WO2012120678A1 - 粒子線治療装置 - Google Patents

粒子線治療装置 Download PDF

Info

Publication number
WO2012120678A1
WO2012120678A1 PCT/JP2011/055639 JP2011055639W WO2012120678A1 WO 2012120678 A1 WO2012120678 A1 WO 2012120678A1 JP 2011055639 W JP2011055639 W JP 2011055639W WO 2012120678 A1 WO2012120678 A1 WO 2012120678A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
irradiation
particle beam
dose
accelerator
spot
Prior art date
Application number
PCT/JP2011/055639
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
泰三 本田
昌広 池田
越虎 蒲
和之 花川
Original Assignee
三菱電機株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 三菱電機株式会社 filed Critical 三菱電機株式会社
Priority to EP11860475.0A priority Critical patent/EP2684580B1/en
Priority to PCT/JP2011/055639 priority patent/WO2012120678A1/ja
Priority to CN201180053865.9A priority patent/CN103200993B/zh
Priority to JP2013503302A priority patent/JP5496414B2/ja
Priority to US13/258,772 priority patent/US8421031B2/en
Publication of WO2012120678A1 publication Critical patent/WO2012120678A1/ja

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61NELECTROTHERAPY; MAGNETOTHERAPY; RADIATION THERAPY; ULTRASOUND THERAPY
    • A61N5/00Radiation therapy
    • A61N5/10X-ray therapy; Gamma-ray therapy; Particle-irradiation therapy
    • A61N5/1042X-ray therapy; Gamma-ray therapy; Particle-irradiation therapy with spatial modulation of the radiation beam within the treatment head
    • A61N5/1043Scanning the radiation beam, e.g. spot scanning or raster scanning
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61NELECTROTHERAPY; MAGNETOTHERAPY; RADIATION THERAPY; ULTRASOUND THERAPY
    • A61N5/00Radiation therapy
    • A61N5/10X-ray therapy; Gamma-ray therapy; Particle-irradiation therapy
    • A61N5/1048Monitoring, verifying, controlling systems and methods
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61NELECTROTHERAPY; MAGNETOTHERAPY; RADIATION THERAPY; ULTRASOUND THERAPY
    • A61N5/00Radiation therapy
    • A61N5/10X-ray therapy; Gamma-ray therapy; Particle-irradiation therapy
    • A61N5/1077Beam delivery systems
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61NELECTROTHERAPY; MAGNETOTHERAPY; RADIATION THERAPY; ULTRASOUND THERAPY
    • A61N5/00Radiation therapy
    • A61N5/10X-ray therapy; Gamma-ray therapy; Particle-irradiation therapy
    • A61N5/1048Monitoring, verifying, controlling systems and methods
    • A61N2005/1074Details of the control system, e.g. user interfaces
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61NELECTROTHERAPY; MAGNETOTHERAPY; RADIATION THERAPY; ULTRASOUND THERAPY
    • A61N5/00Radiation therapy
    • A61N5/10X-ray therapy; Gamma-ray therapy; Particle-irradiation therapy
    • A61N2005/1085X-ray therapy; Gamma-ray therapy; Particle-irradiation therapy characterised by the type of particles applied to the patient
    • A61N2005/1087Ions; Protons

Abstract

漏れ線量の影響を抑制できる粒子線治療装置を得ることを目的とする。 加速器(1)から出射された粒子線(B)を所定方向に向けて照射する照射ノズル(21)と、照射対象(TC)内の面方向(ASS)内に設定された複数のスポット(SP)のそれぞれに対し、所定線量の粒子線(B)を順次照射するように、照射ノズル(21)の動作を制御する照射制御部(42)と、加速器(1)からの粒子線(B)の出射をON/OFF制御する制御部(4)と、を備え、照射制御部(42)は、出射がONからOFFに切り替えられた時点(TF)からの所定期間(PW)もしくは粒子線(B)が遮断されるまでの間、照射ノズル(21)で粒子線(B)を照射対象(TC)内の所定範囲(AP)内に向けて希釈走査させる。

Description

粒子線治療装置
 本発明は、荷電粒子ビームを用いた粒子線治療装置において、とくにスキャニング照射方法を用いる粒子線治療装置に関する。
 粒子線治療は、治療対象となる患部に荷電粒子ビーム(粒子線)を照射して、患部組織を殺傷することにより治療を行うものであり、周辺組織にダメージを与えず、患部組織に十分な線量を与えるため、照射線量や照射体積を適切に制御できる粒子線治療装置が求められている。この照射体積を形成する方法のうち、スキャニング照射方法を用いる粒子線治療装置では、加速器から供給された荷電粒子ビームを走査電磁石等によって位置決めしながら走査して、小さな照射領域(スポット)ごとに所定線量分の照射を行い、段階的に照射野を形成している。スキャニング照射法のうち、ラスタスキャニング照射法と、ラスタスキャニングとスポットスキャニング照射法を組み合わせてスポット間でのビーム遮断をなくした照射法の場合には、1つのスライスを照射し終わるまでは荷電粒子ビームを遮断せずに照射を行う。
 一方、呼吸にともない移動するような臓器を照射対象とする場合、臓器の変位が少なく、位置を特定しやすい呼吸状態でのみ照射できるよう、荷電粒子ビームの照射を呼吸位相に同期してON/OFFする必要がある。また、各スライスにおけるスキャニング照射の最終時点である最終スポットの照射終了時にビームの遮断動作を行う場合にもビームの遮断が必要となる。しかしながら、加速器から出射される荷電粒子ビームを瞬時に遮断することは困難で、遮断動作を開始してから短期間ではあるが漏れ線量と呼ばれる微量な線量が照射される。そのため、遮断動作が入ったスポットには、漏れ分の線量が余分に付与され、治療計画通りの適切な線量付与が困難になるという問題があった。そこで、加速器と照射装置とを結ぶ輸送経路中にビーム軌道を変更する偏向電磁石と軌道を変更した荷電粒子ビームを廃棄するビームダンプを設け、遮断に要する期間を短縮して漏れ線量を抑制する粒子線治療装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2009-45170号公報(0020~0029、図1)
 しかしながら、上述した粒子線治療装置でも軌道変更を行うために時間遅れが生じ、確実に漏れ線量をなくすことは困難であった。さらには、ビーム遮断のために偏向電磁石やビームダンプのような追加装置を要したり、ビームダンプで発生する中性子を処理するために輸送経路を改造したりするなど、装置が複雑化するという問題があった。
 本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、漏れ線量の影響を抑制できる粒子線治療装置を得ることを目的とする。
 本発明の粒子線治療装置は、粒子線を加速して出射する加速器と、走査方向が異なる2つの電磁石を有し、前記加速器から出射された粒子線を所定方向に向けて照射する照射ノズルと、照射対象内の面方向に設定された複数のスポットのそれぞれに対し、所定線量の粒子線を順次照射するように、前記照射ノズルの動作を制御する照射制御部と、前記加速器からの粒子線の出射をON/OFF制御する制御部と、を備え、前記照射制御部は、前記粒子線の出射がONからOFFに切り替えられた時点からの所定期間、もしくはビームが遮断されるまでの間、前記照射ノズルを用いて前記照射対象内の面方向に設定された所定範囲内に向けて漏れ線量を希釈するための走査(以降希釈走査と称する)をさせる、ことを特徴とする。
 本発明の粒子線治療装置によれば、所定スポットの照射中にビーム遮断が生じても、ビーム遮断中の漏れ線量が照射対象の所定範囲内に分散されるので、特定のスポットに余分な線量が集中することがなく、より治療計画に近い線量付与を行うことができる。
本発明の実施の形態1に係る粒子線治療装置の全体構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1に係る粒子線治療装置の照射装置の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1に係る粒子線治療装置におけるスキャニング照射方法を説明するための図である。 本発明の実施の形態1に係る粒子線治療装置におけるビーム制御方法を説明するための波形図である。 本発明の実施の形態3に係る粒子線治療装置の照射装置の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態3に係る粒子線治療装置における照射制御方法を説明するためのフローチャートである。
実施の形態1.
 以下、本発明の実施の形態1にかかる粒子線治療装置の構成および動作について説明する。図1~図4は本発明の実施の形態1にかかる粒子線治療装置の構成および動作について説明するためのもので、図1は粒子線治療装置の全体構成を説明するための図、図2は粒子線治療装置の照射装置の構成を示す図である。図3はキャニング照射方法を説明するための照射対象の平面図であり、図3(a)は照射対象全体(全面積)中の照射順序を示す図、図3(b)は図3(a)の円CB部分の拡大図である。そして、図4は荷電粒子ビームの制御方法を説明するための同期した波形図であり、図4(a)は呼吸同期制御によるゲート信号、図4(b)はゲート信号に伴って変化するビーム電流、図4(c)は照射対象スポットとそのスポットに照射するための走査電磁石によるビームのx方向およびy方向それぞれの偏向角を示すものである。
 本発明の実施の形態1にかかる粒子線治療装置の特徴は、スキャニング照射法により、あるスポットの照射中に、呼吸位相に基づいてビームを停止する制御が生じたとき、ビームが停止するまでの間、ビームを所定範囲内で揺らすように希釈走査するものである。しかし、そのビーム制御の詳細な説明に先んじて、粒子線治療装置の大まかな構成について図1を用いて説明する。図において、粒子線治療装置は、荷電粒子ビームの供給源として、シンクロトロンである円形加速器1(以降、単に加速器と称する)と、治療室6毎に設けられた照射装置2を備える照射系と、加速器1と各治療室6とをつなぎ、加速器から荷電粒子ビームを各治療室6の照射装置2に輸送する輸送系3と、これら各系統を制御する制御系4とを備えている。つぎに、各構成の説明に移る。
<加速器>
 加速器1は、荷電粒子ビームが周回する軌道経路となる真空ダクト11、前段加速器5から供給された荷電粒子を真空ダクト11に入射するための入射装置12、荷電粒子が真空ダクト11内の周回軌道に沿って周回する荷電粒子ビームを形成するよう荷電粒子の軌道を偏向させるための偏向電磁石13a,13b,13c,13d(まとめて13と称する)、周回軌道上に形成された荷電粒子ビームが発散しないように収束させる収束用電磁石14a,14b,14c,14d(まとめて14と称する)、周回する荷電粒子に同期した高周波電圧を与えて加速する高周波加速空洞15、加速器1内で加速させた荷電粒子ビームを加速器1外に取りだし、輸送系3に出射するための出射装置16、出射装置16から荷電粒子ビームを出射させるために荷電粒子ビームの周回軌道に共鳴を励起する六極電磁石17を備えている。
 なお、偏向電磁石13には、偏向電磁石13の励磁電流を制御する偏向電磁石制御装置や、高周波加速空洞15には、高周波加速空洞15に高周波電圧を供給するための高周波源、高周波源を制御するための高周波制御装置というように、各部を制御するための図示しない装置が備えられており、偏向電磁石制御装置、高周波制御装置や収束用電磁石14などその他のコンポーネントを制御して加速器1全体を制御する加速器制御装置(後述する加速器用サブ制御器41)等も制御部4内に備えている。
 また、前段加速器5は、図では簡略化のためにひとつの機器のように記載しているが、実際には、陽子、炭素(重粒子)等の荷電粒子(イオン)を発生させるイオン源(イオンビーム発生装置)と、発生させた荷電粒子を初期加速する線形加速器系とを備えている。そして、前段加速器5から加速器1に入射した荷電粒子は、高周波数の電界で加速され、磁石で曲げられながら、光速の約70~80%まで加速される。
<輸送系>
 加速器1により加速された荷電粒子ビームBは、HEBT(高エネルギービーム輸送:High Energy Beam Transport)系と称される輸送系3へと出射される。輸送系3は、荷電粒子ビームBの輸送経路となる真空ダクト31と、荷電粒子ビームBのビーム軌道を切替える切替装置である切替電磁石32と、ビームを所定角度に偏向する偏向電磁石33とを備えている。そして加速器1により十分にエネルギーが与えられ、真空ダクト31内を進む荷電粒子ビームBを、切替電磁石32で必要に応じて輸送経路(治療室6A用輸送経路3A、同6B用輸送経路3B、・・・同6N用輸送経路3N)を変え、指定された治療室6毎に設けられた照射装置2へと導く。
<照射系>
 照射系は、輸送系3から供給された荷電粒子ビームBを照射対象である患者Kの患部TCの大きさや深さに応じた照射野に成形して患部へ照射する照射装置2、および呼吸同期装置7と、を備えたものである。そして、照射対象である患部TCへの照射のON/OFFを呼吸に連動して(呼吸信号の位相に応じて)制御する。なお、粒子線治療装置は治療効率の観点から、一般的にひとつの加速器に対して複数の治療室(図では治療室6Aのみ記載し、治療室6B~6Nは番号のみ表示。まとめて治療室6と称する)を備える。すなわち、ここで示す照射系は、照射装置2と呼吸同期装置7とが治療室6毎に設けられたものであり、例えば、治療室6A用の照射系は、照射装置2Aと呼吸同期装置7Aのように記載している。なお、照射装置2の詳細な構成については、後に説明するとして、粒子線治療装置全体の説明を続ける。
 <呼吸同期装置>
 呼吸同期装置7は、患者Kの呼吸位相に同期して、加速器1からの荷電粒子ビームBの出射のON/OFFを制御する呼吸同期制御部の一部の機能を担う。そのため、呼吸同期装置7は、患者Kの呼吸状態を測定するための呼吸測定装置71と、呼吸測定装置71が測定した実呼吸波形に基づいて加速器1からの荷電粒子ビームの出射の可否(ON/OFF)を示すゲート信号を出力するとともに、呼吸同期装置7全体を管理する呼吸同期装置本体70と、呼吸誘導をするための目標呼吸波形や実呼吸波形といった呼吸同期に関する情報を患者Kや医療技術者等に教示するための呼吸情報教示装置72とを備える。
<治療室>
 治療室6は、患者Kに対して実際に荷電粒子ビームBを照射して治療を行うための部屋であり、基本的には治療室ごとに上述した照射系を備えている。なお、図において、治療室6Aでは、偏向電磁石33G部分から照射装置2A全体が患者K(治療台)を中心に回転し、患者Kへの荷電粒子ビームBの照射角度を自由に設定できる回転照射室(回転ガントリとも言われる)の例を示している。通常、ひとつの加速器1に対して、例えば、角度や位置を自在に設定可能な治療台に固定された患者に対して照射装置から水平方向に粒子ビームを照射する水平照射室や、その他タイプの異なる治療室を複数備えている。
 <制御系>
 上記のような、複数のサブシステム(加速器1、輸送系3、治療室ごとの照射系等)を備えたシステムの制御系として、各サブシステムを専ら制御するサブ制御器と全体を指揮し制御するメイン制御器からなる階層型の制御系統を用いることが多い。本発明の実施の形態1にかかる粒子線治療装置の制御部4においても、このメイン制御器とサブ制御器の構成を採用している。そして、サブシステム内で制御できる動作はサブ制御器で、複数のシステムを連携して制御する動作はメイン制御器が制御するというように、制御系統内での機能を分担している。
 一方、粒子線治療装置においては、制御部4には、ワークステーションやコンピュータを用いることが一般的である。そのため、制御部4のメイン制御器やサブ制御器といった機能は、ソフトウェア等により発現されることになり、必ずしも特定のハードウェアに収まるとは限らない。そのため、図ではそれらをまとめて制御部4として記載するが、それは、制御部4が物理的に一つのまとまったハードウェアとして存在するものであることを意味するものではない。以降、例えば、照射装置2のサブ制御器に相当する制御器を示す場合、サブ制御器42のように記載する。
 つぎに、照射装置2の構成について説明する。図2に示すように、照射装置2は、加速器1から輸送系3を経て供給されたいわゆるペンシル状の荷電粒子ビームBをビーム軸Xに対して略垂直な面内の任意の方向に向けて照射する照射ノズルとして機能する走査電磁石21と、照射対象TCの厚さに応じて、ブラッグピークの幅を拡大させるためのリッジフィルタ22と、照射対象の深さ(照射深さ)に応じて、荷電粒子ビームBのエネルギー(飛程)を変えるためのレンジシフタ23と、を備えている。走査電磁石21は、ビーム軸Xに垂直な面(xy)内で互いに偏向方向の異なる(例えば、直交するx方向とy方向)走査電磁石21aと走査電磁石21bをビーム軸Xに沿って配置したもので、荷電粒子ビームBが、照射対象TCのxy面内での所定位置に向かって出射するように、入射した荷電粒子ビームBをビーム軸Xに対して所定の方向に偏向させるものである。リッジフィルタ22は、例えば錐状体や断面が三角形の板を面内に多数並べたように形成され、照射スポット内を多数の小領域に分割したとすると、小領域毎に異なる厚みを通過する荷電粒子が存在するようになっている。図では、理解しやすいように円錐が面内に並べられたように記載している。これにより、ブラッグピークの幅SOBP(Spread-Out Bragg Peak)が拡大される。すなわち、リッジフィルタ22により、線量付与できる深さ方向の幅を広げることになる。レンジシフタ23は、入射した荷電粒子ビームBのエネルギーを所定量減衰させるためのもので、例えば、所定厚みを持った樹脂の板材を複数備え、その板材の組み合わせ(総厚み)により、減衰量を規定することができる。
 上記のような照射装置2を用い、スキャニング照射法により照射する場合、深さ(z)方向に空間的な線量付与を分割して投与する。そのために、治療計画では、患部TCを深さ方向でそれぞれ所定厚みになるように分割する。そして、図3に示すように、分割した層(スライスSS)ごとの面方向の形状ASSに対して所定径(ビーム径に相当)の照射領域(スポットSP)を隙間なく埋めるように並べ、スポットSP毎の線量と照射経路WPSを定めておく。
 照射は、基本的には患部TCの最深部を含む層(スライスSS)から行う。はじめに最深部のスライスSSの深さに合わせて、照射装置2から照射する荷電粒子ビームBのエネルギー(飛程:到達深度)を設定する。エネルギーは基本的には加速器1から出射する荷電粒子ビームBの速度(運動エネルギー)を調整するため、サブ制御器41を介して加速器1の動作を制御して設定するが、加速器1でのエネルギーの調整幅よりも細かな設定はレンジシフタ23によって行う。このように所定の飛程になるようにエネルギーを調整され、加速器から供給された荷電粒子ビームBは、輸送系3を通って直径数mm程度のいわゆるペンシルビームとして照射装置2に供給される。照射装置2に供給された荷電粒子ビームBは、スキャニング電磁石21を通る際に、スポットSPの位置に応じて、ビーム軸Xに対してx方向(21a)とy方向(21b)に所定角度に偏向され、そのスポットSPに向けて照射方向が変更される。そして、そのスポットSPに向けて出射された荷電粒子ビームBは、リッジフィルタ22を通過することで、スライスSSの厚さに相当するようにSOBPが拡げられる。さらに、レンジシフタ23を通過することによって、飛程が微調整され照射量(ビーム電流×時間)を調節することで、当該スライスSSの所定スポットSPに対し、所定線量の荷電粒子ビームBを照射することができる。
 このようにして、最深部の層(スライスSS)の照射が終了すると、次のスライスSSの照射に移る。このとき、荷電粒子ビームBのエネルギーは、加速器1およびレンジシフタ22により、スライスSSの厚みに相当する分低くなる(手前になる)ように飛程が調整され、次のスライスSSに応じたスポットSP配置と照射経路WPSに対応して、スライスSSのスキャニング照射が行われる。以降、同様にスライスSSごとに飛程とスポットSPの配置と照射経路が調整され、全体として患部TCの形状に最適化された線量が付与される。
 これらの各スライスSSにおけるスライスSS内の照射制御において、本実施の形態1にかかる粒子線治療装置では、スポットスキャニング照射にラスタースキャンの要素を取り入れた制御を行っている。つまり、各スライスSSにおいて、照射経路WPSにしたがって、最初のスポットSPから最終スポットSPまでを位置決めしながら順次照射していく際、スポットSP間の移動をラスタースキャンのようにビームを照射しながら高速で移動させるのである。一般的に、ひとつのスライスSS中には、数百~数十万にもおよぶスポットSP数が割り当てられるが、スポットSP間を移動するたびに荷電粒子ビームBを遮断するようにすると、遮断にかかる時間が長くなり、治療時間が長くなる。しかし、各スポットSP間をラスタースキャンのような高速で照射を継続しながら移動することにより、スポットSP以外の部分に余分な線量を付与することなく、スライスSS中の荷電粒子ビームBの遮断回数を抑制して照射時間を低減することができる。
 一方、上記のような照射において、照射対象TCが呼吸に伴い移動する場合、照射対象TCの位置や形状が安定する所定の呼吸位相でのみ照射を行う呼吸同期を実施する。すると、スライスSS内の照射の途中でもビーム照射を中断する必要が生じる。例えば、図3で示すように、あるスライスSSのxy平面方向の面形状である照射範囲ASS内において、スポットSP~SPi-1までの範囲(既照射範囲ADS)で照射が終了しており、スポットSPを照射している途中で、呼吸位相に伴いビームを停止することになるような場合である。本発明の実施の形態1にかかる粒子線治療装置の最大の特徴は、このようなスポットSP(スライスSS)の途中でビーム照射を中断するときのビーム照射の制御にある。以下、図4の波形図も参考にして詳細に説明する。
 このときの、ビームの入切を指示するゲート信号、ビーム電流、ビームの偏向角を図4(a)~図4(c)に示す。図4(a)の縦軸はゲート信号で、下側がビーム遮断であるゲートOFFを指示する状態、上側がビーム照射であるビームONを指示する状態である。図4(b)の縦軸は実際に照射されるビーム量を示すビーム電流である。図4(c)は照射対象スポットとその照射スポットに照射するためのビームの偏向角を示すもので、偏向角は2つの縦軸に分けて記載し、上側の縦軸はビームをx方向に偏向させる走査電磁石21aによる荷電粒子ビームBのビーム軸Xに対する偏向角、下側の縦軸はビームをy方向に偏向させる走査電磁石21bによる荷電粒子ビームBのビーム軸Xに対する偏向角を示す。そして、図4(a)~(c)の横軸は、同期した時間軸であり、ゲート信号がOFFからONに切り替わり、ビームの再開を指示する時点をT、ゲート信号がONからOFFに切り替わり、ビームの遮断を指示する時点をTで示す。
 ここで、ある治療室において、照射が行われており、治療室内の呼吸同期装置本体70は、サブ制御器47であり、呼吸同期制御部の一部として機能すると仮定する。呼吸同期制御部として機能するサブ制御器47は、呼吸測定装置71が測定した実呼吸波形により、患者Kの呼吸位相が患部TCの変位が大きくなる位相になったと判断すると、照射をOFFにすべき旨のゲート信号を出力する。ゲート信号を受けた制御部4(サブ制御器47と連携して呼吸同期装置として機能する)は、加速器1用サブ制御器41に対して、加速器1からの荷電粒子ビームBの出射をゲート信号に同期してOFFにする(ビーム遮断)ように指示する。すると、加速器1から照射装置2に向けて出射される荷電粒子ビームBが遮断される。
 しかし、図4(a)と図4(b)に示すように、ゲート信号がOFFに切り替わっても、ビーム電流は、切り替え時点Tですぐには0にならず、期間PLだけビーム電流が残存する。この期間PLにおけるビーム電流の積分量DLが漏れ線量として照射装置2から照射される。このとき、走査電磁石21の偏向角度をスポットSPに合わせたままだと、スポットSPにDL分の線量が余分に照射されてしまう。しかし、本実施の形態1にかかる粒子線治療装置では、少なくとも漏れ線量の影響があると認められる所定期間(例えば、Tから始まり、PLをカバーできる程度の長さを有する期間)、照射装置2の動作を、そのスライスSSの照射範囲ASS内のさらに限定した許可領域A内に向け、希釈走査させるように切り替える。また、所定期間ではなく、ビームを観測するセンサを設け、ビームが遮断されるまで継続させてもよい。つまり、ビームが出ていれば漏れ線量を希釈するために走査をするように、走査電磁石21の動作を制御する。許可領域Aは、例えばスポット径の百倍以上といった一定以上の面積を有するような領域に設定し、漏れ線量をその面積内で希釈するようにするものである。
 例えば、図4(c)に基づいて切り替え時点T前後の走査電磁石21の動作を説明する。このとき、ゲート信号がONになる時点での照射対象はスポットSPi-3であり、ゲートがONに切り替わってから順次スポットSPi-2、SPi-1、SPと進み、スポットSPの照射途中の時点Tでゲート信号がOFFに切り替わるものとする。ビーム遮断を考慮しない部分では、SPi-3~SPにおいては、図3(b)に示すようにy方向の位置は変わらないので、y偏向角は基本的に一定値を示す。一方、x方向は移動しているので、x方向の偏向角のみが対象スポットSPの変更に伴い変化する。このとき、スポット間の移動速度は速く、スポット間の移動に要する時間は、各スポットにおける滞留時間と比較すると短いので、波形としてはほぼステップ状になる。
 ここで、ビーム切り替え時点Tになると、荷電粒子ビームBを許可領域A内で漏れ線量DLを希釈するようにスポット間の移動時のような高速で走査する、つまり揺れるように走査するので、その期間PW中、x方向の偏向角、y方向の偏向角は大きく変化する。なお、図では、略楕円上の許可領域AP内を経路WPSと同様に、x方向に折り返しながらy方向に変化するような一筆書きの経路を繰り返し走査することを仮定した偏向角の変化を示している。そして、希釈走査期間PWが終了すると、走査電磁石21は、中断されたスポットSPに対応する偏向角になるように制御される。そのため、次に呼吸ゲートがONになった時に、確実にスポットSPに対応する偏向角に制御して続きの照射を行い、ゲート信号がONになっている中でのスポットSPでの照射期間を適切に調節することができる。
 つまり、スキャニング照射においては、ゲート信号によってあるスポットSPを照射中にビームの遮断動作が入る場合、あるいは、各スライスの最終時点で最終スポットSPの照射終了直後にビームの遮断動作が入る場合がある。しかし、そのようにビーム遮断動作が入っても、遮断時のもれ照射を所定の面積を有する許可領域A内に分散するように走査するので、線量が希釈され、特定部分に線量が集中することなく、治療計画に沿った線量付与を行うことができる。
 なお、図4(c)では、ひとつのゲートON信号内で示した照射スポット数は4つであるが、これは、説明のために数を絞って記載しているものである。実際には、さらに多くのスポット数の照射が実行され、図3におけるy方向の異なるスポットも照射することになり、その際、y方向の位置に応じて偏向角も変化することになる。
 許可領域Aの設定については、必ずしもスライスの照射領域ASSよりも狭くなるように設定する必要はなく、同じ領域であってもよい。しかし、ゲート信号がOFFになるのは、照射対象TCである臓器が変位する可能性が高くなることを示すものである。そのため、照射対象TCの周囲にある正常組織に余計な線量が付与されることを防止するため、許可領域Aは、照射領域ASSよりもマージンを取って内側に設定することが望ましい。さらに、呼吸に伴う臓器の変位(方向、距離)が分かっている場合、マージン量あるいは許可領域Aそのものを変位に応じて適宜変更するようにしてもよい。そして、許可領域AもT時点で照射しているスポットSPを含む必要はなく、スポットSPと別に設定してよい。また、希釈のための走査に切り替えるタイミングや対象スポットに応じて適宜変更するようにしてもよい。また、許可領域A内での希釈走査の経路がスポットスキャニングでの経路と同じである必要はなく、らせん状やその他の形状の経路で希釈走査してもかまわない。そして、希釈走査の場合、いわゆるワブラー照射のように揺らすように走査すればよいのであるが、ワブラー照射のように照射範囲内の線量分布を均一にする必要はなく、特定の部分に線量が集中しないようにすればよい。
 このような照射は、走査電磁石21としては、通常の照射野を形成するための偏向角の範囲で制御をすれば実現できるので、走査電磁石の仕様を変更したり、別個に偏向電磁石を設けたりする必要はない。さらに、希釈走査の際の走査電磁石の操作量(偏向角の開度)は、基本的に通常照射時の操作量の範囲内であるということは、希釈走査によって走査電磁石に通常と異なるヒステリシスを生じさせることもなく、スキャニングの精度を悪化させることもない。また、制御部4にしても、例えば希釈走査に動作を切り替えるためのシーケンスプログラムを追加すれば、特別なハードウェアを用いなくともよい。また希釈走査のための操作量のデータの追加に伴い記憶容量等の補強が必要になることもあるがこれも、所定量の記憶容量を有するようにしすればよく、通常のコンピュータのいわゆる能力アップ程度の処置ですむ。
 なお、上記希釈走査は、ビーム遮断時に限定する必要はない。例えば、ビームを再開した時点Tでビーム電流が不安定な期間があり、かつ、その間の線量が、希釈により影響が回避できるような程度である場合、その期間をカバーするように希釈走査を適用してもよい。この場合、線量を計算する際にゲートON時間から希釈走査させる期間を差し引く必要がある。
 以上のように、本実施の形態1にかかる粒子線治療装置によれば、荷電粒子ビーム(粒子線)Bを加速して出射する加速器1と、走査方向が異なる2つの電磁石21a、21bを有し、加速器1から出射された粒子線Bを所定方向に向けて照射する照射ノズルとして機能する走査電磁石21と、治療計画に基づき照射対象TCの面方向(の形状)ASS内に設定された複数のスポットSPのそれぞれに対し、位置決めしながら所定線量の粒子線Bを順次照射するように、照射ノズル21の動作を制御する照射制御部42(を備える制御部4)と、患者Kの呼吸位相に同期して、加速器1からの粒子線Bの出射のON/OFFを制御する呼吸同期制御部として機能する制御部4(およびサブ制御器47)、を備え、照射制御部42は、呼吸位相に同期して粒子線Bの出射がONからOFFに切り替えられた時点Tからの所定期間PW、もしくは粒子線Bが遮断されるまでの間、照射ノズル21を用いて照射対象内の面方向(の形状)ASSに設定された所定範囲内Aに向けて漏れ線量DLを希釈するように粒子線Bを走査させる、ように構成したので、あるスポットSPあるいはスライスSSの照射中に呼吸同期によるビーム遮断が生じても、ビーム遮断中の漏れ線量DLが照射対象ASS内の所定面積を有する許可領域A内に拡散されるので、特定のスポットSPに余分な線量が付与されることなく、治療計画通りの線量付与を行うことができる。また、許可領域A内のワブラー走査は、走査電磁石21の操作量の範囲内で実行できるので、余分な装置を追加したり、一般的なスキャニング照射用の走査電磁石の仕様を変更したりする必要もない。あるいは、粒子線の軌道を照射領域外に曲げたりすることがないので、漏れ線量が、照射領域外の周辺組織に照射されることもない。
 とくに、許可領域Aは、照射対象TCである臓器の変位を考慮して照射領域ASSから所定のマージンをとった、つまり照射対象TCの面方向(の形状)ASSの所定幅内に設定するようにすれば、正常組織に漏れ線量が付与されることもなくなる。
 あるいは、許可領域Aは、照射対象TCの呼吸位相に伴う変位(方向、移動量)に基づいて設定するようにすれば、呼吸により移動した正常組織に漏れ線量が付与されることもなくなる。
 また、許可領域Aを切り替え時点Tで照射対象となっていたスポットSPの位置に応じて設定するようにすれば、スポットに応じた希釈走査の領域を設定でき、遮断中(希釈走査)モードから通常(スキャニング照射)モードへの切り替えがスムーズに行える。
 また、希釈走査を行う所定期間PWは、加速器1がONからOFFに切り替えられた時点Tから粒子線Bの出射を停止するまでにかかる時間Pに基づいて定めるように構成すれば、漏れ線量DLを確実に許可領域A内に分散して希釈することができる。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、呼吸位相に同期して粒子線の出射がONからOFFに切り替えられた時点Tからの所定期間PW、照射ノズル21を照射対象内の面の方向ASSに設定された所定範囲内A内に向けて希釈走査させることで、漏れ線量DLを所定範囲内A内に分散させ、希釈するものとしているが、スキャニング照射において、粒子線の出射をONからOFFに切り替える動作は呼吸位相に同期した場合に限らない。例えば、各スライスSSにおけるスキャニング照射の最終時点となる最終スポットの照射終了時にも粒子線の出射をONからOFFに切り替える。
 本発明の実施の形態2にかかる粒子線治療装置では、この各スライスSSの最終スポットの照射終了時にビームBの出射をONからOFFに切り替えた場合の漏れ線量DLを、許可領域A内に走査により分散させ、希釈するものである。スキャニング照射ではスライスSS毎にスポットSP配置と照射経路WPSとスポットSP毎の線量とが予め治療計画で決められている。そして、治療計画で定められた計画に従ってスライスSSの最初のスポットSPの照射を行い、最初のスポットSPの照射線量が治療計画で定められた線量に達すると、次のスポットSPに走査され、同様に治療計画で定められた照射線量に達すると、さらに次のスポットSPへと走査される。このようにして、そのスライスSSの最終のスポットSPに照射がなされ、最終スポットSPの照射線量が治療計画で定められた照射線量に達すると、ビームBの遮断を指示する。
 このときにも、図4で説明したように、ビームの遮断を指示する時点Tで完全にビームの遮断が行われず、期間PLだけビーム電流が残存してビーム電流の積分量DLだけ最終スポットSPに漏れ線量DLが付与される。本実施の形態2では、この各スライスの最終スポットSPの照射終了時における漏れ線量DLを、実施の形態1と同様に許可領域A内で希釈走査することで分散させ、希釈する。この結果、特定のスポットに余分な線量が付与されることなく、治療計画通りの線量付与を行うことができる。
 以上のように、本実施の形態2にかかる粒子線治療装置によれば、荷電粒子ビーム(粒子線)Bを加速して出射する加速器1と、走査方向が異なる2つの電磁石21a、21bを有し、加速器1から出射された粒子線Bを所定方向に向けて照射する照射ノズルとして機能する走査電磁石21と、治療計画に基づき照射対象TCを深さ方向に分割した複数のスライスSSに対し、各スライスSSの面方向(の形状)ASS内に設定された複数のスポットSPのそれぞれに対し、位置決めしながら所定線量の粒子線Bを順次照射するように、照射ノズル21の動作を制御する照射制御部42(を備える制御部4)と、複数のスライスSSのそれぞれの最終スポットSPへの照射が終了すると、加速器1からの粒子線の出射をOFFする制御部4、を備え、照射制御部42は、スライスSSの最終スポットSPへの照射が終了する際に粒子線Bの出射がONからOFFに切り替えられた時点Tからの所定期間PW、もしくは粒子線Bが遮断されるまでの間、照射ノズル21を用いて照射対象内の面方向(の形状)ASSに設定された所定範囲内Aに向けて漏れ線量DLを希釈するように粒子線Bを走査させる、ように構成したので、あるスライスSSの最終スポットSPSPへの照射を終了してビーム遮断をした際、ビーム遮断中の漏れ線量DLが照射対象ASS内の所定面積を有する許可領域A内に拡散されるので、各スライスSSの最終スポットSPSPに余分な線量が付与されることなく、治療計画通りの線量付与を行うことができる。また、許可領域A内のワブラー走査は、走査電磁石21の操作量の範囲内で実行できるので、余分な装置を追加したり、一般的なスキャニング照射用の走査電磁石の仕様を変更したりする必要もない。あるいは、粒子線の軌道を照射領域外に曲げたりすることがないので、漏れ線量が、照射領域外の周辺組織に照射されることもない。
 なお、本発明は、実施の形態1及び2に記載のビーム遮断時にのみ特定されるものではなく、スキャニング照射時にビーム遮断を行う場合に発生する漏れ線量を希釈走査することで分散させ、希釈するものであり、その他の要因でビームを遮断する場合にも適用できることは、言うまでもない。その他の要因には、次のような一例が挙げられる。加速器からのビーム強度変動やビーム位置変動などの装置異常や、患者の状態急変により安全インターロックが動作しビーム遮断を行う場合、また同一スライス内においても治療計画に基づき、一旦ビームを遮断する場合などがある。
 つまり、本実施の形態1あるいは2にかかる粒子線治療装置によれば、荷電粒子ビーム(粒子線)Bを加速して出射する加速器1と、走査方向が異なる2つの電磁石21a、21bを有し、加速器1から出射された粒子線Bを所定方向に向けて照射する照射ノズルとして機能する走査電磁石21と、照射対象TCを深さ方向に分割した複数のスライスSSの各スライス、または照射対象TCの面方向(の形状)ASS内に設定された複数のスポットSPのそれぞれに対し、位置決めしながら所定線量の粒子線Bを順次照射するように、照射ノズル21の動作を制御する照射制御部42(を備える制御部4)と、加速器1からの粒子線の出射をOFFする制御部4、を備え、照射制御部42は、粒子線Bの出射がONからOFFに切り替えられた時点Tからの所定期間PW、もしくは粒子線Bが遮断されるまでの間、照射ノズル21を用いて照射対象内の面方向(の形状)ASSに設定された所定範囲内Aに向けて漏れ線量DLを希釈するように粒子線Bを走査させる、ように構成したので、スキャニング照射中に呼吸同期によるビーム遮断が生じても、ビーム遮断中の漏れ線量DLが照射対象ASS内の所定面積を有する許可領域A内に拡散されるので、特定のスポットSPに余分な線量が付与されることなく、治療計画通りの線量付与を行うことができる。また、許可領域A内のワブラー走査は、走査電磁石21の操作量の範囲内で実行できるので、余分な装置を追加したり、一般的なスキャニング照射用の走査電磁石の仕様を変更したりする必要もない。あるいは、粒子線の軌道を照射領域外に曲げたりすることがないので、漏れ線量が、照射領域外の周辺組織に照射されることもない。
実施の形態3.
 上記実施の形態1にかかる粒子線治療装置においては、呼吸同期照射時のビーム停止時のいわゆる漏れ線量を所定範囲内で走査することで、漏れ線量を希釈させて影響を低減したものである。一方、本実施の形態3にかかる粒子線治療装置においては、線量モニタを備え、ビーム停止時にも線量モニタによる線量カウントを停止せずに継続し、スポットごとにカウントした線量が所定値に達しているか否かで次のスポットに移るようにした。つまり、荷電粒子ビームが遮断された否か、あるいはスポットへの照射時間ではなく、指定されたスポットに照射された線量測定値に基づいてスキャニング照射を進めるようにしたものである。
 図5と図6は本発明の実施の形態3にかかる粒子線治療装置の構成および動作について説明するためのもので、図5は粒子線治療装置の照射装置の構成を示す図、図6は粒子線治療装置における照射方法を説明するためのフロー図である。本実施の形態2にかかる粒子線治療装置では、ハードウェアとしては、図5に示すように照射装置202にビーム線量を計測する線量モニタ24を備えるようにしたこと以外は実施の形態1にかかる粒子線治療装置の照射装置2と同様である。そして、実施の形態1と異なり、ビーム遮断前後で希釈走査に切り替えるなどの特別な動作制御は行わず、図6に示すように、線量モニタ24で計測した線量を積算した値に基づいて各スポットの照射を制御したことが特徴である。
 図6のフローに基づいて説明する。
 照射を開始すると、最初にスキャンするスライスSS番号を設定(ステップS10、ステップS20)する。つぎに、スライスSSに応じた照射範囲ASSと各スポットSPの位置、経路および照射線量、その他の照射条件を設定(ステップS30)する。そして、走査電磁石21が対象スポットSP毎に対応して偏向角を制御すると、線量計24からの測定値に基づいて、そのスポットSPでの線量を積算し始める(ステップS40~60)。そして、計測した線量の積算値Dが設定値に達していない場合(ステップS70で「N」)、そのスポットSPに偏向角を制御した状態を維持する。一方、計測した線量の積算値Dが設定値以上になると(ステップS70で「Y」)、そのスポットSSが最終スポットでなければ(ステップS80で「N」)、次のスポットSPへ移行(ステップS40)する。そのスポットSPが最終スポットであれば(ステップS80で「Y」)、最終スライスか否かを判断し、最終スライスSSでなければ(ステップS90で「N」)、次のスライスSSへ移行(ステップS20)して、同様の動作を繰り返す。そして、最終スライスSSならば(ステップS90で「Y」)、照射を終了する。
 これら、フローでは、ゲート信号でビームの遮断動作が発生しても、とくに走査電磁石の動作が変更されることはなく、そのとき設定されている偏向角で規定されるスポットSPに対して、供給された荷電粒子ビームBの線量の実測値の積算値のみに基づいて制御が行われる。仮に5秒周期の呼吸により臓器が30mm動くとした場合、1ミリ秒で臓器が移動する距離は6μmであり、ビームの遮断に仮に1ミリ秒かかったとしても臓器の移動に伴う線量の不均一性としては影響が少ない。これにより、ビーム遮断時に漏れ線量が生じたり、ビーム再開時に線量が不安定になったりしても、各スポットに付与される線量が治療計画で定められた設定値通りになるように照射することができる。なお、ビームが遮断されるまでの時間が所定より長い場合にはインターロックを働かせて照射を停止するなどの安全対策を講じてもよい。
 1 加速器、 2 照射装置、 3 輸送系、 4 制御部、 5 前段加速器、 6 治療室、 7 呼吸同期装置、 21 走査電磁石(21a:x方向(上流)走査電磁石、21b:y方向(下流)走査電磁石)、 22 リッジフィルタ、 23 レンジシフタ、 24 線量モニタ、 42 照射装置用サブ制御器(照射制御部)、 47 呼吸同期装置用サブ制御器(呼吸同期制御部)、 ADS 既照射範囲、 A 希釈走査許可領域、 ASS スライス内の照射範囲(照射対象内の面方向)、 AUS 未照射範囲、 B 荷電粒子ビーム(粒子線)、 DL 漏れ線量、 K 患者、 PL 漏れ照射期間、 PW 希釈走査期間、 SP スポット、 SS スライス、 TC 患部(照射対象)、 T ビーム切り替え時点(遮断時)、 T ビーム切り替え時点(再開時)、 WPS 走査経路、 X 粒子ビームのビーム軸
 百位の数字は実施形態による変形例を示す。

Claims (7)

  1.  粒子線を加速して出射する加速器と、
     走査方向が異なる2つの電磁石を有し、前記加速器から出射された粒子線を所定方向に向けて照射する照射ノズルと、
     照射対象内の面方向に設定された複数のスポットのそれぞれに対し、所定線量の粒子線を順次照射するように、前記照射ノズルの動作を制御する照射制御部と、
     前記加速器からの粒子線の出射をON/OFF制御する制御部と、を備え、
     前記照射制御部は、
     前記粒子線の出射がONからOFFに切り替えられた時点からの所定期間、もしくは粒子線が遮断されるまでの間、前記照射ノズルを用いて前記照射対象内の面方向に設定された所定範囲内に向けて線量を希釈するように前記粒子線を走査させる、
     ことを特徴とする粒子線治療装置。
  2.  前記制御部は、患者の呼吸位相に同期して、前記加速器からの粒子線の出射をON/OFF制御することを特徴とする請求項1に記載の粒子線治療装置。
  3.  前記複数のスポットは、前記照射対象を深さ方向に分割した複数のスライスに対して、それぞれ面方向に設定され、
     前記制御部は、前記複数のスライスのそれぞれの最終スポットへの照射が終了すると、前記加速器からの粒子線の出射をOFFするように制御する、
     ことを特徴とする請求項1または2に記載の粒子線治療装置。
  4.  前記所定範囲は、前記照射対象内の面方向の所定幅内に設定されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の粒子線治療装置。
  5.  前記所定範囲は、前記照射対象の前記呼吸位相に伴う変位に基づいて設定されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の粒子線治療装置。
  6.  前記所定範囲は、照射対象となっていたスポットの位置に応じて設定されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の粒子線治療装置。
  7.  前記所定期間は、前記加速器がONからOFFに切り替えられた時点から前記粒子線の出射を停止するまでにかかる時間に基づいて定められることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の粒子線治療装置。
PCT/JP2011/055639 2011-03-10 2011-03-10 粒子線治療装置 WO2012120678A1 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP11860475.0A EP2684580B1 (en) 2011-03-10 2011-03-10 Particle therapy device
PCT/JP2011/055639 WO2012120678A1 (ja) 2011-03-10 2011-03-10 粒子線治療装置
CN201180053865.9A CN103200993B (zh) 2011-03-10 2011-03-10 粒子射线治疗装置
JP2013503302A JP5496414B2 (ja) 2011-03-10 2011-03-10 粒子線治療装置
US13/258,772 US8421031B2 (en) 2011-03-10 2011-03-10 Particle beam therapy system

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2011/055639 WO2012120678A1 (ja) 2011-03-10 2011-03-10 粒子線治療装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2012120678A1 true WO2012120678A1 (ja) 2012-09-13

Family

ID=46794682

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2011/055639 WO2012120678A1 (ja) 2011-03-10 2011-03-10 粒子線治療装置

Country Status (5)

Country Link
US (1) US8421031B2 (ja)
EP (1) EP2684580B1 (ja)
JP (1) JP5496414B2 (ja)
CN (1) CN103200993B (ja)
WO (1) WO2012120678A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017086868A (ja) * 2015-11-11 2017-05-25 三菱電機株式会社 粒子線照射装置
JP2017209579A (ja) * 2017-09-11 2017-11-30 住友重機械工業株式会社 荷電粒子線治療装置、及び荷電粒子線治療装置の制御方法

Families Citing this family (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013157116A1 (ja) * 2012-04-19 2013-10-24 三菱電機株式会社 ガントリー型粒子線照射装置、およびこれを備えた粒子線治療装置
EP2923731B1 (en) * 2012-11-20 2017-03-15 Mitsubishi Electric Corporation Treatment planning device, particle beam therapy apparatus, and charged particle beam scanning path-determining method
US20150306427A1 (en) * 2012-12-26 2015-10-29 Mitsubishi Electric Corporation Dose distribution measurement device
EP2990077B1 (en) * 2013-04-23 2018-03-21 Mitsubishi Electric Corporation Particle beam treatment device
US8964937B2 (en) * 2013-05-17 2015-02-24 Elekta Ab (Publ) Methods and systems in radiotherapy
JP6109702B2 (ja) * 2013-10-15 2017-04-05 住友重機械工業株式会社 荷電粒子線照射装置
US9789342B2 (en) * 2015-05-18 2017-10-17 Varian Medical Systems, Inc. System and method for in-layer synchronization for fast spot rescanning
CN105251138B (zh) * 2015-11-13 2018-03-13 上海艾普强粒子设备有限公司 一种粒子照射装置以及包括该装置的粒子治疗系统
CN105797282B (zh) * 2016-03-07 2018-09-04 上海艾普强粒子设备有限公司 一种粒子照射装置以及包括该装置的粒子治疗系统
US10661100B2 (en) * 2017-03-08 2020-05-26 Mayo Foundation For Medical Education And Research Method for measuring field size factor for radiation treatment planning using proton pencil beam scanning
CN109224317B (zh) * 2017-07-11 2022-02-18 住友重机械工业株式会社 带电粒子束治疗装置
JP6901381B2 (ja) * 2017-11-20 2021-07-14 株式会社日立製作所 加速器および粒子線治療システム
CN108969904B (zh) * 2018-06-06 2021-05-28 清华大学 一种用于肿瘤放射治疗的心肺运动门控设备及系统
JP7160716B2 (ja) * 2019-02-18 2022-10-25 株式会社日立製作所 粒子線治療装置及びその作動方法
JP7430044B2 (ja) * 2019-09-17 2024-02-09 住友重機械工業株式会社 放射線治療装置
CN113952636B (zh) * 2020-07-20 2023-08-08 中硼(厦门)医疗器械有限公司 放射治疗系统及其安全联锁控制方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006145213A (ja) * 2004-11-16 2006-06-08 Hitachi Ltd 粒子線照射システム
JP2007311125A (ja) * 2006-05-17 2007-11-29 Mitsubishi Electric Corp 荷電粒子ビーム加速器のビーム出射制御方法及び荷電粒子ビーム加速器を用いた粒子ビーム照射システム
JP2009045170A (ja) 2007-08-17 2009-03-05 Hitachi Ltd 粒子線治療システム
JP2009066106A (ja) * 2007-09-12 2009-04-02 Toshiba Corp 粒子線ビーム照射装置および粒子線ビーム照射方法
JP2011000378A (ja) * 2009-06-22 2011-01-06 Hitachi Ltd 荷電粒子ビーム照射システム

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10155922A (ja) * 1996-11-29 1998-06-16 Hitachi Medical Corp 放射線治療装置
JPH10277170A (ja) 1997-04-08 1998-10-20 Hitachi Medical Corp 放射線治療装置
EP2094208B1 (en) * 2006-11-10 2013-09-04 Lars Michael Larsen Apparatus for non or minimally disruptive photomanipulation of an eye
JP4877784B2 (ja) 2006-11-30 2012-02-15 独立行政法人放射線医学総合研究所 照射計画装置、粒子線照射システム、及び、これらに用いるコンピュータプログラム
JP4988516B2 (ja) * 2007-11-06 2012-08-01 株式会社日立製作所 粒子線治療システム
JP5074915B2 (ja) * 2007-12-21 2012-11-14 株式会社日立製作所 荷電粒子ビーム照射システム

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006145213A (ja) * 2004-11-16 2006-06-08 Hitachi Ltd 粒子線照射システム
JP2007311125A (ja) * 2006-05-17 2007-11-29 Mitsubishi Electric Corp 荷電粒子ビーム加速器のビーム出射制御方法及び荷電粒子ビーム加速器を用いた粒子ビーム照射システム
JP2009045170A (ja) 2007-08-17 2009-03-05 Hitachi Ltd 粒子線治療システム
JP2009066106A (ja) * 2007-09-12 2009-04-02 Toshiba Corp 粒子線ビーム照射装置および粒子線ビーム照射方法
JP2011000378A (ja) * 2009-06-22 2011-01-06 Hitachi Ltd 荷電粒子ビーム照射システム

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
See also references of EP2684580A4

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017086868A (ja) * 2015-11-11 2017-05-25 三菱電機株式会社 粒子線照射装置
JP2017209579A (ja) * 2017-09-11 2017-11-30 住友重機械工業株式会社 荷電粒子線治療装置、及び荷電粒子線治療装置の制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
US20120228521A1 (en) 2012-09-13
CN103200993B (zh) 2015-10-07
EP2684580A1 (en) 2014-01-15
EP2684580B1 (en) 2015-08-26
US8421031B2 (en) 2013-04-16
EP2684580A4 (en) 2014-09-10
JPWO2012120678A1 (ja) 2014-07-07
CN103200993A (zh) 2013-07-10
JP5496414B2 (ja) 2014-05-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5496414B2 (ja) 粒子線治療装置
JP5133319B2 (ja) 粒子線照射システムおよびその制御方法
JP5002612B2 (ja) 荷電粒子ビーム照射装置
JP5896211B2 (ja) 荷電粒子照射システムおよび荷電粒子照射システムの作動方法
JP2009148473A (ja) 荷電粒子ビーム照射システム
JP2006145213A (ja) 粒子線照射システム
JP4726869B2 (ja) 荷電粒子ビーム照射システム及びその制御方法
JP4864787B2 (ja) 粒子線照射システムおよびその制御方法
JP5705372B2 (ja) 粒子線治療装置および粒子線治療装置の運転方法
CN108348767B (zh) 粒子束治疗系统
US9694207B2 (en) Control device for scanning electromagnet and particle beam therapy apapratus
JP2017209372A (ja) 荷電粒子線治療装置
JP2010075584A (ja) 粒子線照射システム及びこの制御方法
TWI537023B (zh) 粒子線治療裝置
JP2009072287A (ja) 粒子線照射装置
JP5396517B2 (ja) 粒子線照射システム
TWI681794B (zh) 帶電粒子束治療裝置
JP2011206495A (ja) 粒子線治療システム
WO2019198211A1 (ja) 荷電粒子線治療装置
JP6815231B2 (ja) 荷電粒子線治療装置
JP7165499B2 (ja) 荷電粒子線治療装置
US10381195B2 (en) Charged particle beam treatment apparatus
WO2016104040A1 (ja) 粒子線照射装置および粒子線照射装置の制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
WWE Wipo information: entry into national phase

Ref document number: 13258772

Country of ref document: US

121 Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application

Ref document number: 11860475

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1

ENP Entry into the national phase

Ref document number: 2013503302

Country of ref document: JP

Kind code of ref document: A

WWE Wipo information: entry into national phase

Ref document number: 2011860475

Country of ref document: EP

NENP Non-entry into the national phase

Ref country code: DE