WO2012115157A1 - ケイ素系液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 - Google Patents
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Abstract
Description
VA方式には、液晶の倒れる方向を制御するための突起をTFT板やカラーフィルタ基板に形成するMVA方式(Multi Vertical Alignment)や、基板のITO電極にスリットを形成し電界によって液晶の倒れる方向を制御するPVA(Patterned Vertical Alignment)方式が知られている。
〔1〕下記のポリシロキサン(A)及びポリシロキサン(B)を含有する液晶配向剤。
ポリシロキサン(A):式(1)で表されるアルコキシシラン及び式(2)で表されるアルコキシシランを含有するアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサン。
R1Si(OR2)3 (1)
(R1はフッ素原子で置換されていてもよい、炭素数8~30の炭化水素基であり、R2は炭素数1~5のアルキル基を表す。)
R3Si(OR4)3 (2)
(R3は、アクリル基、メタクリル基若しくはアリール基で置換された炭素数1~30のアルキル基であり、R4は炭素数1~5のアルキル基を表す。)
ポリシロキサン(B):式(3)で表されるアルコキシシランを70%~100%含有するアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサン。
Si(OR5)4 (3)
(R5は炭素数1~5のアルキル基を表す。)
〔3〕ポリシロキサン(B)が、さらに式(4)で表されるアルコキシシランを含有するアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンである、上記〔1〕に記載の液晶配向剤。
R6Si(OR7)3 (4)
(R6は、炭素数1~5のアルキル基であり、R7は炭素数1~5のアルキル基を表す。)
〔4〕ポリシロキサン(A)及びポリシロキサン(B)から選ばれる少なくとも一種のポリシロキサンが、さらに、下記式(5)で表されるアルコキシシランを含有するアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンである、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の液晶配向剤。
(R8)nSi(OR9)4-n (5)
(R8は、水素原子、又はヘテロ原子、ハロゲン原子、アミノ基、グリシドキシ基、メルカプト基、イソシアネート基若しくはウレイド基で置換されていてもよい、炭素数1~12の炭化水素基であり、R9は炭素数1~5のアルキル基であり、nは0~3の整数を表す。)
〔6〕上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の液晶配向剤を基板に塗布し、乾燥し、焼成して得られる液晶配向膜。
〔7〕上記〔6〕に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
〔8〕上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の液晶配向剤を塗布し、焼成された2枚の基板で液晶が挟持された液晶セルに、電圧を印加した状態でUVを照射して得られる液晶表示素子。
〔9〕上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の液晶配向剤を塗布し、焼成した2枚の基板で液晶を挟持し、電圧を印加した状態でUVを照射する液晶表示素子の製造方法。
ポリシロキサン(A)は、式(1)で表されるアルコキシシラン及び式(2)で表されるアルコキシシランを含有するアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンである。
R1Si(OR2)3 (1)
式(1)中、R1はフッ素原子で置換されていてもよい、炭素数8~30の炭化水素基であり、R2は炭素数1~5のアルキル基を表す。
R3Si(OR4)3 (2)
式(2)中、R3は、アクリル基、メタクリル基若しくはアリール基で置換されたアルキル基であり、R4は炭素数1~5のアルキル基を表す。
特定有機基の例としては、アルキル基、フルオロアルキル基、アルケニル基、フェネチル基、スチリルアルキル基、ナフチル基、フルオロフェニルアルキル基等が挙げられる。これらの中でも、R1がアルキル基、又はフルオロアルキル基であるアルコキシシランは比較的安価で市販品として入手が容易であるため好ましい。上記フルオロアルキル基において、フッ素原子の数は、1以上であり、全部の水素がフッ素原子で置換されていてもよい。
特に、R1がアルキル基であるアルコキシシランが好ましい。本発明に用いるポリシロキサン(A)は、これらの特定有機基を複数種有していてもよい。
式(1)で表されるアルコキシシランのR2は、炭素数1~5、好ましくは1~3のアルキル基である。より好ましくは、R2がメチル基又はエチル基である。
例えば、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリメトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ノナデシルトリメトキシシラン、ノナデシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、21-ドコセニルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、m-スチリルエチルトリメトキシシラン、p-スチリルエチルトリメトキシシラン、(1-ナフチル)トリエトキシシラン、(1-ナフチル)トリメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリメトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ノナデシルトリメトキシシラン、ノナデシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、又はウンデシルトリメトキシシランが好ましい。
式(2)で表されるアルコキシシランのR3(以下、第二の特定有機基ともいう)は、アクリル基、メタクリル基、及びアリール基からなる群から選ばれる少なくとも一つで置換されたアルキル基である。置換されている水素原子は1つ以上であり、好ましくは1つである。アルキル基の炭素数は1~30が好ましく、より好ましくは1~20である。更に好ましくは1~10である。アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよいが、直鎖状がより好ましい。
式(2)で表されるアルコキシシランのR4は、炭素数1~5のアルキル基であり、好ましくは炭素数1~3であり、特に好ましくは炭素数1~2である
(R8)nSi(OR9)4-n (5)
式(5)中、R8は、水素原子、又はヘテロ原子、ハロゲン原子、アミノ基、グリシドキシ基、メルカプト基、イソシアネート基若しくはウレイド基で置換されていてもよい、炭素数1~10の炭化水素基である。
R9は炭素数1~5、好ましくは1~3のアルキル基である。
nは0~3、好ましくは0~2の整数である。
第三の特定有機基の例としては、脂肪族炭化水素基;脂肪族環、芳香族環及びヘテロ環のような環構造の炭化水素基;不飽和結合を有する炭化水素基;酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子等を含んでいてもよく、分岐構造を有していてもよい、炭素数が1~6の炭化水素基である。第三の特定有機基はハロゲン原子、アミノ基、グリシドキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基などで置換されていてもよい。
このような式(5)において、nが0であるアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、又はテトラブトキシシランがより好ましく、特に、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランが好ましい。
本発明では、式(1)で表されるアルコキシシランが、ポリシロキサン(A)の製造に使用される全アルコキシシラン中、好ましくは1モル%~20モル%、特に好ましくは2モル%~20モル%含まれ、かつ式(2)で表されるアルコキシシランが、ポリシロキサン(A)の製造に使用される全アルコキシシラン中、10モル%~80モル%、特に好ましくは30モル%~80モル%含まれるのが好ましい。
ポリシロキサン(B)は、式(3)で表されるアルコキシシランを70重量%~100重量%含有するアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンである。
Si(OR5)4 (3)
式(3)中、R5は炭素数1~5のアルキル基を表し、炭素数1又は2が好ましい。
このような式(3)で表されるアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン又はテトラブトキシシランがより好ましく、特に、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランが好ましい。
ポリシロキサン(B)に含まれる式(2)で表されるアルコキシシランとしては、上記ポリシロキサン(A)の製造において用いたアルコキシシランが使用できる。具体例についても、上記と同様である。
R6Si(OR7)3 (4)
式(4)中、R6は、炭素数1~5のアルキル基であり、R7は炭素数1~5のアルキル基を表す。
式(4)で表されるアルコキシシランのR6は、炭素数1~5のアルキル基である。アルキル基の炭素数は1~4が好ましく、より好ましくは1~3である。
式(4)で表されるアルコキシシランのR7は、炭素数1~5のアルキル基であり、好ましくは炭素数が1~3であり、特に好ましくは炭素数1~2である。
特に、式(3)で表されるアルコキシシランの他に、さらに式(4)で表されるアルコキシシランを含有するアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサン(B)を含有する液晶配向剤は、垂直配向力が高く、特に望ましい。
(R8)nSi(OR9)4-n (5)
式(5)中、R8及びR9の構造及び好ましい範囲、式(5)で表されるアルコキシシランの具体例は、前記した通りである。
<ポリシロキサンの製造方法>
本発明においては、上記反応に用いる水の量は、所望により適宜選択することができるが、通常、アルコキシシラン中の全アルコキシ基の0.5倍モル~2.5倍モルであるのが好ましく、1倍モル~2倍モルがより好ましい。
アルコキシシランを重縮合する際に用いられる溶媒(以下、重合溶媒ともいう)は、アルコキシシランを溶解するものであれば特に限定されない。また、アルコキシシランが溶解しない場合でも、アルコキシシランの重縮合反応の進行とともに溶解するものであればよい。一般的には、アルコキシシランの重縮合反応によりアルコールが生成するため、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、又はアルコール類と相溶性の良好な有機溶媒が用いられ、特に好ましくはグリコール類が用いられる。
本発明においては、上記の方法で得られた重合溶液をそのままポリシロキサンの溶液としてもよい。また、必要に応じて、上記の方法で得られた溶液を、濃縮したり、溶媒を加えて希釈したり又は他の溶媒に置換して、ポリシロキサンの溶液としてもよい。
その際、用いる溶媒(以下、添加溶媒ともいう。)は、重合溶媒と同じでもよいし、別の溶媒でもよい。この添加溶媒は、ポリシロキサンが均一に溶解している限りにおいて特に限定されず、一種でも複数種でも任意に選択して用いることができる。
これらの溶媒は、液晶配向剤の粘度の調整、又はスピンコート、フレキソ印刷、インクジェット等で液晶配向剤を基板上に塗布する際の塗布性を向上できる。
本発明においては、本発明の効果を損なわない限りにおいて、ポリシロキサン以外のその他の成分、例えば、無機微粒子、メタロキサンオリゴマー、メタロキサンポリマー、レベリング剤、更に界面活性剤等の成分がポリシロキサンの溶液中に含まれていてもよい。
無機微粒子としては、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子、フッ化マグネシウム微粒子等の微粒子が好ましく、特にコロイド溶液の状態であるものが好ましい。このコロイド溶液は、無機微粒子を分散媒に分散したものでもよいし、市販品のコロイド溶液であってもよい。本発明においては、無機微粒子を含有させることにより、形成される硬化被膜の表面形状及びその他の機能を付与することが可能となる。無機微粒子としては、その平均粒子径が0.001μm~0.2μmであることが好ましく、更に好ましくは0.001μm~0.1μmである。無機微粒子の平均粒子径が0.2μmを超える場合には、調製される塗布液を用いて形成される硬化被膜の透明性が低下する場合がある。
また、レベリング剤及び界面活性剤等は、公知のものを用いることができ、特に市販品は入手が容易なので好ましい。
また、ポリシロキサンに、上記したその他の成分を混合する方法は、ポリシロキサンと同時であっても、後であってもよく、特に限定されない。
本発明の液晶配向剤は、上述したポリシロキサン、必要に応じてその他の成分を含有する溶液である。その際、溶媒としては、上述したポリシロキサンの重合溶媒および添加溶媒からなる群から選ばれる溶媒が用いられる。
液晶配向剤における全ポリシロキサンの含有量は、SiO2換算濃度が好ましくは0.5重量%~15重量%、より好ましくは1重量%~6重量%である。このようなSiO2換算濃度の範囲であれば、一回の塗布で所望の膜厚を得やすく、充分な溶液のポットライフ(可使時間)が得られ易い。
また、本発明の液晶配向剤中における全ポリシロキサンと、必要に応じて加えられるその他の成分との重量比は、99対1~50対50、好ましくは98対2~70対30である。
本発明の液晶配向剤を調製する方法は特に限定されない。本発明に用いるポリシロキサン、必要に応じて加えられるその他の成分が均一に混合した状態であればよい。通常、ポリシロキサンは、溶媒中で重縮合されるので、ポリシロキサンの溶液をそのまま用いるか、ポリシロキサンの溶液に必要に応じてその他の成分を添加することが簡便である。更に、ポリシロキサンの重合溶液をそのまま用いる方法が最も簡便である。
また、液晶配向剤中におけるポリシロキサンの含有量を調整する際には、上述したアルコキシシランの重合溶媒及びポリシロキサンの添加溶媒からなる群から選ばれる溶媒を用いることができる。
本発明の液晶配向膜は、本発明の液晶配向剤を用いて得られる。例えば、本発明の液晶配向剤を、基板に塗布した後、乾燥・焼成を行うことで得られる硬化膜を、そのまま液晶配向膜として用いることもできる。また、この硬化膜は、ラビングしたり、偏光又は特定の波長の光等を照射したり、イオンビーム等の処理をしたり、液晶充填後の液晶表示素子に電圧を印加した状態でUVを照射することも可能である。
具体例を挙げると、ガラス板、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリウレタン、ポリサルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、トリメチルペンテン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、(メタ)アクリロニトリル、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロースなどのプラスチック板などに透明電極が形成された基板を挙げることができる。
液晶配向剤の塗布方法としては、スピンコート法、印刷法、インクジェット法、スプレー法、ロールコート法などが挙げられるが、生産性の面から工業的には転写印刷法が広く用いられており、本発明でも好適に用いられる。
この硬化膜の厚みは必要に応じて選択することができるが、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上であり、液晶表示素子の信頼性が得られ易いので好適である。また、硬化膜の厚みが好ましくは300nm以下、より好ましくは150nm以下であり、液晶表示素子の消費電力が極端に大きくならないので好適である。
本発明の液晶表示素子は、上記の方法により、基板に液晶配向膜を形成した後、公知の方法で液晶セルを作製して得ることができる。
液晶セル作製の一例を挙げると、液晶配向膜が形成された1対の基板を、スペーサーを挟んで、シール剤で固定し、液晶を注入して封止する方法が一般的である。その際、用いるスペーサーの大きさは1μm~30μmであるが、好ましくは2μm~10μmである。
液晶が導入された液晶セルの、両側基板の電極間に電圧を印加した状態でUV照射することにより、配向膜中のアクリル基、メタクリル基等がその場で重合し架橋されることで、液晶ディスプレイの応答速度が速くなる。ここで、印加する電圧は5Vp-p~50Vp-pであるが、好ましくは、5Vp-p~30Vp-pである。照射するUV照射量は、1J(ジュール)~60Jであるが、好ましくは、40J以下である。UV照射量が少ないほうが、液晶ディスプレイを構成する部材の破壊からなる信頼性低下を抑制でき、かつUV照射時間を減らせることで製造上のタクト(稼働量)が上がるので好適である。
液晶表示素子に用いる基板としては、PSA方式の液晶ディスプレイと同様に、片側基板に1μm~10μmのライン/スリット電極パターンを形成し、対向基板にはスリットパターンや突起パターンを形成していない構造においても動作可能であり、この構造の液晶ディスプレイによって、製造時のプロセスを簡略化でき、高い透過率を得ることができる。
透過型の液晶表示素子の場合は、上記のような基板を用いることが一般的であるが、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみに光を反射するアルミニウムのような材料を用いることも可能であり、シリコンウエハー等の不透明な基板も用いることが可能である。
本実施例で用いた化合物における略語は以下のとおりである。
TEOS:テトラエトキシシラン
C18:オクタデシルトリエトキシシラン
ACPS:3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン
MPMS:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
MTES:メチルトリエトキシシラン
HG:2-メチル-2,4-ペンタンジオール(別名:ヘキシレングリコール)
BCS:2-ブトキシエタノール
UPS:3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン
温度計、還流管を備え付けた200mLの四つ口反応フラスコ中で、HGの20.6g、BCSの6.9g、TEOSの18.3g、C18の4.2g、及びACPSの23.4gを混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予め混合しておいたHGの10.3g、BCSの3.4g、水の10.8g及び触媒として蓚酸の1.4gの溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、予め混合しておいたUPS含有量92質量%のメタノール溶液0.6g、HGの0.3g及びBCSの0.1gの混合液を加えた。更に30分間還流させてから放冷して、SiO2換算濃度が12重量%のポリシロキサン溶液を得た。
また、温度計、還流管を備え付けた200mLの四つ口反応フラスコ中で、HGの23.6g、BCSの7.9g、及びTEOSの41.2gを混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予め混合しておいたHGの11.8g、BCSの3.9g、水の10.8g及び触媒として蓚酸の0.2gの溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、予め混合しておいたUPS含有量92質量%のメタノール溶液0.6g、HGの0.3g及びBCSの0.1gの混合液を加えた。更に30分間還流させてから放冷して、SiO2換算濃度が12重量%のポリシロキサン溶液を得た。
得られたポリシロキサン溶液10.0gと、BCSの20.0gを混合し、SiO2換算濃度が4重量%の液晶配向剤中間体(U1)を得た。得られた液晶配向剤中間体(S1)と液晶配向剤中間体(U1)を、3:7の比率(重量比、以下同様である。)で混合し、SiO2換算濃度が4重量%の液晶配向剤[K1]を得た。
温度計、還流管を備え付けた200mLの四つ口反応フラスコ中で、HGの19.9g、BCSの6.6g、TEOSの18.3g、C18の4.2g、及びMPMSの24.8gを混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予め混合しておいたHGの10.0g、BCSの3.3g、水の10.8g及び触媒として蓚酸の1.4gの溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、予め混合しておいたUPS含有量92質量%のメタノール溶液0.6g、HGの0.3g及びBCSの0.1gの混合液を加えた。更に30分間還流させてから放冷して、SiO2換算濃度が12重量%のポリシロキサン溶液を得た。
得られたポリシロキサン溶液10.0gと、BCSの20.0gを混合し、SiO2換算濃度が4重量%の液晶配向剤中間体(S2)を得た。得られた液晶配向剤中間体(S2)と合成例1で得られた液晶配向剤中間体(U1)を、3:7の比率で混合し、SiO2換算濃度が4重量%の液晶配向剤[K2]を得た。
温度計、還流管を備え付けた200mLの四つ口反応フラスコ中で、HGの23.3g、BCSの7.8g、TEOSの39.2g、及びMPMSの2.5gを混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予め混合しておいたHGの11.7g、BCSの3.9g、水の10.8g及び触媒として蓚酸の0.4gの溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、予め混合しておいたUPS含有量92質量%のメタノール溶液0.6g、HGの0.3g及びBCSの0.1gの混合液を加えた。更に30分間還流させてから放冷して、SiO2換算濃度が12重量%のポリシロキサン溶液を得た。
得られたポリシロキサン溶液10.0gと、BCSの20.0gを混合し、SiO2換算濃度が4重量%の液晶配向剤中間体(U2)を得た。合成例1で得られた液晶配向剤中間体(S1)と得られた液晶配向剤中間体(U2)を、3:7の比率で混合し、SiO2換算濃度が4重量%の液晶配向剤[K3]を得た。
合成例2で得られた液晶配向剤中間体(S2)と合成例3で得られた液晶配向剤中間体(U2)を、3:7の比率で混合し、SiO2換算濃度が4重量%の液晶配向剤[K4]を得た。
温度計、還流管を備え付けた200mLの四つ口反応フラスコ中で、HGの23.8g、BCSの7.9g、TEOSの37.1g、及びMTESの3.6gを混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予め混合しておいたHGの11.9g、BCSの4.0g、水の10.8g及び触媒として蓚酸の0.4gの溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、予め混合しておいたUPS含有量92質量%のメタノール溶液0.6g、HGの0.3g及びBCSの0.1gの混合液を加えた。更に30分間還流させてから放冷して、SiO2換算濃度が12重量%のポリシロキサン溶液を得た。
得られたポリシロキサン溶液10.0gと、BCSの20.0gを混合し、SiO2換算濃度が4重量%の液晶配向剤中間体(U3)を得た。合成例1で得られた液晶配向剤中間体(S1)と得られた液晶配向剤中間体(U3)を、3:7の比率で混合し、SiO2換算濃度が4重量%の液晶配向剤[K5]得た。
合成例2で得られた液晶配向剤中間体(S2)と合成例5で得られた液晶配向剤中間体(U3)を、3:7の比率で混合し、SiO2換算濃度が4重量%の液晶配向剤[K6]を得た。
温度計、還流管を備え付けた200mLの四つ口反応フラスコ中で、HGの22.6g、BCSの7.5g、TEOSの39.6gを混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予め混合しておいたHGの11.3g、BCSの3.8g、水の10.8g及び触媒として蓚酸の0.2gの溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して1時間還流させてから放冷して、SiO2換算濃度が12重量%のポリシロキサン溶液を得た。
得られたポリシロキサン溶液10.0gと、BCSの20.0gを混合し、SiO2換算濃度が4重量%の液晶配向剤[L1]を得た。
合成例1で得られた液晶配向剤中間体(S1)と同様にして、液晶配向剤[L2]を得た。
<比較合成例3>
合成例2で得られた液晶配向剤中間体(S2)と同様にして、液晶配向剤[L3]を得た。
合成例1で得られた液晶配向処理剤[K1]を、画素サイズが100ミクロン×300ミクロンで、ライン/スペースがそれぞれ5ミクロンのITO電極パターンが形成されているITO電極基板のITO面にスピンコートした。80℃のホットプレートで2分間乾燥した後、200℃又は220℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。合成例1で得られた液晶配向処理剤[K1]を、電極パターンが形成されていないITO面にスピンコートし、80℃のホットプレートで2分間乾燥した後、上記基板同様に200℃又は220℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。これらの2枚の基板を用意し、一方の基板の液晶配向膜面上に6μmのビーズスペーサーを散布した後、その上からシール剤を印刷した。他方の基板を液晶配向膜面を内側にし、張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。液晶MLC-6608(メルク社製商品名)を、空セルに減圧注入法によって注入し、液晶セルを作製した。
得られた液晶セルの応答速度特性を、後述する方法により測定した。その後、この液晶セルに20Vp-pの電圧を印加した状態で、この液晶セルの外側からUV(波長;365nmバンドパスフィルター使用)を20J照射した。その後、再び応答速度特性を測定し、UV照射前後での応答速度を比較した。その結果を表1に示した。
また、セルの垂直配向性についても、後述する方法により測定し評価した。その結果についてもあわせて表1に示した。
液晶配向処理剤[K1]を合成例2で得られた液晶配向処理剤[K2]に変更した以外は、実施例1と同様にして液晶セルを作製し、応答速度を測定した。その結果を表1に示した。
<実施例3>
液晶配向処理剤[K1]を合成例3で得られた液晶配向処理剤[K3]に変更した以外は、実施例1と同様にして液晶セルを作製し、応答速度を測定した。その結果を表1に示した。
液晶配向処理剤[K1]を合成例4で得られた液晶配向処理剤[K4]に変更した以外は、実施例1と同様にして液晶セルを作製し、応答速度を測定した。その結果を表1に示した。
<実施例5>
液晶配向処理剤[K1]を合成例5で得られた液晶配向処理剤[K5]に変更した以外は、実施例1と同様にして液晶セルを作製し、応答速度を測定した。その結果を表1に示した。
<実施例6>
液晶配向処理剤[K1]を合成例6で得られた液晶配向処理剤[K6]に変更した以外は、実施例1と同様にして液晶セルを作製し、応答速度を測定した。その結果を表1に示した。
液晶配向処理剤[K1]を比較合成例1で得られた液晶配向処理剤[L1]に変更した以外は、実施例1と同様にして液晶セルを作製し、応答速度を測定した。その結果を表1に示した。
<比較例2>
液晶配向処理剤[K1]を比較合成例2で得られた液晶配向処理剤[L2]に変更した以外は、実施例1と同様にして液晶セルを作製し、応答速度を測定した。その結果を表1に示した。
<比較例3>
液晶配向処理剤[K1]を比較合成例2で得られた液晶配向処理剤[L3]に変更した以外は、実施例1と同様にして液晶セルを作製し、応答速度を測定した。その結果を表1に示した。
電圧を印加していない液晶セルに、電圧±4V、周波数1kHzの矩形波を印加した際の、液晶パネルの輝度の時間変化をオシロスコープにて取り込んだ。電圧を印加していない時の輝度を0%、±4Vの電圧を印加し、飽和した輝度の値を100%として、輝度が10%~90%まで変化する時間を立ち上がりの応答速度とした。
垂直配向性の評価については、クロスニコルに配置した2枚の偏光板の間にセルを配置し観察し、黒表示を示しているかどうかで判定した。焼成温度を上げても垂直配向性を示すものほど、垂直配向性が高いとした。
Claims (9)
- 下記のポリシロキサン(A)及びポリシロキサン(B)を含有することを特徴とする液晶配向剤。
ポリシロキサン(A):式(1)で表されるアルコキシシラン及び式(2)で表されるアルコキシシランを含有するアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサン。
R1Si(OR2)3 (1)
(R1はフッ素原子で置換されていてもよい、炭素数8~30の炭化水素基であり、R2は炭素数1~5のアルキル基を表す。)
R3Si(OR4)3 (2)
(R3は、アクリル基、メタクリル基若しくはアリール基で置換された炭素数1~30のアルキル基であり、R4は炭素数1~5のアルキル基を表す。)
ポリシロキサン(B):式(3)で表されるアルコキシシランを70%~100%含有するアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサン。
Si(OR5)4 (3)
(R5は、炭素数1~5のアルキル基を表す。) - ポリシロキサン(B)が、さらに式(2)で表されるアルコキシシランを含有するアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンである、請求項1に記載の液晶配向剤。
- ポリシロキサン(B)が、さらに式(4)で表されるアルコキシシランを含有するアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンである、請求項1に記載の液晶配向剤。
R6Si(OR7)3 (4)
(R6は、炭素数1~5のアルキル基であり、R7は炭素数1~5のアルキル基を表す。) - ポリシロキサン(A)及びポリシロキサン(B)から選ばれる少なくとも一種のポリシロキサンが、さらに、下記式(5)で表されるアルコキシシランを含有するアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンである、請求項1~3のいずれかに記載の液晶配向剤。
(R8)nSi(OR9)4-n (5)
(R8は、水素原子、又はヘテロ原子、ハロゲン原子、アミノ基、グリシドキシ基、メルカプト基、イソシアネート基若しくはウレイド基で置換されていてもよい、炭素数1~12の炭化水素基であり、R9は炭素数1~5のアルキル基であり、nは0~3の整数を表す。) - 前記式(1)で表されるアルコキシシランが、ポリシロキサン(A)に用いられる全アルコキシシラン中、1モル%~20モル%含まれ、かつ前記式(2)で表されるアルコキシシランが、ポリシロキサン(A)に用いられる全アルコキシシラン中、10モル%~80モル%含まれる請求項1~3のいずれかに記載の液晶配向剤。
- 請求項1~5のいずれかに記載の液晶配向剤を基板に塗布し、乾燥し、焼成して得られる液晶配向膜。
- 請求項6に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
- 請求項1~5のいずれかに記載の液晶配向剤を塗布し、焼成された2枚の基板で液晶が挟持された液晶セルに、電圧を印加した状態でUVを照射して得られる液晶表示素子。
- 請求項1~5のいずれかに記載の液晶配向剤を塗布し、焼成した2枚の基板で液晶を挟持し、電圧を印加した状態でUVを照射する液晶表示素子の製造方法。
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