WO2014115647A1

WO2014115647A1 - パルスシャワー装置

Info

Publication number: WO2014115647A1
Application number: PCT/JP2014/050774
Authority: WO
Inventors: 秀征小牧; 西村　正紀
Original assignee: 株式会社Ｌｉｘｉｌ
Priority date: 2013-01-24
Filing date: 2014-01-17
Publication date: 2014-07-31
Also published as: JP2014140549A

Abstract

　散水板の内面の下流において内面に沿って所定周長に亘って形成されるとともに複数のシャワー孔を覆うシャワー孔遮断部と、内面に向けて開放されたシャワー孔開放部と、羽根と、を有し、散水板の内面の上流部に設けられ、軸周りに回動する羽根車と、上流部からの水を通過させ、通過した水を噴射水流として噴射させて羽根に衝突させる噴射口を有し、噴射口からの噴射水流により羽根車を回転駆動する水流噴射部材と、を備えるパルスシャワー装置を提供する。

Description

パルスシャワー装置

　本発明は、シャワー孔からシャワー水をパルス状に断続吐水するパルスシャワー装置に関する。
　本願は、２０１３年１月２４日に、日本に出願された特願２０１３－０１１５５５号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

　従来、シャワー孔を断続的に遮断及び開放することによって、シャワー孔からシャワー水をパルス状に断続吐水するパルスシャワー装置が公知である。
　一般的なパルスシャワー装置は、内面から外面へ貫通した複数のシャワー孔を備えた散水板と、散水板の内面の上流側で軸周りに回転運動する羽根車と、上流部からの水を通過させ、通過水を噴射水流として羽根車の羽根に衝突させ、羽根車を回転駆動する水流噴射部材とを含む。また、一般的に、羽根車は、散水板内面部の下流部位において散水板内面に沿って所定周長に亘り延び、且つシャワー孔を覆うシャワー孔遮断部と、散水板内面に向けて開放されたシャワー孔開放部とを周方向に沿って交互に備えている。
　このパルスシャワー装置では、羽根車の回転によりシャワー孔遮断部及びシャワー孔開放部を軸周りに回転運動させてシャワー孔を断続的に遮断及び開放し、シャワー孔からシャワー水をパルス状に断続吐水する。

　例えば下記特許文献１には、噴水孔（シャワー孔）７４を備えたキャップ（散水板）７０と、その上流側の羽根車５６とを備え、羽根車５６は半周に亘ってシャワー孔遮断部としての覆い板６を、また残りの半周に亘ってシャワー孔開放部を備えるシャワーヘッドが開示されている。羽根５７への水流の作用により羽根車５６を回転運動させてシャワー孔遮断部としての覆い板６０及びシャワー孔開放部を軸周りに回転運動させ、シャワー孔を断続的に遮断及び開放し、シャワー水がパルス状に断続吐水される。

　また下記特許文献２には、シャワー孔１１８を備えた散水板５８と、その上流側の羽根車１２４とを備え、羽根車１２４は半周に亘ってシャワー孔遮断部１３０を、また残りの半周に亘ってシャワー孔開放部を備えるシャワー吐水装置が開示されている。羽根車１２４の回転によりシャワー孔遮断部１３０及びシャワー孔開放部を軸周りに回転運動させ、シャワー孔１１８を断続的に遮断及び開放し、シャワー水がパルス状に断続吐水される。

　特許文献２では、羽根車１２４に対して上流部の上方から羽根車１２４の上面に向けて斜め下向きに水流噴射部材の噴射口から水流を噴射している。
　この場合、羽根車１２４に対して、特にシャワー孔遮断部に対して、水流により下向きの力が加わり易い。

　他方特許文献１では、羽根車よりも外周側の位置に噴射口（流入口４９)を設け、噴射口からの噴射水流を羽根車５６の外周側面に向けて噴射している。
　この場合、噴射口からの噴射水流により羽根車５６を下向きに押す力を弱くでき、羽根車５６を円滑に回転させることが容易にできる。

　しかしながら特許文献１では、噴射口が、羽根車５６の軸方向の上流側の半部である上位置と、下流側の半部である下位置とにまたがって大きく開口している。この場合、噴射口から出た水が羽根車と散水板との間の隙間に流れ込み易い。

　噴射口からの水が羽根車と散水板との間の隙間に流れ込むと、その水は羽根車を回転させるための水として利用されず、隙間に流れ込んだ水がそのまま散水板のシャワー孔から外部に吐水される。
　即ち、羽根車の回転により断続化されない形で水がシャワー孔から吐出される。
　すると、パルスシャワー装置が本来のパルスシャワー吐水の機能を十分に発揮できない。

日本国特開平５－１１５５２０号公報日本国特開２０１２－１３５６０６号公報

　本発明は、以上のような事情を鑑み、羽根車の回転を良好に円滑にできるとともに、噴射口から噴射された水を羽根車の回転のための水流として有効に利用することができるパルスシャワー装置を提供する。また、羽根車の回転により断続化されずに吐出される水の量を少なくして、パルスシャワー機能を十全に発揮することのできるパルスシャワー装置を提供する。

　本発明の第１の態様は、パルスシャワー装置であって、内面及び外面を有し、内面から外面へ貫通する複数のシャワー孔を備えた散水板、散水板の内面の下流において内面に沿って所定周長に亘って形成されるとともに複数のシャワー孔を覆うシャワー孔遮断部、内面に向けて開放されたシャワー孔開放部、及び、羽根を有し、散水板の内面の上流部に設けられ、軸周りに回転運動する羽根車と、上流部からの水を通過させ、通過した水を噴射水流として噴射させて羽根車の羽根に衝突させる噴射口を有し、噴射口からの噴射水流により羽根車を回転駆動させる水流噴射部材と、を備える。シャワー孔遮断部及びシャワー孔開放部は、周方向に沿って交互に配置され、羽根車の回動により軸周りに回動してシャワー孔を断続的に遮断及び開放し、シャワー孔からパルス状に断続吐水させる。水流噴射部材の噴射口は、羽根車の軸方向の上流側半部に対応する上位置のみに設けられ、羽根車よりも外周側に、羽根車の外周側面に向けて噴射するように形成される。

　上記本発明の態様によれば、水流噴射部材の噴射口を、羽根車よりも外周側の位置で羽根車の外周側面に向けて噴射するように配置するとともに、羽根車の軸方向の上流側の半部に対応する上位置と、下流側の半部に対応する下位置とのうちの上位置だけに設ける。これにより、噴射口から噴射された水流のうち、羽根車の羽根に当たらずに、即ち羽根車を回転させることなく、羽根車と散水板との間の隙間に流入して羽根車の回転により断続化されることなくシャワー孔から吐出される水の量を少なくすることができる。
　従って、パルスシャワー装置の断続吐水即ちパルスシャワー吐水の機能を十全に発揮させることができる。

　また、本発明では、パルスシャワー装置を以下のように構成することができる。
　パルスシャワー装置は、(ａ)羽根車の上流部且つ平面視の中央部で軸方向の水の流れを生じさせる第１水室と、(ｂ)第１水室に続いて下流側に設けられ、第１水室からの軸方向の水の流れを平面視で羽根車の外周側に向う流れに変換する第２水室と、(ｃ)羽根車よりも外周側の位置で羽根車を取り巻くように設けられ、第２水室からの水の流れを当てて水流の向きを羽根車の外周側面に向う流れに反転させる環状壁部と、を備える。水流噴射部材の噴射口は、環状壁部と羽根車の外周側面との間に配置され、第２水室には、羽根車の外周側に向う水の流れを旋回流とする、羽根車の部分螺旋形状の羽根とは平面視で逆向きの部分螺旋形状をなす水流の案内羽根が設けられる。噴射口は、平面視で上記旋回流と同じ側に傾いた斜孔として形成される。

　以上の構成により、次の効果が得られる。
　第１に、特許文献１に開示の構成では、軸方向に流れた水が直接噴射口から羽根車に向う噴射水流となり、また噴射口が大きく開口している。そのため、噴射水流がある程度軸方向の流れの力を維持した水流となり易く、その分羽根車を下向きに押す力が残り易い。
　一方、上記のパルスシャワー装置では、第１水室からの軸方向の流れが第２水室によって平面視で羽根車の外周側に向う流れとなった後、環状壁部に当たることで反転して羽根車の外周側面に向う流れとなる。そのような流れが噴射口を通じて羽根車の外周側面に噴射される噴射水流となるため、噴射水流により羽根車を下向きに押す力を効果的に弱くすることができる。さらに、噴射水流の力を羽根車を回すための力として有効に働かせることができ、羽根車を効率良く回転運動させることができる。

　第２に、第２水室では平面視で羽根車の外周側に向う流れが旋回流とされ、その旋回流を維持したまま環状壁部及び噴射口を通じて羽根車の羽根に噴射水流を当てることができる。従って、水流の力をより有効に羽根車の回転駆動力として働かせることができる。

本発明の一実施形態に係るシャワーヘッドを示した図である。図１のシャワーヘッドの内部構造を示した図である。図２の要部を更に拡大した図である。図２のシャワーヘッドの構成部品を分解して示した斜視図である。図４で示したシャワーヘッドの構成部品の断面図である。図４の羽根車ユニットを更に分解して示した図である。図４の羽根車ユニットを組付状態で示した図である。図７ＡのＢ部分を拡大した図である。図４の旋回流生成部材を異なった方向から示した図である。図６における羽根車の上面の形状を示した図である。図６における羽根車の底部の下面の形状を示した図である。図２のＡ－Ａ断面図である。図２のＢ－Ｂ断面図である。本発明の一実施形態に係る羽根車の断面を示した図である。本発明の一実施形態に係る羽根車ユニットの組付方法を示した図である。

　本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳しく説明する。
　図１において、シャワーヘッド（パルスシャワー装置）１０は、握り部１２、頭部１４、頭部１４に設けられた散水板１６を備える。
　散水板１６には、内面から外面（下面）へ貫通した多数のシャワー孔１８が、４重の同心円を形成するに設けられている。
　図中、同心円の最外周のシャワー孔１８－１、その次の内周側のシャワー孔を１８－２、更にその次の内周側のシャワー孔１８－３、最内周のシャワー孔１８－４がそれぞれ示されている。

　図２に、シャワーヘッド１０における頭部１４の内部構造が具体的に示してある。
　図２に示しているようにシャワーヘッド１０の頭部１４は、上ケース２０と、上ケース２０の図中下端の開口部を閉鎖する下ケースであるキャップ２２とを有している。
　上ケース２０は円筒形状の周壁部２４を有しており、雌ねじ部（図示せず）が設けられている。
　一方キャップ２２は円筒形状の立上り部２６を有しており、雄ねじ部（図示せず）が設けられている。
　キャップ２２は、雄ねじ部と雌ねじ部とにより、上ケース２０に対してねじ結合されている。

　図２～図５に頭部１４の内部構造が詳しく示してある。
　図２、図４及び図５に示しているように、頭部１４の内部にはノズルシート２８、リング状のパッキン３０、羽根車ユニット３２、及び旋回流生成部材３４が組み込まれている。
　羽根車ユニット３２は、図２及び図３に示しているように羽根車３６と、羽根車３６を内部に収める羽根車ハウジング３８とを有している。
　また羽根車ハウジング３８は、ノズルシート押えを兼ねたハウジング本体４０と、蓋体４２とから構成されている。

　本実施形態において、ノズルシート２８、パッキン３０を除く他の各部材、詳しくは上ケース２０、キャップ２２、羽根車ユニット３２における羽根車３６、羽根車ハウジング３８及び旋回流生成部材３４の何れもが硬質の樹脂製である。

　本実施形態において、散水板１６は、キャップ２２の底部４４と、底部４４に重ねられたノズルシート２８のシート部４６と、更にシート部４６に重ねられたハウジング本体４０の底部４８との３重積層構造で構成されている。

　ノズルシート２８はゴム製であるが、他のエラストマー材料から成っていても良い。ノズルシート２８はシート部４６と、シート部４６から下向き（図面の下方向）に突き出した複数のノズル部５０とを有している。各ノズル部５０が、樹脂製のキャップ２２の底部４４に形成された挿通孔５２を挿通して、それぞれの先端部が下向きに突き出している。
　複数のノズル部５０は、内部にノズル孔１８Ａを有しており、ノズル孔１８Ａによってシャワー孔１８の下部が形成されている。ノズル孔１８Ａは孔径がφ０．８ｍｍである。

　ノズルシート２８のシート部４６は、図３及び図４に示しているように図中下面が下向きに凸、図中上面が下向きに凹となるような湾曲形状であり、シート部４６には、下面から直角に立下る形状の各ノズル部５０が一体に形成されている。
　上記形状に対応して、上記のノズル押えを兼ねたハウジング本体４０において、その下面がノズルシート２８におけるシート部４６の凹曲面に対応した凸曲面を成している。
　ハウジング本体４０の底部４８には、ノズル孔１８Ａと連通し、上記のシャワー孔１８の上部を形成する多数の連通孔１８Ｂが底部４８を貫通して設けられている。

　図２において、上ケース２０には中央部に円筒部５４が設けられており、円筒部５４の内部に有底円筒形状である樹脂製の水路形成部材５６が組み込まれている。
　円筒部５４にはまた、旋回流生成部材３４の中央部において上向きに立上る円筒部５８が挿入されている。水路形成部材５６と円筒部５８とによって、円筒部５４の内部に水路６０からの水を流入させる流入室（第１水室）６２が形成されている。
　流入室６２は、平面視で後述の羽根車３６の中央部に図中上下向きに設けられている。

　旋回流生成部材３４は、中心から外周方向に向って下向きに穏やかに傾斜し、軸線と直交方向（軸直角方向）に拡がる平坦形状の上壁部６４と、上壁部６４の外周端で下向きに立下る円筒形状の環状壁部６６とを有している。上壁部６４と羽根車ハウジング３８の蓋体４２との間に、旋回流を生成させるための水室（第２水室）６８を形成している。

　水室６８内には、旋回流生成部材３４の上壁部６４から立下り、内周端から外周端に向って部分螺旋形状で延びる固定の案内羽根７０が設けられており、案内羽根７０が、羽根車ハウジング３８における蓋体４２の上面に当接している。
　旋回流生成部材３４は、水路６０から流入室６２内に流入して、更に流入室６２の図中下向きに軸方向に流れた水の流れを、水室６８内で軸直角方向に変えて、旋回流生成部材３４の外周側且つ後述の羽根車３６の外周側（平面視で外周側）へと流動させる。

　その際に、部分螺旋形状である案内羽根７０の整流及び案内作用によって、外周側に向って軸直角方向に流れる水の流れを旋回流とする。
　旋回流生成部材３４の環状壁部６６は、羽根車ハウジング３８よりも外周側に位置しており、水室６８内を外周側に向って流れた水、詳しくは上記の旋回流を当接させる。
　環状壁部６６へと当接した水の流れは、流れの向きを内向きに反転させて羽根車３６の外周側面へと向う流れとなり、後述の噴射口８８（図７Ｂ参照）を通じて羽根車ハウジング３８の内部へと勢い良く流入する。

　羽根車ユニット３２は、羽根車ハウジング３８の内側に水室（第３水室）７２を形成しており、水室７２に羽根車３６が回転可能に収容されている。
　羽根車ハウジング３８は、上記のようにハウジング本体４０と蓋体４２とに分かれている。ハウジング本体４０は散水板１６の内面構成部材であって、上記のようにノズル押えを兼ねて構成されている。
　ハウジング本体４０は、円筒状の周壁部７４と底部４８とを有し、上端が開放された形状の部材で、上端の開放部が蓋体４２にて閉鎖されている。
　ハウジング本体４０には、底部４８の中心部に底部４８を貫通する結合部としての固定孔７６が設けられている。

　蓋体４２には、中心部から立下る軸部７８が設けられている。軸部７８には、更に下部に結合部としての弾性掛止爪８０が設けられており、弾性掛止爪８０が、ハウジング本体４０の上記の固定孔７６に挿入されて固定孔７６に弾性掛止されている。そして固定孔７６に対する弾性掛止爪８０の掛止によって、蓋体４２とハウジング本体４０とが結合され、組み付けられている。

　詳しくは、図１１Ａ、図１１Ｂに示すように後述する保持穴１０６にボール１０８を保持した羽根車３６を内部に収容する状態で、羽根車ハウジング３８のハウジング本体４０と蓋体４２とが結合される。ボール１０８、羽根車３６、羽根車ハウジング３８のハウジング本体４０及び蓋体４２が組み付けられて１つの組付体、即ちユニットを構成している。

　本実施形態において、蓋体４２、羽根車３６、ハウジング本体４０は何れも白色で且つ透光性である。一方、ボール１０８は暗色、ここでは黒色で且つ非透光性である。
　従って、羽根車ハウジング３８の内部にボール１０８を保持した羽根車３６を収容した状態の羽根車ユニット３２を光に向けてかざすことにより、保持穴１０６内にボール１０８が保持されていることを光の加減でハウジング外部から目視で確認することが可能である。

　図９Ａ～図１０Ｂに羽根車３６の具体的な形状が示してある。
　図に示しているように羽根車３６は、中心部に円筒状の嵌合部１００を有しており、嵌合部１００が、羽根車ハウジング３８における蓋体４２の中心部の軸部７８に嵌合されている（図２、図３参照）。
　羽根車３６は、軸部７８と嵌合部１００との嵌合に基づいて、軸部７８周りに回転運動される。
　尚、嵌合部１００は他部よりも僅かに図３中下向きに突出していて、突出部においてハウジング本体４０の内面に当接し、回転時における羽根車３６の全体を、後述のボール１０８とともに支持する。

　図９Ａ～図１０Ｂに示しているように羽根車３６は、中心から外周方向に向って部分螺旋形状で延びる羽根１０２を周方向に一定ピッチで多数有している。羽根１０２は、図１０Ａ、図１０Ｂに示しているように旋回流生成部材３４における上記の案内羽根７０とは、平面視で逆方向の部分螺旋形状を形成するように設けられている。
　羽根車３６はまた、周方向に１２０°ずつずれた３個所にボール保持部１０４を有している。
　ボール保持部１０４は、後述のシャワー孔遮断部１１０に、詳しくはシャワー孔遮断部１１０Ｂ-１，１１０Ｂ-２，１１０Ｂ-３に１つずつ設けられている。
　ボール保持部１０４は、図２及び図３、図９Ｂに示すように、散水板１６内面（即ちハウジング本体４０内面）に向けて開口した保持穴１０６を内側に有し、保持穴１０６に樹脂製で硬質のボール１０８を保持する。

　保持穴１０６からは、ボール１０８の下部が僅かに図３中下向きに突出しており、突出部分において羽根車ハウジング３８におけるハウジング本体４０の底部４８内面（散水板１６の内面）にボール１０８は転動可能に当接している。
　保持穴１０６の内面は、略部分球面状である。但しその内面及び図中下端の開口の大きさはボール１０８よりも僅かに大きい。

　羽根車３６における散水板１６内面側の下流部には、ハウジング本体４０の底部４８内面に沿って所定周長で延び、羽根車３６の図中下面を部分的に閉鎖するシャワー孔遮断部１１０が設けられている。シャワー孔遮断部１１０は、底部４８の連通孔１８Ｂ、即ちシャワー孔１８を覆って遮断する。
　羽根車３６にはまた、シャワー孔遮断部１１０を除いた部分において、ハウジング本体４０の底部４８内面に向けて開放された（但し羽根１０２、後述の連結部１０９、１１１、１１３を除く）シャワー孔開放部１１２が設けられている。
　シャワー孔遮断部１１０に位置する羽根１０２は、シャワー孔遮断部１１０の図中上面に設けられている。

　シャワー孔開放部１１２に設けられている羽根１０２は、周方向に延びるリブ状の連結部、詳しくは最外周の連結部１０９、より内周側の連結部１１１、及び更に内周側の連結部１１３にて互いに連結されている。
　連結部１０９、１１１、１１３は、何れも同心の円弧形状を形成している。

　本実施形態では、連結部１１３に対して内周部のシャワー孔遮断部はシャワー孔遮断部１１０Ａの１つだけである。一方、さらに外周部ではシャワー孔遮断部１１０Ｂ-１、１１０Ｂ-２、１１０Ｂ-３の３つのシャワー孔遮断部が設けられている。
　同様に、内周部のシャワー孔開放部はシャワー孔開放部１１２Ａの１つだけであるが、外周部にはシャワー孔開放部１１２Ｂ-１、１１２Ｂ-２、１１２Ｂ-３の３つのシャワー孔開放部が設けられている。
　シャワー孔開放部１１２に位置する羽根１０２の一部は、付根側の部分がアーム１１４であり、アーム１１４において中心部の円筒状の嵌合部１００に繋がっている。

　本実施形態において、シャワー孔開放部１１２Ａ，１１２Ｂ-１，１１２Ｂ-２，１１２Ｂ-３は、周方向に隣接する羽根１０２と１０２との間に形成される空間、詳しくは周方向に隣接する羽根１０２と連結部１０９，１１１，１１３との間に形成される空間（つまりそれらによって区画された空間）ｋの何れもが、平面視で空間ｋの中心を通る何れの方向においてもボール１０８の外径よりも大きい。
　即ち各空間ｋは、ボール１０８が通過可能な大きさに形成されている。

　図６、図７Ａ、及び図７Ｂに示しているように、ハウジング本体４０における周壁部７４には、上端部且つ内周部に、外周部分に対して段違い形状で図中上向きに突出した、周方向に環状を形成する内嵌部８２が設けられている。
　蓋体４２には、外周部に図中下向きに曲り形状を有する曲り部８４が設けられている。
　曲り部８４の外周部分は環状の外嵌部８６であり、外嵌部８６がハウジング本体４０における上記の内嵌部８２に対して外嵌状態に嵌合されている。

　蓋体４２の曲り部８４には、環状壁部６６に当接して内向きの流れとなった水流を通過させる噴射口８８が、周方向に一定ピッチで多数設けられている。
　即ち羽根車３６よりも外周側の位置且つ環状壁部６６よりも内周側の位置に、多数の噴射口８８が設けられている。
　以上の説明から明らかなように、本実施形態では蓋体４２を含む羽根車ハウジング３８が上流部からの水を通過させ、通過水を噴射水流とする水流噴射部材として構成されている。
　噴射口８８は、曲り部８４の外面で開口している。図７Ｂ中に開口９０を示している。

　噴射口８８は、羽根車３６の外周側面に向けて配置されている。従って環状壁部６６で内向きの流れとなった水流は、噴射口８８を通じて羽根車３６の外周側面に向けて勢い良く噴射される。
　噴射水流は、羽根車３６の羽根１０２に勢い良く当って羽根車３６を回転駆動させる。

　これら噴射口８８は、図１０Ｂに示しているように蓋体４２の曲り部８４及びハウジング本体４０の周壁部７４における周方向に対して傾斜した斜孔として形成されている。
　噴射口８８の傾斜の向きは、旋回流を生じながら環状壁部６６に当って内向きの流れとなった水流を、旋回流を維持させつつ水室７２内の羽根車３６に噴射可能なように定められている。
　即ち噴射口８８の傾斜の向きは、平面視で水室６８内の旋回流と同じ側に傾斜した斜孔として形成されている。

　本実施形態において、上記の噴射口８８は、羽根車３６の軸方向の上流側の半部に対応する上位置と、下流側の半部に対応する下位置とのうちの上位置だけに設けてある。
　従って本実施形態によれば、噴射口８８から噴射された水流のうち、羽根車３６の羽根１０２に当ることなく図２中下向きに流れて、羽根車３６とハウジング本体４０の底部との間の隙間に流入し、シャワー孔１８から流出する水の量を少なくすることができる。
　これにより、噴射口８８からの噴射水流を羽根車３６の羽根１０２に効率良く当てることができる。

　尚、図６に示しているように、蓋体４２には周方向に１８０°隔たった２個所に位置決凸部９２が設けられている。
　ハウジング本体４０の周壁部７４には、位置決凸部９２に対応する位置に位置決凹部９４が設けられている。
　蓋体４２とハウジング本体４０とは、位置決凸部９２と位置決凹部９４との凹凸嵌合により、周方向に位置決めされている。

　図８に示しているように、旋回流生成部材３４にも同様に位置決凹部９６が設けられている。位置決凹部９６に対する蓋体４２の位置決凸部９２の凹凸嵌合に基づいて、蓋体４２と旋回流生成部材３４とが周方向に位置決めされている。即ち羽根車ハウジング３８が、旋回流生成部材３４に対して周方向に位置決めされている。

　尚、本実施形態では、図２においてキャップ２２を上ケース２０に上向きにねじ込むと、旋回流生成部材３４がリング状のパッキン３０を介して図中上向きに押し上げられる。そして上ケース２０の円筒部５４に当接するように固定され、組み付けられる。
　このとき、羽根車ユニット３２における羽根車ハウジング３８が旋回流生成部材３４の固定の案内羽根７０に当って、キャップ２２の底部４４とともに挟み込まれ、羽根車ハウジング３８が固定される。
　このときノズルシート２８には、挟み込みの力によってノズル押えを兼ねたハウジング本体４０から下向きの力が加わり、ノズルシート２８がキャップ２２の底部４４に対して下向きに押圧される。

　尚、図４において、リング状のパッキン３０には樹脂製のメッシュ材から成る環状シート９８が設けられている。組付状態で、環状シート９８が、最外周のシャワー孔１８-１を覆う位置で散水板１６の内面に、詳しくはノズルシート２８におけるシート部４６の内面に重ねられている。

　次に本実施形態のパルスシャワー装置の作用を説明する。
　本実施形態のパルスシャワー装置では、図２の水路６０から流入室６２内に流入した水は、流入室６２内を図２中下向きに軸方向に流れた後、旋回流生成部材３４にて形成される水室６８内で軸直角方向外向きに流れの向きが変えられる。
　即ち中央部の軸方向の水流は、旋回流生成部材３４の水室６８内で軸直角方向外向きの流れとなる。その際に、水室６８内の案内羽根７０による作用によって、外向きの流れが旋回流となる。

　外向きの旋回流は、環状壁部６６に当って、向きが軸直角方向内方へと反転され、水流噴射部材として働く羽根車ハウジング３８の噴射口８８から羽根車３６の外周側面に対して羽根車３６の外周側の側方から噴射される。
　噴射水流は、図１０Ａ、図１０ＢのＰ方向の旋回流を維持しながら、羽根車３６における部分螺旋形状の羽根１０２の凹曲面に向けて当り、羽根車３６を回転駆動する。

　詳しくは、羽根車３６を羽根車ハウジング３８における蓋体４２の軸部７８周りに回転運動させる。羽根車３６は、周方向３個所に設けたボール１０８によるベアリング作用によって円滑に軸部７８周りに回転運動する。
　上記回転運動によってシャワー孔遮断部１１０及びシャワー孔開放部１１２を軸部７８周りに回動させる。これにより、シャワー孔１８を遮断及び開放し、水室７２を通過してシャワー孔１８から流出するシャワー水をパルス状に断続吐水させる。

　以上のような本実施形態では、噴射口８８から噴射された水流のうち、羽根車３６の羽根１０２に当たらずに、即ち羽根車３６を回転させることなく、羽根車３６と散水板１６との間の隙間に流入して、羽根車３６の回転により断続化されることなくシャワー孔１８から流出する水の量を少なくすることができる。
　これにより、パルスシャワー装置の断続吐水即ちパルスシャワー吐水の機能を十全に発揮させることができる。

　本実施形態では、第１水室６２からの軸方向の流れが、第２水室６８によって平面視で羽根車３６の外周側に向う流れとなった後、環状壁部６６に当ることで反転して羽根車３６の外周側面に向う流れとなる。そのような流れが噴射口８８を通じて羽根車３６の外周側面に噴射される噴射水流となるため、噴射水流により羽根車３６を下向きに押す力を弱くすることができる。更に噴射水流の力を、羽根車３６を回すための力として有効に働かせることができ、羽根車３６を効率良く回転運動させることができる。

　更に、第２水室６８では、平面視で羽根車３６の外周側に向う流れが旋回流となる。その旋回流を維持したまま、環状壁部６６及び噴射口８８を通じて羽根車３６の羽根１０２に噴射水流を当てることができる。そのため、水流の力をより有効に羽根車３６の回転駆動力として働かせることができる。

　以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた構成が可能である。

　１６　　散水板
　１８　　シャワー孔
　３６　　羽根車
　３８　　羽根車ハウジング（水流噴射部材）
　４２　　蓋体
　６６　　環状壁部
　８８　　噴射口
　１０２　　羽根
　１１０　　シャワー孔遮断部
　１１２　　シャワー孔開放部

Claims

　内面及び外面を有し、前記内面から前記外面へ貫通する複数のシャワー孔を備えた散水板と、
　前記散水板の前記内面の下流において前記内面に沿って所定周長に亘って形成されるとともに前記複数のシャワー孔を覆うシャワー孔遮断部と、前記内面に向けて開放されたシャワー孔開放部と、羽根と、を有し、前記散水板の前記内面の上流部に設けられ、軸周りに回動する羽根車と、
　前記上流部からの水を通過させ、通過した前記水を噴射水流として噴射させて前記羽根に衝突させる噴射口を有し、前記噴射口からの噴射水流により前記羽根車を回転駆動させる水流噴射部材と、
　を備え、
　前記シャワー孔遮断部及び前記シャワー孔開放部は、周方向に沿って交互に配置され、前記羽根車の回動により前記軸周りに回動して前記シャワー孔を断続的に遮断及び開放し、前記シャワー孔からパルス状に断続吐水させ、
　前記水流噴射部材の前記噴射口は、前記羽根車の軸方向の上流側半部に対応する上位置のみに設けられ、前記羽根車よりも外周側に、前記羽根車の外周側面に向けて噴射するように形成される、パルスシャワー装置。