WO2014142164A1 - 電子機器用筐体構造 - Google Patents
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Abstract
Description
これらの振動発生源から生じた振動は、電子機器を保持した電子機器用ユニットがユニット用筐体に装着された際、そのユニット用筐体の各部に伝播して騒音発生源となる。
さらに、HDDを複数台搭載する場合、互いの振動が干渉する際に、僅かなHDD振動数の差からうなり波形が表れ、耳障りな音としてクレームの要因となる場合があり、対策の必要性があった。
この解決策の有効な一つの例としては、振動発生源からの振動を騒音の放出源となりうるユニット用筐体の各部に伝播させないことである。
すなわち、電子機器を保持する電子機器用ユニット130には、振動発生源としての例えばHDD135が4個保持されている。この電子機器用ユニット130は、例えば、タワー型サーバ機器125のユニット用筐体111に対して、矢印A方向(着脱方向)に沿って移動可能となっており、かつ、容易に着脱可能となっている。
底面部112には、スライド用プレート112Aが設けられており、このスライド用プレート112Aの上面に電子機器用ユニット130の底面が当接し、かつスライドできるようになっている。
側面部113,113の互いに対向する内面部には、それぞれ上下方向に3本のガイドレール113Aが矢印A方向に沿って設けられている。
これに対して、ユニット用筐体111の上面部114には、ユニット押え部材115の取付け用係合部115B,115Bと係合する係合孔114B,114Bが形成されている。
この特許文献1に開示された音響機器の収納装置では、箱状のスリーブの4面に弾性部材からなる複数個のローラを設けた構成となっている。そのため、音響機器のスリーブへの収納および離脱が容易となり、ローラの弾性により音響機器が押圧されるので、筐体の振動が阻止されると共に外部からスリーブに加えられる振動が遮断される構成となっている。
この特許文献2に開示された引き出し装置では、収納部に収納されるビデオテープレコーダーを載置台に乗せて引き出す、筐体の側壁の下端部の桟のヘリサートナットにローラが回転自在に取り付け、載置台の両端部のスライダー金具によりローラを抱くようにして載置台をスライドして引き出すような構成となっている。
また、MD装置の収納等において、スリーブに挿入のMD装置をローラの弾性で押圧する音響機器の収納装置も知られている(特許文献3参照)。
すなわち、図6に示す電子機器用筐体構造110では、電子機器用ユニット130が、ユニット用筐体111のスライド用プレート112Aおよびガイドレール113Aと接触して着脱可能にスライドされており、ユニット用筐体111は、底面部112ではシート状の低弾性素材116と、側面部ではガイドレール113Aの間のシート状の低弾性素材117と、それぞれ直接に接触していない。
そのため、電子機器用ユニット130内に保持されている、例えばHDDの駆動に伴う振動が、シート状の低弾性素材116,117に直接伝播せずにユニット用筐体111に直接伝播するため、防振効果が不十分であり、筐体からの騒音発生を十分に抑制することができないという問題が生じている。
図7には、この既存例による振動伝播防止構造110での音圧の時間変化が示されている。この音圧の時間変化は、マイクロフォンによる音圧測定によって行われた結果を示したものである。
図7の測定結果からわかるように、固有振動の振幅が大きく、そのため、ユニット用筐体111に伝わる振動が大きいので騒音が発生するものであった。
しかし、上記音響機器の収納装置はMD装置用である。このMD装置は高さが低いため、音響機器の収納装置も高さが低いものとなっている。そのため、このような構成の収納装置を、HDD等のように高さの高い製品用として、しかも複数個(例えば4個)を保持できるように製作しようとすると、全体の長さが長いローラが必要となり、ローラの重量が重くなるため、音響機器の収納装置の重量もが嵩むという問題がある。
また、長さが長く重量も重いローラを取付けた後、何らかの理由により、そのローラが故障した場合、その1本ごと交換する必要があり効率が悪い。
また、特許文献3に開示された音響機器の収納装置でも、特許文献1と同様の問題がある。
本願発明の目的は、電子機器用ユニット内に保持された電子機器から発生する振動がユニット用筐体に伝播することによる騒音発生を抑制する電子機器用筐体構造を提供することにある。
また、電子機器用ユニットがユニット用筐体からの着脱時にローラ部材でガイドされるので、着脱が容易である。
さらに、ローラ部材が防振部材で構成され、かつ電子機器用ユニットの着脱時に回転するので、低弾性材料の防振部材がせん断力によって大きく変形することを防ぐことができ、防振部材の性能低下を防止する。
このユニット用筐体11には、ユニット30を支持しかつ着脱時に当該ユニット30をガイドするユニット支持機構18が複数箇所に設けられており、これらのユニット支持機構18は回転自在なローラ部材19を備えている。そして、このローラ部材19は弾性材料、特に低弾性材料からなる防振部材で構成されている。
このようなユニット30は、例えば、上記ユニット用筐体11を備えたタワー型サーバ機器25に装着される。
ユニット30の上面でHDD35の挿入口側には、後で詳細を説明する押え部材15に設けられた係止部15Aと係合する係合孔30Aが形成されている。
すなわち、ユニット支持機構18は、ユニット用筐体11の底面部12および対向する側面部13にそれぞれ複数個(本実施形態では各4個づつ)設けられており、ユニット支持機構18は、前述のように回転自在なローラ部材19を備えて構成されている。
そのため、各ローラ部材19の外周面とユニット30の周囲4面のうち3面の外周面とが直接接触した状態、つまり浮いた状態で、ユニット30が支持されている。
また、対向する側面部13,13には、着脱方向Aに沿って手前側と奥側との二列に、それぞれローラ部材19を有するユニット支持機構18が2個づつ配置されている。
底面部12と側面部13,13との着脱方向Aに沿って配置されたユニット支持機構18は、それぞれ手前側と奥側との間隔が略同じ寸法に設定されている。
ここで、電子機器用ユニット30においては、HDD等の振動発生源から発生する固有振動における振幅が極小となる箇所(振動の節)を支持すれば、効果的にユニット用筐体11への振動絶縁を行うことができるものである。
そして、この状態が、図1,3に示すように、前後方向のローラ部材19のそれぞれに(イ)、(ロ)を付して示されている。
すなわち、図5は、マイクロフォンによる音圧測定によって計測された図であり、測定では振動発生源として4個のHDDを搭載した。
HDDの回転数は15000rpmであり、これによって発生する振動の主要振動数は、250Hz(=15000/60)である。したがって、HDDに由来する音に着目するために、バンドパス・フィルタによって、中心周波数が250Hzのバンド帯の音波を抽出した。
軸部材20は、金属あるいは硬質プラスチックで形成されている。
上面部21Aの所定位置には、上記ユニット支持機構18のローラ部材19を回転自在に取付けるために開口部21Cが形成されている。
この軸支持部21Dは、上記ローラ部材19が着脱方向Aに沿って回転自在となるように、着脱方向Aと直交する方向に所定間隔をおいて設けられている。
すなわち、側面部13,13の所定位置には、上記ユニット支持機構18を回転自在に取付けるために開口部13A(図2参照)が形成されている。側面部13,13にそれぞれ配置されるユニット支持機構18は、その両端の軸部材20が垂直方向に向くように設けられ、そのため、ローラ部材19は垂直軸回りに回転自在となっている。
この際、ユニット支持機構18の荷重を受けるため、側面部13,13の該当位置には、垂直方向に配置されているユニット支持機構18の上下の軸部材20のうち、下側の軸部材20の下面と当接する軸受け部(図略)が、設けられている。
ユニット押え部材15は、略四角形形状に形成されており、ユニット用筐体11の前記着脱方向Aの前面部には、断面L字状に曲げて形成された前記係止部15Aが形成されている。
そのため、係止部15Aと係合孔30Aとを係合させることで、ユニット用筐体11に装着されたユニット30が着脱方向Aへ抜け出さないように防止することができる。
押圧部材16は、ユニット支持機構18のローラ部材19と同様のゴムまたはエラストマーで例えば円柱状に形成されている。そして、ユニット用筐体11に装着されたユニット30の上面を所定の圧力で押し付けて支持できるようになっている。
そのため、ユニット30がユニット用筐体11に装着された後、ユニット押え部材15をユニット用筐体11の上面部14に被せると、ユニット押え部材15の係止部15Aとユニット30の係合孔30Aとが係合すると共に、ユニット押え部材15の取付け用係合部15B,15Bとユニット用筐体11の上面部14の係合孔14B,14Bとが係合する。
まず、装着に際しては、ユニット用筐体11のユニット押え部材15を取り外しておく。次いで、所定のHDD35が保持されたユニット30を着脱方向Aに沿って移動させ、ユニット用筐体11内に挿入する。
次いで、押え部材15の係止部15Aをユニット用筐体11の上面部14の貫通孔14Cに挿通させ、さらに、ユニット30の係合孔30Aに係合させる。同時に、押え部材15の取付け用係合部15B,15Bをユニット用筐体11の上面部14の係合孔14B,14Bに係合させる。
すなわち、まず、押え部材15を上方に持ち上げて、その押え部材15の係止部15Aとユニット30の係合孔30Aとの係合を外すと共に、押え部材15の取付け用係合部15B,15Bとユニット用筐体11の上面部14の係合孔14B,14Bとの係合を外す。
(1)内部に振動発生源となるHDD35を保持したユニット30が、ローラ部材19を有するユニット支持機構18を介してユニット用筐体11に支持されているので、ユニット30とユニット用筐体11とが直接接触せず、ユニット30は浮構造で支持されている。そして、ローラ部材19が低弾性材料からなる防振部材で構成されているので、振動発生源であるHDD35から生じる振動のユニット用筐体11への伝播が抑制される。その結果、HDD35から発生する振動がユニット用筐体11に伝播しそこから音波として放射されることを防止することができ、騒音の発生を抑制することができる。
この場合、着脱方向Aの前方の取付け用係合部を、前記係止部15Aと同様の形状および大きさに形成すれば、係止部を兼用することができる。その結果、折り曲げ形成部を2箇所に設ければよく、加工の手間が少なくてすむ。
また、振動発生源として、実施形態ではHDDを用いて説明したが、HDD以外のディスク駆動装置、冷却ファン等の稼動部を有するデバイス全般に対しても適用してもよい。
内部に振動発生源となる電子機器を保持した電子機器用ユニットを着脱可能に装着するユニット用筐体を備え、
このユニット用筐体に、前記電子機器用ユニットを支持しかつ着脱時に当該電子機器用ユニットをガイドするローラ部材を有するユニット支持機構を設け、前記ローラ部材を弾性材料からなる防振部材で構成したことを特徴とする電子機器用筐体構造。
付記1に記載の電子機器用筐体構造において、
前記ユニット用筐体の前記上面の開口部に、前記ユニット用筐体に装着された前記電子機器用ユニットの上面を押え付けるユニット押え部材を設けたことを特徴とする電子機器用筐体構造。
付記2に記載の電子機器用筐体構造において、
前記ユニット用筐体を周囲4面からなる断面四角枠形状に形成し、
前記ユニット用筐体の前記上面を除く3面のそれぞれに、前記電子機器用ユニットの3面のそれぞれと当接する4個の前記ローラ部材を設けたことを特徴とする電子機器用筐体構造。
付記3に記載の電子機器用筐体構造において、
前記ユニット押え部材に、前記ユニット用筐体に装着された前記電子機器用ユニットが着脱方向に移動しないように係止部を設けると共に、当該係止部を前記電子機器用ユニットに形成された係合孔に係合可能としたことを特徴とする電子機器用筐体構造。
付記4に記載の電子機器用筐体構造において、
前記ローラ部材を、前記ユニット用筐体の前記3面のうち、底面部にあっては前記着脱方向に沿って所定間隔をおいて前後方向にそれぞれ2個づつ、対向する側面部にあっては前記着脱方向に沿って所定間隔をおいて前後方向にそれぞれ2個づつ配置したことを特徴とする電子機器用筐体構造。
付記5に記載の電子機器用筐体構造において、
前記各ローラ部材が配置された前後方向の前記所定間隔は、前記電子機器用ユニットが前記ユニット用筐体に装着されたとき前記電子機器用ユニットの固有振動の振幅が極小となる二つの節の間隔であることを特徴とする電子機器用筐体構造。
付記6に記載の電子機器用筐体構造において、
前記ユニット押え部材の裏面に、前記電子機器用ユニットの上面を押さえる押圧部材を設けたことを特徴とする電子機器用筐体構造。
付記7に記載の電子機器用筐体構造において、
前記押え部材を前記ユニット用筐体に対して着脱可能としたことを特徴とする電子機器用筐体構造。
付記8に記載の電子機器用筐体構造において、
前記電子機器用ユニットが複数のハードディスクドライブ装置を搭載したHDD保持電子機器用ユニットであることを特徴とする電子機器用筐体構造。
11 ユニット用筐体
12 底面部
13 側面部
14 上面部
14B 係合孔
15 ユニット押え部材
15A 係止部
16 押圧部材
18 ユニット支持機構
19 ローラ部材
30 電子機器用ユニット
35 HDD
Claims (9)
- 内部に振動発生源となる電子機器を保持した電子機器用ユニットを着脱可能に装着するユニット用筐体を備え、
このユニット用筐体に、前記電子機器用ユニットを支持しかつ着脱時に当該電子機器用ユニットをガイドするローラ部材を有するユニット支持機構を設け、前記ローラ部材を弾性材料からなる防振部材で構成したことを特徴とする電子機器用筐体構造。 - 請求項1に記載の電子機器用筐体構造において、
前記ユニット用筐体の前記上面の開口部に、前記ユニット用筐体に装着された前記電子機器用ユニットの上面を押え付けるユニット押え部材を設けたことを特徴とする電子機器用筐体構造。 - 請求項2に記載の電子機器用筐体構造において、
前記ユニット用筐体を周囲4面からなる断面四角枠形状に形成し、
前記ユニット用筐体の前記上面を除く3面のそれぞれに、前記電子機器用ユニットの3面のそれぞれと当接する4個の前記ローラ部材を設けたことを特徴とする電子機器用筐体構造。 - 請求項3に記載の電子機器用筐体構造において、
前記ユニット押え部材に、前記ユニット用筐体に装着された前記電子機器用ユニットが着脱方向に移動しないように係止部を設けると共に、当該係止部を前記電子機器用ユニットに形成された係合孔に係合可能としたことを特徴とする電子機器用筐体構造。 - 請求項4に記載の電子機器用筐体構造において、
前記ローラ部材を、前記ユニット用筐体の前記3面のうち、底面部にあっては前記着脱方向に沿って所定間隔をおいて前後方向にそれぞれ2個づつ、対向する側面部にあっては前記着脱方向に沿って所定間隔をおいて前後方向にそれぞれ2個づつ配置したことを特徴とする電子機器用筐体構造。 - 請求項5に記載の電子機器用筐体構造において、
前記各ローラ部材が配置された前後方向の前記所定間隔は、前記電子機器用ユニットが前記ユニット用筐体に装着されたとき前記電子機器用ユニットの固有振動の振幅が極小となる二つの節の間隔であることを特徴とする電子機器用筐体構造。 - 請求項6に記載の電子機器用筐体構造において、
前記ユニット押え部材の裏面に、前記電子機器用ユニットの上面を押さえる押圧部材を設けたことを特徴とする電子機器用筐体構造。 - 請求項6に記載の電子機器用筐体構造において、
前記押え部材を前記ユニット用筐体に対して着脱可能としたことを特徴とする電子機器用筐体構造。 - 請求項8に記載の電子機器用筐体構造において、
前記電子機器用ユニットが複数のハードディスクドライブ装置を搭載したHDD保持電子機器用ユニットであることを特徴とする電子機器用筐体構造。
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