患者に輸液や輸血を行ったり、手術において体外血液循環を行ったりする場合に、薬液や血液などの液状物を輸送するための経路(輸送ライン)を形成する必要がある。輸送ラインは、一般に、容器や各種器具、チューブなどを接続することによって形成される。異なる部材を接続するためにコネクタが使用される。
このようなコネクタとして、外周面がテーパ面である雄ルアーと、内周面がテーパ面である雌ルアーとからなり、雄ルアーを雌ルアーに挿入して両者のテーパ面を密着させるコネクタが知られている。一般に、このようなコネクタは「スリップ型」コネクタと呼ばれ、その接続方式は「スリップ接続」と呼ばれる。ISO594−1では、スリップ型コネクタを構成する雄ルアー及び雌ルアーの各テーパ面の形状が規定されている。
スリップ型コネクタを構成する雄ルアーと雌ルアーとを更にネジ接続で固定することにより、両者をより強固且つ確実に接続する「ネジロック型」コネクタが知られている。ネジロック型コネクタでは、略円筒形状のロックナットが雄ルアーの回りに回転可能に設けられる。ロックナットの内周面には雌ネジが形成されている。一方、雌ルアーの外周面には雄ネジが形成されている。スリップ型コネクタと同様に雄ルアーを雌ルアーに挿入して両者のテーパ面を密着させ、更に、ロックナットを回転させてロックナットの雌ネジと雌ルアーの雄ネジをと螺合させる。その結果、スリップ型コネクタに比べて、雄ルアーのテーパ面と雌ルアーのテーパ面との密着度が高まり、また、雄ルアーと雌ルアーとが意図せずに分離する可能性が低減する。ネジロック型コネクタによる接続方式は一般に「ネジロック接続」と呼ばれる。ISO594−2では、ロックナットに形成される雌ネジの形状や、雄ルアーの先端と雌ネジとの相対的位置関係の許容範囲、雌ルアーに形成される雄ネジの形状等が規定されている。
一方、特許文献1には、図14A、図14Bに示すように、中央部に直線状のスリット(切り込み)811が形成されたゴム等の弾性部材からなる円板状の隔壁部材(以下、「セプタム」という)810を備えたニードルレスポート800が記載されている。セプタム810は、ポート本体801とキャップ805とに挟持され固定されている。スリット811はキャップ805の中央の開口内に露出している。ポート801の下端には柔軟なチューブ809が接続されている。ニードルレスポート800の外周面は円筒面であり、この外周面には、周方向に延びた突起である一対の係合突起807が形成されている。セプタム810のスリット811に硬質材料からなる管状体(図示せず)を挿入すれば、ニードルレスポート800と管状体とを連通させることができる。ニードルレスポート800から管状体を抜き去るとセプタム810のスリット811は直ちに閉じる。このようにセプタム810はリシール性を有し、管状体を繰り返し抜き差しすることができる。
特許文献1には、更に、セプタム810のスリット811に挿入される管状体の回りに回転可能に設けられた回転ロックナットが記載されている。回転ロックナットには、ニードルレスポート800の一対の係合突起807と係合可能な一対の係合爪が形成されている。管状体をセプタム810のスリット811に挿入した後、回転ロックナットを回転させて一対の係合爪を一対の係合突起807に係合させることにより、管状体とニードルレスポート800とを強固且つ確実に接続することができる。このように回転ロックナットを回転させて、回転ロックナットに形成された一対の係合爪をニードルレスポート800の一対の係合突起807に係合させるコネクタを本発明では「爪ロック型」コネクタと呼び、その接続方式を「爪ロック接続」と呼ぶことにする。
以上のスリップ型、ネジロック型、及び、爪ロック型の各コネクタでは、雄部材及び雌部材は互いに相手方と適合するように設計されている。
その一方で、共通する雄ルアーを、(1)ISO594−1に準拠した雌ルアーにスリップ接続でき、(2)ISO594−2に準拠した雌ルアーにネジロック接続でき、更に、(3)ニードルレスポートに爪ロック接続できることが望まれている。
特許文献2には、ロックナットを雄ルアーに対して、その基端側に移動可能にすることにより、ロックナットを用いないスリップ接続と、ロックナットを用いたネジロック接続との両方を可能にしたコネクタが提案されている。しかしながら、特許文献2には、当該雄ルアーをニードルレスポートに爪ロック接続することは記載されていない。
特許文献3には、上記の3つの接続方式で接続可能なコネクタが記載されている。以下にこれを説明する。
図15Aは従来の雄ルアー組立体910の一例を上方から見た斜視図、図15Bはその下方から見た斜視図である。図16Aは図15Aに示した雄ルアー組立体910の側面図、図16Bは図16Aの16B−16B線を含む面に沿った矢視断面図、図16Cは図16Aの16C−16C線を含む面に沿った矢視断面図である。図17は、図15Aに示した雄ルアー組立体910のロックナット930を雄ルアー920に重ならないように後退させた状態を示した斜視図である。
この雄ルアー組立体910は、貫通孔921が形成された、略円筒形状の雄ルアー920と、この雄ルアー920が内挿されたロックナット930とを備える。
図15B、図17に示されているように、雄ルアー920の先端の外周面にはISO594−1に準拠した6%のテーパ面922が形成され、その基端923には柔軟なチューブ929が接続されている。テーパ面922の最大径箇所には周方向に連続する環状突起924が形成されている。環状突起924よりも基端923側の外周面には、雄ルアー920の長手方向に平行に延びた一対の案内突起926が形成されている。
図16A〜図16Cに示されているように、ロックナット930は、略円筒形状の基部931と、基部931よりも大きな径を有する略円筒形状のロック部940とを有する。
基部931の内周面には、ISO594−2に準拠した雌ネジ932が形成されている。雌ネジ932よりも上側には、周方向に延びた位置規制突起933が形成されている。図16Cに示されているように、位置規制突起933には一対の案内路934が略対称位置に形成されており、この一対の案内路934にて位置規制突起933は周方向に分断されている。
ロック部940の内周面には、周方向に延びた突起である一対の係合爪941が形成されている。
図16Bに示されているように、雄ルアー920の外周面に形成された環状突起924と一対の案内突起926との間に位置規制突起933が位置するように、雄ルアー920をロックナット930に内挿する。このとき、ロックナット930は、雄ルアー920の回りを自由に回転可能である。
一方、環状突起924と位置規制突起933とが衝突するので、ロックナット930は雄ルアー920に対してその先端(テーパ面922)側へ移動するのが制限される。従って、雄ルアー920のテーパ面922はロックナット930の基部931よりも所定長さだけ突き出している。
また、一対の案内突起926と位置規制突起933とが衝突するので、ロックナット930は雄ルアー920に対してその基端923側へ移動するのが制限される。但し、ロックナット930を雄ルアー920に対して回転させて、一対の案内突起926と一対の案内路934との位置が一致したときには、一対の案内突起926は一対の案内路934を通過することができる。従って、図17に示すように、ロックナット930をチューブ929上に移動させることができる。
以上のように構成された雄ルアー組立体910の使用方法を説明する。
雄ルアー組立体910とISO594−1に準拠したテーパ面を有する雌ルアーとのスリップ接続は、図17に示すように、ロックナット930を退避させた状態で、雄ルアー920のテーパ面922を雌ルアー(図示せず)に挿入することにより行うことができる。
雄ルアー組立体910とISO594−2に準拠した雄ネジを有する雌ルアーとのネジロック接続の方法を説明する。
図18はISO594−2に準拠した雌ルアー850の一例の概略斜視図である。この雌ルアー850は、略円筒形形状を有し、中央に貫通孔851(後述する図19B参照)が形成されている。雌ルアー850の先端側の内周面には、ISO594−1に準拠したテーパ面852が形成されており、その外周面には、ISO594−2に準拠した雄ネジ853が形成されている。雄ネジ853と基端855との間の外周面上には、一対の翼状突起856が衝立状に立設されている。雌ルアー850の基端855には柔軟なチューブ859が接続される(後述する図19A,図19B参照)。
図19Aは雄ルアー組立体910と図18に示した雌ルアー850とをネジロック接続した状態を上方から見た斜視図、図19Bはこの断面図である。図19A及び図19Bに示されているように、雄ルアー920のテーパ面922が雌ルアー850のテーパ面852に挿入され、ロックナット930の雌ネジ932と雌ルアー850の雄ネジ853とが螺合している。このように、雄ルアー組立体910と雌ルアー850とのISO594−2に準拠したネジロック接続を行うことができる。
雄ルアー組立体910と図14A及び図14Bに示したニードルレスポート800との爪ロック接続の方法を説明する。
図20Aは雄ルアー組立体910とニードルレスポート800とを爪ロック接続した状態を上方から見た斜視図、図20Bはこの断面図である。図20A及び図20Bに示されているように、雄ルアー920のテーパ面922が形成された先端が、ニードルレスポート800のセプタム810のスリットに挿入されている。そして、ロックナット930の一対の係合爪941がニードルレスポート800の一対の係合突起807と係合している。このように、雄ルアー組立体910とニードルレスポート800との爪ロック接続を行うことができる。
上記の本発明の医療用コネクタにおいて、前記第1移動制限機構を構成する、前記雄ルアー上に形成された部材と、前記第2移動制限機構を構成する、前記雄ルアー上に形成された部材とが異なることが好ましい。これにより、雄ルアーの先端の突き出し長さを、ネジロック接続時と爪ロック接続時とでそれぞれ最適に設計することが容易になる。
前記第1移動制限機構が、前記雄ルアーの外周面と前記ロックナットとに形成された、互いに係合し合う係合形状であることが好ましい。これにより、ネジロック接続時の雄ルアーの先端のロックナットからの突き出し長さを最適に設計することが容易になる。
また、前記第2移動制限機構が、前記雄ルアーの外周面と前記ロックコネクタとに形成された、互いに係合し合う係合形状であることが好ましい。これにより、爪ロック接続時の雄ルアーの先端のロックコネクタからの突き出し長さを最適に設計することが容易になる。
前記ロックコネクタは、前記雄ルアーの前記基端に接続された柔軟性を有するチューブに貫通され、前記チューブ上を移動可能であることが好ましい。これにより、ロックコネクタを使用しないときに、ロックコネクタを紛失することがない。
上記において、前記ロックコネクタの前記チューブ上の移動の可否を可逆的に切り替えることができることが好ましい。ロックコネクタを使用しないときにロックコネクタがチューブ上で移動できないようにすることにより、ロックコネクタがチューブ上を自由に移動することによってロックコネクタが作業の邪魔になるという問題を解消できる。また、ロックコネクタを雄ルアー組立体の近傍のチューブ上の位置に固定しておくことができるので、その後、爪ロック接続を行う場合にロックコネクタをチューブに沿って直ちに雄ルアー組立体まで移動させることができ、作業性が向上する。
前記ロックコネクタは、前記チューブが貫通する開口を有し、前記開口の端縁には、前記チューブを挟持する切り欠きが形成されていることが好ましい。これにより、簡易な構造で、チューブ上の任意の位置にロックコネクタを固定することができる。
上記において、前記切り欠きの端縁形状は円弧を含むことが好ましい。これにより、切り欠きの端縁とチューブとの接触領域が拡大するので、ロックコネクタをチューブ上に安定して固定することができる。
前記ロックコネクタは、周方向に連続する環状体であることが好ましい。これにより、ロックコネクタの機械的強度が向上する。また、ロックコネクタを使用しないときに、雄ルアーに接続されたチューブからロックコネクタが脱落する可能性が低減する。
前記ロックコネクタは前記チューブに対して着脱可能であってもよい。これにより、ロックコネクタを使用しないときにロックコネクタをチューブから取り外すことができる。その結果、使用していないロックコネクタがチューブ上を自由に移動することによってロックコネクタが作業の邪魔になるという問題や、爪ロック接続を行う場合にロックコネクタをチューブに沿って雄ルアー組立体にまで長距離を移動させなければならいという問題を解消することができる。
上記において、前記ロックコネクタは、前記チューブが通過できるスリットを有することが好ましい。この場合、前記スリットに前記チューブを通過させることにより、前記チューブに対して前記コネクタを着脱することができることが好ましい。これにより、簡単な構造で、チューブに対して着脱可能なロックコネクタを実現できる。また、スリットの形成によるロックコネクタの機械的強度の低下を僅かにとどめることが可能である。
あるいは、前記ロックコネクタは、開閉可能な一対の半体と、前記一対の半体の閉状態を維持するための係止部材とを備えることが好ましい。この場合、前記一対の半体を開くことにより、前記チューブに対して前記コネクタを着脱することができることが好ましい。これにより、簡単な構造で、チューブに対して着脱可能なロックコネクタを実現できる。
前記雄ルアーの先端の外周面に形成された前記テーパ面はISO594−1に準拠することが好ましい。これにより、ISO594−1に準拠するテーパ面が形成された雌ルアーと、ISO594−1に準拠したスリップ接続をすることができる。
前記ロックナットの内周面に形成された前記雌ネジはISO594−2に準拠することが好ましい。これにより、ISO594−2に準拠する雄ネジが形成された雌ルアーと、ISO594−2に準拠したネジロック接続をすることができる。
前記ロックコネクタを前記雄ルアー組立体に装着したとき、前記ロックコネクタを介して前記ロックナットを前記雄ルアーの回りに回転させることができることが好ましい。これにより、ロックナットの雌ネジに、より大きな回転トルクを加えることができる。
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。また、以下の各図中の寸法は、実際の寸法および寸法比率等を忠実に表したものではない。
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る医療用コネクタ(以下、単に「コネクタ」という)1の斜視図である。本実施形態1のコネクタ1は、雄ルアー20、ロックナット30、ロックコネクタ50とを備える。図1には、これらが相互に分離した状態が示されている。雄ルアー20の基端23には柔軟なチューブ29が接続されている。チューブ29はロックナット30及びロックコネクタ50をこの順に貫通している。
図2Aは、雄ルアー20にロックナット30を装着して雄ルアー組立体11を構成したコネクタ1の上方から見た斜視図、図2Bはその下方から見た斜視図、図3はその断面図である。図2A、図2B、図3では、雄ルアー組立体11とロックコネクタ50とは分離されている。
図4Aは、雄ルアー組立体11にロックコネクタ50が装着されたコネクタ1の上方から見た斜視図、図4Bはその下方から見た斜視図、図5はその断面図である。
以下の説明の便宜のため、図1の紙面の上側をコネクタ1の「上側」と呼び、図1の紙面の下側をコネクタ1の「下側」と呼ぶ。なお、コネクタ1のこの上下方向は、コネクタ1が実際に使用される状況での姿勢を意味するものではない。
図6は雄ルアー20を示した斜視図である。雄ルアー20は、その長手方向に沿った貫通孔21が形成された、全体として略円筒形状を有する。雄ルアー20の一端(即ち、先端)の外周面には、ISO594−1に準拠した6%のテーパ面22が形成され、その他端(即ち、基端23)には柔軟なチューブ29が接続される(図1、図2A、図2B、図3参照)。テーパ面22の最大径箇所には周方向に連続する環状突起24が形成されている。環状突起24よりも基端23側の部分の外周面は外径が一定の円筒面25であり、この円筒面25に、一対の案内突起26が対称位置に形成されている。円筒面25の外径はチューブ29の外径よりも大きい。
図7Aはロックナット30の上方から見た斜視図、図7Bはその下方から見た斜視図、図7Cはその平面図、図7Dはその断面図である。ロックナット30は、全体として略円筒形状を有する。ロックナット30の内周面には、その下端から略中央部にわたってISO594−2に準拠した雌ネジ32が形成されている。雌ネジ32よりも上側には、周方向に延びた位置規制突起33が形成されている。位置規制突起33には一対の案内路34が略対称位置に形成されており、この一対の案内路34にて位置規制突起33は周方向に分断されている。ロックナット30の外周面は、その上側の部分は第1円筒面36であり、これより下側の部分は円筒面36よりやや大径の第2円筒面37である。第2円筒面37には、半径方向に突出し且つ上下方向に延びた複数の突条38が等角度間隔で形成されている。なお、ロックナット30の外周面の形状は上記の構成に限定されない。
図1に示したように、ロックナット30の雌ネジ32が形成された側を雄ルアー20側にして、ロックナット30に雄ルアー20に接続されたチューブ29が挿入される。この状態において、雄ルアー20の基端23をロックナット30内に挿入することができる。雄ルアー20の回りにロックナット30を回転させて、雄ルアー20の外周面に形成された一対の案内突起26とロックナット30の内周面の一対の案内路34とを一致させると、一対の案内突起26は一対の案内路34を通過することができる。従って、図3に示されているように、雄ルアー20の外周面に形成された環状突起24と一対の案内突起26との間にロックナット30の位置規制突起33が位置するように、雄ルアー20をロックナット30に内挿することができる。かくして、図2A及び図2Bに示されているように、雄ルアー20にロックナット30が装着された雄ルアー組立体11を組み立てることができる。このとき、ロックナット30は、雄ルアー20の回りを自由に回転可能である。
一方、図3に示されているように、環状突起24と位置規制突起33とが衝突するので、ロックナット30は雄ルアー20に対してその先端(テーパ面22)側へ移動するのが制限される。従って、環状突起24と位置規制突起33とは、ロックナット30が雄ルアー20に対して雄ルアー20の先端側へ移動できる範囲を制限する第1移動制限機構を構成する。環状突起24と位置規制突起33とが衝突した状態において、雄ルアー20の先端のロックナット30からの突き出し長さを含む、雄ルアー20の先端と雌ネジ32との相対的位置関係はISO594−2に準拠している。
また、一対の案内突起26と位置規制突起33とが衝突するので、ロックナット30は雄ルアー20に対してその基端23側へ移動するのが制限される。但し、ロックナット30を雄ルアー20に対して回転させて、一対の案内突起26と一対の案内路34との位置が一致したときには、一対の案内突起26は一対の案内路34を通過することができる。従って、図1に示すように、ロックナット30を雄ルアー20から分離して、チューブ29上に移動させることができる。
図3に示されているように、雄ルアー20の外周面に形成された環状突起24と案内突起26との間隔は、ロックナット30の内周面に形成された位置規制突起33の上下方向寸法よりも大きい。従って、図2A、図2B、図3に示すように雄ルアー20にロックナット30を装着した状態において、ロックナット30は雄ルアー20に対して、限られた範囲内で上下方向に移動可能である。
図8Aはロックコネクタ50の上方から見た斜視図、図8Bはその下方から見た斜視図、図8Cはその断面図である。ロックコネクタ50は、略筒状の本体部51と、本体部51の上端に設けられた天板54と、本体部51の下端に設けられた一対のロック片57とを備える。
本体部51は全体として略円筒形状を有し、その外周面にはロックコネクタ50を2本の指で把持しやすいように一対の把持面52が形成されている。本体部51の内周面は、ロックナット30をその内部に収納可能(図4B、図5参照)な内径を有する略円筒面である。本体部51の内周面には、ロックナット30の外周面に形成された複数の突条38(図7A、図7Bを参照)と嵌合する複数の溝53が上下方向に等角度間隔で形成されている。本体部51が周方向に連続する環状体であるので、ロックコネクタ50は高い機械的強度を有している。
天板54は、本体部51の上端を覆う略円板形状を有し、その中央に円形の開口55が形成されている。開口55の内径は、雄ルアー20の円筒面25の外径及びチューブ29の外径より大きく、雄ルアー20の一対の案内突起26の頂部の外接円の直径より小さい。
一対のロック片57は、一対の把持面52と連続するように、本体部51の下端から下方に突出している。一対のロック片57の互いに対向する面(内周面)は、本体部51の内周面及び天板54の開口55と同軸の円筒面を構成する。各ロック片57の内周面には、周方向に延びた係合爪58と、係合爪58の周方向の一端から上方へ延びたストッパ部59とが形成されている。係止爪58及びストッパ部59は、いずれも、ロック片57の内周面において、対向するロック片57に向かって突出している。なお、一対のロック片57を図16A〜図16Cに示したロック部940と同様に周方向に連続させて、その内周面に係止爪58及びストッパ部59を形成してもよい。
図1に示したように、ロックコネクタ50のロック片57が形成された側を雄ルアー20側にして、ロックコネクタ50に、雄ルアー20に接続され且つロックナット30を貫通しているチューブ29が挿入される。更に、雄ルアー20にロックナット30を装着して雄ルアー組立体11を組み立てた状態(図2A、図2B、図3参照)において、ロックナット30にロックコネクタ50を被せることができる。その結果、図4A、図4B、図5に示すように、ロックコネクタ50内にロックナット30を収納することができる。
このとき、雄ルアー20の円筒面25はロックコネクタ50の天板54の開口55を貫通する。但し、ロックコネクタ50の開口55の内径は、雄ルアー20の一対の案内突起26の頂部の外接円の直径より小さい。従って、天板54(即ち、開口55の端縁)と案内突起26とが衝突するので、ロックコネクタ50は、雄ルアー20に対してその先端(テーパ面22)側へ移動するのが制限される。従って、天板54(または開口55の端縁)と案内突起26とは、ロックコネクタ50が雄ルアー20に対して雄ルアー20の先端側へ移動できる範囲を制限する第2移動制限機構を構成する。
天板54と案内突起26とが衝突した状態において、雄ルアー20のテーパ面22は、ロックコネクタ50の本体部51から所定長さだけ下方に突出する。
また、ロックナット30がロックコネクタ50内に収納された状態において、ロックナット30の外周面に形成された複数の突条38はロックコネクタ50の内周面に形成された複数の溝53と嵌合する。従って、雄ルアー20に対してロックコネクタ50を回転させると、これに収納されたロックナット30はロックコネクタ50に随伴して回転する。一方、ロックナット30は、ロックコネクタ50から独立して、雄ルアー20に対して上述した限られた範囲内で上下方向に移動可能である。
図4A、図4B、図5に示した状態からのロックコネクタ50と雄ルアー組立体11との分離は以下のようにして行う。即ち、ロックコネクタ50の開口55内に雄ルアー20の基端23を押し込むように、雄ルアー20に力を加える。雄ルアー20の案内突起26がロックナット30の位置規制突起33と係合するので、ロックナット30は雄ルアー20とともに移動して、図2A、図2B、図3に示すように、ロックコネクタ50から抜け出ることができる。
上記の説明では、雄ルアー20に装着されたロックナット30(図2A、図2B、図3参照)にロックコネクタ50を被せる例を説明したが、図示を省略するが、雄ルアー20に装着されていないロックナット30(図1参照)にロックコネクタ50を被せることももちろん可能である。
以上のように、本実施形態のコネクタ1は、雄ルアー20と、雄ルアー20に接続されたチューブ29が挿入されたロックナット30及びロックコネクタ50とを備える。雄ルアー20にロックナット30を装着して雄ルアー組立体11を組み立てることができ、更にロックナット30にロックコネクタ50を被せてコネクタ1を組み立てることができる。また、これと逆の操作を行えば、ロックコネクタ50及びロックナット30を、雄ルアー20から順に分離することができる。このようなコネクタ1の組立及び分離の操作は、熟練を要さず、簡単である。また、分離した状態(図1参照)では、ロックナット30及びロックコネクタ50に雄ルアー20に接続されたチューブ29が挿入されているので、コネクタ1の構成部品の一部を紛失することがない。
以上のように構成された本実施形態のコネクタ1をスリップ接続、ネジロック接続、及び、爪ロック接続する方法を以下に説明する。
ISO594−1に準拠したテーパ面を有する雌ルアー(図示せず)とのスリップ接続を説明する。図1に示すようにロックナット30をチューブ29上に移動させる。この状態で、雄ルアー20の先端のテーパ面22を雌ルアーに挿入すればよい。テーパ面22はISO594−1に準拠しているので、雌ルアーのテーパ面と液密なシールを形成することができる。
ISO594−2に準拠した雄ネジを有する図18に示した雌ルアー850とのネジロック接続を説明する。この場合は、図2A、図2B、図3に示すように、雄ルアー20にロックナット30を装着し、雄ルアー組立体11を構成する。ロックナット30の位置規制突起33が雄ルアー20の環状突起24と一対の案内突起26との間に位置するように、ロックナット30を雄ルアー20に配置する。この状態で、雄ルアー20のテーパ面22を雌ルアー850のテーパ面852に挿入し、ロックナット30の雌ネジ32と雌ルアー850の雄ネジ853とを螺合させる。図9Aは、雄ルアー組立体11と雌ルアー850とをネジロック接続した状態を示した側面図、図9Bはその断面図である。ロックナット30の雌ネジ32はISO594−2に準拠しているので、雌ルアー850のISO594−2に準拠した雄ネジ853と螺合させることができる。ロックナット30の位置規制突起33と雄ルアー20の環状突起24とが係合しているので、雄ルアー20はロックナット30とともに移動する。雌ルアー850に対してロックナット30を更に回転することができなくなるまで回転させれば、雄ルアー20のテーパ面22と雌ルアー850のテーパ面852とが密着する。テーパ面22,852はISO594−1に準拠しているので液密なシールが形成される。ロックコネクタ50は、雄ルアー20に接続されたチューブ29が挿入されているので、紛失することがない。ネジロック接続の解除は、雌ルアー850に対してロックナット30を上記とは逆に回転させればよい。
上記のネジロック接続及び/又はネジロック接続の解除を、ロックナット30にロックコネクタ50を被せた状態で行ってもよい。この場合、ロックコネクタ50を指でつまんで回転させる。ロックナット30の外周面の複数の突条38とロックコネクタ50の内周面の複数の溝53とが嵌合するので、回転トルクをロックナット30に伝達することができる。ロックナット30より大きな外径を有するロックコネクタ50を回転させることにより、より大きな回転トルクを雌ネジ32と雄ネジ853との螺合部分に加えることができる。従って、テーパ面22,852による、より液密なシールを形成することができる。
但し、本発明において突条38及び溝53は必須ではなく、これらを省略してもよい。
図14A、図14Bに示したニードルレスポート800との爪ロック接続を説明する。この場合は、図4A、図4B、図5に示すように雄ルアー組立体11にロックコネクタ50を装着する。ロックコネクタ50の一対の把持面52を指でつまんで、雄ルアー20のテーパ面22をニードルレスポート800のセプタム810のスリット811に挿入する。ロックコネクタ50の天板54(即ち、開口55の端縁)と雄ルアー20の一対の案内突起26とが係合しているので、雄ルアー20はロックコネクタ50とともに移動する。ロックコネクタ50の本体部51の下端がニードルレスポート800の上面に接触するほどにロックコネクタ50をニードルレスポート800に押し付ける。その状態で、ロックコネクタ50をニードルレスポート800に対して回転させる。これにより、ロックコネクタ50のロック片57の内周面に形成された係合爪58とニードルレスポート800の係合突起807とを係合させることができる。係合爪58の一端に隣接するストッパ部59に係合突起807の一端が当接するまでロックコネクタ50をニードルレスポート800に対して回転させれば、係合爪58と係合突起807とを十分に深く係合させることができる。図10Aはコネクタ1とニードルレスポート800とを爪ロック接続した状態を上方から見た斜視図、図10Bはこの断面図である。爪ロック接続の解除は、ロックコネクタ50をニードルレスポート800に対して上記とは逆に回転させて係合爪58と係合突起807との係合を解除した後、雄ルアー20をニードルレスポート800から引き抜けばよい。
以上のように、本実施形態のコネクタ1は、可逆的に装着及び分離が可能な、雄ルアー20とロックナット30とロックコネクタ50とを備える。従って、スリップ接続は、ロックコネクタ50及びロックナット30を使用せずに(即ち、ロックナット30及びロックコネクタ50を退避させて)行うことができる。ネジロック接続は、雄ルアー20にロックナット30を装着して雄ルアー組立体11を組み立てて行うことができる。爪ロック接続は、雄ルアー組立体11のロックナット30にロックコネクタ50を被せた状態で行うことができる。
爪ロック接続時(図10A、図10B参照)には、雄ルアー20の基端23側への移動は、雄ルアー20の一対の案内突起26がロックコネクタ50の天板54(開口55の端縁)に係合すること(第2移動制限機構)により制限される。従って、雄ルアー20の先端のテーパ面22のロックコネクタ50からの突き出し長さは、ロックナット30とは無関係に、一対の案内突起26と天板54(開口55の端縁)との配置(即ち、第2移動制限機構の構成)によって決定される。ゆえに、爪ロック接続時の雄ルアー20のテーパ面22の突き出し長さを、必要なだけ長く設定することが可能である。
一方、ネジロック接続時(図9A、図9B参照)には、雄ルアー20の基端23側への移動は、雄ルアー20の環状突起24がロックナット30の位置規制突起33に係合すること(第1移動制限機構)により制限される。従って、雄ルアー20の先端のテーパ面22のロックナット30からの突き出し長さ(より正確には、雄ルアー20の先端から雌ネジ32までの上下方向距離)は、ロックコネクタ50とは無関係に、環状突起24と位置規制突起33との配置(即ち、第1移動制限機構の構成)によって決定される。ゆえに、ネジロック接続時の雄ルアー20のテーパ面22の突き出し長さは、図15A、図15B、図16A〜図16Cに示した従来の雄ルアー組立体910とは異なり、ISO594−2で許容された範囲内において、望ましいネジロック接続を実現する観点から設計することができる。その結果、ネジロック接続時に、ロックナット30の雌ネジ32と雌ルアー850の雄ネジ853とが螺合する領域を十分に確保することが可能となるので、雌ネジ32と雄ネジ853との螺合が緩む可能性を低減することができる。
本実施形態1のように、第1移動制限機構を構成する環状突起24と、第2移動制限機構を構成する案内突起26とを、異なる部材として雄ルアー20に設けることは、上記の本発明の効果を奏するコネクタの設計が容易になるので好ましい。
ネジロック接続時(図9A、図9B参照)には、ロックナット30の位置規制突起33が雄ルアー20の環状突起24に当接する(第1移動制限機構)ことにより、ロックナット30の雄ルアー20に対する上下方向における位置が決定される。一方、爪ロック接続時(図10A、図10B参照)には、位置規制突起33と環状突起24とが離れて、ロックナット30が雄ルアー20に対して上方に移動する。このように、ネジロック接続時と爪ロック接続時とで、雄ルアー20に対するロックナット30の上下方向位置が変化することは、それぞれの接続方法に望ましい雄ルアー20のテーパ面22の突き出し長さを両立させることが容易になるので好ましい。
ネジロック接続時には、図9A、図9Bに示されているようにロックコネクタ50をチューブ29上に退避させることができるので、図19A、図19Bと比較すれば理解できるように、ネジロック接続部分は径方向の局所的な突出がなく、小径である。従って、患者に不快感を感じさせる可能性が低減する。
(実施形態2)
実施形態1では、図9A及び図9Bに示すようにネジロック接続をしたとき、ロックコネクタ50がチューブ29上で自由に移動可能であるために、ロックコネクタ50の位置によってはロックコネクタ50が作業の邪魔になることがある。また、図2A、図2B、及び図3に示すように、雄ルアー組立体11とロックコネクタ50とが分離した状態から爪ロック接続(図10A、図10B参照)を行う場合に、ロックコネクタ50が雄ルアー組立体11から遠く離れた位置に移動していると、ロックコネクタ50をチューブ29上を雄ルアー組立体11にまで移動させる必要があり、作業性が悪い。
本実施形態2は、ロックコネクが非使用時にチューブ29上を自由に移動できないようにすることで、実施形態1の上記の問題を解決する。本実施形態2のコネクタは、ロックコネクタの構成に関して実施形態1のコネクタ50と相違する。以下、実施形態1と異なる点を中心に本実施形態2を説明する。
図11は、本実施形態2に係るコネクタを構成するロックコネクタ60の上方から見た斜視図である。図11において、実施形態1のロックコネクタ50と同じ構成要素には同じ符号を付しており、それらについての詳細な説明を省略する。
ロックコネクタ60の天板54には、一対の第1円弧61と、一対の第1円弧61に接続された第2円弧62及び第3円弧63とを含む開口形状を有する開口65が形成されている。換言すれば、開口65は、実施形態1に示した円形の開口55の端縁の対向する位置に円弧状の2つの切り欠き(即ち、第2円弧62及び第3円弧63)を形成したのと類似した開口形状を有する。
第1円弧61の中心は、ロックコネクタ60の中心軸(即ち、本体部51の内周面の中心軸)上にある。第1円弧61で囲まれた領域の内径は雄ルアー20の円筒面25の外径及びチューブ29の外径より大きく、雄ルアー20の一対の案内突起26の頂部の外接円の直径より小さい。
第2円弧62は、第1円弧61に対して偏心している。第2円弧62で囲まれた領域の内径は第1円弧61で囲まれた領域の内径より小さく、好ましくはチューブ29の外径より小さい。
第3円弧63は、第1円弧61に対して、第2円弧62とは反対側に偏心している。第3円弧63で囲まれた領域の内径は第1円弧61で囲まれた領域の内径及び第2円弧62で囲まれた領域の内径のいずれよりも小さく、好ましくはチューブ29の外径より小さい。
第2円弧62及び第3円弧63の各中心角は、いずれも180°より大きく、270°より小さいことが好ましい。
以上のように構成されたロックコネクタ60の使用方法を説明する。
実施形態1のロックコネクタ50と同様に、ロックコネクタ60の開口65をチューブ29が貫通する。通常は、チューブ29は第1円弧61によって囲まれた領域内に配置される。第1円弧61の内径はチューブ29の外径より大きいので、ロックコネクタ60はチューブ29上を自由に移動可能である。
爪ロック接続(図10A、図10B参照)を行わない場合など、ロックコネクタ60を使用しな場合には、第1円弧61内にあるチューブ29を第2円弧62内へ移動させる。チューブ29は柔軟性を有するので、僅かに変形して第1円弧61と第2円弧62との境界を通過させることができる。第2円弧62の内径は第1円弧61の内径より小さいので、第2円弧62の端縁とチューブ29の外周面との間に発生する摩擦力によってロックコネクタ60がチューブ29上を移動するのが制限される。第2円弧62の内径がチューブ29の外径より小さいと、第2円弧62の端縁がチューブ29を僅かに弾性変形させ、その結果、より大きな摩擦力が発生するので、ロックコネクタ60のチューブ29に沿った移動はより強く制限される。
チューブ29の外径、材質、弾性強度などによっては、チューブ29を内径がより小さな第3円弧63内に移動させてもよい。この場合も、チューブ29を第2円弧62内に移動させた場合と同様に、ロックコネクタ60のチューブ29に沿った移動が制限される。
チューブ29に沿ってロックコネクタ60を移動させたい場合には、第2円弧62又は第3円弧63内にあるチューブ29を第1円弧61内に移動させればよい。
以上のように、本実施形態のロックコネクタ60のチューブ29が貫通する開口65の端縁には、その端縁でチューブ29を挟持し保持することができる切り欠き(即ち、第2円弧62及び第3円弧63)が形成されている。ロックコネクタ60を使用しないときには、チューブ29を切り欠き内に移動させることにより、ロックコネクタ60をチューブ29上に固定することができる。その結果、ロックコネクタが非使用時にチューブ29上を自由に移動することによって、ロックコネクタが作業の邪魔になったり、爪ロック接続(図10A、図10B参照)を行う場合にロックコネクタをチューブ29に沿って雄ルアー組立体11にまで長距離を移動させる必要が生じたりする等の実施形態1のロックコネクタ50の問題が解消される。
また、実施形態1のロックコネクタ50と同様に、ロックコネクタ60は、非使用時にもチューブ29に貫通されているので、ロックコネクタ60を紛失することはない。
図11に示したように、切り欠きの端縁形状を円弧にすることにより、チューブ29を当該領域内に安定して保持することができる。
但し、切り欠きの端縁形状は、チューブ29を挟持することができる形状であればよく、円弧に限定されない。例えば、対向する平行な一対の辺を備えた一定幅の切り欠き(略矩形状の切り欠き)であってもよい。
開口65の端縁に形成される切り欠きの数は、上記の実施形態のように2つに限定されず、これより少なくても、多くてもよい。
本実施形態では、開口65の設計によっては、雄ルアー20の案内突起26が切り欠きを通過してしまい、第2移動制限機構が有効に機能しない場合があるかも知れない。そのような場合には、切り欠きの数、配置、寸法等を含む開口65の設計や、雄ルアー20の案内突起26の数、配置、寸法等を適宜変更すればよい。
本実施形態2は、上記以外は実施形態1と同じであり、実施形態1で説明したのと同様の効果を奏する。
(実施形態3)
実施形態2では、ロックコネクタの非使用時に、チューブ29上に固定することができるロックコネクタを説明した。本実施形態3では、ロックコネクタの非使用時に、チューブ29から取り外すことができるロックコネクタを説明する。本実施形態3のコネクタは、ロックコネクタの構成に関して実施形態1,2のコネクタ50,60と相違する。以下、実施形態1と異なる点を中心に本実施形態2を説明する。
図12は、本実施形態3に係るコネクタを構成するロックコネクタ70の上方から見た斜視図である。図12において、実施形態1のロックコネクタ50と同じ構成要素には同同じ符号を付しており、それらについての詳細な説明を省略する。
ロックコネクタ70には、天板54の開口55から本体部51の下端まで、上下方向に延びたスリット71が形成されている。即ち、天板54及び本体部51がスリット71により周方向に分断され、上方から見るとロックコネクタ70は略C字形状を有している。スリット71の周方向の幅Wは、開口55の内径より小さく、好ましくはチューブ29の外径以下であり、更に好ましくはチューブ29の外径より小さい。
以上のように構成されたロックコネクタ70の使用方法を説明する。
実施形態1のロックコネクタ50と同様に、ロックコネクタ70の天板54の開口55をチューブ29が貫通する。開口55の内径は、チューブ29の外径より大きいので、ロックコネクタ70はチューブ29上を自由に移動可能である。また、スリット71の幅Wは開口55の内径より小さく、好ましくはチューブ29の外径以下であるので、チューブ29はスリット71を通過することは困難である。
爪ロック接続(図10A、図10B参照)を行わない場合など、ロックコネクタ70を使用しな場合には、スリット71にチューブ29を通過させて、ロックコネクタ70をチューブ29から取り外す。チューブ29は柔軟性を有するので、スリット71の幅Wがチューブ29の外径より小さい場合でも、チューブ29を僅かに圧縮変形させればスリット71を容易に通過させることができる。
取り外されたロックコネクタ70をチューブ29に装着する場合には、上記とは逆に、スリット71にチューブ29を通過させればよい。
以上のように、本実施形態のロックコネクタ70には、チューブ29を通過させることができるスリット71が形成されている。ロックコネクタ70を使用しないときには、このスリット71にチューブ29を通過させてロックコネクタ70をチューブ29から取り外す。その結果、ロックコネクタが非使用時にチューブ29上を自由に移動することによって、ロックコネクタが作業の邪魔になったり、爪ロック接続(図10A、図10B参照)を行う場合にロックコネクタをチューブ29に沿って雄ルアー20にまで長距離を移動させる必要が生じたりする等の実施形態1のロックコネクタ50の問題が解消される。
図13は、本実施形態3に係るコネクタを構成するロックコネクタ80の上方から見た斜視図である。図13において、実施形態1のロックコネクタ50と同じ構成要素には同同じ符号を付しており、それらについての詳細な説明を省略する。
ロックコネクタ80は、実施形態1のロックコネクタ50を、その中心軸を通る面に沿って2分割したのと概略同一構成を有する一対の半体80a,80bを有する。半体80aと半体80bとは、周方向の一方の側端に設けられたヒンジ81により開閉可能に接続されている。半体80a,80bのヒンジ81とは反対側の側端には、係止爪83a,83bが設けられている。半体80a,80bを閉じて(重ね合わせて)係止爪83a,83bを係合させると、半体80a,80bが閉じられた状態(図示せず)を維持することができる。
以上のように構成されたロックコネクタ80の使用方法を説明する。
通常は、係止爪83a,83bを係合させて半体80a,80bを閉じる。そして、実施形態1のロックコネクタ50と同様に、ロックコネクタ80の天板54の開口55にチューブ29を貫通させる。開口55の内径は、チューブ29の外径より大きいので、ロックコネクタ80はチューブ29上を自由に移動可能である。
爪ロック接続(図10A、図10B参照)を行わない場合など、ロックコネクタ80を使用しな場合には、係止爪83a,83bの係合を解除し、半体80a,80bを開き、ロックコネクタ80をチューブ29から取り外す。
取り外されたロックコネクタ80をチューブ29に装着する場合には、上記とは逆に、開口55内にチューブ29が位置するように半体80a,80bを閉じ、係止爪83a,83bを係合させればよい。
半体80a,80bの閉状態を維持するための係止部材の構成は、図13に示した係止爪83a,83bに限定されない。係止部材は、半体80a,80bに一体的に固定されている必要はなく、例えば半体80a,80bの少なくとも一方に対して可動の部材であってもよい。また、係止部材が半体80a,80bとは別の部材を含んでいてもよい。
以上のように、本実施形態のロックコネクタ80は、開閉可能な半体80a,80bと、半体80a,80bの閉状態を維持する係止部材(係止爪83a,83b)とを備える。ロックコネクタ80を使用しないときには、半体80a,80bを開いてロックコネクタ80をチューブ29から取り外す。その結果、ロックコネクタが非使用時にチューブ29上を自由に移動することによって、ロックコネクタが作業の邪魔になったり、爪ロック接続(図10A、図10B参照)を行う場合にロックコネクタをチューブ29に沿って雄ルアー20にまで長距離を移動させる必要が生じたりする等の実施形態1のロックコネクタ50の問題が解消される。
本発明のコネクタ1を構成する雄ルアー20、ロックナット30、ロックコネクタ50,60,70,80は、特に制限はないが、例えば樹脂材料を用いてそれぞれ一体に作成することができる。使用可能な樹脂材料は、特に制限はないが、例えばポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンを例示することができる。