WO2011125236A1

WO2011125236A1 - 車両情報監視装置

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Publication number: WO2011125236A1
Application number: PCT/JP2010/061339
Authority: WO
Inventors: 伊藤　幸夫
Original assignee: ヤマハ発動機株式会社
Priority date: 2010-04-07
Filing date: 2010-07-02
Publication date: 2011-10-13
Also published as: TWI392603B; EP2556997A1; EP2556997A4; EP2556997B1; TW201134703A

Abstract

　車両情報表示装置は、車両制御装置に対する要求コードを生成し、車両制御装置からの応答データを受信する。車両情報監視装置は、車両情報表示装置と通信する第１通信手段と、車両制御装置と通信する第２通信手段と、第１要求コードを受信したときに第２通信手段から第２要求コードを送信させる要求制御手段と、第１要求コードに対応する応答データを第１通信手段から送信させる応答制御手段と、受信した応答データを要求コードと対応付けて記憶する記憶手段とを含む。要求制御手段は、第１要求コードに対応する応答データが記憶手段に記憶されていなければ、第１要求コードを前記第２要求コードとして第２通信手段から送信させる。要求制御手段は、第１要求コードに対応する応答データが記憶手段に記憶されていれば、第１要求コードとは異なる要求コードを第２要求コードとして第２通信手段から送信させる。

Description

車両情報監視装置

　この発明は、車両制御装置から車両情報を取得する車両情報監視装置に関する。

　車両には、車速等の車両情報を表示する表示ユニットと、車両の各部（主として電装品）を制御するための車両制御ユニットとが備えられている。車両制御ユニットは、たとえば、車両のエンジンに備えられた点火プラグ、燃料噴射装置等の電装品の動作を制御する。このような制御動作に必要なセンサ類が車両制御ユニットに接続されている。センサ類は、たとえば、車速センサ、エンジン回転速度センサ、冷却水温センサ、吸気温度センサ、スロットル開度センサを含む。

　表示ユニットは、車両制御ユニットとの通信によって必要な情報を取得するように構成されている。たとえば、表示ユニットは、車速、エンジン回転速度、冷却水温度等の情報を車両制御ユニットから取得し、それらの情報を表示するように構成されている。
　車両制御ユニットには、車両情報を記憶するメモリと、このメモリから車両情報を読み出すための通信ポートとが備えられる場合がある。メモリに記憶された車両情報を、通信ポートを介して読み出すことにより、車両の故障診断を行うことができる。

　しかし、車両制御ユニットに故障診断用のメモリおよび通信ポートが備えられない場合もある。たとえば、自動二輪車等の鞍乗り型車両の車両制御装置は、取り付けスペースの制約から、サイズが厳しく制限される。そのため、故障診断用メモリおよび専用の通信ポートを備える余裕はない。
　特許文献１には、車体側ＥＣＵ（電子制御ユニット）から取得した情報を記憶するメモリを備えたメータ用表示器が開示されている。この構成によれば、車両制御ユニットに故障診断用メモリまたは専用通信ポートを備える必要がなくなる。

特開２００４－２９１７９８号公報

　特許文献１の先行技術において、メモリに記憶された情報を別の処理装置に読み出そうとすれば、専用の通信ポートを備える必要がある。したがって、車両制御ユニットの場合と同じく、車両の種類によっては、メータ用表示器の取り付けスペースによる制約から、メモリおよび通信ポートを備えることができない場合がある。
　この発明の一実施形態は、車両情報表示装置および車両制御装置に大幅な改変を加えることなく（とくに、専用のメモリやポートを備えることなく）、車両情報を取得することができる車両情報監視装置を提供する。

　この発明の一実施形態は、車両情報表示装置と通信する車両制御装置から車両情報を取得する車両情報監視装置を提供する。前記車両情報表示装置は、前記車両制御装置に対する要求コードを生成し、前記車両制御装置からの応答データを受信するように構成されている。前記車両制御装置は、要求コードに応じて車両情報を含む応答データを生成するように構成されている。前記車両情報監視装置は、前記車両情報表示装置と通信する第１通信手段と、前記車両制御装置と通信する第２通信手段と、前記第１通信手段が第１要求コードを受信したときに、前記第２通信手段から第２要求コードを送信させる要求制御手段と、前記第１通信手段が受信した第１要求コードに対応する応答データを前記第１通信手段から送信させる応答制御手段と、前記第２通信手段が受信した応答データを第２要求コードと対応付けて記憶する記憶手段とを含む。前記要求制御手段は、前記第１要求コードに対応する応答データが前記記憶手段に記憶されていなければ、前記第１要求コードを前記第２要求コードとして前記第２通信手段から送信させ、前記第１要求コードに対応する応答データが前記記憶手段に記憶されていれば、前記第１要求コードとは異なる第３要求コードを前記第２要求コードとして前記第２通信手段から送信させるように構成されている。前記応答制御手段は、前記第２要求コードが前記第１要求コードと等しいときには前記第２通信手段が受信した応答データを前記第１通信手段から送信させ、前記第２要求コードが前記第１要求コードと異なるときには、前記記憶手段から前記第１要求コードに対応する応答データを読み出して前記第１通信手段から送信させるように構成されている。

　車両情報表示装置は、車両制御装置との通信によって、車両情報を取得できる。具体的には、車両情報表示装置は、必要な情報を要求する要求コードを生成する。車両制御装置は、要求コードを受け取ると、その要求コードに対応する応答データ（車両情報を含む）を生成する。車両情報表示装置は、応答データに含まれる車両情報を用いて、必要な表示を行う。

　車両情報監視装置は、第１通信手段によって車両情報表示装置と通信し、第２通信手段によって車両制御装置と通信するように構成されている。したがって、車両情報監視装置は、車両情報表示装置と車両制御装置との間の通信を中継することができる。つまり、車両情報監視装置は、車両情報表示装置から受信した要求コードを車両制御装置に送信し、その要求コードに対する応答データを車両制御装置から受信して、車両情報表示装置に送信することができる。これにより、車両情報表示装置に対して、必要な情報を提供できる。

　車両情報監視装置は、さらに、車両制御装置から受信した応答データを記憶する記憶手段を有している。車両情報監視装置は、車両情報表示装置から受信した要求コードに対応する応答データが記憶手段に記憶されているときは、その記憶されている応答データを車両情報表示装置に送信する。これにより、車両情報表示装置は、必要な車両情報（応答データ）を得ることができる。車両情報監視装置は、車両情報表示装置から受信した第１要求コードに対応する応答データが記憶手段に記憶されているとき、第１要求コードとは異なる第３要求コードを車両制御装置に送信する。これにより、車両情報監視装置は、第１要求コードに対応した車両情報とは異なる車両情報を車両制御装置から取得できる。たとえば、車両情報表示装置が要求しない種類の車両情報であっても、車両制御装置から取得できる。

　このようにして、車両情報監視装置は、車両情報表示装置と車両制御装置との間の通信を中継しながら、車両制御装置から、必要な車両情報を取得することができる。
　車両情報監視装置は、車両の通常の使用時には車両に搭載する必要がないから、構成が多少複雑であっても、また多少大型であっても問題がない。したがって、たとえば、自動二輪車に代表される鞍乗り型車両のように、車両情報表示装置および車両制御装置の設置スペースが制約されている車両であっても、必要に応じて、車両情報を取得することができる。むろん、車両情報表示装置および車両制御装置の構成を大きく変更する必要はない。すなわち、車両情報表示装置および車両制御装置の一方または両方に、車両情報監視のための専用メモリや専用通信ポートを備える必要がない。換言すれば、前記車両は、車両情報表示装置および車両制御装置の一方または両方に、車両情報監視のための専用メモリや専用通信ポートを備えていない車両であってもよい。

　車両制御装置は、たとえば、車両に備えられた電装品を制御するように構成されている。電装品は、たとえば、エンジンに関連する電装品を含む。このような電装品の具体例は、点火プラグ（点火コイル）、燃料噴射装置、燃料ポンプ等エンジンの駆動に関連する部品を含む。車両制御装置には、センサ類の出力信号が入力されている。センサ類の具体例は、車速センサ、エンジン回転速度センサ、冷却水温度センサ、吸気温度センサを含む。エンジン回転速度センサは、たとえば、エンジンのクランク軸の回転角を検出するクランク角センサを含む。

　車両情報は、車両に搭載されたセンサ類によって出力されるセンサ出力情報を含んでいてもよい。センサ出力情報の例は、車速、エンジン回転速度、冷却水温度、吸気温度、変速段、燃料残量を含む。冷却水温度とは、エンジンを冷却する冷却水の温度である。吸気温度とは、エンジンに吸入される空気の温度であり、環境温度の代替指標として用いることができる。変速段とは、車両に備えられた変速機の変速段を表す情報である。

　また、車両情報は、車両制御装置の内部演算によって作成される演算情報を含んでいてもよい。演算情報の例としては、燃料噴射量（燃料噴射時間）等の制御指令情報や、各種の警報を挙げることができる。警報とは、故障等の異常を告知する情報である。車両の構成によっては、変速段は、制御指令情報の一例でもあり得る。
　車両情報表示装置が表示する車両情報は、たとえば、車速、エンジン回転速度、冷却水温度、吸気温度、警報、変速段、燃料残量のうちの１つ以上を含む。車両情報表示装置が表示する車両情報は、少なくともセンサ出力情報を含むことが好ましい。より具体的には、車両情報表示装置が表示する車両情報は、少なくとも車速および燃料残量を含むことが好ましい。

　車両制御装置は、車両情報表示装置が生成する要求コードに対応する車両情報だけでなく、それ以外の車両情報を応答データに含めて送信できるように構成されていてもよい。すなわち、車両制御装置は、車両情報表示装置が生成する要求コード以外の要求コードを車両情報監視装置が生成したときに、このような要求コードに対応する車両情報を応答データに含めるように構成されていることが好ましい。これにより、車両情報監視装置は、車両情報表示装置が取得し得る車両情報だけでなく、それ以外の車両情報も車両制御装置から取得できる。車両情報監視装置は、センサ出力情報を要求する要求コードおよび演算情報を要求する要求コードの一方または両方を生成できるように構成されていることが好ましい。

　この発明の一実施形態では、前記応答データは、種類の異なる第１車両情報および第２車両情報を含む。また、前記応答制御手段は、前記第２要求コードが前記第１要求コードに等しいか否かに依らずに、前記第２通信手段が受信した応答データ中の前記第１車両情報を前記第１通信手段から送信される応答データに含めるように構成されている。また、前記応答制御手段は、前記第２要求コードが前記第１要求コードと等しいときには前記第２通信手段が受信した応答データ中の前記第２車両情報を前記第１通信手段から送信される応答データに含めるように構成されている。さらに、前記応答制御手段は、前記第２要求コードが前記第１要求コードと異なるときには、前記記憶手段から前記第１要求コードに対応する応答データ中の前記第２車両情報を読み出して前記第１通信手段から送信される応答データに含めるように構成されている。

　換言すれば、第２要求コードが第１要求コードに等しいときには、第２通信手段が受信した応答データ中の第１車両情報および第２車両情報（すなわち、第２通信手段が受信した応答データ）が、そのまま第１通信手段から送信される。一方、第２要求コードが第１要求コードと異なるときには、第１通信手段が受信した応答データ中の第１車両情報と、記憶手段から読み出した第２車両情報（ただし第１要求コードに対応するもの）とが、第１通信手段から送信される。

　この構成によれば、車両制御装置が生成する応答データ中には、第１車両情報および第２車両情報が含まれる。それらのうち第１車両情報は、常に、車両情報表示装置に送信される応答データ中に含められる。第２車両情報については、車両制御装置から受信した情報ではなく、記憶手段から読み出された情報が応答データ中に含められて車両情報表示装置に送信される場合がある。

　車両情報表示装置は、要求コードを生成するたびに、最新の第１車両情報を取得できる。したがって、車両情報表示装置は、第１車両情報を遅滞なく取得できる。その一方で、車両情報表示装置が受信する第２車両情報は、当該要求コード生成時の最新の情報でない場合がある。すなわち、車両情報表示装置に送信される第２車両情報は、従前に取得されて記憶手段に格納された情報である場合がある。したがって、車両情報表示装置が受信する第２車両情報は最新の情報でない場合があるけれども、第１車両情報は常に最新の情報である。そこで、優先度の高い情報を第１車両情報としておけば、車両情報表示装置における表示に実質的な問題はない。すなわち、たとえば、第１車両情報は、第２車両情報よりも優先度の高い車両情報であってもよい。たとえば、第１車両情報は、車両情報表示装置における必要更新周期が第２車両情報よりも短い車両情報であってもよい。

　前記第１車両情報の例は、車速、エンジン回転速度および警報を含む。前記第１車両情報は、少なくとも車速を含むことが好ましい。また、前記第１車両情報は、少なくとも車速（より好ましくは車速および警報）を含むことがより好ましい。第１車両情報以外の車両情報が、第２車両情報であり得る。前記第２車両情報の例は、冷却水温度および吸気温度を含む。たとえば、第１車両情報が車速、エンジン回転速度および警報を含み、第２車両情報が冷却水温度および吸気温度を含んでいてもよい。この場合、冷却水温度および吸気温度の表示には多少のタイムラグが生じるけれども、車速およびエンジン回転速度ならびに警報は、リアルタイムに表示される。したがって、車両の運転者等の乗員に対して、重要性の高い情報をリアルタイムに提供しながら、車両情報監視装置によって車両情報を監視できる。つまり、車両の運転状態において、車両情報の取得が可能になる。

　この発明の一実施形態に係る車両情報監視装置は、前記第２通信手段から送信すべき第３要求コードを記憶した要求コード記憶手段をさらに含む。また、前記要求制御手段は、前記第１要求コードに対応する応答データが前記記憶手段に記憶されているとき、前記要求コード記憶手段に記憶されている第３要求コードを前記第２要求コードとして前記第２通信手段から送信させるように構成されている。

　この構成によれば、監視が必要な要求コードを予め要求コード記憶手段に格納しておくことにより、必要な車両情報を収集できる。前記車両情報監視装置は、外部処理装置とのインタフェースをさらに備え、当該インタフェースから要求コード記憶手段への要求コードが書き込み可能に構成されていることが好ましい。これにより、車両制御装置が応答する限りにおいて、任意の車両情報を取得できる。

　前記車両情報監視装置は、前記記憶手段に格納された応答データが予め定める量に達すると、最も古いデータを削除する記憶制御手段をさらに含むことが好ましい。この構成によれば、記憶手段に格納される応答データの記憶量が予め定める量に制限される。そして、古いデータが削除されるので、車両情報表示装置に引き渡される車両情報が過度に古くなることがない。これによって、車両情報表示装置に表示される情報の更新遅延を抑制できる。

　前記車両情報監視装置は、前記記憶手段とは別に、前記第２通信手段が受信した応答データを記憶する応答データ記憶手段をさらに含むことが好ましい。この構成によれば、応答データが応答データ記憶手段に書き込まれるので、この応答データ記憶手段の記憶データを読み出すことで、車両情報を取得できる。この車両情報を用いて、たとえば、故障診断を行うことができる。とくに、記憶手段の記憶量を所定量に制限する場合に、古いデータを応答データ記憶手段に記憶させておくことによって、充分なデータ量の車両情報を事後的に分析することができる。

　むろん、応答データ記憶手段を設けずに、取得した車両情報を外部処理装置に出力するためのインタフェースを設けてもよい。そして、車両情報監視装置は、車両制御装置から取得した車両情報を当該インタフェースから外部処理装置へと送信するように構成されていてもよい。
　前記応答データ記憶手段は、不揮発性記憶手段で構成されることが好ましい。不揮発性記憶手段は、車両情報監視装置の電源を遮断した後もデータを保持することができる記憶手段である。このような不揮発性記憶手段は、フラッシュメモリに代表される不揮発性メモリであってもよいし、ハードディスクドライブであってもよいし、バックアップ電源付の揮発性メモリであってもよい。

　この発明の一実施形態では、前記応答データは、チェックサムデータを含む。また、前記応答制御手段は、前記第１送信手段から送信させる応答データのデータ量に対応したチェックサムデータを作成し、このチェックサムデータを前記第１通信手段から送信される応答データに含ませるように構成されている。
　車両情報監視装置は、車両情報表示装置から受信した要求コードとは異なる要求コードを車両制御装置に送信する場合がある。このとき、車両情報監視装置は、車両制御装置から受信した応答データとは異なる応答データを車両情報表示装置に送信する。したがって、車両制御装置から受信する応答データに含まれるチェックサムデータは、車両情報表示装置に送信されるデータ量と整合しない。そこで、車両情報監視装置は、車両情報表示装置に送信する応答データのデータ量に対応したチェックサムデータを作成し、これを応答データに含ませる。これにより、車両情報監視装置は、通信エラーを生じさせることなく、車両情報表示装置と車両制御装置との間の通信を中継できる。

　この発明の一実施形態では、前記車両制御装置と前記車両情報表示装置とが有線通信ラインで接続されており、前記有線通信ラインの途中に、互いに結合可能な第１コネクタおよび第２コネクタが設けられている。そして、前記第１コネクタが前記車両情報表示装置に接続され、前記第２コネクタが前記車両制御装置に接続されている。また、前記第１通信手段が前記第１コネクタに接続される第１接続部を含み、前記第２通信手段が前記第２コネクタに接続される第２接続部を含む。

　この構成によれば、車両制御装置と車両情報表示装置とは、有線通信ラインで接続されており、この有線通信ラインの途中に第１コネクタおよび第２コネクタが設けられている。車両の通常の使用状態では、第１コネクタおよび第２コネクタが結合され、車両制御装置と車両情報表示装置とが、直接的に、情報通信を実行する。車両情報を取得するときには、第１コネクタおよび第２コネクタの結合が解かれ、第１コネクタおよび第２コネクタが車両情報監視装置の第１接続部および第２接続部にそれぞれ接続される。これにより、車両制御装置と車両情報表示装置とは、車両情報監視装置によって中継されながら互いに通信できる。換言すれば、車両情報監視装置は車両制御装置および車両情報表示装置とそれぞれ通信する。このように、第１コネクタおよび第２コネクタの結合を解いて、それらを車両情報監視装置に接続することによって、容易に、車両情報を取得することができる。通常の使用状態においては、車両情報監視装置を接続しておく必要はないから、車両情報監視装置の設置スペースを車両に設けておく必要はない。

　「有線通信ラインの途中」とは、有線通信ラインの一方端から他方端までのいずれかの位置を指す。つまり、有線通信ラインの中間部、一方端部および他方端部は、いずれも「有線通信ラインの途中」に該当する。
　この発明の一実施形態に係る車両情報監視装置は、前記車両制御装置と前記車両情報表示装置との間で要求コードおよび応答データを中継するように構成されている。この構成によれば、車両情報監視装置は、車両制御装置と車両情報表示装置との間を中継することによって、それらの間の通信を行わせながら、車両情報を取得できる。したがって、車両の運転状態で車両情報を取得することができる。

　本発明における上述の、またはさらに他の目的、特徴および効果は、添付図面を参照して次に述べる実施形態の説明により明らかにされる。

図１は、この発明の一実施形態に係る車両情報監視装置が適用可能な車両の電気的構成を説明するためのブロック図であり、車両の通常の使用状態を示す。図２は、この発明の一実施形態に係る車両情報監視装置の構成を説明するためのブロック図であり、車両情報を取得するときの構成を示す。図３は、車両の通常の使用状態において、有線通信ラインに現れるデータの例を示す図である。図４は、車両の通常の使用状態（図１参照）における表示ユニットと車両制御ユニットとの間の通信タイミングを示す図である。図５は、表示ユニットと車両制御ユニットとの間に車両情報監視装置を接続した場合（図２参照）における、通信内容を説明するための図である。図６は、図５に対応する通信タイミングを示すタイミング図である。図７は、車両情報監視装置のマイクロコンピュータが実行する処理を説明するためのフローチャートである。

　図１は、この発明の一実施形態に係る車両情報監視装置を適用することができる車両の電気的構成を説明するためのブロック図である。車両１０は、エンジン１と、車両制御ユニット２と、表示ユニット３とを含む。車両制御ユニット２は、車両１０に関連する電装品の動作を制御するようにプログラムされている。より具体的には、車両制御ユニット２は、車両１０に搭載されており、エンジン１に備えられた電装品およびエンジン１に関連する電装品の動作を制御する。エンジン１は、この実施形態では、内燃機関であり、より具体的には４サイクルガソリンエンジンである。エンジン１には、電装品として、点火コイル１１および燃料噴射装置１２が備えられている。点火コイル１１は、点火プラグに放電させるための高電圧印加するように構成されている。点火プラグは、エンジン１の燃焼室内で放電する放電部を含む。燃料噴射装置１２は、エンジン１の吸気ポートに向けて燃料を噴射する装置である。エンジン１に燃料を供給するための燃料ポンプ１８も、エンジン１に関連する電装品の一つである。燃料ポンプ１８の動作も、車両制御ユニット２によって制御される。

　エンジン１は、さらに、クランク角センサ１３、冷却水温度センサ１４、吸気温度センサ１５、およびスロットル開度センサ１６を備えている。クランク角センサ１３は、エンジン１のクランク軸の回転角を検出するように構成されている。冷却水温度センサ１４は、エンジン１を冷却するための冷却水の温度を検出するように構成されている。吸気温度センサ１５は、エンジン１に取り込まれる空気（吸気）の温度を検出するように構成されている。スロットル開度センサ１６は、エンジン１に備えられたスロットル弁の開度を検出するように構成されている。これらのセンサ１３，１４，１５，１６の出力信号は、車両制御ユニット２に入力されている。

　車両制御ユニット２には、さらに、車両１０の走行速度（車速）を検出する車速センサ１７が接続されている。車両制御ユニット２は、センサ類１３～１７からの検出信号が入力される入力インタフェース２０を備えている。車両制御ユニット２は、さらに、エンジン１に備えられた電装品（アクチュエータ）や車両１０のエンジン１以外の部分に備えられた電装品（アクチュエータ。たとえば燃料ポンプ）を駆動するためのアクチュエータ駆動回路２１を備えている。車両制御ユニット２は、さらに、通信インタフェース２２と、マイクロコンピュータ２３と、車両情報保持メモリ２４とを備えている。

　通信インタフェース２２は、通信ケーブル２５との間でコマンドおよびデータの授受を行うように構成されている。マイクロコンピュータ２３は、入力インタフェース２０に入力されるセンサ類の出力信号等に応じてアクチュエータ駆動回路２１を制御するようにプログラムされている。車両情報保持メモリ２４は、たとえば、入力インタフェース２０に入力されたセンサ類の出力信号、およびアクチュエータ駆動回路２１による電装品の制御履歴を車両情報（車両制御情報）として保持するように構成されている。より具体的には、マイクロコンピュータ２３が、それらの車両情報を車両情報保持メモリ２４に書き込むように構成されている。マイクロコンピュータ２３は、また、通信インタフェース２２が受信する要求コードに応じて、必要な車両情報を車両情報保持メモリ２４から読み出し、その車両情報を含む応答データを通信ケーブル２５へと送出するようにプログラムされている。

　表示ユニット３は、車両１０に搭載されており、通信ケーブル３５に接続されている。通信ケーブル３５の先端には、第１コネクタ（カプラ）４１が結合されている。第１コネクタ４１は、対応する第２コネクタ（カプラ）４２と結合可能に構成されている。第２コネクタ４２は、通信ケーブル２５の先端に接続されている。第１コネクタ４１および第２コネクタ４２は、互いに結合したり、その結合を解除したりすることができるように構成されている。

　表示ユニット３は、メータ表示部３１と、通信インタフェース３２と、マイクロコンピュータ３３とを含む。メータ表示部３１は、たとえば、車速、エンジン回転速度、警報、冷却水温度および吸気温度を表示できるように構成されている。表示すべき情報は、通信インタフェース３２によって、通信ケーブル２５，３５を含む有線通信ライン３０を介して、車両制御ユニット２から取得される。マイクロコンピュータ３３は、通信インタフェース３２から通信ケーブル３５へと、表示に必要な車両情報を要求する要求コードを送出するようにプログラムされている。さらに、マイクロコンピュータ３３は、通信ケーブル３５から通信インタフェース３２において受信される応答コードから車両情報を抽出するように構成されている。マイクロコンピュータ３３は、さらに、当該抽出された車両情報を、メータ表示部３１に表示させるように、メータ表示部３１を制御するようにプログラムされている。

　図２は、この発明の一実施形態に係る車両情報監視装置５の構成を説明するためのブロック図である。車両情報監視装置５は、車両制御ユニット２と表示ユニット３との間に接続されて、車両制御ユニット２と表示ユニット３との間の情報通信を中継するように構成されている。すなわち、車両情報監視装置５は、車両制御ユニット２と表示ユニット３との間の情報通信を中継する中継ユニットとして機能するように構成されている。車両情報監視装置５は、車両１０の通常の使用時には、車両１０に搭載されていない。すなわち、車両情報監視装置５は、必要時に車両制御ユニット２と表示ユニット３との間に接続される。この接続状態において、車両情報監視装置５は、車両１０に一時的に保持されてもよいし、車両１０以外の場所に置かれてもよい。車両情報監視装置５を接続した状態で車両１０を走行させるときには、車両情報監視装置５を車両１０上に一時的保持してもよいし、乗員が身につける保持具（鞄やベルトなど）に車両情報監視装置５を保持してもよい。

　車両情報監視装置５は、表示ユニット３に通信ケーブル３５を介して接続された第１コネクタ４１が接続される第１接続部５１と、車両制御ユニット２に通信ケーブル２５を介して接続された第２コネクタ４２が接続される第２接続部５２とを備えている。第１接続部５１は、第１コネクタ４１と結合可能なコネクタの形態を有している。同様に第２接続部５２は、第２コネクタ４２と結合可能なコネクタの形態を有している。第１接続部５１は、通信ケーブル５３を介して、車両情報監視装置５の筐体内に設けられた回路基板に接続されている。同様に、第２接続部５２は、通信ケーブル５４を介して、車両情報監視装置５の筐体内に設けられた回路基板に接続されている。

　車両情報監視装置５は、第１通信インタフェース６１と、第２通信インタフェース６２と、マイクロコンピュータ５５と、第３通信インタフェース６３と、バッファメモリ５６と、モニタ用要求コードメモリ５７と、不揮発性メモリ５８とを備えている。第１通信インタフェース６１は、表示ユニット３との通信のための通信インタフェースである。第２通信インタフェース６２は、車両制御ユニット２との通信のための通信インタフェースである。第３通信インタフェース６３は、外部の処理装置（たとえば、所定のツールを組み込んだパーソナルコンピュータ）との通信のための通信インタフェースである。

　バッファメモリ５６は、第２通信インタフェース６２が車両制御ユニット２から受信した応答データ（車両情報）を一時的に記憶するための記憶ユニットである。モニタ用要求コードメモリ５７は、車両制御ユニット２から取得すべき車両情報を要求するための要求コードを格納するための記憶ユニットである。たとえば、表示ユニット３が要求する車両情報以外の車両情報を要求するための要求コードがモニタ用要求コードメモリ５７に格納される。不揮発性メモリ５８は、車両制御ユニット２から取得された応答データ（車両情報）を記憶するための記憶ユニットである。

　マイクロコンピュータ５５は、モニタ用要求コードメモリ５７に格納された要求コードを第２通信インタフェース６２から車両制御ユニット２へと送出するように構成されている。また、マイクロコンピュータ５５は、第２通信インタフェース６２が車両制御ユニット２から受信した応答データの一部をバッファメモリ５６に書き込むようにプログラムされている。さらに、マイクロコンピュータ５５は、第２通信インタフェース６２が車両制御ユニット２から受信した応答データの全てを、不揮発性メモリ５８に書き込むようにプログラムされている。さらに、マイクロコンピュータ５５は、第１通信インタフェース６１が表示ユニット３から受信した要求コードに対応する応答コードを当該第１通信インタフェース６１から表示ユニット３へと送出させるようにプログラムされている。さらにまた、マイクロコンピュータ５５は、第３通信インタフェース６３を介して、外部の処理装置７０から、モニタ用要求コードの書き込み指令を受けて、当該モニタ用要求コードをモニタ用要求コードメモリ５７に書き込むようにプログラムされている。さらに、マイクロコンピュータ５５は、第３通信インタフェース６３を介して、外部の処理装置７０から、応答データの出力要求を受け付けるようにプログラムされている。さらに、マイクロコンピュータ５５は、当該出力要求に応答して、不揮発性メモリ５８からその記憶データを読み出し、第３通信インタフェース６３から送出するようにプログラムされている。マイクロコンピュータ５５は、不揮発性メモリ５８の記憶データの代わりに、第２通信インタフェース６２が受信する応答データを第３通信インタフェース６３から出力する動作モードを有していてもよい。

　車両情報監視装置５は、たとえば、車両１０のメンテナンスを行うサービスセンター等に備えられる。すなわち、車両１０の通常の使用状態においては、車両情報監視装置５は、車両１０に搭載されない。つまり、通常の車両１０の使用状態では、車両１０の電気的構成は、図１に示す通りとなる。よって、車両制御ユニット２と表示ユニット３とは、有線通信ライン３０を介して相互に情報通信を行う。

　車両１０がサービスセンター等に持ち込まれて、車両制御ユニット２内の車両情報の取得が必要になると、車両情報監視装置５が車両制御ユニット２と表示ユニット３との間に接続され、図２に示す構成となる。この状態で車両１０を運転することにより、車両情報を車両制御ユニット２から取得して、バッファメモリ５６および不揮発性メモリ５８に格納することができる。車両制御ユニット２から受信した車両情報および不揮発性メモリ５８に格納された車両情報は、第３通信インタフェース６３を介して、外部に取り出すことができる。不揮発性メモリ５８は、車両情報監視装置５に着脱可能なメモリユニットにより構成されていてもよい。このようなメモリユニットの具体例は、メモリカードおよびＵＳＢメモリに代表されるフラッシュメモリユニットである。この場合、車両情報監視装置５には、メモリユニットに対するデータを読み書きするためのリーダ／ライターユニットが備えられる。

　図３は、車両１０の通常の使用状態（図１参照）において、有線通信ライン３０に現れるデータの例を示す図である。表示ユニット３は、予め定められた周期（例えば１５．６２５ｍｓｅｃ）で、有線通信ライン３０に要求コードを送出する。要求コードは、１バイトのデータであってもよい。車両制御ユニット２から取得すべき情報に応じて、要求コードの値が定められている。たとえば、要求コードの値を「０ｘ０１」とすることにより、この要求コードは水温データを要求する要求コードとなる。この場合、車両制御ユニット２は、水温データを応答データとして送出する。

　要求コードに応答して車両制御ユニット２が有線通信ライン３０に送出する応答データは、たとえば、データＤ１，Ｄ２，Ｄ３，Ｄ４およびＤ５からなる。データＤ１～Ｄ５は、たとえば、それぞれ１バイトのデータである。すなわち、車両制御ユニット２は、一つの要求コードに応答して５バイトの応答データを送出するように構成されている。この実施形態では、データＤ１はエンジン回転速度を表し、データＤ２は車速を表し、データＤ３は警報情報を表し、データＤ４は要求コードの内容に応じた車両情報（水温など）を表し、データＤ５はデータＤ１～Ｄ４のチェックサムデータを表す。警報情報とは、故障の有無および故障の種類を表す情報である。チェックサムデータは、たとえば、データＤ１～Ｄ４の積算値の下位８ビットであってもよい。

　５バイトの応答データのうち、始めの３バイトのデータＤ１～Ｄ３は、要求コードを受信するたびに車両制御ユニット２が送出するデータである。すなわち、要求コードの内容によらずに、エンジン回転速度、車速および警報情報が、有線通信ライン３０に送出される。これは、表示ユニット３における表示優先順位の高い第１車両情報である。５バイトの応答データのうち、４バイト目のデータＤ４は、車両制御ユニット２が受信した要求コードの内容に応じて変動する第２車両情報を含む。第２車両情報は、表示ユニット３における表示優先順位が第１車両情報よりも低い情報である。

　図４は、車両１０の通常の使用状態（図１参照）における表示ユニット３と車両制御ユニット２との間の通信タイミングを示す図である。表示ユニット３は、予め定められた一定の周期で要求コードＡ，Ｂ，Ｃを順次送出する。要求コードＡ，Ｂ，Ｃを受信した車両制御ユニット２は、応答データＤ１～Ｄ５をその都度送出する。これらの応答データＤ１～Ｄ５が表示ユニット３によって受信される。表示ユニット３からの要求コードの送出と、車両制御ユニット２からの応答データＤ１～Ｄ５の送出とが、表示ユニット３による要求コード生成周期内に完了するようになっている。

　図５は、表示ユニット３と車両制御ユニット２との間に車両情報監視装置５を接続した場合（図２参照）における、通信内容を説明するための図である。図６は、その通信タイミングを示すタイミング図である。図５の上段には、表示ユニット３と車両情報監視装置５との間でやり取りされるデータ、すなわち、第１通信インタフェース６１が送受信するデータを示す。図５の下段には、車両情報監視装置５と車両制御ユニット２との間でやり取りされるデータ、すなわち、第２通信インタフェース６２が送受信するデータを示す。

　表示ユニット３は、通常の使用状態の場合と同じく、予め定められた周期（たとえば１５．６２５ｍｓｅｃ）で要求コードＡ，Ｂ，Ｃを通信ケーブル３５に送出する。一方、車両制御ユニット２は、要求コードを受信するたびに、５バイトの応答データＤ１～Ｄ５を通信ケーブル２５へと送出する。表示ユニット３が送出した要求コードは、車両情報監視装置５によって受信される。車両情報監視装置５は、表示ユニット３から受信した要求コード、または、それとは異なる要求コードを、通信ケーブル２５を介して車両制御ユニット２へと送信する。さらに、車両情報監視装置５は、表示ユニット３から受信した要求コードに対応するデータＤ４を含む応答データＤ１～Ｄ５を、通信ケーブル３５を介して表示ユニット３へと送信する。この応答データ中に含まれるデータＤ４の内容は、車両制御ユニット２から受信した値と同じである場合もあり、異なる場合もある。

　図５を参照してより詳細に説明すると、車両情報監視装置５のマイクロコンピュータ５５は、第１通信インタフェース６１が表示ユニット３から要求コードＡを受信すると、これに応答して、第２通信インタフェース６２から車両制御ユニット２に向けて、要求コードＸを送信させる。要求コードＸは、要求コードＡと等しい場合もあり、要求コードＡとは異なる場合もある。具体的には、マイクロコンピュータ５５は、バッファメモリ５６を参照して、要求コードＡに対応する応答データが格納されているかどうかを調べる。バッファメモリ５６には、車両制御ユニット２から受信した応答データ（ただしデータＤ４の部分）をＮ個（Ｎは２以上の自然数）記憶することができる容量が確保されている。

　バッファメモリ５６に、要求コードＡに対応する応答データが格納されていないときには、マイクロコンピュータ５５は、要求コードＸを要求コードＡと等しい値とする。この要求コードＸが車両制御ユニット２へ送信される。すなわち、過去Ｎ回の車両制御ユニット２からの受信応答データ中に要求コードＡに該当するものがないときには、要求コードＡがそのまま車両制御ユニット２に送信される。

　バッファメモリ５６に、要求コードＡに対応する応答データ（データＤ４）が記憶されていれば、マイクロコンピュータ５５は、要求コードＡとは異なる要求コードをモニタ用要求コードメモリ５７から読み出す。この読み出された要求コードが、要求コードＸとして、車両制御ユニット２へと送信される。
　第２通信インタフェース６２が車両制御ユニット２から応答データを受信すると、マイクロコンピュータ５５は、それらの応答データのうち、データＤ１～Ｄ３については、受信したデータをそのまま第１通信インタフェース６１から表示ユニット３へと送信させる。

　一方、応答データＤ４については、要求コードＸが要求コードＡに等しい場合に、マイクロコンピュータ５５は、第１通信インタフェース６１が受信した値をそのまま応答データとして第１通信インタフェース６１から表示ユニット３へと送信させる。要求コードＸが要求コードＡと等しくないときには、マイクロコンピュータ５５は、要求コードＡに対応する応答データＤ４をバッファメモリ５６から読み出し、これを第１通信インタフェース６１から表示ユニット３へと送信する。いずれの場合にも、マイクロコンピュータ５５は、第２通信インタフェース６２が受信した応答データのうちのデータＤ４をバッファメモリ５６に書き込む。さらに、マイクロコンピュータ５５は、第２通信インタフェース６２が受信した５バイトの応答データＤ１～Ｄ５の全てを、ログデータとして、不揮発性メモリ５８に書き込む。

　マイクロコンピュータ５５は、さらに、要求コードＸが要求コードＡに等しいときは、第２通信インタフェース６２が受信した応答データＤ５（チェックサムデータ）を、そのまま応答データＤ５として第１通信インタフェース６１から表示ユニット３へと送信させる。要求コードＸが要求コードＡと等しくないときには、マイクロコンピュータ５５は、第１通信インタフェース６１から送出される応答データＤ１～Ｄ４の積算値を求め、その下位８ビットをチェックサムデータとする。この作成されたチェックサムデータが、応答データＤ５として、第１通信インタフェース６１から表示ユニット３へと送信される。

　このような動作が繰り返されることにより、モニタ用要求コードメモリ５７に格納された要求コードに対応する応答データを、バッファメモリ５６および不揮発性メモリ５８に蓄積することができる。
　図７は、車両情報監視装置５のマイクロコンピュータ５５が実行する処理を説明するためのフローチャートである。マイクロコンピュータ５５は、第１通信インタフェース６１が表示ユニット３から要求コードを受信すると（ステップＳ１：ＹＥＳ）、受信した要求コードを要求コードＡとする（ステップＳ２）。

　マイクロコンピュータ５５は、次に、バッファメモリ５６を検索して、要求コードＡに対応する応答コードが格納されているかどうかを判断する（ステップＳ３）。すなわち、マイクロコンピュータ５５は、バッファメモリ５６内に、車両制御ユニット２に対して要求コードＡを送信した履歴があるかどうかを判断する。この判断が否定されるときには、マイクロコンピュータ５５は、履歴検索結果フラグを０（リセット）として（ステップＳ４）、車両制御ユニット２に送信すべき要求コードＸに要求コードＡを代入する（ステップＳ５）。すなわち、要求コードＡが、第２通信インタフェース６２を介して、車両制御ユニット２に送信される（ステップＳ５）。

　一方、ステップＳ３の判断が肯定されると、マイクロコンピュータ５５は、履歴検索結果フラグを１（セット）として（ステップＳ６）、モニタ用要求コードメモリ５７を検索する。すなわち、マイクロコンピュータ５５は、モニタ用要求コードメモリ５７に格納された要求コードのうち、いずれか一つを選択して、その選択した要求コードを要求コードＸとする（ステップＳ７）。この要求コードＸが、第２通信インタフェース６２から車両制御ユニット２へと送信される（ステップＳ７）。

　ステップＳ５，Ｓ７の処理の後、マイクロコンピュータ５５は、応答データＤ１～Ｄ５を識別するための内部変数ｉ（ｉ＝１，２，３，４，５）を１にリセットする（ステップＳ８）。さらに、マイクロコンピュータ５５は、第１通信インタフェース６１から送信される送信データのチェックサムデータをクリアする（ステップＳ８）。
　マイクロコンピュータ５５は、第２通信インタフェース６２が車両制御ユニット２から応答データを受信すると（ステップＳ９：ＹＥＳ）、応答データＤｉ（Ｄ１～Ｄ５）を不揮発性メモリ５８に保存する（ステップＳ１０）。さらに、マイクロコンピュータ５５は、応答データＤｉに応じた処理を実行する（ステップＳ１１）。具体的には、応答データのうち、データＤ１～Ｄ３については、すなわちｉ＝１～３の場合には、マイクロコンピュータ５５は、受信した応答データＤｉをそのまま第１通信インタフェース６１から表示ユニット３へと送信する（ステップＳ１２）。

　応答データＤ４については、すなわちｉ＝４の場合には、マイクロコンピュータ５５は、履歴検索結果フラグが１かどうかを調べる（ステップＳ１３）。このフラグが１でなければ、マイクロコンピュータ５５は、ステップＳ１２の処理を実行する。履歴検索結果フラグが１であれば、マイクロコンピュータ５５は、バッファメモリ５６の記憶領域内を検索する。そして、マイクロコンピュータ５５は、過去に要求コードＡを車両制御ユニット２に送信したときの応答データを読み出し、この応答データをデータＤ４として、第１通信インタフェース６１から表示ユニット３へと送信させる（ステップＳ１４）。

　ステップＳ１１，Ｓ１３の処理の後は、内部変数ｉを１だけインクリメントし、ステップＳ９に戻る（ステップＳ１５）。
　受信した応答データが応答データＤ５の場合、すなわちｉ＝５の場合には、マイクロコンピュータ５５は、第１通信インタフェース６１から表示ユニット３へと送信したデータの積算値を求め、その下位８ビットをチェックサムデータとする（ステップＳ１６）。そして、マイクロコンピュータ５５は、求められたチェックサムデータを応答データＤ５として、第１通信インタフェース６１から表示ユニット３へと送信させる（ステップＳ１７）。さらに、マイクロコンピュータ５５は、バッファメモリ５６の記憶データのうち、最も古いものを破棄して、要求コードＡとそれに対応する応答データＤ４との組み合わせを最新のデータ（Ａ，Ｄ４）としてバッファメモリ５６に格納する（ステップＳ１８）。ただし、マイクロコンピュータ５５は、バッファメモリ５６の記憶データ（要求コードとそれに対応する応答データとの組）がＮ個に達するまでは、最古のデータの破棄を行わない。記憶データがＮ個に達すると、最古のデータを削除して、要求コードＡとそれに対応する応答データＤ４との組み合わせを最新のデータ（Ａ，Ｄ４）としてバッファメモリ５６に格納する。この後の処理はステップＳ１に戻る。

　以上のように、この実施形態によれば、車両情報監視装置５を車両制御ユニット２と表示ユニット３との間の有線通信ライン３０の途中に接続することによって、車両情報を取得することができる。車両情報監視装置５は、車両１０の通常の使用状態では、車両１０に搭載する必要がない。したがって、車両１０には、車両情報監視装置５の搭載スペースを確保する必要がない。また、車両情報監視装置５の設計に際しては、設計者は、車両１０への搭載を前提とする必要がない。したがって、車両１０が自動二輪車に代表される鞍乗り型車両である場合でも、車両１０への搭載性を問題とすることなく、必要な機能に応じて、車両情報監視装置５を自由に設計することができる。このような車両情報監視装置５を用いて車両情報を取得できるので、表示ユニット３または車両制御ユニット２に大幅な改変を加える必要がない。具体的には、表示ユニット３または車両制御ユニット２には、車両情報モニタ用の専用のメモリや専用のポートまたはインタフェースを備える必要がない。そのため、表示ユニット３または車両制御ユニット２が複雑化したり大型化したりすることを回避できる。

　また、車両情報監視装置５は、表示ユニット３と車両制御ユニット２との間の情報通信を中継するように構成されているので、表示ユニット３と車両制御ユニット２との間の情報通信が行われている状態で、車両情報を取得できる。したがって、車両１０の運転状態で車両情報を取得することができる。これにより、車両１０の運転状態で生じる様々な車両情報を取得できるから、多様な車両情報の取得が可能になる。したがって、取得された車両情報に基づいて、適切なメンテナンス作業を実行できる。

　さらに、車両情報監視装置５は、車両制御ユニット２からの応答データのうち、車速、エンジン回転速度および警報情報は、直ちに表示ユニット３に送信するように構成されている。したがって、表示ユニット３は、車両情報監視装置５が接続されているときでも、重要な情報（優先度の高い情報）は、遅滞なく表示することができる。その一方で、車両情報監視装置５は、即時の表示更新が必ずしも必要のない応答データＤ４に関しては、従前に車両制御ユニット２から取得されたデータを表示ユニット３に送信する。これにより、車両情報監視装置５は、要求コードに対応した応答データを表示ユニット３に供給しつつ、監視が必要な車両情報を車両制御ユニット２から取得することができる。

　また、要求コードと応答データとを組み合わせて一時記憶するバッファメモリ５６の記憶容量は、一定量に制限されている。そして、古いデータが順次削除される。そのため、応答データＤ４に関しても、表示ユニット３に過度に古いデータが提供されることを回避できる。したがって、表示ユニット３における表示の妥当性を損なうことがない。
　以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、有線通信ライン３０の中間部に第１コネクタ４１および第２コネクタ４２による接続部が設けられているけれども、有線通信ライン３０の両端のうちの一方または両方に、同様の接続部を設けてもよい。たとえば、表示ユニット３に、有線通信ライン３０を構成する通信ケーブルとのコネクタを設けてもよい。このコネクタを車両情報監視装置５の第１接続部５１に接続し、前記通信ケーブルを車両情報監視装置５の第２接続部５１に接続すればよい。むろん、車両制御ユニット２に同様のコネクタを設けてもよい。

　また、車両情報監視装置５は、表示ユニットが接続可能に構成されていてもよい。表示ユニットは、不揮発性メモリ５８に格納された車両情報を表示可能に構成されていてもよい。
　さらに、前記実施形態の車両情報監視装置５は、不揮発性メモリ５８を備えているけれども、この不揮発性メモリ５８を省いてもよい。この場合、マイクロコンピュータ５５は、たとえば、第２通信インタフェース６２が受信した応答データを第３通信インタフェース６３から外部処理装置７０へと出力するように動作する。これにより、外部処理装置７０において車両情報（ログデータ）を蓄積できる。

　また、不揮発性メモリ５８の代わりに、ハードディスクドライブを用いたり、バックアップ電源付の揮発性メモリ（ＤＲＡＭ）を用いたりしてもよい。
　以下に、特許請求の範囲における用語と前記実施形態における用語との対応を列記する。
　　車両情報表示装置：表示ユニット３
　　車両制御装置：車両制御ユニット２
　　車両情報監視装置：車両情報監視装置５
　　第１通信手段：第１通信インタフェース６１、第１接続部５１
　　第２通信手段：第２通信インタフェース６２、第２接続部５２
　　要求制御手段：マイクロコンピュータ５５、ステップＳ１～Ｓ７
　　応答制御手段：マイクロコンピュータ５５、ステップＳ１１～Ｓ１７
　　記憶手段：バッファメモリ５６
　　要求コード記憶手段：モニタ用要求コードメモリ５７
　　記憶制御手段：マイクロコンピュータ５５、ステップＳ１８
　　不揮発性記憶手段：不揮発性メモリ５８
　　有線通信ライン：有線通信ライン：３０
　　第１コネクタ：第１コネクタ４１
　　第２コネクタ：第２コネクタ４２
　　第１接続部：第１接続部５１
　　第２接続部：第２接続部５２
　本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。

　この出願は、２０１０年４月７日に日本国特許庁に提出された特願２０１０－８８８２９号に対応しており、この出願の全開示はここに引用により組み込まれるものとする。

　　１　　エンジン　　　　　　　　　　　２　　車両制御ユニット
　　３　　表示ユニット　　　　　　　　　５　　車両情報監視装置
　１０　　車両　　　　　　　　　　　　１１　　点火コイル
　１２　　燃料噴射装置　　　　　　　　１３　　クランク角センサ
　１４　　冷却水温度センサ　　　　　　１５　　吸気温度センサ
　１６　　スロットル開度センサ　　　　１７　　車速センサ
　１８　　燃料ポンプ　　　　　　　　　２０　　入力インタフェース
　２１　　アクチュエータ駆動回路　　　２２　　通信インタフェース
　２３　　マイクロコンピュータ　　　　２４　　車両情報保持メモリ
　２５　　通信ケーブル　　　　　　　　３０　　有線通信ライン
　３１　　メータ表示部　　　　　　　　３２　　通信インタフェース
　３３　　マイクロコンピュータ　　　　３５　　通信ケーブル
　４１　　第１コネクタ　　　　　　　　４２　　第２コネクタ
　５１　　第１接続部　　　　　　　　　５２　　第２接続部
　５３　　通信ケーブル　　　　　　　　５４　　通信ケーブル
　５５　　マイクロコンピュータ　　　　５６　　バッファメモリ
　５７　　モニタ用要求コードメモリ　　５８　　不揮発性メモリ
　６１　　第１通信インタフェース　　　６２　　第２通信インタフェース
　６３　　第３通信インタフェース　　　７０　　処理装置

Claims

　車両情報表示装置と通信する車両制御装置から車両情報を取得する車両情報監視装置であって、
　前記車両情報表示装置は、前記車両制御装置に対する要求コードを生成し、前記車両制御装置からの応答データを受信するように構成されており、
　前記車両制御装置は、要求コードに応じて車両情報を含む応答データを生成するように構成されており、
　前記車両情報監視装置は、
前記車両情報表示装置と通信する第１通信手段と、
　前記車両制御装置と通信する第２通信手段と、
　前記第１通信手段が第１要求コードを受信したときに、前記第２通信手段から第２要求コードを送信させる要求制御手段と、
　前記第１通信手段が受信した第１要求コードに対応する応答データを前記第１通信手段から送信させる応答制御手段と、
　前記第２通信手段が受信した応答データを第２要求コードと対応付けて記憶する記憶手段とを含み、
　前記要求制御手段は、前記第１要求コードに対応する応答データが前記記憶手段に記憶されていなければ、前記第１要求コードを前記第２要求コードとして前記第２通信手段から送信させ、前記第１要求コードに対応する応答データが前記記憶手段に記憶されていれば、前記第１要求コードとは異なる第３要求コードを前記第２要求コードとして前記第２通信手段から送信させるように構成されており、
　前記応答制御手段は、前記第２要求コードが前記第１要求コードと等しいときには前記第２通信手段が受信した応答データを前記第１通信手段から送信させ、前記第２要求コードが前記第１要求コードと異なるときには、前記記憶手段から前記第１要求コードに対応する応答データを読み出して前記第１通信手段から送信させるように構成されている、
車両情報監視装置。
　前記応答データは、種類の異なる第１車両情報および第２車両情報を含み、
　前記応答制御手段は、前記第２要求コードが前記第１要求コードに等しいか否かに依らずに、前記第２通信手段が受信した応答データ中の前記第１車両情報を前記第１通信手段から送信される応答データに含め、前記第２要求コードが前記第１要求コードと等しいときには前記第２通信手段が受信した応答データ中の前記第２車両情報を前記第１通信手段から送信される応答データに含め、前記第２要求コードが前記第１要求コードと異なるときには、前記記憶手段から前記第１要求コードに対応する応答データ中の前記第２車両情報を読み出して前記第１通信手段から送信される応答データに含めるように構成されている、請求項１記載の車両情報監視装置。
　前記第２通信手段から送信すべき第３要求コードを記憶した要求コード記憶手段をさらに含み、
　前記要求制御手段は、前記第１要求コードに対応する応答データが前記記憶手段に記憶されているとき、前記要求コード記憶手段に記憶されている第３要求コードを前記第２要求コードとして前記第２通信手段から送信させるように構成されている、請求項１または２記載の車両情報監視装置。
　前記記憶手段に格納された応答データが予め定める量に達すると、最も古いデータを削除する記憶制御手段をさらに含む、請求項１～３のいずれか一項に記載の車両情報監視装置。
　前記記憶手段とは別に、前記第２通信手段が受信した応答データを記憶する応答データ記憶手段をさらに含む、請求項１～４のいずれか一項に記載の車両情報監視装置。
　前記応答データは、チェックサムデータを含み、
　前記応答制御手段は、前記第１送信手段から送信させる応答データのデータ量に対応したチェックサムデータを作成し、このチェックサムデータを前記第１通信手段から送信される応答データに含ませるように構成されている、請求項１～５のいずれか一項に記載の車両情報監視装置。
　前記車両制御装置と前記車両情報表示装置とが有線通信ラインで接続されており、
　前記有線通信ラインの途中に、互いに結合可能な第１コネクタおよび第２コネクタが設けられており、
　前記第１コネクタが前記車両情報表示装置に接続され、前記第２コネクタが前記車両制御装置に接続されており、
　前記第１通信手段が前記第１コネクタに接続される第１接続部を含み、前記第２通信手段が前記第２コネクタに接続される第２接続部を含む、請求項１～６のいずれか一項に記載の車両情報監視装置。
　前記車両制御装置と前記車両情報表示装置との間で要求コードおよび応答データを中継する、請求項１～７のいずれか一項に記載の車両情報監視装置。