WO2014014061A1 - トレーニング用具 - Google Patents

Abstract

【課題】　簡単な構成で、使用者の素振り練習と合わせて手指の筋力をも鍛え、握力強化を図ることが可能なトレーニング用具およびトレーニング用バットと、特に、トレーニングバットにあっては、各人の所望のトレーニング用バットにカスタマイズし易い構成を備えるトレーニング用バットを提供する。 【解決手段】　グリップ部２としての所望の径寸法Ｘよりも小さい径寸法Ｘ－αに形成されたシャフト部３の外周に固定され、外周側からの握り弾性変形を可能にする弾性変形部材４を有するグリップ部２を備え、前記グリップ部２を、握力強化トレーニングの目的とする負荷が掛かる握力で掌握することで、前記弾性変形部材４を加圧して該グリップ部２が前記所望の径寸法Ｘになるように弾性収縮させることが可能に形成する。

Description

トレーニング用具

　本発明は、グリップ部を握ったトレーニング（準備運動を含む）において、効率的に握力強化を図ることのできるトレーニング用具に関する。

　スポーツやリハビリによって握力を強化させる（衰えていた握力を回復させる、あるいは、握力の低下を予防する場合も含む）ためには、手首を屈曲・伸展させる筋肉を鍛えるとともに、指を屈曲・伸展させる筋肉を鍛える必要がある。

　そして、指の筋肉を鍛えるためのトレーニングとしては、『ハンドグリップ』といわれる方法がよく知られている。『ハンドグリップ』は、ねじりコイルばね（トーションばね）の両端部に２本のグリップ部が配設されたナットクラッカー型（胡桃割り型）の『ハンドクリッパー』と称される器具を用い、前記２本のグリップ部に指を掛け、ばねの負荷に抗して２本のグリップ部を近接させるように握ること（握り潰すこと）で、指を屈曲させる筋肉を鍛えるものである。

　そして、グリップ部を有するトレーニング用具として『ダンベル』が知られている。

　また、よりスポーツの実践的なトレーニングにおいては、例えば、野球やソフトボールのトレーニングでは、試合で使用するバットよりも使用者の身体に負荷が掛かる構成を備えたトレーニング用バット（マスコットバット）を用い、素振りの練習をしたり、本打席へ向かう前の準備運動をすることがなされており、従来のトレーニング用バットとしては、試合で使用するバットよりも重量を重く調整したものが用いられている。そして、重量を調整可能なバットとして、グリップ端部に所望の重りを設けることで、全体の重量を調整することができるものが開発されている（特許文献１、２参照）。

実開昭６０－１２８６７０号公報 実開平０２－９１５８３号公報

　前述したように、『ハンドクリッパー』は握力強化専用のトレーニング用具である。

　また、前記マスコットバットにおいては、グリップ端部に所望の重りを設けるなどして、使用者の身体に重量的な負荷を掛けることで身体を鍛錬するものであるが、特に握力強化を目的とするための構成を備えてはいない。

　そこで、マスコットバットやダンベルのように使用時に掌握するためのグリップ部を有するトレーニング用具において、簡単な構成で、使用者のトレーニングと合わせて手指の筋力をも鍛え、握力強化を図ることが可能とし、さらには、各人の所望に応じてカスタマイズし易い構成を備えるトレーニング用具を提供することを目的とする。

　前記課題を解決するべく、本発明のトレーニング用具の第１の態様は、グリップ部を握って行うトレーニングのためのトレーニング用具であって、前記グリップ部には、該グリップ部としての所望の径寸法よりも小さい径寸法に形成されたシャフト部の外周に固定され、外周側からの握り弾性変形を可能にする弾性変形部材を備え、前記グリップ部を握力強化トレーニングの目的とする負荷が掛かる握力で掌握することで、前記弾性変形部材を該グリップ部が前記所望の径寸法になるように弾性収縮させることが可能に形成されていることを特徴とする。

　本発明のトレーニング用具の第１の態様によれば、トレーニング時において、弾性変形部材をその弾性力に抗して握力強化トレーニングの目的とする負荷が掛かる握力で掌握し、該グリップ部を所望の径寸法にまで弾性収縮させることで、使用者の所望のトレーニング、例えば、素振り練習やダンベル運動と合わせて手指の筋力をも効率的に鍛え、握力強化を図ることができる。

　前記弾性変形部材は、握力強化トレーニングの目的とする負荷が掛かる握力で掌握すれば、該グリップ部は前記所望の径寸法となるので、本来のトレーニングを妨げることなく、例えば、素振り練習においては、本番と同じグリップ状態でトレーニングを行うことができる。

　本発明のトレーニング用具の第２の態様は、前記シャフト部には、少なくとも１つのシャフト側係合部が形成され、前記弾性変形部材には、前記シャフト側係合部に対して係合可能なグリップ側係合部が形成されており、前記グリップ側係合部と前記シャフト側係合部とを係合させるようにして、前記弾性変形部材の前記グリップ部の外周面における滑り移動を規制するように形成されていることを特徴とする。

　本発明のトレーニング用具の第２の態様によれば、弾性変形部材のグリップ部の軸周り方向への滑り移動を規制するように形成されていることにより、使用時において、弾性変形部材がグリップ部における所望の位置から回転してズレが生じることがなく、適正な掌握位置を維持した状態でトレーニングおよび手指の筋力強化を図ることを可能とする。

　本発明のトレーニング用具の第３の態様は、前記弾性変形部材が交換可能に形成されていることを特徴とする。

　本発明のトレーニング用具の第３の態様によれば、グリップ部に固定される弾性変形部材を交換可能とすれば、各人の要望に合わせたトレーニング用具を簡単にカスタマイズすることができる。

　本発明のトレーニング用具の第４の態様は、トレーニングの目的とする負荷が掛かる握力で掌握されたことを感知して確認音を鳴らす音発生手段を備えることを特徴とする。

　本発明のトレーニング用具の第４の態様によれば、前記音発生手段による確認音によって、トレーニングの目的とする負荷が確実にグリップ部に掛かっていることを確かめながらトレーニングを行うことができるので、より効果的にトレーニングおよび手指の筋力強化を図ることを可能とする。

　本発明のトレーニング用具によれば、簡単な構成で、トレーニング時に弾性変形部材をその弾性に抗して掌握することで、手指の筋力を効率的に鍛えることができ、握力強化を図ることができる。また、各人の所望のトレーニング用具へとカスタマイズし易く、効率的な握力強化を期待できる。

（ａ）は本実施形態のトレーニング用具におけるグリップ部の正面概略図、（ｂ）は（ａ）のトレーニング用具の要部断面図、（ｃ）は（ｂ）のトレーニング用具のｃ－ｃ断面図 （ａ）は本実施形態の別のトレーニング用具におけるグリップ部の正面概略図、（ｂ）は（ａ）のトレーニング用具の要部断面図、（ｃ）は（ｂ）のトレーニング用具のｃ－ｃ断面図 （ａ）は本実施形態のさらに別のトレーニング用具におけるグリップ部の正面概略図、（ｂ）は（ａ）のトレーニング用具の要部断面図、（ｃ）は（ｂ）のトレーニング用具のｃ－ｃ断面図 （ａ）は本実施形態のまたさらに別のトレーニング用具におけるグリップ部の正面概略図、（ｂ）は（ａ）のトレーニング用具の要部断面図、（ｃ）は（ｂ）のトレーニング用具のｃ－ｃ断面図 （ａ）は実施例１のトレーニング用バットの正面概略図、（ｂ）は（ａ）のトレーニング用バットの要部断面図、（ｃ）は（ａ）のトレーニング用バットの組立例を示す分解斜視図 （ａ）は実施例１の別のトレーニング用バットの正面概略図、（ｂ）は（ａ）のトレーニング用バットの要部断面図、（ｃ）は（ａ）のトレーニング用バットの組立例を示す分解斜視図 （ａ）は図６のトレーニング用バットにおける弾性変形部材のその他の形状を示す斜視図、（ｂ）は（ａ）の弾性変形部材の縦断面図 （ａ）は実施例２のトレーニング用ダンベルの断面図、（ｂ）は（ａ）のトレーニング用ダンベルの分解斜視図 実施例３のトレーニング用バットの分解斜視図 図５（ｃ）に対応する実施例１のトレーニング用バットの別の組立例を示す分解斜視図 図５（ｃ）に対応する実施例１のトレーニング用バットのさらに別の組立例を示す分解斜視図 （ａ）はその他の実施例としてのトレーニング用縄跳びの正面概略図、（ｂ）は（ａ）のトレーニング用縄跳びの要部断面図

　本実施形態のトレーニング用具１は、掌で強く握って使用されるグリップ部２を備え、素振り練習やダンベル運動などのトレーニングと、握力強化を目的として用いられる携帯サイズのトレーニング用具１であり、練習用のバットなどに適用する場合には、スポーツの試合等で実際に用いる用具のグリップ部２と同径のトレーニング用具１で行いつつ、握力強化も効率的に図れるものである。

　このトレーニング用具１の前記グリップ部２は、図1乃至図４に示すように、前記グリップ部２の所望の径寸法よりも小さい径寸法に形成された、木、金属、カーボン等の硬質材料からなるシャフト部３を備えている。該シャフト部３は、例えば、スイング練習用のバットなどに適用される場合においては、該バットのシャフト全体であっても一部分であってもよい。また、該シャフト部３は、中空構造であっても中実構造であってもよい。

　前記シャフト部３の外周には、外周側からの掌握により弾性変形を可能にする弾性変形部材４が固定されている。この時、弾性変形部材４は、不図示の接着剤等により固定するようにしてもよい。

　本実施形態の図１および図２に示すトレーニング用具の前記グリップ部２の前記弾性変形部材４は、厚さ５ｍｍ～２０ｍｍ程度の弾性材料により、有底あるいは無底の筒状に形成されており、握力強化トレーニングの目的とする負荷が掛かる握力で掌握することで、大凡、該グリップ部２を前記所望の径寸法にまで弾性収縮させることができるように適切な弾性を持たせて形成されている。つまり、グリップ部２の所望の径寸法をＸとした場合に、シャフト部３の径寸法はＸ－α、不使用時におけるグリップ部２の外径寸法はＸ＋βとして形成されており（図１乃至図４参照）、弾性変形部材４は、握力強化トレーニングの目的の握力により、Ｘ＋βの径寸法とされた該グリップ部２が前記所望の径寸法Ｘにまで弾性収縮可能に弾性等を調整して形成されている。

　前記弾性変形部材４に適用する弾性材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ウレタン、ゴム（天然・合成）、シリコン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどからなる樹脂発泡体や、シリコン（樹脂）にフィラーや硬化剤を混合させた材料などを、握力強化トレーニングの目的とする負荷に合わせて適宜選択し、用いればよい。

　なお、前記弾性変形部材４は異なる材質の弾性材料を重ね複数層状に形成してもよい。また、前記弾性材料の外表面をその形状変化に追従する伸縮性を備えた塗膜で被覆してもよい。塗膜形成には、例えば、ウレタン系、ポリ塩化ビニル系の塗料を用いることができる。

　また、弾性変形部材４の構成は他に、図３に示すような、シャフト部３の外周と固定される内面層５ａと該グリップ部２の外周を構成する外面層５ｂとの間に形成される閉鎖空間内に弾性を有する、シリコンバウンシングパテ、プラスティックフォーム、エアーマット、ゲル等の樹脂や発泡粒等、あるいは、衝撃を吸収し、握力を奪う、所謂、衝撃吸収材としてのゲル等を充填させ、中間層６を形成する構成としてもよい。つまり、グリップ部２を構成する弾性変形部材４に反発力を持たせれば、この反発力に抗することで握力を強化することができる一方、衝撃を吸収するようにすれば、さらに手指の筋肉を酷使することになるため、握力強化のトレーニングとなる。前記中間層６は複数層状に形成してもよいし、シャフト部３の周方向に空間を仕切る壁部を形成してもよい。前記内面層５ａおよび外面層５ｂは、硬質ポリウレタン樹脂や硬質ゴム等を用い、同一の素材にて射出成形により薄く形成するとよい。

　また、シャフト部３および弾性変形部材４は、図４に示すように、それぞれの径寸法を変更することなく、シャフト部３には少なくとも１つのシャフト側係合部２３を形成し、弾性変形部材４の内周面には該シャフト側係合部２３と係合可能なグリップ側係合部２４を形成して、該シャフト側係合部２３と該グリップ側係合部２４とを係合させるようにして、該弾性変形部材４の前記グリップ部２の外周面における滑り移動、本実施形態においては該グリップ部２の軸周り方向への滑り移動を規制するように形成することができる。

　より具体的には、図４に示すように、シャフト部３には、前記シャフト側係合部２３としての、該シャフト部３の軸方向と平行に少なくとも１つの溝部２３ａを形成し、弾性変形部材４には、前記グリップ側係合部２４としての、前記溝部２３ａに嵌合可能な嵌合部２４ａを形成して、前記嵌合部２４ａを前記溝部２３ａに嵌め込んで係合することにより、前記弾性変形部材４を前記シャフト部３に嵌着固定するように形成してもよい。

　このように、嵌合部２４ａを溝部２３ａに嵌め込んで固定して、弾性変形部材４のグリップ部２の軸周り方向への滑り移動を規制することにより、グリップ部２における掌握位置が適正位置から移動することを防止することができる。

　また、例えば、トレーニング時において、グリップ部２を両手で掌握した際に右手と左手の握り込み方向が異なることにより、弾性変形部材４に対してグリップ部２の軸周り方向へのねじり応力が加えられた場合においても、嵌合部２４ａの前記軸周り方向への移動が溝部２３ａ内に規制されるので、弾性変形部材４が大きくねじれ変形することを防止して、グリップ部２の適正な掌握位置を維持した状態でトレーニングと手指の筋力強化を図ることができる。

　なお、シャフト側係合部２３およびグリップ側係合部２４は、前述の形状に限定されるものではなく、例えば、シャフト部３の外周面にシャフト側係合部２３としての複数の凸部を形成し、弾性変形部材４の内周面には該凸部と係合可能なグリップ側係合部２４としての複数の凹部を形成して、該凸部に対して該凹部を係合させることによって、弾性変形部材４のグリップ部２の軸方向および軸周り方向への滑り移動を規制するようにしてもよい。

　また、シャフト側係合部２３を前記凸部とした場合において、該凸部を所望の径寸法よりも小さい径寸法に形成されたシャフト部３の外周面から、該凸部の先端にて所望の径寸法を形成するように突出させて形成するとともに、弾性変形部材４には該凸部に係合するグリップ側係合部２４として複数の貫通孔を形成し、該貫通孔の中に該凸部を係合するようにしてもよい。このような構成にすることにより、前記弾性変形部材４を所望の径寸法となるように弾性収縮させると、該貫通孔から該凸部の先端が突出して手指に当たるので、トレーニング時において手指に適度な刺激を与えてさらなる手指の筋力強化を図るなどの応用が考えられる。

　また、前記弾性変形部材４は、外形状（長さ、太さ）や重量、素材などを調製して弾性を異ならせ、好みに合わせて適宜組み合わせることで各人の要望に合わせてカスタマイズすることができる。

　また、本発明のトレーニング用具１には、グリップ部２を掌で掌握することにより音を発生させる音発生手段を設けることができる。前記音発生手段は、グリップ部２を所定の握力で握ることにより音が発生するようにされており、該グリップ部２が握力強化トレーニングの目的とする負荷が掛かる握力で掌握されていることを聴覚で感じ取ることを可能とする。

　本発明のトレーニング用具１を用いたトレーニングにおいては、トレーニング時に弾性変形部材４をその弾性力に抗して握力強化トレーニングの目的とする負荷が掛かる握力で掌握し、グリップ部２を所望の径寸法にまで弾性収縮させ、グリップ部２を所望の径寸法とした状態でトレーニングを行う。

　その際、グリップ部２を握力強化トレーニングの目的とする負荷が掛かる握力で掌握することで、本発明のような構成を備えない従来の素振り練習用バットやダンベルなどのトレーニング用具のグリップ部２を強く握る場合と比較しても、手指の筋力をも効率的に鍛え、握力強化を図ることができる。

　そして、例えば、本発明のトレーニング用具１を適用したスイング練習用のバットとした場合において、前記弾性変形部材４を握力強化トレーニングの目的とする負荷が掛かる握力以下で掌握している間は、グリップ部２は本番のバットと同じ前記所望の径寸法とはならないが、素振り練習に支障は無く、また、握力強化のトレーニングにも本番と同じグリップ状態が得られるように精を出すこととなる。逆に、弾性変形部材４を握力強化トレーニングの目的とする負荷が掛かる握力以上で掌握すれば、グリップ部２は前記所望の径寸法以下となるが、素振り練習に支障は無く、その場合においても、弾性変形部材４の弾性に抗して握ることを続けることで、所謂、アイソメトリックトレーニングとなり、手指の筋力を鍛え、握力強化を図ることができる。

＜実施例１＞
［トレーニング用バット］
　以下に、該トレーニング用具１の実施例１として、野球やソフトボールなどのスイング練習用バットに適用した場合のトレーニング用バット１１について説明する。

　図５に示す、本実施例のトレーニング用バット１１は、使用時における所望の径寸法よりも小さい径寸法に形成されたシャフト部３としてのグリップ芯部１３の外周に外周側からの握り弾性変形を可能にする弾性変形部材４としての弾性変形部材１４が固定されたグリップ部１２を有し、グリップ芯部１３をトレーニングの目的とする負荷が掛かる握力で掌握することで、弾性変形部材１４を該グリップ部１２が所望の径寸法となるように弾性収縮させることが可能に形成されている。

　詳しくは、本実施例のトレーニング用バット１１は、試合に用いるバットを外形状をほぼ等しくする金属バット様に形成されており、長さ方向一端部側の一定長さ領域を前記グリップ部１２とされており、その他、長さ方向他端部側の打球部１７、この打球部１７と前記グリップ部１２とを繋ぐ連結部１８、並びに、該トレーニング用バット１１の長さ方向一端部においてグリップ部１２に連接して形成されるグリップエンド１９から構成されている。

　本実施例において、グリップ芯部１３は、打球部１７および連結部１８とともにバット本体２０として一体に、連結部１８の一端側端面における軸心からグリップ部１２の所望の径寸法よりも小さい径寸法で延出形成されている。

　そして、バット本体２０におけるグリップ芯部１３の開放端部には、内ねじ部２０ａが設けられている。また、グリップエンド１９はグリップ部１２よりも大径とされ、内ねじ部２０ａに螺合する外ねじ部２１ａが設けられたグリップエンド部材２１として形成されている。

　そして、前記グリップ芯部１３に弾性変形部材１４の軸孔１４ａを嵌着し、弾性変形部材１４をグリップ芯部１３の外周であって、前記バット本体２０の一端側端面とグリップエンド１９の間に、不図示の接着剤等により固定し、前記内ねじ部２０ａと外ねじ部２１ａとを螺着させることで、バット本体２０のグリップ部側端面とグリップエンド部材２１との間に前記弾性変形部材１４を介在させて形成されている。

　より具体的には、本実施例のトレーニング用バット１１は、所望のグリップ部１２径（最小径部）を２４ｍｍ、グリップ芯部１３の径寸法を１４ｍｍ、弾性変形部材１４は弾性力を備えた弾性材料により厚さ１０ｍｍで軸孔寸法を１４ｍｍとする円筒状に形成し、素振り練習時のグリップ部１２の掌握により、弾性部材を約８ｍｍほど弾性収縮させて、該グリップ部１２を前記所望の２４ｍｍ径寸法とすることができるように形成されている。

　前記グリップ芯部１３の径寸法は、弾性変形部材の厚さ寸法や材質を変更・調整して幅広い需要に対応可能とするべく、トレーニング用バット１１としての強度が保証される最小径として設計しておくことが望ましい。

　本発明のトレーニング用バット１１は、素振り練習時にグリップ部１２を構成する弾性変形部材１４をその弾性に抗して掌握して所望の径寸法にまで弾性収縮させ、前記所望の径寸法とした、本番と同じグリップ状態で素振り練習に用いる。

　その際、前記グリップ部１２をその弾性に抗して掌握することで、本実施例のような構成を備えない従来のトレーニング用バットを強く握る場合と比較しても、手指の筋力をも効率的に鍛え、握力強化を図ることができる。

　また、本実施例のような構成のトレーニング用バット１１は、グリップ芯部１３に固定される弾性変形部材１４を交換可能とすれば、各人の所望に合わせたトレーニング用バット１１を簡単にカスタマイズすることができる。

　さらには、該トレーニング用バット１１の使用者の好みに応じて、外形状（長さ、太さ）や重量、素材等を異ならせた複数種のバット本体２０およびグリップエンド部材２１、素材や厚さを調整して弾性を異ならせた複数種の弾性変形部材１４を、使用者の好みに合わせて適宜組み合わせることで簡単にカスタマイズすることが可能となる。

　その他にも、図６に示すように、グリップ芯部１３の外周面には、シャフト側係合部２３としての３つの溝部２３ａを該グリップ芯部１３の軸周りに１２０°間隔で該軸方向と平行に形成し、グリップ芯部１３の外周面に対面する弾性変形部材１４の内周面には、グリップ側係合部２４としての嵌合部２４ａを３つの当該溝部２３ａに嵌め込み可能に形成し、前記溝部２３ａに前記嵌合部２４ａを嵌め込んで、グリップ芯部１３に弾性変形部材１４を嵌着し、バット本体２０の内ねじ部２０ａとグリップエンド部材２１の外ねじ部２１ａとを螺着させることで、バット本体２０のグリップ部測端面とグリップエンド部材２１との間に前記弾性変形部材１４を介在させて形成することも可能である。このように、グリップ芯部１３の溝部２３ａに弾性変形部材１４の嵌合部２４ａを嵌め込んで嵌着し、弾性変形部材１４のグリップ部１２の軸周り方向への滑り移動を溝部２３ａの範囲内に制限することにより、グリップ芯部１３と弾性変形部材１４とを接着材等により固定することなく、弾性変形部材１４がグリップ部１２の軸周り方向に回転して、掌握位置が適正位置からズレることを防止することができる。

　また、トレーニング時において、例えば、両手でグリップ部１２を掌握することにより、右手と左手の握り込み方向が異なることで、弾性変形部材１４に対してグリップ部１２の軸周り方向へのねじり応力が生じた場合においても、嵌合部２４ａが溝部２３ａに嵌合して弾性変形部材１４の前記軸周り方向への移動を規制することで、弾性変形部材１４にねじり変形が生じることを防止し、グリップ部１２における適正な掌握位置を掌握した状態でトレーニングを行うことができる。さらに、接着材などによるグリップ芯部１３と弾性変形部材１４との固定が不要となることで、弾性変形部材１４の交換が容易となり、各人の所望に合わせたトレーニング用バット１１へ簡単にカスタマイズすることができる。

　この他にも、弾性変形部材１４は、図７に示すように、複数の部材ピース１４ｂを連結させることにより形成され、該部材ピース１４ｂは、グリップ芯部１３の外周面に密着する内側面１５ａとグリップ部１２の外周面を構成する外側面１５ｂと、各部材ピース１４ｂを連結したときに不図示の接着材などにより固定される連結面１５ｃとを有する被覆材の閉鎖空間内に、弾性を有するビーズ状もしくはビーズ状よりもさらに細かい粒子状の弾性材料を充填させて形成されている。このように、複数の部材ピース１４ｂを連結させて弾性変形部材１４を形成することにより、異なる弾性を有する部材ピース１４ｂを組み合わせて所望の弾性を備えたトレーニング用のバット１１へカスタマイズすることができる。また、ビーズ状もしくは粒子状の弾性材料を用いることにより、グリップ部１２を握っている間、手指によって押圧力を加えられた部分の弾性材料のみが収縮して、グリップ部１２に手指によるグリップ痕が形成されるので、掌握している手がグリップ部１２の外周を滑らずにしっかりと掌握した状態で素振り練習と手指の筋力強化を図ることができる。

＜実施例２＞
［トレーニング用ダンベル］
　以下に、該トレーニング用具１の実施例２として、グリップ部を有するトレーニング用具であるダンベルに適用した場合のトレーニング用ダンベル４１について説明する。

　図８（ａ）に示す、本実施例のトレーニング用ダンベル４１は、両端部に所定の重さの荷重部４５，４５がそれぞれ設けられ、使用時における所望の径寸法よりも小さい径に形成されたシャフト部３としてのグリップ芯部４３と、該グリップ部芯部４３の外周に設けられ、外周側からの握り弾性変形を可能にする弾性変形部材４としての弾性変形部材４４とからなるグリップ部４２を有し、該グリップ芯部４３をトレーニングの目的とする負荷が掛かる握力で掌握することで、弾性変形部材４４を該グリップ部４２が所望の径寸法となるように弾性収縮させることが可能に形成されている。

　本実施例において、弾性変形部材４４は、図８（ｂ）に示すように、グリップ芯部４３の軸方向に切溝４４ａが設けられており、該切溝４４ａに沿って開閉することにより、グリップ芯部４３に着脱可能に形成されている。前記切溝４４ａは、不図示の接着材等により端面同士を接着したり、マジックテープ（登録商標）を用いるなどして固定するようにしてもよい。

　より具体的には、本実施例のトレーニング用ダンベル４１は、所望のグリップ部４２径（最小径部）を４０ｍｍ、グリップ芯部４３の径寸法を３０ｍｍ、弾性変形部材４４は弾性力を備えた弾性材料により厚さ２０ｍｍで軸孔寸法を３０ｍｍとする円筒状に形成し、ダンベル運動時のグリップ部４２の掌握により、弾性部材を約１０ｍｍほど弾性収縮させて、該グリップ部４２を前記所望の４０ｍｍ径寸法とすることができるように形成されている。

　前記グリップ芯部４３の径寸法は、弾性変形部材４４の厚さ寸法や材質を変更・調整して幅広い需要に対応可能とするべく、トレーニング用ダンベル４１としての強度が保証される最小径として設計しておくことが望ましい。

　本発明のトレーニング用ダンベル４１は、ダンベル運動時にグリップ部４２を構成する弾性変形部材４４をその弾性に抗して掌握して所望の径寸法にまで弾性収縮させ、前記所望の径寸法としたグリップ状態でダンベル運動に用いる。

　その際、前記グリップ部４２をその弾性に抗して掌握することで、本実施例のような構成を備えない従来のダンベルのグリップ部を強く握る場合と比較しても、手指の筋力をも効率的に鍛え、握力強化を図ることができる。

　また、本実施例のような構成のトレーニング用ダンベル４１は、グリップ芯部４３に固定される弾性変形部材４４を交換可能とすれば、各人の所望に合わせたトレーニング用ダンベル４１を簡単にカスタマイズすることができる。

　さらには、該トレーニング用ダンベル４１の使用者の好みに応じて、重さや重心を異ならせた複数種の荷重部４５、素材や厚さを調整して弾性を異ならせた複数種の弾性変形部材４４を、使用者の好みに合わせて適宜組み合わせることで簡単にカスタマイズすることが可能となる。

＜実施例３＞
［トレーニング用バット－音発生手段あり］
　以下に、該トレーニング用具１の実施例３として、音発生手段を設けた場合のトレーニング用バット５１について説明する。

　図９に示す、本実施例のトレーニング用具５１は、使用時における所望の径寸法よりも小さい径寸法に形成されたシャフト部３としてのグリップ芯部５３の外周に外周側からの握り弾性変形を可能とする弾性変形部材４としての弾性変形部材５４が固定されたグリップ部５２とトレーニングの目的とする負荷が掛かる握力で掌握されたことを感知する圧力センサー５７ａを有する音発生手段５７とを備え、グリップ芯部５３がトレーニングの目的とする負荷が掛かる握力で掌握されたことを感知して確認音を鳴らすように形成されている。

　詳しくは、本実施例のトレーニング用バット５１は、試合に用いるバットと外形状をほぼ等しくする金属バット様に形成されており、前述の実施例１の態様と同様に、長さ方向一端部側の一定長さ領域を前記グリップ部５２とされており、その他、長さ方向他端部側の打球部１７、この打球部１７と前記グリップ部５２とを繋ぐ連結部１８、並びに、該トレーニング用バット５１の長さ方向一端部において該グリップ芯部５３の一端部に螺着することによりグリップ部５２に連接して設けられるグリップエンド部材５９から構成されている。なお、本実施例のトレーニング用バット５１は、グリップ部５２以外は、実施例１のトレーニング用バット１１の構成と同じものであり、同じ部材に対しては同一の符号を付している。

　音発生手段５７は、前記グリップ芯部５３と前記弾性変形部材５４との間の該弾性変形部材５４の内面に設けられ、グリップ部５２が所定の握力で握られたことを感知する圧力センサー５７ａと、グリップ部５２が所定の握力で握られたことを知らせる起音部材５７ｂと、圧力センサー５７ａから入力される圧力測定情報に応じて起音部材５７ｂのＯＮ／ＯＦＦを制御する制御手段５７ｃおよびこれらに電力を与えるバッテリー５７ｄとを有する。

　そして、グリップ部５２においては、グリップ芯部５３の外周面に不図示の接着材等により前記圧力センサー５７ａが固定され、該圧力センサー５７ａの表面を覆うように前記弾性変形部材５４が設けられている。起音部材５７ｂおよび制御手段５７ｃは公知の基板上に配設されて形成されており、該基板上に形成された起音部材５７ｂおよび制御手段５７ｃと、ボタン電池などからなるバッテリー５７ｄとは、グリップエンド部材５９の内部に形成された収納部５９ａに収納可能とされている。

　本実施例のトレーニング用バット５１は、素振り練習時にグリップ部５２を構成する弾性変形部材５４をその弾性に抗して掌握して弾性収縮させ、音発生手段５７によって発せられる確認音によって該グリップ部５２が所望の径寸法にまで弾性収縮していることを確かめながら本番と同じグリップ状態で素振り練習に用いる。

　その際、前記音発生手段５７によって前記確認音を発することで、適正に該グリップ部５２を握力強化トレーニングの目的とする負荷が掛かる握力で掌握し、手指の握力強化を図ることができる。

　なお、本発明は、前述の実施の形態や実施例１乃至実施例５に限定されるものではなく、必要の応じて種々の変更が可能である。

　例えば、実施例１においては、トレーニング用バット１１として、試合に用いるバットと外形状をほぼ等しくしたものとして説明したが、グリップ部１２を有するものであれば、全体形状や構成はいかなるものであっても構わない。例えば、素振りの正しいフォーム習得のための素振り練習のように打球部１７を必要としないトレーニングのためのトレーニング用具１とされる場合には、所定長さのグリップ芯部１３に弾性変形部材１４を設けてグリップ部１２のみを有するトレーニング用具１としてもよい。

　また、該グリップ部１２のみを有するトレーニング用具１のグリップ芯部１３の一端部もしくは両端部に荷重を追加するための荷重部材を取付可能に形成し、該一端部に荷重部材を取り付けて素振り練習のようなスイングを行うトレーニングや、該両端部に荷重部材を取り付けてダンベル運動のような腕を上げ下げするトレーニングなど様々なトレーニングへ適用可能なトレーニング用具１としてもよい。

　さらには、実施例１のトレーニング用バット１１は、グリップ芯部１３がバット本体２０に一体に設けられた例を以て説明したが、図１０に示すように、グリップ芯部１３をバット本体２０とは別に形成してもよい。例えば、前記打球部１７および連結部１８とからなるバット本体２０’の連結部１８側端部に内ねじ部２０ａ’を設け、グリップ芯部１３の一端部にはこの内ねじ部２０ａに螺合する外ねじ部１３ａを形成するとともに、他端部側にはグリップエンド部材２１に形成された外ねじ部２１ａに螺合する内ねじ部１３ｂを形成し、バット本体２０’の内ねじ部２０ａ’にグリップ芯部１３の外ねじ部１３ａを螺着させた状態で、グリップ芯部１３に弾性変形部材１４の軸孔１４ａを嵌着し、弾性変形部材１４をグリップ芯部１３の外周に不図示の接着剤等により固定し、グリップ芯部１３の内ねじ部１３ｂにグリップエンド部材２１の外ねじ部２１ａを螺着させることで、バット本体２０’のグリップ部側端面とグリップエンド２１の間に前記弾性変形部材１４を介在させて形成することも可能である。

　または、図１１に示すように、グリップ芯部１３をグリップエンド部材２１と一体に形成してもよい。例えば、前記打球部１７および連結部１８とからなるバット本体２０’の連結部１８側端部に内ねじ部２０ａ’を設けるとともに、グリップエンド部材２１と一体に形成した前記グリップ芯部１３の開放端部には前記内ねじ部２０ａ’に螺合する外ねじ部１３ａを形成し、グリップ芯部１３の該外ねじ部１３ａを除く部分に弾性変形部材１４の軸孔１４ａを嵌着し、弾性変形部材１４をグリップ芯部１３の外周に不図示の接着剤等により固定し、バット本体２０’の内ねじ部２０ａ’にグリップ芯部１３の外ねじ部１３ａを螺着させることで、バット本体２０’のグリップ部側端面とグリップエンド２１の間に前記弾性変形部材１４を介在させて形成することも可能である。

　またさらに、実施例３における音発生手段５７は、例えば、鳴り砂や片栗粉のように粒子同士が擦れあうことで『キュッキュッ』などの擦過音を生じさせる起音材料を図３に記載の形態の弾性変形部材４の前記閉空間内に封入することにより形成することも可能である。

　その他にも、前記閉空間内に空気を空隙に含ませることによって膨張収縮するスポンジ状の弾性材料を配した弾性変形部材５４とし、さらに、円管状のグリップ芯部５３に対して、空気が通過することにより音が鳴る起音部と該円管内部に空気を導入するための空気導入口とを設けて、該弾性変形部材５４を掌で掌握して所望の径寸法となるように弾性収縮させた際に、弾性変形部材５４の閉空間内に保持されている空気を該空気導入口から該円管内部に導入することで起音部に空気を通過させて音を鳴らすように形成することも可能である。

　また、前記閉空間内に空気を空隙に含ませることによって膨張収縮するスポンジ状の弾性材料を配した弾性変形部材５４に対して、掌が接触しない部分に前記起音部を設けて、該弾性変形部材５４を掌で掌握して所望の径寸法となるように弾性収縮させた際に、該閉空間内の空気を該起音部を通過させながら空間外へ導出させて音を鳴らすように形成してもよい。

　本発明のトレーニング用具をスポーツの用具に適用する場合には、前述の野球・ソフトボールで使用するバットに限らず、図１２に示すようなトレーニング用の縄跳びとしてもよい。さらには、テニスラケット、バドミントンラケット、卓球ラケット、ゴルフクラブなどの、グリップ部を掌握して「振る（スイング）」動作が行われるスポーツの素振り練習具であってもよいし、金槌などの工具のグリップを掌握して「振り下ろす」動作が行われる作業の素振り練習具であってもよい。

１　トレーニング用具
２　グリップ部
３　シャフト部
３ａ　溝部
４　弾性変形部材
４ａ　嵌合部
５ａ　内面層
５ｂ　外面層
６　中間層
１１　バット
１２　グリップ部
１３　グリップ芯部
１３ａ　外ねじ部
１３ｂ　内ねじ部
１４　弾性変形部材
１４ａ　軸孔
１４ｂ　部材ピース
１５ａ　内側面
１５ｂ　外側面
１５ｃ　連結面
１７　打球部
１８　連結部
１９　グリップエンド
２０、２０’　バット本体
２０ａ、２０ａ’　内ねじ部
２１　グリップエンド部材
２１ａ　外ねじ部
２３　シャフト側係合部
２３ａ　溝部
２４　グリップ側係合部
２４ａ　嵌合部
４１　トレーニング用ダンベル
４２　グリップ部
４３　グリップ芯部
４４　弾性変形部材
４４ａ　切溝
４５　荷重部
５１　トレーニング用バット
５２　グリップ部
５３　グリップ芯部
５４　弾性変形部材
５７　音発生手段
５７ａ　圧力センサー
５７ｂ　起音部材
５７ｃ　制御手段
５７ｄ　バッテリー
５９　グリップエンド
５９ａ　収納部
３１　トレーニング用縄跳び
３２　グリップ部材
３２ａ　グリップ部
３３　グリップ芯部
３３ａ　グリップ側係止部
３３ｂ　内ねじ部
３４　弾性変形部材
３７　ロープ部材
３７ａ　ロープ側係止部
３９　グリップエンド部材
３９ａ　外ねじ部

Claims (4)

1. 　グリップ部を握って行うトレーニングのためのトレーニング用具であって、前記グリップ部には、該グリップ部としての所望の径寸法よりも小さい径寸法に形成されたシャフト部の外周に固定され、外周側からの握り弾性変形を可能にする弾性変形部材を備え、前記グリップ部を握力強化トレーニングの目的とする負荷が掛かる握力で掌握することで、前記弾性変形部材を該グリップ部が前記所望の径寸法になるように弾性収縮させることが可能に形成されていることを特徴とするトレーニング用具。
2. 　前記シャフト部には、少なくとも１つのシャフト側係合部が形成され、
   　前記弾性変形部材には、前記シャフト側係合部に対して係合可能なグリップ側係合部が形成されており、
   　前記グリップ側係合部と前記シャフト側係合部とを係合させるようにして、前記弾性変形部材の前記グリップ部の外周面における滑り移動を規制するように形成されていることを特徴とする請求項１に記載のトレーニング用具。
3. 　前記弾性変形部材が交換可能に形成されていることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のトレーニング用具。
4. 　トレーニングの目的とする負荷が掛かる握力で掌握されたことを感知して確認音を鳴らす音発生手段を備えることを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載のトレーニング用具。

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