以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1-1.現金自動預払機及の全体構成]
図1に外観を示すように、自動取引装置としての現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関や各種商業施設等に設置され、使用者(すなわち金融機関や商業施設の顧客等)との間で、入金処理や出金処理等の現金に関する取引を行う。
筐体2は、その前側に使用者が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に応対部3が設けられている。応対部3は、使用者との間で例えば現金やカード等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされており、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられている。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、使用者によって入金される紙幣が投入されると共に、使用者へ出金する紙幣が排出される部分である。また入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになっている。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー7は、「0」~「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
以下では、現金自動預払機1のうち使用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、さらに前側に対峙した使用者から見て上下左右をそれぞれ上側、下側、左側及び右側として説明する。
筐体2の内部には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、取引対象である紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)や、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
[1-2.紙幣入出金機の構成]
紙幣入出金機10は、図2に側面図を示すように、内部に媒体としての紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。この紙幣は、例えば紙や樹脂等の材料を用いて形成された長方形の紙葉状媒体であり、紙幣入出金機10内部では、短手方向に搬送されるようになっている。
紙幣入出金機10は、大きく分けて、全体の外側部分を構成する紙幣入出金機フレーム10Fと、紙幣入出金機フレーム10Fの上側部分を占める上部ユニット10Uと、下側部分を占める下部ユニット10Lとにより構成されている。
紙幣入出金機フレーム10Fは、筐体2(図1)の内部に取り付けられている。上部ユニット10U及び下部ユニット10Lは、この紙幣入出金機フレーム10Fに対し、それぞれ前後方向に沿ったスライドレール(図示せず)を介して取り付けられている。このため紙幣入出金機10は、例えば、筐体2の前扉が開放された状態において、紙幣入出金機フレーム10Fから上部ユニット10U及び下部ユニット10Lのそれぞれを前方へ引き出すことができ、また、前方へ引き出した上部ユニット10U及び下部ユニット10Lのそれぞれを後方へ押し込むことにより、紙幣入出金機フレーム10F内に格納することができる。
[1-2-1.上部ユニットの構成]
図2の上部を拡大した図3(A)に示すように、上部ユニット10Uには、全体を統括制御する紙幣制御部20、接客部21、上前搬送部22、鑑別部23、上後搬送部24、一時保留部25及びリジェクト庫26が設けられている。
紙幣制御部20は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部20は、内部にRAMやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。尚、図3(A)に示す紙幣制御部20の位置は、一例であり、上部ユニット10Uの他の位置に設けられていてもよい。
接客部21は、使用者との間で紙幣を受け渡すことにより、使用者に紙幣を入金させたり、使用者に紙幣を出金させたりする部分である。接客部21は、紙幣を収容する収容器30を有している。この収容器30は、上端が入出金口5(図1)と繋がる開口部となっている。接客部21は、収容器30の開口部を可動式のシャッタ31により開放又は閉塞するようになっている。また、接客部21は、収容器30の前端部と接客部21の前側下方に位置する上前搬送部22とを繋ぐ搬送路32、及び収容器30の後端部と接客部21の後方に位置する上後搬送部24とを繋ぐ搬送路33を有している。
この接客部21は、収容器30内に収容された紙幣を1枚ずつに分離しながら図中丸印で示す搬送ローラにより搬送路32に沿って上前搬送部22へと搬送する。また接客部21は、上後搬送部24から搬送されてきた紙幣を、搬送ローラにより搬送路33に沿って収容器30まで搬送し、収容器30内へ放出させるようになっている。
上前搬送部22は、上部ユニット10U内部の前下側に位置しており、1つの分岐箇所を有する搬送路40と、搬送路40の分岐箇所に設けられた、紙幣の搬送経路を切り替える切替器41とを有している。搬送路40は、接客部21の搬送路32、鑑別部23、及び下部ユニット10Lの前部と接続されている。
この上前搬送部22は、紙幣制御部20の制御に従って切替器41を動作させることで、搬送路40をもとに形成される紙幣の搬送経路を、接客部21の搬送路32と鑑別部23を繋ぐ搬送経路、又は鑑別部23と下部ユニット10Lの前部とを繋ぐ搬送経路に切り替える。そして、上前搬送部22は、切り替えた搬送経路に沿って搬送ローラにより紙幣を搬送するようになっている。
鑑別部23は、接客部21の下方且つ上前搬送部22の後方に位置している。鑑別部23は、前方の上前搬送部22及び後方の上後搬送部24と接続された直線状の鑑別搬送路50を有していて、この鑑別搬送路50に沿ってセンサ51が配置されている。センサ51は、例えば紙幣の磁気を読み取る磁気センサ、紙幣の画像を読み取るイメージセンサ、紙幣の厚みを検知する厚みセンサ及び紙幣の走行状態を検出する走行センサ等を組み合せたものとなっている。
鑑別部23は、鑑別搬送路50に沿って搬送ローラにより紙幣を搬送しながら、センサ51から得られる種々の検知結果を紙幣の鑑別結果として紙幣制御部20へ送る。紙幣制御部20は、鑑別部23から送られてくる鑑別結果をもとに紙幣の金種、真偽、正損(損傷しているか否か)等を判断すると共に搬送状態を認識し、得られた結果を基に紙幣の搬送経路や搬送先を決定するようになっている。
上後搬送部24は、接客部21及び鑑別部23の後方に位置している。この上後搬送部24は、3つの分岐箇所を有する搬送路60と、3つの分岐箇所のそれぞれに設けられた、切替器61、62、63を有している。
搬送路60は、接客部21の搬送路33、鑑別部23、一時保留部25、リジェクト庫26、及び下部ユニット10Lの後部と接続されている。この上後搬送部24は、紙幣制御部20の制御に従って3つの切替器61、62、63を動作させることで、搬送路60をもとに形成される紙幣の搬送経路を、鑑別部23と一時保留部25とを繋ぐ搬送経路、鑑別部23と接客部21の搬送路33とを繋ぐ搬送経路、鑑別部23とリジェクト庫26とを繋ぐ搬送経路、又は下部ユニット10Lの後部とリジェクト庫26とを繋ぐ搬送経路に切り替えるようになっている。そして、上後搬送部24は、切り替えた搬送経路に沿って搬送ローラにより紙幣を搬送するようになっている。
一時保留部25は、紙幣をテープとともにドラムに巻き付けるようにして収納するテープ方式であり、上後搬送部24から紙幣が搬送されてくると、この紙幣をドラムの周側面近傍まで搬送して、ドラムを回転させることにより、紙幣をテープと共にドラムの周側面に巻き付けて収納する。また一時保留部25は、紙幣を繰り出す場合、ドラムとテープを巻き取るリールとを紙幣収納時とは逆方向に回転させることで、ドラムの周側面からテープと共に紙幣を引き剥がし、これを上後搬送部24に引き渡すようになっている。
リジェクト庫26は、例えば損傷の程度が大きく出金すべきで無いと判断されたリジェクト紙幣を収納する部分であり、上後搬送部24からリジェクト紙幣が搬送されてくると、このリジェクト紙幣を内部の収納空間へ放出して収納する。
[1-2-2.下部ユニットの構成]
図2の下部を拡大した図3(B)に示すように、下部ユニット10Lの上端部分には、下搬送部27が配置され、この下搬送部27の下方には、下部フレーム28が設けられている。下部フレーム28は、上端が開放された中空の直方体状であり、内部に、再利用(リサイクル)可能な紙幣を収納する4つの紙幣収納庫29(29A、29B、29C、29D)が前後方向に並べて配置されている。
紙幣収納庫29(29A~29D)は、何れも同様に構成されており、上下方向に長い直方体状となっている。各紙幣収納庫29は、紙幣の収納及び繰り出しが可能で、紙幣収納時には、下搬送部27により搬送されてきた紙幣を内部の収納空間に放出して集積する。また、各紙幣収納庫29は、紙幣繰り出し時には、内部の収納空間に集積されている紙幣を上から1枚ずつに分離して上方へと搬送し、下搬送部27に引き渡すようになっている。尚、各紙幣収納庫29は、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されている。
下搬送部27は、4つの分岐箇所を有する搬送路70と、4つの分岐箇所のそれぞれに設けられた、切替器71、72、73、74とを有している。搬送路70は、上前搬送部22、上後搬送部24、及び紙幣収納庫29A、29B、29C、29Dと接続されている。この下搬送部27は、紙幣制御部20の制御に従って4つの切替器71、72、73、74を動作させることで、搬送路70をもとに形成される紙幣の搬送経路を、上前搬送部22と紙幣収納庫29A~29Dのいずれかとを繋ぐ搬送経路、又は上前搬送部22と上後搬送部24とを繋ぐ搬送経路に切り替えるようになっている。そして、下搬送部27は、切り替えた搬送経路に沿って搬送ローラにより紙幣を搬送するようになっている。
[1-3.入金取引時及び出金取引時の動作]
次に、紙幣入出金機10における入金取引時及び出金取引時の動作について簡単に説明する。まず、入金取引時の動作から説明する。入金取引時、紙幣入出金機10は、使用者に入金された紙幣の金種等を鑑別しながら枚数を計数する入金計数処理を行い、その後、各紙幣を適切な収納箇所へ搬送して収納する入金収納処理を行うようになっている。尚、この入金計数処理及び入金収納処理は、紙幣制御部20が各部を制御して行う処理である。
具体的に、紙幣入出金機10は、操作表示部6(図1)を介して使用者から入金取引を開始する旨の操作入力を受け付けると、入金計数処理を開始する。入金計数処理を開始すると、紙幣入出金機10は、接客部21のシャッタ31(図3(A))を開く。その後、紙幣入出金機10は、使用者により収容器30内へ紙幣が投入されると、接客部21のシャッタ31を閉じ、収容器30内の紙幣を1枚ずつに分離して、上前搬送部22を介して鑑別部23へ搬送する。ここで、紙幣入出金機10は、鑑別部23の鑑別結果から正常紙幣として判別された紙幣については、鑑別部23から上後搬送部24を介して一時保留部25へ搬送して収納する。一方で、鑑別部23の鑑別結果から入金に適さない入金リジェクト紙幣として判別された紙幣については、鑑別部23から上後搬送部24を介して接客部21の搬送路33へ搬送し、搬送路33上に退避させる。
そして収容器30内に投入された紙幣を全て繰り出し終えると、紙幣入出金機10は、搬送路33上に退避させている紙幣(つまり入金リジェクト紙幣)を収容器30に戻してシャッタ31を開くことで使用者に返却する。一方で、搬送路33上に退避させている紙幣が存在しない場合、紙幣入出金機10は、入金計数処理を完了する。その後、紙幣入出金機10は、接客部21から取り込んだ紙幣の金種及び枚数の集計結果を基に入金額を算出すると共に、所定の操作指示画面を操作表示部6(図1)に表示させ、使用者に入金額を提示すると共に入金取引を継続するか否かを選択させる。
ここで、使用者により入金取引の中止が指示された場合、紙幣入出金機10は、一時保留部25に収納している全ての紙幣を、上後搬送部24を介して接客部21の収容器30へ戻し、シャッタ31(図3(A)を開くことで使用者に返却する。一方で、使用者により入金取引の継続が指示された場合、紙幣入出金機10は、入金収納処理を開始する。入金収納処理を開始すると、紙幣入出金機10は、一時保留部25に収納している紙幣(つまり正常紙幣)を順次繰り出し、上後搬送部24を介して鑑別部23へ搬送して金種を判別する。そして紙幣入出金機10は、金種が判別された紙幣を、鑑別部23から上前搬送部22及び下搬送部27を順次介して、その金種に対応する紙幣収納庫29へ搬送して収納する。一時保留部25に収納されている全ての紙幣を収納し終えると、紙幣入出金機10は、この入金収納処理を終了する。紙幣入出金機10における入金取引時の動作は、以上のようになっている。
次に、紙幣入出金機10における出金取引時の動作について説明する。出金取引時、紙幣入出金機10は、使用者に指定された金額に応じた金種及び枚数の紙幣を出金する出金処理を行うようになっている。尚、この出金処理も、紙幣制御部20が各部を制御して行う処理である。
具体的に、紙幣入出金機10は、操作表示部6(図1)を介して使用者から出金取引を開始する旨及び出金額を指定する旨の操作入力を受け付けると、出金処理を開始する。出金処理を開始すると、紙幣入出金機10は、出金額に応じた紙幣の金種及び枚数を決定する。そして、紙幣入出金機10は、決定した金種及び枚数に応じて、各紙幣収納庫29から紙幣を1枚ずつ繰り出し、下搬送部27及び上前搬送部22を順次介して鑑別部23へ搬送する。
ここで、紙幣入出金機10は、鑑別部23の鑑別結果から正常紙幣として判別された紙幣については、鑑別部23から上後搬送部24を介して接客部21へ搬送して収容器30内に集積する。一方で、鑑別部23の鑑別結果から出金に適さない出金リジェクト紙幣として判別された紙幣については、鑑別部23から上後搬送部24を介してリジェクト庫26へ搬送して収納する。そして、紙幣入出金機10は、出金額分の紙幣が収容器30内に集積されると、接客部21のシャッタ31を開くことで、収容器30内に集積された紙幣を使用者に取り出させる。紙幣入出金機10における出金取引時の動作は、以上のようになっている。
[1-4.一時保留部の構成]
次に、図4を用いて、紙幣入出金機10の一時保留部25の構成についてさらに詳しく説明する。尚、図4は、一時保留部25の側面図であり、内部構成を分かり易くするために一部を省略したり簡略化したりした模式図となっている。
この図4に示すように、一時保留部25は、略箱型のフレーム80の内部に各部品が取り付けられた構成となっている。フレーム80の内部には、その中央付近に、左右方向に延びる回転軸81Xを中心に回転する円筒状のドラム81が設けられている。ドラム81は、フレーム80内部の上側後端に設けられたドラムモータ82Aからの駆動力が図示しない駆動系によって伝達されることで、図中矢印R1で示す時計回り方向及び図中矢印R2で示す反時計回り方向に回転可能となっている。尚、フレーム80内部の上側後端には、ドラムモータ82Aとは別に、搬送モータ82Bも設けられている。
ドラム81は、その周側面81Sにテープ83(後述する主テープ112及び補助テープ122)とともに紙幣が巻き付けられると、図4の一部を省略した図5に示すように、巻き付けられたテープ83及び紙幣によってドラム81の外周に巻付層81Wが形成される。このとき、ドラム81は、巻付層81Wの厚さの分、見かけ上の径が大きくなる。以下、この見かけ上の径をドラム径とする。また、ドラム81の外周に巻付層81Wが形成されている場合には、巻付層81Wの最外周をドラム81の周側面81Sとする。つまり、ドラム81に紙幣が巻き付けられていくと、ドラム径が大きくなっていくとともに周側面81Sがドラム81の回転軸81Xから離れていくようになっている。
さらに図4に示すように、ドラム81の周囲には、紙幣を案内するガイドとして、下側固定ガイド84、下側可動ガイド85、上側ガイド86及びオープンガイド87が設けられている。
下側固定ガイド84は、ドラム81の前方斜め下に位置していて、フレーム80に固定されている。この下側固定ガイド84は、その上面が平坦でほぼ水平な下側ガイド面となっている。またこの下側固定ガイド84の前側には、紙幣を搬送するための搬送ローラ90が設けられている。この搬送ローラ90は、一部が下側固定ガイド84の下側ガイド面より上方に突出していて、搬送モータ82Bからの駆動力が図示しない駆動系によって伝達されることで、図中時計回り方向及び図中反時計回り方向に回転可能となっている。
下側可動ガイド85は、下側固定ガイド84の後方且つドラム81の下方に位置している。この下側可動ガイド85は、前部の上面が下側固定ガイド84の下側ガイド面を延長したような平坦な下側ガイド面となっていて、前部につづく後部の上面がドラム81の周側面81Sに沿うように湾曲した下側ガイド面となっている。
この下側可動ガイド85の前部前側には、紙幣を搬送するための搬送ローラ91が設けられ、前部後側には、テープ83を走行させるためのテープローラ92が設けられている。また、この下側可動ガイド85の後部には、ドラム81の周側面81Sと当接するドラム当接ローラ93が設けられている。これら搬送ローラ91、テープローラ92、及びドラム当接ローラ93は、それぞれ一部が下側可動ガイド85の下側ガイド面より上方に突出している。これら搬送ローラ91、テープローラ92、及びドラム当接ローラ93は、図中時計回り方向及び図中反時計回り方向に回転可能であり、さらに搬送ローラ91は、搬送モータ82Bからの駆動力が図示しない駆動系によって伝達されるようになっている。
さらに下側可動ガイド85は、その前端部が、下側固定ガイド84の後端部によって左右方向に延びる回転軸を介して回動可能に支持されていて、図示しないスプリングなどにより、ドラム81の周側面81Sに押し付けられる方向(図中時計回り方向)に付勢されている。これにより、下側可動ガイド85は、ドラム径の変化に追従するように回動して、常にドラム当接ローラ93をドラム81の周側面81Sに当接させるようになっている。
上側ガイド86は、下側固定ガイド84の上方に位置している。この上側ガイド86は、下側に位置する紙幣案内部94と、後側に位置する巻付紙幣案内部95と、左右両側に位置する側板部96とで構成されている。紙幣案内部94は、その下面が平坦でほぼ水平な上側ガイド面となっている。上側ガイド86は、紙幣案内部94の上側ガイド面が、下側固定ガイド84の下側ガイド面との間に数mm程度の隙間が空くように配置され、この隙間によって紙幣の搬送路25Yを形成するようになっている。尚、一時保留部25は、上側ガイド86の前端部と下側固定ガイド84の前端部とによって、フレーム80の前面側に紙幣の受渡口25Dを形成するようになっていて、この受渡口25Dを介して、上後搬送部24の搬送路60(図3(A))と接続されるようになっている。そして、一時保留部25は、上後搬送部24の搬送路60に沿って搬送されてくる紙幣を、受渡口25Dから一時保留部25の内部に取り込んだり、内部に取り込んだ紙幣を受渡口25Dから上後搬送部24の搬送路60へと繰り出したりするようになっている。
またこの紙幣案内部94には、下側固定ガイド84の搬送ローラ90と対向する位置に搬送ローラ97が設けられ、下側可動ガイド85の搬送ローラ91と対向する位置に搬送ローラ98が設けられている。搬送ローラ97、98は、それぞれ一部が上側ガイド86の上側ガイド面より下方に突出していて、それぞれの下方に位置する搬送ローラ90、91に押し当てられることで、搬送ローラ90、91と連れ回るようになっている。これら搬送ローラ90と搬送ローラ97、及び搬送ローラ91と搬送ローラ98は、紙幣を間に挟んだ状態で回転することにより、紙幣を搬送路25Yに沿って搬送するようになっている。
巻付紙幣案内部95は、その後面がドラム81の周側面81Sに沿うように湾曲した巻付ガイド面となっている。この巻付ガイド面は、ドラム81に巻き付けられた紙幣をドラム81の周側面81Sに沿って案内するガイド面である。また巻付紙幣案内部95の下端には、テープ83を走行させるためのテープローラ99が設けられている。
側板部96は、紙幣案内部94及び巻付紙幣案内部95の左右両端に位置していて、これら紙幣案内部94及び巻付紙幣案内部95より上方に長く形成されている。また側板部96の上端部には、側板部96の後端側から前方斜め下に向かって延びる連動孔96Hが形成されている。
さらに側板部96は、その後端からドラム81の回転軸81Xに向かって延びる薄板状の支持腕部100を有している。支持腕部100は、その先端部が、回転軸81Xによって回動可能に支持されていて、回転軸81Xを中心に上側ガイド86全体を図中時計回り方向及び反時計回り方向に回転できるようになっている。つまり、上側ガイド86は、回転軸81Xを中心に図中時計回り方向及び反時計回り方向に回転できるようになっている。
オープンガイド87は、全体としてドラム81の半分を覆う大きさの半円筒状であり、ドラム81の上半分を覆うように配置されている。このオープンガイド87は、ドラム81の周側面81Sと対向する内周面が、上側ガイド86の巻付ガイド面を延長したような湾曲した巻付ガイド面となっている。このオープンガイド87は、その後端部がフレーム80によって左右方向に延びる回転軸を介して回動可能に支持されている。これによりオープンガイド87は、後端部を中心に、図中時計回り方向及び反時計回り方向に回転できるようになっている。
また、このオープンガイド87は、左右両側面の前端に、円柱状の連動軸87Xが突設されていて、左右の連動軸87Xが、上側ガイド86の左右の側板部96に設けられた連動孔96Hに挿通されている。これにより、オープンガイド87と上側ガイド86は、互いに連動して回転するようになっている。
具体的にオープンガイド87は、図4に示すように、ドラム81の周側面81Sに近接してドラム81の上半分を覆う位置(これをクローズ位置と呼ぶ)と、図6に示すように、ドラム81の周側面81Sから離間してドラム81の一部を開放する位置(これをオープン位置)との間で、回動可能となっている。
一方で、上側ガイド86は、オープンガイド87がクローズ位置にあるときには、図4に示すように、下側固定ガイド84と近接して下側固定ガイド84とともに搬送路25Yを形成する位置(これをクローズ位置と呼ぶ)にあり、オープンガイド87がオープン位置にあるときには、下側固定ガイド84から離間する位置(これをオープン位置と呼ぶ)にある。つまり、オープンガイド87がクローズ位置とオープン位置との間で回転することにともなって、上側ガイド86もクローズ位置とオープン位置との間で回転するようになっている。
尚、上側ガイド86は、図示しない係合機構によりクローズ位置に固定されるようになっていて、上側ガイド86は、この係合機構による係合が解除されることで、オープンガイド87とともにクローズ位置からオープン位置へ回転できる(つまり開くことができる)ようになっている。
さらに一時保留部25のフレーム80の内部には、図7に斜視図を示すように、左右方向のほぼ中央に1系統の主テープ走行系110が設けられ、その左右両側にそれぞれ補助テープ走行系120が設けられている。尚、図7は、ドラム81、主テープ走行系110及び補助テープ走行系120以外の部分については省略するとともに一部を簡略化した模式図となっている。
主テープ走行系110は、ドラム81の後方斜め下に配置されたリール111とドラム81との間で、主テープ112を走行させるようになっている。リール111は、図4に示すように、円筒状の中心部111Aと、中心部111Aの軸方向の両端に位置していて中心部111Aより大径でなる略円板状の側板部111Bとで構成され、中心軸を左右方向とする向きで設けられている。主テープ112は、その一端がリール111の中心部111Aの周側面に固定されたうえで、リール111に巻回されている。一方、主テープ112の他端は、ドラム81の周側面81Sに固定されている。
またリール111は、ドラムモータ82Aから図示しない駆動系を介して駆動力が伝達されることにより主テープ112を巻き取る方向に回転するようになっている。またリール111は、主テープ112が引き出されると、これにともなって巻き取る方向とは逆方向に回転するようにもなっている。尚、ドラムモータ82Aの駆動力をドラム81及びリール111へと伝達する駆動系は、ドラム81の周速よりリール111の周速の方が速くなるように設計されている。そしてドラム81とリール111の周速差を、リール111側に設けられたトルクリミッタ111Cで吸収するようになっている。これにより、一時保留部25では、リール111に主テープ112を巻き取る際に、主テープ112に一定の張力が発生するようになっている。
主テープ112は、図7に示すように、リール111から前方斜め下へと引き出されて、ローラ113、ローラ114へと順に掛け渡された後、ローラ114により後方斜め上に折り返される。つづけて主テープ112は、テープローラ92に掛け渡された後、ドラム81の周側面81Sへと進行する。さらに主テープ112は、周側面81Sに沿ってドラム81の周囲を約3/4周した地点で、周側面81Sから一度引き離されて前方斜め下へ向かい、テープローラ99により後方に折り返された後、再び周側面81Sへと進行してドラム81に巻き付けられる。
ここで、主テープ112は、ローラ114によりドラム81側へ折り返された部分と、テープローラ99によりドラム81側へ折り返された部分とが、テープローラ92とドラム81の周側面81Sとの間で上下に重なるようになっている。そして、主テープ112は、この上下に重なる部分で紙幣BLを挟持して前後方向に搬送するようになっている。尚、この上下に重なる部分を、主テープ112の紙幣搬送部分112Tと呼ぶ。
一方、補助テープ走行系120は、ドラム81の後方斜め下に配置されたリール121とドラム81との間で、補助テープ122を走行させるようになっている。リール121は、リール111と同様、図4に示すように、中心部121Aと、中心部121Aの軸方向の両端に位置していて中心部121Aより大径でなる略円板状の側板部121Bとで構成され、中心軸を左右方向とする向きで設けられている。補助テープ122は、その一端がリール121の中心部121Aの周側面に固定されたうえで、リール121に巻回されている。一方、補助テープ122の他端は、ドラム81の周側面81Sに固定されている。
またリール121も、ドラムモータ82Aから図示しない駆動系を介して駆動力が伝達されることにより補助テープ122を巻き取る方向に回転するようになっている。またリール121は、補助テープ122が引き出されると、これにともなって巻き取る方向とは逆方向に回転するようにもなっている。尚、ドラムモータ82Aの駆動力をリール121へと伝達する駆動系も、ドラム81の周速よりリール121の周速の方が速くなるように設計されていて、その周速差を、リール121側に設けられたトルクリミッタ121Cで吸収するようになっている。これにより、一時保留部25では、リール121に補助テープ122を巻き取る際に、補助テープ122に一定の張力が発生するようになっている。
補助テープ122は、図7に示すように、リール121から前方斜め下へと引き出されて、ローラ123、ローラ124へと順に掛け渡された後、ローラ124により後方斜め上に折り返される。つづけて補助テープ122は、テープローラ92に掛け渡された後、ドラム81の周側面81Sへと進行する。ここで補助テープ122は、主テープ112とは異なり、そのままドラム81に巻き付けられる。
さらに図4に示すように、一時保留部25のフレーム80の内部には、受け渡しセンサ130、ジャム検知センサ131、ドラム残留センサ132、ガイド開閉センサ133、及びリール回転検知センサ134が設けられている。
受け渡しセンサ130は、例えば発光部の発光面と受光部の受光面を対向配置した構成となっている。この受け渡しセンサ130は、発光面から延びる光軸が搬送路25Yを受渡口25D近傍(例えば搬送ローラ90と搬送ローラ91との間)で上下方向に通過するように配置されている。よって、この受け渡しセンサ130は、受渡口25D近傍の搬送路25Y上に紙幣が存在しなければ、発光部から発せられた光が受光部まで届くことで出力結果が「明」となり、受渡口25D近傍の搬送路25Y上に紙幣が存在していれば、発光部から発せられた光が紙幣により遮られることで出力結果が「暗」となるように動作する。紙幣制御部20は、この受け渡しセンサ130の出力結果をもとに、搬送路25Yの受渡口25D近傍に紙幣が存在するかどうかを判断するようになっている。
ジャム検知センサ131も、受け渡しセンサ130と同様、発光部と受光部とを有する構成であり、光軸が搬送路25Yをドラム81近傍で上下方向に通過するように配置されている。このジャム検知センサ131は、ドラム81近傍の搬送路25Y上にジャム紙幣が存在しなければ、出力結果が「明」となり、ドラム81近傍の搬送路25Y上にジャム紙幣が存在すれば、出力結果が「暗」となるように動作する。紙幣制御部20は、このジャム検知センサ131の出力結果をもとに、搬送路25Yのドラム81近傍にジャム紙幣が存在するかどうかを判断するようになっている。
ドラム残留センサ132も、受け渡しセンサ130と同様、発光部と受光部とを有する構成となっている。ドラム81は、主テープ112が巻き付けられる部分と補助テープ122が巻き付けられる部分との間の部分に、ドラム81の周側面81Sに沿って図示しない溝が設けられている。つまり、ドラム81は、この溝の部分が、他の部分より径が小さくなっている。ドラム残留センサ132は、光軸がドラム81の溝内を前後方向に通過するように配置されている。このドラム残留センサ132は、ドラム81に巻き付けられている紙幣が存在しなければ、出力結果が「明」となり、ドラム81に巻き付けられている紙幣が存在すれば、出力結果が「暗」となるように動作する。紙幣制御部20は、このドラム残留センサ132の出力結果をもとに、ドラム81に巻き付けられている紙幣が存在するかどうかを判断するようになっている。
ガイド開閉センサ133も、受け渡しセンサ130と同様、発光部と受光部とを有する構成となっている。上側ガイド86は、上述したように、図示しない係合機構によりクローズ位置に固定されるようになっている。ガイド開閉センサ133は、上側ガイド86がクローズ位置にあるときに、発光部から発せられた光が、係合機構に設けられたディテクタにより遮られる位置(例えば搬送ローラ90と搬送ローラ91との間)に配置されている。このガイド開閉センサ133は、上側ガイド86がクローズ位置にあるときには、発光部から発せられた光が遮られることで出力結果が「暗」となり、上側ガイド86がクローズ位置にないときには、発光部から発せられた光が受光部まで届くことで出力結果が「明」となるように動作する。紙幣制御部20は、このガイド開閉センサ133の出力結果をもとに、上側ガイド86及びオープンガイド87がクローズ位置にあるかどうか(つまりクローズしているかどうか)を判断するようになっている。
リール回転検知センサ134も、受け渡しセンサ130と同様、発光部と受光部とを有する構成となっている。主テープ走行系110のリール111は、図4に示すように、例えば左右の側板部111Bのどちらか一方の外周部に、周方向に一定の間隔を空けて複数の切り欠き140が設けられている。リール回転検知センサ134は、発光部と受光部との間に、切り欠き140が設けられている側板部111Bの外周部が位置するように配置されている。このリール回転検知センサ134は、リール111が回転している間、発光部から発せられた光が、リール111の側板部111Bの外周部により遮られているときには出力結果が「暗」となり、発光部から発せられた光が側板部111Bの切り欠き140を通って受光部まで届いているときには出力結果が「明」となるように動作する。紙幣制御部20は、このリール回転検知センサ134の出力結果をもとに、例えばリール111の回転速度(単位時間当たりの回転数)を算出する。
ところで、例えば、リール111に主テープ112を巻き取る際に、ジャム紙幣が抵抗になるなどして主テープ112に何らかの外力が加わると、トルクリミッタ111Cによって主テープ112にかかる張力が弱まり(もしくはなくなり)、主テープ112がたるんでしまう。このように、主テープ112にたるみが発生すると、リール111の回転速度が規定値より遅くなったりリール111が停止したりする。そこで、紙幣制御部20は、算出したリール111の回転速度が規定値であるかどうかをもとに、主テープ112にたるみが発生しているかどうかを判断するようになっている。一時保留部25の構成は、以上のようになっている。
ここで、このような構成の一時保留部25の動作について簡単に説明する。尚、この動作は、上側ガイド86及びオープンガイド87がクローズしている状態で、紙幣制御部20の制御に基づいて行われる動作である。一時保留部25は、紙幣を収納する場合、ドラム81を図4に矢印R1で示す図中時計回り方向へ回転させることにより主テープ112(図7)及び補助テープ122(図7)を走行させる。またこのとき一時保留部25は、搬送ローラ90、91を図4中反時計回り方向へ回転させる。これにより、一時保留部25は、上後搬送部24から受渡口25Dへと搬送されてきた紙幣を、搬送路25Yに沿って後方(つまりドラム81側)へと搬送する。
後方へと搬送された紙幣は、図7に示すように主テープ112の紙幣搬送部分112Tにより長手方向の中央部分を挟持され、そのまま主テープ112とともにドラム81の周側面81Sに巻き付けられる。このとき、一時保留部25は、左右の補助テープ122により紙幣の長手方向の両側部分をドラム81の周側面81Sに押さえ付けながら、主テープ112及び紙幣とともにこの補助テープ122もドラム81の周側面81Sに巻き付けていく。このように、一時保留部25は、主テープ112及び補助テープ122とともに紙幣をドラム81の周側面81Sに巻き付けて収納する。
一方、収納した紙幣(つまりドラム81に巻き付けた紙幣)を繰り出す場合、一時保留部25は、リール111、121を図4中反時計回り方向へ回転させるとともにドラム81も図4に矢印R2で示す図中反時計回り方向へ回転させることにより、主テープ112(図7)及び補助テープ122(図7)を収納時とは逆方向へ走行させる。またこのとき、一時保留部25は、搬送ローラ90、91を図4中時計回り方向へ回転させる。これにより、一時保留部25は、図7に示すようにドラム81の周側面81Sに巻き付けられている紙幣を、主テープ112の紙幣搬送部分112Tにより挟持したまま周側面81Sから引き剥がした後、搬送路25Y(図4)に沿って前方(つまり受渡口25D側)へと搬送する。そして、この紙幣は、受渡口25D近傍の搬送ローラ90、97により、受渡口25Dから一時保留部25の外部に位置する上後搬送部24へと引き渡される。このように、一時保留部25は、ドラム81の周側面81Sに巻き付けられている紙幣を周側面81Sから引き剥がして、受渡口25Dから繰り出す。
[1-5.一時保留部のスライド機構]
さらに、紙幣入出金機10は、一時保留部25を図3(A)に示す位置(この位置をクローズ位置と呼ぶ)から後方にスライドさせることが可能となっていて、一時保留部25を後方にスライドさせて一時保留部25の受渡口25Dを上後搬送部24の搬送路60から離間できるようになっている。ここで、図8及び図9を用いて、一時保留部25のスライド機構について説明する。尚、図8(A)は、一時保留部25がクローズ位置にあるときの(つまりクローズしている)上部ユニット10Uの後面図であり、図8(B)は、一時保留部25がクローズ位置にあるときの上部ユニット10U後部の側面図である。図9(A)、(B)は、上部ユニット10U後部の側面図であり、一時保留部25がクローズ位置からスライドしていく様子を示している。これら図8、図9は、それぞれ一部を省略したり簡略化したりした模式図となっている。
図8(A)、(B)に示すように、クローズ位置にある一時保留部25は、フレーム80の前面が上後搬送部24と対向し、フレーム80の底面がリジェクト庫26と対向し、フレーム80の左側面と右側面が、上部ユニット10Uの左側面フレーム150Lと右側面フレーム150R(図8(B)では省略)とで覆われ、フレーム80の上面と後面が露出した状態となる。このとき、一時保留部25の受渡口25Dは、上後搬送部24の搬送路60と通じる受渡口24Dと連結される。これにより、クローズ位置にある一時保留部25は、保留部内搬送路としての搬送路25Yと保留部外搬送路としての搬送路60とが接続されて、搬送路25Yと搬送路60との間で紙幣の搬送が可能な接続状態となっている。
一時保留部25のフレーム80には、図8(A)に示すように、フレーム80の底面を覆う底板部160Bと、フレーム80の左右両側面の下部を覆う左右の側板部160L、160Rとで構成された、断面コの字型の板金フレーム160が固定されている。この板金フレーム160は、前後方向の長さがフレーム80より長く、前端がフレーム80の前面より前方に突出している。さらに、板金フレーム160は、左右の側板部160L、160Rのそれぞれの前端部に、前端部の外側面から外側に突出する円柱状のスライド軸160Sが突設されている。さらに左右の側板部160L、160Rは、それぞれ前後方向のほぼ中央に上方に突出する突出部が設けられていて、この突出部に、突出部の外側面から外側に突出する円柱状の回転軸160Xが突設されている。
上部ユニット10Uには、一時保留部25がクローズ位置にあるときの左側の側板部160Lと左側面フレーム150Lとの間、及び右側の側板部160Rと右側面フレーム150Rとの間に、前後方向の長さが側板部160L、160Rと同程度の支持板部151L、151Rが設けられている。左右の支持板部151L、151Rは、それぞれ前後方向に延びるスライド孔151Hが形成されていて、このスライド孔151Hに、一時保留部25の側板部160L、160Rに設けられたスライド軸160Sが挿通されている。これにより、支持板部151L、151Rは、一時保留部25を前後方向にスライド可能に支持する。
また上部ユニット10Uには、左側面フレーム150Lと右側面フレーム150Rのそれぞれの後部下端の内側面に、内側に突出する円柱状の回転軸150Xが突設されている。さらに上部ユニット10Uには、左側面フレーム150Lと右側面フレーム150Rのそれぞれの回転軸150Xを中心に図8(B)に矢印R3で示す反時計回り方向及びその逆方向である時計回り方向に回転可能な支持腕部152L、152Rが設けられている。これら左右の支持腕部152L、152Rは、左側面フレーム150L、右側面フレーム150Rの回転軸150Xから、一時保留部25の左右の側板部160L、160Rの回転軸160Xまで延びていて、回転軸160Xと回転可能に連結されている。これにより、支持腕部152L、152Rは、回転軸150Xを中心に、一時保留部25を図8(B)中反時計回り方向及び時計回り方向に回転可能に支持する。
このように、一時保留部25は、前端側に位置するスライド軸160Sを介して、支持板部151L、151Rにより前後方向にスライド可能に支持されているとともに、スライド軸160Sより後方に位置する回転軸160Xを介して、支持腕部152L、152Rにより図8(B)中反時計回り方向及び時計回り方向に回転可能に支持されている。一時保留部25のスライド機構は、以上のようになっている。
上部ユニット10Uは、このようなスライド機構により、一時保留部25をクローズ位置から後方へと回転させながら引き出すことができ、また引き出した一時保留部25を、前方へと押し込んでクローズ位置へ戻すことができるようになっている。尚、一時保留部25は、常に露出するフレーム80の一面(例えば上面)に、図示しない窪み又は取手が設けられていて、この窪み又は取手に手をかけることで、容易に引き出したり押し込んだりすることができるようになっている。
具体的に、一時保留部25は、クローズしている状態で、例えば作業員により後方に引っ張られると、図9(A)、(B)に示すように、回転軸160Xの移動軌跡が回転軸150Xを中心とする円弧状となり、スライド軸160Sの移動軌跡がスライド孔151Hに沿った直線状となるように後方へと回転しながら引き出され、一時保留部25の受渡口25Dが、上後搬送部24の受渡口24Dから離れていく。このとき、一時保留部25は、回転軸160Xとスライド軸160Sとの位置関係から、途中までは、前端側が後端側より下方に位置するように傾きながら引き出され、その後、後端側が前端側より下方に位置するように傾きながら引き出されていく。
一時保留部25は、図9(B)に示すように、最後まで引き出されると、このとき、リジェクト庫26の上部を開放するようになっている。このときの一時保留部25の位置をフルオープン位置と呼ぶ。上部ユニット10Uでは、一時保留部25をこのフルオープン位置まで引き出すことで、リジェクト庫26を上方に持ち上げて上部ユニット10Uから取り出すことができるようになっている。作業員は、このようにして上部ユニット10Uからリジェクト庫26を取り出した後、リジェクト庫26に設けられた図示しない扉を開けて内部に収納されている紙幣を取り出す。
また、図9(A)に示すように、クローズ位置とフルオープン位置との間で、且つ一時保留部25の受渡口25Dと上後搬送部24の受渡口24Dとの間隔Dが、少なくとも紙幣の短辺より長い所定長であるときの一時保留部25の位置を、ハーフオープン位置と呼ぶ。このとき、一時保留部25は、一時保留部25の受渡口25Dと上後搬送部24の受渡口24Dとの連結が解除されて搬送路25Yと搬送路60とが切り離され、搬送路25Yと搬送路60との間で紙幣の搬送が不可能な非接続状態となっている。つまり、一時保留部25は、クローズ位置からハーフオープン位置まで引き出されることにより、搬送路25Yと搬送路60との間で紙幣の搬送が可能な接続状態から、搬送路25Yと搬送路60との間で紙幣の搬送が可能な非接続状態へと遷移したことになる。
支持板部151L、151Rに形成されたスライド孔151Hは、一時保留部25がハーフオープン位置にあるときのスライド軸160Sの位置と対応する箇所に、上方に凹んだ退避部151E(図9(B))が設けられている。一時保留部25は、ハーフオープン位置まで後方に引き出されると、もしくはハーフオープン位置まで前方に押し込まれると、重心が後端側に位置していることから回転軸160Xを中心に図9(A)中反時計回り方向にわずかに回転してスライド軸160Sがスライド孔151Hの退避部151Eに入り込み、ハーフオープン位置で保持される。尚、このとき、一時保留部25は、前端側が後端側より下方に位置するように傾いた状態で保持される。その後、例えば、さらに強く後方に引っ張られると、一時保留部25は、スライド軸160Sが退避部151Eから外れて、後方へスライドするようになっている。
また、一時保留部25がハーフオープン位置まで引き出されると、図9(A)にくわえて図10に示すように、上部ユニット10Uには、一時保留部25の前方斜め下に、一時保留部25の受渡口25Dから排出される紙幣BLを上下方向に重ねて収納可能な収納スペースSpが確保される。この収納スペースSpは、上部ユニット10Uの左側面フレーム150L及び右側面フレーム150Rと、上後搬送部24の搬送路60を形成する搬送ガイド170によって形成される空間であり、左側及び右側が左側面フレーム150L及び右側面フレーム150Rにより覆われ、前側、上側の前部、及び下側が搬送ガイド170により覆われ、上側の後部と後側が開放された空間となっている。尚、この収納スペースSpに一時保留部25から排出した紙幣を収納する動作については後述する。
ちなみに、図8乃至図10では省略しているが、上後搬送部24の搬送路60上には、搬送ガイド170にくわえて搬送ローラ(図3(A)参照)も設けられている。収納スペースSp内に位置する搬送ローラについては、収納スペースSp内に収納された紙幣を作業員が取り出すときに邪魔にならないよう、シャフトとともにカバーなどで覆われるようになっている。また、紙幣入出金機10は、一時保留部25がハーフオープン位置にあるときでも、紙幣制御部20の制御により一時保留部25を動作させることができるようになっている。
さらに、一時保留部25のフレーム80には、一時保留部25に収納されている紙幣を自動的に受渡口25Dから排出させるための自動排出ボタン161が設けられている。この自動排出ボタン161は、図9(A)に示すように、少なくとも一時保留部25がハーフオープン位置にあるときに外部に露出する位置(例えばフレーム80の上面)に設けられている。この自動排出ボタン161は、押下によりオンとオフが切り替わる構成となっていて、例えば、押下している間だけオンするもの、もしくは押下するたびにオンとオフが切り替わるものとなっている。一時保留部25は、この自動排出ボタン161が押下(つまりオン)されると、後述する所定の条件を満たす場合にのみ、図10に示すように、収納している紙幣(つまりドラム81に巻き付けられている紙幣)を受渡口25Dから外部に排出するようになっている。
さらに、図11(A)~(C)に示すように、一時保留部25の一側面(フレーム80の左右両側面のうちの一方、又は側板部160L、160Rのうちの一方の外側面)には、ハーフオープン検知センサ162が設けられている。尚、図11(A)~(C)は、ハーフオープン検知センサ162とその周辺部分を拡大した側面図であり、一部を省略したり簡略化したりした模式図となっている。また、図11(A)は一時保留部25がクローズ位置にあるとき、図11(B)はハーフオープン位置にあるとき、図11(C)はフルオープン位置にあるときを示している。このハーフオープン検知センサ162は、例えば発光部の発光面と受光部の受光面を対向配置した構成となっている。
また、上部ユニット10Uには、一時保留部25の一側面と対向する部分(左側面フレーム150L及び右側面フレーム150Rのうちの一方の内側面、又は左右の支持板部151L、151Rのうちの一方の内側面、もしくは左右の支持腕部152L、152Rのうちの一方の内側面)に、ハーフオープン検知センサ162の発光部と受光部との間を通るようにしてハーフオープン検知センサ162の移動軌跡に沿って延びるディテクタ153が設けられている。このディテクタ153は、一時保留部25がハーフオープン位置にあるときのハーフオープン検知センサ162の光軸の位置と対応する箇所に切り欠き153Hが設けられている。尚、ハーフオープン検知センサ162及びディテクタ153については、図8乃至図10では省略している。
ハーフオープン検知センサ162は、図11(A)~(C)に示すように、一時保留部25がハーフオープン位置以外の位置にあるときには、発光部から発せられた光が、ディテクタ153により遮られることで出力結果が「暗」となり、ハーフオープン位置にあるときには、発光部から発せられた光が切り欠き153Hを通って受光部まで届くことで出力結果が「明」となるように動作する。紙幣制御部20は、このハーフオープン検知センサ162の出力結果をもとに、一時保留部25がハーフオープン位置にあるかどうか(つまりハーフオープンしているかどうか)を判断する。
[1-6.自動排出処理]
次に、ハーフオープン位置にある一時保留部25から紙幣を自動的に排出して、一時保留部25の前方斜め下に確保された収納スペースSpに収納する自動排出処理の手順について説明する。この自動排出処理は、例えば、紙幣入出金機10の一時保留部25以外の部分に異常が発生するなどして、一時保留部25に収納されている紙幣を接客部21や紙幣収納庫29などに搬送することができなくなり、一時保留部25に残留している紙幣を除去する必要が生じた場合に実行される処理である。まず、この自動排出処理を行う前に作業員が行う作業の手順について図12に示すフローチャートを用いて説明する。
作業員は、まずステップSP1において、作業を行い易くするために、紙幣入出金機10の上部ユニット10Uを、紙幣入出金機フレーム10Fから引き出す。つづくステップSP2において、作業員は、クローズ位置にある一時保留部25を、ハーフオープン位置まで引き出す。つづくステップSP3において、作業員は、一時保留部25の上側ガイド86及びオープンガイド87を開く。つづくステップSP4において、作業員は、一時保留部25内にドラム81には巻き付けられていない紙幣(これを受け渡し残留紙幣と呼ぶ)が有るかどうかを確認する。
ここで、受け渡し残留紙幣が有る場合、作業員は、ステップSP4からステップSP5へと移って受け渡し残留紙幣を取り除き、つづくステップSP6で上側ガイド86及びオープンガイド87を閉じる。これに対して、受け渡し残留紙幣が無い場合、作業員は、ステップSP4からステップSP6へと移って上側ガイド86及びオープンガイド87を閉じる。つづくステップSP7において、作業員は、一時保留部25に設けられた自動排出ボタン161を押下(オン)する。作業員が行う作業の手順は、以上のようになっている。
次に、自動排出ボタン161が押下(オン)されたことに応じて紙幣制御部20が実行する自動排出処理の手順について図13に示すフローチャートを用いて説明する。紙幣制御部20は、自動排出ボタン161が押下(オン)されたことを認識すると自動排出処理を開始し、ステップSP10において、ジャム検知センサ131、ガイド開閉センサ133、及びハーフオープン検知センサ162の現在の出力結果をチェックするとともに、前回一時保留部25を動作させたときに得られたリール回転検知センサ134の前回の出力結果をチェックする。尚、リール回転検知センサ134のみ、前回の出力結果を利用する理由は、この時点ではまだリール111を回転させていないためである。また、リール回転検知センサ134の前回の出力結果は、例えば、紙幣制御部20の記憶部に記憶されている。
つづくステップ11において、紙幣制御部20は、各センサの出力結果をもとに、一時保留部25の現在の状態が、紙幣を収納スペースSpに自動排出することが可能な正常な状態であるかどうかを判断する。具体的に、紙幣制御部20は、一時保留部25の現在の状態が、以下に示す4つの条件全てを満たしているかどうかで、紙幣を収納スペースSpに自動排出することが可能な正常な状態であるかどうかを判断するようになっている。
第1の条件は、一時保留部25内の搬送路25Y上にジャム紙幣が存在しないことである。この理由は、搬送路25Y上にジャム紙幣が存在していると、ドラム81から引き剥がした紙幣が、このジャム紙幣とともに搬送路25Y内に詰まってしまい、受渡口25Dまで搬送できなくなるためである。第2の条件は、一時保留部25内に搬送路25Yが形成されていること、つまり上側ガイド86及びオープンガイド87がクローズ位置にあることである。この理由は、搬送路25Yが形成されていないと、ドラム81から引き剥がした紙幣を受渡口25Dまで搬送できなくなるためである。
第3の条件は、一時保留部25内で主テープ112にたるみが発生していないことである。この理由は、主テープ112にたるみが発生していると、リール111に主テープ112を巻き取る際に、主テープ112が補助テープ122や紙幣とからまるなどしてテープジャムが発生してしまい、ドラム81から紙幣を引き剥がすことができなくなるためである。第4の条件は、一時保留部25がハーフオープン位置にあることである。この理由は、一時保留部25がハーフオープン位置にないと、一時保留部25の前方斜め下(つまり受渡口25Dから紙幣を排出する方向)に確保される収納スペースSpに、一時保留部25から排出される紙幣を収納することができないためである。
つまり、第1乃至第3の条件は、一時保留部25がドラム81に巻き付けられている紙幣を受渡口25Dまで搬送して正常に排出できるかどうかを判断するための条件であり、第4の条件は、受渡口25Dから排出した紙幣を収納スペースSpに収納できるかどうかを判断するための条件である。
また、第1の条件は、受け渡しセンサ130とジャム検知センサ131の現在の出力結果から判断することができる。つまり、紙幣制御部20は、受け渡しセンサ130とジャム検知センサ131の出力結果の少なくとも一方が一定時間「暗」であり続ければ、一時保留部25の現在の状態が第1の条件を満たしていないと判断し、それ以外の場合には第1の条件を満たしていると判断する。第2の条件は、ガイド開閉センサ133の現在の出力結果から判断することができる。つまり、紙幣制御部20は、ガイド開閉センサ133の出力結果が「暗」であれば、一時保留部25の現在の状態が第2の条件を満たしていると判断する。
また、第3の条件は、リール回転検知センサ134の前回の出力結果から判断することができる。つまり、紙幣制御部20は、リール回転検知センサ134の前回の出力結果から算出したリール111の回転速度が規定値であれば、一時保留部25の現在の状態が第3の条件を満たしていると判断する。第4の条件は、ハーフオープン検知センサ162の現在の出力結果から判断することができる。つまり、紙幣制御部20は、ハーフオープン検知センサ162の出力結果が一定時間「明」であり続ければ、一時保留部25の現在の状態が第4の条件を満たしていると判断する。
紙幣制御部20は、上述した4つの条件のうち、1つでも満たしていない条件があれば、一時保留部25の現在の状態が、紙幣を収納スペースSpに自動排出することが可能な正常な状態ではないと判断して、上述のステップSP11で否定結果を得て、ステップSP12に移る。
ステップSP12において、紙幣制御部20は、作業員による自動排出ボタン161の押下(オン)を無効にして自動排出は行わずに、現金自動預払機1の主制御部9を介して表示部としての操作表示部6(図1)にエラー画面を表示させ、自動排出処理を終了する。このように、一時保留部25では、上述した4つの条件を全て満たしていないと、作業員が自動排出ボタン161を押下(オン)しても、紙幣を自動排出しないようになっている。
ここで、操作表示部6に表示されるエラー画面の例を、図14(A)~(D)に示す。図14(A)に示すエラー画面SC1は、第1の条件を満たしていない場合に操作表示部6に表示される画面である。このエラー画面SC1には、一時保留部25内にジャム紙幣が検出されたために紙幣を自動排出できない旨を通知するとともにジャム紙幣を取り除くよう促す文章TX1が表示される。また、図14(B)に示すエラー画面SC2は、第2の条件を満たしていない場合に操作表示部6に表示される画面である。このエラー画面SC2には、一時保留部25のオープンガイド87が閉じていないために紙幣を自動排出できない旨を通知するとともにオープンガイド87を閉じるよう促す文章TX2が表示される。
さらに、図14(C)に示すエラー画面SC3は、第3の条件を満たしていない場合に操作表示部6に表示される画面である。このエラー画面SC3には、一時保留部25内で主テープ112のたるみが検出されたために紙幣を自動排出できない旨を通知するとともに主テープ112のたるみを解消するよう促す文章TX3が表示される。さらに、図14(D)に示すエラー画面SC4は、第4の条件を満たしていない場合に操作表示部6に表示される画面である。このエラー画面SC4には、一時保留部25の位置がハーフオープン位置ではないために紙幣を自動排出できない旨を通知するとともに一時保留部25をハーフオープン位置に移動させるよう促す文章TX4が表示される。
このようなエラー画面SC1~SC4を操作表示部6に表示させることで、紙幣制御部20は、紙幣の自動排出を行うことができない原因と、その解決策とを作業員に確認させることができる。尚、上述した4つの条件のうち、満たしていない条件が複数ある場合には、例えば、上述した文章TX1~TX4のうちの複数の文章が表示されたエラー画面を、操作表示部6に表示させるようにしてもよい。
一方、紙幣制御部20は、一時保留部25の現在の状態が、上述した4つの条件全てを満たしている場合、一時保留部25の現在の状態が、紙幣を収納スペースSpに自動排出することが可能な正常な状態であると判断して、図13に示す上述のステップSP11で肯定結果を得て、ステップSP13に移る。ステップSP13において、紙幣制御部20は、作業員による自動排出ボタン161の押下(オン)を有効として紙幣の自動排出を開始し、ステップSP14に移る。
ステップSP14において、紙幣制御部20は、まず搬送モータ82Bの回転を開始させて搬送路25Y上の搬送ローラ90、91を、紙幣を排出する(つまり繰り出す)方向に回転させる。つづくステップSP15において、紙幣制御部20は、ドラムモータ82Aの回転を開始させてドラム81、リール111、121を、ドラム81から紙幣を引き剥がす方向に回転させる。これにより、ドラム81に巻き付けられていた紙幣は、ドラム81から引きはがされ、搬送路25Yに沿って受渡口25Dへと搬送され、図10に示すように、受渡口25Dから排出される。
このとき、一時保留部25は、後端側より前端側が下方に位置するように傾いていることにより、受渡口25Dから、前方斜め下に向かって紙幣を放出する。このようにして受渡口25Dから放出された紙幣は、一時保留部25の前方斜め下に確保されている収納スペースSpに集積されていく。ここで、収納スペースSpは、前側、下側、左側、右側がそれぞれ搬送ガイド170と左側面フレーム150L及び右側面フレーム150Rとによって覆われている。よって、収納スペースSpへと放出された紙幣は、収納スペースSpより前方に飛び出したりすることなく、収納スペースSp内に上下方向に重なるようにして集積されていく。
このようにして、紙幣の自動排出を開始すると、紙幣制御部20は、図13に示すステップSP16へ移り、ここで、ジャム検知センサ131、ガイド開閉センサ133、ハーフオープン検知センサ162、リール回転検知センサ134の現在の出力結果をチェックする。尚、ここで行う各センサの出力結果のチェックは、リール回転検知センサ134について過去の出力結果ではなく現在の出力結果をチェックする点を除いて、上述したステップSP10と同一の処理である。よって、詳しい説明は省略する。
つづくステップSP17において、紙幣制御部20は、各センサの出力結果をもとに一時保留部25の現在の状態が紙幣を収納スペースSpに自動排出することが可能な正常な状態であるかどうかを判断するとともに、自動排出ボタン161がオンのままであるかどうかを判断する。尚、ここで行う一時保留部25の現在の状態が正常な状態であるかどうかの判断は、上述したステップSP11と同一の処理である。よって、詳しい説明は省略する。つまり、紙幣制御部20は、紙幣の自動排出を開始した後も、一時保留部25の状態が、紙幣を収納スペースSpに自動排出することが可能な正常な状態であるか監視し続けるようになっている。
ここで、紙幣制御部20は、一時保留部25の現在の状態が紙幣を収納スペースSpに自動排出することが可能な正常な状態ではない、もしくは自動排出ボタン161がオフされたと判断すると、ステップSP17で否定結果を得て、ステップSP18に移る。ステップSP18において、紙幣制御部20は、ドラムモータ82Aと搬送モータ82Bの回転を停止させることで紙幣の自動排出を中止する。つづくステップSP19において、紙幣制御部20は、現金自動預払機1の主制御部9を介して操作表示部6(図1)にエラー画面を表示させ、自動排出処理を終了する。このとき、操作表示部6に表示されるエラー画面は、例えば、図14(A)~(D)に示すエラー画面SC1~SC4である。尚、紙幣制御部20は、自動排出ボタン161がオフされたことで自動排出を中止した場合、エラー画面SC1~SC4の代わりに、自動排出ボタン161がオフされたことで自動排出を中止した旨を示す画面(図示せず)を、操作表示部6に表示させるようになっている。
このように、一時保留部25では、自動排出を開始した後、紙幣を収納スペースSpに自動排出することが可能な正常な状態ではなくなると、紙幣の自動排出を直ちに中止するとともに、エラー画面を介してその原因を作業員に通知するようになっている。また、一時保留部25では、自動排出を開始した後、自動排出ボタン161がオフされると、直ちに紙幣の自動排出を中止するようになっている。
一方、上述のステップSP17で、一時保留部25の現在の状態が、紙幣を収納スペースSpに自動排出することが可能な正常な状態であり、且つ自動排出ボタン161がオンのままであると判断した場合、紙幣制御部20は、このステップSP17で肯定結果を得、自動排出を継続してステップSP20に移る。ステップSP20において、紙幣制御部20は、まだ一時保留部25内に紙幣が残っているかどうかを判断する。具体的に、紙幣制御部20は、受け渡しセンサ130と、ジャム検知センサ131と、ドラム残留センサ132の全ての出力結果が一定時間「明」であれば、一時保留部25内の全ての紙幣を排出し終えたと判断するようになっている。
ここで、まだ一時保留部25内に紙幣が残っていると判断した場合、紙幣制御部20は、ステップSP20で肯定結果を得てステップSP16に戻り、自動排出を継続する。これに対して、一時保留部25内の全ての紙幣を排出し終えたと判断した場合、紙幣制御部20は、ステップSP20で否定結果を得、ドラムモータ82Aと搬送モータ82Bの回転を停止させることで紙幣の自動排出を終了し、自動排出処理を終了する。自動排出処理の手順は、以上のようになっている。
[1-7.まとめと効果]
ここまで説明したように、第1の実施の形態の紙幣入出金機10は、一時保留部25がクローズ位置からハーフオープン位置まで引き出されると、一時保留部25の受渡口25Dと上後搬送部24の受渡口24Dとが離間することにより一時保留部25と上後搬送部24との間で紙幣を受け渡すことができない状態になるとともに、一時保留部25が引き出されることによって空く空間を、一時保留部25の受渡口25Dから排出される紙幣を収納する収納スペースSpとして確保する。
この状態で、一時保留部25に設けられている自動排出ボタン161が押下(オン)されると、紙幣入出金機10は、一時保留部25の状態が、紙幣を収納スペースSpに自動排出することが可能な正常な状態であるかどうかを判断する。具体的に、紙幣入出金機10は、一時保留部25内にジャム紙幣が存在しないこと、一時保留部25内に搬送路25Yが形成されていること、一時保留部25内で主テープ112にたるみが発生していないこと、一時保留部25がハーフオープン位置にあることの4つの条件を満たしているかどうかで、一時保留部25の状態が、紙幣を収納スペースSpに自動排出することが可能な正常な状態であるかどうかを判断する。
そして、紙幣入出金機10は、一時保留部25の状態が紙幣を収納スペースSpに自動排出することが可能な正常な状態であると判断した場合にのみ自動排出ボタン161の押下(オン)を有効として、一時保留部25に紙幣の自動排出を行わせ、一時保留部25から排出された紙幣を収納スペースSpに収納するようにした。
このように、紙幣入出金機10は、自動排出ボタン161の押下(オン)に基づいて紙幣を自動的に排出するように一時保留部25を動作させることにより、例えば操作ノブを回して一時保留部から手動で紙幣を排出させる場合と比べて、短時間で一時保留部25から紙幣を除去できる。
また、紙幣入出金機10は、一時保留部25の状態が、紙幣を自動排出することが可能な正常な状態である場合にのみ、自動排出ボタン161の押下(オン)を有効とすることにより、一時保留部25の状態が紙幣を収納スペースSpに自動排出することが可能な正常な状態ではないにも関わらす、紙幣を自動排出するように一時保留部25を動作させてしまうような状況を回避することができる。こうすることで、紙幣入出金機10は、例えば、一時保留部25がクローズ位置にある状態のまま紙幣を自動排出しようとしたり、一時保留部25内にジャム紙幣が存在する状態のまま紙幣を自動排出しようとしたりすることを防ぐことができ、より確実に一時保留部25から紙幣を自動排出することができる。
さらに、紙幣入出金機10は、紙幣の自動排出を指示するための自動排出ボタン161を一時保留部25に設けたことにより、例えば、一時保留部25から離れた位置にある操作表示部6を操作することなく、一時保留部25に設けられた自動排出ボタン161を操作して紙幣の自動排出を容易に指示することができる。
[2.第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、一時保留部25がハーフオープン位置にあるかどうかを検知する方法が、第1の実施の形態とは異なる実施の形態である。ゆえに、ここでは、ハーフオープン位置の検知方法についてのみ説明することにし、他の部分の説明は省略する。
[2-1.ハーフオープン位置の検知]
第2の実施の形態の一時保留部25は、ハーフオープン検知センサ162の代わりに、図15(A)~(C)に示すプリズム200が、一時保留部25の一側面(フレーム80の左右両側面のうちの一方、又は側板部160L、160Rのうちの一方)に設けられている。尚、図15(A)~(C)は、プリズム200とその周辺部分を拡大した上面図であり、一部を省略したり簡略化したりした模式図となっている。また、図15(A)は、図11(A)と同様、一時保留部25がクローズ位置にあるとき、図15(B)は、図11(B)と同様、ハーフオープン位置にあるとき、図15(C)は、図11(C)と同様、フルオープン位置にあるときを示している。
また、上部ユニット10Uには、ディテクタ153の代わりに、左側面フレーム150L及び右側面フレーム150Rのうちの一方、又は左右の支持板部151L、151Rのうちの一方、もしくは左右の支持腕部152L、152Rのうちの一方に、ハーフオープン検知センサ201が設けられている。尚、図15(A)~(C)では、一例として、フレーム80の左側面にプリズム200が設けられ、左側面フレーム150Lにハーフオープン検知センサ201が設けられている。
このハーフオープン検知センサ201は、発光部の発光面と受光部の受光面とが一時保留部25の一側面(例えばフレーム80の左側面)へ向くように近接して並べられた構成となっていて、一時保留部25がハーフオープン位置にあるときのプリズム200の位置と対向する箇所に設けられている。
ハーフオープン検知センサ201は、図15(A)~(C)に示すように、一時保留部25がハーフオープン位置以外の位置にあるときには、発光部から発せられた光が、そのまま直進して受光部には戻ってことないことにより出力結果が「暗」となり、ハーフオープン位置にあるときには、発光部から発せられた光がプリズム200により折り返されて受光部に戻ってくることで出力結果が「明」となるように動作する。紙幣制御部20は、このハーフオープン検知センサ201の出力結果をもとに、一時保留部25がハーフオープン位置にあるかどうか(つまりハーフオープンしているかどうか)を判断する。
[2-2.まとめと効果]
ここまで説明したように、第2の実施の形態の紙幣入出金機10では、プリズム200とハーフオープン検知センサ201とにより、一時保留部25がハーフオープン位置にあるかどうかを検知するようにした。尚、この第2の実施の形態の紙幣入出金機10による自動排出処理については、ハーフオープン検知センサ162の出力結果の代わりにハーフオープン検知センサ201の出力結果を用いる点を除き、図13に示した第1の実施の形態による自動排出処理と同一となっている。よって、この第2の実施の形態の紙幣入出金機10も、第1の実施の形態の紙幣入出金10と同様の効果を得ることができる。
[3.第3の実施の形態]
次に第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態は、一時保留部25がハーフオープン位置にあるときのみ自動排出ボタン161を押下できるようにすることで、センサがなくても自動排出ボタン161が押下されれば一時保留部25がハーフオープン位置にあると判断できるようにした実施の形態である。ゆえに、ここでは、自動排出ボタン161の押下についてのみ説明することにし、他の部分の説明は省略する。
[3-1.自動排出ボタン161の押下]
第3の実施の形態の一時保留部25は、ハーフオープン検知センサ162及びプリズム200を有してなく、図16(A)~(C)に示すように、自動排出ボタン161が、一時保留部25の一側面(フレーム80の左右両側面のうちの一方)に設けられている。尚、図16(A)~(C)は、自動排出ボタン161とその周辺部分を拡大した上面図であり、一部を省略したり簡略化したりした模式図となっている。また、図16(A)は、図11(A)と同様、一時保留部25がクローズ位置にあるとき、図16(B)は、図11(B)と同様、ハーフオープン位置にあるとき、図16(C)は、図11(C)と同様、フルオープン位置にあるときを示している。この自動排出ボタン161は、一時保留部25がハーフオープン位置以外の位置にあるときに、上部ユニット10Uの左側面フレーム150L及び右側面フレーム150Rのうちの一方に覆われる位置に設けられている。
また、上部ユニット10Uは、ディテクタ153及びハーフオープン検知センサ201を有してなく、左側面フレーム150L及び右側面フレーム150Rのうちの一方に、自動排出ボタン161の外寸より大きなボタン操作孔300が設けられている。尚、図16(A)~(C)では、一例として、フレーム80の左側面に自動排出ボタン161が設けられ、左側面フレーム150Lにボタン操作孔300が設けられている。このボタン操作孔300は、一時保留部25がハーフオープン位置にあるときの自動排出ボタン161と対向する箇所に設けられている。
自動排出ボタン161は、図16(A)~(C)に示すように、一時保留部25がハーフオープン位置以外の位置にあるときには、左側面フレーム150Lに覆われて操作できない状態となり、一時保留部25がハーフオープン位置にあるときには、左側面フレーム150Lのボタン操作孔300から上部ユニット10Uの外部に露出して操作可能な状態となる。よって、作業員は、一時保留部25をハーフオープン位置まで引き出すことで、ボタン操作孔300から自動排出ボタン161を露出させ、ここで、ボタン操作孔300に指を入れて自動排出ボタン161を押下するようになっている。
[3-2.まとめと効果]
ここまで説明したように、第3の実施の形態の紙幣入出金機10では、一時保留部25がハーフオープン位置にあるときのみ、ボタン操作孔300から自動排出ボタン161を露出させて押下できるようにした。これにより、第3の実施の形態の紙幣入出金機10では、自動排出ボタン161が押下(オン)された時点で、一時保留部25がハーフオープン位置にあることが確定する。よって、紙幣制御部20は、自動排出処理時、自動排出ボタン161が押下(オン)されていれば、一時保留部25の現在の状態が上述した第4の条件(一時保留部25がハーフオープン位置にあること)を満たしていると判断するようになっている。この点を除き、第3の実施の形態の紙幣入出金機10による自動排出処理については、図13に示した第1の実施の形態による自動排出処理と同一となっている。よって、この第3の実施の形態の紙幣入出金機10も、第1の実施の形態の紙幣入出金10と同様の効果を得ることができる。
また、この第3の実施の形態の紙幣入出金機10では、一時保留部25がハーフオープン位置にあるかどうかを検知するセンサを必要としないため、紙幣入出金機10の構成を簡略化することができ、部品コストを削減できる。尚、この第3の実施の形態の紙幣入出金機10では、自動排出ボタン161が押下されている場合に一時保留部25がハーフオープン位置にあると判断するため、押下されている間だけオンする構成の自動排出ボタン161を用いることが望ましい。
[4.他の実施の形態]
[4-1.他の実施の形態1]
尚、上述した第1の実施の形態では、一時保留部25にハーフオープン検知センサ162を設け、一時保留部25の外部にディテクタ153を設けるようにしたが、これとは逆に、一時保留部25にディテクタ153を設け、一時保留部25の外部にハーフオープン検知センサ162を設けるようにしてもよい。また、上述した第2の実施の形態では、一時保留部25にプリズム200を設け、一時保留部25の外部にハーフオープン検知センサ201を設けるようにしたが、これとは逆に、一時保留部25にハーフオープン検知センサ201を設け、一時保留部25の外部にプリズム200を設けるようにしてもよい。さらに、上述した第1及び第2の実施の形態では、一時保留部25に自動排出ボタン161を設けるようにしたが、これに限らず、一時保留部25の外部(例えば上部ユニット10Uの左側面フレーム150L及び右側面フレーム150Rのうちの一方の外側面)に自動排出ボタン161を設けるようにしてもよい。
[4-2.他の実施の形態2]
さらに、上述した第1乃至第3の実施の形態では、一時保留部25に設けられた自動排出ボタン161が押下(オン)されると、紙幣制御部20が、一時保留部25から自動的に紙幣を排出する自動排出処理を開始するようにした。これに限らず、紙幣制御部20が、各センサの出力結果をもとに一時保留部25の状態を監視し、一時保留部25の状態が、紙幣を収納スペースSpに自動排出することが可能な正常な状態となった時点(つまり上述した第1乃至第4の条件を満たした時点)で、自動的に自動排出処理を開始するようにしてもよい。この場合、一時保留部25から自動排出ボタン161を取り除くようにしてもよい。
[4-3.他の実施の形態3]
さらに、上述した各実施の形態では、一時保留部25の状態が上述した第1乃至第4の条件の全てを満たしている場合にのみ、自動排出ボタン161の押下(オン)を有効として、一時保留部25が紙幣の自動排出を行うようにしたが、これに限らず、上述した第1乃至第4の条件のうち、少なくとも第4の条件(一時保留部25がハーフオープン位置にあること)を含んだ1以上の条件を満たしている場合に、自動排出ボタン161の押下(オン)を有効として、一時保留部25が自動排出を行うようにしてもよい。例えば、第4の条件を満たしている場合に、紙幣制御部20が、自動排出ボタン161の押下(オン)を有効として、一時保留部25に紙幣の自動排出を開始させ、自動排出を開始させた後、第1乃至第4の条件のうち1つでも満たしていない条件があれば、自動排出を中止させるようにしてもよい。また、例えば、第4の条件を満たしている場合に(つまり一時保留部25がハーフオープン位置まで引き出されると)、紙幣制御部20が、自動的に一時保留部25に紙幣の自動排出を開始させるようにしてもよい。
さらに、例えば自動排出ボタン161に発光部を設け、一時保留部25の状態が紙幣を収納スペースSpに自動排出することが可能な正常な状態になっている場合と、なっていない場合とで、紙幣制御部20が、この発光部の発光状態を変化させるようにしてもよい。このようにすれば、作業員は、操作表示部6を確認しなくとも、自動排出ボタン161の発光状態から、一時保留部25の状態が紙幣を収納スペースSpに自動排出することが可能な正常な状態になっているかどうかを確認することができる。
[4-4.他の実施の形態4]
さらに、上述した第1乃至第3の実施の形態では、一時保留部25をクローズ位置から後方にスライド可能な構成とし、一時保留部25を後方にスライドさせることによって空く空間を、ハーフオープン位置にある一時保留部25から排出される紙幣を収納する収納スペースSpとして利用するようにした。これに限らず、例えば、一時保留部25をクローズ位置から上方にスライド可能な構成とするとともに、上後搬送部24の上面に紙幣を収納する収納部を設け、一時保留部25をクローズ位置から上方にスライドさせた状態で、一時保留部25から紙幣を排出して上後搬送部24の上面に設けられた収納部に収納するようにしてもよい。またこれに限らず、例えば、上後搬送部24の上部を上方にスライド可能な構成とし、上後搬送部24の上部を上方にスライドさせることによってクローズ位置にある一時保留部25の前方に空く空間を、クローズ位置にある一時保留部25から排出される紙幣を収納する収納スペースとして利用するなどしてもよい。
さらに、上述した第1乃至第3の実施の形態では、収納スペースSpの上側前部と前側と下側とを、上後搬送部24の搬送路60を形成する搬送ガイド170で覆うようにしたが、これに限らず、搬送ガイド170とは別の部材で覆うようにしてもよい。
[4-5.他の実施の形態5]
さらに、上述した第1乃至第3の実施の形態では、紙幣制御部20が、受け渡しセンサ130とジャム検知センサ131の出力結果をもとに、一時保留部25の搬送路25Y上にジャム紙幣が存在するかどうかを判断するようにした。これに限らず、受け渡しセンサ130とジャム検知センサ131のうちのどちらか一方の出力結果をもとに、一時保留部25の搬送路25Y上にジャム紙幣が存在するかどうかを判断するようにしてもよい。
さらに、上述した第1乃至第3の実施の形態では、受け渡しセンサ130を用いて、搬送路25Yの受渡口25D近傍に存在する紙幣を検知するようにしたが、これに限らず、搬送路25Yの受渡口25D近傍に存在する紙幣を検知できるものであれば、受け渡しセンサ130とは異なる構成の検知部を用いてもよい。さらに、上述した第1乃至第3の実施の形態では、ジャム検知センサ131を用いて、搬送路25Yのドラム81近傍に存在するジャム紙幣を検知するようにしたが、これに限らず、搬送路25Yのドラム81近傍に存在するジャム紙幣を検知できるものであれば、ジャム検知センサ131とは異なる構成の検知部を用いてもよい。
さらに、上述した第1乃至第3の実施の形態では、ドラム残留センサ132を用いて、ドラム81に巻き付けられている紙幣の有無を検知するようにしたが、これに限らず、ドラム81に巻き付けられている紙幣の有無を検知できるものであれば、ドラム残留センサ132とは異なる構成の検知部を用いてもよい。さらに、上述した第1乃至第3の実施の形態では、ガイド開閉センサ133を用いて、上側ガイド86及びオープンガイド87がクローズ位置にあるかどうか検知するようにしたが、これに限らず、上側ガイド86及びオープンガイド87がクローズ位置にあるかどうか検知できるものであれば、ガイド開閉センサ133とは異なる構成の検知部を用いてもよい。
さらに、上述した第1乃至第3の実施の形態では、リール回転検知センサ134を用いて、リール111の回転速度を検知するようにしたが、これに限らず、リール111の回転速度を検知できるものであれば、リール回転検知センサ134とは異なる構成の検知部を用いてもよい。
さらに、上述した第1の実施の形態では、検知部としてのハーフオープン検知センサ162とディテクタ153を用いて、一時保留部25の位置がハーフオープン位置にあるかどうかを検知するようにしたが、これに限らず、一時保留部25の位置がハーフオープン位置にあるかどうかを検知できるものであれば、ハーフオープン検知センサ162及びディテクタ153とは異なる構成の検知部を用いてもよい。さらに、上述した第2の実施の形態では、検知部としてのハーフオープン検知センサ201とプリズム200を用いて、一時保留部25の位置がハーフオープン位置にあるかどうかを検知するようにしたが、これに限らず、一時保留部25の位置がハーフオープン位置にあるかどうかを検知できるものであれば、ハーフオープン検知センサ201及びプリズム200とは異なる構成の検知部を用いてもよい。
[4-6.他の実施の形態6]
さらに、上述した第1乃至第3の実施の形態では、自動排出ボタン161の押下に応じて一時保留部25が紙幣を自動排出するようにした。これにくわえて、例えば、一時保留部25の一面に従来と同様の操作ノブを設け、一時保留部25が紙幣を自動排出できない場合には、作業員が操作ノブを回転させることにより、手動で一時保留部25から紙幣を排出できるようにしてもよい。
[4-7.他の実施の形態7]
さらに、上述した各実施の形態では、本発明を、テープ方式の一時保留部25を有する媒体処理装置としての紙幣入出金機10に適用したが、これに限らず、紙幣、紙、切符などの媒体をテープとともにドラムに巻き付けて収納する一時保留部を有するものであれば、紙幣入出金機10とは異なる構成の媒体処理装置にも適用できる。さらに、上述した各実施の形態では、本発明を、紙幣を扱う自動取引装置としての現金自動預払機1に適用したが、これに限らず、紙幣、紙、切符などの媒体をテープとともにドラムに巻き付けて収納する一時保留部を有するものであれば、現金自動預払機1とは異なる構成の自動取引装置にも適用できる。
[4-8.他の実施の形態8]
さらに、上述した各実施の形態では、紙幣入出金機10に、一時保留部の動作を制御する制御部の具体例として、紙幣制御部20を設けたが、一時保留部の動作を制御できるものであれば、紙幣制御部20とは異なる制御部を設けてもよい。さらに、上述した各実施の形態では、一時保留部25に、媒体を搬送する搬送部の具体例として、搬送モータ82B、搬送ローラ90、91を設けたが、媒体を搬送できるものであれば、搬送モータ82B、搬送ローラ90、91とは異なる搬送部を設けてもよい。さらに、上述した実施の形態では、一時保留部25に、ドラムを回転させる駆動部の具体例として、ドラムモータ82Aを設けたが、ドラムを回転できるものであれば、ドラムモータ82Aとは異なる駆動部を設けてもよい。さらに、上述した各実施の形態では、ドラムに巻き付けられた媒体の排出を指示するための操作部の具体例として、自動排出ボタン161を用いたが、媒体の排出を指示できるものであれば、自動排出ボタン161とは異なる操作部(例えばロッカースイッチなど)を用いてもよい。
[4-9.他の実施の形態9]
さらに、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した第1乃至第3の実施の形態と他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。