WO2012005088A1

WO2012005088A1 - 媒体処理装置

Info

Publication number: WO2012005088A1
Application number: PCT/JP2011/063497
Authority: WO
Inventors: 慎司大原
Original assignee: 沖電気工業株式会社
Priority date: 2010-07-07
Filing date: 2011-06-13
Publication date: 2012-01-12
Also published as: CN102884553A; JP5633215B2; CN102884553B; JP2012018509A

Abstract

　紙幣処理装置は、受渡しセンサが紙幣の後端を検知した際、後続する紙幣をトリガセンサが検知しなかったときは、ドラムの回転速度を通常巻取り速度から境界速度としての中間待機速度まで減速し、この減速後、安定化時間の経過までにトリガセンサが後続の紙幣を検知しないと、ドラムの回転を停止する。減速後、安定化時間内にトリガセンサが後続の紙幣を検知すると、ドラムの回転速度を通常巻取り速度まで加速する。これによって、２本のテープの間に挟持された紙幣をドラムに巻き付けて収納する際に生じ得るテープの空巻きが低減される

Description

媒体処理装置

　本発明は、媒体の収納および繰出しを処理する媒体処理装置に関し、とくに、ドラムとリール間での誘導テープの巻取り/巻戻しによって紙幣などの媒体を収納したり繰り出したりする媒体処理装置に関するものである。

　従来の紙幣処理装置は、一時保留部に搬送した紙幣を誘導テープとドラムの間に挟持しながら、ドラムをテープの巻取り方向に回転させて、テープとともに紙幣をドラムに巻き取って、処理対象である紙幣を一時的に収納する。具体例には、特開2006－309785号公報に記載の紙幣取扱装置が挙げられる。

　特開2006－309785号公報は、一時保管庫と、ステンレスの薄板製の誘導テープと、誘導テープとともに搬送された紙幣を巻き取る回転ドラムと、誘導テープのみを巻き取る巻取り軸と、誘導テープとともに回転して回転ドラムに紙幣の進入を案内する入口ローラと、入口ローラに対向するバックアップローラとを有する紙幣取扱装置を開示している。

　この紙幣取扱装置において、回転ドラムおよび巻取り軸は、誘導テープのそれぞれの端部を支持している。回転ドラムと巻取り軸は、それぞれ別個の駆動源に接続され、巻取り軸には駆動源との間にトルクリミッタが配設されている。回転ドラムに巻き付く誘導テープの長さは、少なくとも、入出金口からの紙幣を分離する速度、紙幣の搬送速度および入出金口の投入限度枚数から求められる１回の入金計数動作に必要な長さ以上に設定する。

　より具体的には、入金口の１回の投入限度枚数を100枚、分離速度約10枚/秒、および搬送速度約1.6m/秒での搬送を仮定すると、誘導テープの長さは、少なくとも6m/秒×100枚÷10枚/秒＝16mを要する。通常、この長さにマージンを加えた長さに設定することが望ましい。したがって、１取引で２回までの投入を許容して計200枚の取扱いが可能な装置の場合、この長さは、１回の入金口の投入限度枚数にマージンを加えて2.5倍の枚数の紙幣を収容可能な長さ、すなわち6m/秒×250枚÷10枚/秒=40mに、さらに5mのマージンを含めた45mに設定する。

　また、一時保管庫には、初期位置センサおよびニア満杯センサが取り付けられている。初期位置センサは誘導テープの初期位置を検出するものである。また、ニア満杯センサは、繰出し中の誘導テープの余長が少なくなったことを検出するものである。入口ローラには、エンコーダが取り付けられている。エンコーダは、誘導テープの初期位置を基準として現在の誘導テープの巻取り量を検出するものである。また、紙幣搬送路上には、入口ローラより回転ドラム側に一時保管庫通過センサが取り付けられている。

　一時保管庫通過センサは、誘導テープの両側に設けた２つのセンサで構成すれば、紙幣の傾きを検出でき、これによって還流不能の紙幣を判別してこれをリジェクト庫に収納することが可能である。入金取引前、誘導テープは、初期位置まで巻取り軸側に巻き取られている。入金紙幣を一時保管庫に取り込む際、回転ドラムは、誘導テープを巻き取る方向に、誘導テープの走行速度が紙幣の進入速度とほぼ等しくなるよう回転させ、これによって入金紙幣を順次回転ドラムに巻き取る。

　これに対して、巻取り軸は、誘導テープを巻き取る方向に、すなわち誘導テープに張力を架けるように別の駆動源によりトルクリミッタを介して駆動される。これによって誘導テープは、弛むことなく回転ドラムへ紙幣とともに巻き取られる。その際、紙幣は、入金紙幣判別部で券種等が判別されて回転ドラムに巻き取られ、制御部は、一時保管庫への紙幣の進入を監視しながら１枚ごとに券種情報を記憶する。一時保管庫に収納された紙幣について入金取引が成立すると、回転ドラムは逆回転され、巻取り軸は、巻き取り方向にトルクリミッタを介して誘導テープに張力を架ける。これにより、巻き取られた紙幣は、収納時とは逆の順に紙幣搬送路に送出される。

　ところで、紙幣の計数処理速度を向上させるために紙幣の搬送間隔を短くすると、搬送中にエラーによるリジェクト紙幣が発生して搬送を中断しなければならないことがある。このような中断で一時保留部のドラムの回転を停止させてしまうと、再起動後、ドラムの回転速度が通常の巻取り速度に達するまでに時間がかかり、紙幣の搬送速度より遅いままのことがある。

　上述した従来の技術では、搬送路の途中にあった紙幣を一時保留部のドラムに正常な状態で巻き付けるには、リジェクト紙幣が発生した場合でもドラムを停止せずに回転し続ける必要がある。しかし、そうすれば紙幣を担持しないままテープが巻き取られるテープの空巻きが発生することがある。空巻きが生じると、紙幣処理装置は、一時保留部に収納した紙幣を後に繰り出すのに余分な時間を要し、したがって紙幣全体の計数処理に時間がかかってしまう。また、空巻きが多くなると、テープの走行距離が増える。そこで、テープ自体の耐久性を確保するためには、コストがかかってしまうという問題も生じる。

　本発明は、誘導テープの空巻きを最小化した媒体処理装置を提供することを目的とする。より具体的には、本発明は、２本の誘導テープの間に挟持した媒体をドラムに巻き付けて収納する際に生ずることのあるテープの空巻きを低減させる媒体処理装置を提供することを目的とする。

　本発明によれば、平板状の媒体を搬送する搬送路と、搬送路を搬送された媒体を一時的に収納する一時保留部と、一時保留部から搬送路を通して搬送される媒体を集積する集積部とを含む媒体処理装置において、一時保留部は、少なくとも１本のテープに媒体を担持して搬送路との間で媒体の受渡しを行うテープ給送機構と、テープの一端が取り付けられ、テープに媒体を挟持してテープを巻き取ることで媒体を収納する回転ドラムと、ドラムに向けて搬送されてきた媒体を検知する第１のセンサとを含み、媒体処理装置はさらに、一時保留部に向かって搬送される媒体の搬送方向において一時保留部より上流側に配設され媒体を検知する第２のセンサと、媒体に後続する後続媒体を検知したか否かを判断し、判断に応じてドラムの回転速度を制御する制御部とを含み、制御部は、媒体を第１の速度で搬送するようドラムの回転を制御し、第１のセンサが媒体の後端を検知しかつ第２のセンサが後続媒体を検知しなかったときは、ドラムの回転速度を第１の速度から第１の速度より低い第２の速度へ向かって減速し、減速の開始から所定の時間を経過するまでに第２のセンサが後続媒体を検知しないときは、ドラムの回転を停止し、所定の時間内に第２のセンサが後続媒体を検知すると、ドラムの回転速度を第１の速度へ向かって加速するよう制御する。

　本発明の紙幣処理装置によれば、第１のセンサで先行する紙幣の後端を検知したときに、後続の紙幣が無ければドラムの回転速度を第２の速度まで減速し、減速後、再度、後続の紙幣の有無を確認して、後続の紙幣が無ければ、ドラムの回転を停止制御させる。これによって、テープの空巻きが低減され、テープの空巻きに起因して紙幣の計数処理時間が長引くことを回避される。さらに、空巻きの低減によって、高耐久性テープを使用しないで済み、そのためコストが低減されるという効果が得られる。

　本発明の目的と特徴は、以下の添付図面を参照した詳細な説明を考慮することで、さらに明らかになる。
本発明に係る紙幣処理装置の実施例の概略的な構成を示す概念的側断面図、図１に示す一時保留部の概略的な構成を示す概念的側断面図、図１に示す実施例における駆動制御機構の概略的な構成を示すブロック図、同実施例において紙幣の収納動作における減速処理までの手順を示すフローチャート、図4Aに続き、紙幣の一時収納までの動作手順を示すフローチャート、同実施例において経過時間に応じた被搬送紙幣の位置、および部分的に紙幣収納ドラムの速度を示す組合せグラフ図である。

　次に添付図面を参照して本発明による媒体処理装置を紙幣処理装置に適用した実施例を詳細に説明する。実施例の紙幣処理装置10は、図１に示すように全体として、紙幣入出金部12、紙幣鑑別部14、一時保留部18、集積部20およびリジェクト庫22を含み、これらの構成要素にシート状の媒体、たとえば紙幣を搬送するように搬送路24が設けられている。本実施例はとりわけ、少なくとも１本、好ましくは２本のテープ48および50（図２）の間に挟持した紙幣を紙幣収納ドラム30に巻き付ける際、搬送路24において紙幣の後端を検知した後、後続する紙幣を検知しなかったときは、紙幣収納ドラム30の回転速度を通常巻取り速度から境界速度としての中間待機速度まで減速し、減速後、所定の安定化時間の経過まで後続の紙幣を検知しなかったとき、ドラム30の回転を停止し、これに対して安定化時間内に後続の紙幣を検知すると、ドラムの回転速度を通常巻取り速度まで加速するように構成されている。このような制御を行うために、紙幣処理装置10は、制御部28、トリガセンサ16および受渡しセンサ46を有し、これによってテープ48および50の空巻きを低減させるとともに、紙幣の計数処理にかかる時間を短縮することができる。

　紙幣処理装置10は、図示しないが、紙幣入出金部12の操作し易い高さに設けられた紙幣投入口を有し、さらに、たとえば紙幣投入口とほぼ同じ高さにほぼ水平位置に配置された接客部を有する。接客部は、液晶ディスプレイ等の表示部および操作ボタン等の入力部を含むマン・マシンインターフェース部であり、好ましくは、タッチパネル等の操作機能を表示機能と一体的に有するとよい。

　本実施例では、取り扱う媒体は紙幣であるが、これは一例にすぎず、本発明はこれに限定されない。取り扱う媒体は、平板状、たとえばシート状の、好ましくは全体として矩形の平面形状を有する可撓性媒体、たとえば、紙幣の他に、キャッシュカードやクレジットカードなどの磁気カードまたはIC（集積回路）カード、銀行通帳、有価証券、金券、交通機関や催事の利用券、つまり乗車券、乗船券、搭乗券、入場券、クーポン券であってもよい。

　さて、紙幣入出金部12は、紙幣を集積して収納する収納空間を備え、紙幣投入口に投入された紙幣を受け入れて収納する機能を有する。紙幣入出金部12にはまた、この収納空間に紙幣を圧接するビルプレスや、収納空間内に一部が突出するように配されて紙幣を分離する繰出しローラなどを含む紙幣分離機構（図示せず）も配設されている。この紙幣分離機構は、収納した紙幣をビルプレスによって繰出しローラに押圧し、繰出しローラを回転させることで、紙幣を搬送路24に繰り出す機能を有する。

　紙幣入出金部12はさらに、入金取引時に後述の紙幣鑑別部14で偽券や券種不明と鑑別されたリジェクト紙幣や、搬送エラー発生時に搬送路24に繰り出されている紙幣等、返却対象の紙幣を収納空間に集積し、顧客にそれらの紙幣を返却する返却部としても機能する。

　搬送路24は、紙幣入出金部12から繰り出された紙幣を紙幣処理装置10内の各部に搬送する機能を有する。搬送路24には、途中にブレード26が設けられている。ブレード26は、後述の制御部28によって制御され、紙幣の搬送方向を切り替える可動部材である。

　紙幣鑑別部14は、搬送される媒体の真正性や種別、たとえば紙幣の真偽や正損、券種等を鑑別し、鑑別した紙幣の枚数を券種ごとに計数する機能を有する。紙幣鑑別部14は、紙幣入出金部12および集積部20のうちのいずれかから搬送された紙幣を鑑別して、トリガセンサ16を通る経路に送り出し、送り出された紙幣は、鑑別結果に応じて一時収納部18またはリジェクト庫22に送られる。紙幣鑑別部14はまた、一時収納部18から搬送される紙幣を鑑別し、鑑別結果と出力指示先の両方に応じて紙幣入出金部12、集積部20およびリジェクト庫22のいずれかに送り出す。

　トリガセンサ16は、紙幣の搬送または通過を検知する機能を有し、本実施例では、好ましくは光ビームを生成する発光部16aおよびこれを受光する受光部16bの組合せからなる光学センサである。トリガセンサ16は、図１に示すように、入金紙幣の搬送方向Ｃにおける紙幣鑑別部14の下流側に配設されている。トリガセンサ16は、紙幣鑑別部14で鑑別して一時保持部18に搬送される紙幣の通過の有無を検知し、検知結果を後述の駆動制御機構52に含まれる制御部28に供給する。

　一時保留部18は、鑑別された紙幣を一時的に保管する機能を有する。一時保留部18の各構成要素について、後に詳述する。

　集積部20は、本実施例では、それぞれ所定の券種ごとに紙幣を所定の収納枚数まで集積可能な５つの収納庫20a、20b、20c、20dおよび20eを含み、それらが本装置10の筐体（図示せず）内に水平方向に１列に並べて配設されている。本実施例は５つの収納庫を有しているが、この数に限定さないことは言うまでもない。リジェクト庫22は、たとえば、券種を鑑別できたがしわや欠損等により釣銭として再利用することができない紙幣、すなわちリジェクト紙幣を収納する機能を有する。

　制御部28は、概略的には、搬送路24に設けられた各センサより受けた被搬送紙幣の検知の有無を表わす検知情報を基に一時保留部18への紙幣の搬送を制御する機能を有する。紙幣の搬送制御はとりわけ、一時保留部18における紙幣収納ドラム30を回転させるモータ（図示せず）の駆動速度を制御することによって行われる。これについては後に詳述する。

　次に一時保留部18の構成について図２を参照しながら記述する。当然ながら、同様の要素は同じ参照符号で示す。一時保留部18は、ドラム30、リール32および34、アイドラ36、38および40、搬送ローラ42、受渡しローラ44、ならびに受渡しセンサ46を備え、受渡しセンサ46を除くこれら構成要素には誘導テープ48および50が巻回している。

　紙幣収納ドラム30には、誘導テープ48および50の各一端がその周面に固定され、回転に応じてテープ48および50を紙幣とともに周面に巻き付けることによって紙幣を一時的に収納する機能を有する。一方のリール32は、ドラム30の図２における上方に配設されている。他方のリール34は、図２におけるドラム30の下方に配設されている。アイドラ36および38はドラム30とリール32との間に、また他のアイドラ40はドラム30とリール34との間に配されている。リール32および34は、たとえば独立した駆動源によってその駆動軸が駆動され、駆動軸とリール周縁部との間にトルクリミッタが配設されてそれぞれのテープ48および50に張力を掛ける構成をとってもよい。

　搬送ローラ42は、１対のローラによって紙幣を格納する正方向（図１における矢印Ｃに相当）と格納した紙幣を繰り出す逆方向の両方向に紙幣を搬送可能な機能を有し、この機能により、一時保留部18に搬送されてきた紙幣を紙幣収納ドラム30に送り込むだけでなく、ドラム30から送り出された紙幣を搬送路24に受け渡しを実現している。

　受渡しローラ44は、搬送ローラ42とドラム30との間に配置され、搬送ローラ42と同期して回転し、搬送ローラ42によって搬送されてきた紙幣をドラム30に受け渡す。この目的のため、搬送ローラ42と受渡しローラ44は、図示しないギア列等の連動機構と作動的に連結している。

　一方の誘導テープ48は、合成樹脂、好ましくはPET（ポリエチレンテレフタレート）またはポリイミドを含むフィルム状の可撓性長尺状部材である。誘導テープ48は、その一端がドラム30の周面に固着されてこれに巻き付けられ、アイドラ36および38を経由して延伸し、他端がリール32に固着されてこれに巻き付くように配設されている。他方の誘導テープ50は、好ましくは一方の誘導テープ48と同様の材料および形状に形成された可撓性長尺状部材であり、その一端がドラム30の周面に固着されてこれに巻き付けられ、受渡しローラ44から次にアイドラ40を経由して延伸し、他端がリール34に固着されてこれに巻き付くように構成されている。

　また、受渡しローラ44は、テープ50を巻き掛ける周縁部が回転軸に対して自在に空転するように構成されている。このため、受渡しローラ44が回転しても、テープ50の走行は防止される。

　受渡しセンサ46は、搬送ローラ42と受渡しローラ44との間に配置され、紙幣の通過を検知する機能を有する。受渡しセンサ46は、本実施例では、トリガセンサ16と同様に１組の発光部46aおよび受光部46bを有する光学センサであり、発光部46aの形成する光路が搬送路を搬送される紙幣で遮られたことを受光部46bで検出することによって紙幣を検出するように構成されている。受渡しセンサ46の受け渡しローラ44に対する配置関係は、搬送される紙幣の後端部が光路を遮るとき、この紙幣の中央部辺りに受渡しローラ44が接触するような位置をとる。光学センサに代えて、またはこれに加えて接触センサや磁気センサ等の他の動作原理による検出器を受渡しセンサ46に適用してもよい。

　次に紙幣処理装置10を動作させる駆動制御機構52について図３を参照しながら記述する。なお図１には、煩雑さを避けるため駆動制御機構52を示していない。また、信号は、それが伝達される接続線の参照符号で示す。

　駆動制御機構52は、図３に示すように、制御部28、ストレージ54、トリガセンサ16、受渡しセンサ46、巻取りモータ56および受渡しモータ58を含む。

　制御部20は、中央処理装置（CPU）60、メモリ62、ドライバ64およびインタフェース66を含む。制御部20は、メモリ62に格納された制御プログラムに従って装置内各部の動作を制御する機能を有する。制御部20は、ストレージ54とデータをやり取りし、トリガセンサ16および受渡しセンサ46のそれぞれから検出結果を示すデータを受け、巻取りモータ56および受渡しモータ58に駆動信号を供給するように構成されている。

　CPU 60は、ストレージ54からメモリ62に制御プログラムを読み込み、読み込んだ制御プログラムによる制御、ならびにトリガセンサ16および受渡しセンサ46の検出結果に応じた制御の機能を有する。

　ところで、本実施例で特徴的なことは、受渡しセンサ46が紙幣の後端を検知した際、後続する紙幣をトリガセンサ16で検知しなかったときは、ドラム30の回転速度を通常巻取り速度から境界速度としての中間待機速度まで減速し、ドラム30の回転速度を減速後、安定化時間の経過までにトリガセンサ16が後続の紙幣を検知しないと、ドラム30の回転を停止し、また、ドラム30の回転速度を減速後、安定化時間内にトリガセンサ16が後続の紙幣を検知すると、ドラム30の回転速度を通常巻取り速度まで加速することである。これにより、２本のテープ48および50の間に挟持した紙幣をドラム30に巻き付けて収納する際、テープの空巻きが少なくなるとともに、したがって紙幣の計数処理に要する全体時間が短縮される。さらに、空巻きの低減によって高耐久性テープを使用せずに済み、コストを低減させることができる。

　そこで、本実施例のこのような特徴的制御機能を実現させるため、CPU 60は、検知判断機能部60aおよび速度制御機能部60bを含んでいる。検知判断機能部60aは、第１の基準として、受渡しセンサ46で紙幣の後端を検知した際にトリガセンサ16による後続する紙幣の検知がないこと、第２の基準として、ドラム30の回転速度の減速を開始してから所定の長さの安定化時間の経過までにトリガセンサ16による後続の紙幣の検知がないこと、および第３の基準として、所定の長さの監視時間内にトリガセンサ16による後続の紙幣の検知の有無を判断する機能を有する。安定化時間および監視時間は任意に設定してよく、また監視時間は、安定化時間と少なくとも部分的に重複してもよい。

　速度制御機能部60bは、第１の基準で後続する紙幣を検知しなかったとき、ドラム30の回転速度を通常の巻取り速度から減速し、さらに第２の基準で後続の紙幣を検知しなかったときは、ドラム30の回転を停止し、また第３の基準で後続の紙幣を検知すると、ドラム30の回転速度を通常の巻取り速度まで加速するように、制御信号を生成する機能を有する。CPU 60は、生成した制御信号をドライバ64に供給する。

　検知判断機能部60aおよび速度制御機能部60bは、たとえばソフトウエアで実現される。図３ではCPU 60内の機能ブロックとして示されているが、ソフトウエアとハードウエアの組合せ、またはハードウエアのみで実現してもよい。本明細書において、用語「回路」または「装置」は、単にハードウエアだけでなく、そのようなソフトウエアとハードウエアの組合せやソフトウエアの機能部を示すこともある。

　メモリ62は、好ましくは半導体メモリであり、データやプログラムを記憶する機能を有する。

　ドライバ64は、CPU 60の処理により生成される制御信号に応動して巻取りモータ56および受渡しモータ58のそれぞれに供給する駆動信号を生成する機能を有する。ドライバ64は、生成した駆動信号を巻取りモータ56および受渡しモータ58のそれぞれに供給する。

　インタフェース66は、装置10の外部と有線または無線通信によりデータをやり取りする機能を有する。この機能により、インタフェース66は、たとえば制御プログラムを更新する場合、更新する制御プログラムを受信し、ストレージ54に送ってこれに記憶する。

　ストレージ54は、制御プログラムを格納する他、制御部28による処理結果等を記憶する。ストレージ54はまた、後述の巻取りモータ56によるドラム30の回転に関する設定速度として、通常巻取り速度と、通常巻取り速度より遅い設定速度としての中間待機速度を表わすデータを記憶している。制御部28は、これらの設定速度を基に巻取りモータ56の駆動を制御してドラム30の回転を制御する。

　なお、紙幣の巻取り状態を安定させるために、紙幣を巻き取るとき、速度制御機能部60bは、ドラム30の通常巻取り速度が受渡しローラ44の回転速度より常に大きくなるようにする。また、ドラム30が中間待機速度で回転しているときにトリガセンサ16が後続の紙幣を検知すると、速度制御機能部60bは、ドラム30の回転速度を中間待機速度から通常巻取り速度まで加速させる。このようなドラム30に対する加速処理手順を考慮して、中間待機速度は、トリガセンサ16で検知された紙幣がドラム30へ到達する前に確実に、ドラム30を通常巻取り速度まで加速できるような速度値に設定されている。換言すると、中間待機速度は、トリガセンサ16が後続媒体を検知した時点で通常巻取り速度へ向かって加速に転じて後続媒体がドラム30に到達する前に通常巻取り速度まで加速されることを保証する速度値に設定されている。

　巻取りモータ56は、ドラム30を回転させるための駆動源である。ドラム30、ならびにリール32および34は、図示しないギア列等の連動機構によって互いに同期して回転するように接続されている。ドラム30が巻取りモータ56の駆動によって回転すると、リール32および34も回転する。

　受渡しモータ58は、搬送ローラ42と受渡しローラ44とに作動的に連結された連動機構を動作させる駆動源である。受渡しモータ58は、この連動機構に回転駆動を加えて、搬送ローラ42と受渡しローラ44とを互いに同期して回転させる。

　次に、図4Aおよび図4Bを参照しながら、紙幣処理装置10において紙幣を一時保留部18に収納するまでの動作手順を記述する。本実施例において、搬送する紙幣の相互間隔は、先行する紙幣が受渡しセンサ46に差し掛かったときに後続紙幣がトリガセンサ16の位置に到達するような間隔に設定されている。あわせて、搬送される紙幣の搬送路各部における位置、および関連するドラムの制御についても、図５を参照しながら記述する。

　接客部に設けた操作部（図示せず）によって入金取引を開始する旨が入力され、さらに紙幣入出金部12における紙幣投入口への紙幣の投入を検知すると、制御部28は、投入された紙幣を搬送路24に沿って紙幣鑑別部14に搬送する（ステップS10）。このとき制御部28は、一時保留部18への紙幣巻取りに備え、受渡しモータ58を駆動させる。この駆動により一時保留部18では、搬送ローラ42および受渡しローラ44が回転する。

　ここで図５を参照すると、その縦軸は時間軸であり、鑑別対象の先行紙幣72aの先端がトリガセンサ16に達した時点を原点として経過時間を示す。また横軸は、この例では紙幣鑑別部14のドラム30側の出口を原点として、先行紙幣72aおよび後続紙幣72bの経時的位置すなわち移動距離を表わしている。この横軸の上方にまたは、紙幣識別部14から回転ドラム30までの紙幣搬送路24までの各構成要素の位置が横軸に対応して示され、それらの位置は、構成要素の参照符号にプレフィックスＰを付して示す。そこで、実線68aおよび68bは、搬送される先行紙幣72aおよび後続紙幣72bそれぞれの先端位置の経時的変化を表わしている。

　さらに図５には右下には、実線で囲った矩形の領域が部分5Aとして示されている。部分5Aの縦軸は、図５全体の時間軸と共通の時間を表わし、つまり同じ時間軸である。また横軸は、ドラム30の回転速度を表わしている。これについては、後に詳述する。

　図4Aに戻って、ステップS12において制御部28は、紙幣鑑別部14によって券種を鑑別した紙幣を一時保留部18へ向けて搬送する。紙幣鑑別部14は、紙幣を鑑別した結果を制御部28に供給する。制御部28は、対象紙幣の券種を鑑別できなかった旨を受けたときは、対象紙幣をユーザに返却すべきと判断して位置P26（図５）にあるブレード26を制御する。ブレード26は、制御部28の制御により搬送方向を切り替え、これによって紙幣は紙幣入出金部12に搬送される。このとき、紙幣返却には係員が対応する。

　紙幣鑑別部14において対象紙幣が正券であると鑑別されると、その紙幣の先端をトリガセンサ16の位置P16で検知し、検知結果が制御部28に報知される。これに応動して制御部28は、巻取りモータ56を起動させる制御信号をCPU 60で生成する。CPU 60は、生成した制御信号をドライバ64に供給して、ドライバ64は対応する駆動信号を巻取りモータ56に与える。巻取りモータ56は、供給される駆動信号に応じて起動され、回転する。巻取りモータ56の回転により、テープ48および50は、ドラム30に巻き付く方向に搬送される。これにつれて、ドラム30とリール32および34も回転する。このときのドラム30は、通常巻取り速度で回転する。

　制御部28は、紙幣鑑別部14で正券と鑑別した先行の紙幣72aが一時保留部18に差し掛かってから所定の時間内にトリガセンサ16が後続の紙幣72bを検知したか否かを判断する（ステップS16）。所定の時間は、たとえば、位置P46に配された受渡しセンサ46が紙幣の後端の通過を検知した時からその紙幣が位置P44の受渡しローラ44を通過するまでの移動時間T_Aに実質的に等しく設定してよい。制御部28は、この移動時間T_A内に、一時保留部18に搬送する後続の紙幣72bをトリガセンサ16が検知したか否かを判断する。

　トリガセンサ16で後続紙幣72bを検知すると（YES）、制御部28は紙幣の収納処理ステップS18へ進む。トリガセンサ16で後続する紙幣72bを検知しなかったときは（NO）、制御部28はドラム30の減速処理ステップS20へ移行する。

　制御部28は、トリガセンサ16で後続する紙幣72bを検知すると、紙幣の収納処理ステップS18を実行するように制御する。紙幣の収納処理S18では、ドラム30とリール32および34の回転を維持し、搬送されてきた紙幣を２本のテープ48および50の間に挟んでドラム30に巻き付けて一時保留部18に収納する。収納後、再び後続紙幣の検知判断処理ステップS16へ戻って、後続する紙幣の有無を判断する。

　制御部28は、後続する紙幣72bを検知しなかったときは、ドラム30の減速処理ステップS20を実行する。ドラム30の減速処理S20では、ドラム30の回転速度を、図５の部分5Aに示すように、通常巻取り速度V_ROから中間待機速度V_RMまで減速するよう、制御部28によって巻取りモータ56の駆動を制御する。この減速制御によれば、２枚の紙幣は相互の間隔が短くなる傾向で移動するよう制御される。

　すなわち、制御部28は、先行した紙幣72aをドラム30に巻き付けて一時保留部18に収納した状態とするとともに、減速させたドラム30の回転を安定させるために設けられた所定の長さの安定化時間T_B内では、ドラム30が中間待機速度V_RMで回転するようにドラム30の駆動を制御する。

　次に制御部28は、接続子Ａを介して図4Bに示すステップS22へ進み、紙幣鑑別部14で正券と鑑別した紙幣が搬送されてくるか否かを監視する。

　制御部28は、中間待機速度V_RMでドラム30を回転させて安定化時間T_Bの経過を認識すると、ドラム30を回転させているこれまでの期間にトリガセンサ16で後続する紙幣を検知したか否かを判断する（ステップS22）。後続する紙幣が無いときは（NO）、回転停止処理ステップS24へ進む。これに対して、トリガセンサ16によって後続の紙幣72bを検知すると（YES）、回転加速処理ステップS26へ移行する。

　制御部28は、回転停止処理ステップS24を実行するように制御する。この制御は、後続する紙幣を検知しなかったときにドラム30の回転だけを停止させるものである。後述する図５にはこの停止処理を図示していない。

　制御部28は、後続する紙幣72bをトリガセンサ16で検知すると、回転加速処理ステップS26を実行するように制御する。回転加速処理S26では、ドラム30の回転速度を通常巻取り速度V_ROまで加速させる制御処理を行う。この後、接続子Bを介して制御は、図4Aに示した後続する紙幣72bの検知処理ステップS16に戻る。

　ここで、ドラム30の回転速度と時間の関係について、図５における部分5Aを参照しながら記述する。部分5Aは、前述のように縦軸が図５全体と共通の時間を表わし、また横軸がドラム30の回転速度を表わしている。また、一点鎖線70aおよび70bは、制御部28の駆動制御を受けたドラム30の回転速度を示している。

　ところで、図５の上部に示されている２枚の紙幣、すなわち先行する紙幣72aと後続する紙幣72bは、この例では通常の動作時より間隔を空けて搬送されている。ドラム30の回転速度は、部分5Aにおける一点鎖線70aおよび70bから分かるように、先行の紙幣72aの巻取り到達時における後続紙幣72bの検知の有無に応じて制御部28が回転速度を変えて、通常巻取り速度V_ROから中間待機速度V_RMまで減速し、安定化時間T_Bの経過後、再びこの速度から通常巻取り速度V_ROまで加速するよう制御されている。

　さらに詳述すると、制御部28は、後続する紙幣がトリガセンサ16で検知されないと、位置P30にある先行紙幣72aがさらに搬送されてドラム30に巻き付く。このとき制御部28は、２枚の紙幣の間隔が通常より隔たっていると判断し、ドラム30の回転速度を減速処理S20（図4A）によって通常巻取り速度V_ROから中間待機速度V_RMに低下させ、これによって２枚の紙幣72aおよび72bの間隔は、図５の右下に示す漸近する２本の曲線68aおよび68bから分かるように、狭くなる。なお、同図における符号Ｄは、後続紙幣72bの先端部がセンサ16の光路を遮断しない限界の位置を示している。

　制御部28は、ドラム30の回転速度を中間待機速度V_RMまで減速させて、安定化時間T_Bにわたってこの速度で回転させる。制御部28は、この時点までにトリガセンサ16から後続の紙幣72bの通過が報知されると、直ちに中間待機速度V_RMから通常巻取り速度V_ROまでドラム30の回転速度を加速するよう制御する。この様子を曲線70bで示す。

　図4Bに戻って、ステップS28において制御部28は、ドラム30を停止させてから監視時間T_Mだけ、後続紙幣72bが正券として搬送されてくるか否かをトリガセンサ16で監視する。監視時間T_M内に後続する紙幣72bを検知すると（YES）、加速処理ステップS26へ進む。これに対して、監視時間T_Mが経過しても後続する紙幣が無いときは（NO）、すべての紙幣を鑑別したものと判断し、紙幣の一時保留部18への収納処理を終了する。

　紙幣処理装置10の制御部28は、一時保留部18への紙幣収納の終了後、入金金額を操作者に確認させ、操作者が入金金額の確認コマンドを入力して制御部28がこれを確認すると、正常動作として一時保留部18内の紙幣を集積部20の収納庫20a、20b、20c、20dおよび20eに搬送して券種別に集積し、入金取引処理を終了することになる。

　要約すると、本実施例では、先行する紙幣72aの後端が受渡しセンサ46を通過した後、後続の紙幣72bが無ければドラム30の回転速度を中間待機速度まで減速し、中間待機速度まで減速後、再度、後続の紙幣72bの有無を確認して、それでも後続の紙幣が無ければ、ドラム30の回転を停止する。これにより、テープ48および50の空巻きが低減する。このため、一時保留部18に収納した紙幣を繰り出すときにかかる時間を短縮できるとともに、空巻きが減少すれば、高耐久性のテープを使用せずに済み、コストを低減できる。

　また、出金取引でリジェクト紙幣を一時保留部18に一時的に収納し、後でリジェクト庫に移動させるような処理を行う場合、テープの空巻きが低減されたことで、一時保留部18に収納した紙幣をリジェクト庫に収納する処理にかかる時間も低減される。

　西暦2010年7月7日に出願された日本国特許出願、特願2010-154748号の明細書、請求の範囲、添付図面および要約書を含むすべての開示内容は、この明細書にそのすべてが含まれて、参照される。

　本発明を特定の実施例を参照して説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。いわゆる当業者は、本発明の範囲および概念から逸脱しない範囲で、これらの実施例を変更または修正することができることは、認識されるべきである。

Claims

　平板状の媒体を搬送する搬送路と、該搬送路を搬送された媒体を一時的に収納する一時保留部と、該一時保留部から前記搬送路を通して搬送される媒体を集積する集積部とを含む媒体処理装置において、前記一時保留部は、
　少なくとも１本のテープに前記媒体を担持して前記搬送路との間で該媒体の受渡しを行うテープ給送機構と、
　該テープの一端が取り付けられ、該テープに前記媒体を挟持して該テープを巻き取ることで該媒体を収納する回転ドラムと、
　該ドラムに向けて搬送されてきた媒体を検知する第１のセンサとを含み、
　該媒体処理装置はさらに、
　前記一時保留部に向かって搬送される媒体の搬送方向において前記一時保留部より上流側に配設され、前記媒体を検知する第２のセンサと、
　前記媒体に後続する後続媒体を検知したか否かを判断し、判断に応じて前記ドラムの回転速度を制御する制御部とを含み、該制御部は、
　前記媒体を第１の速度で搬送するよう前記ドラムの回転を制御し、
　第１のセンサが前記媒体の後端を検知し、かつ第２のセンサが後続媒体を検知しなかったときは、前記ドラムの回転速度を第１の速度から第１の速度より低い第２の速度へ向かって減速し、
　減速の開始から所定の時間を経過するまでに第２のセンサが後続媒体を検知しないときは、前記ドラムの回転を停止し、
　前記所定の時間内に第２のセンサが後続媒体を検知すると、前記ドラムの回転速度を第１の速度へ向かって加速するよう制御することを特徴とする媒体処理装置。
　請求項１に記載の装置において、第２の速度は、第２のセンサによって後続媒体を検知した時に第１の速度へ向かって加速に転じて該後続媒体が前記ドラムに到達する前に第１の速度まで加速されることを保証する速度値に設定されていることを特徴とする媒体処理装置。
　請求項１に記載の装置において、前記所定の時間は少なくとも、第１の速度から減速して第２の速度に達するのに要する長さであることを特徴とする媒体処理装置。
　請求項１に記載の装置において、前記テープは２本あり、該２本のテープの間に前記媒体を挟持することを特徴とする媒体処理装置。
　請求項１に記載の装置において、前記媒体は紙幣であり、
　該装置はさらに、前記搬送路の途中に設けられ該紙幣を鑑別する媒体鑑別部を含み、
　前記一時保留部は、該媒体鑑別部によって正券と鑑別された紙幣を一時的に収納し、
　前記制御部は、前記ドラムを制御して該一時保留部に収納した紙幣を券種別に前記集積部に集積することを特徴とする媒体処理装置。