WO2015045180A1

WO2015045180A1 - 医療用吸引具

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Publication number: WO2015045180A1
Application number: PCT/JP2013/076617
Authority: WO
Inventors: 晋日下部; 一美後藤; 重義長尾; 之生広田
Original assignee: テルモ・クリニカルサプライ株式会社
Priority date: 2013-09-30
Filing date: 2013-09-30
Publication date: 2015-04-02

Abstract

医療用吸引具（１）は、筒状本体（２１）と、接続部（２２）と、フランジ（２４）とを備える外筒（２）と、外筒内に収納されたガスケット（４）と、ガスケットに取り付けられたガスケット操作部材（３）とを備える。医療用吸引具（１）は、外筒（２）のフランジ（２４）に装着されたガスケット操作部材（３）の先端側への移動を規制する移動規制部材（５）を備え、ガスケット操作部材（３）は所定長軸方向に延びかつ外筒（２）内に進入可能な本体部（３０）と、本体部の先端より前方に延びるガスケット装着部（３３）と、本体部（３０）の後端に設けられ、外筒内に進入不能な把持部（３２）を備える。移動規制部材（５）は、フランジ（２４）への装着部と、外筒（２）の後端開口部の一部を被覆する突出部（５２）を有し、ガスケット操作部材（３）の本体部（３０）は、ガスケット操作部材（３）の回転操作時に移動規制部材（５）の突出部（５２）に当接する回転時当接部と、本体部（３０）の先端部に設けられ、移動規制部材の突出部が進入可能な突出部進入可能部を備える。

Description

医療用吸引具

　本発明は、ガスケットを先端に装着したガスケット操作部材を所定の吸引状態にて保持することが可能な医療用吸引具に関する。

　従来より、血栓の吸引等に医療用吸引具が用いられている。例えば、血栓吸引カテーテルは、血管内の血栓等の異物をカテーテルの管腔（ルーメン）を通じて吸引し、血管内から除去する目的で使用される。血栓吸引カテーテルは、除去すべき血栓が存在する位置まで血管内を移動させられた後、カテーテルまたはカテーテルに接続された回路内を急激に陰圧状態とすることで、カテーテル内に負圧を発生させ、血管内の血栓等の異物を除去し、採取する。
　この場合、通常カテーテルもしくはカテーテルに接続された二方活栓を閉塞した状態で二方活栓に、例えば、シリンジを接続し、プランジャを外筒の後端部近くまで引き、内部を十分に陰圧状態とした状態を保持する。そして、二方活栓を開放させることにより、採取物をシリンジに吸引することが行われている。そして、シリンジに採取された採取物をフィルター等に取り出して確認することにより、血栓除去成果の確認が行われる。また、必要により、採取物を用いた検査が行われる。
　従来より、上記のような吸引採取には、米国特許５６８５８６４号公報（特許文献１）のロック機構付吸引具が用いられている。特許文献１のロック機構付吸引具は、外筒とプランジャを有する。外筒には、後端部に設けられたフランジと、フランジより若干先端側に設けられたピンを有する。プランジャは、ピンと当接可能な軸方向に直交する小さな扇状リブと、扇状リブ形成部へのピンの進入および離脱を行うための２つの切欠部を備えている。そして、プランジャを引き、プランジャを回転させることにより、ピンを扇状リブに当接させることにより、プランジャはその位置を保持するものとなっている。

米国特許５６８５８６４号公報

　特許文献１のものでは、プランジャの先端が、外筒の先端側に位置し、ピンが切欠部に位置する状態では、プランジャを回転可能である。このため、プランジャを回転させ、ピンが扇状凹部と当接不能な位置とすることにより、後端側に引くことができる。逆に、ピンが扇状凹部と当接可能な位置では、プランジャを後端側に引くとピンに当接し、それ以上後端側に引くことができず、プランジャをロック状状態とすることができないものであった。また、扇状リブと係合するのはピンのみであるため、振動・衝撃で抜け、プランジャのロック状態、言い換えれれば、外筒内の陰圧状態を維持できない場合があった。
　また、上記特許文献１のものでは、ピンは、矩形状のベース部より突出している。そして、ピンは、外筒の基端部の側面に形成された孔に挿入された状態となっている。このため、ピンが外筒の後端開口より先端側に位置し、かつ、ベース部が邪魔となりピン位置の確認が難しく、さらに、ピンが細いため、扇状リブとの係合作業は簡単に行えるものではなかった。また、ピンと扇状リブの係合状態の確認も容易ではなかった。さらに、外筒に孔を開けているため、急激な陰圧が付与された場合、空気を引き込み、徐々に内圧が上昇することがあった。

　本発明の目的は、外筒と、外筒内に収納されたガスケットと、ガスケットの後端に取り付けられたガスケット操作部材と、ガスケット操作部材の先端側への移動を規制する移動規制部材を備える医療用吸引具であって、ガスケット操作部材の回転を規制することにより、ガスケット操作部材を確実に後方に移動可能なものとし、かつ、後方に移動したガスケット操作部材を移動規制部材との係合操作を視認可能かつ容易に行うことができる医療用吸引具を提供するものである。

　上記目的を達成する医療用吸引具は、以下のものである。
　筒状本体と、先端に設けられた医療用具への接続部と、前記筒状本体の後端部に設けられたフランジとを備える外筒と、前記外筒内に収納され、かつ気密状態にて摺動可能なガスケットと、前記ガスケットの後端に取り付けられたガスケット操作部材とを備える医療用吸引具であって、前記医療用吸引具は、前記外筒の前記フランジに装着されたガスケット操作部材の先端側への移動を規制する移動規制部材を備え、前記ガスケット操作部材は、所定長軸方向に延びかつ前記外筒内に進入可能な本体部と、前記本体部の先端より前方に延びるガスケット装着部と、前記本体部の後端に設けられ、前記外筒内に進入不能な把持部を備え、前記移動規制部材は、前記フランジへの装着部と、前記外筒の後端開口部の一部を被覆する突出部を有し、前記ガスケット操作部材の前記本体部は、前記ガスケット操作部材の回転操作時に前記移動規制部材の前記突出部に当接する回転時当接部と、前記本体部の先端部に設けられ、前記移動規制部材の前記突出部が進入可能な突出部進入可能部を備え、前記医療用吸引具は、前記ガスケット操作部材の前記突出部進入可能部が、前記移動規制部材の前記突出部に位置する状態において、前記ガスケット操作部材の回転が可能であり、かつ、回転により、前記突出部進入可能部に前記突出部の一部を進入させることにより、前記突出部と前記突出部進入可能部が当接（前記突出部の後端面の一部と前記突出部進入可能部の先端面が当接する）し、ガスケット操作部材の先端方向への移動を規制するものである医療用吸引具。

図１は、本発明の一実施例の医療用吸引具の正面図である。図２は、図１に示した医療用吸引具の右側面図である。図３は、図１のＡ－Ａ線断面図である。図４は、図１に示した医療用吸引具の拡大底面図である。図５は、図１のＢ－Ｂ線拡大断面図である。図６は、図１に示した医療用吸引具の作用を説明するための説明図である。図７は、図１に示した医療用吸引具の作用を説明するための説明図である。図８は、図１に示した医療用吸引具に用いられている移動規制部材の拡大正面図である。図９は、図８に示した移動規制部材の背面図である。図１０は、図８に示した移動規制部材の左側面図である。図１１は、図１に示した医療用吸引具に用いられているガスケットおよびガスケット操作部材の正面図である。図１１は、本発明の他の実施例の医療用吸引具に用いられるガスケットおよびガスケット操作部材の正面図である。図１３は、本発明の他の実施例の医療用吸引具に用いられるガスケットおよびガスケット操作部材の正面図である。図１４は、本発明の他の実施例の医療用吸引具に用いられるガスケット操作部材を説明するための説明図である。図１５は、本発明の他の実施例の医療用吸引具に用いられる移動規制部材の拡大正面図である。図１６は、図１５に示した移動規制部材の平面図である。図１７は、図１５に示した移動規制部材の左側面図である。図１８は、本発明の他の実施例の医療用吸引具に用いられる移動規制部材の拡大正面図である。図１９は、図１８に示した移動規制部材の背面図である。図２０は、図１８に示した移動規制部材の底面図である。図２１は、図１８に示した移動規制部材を説明するための説明図である。図２２は、図１８に示した移動規制部材を説明するための説明図である。図２３は、図１８に示した移動規制部材を説明するための説明図である。図２４は、本発明の他の実施例の医療用吸引具に用いられる移動規制部材の拡大正面図である。図２５は、図２４に示した移動規制部材の背面図である。図２６は、図２４に示した移動規制部材の平面図である。図２７は、図２４に示した移動規制部材の左側面図である。図２８は、図２４に示した移動規制部材を装着した医療用吸引具の外観図である。図２９は、図２８に示した移動規制部材を説明するための説明図である。図３０は、図２８に示した移動規制部材を説明するための説明図である。

　本発明の医療用吸引具を図示する実施例を用いて説明する。
　本発明の医療用吸引具１は、筒状本体２１と、先端に設けられた医療用具（図示せず）への接続部（ノズル）２２と、筒状本体２１の後端部に設けられたフランジ２４とを備える外筒２と、外筒２内に収納され、かつ気密状態にて摺動可能なガスケット４と、ガスケット４の後端に取り付けられたガスケット操作部材３とを備える。医療用吸引具１は、外筒２のフランジ２４に装着されたガスケット操作部材３の先端側への移動を規制する移動規制部材５を備え、ガスケット操作部材３は、所定長軸方向に延びかつ外筒２内に進入可能な本体部３０と、本体部３０の先端より前方に延びるガスケット装着部３３と、本体部３０の後端に設けられ、外筒２内に進入不能な把持部３２を備える。

　移動規制部材５は、フランジ２４への装着部と、外筒２の後端開口部の一部を被覆する突出部５２を有し、ガスケット操作部材３の本体部３０は、ガスケット操作部材３の回転操作時に移動規制部材５の突出部５２に当接する回転時当接部と、本体部３０の先端部に設けられ、移動規制部材５の突出部５２が進入可能な突出部進入可能部を備える。医療用吸引具１は、ガスケット操作部材３の突出部進入可能部が、移動規制部材５の突出部に位置する状態において、ガスケット操作部材３の回転が可能であり、かつ、回転により、突出部進入可能部に突出部の一部を進入させることにより、突出部５２と突出部進入可能部が当接（具体的には、突出部５２の後端面の一部と突出部進入可能部の先端面が当接する）し、ガスケット操作部材３の先端方向への移動を規制するものである。

　本発明の医療用吸引具１は、外筒２と、外筒２内に収納されたガスケット４と、ガスケット操作部材３と、外筒２のフランジ２４に装着されたガスケット移動規制部材５とからなる。
　外筒２は、図１ないし図３に示すように、筒状本体２１と、筒状本体２１の先端部に設けられた医療用具への接続部（ノズル部）２２と、筒状本体２１の後端部に設けられたフランジ２４を備える。

　外筒２は、透明もしくは半透明材料により、好ましくは、酸素透過性、水蒸気透過性の少ない材料により形成された筒状体である。
　筒状本体２１は、後述するガスケット４を液密かつ摺動に収納するほぼ筒状の部分であり、接続部２２は、筒状本体２１より小径の筒状部となっている。また、筒状本体２１の先端部（肩部）は、接続部２２に向かってテーパー状に縮径している。接続部２２は、図３に示すように、先端に向かって縮径するチップ部となっている。接続部２２は、外筒２の先端に設けられており、先端に開口を備えている。

　また、この実施例の外筒２は、図３に示すように接続部２２を被包するカラー部２５を備える。カラー部２５は、接続部２２を取り囲むように接続部２２と同心的に円筒状に形成されている。また、カラー部２５は、先端が開口しており、カラー部２５の内径および外径は基端から先端までほぼ同一径となっている。また、カラー部２５の先端開口から接続部２２の先端が突出している。カラー部２５の内周面には、接続される医療用具と係合もしくは螺合するための螺旋状突出部２６が設けられている。
　フランジ２４は、図１ないし図７に示すように、外筒２の後端全周より垂直方向に突出するように形成された略楕円ドーナツ状の円盤部である。フランジ２４は、向かい合う幅広となった２つの把持部２４ａと、これら２つの把持部２４ａと直交するように位置し、向かい合う幅の狭い２つの側縁部２４ｂを備えている。さらに、把持部２４ａの先端面側には、複数のリブが形成されている。

　外筒２の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ－（４－メチルペンテン－１）、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルなどのような各種樹脂が挙げられる。
　ガスケット４は、図１ないし図３に示すようにほぼ同一外径にて延びる本体部と、この本体部に設けられた複数の環状リブ（この実施例では２つ）を備え、これらリブが、外筒２の内面に気密に接触する。そして、ガスケット４には、その後端部より内部に延びる凹部と凹部の開口部内面に設けられた環状リブを備えている。この凹部と環状リブにより、操作部材装着部が形成されている。なお、操作部材装着部は、上記の環状リブの代わりに、凹部の内面に雌ねじ部を有するものであってもよい。

　ガスケット４の形成材料としては、弾性を有するゴム（例えば、ブチルゴム、ラテックスゴム、シリコーンゴムなど）、合成樹脂（例えば、ＳＢＳエラストマー、ＳＥＢＳエラストマーなどのスチレン系エラストマー、エチレン－αオレフィン共重合体等のポリオレフィン系エラストマーなど）等を使用することが好ましい。
　そして、ガスケット４の後端には、ガスケット操作部材３が装着されている。言い換えれば、ガスケット操作部材３は、先端にガスケット４を備えている。
　ガスケット操作部材３は、図３、図１１に示すように、所定長軸方向に延びかつ外筒２内に進入可能な本体部３０と、本体部３０の先端より前方に延びるガスケット装着部３３と、本体部３０の後端に設けられ、外筒２内に進入不能な把持部３２を備える。

　この実施例のガスケット操作部材３のガスケット装着部３３は、本体部３０の先端に設けられた円板部３４と、この円板部３４より突出し、ガスケット４の操作部材装着部の凹部内に進入可能な柱状突出部と、その先端部に設けられ、操作部材装着部の環状リブと係合する環状突出部により構成されている。なお、ガスケット装着部は、上記の環状突出部の代わりに、柱状突出部の外面に形成した雄ねじ部であってもよい。
　この実施例のガスケット操作部材３のガスケットの把持部３２は、向かい合うように設けられた幅広の２つの延出部３２ａ、３２ｂを備えている。
　この実施例のガスケット操作部材３の本体部３０は、ガスケット操作部材３の回転操作時に後述する移動規制部材５の突出部５２に当接する回転時当接部と、本体部３０の先端部に設けられ、移動規制部材５の突出部５２が進入可能な突出部進入可能部３５を備える。ガスケット操作部材３の本体部３０は、円板部３４に先端が連結し、把持部３２に後端が連結した状態となっている。

　この実施例のガスケット操作部材３の本体部３０は、図１ないし図７、図１１（特に、図４および図５）に示すように、４枚の平板部が同じ側辺部にて接合された断面略十字状のものとなっており、かつ、向かい合う２つの平板部は、幅が広い幅広平板部３１ａとなっており、向かい合う他の２つの平板部は、幅広平板部３１ａより幅が小さい幅狭平板部３１ｂとなっている。そして、向かい合う幅狭平板部３１ｂは、移動規制部材５の突出部５２の内側を通過可能であり、向かい合う幅広平板部は３１ａは、ガスケット操作部材３の回転操作時に移動規制部材５の突出部５２に当接する回転時当接部を構成している。そして、向かい合う幅広平板部３１ａの先端部に向かい合うように設けられた２つの切欠部３５が突出部進入可能部を構成している。なお、上記のように切欠部３５を有する幅広平板部３１ａを向かい合うように２つ設けることが好ましいが、一つであってもよい。この場合、他方は、幅狭平板部とすることが好ましい。

　この実施例の医療用吸引具１は、図４および図５に示す状態にて提供され、この状態において、ガスケット操作部材３を回転させると、４５度程度の回転により、幅広平板部３１ａが、移動規制部材５の突出部５２に当接するため、それ以上の回転が規制されている。また、この実施例の医療用吸引具１は、図４および図５に示す状態にて、ガスケット操作部材３を後端側に引くことが可能であり、引く操作時において、幅狭平板部３１ｂは、移動規制部材５の突出部５２に当接することがなく、幅広平板部３１ａも移動規制部材５に当接しない。

　そして、この実施例のガスケット操作部材３の本体部３０を構成する幅広平板部３１ａは、ほぼ同じ幅にて、本体部の基端から先端まで延びている。このため、切欠部３５を除くすべての部分が、回転時当接部を備えるものとなっている。このようにすることにより、本体部３０の先端部の強度低下がなく好ましい。しかし、ガスケット操作部材３の回転時当接部は、本体部３０の基端より少なくとも突出部進入可能部３５まで延びるものであればよい。また、ガスケット操作部材３の本体部３０を構成する幅狭平板部３１ｂもほぼ同じ幅にて、本体部の基端から先端まで延びている。

　さらに、この実施例のガスケット操作部材３は、図３および図１１に示すように、切欠部３５付近かつ、切欠部３５より基端側となる部分に設けられた指標用突起３７を備えている。この指標用突起を視認もしくは指標用突起が外筒の内部に設けられたガスケットの抜け防止突起部（図示せず）を乗り越えた際に生じるガスケット操作部材の振動を認識することもしくは指で触れることにより、切欠部の到達が近いことを操作者に伝えることができる。この実施例では、指標用突起３７は、幅狭平板部３１ｂに設けられており、側部より突出するものとなっている。なお、指標用突起３７は、幅広平板部３１ａに設けてもよく、さらには、幅狭平板部３１ｂと幅広平板部３１ａの両者に設けてもよい。

さらに、図１２に示すガスケット操作部材３ａのように、突出部進入可能部は、本体部３０ａの軸方向に複数（例えば、２組）設けてもよい。この実施例のガスケット操作部材３ａでは、先端側に位置する切欠部３５が、第１の突出部進入可能部を形成し、切欠部３５の付近でありかつ基端側に位置する切欠部３５ａが、第２の突出部進入可能部を形成している。このように、本体部３０ａに軸方向に複数の突出部進入可能部（切欠部）を設けることにより、医療用吸引具の吸引度を選択可能となる。さらに、この実施例のガスケット操作部材３ａでは、第２の突出部進入可能部を形成する切欠部３５ａの付近かつ基端側となる位置に、第２の指標用突起３７ａを備えている。

　そして、図１３に示すガスケット操作部材３ｂのように、ガスケット操作部材３ｂの本体部３０ｂは、突出部進入可能部３５より先端側が突出部進入可能部の外径に延びる柱状部３８となっているものであってもよい。この実施例では、本体部３０ｂは、幅広平板部３１ａの先端より先端側の全体が突出部進入可能部となっている。
　さらに、図１４に示す医療用吸引具１ａのガスケット操作部材３ｃのように、本体部３０ｃは、シャフト部３１ｃと、シャフト部３１ｃの側面より突出し、本体部３０ｃの基端より先端部付近まで延びる回転規制用突出部３１ｄを有し、突出部進入可能部３５は、回転規制用突出部３１ｄの先端部に形成された切欠部３５により形成されたもの、あるいは、回転規制用突出部３１ｄの先端部が、本体部（シャフト部）の先端より若干基端側にて終端するものとし、回転規制用突出部３１ｄの先端側端部により形成されているものであってもよい。
　上述したように、突出部進入可能部３５は、切欠部のみならず、小径部、凹部などにより形成することができる。

　次に、医療用吸引具１に用いられている移動規制部材５について説明する。
　移動規制部材５は、フランジ２４への装着部と、外筒２の後端開口部の一部を被覆する突出部５２を有し、ガスケット操作部材３の本体部３０は、ガスケット操作部材３の回転操作時に移動規制部材５の突出部５２に当接する回転時当接部と、本体部３０の先端部に設けられ、移動規制部材５の突出部５２が進入可能な突出部進入可能部３５を備える。
　医療用吸引具１は、ガスケット操作部材３の突出部進入可能部３５が、移動規制部材５の突出部に位置する状態において、ガスケット操作部材３の回転が可能であり、かつ、回転により、突出部進入可能部３５に突出部の一部を進入させることにより、突出部５２と突出部進入可能部３５が当接（具体的には、突出部５２の後端面の一部と突出部進入可能部３５の先端面が当接する）し、ガスケット操作部材３の先端方向への移動を規制するものである。

　特に、この実施例の移動規制部材５は、図１ないし図１０（特に、図４、図５、図７ないし図１０）に示すように、フランジ２４への装着部（フランジ装着部）５３と、外筒２の後端開口部の一部を被覆する突出部５２と、外筒２の筒状本体２１の後端部への装着部（本体装着部５１）と、連結部５４，５５を備えている。
　この実施例の移動規制部材５は、第１規制部材５０ａと第２規制部材５０ｂとからなる。第１規制部材５０ａと第２規制部材５０ｂは、連結されることにより、移動規制部材５を形成し、かつ、外筒２の筒状本体２１の基端部およびフランジ２４の一部を被包するものとなっている。

　そして、この実施例の移動規制部材５では、第１規制部材５０ａと第２規制部材５０ｂは、同じものとなっている。第１規制部材５０ａおよび第２規制部材５０ｂは、図４、図５、図７ないし図１０に示すように、外筒２の筒状本体２１の外径とほぼ同じ内径を有し、略半円の大きさの円弧状の本体装着部５１を備えている。そして、円弧状の本体装着部５１の一端には、連結用突起５４が設けられ、他端には、連結用凹部５５が設けられている。連結用凹部５５は、形状的には、連結用突起５４を受け入れ、連結可能な形態となっている。
　そして、第１規制部材５０ａと第２規制部材５０ｂは、本体装着部５１の円弧の中央部より外側（図１０において、第１規制部材５０ａでは上方、第２規制部材５０ｂでは下方）に延びかつ、図１０に示すように、側面視コの字型に形成されたフランジ装着部５３を有している。フランジ装着部５３は、図３および図４に示すように、フランジ２４の幅の狭い側縁部２４ｂの一部を収納（言い換えれば、側縁部２４ｂの一部を被包）することにより、フランジに装着されるものとなっている。

　さらに、第１規制部材５０ａと第２規制部材５０ｂは、フランジ装着部５３の端部より、内側（図１０において、第１規制部材５０ａでは下方、第２規制部材５０ｂでは上方）に延びかつ、図３ないし図７に示すように、外筒２の後端開口部の一部を被覆する突出部５２を有している。よって、図５に示すように、この実施例の医療用吸引具１では、外筒２の後端開口部は、全面が開口せず、かつ非円形形状の開口部を有するものとなっている。そして、この移動規制部材５では、突出部５２は、外筒２の後端開口部の中心より外縁側部分を横切るほぼ直線上の先端縁を備えている。さらに、この実施例の移動規制部材５は、突出部５２を向かい合うように２つ備えるものとなっている。このため、この実施例の医療用吸引具１では、２つの突出部５２により、外筒２の後端開口部の中心より外縁側部分をほぼ直線上に横切り、かつほぼ平行に向かい合う２つの先端縁を有するものとなっている。言い換えれば、この実施例の医療用吸引具１では、図５に示すように、２つの突出部５２により、外筒２の後端開口部の向かい合う周縁部が上弦の三日月状および下弦の三日月に被包され、両側部が円弧状となった略矩形状の開口部となっている。よって、突出部５２により被包された部分では、外筒２の後端開口部の内径は、小さいものとなっている。なお、突出部５２の先端縁は、上記のようにほぼ直線上であることが好ましいが、若干の円弧状、波状であってもよい。

　そして、この実施例の移動規制部材５では、図９および図１０に示すように、突出部５２の内面には、外筒２の後端部と係合するための係合用突起５６を備えている。具体的には、図３および図１０に示すように、係合用突起５６は、外筒２のフランジ２４の側縁部２４ｂ内に進入し、係合する。係合用突起５６は、図１０に示すように、突出部５２の中央部かつ先端縁より若干フランジ装着部５３方向となる位置に設けられている。さらに、係合用突起５６は、突出部先端縁に向かって傾斜する傾斜面とフランジ装着部５３と向かい合う起立面を有している。さらに、この実施例の移動規制部材５では、図１０に示すように、突出部５２の中央部にかつ先端縁付近（具体的には、係合用突起５６と先端縁間）に設けられたガスケット操作部材３の過回転阻止用突起５８を備えている。この過回転阻止用突起５８は、図７に示すように、移動規制部材５の突出部５２がガスケット操作部材３の突出部進入可能部（切欠部）３５に進入後において、ガスケット操作部材３の突出部進入可能部（切欠部）３５付近の幅広平板部３１ａの側面と当接し、それ以上の回転を阻止する。なお、係合用突起５６と過回転阻止用突起５８は、一体のもの、もしくは、一つの突起により、両者の機能を有するものであってもよい。

　そして、この実施例の移動規制部材５では、図５に示すように、第１規制部材５０ａが、外筒２の一方の幅の狭い側縁部２４ｂ側に装着され、第２規制部材５０ｂが、外筒２の他方の幅の狭い側縁部２４ｂ側に装着され、さらに、第１規制部材５０ａと第２規制部材５０ｂのそれぞれの連結部５４，５５が連結されたものにより構成されている。そして、２つの規制部材の連結体により構成された移動規制部材５は、図１および図２に示すように、外筒２の筒状本体２１の基端部の全周を被包し、かつ、外筒２の幅の狭い側縁部２４ｂに装着されているので、その離脱、移動、回転が規制されている。

　そして、この実施例の医療用吸引具１は、ガスケット操作部材３を回転させると、４５度程度の回転により、幅広平板部３１ａが、移動規制部材５の突出部５２に当接するため、それ以上の回転が規制されている。また、この実施例の医療用吸引具１は、ガスケット操作部材３を後端側に引くことが可能であり、引く操作時において、幅狭平板部３１ｂは、移動規制部材５の突出部５２に当接することがなく、幅広平板部３１ａも移動規制部材５に当接しない。そして、図６に示す状態まで、ガスケット操作部材３を後端側に引くことにより、ガスケット操作部材３の突出部進入可能部（切欠部）３５が、移動規制部材５の突出部５２に到達した状態において、ガスケット操作部材３の回転操作が可能となる。そして、図６に示す状態にて、ガスケット操作部材を回転させると、移動規制部材５の突出部５２が突出部進入可能部（切欠部）３５に進入が開始され、約８０度回転させると、図７に示すように、過回転阻止用突起５８が、ガスケット操作部材３の突出部進入可能部（切欠部）３５付近の幅広平板部３１ａの側面と当接する。このため、操作者は、ガスケット操作部材３が、ロック可能状態をなったことを容易に認識し、また、ロック可能状態を逸脱するガスケット操作部材の回転が規制される。そして、図７に示す状態において、移動規制部材５の突出部５２の外面とガスケット操作部材３の突出部進入可能部（切欠部）３５の先端面が当接可能な状態となる。この医療用吸引具１の使用時には、医療用吸引具内に陰圧が発生しており、常時ガスケットおよびガスケット操作部材を先端側に引き戻す力が付与されているため、図７の状態とした後、ガスケット操作部材の後端側への引く操作を終了することにより、自動的に、移動規制部材５の突出部５２の外面と突出部進入可能部（切欠部）３５の先端面が当接し、ガスケット操作部材３は、ロック状態となる。

　また、この実施例の医療用吸引具１では、移動規制部材５が２つの向かい合う突出部５２を備え、ガスケット操作部材３もそれぞれの突出部５２に対応した２つの突出部進入可能部（切欠部）３５を備えているため、ガスケット操作部材３は、ロック状態にて、向かい合う２カ所にて保持されるものとなっている。このため、ロック状態が安定して維持される。また、医療用吸引具１内への採取が終了した場合には、ガスケット操作部材３を再び回転させて、突出部進入可能部（切欠部）３５より、移動規制部材５の突出部５２が離脱した状態とすることにより、ガスケット操作部材３の前後方向の移動が可能となる。

　そして、本発明の医療用吸引具に用いられる移動規制部材としては、図１５ないし図１７に示すような移動規制部材５ａであってもよい。
　第１規制部材と第２規制部材により移動規制部材を構成する場合には、第１規制部材と第２規制部材は、上述した移動規制部材５のような２組の連結部を有するものに限定されるものではない。一組の連結部とヒンジ部を有するものであってもよい。この実施例の移動規制部材５ａは、一組の連結部５４，５５と２つの２つの規制部材５０ｃ，５０ｄを連結するヒンジ部５７を有するものとなっている。この実施例の移動規制部材５ａと上述した移動規制部材５との相違は、上記のヒンジ部のみである。

　そして、本発明の医療用吸引具に用いられる移動規制部材としては、図１８ないし図２３に示すような移動規制部材５ｂであってもよい。
　この実施例の移動規制部材５ｂも第１規制部材６０ａと第２規制部材６０ｂにより構成されている。そして、この実施例の移動規制部材５ｂは、一組の連結部６４，６５と２つの２つの規制部材６０ａ，６０ｂを連結するヒンジ部６７を有するものとなっている。なお、この実施例の移動規制部材５ｂにおいても、上述した移動規制部材５と同様に、ヒンジ部を持たず、２組の連結部を有するものとしてもよい。

　この実施例の移動規制部材５ｂは、フランジ２４への装着部と、外筒２の後端開口部の一部を被覆する突出部６２を有している。特に、この実施例の移動規制部材５ｂは、図１８ないし図２３に示すように、フランジ２４の幅広となった２つの把持部２４ａをそれぞれ収納するフランジ収納部６６と、収納部６６の一端に設けられた２つの規制部材６０ａ，６０ｂを連結するヒンジ部６７と、それぞれの収納部の他端に設けられた一組の連結部６４，６５を備えている。この実施例では、連結部６４は、係合リブ付き突出部となっており、連結部６５は、突出部を収納可能かつ、係合リブとの係合部を有する凹部となっている。
　特に、この実施例の移動規制部材５ｂは、向かい合う２つの平板部６２，６３とそれら平板部を周縁部にて連結する接続部６１を有しており、一方の平板部６２が、外筒２の後端開口部の一部を被覆する突出部６２を形成している。また、向かい合う２つの平板部６２，６３と接続部６１により形成される空隙により、フランジ収納部６６が形成されている。

　この実施例の移動規制部材５ｂを装着した医療用吸引具１ｂは、図２２に示すような形態を有するものとなる。この医療用吸引具１ｂでは、フランジ２４の全体が移動規制部材５ｂに被包されている。そして、第１規制部材６０ａと第２規制部材６０ｂは、フランジ収納部６６を構成しかつフランジ２４の後端面側となる向かい合う平板部は、図２２に示すように、外筒２の後端開口部の一部を被覆する突出部６２を有している。よって、図２２に示すように、この実施例の医療用吸引具１ｂでは、外筒２の後端開口部は、全面が開口せず、かつ非円形形状の開口部を有するものとなっている。そして、この移動規制部材５ｂでは、突出部６２は、外筒２の後端開口部の中心より外縁側部分を横切るほぼ直線上の先端縁を備えている。さらに、この実施例の移動規制部材５ｂは、突出部６２を向かい合うように２つ備えるものとなっている。このため、この実施例の医療用吸引具１ｂでは、２つの突出部６２により、外筒２の後端開口部の中心より外縁側部分をほぼ直線上に横切り、かつほぼ平行に向かい合う２つの先端縁を有するものとなっている。言い換えれば、この実施例の医療用吸引具１ｂでは、図２２に示すように、２つの突出部６２により、外筒２の後端開口部のフランジ２４の把持部２４ａ側の向かい合う周縁部が三日月に被包され、上下部が円弧状となった略矩形状の開口部となっている。よって、突出部６２により被包された部分では、外筒２の後端開口部の内径は、小さいものとなっている。なお、突出部６２の先端縁は、上記のようにほぼ直線上であることが好ましいが、若干の円弧状、波状であってもよい。
　また、この実施例の移動規制部材５ｂにおいても、図１９ないし図２１に示すように、突出部６２の中央部かつ先端縁付近に設けられたガスケット操作部材３の過回転阻止用突起６８を備えている。この過回転阻止用突起６８は、図２３に示すように、移動規制部材５ｂの突出部６２がガスケット操作部材３の突出部進入可能部（切欠部）３５に進入後において、ガスケット操作部材３の突出部進入可能部（切欠部）３５付近の幅広平板部３１ａの側面と当接し、それ以上の回転を阻止する。

　この実施例の医療用吸引具１ｂにおいても、図２２の状態において、ガスケット操作部材３を回転させると、４５度程度の回転により、幅広平板部３１ａが、移動規制部材５ｂの突出部６２に当接するため、それ以上の回転が規制されている。また、ガスケット操作部材３を後端側に引くことが可能であり、引く操作時において、幅狭平板部３１ｂは、移動規制部材５ｂの突出部６２に当接することがなく、幅広平板部３１ａも移動規制部材５ｂに当接しない。そして、所定長、ガスケット操作部材３を後端側に引くことにより、ガスケット操作部材３の突出部進入可能部（切欠部）３５が、移動規制部材６の突出部６２に到達した状態において、ガスケット操作部材３を回転させると、移動規制部材５ｂの突出部６２が突出部進入可能部（切欠部）３５への進入が開始され、約８０度回転させると、図２３に示すように、過回転阻止用突起６８が、ガスケット操作部材３の突出部進入可能部（切欠部）３５付近の幅広平板部３１ａの側面と当接する。このため、操作者は、ガスケット操作部材３が、ロック可能状態をなったことを容易に認識し、また、ロック可能状態を逸脱するガスケット操作部材の回転が規制される。そして、図２３に示す状態において、移動規制部材５の突出部５２の外面とガスケット操作部材３の突出部進入可能部（切欠部）３５の先端面が当接可能な状態となる。

　そして、本発明の医療用吸引具に用いられる移動規制部材としては、図２４ないし図３０に示すような移動規制部材５ｃであってもよい。図２８に示されている医療用吸引具１ｃは、移動規制部材５ｃを装着している。
　特に、この実施例の移動規制部材５ｃは、図２４ないし図３０（特に、図２４ないし図２７）に示すように、外筒２のフランジ２４の幅の狭い側縁部２４ｂへの装着部（フランジ装着部）７３と、外筒２の後端開口部の一部を被覆する突出部７２と、外筒２の筒状本体２１の後端部への装着部（本体装着部７１）とを備えている。

　この実施例の移動規制部材５ｃは、一つの規制部材により構成されている。規制部材５０ｃは、図２４ないし図２７に示すように、外筒２の筒状本体２１の外径とほぼ同じ内径を有し、半円を越える大きさの円弧状の本体装着部７１を備えている。本体装着部７１としては、筒状本体２１の外周の２／３～４／５を越える円弧を有することが好ましい。また、本体装着部７１の２つの端部間は、欠損部７４となっており、外筒への装着作業時に用いられる。また、本体装着部７１は、ある程度のばね弾性を有するものとなっている。
　そして、規制部材５ｃは、本体装着部７１の円弧の中央部より外側（上方）に延びかつ、図２７に示すように、側面視コの字型に形成されたフランジ装着部７３を有している。フランジ装着部７３は、図２８および図２９に示すように、フランジ２４の幅の狭い側縁部２４ｂの一部を収納（言い換えれば、側縁部２４ｂの一部を被包）することにより、フランジに装着されるものとなっている。

　さらに、規制部材５ｃは、フランジ装着部７３の端部より、内側（下方）に延びかつ、図２８ないし図３０に示すように、外筒２の後端開口部の一部を被覆する突出部７２を有している。図２９および図３０に示すように、この実施例の医療用吸引具１ｃでは、外筒２の後端開口部は、全面が開口せず、かつ非円形形状の開口部を有するものとなっている。そして、この移動規制部材５ｃでは、突出部７２は、外筒２の後端開口部の中心より外縁側部分を横切るほぼ直線上の先端縁を備えている。この実施例の医療用吸引具１ｃでは、図２９および図３０に示すように、突出部７２により、外筒２の後端開口部の向かい合う周縁部が三日月状に被包され、真円の一部が切り取られた開口部となっている。よって、突出部７２により被包された部分では、外筒２の後端開口部の内径は、小さいものとなっている。なお、突出部７２の先端縁は、上記のようにほぼ直線上であることが好ましいが、若干の円弧状、波状であってもよい。

　そして、この実施例の移動規制部材５ｃにおいても、上述した規制部材５と同様に、図２７に示すように、突出部７２の内面には、外筒２の後端部と係合するための係合用突起７６を備えている。係合用突起７６は、外筒２のフランジ２４の側縁部２４ｂ内に進入し、係合する。係合用突起７６は、図２７に示すように、突出部７２の中央部かつ先端縁より若干フランジ装着部７３方向となる位置に設けられている。さらに、係合用突起７６は、突出部先端縁に向かって傾斜する傾斜面とフランジ装着部７３と向かい合う起立面を有している。さらに、この実施例の移動規制部材５ｃでは、図２５および図２７に示すように、突出部７２の中央部にかつ先端縁付近（具体的には、係合用突起７６と先端縁間）に設けられたガスケット操作部材３の過回転阻止用突起７８を備えている。この過回転阻止用突起７８は、図３０に示すように、移動規制部材５ｃの突出部７２がガスケット操作部材３の突出部進入可能部（切欠部）３５に進入後において、ガスケット操作部材３の突出部進入可能部（切欠部）３５付近の幅広平板部３１ａの側面と当接し、それ以上の回転を阻止する。なお、係合用突起７６と過回転阻止用突起７８は、一体のもの、もしくは、一つの突起により、両者の機能を有するものであってもよい。そして、この移動規制部材５ｃでは、図２８に示すように、外筒２の筒状本体２１の基端部の大半を被包し、かつ、外筒２の幅の狭い側縁部２４ｂに装着されているので、その離脱、移動、回転が規制されている。

　そして、この実施例の医療用吸引具１ｃにおいても、ガスケット操作部材３を回転させると、４５度程度の回転により、幅広平板部３１ａが、移動規制部材５ｃの突出部７２に当接するため、それ以上の回転が規制されている。また、この実施例の医療用吸引具１ｃは、ガスケット操作部材３を後端側に引くことが可能であり、引く操作時において、幅狭平板部３１ｂは、移動規制部材５ｃの突出部７２に当接することがなく、幅広平板部３１ａも移動規制部材５ｃに当接しない。そして、ガスケット操作部材３を後端側に引くことにより、ガスケット操作部材３の突出部進入可能部（切欠部）３５が、移動規制部材５ｃの突出部７２に到達した状態において、ガスケット操作部材を回転させると、移動規制部材５ｃの突出部７２が突出部進入可能部（切欠部）３５に進入が開始され、約８０度回転させると、図３０に示すように、過回転阻止用突起７８が、ガスケット操作部材３の突出部進入可能部（切欠部）３５付近の幅広平板部３１ａの側面と当接する。このため、操作者は、ガスケット操作部材３が、ロック可能状態をなったことを容易に認識し、また、ロック可能状態を逸脱するガスケット操作部材の回転が規制される。そして、図３０に示す状態において、移動規制部材５ｃの突出部７２の外面とガスケット操作部材３の突出部進入可能部（切欠部）３５の先端面が当接可能な状態となる。

　本発明の医療用吸引具は、以下のものである。
（１）　筒状本体と、先端に設けられた医療用具への接続部と、前記筒状本体の後端部に設けられたフランジとを備える外筒と、前記外筒内に収納され、かつ気密状態にて摺動可能なガスケットと、前記ガスケットの後端に取り付けられたガスケット操作部材とを備える医療用吸引具であって、前記医療用吸引具は、前記外筒の前記フランジに装着されたガスケット操作部材の先端側への移動を規制する移動規制部材を備え、前記ガスケット操作部材は、所定長軸方向に延びかつ前記外筒内に進入可能な本体部と、前記本体部の先端より前方に延びるガスケット装着部と、前記本体部の後端に設けられ、前記外筒内に進入不能な把持部を備え、前記移動規制部材は、前記フランジへの装着部と、前記外筒の後端開口部の一部を被覆する突出部を有し、前記ガスケット操作部材の前記本体部は、前記ガスケット操作部材の回転操作時に前記移動規制部材の前記突出部に当接する回転時当接部と、前記本体部の先端部に設けられ、前記移動規制部材の前記突出部が進入可能な突出部進入可能部を備え、前記医療用吸引具は、前記ガスケット操作部材の前記突出部進入可能部が、前記移動規制部材の前記突出部に位置する状態において、前記ガスケット操作部材の回転が可能であり、かつ、回転により、前記突出部進入可能部に前記突出部の一部を進入させることにより、前記突出部と前記突出部進入可能部が当接し、前記ガスケット操作部材の先端方向への移動を規制するものである。
　そして、この医療用吸引具では、ガスケット操作部材の回転を規制することにより、常時ガスケット操作部を後方に移動可能な状態を維持し、かつ、外筒の後端開口部の一部を被覆する突出部は、外筒の後端開口部の後方に位置するためその視認が容易であり、後方に移動したガスケット操作部材の突出部進入可能部の外筒からの露出を確認することにより、移動規制部材とガスケット操作部材の係合操作の開始可能時を視認により容易に確認でき、確認後、ガスケット操作部を回転させることにより、両者を係合可能な状態とすることができる。

　そして、上記医療用吸引具の実施形態としては、以下のものであってもよい。
（２）　前記ガスケット操作部材の前記回転時当接部は、前記本体部の基端より少なくとも前記突出部進入可能部まで延びる回転規制用突出部により形成されている上記（１）に記載の医療用吸引具。
（３）　前記突出部進入可能部は、切欠部もしくは小径部である上記（１）または（２）に記載の医療用吸引具。
（４）　前記移動規制部材は、前記外筒の前記筒状本体の後端部への装着部を備えている上記（１）ないし（３）のいずれかに記載の医療用吸引具。
（５）前記移動規制部材の前記突出部は、前記外筒の後端開口部の中心より外縁側部分を横切るほぼ直線上の先端縁を備えている上記（１）ないし（４）のいずれかに記載の医療用吸引具。

（６）　前記移動規制部材は、前記突出部を向かい合うように２つ備えている上記（１）ないし（５）のいずれかに記載の医療用吸引具。
（７）　前記２つの突出部は、ほぼ平行に向かい合い、かつ前記外筒の後端開口部の中心より外縁側部分を横切るほぼ直線上の先端縁を備えている上記（６）に記載の医療用吸引具。
（８）　前記移動規制部材は、第１規制部材と第２規制部材とからなり、前記第１規制部材と前記第２規制部材が連結されることにより、前記移動規制部材を形成し、かつ、前記外筒の筒状本体の基端部を被包するものとなっている上記（１）ないし（７）のいずれかに記載の医療用吸引具。

（９）　前記移動規制部材は、第１規制部材と第２規制部材とからなり、前記第１規制部材と前記第２規制部材は、二組の連結部または一つのヒンジ部と一組の連結部を備えている上記（１）ないし（８）のいずれかに記載の医療用吸引具。
（１０）　前記移動規制部材は、前記突出部の内面に設けられた前記外筒の後端部と係合するための係合用突起を備えている上記（１）ないし（９）のいずれかに記載の医療用吸引具。
（１１）　前記移動規制部材は、前記突出部の内面に設けられたガスケット操作部材過回転阻止用突起を備えている上記（１）ないし（１０）のいずれかに記載の医療用吸引具。
（１２）　前記移動規制部材の前記フランジへの装着部は、前記フランジを収納するものである上記（１）ないし（１１）のいずれかに記載の医療用吸引具。

（１３）　前記ガスケット操作部材の前記本体部は、４枚の平板部が同じ側辺部にて接合された断面略十字状のものとなっており、かつ、向かい合う２つの平板部は、幅が広い幅広平板部となっており、向かい合う他の２つの平板部は、前記幅広平板部より幅が小さい幅狭平板部となっており、前記向かい合う幅狭平板部は、前記移動規制部材の前記突出部の内側を通過可能であり、前記向かい合う幅広平板部が、前記ガスケット操作部材の回転操作時に前記移動規制部材の前記突出部に当接する前記回転時当接部を構成し、かつ、前記向かい合う幅広平板部の先端部に向かい合うように形成された２つの切欠部が前記突出部進入可能部を構成している上記（１）ないし（１２）のいずれかに記載の医療用吸引具。
（１４）　前記ガスケット操作部材の前記本体部は、シャフト部と、シャフト部の側面より突出し、前記本体部の基端より先端部付近まで延びる回転規制用突出部を有し、前記突出部進入可能部は、前記回転規制用突出部の先端側端部もしくは前記回転規制用突出部の先端部に形成された切欠部により形成されている上記（１）ないし（１２）のいずれかに記載の医療用吸引具。
（１５）　前記ガスケット操作部材の前記本体部は、前記突出部進入可能部より先端側が柱状部となっている上記（１）ないし（１２）のいずれかに記載の医療用吸引具。
（１６）　前記ガスケット操作部材の前記把持部は、向かい合うように設けられた幅広の２つの延出部を備えている上記（１）ないし（１５）のいずれかに記載の医療用吸引具。

Claims

筒状本体と、先端に設けられた医療用具への接続部と、前記筒状本体の後端部に設けられたフランジとを備える外筒と、前記外筒内に収納され、かつ気密状態にて摺動可能なガスケットと、前記ガスケットの後端に取り付けられたガスケット操作部材とを備える医療用吸引具であって、
　前記医療用吸引具は、前記外筒の前記フランジに装着されたガスケット操作部材の先端側への移動を規制する移動規制部材を備え、前記ガスケット操作部材は、所定長軸方向に延びかつ前記外筒内に進入可能な本体部と、前記本体部の先端より前方に延びるガスケット装着部と、前記本体部の後端に設けられ、前記外筒内に進入不能な把持部を備え、
　前記移動規制部材は、前記フランジへの装着部と、前記外筒の後端開口部の一部を被覆する突出部を有し、
　前記ガスケット操作部材の前記本体部は、前記ガスケット操作部材の回転操作時に前記移動規制部材の前記突出部に当接する回転時当接部と、前記本体部の先端部に設けられ、前記移動規制部材の前記突出部が進入可能な突出部進入可能部を備え、
　前記医療用吸引具は、前記ガスケット操作部材の前記突出部進入可能部が、前記移動規制部材の前記突出部に位置する状態において、前記ガスケット操作部材の回転が可能であり、かつ、回転により、前記突出部進入可能部に前記突出部の一部を進入させることにより、前記突出部と前記突出部進入可能部が当接し、前記ガスケット操作部材の先端方向への移動を規制するものであることを特徴とする医療用吸引具。
前記ガスケット操作部材の前記回転時当接部は、前記本体部の基端より少なくとも前記突出部進入可能部まで延びる回転規制用突出部により形成されている請求項１に記載の医療用吸引具。
前記突出部進入可能部は、切欠部もしくは小径部である請求項１または２に記載の医療用吸引具。
前記移動規制部材は、前記外筒の前記筒状本体の後端部への装着部を備えている請求項１ないし３のいずれかに記載の医療用吸引具。
前記移動規制部材の前記突出部は、前記外筒の後端開口部の中心より外縁側部分を横切るほぼ直線上の先端縁を備えている請求項１ないし４のいずれかに記載の医療用吸引具。
前記移動規制部材は、前記突出部を向かい合うように２つ備えている請求項１ないし５のいずれかに記載の医療用吸引具。
前記２つの突出部は、ほぼ平行に向かい合い、かつ前記外筒の後端開口部の中心より外縁側部分を横切るほぼ直線上の先端縁を備えている請求項６に記載の医療用吸引具。
前記移動規制部材は、第１規制部材と第２規制部材とからなり、前記第１規制部材と前記第２規制部材が連結されることにより、前記移動規制部材を形成し、かつ、前記外筒の前記筒状本体の基端部を被包するものとなっている請求項１ないし７のいずれかに記載の医療用吸引具。
前記移動規制部材は、第１規制部材と第２規制部材とからなり、前記第１規制部材と前記第２規制部材は、二組の連結部または一つのヒンジ部と一組の連結部を備えている請求項１ないし８のいずれかに記載の医療用吸引具。
前記移動規制部材は、前記突出部の内面に設けられた前記外筒の後端部と係合するための係合用突起を備えている請求項１ないし９のいずれかに記載の医療用吸引具。
前記移動規制部材は、前記突出部の内面に設けられたガスケット操作部材過回転阻止用突起を備えている請求項１ないし１０のいずれかに記載の医療用吸引具。
前記移動規制部材の前記フランジへの装着部は、前記フランジを収納するものである請求項１ないし１１のいずれかに記載の医療用吸引具。
前記ガスケット操作部材の前記本体部は、４枚の平板部が同じ側辺部にて接合された断面略十字状のものとなっており、かつ、向かい合う２つの平板部は、幅が広い幅広平板部となっており、向かい合う他の２つの平板部は、前記幅広平板部より幅が小さい幅狭平板部となっており、前記向かい合う幅狭平板部は、前記移動規制部材の前記突出部の内側を通過可能であり、前記向かい合う幅広平板部が、前記ガスケット操作部材の回転操作時に前記移動規制部材の前記突出部に当接する前記回転時当接部を構成し、かつ、前記向かい合う幅広平板部の先端部に向かい合うように形成された２つの切欠部が前記突出部進入可能部を構成している請求項１ないし１２のいずれかに記載の医療用吸引具。
前記ガスケット操作部材の前記本体部は、シャフト部と、シャフト部の側面より突出し、前記本体部の基端より先端部付近まで延びる回転規制用突出部を有し、前記突出部進入可能部は、前記回転規制用突出部の先端側端部もしくは前記回転規制用突出部の先端部に形成された切欠部により形成されている請求項１ないし１２のいずれかに記載の医療用吸引具。
前記ガスケット操作部材の前記本体部は、前記突出部進入可能部より先端側が柱状部となっている請求項１ないし１２のいずれかに記載の医療用吸引具。
前記ガスケット操作部材の前記把持部は、向かい合うように設けられた幅広の２つの延出部を備えている請求項１ないし１５のいずれかに記載の医療用吸引具。