WO2014030354A1 - 有機電子デバイスの製造方法および有機elデバイスの製造方法 - Google Patents

有機電子デバイスの製造方法および有機elデバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

 第1電極形成工程、第1隔壁形成工程、第1有機機能膜成膜工程、第2隔壁形成工程、第2有機機能膜成膜工程、第2電極形成工程を備える。第2隔壁形成工程では、平面視において、第2隔壁の前記第2開口部を臨む側壁の底部端縁が、第1隔壁の第1開口部を臨む側壁の底部端縁と同位置、または当該底部端縁よりも後退した位置になるように、第2隔壁を形成する。第2有機機能膜形成工程では、第2開口部内の第2有機機能膜の上端縁が、第2隔壁の第2開口部を臨む側壁の底部端縁と同位置、または当該底部端縁よりも上方となるように、第2インク液滴を滴下する。

Description

有機電子デバイスの製造方法および有機ELデバイスの製造方法
 本発明は、有機電子デバイスの製造方法および有機EL(エレクトロルミネッセンス)デバイスの製造方法に関し、特に、有機機能膜の成膜に塗布法を用いる有機電子デバイスの製造方法および有機ELデバイスの製造方法に関する。
 近年、インクジェット法に代表される塗布法を、有機電子デバイスの製造方法および有機ELデバイスの製造方法に用いる研究・開発がなされている。塗布法を用いて有機機能膜を成膜する場合には、蒸着法などの真空成膜法を用いる場合に比べて、デバイスの大型化への対応が容易であり、量産に際して優位である。
 ここで、有機電子デバイスの製造や有機ELデバイスの製造に塗布法を用いて成膜を行う場合には、膜を形成しようとする領域を囲繞するように隔壁を設け、囲繞により規定された開口部内に有機機能材料インクを塗布する方法が採用される。この場合に、開口部内に塗布した有機機能材料インクの上端縁が、隔壁における開口部を臨む側壁表面の所定の位置よりも開口上端側に位置してしまうという現象が生じ得る(這い上がり現象)。
 上記のように這い上がり現象が生じた場合には、所定のデバイス性能を確保することができなくなってしまう。具体的には、例えば、開口部内に複数の有機機能膜を積層し、その上下を挟むように電極を設ける構成の電子デバイスを形成しようとするとき、製造過程において上記のような這い上がり現象が発生した場合には、複数の有機機能膜の積層順が設計通りに順守されず、リーク電流路が形成されてしまうことになり、所定のデバイス性能が得られないことになる。
 このような這い上がり現象の発生を抑制しようとする技術が、特許文献1,2に開示されている。特許文献1では、開口部を囲繞する第1の隔壁を設け、当該開口部内に有機機能インクを塗布した後、第1の隔壁における開口部を臨む側壁表面、およびその上に形成された有機機能膜の一部を覆うように第2の隔壁を形成し、第2の隔壁により囲繞される開口部内に次の有機機能インクを塗布するという技術が開示されている。
 また、特許文献2では、第1の隔壁の上に、当該第1の隔壁よりも断面サイズの小さな第2の隔壁を積層し、第1の隔壁の上面における第2の隔壁で覆われていない部分(段差部)の撥液性を、第1の隔壁および第2の隔壁における他の表面よりも高くすることにより、上記のような這い上がり現象の発生を抑制しようとする技術が開示されている。
特開2009-104859号公報 特開2011-103222号公報
 しかしながら、特許文献1,2に開示の技術では、優れたデバイス性能を得る上で問題を有する。具体的に特許文献1に開示の技術では、第2の隔壁で第1の隔壁の側壁を覆う方法を採用するため、デバイス全体のサイズに対する開口部のサイズが狭小化してしまう。開口部のサイズの狭小化は、例えば、有機ELデバイスにおいては、発光領域の狭小化となり、許容できるものではない。
 また、特許文献2に開示の技術については、第1の隔壁の上面における段差部分の撥液性の調整により這い上がり現象の発生を抑制しようとするものであるが、本発明者等が確認したところ、特許文献2に開示の技術では、有機機能インクの上端縁が第2の隔壁における開口部を臨む側壁に這い上がる現象が生じ、確実に這い上がり現象の発生を防止することはできない。
 本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであって、有機機能膜の成膜時における這い上がり現象の発生を抑制し、優れたデバイス性能を有する有機電子デバイスの製造方法、および有機ELデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
 本発明の一態様に係る有機電子デバイスの製造方法は、次の工程を備える。
 (A)基板上に第1電極を形成する第1電極形成工程
 (B)基板上に、第1開口部を規定する第1隔壁を、第1開口部の底に第1電極の少なくとも一部が露出するように形成する第1隔壁形成工程
 (C)第1開口部内に第1有機材料を含む第1インク液滴を滴下して、第1有機機能膜を成膜する第1有機機能膜成膜工程
 (D)第1有機機能膜形成工程を実行した後、第1隔壁上に、第1開口部に連通する第2開口部を規定する第2隔壁を形成する第2隔壁形成工程
 (E)第2開口部の開口から、第1有機材料とは異なる第2有機材料を含む第2インク液滴を滴下して、露出している第1有機機能膜の表面を被覆するように、第2有機機能膜を成膜する第2有機機能膜成膜工程
 (F)第2有機機能膜上に第2電極を形成する第2電極形成工程
 ここで、本態様に係る製造方法の第2隔壁形成工程では、平面視において、第2隔壁における第2開口部を臨む側壁の底部端縁が、第1隔壁における第1開口部を臨む側壁の底部端縁と同位置あるいは当該底部端縁よりも後退した位置になるように、第2隔壁を形成する。
 また、第2有機機能膜形成工程では、第2開口部内における第2有機機能膜の上端縁が、第2隔壁における第2開口部を臨む側壁の底部端縁と同位置あるいは当該底部端縁よりも上方となるように、第2インク液滴を滴下する。
 上記態様に係る製造方法を採用すれば、リーク電流の発生を効果的に遮断することができ、これにより優れたデバイス性能を有する有機電子デバイスを製造することができる。
本発明の実施の形態1に係る有機電子デバイスの製造過程を示す模式断面図である。 本発明の実施の形態1に係る有機電子デバイスの製造過程を示す模式断面図である。 本発明の実施の形態1に係る製造方法を用い製造される有機電子デバイスの一部構成を示す模式部分断面図である。 本発明の実施の形態2に係る製造方法を用い製造される有機ELデバイスの一部構成を示す模式部分断面図である。 本発明の実施の形態2に係る有機ELデバイスの製造過程を示す模式断面図である。 本発明の実施の形態2に係る有機ELデバイスの製造過程を示す模式断面図である。 本発明の実施の形態2に係る製造方法を用い製造される有機ELデバイスにおける隔壁およびその近傍領域の断面構成を示す模式断面図である。 (a)は、図7におけるA領域を拡大して示す模式断面図であり、(b)は、図7におけるB領域を拡大して示す模式断面図である。 (a)は、比較例に係る製造方法を用い製造した有機ELデバイスでの図8(a)に対応する領域を示す模式断面図であり、(b)は、比較例に係る製造方法を用い製造した有機ELデバイスでの図8(b)に対応する領域を示す模式断面図である。 従来技術に係る製造方法を用い製造される有機ELデバイスの一部構成を示す模式断面図である。 別の従来技術に係る有機ELデバイスの製造過程を示す模式断面図である。 本願発明者等が究明した、図11に示す有機ELデバイスの製造方法の問題点を示す模式断面図である。
 [本発明の各態様に至る経緯]
 (i)従来技術の検証
 上述のように、有機ELデバイスをはじめとする有機電子デバイスの製造では、インクジェット法などの塗布法を用いて有機機能膜を成膜する方法の採用が研究・開発されている。ここで、成膜対象となる有機機能膜としては、例えば、色素膜、発光材料膜、半導体膜などが挙げられる。このような塗布法を用いた成膜を採用する場合には、蒸着法などを用いる場合に比べて、種々のデバイスサイズへの対応、および量産性などの観点から優位である。
 塗布法を用いて有機機能膜を成膜する場合には、先ず基板上に隔壁(バンク)を形成し、隔壁の囲繞により規定される開口部内に有機機能材料インク液滴を塗布(滴下)するという方法が採用される。このような方法を採用することにより、決められた領域に有機機能膜を適正に成膜することが可能となる。
 ここで、開口部内に塗布したインク液滴が、隔壁における開口部を囲繞する側壁を這い上がる現象が知られている。成膜時において、このような這い上がり現象が生じると、上述のように、所定のデバイス性能を確保することができなくなってしまう。
 本発明者等は、上記の這い上がり現象に起因するデバイス性能の低下という問題の抑制方法について鋭意検討を重ねた。
 先ず、公知技術を採用することができるか否か、あるいは当該公知技術に僅かな設計変更を加えることで課題解決を図ることができるか、について検討した。以下では、検討した種々の公知技術の内、上記先行文献1,2に開示の技術を代表として、その検討結果を説明する。
 特許文献1では、図10に示す構成を採用することにより、這い上がり現象に起因するデバイス性能の低下を抑制しようとする技術が開示されている。
 図10に示すように、先ず、基板101上に下部電極102を形成する。そして、隣接する下部電極102同士の間、および下部電極102の端縁部分の上に、第1の隔壁104を積層形成する。次に、第1の隔壁104の囲繞により規定される開口部内に、塗布法を用いて第1有機機能膜(導電性を有する有機機能膜)である正孔注入層103を成膜する。この際、正孔注入層103の上端縁は、隔壁104の側壁表面104aを這い上がって、側壁表面104aの上部にまで至る場合がある。
 特許文献1に開示の技術では、図10に示すように、正孔注入層103の上端縁が隔壁104の側壁表面104aの上部にまで這い上がった場合にも、隔壁104における上面および側壁表面104a、さらには正孔注入層103における隔壁表面104aに這い上がった部分を被覆するように、第2の隔壁105を積層形成する方法が採用されている。そして、この後に、有機発光層106、電子輸送層107、および上部電極108を順に積層形成する。
 特許文献1が開示する上記のような方法を採用することにより、確かに、正孔注入層103と上部電極108との間でのリーク電流路の形成を防ぐことができる。
 しかしながら、特許文献1に開示の技術では、第2の隔壁105で第1の隔壁104の側壁を覆う方法を採用するため、発光層106を形成する領域の面積が狭くなってしまう。このため、高いデバイス性能を確保するという観点から許容できるものではない。
 なお、基板101の主面に沿った水平方向(図面の横方向)において、第1の隔壁104の幅を狭くするという方法を採用することも考えられるが、通常、隔壁は、主に有機材料を用い形成されるため、基板に対する吸着強度を含めて、形状を維持するためには、その幅を比較的大きく確保しなければならない。特に、基板101側の根元部分の幅は大きく確保する必要がある。よって、第1の隔壁104の幅を狭くするという方法は採用することができない。
 特許文献2では、図11に示す方法を採用することにより、這い上がり現象に起因するデバイス性能の低下を抑制しようとする技術が開示されている。
 図11の(a)部分に示すように、先ず基板201上に陽極202を形成する。そして、陽極202の周囲を取り囲む領域に、第1の隔壁210を形成し、次いで、第1の隔壁210上に、これよりも幅の狭い第2の隔壁211を形成する。なお、第1の隔壁210および第2の隔壁211のそれぞれの上面210a,211aおよび側壁表面210b、211bには、撥液性が付与される。第1の隔壁210および第2の隔壁211の表面の撥液性は、各上面210a,211aの撥液性が、側壁表面210b,211bの撥液性よりも高くなるように撥液処理が施される。
 次に、図11の(b)部分および(c)部分に示すように、第1有機機能膜(導電性を有する有機機能膜)である正孔注入層203形成用のインク液滴を、第1の隔壁210の囲繞により規定される開口部212内部に滴下して、正孔注入層203を成膜する。その後、図11の(d)部分および(e)部分に示すように、正孔注入層203上に、正孔輸送層などの中間機能層204を成膜する。この後、中間機能層204上に上部電極などを形成する(図示を省略)。
 特許文献2に開示の技術では、第1の隔壁210の上面における段差部分(第2の隔壁211が積層されていない部分)の撥液性を、側壁表面210b、211bよりも高く調整することにより這い上がり現象の発生を抑制しようとしている。このため、上記特許文献1に開示の技術に比べて、開口部を大きく確保することができ、デバイス性能を確保するのに優位であると考えられる。
 しかしながら、発明者等が特許文献2に開示の技術について検証したところ、有機機能膜である正孔注入層203の這い上がり現象の発生を防止できないことを確認した。具体的には、特許文献2に開示の技術を用い正孔注入層203を成膜したところ、図12に示すように、正孔注入層203のピンニング位置が第1の隔壁210における側壁表面210bではなく、第1の隔壁210の上面(段差部分)を乗り越えて、第2の隔壁211の側壁表面211bにまで這い上がってしまうことを確認した。よって、特許文献2に開示の技術では、確実に隔壁の側壁表面への有機機能膜の這い上がり現象の発生を抑制できないとの結論に達した。
 以上のように、特許文献1に開示された方法では、有機機能膜の形成領域の狭小化が避けられず、優れたデバイス性能を有する有機電子デバイス(有機ELデバイスを含む。)を得ることはできない。また、特許文献2に開示された方法では、有機機能膜の這い上がり現象を確実に防止することができず、この方法でも優れたデバイス性能を有する有機電子デバイス(有機ELデバイスを含む。)を得ることはできない。
 (ii)本発明の各態様の要旨
 そこで、本発明者等は、リーク電流路が形成されるのを効果的に抑制して、優れたデバイス性能を得ることを可能とする有機電子デバイスの製造方法を構築するには、工程数の増加も視野に入れて、従来の方法を根本的に見直す必要があるとの認識に至った。そして、鋭意検討した結果、第1隔壁を形成し、導電性を有する第1有機機能膜を成膜した後、第1隔壁により規定される開口部の大きさと同等、あるいはそれよりも大きい開口サイズの開口部を規定する第2隔壁を第1隔壁上に形成して、その後に、第2有機機能膜を成膜する、という工程順から構成することが、有用な製造方法であるという結論に至った。
 本発明者等が得た帰結に係る製造方法の重要な第1の視点は、発光特性などのデバイス特性に係る開口部の大きさ(開口サイズ)は、第1隔壁が規定する開口部の開口サイズによって制御可能であり、第1有機機能膜(導電性を有する有機機能膜)を成膜した後に第1隔壁上に第2隔壁を形成するため、導電性有機機能膜が第2隔壁の側壁表面を這い上がるという問題が確実に解消される点である。
 第2の視点は、第1有機機能膜が第2隔壁の側壁を這い上がることはないため、第2隔壁における基板の主面に沿った水平方向での幅は、特許文献2に開示の技術とは異なり、第2有機機能膜により第1有機機能膜の表面全体を効果的に被覆することが可能である程度に、第1隔壁の上面の厚さと同等、あるいはそれよりも小さいものであればよく、第2隔壁の形状を良好に維持することが可能である点である。
 また、有機ELデバイスを例にとれば、隔壁の側壁表面近傍は、開口領域における中央領域に比べて、発光の強度が小さくなりやすい領域である。そのため、上記特許文献1に開示の方法では、第1の隔壁104により規定される開口の大きさを第2の隔壁105の被覆形成によって狭小化するだけでなく、発光層における第2の隔壁105の側壁近傍の領域での発光への寄与が小さい。このため、実質的にさらに狭小化されたものとなる。
 これに対して、本発明者等が上記検討結果から得た各態様に係る製造方法では、隔壁の囲繞により規定される開口部のサイズを確保することにより、その内部に形成される有機機能膜のサイズを大きくとることができ、且つ、有機機能膜の這い上がり現象の発生を抑制することで、リーク電流路の形成を抑制して優れたデバイス性能をえることができるものである。
 [本発明の各態様の概要]
 本発明の一態様に係る有機電子デバイスの製造方法は、次の(A)から(F)の工程を備える。
 (A) 基板上に第1電極を形成する第1電極形成工程
 (B) 基板上に、第1開口部を規定する第1隔壁を、第1開口部の底に前記第1電極の少なくとも一部が露出するように形成する第1隔壁形成工程
 (C) 第1開口部内に第1有機材料を含む第1インク液滴を滴下して、第1有機機能膜を成膜する第1有機機能膜成膜工程
 (D) 第1有機機能膜形成工程を実行した後、第1隔壁上に、第1開口部に連通する第2開口部を規定する第2隔壁を形成する第2隔壁形成工程
 (E) 第2開口部の開口から、第1有機材料とは異なる第2有機材料を含む第2インク液滴を滴下して、露出している第1有機機能膜の表面を被覆するように、第2有機機能膜を成膜する第2有機機能膜成膜工程
 (F) 第2有機機能膜上に第2電極を形成する第2電極形成工程
 そして、(D)第2隔壁形成工程では、平面視において、第2隔壁における第2開口部を臨む側壁の底部端縁が、第1隔壁における第1開口部を臨む側壁の底部端縁と同位置あるいは当該底部端縁よりも後退した位置になるように、第2隔壁を形成する。
 また、(E)第2有機機能膜形成工程では、第2開口部内における第2有機機能膜の上端縁が、第2隔壁における第2開口部を臨む側壁の底部端縁と同位置あるいは当該底部端縁よりも上方となるように、第2インク液滴を滴下する。
 ここで、上記態様に係る製造方法が対象とする有機電子デバイスは、特定のデバイスに限定されるものではないが、例えば、有機ELデバイスや有機薄膜トランジスタを挙げることができる。
 なお、上記態様において、第1有機機能膜は導電性を有する機能膜であるが、当該導電性とは、室温における電気伝導率(S/cm)が、10-7以上のものを指す。そして、第2有機機能膜は、ここでいう導電性を有しないものである。また、第1開口部および第2開口部におけるそれぞれの開口の大きさは、それぞれの開口部の底におけるその周縁が取り囲む領域(開口領域)の大きさを指すものとする。
 上記[本発明の各態様に至る経緯]のように、上記態様に係る有機電子デバイスの製造方法は、(A)から(F)の各工程を順に実行するものである。ここで第2隔壁は、第2開口部の底の周縁が、平面視において、第1開口部の底の周縁と同位置ないしは当該周縁よりも後退した位置に存在するように、第1隔壁上に形成する。即ち、第2隔壁の囲繞により規定される第2開口部の底の領域の大きさ(開口領域の大きさ)は、第1隔壁の囲繞により規定される第1開口部の底の領域の大きさ(開口領域の大きさ)と同等ないしはそれよりも大きなものとして形成する。
 上記態様における(C)第1有機機能膜成膜工程では、第1有機機能膜を、第1開口部内における第1電極の露出部と、第1隔壁の第1開口部を臨む側壁表面の少なくとも一部とを被覆するように連続した面形状として成膜する。
 従来においては、例えば、這い上がり現象の発生を抑制する目的のために第1隔壁の側壁に規定の撥液性を付与した結果、当該側壁の近傍領域に、第1電極の露出部を被覆しない領域が発生する場合があった。
 しかしながら、上記態様に係る製造方法では、第1有機機能膜を成膜する際に第1隔壁の側壁を這い上がる現象が生じても、その後に第2隔壁を形成するため、第1有機機能膜の上端縁が第2隔壁の側壁表面にまで這い上がることは生じえない。よって、膜厚により規定される量の第1インク液滴を第1開口部に滴下して、第1電極の露出部と、第1隔壁の側壁の少なくとも一部とを被覆するように連続した面形状として成膜した場合にあっても、リーク電流路の形成を確実に抑制することができる。
 なお、導電性を有する第1有機機能膜は、第1隔壁の側壁表面の少なくも一部を被覆するように成膜されればよく、例えば、側壁の全体を被覆するように成膜してもよく、さらには、第1隔壁の上面に乗り上げるように成膜してもよい。
 ただし、第1隔壁の上面に乗り上げるように成膜すると、第1隔壁を介して隣接する開口部内にも有機機能膜を成膜する場合には、当該有機機能膜と接触することが懸念されるために、第1隔壁の上面に至らない形状となるように成膜することが望ましい。
 上記態様において、例えば、第1隔壁の上面に至らない形状となるように第1有機機能膜を成膜したとしても、第1隔壁の上面に飛散したインク液滴が残存して、当該第1隔壁の上面に導電性を有する第1有機機能膜と同一構成物質からなる微小物が形成されることが、不可避的に生じ得る。そのため、「第1隔壁の上面に第1有機機能膜を成膜しない」とは、側壁から連続した形状としては成膜しないという意味である。
 また、上記態様における第2有機機能膜成膜工程では、第2有機機能膜を、露出している第1有機機能膜の表面を被覆するように成膜する。上述のように、第1有機機能膜は、第2隔壁の側壁表面にまで至ることは生じえないため、第1開口部の開口の大きさと同等ないしはそれよりも大きい第2開口部の開口から規定量の第2インクを滴下することにより、簡便に、露出した導電性有機機能膜の表面を被覆することが可能である。
 ここで、(E)第2有機機能膜成膜工程では、第2有機機能膜を、第2隔壁が形成されていない第1隔壁の上面の領域の少なくとも一部を被覆するのみで、第2隔壁の側壁表面を被覆しないように成膜してもよいし、第2隔壁の側壁表面を被覆するように成膜してもよい。第1有機機能膜を第1隔壁の上面には至らないように成膜する場合には、第2有機機能膜を、第1隔壁の上面の領域の少なくとも一部を被覆するのみで第2隔壁の側壁表面にまで至らないように成膜することとしても第1有機機能膜を被覆することが可能である。
 しかしながら、第1隔壁の上面における第2隔壁が形成されない領域(段差領域)は、第2隔壁の形状を維持するという観点からは、大きく確保することはできない。このため、滴下する第2インク液滴の滴下量を制限したとしても、第1隔壁の上面に滴下された第2インク液滴の上端縁が第1隔壁の側壁表面にまで後退することが懸念される。そのため、第2有機機能膜は、第2隔壁の側壁表面の少なくとも一部を被覆するように成膜することが望ましい。
 なお、第1隔壁および第2隔壁それぞれの隔壁の高さ、および基板主面に沿った水平方向における隔壁の幅については、適用される有機電子デバイスに応じて適宜設定されるものである。例えば、有機ELデバイスの場合には、第1隔壁の最大高さは100nm以上2000nm以下、より好ましくは、200nm以上1000nm以下、第2隔壁の最大高さは200nm以上5000nm以下、より好ましくは、500nm以上2000nm以下の範囲にそれぞれ設定すれば、良好な形状が確保された第1隔壁および第2隔壁とすることが可能である。
 また、上記態様の特定の局面に係る有機電子デバイスの製造方法では、第1インク液滴における第1隔壁の第1開口部を臨む側壁表面に対する接触角と、第2インク液滴における第2隔壁の第2開口部を臨む側壁表面に対する接触角とは、略等しい、という方法を採用することができる。
 (E)第2有機機能膜成膜工程では、第2有機機能膜を、露出した導電性有機機能膜の表面を被覆するように成膜する。この際、例えば、第1インク液滴における第1隔壁の側壁表面に対する接触角と、第2インク液滴における第2隔壁の側壁表面に対する接触角との差が大きい場合には、成膜される第1有機機能膜および第2有機機能膜の側壁表面の近傍におけるそれぞれの形状が大きく異なるものとなりやすい。そのため、露出した第1有機機能膜の表面を被覆するための第2有機機能膜の成膜条件を最適化する作業において、滴下する第2インク液滴の滴下量や、第2インク液滴に含まれる溶媒を蒸発乾燥させる条件などを調整することが困難となる場合が生じ得る。よって、第1インク液滴における第1隔壁の側壁表面に対する接触角と、第2インク液滴における第2隔壁の側壁表面に対する接触角とが略等しいものとすることにより、より簡便に、第2有機機能膜を成膜することが可能となる。
 なお、隔壁の側壁表面に対するインク液滴の接触角は、選択するインクの種類、隔壁の材料、隔壁の側壁表面に施す撥液処理などによって、適宜調整できるものであるが、第1インク液滴における第1隔壁の側壁表面に対する接触角と第2インク液滴における第2隔壁の側壁表面に対する接触角との数値を完全に等しくすることは困難なものといえる。そのため、ここでは「略等しい」という表現を使用しているが、「略等しい」とは、同一の測定機器における測定結果において、接触角が、10°以内の差で一致しているものをいう。測定誤差の観点からも、接触角が10°以内となると、接触角のコントラストを得ることが困難となるため、接触角が10°以内の差であれば一致していると判断される。
 また、上記態様の特定の局面に係る有機電子デバイスの製造方法では、(B)第1隔壁形成工程は、次の(B-1)および(B-2)のサブ工程を備える。
 (B-1) 基板上に第1隔壁材料を含む第1隔壁膜を形成するサブ工程
 (B-2) 当該第1隔壁膜を選択的に露光した後、第1現像液を用いて第1隔壁膜を現像して第1開口部を形成するサブ工程
 また、(D)第2隔壁形成工程は、次の(D-1)および(D-2)のサブ工程を備える。
 (D-1) 第1隔壁上および第1有機機能膜上に、第2隔壁材料を含む第2隔壁膜を形成するサブ工程
 (D-2) 第2隔壁膜を選択的に露光した後、第2現像液を用いて第2隔壁膜を現像して第2開口部を形成するサブ工程
 上記において、(D-1)のサブ工程では、第2隔壁材料として、第1有機機能膜がエッチング耐性を有する第2現像液を用いてエッチングが可能な材料を選択的に使用する。
 第1隔壁および第2隔壁の各形成方法は、公知の方法を用いることができるが、加工精度や製造効率の点で、フォリソグラフィー法を用いることが望ましい。フォトリソグラフィー法を用いる場合には、隔壁材料を含むレジスト材を基板上に塗布し、形成する隔壁のパターンに対応したパターンマスクを配置して選択的に露光した後、現像液を用いて現像する必要がある。
 上記態様に係る製造方法は、第1隔壁を形成し、第1有機機能膜を成膜した後に、第1隔壁の上面に第2隔壁を積層形成する。そのため、第2隔壁を形成する際、現像に用いられるエッチング液によっては、下地層となっている第1有機機能膜までエッチングされるおそれがある。エッチング液における溶剤の濃度、処理温度、処理時間などを制御することにより、第1有機機能膜がエッチングされないように制御することができる。有機電子デバイスにおいては、第1有機機能膜を含めて、機能膜の膜厚はナノオーダといった極めて薄いものである。よって、第2隔壁を形成する際の現像に用いるエッチング液により第1有機機能膜がエッチングされるという問題は、本発明の各態様に係る有機電子デバイスの製造においては、極めて重要な問題となる。
 従来の方法では、第1隔壁および第2隔壁の形成の際に行う現像処理の実行に際して、同一の現像液に対してエッチング性を有する隔壁材料から第1隔壁および第2隔壁それぞれを構成して、一つの現像工程として行うことが可能である。
 しかしながら、上記態様に係る有機電子デバイスの製造方法においては、(B)第1隔壁形成工程と(D)第2隔壁形成工程との間に、(C)第1有機機能膜成膜工程を実行するため、第1隔壁および第2隔壁に係る現像工程を同一工程として構成することができない。そのため製造効率の観点からは問題となるが、第1隔壁を構成する隔壁材料と第2隔壁を構成する隔壁材料とを、同一の現像液に対してエッチング性を有する材料とする必要がない。
 そこで、上記態様においては、第1隔壁材料と異なる第2隔壁材料を選択することとして、第2隔壁材料は、第1有機機能膜がエッチング耐性を有する第2現像液を用いてエッチングできる材料を選択することができる。その結果、第2隔壁を形成する際の現像工程における、エッチングに係る処理温度や処理時間などの管理が容易に行えるものとなり、また、第1有機機能膜がエッチングされることを確実に防止することが可能となる。
 ここで、第2隔壁材料は、適宜選択される第1有機機能膜の構成材料や第2現像液の溶液材料に対応して任意に公知の材料から選択すればよい。
 また、上記態様の特定の局面に係る有機電子デバイスの製造方法では、(B)第1隔壁形成工程における(B-2)のサブ工程において、第1現像液としてアルカリ性現像液を使用し、(D)第2隔壁形成工程における(D-2)のサブ工程において、第2現像液として水系現像液を使用する。
 フォトリソグラフィー法を用いて隔壁の形成を行う際、通常、アルカリ性現像液を用いて現像がなされている。
 しかしながら、隔壁材料を含むレジスト材の選択によって、水系現像液を用いて現像することが可能である。そこで、上記態様の特定の局面においては、(B)第1隔壁形成工程における(B-2)のサブ工程での現像処理ではアルカリ現像液を用い、一方、(D)第2隔壁形成工程における(D-2)のサブ工程での現像処理では水系現像液を用いる。その結果、(D)第2隔壁形成工程における(D-2)のサブ工程での現像処理の際、エッチングに係る処理温度や処理時間などの管理を更に容易に行うことができるとともに、第1有機機能膜がエッチングされることを更に確実に防止することが可能となる。
 また、上記態様の特定の局面に係る有機電子デバイスの製造方法では、(B)第1隔壁形成工程が次のサブ工程を備える。
 (B-3) 第1隔壁に対してその表面(上面および側壁表面)に撥液処理を施す第1撥液処理サブ工程
 また、(D)第2隔壁形成工程が次のサブ工程を備える。
 (D-3) 第2隔壁に対してその表面(上面および側壁表面)に撥液処理を施す第2撥液処理サブ工程
 ここで、(B-3)第1撥液処理サブ工程では、第1隔壁の上面の第1インク液滴に対する第1接触角が、第1隔壁の第1開口部を臨む側壁表面の第1インク液滴に対する第2接触角よりも大きくなるように、第1隔壁に対して前記撥液処理を施す。
 また、(D-3)第2撥液処理サブ工程では、第2隔壁の上面の第2インク液滴に対する第3接触角が、第2隔壁の第2開口部を臨む側壁表面の第2インク液滴に対する第4接触角よりも大きくなるように、第2隔壁に対して前記撥液処理を施す。
 ここで、隔壁の囲繞により規定される開口部は、その開口から規定量のインク液滴を滴下して、開口部内に規定の有機機能膜を成膜するために設けられる。そのため、滴下されたインク液滴が濡れ広がる過程において、隔壁の上面を乗り越えて隣接する開口部内にまで拡散することを防止する目的や、隔壁の側面表面を這い上がることを抑制して成膜される有機機能膜の膜形状を安定的に再現する目的などにより、通常、隔壁の表面には、撥液処理が施される。
 上記特定の局面においても、第1隔壁および第2隔壁の各表面に撥液性を付与するための撥液処理を行うものとする。ここで撥液性の増加に伴い、隔壁表面における同一インクに対する接触角は増加する関係にあるため、選択する第1インクまたは第2インクの種類に応じて、隔壁表面に付与する撥液性の大きさは、適宜調整することが望ましい。具体的には、上記のように、第1隔壁に対しては、第1隔壁の上面の第1インク液滴に対する接触角(第1接触角)が、第1隔壁の側壁表面の第1インク液滴に対する接触角(第2接触角)に比べて大きくなるように撥液処理を施す。当該撥液処理により、第1隔壁の囲繞により規定される第1開口部に滴下された第1インク液滴は、第1隔壁の上面において、相対的に側壁表面よりも濡れ広がりにくいものとなる。よって、第1隔壁の上面を乗り越える形状となることを防止するととともに、第1隔壁の側壁表面に跨るように第1電極の露出部の全領域を被覆した形状として、より簡便に第1有機機能膜を成膜することができる。
 また、第2隔壁に対しては、上記のように、第2隔壁の上面の第2インク液滴に対する接触角(第3接触角)が、第2隔壁の側壁表面の第2インク液滴に対する接触角(第4接触角)に比べて大きくなるように撥液処理を施す。当該撥液処理により、第2隔壁の囲繞により規定される第2開口部の開口より滴下された第2インク液滴は、第2隔壁の上面において、相対的に側壁表面よりも濡れ拡がりにくいものとなる。よって、第2隔壁の上面を乗り越える形状となることを防止し、露出した第1有機機能膜の表面を被覆した形状として、より簡便に第2有機機能膜を成膜することができる。
 また、上記態様の特定の局面に係る有機電子デバイスの製造方法では、(B-3)および(D-3)の各サブ工程において、第2接触角、第1接触角、第4接触角、第3接触角の順に接触角が大きくなるように、第1隔壁および第2隔壁の各々に撥液処理を施す。
 上記特定の局面では、上記のような接触角の大小関係を規定することにより、第1開口部の底から第2開口部の上部に向かって、第1隔壁および第2隔壁からなる隔壁の表面における撥液性を順に増加させることができる。ここで、接触角が過度に大きくなるように撥液処理を施すと、下地層の表面を被覆しない形態で有機機能膜が成膜される事態が生じ得る。
 他方、接触角が過度に小さくなるように撥液処理を施すと、隔壁の側壁表面を過度に這い上がる形状にて成膜されることにより、有機機能膜の断面における表面形状が凹の形状となって、均一な膜厚の膜形状が得がたい不具合が生じ得る。
 第1隔壁と第2隔壁とを相対的に比較した場合、第1隔壁の側壁表面の少なくとも一部を被覆することなく有機機能膜が成膜されると、下地層の一部が露出した形態で成膜されやすくなり、デバイス性能の低下に直結することになるが、
 第2隔壁の側壁表面の少なくとも一部を被覆することなく有機機能膜が成膜された場合にあっても、第1隔壁の上面ないしは側壁表面を少なくとも被覆できれば、デバイス性能の低下に直結しない。そのため、第2隔壁の側壁表面については、第1隔壁の側壁表面に比べて高い撥液性を付与することが望ましい。
 また、第2隔壁の側壁表面に比べて第1隔壁の上面に高い撥液性を付与すると、成膜する有機機能膜が、第1隔壁の上面を被覆せず、第2隔壁の側壁表面を被覆するという、不連続な膜形状となる場合が生じ得る。そのため、第2隔壁の側壁表面については、第1隔壁の上面に比べて高い撥液性を付与することが望ましい。
 以上、上記のような接触角の順を規定することにより、より簡便に、下地層の一部が露出することなく、均一な膜厚からなる有機機能膜を成膜することが可能となる。
 また、上記態様の特定の局面に係る有機電子デバイスの製造方法では、(B)第1隔壁形成工程における(B-1)のサブ工程において、撥液性を有する第1隔壁材料を用いることにより、その表面が撥液性を有する第1隔壁を形成する。同様に、(D)第2隔壁形成工程における(D-1)のサブ工程において、撥液性を有する第2隔壁材料を用いることにより、その表面が撥液性を有する第2隔壁を形成する。
 隔壁の表面に対して撥液性を付与する撥液処理は、例えば、撥液性を有するフッ素系樹脂を含む隔壁材料を用いるといったように、撥液性を有する隔壁材料を用いて隔壁を形成する方法や、形成した隔壁の表面に対してフッ素プラズマ処理を行うといったように、形成した隔壁に対して別途撥液処理を行う方法などが公知技術としてある。
 上記態様に係る製造方法での撥液処理については、当該公知技術のいずれかを用いて行えばよく、特定の方法に限定されない。
 しかしながら、製造効率の観点からは、撥液性を有する隔壁材料を用いた撥液処理の方法を採用することが望ましい。そこで、上記特定の局面に係る製造方法では、(B-1)および(D-1)の各サブ工程において、それぞれ撥液性を有する第1隔壁材料および第2隔壁材料を用いて各隔壁膜を形成する。
 また、上記態様の特定の局面に係る有機電子デバイスの製造方法では、(C)第1有機機能膜形成工程において、その上端縁が第1隔壁の上面に到達しないように、第1有機機能膜を成膜する。
 導電性を有する第1有機機能膜の成膜については、第1隔壁の上面に到達するように実施してもよく、この場合には、第1有機機能膜の上端縁およびその近傍部分が第1隔壁の上面と第2隔壁の下面との間に挟まれた状態となる。
 しかしながら、例えば、基板主面に沿った水平方向において、第1隔壁を間に挟んで隣接する開口部内にも有機機能膜を成膜する場合には、第1隔壁と第2隔壁との境界部分に挟まれた有機機能膜の一部同士が接続してしまうことが懸念される。よって、上記特定の局面のように、上端縁が第1隔壁の上面に到達しないように有機機能膜を成膜することが望ましい。
 本発明の一態様に係る有機ELデバイスの製造方法は、次の(AA)から(FF)の工程を備える。
 (AA) 基板上に第1電極を形成する第1電極形成工程
 (BB) 基板上に、第1開口部を規定する第1隔壁を、第1開口部の底に前記第1電極の少なくとも一部が露出するように形成する第1隔壁形成工程
 (CC) 第1開口部内に第1有機材料を含む第1インク液滴を滴下して、第1有機機能膜を成膜する第1有機機能膜成膜工程
 (DD) 第1有機機能膜形成工程を実行した後、第1隔壁上に、第1開口部に連通する第2開口部を規定する第2隔壁を形成する第2隔壁形成工程
 (EE) 第2開口部の開口から、第1有機材料とは異なる第2有機材料を含む第2インク液滴を滴下して、露出している第1有機機能膜の表面を被覆するように、第2有機機能膜を成膜する第2有機機能膜成膜工程
 (FF) 第2有機機能膜上に第2電極を形成する第2電極形成工程
 (DD)第2隔壁形成工程では、平面視において、第2隔壁における第2開口部を臨む側壁の底部端縁が、第1隔壁における第1開口部を臨む側壁の底部端縁と同位置あるいは当該底部端縁よりも後退した位置になるように、第2隔壁を形成する。
 また、(EE)第2有機機能膜形成工程では、第2開口部内における第2有機機能膜の上端縁が、第2隔壁における第2開口部を臨む側壁の底部端縁と同位置あるいは当該底部端縁よりも上方となるように、第2インク液滴を滴下する。
 そして、(CC)第1有機機能膜形成工程では、キャリア注入層およびキャリア輸送層の積層体を、第1有機機能膜として成膜し、(EE)第2有機機能膜形成工程では、正孔と電子の再結合により電界発光現象を生じる発光層を、第2有機機能膜として成膜する。
 正孔輸送層や電子輸送層であるキャリア輸送層を構成要素とする場合においては、キャリア注入層に比べて電気伝導率は小さいものであるが、導電性を有する第1有機機能膜に相当する電気伝導率を示すものが用いられる場合がある。
 そこで、上記態様に係る有機電子デバイスの製造方法の一つの適用対象として有機ELデバイスを選択することは、有用なものといえる。
 本態様に係る製造方法を採用する場合には、リーク電流路の形成を確実に抑制し、優れたデバイス性能を有する有機ELデバイスを製造することを可能とする。
 [実施の形態1]
1.有機電子デバイス71の製造方法
 実施の形態1に係る有機電子デバイス71の製造方法について、図1および図2を用いて説明する。 図1および図2は、本実施の形態に係る有機電子デバイス71の製造過程を示す模式的な断面図である。以下では、本実施の形態に係る有機電子デバイス71の製造過程について、便宜上、<第1電極形成工程>、<第1隔壁形成工程>、<第1有機機能成膜工程>、<第2隔壁形成工程>、<第2有機機能膜成膜工程>、<第2電極形成工程>というように各工程に分けて説明をする。
 なお、本実施の形態において採用する工程以外にも、各種の有機電子デバイスの構成要素に対応した製造工程が含まれる場合があるが、当該構成要素に関しては公知の方法を用いて製造することが可能である。
 <第1電極形成工程>
 図1の(a)部分に示すように、基板1を準備した後、基板1上に第1電極2を形成する。
 基板1については、各種のガラス材料など公知の材料からなる基板を用いることができる。
 第1電極2は、例えば、真空蒸着法またはスパッタリング法を用い形成することができる。また、第1電極2については、例えば、透光性導電性材料であるITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウム亜鉛)などを含む金属材料を用い形成することができ、厚みを150nm程度とすることができる。
 <第1隔壁形成工程>
 次に、図1の(a)部分から(c)部分に示すように、基板1上における隣り合う第1電極2同士の間、および第1電極2の縁部分の上に、第1隔壁3を形成する。
  《第1隔壁膜成膜サブ工程》
 図1の(a)部分に示すように、第1電極2が形成された領域を含む基板1上に、第1隔壁膜1003を積層形成する。第1隔壁膜1003を形成するための隔壁材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂などの公知のレジスト材料からなる撥液性を有する感光性樹脂材料を採用することができる。
 第1隔壁膜1003の形成には、例えば、スピンコート法などを用いることができ、第1隔壁膜1003の膜厚については、例えば500nm程度とすることができる。
  《撥液処理サブ工程》
 次に、積層形成された第1隔壁膜1003に対して、例えば、100℃程度の温度にて熱処理を施す。この熱処理により、隔壁材料に含まれる撥液成分は、第1隔壁膜1003の表面に向かって熱拡散する。そのため、熱処理後における第1隔壁膜1003の撥液成分の濃度は、表面から内部に向かって漸減したものとなる。
 ここで、隔壁材料に含有させる撥液成分の含有量、および熱処理の温度や時間などを調整することにより、第1隔壁膜1003の上面近傍と内方とでの撥液成分の分布濃度の差異の大小を制御することが可能である。
  《露光現像サブ工程》
 図1の(b)部分に示すように、基板1上における、第1電極2が露出するように規定される第1開口部7のパターンに合わせて、マスク10を配置して、選択的に露光11を行う。
 図1の(c)部分に示すように、露光処理を行った後、非水系の現像液として、例えばアルカリ性の現像液を用いて、第1隔壁膜1003をエッチングすることにより、第1開口部7を規定する第1隔壁3を形成することができる。
  《熱処理サブ工程》
 上記のように、露光現像処理を行った後、第1隔壁3に対して、例えば200℃の温度にて熱処理を施すことにより、第1隔壁3の表面に吸着した余分な溶液などを蒸発させることができる。
 以上のように、第1隔壁形成工程を実行することによって、最大高さが500nm程度の第1隔壁3を形成することができる。
 ここで、上記撥液処理サブ工程の実行により、第1隔壁膜1003の上面近傍での撥液成分の分布濃度を内方に比べて高くし、その後の露光現像サブ工程の実行により、第1開口部7をあけているので、第1隔壁3における撥液成分の分布濃度については、上面近傍での分布濃度が、第1開口部7を臨む側壁表面近傍での分布濃度よりも高くなる。
 なお、第1隔壁形成工程は、上記開示内容に限定されるものではなく、隔壁を形成するための各種の公知技術を用いることが可能である。例えば、上記の撥液処理サブ工程のような熱処理での撥液成分の分布を形成することなく、露光現像サブ工程および熱処理サブ工程を実行した後に、第1隔壁3の表面を所定のアルカリ性溶液や水、有機溶媒等によって表面処理を行うことにより、第1隔壁3の上面および側壁表面のそれぞれの撥液性の調整を行うことも可能である。
 また、第1隔壁3の表面に対してフッ素プラズマや紫外線などの照射処理を施すことにより、第1隔壁3の上面および側壁表面のそれぞれの撥液性を調整することも可能である。
 <第1有機機能膜形成工程>
 次に、図1の(d)部分および(e)部分に示すように、有機電子デバイスの用途に応じて規定される第1有機機能膜5を構成する。第1有機機能膜5の形成に際しては、先ず、有機機能材料と溶媒とを所定比率で混合し、第1有機機能膜を形成するためのインクを調整する。
 そして、図1の(d)部分に示すように、調整したインクを、インクジェット法を用いて、例えば、インクジェットヘッド12からインク液滴として、第1開口部7の開口から内部へと滴下し、第1開口部7内の第1電極2の露出した領域を被覆するように液状体1005を塗布する。次に、図1の(e)部分に示すように、液状体1005に含まれる溶媒を蒸発乾燥させ、必要に応じて加熱焼成することにより、第1有機機能膜5を形成することができる。なお、本実施の形態では、第1有機機能膜5は、導電性を有する膜とする。
 また、第1有機機能膜5は、第1電極2の上面と第1隔壁3の側壁表面の一部とを連続して被覆した面形状として成膜されているが、滴下するインク液滴の滴下量、溶媒を蒸発乾燥させる処理雰囲気や処理時間、加熱焼成する処理温度や処理時間などを適宜調整することにより、導電性有機機能膜の膜形態を調整することが可能である。
 <第2隔壁形成工程>
 次に、図2の(a)部分から(c)部分に示すように、第1隔壁3の上に第2隔壁4を積層形成する。本実施形態における第2隔壁形成工程では、第1隔壁形成工程と同様にして、第2隔壁4を構成する隔壁材料として、撥液剤を含む感光性樹脂材料を選択的に用い、その形成に際してフォトリソグラフィー法を用いる。ただし、第2隔壁4の形成の際の現像サブ工程で用いる現像液には、第1隔壁形成工程と異なり、水系現像液を用いる。
 なお、第2隔壁4の形成に用いる感光性樹脂材料としては、例えば、バインダの水溶性ポリマーとして、ヒドロキシプロピルセルロースといった水溶性基で置換されたセルロース誘導体を含有した公知のレジスト材を用いることができる。また、撥液成分としては、例えば、フッ素系化合物材料などの公知の撥液材料を用いることができる。
  《隔壁膜成膜サブ工程》
 図2の(a)部分に示すように、第1隔壁3の上面および第1有機機能膜5の表面を覆うように、例えば、スピンコート法を用いて、第2隔壁4を形成するための材料を含む第2隔壁膜1004を堆積させる。第2隔壁膜の膜厚は、例えば、1500nm程度とする。
  《撥液処理サブ工程》
 上記のように堆積した第2隔壁膜1004に対して、例えば、100℃程度の温度にて熱処理を施す。この熱処理により、隔壁材料に含有された撥液成分は、第2隔壁膜1004の表面に向かって熱拡散する。よって、熱処理後における第2隔壁膜1004では、撥液成分の分布濃度が、表面から内部に向かって漸減した状態となる。
 ここで、隔壁材料に含有させる撥液成分の含有量、および熱処理の温度や時間などを調整することにより、上記第1隔壁膜1003と同様に、第2隔壁膜1004の上面近傍と内方とでの撥液成分の分布濃度の差異の大小を制御することが可能であえる。
  《露光現像サブ工程》
 図2の(b)部分に示すように、第1開口部7の開口よりも大きいサイズで規定される露光パターンが形成されたマスク13を配置して、選択的に露光14を行う。ここで用いるマスク13の露光パターンは、第2隔壁4における第2開口部8の底の周縁4cが、平面視において、第1隔壁3における第1開口部7の底の周縁3cよりも後退した位置となるようなパターンとする。
 なお、第2隔壁4における第2開口部8の底の周縁4cが、平面視において、第1隔壁3における第1開口部7の底の周縁3cと一致するようなパターンのマスクを用いることも可能である。
 以上のような露光処理を行った後、水系の現像液を用いて、第2隔壁膜1004をエッチングすることにより、図2の(c)部分に示すように、囲繞により第2開口部8を規定する第2隔壁4を、第1隔壁3の上面に積層形成することができる。
  《熱処理サブ工程》
 上記のように露光現像処理を行った後、第2隔壁4に対して、例えば200℃の温度にて熱処理を施すことにより、第2隔壁4の表面に吸着した余分な溶液などを蒸発させることができる。
 以上のように、第2隔壁形成工程を実行することによって、図2の(c)部分に示すような最大高さが1500nm程度の第2隔壁4を形成することができる。
 ここで、第2隔壁形成工程においても、上記撥液処理サブ工程の実行により、第2隔壁膜1004の上面での撥液成分の分布濃度を高くし、その後の露光現像サブ工程の実行により、第2開口部8をあけているので、第2隔壁4における撥液成分の分布濃度についても、第1隔壁3と同様に、上面近傍での分布濃度が、第2開口部8を臨む側壁表面近傍での分布濃度よりも高くなる。
 また、第2隔壁膜1004を形成する際に用いる隔壁材料における撥液成分の含有量(含有割合)を、第1隔壁膜1003を形成する際に用いる隔壁材料での含有量に比べて大きくすることにより、第1隔壁3の側壁表面、第1隔壁3の上面、第2隔壁4の側壁表面、第2隔壁4の上面の順に撥液性が大きくなる構成とすることが可能である。
 なお、第2隔壁4を形成するための方法については、上記のような方法に限定されるものではなく、第1隔壁形成工程と同様に、隔壁を形成するための各種の公知技術を用いることが可能である。
 また、図中においては、第1隔壁3の断面形状は四角形状(長方形状)であり、第2隔壁4の断面形状は台形形状となっているが、実際の第1隔壁3および第2隔壁4の各断面形状については、図7を用いて後述するように、隔壁の側壁表面および上面は、緩やかなカーブ状に外側に膨らんだものとなりやすい。
 また、隔壁の囲繞により規定される開口部は、基板1側から上側に向かって緩やかに拡径したものとなりやすい。そのため、隔壁の高さについては、上記のように最大高さを基準として用いている。
 また、例えば、隔壁の囲繞により規定される開口部が、基板1側から上側に向かって緩やかに拡径したものとなりやすい性質を利用すれば、第2隔壁における第2開口部の底の周縁の位置を、平面視において、第1隔壁の囲繞により規定される第1開口部の底の周縁の位置と同位置、あるいはそれよりも後退した位置に配することにより、第2開口部の開口領域を、どの高さ位置においても、第1開口部の開口領域の大きさよりも大きいものとすることが容易に可能である。
 <第2有機機能膜成膜工程>
 次に、第2有機機能膜6が備えるべき機能に応じた有機機能材料を準備し、当該有機機能材料と溶媒とを所定比率で混合し、第2有機機能膜6を形成するためのインクを調整する。調整した当該インクを、例えば、インクジェット法を用いて、インクジェットヘッド15からインク液滴として、第2開口部8の開口から内部へと滴下して、図2の(d)部分に示すように、第1有機機能膜の露出した表面を被覆するように液状体1006を塗布する。そして、図2の(e)部分に示すように、液状体1006に含まれる溶媒を蒸発乾燥させ、必要に応じて加熱焼成することにより、第2有機機能膜6を形成することができる。
 ここで、図2の(e)部分に示すように、本実施の形態における第2有機機能膜6は、露出した第1有機機能膜5の表面を被覆した面状に成膜されるものとしているが、滴下するインク液滴の滴下量、溶媒を蒸発乾燥させる処理雰囲気や処理時間、加熱焼成する処理温度や処理時間などを適宜調整することにより、第2有機機能膜6の膜形状を調整することが可能である。
 <第2電極形成工程>
 続いて、図2の(e)部分に示すように、第2有機機能膜6上、および第2隔壁4の露出表面(上面と側壁表面の一部と)に、例えば真空蒸着法またはスパッタリング法を用いて、金属材料からなる第2電極9を形成する。
 第2電極9の形成に用いる材料としては、アルミニウム(Al)などの純金属材料や、透光性導電性材料である酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)など公知の酸化金属材料を用いることができる。
 以上のような工程を実行することにより、有機電子デバイス71を製造することができる。
2.効果
 本実施の形態に係る有機電子デバイス71の製造方法を採用することで得られる効果について、図3を用いて説明する。図3は、上記製造方法を採用することで得られる有機電子デバイス71の一部構成を示す模式部分断面図である。
 図3に示すように、導電性を有する第1有機機能膜5は、第1電極2の上面を被覆するとともに、第1隔壁3の側壁表面3aを被覆した状態で成膜されている。本実施の形態では、第1有機機能膜5を成膜する際には、第1隔壁3だけが存在し、第2隔壁4が存在しないので、第1有機機能膜5が第2隔壁4の側壁表面4aを被覆するという事態は生じ得ない。
 さらに、第2隔壁4における第2開口部8の底の周縁4cは、平面視において、第1隔壁3における第1開口部7の底の周縁3cよりも後退した位置に存在している。即ち、第2開口部8の開口サイズは、第1開口部7の開口サイズに比べて大きい。そのため、第2有機機能膜6によって、第1有機機能膜5の表面全体を被覆することが容易に可能となる。よって、第1有機機能膜5と第2電極9との間に第2有機機能膜6が介挿された形態を確実に実現することができ、第1有機機能膜5と第2電極9との間でのリーク電流路の形成を確実に抑制することができる。
 なお、本実施の形態においても、第1有機機能膜5における「導電性」とは、室温における電気伝導率(S/cm)が、10-7以上のものを指す。そして、第2有機機能膜6は、ここでいう「導電性」を有しないものである。よって、例えば、第1電極上に、第1有機機能膜、第2有機機能膜、第1有機機能膜、第2有機機能膜が同順に積層された積層構造を有する有機電子デバイスを製造する場合であれば、第1隔壁3を形成する工程の実行後に、第1有機機能膜、第2有機機能膜を同順で成膜し、続いて、第1有機機能膜成膜工程の実行により第1有機機能を成膜し、その後に、第2隔壁形成工程、第2有機機能膜成膜工程を同順で実行すればよい。
 または、基板上に第1有機機能膜を成膜した後に、第1隔壁形成工程の実行により第1隔壁を形成し、その後に、第2有機機能膜を成膜した後に、第1有機機能膜成膜工程、第2隔壁形成工程、第2有機機能膜成膜工程を同順で実行することも可能である。
 [実施の形態2]
1.有機ELデバイス70の構成
 本実施の形態に係る有機ELデバイスの製造方法についての説明を行う前に、当該製造方法を用いて製造しようとする有機ELデバイス70の構成について、図4を用い説明する。図4は、本発明の実施の形態に係る製造方法を用いて製造しようとする有機ELデバイス70の一部構成を示す模式部分断面図である。
 なお、図4では、有機ELデバイス70として、複数の有機EL素子60が配設されてなる有機EL表示パネルを一例として採用しているが、単体の有機EL素子からなる有機ELデバイスを対象とすることも可能である。
 図4に示すように、本実施の形態に係る製造方法では、所謂、トップエミッション型の有機ELデバイス70を製造の対象とする。
 有機ELデバイス70では、基板本体部40のZ軸方向上側の主面上にTFT(薄膜トランジスタ)層41、給電電極42、平坦化膜43が順次積層されている。そして、本実施の形態では、基板本体部40、TFT層41、給電電極42および平坦化膜43からなる構造体を「基板44」と規定する。
 基板44のZ軸方向上方には、有機EL素子60毎(各発光部毎)に対応して区画された複数の画素電極45が形成されている。基板44上における隣接する画素電極45同士の間には、各画素電極45の上方空間を囲繞するように、第1隔壁46が形成されている。
 図4に示すように、第1隔壁46の上面には、当該第1隔壁46の上面よりもX軸方向の幅が狭い第2隔壁47が積層形成されている。第1隔壁44および第2隔壁47により規定される各開口部55は、各有機EL素子60における発光領域を規定するための空間となるものである。
 各開口部55の内部には、Z軸方向下側から順に、正孔注入層48、正孔輸送層49、発光層51、電子輸送層52が積層されている。電子輸送層52の表面上および第2隔壁層47の上面には、複数の有機EL素子60に跨って連続する共通電極53が積層されている。本実施の形態においては、正孔注入層48および正孔輸送層49が上記各態様に係る「第1有機機能層50」に相当し、発光層51が上記各態様に係る「第2有機機能層」に相当する。
 また、画素電極45が上記各態様に係る「第1電極」に相当し、共通電極53が上記各態様に係る「第2電極」に相当する。
 有機ELデバイス70の各部詳細構成について説明する。
 <基板44>
 基板44における基板本体部40は、有機ELデバイス70における背面基板であり、その表面には有機ELデバイス70をアクティブマトリクス方式で駆動するためのTFT(薄膜トランジスタ)を含むTFT層41が形成されている。TFT層41には、各TFTに対して外部から電力を供給するための給電電極42が形成されている。
 平坦化膜43は、TFT層41および給電電極42が配設されることにより生じる表面段差を平坦に調整するために設けられており、絶縁性に優れる有機材料で構成されている。
 基板本体部40、TFT層41、供給電極42および平坦化膜43から構成される基板44が上記各態様に係る「基板」に相当する。
 <コンタクトホール>
 平坦化膜43をZ軸方向に挿通して設けられたコンタクトホール54は、給電電極42と画素電極45とを電気的に接続するために設けられ、平坦化膜43のZ軸方向上面から下面まで挿通するように形成されている。コンタクトホール54は、X軸方向に配列されている開口部55同士の各間に位置するように形成されており、画素電極45が敷設されても残る凹部が第1隔壁46の一部で埋設された構成となっている。このように、第1隔壁46により残る凹部を埋めて平坦化しているのでは、コンタクトホール54がそのまま凹部として残って平坦化されないことでの、発光ムラ等の発生を避けるためである。
 <画素電極45>
 本実施の形態における画素電極45は陽極であり、有機EL素子60毎(各発光部毎)に対応し、開口部55内に形成される一の発光層51毎に形成されている。画素電極45は上記各態様に係る「第1電極」に相当する。
 <第1隔壁46および第2隔壁47>
 第1隔壁46および第2隔壁47から構成される隔壁層は、発光層51を形成する際、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色に対応する発光層材料と溶媒を含むインク(液状体)が互いに混入することを防止する目的で設けられる。
 また、第1隔壁46および第2隔壁47の2段構成からなる隔壁層は、導電性を有する正孔注入層48が、共通電極53との間でのリーク電流路を形成することを防止する目的で設けられる。
 コンタクトホール54の上方を覆うように設けられている第1隔壁46、およびその上に設けられている第2隔壁47は、全体的にはX-Z平面での断面形状が台形状をしている。なお、図示を省略しているが、第1隔壁46および第2隔壁47は、紙面に垂直な仮想軸とZ軸とを含む平面での断面形状についても台形状をしている。
 <正孔注入層48>
 正孔注入層48は、画素電極45から発光層51への正孔の注入を促進させる目的で設けられている。
 <正孔輸送層49>
 正孔輸送層49は、画素電極45から注入された正孔の発光層51への正孔注入特性を調整する目的で設けられている。
 <発光層51>
 発光層51は、正孔と電子の再結合により電界発光現象を生じる層であり、赤色(R),緑色(G),青色(B)のいずれかの色の波長域の光をキャリアの再結合により出射する発光層材料を含むように構成されている。
 <電子輸送層52>
 電子輸送層52は、陰極である共通電極52から注入された電子を発光層51へ効率よく輸送する目的で設けられる。電子輸送層52を、例えば、CT(Charge Transfer)錯体などの電子注入性を有するn型ドーパント材料と電子輸送性を有するホスト材料とで構成することが可能であり、この場合には、良好な電子輸送性を実現することが可能である。
 <共通電極53>
 共通電極53は陰極であり、上記各態様に係る「第2電極」に相当する。
 例えば、共通電極53について、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウム亜鉛)などの導電性透光性材料から構成してもよいし、厚み10nm程度の金属層(アルミニウム層など)として積層してもよい。
 <その他>
 なお、図4では図示を省略しているが、共通電極53のZ軸方向上方には、発光層51の劣化を抑制する目的で、当該発光層51への水分や空気等の浸入を抑制するために封止層が設けられている。本実施の形態に係る製造方法が対象とする有機ELデバイス70はトップエミッション型のデバイスであるため、封止層の形成に用いる材料としては、例えばSiN(窒化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)等の透光性材料を選択することが望ましい。
 また、画素電極45と正孔注入層48との間に、各層間の接合性を良好にする目的でITO(酸化インジウムスズ)からなる層や、IZO(酸化インジウム亜鉛)からなる層を設けておくことも望ましい。
 さらに、各開口部55の内部に形成される発光層51について、デバイス全体で同じ発光色の層とすることもできる。
2.各部の構成材料
 次に、上記で説明した各部を構成するための材料を例示する。なお、以下に記載する材料は、あくまでも一例であり、これ以外の材料を用いることも勿論可能である。
 <基板本体部40>
 基板本体部40の構成材料としては、例えば、無アルカリガラス、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラス、石英、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、シリコーン系樹脂、アルミナ等の絶縁性材料などを用いることができる。
 <平坦化膜43>
 平坦化膜43の構成材料としては、例えば、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂などを用いることができる。
 <画素電極45>
 画素電極45の構成材料としては、例えば、Ag(銀)、Al(アルミニウム)、銀とパラジウムと銅との合金、銀とルビジウムと金との合金、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウム亜鉛)などを用いることができる。
 <隔壁層(第1隔壁46、第2隔壁47)>
 第1隔壁46および第2隔壁47の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂などを用いることができる。
 <正孔注入層48>
 正孔注入層48の構成材料としては、例えば、MoOx(酸化モリブデン)、WOx(酸化タングステン)又はMoxWyOz(モリブデン-タングステン酸化物)等の金属酸化物、金属窒化物又は金属酸窒化物などを用いることができる。
 <正孔輸送層49>
 正孔輸送層49の構成材料としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ポリフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、ブタジエン化合物、ポリスチレン誘導体、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、テトラフェニルベンジン誘導体などを用いることができる。
 <発光層51>
 発光層51の構成材料としては、例えば、F8-F6(F8(ポリジオクチルフルオレン)とF6(ポリジヘキシルフルオレン)との共重合体)のほか、オキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物およびアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8-ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2-ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体等の蛍光物質などを用いることができる。
 <電子輸送層52>
 電子輸送層52の構成材料としては、例えば、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム等のアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、n型ドーパント材料としてのアルカリ金属、アルカリ土類金属等とホスト材料としてのBCP(バソキュプロイン)やBphen(バソフェナントロリン)、Alq3(トリス(8-キノリノラト)アルミニウム)、NTCDA(ナフタレンテトラカルボン酸二無水物)等とからの構成物質などを用いることができる。
 <共通電極53>
 共通電極53の構成材料としては、例えば、ITO、IZO、又はAlなどの単体金属などを用いることができる。
3.有機ELデバイス70の製造方法
 本実施の形態に係る有機ELデバイス70の製造方法について、図5および図6を用いて説明する。図5および図6は、本実施の形態に係る有機ELデバイス70の製造過程を示す模式的な断面図である。
 実施形態に係る有機ELデバイスの製造方法は、順に実行される次の工程を備える。
 ・基板準備工程;基板44を準備する(図5の(a)部分および(b)部分)。
 ・第1電極形成工程;基板44上に画素電極45を形成する(図5の(c)部分)。
 ・第1隔壁形成工程;基板44上に第1開口部55を規定する第1隔壁46を形成する(図5の(d)部分)。
 ・正孔注入層形成工程;画素電極45上に正孔注入層48を形成する(図5の(e)部分)。
 ・第2隔壁形成工程;第1隔壁46上に第2開口部56を規定する第2隔壁47を形成する(図6の(a)部分)。
 ・正孔輸送層形成工程;正孔注入層48上に正孔輸送層49を形成する(図6の(b)部分)。
 ・発光層形成工程;正孔輸送層49上に発光層51を形成する(図6の(c)部分)。
 ・電子輸送層形成工程;発光層51上に電子輸送層52を形成する(図6の(c)部分)。
 ・第2電極形成工程;第2隔壁47上および電子輸送層52上に共通電極53を形成する(図6の(d)部分)。
 なお、本実施の形態における製造方法での正孔注入層48は、上記各態様に係る「第1有機機能膜成膜」に相当する。そして、本実施の形態においては、第1電極形成工程、第1隔壁形成工程、正孔注入層形成工程、第2隔壁形成工程、正孔輸送層形成工程および第2電極形成工程それぞれにつき、上記実施の形態1における第1電極形成工程、第1隔壁形成工程、第1有機機能膜成膜工程、第2隔壁形成工程、第2有機機能膜成膜工程および第2電極形成工程のそれぞれに該当するものとして、同様の工程が用いられる。
 <基板準備工程>
 図5の(a)部分に示すように、TFT層41および給電電極42が形成された基板本体部40を準備する。
 次に、フォトリソグラフィー法を用い、TFT層41および給電電極42の上を覆うように、平坦化膜43を被覆形成する。平坦化膜43は、絶縁性に優れた有機材料を用いて、4μm程度の膜厚をもって形成される。
 次に、図5の(b)部分に示すように、各給電電極42の上面の一部が露出するように、複数のコンタクトホール54を開口する。ここで、コンタクトホール54は、図4に示すように、隣接する各第1開口部55の間に位置するように形成される。
 なお、コンタクトホール54の開口は、規定のパターンマスクを用いることにより、平坦化膜43の形成と同時に行うことが可能である。ただし、コンタクトホール54の形成方法はこれに限定されず、例えば、一様に平坦化膜43を形成した後、規定の位置の平坦化膜43を除去して、コンタクトホール54を開口することもできる。
 以上の工程の実行により、基板44が準備される。
 <第1電極形成工程>
 図5の(c)部分に示すように、基板44上に、真空蒸着法またはスパッタリング法を用いて、金属材料からなる画素電極45を形成する。画素電極45は、150nm程度の金属層を構成に含むように形成され、画素単位で区画されている。なお、画素電極45は平坦化膜43におけるコンタクトホール54を臨む側壁表面にも沿って形成され、各給電電極42と電気接続される。
 ここで、画素電極45の表面をITOで被覆することも可能である。また、画素電極45について、ITOやIZOなどの金属酸化物を用いた光透過性の導電層とすることも可能である。
 <第1隔壁形成工程>
 上記実施の形態1における<第1隔壁形成工程>と同様の工程を実行することにより、第1隔壁46を形成する。図5の(d)部分に示すように、第1隔壁46は、複数の第1開口部55を規定し、各開口部55の底部には、画素電極45が露出する。
 <正孔注入層形成工程>
 上記実施の形態1における<第1有機機能膜成膜工程>と同様の工程を実行することにより、各第1開口部55の内部に正孔注入層48を形成する。図5の(e)部分に示すように、各第1開口部55内において、正孔注入層48は、画素電極45の上面に接する。
 <第2隔壁形成工程>
 次に、上記実施の形態1における<第2隔壁形成工程>と同様の工程を実行することにより、各第1隔壁46の上面に第2隔壁47をそれぞれ積層形成する。図6の(a)部分に示すように、本実施の形態においても、第2隔壁47の断面における底面のサイズは、第1隔壁46の断面における上面のサイズよりも小さくなるように設定されている。
 <正孔輸送層形成工程>
 次に、上記実施の形態1における<第2有機機能膜成膜工程>と同様の工程を実行することにより、正孔注入層48上に正孔輸送層49を形成する。図6の(b)部分に示すように、正孔輸送層49は、正孔注入層48の表面全体を覆うように形成され、第1隔壁46および第2隔壁47の各側壁表面の一部に接する。
 <発光層形成工程>
 次に、発光層51を構成する有機材料と溶媒を所定比率で混合し、有機発光層用インクを調整する。そして、調整したインクを、例えば、インクジェット法を用いて、インクジェットヘッドからインク液滴として第2開口部56の内部へと滴下して、正孔輸送層49の表面全体を被覆するようにインク液状体を塗布形成する。
 次に、インク液状体に含まれる溶媒を蒸発乾燥させ、必要に応じて加熱焼成することにより、図6の(c)部分に示すように、発光層51を形成する。
 なお、本実施の形態における発光層形成工程が、上記各態様に係る「第2有機機能膜形成工程」に相当する。
 <電子輸送層形成工程>
 次に、電子輸送層52を構成する材料と溶媒を所定比率で混合し、電子輸送層52を形成するためのインクを調整する。そして、調整したインクを、例えば、インクジェット法を用いて、インクジェットヘッドからインク液滴として第2開口部56の内部へと滴下して、発光層51の表面全体を被覆するようにインク液状体を塗布形成する。
 次に、インク液状体に含まれる溶媒を蒸発乾燥させ、必要に応じて加熱焼成することにより、図6の(c)部分に示すように、電子輸送層52を形成する。
 なお、本実施の形態では、電子輸送層52の構成材料の一例として、NaF(フッ化ナトリウム)を用いている。
 <共通電極形成工程>
 次に、例えば、真空蒸着法またはスパッタリング法を用いて、図6の(d)部分に示すように、第2隔壁47の上面および電子輸送層52の表面全体を覆うように、金属酸化物材料からなる共通電極53を形成する。
 本実施の形態では、トップエミッション型を一例として採用しているため、光透過性を有する共通電極53を採用している。例えば、ITOあるいはIZOを用い共通電極53を形成している。ただし、アルミニウムなどの金属材料を用い、10nm程度の極薄の共通電極を形成することもが可能である。この場合にも、膜厚が極薄いので、光透過性の共通電極とすることができ、トップエミッション型のデバイスを実現することが可能である。
 なお、図示を省略しているが、共通電極47上には、例えば、スパッタリング法やCVD法などを用いて、SiN、SiON等の透光性材料から構成される封止層を形成する。
 以上の工程を経ることにより有機ELデバイス70が完成する。
 本実施の形態においては、有機電子デバイスの製造方法の一適用例として、有機ELデバイスを対象とする製造方法を採用している。このため、正孔注入層48は、画素電極45の表面全体を被覆するとともに、第1隔壁46の側壁表面を被覆する状態で成膜される。
 また、本実施の形態においても、正孔注入層48を形成する際には、第1隔壁46だけが存在し、第2隔壁47が存在しないので、正孔注入層48の一部が第2隔壁47の側壁表面を被覆する状態となることは生じ得ない。
 さらに、本実施の形態においても、第2開口部56の開口サイズは、第1開口部55の開口サイズに比べて大きいので、正孔輸送層49によって、確実に正孔注入層48を被覆することが可能となる。よって、正孔注入層48と共通電極53との間でのリーク電流路の形成を確実に抑制することができる。
 なお、正孔輸送層49が、上記各態様における「第1有機機能膜」に相当する場合には、発光層51を「第2有機機能膜」に相当するものとして、第1隔壁形成工程を実行した後に、正孔注入層48および正孔輸送層49を同順に形成し、その後に第2隔壁形成工程を実行することとすればよい。
 または、例えば、真空蒸着法を用いて、第1電極上に正孔注入層48を形成した後に、第1隔壁形成工程を実行し、その後に、「第1有機機能膜」に相当する正孔輸送層49を形成し、さらにその後に、第2隔壁形成工程を実行することとしてもよい。
 [各種実験と考察]
 上記各態様に係る有機電子デバイスの製造方法および有機ELデバイスの製造方法の技術的な主たる特徴は、第1隔壁形成工程を実行した後であって、第2隔壁形成工程を実行する前に、第1有機機能膜成膜工程を実行することにある。このような工程順を順守した製造方法を採用することにより、隔壁における開口部を臨む側壁表面を第1有機機能膜が這い上がる現象を確実に抑制することができる。よって、上記のような製造方法を採用すれば、間に介挿されるべき第2有機機能膜を介さず、第1有機機能膜と第2電極との間でのリーク電流路が形成されてしまうという事態を確実に抑制することができる。
 そこで、以下では、上記実施の形態2に係る製造方法を用い製造した有機ELデバイスを検証サンプルとして用い、這い上がり現象の遮断効果を検証した。
 また、検証の際に用いた比較サンプルとしては、上記検証サンプルにおける第1隔壁の隔壁材料と同一材料からなる第1隔壁および第2隔壁を、従来技術と同様の方法を用いて形成し、その後に正孔注入層の形成を行った形成したサンプルを準備した。なお、比較サンプルを形成する上での他の工程については、検証サンプルの製造条件と同一の条件を用いた。
 また、検証に際して実施した断面の観察には、走査型透過電子顕微鏡(Hitachi社 品番S-4700)を用いた。
 なお、検証サンプルおよび比較サンプルは、第1隔壁および第2隔壁の形成に用いた感光性樹脂材料に含有される撥液成分の含有量を、第2隔壁に係る含有量を第1隔壁に係る含有量よりも大きくすることにより、第1隔壁の側壁表面、第1隔壁の上面、第2隔壁の側壁表面、第2隔壁の上面の順に撥液性が高くなるように調整した。
 図7は、検証サンプルにおける隔壁を含む隔壁の近傍領域の断面観察結果を示すものである。なお、図7においては、便宜上、正孔注入層48、正孔輸送層49、発光層51、電子輸送層52、および第2電極53を、ひとまとめにして積層体59として図示している。
 図7に示すように、基板44上に第1隔壁46が上記実施の形態2と同様の形態を以って形成されており、第1隔壁46の上面には、第1隔壁46が規定する開口部に比べて大きなサイズの開口部を規定する第2隔壁47が上記実施の形態2と同様の形態を以って形成されている。そして、第1隔壁46および第2隔壁47の各囲繞により規定される開口部内に、積層体59(正孔注入層48、正孔輸送層49と、発光層51、電子輸送層52および第2電極53の積層体)が良好な積層形態を以って形成されていることが分かる。
 なお、図5などでは、隔壁の形状について模式的に表したが、実際に形成される隔壁の形状は、例えば、図7に示すような側壁表面および上面が外側に膨らんだ緩やかなカーブを描く形状をなしている。そのため、上記のように、隔壁の高さは、その大きさが最大となる位置における高さを基準値として表している。
 さらに、隔壁の形状については、隔壁の囲繞により規定される開口部が基板側(下側)から上側に行くに従って緩やかに拡径するような形状をなしている。そのため、第2隔壁47における第2開口部の底の周縁の位置を、平面視において、第1隔壁46における第1開口部の底の周縁の位置と同位置、あるいはそれよりも後退した位置に配する。これにより、第2開口部の開口サイズを、どの高さ位置においても、第1開口部よりも大きくすることが容易に可能である。ただし、第1隔壁および第2隔壁について、各々が規定する開口部のサイズが高さ位置によって変化しないような形状とすることを排除するものではない。
 なお、図7では図示を省略しているが、積層体59の構成中に含まれる第2電極53上には、保護膜57(後述の図8を参照)が形成されている。また、図7においては、断面観察によって視認される各層の濃淡の違いについて、便宜上、各層の形成領域を黒線で囲むとともにハッチングを施すことで表している。これについては、図8および図9でも同様である。
 次に、図7のA領域について、図8(a)を用いて説明する。図8(a)は、図7における第2隔壁47近傍領域であるA領域の断面観察結果を拡大したものである。また、図7のB領域については、図8(b)を用いて説明する。図8(b)は、図7における第1隔壁46近傍領域であるB領域の断面観察結果を拡大したものである。
 先ず、図8(b)に示すように、正孔注入層48は、第1隔壁46により規定される第1開口部内にて露出した画素電極45を被覆するとともに、第1隔壁46の側壁の一部を被覆しており、均一な膜厚形状をなしている。なお、正孔輸送層49と発光層51と電子輸送層52との積層体58については、正孔注入層48の表面全体と第1隔壁46の側壁表面も覆うように形成されている。
 次に、図8(a)に示すように、正孔注入層48は、第1隔壁46の上面および第2隔壁47の隔壁に至らない状態で形成されており、その上を積層体58における正孔輸送層49(正孔輸送層49については、図示を省略。)が良好な被覆状態を以って形成されている。
 一方、比較サンプルにおける図7のA領域に対応する断面観察結果を図9(a)に示し、比較例サンプルにおける図7のB領域に対応する断面観察結果を図9(b)に示す。
 先ず、図9(b)に示すように、正孔注入層348は、第1隔壁346により規定される第1開口部内にて露出した画素電極345の表面全体を被覆するとともに、第1隔壁346の側壁表面の全部を被覆した状態となっている。なお、正孔輸送層と発光層と電子輸送層との積層体358については、第1隔壁346の側壁表面上を含め、正孔注入層348の表面を覆うように形成されている。また、積層体358上には、共通電極353および保護膜357が順に積層されている。
 次に、図9(b)に示すように、正孔注入層348は、第1隔壁346の上面のみならず第2隔壁347の隔壁表面に至る状態で形成されていることが分かる。
 以上、検証サンプルおよび比較サンプルの断面観察の結果は、第1隔壁の上面の撥液性を側壁表面よりも大きなものとしても、従来技術に係る隔壁構成を用いた方法では、第1有機機能膜の這い上がり現象について、第1隔壁の側壁表面で遮断することはできず、第1有機機能膜の這い上がり現象に起因したリーク電流路の形成を確実に抑制することはできない。
 これに対して、上記各態様に係る製造方法を用いれば、第1有機機能膜の上端縁が第2隔壁の側壁表面まで這い上がるという現象は生じ得ず、当該第1有機機能膜の這い上がり現象に起因したリーク電流路の形成を確実に抑制することができる。
[その他]
 以上、本発明の実施の形態に係る有機電子デバイスの製造方法および有機ELデバイスの製造方法について具体的に説明してきたが、上記実施の形態では、本発明の構成および作用・効果を分かり易く説明するために用いた例示であって、本発明は、その本質的な部分を備える限りにおいて、上記実施の形態に限定されない。
 <有機電子デバイスの製造方法>
 (適用対象)
 本発明の有機電子デバイスの製造方法が適用対象とする有機電子デバイスは、上記実施の形態2の有機ELデバイスに限定されるものではない。例えば、有機ELデバイスの他には、例えば、有機薄膜トランジスタなどを適用対象とすることができる。具体的には、ドレイン電極ないしはソース電極とゲート電極とを一対の電極となして、当該一対の電極間に介層される有機半導体層を第1有機機能膜、ゲート絶縁体層を第2有機機能膜として、本発明を有用に利用することができる。このように、一対の電極間に、第1有機機能膜および第2有機機能膜が介挿された積層体をもつ有機電子デバイスに適用可能であって、上記同様の効果を得ることができる。
 (第1有機機能膜成膜工程)
 上記実施の形態1では、第1有機機能膜を、第1隔壁の側壁表面の一部を被覆するように、即ち、第1有機機能膜の上端縁が第1隔壁の側壁表面の上端よりも下側になるように成膜している。
 しかしながら、本発明における第1有機機能膜の形成形態は上記のような形態に限定されるものでなく、例えば、側壁表面の全体を被覆するように、即ち、第1有機機能膜の上端縁が第1隔壁の側壁表面の上端と略一致するように成膜してもよい。
 さらに、本発明では、第1有機機能膜の上端縁が第1隔壁の側壁表面の上端を超え、第1隔壁の上面に乗り上げるように成膜してもよい。この場合には、第1有機機能膜における第1隔壁の上面に乗り上げた部分は、その後の工程により積層される第2隔壁により上方が被覆されることになる。
 また、上記実施の形態1では、第1開口部の内部において、第1有機機能膜が第1電極の露出した表面を覆うように(接するように)成膜されているが、本発明はこれに限定されない。本発明の製造方法では、少なくとも、第1有機機能膜が第1電極上あるいは上方に形成されればよい。例えば、第1有機機能膜と第1電極とが直接接するのではなく、第1電極と第1有機機能膜との間に、他の有機機能膜(導電性有機機能膜あるいは非導電性有機機能膜)や無機膜などを形成しておくことも可能である。
 (第2有機機能膜成膜工程)
 上記実施の形態1では、第2有機機能膜を、第2隔壁の側壁表面の一部を被覆するように成膜することとしている。
 しかしながら、本発明における第2有機機能膜の形成形態は上記のような形態に限定されるものでなく、例えば、第1隔壁の上面における第2隔壁が形成されていない領域の少なくとも一部を被覆するのみで、第2隔壁の側壁表面を被覆しないように第2有機機能膜を成膜してもよいし、第2隔壁の側壁表面全体を被覆するように第2有機機能膜を成膜することとしてもよい。
 (第2隔壁形成工程)
 上記実施の形態1では、第2隔壁を、第1隔壁の上面に対して、その一部を露出させるように形成することとしている。
 しかしながら、本発明における第2有機機能膜の形成形態は上記のような形態に限定されるものでなく、例えば、第1隔壁の上面に対して、その全領域を被覆するように第2隔壁を形成してもよい。
 さらに、本発明では、第1隔壁の断面形状について、底面が上面よりも大きい台形形状を採用する場合には、第1隔壁に対して、その側壁表面の一部(上部)と上面の全てを被覆するように第2隔壁を形成することも可能である。
 <有機ELデバイスの製造方法>
 (第1電極形成工程および第2電極形成工程)
 上記実施の形態2においては、トップエミッション型の有機ELデバイスを製造対象として、その製造方法を説明した。これより、上記実施の形態2では、第2電極形成工程において、ITOやIZOなどの光透過性膜、あるいはアルミニウム(Al)などの金属材料からなり、膜厚が極薄い光透過性膜を共通電極として形成することとした。
 しかしながら、本発明に係る製造方法が対象とする有機ELデバイスは、トップエミッション型のデバイスに限定されるものではなく、当然にボトムエミッション型のデバイスを対象とすることも可能である。このようにボトムエミッション型のデバイスを製造対象とする場合には、共通電極を、反射機能を有した金属膜とすることが可能である。また、ボトムエミッション型のデバイスを製造対象とする場合には、第1電極形成工程において形成する画素電極を、光透過性を備える導電層で構成することになる。この場合における光透過性を備える導電層は、例えば、ITOやIZOなどからなる金属酸化物層や、10nm程度の極薄い金属層などとすることが可能である。
 (第1機能層形成工程)
 上記実施の形態2においては、正孔注入層と正孔輸送層とからなる積層体を第1有機機能膜として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、正孔注入層だけを第1有機機能膜としてもよく、あるいは、電子注入層と電子輸送層とからなる積層体を第1有機機能膜とし、第2機能層である発光層上に正孔輸送層および正孔注入層を順次積層させることも可能である。
 さらには、電子注入層ないしは電子輸送層の一方のみを第1有機機能膜とし、第2機能層である発光層上に正孔輸送層および正孔注入層を順次積層させることも可能である。
 本発明は、有機機能膜の成膜時における這い上がり現象の発生を抑制し、優れたデバイス性能を有する有機電子デバイスおよび有機ELデバイスを製造するのに有用である。
  1,44.基板
  2.第1電極
  3,46.第1隔壁
  4,47.第2隔壁
  5.第1有機機能膜
  6.第2有機機能膜
  7、55.第1開口部
  8,56.第2開口部
  9.第2電極
 45.画素電極
 48.正孔注入層
 49.正孔輸送層
 50.第1機能層
 51.第2機能層
 53.共通電極
 70.有機ELデバイス
 71.有機電子デバイス

Claims (8)

  1.  基板上に第1電極を形成する第1電極形成工程と、
     前記基板上に、第1開口部を規定する第1隔壁を、前記第1開口部の底に前記第1電極の少なくとも一部が露出するように形成する第1隔壁形成工程と、
     前記第1開口部内に第1有機材料を含む第1インク液滴を滴下して、第1有機機能膜を成膜する第1有機機能膜成膜工程と、
     前記第1有機機能膜形成工程を実行した後、前記第1隔壁上に、前記第1開口部に連通する第2開口部を規定する第2隔壁を形成する第2隔壁形成工程と、
     前記第2開口部の開口から、前記第1有機材料とは異なる第2有機材料を含む第2インク液滴を滴下して、露出している前記第1有機機能膜の表面を被覆するように、第2有機機能膜を成膜する第2有機機能膜成膜工程と、
     前記第2有機機能膜上に第2電極を形成する第2電極形成工程と、
    を備え、
     前記第2隔壁形成工程では、平面視において、前記第2隔壁における前記第2開口部を臨む側壁の底部端縁が、前記第1隔壁における前記第1開口部を臨む側壁の底部端縁と同位置あるいは当該底部端縁よりも後退した位置になるように、前記第2隔壁を形成し、
     前記第2有機機能膜形成工程では、前記第2開口部内における前記第2有機機能膜の上端縁が、前記第2隔壁における前記第2開口部を臨む側壁の底部端縁と同位置あるいは当該底部端縁よりも上方となるように、前記第2インク液滴を滴下する
     ことを特徴とする有機電子デバイスの製造方法。
  2.  前記第1隔壁形成工程は、
     前記基板上に第1隔壁材料を含む第1隔壁膜を形成するサブ工程と、
     前記第1隔壁膜の一部を選択的に露光し、第1現像液を用いて前記第1隔壁膜を現像して前記第1開口部をあけるサブ工程と、
    を備え、
     前記第2隔壁形成工程は、
     前記第1隔壁上および前記第1有機機能膜上に、第2隔壁材料を含む第2隔壁膜を形成するサブ工程と、
     前記第2隔壁膜の一部を選択的に露光し、第2現像液を用いて前記第2隔壁膜を現像して前記第2開口部をあけるサブ工程と、
    を備え、
     前記第2隔壁形成工程における前記第2隔壁膜を形成するサブ工程では、前記第2隔壁材料として、前記第1有機機能膜がエッチング耐性を有する前記第2現像液を用いエッチングが可能な材料を選択的に使用する
     ことを特徴とする請求項1に記載の有機電子デバイスの製造方法。
  3.  前記第1隔壁形成工程における前記第1開口部をあけるサブ工程では、前記第1現像液として、アルカリ性現像液を使用し、
     前記第2隔壁形成工程における前記第2開口部をあけるサブ工程では、前記第2現像液として、水系現像液を使用する
     ことを特徴とする請求項2に記載の有機電子デバイスの製造方法。
  4.  前記第1隔壁形成工程は、前記第1隔壁に対してその表面に撥液処理を施す第1撥液処理サブ工程を含み、
     前記第2隔壁形成工程は、前記第2隔壁に対してその表面に撥液処理を施す第2撥液処理サブ工程を含み、
     前記第1撥液処理サブ工程では、前記第1隔壁の上面の前記第1インク液滴に対する第1接触角が、前記第1隔壁の前記第1開口部を臨む側壁表面の前記第1インク液滴に対する第2接触角よりも大きくなるように、前記第1隔壁に対して前記撥液処理を施し、
     前記第2撥液処理サブ工程では、前記第2隔壁の上面の前記第2インク液滴に対する第3接触角が、前記第2隔壁の前記第2開口部を臨む側壁表面の前記第2インク液滴に対する第4接触角よりも大きくなるように、前記第2隔壁に対して前記撥液処理を施す
     ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の有機電子デバイスの製造方法。
  5.  前記第1撥液処理サブ工程と前記第2撥液処理サブ工程とは、前記第2接触角、前記第1接触角、前記第4接触角、前記第3接触角の順に接触角が大きくなるように、前記第1隔壁および前記第2隔壁の各々に対して前記撥液処理を施す
     ことを特徴とする請求項4に記載の有機電子デバイスの製造方法。
  6.  前記第1隔壁形成工程では、前記第1隔壁膜を形成するサブ工程において、撥液性を有する前記第1隔壁材料を用いることにより、その表面が撥液性を有する前記第1隔壁を形成し、
     前記第2隔壁形成工程では、前記第2隔壁膜を形成するサブ工程において、撥液性を有する前記第2隔壁材料を用いることにより、その表面が撥液性を有する前記第2隔壁を形成する
     ことを特徴とする請求項2に記載の有機電子デバイスの製造方法。
  7.  前記第1有機機能膜成膜工程では、その上端縁が前記第1隔壁の上面に到達しないように、前記第1有機機能膜を形成する
     ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の有機電子デバイスの製造方法。
  8.  基板上に第1電極を形成する第1電極形成工程と、
     前記基板上に、第1開口部を規定する第1隔壁を、前記第1開口部の底に前記第1電極の少なくとも一部が露出するように形成する第1隔壁形成工程と、
     前記第1開口部内に第1有機材料を含む第1インク液滴を滴下して、第1有機機能膜を成膜する第1有機機能膜成膜工程と、
     前記第1有機機能膜形成工程を実行した後、前記第1隔壁上に、前記第1開口部に連通する第2開口部を規定する第2隔壁を形成する第2隔壁形成工程と、
     前記第2開口部の開口から、前記第1有機材料とは異なる第2有機材料を含む第2インク液滴を滴下して、露出している前記第1有機機能膜の表面を被覆するように、第2有機機能膜を成膜する第2有機機能膜成膜工程と、
     前記第2有機機能膜上に第2電極を形成する第2電極形成工程と、
    を備え、
     前記第2隔壁形成工程では、平面視において、前記第2隔壁における前記第2開口部を臨む側壁の底部端縁が、前記第1隔壁における前記第1開口部を臨む側壁の底部端縁と同位置あるいは当該底部端縁よりも後退した位置になるように、前記第2隔壁を形成し、
     前記第2有機機能膜形成工程では、前記第2開口部内における前記第2有機機能膜の上端縁が、前記第2隔壁における前記第2開口部を臨む側壁の底部端縁と同位置あるいは当該底部端縁よりも上方となるように、前記第2インク液滴を滴下し、
     前記第1有機機能膜形成工程では、キャリア注入層およびキャリア輸送層の積層体を、前記第1有機機能膜として成膜し、
     前記第2有機機能膜形成工程では、正孔と電子の再結合により電界発光現象を生じる発光層を、前記第2有機機能膜として成膜する
     ことを特徴とする有機ELデバイスの製造方法。
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