JP2014165862A - スピーカ - Google Patents

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泰明 高野
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Abstract

【課題】干渉を抑えながら天井又は壁等に設置することができる軽量かつ薄型のスピーカを提供することを目的とする。
【解決手段】静電スピーカユニットは、指向性の強い平面波を振動面の法線方向に出力する。静電スピーカユニットの第1の面(背面)から出力された音は、吸音材が静電スピーカユニットの表面積以上の表面積を有するため、当該吸音材に吸音される。仮に、吸音材で吸音されない残りの音が存在しても、遮音材により音が通過することを防ぎ、他の物に反射して静電スピーカユニットの第2の面(正面)から出力された音波に干渉することはない。なお、遮音材は、壁又は天井そのものであってもよいし、別途薄い遮音材を設けてもよい。
【選択図】図2

Description

本発明は、入力された音声信号に基づいて放音するスピーカに関する。
従来、一般的なスピーカとしては、ダイナミック型スピーカユニットを備えたダイナミック型スピーカが知られている(特許文献1を参照。)。ダイナミック型スピーカユニットは、電磁力で振動面を振動させるために永久磁石を備える。
また、ダイナミック型スピーカユニットは、永久磁石を備えることにより重くなるため、天井や壁に設置するために十分な強度が必要になる。
そこで、シート形状の静電スピーカを用いることが考えられる。静電スピーカは、軽量であるため特別な補強をせずとも天井又は壁に設置可能である。
特開昭63−90299号公報
しかし、静電スピーカは、振動面の両面から該振動面の法線方向に平面波を出力するため、一方の面を天井や壁等に設置すると、当該一方の面から出力された音波が当該天井や壁等に反射し、他方の振動面から出力された音波に干渉することがある。
そこで、本発明は、干渉を抑えながら天井又は壁等に設置することができる軽量かつ薄型のスピーカを提供することを目的とする。
本発明のスピーカは、静電スピーカユニットを備え、前記静電スピーカユニットの第1の面側に設けられ、かつ、少なくとも前記静電スピーカユニットの表面積以上の吸音材が配置され、前記吸音材のうち前記静電スピーカユニットが配置された側と反対側に設けられ、かつ、少なくとも前記静電スピーカユニットの表面積以上の遮音材が配置され、前記静電スピーカユニット、前記吸音材、および前記遮音材を保持する保持部材を備える。
一般的に、スピーカは、前後それぞれ逆方向に互いに逆位相となる音波を放射状に出力する。一方の方向に出力された音波は、他方の方向に回り込むため干渉が発生する。特に、低音は、高音に比べ指向性が弱いため干渉しやすい。そこで、一般的なスピーカは、干渉を防ぐため、バッフル及びエンクロージャを必要とする。また、エンクロージャは、振動面の振幅を確保するために、十分な空間容積を必要とする。
一方、静電スピーカユニットは、指向性の強い平面波を振動面の法線方向(すなわち、振動面の正面側及び背面側)に出力するため、出力された平面波が互いの方向に回り込みにくい。そこで、本発明のスピーカは、バッフル及びエンクロージャを設けずとも、背面に吸音材を設けることで背面方向の音(平面波)だけを消し、回り込みによる干渉を防ぐ。
また、静電スピーカユニットは、回り込みやすくかつ吸音されにくい低音をほとんど出力しない。よって、本発明のスピーカは、吸音材だけでも十分に背面方向の音を消すことができる。
さらに、吸音材は、保持部材により静電スピーカユニットと遮音材との間に保持される。静電スピーカユニットの第1の面(背面)から出力された音は、吸音材が静電スピーカユニットの表面積以上の表面積を有するため、当該吸音材に吸音される。仮に、吸音材で吸音されない残りの音が存在しても、遮音材により音が通過することを防ぎ、他の物に反射して静電スピーカユニットの第2の面(正面)から出力された音波に干渉することはない。なお、遮音材は、壁又は天井そのものであってもよいし、別途薄い遮音材を設けてもよい。
これにより、本発明のスピーカは、バッフル及びエンクロージャを設けない軽量かつ薄型の構造であっても、静電スピーカユニットの第1の面から出力された音が、例えば天井や壁に反射して、静電スピーカユニットの第2の面から出力された直接音に干渉することを防ぐことができる。よって、本発明のスピーカは、静電スピーカユニットの第1の面側(背面側)を天井又は壁等に設置可能である。
なお、前記保持部材は、前記静電スピーカユニット、前記吸音材、および前記遮音材を一体に収納する筐体形状からなってもよい。
この構成において、スピーカは、静電スピーカユニットの第1の面から出力された音を外部に出力しないため、静電スピーカユニットの第1の面側に音を反射させる物が存在しても設置可能である。さらに、保持部材が静電スピーカユニット、吸音材、および遮音材を一体に収納するため、スピーカは、可搬性に優れ、かつ設置性が良い。
前記保持部材は、ダンボール又はポリプロピレン発泡シートからなることが望ましい。
ダンボール及びポリプロピレン発泡シートは、静電スピーカユニット、遮音材、及び吸音材を保持するために必要な強度を備えつつ、部材として軽量である。よって、ダンボール及びポリプロピレン発泡シートは、軽量なスピーカを天井又は壁等に設置するためには望ましい材料である。
また、前記保持部材は、前記静電スピーカユニットの第2の面側に媒体貼り付け用の貼り付け面を備える態様であっても構わない。
さらに、前記貼り付け面は、前記媒体が繰り返し剥離可能な材質になっていてもよい。
この場合、スピーカは、視覚による情報提供用の媒体(例えばポスター)を貼り付け面に貼り付けた態様で設置可能である。
また、前記吸音材は、ポリウレタンフォームからなることが望ましい。
ポリウレタンフォームは、グラスウール等の吸音材に比べ、表面を平滑に成形可能である。静電スピーカユニットは、表面を平滑にしたポリウレタンフォームからなる吸音材と重ねて保持されることで、表面を平滑な形状に維持される。また、ポリウレタンフォームは、吸音率が高く、加工性がよく、例えば、厚みが均一な板形状に加工でき、かつ低コストでもある。
本発明によれば、スピーカは、静電スピーカユニットの薄型かつ軽量である特徴を活かしつつ、例えば天井又は壁等に設置したとしても干渉を抑えることができる。
実施形態1に係るスピーカ1の下面の斜投影図である。 実施形態1に係るスピーカ1の設置状態を示す図である。 実施形態1に係るスピーカ1の放音特性を示すグラフである。 実施形態2に係るスピーカ2を示す図である。 スピーカ2の変形例に係るスピーカ2Aの正面の斜投影図である。 スピーカ2Aの設置状態を示す図である。 実施形態3に係るスピーカ3の正面の斜投影図である。
実施形態1に係るスピーカ1について、図1および図2を用いて説明する。図1は、スピーカ1の下面の斜投影図である。図2は、スピーカ1が壁面Wに設置されたときのA−A断面図である。
スピーカ1は、アンプ14とスピーカケーブル15を介して接続されている。スピーカ1は、アンプ14から出力される音声信号に基づいて、放音するものである。
スピーカ1は、図1に示すように、高さ方向(図中Y、−Y方向)に長く、厚み(図中Z、−Z方向)が薄い直方体形状である。スピーカ1の正面(図中Z側の面)及び背面(図中−Z側の面)は、それぞれ高さが紙の工業規格の寸法A0に等しい。スピーカ1の正面及び背面は、それぞれ幅(図中X、−X方向)が紙の工業規格の寸法A0よりわずかに(例えば3cm)長い。スピーカ1の厚みは、例えば4cmである。以下、図1において、スピーカ1のY側の面を上面とし、−Y側の面を下面とし、X側の面を右側面とし、−X側の面を左側面とする。ただし、スピーカ1の正面及び背面の形状は、紙の工業規格の寸法A0に限らず、任意である。例えば、スピーカ1の正面及び背面は、紙の工業規格の寸法B1又は寸法B2に等しくてもよいし、他の規格(例えば建築材料の寸法規格)に応じた寸法であってもよいし、規格によらない高さ又は幅であってもよい。
スピーカ1は、保持枠10L、保持枠10R、静電スピーカユニット11、および吸音スポンジ12からなる。
静電スピーカユニット11は、図1に示すように、高さ方向に長い矩形のシート形状であり、薄型かつ軽量のスピーカユニットである。静電スピーカユニット11の表面(XY平面)は、スピーカ1の正面と略同じ形状であり、幅がスピーカ1の幅よりわずかに(例えば3cm)短い。静電スピーカユニット11の厚みは例えば1.5mmである。
吸音スポンジ12は、図1に示すように、高さ方向に長く、かつ厚みが薄い直方体形状である。吸音スポンジ12の高さは、静電スピーカユニット11の高さと同じである。吸音スポンジ12の幅は、静電スピーカユニット11の幅より左右方向にそれぞれ例えば1cm長い。吸音スポンジ12の厚みは、例えば3cmである。吸音スポンジ12は、軽量かつ吸音率の高い材料(例えばポリウレタンフォーム)からなる。
吸音スポンジ12の正面(図中Z側の面)は、図1に示すように、静電スピーカユニット11の裏面(図中−Z側の面)に当接している。
保持枠10Lおよび保持枠10Rは、それぞれ静電スピーカユニット11及び吸音スポンジ12を保持するための強度を備えた軽量な発泡シートからなる。発泡シートは、ポリプロピレンを押出発泡成形してなる。保持枠10Lおよび保持枠10Rは、図1に示すように、それぞれ高さ方向に長い。保持枠10L(および保持枠10R)は、スピーカ1の左側面(および右側面)に配置される。保持枠10Lは、前面部100Lおよび側面部101Lからなる。保持枠10Lは、図2に示すように、スピーカ1を−Y方向に見たときに、L字型をなしている。保持枠10Rは、前面部100Rおよび側面部101Rからなる。保持枠10Rは、スピーカ1を−Y方向に見たときに、左右反転したL字型をなしている。
前面部100Lおよび前面部100Rは、図2に示すように、それぞれ静電スピーカユニット11よりもスピーカ1の正面方向に配置されている。前面部100Lおよび前面部100Rは、スピーカ1の正面視において、静電スピーカユニット11の左右の縁に重なるようにそれぞれ配置されている。
スピーカ1は、図2に示すように、背面を壁面Wに対向させるように設置される。すなわち、吸音スポンジ12は、壁面Wから最も近くに配置される。保持枠10Lの背面側および吸音スポンジ12の背面の一部は、両面テープ16によって、それぞれ壁面Wに接着される。保持枠10Rの背面側も、両面テープ16によって、それぞれ壁面Wに接着される。
前面部100Lおよび前面部100Rは、保持枠10Lおよび保持枠10Rが接着されることにより、静電スピーカユニット11および吸音スポンジ12の右縁および左縁を、図2の紙面上側(壁面Wが存在する側)にそれぞれ抑える。その結果、保持枠10Lおよび保持枠10Rは、図2に示すように、それぞれ静電スピーカユニット11、吸音スポンジ12および壁面Wの配置を保持する。
スピーカケーブル15を通す孔13は、側面部101Rに設けられている。スピーカケーブル15の一端は、静電スピーカユニット11に接続される。スピーカケーブル15の他端は、アンプ14に接続される。アンプ14から出力される音声信号は、静電スピーカユニット11の内部の振動面を該振動面の法線方向に振動させる。その結果、静電スピーカユニット11は、スピーカ1の正面に平行な平面波を、正面方向および背面方向に出力する。
スピーカ1の背面方向に出力された平面波は、吸音スポンジ12によって吸収される。吸音スポンジ12は、正面の面積が静電スピーカユニット11の表面積より大きいため、平面波全体を吸収できる。仮に、吸収しきれずに吸音スポンジ12を通過する平面波があったとしても、当該平面波は、本発明の遮音材に相当する壁面Wを通過しない。壁面Wで反射した反射波は、壁面Wが静電スピーカユニット11と平行であるため、壁面Wに到達する平面波と真逆の方向に進行する。すなわち、反射波は、吸音スポンジ12の背面(−Z側の面)に戻り、スピーカ1の外側に広がらない。反射波は、吸音スポンジ12に到達すると、再び吸収される。その結果、静電スピーカユニット11からスピーカ1の背面方向に出力された平面波は、吸音スポンジ12によって吸収され、スピーカ1の正面方向に出力された平面波と干渉を起こさない。
図3は、スピーカ1の放音特性を示すグラフである。横軸は、スピーカ1から放音された音の周波数であり、縦軸は、スピーカ1から放音された音の音圧である。音圧の測定位置は、スピーカ1からスピーカ1の正面方向に1m離れた位置である。
図3において、実線は、壁面Wに設置したときのスピーカ1の放音特性である。点線は、吸音スポンジ12を備えない静電スピーカユニット11だけの放音特性であって、静電スピーカユニット11の背面方向に音を反射させる物(例えば壁面W)を配置していないときの放音特性である。すなわち、点線は、静電スピーカユニット11の背面方向に出力された音が反射して正面方向に回り込むことがないため、理想的な放音特性である。破線は、吸音スポンジ12を配置せず、静電スピーカユニット11の背面方向に3cm離れた位置に壁面Wを配置した時の放音特性である。すなわち、破線は、壁面Wで反射した反射音が静電スピーカユニット11の正面側に発生する直接音に干渉したときの放音特性である。
直接音は、反射音の干渉を受けると、同位相同士なら音を強め、逆位相同士なら音を弱める。よって、図3の破線に示すように、干渉を受けた直接音は、特定の周波数帯域において、理想的な放音特性より、音圧が高くなったり、低くなったりする。特に、干渉を受けた直接音は、低域側の音圧の落ち込みが大きい。図3の例では、ピークの音圧から10dB低い音圧となる低い方の周波数(以下、再生低周波数と称す。)について、理想的な放音特性の再生低周波数は、400Hzであるのに対し、直接音に干渉がある場合の再生低周波数は、500Hzとなっている。
一方、スピーカ1の放音特性は、図3の破線に示す放音特性に対し、理想的な放音特性に近づいている。特に、スピーカ1の400Hz以上の放音特性は、理想的な放音特性に略等しい。また、スピーカ1の再生低周波数は、400Hzであり、理想的な放音特性の再生低周波数に等しい。さらに、スピーカ1の放音特性は、400Hz未満の帯域においても、図3の破線に示す放音特性より音圧が高く、理想的な放音特性に近づいている。すなわち、スピーカ1は、干渉による低域の音圧低下を防止している。
以上のように、スピーカ1は、静電スピーカユニット11の軽量かつ薄型である特徴を活かしつつ、背面を壁面Wに設置したとしても干渉を抑えることができる。
なお、吸音スポンジ12の正面の面積は、平面波が放射状に広がらないため、少なくとも静電スピーカユニット11の表面積と同じであればよい。
なお、スピーカ1を壁面Wに設置せず、天井に設置してもよいし、遮音効果のある樹脂板に貼り付ける態様であっても構わない。例えば、スピーカ1は、樹脂板からなるパーティションに貼り付けられてもよい。この場合、スピーカ1は、壁面および天井に限らず、設置可能である。
なお、スピーカ1は、吸音する部材として、ポリウレタンフォームからなる吸音スポンジ12を備えるが、他の部材であっても構わない。
例えば、より吸音率が高い吸音部材は、厚みが薄くても吸音できるため、スピーカ1の厚みを薄くすることができる。吸音率が高い吸音部材としては、ポリウレタンフォームまたはグラスウールが適している。
また、例えば、より表面が平滑な吸音材を用いれば、当該吸音材と接する静電スピーカユニット11の振動面及び電極面は平滑になりやすい。その結果、スピーカ1は、静電スピーカユニット11の振動面及び電極面の凸凹形状に起因する平面波の歪みを抑え、平面波の指向性を維持しやすくなる。表面を平滑にしやすい吸音部材としては、ポリウレタンフォームまたは表面に平滑な膜を貼り付けたグラスウールが適している。
また、例えば、より強度の高い吸音部材は、単体で形状を保つことができるため設置性を良くする。強度の高い吸音部材としては、グラスウールが適している。また、より加工性の良い吸音部材は、静電スピーカユニット11の形状に合わせて(例えば板形状に)加工しやすく、厚み調節(例えば厚みの均一化)を容易にする。加工性の良い吸音部材としては、ポリウレタンフォーム、又は厚手の不織布(工業繊維又は動物の毛からなる物)が適している。ポリウレタンフォームは、他の部材より低コストである点においても優れる。
以上のように、ポリウレタンフォームは、吸音率が高く、当接した静電スピーカユニット11の表面を平滑にするだけでなく、加工性がよく、かつ低コストであるため、スピーカ1の吸音材として最適である。
また、保持枠10Lおよび保持枠10Rは、ポリプロピレンからなる態様に限らない。例えば、より強度の高い部材を用いると、薄く又は小さくしても、静電スピーカユニット11及び吸音スポンジ12を保持することができる。強度の高い部材としては、PET板又は炭素繊維強化樹脂板が適している。
例えば、より軽量な部材は、スピーカ1を軽くすることができ、スピーカ1の設置性を良くする。軽量な部材としては、ポリプロピレン発泡シート、ダンボール又は炭素繊維強化樹脂板が適している。
例えば、より加工性の良い部材は、静電スピーカユニット11及び吸音スポンジ12の形状に合わせて加工しやすい。加工性の良い部材としては、ダンボール又はポリプロピレン発泡シートが適している。なお、ダンボール及びポリプロピレン発泡シートは、低コストでもある。
以上のように、ダンボール及びポリプロピレン発泡シートは、静電スピーカユニット11、吸音スポンジ12、及び壁面Wの配置を保持するための強度を備え、軽量であり、加工性がよく、かつ低コストであるため、スピーカ1の保持部材として最適である。
また、保持枠10Lおよび保持枠10Rは、スピーカ1を高さ方向に見てL字型(又は左右反転のL字型)に限らず、例えばコの字型であってもよく、配置を保持するものであればどんな形状であってもよい。
次に、実施形態2に係るスピーカ2について、図4を用いて説明する。図4(A)は、スピーカ2の正面の斜投影図である。図4(B)は、B−B断面図である。スピーカ1と重複する構成の説明は省略する。
スピーカ2は、スピーカ1に備えられた保持枠10L及び保持枠10Rに変えて、静電スピーカユニット11、吸音スポンジ21、および遮音材22を筐体20で保持するものである。
スピーカ2は、図4(B)に示すように、静電スピーカユニット11、筐体20、吸音スポンジ21、および遮音材22を備える。
吸音スポンジ21の形状、材質、および静電スピーカユニット11との配置関係は、スピーカ1の吸音スポンジ12とそれぞれ同じである。
遮音材22は、厚さ3mmの樹脂板からなる。遮音材22の正面(Z側の面)は、図4(B)に示すように、静電スピーカユニット11が配置される側と反対側で吸音スポンジ21の背面(−Z側の面)に当接されている。遮音材22の正面の形状は、吸音スポンジ21の背面の形状と一致している。すなわち、遮音材22の表面積は、静電スピーカユニット11の表面積より大きい。ただし、遮音材22の表面積は、平面波が放射状に広がらないため、少なくとも静電スピーカユニット11の表面積と同じであればよい。
筐体20は、図4(A)に示すように、高さ方向(図中Y、−Y方向)に長く、厚み(図中Z、−Z方向)が薄い直方体形状の箱である。筐体20は、静電スピーカユニット11の正面の縁以外を露出するように正面が開口されている。筐体20の各面は、板紙厚5mmのダンボールからなる。
筐体20は、図4(B)に示すように、静電スピーカユニット11、吸音スポンジ21、および吸音材22を一体に収納する。すなわち、図4(B)中の点線に示す筐体内部24の高さ(図中Y、−Y方向)及び幅(図中X、−X方向)は、紙の工業規格の寸法A0よりそれぞれわずかに長い。筐体内部24の奥行(図中Z、−Z方向)は、静電スピーカユニット11の厚み、吸音スポンジ21の厚み、および遮音材22の厚みの合計長に等しい。ただし、筐体内部24の高さ及び幅は、紙の工業規格の寸法A0に限らず、任意でもよく、静電スピーカユニット11、吸音スポンジ12、及び遮音材22を収納するように設けられればよい。
吸音スポンジ21を通過した平面波は、遮音材22に到達する。遮音材22は、平面波を通過させないため、背面方向に音を出さない。仮に、遮音材22を通過する平面波が存在しても、筐体20の背面も、遮音材としてスピーカ2の背面方向に音が出力されることを防ぐ。
スピーカ2は、吸音スポンジ21及び遮音材22により背面から音を出さないため、背面に音を反射させる物が存在しても設置可能である。さらに、スピーカ2は、筐体20を備えていることより、可搬性に優れ、かつ設置性が良い。
次に、図5および図6を用いて、スピーカ2の変形例に係るスピーカ2Aについて説明する。図5は、スピーカ2Aの正面の斜投影図である。図6は、スピーカ2Aの設置状態を示す図である。スピーカ2と重複する構成の説明は省略する。
スピーカ2Aは、吊り下げられて設置可能である点において、スピーカ2と相違する。スピーカ2は、静電スピーカユニット11、筐体20、吸音スポンジ21、遮音材22、フック23U、およびフック23Bを備える。フック23Uは、筐体20の上面に取り付けられる。フック23Bは、筐体20の下面に取り付けられる。
スピーカ2Aは、図6(A)に示すように、天井Cに固定されたブラケット200にフック23Uが引っ掛けられることにより、吊り下げ設置される。また、スピーカ2Aは、図6(B)に示すように、天井Cに固定されたブラケット200にフック23Uが引っ掛けられ、かつ、壁面Wに固定されたブラケット201にフック23Bが引っ掛けられることにより、斜めに吊り下げ設置される。どちらの設置においても、スピーカ2Aは、背面方向に音を出さないため、背面が壁面または部屋の四隅に向けられても設置可能である。
次に、実施形態3に係るスピーカ3について図7を用いて説明する。図7(A)は、スピーカ3の下面の斜投影図である。図7(B)は、設置されたスピーカ3のC−C断面図である。スピーカ1と重複する構成の説明は省略する。
スピーカ3は、正面に媒体(例えばポスター32)が繰り返し貼り付け可能な点において、スピーカ1及びスピーカ2と相違する。スピーカ3は、保持枠10LA、保持枠10RA、静電スピーカユニット11、吸音スポンジ12を備える。保持枠10LAは、前面部100LAおよび側面部101Lからなる。保持枠10RAは、前面部100RAおよび側面部101Rからなる。
前面部100LAおよび前面部100RAは、PP(;Poly−Propylene)加工により、それぞれの表面にポリプロピレンシートが圧着されている。その結果、前面部100LAおよび前面部100RAは、それぞれの表面が平滑になり、かつそれぞれの表面の強度が増している。
前面部100LA及び前面部100RAは、それぞれ静電スピーカユニット11よりスピーカ3の正面側に備えられるため、ポスター32を貼り付け可能である。また、静電スピーカユニット11は、当接する吸音スポンジ12の正面が平滑であるため、正面が平滑になる。そして、ポスター32は、左右の縁を除いて、正面が平滑な静電スピーカユニット11に当接することにより、平滑となるため、スピーカ3の見た目を良くする。また、一般的に、ポスター等の紙媒体は、背面が凸凹面に接すると、凸凹面に密着せず浮き上がった場所を例えば指で抑えられると破損しやすくなる。しかし、ポスター32は、接する静電スピーカユニット11の正面が平滑であるため、例えば指で押さえられても破損しにくい。さらに、静電スピーカユニット11の露出する正面は、形状が紙の工業規格A0と略同一であるため、平面波をポスター32のほぼ全面から出力することができる。
また、前面部100LA及び前面部100RAは、それぞれの表面が平滑、かつ強度が増しているため、接着テープ31を繰り返し貼り付け可能である。ただし、スピーカ3は、前面部100LAおよび前面部100RAにPP加工がされてなくても、それぞれ接着テープ31によりポスター32を貼り付けることができる。なお、接着テープ31に限らず、接着剤によってポスター32を貼り付ける態様も可能である。無論、実施形態1に係るスピーカ1又は実施形態2に係るスピーカ2の正面にポスター32を貼り付けても構わない。
以上のように、薄型、軽量、かつ形状が保持可能なスピーカ3は、容易に交換可能なポスター32と併せて、POP(;Point of Purchase)広告として用いることができる。
1、2、2A、3…スピーカ
10L、10LA…保持枠
10R、10RA…保持枠
11…静電スピーカユニット
12、21…吸音スポンジ
13…孔
14…アンプ
15…スピーカケーブル
16…両面テープ
20…筐体
24…筐体内部
22…遮音材
23B、23U…フック
100L、100LA…前面部
100R、100RA…前面部
101L、101R…側面部
200、201…ブラケット

Claims (6)

  1. 静電スピーカユニットを備えたスピーカであって、
    前記静電スピーカユニットの第1の面側に設けられ、かつ、少なくとも前記静電スピーカユニットの表面積以上の吸音材が配置され、
    前記吸音材のうち前記静電スピーカユニットが配置された側と反対側に設けられ、かつ、少なくとも前記静電スピーカユニットの表面積以上の遮音材が配置され、
    前記静電スピーカユニット、前記吸音材、および前記遮音材を保持する保持部材
    を備えるスピーカ。
  2. 前記保持部材は、前記静電スピーカユニット、前記吸音材、および前記遮音材を一体に収納する筐体形状からなる
    請求項1に記載のスピーカ。
  3. 前記保持部材は、ダンボール又はポリプロピレン発泡シートからなる
    請求項1または請求項2に記載のスピーカ。
  4. 前記保持部材は、前記静電スピーカユニットの第2の面側に媒体貼り付け用の貼り付け面を備える
    請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のスピーカ。
  5. 前記貼り付け面は、前記媒体が繰り返し剥離可能な材質になっている
    請求項4に記載のスピーカ。
  6. 前記吸音材は、ポリウレタンフォームからなる
    請求項1乃至5のいずれかに記載のスピーカ。
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