容器に入れた精製水を一定温度に温め、攪拌機で混合しながら、グリセリンとカルボキシメチルセルロースナトリウムをよく混合したものを少量ずつ添加し、撹拌する。さらに撹拌しながら、塩化ナトリウムと炭酸水素ナトリウムを少量ずつ加え、試薬が十分に分散するまでよく混ぜる。これを高粘度含水性液体に見立てて実験に使用する。
高粘度溶液では、吸水性樹脂は初期吸収時の濡れ性が悪く、樹脂表面で液体をはじき、浸透が遅くなるが、本発明による複合物ではすぐに浸透・吸収する。
高粘度溶液においても、生理食塩水のような低粘度溶液と同様に、親水性繊維粉、または親水性繊維粉および疎水性繊維粉から吸水性樹脂への液体の輸送による吸収速度を向上および空隙による通液性の向上のため、吸水性樹脂と比較して、スポット吸収速度およびドライ感がある。そのため、本発明による複合物を用いて、血液・経血などの高粘度含水性液体の吸収に適した吸収性物品を作製することができる。
親水性繊維粉と吸水性樹脂が接着している形態は、光学顕微鏡等で観察することにより確認することができる。また、複合物を接着剤が溶解するような有機溶剤で洗浄した際に、親水性繊維粉、または親水性繊維粉と疎水性繊維粉と吸水性樹脂の脱離が起こるか否かによって、直接接着であるか否かを確認することができる。親水性繊維粉、または親水性繊維粉と疎水性繊維粉と吸水性樹脂が直接接着している場合は、洗浄により、親水性繊維粉、または親水性繊維粉と疎水性繊維粉と吸水性樹脂の脱離が起こらない。
吸水性樹脂の表面や内部に親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉が取り込まれる形態は、例えば、吸水性樹脂と親水性繊維粉を水の存在下で脱水乾燥することで実現できる。親水性繊維を通液路に用いるというコンセプトは古くからあるが、吸収速度の点で大きな効果を得られているものはなかった。
吸水性樹脂の表面や内部に親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉が取り込まれる形態は、例えば、吸水性樹脂と親水性繊維粉を水の存在下で脱水乾燥することで実現できる。親水性繊維を通液路に用いるというコンセプトは古くからあるが、吸収速度の点で大きな効果を得られているものはなかった。
本発明の複合物は、親水性繊維粉、または親水性繊維粉と疎水性繊維粉の平均粒子径が10-100μmであることにより、吸水性樹脂同士のブロッキングを防止し、液体を一次捕獲し吸水性樹脂部へ液体を送り込む層として十分な厚みでかつ、粉状であることで過度な繊維の絡み合いが抑えられるため、吸収速度が向上するといった効果を発現する。本発明に用いる親水性繊維粉、または親水性繊維粉と疎水性繊維粉(以下繊維粉という)は平均粒子径が10-100μmであることが好ましく、20-80μmであることがより好ましく、30-50μmであることが最も好ましい。
繊維粉の平均粒子径が10μm以上で、吸水性樹脂同士の接触を防ぐことができ、また、複合物と液体が接触した際に、吸水性樹脂表面に液体が直接接触することを防ぐことができる。一方、粒径が大きい場合は、繊維のみが絡み、吸水性樹脂間に均一に繊維を分布させることが困難となり、ゲルブロッキングを低減させることが困難となる。例えば、粒子径0.5mm以上ではこの現象が発現し、好ましくない。繊維粉の平均粒子径が100μm以下で、繊維粉同士の絡み合い凝集による通液性の低下、及び、取り扱い性の悪化を防ぐことができる。特に吸水性樹脂と繊維粉との機械的均一混合性を改善し、本発明による複合物を用いた吸収性物品の品質安定性向上に寄与する。
本発明で用いる繊維粉の平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて、測定することができる。測定する際は、分散媒体として水に分散させた繊維粉を超音波で1分間処理し、25℃における体積基準のメジアン径を測定する。疎水性繊維粉の場合は界面活性剤の添加により水中での分散性を確保し測定する。本発明で用いる繊維粉は、上記の方法により平均粒径が測定できれば形状は限定されない。すなわち、繊維粉は粒子状である必要はなく、棒状、鱗片状、針状、ひも状等の形状であっても、上記の方法で測定した平均粒子径が10-100μmであれば用いることができる。
繊維粉の平均粒子径が10μm以上で、吸水性樹脂同士の接触を防ぐことができ、また、複合物と液体が接触した際に、吸水性樹脂表面に液体が直接接触することを防ぐことができる。一方、粒径が大きい場合は、繊維のみが絡み、吸水性樹脂間に均一に繊維を分布させることが困難となり、ゲルブロッキングを低減させることが困難となる。例えば、粒子径0.5mm以上ではこの現象が発現し、好ましくない。繊維粉の平均粒子径が100μm以下で、繊維粉同士の絡み合い凝集による通液性の低下、及び、取り扱い性の悪化を防ぐことができる。特に吸水性樹脂と繊維粉との機械的均一混合性を改善し、本発明による複合物を用いた吸収性物品の品質安定性向上に寄与する。
本発明で用いる繊維粉の平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて、測定することができる。測定する際は、分散媒体として水に分散させた繊維粉を超音波で1分間処理し、25℃における体積基準のメジアン径を測定する。疎水性繊維粉の場合は界面活性剤の添加により水中での分散性を確保し測定する。本発明で用いる繊維粉は、上記の方法により平均粒径が測定できれば形状は限定されない。すなわち、繊維粉は粒子状である必要はなく、棒状、鱗片状、針状、ひも状等の形状であっても、上記の方法で測定した平均粒子径が10-100μmであれば用いることができる。
複合物を製造するプロセス中において繊維粉の平均粒径を調整することもできるが、あらかじめ平均粒径の調整された繊維粉を使用することが好ましい。複合物中の繊維粉の平均粒径については、適切な方法により繊維粉と吸水性樹脂を分離することで測定することができる。吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂であれば、吸水状態で紫外線をあてることで吸水性樹脂を水溶化させることができる。吸水性樹脂を水溶化すれば、ろ過等により繊維粉を分離することができる。使用する親水性繊維粉、疎水性繊維粉の種類に応じて、適した分離方法をとればよい。
吸水性樹脂と繊維粉との重量比は10:1~2:1であることが好ましく、5:1~5:2であることがより好ましく、10:2.5~10:3.5であることが最も好ましい。
吸水性樹脂に対する繊維粉の重量比が0.2以上であると、吸水性樹脂が十分に繊維粉によって被覆され、吸水性樹脂同士が接触する確率を低くし、吸収速度を高くすることができるため好ましい。反対に、吸水性樹脂に対する繊維粉の重量比が0.2以下であると、吸水性樹脂が十分に被覆されないため、好ましくない。
繊維粉と吸水性樹脂の重量比は、予め重量を測っておいた複合物から、適宜、吸水性樹脂と繊維粉を分離してそれぞれの重量を測定することにより、算出することができる。予め、所定の重量比の繊維粉と吸水性樹脂を使用して複合物を製造することが、原料を効率的に利用するという観点から好ましい。
複合物中の吸水性樹脂は吸水性の観点から酸基を有していることが好ましい。さらに、複合物中、又は吸水性樹脂中に酸基と反応する官能基を複数もった化合物を含有していることが好ましい。酸基と反応する官能基は、吸水性樹脂と親水性繊維粉、または親水性繊維粉および疎水性繊維粉、吸水性樹脂同士、吸水性樹脂中の酸基同士の架橋剤として働く。
吸水性樹脂と親水性繊維及び/又は吸水性樹脂中の酸基同士が、酸基と反応する官能基を複数もった化合物によって架橋されていることが好ましい。酸基はカルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。酸基と反応する官能基としては、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基などが挙げられる。該酸基と反応する官能基を複数もった化合物は、多価アルコール、多価アミン、多価エポキシド等が挙げられ、吸収速度の観点から多価アルコールであることが好ましい。酸基と反応する官能基を複数もった化合物が多価アルコールである場合、酸基とエステル結合を形成する。
吸水性樹脂と繊維粉との重量比は10:1~2:1であることが好ましく、5:1~5:2であることがより好ましく、10:2.5~10:3.5であることが最も好ましい。
吸水性樹脂に対する繊維粉の重量比が0.2以上であると、吸水性樹脂が十分に繊維粉によって被覆され、吸水性樹脂同士が接触する確率を低くし、吸収速度を高くすることができるため好ましい。反対に、吸水性樹脂に対する繊維粉の重量比が0.2以下であると、吸水性樹脂が十分に被覆されないため、好ましくない。
繊維粉と吸水性樹脂の重量比は、予め重量を測っておいた複合物から、適宜、吸水性樹脂と繊維粉を分離してそれぞれの重量を測定することにより、算出することができる。予め、所定の重量比の繊維粉と吸水性樹脂を使用して複合物を製造することが、原料を効率的に利用するという観点から好ましい。
複合物中の吸水性樹脂は吸水性の観点から酸基を有していることが好ましい。さらに、複合物中、又は吸水性樹脂中に酸基と反応する官能基を複数もった化合物を含有していることが好ましい。酸基と反応する官能基は、吸水性樹脂と親水性繊維粉、または親水性繊維粉および疎水性繊維粉、吸水性樹脂同士、吸水性樹脂中の酸基同士の架橋剤として働く。
吸水性樹脂と親水性繊維及び/又は吸水性樹脂中の酸基同士が、酸基と反応する官能基を複数もった化合物によって架橋されていることが好ましい。酸基はカルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。酸基と反応する官能基としては、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基などが挙げられる。該酸基と反応する官能基を複数もった化合物は、多価アルコール、多価アミン、多価エポキシド等が挙げられ、吸収速度の観点から多価アルコールであることが好ましい。酸基と反応する官能基を複数もった化合物が多価アルコールである場合、酸基とエステル結合を形成する。
本発明による複合物を作製する際には親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉に水または外表面架橋剤水溶液を浸透させたのち吸収性樹脂と接触させることが好ましい。これにより複合物作製時のダマの生成を非常に少なくすることができる。
複合物を作製する際に、親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉に水を含浸させることでそれらを吸水性樹脂に接着するが、外表面架橋剤を添加することにより複合物の外表面架橋度を制御することができるので好ましい。外表面架橋剤としては、吸水性樹脂の架橋に用いられる公知の物を適用することができる。具体的には、本発明の吸水性樹脂の製造法に記載された架橋剤がある。
複合物製造中に外表面架橋剤を添加した場合、吸水性樹脂部表面のゲル強度が増し、吸水膨潤後にも変形せず弾力がある。また、加圧下状態でも液戻りがほとんどなく、さらに膨潤した樹脂部を覆った繊維粉により、衛材製品として使用する時に、弾力性のあるさらりとした触感となり、快適な装用感が得られる。この性質により、従来の衛材製品に見られるべたつきや冷たさといった不快感を低減することができるので好ましい。さらに、ゲル強度が向上することにより、吸水性樹脂部分の形状を維持したまま膨張し、複合物間の距離が保持、また膨張により空隙が形成されるため通液性が向上し好ましい。
外表面架橋剤の添加により吸水性樹脂のゲル強度が向上し、複合物の通液性が向上するが、複合物の吸水倍率の低下によるリウェット量の減少を引き起こすため、外表面架橋剤を大量に添加することは好ましくない。複合物に適量の外表面架橋剤を入れることで、保水倍率の低下を最小限にとどめ、吸水性樹脂の有効利用率を維持または向上させることができる。
外表面架橋剤を添加する吸水性樹脂は特に限定されないが、過剰の添加による吸水倍率の低下があるため、外表面未架橋樹脂を用いることが好ましい。
本発明の複合物に、親水性繊維粉、または親水性繊維粉および疎水性繊維粉と吸水性樹脂以外のものを組み合わせることは好ましい。例えば、界面活性剤や脱臭剤等と組み合わせることが好ましい。
複合物を作製する際に、親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉に水を含浸させることでそれらを吸水性樹脂に接着するが、外表面架橋剤を添加することにより複合物の外表面架橋度を制御することができるので好ましい。外表面架橋剤としては、吸水性樹脂の架橋に用いられる公知の物を適用することができる。具体的には、本発明の吸水性樹脂の製造法に記載された架橋剤がある。
複合物製造中に外表面架橋剤を添加した場合、吸水性樹脂部表面のゲル強度が増し、吸水膨潤後にも変形せず弾力がある。また、加圧下状態でも液戻りがほとんどなく、さらに膨潤した樹脂部を覆った繊維粉により、衛材製品として使用する時に、弾力性のあるさらりとした触感となり、快適な装用感が得られる。この性質により、従来の衛材製品に見られるべたつきや冷たさといった不快感を低減することができるので好ましい。さらに、ゲル強度が向上することにより、吸水性樹脂部分の形状を維持したまま膨張し、複合物間の距離が保持、また膨張により空隙が形成されるため通液性が向上し好ましい。
外表面架橋剤の添加により吸水性樹脂のゲル強度が向上し、複合物の通液性が向上するが、複合物の吸水倍率の低下によるリウェット量の減少を引き起こすため、外表面架橋剤を大量に添加することは好ましくない。複合物に適量の外表面架橋剤を入れることで、保水倍率の低下を最小限にとどめ、吸水性樹脂の有効利用率を維持または向上させることができる。
外表面架橋剤を添加する吸水性樹脂は特に限定されないが、過剰の添加による吸水倍率の低下があるため、外表面未架橋樹脂を用いることが好ましい。
本発明の複合物に、親水性繊維粉、または親水性繊維粉および疎水性繊維粉と吸水性樹脂以外のものを組み合わせることは好ましい。例えば、界面活性剤や脱臭剤等と組み合わせることが好ましい。
〔2.親水性繊維粉及び疎水繊維粉〕
発明に用いる親水性繊維粉は平均粒子径が10-100μmであることが好ましく、20-80μmであることがより好ましく、30-50μmであることが最も好ましい。平均粒子径はJIS Z8901に従い篩にて粒度を測定する。
本発明における繊維粉は、粒子径が大きいと繊維粉同士が絡み合いやすくなる。
本発明における親水性繊維粉は、液体及び/またはタンパク質、脂質等を保持することができれば特に限定されず任意のものを使用することができる。親水性繊維粉の素材は、液体及び/またはタンパク質、脂質等を保持することができれば特に限定されないが、中でもセルロース系繊維が好ましい。本発明におけるセルロース系繊維とは、セルロースを主原料とした繊維のことをいう。セルロースは、例えばエステル化やエーテル化などの処理により誘導体化されたものを使用しても構わない。また、他の繊維と混ぜたものでもよい。
セルロースとしては、綿、麻、レーヨン、ポリノジック、リヨセル、キュプラ、パルプ等が挙げられる。中でも、パルプが好ましい。パルプとしては、木材パルプでも、非木材パルプでも構わない。木材パルプでは、針葉樹を使用してもよいし、広葉樹を使用してもよい。非木材パルプとしては、例えばバガス、草・藁・竹等を挙げることができる。また、古紙等からも再生してパルプとすることもできるが、衛材製品に使用する場合には、木材等から直接製造されるバージンパルプであることが好ましい。
現行の衛材製品において、パルプは吸水性樹脂を絡めて担持する、液体の捕獲性を高める等の目的で広く利用されており、通常はパルプ原料を粉砕して繊維状にして使用される。繊維同士の絡み合いを利用した薄型マット状で吸水性樹脂を効率よく担持するためには、数十ミリメートルの長い繊維を10~13mm程度に粉砕したものが好ましく使用されている。しかしながら、こうした粉砕を行うと、使用に適さない微粉末も同時に生成してしまう。この微粉末は衛材製品製造工程では製品化されずロスとなるため、経済的に不利である。
本発明においては、ロスになるような小さい粒径の親水性繊維粉を中心として使用する。このため、本発明において親水性繊維粉を使用する場合は、従来と比較してパルプのロス率は殆ど無くなり、歩留りが向上するというメリットがある。
発明に用いる親水性繊維粉は平均粒子径が10-100μmであることが好ましく、20-80μmであることがより好ましく、30-50μmであることが最も好ましい。平均粒子径はJIS Z8901に従い篩にて粒度を測定する。
本発明における繊維粉は、粒子径が大きいと繊維粉同士が絡み合いやすくなる。
本発明における親水性繊維粉は、液体及び/またはタンパク質、脂質等を保持することができれば特に限定されず任意のものを使用することができる。親水性繊維粉の素材は、液体及び/またはタンパク質、脂質等を保持することができれば特に限定されないが、中でもセルロース系繊維が好ましい。本発明におけるセルロース系繊維とは、セルロースを主原料とした繊維のことをいう。セルロースは、例えばエステル化やエーテル化などの処理により誘導体化されたものを使用しても構わない。また、他の繊維と混ぜたものでもよい。
セルロースとしては、綿、麻、レーヨン、ポリノジック、リヨセル、キュプラ、パルプ等が挙げられる。中でも、パルプが好ましい。パルプとしては、木材パルプでも、非木材パルプでも構わない。木材パルプでは、針葉樹を使用してもよいし、広葉樹を使用してもよい。非木材パルプとしては、例えばバガス、草・藁・竹等を挙げることができる。また、古紙等からも再生してパルプとすることもできるが、衛材製品に使用する場合には、木材等から直接製造されるバージンパルプであることが好ましい。
現行の衛材製品において、パルプは吸水性樹脂を絡めて担持する、液体の捕獲性を高める等の目的で広く利用されており、通常はパルプ原料を粉砕して繊維状にして使用される。繊維同士の絡み合いを利用した薄型マット状で吸水性樹脂を効率よく担持するためには、数十ミリメートルの長い繊維を10~13mm程度に粉砕したものが好ましく使用されている。しかしながら、こうした粉砕を行うと、使用に適さない微粉末も同時に生成してしまう。この微粉末は衛材製品製造工程では製品化されずロスとなるため、経済的に不利である。
本発明においては、ロスになるような小さい粒径の親水性繊維粉を中心として使用する。このため、本発明において親水性繊維粉を使用する場合は、従来と比較してパルプのロス率は殆ど無くなり、歩留りが向上するというメリットがある。
本発明に用いる疎水性繊維粉は、上記親水性繊維粉と同様の平均粒径が好ましく、物性は上記繊維粉として記載したものと同じで良い。本発明に用いる疎水性繊維粉はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等である。また、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンのコアシェル構造からなる複合繊維粉でもよい。これらの疎水性繊維粉は必要に応じて適宜、界面活性剤にて疎水性を変化させることは任意である。
本発明に用いる親水性繊維粉と疎水性繊維粉の割合は、疎水性繊維粉の疎水性の度合いにより異なり、疎水性繊維粉の疎水性が低下する程、親水性繊維粉の量を減じることが出来る。
本発明に用いる親水性繊維粉と疎水性繊維粉の割合は、疎水性繊維粉の疎水性の度合いにより異なり、疎水性繊維粉の疎水性が低下する程、親水性繊維粉の量を減じることが出来る。
〔3.吸水性樹脂〕
本発明における吸水性樹脂の平均粒子径が75~710μmであることが好ましく、より好ましくは100~500μm、最も好ましくは150~300μmである。平均粒子径が710μmより大きいと、吸水性樹脂の単位重量あたりの表面積が小さくなるため、繊維粉との接触面が小さくなり、吸収速度が向上するという効果を得られにくい。平均粒子径が50μmより小さいと、実質的にコアシェル構造の外表面架橋が出来ず、吸水性能に劣るためドライ感が得られにくい。
本明細書において、吸水性樹脂の平均粒子径は、以下のように求める。吸水性樹脂を目の開きが45μm、53μm、63μm、75μm、90μm、106μm、212μm、300μm、425μm、500μm、600μm、710μm、850μmの篩を使用して篩い分ける。通過することのできた篩の目開きと、通過することのできない篩の目開きの中間の値を粒子径とする。例えば、53μmの篩を通過することのでき、45μmの篩を通過することのできない吸水性樹脂の粒子径は49μmとする。それぞれの粒子径ごとに、粒子径と吸水性樹脂全体中のその粒子径の重量比率の積を求め、その全ての和を算出し、平均粒子径とする。なお、45μmの篩を通過したものについては、22.5μmとし、710μmの篩の上に残ったものについては、780μmとする。
吸水性樹脂の大きさが小さすぎると微粉状になり、複合化する際にダマになるため、触感が悪くなると共に、含水性液体の浸透能力が低下する。したがって、平均粒子径は100μm以上が好ましい。
吸水性樹脂の分級は、例えば、篩を用いて適時測ることができる。吸水性樹脂の形状は特に限定されないが、粒子状であることが好ましい。懸濁重合による球状のもの、水溶液重合品を破砕した不定形のもの、比表面積を増やすための多孔質形状、球状粒子を複数凝集させた形状等、特に限定されないが水溶液重合品を破砕した不定形のもので十分である。
また、吸水性樹脂は、目の開きが100μmの篩を通過できる粒子は30重量%以下であることが好ましく、15重量%以下であることがより好ましく、5重量%以下であることが更に好ましい。また、目の開きが600μmの篩を通過できない粒子は30重量%以下であることが好ましく、15重量%以下であることがより好ましい。さらに、目の開きが300μmの篩を通過できない粒子は70重量%以下であることが好ましく、50重量%以下であることがより好ましく、30重量%以下であることが更に好ましい。このような比較的シャープな粒子径分布を持つ吸水性樹脂を使用すると、均一な複合物を作りやすく、その後の取り扱い性に優れる。
本発明における吸水性樹脂の平均粒子径が75~710μmであることが好ましく、より好ましくは100~500μm、最も好ましくは150~300μmである。平均粒子径が710μmより大きいと、吸水性樹脂の単位重量あたりの表面積が小さくなるため、繊維粉との接触面が小さくなり、吸収速度が向上するという効果を得られにくい。平均粒子径が50μmより小さいと、実質的にコアシェル構造の外表面架橋が出来ず、吸水性能に劣るためドライ感が得られにくい。
本明細書において、吸水性樹脂の平均粒子径は、以下のように求める。吸水性樹脂を目の開きが45μm、53μm、63μm、75μm、90μm、106μm、212μm、300μm、425μm、500μm、600μm、710μm、850μmの篩を使用して篩い分ける。通過することのできた篩の目開きと、通過することのできない篩の目開きの中間の値を粒子径とする。例えば、53μmの篩を通過することのでき、45μmの篩を通過することのできない吸水性樹脂の粒子径は49μmとする。それぞれの粒子径ごとに、粒子径と吸水性樹脂全体中のその粒子径の重量比率の積を求め、その全ての和を算出し、平均粒子径とする。なお、45μmの篩を通過したものについては、22.5μmとし、710μmの篩の上に残ったものについては、780μmとする。
吸水性樹脂の大きさが小さすぎると微粉状になり、複合化する際にダマになるため、触感が悪くなると共に、含水性液体の浸透能力が低下する。したがって、平均粒子径は100μm以上が好ましい。
吸水性樹脂の分級は、例えば、篩を用いて適時測ることができる。吸水性樹脂の形状は特に限定されないが、粒子状であることが好ましい。懸濁重合による球状のもの、水溶液重合品を破砕した不定形のもの、比表面積を増やすための多孔質形状、球状粒子を複数凝集させた形状等、特に限定されないが水溶液重合品を破砕した不定形のもので十分である。
また、吸水性樹脂は、目の開きが100μmの篩を通過できる粒子は30重量%以下であることが好ましく、15重量%以下であることがより好ましく、5重量%以下であることが更に好ましい。また、目の開きが600μmの篩を通過できない粒子は30重量%以下であることが好ましく、15重量%以下であることがより好ましい。さらに、目の開きが300μmの篩を通過できない粒子は70重量%以下であることが好ましく、50重量%以下であることがより好ましく、30重量%以下であることが更に好ましい。このような比較的シャープな粒子径分布を持つ吸水性樹脂を使用すると、均一な複合物を作りやすく、その後の取り扱い性に優れる。
本発明において、吸水性樹脂の種類は吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂であり、それ以外では側鎖に酸基を有する吸水性樹脂であることが好ましく、側鎖にカルボキシル基を有する吸水性樹脂であることが更に好ましい。カルボキシル基含有単位としては、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、ソルビン酸、けい皮酸、これらの無水物及びこれらの中和塩等の単量体から誘導される単位が挙げられる。
側鎖に酸基を有する吸水性樹脂の場合、酸基のうち30mol%以上がナトリウム塩の形で中和されていることが好ましく、50mol%以上がより好ましく、70mol%以上が更に好ましい。中和の塩の種類はナトリウム塩で限定するものではなく、アンモニウム塩で中和されていてもかまわない。酸基が中和されていると、浸透圧により液体が吸水性樹脂内部に吸収されるため好ましい。
側鎖に酸基を有する吸水性樹脂の場合、酸基のうち30mol%以上がナトリウム塩の形で中和されていることが好ましく、50mol%以上がより好ましく、70mol%以上が更に好ましい。中和の塩の種類はナトリウム塩で限定するものではなく、アンモニウム塩で中和されていてもかまわない。酸基が中和されていると、浸透圧により液体が吸水性樹脂内部に吸収されるため好ましい。
親水性繊維粉としてセルロースを用いる場合は、ナトリウム塩の形で中和されていると、ナトリウム塩はセルロースとの親和性が高く、強固に直接接着しやすいため、好ましい。
工業的規模で本発明の複合物を製造する場合、世の中に広く供給されている吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂を使用することは、安全性及び経済性の観点から最も好ましい。
また、吸水性樹脂には、ポリマー分子鎖間の重合性架橋剤となる単位が含まれていても構わない。例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、N,N'-メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ビスフェノールジアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、テトラアリルオキシエタン、ジアリルオキシ酢酸塩等から誘導される単位が挙げられる。
また、吸水性樹脂には、酸基と反応する官能基を複数もった化合物が含まれていても構わない。酸基と反応する官能基を複数もった化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル化合物;(ポリ)グリセリン、(ポリ)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ポリオキシエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの多価アルコール類;エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンジアミンなどの多価アミン類等が挙げられる。また、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの多価イオン類等も吸水性樹脂が有する酸基と反応して架橋剤として働くので好ましく用いることができる。吸水性樹脂が酸基と反応する官能基を有している場合、酸基と反応する官能基としてはヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基などが挙げられる。
工業的規模で本発明の複合物を製造する場合、世の中に広く供給されている吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂を使用することは、安全性及び経済性の観点から最も好ましい。
また、吸水性樹脂には、ポリマー分子鎖間の重合性架橋剤となる単位が含まれていても構わない。例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、N,N'-メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ビスフェノールジアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、テトラアリルオキシエタン、ジアリルオキシ酢酸塩等から誘導される単位が挙げられる。
また、吸水性樹脂には、酸基と反応する官能基を複数もった化合物が含まれていても構わない。酸基と反応する官能基を複数もった化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル化合物;(ポリ)グリセリン、(ポリ)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ポリオキシエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの多価アルコール類;エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンジアミンなどの多価アミン類等が挙げられる。また、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの多価イオン類等も吸水性樹脂が有する酸基と反応して架橋剤として働くので好ましく用いることができる。吸水性樹脂が酸基と反応する官能基を有している場合、酸基と反応する官能基としてはヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基などが挙げられる。
吸水性樹脂の種類としては、ポリアクリル酸部分中和物重合架橋体(例えば特開昭55-84304号公報参照)、澱粉-アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物(例えば特公昭49-43395号公報参照)、澱粉-アクリル酸グラフト重合体の中和物(例えば特開昭51-125468号公報参照)、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体の鹸化物(例えば特開昭52-14689号公報参照)、アクリロニトリル共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物(例えば特公昭53-15959号公報参照)、ポリグルタミン酸塩(例えば特開2003-192794号公報参照)等、多くが知られている。吸収性能、コスト等の観点から、通常衛材製品用途に使用されているポリアクリル酸ナトリウム塩共重合体やポリアクリル酸部分中和物重合架橋体が好ましい。
以下に、使用する吸水性樹脂の好ましい例としてポリアクリル酸重合架橋体について説明する。ポリアクリル酸重合架橋体では、ポリマー分子鎖中における繰り返し単位の好ましくは50mol%以上がカルボキシル基含有単位である。より好ましくは80mol%以上であり、更に好ましくは90mol%以上である。繰り返し単位のうちのカルボキシル基含有単位の割合が50mol%より小さいと吸収性能に劣る場合がある。ポリマー分子鎖中のカルボキシル基は一部がナトリウムで中和(部分中和)されていることが好ましい。塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属が挙げられる。本発明ではナトリウムにより中和され、カルボキシル基の30mol%以上が中和されていることが好ましく、50mol%以上が中和されていることがより好ましく、70mol%以上が中和されていることが更に好ましく、90mol%以上が中和されていることが最も好ましい。
以下に、使用する吸水性樹脂の好ましい例としてポリアクリル酸重合架橋体について説明する。ポリアクリル酸重合架橋体では、ポリマー分子鎖中における繰り返し単位の好ましくは50mol%以上がカルボキシル基含有単位である。より好ましくは80mol%以上であり、更に好ましくは90mol%以上である。繰り返し単位のうちのカルボキシル基含有単位の割合が50mol%より小さいと吸収性能に劣る場合がある。ポリマー分子鎖中のカルボキシル基は一部がナトリウムで中和(部分中和)されていることが好ましい。塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属が挙げられる。本発明ではナトリウムにより中和され、カルボキシル基の30mol%以上が中和されていることが好ましく、50mol%以上が中和されていることがより好ましく、70mol%以上が中和されていることが更に好ましく、90mol%以上が中和されていることが最も好ましい。
吸水性樹脂の外表面の中和率(「表面塩濃度」ともいう)が高いほど、親水性繊維粉、または親水性繊維粉と疎水性繊維粉との接着力を高めることができるため、親水性繊維粉、または親水性繊維粉と疎水性繊維粉との接着前は表面塩濃度が高く、接着後に表面塩濃度を低くすることが好ましい。また、複合物を加熱脱水により製造する場合は、加熱前の吸水性樹脂の表面塩濃度が高く、加熱後の吸水性樹脂の表面塩濃度を低くすることが好ましい。なお、本明細書において、塩濃度とは、酸基(カルボキシル基)の中和率と同義である。
当該吸水性樹脂外表面とは、当該吸水性樹脂の外部に露出している部分をいう。また、当該吸水性樹脂中心部とは、当該吸水性樹脂の吸水性樹脂外表面から最も内奥の部分をいう。当該吸水性樹脂は吸水性樹脂内部にコアシェル構造をもつことが好ましいが、吸水性樹脂全体として平均化されたカルボキシル基中和率は30mol%以上であることが好ましく、より好ましくは50mol%以上である。吸水性樹脂全体の平均カルボキシル基中和率が極端に低下すると、無加圧化での吸水倍率の低下を招くことがある。
当該吸水性樹脂の中和率は、カルボキシル基中和率を赤外吸光分析法の一つである顕微ATR法によって測定することにより求めることができる。
吸水性樹脂外表面のカルボキシル基中和率の測定は顕微ATR法にて直接吸水性樹脂外表面を測定する。吸水性樹脂中心部の測定は、例えばウルトラミクロトーム(Reichert製 ULTRACUT N)を用いることにより吸水性樹脂を割断して中心部を露出させてから顕微ATR法にて測定する。測定装置は例えばBio-Rad社製 FTS-575などを用いることができる。カルボン酸及びカルボキシレートの組成比を規定する指標として、1695cm-1(カルボン酸νC=O ベースライン1774~1616cm-1)及び1558cm-1(カルボキシレートνCOO- ベースライン1616~1500cm-1)のピーク面積比(1695/1558cm-1)を計算する。別途、全カルボン酸の10mol%,30mol%,50mol%,70mol%,90mol%,100mol%を塩で中和した部分重合架橋ポリアクリル酸を標準サンプルとして測定し、作製した検量線より組成比を求める。
当該吸水性樹脂外表面とは、当該吸水性樹脂の外部に露出している部分をいう。また、当該吸水性樹脂中心部とは、当該吸水性樹脂の吸水性樹脂外表面から最も内奥の部分をいう。当該吸水性樹脂は吸水性樹脂内部にコアシェル構造をもつことが好ましいが、吸水性樹脂全体として平均化されたカルボキシル基中和率は30mol%以上であることが好ましく、より好ましくは50mol%以上である。吸水性樹脂全体の平均カルボキシル基中和率が極端に低下すると、無加圧化での吸水倍率の低下を招くことがある。
当該吸水性樹脂の中和率は、カルボキシル基中和率を赤外吸光分析法の一つである顕微ATR法によって測定することにより求めることができる。
吸水性樹脂外表面のカルボキシル基中和率の測定は顕微ATR法にて直接吸水性樹脂外表面を測定する。吸水性樹脂中心部の測定は、例えばウルトラミクロトーム(Reichert製 ULTRACUT N)を用いることにより吸水性樹脂を割断して中心部を露出させてから顕微ATR法にて測定する。測定装置は例えばBio-Rad社製 FTS-575などを用いることができる。カルボン酸及びカルボキシレートの組成比を規定する指標として、1695cm-1(カルボン酸νC=O ベースライン1774~1616cm-1)及び1558cm-1(カルボキシレートνCOO- ベースライン1616~1500cm-1)のピーク面積比(1695/1558cm-1)を計算する。別途、全カルボン酸の10mol%,30mol%,50mol%,70mol%,90mol%,100mol%を塩で中和した部分重合架橋ポリアクリル酸を標準サンプルとして測定し、作製した検量線より組成比を求める。
吸水性樹脂は吸水性能が高いほど好ましく、実用性のある吸収性物品として用いることが出来る。吸水性樹脂の吸水倍率の測定において、吸水倍率が40g/g以上であることが好ましく、45g/g以上であることがより好ましく、50g/g以上であることが更に好ましい。また、保水倍率の測定において、保水倍率が25g/g以上であることが好ましく、29g/g以上であることがより好ましく、33g/gであることが更に好ましく、39g/g以上であることが最も好ましい。
吸水性樹脂の吸水倍率が大であるほど、衛材製品作製時に使用する吸水性樹脂の量を減らすことができるため、好ましい。
なお、本発明における吸水性樹脂の吸水倍率及び保水倍率は次のように測定する。
本発明で用いる吸水性樹脂の吸水倍率は吸水性樹脂がどれだけ吸水したかを示す値で、十分に吸水した吸水性樹脂の重量と吸水前の吸水性樹脂の重量を測定し、JIS K7223-1996を準拠する(ティーバッグ法)。
吸水性樹脂の吸水倍率が大であるほど、衛材製品作製時に使用する吸水性樹脂の量を減らすことができるため、好ましい。
なお、本発明における吸水性樹脂の吸水倍率及び保水倍率は次のように測定する。
本発明で用いる吸水性樹脂の吸水倍率は吸水性樹脂がどれだけ吸水したかを示す値で、十分に吸水した吸水性樹脂の重量と吸水前の吸水性樹脂の重量を測定し、JIS K7223-1996を準拠する(ティーバッグ法)。
本発明で用いる吸水性樹脂の吸水倍率の測定方法は、具体的には、一定量の吸水性樹脂A(g)をナイロン製の袋(ティーバッグ)に均一に入れ、一定温度の生理食塩水中に浸漬する。一定時間経過後に当該ティーバッグを取り出し、ティーバッグの角を固定し斜めの状態で一定時間吊るして水切り後、ティーバッグの重量B(g)を測定する。ブランク条件値として吸水性樹脂を入れないティーバッグで同様の操作を行い水切り後のティーバッグの重量C(g)を測定する。これらの値から、吸水倍率を次式(式3)より算出する。
吸水倍率(g/g)=(B(g)-C(g))/A(g)・・・(式3)
本発明で用いる吸水性樹脂の保水倍率は、吸水性樹脂が吸水した液体を保持する力を示す値で、吸水倍率測定後のティーバッグを用いて測定し、吸水倍率と同様の計算方法で求める。
本発明で用いる吸水性樹脂の保水倍率の測定方法は、具体的には、上記ティーバッグ法の吸水倍率測定試験実施直後の含水した吸水性樹脂を包含したティーバッグに、ろ紙を一定枚数重ねたものではさみ、上から一定重量の錘をのせて一定時間加圧下で水気を取り除いた後、ティーバッグの重量D(g)を測定する。ブランク条件値として吸水性樹脂を入れないティーバッグで同様の操作を行いティーバッグの重量E(g)を測定する。これらの値から、次式(式4)に従って保水倍率を算出する。
吸水性樹脂の保水倍率(g/g)=(D(g)-E(g))/A(g)・・・(式4)
吸水性樹脂のスポット吸収速度の評価は、比較対象である複合物と同様に短時間リウェット試験で評価する。
本発明で用いる吸水性樹脂のスポット吸収速度は、一定時間内で吸水性樹脂が吸水できなかった液量、つまり液戻(リウェット)量で評価する(短時間リウェット試験)。
具体的には、秤量した吸水性樹脂約0.5gをトレー上で直径4cmの円状となるようにする。そこに、サーマルボンド不織布(親水処理済み)を表面に乗せ、サンプルを作製する。
サンプルに生理食塩水を一定量滴下し、滴下終了から一定時短時間後に、その上にあらかじめ定量していたろ紙と錘を乗せる。ろ紙に乗せてから一定時間放置後に錘を外し、ろ紙の重量を測定する。
吸水性樹脂のドライ感とは、十分に液体を吸収した後に残っている液量、つまり液戻(リウェット)量で評価する(長時間リウェット試験)。
本発明で用いる吸水性樹脂のドライ感の測定方法は、具体的に、吸水性樹脂のスポット吸収速度と同様のサンプルを作製後、サンプルに生理食塩水を一定量滴下し、滴下終了から一定時長時間後に、その上にあらかじめ定量していたろ紙と錘を乗せる。ろ紙に乗せてから一定時間放置後に錘を外し、ろ紙の重量を測定する。
吸水性樹脂の再吸収性能及び高粘度溶液の吸収性能は、本発明の複合物の測定方法に準ずる。
吸水倍率(g/g)=(B(g)-C(g))/A(g)・・・(式3)
本発明で用いる吸水性樹脂の保水倍率は、吸水性樹脂が吸水した液体を保持する力を示す値で、吸水倍率測定後のティーバッグを用いて測定し、吸水倍率と同様の計算方法で求める。
本発明で用いる吸水性樹脂の保水倍率の測定方法は、具体的には、上記ティーバッグ法の吸水倍率測定試験実施直後の含水した吸水性樹脂を包含したティーバッグに、ろ紙を一定枚数重ねたものではさみ、上から一定重量の錘をのせて一定時間加圧下で水気を取り除いた後、ティーバッグの重量D(g)を測定する。ブランク条件値として吸水性樹脂を入れないティーバッグで同様の操作を行いティーバッグの重量E(g)を測定する。これらの値から、次式(式4)に従って保水倍率を算出する。
吸水性樹脂の保水倍率(g/g)=(D(g)-E(g))/A(g)・・・(式4)
吸水性樹脂のスポット吸収速度の評価は、比較対象である複合物と同様に短時間リウェット試験で評価する。
本発明で用いる吸水性樹脂のスポット吸収速度は、一定時間内で吸水性樹脂が吸水できなかった液量、つまり液戻(リウェット)量で評価する(短時間リウェット試験)。
具体的には、秤量した吸水性樹脂約0.5gをトレー上で直径4cmの円状となるようにする。そこに、サーマルボンド不織布(親水処理済み)を表面に乗せ、サンプルを作製する。
サンプルに生理食塩水を一定量滴下し、滴下終了から一定時短時間後に、その上にあらかじめ定量していたろ紙と錘を乗せる。ろ紙に乗せてから一定時間放置後に錘を外し、ろ紙の重量を測定する。
吸水性樹脂のドライ感とは、十分に液体を吸収した後に残っている液量、つまり液戻(リウェット)量で評価する(長時間リウェット試験)。
本発明で用いる吸水性樹脂のドライ感の測定方法は、具体的に、吸水性樹脂のスポット吸収速度と同様のサンプルを作製後、サンプルに生理食塩水を一定量滴下し、滴下終了から一定時長時間後に、その上にあらかじめ定量していたろ紙と錘を乗せる。ろ紙に乗せてから一定時間放置後に錘を外し、ろ紙の重量を測定する。
吸水性樹脂の再吸収性能及び高粘度溶液の吸収性能は、本発明の複合物の測定方法に準ずる。
〔4.複合物の製造方法〕
本発明の複合物は、吸水性樹脂と親水性繊維粉、または親水性繊維粉と疎水性繊維粉が直接接着していることが好ましく、例えば以下に記載する方法及びその方法を含んだ工程で製造される。
本発明による複合物を作製するには、親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉に水溶液を浸透させたのち、吸収性樹脂と接触させることが好ましい。これにより混合時のダマを非常に少なくすることができる。
本発明の複合物は、水を繊維粉に含浸させることで繊維粉が外表面未架橋吸水性樹脂に接着し、本発明の複合物が作製できる。さらに繊維粉に含浸させる水溶液に外表面架橋剤を添加することにより、複合物の吸水性樹脂部の外表面架橋度を変化させることができるので好ましい。この時用いる外表面架橋剤としては、公知の物を適用することができる。具体的には、本発明[1.複合物]に記載された架橋剤がある。
勿論、本発明において通常の吸収性物品に用いられているような外表面架橋吸水性樹脂を用いることも可能である。外表面架橋吸水性樹脂を用いた場合、複合物時に親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉とにより、吸水性樹脂表面に供給される外表面架橋剤により、吸水性樹脂内部まで過度の外表面架橋が起こり、吸水性樹脂の吸収速度を減じる場合がある。
このため本発明においては吸水性樹脂100重量部に対し外表面架橋剤が0~1.0重量部の架橋剤を含むべく親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉とに含まれる外表面架橋剤の量を調整する。
本発明の複合物は、吸水性樹脂と親水性繊維粉、または親水性繊維粉と疎水性繊維粉が直接接着していることが好ましく、例えば以下に記載する方法及びその方法を含んだ工程で製造される。
本発明による複合物を作製するには、親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉に水溶液を浸透させたのち、吸収性樹脂と接触させることが好ましい。これにより混合時のダマを非常に少なくすることができる。
本発明の複合物は、水を繊維粉に含浸させることで繊維粉が外表面未架橋吸水性樹脂に接着し、本発明の複合物が作製できる。さらに繊維粉に含浸させる水溶液に外表面架橋剤を添加することにより、複合物の吸水性樹脂部の外表面架橋度を変化させることができるので好ましい。この時用いる外表面架橋剤としては、公知の物を適用することができる。具体的には、本発明[1.複合物]に記載された架橋剤がある。
勿論、本発明において通常の吸収性物品に用いられているような外表面架橋吸水性樹脂を用いることも可能である。外表面架橋吸水性樹脂を用いた場合、複合物時に親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉とにより、吸水性樹脂表面に供給される外表面架橋剤により、吸水性樹脂内部まで過度の外表面架橋が起こり、吸水性樹脂の吸収速度を減じる場合がある。
このため本発明においては吸水性樹脂100重量部に対し外表面架橋剤が0~1.0重量部の架橋剤を含むべく親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉とに含まれる外表面架橋剤の量を調整する。
次に、吸水性樹脂は親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉と水の存在下に、互いに接触した状態で脱水乾燥させて製造する。これにより、吸水性樹脂と親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉とが高強度に吸水性樹脂表面に接着した本発明複合物が得られる。吸水性樹脂が酸基を含有している場合は、外表面架橋剤として働く、酸基と反応する官能基を複数もった化合物等を含有した状態で脱水乾燥を行うことが好ましい。
吸水性樹脂と親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉との相互作用を最大限に利用するために、親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉と水及び外表面架橋剤を含有した水が脱水乾燥前に均一に混合されていることがきわめて重要である。
この混合の際均一に水または外表面架橋剤水溶液が存在していることにより、親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉と吸水性樹脂の間に適度な相互作用が働き、混合性が良好となる。いわゆる一般に粉体と他の物質を混合する際に「ダマ」といわれる現象を減じ、均一な混合を実現することが可能となる。原料となる吸水性樹脂に大量の水が存在する場合は均一に混ぜることが難しくなるため、吸水性樹脂の含水量は、吸水性樹脂の重量に対して1~50重量%の間で調整される。
吸水性樹脂と繊維粉との混合前に、親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉が水または外表面架橋剤水溶液を含有していること、更に水または外表面架橋剤水溶液を均一に含有していることが好ましい。
この場合、親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉を一定の湿度のある空気中に保存しておけば、その空気中の湿度と親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉との平衡水分量まで自然に含水され、追加した水分が均一に親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉に分布する一助となる。吸水性樹脂、親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉および水または外表面架橋剤水溶液の混合は以下の手順で複合物を作製することが好ましい。
例えば、水と吸水性樹脂を最初に混合すると、吸水性樹脂同士がダマを生成しやすくなるため、先ず親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉と水を混合し、親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉と水分の均一混合状態が維持されているところに、攪拌混合しながら吸水性樹脂を分散投入することが好ましい。
親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉と水または外表面架橋剤水溶液の混合に際しては均質に水または外表面架橋剤水溶液が散布されるように、スプレーなどをつかって霧状で投入するか、スチーム等を使用することが好ましい。もしくは、親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉と水または外表面架橋剤水溶液の混合物を一定時間以上密閉保存し、水分を親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉に均一に含水させた後、吸収性樹脂と攪拌混合することが好ましい。これらの工程は高せん断力攪拌混合機で行うことが好ましい。
吸水性樹脂と親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉との相互作用を最大限に利用するために、親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉と水及び外表面架橋剤を含有した水が脱水乾燥前に均一に混合されていることがきわめて重要である。
この混合の際均一に水または外表面架橋剤水溶液が存在していることにより、親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉と吸水性樹脂の間に適度な相互作用が働き、混合性が良好となる。いわゆる一般に粉体と他の物質を混合する際に「ダマ」といわれる現象を減じ、均一な混合を実現することが可能となる。原料となる吸水性樹脂に大量の水が存在する場合は均一に混ぜることが難しくなるため、吸水性樹脂の含水量は、吸水性樹脂の重量に対して1~50重量%の間で調整される。
吸水性樹脂と繊維粉との混合前に、親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉が水または外表面架橋剤水溶液を含有していること、更に水または外表面架橋剤水溶液を均一に含有していることが好ましい。
この場合、親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉を一定の湿度のある空気中に保存しておけば、その空気中の湿度と親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉との平衡水分量まで自然に含水され、追加した水分が均一に親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉に分布する一助となる。吸水性樹脂、親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉および水または外表面架橋剤水溶液の混合は以下の手順で複合物を作製することが好ましい。
例えば、水と吸水性樹脂を最初に混合すると、吸水性樹脂同士がダマを生成しやすくなるため、先ず親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉と水を混合し、親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉と水分の均一混合状態が維持されているところに、攪拌混合しながら吸水性樹脂を分散投入することが好ましい。
親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉と水または外表面架橋剤水溶液の混合に際しては均質に水または外表面架橋剤水溶液が散布されるように、スプレーなどをつかって霧状で投入するか、スチーム等を使用することが好ましい。もしくは、親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉と水または外表面架橋剤水溶液の混合物を一定時間以上密閉保存し、水分を親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉に均一に含水させた後、吸収性樹脂と攪拌混合することが好ましい。これらの工程は高せん断力攪拌混合機で行うことが好ましい。
脱水乾燥させる工程以前の親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉と水の混合物中の重量比は、繊維粉と水の比率が10:1~1:1であることが好ましく、2:1~1:1であることが更に好ましい。
脱水乾燥させる工程以前の繊維粉と吸水性樹脂と水の混合物中の、吸水性樹脂と水の重量比は100:10~100:50であることが好ましい。このときの水の量は、含水した状態の吸水性樹脂及び繊維粉の混合物における合計の含水量をあらわす。乾燥前の含水量が少ない場合は、吸水性樹脂表面と親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉との直接接着している箇所が少なくなる傾向にあり、多すぎる場合にはダマになる。また、乾燥時間が長くなり、工業生産時にエネルギー消費量が増大する傾向にある。
脱水乾燥は、吸水性樹脂と含水させた親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉とが効率よく接触している状態で行うことが好ましいため、攪拌混合工程の後に乾燥を行うことが好ましい。乾燥脱水方法は特に限定されず、加熱による方法、減圧による方法、気流による方法等が挙げられ、複数を組み合わせてもよい。
親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉と吸水性樹脂との直接接着を強めるという観点から、加熱乾燥を行う場合、加熱の方法は特に限定されず、熱風による方法、マイクロ波を使用する方法、赤外光線を使用する方法等、設備に応じて自由に選択することができる。加熱の温度は30~120℃であることが好ましい。低温の場合は乾燥効率が悪くなる傾向にあり、高温すぎると繊維粉が黄色から褐色に着色する場合があり衛材用途に用いた場合の複合物の外観が悪くなり商品価値を減じる。
乾燥脱水の程度は特に限定されないが、残存水分が多すぎる場合は、吸収能力を低下させる可能性がある。このため、複合化時に加えられた水分を全量除去できることが最も好ましい。
繊維粉を含水させる水の不純物量は水道水レベルであることが好ましく、不純物のない蒸留水又はイオン交換水を単独で用いることがより好ましい。
本発明により作製された複合物は、乾燥後必要に応じ各用途向けに篩分し複合物の粒子径を調整することは任意である。
脱水乾燥させる工程以前の繊維粉と吸水性樹脂と水の混合物中の、吸水性樹脂と水の重量比は100:10~100:50であることが好ましい。このときの水の量は、含水した状態の吸水性樹脂及び繊維粉の混合物における合計の含水量をあらわす。乾燥前の含水量が少ない場合は、吸水性樹脂表面と親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉との直接接着している箇所が少なくなる傾向にあり、多すぎる場合にはダマになる。また、乾燥時間が長くなり、工業生産時にエネルギー消費量が増大する傾向にある。
脱水乾燥は、吸水性樹脂と含水させた親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉とが効率よく接触している状態で行うことが好ましいため、攪拌混合工程の後に乾燥を行うことが好ましい。乾燥脱水方法は特に限定されず、加熱による方法、減圧による方法、気流による方法等が挙げられ、複数を組み合わせてもよい。
親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉と吸水性樹脂との直接接着を強めるという観点から、加熱乾燥を行う場合、加熱の方法は特に限定されず、熱風による方法、マイクロ波を使用する方法、赤外光線を使用する方法等、設備に応じて自由に選択することができる。加熱の温度は30~120℃であることが好ましい。低温の場合は乾燥効率が悪くなる傾向にあり、高温すぎると繊維粉が黄色から褐色に着色する場合があり衛材用途に用いた場合の複合物の外観が悪くなり商品価値を減じる。
乾燥脱水の程度は特に限定されないが、残存水分が多すぎる場合は、吸収能力を低下させる可能性がある。このため、複合化時に加えられた水分を全量除去できることが最も好ましい。
繊維粉を含水させる水の不純物量は水道水レベルであることが好ましく、不純物のない蒸留水又はイオン交換水を単独で用いることがより好ましい。
本発明により作製された複合物は、乾燥後必要に応じ各用途向けに篩分し複合物の粒子径を調整することは任意である。
〔5.複合物の製造装置〕
次に、本発明の複合物の好ましい製造装置例について説明するが、本発明の複合物の製造装置は以下に限定されるものではない。
(a)親水性繊維及び疎水性繊維を粉体化する装置
親水性繊維がシートやロール形状である場合、粉砕後、親水性繊維粉を得られ、篩分することによって、平均粒子径を整えることができる。粉砕には一般的なパルプシート用粉砕機を好適に利用することができる。
疎水性繊維を粉砕する場合は、カッター装置などを用いることで微粉化し、疎水性繊維粉を得られ、篩分することによって、平均粒子径を整えることができる。
粉砕した繊維粉は通常のタンクに貯蔵することができる。
(b)繊維粉の含水率を調整するための装置
繊維粉は含水率を調整することが好ましい。均一に含水させるために、繊維粉をミキサー等で水と撹拌混合しながら含水率を高めることが好ましい。含水率を高めるための装置として、水又は吸水性樹脂の外表面架橋剤水溶液の噴霧装置を好適に使用することができる。水又は吸水性樹脂の外表面架橋剤水溶液の噴霧装置は、例えば、スプレーを使用することができる。
(c)含水繊維粉と吸水性樹脂とを混合する装置
タンクに貯蔵されている繊維粉と、別のタンクに貯蔵されている吸水性樹脂を任意の比で混合するために計量する装置を有することが必要である。混合比率の計量は、一般的な重量計測器を用いることができる。計量された繊維粉と吸水性樹脂との混合は、気流混合できる容器を用いることが好ましく、例えば、内部に螺旋溝が施工されたホッパー等を使用することができる。下部に堆積した混合物は、例えば、スクリュー等を用い回転数をコントロールすることで、定量を次工程へ送ることができる。(b)と(c)は同じ装置を使用してもよい。
(d)脱水乾燥するための装置
脱水乾燥は、熱風乾燥機を好適に使用することができる。この乾燥機は前述のコンベア上に設置してもよいし、固定式乾燥機でもよい。
次に、本発明の複合物の好ましい製造装置例について説明するが、本発明の複合物の製造装置は以下に限定されるものではない。
(a)親水性繊維及び疎水性繊維を粉体化する装置
親水性繊維がシートやロール形状である場合、粉砕後、親水性繊維粉を得られ、篩分することによって、平均粒子径を整えることができる。粉砕には一般的なパルプシート用粉砕機を好適に利用することができる。
疎水性繊維を粉砕する場合は、カッター装置などを用いることで微粉化し、疎水性繊維粉を得られ、篩分することによって、平均粒子径を整えることができる。
粉砕した繊維粉は通常のタンクに貯蔵することができる。
(b)繊維粉の含水率を調整するための装置
繊維粉は含水率を調整することが好ましい。均一に含水させるために、繊維粉をミキサー等で水と撹拌混合しながら含水率を高めることが好ましい。含水率を高めるための装置として、水又は吸水性樹脂の外表面架橋剤水溶液の噴霧装置を好適に使用することができる。水又は吸水性樹脂の外表面架橋剤水溶液の噴霧装置は、例えば、スプレーを使用することができる。
(c)含水繊維粉と吸水性樹脂とを混合する装置
タンクに貯蔵されている繊維粉と、別のタンクに貯蔵されている吸水性樹脂を任意の比で混合するために計量する装置を有することが必要である。混合比率の計量は、一般的な重量計測器を用いることができる。計量された繊維粉と吸水性樹脂との混合は、気流混合できる容器を用いることが好ましく、例えば、内部に螺旋溝が施工されたホッパー等を使用することができる。下部に堆積した混合物は、例えば、スクリュー等を用い回転数をコントロールすることで、定量を次工程へ送ることができる。(b)と(c)は同じ装置を使用してもよい。
(d)脱水乾燥するための装置
脱水乾燥は、熱風乾燥機を好適に使用することができる。この乾燥機は前述のコンベア上に設置してもよいし、固定式乾燥機でもよい。
〔6.複合物の用途〕
本発明の複合物は、紙おむつ、尿パッド及び生理用ナプキン等の使い捨て用の衛材製品の吸収部材、動物用シーツ、ペットシーツ等の愛玩動物用の排泄物処理材の吸収部材、冷凍水産物の運搬の際に、水産物が氷解した水に濡れるのを防止する吸収性シート、又は鉢植えを被う水蒸発防止用の吸収性シート、鉢植えの下に敷く吸収性シート、水槽の回りに配置する吸収性シート、結露防止材用シート等に使用する吸収性シート、傘立ての受部等の滴の垂れる箇所に配置して、傘等から落ちる水滴を吸収する水滴吸収マット、乗り物のヘッドカバー用のマットとして、又はヘルメット又は帽子内の蒸れ防止用マット、例えば温水洗浄便座[TOTO株式会社製等]での排便後のトイレットペーパーシート、雨天の場合に、屋根の無いイベント会場の雨天の日の雨による床の濡れ防止用吸収性マット、雨の日の自動車、列車若しくは飛行機等の乗り物の床の濡れ防止用吸収性マット、雨の日の病院、サービスエリア、デパート、ホテル、店舗、オフィスビル若しくはレジャー施設の床の濡れ防止用吸収性マット、冷蔵庫内の濡れ防止用吸収性マット、調理場の床の濡れ防止用吸収性マット、並びに炊事場又は調理場の生ゴミのドリップ吸収用の吸水シート、給水設備、給湯設備又は便器若しくは洗面具等の衛生器具を備える床の濡れ防止用吸収性マット、冷蔵庫の周囲の床の濡れの防止用吸収性マット、レジャーマット若しくはマッサージ療法用シーツ、並びにベッド用補助マット、野菜、青果物若しくは花卉類の保水又は調湿機能を有する包装材料、鮮魚、生肉、総菜食品又は弁当等の保水又は調湿機能を有する包装材料、並びに種子、菌株、幼苗若しくは球根の包装材料、機械類や窓の掃除用、建築物の天井部、壁部、床部若しくは窓部等の結露及び濡れの拭き取り用のウエス又は雑巾として、園芸植物の栽培時における水蒸発防止用等の吸収部材に好ましく使用することができる。
本発明の複合物は、紙おむつ、尿パッド及び生理用ナプキン等の使い捨て用の衛材製品の吸収部材、動物用シーツ、ペットシーツ等の愛玩動物用の排泄物処理材の吸収部材、冷凍水産物の運搬の際に、水産物が氷解した水に濡れるのを防止する吸収性シート、又は鉢植えを被う水蒸発防止用の吸収性シート、鉢植えの下に敷く吸収性シート、水槽の回りに配置する吸収性シート、結露防止材用シート等に使用する吸収性シート、傘立ての受部等の滴の垂れる箇所に配置して、傘等から落ちる水滴を吸収する水滴吸収マット、乗り物のヘッドカバー用のマットとして、又はヘルメット又は帽子内の蒸れ防止用マット、例えば温水洗浄便座[TOTO株式会社製等]での排便後のトイレットペーパーシート、雨天の場合に、屋根の無いイベント会場の雨天の日の雨による床の濡れ防止用吸収性マット、雨の日の自動車、列車若しくは飛行機等の乗り物の床の濡れ防止用吸収性マット、雨の日の病院、サービスエリア、デパート、ホテル、店舗、オフィスビル若しくはレジャー施設の床の濡れ防止用吸収性マット、冷蔵庫内の濡れ防止用吸収性マット、調理場の床の濡れ防止用吸収性マット、並びに炊事場又は調理場の生ゴミのドリップ吸収用の吸水シート、給水設備、給湯設備又は便器若しくは洗面具等の衛生器具を備える床の濡れ防止用吸収性マット、冷蔵庫の周囲の床の濡れの防止用吸収性マット、レジャーマット若しくはマッサージ療法用シーツ、並びにベッド用補助マット、野菜、青果物若しくは花卉類の保水又は調湿機能を有する包装材料、鮮魚、生肉、総菜食品又は弁当等の保水又は調湿機能を有する包装材料、並びに種子、菌株、幼苗若しくは球根の包装材料、機械類や窓の掃除用、建築物の天井部、壁部、床部若しくは窓部等の結露及び濡れの拭き取り用のウエス又は雑巾として、園芸植物の栽培時における水蒸発防止用等の吸収部材に好ましく使用することができる。
特に、吸収速度とドライ感に優れることから、紙おむつ、尿パッド、及び生理用ナプキン等の使い捨て用の衛材製品の吸収部材に好適に使用できる。
上述したごとく、本発明は特定の大きさの繊維粉と特定の大きさの吸水性樹脂が直接接着された複合物は、どのような形態で使用されても粒子同士のゲルブロッキングが発生せず、また高い濡れ性をしめすため、吸収速度とドライ感に優れる。また、親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉及び吸水性樹脂と水を混合した状態から脱水乾燥する工程を含んで製造することで、理想的な複合物が形成される。また、表面未架橋の吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂を用いることで、高い濡れ性と吸水倍率を持ち、リウェットやゲルブロッキングを防ぎ、再吸収可能な複合物が形成できる。
従来、当該用途に用いられる製品製造に必須であった吸水性樹脂の外表面架橋を必要とせず上記目的を達することができる。製品の特性性能もさることながら製品の工業的製造工程の簡略化や多岐にわたる種類の使用材料の削減を実現し以って人類の生活利便性(QOL)に優れた製品を提供することに成功したものである。また、その複合物を用いて、液戻り、液漏れを確実に防止し得る、優れた吸収性、保液性を有しかつ薄型で柔軟性に富む性能を持つ衛材製品を、少ない原単位で提供するこができる。
すなわち本発明は従来の当該技術分野における常識を覆す吸水性樹脂と繊維粉とから構成される複合物で含水性液体吸収体の製造方法に関するものである。
さらに本発明によれば、吸収速度、吸収後のドライ感に優れる含水性液体吸収体複合物を提供できる。該複合物はどのような使用方法をしてもゲルブロッキングが発生することはなく、高い濡れ性を示すために、衛材製品等に好適に使用できる。
また、該複合物はゲルブロッキング防止のための衛材製品が不要であるため、使用部材を減らすことができ、衛材製品等の製造プロセスの簡略化、省資源化にも貢献することもできる。
上述したごとく、本発明は特定の大きさの繊維粉と特定の大きさの吸水性樹脂が直接接着された複合物は、どのような形態で使用されても粒子同士のゲルブロッキングが発生せず、また高い濡れ性をしめすため、吸収速度とドライ感に優れる。また、親水性繊維粉または親水性繊維粉と疎水性繊維粉及び吸水性樹脂と水を混合した状態から脱水乾燥する工程を含んで製造することで、理想的な複合物が形成される。また、表面未架橋の吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂を用いることで、高い濡れ性と吸水倍率を持ち、リウェットやゲルブロッキングを防ぎ、再吸収可能な複合物が形成できる。
従来、当該用途に用いられる製品製造に必須であった吸水性樹脂の外表面架橋を必要とせず上記目的を達することができる。製品の特性性能もさることながら製品の工業的製造工程の簡略化や多岐にわたる種類の使用材料の削減を実現し以って人類の生活利便性(QOL)に優れた製品を提供することに成功したものである。また、その複合物を用いて、液戻り、液漏れを確実に防止し得る、優れた吸収性、保液性を有しかつ薄型で柔軟性に富む性能を持つ衛材製品を、少ない原単位で提供するこができる。
すなわち本発明は従来の当該技術分野における常識を覆す吸水性樹脂と繊維粉とから構成される複合物で含水性液体吸収体の製造方法に関するものである。
さらに本発明によれば、吸収速度、吸収後のドライ感に優れる含水性液体吸収体複合物を提供できる。該複合物はどのような使用方法をしてもゲルブロッキングが発生することはなく、高い濡れ性を示すために、衛材製品等に好適に使用できる。
また、該複合物はゲルブロッキング防止のための衛材製品が不要であるため、使用部材を減らすことができ、衛材製品等の製造プロセスの簡略化、省資源化にも貢献することもできる。
[実施例]
以下に本発明の実施例及び比較例により、本件発明をさらに説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
吸水性樹脂および複合物を以下の方法で測定を行った。尚、各種測定は特に記載のない限り、25±0.5℃の環境で行った。また、測定で用いる生理食塩水の濃度は0.9重量%である。
以下に本発明の実施例及び比較例により、本件発明をさらに説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
吸水性樹脂および複合物を以下の方法で測定を行った。尚、各種測定は特に記載のない限り、25±0.5℃の環境で行った。また、測定で用いる生理食塩水の濃度は0.9重量%である。
(1)吸水倍率の測定
吸水性樹脂または複合物の無加圧下における吸収倍率の測定は、下記に示すティーバッグ
試験を行った。
吸水性樹脂または複合物A(g)(約0.5g)をナイロン製袋(以下「ティーバッグ」という)(100×100mm)に均一に入れ、23℃の生理食塩水中に浸漬させた。30分後にティーバッグを取り出し、ティーバッグの角を固定し斜めの状態で10分間吊るして水切り後、ティーバッグの重量B(g)を測定する。ブランク条件値として吸水性樹脂を入れないティーバッグで同様の操作を行い水切り後のティーバッグの重量C(g)を測定した。これらの値から、吸水倍率を次式(式1)に従って算出した。
吸水倍率(g/g)=(B(g)-C(g))/A(g)・・・(式1)
吸水性樹脂または複合物の無加圧下における吸収倍率の測定は、下記に示すティーバッグ
試験を行った。
吸水性樹脂または複合物A(g)(約0.5g)をナイロン製袋(以下「ティーバッグ」という)(100×100mm)に均一に入れ、23℃の生理食塩水中に浸漬させた。30分後にティーバッグを取り出し、ティーバッグの角を固定し斜めの状態で10分間吊るして水切り後、ティーバッグの重量B(g)を測定する。ブランク条件値として吸水性樹脂を入れないティーバッグで同様の操作を行い水切り後のティーバッグの重量C(g)を測定した。これらの値から、吸水倍率を次式(式1)に従って算出した。
吸水倍率(g/g)=(B(g)-C(g))/A(g)・・・(式1)
(2)保水倍率の測定
本発明で用いる保水倍率の測定方法は、上記吸水倍率測定試験実施直後の含水した複合物を包含したティーバッグに、円形定性ろ紙(ADOVANTEC, No.2,15cm)を20枚重ねたものではさみ、上から1.8lgの錘をのせて10分間加圧下で水気を取り除いた後、ティーバッグの重量D(g)を測定する。ブランク条件値として吸水性樹脂を入れないティーバッグで同様の操作を行いティーバッグの重量E(g)を測定する。これらの値から、次式(式2)に従って保水倍率を算出する。
吸水性樹脂の保水倍率(g/g)=(D(g)-E(g))/A(g)・・・(式2)
本発明で用いる保水倍率の測定方法は、上記吸水倍率測定試験実施直後の含水した複合物を包含したティーバッグに、円形定性ろ紙(ADOVANTEC, No.2,15cm)を20枚重ねたものではさみ、上から1.8lgの錘をのせて10分間加圧下で水気を取り除いた後、ティーバッグの重量D(g)を測定する。ブランク条件値として吸水性樹脂を入れないティーバッグで同様の操作を行いティーバッグの重量E(g)を測定する。これらの値から、次式(式2)に従って保水倍率を算出する。
吸水性樹脂の保水倍率(g/g)=(D(g)-E(g))/A(g)・・・(式2)
(3)複合物の吸水倍率および保水倍率の吸水性樹脂換算値の算出
複合物と吸水性樹脂の吸水倍率および保水倍率を比較する際に、複合物中の繊維粉の影響を考慮する必要がある。そのため、吸水性樹脂換算値として複合物中の吸水性樹脂部の吸水倍率および保水倍率を算出し、比較した。すなわち、複合物の吸水量を繊維粉の吸水量と吸水性樹脂の吸水量の加重平均値とし、繊維粉重量の吸水量を差し引き吸水性樹脂100重量%当たりに逆算して吸水性樹脂換算値とした。
具体的には、複合物の吸水倍率または保水倍率を下記の式(式3・4)で換算した。
複合物の吸水倍率をF(g/g)、保水倍率をG(g/g)、繊維粉の吸水倍率をH(g/g)、保水倍率をI(g/g)とし、複合物の全量をJ(g)、複合物中の吸水性樹脂部量をK(g)、複合物中の繊維粉量をL(g)とおいた。
吸水倍率の吸水性樹脂換算値(g/g)={ F(g/g)-( H(g/g)× L(g)/ J(g) )} ×J(g)/ K(g)・・・(式3)
保水倍率の吸水性樹脂換算値(g/g)={ G(g/g)-( I(g/g)× L(g)/ J(g) )} ×J(g)/ K(g) ・・・(式4)
なお、今回複合物に使用した親水性繊維粉(日本製紙ケミカル社,KCフロックW-50GK)と疎水性繊維粉(コアシェル構造(PET/PE))の吸水倍率および保水倍率を測定した結果、親水性繊維粉の吸水倍率は7.39(g/g)、保水倍率は4.90(g/g)であり、疎水性繊維粉の吸水倍率および保水倍率は0(g/g)であった。
複合物と吸水性樹脂の吸水倍率および保水倍率を比較する際に、複合物中の繊維粉の影響を考慮する必要がある。そのため、吸水性樹脂換算値として複合物中の吸水性樹脂部の吸水倍率および保水倍率を算出し、比較した。すなわち、複合物の吸水量を繊維粉の吸水量と吸水性樹脂の吸水量の加重平均値とし、繊維粉重量の吸水量を差し引き吸水性樹脂100重量%当たりに逆算して吸水性樹脂換算値とした。
具体的には、複合物の吸水倍率または保水倍率を下記の式(式3・4)で換算した。
複合物の吸水倍率をF(g/g)、保水倍率をG(g/g)、繊維粉の吸水倍率をH(g/g)、保水倍率をI(g/g)とし、複合物の全量をJ(g)、複合物中の吸水性樹脂部量をK(g)、複合物中の繊維粉量をL(g)とおいた。
吸水倍率の吸水性樹脂換算値(g/g)={ F(g/g)-( H(g/g)× L(g)/ J(g) )} ×J(g)/ K(g)・・・(式3)
保水倍率の吸水性樹脂換算値(g/g)={ G(g/g)-( I(g/g)× L(g)/ J(g) )} ×J(g)/ K(g) ・・・(式4)
なお、今回複合物に使用した親水性繊維粉(日本製紙ケミカル社,KCフロックW-50GK)と疎水性繊維粉(コアシェル構造(PET/PE))の吸水倍率および保水倍率を測定した結果、親水性繊維粉の吸水倍率は7.39(g/g)、保水倍率は4.90(g/g)であり、疎水性繊維粉の吸水倍率および保水倍率は0(g/g)であった。
(4)測定用サンプル
秤量した吸水性樹脂または複合物0.5gをトレー上で直径4cmの円状となるようにした。そこに、界面活性剤(三洋化成工業株式会社製,サンモリンOT-70,2.5%)を染み込ませた不織布(サーマルボンド法PE/PET,18g/m2)を表面に乗せ、以降の測定用サンプルとした。
秤量した吸水性樹脂または複合物0.5gをトレー上で直径4cmの円状となるようにした。そこに、界面活性剤(三洋化成工業株式会社製,サンモリンOT-70,2.5%)を染み込ませた不織布(サーマルボンド法PE/PET,18g/m2)を表面に乗せ、以降の測定用サンプルとした。
(5)サンプルのスポット吸収速度の測定
本発明で用いる複合物のスポット吸収速度は、一定時間内でサンプルが吸水できなかった液量、つまり液戻(リウェット)量で評価し、下記の短時間リウェット試験にて測定した。(4)の記載に従い作製した測定用サンプルに、上から生理食塩水(液温25±0.5℃ 一定)を2.0g滴下し、滴下終了から30秒後に、その上にあらかじめ定量していた円形定性ろ紙2枚(ADOVANTEC,No.2)L(g)と圧力35.8(g/cm2)の錘1.8(kg)を乗せ、ろ紙に乗せてから10秒後に錘を外し、ろ紙の重量M(g)を測定した。
リウェットにより重くなったろ紙からもとのろ紙の重量を引いた値を、以下の式(5)に従って、滴下した生理食塩水の量で割りだした比率をリウェット率とおいた。以下の式(5)に従って短時間リウェット率を算出した。
リウェット率(%)= (M(g)- L(g))/2.0(g) ×100・・・式(5)
サンプル間でリウェット率を比較し、リウェット率の高いものはスポット吸収速度が遅く、低いものはスポット吸収速度が速いと評価した。
また、再吸収性能を評価するため、試験後から3分経過した後、同様の操作でリウェット率を測定し、これを再吸収時のスポット吸収速度とした。
本発明で用いる複合物のスポット吸収速度は、一定時間内でサンプルが吸水できなかった液量、つまり液戻(リウェット)量で評価し、下記の短時間リウェット試験にて測定した。(4)の記載に従い作製した測定用サンプルに、上から生理食塩水(液温25±0.5℃ 一定)を2.0g滴下し、滴下終了から30秒後に、その上にあらかじめ定量していた円形定性ろ紙2枚(ADOVANTEC,No.2)L(g)と圧力35.8(g/cm2)の錘1.8(kg)を乗せ、ろ紙に乗せてから10秒後に錘を外し、ろ紙の重量M(g)を測定した。
リウェットにより重くなったろ紙からもとのろ紙の重量を引いた値を、以下の式(5)に従って、滴下した生理食塩水の量で割りだした比率をリウェット率とおいた。以下の式(5)に従って短時間リウェット率を算出した。
リウェット率(%)= (M(g)- L(g))/2.0(g) ×100・・・式(5)
サンプル間でリウェット率を比較し、リウェット率の高いものはスポット吸収速度が遅く、低いものはスポット吸収速度が速いと評価した。
また、再吸収性能を評価するため、試験後から3分経過した後、同様の操作でリウェット率を測定し、これを再吸収時のスポット吸収速度とした。
(6)サンプルのドライ感の測定
(4)に記載の測定用サンプルの上から生理食塩水2mlを滴下した。滴下終了から10分後に、(5)と同様のろ紙L(g)と錘を乗せた。ろ紙に乗せてから10秒後に錘を外し、ろ紙の重量M(g)を測定し、式5に従いリウェット率を算出した。このリウェット率をサンプル同士で比較し、多いものはドライ感に優れず、少ないものはドライ感に優れると評価した。
また、再吸収性能をみるために、試験後から3分経過した後、同様の操作でリウェット量を測定し、再吸収時のドライ感とした。
(4)に記載の測定用サンプルの上から生理食塩水2mlを滴下した。滴下終了から10分後に、(5)と同様のろ紙L(g)と錘を乗せた。ろ紙に乗せてから10秒後に錘を外し、ろ紙の重量M(g)を測定し、式5に従いリウェット率を算出した。このリウェット率をサンプル同士で比較し、多いものはドライ感に優れず、少ないものはドライ感に優れると評価した。
また、再吸収性能をみるために、試験後から3分経過した後、同様の操作でリウェット量を測定し、再吸収時のドライ感とした。
(7)サンプルの高粘度溶液の吸水性評価方法
本発明の吸水性樹脂の高粘度溶液の吸水性評価は、以下の方法により作製した高粘度溶液を用いて、サンプルの吸収速度、再吸収性能の比較評価を、上記(5)と同様にリウェット率を求めて比較した。
高粘度溶液の調製方法は、容器に入れた精製水を25℃に温め、攪拌機で混合しながら、グリセリン40gとカルボキシメチルセルロースナトリウム4gを良く混合したものを少量ずつ添加し、撹拌した。さらに撹拌しながら、塩化ナトリウム5gと炭酸水素ナトリウム2gを少量ずつ加え、試薬が十分に分散するまでよく混ぜた。
本発明の吸水性樹脂の高粘度溶液の吸水性評価は、以下の方法により作製した高粘度溶液を用いて、サンプルの吸収速度、再吸収性能の比較評価を、上記(5)と同様にリウェット率を求めて比較した。
高粘度溶液の調製方法は、容器に入れた精製水を25℃に温め、攪拌機で混合しながら、グリセリン40gとカルボキシメチルセルロースナトリウム4gを良く混合したものを少量ずつ添加し、撹拌した。さらに撹拌しながら、塩化ナトリウム5gと炭酸水素ナトリウム2gを少量ずつ加え、試薬が十分に分散するまでよく混ぜた。
[比較例1]
以下に、外表面架橋処理のされた吸水性樹脂(サンダイヤポリマー株式会社,サンフレッシュ,ST-250)(以降吸水性樹脂(1)と称す)の試験結果を示した。
吸水倍率は59.6(g/g)、保水量は41.9(g/g)であった。生理食塩水による短時間リウェット率は2.3%、また、長時間リウェット率は1.2%であった。
高粘度溶液による短時間リウェット率は0.3%、再吸収後の短時間リウェット率は16.2%であった。
高粘度溶液を滴下した場合、本発明の複合物と比較してリウェット率が大であった。
以下に、外表面架橋処理のされた吸水性樹脂(サンダイヤポリマー株式会社,サンフレッシュ,ST-250)(以降吸水性樹脂(1)と称す)の試験結果を示した。
吸水倍率は59.6(g/g)、保水量は41.9(g/g)であった。生理食塩水による短時間リウェット率は2.3%、また、長時間リウェット率は1.2%であった。
高粘度溶液による短時間リウェット率は0.3%、再吸収後の短時間リウェット率は16.2%であった。
高粘度溶液を滴下した場合、本発明の複合物と比較してリウェット率が大であった。
[比較例2]
以下に、外表面が未架橋である吸水性樹脂(ソンウォン社製 No.1SAP)のみの試験結果を示した。また、以降この樹脂を吸水性樹脂(2)とした。吸水性樹脂(2)の光学顕微鏡写真を図1に示した。
吸水倍率は59.0(g/g)、保水倍率は54.0(g/g)であった。生理食塩水による短時間リウェット率は2.5%、再吸収後の短時間リウェット率は44.2%であった。また、長時間リウェット率は1.5%、再吸収後の長時間リウェット率は33.0%であった。
高粘度溶液による短時間リウェット率は7.6%、再吸収後の短時間リウェット率は86.4%であった。
比較例2の吸水性樹脂のみの場合、ドライ感に劣り、初期吸収後にゲルブロッキングを起こしてしまった。
また、高粘度溶液を滴下した場合、本発明の複合物と比較して浸透が遅く、特に再吸収時には液をはじき、スポット吸収せずに、液がサンプル外へ流れ出てしまった。
以下に、外表面が未架橋である吸水性樹脂(ソンウォン社製 No.1SAP)のみの試験結果を示した。また、以降この樹脂を吸水性樹脂(2)とした。吸水性樹脂(2)の光学顕微鏡写真を図1に示した。
吸水倍率は59.0(g/g)、保水倍率は54.0(g/g)であった。生理食塩水による短時間リウェット率は2.5%、再吸収後の短時間リウェット率は44.2%であった。また、長時間リウェット率は1.5%、再吸収後の長時間リウェット率は33.0%であった。
高粘度溶液による短時間リウェット率は7.6%、再吸収後の短時間リウェット率は86.4%であった。
比較例2の吸水性樹脂のみの場合、ドライ感に劣り、初期吸収後にゲルブロッキングを起こしてしまった。
また、高粘度溶液を滴下した場合、本発明の複合物と比較して浸透が遅く、特に再吸収時には液をはじき、スポット吸収せずに、液がサンプル外へ流れ出てしまった。
[実施例1]
外表面架橋処理された吸水性樹脂の複合物は、以下の製造方法で作製した。
親水性繊維粉(日本製紙ケミカル社,KCフロックW-50GK)30gと水30gを高せん断力高速攪拌混合機にてよく攪拌し、親水性繊維粉に水をよくなじませた。撹拌した紙粉混合物を密閉容器内に入れ、2時間放置した。その後、密閉容器内から中身の紙粉混合物を取り出し、吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂(サンダイヤポリマー株式会社,サンフレッシュ,ST-250)100gとともに高せん断力高速攪拌混合機内にてよく攪拌した。これを取り出し、乾燥機にて120℃10分の加熱を行った。これを複合物(1)とした。以下に複合物(1)の試験結果を示した。
吸水倍率の吸水性樹脂換算値は59.5(g/g)であり、保水倍率の樹脂換算値は41.0(g/g)であった。生理食塩水による短時間リウェット率は0.3%、再吸収後の短時間リウェット率は0.7%であった。また、長時間リウェット率は0.0%、再吸収後の長時間リウェット率は0.2%であった。高粘度溶液による短時間リウェット率は0.6%、再吸収後の短時間リウェット率は5.3%であった。
以上の結果、吸水倍率および保水倍率の吸水性樹脂換算値が、複合化前の吸水性樹脂(1)と比べて同等であった。また、複合化することで吸水時のゲルブロッキングが防止され、スポット吸収速度、ドライ感、再吸収性能も向上した。
外表面架橋処理された吸水性樹脂の複合物は、以下の製造方法で作製した。
親水性繊維粉(日本製紙ケミカル社,KCフロックW-50GK)30gと水30gを高せん断力高速攪拌混合機にてよく攪拌し、親水性繊維粉に水をよくなじませた。撹拌した紙粉混合物を密閉容器内に入れ、2時間放置した。その後、密閉容器内から中身の紙粉混合物を取り出し、吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂(サンダイヤポリマー株式会社,サンフレッシュ,ST-250)100gとともに高せん断力高速攪拌混合機内にてよく攪拌した。これを取り出し、乾燥機にて120℃10分の加熱を行った。これを複合物(1)とした。以下に複合物(1)の試験結果を示した。
吸水倍率の吸水性樹脂換算値は59.5(g/g)であり、保水倍率の樹脂換算値は41.0(g/g)であった。生理食塩水による短時間リウェット率は0.3%、再吸収後の短時間リウェット率は0.7%であった。また、長時間リウェット率は0.0%、再吸収後の長時間リウェット率は0.2%であった。高粘度溶液による短時間リウェット率は0.6%、再吸収後の短時間リウェット率は5.3%であった。
以上の結果、吸水倍率および保水倍率の吸水性樹脂換算値が、複合化前の吸水性樹脂(1)と比べて同等であった。また、複合化することで吸水時のゲルブロッキングが防止され、スポット吸収速度、ドライ感、再吸収性能も向上した。
[実施例2]
複合物中の吸収性樹脂部を外表面架橋させる目的で、吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂100重量部に対し、架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.5重量部用いて作製した複合物の製造方法を以下に示した。
水30gにエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.5g滴下し、よく攪拌した。これに、KCフロックW-50GK(日本製紙ケミカル社製 工業グレード 粉末セルロース)を30g加え、高せん断力高速攪拌混合機内にてよく攪拌した。撹拌した紙粉混合物をポリチャック内にて密閉し、2時間以上放置した。その後、ポリチャックから中身の紙粉混合物を取り出し、吸水性樹脂(1)100gと高せん断力高速攪拌混合機内にてよく攪拌した。これを取り出し、乾燥機にて120℃10分の加熱を行った。これを複合物(2)とした。吸水性樹脂間での凝集はなく、吸水性樹脂の周りを繊維が完全に取り囲んで直接接着していた。以下に複合物(2)の試験結果を示した。
吸水倍率の樹脂換算値は51.9(g/g)であり、保水倍率の樹脂換算値は33.4(g/g)であった。短時間リウェット率は0.1%、再吸収後の短時間リウェット率は0.3%であった。長時間リウェット率は0.0%で、再吸収後の長時間リウェット率は0.4%であった。また、高粘度溶液による短時間リウェット率は0.2%、再吸収後の短時間リウェット率は2.6%であった。
以上の結果を複合化前の吸水性樹脂(1)と比べると、吸水倍率および保水倍率の吸水性樹脂換算値が高くなり、複合物(2)中の吸水性樹脂有効利用率が向上した。また、生理食塩水におけるスポット吸収速度、ドライ感、再吸収性能も向上した。
複合物中の吸収性樹脂部を外表面架橋させる目的で、吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂100重量部に対し、架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.5重量部用いて作製した複合物の製造方法を以下に示した。
水30gにエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.5g滴下し、よく攪拌した。これに、KCフロックW-50GK(日本製紙ケミカル社製 工業グレード 粉末セルロース)を30g加え、高せん断力高速攪拌混合機内にてよく攪拌した。撹拌した紙粉混合物をポリチャック内にて密閉し、2時間以上放置した。その後、ポリチャックから中身の紙粉混合物を取り出し、吸水性樹脂(1)100gと高せん断力高速攪拌混合機内にてよく攪拌した。これを取り出し、乾燥機にて120℃10分の加熱を行った。これを複合物(2)とした。吸水性樹脂間での凝集はなく、吸水性樹脂の周りを繊維が完全に取り囲んで直接接着していた。以下に複合物(2)の試験結果を示した。
吸水倍率の樹脂換算値は51.9(g/g)であり、保水倍率の樹脂換算値は33.4(g/g)であった。短時間リウェット率は0.1%、再吸収後の短時間リウェット率は0.3%であった。長時間リウェット率は0.0%で、再吸収後の長時間リウェット率は0.4%であった。また、高粘度溶液による短時間リウェット率は0.2%、再吸収後の短時間リウェット率は2.6%であった。
以上の結果を複合化前の吸水性樹脂(1)と比べると、吸水倍率および保水倍率の吸水性樹脂換算値が高くなり、複合物(2)中の吸水性樹脂有効利用率が向上した。また、生理食塩水におけるスポット吸収速度、ドライ感、再吸収性能も向上した。
[実施例3]
使用する吸水性樹脂が外表面未架橋のものである吸水性樹脂(2)を使用している以外、複合物(1)と同様の製造手順で作製した。これを複合物(3)とした。複合物(3)の光学顕微鏡写真を図3に示した。複合物(3)を観察した結果、吸水性樹脂同士の凝集はなく、吸水性樹脂の周りを繊維がむらなく取り囲んで直接接着していた。以下に複合物(3)の試験結果を示した。
吸水倍率の樹脂換算値は61.9(g/g)であり、保水倍率の樹脂換算値は49.8(g/g)であった。短時間リウェット率は0.2%、再吸収後の短時間リウェット率は0.2%であった。また、長時間リウェット率は0.1%、再吸収後の長時間リウェット率は0.2%であった。高粘度溶液の短時間リウェット率は0.4%、再吸収後は4.4%であった。
以上の結果を複合化前の吸水性樹脂(2)と比較した場合、複合物(3)中の吸水性樹脂有効利用率が向上した。また、生理食塩水におけるスポット吸収速度、ドライ感、再吸収性能も向上し、高粘度溶液でスポット吸収速度が速くなった。特に、高粘度溶液における再吸収性能が吸水性樹脂(2)と比較して大幅に向上した。
使用する吸水性樹脂が外表面未架橋のものである吸水性樹脂(2)を使用している以外、複合物(1)と同様の製造手順で作製した。これを複合物(3)とした。複合物(3)の光学顕微鏡写真を図3に示した。複合物(3)を観察した結果、吸水性樹脂同士の凝集はなく、吸水性樹脂の周りを繊維がむらなく取り囲んで直接接着していた。以下に複合物(3)の試験結果を示した。
吸水倍率の樹脂換算値は61.9(g/g)であり、保水倍率の樹脂換算値は49.8(g/g)であった。短時間リウェット率は0.2%、再吸収後の短時間リウェット率は0.2%であった。また、長時間リウェット率は0.1%、再吸収後の長時間リウェット率は0.2%であった。高粘度溶液の短時間リウェット率は0.4%、再吸収後は4.4%であった。
以上の結果を複合化前の吸水性樹脂(2)と比較した場合、複合物(3)中の吸水性樹脂有効利用率が向上した。また、生理食塩水におけるスポット吸収速度、ドライ感、再吸収性能も向上し、高粘度溶液でスポット吸収速度が速くなった。特に、高粘度溶液における再吸収性能が吸水性樹脂(2)と比較して大幅に向上した。
[実施例4]
使用する吸水性樹脂が外表面未架橋のものである吸水性樹脂(2)を使用している以外、複合物(2)と同様の製造手順で作製した。これを複合物(4)とした。吸水性樹脂同士の凝集はなく、吸水性樹脂の周りを繊維が完全に取り囲んで直接接着していた。複合物(4)の光学顕微鏡写真を図4に示した。以下に複合物(4)の試験結果を示した。
吸水倍率の樹脂換算値は57.4(g/g)、保水倍率の樹脂換算値は40.2(g/g)であった。短時間リウェット率は0.1%、再吸収後の短時間リウェット率は0.2%であった。長時間リウェット率は0.0%で、再吸収後の長時間リウェット率は0.4%であった。また、高粘度溶液による短時間リウェット率は2.2%、再吸収後の短時間リウェット率は11.4%であった。
以上の結果を複合化前の吸水性樹脂(2)と比べると、生理食塩水におけるスポット吸収速度、ドライ感、再吸収性能は向上した。また、吸水試験後も吸水性樹脂部がつぶれずに形状を保っていたことから、外表面未架橋である複合物(3)と比較してゲル強度が高くなったほか、指で触ってもべたつきや冷たさを感じず、さらりとした触感であった。
使用する吸水性樹脂が外表面未架橋のものである吸水性樹脂(2)を使用している以外、複合物(2)と同様の製造手順で作製した。これを複合物(4)とした。吸水性樹脂同士の凝集はなく、吸水性樹脂の周りを繊維が完全に取り囲んで直接接着していた。複合物(4)の光学顕微鏡写真を図4に示した。以下に複合物(4)の試験結果を示した。
吸水倍率の樹脂換算値は57.4(g/g)、保水倍率の樹脂換算値は40.2(g/g)であった。短時間リウェット率は0.1%、再吸収後の短時間リウェット率は0.2%であった。長時間リウェット率は0.0%で、再吸収後の長時間リウェット率は0.4%であった。また、高粘度溶液による短時間リウェット率は2.2%、再吸収後の短時間リウェット率は11.4%であった。
以上の結果を複合化前の吸水性樹脂(2)と比べると、生理食塩水におけるスポット吸収速度、ドライ感、再吸収性能は向上した。また、吸水試験後も吸水性樹脂部がつぶれずに形状を保っていたことから、外表面未架橋である複合物(3)と比較してゲル強度が高くなったほか、指で触ってもべたつきや冷たさを感じず、さらりとした触感であった。
[実施例5]
親水性繊維粉(KCフロックW-50GK)と疎水性繊維粉(コアシェル構造(PET/PE))の重量比率を9:1の割合で混合し、繊維粉として用いた。さらに、外表面未架橋の吸水性樹脂である吸水性樹脂(2)の重量100重量部に対し、外表面架橋剤として用いるエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.4重量部用いた以外は、複合物(2)と同様の操作で製造した。これを複合物(5)とした。その結果、複合物(4)と同等の性能となった。
親水性繊維粉(KCフロックW-50GK)と疎水性繊維粉(コアシェル構造(PET/PE))の重量比率を9:1の割合で混合し、繊維粉として用いた。さらに、外表面未架橋の吸水性樹脂である吸水性樹脂(2)の重量100重量部に対し、外表面架橋剤として用いるエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.4重量部用いた以外は、複合物(2)と同様の操作で製造した。これを複合物(5)とした。その結果、複合物(4)と同等の性能となった。
[比較例3]
外表面未架橋の吸水性樹脂である吸水性樹脂(2)の重量100重量部に対し、外表面架橋剤として用いるエチレングリコールジグリシジルエーテルを1.5重量部用いた以外は、複合物(2)と同様の操作で製造した。これを複合物(6)とした。その試験結果を以下に示した。
吸水倍率の樹脂換算値は42.7(g/g)であり、保水倍率の樹脂換算値は24.1(g/g)であった。短時間リウェット率は0.4%、再吸収後の短時間リウェット率は10.1%であった。長時間リウェット率は0.1%で、再吸収後の長時間リウェット率は0.1%であった。また、高粘度溶液を用いて行った結果、短時間リウェット率は2.3%であり、再吸収後の短時間リウェット率は28.0%であった。
以上の結果を、同じ外表面未架橋である吸水性樹脂(2)を使用した複合物(3)および複合物(4)と比較して、再吸収後のリウェット率が大であった。また、吸水倍率および保水倍率の吸水性樹脂有効利用率は共に低かった。
以上の事から、添加する架橋剤の量が多いと、複合物中の吸水性樹脂部の吸水倍率が下がる。そのため、架橋剤の量は吸水性樹脂100重量部に対して、0.0~0.5重量部がより好ましいと言える。
外表面未架橋の吸水性樹脂である吸水性樹脂(2)の重量100重量部に対し、外表面架橋剤として用いるエチレングリコールジグリシジルエーテルを1.5重量部用いた以外は、複合物(2)と同様の操作で製造した。これを複合物(6)とした。その試験結果を以下に示した。
吸水倍率の樹脂換算値は42.7(g/g)であり、保水倍率の樹脂換算値は24.1(g/g)であった。短時間リウェット率は0.4%、再吸収後の短時間リウェット率は10.1%であった。長時間リウェット率は0.1%で、再吸収後の長時間リウェット率は0.1%であった。また、高粘度溶液を用いて行った結果、短時間リウェット率は2.3%であり、再吸収後の短時間リウェット率は28.0%であった。
以上の結果を、同じ外表面未架橋である吸水性樹脂(2)を使用した複合物(3)および複合物(4)と比較して、再吸収後のリウェット率が大であった。また、吸水倍率および保水倍率の吸水性樹脂有効利用率は共に低かった。
以上の事から、添加する架橋剤の量が多いと、複合物中の吸水性樹脂部の吸水倍率が下がる。そのため、架橋剤の量は吸水性樹脂100重量部に対して、0.0~0.5重量部がより好ましいと言える。
[比較例4]
吸水性樹脂(2)を使用し、親水性繊維として大粒径親水性繊維を用いた以外は、複合物(1)と同様の方法で複合化を行った。これを複合物(7)とした。複合物(7)の光学顕微鏡写真を図5に示した。
複合物(7)中、大粒径親水性繊維と水を混合する段階で、大粒径親水性繊維同士が絡み合い、繊維のダマが生じた。繊維のダマは水をはじく性質があり、この状態で吸水性樹脂を混合すると、吸水性樹脂同士が水を吸って固まり、加熱乾燥するとさらに硬い塊状の大粒径の複合物となった。よって、大粒径親水性繊維を用いた複合物では、工業的製造時に吸水性樹脂と大粒径親水性繊維の機械的な均一混合が不可能であり、均一に混合できずに、繊維のダマと、大粒径の複合物を生成してしまう。
吸水性樹脂(2)を使用し、親水性繊維として大粒径親水性繊維を用いた以外は、複合物(1)と同様の方法で複合化を行った。これを複合物(7)とした。複合物(7)の光学顕微鏡写真を図5に示した。
複合物(7)中、大粒径親水性繊維と水を混合する段階で、大粒径親水性繊維同士が絡み合い、繊維のダマが生じた。繊維のダマは水をはじく性質があり、この状態で吸水性樹脂を混合すると、吸水性樹脂同士が水を吸って固まり、加熱乾燥するとさらに硬い塊状の大粒径の複合物となった。よって、大粒径親水性繊維を用いた複合物では、工業的製造時に吸水性樹脂と大粒径親水性繊維の機械的な均一混合が不可能であり、均一に混合できずに、繊維のダマと、大粒径の複合物を生成してしまう。
[比較例5]小粒径樹脂複合物
目開き45μmの篩を90%通過する、小粒径の吸水性樹脂樹(サンダイヤポリマー株式会社,サンフレッシュST-500MPSAの再粉砕品)使用した以外は、複合物(1)と同様の方法で複合化を行った。これを複合物(8)とした。この場合、混合段階で吸水性樹脂どうしが固まり、ダマになった。さらに加熱乾燥後には硬いダマ状の二次凝集物となった。
目開き45μmの篩を90%通過する、小粒径の吸水性樹脂樹(サンダイヤポリマー株式会社,サンフレッシュST-500MPSAの再粉砕品)使用した以外は、複合物(1)と同様の方法で複合化を行った。これを複合物(8)とした。この場合、混合段階で吸水性樹脂どうしが固まり、ダマになった。さらに加熱乾燥後には硬いダマ状の二次凝集物となった。
[実施例6]
上記吸水性樹脂(2)と複合物(3)を各0.5g用いて疑似経血として緬羊無菌脱繊維血を2.0ml滴下して吸収実験を行った。
結果、吸収性樹脂(2)には、疑似経血は浸透も吸収もされなかった。一方、本発明による複合物(3)には、疑似経血が全量吸収された。
上記吸水性樹脂(2)と複合物(3)を各0.5g用いて疑似経血として緬羊無菌脱繊維血を2.0ml滴下して吸収実験を行った。
結果、吸収性樹脂(2)には、疑似経血は浸透も吸収もされなかった。一方、本発明による複合物(3)には、疑似経血が全量吸収された。
実施例1~5及び比較例1~5で得られた複合物および吸水性樹脂の性能について、生理食塩水による吸水倍率および保水倍率の吸水性樹脂換算値、リウェット率と再吸収性能、高粘度溶液によるリウェット率および再吸収性能の試験結果を図6に示す。以下、図6の説明を示す。
※1 吸水性樹脂100wt%に対する架橋剤重量(wt%)
※2 吸水倍率または保水倍率の吸水性樹脂換算値(g/g)={ 複合物の吸水倍率または保水倍率(g/g)-( 親水性繊維粉の吸水倍率(g/g)× 複合物中の繊維量(g)/複合物の全量(g) )}×複合物の全量(g)/複合物の吸水性樹脂部量(g)
※3 リウェット率(wt%)= リウェット量(g) / 滴下した溶液量(g) × 100(%)
※1 吸水性樹脂100wt%に対する架橋剤重量(wt%)
※2 吸水倍率または保水倍率の吸水性樹脂換算値(g/g)={ 複合物の吸水倍率または保水倍率(g/g)-( 親水性繊維粉の吸水倍率(g/g)× 複合物中の繊維量(g)/複合物の全量(g) )}×複合物の全量(g)/複合物の吸水性樹脂部量(g)
※3 リウェット率(wt%)= リウェット量(g) / 滴下した溶液量(g) × 100(%)
本発明の複合物は、紙おむつ、尿パッド及び生理用ナプキン等の使い捨て用の衛材製品の吸収部材、動物用シーツ、ペットシーツ等の愛玩動物用の排泄物処理材の吸収部材、冷凍水産物の運搬の際に、水産物が氷解した水に濡れるのを防止する吸収性シート、又は鉢植えを被う水蒸発防止用の吸収性シート、鉢植えの下に敷く吸収性シート、水槽の回りに配置する吸収性シート、結露防止材用シート等に使用する吸収性シート、傘立ての受部等の滴の垂れる箇所に配置して、傘等から落ちる水滴を吸収する水滴吸収マット、乗り物のヘッドカバー用のマットとして、又はヘルメット又は帽子内の蒸れ防止用マット、例えば温水洗浄便座(TOTO株式会社製等)での排便後のトイレットペーパーシート、雨天の場合に、屋根の無いイベント会場の雨天の日の雨による床の濡れ防止用吸収性マット、雨の日の自動車、列車若しくは飛行機等の乗り物の床の濡れ防止用吸収性マット、雨の日の病院、サービスエリア、デパート、ホテル、店舗、オフィスビル若しくはレジャー施設の床の濡れ防止用吸収性マット、冷蔵庫内の濡れ防止用吸収性マット、調理場の床の濡れ防止用吸収性マット、並びに炊事場又は調理場の生ゴミのドリップ吸収用の吸水シート、給水設備、給湯設備又は便器若しくは洗面具等の衛生器具を備える床の濡れ防止用吸収性マット、冷蔵庫の周囲の床の濡れの防止用吸収性マット、レジャーマット若しくはマッサージ療法用シーツ、並びにベッド用補助マット、野菜、青果物若しくは花卉類の保水又は調湿機能を有する包装材料、鮮魚、生肉、総菜食品又は弁当等の保水又は調湿、品質保持機能を有する包装材料。品質評価には例えば、生肉場合にはキメとシマリなどがある。並びに種子、菌株、幼苗若しくは球根の包装材料、機械類や窓の掃除用、建築物の天井部、壁部、床部若しくは窓部等の結露及び濡れの拭き取り用のウエス又は雑巾として、園芸植物の栽培時における水蒸発防止用等の吸収部材に好ましく使用することができる。
特に、吸水速度とドライ感に優れることから、紙おむつ、尿パッド、及び生理用ナプキン等の使い捨て用の衛材製品の吸収部材に好適に使用できる。医療分野では、交通事故などの救急搬送時や戦場での負傷時の出血液吸収部材として使用できる。また、遺体安置時の結露による水を吸収する棺桶シートとして使用することができる。
特に、吸水速度とドライ感に優れることから、紙おむつ、尿パッド、及び生理用ナプキン等の使い捨て用の衛材製品の吸収部材に好適に使用できる。医療分野では、交通事故などの救急搬送時や戦場での負傷時の出血液吸収部材として使用できる。また、遺体安置時の結露による水を吸収する棺桶シートとして使用することができる。
Claims (16)
- 吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と親水性繊維粉を含有する複合物であって、該吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と親水性繊維粉が直接接着し、該吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂平均粒子径が75~710μm、該親水性繊維粉の平均粒子径が10~100μmであり、かつ、該吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂100重量部に対し外表面架橋剤を0~1.0重量部含むことを特徴とする複合物。
- 吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と、親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を含有する複合物であって、該吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と、該親水性繊維粉及び該疎水性繊維粉が直接接着し、該吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂平均粒子径が75~710μm、該親水性繊維粉の平均粒子径が10~100μmであり、かつ、該吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂100量部に対し外表面架橋剤を0~1.0重量部含むことを特徴とする複合物。
- 前記吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂の外表面が架橋されていないことを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の複合物。
- 前記親水性繊維粉がセルロース系繊維粉であり、前記疎水性繊維粉がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンまたはポリプロピレンであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の複合物。
- 前記吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と前記親水性繊維粉、または該親水性繊維粉及び該疎水性繊維粉が直接接触し、接触後の外表面架橋により直接接着することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の複合物。
- 吸水性樹脂と前記親水性繊維粉、または前記親水性繊維粉及び前記疎水性繊維粉と水の配合物の乾燥前重量比が、10:1:0.1~10:5:5であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の複合物。
- 前記吸水性ポリアクリル酸ナトリウムと繊維粉とが接着する際に、前記親水性繊維粉、または前記親水性繊維粉及び疎水性繊維粉が、前記吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子100重量部に対し、0~1.0重量部の外表面架橋剤水溶液もしくは水を1~50重量部含有していることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の複合物。
- 前記吸水性ポリアクリル酸ナトリウム吸水性樹脂が酸基と反応しうる官能基を有しており、前記親水性繊維粉、または前記親水性繊維粉及び前記疎水性繊維粉が吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と反応しうる酸基及び官能基を有している、又は、前記吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂がナトリウム基及び酸基を有しており、前記親水性繊維粉、または前記親水性繊維粉及び前記疎水性繊維粉が前記吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂のナトリウム基及び酸基と反応しうる酸基及び官能基を2つ以上有する化合物を含有しており、該ナトリウム基がナトリウム基と反応しうる官能基により架橋していることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の複合物。
- 尿、経血、血液等の体液、または水及び含水液体を吸収することを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の複合物。
- 吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子と、水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉、もしくは親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を混合する工程を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の複合物の製造方法。
- 吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子と、水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉、もしくは水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を直接接着して得られる混合物を脱水乾燥させる工程を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の複合物の製造方法。
- 外表面が架橋されていない吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子と、水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉、もしくは親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を混合する工程を含む、請求項3~9のいずれか1項に記載の複合物の製造方法。
- 外表面が架橋されていない吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子と、水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉、もしくは水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を直接接着後、該混合物を脱水乾燥させる工程を含む、請求項3~9および請求項12のいずれか1項に記載の複合物の製造方法。
- 吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子と、水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉、または親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を混合し、該混合物に水または外表面架橋剤水溶液を加える工程を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の複合物の製造方法。
- 外表面が架橋されていない吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粒子と、水または外表面架橋剤水溶液を含有する親水性繊維粉、または親水性繊維粉及び疎水性繊維粉を混合し、該混合物に水または外表面架橋剤水溶液を加える工程を含む、請求項3~9、請求項12および請求項13のいずれか1項に記載の複合物の製造方法。
- 脱水乾燥させる工程以前の吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と親水性繊維粉、または親水性繊維粉及び疎水性繊維粉と水または外表面架橋剤水溶液の混合物中の、吸水性樹脂と親水性繊維粉、または親水性繊維粉及び疎水性繊維粉と水または外表面架橋剤水溶液の重量比が10:1:0.1~10:5:5であることを特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載の複合物の製造方法。
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