[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るショット処理装置としてのショットブラスト装置について図1~図6を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは装置正面視の手前側を示しており、矢印UPは装置上方側を示しており、矢印LHは装置正面視の左側を示している。
図1には、ショット処理装置としてのショットブラスト装置10が正面図にて示され、図2には、ショットブラスト装置10が側面図にて示され、図3には、ショットブラスト装置10が平面図にて示されている。
図1~図3に示されるショットブラスト装置10は、トレイTに載置された被処理対象物Wを搬送してショットブラスト処理(バリやスケール等を投射材で除去)する。なお、複数のトレイTは積み上げ可能となっており、各トレイTには多数の孔部が形成されている。図4に示されるように、トレイTとしては、一例として金網状の熱処理用トレイを適用することができる。また、被処理対象物Wとして、例えば、ギヤ、シャフト、及びトランスミッション等の部品を適用することができる。
(キャビネット内及びその周囲部の構成)
図1~図3に示されるように、ショットブラスト装置10は、箱状に形成されたキャビネット12を備えている。図1に示されるように、キャビネット12の正面側の開口には、昇降扉14が配置されている。昇降扉14の上方側には、昇降扉14を昇降するためのシリンダ16が設けられている。このシリンダ16の作動に連動して昇降扉14は、キャビネット12の正面側の開口を開閉する。また、閉止状態の昇降扉14は、その四隅側が扉押えシリンダ17によって押さえ付けられるようになっており、これにより、閉止状態の昇降扉14のシール性が向上している。
シリンダ16及び扉押えシリンダ17は、それぞれ図示しないエア方向制御機器(電磁弁等)を介してエア供給源(図示省略)と接続されており、エア方向制御機器は、制御部64に接続されている。制御部64は、各エア方向制御機器を制御することで、シリンダ16及び扉押えシリンダ17の各ロッドの伸縮を方向制御している。
一方、図2に示されるように、キャビネット12の背面側には吸出口18とエア配管19が設けられている。また、図3に示されるように、吸出口18に対して装置左側には、制御盤15が設けられ、制御盤15の装置手前側には、キャビネット12の側面(投射材反射面)側に点検扉13が設けられている。
図1に示されるキャビネット12の内部には、被処理対象物Wへの投射材の投射によって被処理対象物Wの表面加工(ショットブラスト処理)をなす投射室20が形成されている。被処理対象物Wへの投射材の投射は、投射機22、24によってなされる。投射機22、24は、キャビネット12の装置右側の側壁に上下一対で取り付けられている。なお、投射機22、24については後述する。
投射室20の下方側には、投射材回収用のホッパ26が形成されると共に、ホッパ26の下端側にスクリュウコンベヤ28が配置されている。図2に示されるように、スクリュウコンベヤ28の搬送方向下流側(図2の右側)は、装置上下方向に延びるバケットエレベータ30の下端部に隣接して配置されている。スクリュウコンベヤ28及びバケットエレベータ30は、バケットエレベータ30の上部に隣接して配置された駆動モータ32によって駆動される。スクリュウコンベヤ28は、ホッパ26(図1参照)によって回収された投射材等をキャビネット12の背面側へ向かう方向(図2の右方向)に搬送し、バケットエレベータ30は、前記投射材等を装置上方側に搬送する。
バケットエレベータ30の上端部には風選式のセパレータ34が隣接配置されており、このセパレータ34には、バケットエレベータ30で搬送された投射材等が投入されるようになっている。なお、セパレータ34のメンテナンス用として、セパレータ34にはセパレータ点検扉38A(図1参照)が設けられると共に、セパレータ34の周囲にプラットホーム38B及び手摺38Cが設けられている(図3参照)。また、プラットホーム38Bへ登るための梯子38Dが装置奥側(図2の右側)設けられている。
セパレータ34は、使用可能な投射材とそれ以外とに分離する。セパレータ34には、荒出パイプ36が接続されている。セパレータ34で分離された使用不可能な粗い異物は荒出パイプ36を通って排出される。また、セパレータ34は、ダクト37を介して図示しない集塵機に接続されている。セパレータ34で分離された使用不可能な細かい異物は、エアと共にダクト37を介して前記集塵機に吸引される。前記集塵機に吸引された異物は、ダストとして前記集塵機下部のダスト受けに入るのに対し、集塵機に吸引されたエアは、浄化され排気される。セパレータ34の下方側には、投射材貯蔵用のショットタンク40が設けられている。セパレータ34で分離された使用可能な投射材はショットタンク40に入る。
ショットタンク40には、ショットタンク40内の投射材の量を検知するレベル計42が設けられており、このレベル計42の検知結果を用いて投射量が管理されている。ショットタンク40の上部開口に隣接してオーバーフローパイプ44が設けられている。ショットタンク40へ投入された投射材が過剰であった場合には過剰分がオーバーフローパイプ44を介してキャビネット12内の下部に戻されるようになっている。ショットタンク40の底部側は流量調整装置46に接続されている。流量調整装置46は、投射機22、24への投射材の供給を制御するための装置であり、制御部64に接続されている(接続状態は図示省略)。制御部64は、流量調整装置46による投射材の供給量を制御する。図2に示されるように、流量調整装置46の下方側には、導入管48、49が設けられており、流量調整装置46は、導入管48、49を介して投射機22、24に接続されている。導入管48、49は、投射機22、24への投射材供給用の配管とされている。
一方、キャビネット12の上部側には吊下部50が設けられている。吊下部50は、キャビネット12の天井部12U側から垂下されている。そして、この吊下部50にはハンガー部52(「トレイ受け」、「ハンガーフック」としても把握される要素である。)が吊り下げられている。ハンガー部52は、キャビネット12の内部に設けられている。
図4には、ハンガー部52等が斜視図にて示されている。図4に示されるように、ハンガー部52は、一対の枠部54を備えている。枠部54は、上辺部54A、下辺部54B、及び一対の側辺部54Cを有している。そして、一対の枠部54は、開口方向を一致させて直列に並設されている。
一対の枠部54の上辺部54Aにおける左右幅方向中間部の上面部同士は、連結板部55Aで連結されており、この連結板部55Aが吊下部50に吊り下げられている。また、一対の枠部54の側辺部54Cにおける上下方向中間部は、一対の枠部54の並設方向の対向部同士が連結ピン55Bで連結されている。さらに、一対の枠部54の下辺部54Bにおける左右幅方向中間部の上面部同士は、連結部56で連結されている。
連結部56は、一対の枠部54の下辺部54Bにおける左右幅方向中間部から立設されてそれぞれ左右幅方向に並設された立設部56Aを備えている。立設部56Aの上端部は、平面視で略矩形枠状のトレイ受部56Bによって連結されている。トレイ受部56Bは、平面視で一対の枠部54に対して一対の枠部54の並設方向の両側に張り出している。そして、ハンガー部52は、枠部54の開口部内にトレイTを挿入可能となっており、連結部56のトレイ受部56BにトレイTを載置可能となっている。なお、トレイTには、前述したように被処理対象物Wが載置される。
また、枠部54において一対の側辺部54Cの対向部には、トレイ受部56Bよりも若干上方側の高さ位置を含む範囲に凸部57が設けられている。凸部57は、一対の側辺部54Cの対向方向に凸とされており、トレイTの側部下端に接することで、トレイTの横方向への変位を制限している。
また、トレイ受部56Bからは立設部56Aの上方側に突出ピン56Pが立設されている。トレイ受部56BにトレイTが載置された状態では、トレイTの網目を突出ピン56Pが貫通する。よって、ハンガー部52は、トレイTを安定的に支持可能とされている。
このハンガー部52の側に向けて図2に示される前述した投射機22、24が投射材を投射する。投射機22、24は、回転可能な羽根車(図示省略)を備え、前記羽根車の回転により投射材に遠心力を付与する遠心式投射機とされている。投射機22、24は、前記羽根車の回転に伴って、遠心力で加速させた投射材を被処理対象物Wの側に向けて投射するようになっている。前記羽根車を駆動する駆動モータは、制御部64に接続され、制御部64によって作動が制御されている。なお、図1において、投射機22、24から延びる二点鎖線は、投射範囲を示している。
一方、図2に示される吊下部50は、キャビネット12の天井部12Uに設けられた台車58に軸受を介して取り付けられている。図3に示されるように、台車58は、キャビネット12の天井部12Uの上面に設けられた左右一対のガイドレール59に沿って装置前後方向に走行可能(移動可能)とされている。図2に示されるように、台車58には、台車58を走行させるための走行用駆動モータ60が取り付けられている。台車58は、走行用駆動モータ60の正転により装置手前側から装置奥側へ走行し、走行用駆動モータ60の逆転により装置奥側から装置手前側へ走行するようになっている。
走行用駆動モータ60は、制御部64に接続されており、制御部64によって作動(正転、逆転、停止、及び回転速度)が制御されるようになっている。本実施形態では、制御部64は、ハンガー部52が投射ゾーンにおける所定位置で三点停止(図3の二点鎖線参照)するように走行用駆動モータ60の作動を制御している。なお、制御部64は、投射ゾーンにおいてハンガー部52を三点停止でなく例えば一点停止させるように走行用駆動モータ60の作動を制御してもよい。また、制御部64は、投射ゾーンの中央領域に入ったハンガー部52が投射ゾーンの中央領域に入る前よりも低速移動するように走行用駆動モータ60の作動を制御してもよい。
図2及び図3に示されるように、台車58の上方側には、吊下部50を装置上下方向に沿った当該吊下部50の軸線周りに回転させる自転機構62が設けられている。自転機構62は、走行用駆動モータ60のケーシングに取り付けられた自転用駆動モータ62Aを備えている。自転用駆動モータ62Aの出力軸には、駆動歯車が固着されており、この駆動歯車には、従動歯車62Bが噛み合っている。従動歯車62Bの中心部に吊下部50の上端部側が固定されている。つまり、吊下部50は、自転用駆動モータ62Aの回転に応じて装置上下方向の軸線周りに回転する。図2に示されるように、自転用駆動モータ62Aは、制御部64に接続されており、制御部64によって作動(正転、逆転、停止、及び回転速度)が制御されるようになっている。
なお、台車58、走行用駆動モータ60、及び自転機構62がキャビネット12の天井部12Uに配置されることで、これらの設置面積が抑えられ、コンパクト化に資する構造となっている。
台車58には、角度位置検出部66(図2中ではブロック化して図示)が設けられている。この角度位置検出部66は、一例として、台車58の上で吊下部50に対して装置正面側に取り付けられた近接スイッチとされている。これに対して、吊下部50には、角度位置検出部66と同じ高さ位置に金属片67が設けられている。金属片67は、ハンガー部52の正面視(枠部54の開口部が正面を向くような方向視)で吊下部50の正面に取り付けられている。角度位置検出部66は、金属片67が接近した際に角度位置検出部66を含む電気回路(制御回路部)を導通状態にする構成とされている。これにより、角度位置検出部66は、吊下部50における装置上下方向の軸線周りの回転角度位置のうちハンガー部52における枠部54の開口部が装置正面側(後述するアーム86Gの側)に向くように設定された初期設定位置を検出するようになっている。
角度位置検出部66は、自転制御部としての制御部64に接続されている。制御部64は、角度位置検出部66の検出結果に基づいて、吊下部50を前記初期設定位置(図2に示される状態から吊下部50の軸線周りに90°回転させた位置)で停止させるように自転機構62(自転用駆動モータ62A)の作動を制御可能となっている。
(キャビネット外の搬送機構等の構成)
次に、キャビネット12の外部に設けられた搬送機構について説明する。
図3に示されるように、キャビネット12に対して装置右側には、ストックローラコンベヤ70が設けられている。ストックローラコンベヤ70に対して装置右側には、安全柵71が設けられている。ストックローラコンベヤ70は、装置奥側から装置手前側へ向かう方向(矢印X1方向)を搬送方向としており、搬送幅方向両側に設けられたコンベヤ基台に複数のコンベヤローラが回転可能に支持されている。複数のコンベヤローラは、搬送方向(矢印X1方向)に沿って配列され、図示しない駆動モータに駆動力伝達機構を介して接続されており、前記駆動モータの駆動力によって回転するようになっている。そして、ストックローラコンベヤ70は、トレイTを複数段に積み上げた状態で載置可能となっており、トレイTを複数段に積み上げた状態で搬送する。
ストックローラコンベヤ70の搬送方向最上流側で装置右側には、入口操作盤72Aが配置されており、この入口操作盤72Aは、制御部64に接続されている(接続状態は図示省略)。また、ストックローラコンベヤ70の駆動用の前記駆動モータは、制御部64に接続されており、入口操作盤72Aの操作情報に応じて制御部64によって作動が制御されるようになっている。
ストックローラコンベヤ70の搬送方向下流側において、搬入側受渡ローラコンベヤ74(図1参照)がストックローラコンベヤ70に隣接して配置されている。搬入側受渡ローラコンベヤ74は、搬入側受渡部として機能する。搬入側受渡ローラコンベヤ74は、ストックローラコンベヤ70の搬送方向の延長線上に設定され、複数のコンベヤローラの配列方向がストックローラコンベヤ70のコンベヤローラの配列方向と同じ方向となっている。搬入側受渡ローラコンベヤ74は、トレイTを複数段に積み上げた状態で載置可能となっている。
この搬入側受渡ローラコンベヤ74の装置左側において、搬送ローラコンベヤ76が搬入側受渡ローラコンベヤ74に隣接して配置されている。搬送ローラコンベヤ76の搬送方向上流側の部分が、搬入側受渡ローラコンベヤ74に隣接する。搬送ローラコンベヤ76は、搬送コンベヤとして機能する。搬送ローラコンベヤ76に対して装置正面側には、安全柵77が設けられている。搬送ローラコンベヤ76は、ストックローラコンベヤ70の延在方向と直交する方向(すなわち、装置左右方向)に沿ってキャビネット12の装置手前側を含む範囲に配設され、装置右側から装置左側へ向かう方向(矢印X2方向)を搬送方向としている。搬送ローラコンベヤ76は、搬送幅方向両側に設けられたコンベヤ基台に複数のコンベヤローラが回転可能に支持されている。複数のコンベヤローラは、搬送方向(矢印X2方向)に沿って配列され、図示しない駆動モータに駆動力伝達機構を介して接続されており、前記駆動モータの駆動力によって回転するようになっている。そして、搬送ローラコンベヤ76は、前記コンベヤローラの回転力でトレイTを搬送する。
搬送ローラコンベヤ76の搬送方向下流側寄りで装置手前側には、現場操作盤72Cが配置されており、この現場操作盤72Cは、制御部64に接続されている(接続状態は図示省略)。また、搬送ローラコンベヤ76の駆動用の前記駆動モータは、制御部64に接続されており、現場操作盤72Cの操作情報に応じて制御部64によって作動が制御されるようになっている。
搬送ローラコンベヤ76の搬送方向下流側において、搬出側受渡ローラコンベヤ78が搬送ローラコンベヤ76に隣接して配置されている。搬出側受渡ローラコンベヤ78は、搬出側受渡部として機能する。搬出側受渡ローラコンベヤ78の装置奥側には、安全柵79が設けられている。搬出側受渡ローラコンベヤ78は、搬送ローラコンベヤ76の搬送方向の延長線上に設定され、複数のコンベヤローラの配列方向が搬送ローラコンベヤ76のコンベヤローラの配列方向と直交する方向となっている。搬出側受渡ローラコンベヤ78は、トレイTを複数段に積み上げた状態で載置可能となっている。
搬出側受渡ローラコンベヤ78の装置手前側において、搬出ローラコンベヤ80が、搬出側受渡ローラコンベヤ78に隣接して配置されている。搬出ローラコンベヤ80の搬送方向上流側の部分が、搬出側受渡ローラコンベヤ78に隣接する。搬出ローラコンベヤ80に対して装置左側には、安全柵81が設けられている。搬出ローラコンベヤ80は、搬出側受渡ローラコンベヤ78の延長線上に設定され、装置奥側から装置手前側へ向かう方向(矢印X3方向)を搬送方向としている。搬出ローラコンベヤ80は、搬送幅方向両側に設けられたコンベヤ基台に複数のコンベヤローラが回転可能に支持されている。複数のコンベヤローラは、搬送方向(矢印X3方向)に沿って配列され、図示しない駆動モータに駆動力伝達機構を介して接続されており、前記駆動モータの駆動力によって回転するようになっている。そして、搬出ローラコンベヤ80は、トレイTを複数段に積み上げた状態で載置可能となっており、トレイTを複数段に積み上げた状態で搬送する。
搬出ローラコンベヤ80の搬送方向最下流側で装置右側には、出口操作盤72Dが配置されており、この出口操作盤72Dは、制御部64に接続されている(接続状態は図示省略)。また、搬出ローラコンベヤ80の駆動用の前記駆動モータは、制御部64に接続されており、出口操作盤72Dの操作情報に応じて制御部64によって作動が制御されるようになっている。
なお、本実施形態では、図3の右側に点線で示された搬入側受渡ローラコンベヤ74を挟んでストックローラコンベヤ70の側とは反対側(すなわち装置手前側)に割込ローラコンベヤ82が設けられている。割込ローラコンベヤ82に対して装置右側には、安全柵83が設けられている。割込ローラコンベヤ82は、装置手前側から装置奥側へ向かう方向(矢印X4方向)を搬送方向としており、搬送幅方向両側に設けられたコンベヤ基台に複数のコンベヤローラが回転可能に支持されている。複数のコンベヤローラは、搬送方向(矢印X4方向)に沿って配列され、図示しない駆動モータに接続されており、前記駆動モータの駆動力によって回転するようになっている。そして、割込ローラコンベヤ82は、トレイTを複数段に積み上げた状態で載置可能となっており、トレイTを複数段に積み上げた状態で搬送する。
割込ローラコンベヤ82の搬送方向最上流側で装置右側には、入口操作盤72Bが配置されており、この入口操作盤72Bは、制御部64に接続されている(接続状態は図示省略)。また、割込ローラコンベヤ82の駆動用の前記駆動モータは、制御部64に接続されており、入口操作盤72Bの操作情報に応じて制御部64によって作動が制御されるようになっている。
なお、上記の説明からも明らかなように、ストックローラコンベヤ70、搬入側受渡ローラコンベヤ74、搬送ローラコンベヤ76、搬出側受渡ローラコンベヤ78、搬出ローラコンベヤ80及び割込ローラコンベヤ82は、いずれもキャビネット12の外部に設けられている。
一方、図1及び図3に示されるように、装置右側には、搬入側受渡ローラコンベヤ74と搬送ローラコンベヤ76の搬送方向上流側とに隣接して段ばらし装置84が設けられている。段ばらし装置84は、搬入側受渡ローラコンベヤ74において複数段に積み上げられたトレイTを上段側のトレイより順次ばらして搬送ローラコンベヤ76に載置する装置である。
図1及び図3に示されるように、段ばらし装置84は、装置フレーム84Aを備えている。図3に示されるように、装置フレーム84Aの水平材は、装置平面視で搬入側受渡ローラコンベヤ74と搬送ローラコンベヤ76の搬送方向上流側とに対して装置手前側、装置奥側及び装置右側に配置されている。装置フレーム84Aには、搬入側受渡ローラコンベヤ74と搬送ローラコンベヤ76の搬送方向上流側とに対応するように装置左右方向に延びるガイドレール84Bが設けられている。ガイドレール84Bは、搬入側受渡ローラコンベヤ74及び搬送方向上流側の搬送ローラコンベヤ76よりも上方側の高さ位置に設定されている。
段ばらし装置84は、このガイドレール84Bに沿って走行する台車84Cを備えている。図1及び図3に示されるように、台車84Cの装置右側には、装置左右方向を軸方向とするシリンダ84Dのロッド先端部が固定されている。シリンダ84Dは、装置フレーム84Aに取り付けられており、公知のエアシリンダとされ、シリンダ84Dのロッドが装置左右方向に伸縮することで台車84Cを装置左右方向に走行させるようになっている。
図1に示されるように、シリンダ84Dは、いずれもブロック化して図示するエア方向制御機器(電磁弁等)84Eを介してエア供給源84Fと接続されており、エア方向制御機器84Eは、制御部64に接続されている。制御部64は、エア方向制御機器84Eを制御することで、シリンダ84Dのロッドの伸縮を方向制御している。
段ばらし装置84は、台車84Cに昇降機構部84Hを介して支持されたクランプ84Gを備えている。昇降機構部84Hは、昇降モータ84Iと、昇降モータ84Iの回転を装置上下方向の直線運動に変換するボールネジ機構84Jと、を備えている。ボールネジ機構84Jにて装置上下方向の軸周りに回転不能で装置上下方向に昇降する昇降シャフト84Kは、装置上下方向に延在すると共に下端部にクランプ84Gが取り付けられている。これにより、昇降機構部84Hは、昇降モータ84Iの正転逆転に応じてクランプ84Gを昇降させるようになっている。昇降モータ84Iは制御部64に接続されており、制御部64によって作動が制御されている。
クランプ84Gは、台車84Cの下方側に配置され、トレイTを挟持可能な一対の挟持部を備えると共に、前記挟持部を装置前後方向の軸周りに挟持位置と退避位置との間で回転移動させる回転機構を備えている。クランプ84Gの駆動部は、制御部64に接続されており、制御部64によって作動が制御されている。
一方、図3に示されるように、搬送ローラコンベヤ76を挟んでキャビネット12の正面における昇降扉14の向かい側(すなわち、キャビネット12の外部)には、搬入出装置86が設けられている。搬入出装置86は、台車86Aを備えている。この台車86Aは、搬送ローラコンベヤ76の搬送方向に対して直交する方向に延在するレール(図示省略)に沿って走行可能とされている。なお、前記レールは、装置フレーム86Jの梁部に設けられている。
図2及び図3に示されるように、台車86Aには、装置前後方向を軸方向とする走行用シリンダ86Bのロッド先端部が固定されている。走行用シリンダ86Bは、装置フレーム86Jに取り付けられており、公知のエアシリンダとされ、走行用シリンダ86Bのロッドが装置前後方向に伸縮することで台車86Aを搬送ローラコンベヤ76側とハンガー部52(図2参照)側との間で往復移動(装置前後方向に走行)させるようになっている。
図2に示されるように、走行用シリンダ86Bは、いずれもブロック化して図示するエア方向制御機器(電磁弁等)86Cを介してエア供給源86Dと接続されており、エア方向制御機器86Cは、制御部64に接続されている。制御部64は、エア方向制御機器86Cを制御することで、走行用シリンダ86Bのロッドの伸縮を方向制御している。
台車86Aには、いずれも装置上下方向を軸方向とする昇降機構としての昇降用シリンダ86E、86Fを介してアーム86Gが取り付けられている。昇降用シリンダ86E、86Fは、公知のエアシリンダとされてそれぞれアーム86Gに取り付けられており、昇降用シリンダ86E、86Fのロッドが装置上下方向に伸縮することでアーム86Gを装置上下方向に昇降させるようになっている。
昇降用シリンダ86Eは、ブロック化して図示するエア方向制御機器(電磁弁等)86Hを介してエア供給源86Dと接続され、昇降用シリンダ86Fは、ブロック化して図示するエア方向制御機器(電磁弁等)86Iを介してエア供給源86Dと接続されている。エア方向制御機器86H、86Iは、制御部64に接続されている。制御部64は、エア方向制御機器86Hを制御することで、昇降用シリンダ86Eのロッドの伸縮を方向制御し、エア方向制御機器86Iを制御することで、昇降用シリンダ86Fのロッドの伸縮を方向制御している。
アーム86Gは、搬送ローラコンベヤ76側とハンガー部52側との間でトレイTを受け渡しするための部材とされ、非作動時には搬送ローラコンベヤ76のコンベヤローラ同士の間の下側隙間に退避される(図2の下側の二点鎖線参照)。図4に示されるように、アーム86Gは、左右一対設けられ、ハンガー部52における枠部54の開口部内における連結部56の左右の側方側に挿入可能でかつ被処理対象物Wを載置したトレイTを載置して運搬可能となっている。アーム86GにおいてトレイTを載置する載置部の上下方向の厚みtが連結部56におけるトレイTの載置面(トレイ受部56Bの上面)と下辺部54Bの上面との上下方向の距離Lよりも小さく設定されている。
図3に示される搬入出装置86は、走行用シリンダ86Bの作動によってアーム86Gを進退移動させることでトレイTをハンガー部52(図4参照)に対して搬入出させるようになっている。すなわち、搬入出装置86は、段ばらし装置84によってばらされて搬送ローラコンベヤ76で搬送されたトレイTをキャビネット12内のハンガー部52(図4参照)に搬入すると共に、キャビネット12内のハンガー部52(図4参照)からトレイTを搬出して搬送ローラコンベヤ76に載置するようになっている。換言すれば、搬送ローラコンベヤ76は、搬入出装置86の作動領域と交差して配置されている。
また、図1及び図3に示されるように、装置左側には、搬送ローラコンベヤ76の搬送方向下流側と搬出側受渡ローラコンベヤ78とに隣接して段積み装置88が設けられている。段積み装置88は、搬入出装置86によって搬出されて搬送ローラコンベヤ76で搬送されたトレイTを挟持して上昇させたうえで待機可能とされると共に、待機位置の直下に他のトレイTが搬送された場合に下降して当該他のトレイTを挟持し、更にトレイTを複数段に積み上げた状態で搬出側受渡ローラコンベヤ78に載置するようになっている。
図1及び図3に示されるように、段積み装置88は、装置フレーム88Aを備えている。図3に示されるように、装置フレーム88Aの水平材は、装置平面視で搬送ローラコンベヤ76の搬送方向下流側と搬出側受渡ローラコンベヤ78とに対して装置手前側、装置奥側及び装置左側に配置されている。装置フレーム88Aには、搬送ローラコンベヤ76の搬送方向下流側と搬出側受渡ローラコンベヤ78とに対応するように装置左右方向に延びるガイドレール88Bが設けられている。ガイドレール88Bは、搬送ローラコンベヤ76の搬送方向下流側及び搬出側受渡ローラコンベヤ78よりも上方側の高さ位置に設定されている。
段積み装置88は、このガイドレール88Bに沿って走行する台車88Cを備えている。図1及び図3に示されるように、台車88Cの装置左側には、装置左右方向を軸方向とするシリンダ88Dのロッド先端部が固定されている。シリンダ88Dは、装置フレーム88Aに取り付けられており、公知のエアシリンダとされ、シリンダ88Dのロッドが装置左右方向に伸縮することで台車88Cを装置左右方向に走行させるようになっている。
図1に示されるように、シリンダ88Dは、いずれもブロック化して図示するエア方向制御機器(電磁弁等)88Eを介してエア供給源88Fと接続されており、エア方向制御機器88Eは、制御部64に接続されている。制御部64は、エア方向制御機器88Eを制御することで、シリンダ88Dのロッドの伸縮を方向制御している。
段積み装置88は、台車88Cに昇降部88Hを介して支持されたクランプ90を備えている。昇降部88Hは、昇降モータ88Iと、昇降モータ88Iの回転を装置上下方向の直線運動に変換するボールネジ機構88Jと、を備えている。ボールネジ機構88Jにて装置上下方向の軸周りに回転不能で装置上下方向に昇降する昇降シャフト88Kは、装置上下方向に延在すると共に下端部にクランプ90が取り付けられている。これにより、昇降部88Hは、昇降モータ88Iの正転逆転に応じてクランプ90を昇降させるようになっている。昇降モータ88Iは制御部64に接続されており、制御部64によって作動が制御されている。
トレイTの挟持用とされたクランプ90は、台車88Cの下方側に配置されている。図5には、段積み装置88のクランプ90が拡大された正面図にて示されている。図5に示されるように、クランプ90は、昇降シャフト88Kの下端部が取り付けられた基部材90Aを備えている。基部材90Aは、水平方向(本実施形態では装置左右方向)を長手方向として配置され、長手方向の中央部に昇降シャフト88Kが取り付けられている。
基部材90Aの両端部には、基部材90Aに対して片持ち状態で固定されて互いに平行な一対の固定アーム部90Bが設けられている。一対の固定アーム部90Bの先端部には、互いの対向方向に直交する方向でかつ水平な方向(本実施形態では装置前後方向)を軸方向とする支持軸90Cが回転可能に設けられている。支持軸90Cには、可動アーム部90Dの基端部が固定されている。すなわち、可動アーム部90Dは、支持軸90Cを介して固定アーム部90Bの先端部に片持ち状態で取り付けられている。
また、一対の固定アーム部90Bにおける上部(基部材90A寄りの部位)における互いの対向面とは反対側の面(外側の面)には、ブラケット90Eを介してシリンダ90Fが支持軸90Cと平行な軸90X周りに回転移動可能に取り付けられている。シリンダ90Fは、公知のエアシリンダとされ、シリンダ90Fを基準としてブラケット90Eの側とは反対側に突出するロッド90F1が概ね装置上下方向に伸縮するようになっている。ロッド90F1の先端部と、固定アーム部90Bの先端部に設けられた支持軸90Cとは、連結部材90Gによって連結されている。これにより、ロッド90F1が伸縮することで支持軸90Cがその軸線周りに所定角度回転すると共に、これに連動して可動アーム部90Dが回転移動する構造となっている。
シリンダ90Fは、いずれもブロック化して図示するエア方向制御機器(電磁弁等)90Hを介してエア供給源88Fと接続されており、エア方向制御機器90Hは、制御部64に接続されている。制御部64は、エア方向制御機器90Hを制御することで、シリンダ90Fのロッド90F1の伸縮を方向制御している。
可動アーム部90Dの先端部には、支持軸90Cと平行な方向を軸方向とする回転軸90Iが回転可能に保持されている。この回転軸90Iには、クランプ爪90Jの基端部が固着されている。すなわち、クランプ爪90Jは、回転軸90Iを介して可動アーム部90Dの先端部に片持ち状態で取り付けられている。クランプ爪90Jの先端部は、クランプ90の正面視で一対の可動アーム部90Dの間に配設されている。クランプ90の一部を構成するクランプ爪90Jは、トレイTの底面を支持可能な支持姿勢90J1と、下降時にトレイTの側面と接した場合に上向きに回転移動して退避される退避姿勢90J2と、の間で水平方向の回転軸90Iの軸線周りに回転移動可能となっている。
また、回転軸90Iには、バネ取付アーム90Kが固着されている。バネ取付アーム90Kは、クランプ爪90Jの側とは反対側に延出されており、その先端部に付勢機構としての引張コイルバネ90L(広義には「戻しバネ」として把握される要素である。)の一端が取り付けられている。引張コイルバネ90Lの他端は、可動アーム部90Dの基端側に取り付けられている。クランプ90の一部を構成する引張コイルバネ90Lは、クランプ爪90Jを退避姿勢90J2の回転角度位置から支持姿勢90J1の回転角度位置へ向かう方向に付勢する。
また、一対の固定アーム部90Bにおける基端部側(上部)には、装置正面側及び装置背面側において一対の固定アーム部90B同士を水平方向に連結する連結バー90Mが設けられている。連結バー90Mにおける長手方向中間部には、左右一対のシャフト90Nが取り付けられている。左右一対のシャフト90Nは、装置下方側に垂下されており、その下部がトレイTの位置ずれを制限するようになっている。
一方、図1~図3に示されるキャビネット12の内部には、図6に示される吹付装置92が設けられている。吹付装置92は、キャビネット12の内部でハンガー部52の側に向けて気体の吹き付けが可能であり、トレイT及び被処理対象物Wの上に残留した投射材を吹き飛ばすための装置である。この吹付装置92は、エアーブロー配管92Aを備えている。エアーブロー配管92Aは、図中模式化して示すバルブ92Vを介して圧縮空気供給部92Pに接続されている。バルブ92Vは、制御部64に接続されており、制御部64によって開閉制御がなされている。エアーブロー配管92Aは、キャビネット12の天井部12Uを貫通しており、固定ブラケット92Cを介してキャビネット12の天井部12Uに固定されている。エアーブロー配管92Aは、キャビネット12の内部に垂下されており、ハンガー部52に対向する部位に複数のノズル92Bが形成されている。なお、ノズル92Bからの気体吹き付け時に、ハンガー部52は、自転機構62(図2参照)の作動により装置上下方向の軸周りに回転した状態とされる。
エアーブロー配管92A及びノズル92Bは、投射機22、24(図2参照)から投射された投射材が直接当り得るゾーンである投射ゾーンからは外れた位置に配置されている。キャビネット12の内部においてエアーブロー配管92Aの外周部には、ライナ92Dが取り付けられている。ライナ92Dは、反射した投射材がエアーブロー配管92Aやノズル92Bに当たることでエアーブロー配管92A及びノズル92Bが摩耗するのを防ぐための保護用とされている。
(処理の流れ及び作用・効果)
次に、図1~図3に示されるショットブラスト装置10を用いた処理の流れについて概説しながら、上記実施形態の作用及び効果について説明する。なお、各機構の作動は、制御部64による制御によりなされるが、以下の説明においては、制御部64による制御についての説明を適宜省略する。
まず、図3に示されるストックローラコンベヤ70の上に二段に積み上げられたトレイTを作業者又はロボットアームが載置する。ストックローラコンベヤ70は、二段に積み上げられたトレイTを搬入側受渡ローラコンベヤ74の側に搬送する。
二段に積み上げられたトレイTが搬入側受渡ローラコンベヤ74に載置された場合、図1に示される制御部64は、段ばらし装置84及び搬送ローラコンベヤ76が以下のように作動するように、エア方向制御機器84E、クランプ84Gの駆動部、昇降モータ84I、及び搬送ローラコンベヤ76の駆動モータを制御する。
段ばらし装置84は、搬入側受渡ローラコンベヤ74において二段に積み上げられたトレイTを上段側のトレイTより順次ばらして搬送ローラコンベヤ76に載置する。より具体的に説明すると、まず、昇降機構部84Hは、搬入側受渡ローラコンベヤ74上で二段に積み上げられたトレイTのうち上段トレイのみ挟持できる位置にクランプ84Gを移動させて停止させる。次にクランプ84Gは上段トレイのみを挟持する。そして、台車84Cは、クランプ84Gを搬送ローラコンベヤ76の搬送方向最上流部の上方側まで移動させる。次に、昇降機構部84Hは、トレイTが搬送ローラコンベヤ76に接する位置までクランプ84Gを下降させ、その後、クランプ84Gが開かれる。搬送ローラコンベヤ76は、トレイTをキャビネット12の正面における昇降扉14の前まで移動させて停止する。一方、昇降機構部84Hがクランプ84Gを上昇させた後、台車84Cが搬入側受渡ローラコンベヤ74の上方側までクランプ84Gを移動させる。
次に、昇降機構部84Hは、搬入側受渡ローラコンベヤ74上のトレイT(下段トレイ)を挟持できる位置にクランプ84Gを移動させて停止させる。次にクランプ84GはトレイT(下段トレイ)を挟持する。そして、台車84Cは、クランプ84Gを搬送ローラコンベヤ76の搬送方向最上流部の上方側まで移動させる。次に、昇降機構部84Hは、トレイTが搬送ローラコンベヤ76に接する位置までクランプ84Gを下降させ、その後、クランプ84Gが開かれる。搬送ローラコンベヤ76は、トレイTをキャビネット12の正面における昇降扉14の前まで移動させて停止する。一方、昇降機構部84Hがクランプ84Gを上昇させた後、台車84Cが搬入側受渡ローラコンベヤ74の上方側までクランプ84Gを移動させる。すなわち、クランプ84Gは、当初位置に戻る。
なお、搬送ローラコンベヤ76が上段のトレイTを搬送してから下段のトレイTを搬送するまでの間、搬入出装置86(図3参照)及び段積み装置88等は、後述のように作動される。
図1~図3に示される搬送ローラコンベヤ76がトレイTをキャビネット12の正面における昇降扉14の前まで移動させて停止すると、制御部64は、搬入出装置86、昇降扉14、台車58、自転機構62、投射機22、24、吹付装置92(図6参照)が以下のように作動するように、エア方向制御機器86C、86H、86I、シリンダ16用及び扉押えシリンダ17用の各エア方向制御機器(図示省略)、走行用駆動モータ60、自転用駆動モータ62A、流量調整装置46、投射機22、24の駆動モータ、並びにバルブ92V(図6参照)を制御する。
まず、図2に示される昇降用シリンダ86Eの作動でアーム86GがトレイTを載置させながらキャビネット12の搬入高さ位置まで上昇した後停止すると共に昇降扉14が上昇して開かれる。次に、走行用シリンダ86Bの作動で台車86Aが前進移動することでアーム86Gをキャビネット12の内部のハンガー部52における枠部54の開口部内に挿入する。
このとき、図4に示される一対のアーム86Gは、枠部54の開口部内における連結部56の左右の側方側に挿入される。ここで、本実施形態では、アーム86GにおいてトレイTを載置する載置部の上下方向の厚みtがハンガー部52の連結部56におけるトレイTの載置面と下辺部54Bの上面との上下方向の距離Lよりも小さく設定されている。このため、トレイTを載置したアーム86Gが枠部54の開口部内における連結部56の左右の側方側に挿入された後、昇降用シリンダ86F(図2参照)がアーム86Gを下降させればトレイTをハンガー部52の連結部56に載置することができ、その後にアーム86Gのみを後退移動させることが可能となる。すなわち、簡易な構成でありながらトレイTをハンガー部52に安定的に搬入することができる。
また、本実施形態では、図2に示される吊下部50における装置上下方向の軸線周りの回転角度位置のうちハンガー部52における枠部54の開口部がアーム86Gの側に向くように設定された初期設定位置が、角度位置検出部66で検出される。この角度位置検出部66の検出結果に基づいて、制御部64は、吊下部50を初期設定位置で停止させるように自転機構62の作動を制御可能となっている。このため、トレイTをハンガー部52に搬入出する際にアーム86Gはハンガー部52における枠部54の中に容易に挿入される。
次に、図2及び図3に示される走行用シリンダ86Bの作動で台車86Aが後退移動することでアーム86Gをハンガー部52における枠部54の開口部内、さらにはキャビネット12の内部から退避させる。さらに、昇降扉14が下降して閉じられた後、閉止状態の昇降扉14の四隅側が扉押えシリンダ17(図1参照)によって押さえ付けられると共に、昇降用シリンダ86Eの作動でアーム86Gが搬送ローラコンベヤ76のコンベヤローラの下方側まで下降した後停止する。
一方、昇降扉14の四隅側が扉押えシリンダ17(図1参照)によって押さえ付けられた段階で、台車58が装置手前側から装置奥側へ走行すると共に、自転機構62が吊下部50を装置上下方向の軸線周りに回転させ、投射機22、24がハンガー部52の側に向けて投射材を所定時間投射する。また、このとき、台車58は、ハンガー部52が投射ゾーンにおける所定位置で三点停止(図3の二点鎖線参照)するように、三か所で一時停止する。これらにより、ハンガー部52上のトレイTに載置された被処理対象物Wは、全周に亘ってむらなくショットブラスト処理される。また、このように、トレイTがハンガー部52に搬入出され、トレイT上の被処理対象物Wがショットブラスト処理されるので、被処理対象物Wの種類が変わっても、治具(ハンガー2次フック)を交換する必要がない。よって、治具の交換時間をなくすことで、多品種の被処理対象物を処理する場合の処理時間が短縮され、作業効率が向上する。
次に、所定時間の投射後、投射機22、24が停止されて流量調整装置46からの投射材の供給が停止されることで、キャビネット12の内部でのショットブラスト処理が終了すると、図6に示される吹付装置92がハンガー部52の側に向けて気体を吹き付ける。これにより、トレイT及び被処理対象物Wの上に残留する投射材が吹き飛ばされる。よって、トレイT及び被処理対象物Wをキャビネット12の内部から搬出した場合に投射材の持ち出しが防止又は効果的に抑制される。
次に、図1に示される扉押えシリンダ17による昇降扉14の四隅側の押さえ付けが解除され、昇降扉14が上昇して開かれると共に、図2及び図3に示される昇降用シリンダ86Eの作動でアーム86Gが何も載置していない状態でキャビネット12の搬入出高さ位置まで上昇した後停止する。そして、走行用シリンダ86Bの作動で台車86Aが前進移動することでアーム86Gをキャビネット12の内部のハンガー部52における枠部54(図4参照)の開口部内に搬入する。そして、昇降用シリンダ86Fの作動でアーム86Gが上昇することで、アーム86Gの上にトレイTが載置される。次に、走行用シリンダ86Bの作動で台車86Aが後退移動することで、トレイTが載置されたアーム86Gをハンガー部52における枠部54(図4参照)の開口部内、さらにはキャビネット12の内部から退避させる。さらに、昇降用シリンダ86Eの作動でアーム86Gが搬送ローラコンベヤ76のコンベヤローラにおける下側隙間まで下降することでトレイTを搬送ローラコンベヤ76の上に再び載置し、アーム86Gは、搬送ローラコンベヤ76のコンベヤローラの下方側の所定位置で停止する。
ショットブラスト処理された被処理対象物Wを載置したトレイTが再び搬送ローラコンベヤ76に戻されると、制御部64は、図1及び図3に示される搬送ローラコンベヤ76及び段積み装置88が以下のように作動するように、搬送ローラコンベヤ76の駆動モータ、エア方向制御機器88E、90H(図5参照)、及び昇降モータ88Iを制御する。
まず、搬送ローラコンベヤ76は、搬入出装置86によって搬出されたトレイTを搬送ローラコンベヤ76の搬送方向最下流部まで搬送して停止する。なお、本実施形態では、搬送ローラコンベヤ76は、搬入出装置86による搬入出位置から見て搬送方向下流側が搬送方向上流側の約二倍の長さに設定されている。そして、搬送ローラコンベヤ76が搬送方向最上流部から搬入出装置86による搬入出位置までトレイTを搬送するときに同時に搬入出装置86によって搬出されたトレイTを搬送方向下流側へ搬送している。このため、トレイTは、搬入出装置86による搬入出位置と搬送ローラコンベヤ76の搬送方向最下流部との間で一度停止し、さらに搬送されることで搬送ローラコンベヤ76の搬送方向最下流部に至る。
次に、段積み装置88は、搬入出装置86によって搬出されて搬送ローラコンベヤ76で搬送されたトレイTを挟持して上昇させたうえで待機すると共に、待機位置の直下に当初二段目にあったトレイTが搬送された場合に下降して当該トレイTを挟持し、更にトレイTを二段に積み上げた状態で搬出側受渡ローラコンベヤ78に載置する。これにより、トレイTは、段ばらし装置84によってばらされる前と同じ上下関係で積み上げられて搬出側受渡ローラコンベヤ78に載置される。
このため、例えば、トレイTに歪み等があってばらされる前と上下関係が逆になるとトレイTを積み上げられないようなものであっても、処理対象にすることができる。補足すると、トレイTが熱処理炉等を通過している場合、トレイTに歪み変形が生じている場合があるが、このような場合には、上下関係を逆にすると、段積み不良が生じる場合がある。しかしながら、本実施形態では、上記の通り、トレイTの上下関係が変わらないので、そのような段積み不良の発生が防止又は効果的に抑制され、トレイTの良好な搬送が可能となっている。なお、本実施形態では、上段のトレイの形状と下段のトレイの形状とが異なっていても、安定的に積み上げることができる組み合わせであれば、それらのトレイを適用することができる。
段積み装置88の処理についてより具体的に説明すると、まず、搬送ローラコンベヤ76の搬送方向最下流部にトレイT(当初上段にあったトレイ)が達すると、昇降部88Hが作動することで、搬送ローラコンベヤ76の搬送方向最下流部の上方側で待機するクランプ90が下降する。ここで、図5に示されるクランプ90の一部を構成するクランプ爪90Jは、トレイTの底面を支持可能な支持姿勢90J1と、下降時にトレイTの側面と接した場合に上向きに回転移動して退避される退避姿勢90J2と、の間で水平方向の軸線周りに回転移動可能となっている。また、このクランプ爪90Jを引張コイルバネ90Lは退避姿勢90J2の回転角度位置から支持姿勢90J1の回転角度位置へ向かう方向に付勢する。このため、待機位置の直下にトレイTが搬送されてクランプ爪90Jが下降してもクランプ爪90Jを退避させることができると共に、クランプ爪90JがトレイTの側面下端を越えて下降すると引張コイルバネ90Lの付勢力でクランプ爪90Jが支持位置にてトレイTの底面を支持することができる。
次に、図1に示される昇降部88Hが作動することでクランプ90が上昇し、クランプ90は、トレイTを挟持しながら搬送ローラコンベヤ76の搬送方向最下流部の上方側で待機する。この状態で搬送ローラコンベヤ76が他のトレイT(当初下段にあったトレイ)を搬送ローラコンベヤ76の搬送方向最下流部まで搬送して停止すると、昇降部88Hが作動することで、搬送ローラコンベヤ76の搬送方向最下流部の上方側で待機するクランプ90が下降する。これにより、先にショットブラスト処理されたトレイT(当初上段にあったトレイ)が、後からショットブラスト処理されたトレイT(当初下段にあったトレイ)の上に重ねられる。また、図5に示されるクランプ爪90Jは、後からショットブラスト処理されたトレイT(すなわち、下段のトレイ)の側面と接している段階では上向きに回転移動して退避され、トレイTの側面下端を越えて下降すると引張コイルバネ90Lの付勢力でクランプ爪90Jが支持位置に配置される。
次に、昇降部88H(図1参照)が作動することで、クランプ爪90Jが上昇しながら下段のトレイTの底面を支持する。すなわち、二段に積み上げられたトレイTが上昇する。そして、図1及び図3に示される台車88Cが装置左側へ走行することで、段積み装置88は、二段に積み上げられたトレイTを搬出側受渡ローラコンベヤ78の上方側へ移送する。次に、昇降部88Hは、トレイTが搬出側受渡ローラコンベヤ78に接する位置までクランプ90を下降させる。その後、クランプ90の可動アーム部90D(図5参照)が開かれることで、二段に積み上げられたトレイTが搬出側受渡ローラコンベヤ78の上に載置される。そして、トレイTは、図3に示される搬出側受渡ローラコンベヤ78から搬出ローラコンベヤ80へ移され、搬出ローラコンベヤ80によって搬送されることで搬出される。一方、図1に示されるクランプ90は、昇降部88Hが作動することで上昇した後に台車88Cが装置右側へ走行することで、搬送ローラコンベヤ76の搬送方向最下流部の上方側の待機位置に戻される。
以上説明したように、本実施形態に係るショットブラスト装置10によれば、多品種の被処理対象物Wを処理する場合の処理時間を短縮することができる。
[第1の実施形態の変形例]
次に、第1の実施形態の変形例について図7~図9を用いて説明する。図7には、第1の実施形態の変形例におけるキャビネット12の天井部12Uの一部が側断面図にて示されている。また、図8には図7のVIII-VIII線矢視図、図9には図8のIX-IX線矢視図がそれぞれ示されている。第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
第1の実施形態の変形例は、図2に示される吊下部50を台車58によって装置前後方向に変位させる機構に代えて、図7~図9に示されるように、吊下部としての自転軸部94Jを装置上下方向に沿った公転軸部94K周りに公転させる機構を設けた点が第1の実施形態と異なる。他の構成は、第1の実施形態と実質的に同様の構成となっている。
図8に示されるように、キャビネット12の天井部12Uには、自転軸部94Jを装置上下方向に沿った当該自転軸部94Jの軸線周りに回転させる自転機構94Aと、自転軸部94Jを装置上下方向に沿った公転軸部94Kの軸線周りに回転させる公転機構94Bと、を併せ持った自公転機構94が設けられている。なお、図9に示されるように、自転軸部94Jと公転軸部94Kとは、装置平面視でずれた位置に設定されている。
図7に示されるように、自公転機構94は、自転用兼公転用の駆動モータ94Mをキャビネット12の天井部12Uの上方側に備えている。駆動モータ94Mにて装置下方側に延出する出力軸には、公転駆動歯車94Cが取り付けられている。公転駆動歯車94Cには、公転従動歯車94Dが噛み合っている。公転従動歯車94Dの径は、公転駆動歯車94Cの径よりも大きく設定されている。公転従動歯車94Dの中心部には、公転軸部94Kが固着されている。
公転軸部94Kの外周側には、公転従動歯車94Dの下方側に公転ドラム94Hが配置されている。公転ドラム94Hは、公転軸部94Kと同軸に設定されると共に、公転軸部94Kに取り付けられている。また、公転ドラム94Hは、キャビネット12の天井部12Uに対して、公転軸部94Kの軸線周りに回転可能に配設されている。前述した駆動モータ94Mは、公転ドラム94Hの上面側にブラケット94Iを介して取り付けられている。
図8に示されるように、公転ドラム94Hの内部には、公転軸部94Kの側方側に自転軸部94Jが配置されている。この自転軸部94Jは、公転ドラム94Hによって、装置上下方向に沿った当該自転軸部94Jの軸線周りに回転可能に支持されている。自転軸部94Jの下端部は、ハンガー部52における枠部54の上部が固定されている。
図7に示される駆動モータ94Mの作動時には、公転駆動歯車94C、図7及び図8に示される公転従動歯車94D、公転軸部94K、公転ドラム94Hの順に駆動力が伝達される。その結果、図8に示される自転軸部94J及びハンガー部52が公転軸部94Kの軸線周りに公転するようになっている。
また、公転ドラム94Hの内部には、公転軸部94Kの外周側に自転駆動歯車94Eが設けられている。自転駆動歯車94Eは、公転軸部94Kに同軸的に配置されると共に、公転ドラム94Hの上端中央部側に固定されている。図8に示されるように、この自転駆動歯車94Eには、自転従動歯車94Fが噛み合っている。自転従動歯車94Fは、自転軸部94Jの上端外周側に配置され、自転軸部94Jに対して同軸的に固着されている。
図7に示される駆動モータ94Mの作動時には、公転駆動歯車94C、図7及び図8に示される公転従動歯車94D、公転軸部94K、公転ドラム94H、自転駆動歯車94E、図8に示される自転従動歯車94F、自転軸部94Jの順に駆動力が伝達される。その結果、図8に示される自転軸部94J及びハンガー部52が自転軸部94Jの軸線周りに自転するようになっている。
このような変形例によれば、ハンガー部52を自転させながら公転させることができるので、ハンガー部52と投射機22、24(図2参照)との相対位置関係を変化させることができる。その結果として、ハンガー部52に載置されたトレイT上の被処理対象物Wにおいて投射される部位が徐々にずらされ、被処理対象物Wのショットブラスト処理がむらなく均一に仕上げられる。また、このような変形例では、一個の駆動モータ94M(図7参照)でハンガー部52を自転及び公転させることができるので、コンパクト化及び省エネルギーに資する。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係るショット処理装置としてのショットブラスト装置について、図10~図20を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様に、これらの図において適宜示される矢印FRは装置正面視の手前側を示しており、矢印UPは装置上方側を示しており、矢印LHは装置正面視の左側を示している。
図10には、ショットブラスト装置100が平面図にて示されている。また、図11には、図10のXI-XI線矢視図(正面図)、図12には、図11のXII-XII線矢視図(側断面図)がそれぞれ示されている。
図10~図12等に示されたショットブラスト装置100は、第1の実施形態と同様に、トレイTに載置された被処理対象物Wを搬送してショットブラスト処理(バリやスケール等を投射材で除去)する。適用対象となるトレイT及び被処理対象物Wも、第1の実施形態と同様である。
(キャビネット内及びその周囲部の概説)
図10及び図11に示されるように、ショットブラスト装置100は、箱状に形成されたキャビネット112を備えている。キャビネット112の正面右側には点検扉113が設けられている。
キャビネット112の内部の装置右側には、被処理対象物Wへの投射材の投射によって被処理対象物Wの表面加工(ショットブラスト処理)をなす投射室120が形成されている。被処理対象物Wへの投射材の投射は、図11に示される投射機122、124によってなされる。投射機122、124は、キャビネット112の装置右側の側壁に上下一対で取り付けられている。なお、投射機122、124については後述する。
図11及び図12に示されるように、投射室120の下方側には、投射材回収用のホッパ126が形成されると共に、ホッパ126の下端側にスクリュウコンベヤ128が配置されている。スクリュウコンベヤ128は、ホッパ126によって回収された投射材等を装置右側に搬送する。なお、図12に示されるように、スクリュウコンベヤ128に対して装置奥側に隣接してショット補給口129が形成されている。図11に示されるように、スクリュウコンベヤ128の搬送方向下流側(図11の右側)は、装置上下方向に延びるバケットエレベータ130の下端部に隣接して配置されている。バケットエレベータ130は、バケットエレベータ130の上部に隣接して配置された駆動モータ132によって駆動され、回収された投射材等を装置上方側に搬送する。
バケットエレベータ130の上端部には風選式のセパレータ134が隣接配置されており、このセパレータ134には、バケットエレベータ130で搬送された投射材等が投入されるようになっている。なお、セパレータ134のメンテナンス用として、セパレータ134にはセパレータ点検扉138Aが設けられると共に、セパレータ134の周囲にプラットホーム138B及び手摺138C(図10参照)が設けられている。
セパレータ134は、使用可能な投射材とそれ以外とに分離する。セパレータ134には、荒出パイプ136が接続されている。セパレータ134で分離された使用不可能な粗い異物は荒出パイプ136を通って排出される。また、セパレータ134は、ダクト137を介して図10に示される集塵機139に接続されている。なお、ダクト137に対して装置手前には制御盤115が設けられている。
図11に示されるセパレータ134で分離された使用不可能な細かい異物は、エアと共にダクト137を介して集塵機139(図10参照)に吸引される。図10に示される集塵機139に吸引された異物は、ダストとして集塵機139の下部のダスト受け(図示省略)に入るのに対し、集塵機139に吸引されたエアは、浄化され排気される。また、図11に示されるダクト137には、プリコート投入装置135が接続されている。また、プリコート投入装置135は、不活性粉体をダストへ混入して、ダストを不燃化させて図10に示される集塵機139の下部のダスト受け(図示省略)に排出する。
図11に示されるように、セパレータ134の下方側には、投射材貯蔵用のショットタンク140が設けられている。セパレータ134で分離された使用可能な投射材はショットタンク140に入る。
ショットタンク140の上部開口に隣接してオーバーフローパイプ144が設けられている。ショットタンク140へ投入された投射材が過剰であった場合には過剰分がオーバーフローパイプ144を介してキャビネット112内の下部に戻されるようになっている。ショットタンク140の底部側は流量調整装置146に接続されている。流量調整装置146は、投射機122、124への投射材の供給を制御するための装置であり、制御部164に接続されている(接続状態は図示省略)。制御部164は、流量調整装置146による投射材の供給量を制御する。流量調整装置146の下方側には、導入管148、149が設けられており、流量調整装置146は、導入管148、149を介して投射機122、124に接続されている。導入管148、149は、投射機122、124への投射材供給用の配管とされている。
(キャビネット外の搬送機構等の構成)
図10に示されるように、キャビネット112に対して装置左側(外部)には、トレイ搬送装置102が設けられている。図13~図16には、トレイ搬送装置102等が示されている。図13は、図11のXIII-XIII線矢視図(装置左側面視の図)であり、図14は、図13のXIV-XIV線矢視図(装置平面視の平面図)であり、図15は、図13の搬出側側面を示すXV-XV線矢視図(装置正面視の図)であり、図16は、図13の搬入側側面を示すXVI-XVI線矢視図(装置背面視の図)である。
図13及び図14に示されるように、トレイ搬送装置102は、装置奥側(図13及び図14では図中左側)に設けられた搬入ローラコンベヤ104を備えている。図14に示されるように、搬入ローラコンベヤ104は、装置左側から装置右側へ向かう方向(矢印Y1方向)を搬送方向としており、搬送幅方向両側に設けられたコンベヤ基台に複数のコンベヤローラ104Aが回転可能に支持されている。複数のコンベヤローラ104Aは、搬送方向(矢印Y1方向)に沿って配列されている。
また、図16に示されるように、複数のコンベヤローラ104Aは、駆動モータ104M、104Nに駆動力伝達用のベルト104V、104Wを介して接続されており、駆動モータ104M、104Nの駆動力によって回転するようになっている。そして、搬入ローラコンベヤ104は、トレイTを複数段に積み上げた状態で載置可能となっており、トレイTを複数段に積み上げた状態で搬送する。
図14及び図16に示されるように、コンベヤローラ104Aの下方側には、コンベヤローラ104Aの配列方向に沿って複数個(本実施形態では計三個)のストッパ104B、104C、104Dが設けられている。ストッパ104B、104C、104Dは、搬送されるトレイTの位置決め用とされ、コンベヤローラ104Aよりも上方側の位置に突出することが可能となっている。これらのストッパ104B、104C、104Dを駆動する駆動部、及び図16に示される駆動モータ104M、104Nは、制御部164に接続されており、制御部164によって作動が制御されるようになっている。
図14に示されるように、搬入ローラコンベヤ104の搬送方向下流側に隣接して中間ローラコンベヤ106が配置されている。中間ローラコンベヤ106は、装置奥側から装置手前側へ向かう方向(矢印Y2方向)を搬送方向とし、その搬送方向最上流部が搬入ローラコンベヤ104の搬送方向の延長線上に設定されている。また、図10に示されるように、中間ローラコンベヤ106における搬送方向上流部から搬送方向中間部にかけての部分がキャビネット112の装置左側に隣接して配置されている。図14に示されるように、中間ローラコンベヤ106は、搬送方向(矢印Y2方向)に沿って配列された複数のコンベヤローラ106Aを備えている。すなわち、複数のコンベヤローラ106Aの配列方向は、搬入ローラコンベヤ104のコンベヤローラ104Aの配列方向に対して直交する方向に設定されている。そして、中間ローラコンベヤ106は、トレイTを複数段に積み上げた状態で載置可能となっている。
図14~図16に示されるように、中間ローラコンベヤ106の搬送方向中間部には、コンベヤローラ106Aの下方側にストッパ106Bが設けられている。このストッパ106Bは、搬送されるトレイTをキャビネット112(図10参照)に搬入させる場合の位置決め用とされ、コンベヤローラ106Aよりも上方側の位置に突出することが可能となっている。このストッパ106Bを駆動する駆動部は、制御部164に接続されており、制御部164によって作動が制御されるようになっている。
また、図14及び図15に示されるように、中間ローラコンベヤ106の搬送方向最下流部の上方側には、搬出プッシャ107が設けられている。図15に示されるように、搬出プッシャ107は、天井フレーム109に支持されると共に装置左右方向に沿ってスライド可能なスライド部107Aを備えると共に、スライド部107Aの右側の端部から垂下された押板部107Bを備えている。また、スライド部107Aは、伸縮可能なアクチュエータ107Cによって装置右側から装置左側へ押圧されるようになっている。そして、中間ローラコンベヤ106の搬送方向最下流部にトレイTが載置されている場合、スライド部107Aが装置右側から装置左側へスライドすることで押板部107BがトレイTを押圧する構造となっている。また、アクチュエータ107Cは、制御部164に接続されており、制御部164によって作動が制御されている。
図14に示されるように、中間ローラコンベヤ106の搬送方向下流側において搬送方向右側に隣接して搬出ローラコンベヤ108が配置されている。搬出ローラコンベヤ108は、装置右側から装置左側へ向かう方向(矢印Y3方向)を搬送方向としており、搬入ローラコンベヤ104と平行に配置されている。搬送幅方向両側に設けられたコンベヤ基台に複数のコンベヤローラ108Aが回転可能に支持されている。複数のコンベヤローラ108Aは、搬送方向(矢印Y3方向)に沿って配列されている。なお、図10及び図11では、搬出ローラコンベヤ108の搬送方向上流側の部位の図示を省略している。
また、図15に示されるように、複数のコンベヤローラ108Aのうち搬送方向下流側に配置されたものは、駆動モータ108Mに駆動力伝達用のベルト108Vを介して接続されており、駆動モータ108Mの駆動力によって回転するようになっている。そして、搬出ローラコンベヤ108は、トレイTを複数段に積み上げた状態で載置可能となっており、トレイTを複数段に積み上げた状態で搬送する。また、コンベヤローラ108Aの下方側には、トレイTに乗った投射材を飛散させないように、複数のホッパ114が設けられている。
図14に示されるように、搬入ローラコンベヤ104と搬出ローラコンベヤ108との間には、搬入出装置200が配置されている。図10に示されるように、搬入出装置200は、中間ローラコンベヤ106を挟んでキャビネット112と対向配置されている。すなわち、搬入出装置200は、キャビネット112の外部に配置されている。そして、搬入出装置200は、中間ローラコンベヤ106上のトレイT(処理前の被処理対象物W)をキャビネット112内に搬入すると共に、キャビネット112内からトレイT(処理後の被処理対象物W)を搬出して中間ローラコンベヤ106上に載置する。搬入出装置200の機構については後述する。
(キャビネット内のロータリー等の構成)
一方、キャビネット112の内部には、略円筒状とされて装置上下方向の公転軸部162の軸線の周りに回転可能に設けられたロータリー(「公転ドラム」ともいう。)160が配置されている。ロータリー160は、公転軸部162の軸線の周りの空間が仕切部165に仕切られることで複数の処理室R1、R2が周方向に並設されている。処理室R1、R2には外周側に向けて開口し、トレイTの搬入用、トレイTの搬出用、及び投射材の通過用となる開口部が形成されている。
図17には、ロータリー160等が配設されたキャビネット112及びその周囲部が図10の図中略中央部のXVII-XVII線矢視図にて示されている。図17に示されるように、ロータリー160の天井部160Uは、キャビネット112の上部側に位置しており、このロータリー160の天井部160Uには吊下部150が設けられている。吊下部150は、装置上下方向を軸線方向としており、ロータリー160の天井部160Uに対して自らの軸線方向周りに回転可能に支持されている。吊下部150において、ロータリー160の天井部160Uから垂下された垂下部分は、処理室R1、R2の内部に設けられている。そして、この吊下部150にはハンガー部152(「トレイ受け」、「ハンガーフック」としても把握される要素である。)が吊り下げられている。なお、図17の左側のハンガー部152と右側のハンガー部152とは、同一形状に形成されているが、ハンガー部152における自転の回転角度位置が異なるため、図17では、異なる形状に見えている。ハンガー部152は、キャビネット112の内部においてロータリー160の処理室R1、R2の内部に設けられている。
ハンガー部152の形状は、全体として見れば第1の実施形態におけるハンガー部52(図4参照)の形状と概ね同様の形状となっているが、以下において、図17~図19を参照しながら具体的に説明する。図18及び図19には、ハンガー部152が拡大して示されている。図18は、図17のXVIII-XVIII線矢視図であり、図19は、図18のXIX-XIX線矢視図である。図17及び図18に示されるように、ハンガー部152は、一対の枠部154を備えている。枠部154は、上辺部154A、下辺部154B、及び一対の側辺部154Cを有している。そして、図17~図19に示されるように、一対の枠部154は、開口方向を一致させて直列に並設されている。
図17及び図18に示されるように、一対の枠部154の上辺部154Aにおける左右幅方向中間部の上面部同士は、連結板部155Aで連結されており、この連結板部155Aが吊下部150に吊り下げられている。また、一対の枠部154の側辺部154Cにおける上下方向中間部は、一対の枠部154の並設方向の対向部同士が連結ピン155Bで連結されている。さらに、図17~図19に示されるように、一対の枠部154の下辺部154Bにおける左右幅方向中間部の上面部同士は、連結部156で連結されている。
連結部156は、一対の枠部154の下辺部154Bにおける左右幅方向中間部から立設されてそれぞれ左右幅方向に並設された立設部156Aを備えている。立設部156Aの上端部は、平面視で略矩形枠状のトレイ受部156Bによって連結されている。トレイ受部156Bは、平面視で一対の枠部154に対して一対の枠部154の並設方向の両側に張り出している。そして、ハンガー部152は、枠部154の開口部内にトレイTを挿入可能となっており、連結部156のトレイ受部156BにトレイTを載置可能となっている。なお、トレイTには、前述したように被処理対象物Wが載置される。また、一対の枠部154の下辺部154Bにおける左右幅方向中間部の下面部同士は、連結板部156Cによって連結されている。
また、図18に示されるように、枠部154において一対の側辺部154Cの対向部には、トレイ受部156Bよりも若干上方側の高さ位置に凸部157が設けられている。凸部157は、一対の側辺部154Cの対向方向に凸とされており、トレイTの側部下端に接することで、トレイTの横方向への変位を制限している。
さらに、トレイ受部156Bからは立設部156Aの上方側に突出ピン156Pが立設されている。トレイ受部156BにトレイTが載置された状態では、トレイTの網目を突出ピン156Pが貫通する。よって、ハンガー部152は、トレイTを安定的に支持可能とされている。
図17に示されるロータリー160が公転軸部162の軸線の周りに回転することでハンガー部152が装置右側に達するが、この状態のハンガー部152の側に向けて前述した投射機122、124が投射材を投射する。なお、図中において投射機122、124から延びる一点鎖線は、投射方向中心線である。投射機122、124は、遠心式投射機とされ、回転可能な羽根車(図示省略)を備えると共に、前記羽根車を駆動する駆動モータ123、125(図11参照)を備えており、前記羽根車の回転により投射材に遠心力を付与する。すなわち、投射機122、124は、前記羽根車の回転に伴って、遠心力で加速させた投射材を処理室R1、R2における開口部を通して処理室R1、R2の内部に投射するようになっている。なお、処理室R1、R2は、投射機122、124に隣接する装置右側に配置されることで投射室120となり、搬入出装置200の側である装置左側に配置されることで搬入出室(載せ降ろし室)121となる。図11に示される投射機122、124の前記羽根車を駆動する駆動モータ123、125は、制御部164に接続され(接続状態は図示省略)、制御部164によって作動が制御されている。
次に、図17に示される吊下部150及びハンガー部152を公転及び自転させるための機構について説明する。図20には、キャビネット112の天井部側から見た平面図が示されている。キャビネット112には、回転駆動機構170が設けられている。回転駆動機構170は、公転軸部162及び公転駆動モータ172を含んで構成され、ロータリー160を当該ロータリー160の軸線の周りに回転させることで吊下部150を公転させるようになっている。なお、図20の矢印160Xは、ロータリー160の回転方向を示している。
図17に示されるように、公転軸部162は、装置上下方向を軸方向として延在し、上部がロータリー160の天井部160Uの中央部に取り付けられると共に下部がロータリー160の底板部160Fの中央部に取り付けられている。また、公転軸部162は、ロータリー160に対して上下に配置される部位が軸受部168A、168Bを介してキャビネット112のフレームに支持されており、これにより、自らの軸線周りに回転可能とされている。
また、図20に示されるように、公転駆動モータ172は、ロータリー160の天井部160Uの外周側に設けられ、出力軸の軸方向が装置上下方向に設定されている。公転駆動モータ172の出力軸には、図示しないローラが同軸的に固着されており、このローラがロータリー160の天井部160Uの外周部に接している。これにより、公転駆動モータ172の駆動力が前記ローラを介してロータリー160に伝達される構成となっている。すなわち、ロータリー160は、公転駆動モータ172の作動によって装置上下方向の公転軸部162の軸線周りに回転するようになっている。公転駆動モータ172は、制御部164に接続されており、制御部164によって作動が制御されている。
また、回転駆動機構170は、公転ロック用として、ロータリー160の天井部160Uの所定位置に固定されてロータリー160の半径方向外側に凹状に開口した係止部174と、ロータリー160の天井部160Uの外周側に配置されたロックシリンダ176と、を備えている。本実施形態では、係止部174は、ロータリー160の周方向に等間隔で計二箇所に形成されている。また、ロックシリンダ176は、公知のエアシリンダとされ、ロッド176Aが係止部174の内部に嵌る位置とロータリー160の天井部160Uの外周から離れた位置との間で伸縮可能とされている。
ロックシリンダ176は、いずれもブロック化して図示するエア方向制御機器(電磁弁等)177Aを介してエア供給源177Bと接続されており、エア方向制御機器177Aは、制御部164に接続されている。制御部164は、所定の条件に従って、エア方向制御機器177Aを制御することで、ロックシリンダ176のロッド176Aの伸縮を方向制御している。
また、回転駆動機構170は、ロータリー160の天井部160Uの外周側に180°間隔で金属片178Zが取り付けられると共に、ロータリー160の天井部160Uの外周から若干離れてかつ互いに近接配置された複数個(本実施形態では一例として計三個)の近接スイッチ178A、178B、178C、178Dを備えている。金属片178Zの一部は、装置平面視でロータリー160の外周面よりもロータリー160の半径方向外側に張り出している。また、近接スイッチ178A、178B、178C、178Dは、金属片178Zが所定範囲内まで接近した際に近接スイッチ178A、178B、178C、178Dを含む電気回路(制御回路部)を導通状態にする構成とされている。すなわち、ロータリー160が所定の回転角度位置に達した状態では、金属片178Zが近接スイッチ178A、178B、178C、178Dに近接することにより、近接スイッチ178A、178B、178C、178Dが金属片178Zの近接を検出、換言すれば、ロータリー160が所定の回転角度位置にあることを検出するようになっている。
近接スイッチ178A、178B、178C、178Dは、制御部164に接続されている。制御部164は、近接スイッチ178Bが金属片178Zの近接を検出した場合には、その検出結果に基づいて、エア方向制御機器177Aを制御することで、ロックシリンダ176のロッド176Aがロータリー160に取り付けられた係止部174に嵌る位置に伸び、その後、係止部174から外れる位置に縮むように方向制御している。ロッド176Aを係止部174に嵌ることでロータリー160の公転停止位置の精度が良好となる。また、制御部164は、近接スイッチ178Bが金属片178Zの近接を検出しない場合には、エア方向制御機器177Aを制御することで、ロックシリンダ176のロッド176Aがロータリー160に取り付けられた係止部174よりもロータリー160の半径方向外側に位置するように方向制御している。さらに、制御部164は、近接スイッチ178B、178C、178Dが金属片178Zの近接を検出した場合には、その検出結果に基づいて、公転駆動モータ172を一時停止するように制御している。
これにより、回転駆動機構170は、被処理対象物Wが投射機122、124(図17参照)により投射される投射エリアの所定位置(本実施形態では図20の図中上側に二点鎖線で示されるチェーンホイール180の三つの位置に対応する位置)を公転停止位置としてロータリー160を一次停止させるようになっている。なお、被処理対象物Wの公転停止位置でロータリー160を一次停止させた場合には処理室R1、R2のうちの一室が投射室120になると共に、処理室R1、R2のうちの他の一室は搬入出室121になるように設定されている。
一方、図17に示されるように、ロータリー160には、吊下部150を装置上下方向に沿った当該吊下部150の軸線周りに回転させる自転機構179が設けられている。以下、この自転機構179について説明する。
ハンガー部152の下部の連結板部156Cには、装置平面視で吊下部150と重なる位置に軸部材151が固着されて垂下されている。軸部材151の下端部は、ロータリー160の底板部160Fに設けられた軸受部161によって、当該軸部材151の軸線周りに回転可能に支持されている。
ロータリー160の上方側には、吊下部150の上端部にチェーンホイール180が同軸的に固着されている。図20に示されるように、チェーンホイール180は、ロータリー160の回転に伴ってハンガー部152(図17参照)が投射ゾーンの所定位置(三点停止位置)に達するとチェーン181に接するようになっている。チェーン181は無端状とされて駆動側チェーンホイール182及び従動側チェーンホイール183に巻き掛けられている。駆動側チェーンホイール182は、駆動モータ184のモータ軸に同軸に固着されており、駆動モータ184は、装置フレームに固定されると共に、制御部64に接続されており、所定時(本実施形態では装置本体の電源を入れた場合)に駆動するようになっている。
従動側チェーンホイール183は、ピローユニットを構成し、軸部183Aがアーム体185Aの先端部に回転可能に取り付けられている。アーム体185Aは、基端部が装置上下方向に沿う回転軸185Bを中心として揺動可能とされ、先端部がバネ185Cを介してテンションボルト185Dに取り付けられている。テンションボルト185Dは、装置フレームに固定されている。これらにより、従動側チェーンホイール183は、図中左側への張力を常時受けている。このため、チェーン181は、チェーンホイール180が所定の位置範囲にある場合に駆動モータ184からの駆動力をチェーンホイール180へ伝達するようになっている。すなわち、自転機構179は、駆動モータ184からの駆動力で吊下部150を装置上下方向に沿った当該吊下部150の軸線周りに回転させる。なお、この構造では、チェーン181及びチェーンホイール180に無理な負荷が加わりにくい構造となっている。
また、図17及び図20に示されるように、キャビネット112の天井部112Uにおいては、トレイTが搬入出される装置左側にも自転機構190が設けられている。自転機構190は、キャビネット112の天井部112Uに取り付けられた駆動モータ191を備えている。駆動モータ191の出力軸には、ローラ192が同軸的に固着されている。ローラ192の径は、チェーンホイール180の径よりも小さく設定されている。このローラ192は、チェーンホイール180と接して駆動モータ191の駆動力を伝達可能となっている。すなわち、自転機構190は、駆動モータ191が駆動することで、吊下部150を装置上下方向に沿った当該吊下部150の軸線周りに回転させる。
一方、図17に示されるハンガー部152から垂下された軸部材151を回転可能に支持する軸受部161には、角度位置検出部193(図中ではブロック化して図示)が設けられている。角度位置検出部193は、一例として、軸受部161の上端部にてロータリー160の半径方向外側に設けられた近接スイッチとされている。これに対して、軸部材151には金属片194(図18参照)が設けられている。図18に示されるこの金属片194は、図18に示されるハンガー部152の正面視(枠部154の開口部が正面を向くような方向視)で軸部材151の下部寄りの正面に取り付けられている。また、図17に示される角度位置検出部193は、金属片194(図18参照)が接近した際に角度位置検出部193を含む電気回路(制御回路部)を導通状態にする構成とされている。これにより、ロータリー160の上方側で自転機構190のローラ192とチェーンホイール180とが接した状態では、角度位置検出部193は、吊下部150における装置上下方向の軸線周りの回転角度位置のうちハンガー部152における枠部154の開口部が搬入出装置200の側(後述するアーム207の側)に向くように設定された初期設定位置を検出するようになっている。
また、図20に示される駆動モータ191及び角度位置検出部193(図17参照)は、自転制御部としての制御部164に接続されている。制御部164は、角度位置検出部193(図17参照)の検出結果に基づいて、吊下部150を前記初期設定位置で停止させるように自転機構190の駆動モータ191の作動を制御可能とされている。
(キャビネット外の搬入出装置の構成)
一方、図14に示されるように、搬入ローラコンベヤ104と搬出ローラコンベヤ108との間に配置された搬入出装置200は、走行体202を備えている。この走行体202は、中間ローラコンベヤ106の搬送方向に対して直交する方向に沿って走行可能とされている。走行体202には、装置左右方向を軸方向とする走行用シリンダ204のロッド先端部が固定されている。走行用シリンダ204は、搬入出装置200の装置フレーム208に取り付けられており、公知のエアシリンダとされ、走行用シリンダ204のロッドが装置左右方向に伸縮することで走行体202を装置左右方向に往復移動(装置左右方向に走行)させるようになっている。
図11に示されるように、走行用シリンダ204は、いずれもブロック化して図示するエア方向制御機器(電磁弁等)210を介してエア供給源212と接続されており、エア方向制御機器210は、制御部164に接続されている。制御部164は、エア方向制御機器210を制御することで、走行用シリンダ204のロッドの伸縮を方向制御している。
走行体202には、いずれも装置上下方向を軸方向とする昇降機構としての昇降用シリンダ205、206を介してアーム207が取り付けられている。昇降用シリンダ205、206は、公知のエアシリンダとされてそれぞれアーム207に取り付けられており、昇降用シリンダ205、206のロッドが装置上下方向に伸縮することでアーム207を装置上下方向に昇降させるようになっている。
昇降用シリンダ205は、ブロック化して図示するエア方向制御機器(電磁弁等)213を介してエア供給源212と接続され、昇降用シリンダ206は、ブロック化して図示するエア方向制御機器(電磁弁等)214を介してエア供給源212と接続されている。エア方向制御機器213、214は、制御部164に接続されている。制御部164は、エア方向制御機器213を制御することで、昇降用シリンダ205のロッドの伸縮を方向制御し、エア方向制御機器214を制御することで、昇降用シリンダ206のロッドの伸縮を方向制御している。
図17に示されるように、アーム207は、中間ローラコンベヤ106側とハンガー部152側(搬入出室121)との間でトレイTを受け渡しするための部材とされ、非作動時には中間ローラコンベヤ106のコンベヤローラ106A(図14参照)同士の間の下側隙間に退避される。アーム207は、左右一対設けられ、図18に示されるハンガー部152における枠部154の開口部内における連結部156の左右の側方側に挿入可能でかつ被処理対象物Wを載置したトレイTを載置して運搬可能となっている。図17に示されるアーム207においてトレイTを載置する載置部の上下方向の厚みt1が図18に示される連結部156におけるトレイTの載置面(トレイ受部156Bの上面)と下辺部154Bの上面との上下方向の距離L1よりも小さく設定されている。図11に示される搬入出装置200は、走行用シリンダ204の作動によってアーム207を進退移動させることでトレイTをハンガー部152に対して搬入出させるようになっている。
(処理の流れ及び作用・効果)
次に、図10等に示されるショットブラスト装置100を用いた処理の流れについて概説しながら、上記実施形態の作用及び効果について説明する。なお、各機構の作動は、制御部164による制御によりなされるが、以下の説明においては、制御部164による制御についての説明を適宜省略する。
まず、図10に示される搬入ローラコンベヤ104の上に二段に積み上げられたトレイTを作業者又はロボットアームが載置する。搬入ローラコンベヤ104は、二段に積み上げられたトレイTを中間ローラコンベヤ106の側に搬送する。そして、中間ローラコンベヤ106にて二段に積み上げられたトレイTが搬入出装置200の前まで搬送される。
図17に示されるように、搬入出装置200は、その一部を構成するアーム207がハンガー部152における枠部154の開口部内に挿入可能でかつ被処理対象物Wを載置したトレイTを運搬可能となっている。そして、搬入出装置200は、アーム207を上昇させることで中間ローラコンベヤ106上のトレイTを支持し、アーム207を前進移動させることでトレイTをハンガー部152に対して搬入させる。このようにトレイTがハンガー部152に載せられた状態で後述するショットブラスト処理がなされる。このため、被処理対象物Wの種類が変わっても、治具を交換することなく、ショットブラスト処理することができる。よって、治具の交換時間をなくすことで、多品種の被処理対象物を処理する場合の処理時間が短縮される。
また、トレイTの搬入時に、一対のアーム207は、枠部154の開口部内における連結部156の左右の側方側に挿入される。ここで、本実施形態では、アーム207においてトレイTを載置する載置部の上下方向の厚みt1が図18に示されるハンガー部152の連結部156におけるトレイTの載置面と下辺部154Bの上面との上下方向の距離L1よりも小さく設定されている。このため、図17に示されるように、トレイTを載置したアーム207が前進移動して枠部154の開口部内における連結部156の左右の側方側に挿入された後、搬入出装置200の昇降用シリンダ206がアーム207を下降させればトレイTをハンガー部152の連結部156に載置することができ、その後にアーム207のみを後退移動させることができる。すなわち、簡易な構成でありながらトレイTをハンガー部152に安定的に搬入することができる。
また、吊下部150における装置上下方向の軸線周りの回転角度位置のうちハンガー部152における枠部154の開口部がアーム207の側に向くように設定された初期設定位置が、角度位置検出部193で検出される。そして、ハンガー部152が搬入出装置200の対向エリアに位置した場合に、角度位置検出部193の検出結果に基づいて、図20に示される制御部164は、吊下部150を前記初期設定位置で停止させるように自転機構190の作動を制御する。このため、図17に示されるトレイTをハンガー部152に搬入出する際にアーム207はハンガー部152における枠部154の中に容易に挿入される。
また、図20に示されるように、ロータリー160に設けられた回転駆動機構170は、ロータリー160を当該ロータリー160の軸線の周りに回転させることで、ロータリー160の天井部160Uに設けられた吊下部150を公転させる。そして、回転駆動機構170は、図17に示される被処理対象物Wが投射機122、124により投射される投射エリアの所定位置を公転停止位置としてロータリー160を一次停止させる。なお、一次停止は、図20に示される近接スイッチ178B、178C、178Dの検出結果に基づいて制御部164がエア方向制御機器177A、公転駆動モータ172を制御することでなされる。
図17に示されるように、ロータリー160を一次停止したとき、二つの処理室R1、R2のうち、一方は装置右側の投射エリアに位置し、他方は装置左側の搬入出エリアに位置する。これにより、投射機122、124による投射時に、投射エリア以外のエリアでロータリー160からトレイTを搬出及び搬入することができる。よって、全体としての処理時間が短縮される。
また、投射エリアに達したトレイTは、自転機構179が吊下部150及びハンガー部152を自転させることで、自転する。この自転状態で投射機122、124がトレイT上の被処理対象物Wに対して投射材を投射する。ショットブラスト処理後の被処理対象物Wを載置したトレイTは、ロータリー160が公転することで、再び装置左側の搬入出エリアに戻る。
次に、搬入出装置200は、アーム207を前進移動させて枠部154の開口部内における連結部156の左右の側方側に挿入させた後、アーム207を上昇させて後退移動することでトレイTをハンガー部152から搬出する。そして、搬入出装置200は、アーム207を下降させることでトレイTを中間ローラコンベヤ106に載置する。図14に示されるように、中間ローラコンベヤ106にて装置前方側に搬送されたトレイTは、搬出プッシャ107によって搬出ローラコンベヤ108に押し出された後、搬出ローラコンベヤ108によって搬出される。
以上説明したように、本実施形態に係るショットブラスト装置100によれば、多品種の被処理対象物Wを処理する場合の処理時間を短縮することができる。
[実施形態の補足説明]
なお、上記実施形態では、ショット処理装置がショットブラスト装置10、100とされているが、ショット処理装置は、ショットピーニング装置であってもよいし、ショットブラスト装置兼ショットピーニング装置であってもよい。
また、図1等に示される第1の実施形態における昇降扉14に代えて下開きの扉又は横開きの扉を適用してもよい。また、第1の実施形態における搬送ローラコンベヤ76を昇降する機構を設けてもよいし、図3に示される搬入出装置86の台車86Aを案内するレールを搬送ローラコンベヤ76の上方側まで延ばしてもよい。
また、上記実施形態の変形例として、搬入出装置のアームは、例えば、トレイを挟持して運搬するようなアーム等のような他のアームでもよい。
また、上記実施形態の変形例として、枠部の下辺部を連結する連結部を設けず、枠部の下辺部にてアームに対応する幅方向位置に下方側へ凹んでアームを挿入できるような凹部を形成してもよい。
また、上記実施形態の変形例として、角度位置検出部66、193(図2、図17参照)を設けずに、ロボットアーム等を用いて所定時に吊下部を初期設定位置に設定してもよい。
また、上記第1の実施形態の変形例として、搬入側受渡部は、例えば、搬入側受渡ベルトコンベヤや搬入側受渡用の載置台等のような搬入側受渡ローラコンベヤ74以外の搬入側受渡部であってもよい。また、上記第1の実施形態の変形例として、搬送コンベヤは、例えば、搬送ベルトコンベヤ等のような搬送ローラコンベヤ76以外の搬送コンベヤであってもよい。さらに、上記第1の実施形態の変形例として、搬出側受渡部は、例えば、搬出側受渡ベルトコンベヤや搬出側受渡用の載置台等のような搬出側受渡ローラコンベヤ78以外の搬出側受渡部であってもよい。
また、請求項4に記載の「トレイを挟持」の概念には、トレイをその両サイド側から挟みつけて支持するものが含まれる他、上記実施形態のように、トレイをその両サイド側から抱えるようにして支持するものも含まれる。
また、上記実施形態の変形例として、搬入出装置の昇降機構は、例えば、昇降モータとボールネジ機構とを備えたような他の昇降機構であってもよい。また、上記第1の実施形態の変形例として、段積み装置の昇降部は、例えば、シリンダ等のような他の昇降部であってもよい。
また、上記第1の実施形態の変形例として、クランプの一部を構成する付勢機構は、例えば、板バネや竹の子バネ等のような図5に示される引張コイルバネ90L以外の付勢機構であってもよい。
また、上記第1の実施形態では、図6に示される吹付装置92が設けられているが、このような吹付装置92が設けられない構成も採り得る。
なお、上記実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。