WO2014010109A1 - ファスナーストリンガー及びスライドファスナー - Google Patents

Abstract

　ファスナーストリンガー（１０）は、ファスナーテープ（１１）と、ファスナーテープ（１１）の幅方向の一方側に、長手方向に沿って取り付けられたファスナーエレメント（２０）とを備える。前記ファスナーテープ（１１）は、幅方向における前記一方側とは反対の他方側に、表側シート部（１３ａ）と裏側シート部（１３ｂ）に二股に分岐する分岐部（１３）を含む。裏側シート部（１３ｂ）の他方側の端は、表側シート部（１３ａ）の他方側の端に対して少なくとも部分的に幅方向にずれている。前記幅方向にずれた分岐部（１３）において、その幅方向のずれの差は、０．３ｍｍ～３．０ｍｍである。

Description

ファスナーストリンガー及びスライドファスナー

　本発明は、ファスナーストリンガー及びスライドファスナーに関し、特に、ファスナーテープの、衣服等の生地に取り付けられる側を表裏２枚のシート状に分岐させたファスナーストリンガー及びスライドファスナーに関する。

　スライドファスナーのファスナーストリンガーは、長手方向に延びるファスナーテープと、ファスナーテープの幅方向（長手方向に垂直でかつファスナーテープの表裏面に平行な方向）における一方側の端部に、長手方向に沿って取り付けたファスナーエレメントとから構成される。ファスナーストリンガーは、ファスナーテープの幅方向におけるファスナーエレメントとは反対側の部分に、衣服等の生地が縫製等により取り付けられる。米国特許第２３６８９１１公報には、ファスナーテープの幅方向におけるファスナーエレメントとは反端側（生地取り付け側）の部分を、表裏２枚のシート状に分岐させたファスナーストリンガーが開示されている。このファスナーストリンガーでは、表裏２枚のシートが互いに対向する面に接着剤を備えており、表裏で分岐したシート間に生地を挟んだ状態で、接着剤にて生地に取り付ける。また、表裏に分岐したシート間に生地を挟んで、縫製にて取り付けることもできる。これにより、衣服等の生地とファスナーストリンガーとの一体感を向上させることができる。しかしながら、表裏分岐シート間に生地を挟み込むために裏側分岐シート（又は表側分岐シート）に対して表側分岐シート（又は裏側分岐シート）を手でめくる際、めくり難かった。また、縫製は、一般的に、作業者がファスナーストリンガーの表側を目視しながら行われるため、表側分岐シートは確実に生地に縫い付けられるのに対し、裏側分岐シートが生地に首尾よく縫い付けられない場合がある。このような縫製ミスは、特に、ファスナーテープの幅方向生地取り付け側端に生地を縫い付ける際に、生地の厚さによって裏側分岐シートが生地厚方向に膨らみ、裏側分岐シートの幅方向生地取り付け側端の幅方向位置が表側分岐シートの幅方向生地取り付け側端の幅方向位置よりもファスナーエレメント側にずれる場合に生じ易い。

　また、ファスナーテープは、長手方向に沿う経糸と幅方向に沿う緯糸とを織り込んで形成されており、長手方向に比べて幅方向の寸法が小さい細幅状に織成される。その織構造としては、幅方向に多数本並ぶ経糸に対し、１本の緯糸が幅方向に走行し、ファスナーテープの一端側（エレメント取り付け側）にて折り返し、他端側にてループを形成して折り返し、これを繰り返して織成される。このループは、長手方向に隣り合う一方のループを他方のループがくぐるようにしながら、ループは長手方向に鎖状に連続する。このため、ループが形成された他端側はその厚さが厚くなってしまい、通常のファスナーテープを使用して、上記のように生地を挟み込んだ状態で取り付けるようにすると、表裏２枚に分岐させたファスナーストリンガーと生地との間には段差が生じ易い。

米国特許第２３６８９１１号公報

　本発明は、ファスナーテープにおける生地取り付け側が表裏２枚のシート状に分岐した部分が生地の挟み込み時にめくり易く、また、縫製ミスの生じ難いファスナーストリンガー及びスライドファスナーを提供することを目的とする。

　上記課題を解決するため、本発明によれば、ファスナーテープと、ファスナーテープの、長手方向に垂直な幅方向の一方側に、長手方向に沿って取り付けられたファスナーエレメントとを備えるファスナーストリンガーであって、前記ファスナーテープは、幅方向における前記一方側とは反対の他方側に、表側シート部と裏側シート部に二股に分岐する分岐部を含み、前記裏側または表側シート部の前記他方側の端は、当該シート部と反対の表側または裏側シート部の前記他方側の端に対して幅方向にずれていることを特徴とするファスナーストリンガーが提供される。

　本発明に係るファスナーストリンガーでは、ファスナーテープの分岐部において、表側シート部の幅方向の他方側（ファスナーエレメントが取り付けられる側とは反対側）の端と、裏側シート部の幅方向の他方側の端とを幅方向にずらすことにより、表側シート部と裏側シート部の幅方向における長さ、すなわち、幅方向において表裏側シート部へと二股に分岐し始める地点（分岐始点）から前記他方側の端までの長さを異ならしめる。作業者がファスナーストリンガーの表側を目視しながら縫製する場合は、表側シート部よりも裏側シート部の幅方向長さを長くすることが望ましい。これにより、表側及び裏側シート部間に衣服、袋物等の生地を挿入して縫製する際、裏側シート部が生地厚方向に膨らんでも（図４及び５参照）、裏側シート部の幅方向生地取り付け側端の幅方向位置が表側シート部の幅方向生地取り付け側端の幅方向位置よりもファスナーエレメント側にずれることを防ぐことができる。作業者がファスナーストリンガーの裏側を目視しながら縫製する場合は、裏側シート部よりも表側シート部の幅方向長さを長くすることが望ましい。

　本発明の一実施形態において、前記ファスナーテープは、長手方向に沿う経糸と幅方向に沿う緯糸とから織成され、前記緯糸は、前記表側シート部及び裏側シート部それぞれの幅方向の前記他方側の端で折り返されると共に、幅方向の前記一方側の端で、長手方向に鎖状に連続するループを形成して折り返される。この場合、ファスナーテープのループが形成される側にファスナーエレメントが取り付けられる。また、緯糸を分岐部で表側シート部と裏側シート部に分けることにより、ファスナーテープの分岐部以外の部分に比べ、表側及び裏側シート部各々で緯糸量を半減させ、表裏側シート部各々の厚さを薄くすることができる。この場合、表側及び裏側シート部間に生地を挟んで縫い付けた時、表側及び裏側シート部各々と生地との段差が小さくなる。

　本発明の一実施形態において、前記幅方向にずれた分岐部において、その幅方向のずれの差は、０．３ｍｍ～３．０ｍｍである。この差は、表側及び裏側シート部間に取り付けられる衣服、袋物等の生地の厚さ等に基づいて設定され得る。

　本発明の別の側面によれば、ファスナーテープと、ファスナーテープの、長手方向に垂直な幅方向の一方側に、長手方向に沿って取り付けられたファスナーエレメントとを備えるファスナーストリンガーであって、前記ファスナーテープは、幅方向における前記一方側とは反対の他方側に、表側シート部と裏側シート部に二股に分岐する分岐部を含み、前記裏側または表側シート部の前記他方側の端は、当該シート部と反対の表側または裏側シート部の前記他方側の端に対して、少なくとも一部分が幅方向にずれていることを特徴とするファスナーストリンガーが提供される。このファスナーストリンガーは、表側シート部と裏側シート部それぞれの他方側の端が長手方向にわたって一致することなくずれている態様の他、表側シート部と裏側シート部それぞれの他方側の端が長手方向にわたって部分的にずれている態様を含む。この場合も、表側シート部と裏側シート部間に生地を挟み込む際に表側シート部（又は裏側シート部）が裏側シート部（又は表側シート部）に対してめくり易くなる。

　本発明の更に別の側面によれば、左右のファスナーテープと、各ファスナーテープの、長手方向に垂直な幅方向の一方側に、長手方向に沿って取り付けられた左右のファスナーエレメントと、左右のファスナーエレメントを噛合・分離するためのスライダーとを備えるスライドファスナーであって、前記各ファスナーテープは、幅方向における前記一方側とは反対の他方側に、表側シート部と裏側シート部に二股に分岐する分岐部を含み、前記裏側または表側シート部の前記他方側の端は、表側または裏側シート部の前記他方側の端に対して幅方向にずれていることを特徴とするスライドファスナーが提供される。かかるスライドファスナーは、上述した本発明に係るファスナーストリンガーを使用するものである。

　本発明の一実施形態において、前記ファスナーテープは、長手方向に沿う経糸と幅方向に沿う緯糸とから織成され、前記緯糸は、前記表側シート部及び裏側シート部それぞれの幅方向の前記他方側の端で折り返されると共に、幅方向の前記一方側の端で、長手方向に鎖状に連続するループを形成して折り返される。この場合、ファスナーテープのループが形成される側にファスナーエレメントが取り付けられる。また、緯糸を分岐部で表側シート部と裏側シート部に分けることにより、ファスナーテープの分岐部以外の部分に比べ、表側及び裏側シート部各々で緯糸量を半減させ、表裏側シート部各々の厚さを薄くすることができる。この場合、表側及び裏側シート部間に生地を挟んで縫い付けた時、表側及び裏側シート部各々と生地との段差が小さくなる。

　本発明の一実施形態において、前記ファスナーテープのエレメント取付部を構成する前記緯糸が、ファスナーテープの分岐始点から表側シート部と裏側シート部へと１本ずつに分離され、前記分岐始点は、テープ幅方向における、前記スライダーの第１翼板及び第２翼板が通る部分よりも前記他方側に位置する。このように分岐始点をスライダーの第１翼板及び第２翼板が通る部分よりも他方側に位置付けることにより、スライダーが移動する際に、分岐部が摺れない。これにより、ファスナーテープの寿命が長くなる。また、表側シート部と裏側シート部との間に生地を入れる際に、生地の入り込みの位置決めができ、分岐始点を超えて入り込み過ぎることを防止できる。入り込み過ぎると、スライダーの移動時にスライダーと干渉して、ファスナーテープを傷つけてしまったり、第１翼板と第２翼板の間に噛み込んだりして、スライダーの移動の操作が行いにくくなってしまう。

　本発明の一実施形態において、ファスナーテープと、ファスナーテープの、長手方向に垂直な幅方向の一方側に、長手方向に沿って取り付けられたファスナーエレメントとを備えるファスナーストリンガーであって、前記ファスナーテープは、幅方向における前記一方側とは反対の他方側に、表側シート部と裏側シート部に二股に分岐する分岐部を含み、前記ファスナーテープは、長手方向に沿う経糸と幅方向に沿う緯糸とから織成され、前記緯糸は、前記表側シート部及び裏側シート部のそれぞれの幅方向の前記他方側の端で折り返されると共に、幅方向の前記一方側の端で、長手方向に鎖状に連続するループを形成して折り返されてなることを特徴とするファスナーストリンガーが提供され得る。

　本実施形態では、前記ファスナーテープは、長手方向に沿う経糸と幅方向に沿う緯糸とから織成され、前記緯糸は、前記表側シート部及び裏側シート部のそれぞれの幅方向の前記他方側の端で折り返されると共に、幅方向の前記一方側の端で、長手方向に鎖状に連続するループを形成して折り返される。そのため、ファスナーテープの前記他方側の端の表裏方向の厚さは、ファスナーテープの前記一方側の端の表裏方向の厚さよりも、薄く形成される。

　本発明の一実施形態において、前記緯糸は、ファスナーテープの幅方向の前記一方側に、２本の糸状が一体的に組み合わされたものからなり、この２本の糸状がファスナーテープの分岐始点から表側シート部と裏側シート部へと１本ずつに分離される。この場合、緯糸をなす２本の糸状を、分岐部で表側シート部と裏側シート部に１本ずつに分けることにより、ファスナーテープの分岐部以外の部分に比べ、表側及び裏側シート部各々で緯糸量を半減させ、表裏側シート部各々の厚さを薄くすることができる。そのため、表側及び裏側シート部間に生地を挟んで縫い付けた時、表側及び裏側シート部各々と生地との段差が小さくなる。また、ファスナーテープの分岐部以外の部分（エレメント取付部）が厚いことで、ファスナーエレメントの取り付け状態が安定し、ファスナーエレメントの取付強度が維持しやすい。

　本発明の別の実施形態において、左右のファスナーテープと、各ファスナーテープの、長手方向に垂直な幅方向の一方側に、長手方向に沿って取り付けられた左右のファスナーエレメントと、左右のファスナーエレメント間を開閉するためのスライダーとを備えるスライドファスナーであって、前記各ファスナーテープは、幅方向における前記一方側とは反対の他方側に、表側シート部と裏側シート部に二股に分岐する分岐部を含み、前記ファスナーテープは、長手方向に沿う経糸と幅方向に沿う緯糸とから織成され、前記緯糸は、前記表側シート部及び裏側シート部のそれぞれの幅方向の前記他方側の端で折り返されると共に、幅方向の前記一方側の端で、長手方向に鎖状に連続するループを形成して折り返されてなるスライドファスナーが提供され得る。かかるスライドファスナーは、上述した本発明に係るファスナーストリンガーを使用するものである。

　本発明の一実施形態において、前記緯糸は、ファスナーテープの幅方向の前記一方側に、２本の糸状が一体的に組み合わされたものからなり、この２本の糸状がファスナーテープの分岐始点から表側シート部と裏側シート部へと１本ずつに分離される。この場合、緯糸をなす２本の糸状を、分岐部で表側シート部と裏側シート部に１本ずつに分けることにより、ファスナーテープの分岐部以外の部分に比べ、表側及び裏側シート部各々で緯糸量を半減させ、表裏側シート部各々の厚さを薄くすることができる。そのため、表側及び裏側シート部間に生地を挟んで縫い付けた時、表側及び裏側シート部各々と生地との段差が小さくなる。

　本発明の一実施形態において、前記ファスナーテープは、ファスナーエレメントが取付けられるエレメント取付部を含み、前記分岐部は、そのエレメント取付部から他方側の端に向かって、分岐始点から表側シート部と裏側シート部とに分岐しており、ファスナーエレメント列の長手方向端部で、分岐始点よりもエレメント取付部側に止具が取り付けられる。止具には、上止、下止、開離嵌挿具等が含まれる。

　本発明では、ファスナーテープの分岐部において、表側シート部および裏側シート部それぞれの、幅方向におけるファスナーエレメントが取り付けれる側とは反対側の端を幅方向にずらすことにより、表側及び裏側シート部の幅方向長さを異ならしめる。これにより、表側シート部と裏側シート部間に生地を挟み込む際に表側シート部（又は裏側シート部）が裏側シート部（又は表側シート部）に対してめくり易くなる。また、表側及び裏側シート部間に衣服等の生地を挿入して縫製する際、裏側シート部または表側シートが生地厚方向に膨らんでも、裏側シート部または表側シート部の幅方向生地取り付け側端の幅方向位置が表側シート部または裏側シート部の幅方向生地取り付け側端の幅方向位置よりもファスナーエレメント側にずれることを防ぐことができる。そのため、縫製ミスが生じ難くなる。

図１は、本発明の一実施形態に係るファスナーストリンガーを使用したスライドファスナーを長手方向に破断して示す平面説明図である。 図２は、図１のＡ－Ａ線断面説明図である。 図３は、ファスナーテープの織構造を幅方向に破断して模式的に示す説明図である。 図４は、スライドファスナーに衣服等の生地を取り付けた状態を示す断面説明図である。 図５は、分岐部に対し、生地を折り返した状態で縫い付けた状態を例示する断面説明図である。 図６は、ファスナーストリンガーの変形例を示す断面説明図である。 図７は、本発明の別の実施形態に係るファスナーストリンガーを使用したスライドファスナーを破断して示す部分平面説明図である。 図８は、図７のＢ－Ｂ線断面説明図である。 図９は、図８のファスナーストリンガーの分岐部の変形例を示す部分平面説明図である。 図１０は、ファスナーストリンガーの更なる変形例を示す断面説明図である。

　以下、本発明の好適な実施形態を説明するが、本発明はそれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲及び均等の範囲内で適宜変更等がなされ得る。図１は、本発明の一実施形態に係るファスナーストリンガー１０を使用したスライドファスナー１００を長手方向（図１の紙面に基づく上下方向）に破断して示す平面説明図である。図２は図１のＡ－Ａ線断面説明図である。スライドファスナー１００は、左右（左右は図１及び２の紙面に基づく）一対の織成されたファスナーテープ１１と、各ファスナーテープ１１の幅方向（長手方向に垂直でかつファスナーテープ１１の表裏面に平行な方向）における対向側端部に、長手方向に沿って取り付けられた、左右一対のファスナーエレメント２０と、これらファスナーエレメント２０を噛合及び噛合解除するための金属製のスライダー３０と、ファスナーエレメント２０の、長手方向に沿うエレメント列の長手方向両端に設けられ、スライダー３０の長手方向一方及び他方への移動の限界を規定する金属又は樹脂製の上止４０及び開離嵌挿具５０（止具）とを備える。本実施形態におけるファスナーエレメント２０は、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性合成樹脂製のモノフィラメントをコイル状に屈曲加工等して形成され、噛合頭部２１と、上脚部２２と、反転部２３と、下脚部２４とを連続的に有する。また、このコイル状のファスナーエレメント２０をファスナーテープ１１の裏面側（図１の取付けた面側と反対面側）に取付けることもできる。なお、ファスナーテープ１１の表裏面に垂直な方向（表裏方向）を厚さ方向と言い、以下の説明にて厚さとは、この厚さ方向における寸法を言う。

　スライダー３０は、第１翼板３１、第２翼板３２等からなるスライダー本体３０ａと、第１翼板３１上に固定されたカバー部材３３と、カバー部材３３に対し回動可能に連結された引手３４とを含む。使用者が引手３４を持ってスライダー本体３０ａを、図１紙面上方（以下「長手方向上方」という）に移動させることにより、左右のファスナーエレメント２０の噛合頭部２１間が噛合って閉じ、図１紙面下方（以下「長手方向下方」という）に移動させることにより、噛合頭部２１間が開放する。上止（止具）４０は、左右のファスナーテープ１１におけるファスナーエレメント２０のエレメント列の長手方向上方端に付加される左右の上止部材４１からなる。開離嵌挿具５０は、左右のファスナーテープ１１におけるファスナーエレメント２０のエレメント列の長手方向下方端に付加される箱棒５１と蝶棒５３と、箱棒５１と一体化され、他方の蝶棒５３が挿入されて係合可能な箱体５２とからなる。箱体５２が上記蝶棒５３と係合することにより、左右のファスナーストリンガー１０の長手方向下方端部間が連結される。そして、スライダー３０を移動して開離嵌挿具５０まで下げ、蝶棒５３を箱体５２からスライダー３０を通って引抜くことで、左右のファスナーストリンガー１０が分離する。ファスナーストリンガー１０は、ファスナーテープ１１にファスナーエレメント２０、上止（止具）４０及び開離嵌挿具（止具）５０を取り付けたものである。または、開離嵌挿具５０に換えて下止（止具）を取り付けてもよい。スライドファスナー１００は、この左右ファスナーストリンガー１０のそれぞれのファスナーエレメント２０を噛合・分離するスライダー３０を備えたものである。

　図２を参照して、各ファスナーテープ１１は、幅方向において、ファスナーエレメント２０が取り付けられている側（一方側もしくは対向側）のエレメント取付部１２と、幅方向の他方側（以下「生地取り付け側」という）の、表裏に二股に分岐する分岐部１３とに区分される。エレメント取付部１２はエレメント取付部１２においてファスナーエレメント２０の範囲から外れる中間部１４を含む。分岐部１３は、エレメント取付部１２（の中間部１４）との境界である分岐始点１５から生地取り付け側へと二股に分かれる表側シート部１３ａと裏側シート部１３ｂとからなる。裏側シート部１３ｂの幅方向の長さ、すなわち分岐始点１５から生地取り付け側端までの長さは、表側シート部１３ａの幅方向の長さよりも０．３ｍｍ～３．０ｍｍ長い。つまり、裏側シート部１３ｂの他方側の端（生地取り付け側の端）は、表側シート部１３ａの他方側の端（生地取り付け側の端）に対して幅方向にずれており、その幅方向のずれの差が０．３ｍｍ～３．０ｍｍとなっており、この差は長手方向にわたって一定である。この差は、表側及び裏側シート部１３ａ、１３ｂ間に取り付けられる衣服、袋物等の生地の厚さ等に基づいて設定され得る。ここで、幅方向のずれの差が０．３ｍｍは、経糸にして１本分であり、ずれの差が３ｍｍは経糸９本～１０本分である。

　ここで、表側シート部１３ａと裏側シート部１３ｂとの間に生地を挟み込むために裏側シート部１３ｂ（又は表側シート部１３ａ）に対して表側シート部１３ａ（又は裏側シート部１３ｂ）を手でめくる際、表側及び裏側シート部１３ａ、１３ｂの幅方向の長さが等しいと、めくり難い場合がある。しかし、上記のように、裏側シート部１３ｂの他方側の端は、表側シート部１３ａの他方側の端に対して幅方向にずれていることで、生地の挟み込み時にめくり易い。また、縫製は、一般的に、作業者がファスナーストリンガーの表側を目視しながら行われるため、表側分岐シートは確実に生地に縫い付けられるのに対し、裏側分岐シート部が生地に首尾よく縫い付けられない場合がある。このような縫製ミスは、特に、ファスナーテープの幅方向生地取り付け側端に生地を縫い付ける際に、生地の厚さによって裏側分岐シートが生地厚方向に膨らみ、裏側分岐シートの幅方向生地取り付け側端の幅方向位置が表側分岐シートの幅方向生地取り付け側端の幅方向位置よりもファスナーエレメント側にずれる場合に生じ易いが、この縫製ミスを、裏側シート部１３ｂの幅方向の長さを表側シート部１３ａのそれよりも長くすることにより生じ難くできる。

　このように、上記説明のファスナーストリンガー１０では、ファスナーテープ１１の分岐部１３において、表側シート部１３ａの幅方向の他方側（ファスナーエレメントが取り付けられる側とは反対側）の端と、裏側シート部１３ｂの幅方向の他方側の端とを幅方向にずらすことにより、表側シート部１３ａと裏側シート部１３ｂの幅方向における長さ、すなわち、幅方向において表裏側シート部１３ａ、１３ｂへと二股に分岐し始める地点（分岐始点）１５から前記他方側の端までの長さを異ならしめる。これにより、表側シート部１３ａと裏側シート部１３ｂ間に生地を挟み込む際に表側シート部１３ａ（又は裏側シート部１３ｂ）が裏側シート部１３ｂ（又は表側シート部１３ａ）に対してめくり易くなる。また、作業者がファスナーストリンガー１０の表側を目視しながら縫製する場合は、表側シート部１３ａよりも裏側シート部１３ｂの幅方向長さを長くすることが望ましい。これにより、表側及び裏側シート部１３ａ、１３ｂ間に衣服、袋物等の生地を挿入して縫製する際、裏側シート部１３ｂが生地厚方向に膨らんでも（図４及び５参照）、裏側シート部１３ｂの幅方向生地取り付け側端の幅方向位置が表側シート部１３ａの幅方向生地取り付け側端の幅方向位置よりもファスナーエレメント２０側にずれることを防ぐことができる。作業者がファスナーストリンガーの裏側を目視しながら縫製する場合は、裏側シート部よりも表側シート部の幅方向長さを長くすることが望ましい。

[規則91に基づく訂正 16.11.2012]　
　図３は、ファスナーテープ１１の織構造を略示する説明図である。ファスナーテープ１１は、長手方向に沿う経糸１１ａ（図３参照）と幅方向に沿う緯糸１１ｂとを織り込んで形成される。本実施形態では、幅方向に多数本並ぶ経糸１１ａに対し、緯糸１１ｂが、ある１本の経糸１１ａの表側に出た後、次の経糸１１ａ（前記ある１本の経糸１１ａと幅方向に隣合う経糸１１ａ）の裏側に出るように幅方向に表裏交互に織り込まれる。このように経糸１１ａに対し表裏交互パターン（第１パターン）で幅方向の対向側から生地取り付け側へ向かう緯糸１１ｂは、生地取り付け側端において、最もこの端側の経糸１１ａにて反転され、長手方向にわずかにずらされて、幅方向対向側へと向かう。この際、緯糸１１ｂは、経糸１１ａに対する表裏交互パターンは前回の第１パターンとは表裏が逆にされる。緯糸１１ｂは、対向側端ではループ１１ｃを形成した後に折り返され、長手方向にわずかにずらされて、幅方向生地取り付側へと向かう。長手方向に隣合う一方のループ１１ｃを他方のループ１１ｃがくぐるようにしながら、ループ１１ｃは長手方向に鎖状に連続する。更に、緯糸１１ｂは、ファスナーテープ１１のエレメント取付部１２では、２本の糸状１１ｂａが一体的に組み合わされたものからなり、この２本の糸状１１ｂａがファスナーテープ１１の分岐始点１５から表側シート部１３ａと裏側シート部１３ｂへと１本ずつに分離され、それぞれの１本の糸状１１ｂａが、生地取り付け側端において、最もこの端側の経糸１１ａにて折り返して、幅方向対向側へと向かい、分岐始点１５にて、表側シート部１３ａの糸状１１ｂａと裏側シート部１３ｂの糸状１１ｂａとが組み合わされて、幅方向対向側へ向かい、対向側端でループ１１ｃを形成して折り返される。そのため、緯糸１１ｂは、表側シート部１３ａ及び裏側シート部１３ｂそれぞれでは１本の糸状１１ｂａからなり、表側シート部１３ａ及び裏側シート部１３ｂそれぞれの厚さは、エレメント取付部１２の厚さよりも薄くなる（図２参照）。そして、このエレメント取付部１２の厚さよりもループ１１ｃが形成される端の厚さは厚くなる。ファスナーテープ１１の厚さは、ダイヤルシックネスゲージにて測定でき、一例ではあるが、このファスナーテープ１１を測定すると、一方側の端にてループ１１ｃが形成された部分における厚さは０．４ｍｍ以上０．９ｍｍ以下で、他方側の端での、表側シート部１３ａまたは裏側シート部１３ｂの厚さはそれぞれ０．２ｍｍ以上０．４ｍｍ未満である。ファスナーエレメント２０はファスナーテープ１１のエレメント取付部１２に対し、取付糸１１ｅにより取り付けられるが、なお、図２における参照番号１１ｄは、ファスナーエレメント２０のエレメント列に通す芯紐である。

　図４は、スライドファスナー１００に衣服等の生地１を取り付けた状態を示す断面説明図である。生地１は、各ファスナーストリンガー１０の分岐部１３の表側シート部１３ａと裏側シート部１３ｂとの間に挿入されるが、この時、表側シート部１３ａ及び裏側シート部１３ｂそれぞれの生地取り付け側の端がずれているため、表側シート部１３ａを裏側シート部１３ｂに対し容易にめくることができる。分岐部１３に生地１を挟んだ後、表側シート部１３ａ、生地１及び裏側シート部１３ｂを糸２で縫い付けることにより、ファスナーテープ１１に取り付けられる。この例では、分岐部１３における対向側と生地取り付け側の２箇所が長手方向にわたって縫い付けられている。この縫製は、一般的に、作業者がファスナーストリンガー１０の表側シート部１３ａ側を目視しながら行われる。また、図４から分かるように、表側シート部１３ａと裏側シート部１３ｂ間に生地１を挟むと、生地１の厚さによって裏側シート部１３ｂが生地厚方向に膨らみ、裏側シート部１３ｂの幅方向生地取り付け側端が対向側にずれる。しかしながら、裏側シート部１３ｂは表側シート部１３ａよりも幅方向長さが長いため、生地厚方向に膨らんだ裏側シート部１３ｂの生地取り付け側端は、依然として、表側シート部１３ａの生地取り付け側端よりもわずかに生地取り付け側にある。そのため、特に、分岐部１３における生地取り付け側の縫製時に、作業者から見えない裏側シート部１３ｂも確実に縫い付けることが可能となる。更に、表側シート部１３ａ及び裏側シート部１３ｂは、ファスナーテープ１１のエレメント取付部１２よりも薄いため、縫い付けられた表側及び裏側シート部１３ａ、１３ｂ各々と生地１との間の段差が小さく、外観がすっきりした印象となる。分岐部１３に挟む生地１は、分岐始点１５により、そのテープ幅方向への挟む寸法が制限され、分岐始点１５を超えて挿入されることがないため、位置決めの役割もある。そして、この分岐始点１５は、テープ幅方向における、前記スライダー３０の第１翼板３１及び第２翼板３２が通る部分よりも前記他方側に位置している。これにより、スライダー３０が移動する際に、分岐部１３が摺れなくでき、ファスナーテープ１１の寿命が長くなる。また、表側シート部１３ａと裏側シート部１３ｂとの間に生地を入れる際の、位置決めにでき、入り込み過ぎることを防止できる。入り込み過ぎると、スライダー３０の移動時にスライダー３０と干渉して、ファスナーテープ１１を傷つけてしまったり、第１翼板３１と第２翼板３２の間に噛み込んだりして、スライダー３０の移動の操作が行いにくくなってしまう。
ここで、スライダー３０の第１翼板３１及び第２翼板３２が通る部分は、スライダー３０の走行範囲とも言い、第１翼板３１および第２翼板３２の下方側のテープ幅方向に並行な寸法Ｂである。そして、ファスナーエレメント２０が噛合った状態で、この走行範囲である寸法Ｂの外側に分岐始点１５が位置する。言い換えると、ファスナーエレメント２０のテープ幅方向の他方端からスライダー３０の第１翼板３１または第２翼板３２の周縁までの寸法Ｌに対して、同ファスナーエレメント２０のテープ幅方向の他方端から分岐始点１５までの寸法Ｓが大きい。なお、本実施形態における分岐始点１５は、緯糸１１ｂａが表側シート部１３ａおよび裏側シート部１３ｂに分かれる直前箇所における経糸１１ａである。

　図５は、ファスナーストリンガー１０の分岐部１３に対し、生地１の端部を折り返して縫い付けた状態を例示する断面説明図である。この場合、表側シート部１３ａと裏側シート部１３ｂ間で挟む生地１の厚さが部分的に倍になり、その分、裏側シート部１３ｂの裏側（図５の紙面に基づく下方）への膨らみも図４に比べ大きくなり、裏側シート部１３ｂの生地取り付け側端の対向側へのずれも図４に比べ大きくなる。しかし、裏側シート部１３ｂの生地取り付け側端は、表側シート部１３ａの生地取り付け側端とほぼ同じ幅方向位置にあるため、裏側シート部１３ｂに対する縫製ミスはほとんど生じない。

　図６はファスナーストリンガーの変形例であり、ファスナーテープ以外の構成は、既述したものと同じである。図６のファスナーストリンガー６０におけるファスナーテープ６１は、表側テープ部６１ａと裏側テープ部６１ｂとからなる。これら表側及び裏側テープ部６１ａ、６１ｂは、エレメント取付部６２では互いに接合され、分岐部６３では接合されずに分離したままとされる。つまり、取付糸によって接されるエレメント取付部６２より他方側は二股に分岐したものとなる。分岐部６３は、分岐始点６５から生地取り付け側へと二股に分岐する、表側テープ部６１ａの一部である表側シート部６３ａと、裏側テープ部６１ｂの一部である裏側シート部６３ｂとからなる。分岐始点６５は幅方向の最も他方側の取付糸１１ｅの他方側に隣接する位置にある。裏側シート部６３ｂの生地取り付け側端は表側シート部６３ａの生地取り付け側端よりも生地取り付け側にずれており、裏側シート部６３ｂは、表側シート部６３ａよりも幅方向長さが長い。この例においても、表側テープ部６３ａおよび裏側テープ部６３ｂは織成されており、経糸に対し幅方向の対向側から生地取り付け側へ向かう緯糸は、生地取り付け側端において、最もこの端側の経糸にて反転され、長手方向にわずかにずらされて、幅方向対向側へと向かう。この際、緯糸は、経糸に対する表裏交互パターンは前回の第１パターンとは表裏が逆にされる。緯糸は、対向側端ではループを形成した後に折り返され、長手方向にわずかにずらされて、幅方向生地取り付側へと向かう。長手方向に隣合う一方のループを他方のループがくぐるようにしながら、ループは長手方向に鎖状に連続する。なお、以上の説明においては、いずれにおいても裏側シート部６３ｂが表側シート部６３ａよりも幅方向長さが長いようにしているが、縫製の作業にあっては、裏側シート部を見ながら縫うこともあるため、これに対応して、表側シート部が裏側シート部よりも幅方向長さが長いようにもできる。

　図７は、本発明の別の実施形態に係るファスナーストリンガー８０を使用したスライドファスナー１０１を破断して示す部分平面説明図である。図８は、図７のＢ－Ｂ線断面説明図である。スライドファスナー１０１は、左右のファスナーテープ８１と、各ファスナーテープ８１の幅方向の対向側端部に取り付けられた左右のファスナーエレメント９０とを含む。スライドファスナー１０１のスライダー等は図示が省略される。ファスナーエレメント９０は、ポリアセタール、ナイロン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂をファスナーテープ８１に対し射出成形して形成される樹脂製のものである。各ファスナーテープ８１は、幅方向において、ファスナーエレメント９０が取り付けられているエレメント取付部８２と、生地取り付け側の、表裏に二股に分岐する分岐部８３とに区分される。分岐部８３は、エレメント取付部８２との境界である分岐始点８５から生地取り付け側へと二股に分かれる表側シート部８３ａと裏側シート部８３ｂとからなる。表側シート部８３ａの生地取り付け側の端は、円弧８３ｃが長手方向に連続する形状に形成されている。このような表側シート部８３ａの生地取り付け側の端は、分岐部８３を有するファスナーテープ８１を作成した後、例えば、超音波式のカッターで表側シート部８３ａの生地取り付け側の端を切断することにより形成され得る。他方、裏側シート部８３ｂの生地取り付け側の端は直線状に長手方向に沿う。表側シート部８３ａの生地取り付け側の端における円弧８３ｃの、生地取り付け側に最も突出する頂点（８３ｄ）に対応する第１地点８３ｄは、裏側シート部８３ｂの生地取り付け側の端と幅方向位置が一致する。表側シート部８３ａの生地取り付け側の端における第１地点８３ｄ以外の部分は、裏側シート部８３ｂの生地取り付け側の端に対してエレメント取付部８２側にずれる。このずれは、表側シート部８３ａの生地取り付け側の端における円弧８３ｃの、エレメント取付部８２側に最も窪む円弧両端（８３ｅ）に対応する第２地点８３ｅで最大となる。従って、表側シート部８３ａは、幅方向の長さが長手方向にわたって変わり、第１地点８３ｄで裏側シート８３ｂと幅方向長が同じになり、第２地点８３ｅで幅方向長さの差が最大になる。このような分岐部８３では、生地１を表側及び裏側シート部８３ａ、８３ｂ間に挟み込む際に表側シート部８３ａを裏側シート部８３ｂに対して容易にめくることができ、縫製時の作業性が向上する。この表側シート部８３ａの端における円弧８３ｃは、ファスナーテープ８１を織製後にカッターで切断することで形成できる。しかし、この形成方法に限定されず、円弧８３ｃを形成するように、表側シート部８３ａの端にて緯糸を折り返して形成することもできる。

　図９は、図７のファスナーストリンガー８０の分岐部８３の変形例である分岐部９３を示し、分岐部９３以外の構成は図７のものと共通するため同じ参照番号を付す。図９における分岐部９３は、表側シート部９３ａ及び裏側シート部９３ｂそれぞれの生地取り付け側の端が、分岐部８３の表側シート部８３ａと同様に、円弧（８３ｃ）が長手方向に連続するように形成される。表側シート部９３ａの取り付け側の端における円弧の頂点に対応する第１地点９３ａａと、裏側シート部９３ｂの取り付け側の端における円弧の頂点に対応する第１地点９３ｂａとは、幅方向における分岐始点（８５）からの距離が等しいが、長手方向に半円弧分だけずらされる。これに伴い、表側シート部９３ａの取り付け側の端における円弧両端に対応する第２地点９３ａｂと、裏側シート部９３ｂの取り付け側の端における円弧両端に対応する第２地点９３ｂｂも長手方向に半円弧分だけずれる。この場合も、生地１を表側及び裏側シート部９３ａ、９３ｂ間に挟み込む際に表側シート部９３ａを裏側シート部９３ｂに対して容易にめくることができ、縫製時の作業性が向上する。この表側シート部９３ａの端および裏側シート部９３ｂの端における円弧は、ファスナーテープ８１を織製後にカッターで切断することで形成できる。しかし、この形成方法に限定されず、円弧を形成するように、表側シート部９３ａ及び裏側シート部９３ｂの端にて緯糸を折り返して形成することもできる。なお、図７～図９における生地取り付け側の端は、円弧状に限らず、三角形状や矩形状であってもよい。

　また、それらの形状が生地取り付け側の端の一部に形成されもよい。つまり、ファスナーテープの長手方向の一部に、表側シート部と裏側シート部とが、幅方向にずれておればよい。ここで、幅方向にずれるとは、ファスナーストリンガーやスライドファスナーを表側（又は裏側）から見て、裏側シート部（又は表側シート部）が見えることでもある。

　図１０はファスナーストリンガーの更なる変形例である。図１０のファスナーストリンガー７０におけるファスナーテープ７１は、１枚のファスナーテープ（７１）を対向側端で幅方向に折り返したもので、表側テープ部７１ａと裏側テープ部７１ｂとを有する。これら表側及び裏側テープ部７１ａ、７１ｂは、図６の例と同様に、エレメント取付部７２では互いに接合され、分岐部７３では分離したままとされる。つまり、取付糸によって接されるエレメント取付部７２より他方側は二股に分岐したものとなる。分岐部７３は、分岐始点７５から生地取り付け側へと二股に分岐する、表側テープ部７１ａの一部である表側シート部７３ａと、裏側テープ部７１ｂの一部である裏側シート部７３ｂとからなる。分岐始点７５は幅方向の最も他方側の取付糸１１ｅの他方側に隣接する位置にある。裏側シート部７３ｂの生地取り付け側端は表側シート部７３ａの生地取り付け側端よりも生地取り付け側にずれており、裏側シート部７３ｂは、表側シート部７３ａよりも幅方向長さが長い。なお、以上の説明においては、いずれにおいても裏側シート部が表側シート部よりも幅方向長さが長いようにしているが、縫製の作業にあっては、裏側シート部を見ながら縫うこともあるため、これに対応して、表側シート部が裏側シート部よりも幅方向長さが長いようにもできる。

　１　生地
　１０、６０、７０、８０　ファスナーストリンガー
　１１、６１、７１、８１　ファスナーテープ
　１１ａ　経糸
　１１ｂ　緯糸
　１１ｃ　ループ
　１２、６２、７２、８２　エレメント取付部
　１３、６３、７３、８３、９３　分岐部
　１３ａ、６３ａ、７３ａ、８３ａ、９３ａ　表側シート部
　１３ｂ、６３ｂ、７３ｂ、８３ｂ、９３ｂ　裏側シート部
　１５、６５、７５、８５　分岐始点　
　２０、９０　ファスナーエレメント
　３０　スライダー
　３１　第１翼板
　３２　第２翼板
　１００、１０１　スライドファスナー

Claims (7)

1. 　ファスナーテープ（１１、６１、７１、８１）と、ファスナーテープ（１１、６１、７１、８１）の、長手方向に垂直な幅方向の一方側に、長手方向に沿って取り付けられたファスナーエレメント（２０、９０）とを備えるファスナーストリンガー（１０、６０、７０、８０）であって、
   　前記ファスナーテープ（１１、６１、７１、８１）は、幅方向における前記一方側とは反対の他方側に、表側シート部（１３ａ、６３ａ、７３ａ、８３ａ、９３ａ）と裏側シート部（１３ｂ、６３ｂ、７３ｂ、８３ｂ、９３ｂ）に二股に分岐する分岐部（１３、６３、７３、８３、９３）を含み、前記裏側または表側シート部（１３ｂ、６３ｂ、７３ｂ、８３ｂ、９３ｂ；１３ａ、６３ａ、７３ａ、８３ａ、９３ａ）の前記他方側の端は、表側または裏側シート部（１３ａ、６３ａ、７３ａ、８３ａ、９３ａ；１３ｂ、６３ｂ、７３ｂ、８３ｂ、９３ｂ）の前記他方側の端に対して幅方向にずれていることを特徴とするファスナーストリンガー。
2. 　前記ファスナーテープ（１１、６１、７１、８１）は、長手方向に沿う経糸（１１ａ）と幅方向に沿う緯糸（１１ｂ）とから織成され、前記緯糸（１１ｂ）は、前記表側シート部（１３ａ、６３ａ、７３ａ、８３ａ、９３ａ）及び裏側シート部（１３ｂ、６３ｂ、７３ｂ、８３ｂ、９３ｂ）それぞれの幅方向の前記他方側の端で折り返されると共に、幅方向の前記一方側の端で、長手方向に鎖状に連続するループ（１１ｃ）を形成して折り返されることを特徴とする請求項１に記載のファスナーストリンガー。
3. 　前記幅方向にずれた分岐部（１３、６３、７３）において、その幅方向のずれの差は、０．３ｍｍ～３．０ｍｍであることを特徴とする請求項１又は２に記載のファスナーストリンガー。
4. 　　ファスナーテープ（１１、６１、７１、８１）と、ファスナーテープ（１１、６１、７１、８１）の、長手方向に垂直な幅方向の一方側に、長手方向に沿って取り付けられたファスナーエレメント（２０、９０）とを備えるファスナーストリンガー（１０、６０、７０、８０）であって、前記ファスナーテープ（１１、６１、７１、８１）は、幅方向における前記一方側とは反対の他方側に、表側シート部（１３ａ、６３ａ、７３ａ、８３ａ、９３ａ）と裏側シート部（１３ｂ、６３ｂ、７３ｂ、８３ｂ、９３ｂ）に二股に分岐する分岐部（１３、６３、７３、８３、９３）を含み、前記裏側または表側シート部（１３ｂ、６３ｂ、７３ｂ、８３ｂ、９３ｂ；１３ａ、６３ａ、７３ａ、８３ａ、９３ａ）の前記他方側の端は、表側または裏側シート部（１３ａ、６３ａ、７３ａ、８３ａ、９３ａ；１３ｂ、６３ｂ、７３ｂ、８３ｂ、９３ｂ）の前記他方側の端に対して、少なくとも一部分が幅方向にずれていることを特徴とするファスナーストリンガー。
5. 　左右のファスナーテープ（１１、６１、７１、８１）と、各ファスナーテープ（１１、６１、７１、８１）の、長手方向に垂直な幅方向の一方側に、長手方向に沿って取り付けられた左右のファスナーエレメント（２０、９０）と、左右のファスナーエレメント（２０、９０）を噛合・分離するためのスライダー（３０）とを備えるスライドファスナー（１００、１０１）であって、
   　前記各ファスナーテープ（１１、６１、７１、８１）は、幅方向における前記一方側とは反対の他方側に、表側シート部（１３ａ、６３ａ、７３ａ、８３ａ。９３ａ）と裏側シート部（１３ｂ、６３ｂ、７３ｂ、８３ｂ、９３ｂ）に二股に分岐する分岐部（１３、６３、７３、８３、９３）を含み、
   　前記裏側または表側シート部（１３ｂ、６３ｂ、７３ｂ、８３ｂ、９３ｂ；１３ａ、６３ａ、７３ａ、８３ａ、９３ａ）の前記他方側の端は、表側または裏側シート部（１３ａ、６３ａ、７３ａ、８３ａ、９３ａ；１３ｂ、６３ｂ、７３ｂ、８３ｂ、９３ｂ）の前記他方側の端に対して幅方向にずれていることを特徴とするスライドファスナー。
   
6. 　前記ファスナーテープ（１１、６１、７１、８１）は、長手方向に沿う経糸（１１ａ）と幅方向に沿う緯糸（１１ｂ）とから織成され、前記緯糸（１１ｂ）は、前記表側シート部（１３ａ、６３ａ、７３ａ、８３ａ、９３ａ）及び裏側シート部（１３ｂ、６３ｂ、７３ｂ、８３ｂ、９３ｂ）それぞれの幅方向の前記他方側の端で折り返されると共に、幅方向の前記一方側の端で、長手方向に鎖状に連続するループ（１１ｃ）を形成して折り返されることを特徴とする請求項５に記載のスライドファスナー。
7. 　前記ファスナーテープ（１１）のエレメント取付部（１２）を構成する前記緯糸（１１ｂ）が、ファスナーテープ（１１）の分岐始点（１５）から表側シート部（１３ａ）と裏側シート部（１３ｂ）へと１本ずつに分離され、前記分岐始点（１５）は、テープ幅方向における、前記スライダー（３０）の第１翼板（３１）及び第２翼板（３２）が通る部分よりも前記他方側に位置することを特徴とする請求項５または請求項６に記載のスライドファスナー。

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