WO2012002398A1

WO2012002398A1 - 噴霧器

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Publication number: WO2012002398A1
Application number: PCT/JP2011/064831
Authority: WO
Inventors: 久保　朋彦; 輝久広部
Original assignee: ニプロ株式会社
Priority date: 2010-06-30
Filing date: 2011-06-28
Publication date: 2012-01-05
Also published as: CN103025376A; JPWO2012002398A1; JP5888234B2; EP2589402A4; US9526841B2; CN103025376B; US20130096493A1; EP2589402B1; EP2589402A1

Abstract

　所定同量の薬剤を、複数回、噴霧して排出可能な投与器を提供すること。　先端に噴霧ノズル取り付け可能なバレルと、前記バレル内を液密に摺動可能に設けたれたガスケットとガスケットの基端に連結され，ガイド溝を有するロッドと、前記バレルに備えられた、前記ガイド溝とスライド自在に滑合可能な突起を有する規制部材とを含む噴霧器であって、前記ガイド溝は、少なくとも第一の投与溝と、該第一の投与溝から連続して設けられる第二の投与溝とからなり、前記第二の投与溝は、周方向に延び、基端側の溝壁は前記第一の投与部分の基端と一致するように設けられる移行部分と、該移行部分から長手基端方向へ延びる第二の投与部分とで構成され、前記移行部分と前記第二の投与部分との境に設けられた、前記突起と係止可能な付勢用凸部と設けることを特徴とする噴霧器。

Description

噴霧器

　本発明は、噴霧器に関する。詳しくは、噴霧により薬剤を投与する器具に関する。

　薬剤の投与形態・投与方法には種々あり、例えば、免疫系の薬剤の場合、皮下注射以外にも、鼻腔投与がある。鼻腔投与は、各々の鼻孔に所定同量の薬剤を噴霧する方法であり、投与に痛みを伴わないことから、好適に用いられている。

　鼻腔投与では、上記のように複数回の投与操作が必要であり、その場合、一回の投与毎に一つの投与器を用いるか、または、薬剤の吸引及び投与操作を繰り返すか、もしくは、一度に複数回分の薬剤を吸引しておき、複数回に分けて薬剤排出を行うことになる。

　しかしながら、一回の薬剤投与につき、一つの投与器を用いて複数回薬剤投与を行う場合、使用者は薬剤を投与する回数分だけ器具を用意する必要があるため、その分、大量の廃棄物が出ることになる。また、一回の投与毎に薬剤の吸引及び投与操作を繰り返す場合、投与回数分だけ薬剤の吸引及び排出を行わなければならず、使用者に多くの負担を強いてしまう。

　そして、一度に複数回分の薬剤を吸引しておき、所望量の薬剤投与を複数回行う場合、使用者は、複数回に渡り所定量の薬剤の排出を行うため、薬剤排出ごとに、正確な量の薬剤が排出されるよう調整する必要がある。このような場合、従来において、器具に設けられた目盛りを頼りに正確な量の薬剤排出を行っているが、前提として、調整が煩雑であり必要以上の集中力を要する。また、目盛りを頼りに行うため、正確な量の薬剤排出が行われているか不明であり、薬剤排出量ごとにばらつきが出てしまうといったおそれもある。

　例えば、複数回投与の性能を有する投与器として、特許文献１には、バレルに係止受部を、ロッドに係止部を備えることにより移動量を規制し、目盛りに頼らず、所望量の薬剤を複数回に渡り排出することが可能なシリンジが提案されている。このシリンジは、外周方向の異なる位置に設けられた複数のリブと、ロッド先端部から長さが異なる複数の係止部を各リブ上に有するロッドと、係止部と係止可能な係止受部を外筒に備えており、係止部と係止受部とが係止するように、ロッドを回転及び前進させることにより、係止部の位置に応じた量の薬剤排出が可能である。また、係止部と係止受部とが係止した後、係止受部が他の係止部と係止するようにロッドを回転及び前進させることにより、さらに薬剤の排出を行うことが可能なため、目盛りに頼らず、定められた量の薬剤を複数回に渡り排出することが可能である。

特開２００４－４９７２６号公報

　しかしながら、先行文献に記載のシリンジは、ロッドの先端方向への移動時にロッドの周方向への回転を自由に行うことが可能であるため、投与前に所望量の薬剤を排出可能な係止部と係止受部とを長手方向上に位置させてから、ロッドを前進させたにもかかわらず、意図せずロッドの回転が生じ、係止受部と、係止受部と係止するはずだった係止部との係止が起こらずにそのままロッドが前進し、過剰な量の薬剤が排出されてしまう恐れがある。

　また、当該シリンジには、一度係止部と係止受部との係止が起こった状態から、さらに所望量の薬剤を排出するために、係止受部が他の係止部と長手方向上に位置するようにロッドの回転を行うが、その最中において、意図せずロッドが前進してしまうおそれがある。ロッドが前進してしまった場合、薬剤の排出が開始されることになり、投与する量が本来投与される量より少なくなる可能性がある。

　さらには、当該シリンジには付勢手段がなく、薬剤を押し出す際に薬剤に圧力を与える構成を有しておらず、噴霧能力がないため、注射に用いることができても、噴霧器として採用することは困難である。そこで、所定同量の薬剤を、複数回、噴霧して排出可能な投与器を提供することにある。

　そこで、本発明者は鋭意検討の結果、以下の発明に想到した。それは、液体を噴霧するための噴霧器であって、中空であって、先端に噴霧ノズル取り付け部が形成され、基端にフランジが形成されたバレルと、前記バレル内を液密に摺動可能に設けたれたガスケットと、ガスケットの基端に連結されたロッドと、該ロッドに設けられた、ガイド溝と、前記バレルに備えられた、中心にロッドが挿通可能な開口部が形成され、前記ガイド溝とスライド自在に滑合可能なように開口部の縁より中心方向へ向かって突出する突起を有する規制部材とを含み、前記ガイド溝は、少なくとも第一の投与溝と、該第一の投与溝から連続して設けられる第二の投与溝とからなり、前記第一の溝は、プライミング部分と、該プライミング部分から長手基端方向へ延びる第一の投与部分とで構成され、前記第二の投与溝は、周方向に延び、基端側の溝壁は前記第一の投与溝の基端と一致するように設けられる移行部分と、該移行部分から長手基端方向へ延びる第二の投与部分とで構成され、前記移行部分と前記第二の投与部分との境に設けられた、前記突起と係止可能な付勢用凸部と設けることを特徴とする噴霧器、である。

　前記プライミング部分は、長手方向に延びる溝、周方向に延びる溝、又は、先端側が長手方向に延び基端側が周方向に延びるL字状の溝のいずれであってもよい。前記プライミング部分と前記第一の投与部分との境に設けられた、前記突起と係止可能な付勢用凸部を設けることが好ましい。

　さらに、第一の投与溝と第二の投与溝との境には、前記突起と係止可能な回転防止用凸部が設けてもよい。

　前記ガイド溝は、さらに第三の投与溝、第四の投与溝、が設けられてもよい。これらの投与溝は、周方向に延び、基端側の溝壁は直前の投与溝の基端と一致するように設けられる移行部分と、該移行部分から長手基端方向へ延びる投与部分とで構成され、移行部分と投与部分との境に設けられた、前記突起と係止可能な付勢用凸部と設ける、という第二の投与溝と同じ構成とすればよい。さらには、回転防止用凸部を設けてもよい。

　前記フランジには、前記規制部材を収容可能な収容部を有し、前記規制部材は収容部内に収容される構成としてもよい。

　前記規制部材は、さらに、先端にフランジを内部に収容可能な収容部及びバレル外壁に係合可能な固定部を有し、バレルの下端を収容することによって装着される構成としてもよい。

　前記噴霧ノズル取り付け部には、噴霧ノズルが取り付けられるものであり、前記噴霧ノズルには、内部に粉末製剤が収容されてもよい。

　さらに、バレルを被覆するように着脱可能に設けられた、バレル内と薬液容器とを連通可能な薬液容器アダプタを有してもよい。

　このような噴霧型投与器は、ロッドにガイド溝を備え、且つガイド溝とスライド自在に滑合可能な突起が外筒に固定されており、ガイド溝は、少なくとも長手方向に延びる第一の投与溝と、第一の投与溝の基端から延びる第二の投与溝を含み、そして、第二の投与溝以降のそれぞれの投与溝には、噴霧初期位置に付勢用凸部が設けられている。そのため、ロッド前進時にロッドの回転が生じてしまい、ロッドが止まるべきところで止まらないということはない。また、付勢用凸部が設けられることによって、ロッド回転操作時にロッドの長手方向への移動が生じてしまうことがなく、いつでも投与初期位置にて固定可能であると同時に、付勢用凸部を強引に押し出す際に噴霧するための圧力が付加されるという効果を生み出すことができる。

　本発明の噴霧器は、単純にロッドを押し込むだけで、複数回、所定同量の薬剤を噴霧することができるため、医療に好適に用いることができる。

図１は、本発明の噴霧器の一実施態様例の基端側斜視図である。図２は、図１における噴霧器の縦断面図である。図３は、図１の噴霧器に設けられたロッドの正面図である。図４は、図３のロッドについて、軸心を中心として４５°回転させた図である。図５は、図３のロッドの先端側から見た斜視図である。図６は、図１の噴霧器において、ロッドと規制部材の関係のみ表した図である。図７は、第三の投与溝を有するロッドの斜視図である。図８は、指掛け部材を有する噴霧器の基端側拡大斜視図である。図９は、図１の噴霧器の保存状態の基端側拡大正面図である。図１０は、図１の噴霧器の使用状態の基端側拡大正面図である。図１１は、図１の噴霧器のプライミング完了時の基端側拡大正面図である。図１２は、図１の噴霧器の噴霧の準備が完了した状態の基端側拡大正面図である。図１３は、図１の噴霧器の一回目の噴霧が完了した状態の基端側拡大正面図である。図１４は、図１の噴霧器の二回目の噴霧の準備が完了した状態の基端側拡大正面図である。図１５は、図１の噴霧器の二回目の噴霧が完了した状態の基端側拡大正面図である。図１６は、シリンジを接続する容器アダプタが備えられた噴霧器の縦断面図である。図１７は、バイアルを接続する容器アダプタが備えられた噴霧器の縦断面図である。図１８は、図１６の噴霧ノズルにディスクを設けた噴霧器の縦断面図である。

　以下、図を用いて本発明の噴霧器を説明する。しかし、本願発明は、これら図面に記載した実施態様例に限定されるものではない。

　まず、本発明の一実施態様例を、図１～図３を用いて説明をする。中空のバレル１は先端にルアーロック状の噴霧ノズル接続部１１が形成されており、基端にはフランジ１２が設けられている。噴霧ノズル接続部１１には、噴霧ノズル５が接続されている。バレル１内には、バレル１内を液密に摺動可能なガスケット２とガスケット２の基端に、ガスケット２と一体に成型されたロッド３が設けられている。ロッド３には、枝分かれのないガイド溝４が形成されており、ガイド溝４は、第一の投与溝４１及び第二の投与溝４２で構成されている。第一の投与溝４１は、先端側から長手方向、続いて周方向に延びるL字状のプライミング部分４１１と、プライミング部分４１１から長手基端方向に伸びる第一の投与部分４１２とで構成されており、プライミング部分４１１と第一の投与部分４１２との境には、第一の付勢用凸部４１３が形成されている。第二の投与溝４２は、第一の投与部分４１２から連続して設けられている。第二の投与溝４２は、周方向に延び、基端側の溝壁は前記第一の投与部分４１２の基端と一致するように設けられる移行部分４２１と、移行部分４２１から長手基端方向に伸びる第二の投与部分４２２とで構成されており、移行部分４２１と第二の投与部分４２２との境には、第二の付勢用凸部４２３が形成されている。フランジ１２には、規制部材収容部１３が設けられており、規制部材収容部１３には、中心にロッド３が挿通可能な開口部６１が形成されたC型形状の平板である規制部材６が、開環部分側から挿着・固定されている。規制部材６には、ガイド溝４とスライド自在に滑合可能な弧形柱状の突起６２が一対、対向するように開口部６１の縁より中心方向へ向かって突出するよう形成されている。

　図１の噴霧器に例示されたロッドにおいて、移行部分４２１の基端側の溝壁は、第一の投与溝４１と第二の投与溝４２が隣接した場合は、一見存在しない。しかしながら、移行部分４２１の基端側の溝壁と第二の付勢用凸部４２３の存在場所が一致していて移行部分４２１の基端側の溝壁の存在が確認できないだけである。

　バレル１及びガスケット２については、バレル１内に存在する薬剤と反応することがなく、バレル１内を液密に摺動可能であればその材質については特に問わない。よって、一般的に医療器具に用いられるものを用いることができる。図１のものについては、ガスケット２とロッド３とは一体にプラスチックで形成されている。これ以外にも、一般的なシリンジと同じように、ガスケット２をエラストマー又はゴムで作成し、この基端にプラスチック製のロッド３を連結させる方法でもよい。

　図１の噴霧器に例示されたロッド３について図４～図６を用いて、また、規制部材６について図７を用いてさらに説明する。ロッド３に形成されたガイド溝４は、規制部材６に形成された一対の突起６２が滑合可能なように、ロッド３の表面に、ロッド３の軸心に対して対称に形成されている。しかしながら、規制部材６に設けられる突起６２及びガイド溝４は、これら図に示すように必ずしも一対である必要はなく、一つずつでもかまわない。一対である方が、安定してロッド３を動かすことができるため、好ましい。また、ロッド３には、第一の投与溝４１の先端側に連続して設けられた縮径部４４が形成されており、規制部材６は、バレル１に取り付ける際に、縮径部４４を介して取り付けられる。なお、縮径部は、当該噴霧器の保存時や、すぐに使用しない時、ロックとして働く。

　経鼻噴霧投与においては、両方の鼻腔にそれぞれ同量の約材料を噴霧することが一般的であるので、第一の投与部分４１２と第二の投与部分４２２は同じ長さとなっている。一方で、もしも当該噴霧器を、複数回投与において、一回目と二回目とで投与量が異なる療法に用いる場合は、第一の投与部分４１２と第二の投与部分４２２は、適宜投与量にあった長さに形成すればよい。

　図３に示すように、ロッド３は断面積基準で９０度ごとにロッド３の長手方向にメインリブ３１を備えている。そして、図７に示すように、規制部材６には、ロッドの軸心を中心とした円を基準として、隣り合うメインリブ３１の間に収容され、かつメインリブ３１の突出位置と同径となるように、隣り合うメインリブに沿って滑合可能な各々の弧形状柱状の突起６２が形成されている。また、ロッド３の、L字溝であるプライミング部分４１１の長手方向から周方向に切り替えられる屈曲点及び、第一の投与部分４１２及び第二の投与部分４２２の基端には周リブ３２が形成されており、突起６２が周リブ３２に当接した後は、ロッド３はそのまま先端方向に押し込むことができないようになっている。

　隣り合うメインリブ３１のうちいずれか一方は、周リブ３２と接する部分の突出が低くなっており、弧形柱状の突起６２はこれを乗り越えることができるようになっている。この突出が低くなった部分が、回転防止用凸部４５として働くものであり、使用者が意図しないところでロッドが回転してしまうことを防ぐことができる。回転防止用凸部４５を有する方が、より安全に用いることができるためより好ましいが、この回転防止用凸部４５は、必ず設けなければならないものではない。突出が低い部分のリブについて、この部分のリブ自体を形成せずにリブが存在しないようにしてもよい。

　プライミング部分４１１と第一の投与部分４１２との境、及び、移行部分４２１と第二の投与部分４２２との境、すなわち周リブと長手方向基準で同位置に、微小突起である付勢用凸部４１３、４２３が設けられている。この付勢用凸部４１３、４２３は、突起６２が一旦係止される程度の大さのものであり、ロッド３を先端方向へ押し込むことを妨害できるものである。そのため、使用者が意図せず噴霧してしまうことがなく、所望される量を必ず噴霧可能なようにしている。そして、この付勢用凸部４１３、４２３は、突起６２が付勢用凸部４１３、４２３に当接した状態において、ロッド３を先端方向へ力を加えて強引に押し込んだときに、突起６２が乗り越えることができるようになっている程度の大きさになっており、この力が噴霧するための圧力を生じさせている。付勢用凸部４１３、４２３は、意図しない噴霧の防止と、噴霧するための圧力を加えることの両方の働きを有するものである。すなわち、ロッドを弱く押してしまい、噴霧状態で液が射出されないことも防ぐ効果もある。第一の付勢用凸部に関しては、初期噴霧分の位置に設けられており、プライミング部分の形状によっては繊細な操作を行う必要がないため、必ずしも設ける必要がないが、設けたほうが噴霧の点においてはより好ましい。

　上記に示したものは、規制部材とガイド溝の一例であって、特に限定されるものではない。円柱状のロッドに線状のガイド溝が形成され、規制部材には線状のガイド溝と滑合可能な円柱状突起を設ける方法でもよいし、ロッドの回転操作が９０度でなくてもよい。また、上記に示したものは第一の投与溝及び第二の投与溝を設けたものであるが、第三の投与溝、第四の投与溝、というようにさらに複数の投与溝を設けてもよい。この複数の投与溝は、第一の投与溝と第二の投与溝との連続する関係と同様にすることで増やすことができる。代表として第三の投与溝があるロッド３を図８に図示する。

　規制部材６について、上記実施例においては、フランジ１２に形成された規制部材収容部１３内に挿着される例を示したが、規制部材６は、フランジ１２の外部に取り付ける方法でもよい。具体的には、図９に示すように、基端にC型平板状の規制部材６を設けた指掛け部材７によってバレル１基端を外部から覆う方法である。指掛け部材７は、規制部材６の先端側の面にフランジ１２を内部に収容可能なフランジ収容部７１を設け、フランジ収容部７１の天板７２は、規制部材６と同じ位置が開環した、バレル１の外壁に係合可能なC型平板状とすることで達成できる。この天板７２の開口部が固定部７３として働き、指掛け部材７がバレル１から脱落することを防いでいる。なお、この天板７２の先端側の面に、天板７２と同じ位置が開環したC型柱状体７４を形成してもよい。

　噴霧ノズル５は、先端に薬剤を噴霧させる噴霧孔５１が設けられ、基端は外壁に一対の張出片５２が形成されており、バレル先端の噴霧ノズル接続部１１であるルアーロックへ装着されている。噴霧ノズル５内には、流路を狭くして、噴霧ノズル５に移送されてきたバレル内の薬剤の圧力を高めて噴霧力を付加するための圧力付加部材５３が設けられている。噴霧ノズル５と噴霧ノズル接続部１１はルアーロックにより連結されているため、噴霧時の圧力によって、噴霧ノズル５がバレル１より外れることはない。

　噴霧ノズル５と噴霧ノズル接続部１１への装着方法についてはルアーロックを例示したが、噴霧時に外れないものであれば、特に限定されず、ノズルについても、この形状に限定されるものではなく、後段の図１６で例示されるようなものなどでもよい。

　基本的な使用方法について、図１の噴霧器を用いて説明する。まず、図９のロック状態から、９０°回転させ、使用状態とする（図１０）。突起６２がプライミング部分４１１の長手方向の基端まで当接するようにプランジャーを押してプライミング操作を行い、噴霧器内を薬液で満たす（図１１）。その後、ロッド３を９０度回転させることによって、突起６２に隣接している回転防止用凸部４５を乗り越えさせ、投与準備を完了させる。投与準備を完了させた状態が、図１２である。この時、第一の付勢用凸部４１３によってロッド３の先端方向への移動が規制されるため、不用意に液が垂れたり漏れたりすることはない。

　次に、突起６２を第一の付勢用凸部４１３を乗り越えさせるため、力を入れて、周リブ３２に当接するまでロッド３を先端側へ押し込み、一回目の噴霧を完了させる（図１３）。この時、突起６２に付勢用凸部４１３を強引に乗り越えさせるために勢いよく押し込む必要があり、噴霧に必要な推進力がこの操作で同時に得ることができる。そのため、推進力不足で噴霧されない（液が滴り落ちてしまう）状況が起こらないようになっている。

　一回目の噴霧が完了後、二回目の噴霧ができるように、ロッド３を回転させて、突起６２に、回転防止用凸部４５を乗り越えて、移行部分４２１に突入させ、さらに突起６２がメインリブ３１に当接させるまで回転させる（図１４）。この時、突起６２は、基端側が第二の付勢用凸部４２３に当接する状態となっている。第二の付勢用凸部４２３も第一の付勢用凸部４１３と同様、ロッド３の先端方向への移動を規制する働きをする。次に、突起６２を第二の付勢用凸部４２３を乗り越えさせるため、力を込めて、基端リブ３３に当接するまでロッドを最後まで押し込み二回目の噴霧を完了させる（図１５）。

　他の実施例として、薬剤を他の容器から移して使用する場合を、図１６を用いて説明する。中空のバレル１は先端に嵌着式の噴霧ノズル接続部１１が形成されており、基端にはフランジ１２が設けられている。噴霧ノズル接続部には、噴霧ノズル５が接続されている。バレル１内には、バレル１内を液密に摺動可能なガスケット２とガスケット２の基端に、ロッド３が連結して設けられている。ロッド３には、ガイド溝４が形成されており、ガイド溝４は、第一の投与溝４１及び第二の投与溝４２で構成されている。第一の投与溝４１は、先端側から長手方向、続いて周方向に伸びるL字状のプライミング部分４１１と、投与前部分の基端側端部から長手基端方向に伸びる第一の投与部分４１２とで構成されており、プライミング部分４１１と第一の投与部分４１２との境には、第一の付勢用凸部４１３が形成されている。第二の投与溝４２は、第一の投与部分４１２から連続して設けられている。第二の投与溝４２は、周方向に延び、基端側の溝壁は前記第一の投与部分４１２の基端と一致するように設けられる移行部分４２１と、移行部分４２１から長手基端方向に伸びる第二の投与部分４２２とで構成されており、移行部分４２１と第二の投与部分との境には、第二の付勢用凸部４２３が形成されている。バレル１基端には、基端にC型平板状の規制部材６を備えた、指掛け部材７が外部より覆うように装着されている。指掛け部材７は、規制部材６の先端側の面にフランジ１２を内部に収容可能なフランジ収容部７１を設け、フランジ収容部７１の天板７２は、規制部材６と同じ位置が開環した、バレル外壁に係合可能なC型平板状となっている。この天板７２の先端側の面に、天板７２と同じ位置が開環したC型柱状体７４が形成され、C型柱状体７４の外周面にはアダプタ装着部８であるネジ山が形成されている。規制部材６には、ガイド溝４とスライド自在に滑合可能な突起６２が一対、対向するように開口部６１の縁より中心方向へ向かって突出するよう形成されている。

　噴霧ノズル１が装着されたバレルを外部から覆うように、薬液容器アダプタ９が装着されている。薬液容器アダプタ９は、基端にアダプタ装着部８と連結可能な連結部９２を有するバレル被覆部９１と、先端に、噴霧ノズルと液密に連通する容器接続部９３とからなる。

　アダプタ装着部８は、上記例においては、C型柱状体７の外壁に設けられているが、バレル１を被覆するようにバレルの外部から取り外し可能に設ければよい。従って、図１のような指掛け部材７を設けないタイプであっても、バレル外壁にアダプタ装着部８を形成すれば容器アダプタ９を適用させることは可能である。

　図１６には、容器アダプタ９として、他のシリンジが接続されるものを示している。この場合、容器接続部９３は、シリンジ受け入れ口９３１と、シリンジ受け入れ口９３１内部に液密に備えられた基端方向に向かって凹む円錐状のくぼみを有するゴムキャップ９３２を有している。シリンジ受け入れ口９３１に向かって、内部に薬剤が収容された注射針付きのシリンジを挿入し、かつ、注射針でゴムキャップ９３２を刺通すると、シリンジ内の薬液を無菌的に噴霧器内へ移すことができる。注射によって投与されるように製品化されているワクチン等は、この薬液容器アダプタ９を用いることによって、噴霧によって投与することも可能となる。

　また、シリンジ以外にも、バイアルが接続されるタイプのものを図１７に示す。容器接続部９３は、バイアル挿着用のフード９３３が設けられるとともに、その内部には基端が噴霧ノズルと液密に連通し、かつ先端がバイアルのゴム栓を刺通可能な連通針９３４を有する形状となっている。連通針と噴霧ノズルとの間には、パッキン９３５が設けられている。これによって、バイアル内の薬液を噴霧器内に移送することができる。

　これら容器アダプタ９を設ける場合の噴霧器のバリエーションとして、図１８に示すように、噴霧ノズル５内に、噴霧ノズル５及びバレル１と連通する孔５４１を有する、凍結乾燥製剤が封入されたディスク５４が備えられていてもよい。薬剤を凍結乾燥状態で保存しておくことができるため、保存安定性がよいことと、溶解液が封入されたシリンジやバイアルを接続して、溶解液をバレル１内に引き込むことにより、ディスク５４を介して溶解液が流入されることから、調製操作も簡易に行うことができる。また、ディスク孔５４１は押し出される薬液の圧力を高め、噴霧性能を向上させるため、ディスク５４を残したまま噴霧することに何ら問題はない。

　これら容器アダプタ９を設けた場合の使用方法については、他の薬液容器から噴霧器内に薬剤（溶解液）を充填した後は、容器アダプタ９を取り外し、上記（００３０）から記載された使用方法と同様に使用することができる。

　本発明の噴霧器は、上述のように、単純にロッドを押し込むだけで、複数回、所定同量の薬剤を噴霧することができるため、医療に好適に用いることができる。

１　　　バレル
１１　　噴霧ノズル接続部
１２　　フランジ
１３　　規制部材収容部
２　　　ガスケット
３　　　ロッド
３１　　メインリブ
３２　　周リブ
３３　　基端リブ
４　　　ガイド溝
４１　　第一の投与溝
４１１　プライミング部分
４１２　第一の投与部分
４１３　第一の付勢用凸部
４２　　第二の投与溝
４２１　移行部分
４２２　第二の投与部分
４２３　第二の付勢用凸部
４３　　第三の投与溝
４４　　縮径部
４５　　回転防止用凸部
５　　　噴霧ノズル
５１　　噴霧孔
５２　　張出片
５３　　圧力付加部材
５４　　ディスク
５４１　ディスク孔
６　　　規制部材
６１　　開口部
６２　　突起
７　　　指掛け部材
７１　　フランジ収容部
７２　　天板
７３　　バレル固定部
７４　　Ｃ型柱状体
８　　　アダプタ装着部
９　　　容器アダプタ
９１　　バレル被覆部
９２　　連結部
９３　　容器接続部
９３１　シリンジ受け入れ口
９３２　ゴムキャップ
９３３　フード
９３４　連通針
９３５　パッキン

Claims

液体を噴霧するための噴霧器であって、
中空であって、先端に噴霧ノズル取り付け部が形成され、基端にフランジが形成されたバレルと、
前記バレル内を液密に摺動可能に設けたれたガスケットと、
ガスケットの基端に連結されたロッドと、
該ロッドに設けられた、ガイド溝と、
前記バレルに備えられた、中心にロッドが挿通可能な開口部が形成され、前記ガイド溝とスライド自在に滑合可能なように開口部の縁より中心方向へ向かって突出する突起を有する規制部材とを含み、
前記ガイド溝は、少なくとも第一の投与溝と、該第一の投与溝から連続して設けられる第二の投与溝とからなり、
前記第一の溝は、プライミング部分と、該プライミング部分から長手基端方向へ延びる第一の投与部分とで構成され、
前記第二の投与溝は、周方向に延び、基端側の溝壁は前記第一の投与部分の基端と一致するように設けられる移行部分と、該移行部分から長手基端方向へ延びる第二の投与部分とで構成され、
前記移行部分と前記第二の投与部分との境に設けられた、前記突起と係止可能な付勢用凸部と設けることを特徴とする
噴霧器。
　前記プライミング部分は、長手方向に延びる溝、周方向に延びる溝、又は、先端側が長手方向に延び基端側が周方向に延びるL字状の溝である、請求項１に記載の噴霧器。
　前記突起と係止可能な付勢用凸部を前記プライミング部分と前記第一の投与部分との境に設けた、請求項１または２に記載噴霧器。
さらに、第一の投与溝と第二の投与溝との境には、前記突起と係止可能な回転防止用凸部が設けられてなる、請求項１から３のいずれかに記載の噴霧器。
前記ガイド溝は、さらに第三の投与溝が設けられ、該第三の投与溝は、周方向に延び、基端側の溝壁は前記第二の投与溝の基端と一致するように設けられる移行部分と、該移行部分から長手基端方向へ延びる第三の投与部分とで構成され、
前記移行部分と前記第三の投与部分との境に設けられた、前記突起と係止可能な第三の付勢用凸部と設けることを特徴とする、請求項１から４のいずれかに記載の噴霧器。
前記フランジには、前記規制部材を収容可能な収容部を有し、前記規制部材は収容部内に収容されてなる、請求項１から５のいずれかに記載の噴霧器。
前記規制部材は、さらに、先端にフランジを内部に収容可能な収容部及びバレル外壁に係合可能な固定部を有し、バレルの下端を収容することによって装着される、請求項１から６のいずれかに記載の噴霧器。
前記噴霧ノズル取り付け部には、噴霧ノズルが取り付けられてなる、請求項１から７記載の噴霧器。
前記噴霧ノズルは、内部に粉末製剤が収容されてなる、請求項８に記載の噴霧器。
さらに、バレルを被覆するように、脱離可能に設けられた、バレル内と他の薬液容器とを連通可能な薬液容器アダプタを有する、請求項１～９に記載の噴霧器。