WO2011122147A1

WO2011122147A1 - バランスポペット式電磁弁

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Publication number: WO2011122147A1
Application number: PCT/JP2011/053369
Authority: WO
Inventors: 宏菊池; 新治伊藤; 昌弘多田
Original assignee: シーケーディ株式会社
Priority date: 2010-03-31
Filing date: 2011-02-17
Publication date: 2011-10-06
Also published as: JP5486987B2; CN102834656B; JP2011214612A; KR20120112858A; CN102834656A; KR101429577B1

Abstract

バランスポペット式電磁弁（１０）の弁部（１１）は、ボディ（１２）と、同ボディ（１２）内に収容されたポペット弁（４１）と、同ボディ（１２）に組み付けられた弁座形成体（１７）とを含む。第１弁座（１８）及び第２弁座（１９）のうち、第２弁座（１９）が弁座形成体（１７）に形成される。弁座形成体（１７）によりボディ（１２）の一方の開口が封止されている。ポペット弁（４１）には、ボディ（１２）内に区画された第１圧力室（Ｓ１）と第２圧力室（Ｓ２）とを連通させる第１連通路（４２ｃ）及び第２連通路（４３ｃ）が形成される。正圧空気の圧力によりポペット弁（４１）が平衡状態に維持される。ポペット弁（４１）には、第１圧力室（Ｓ１）と供給ポート（１３）との間をシールするシール部材（４５）が設けられる。シール部材（４５）は、弁体（４４）とボディ（１２）の第１端との間に配設されている。

Description

バランスポペット式電磁弁

　本発明は、バランスポペット式電磁弁に関する。

　この種の電磁弁としては、例えば特許文献１に記載の電磁弁が知られている。図４に示すように、電磁弁８０は、互いに接続された弁部８１とソレノイド部１００とを備える。弁部８１は金属製の弁本体８２を含み、弁本体８２の中心には弁孔８３が形成されている。また、弁孔８３の長手方向のほぼ中央には、弁孔８３の内径より大きい内径を有する弁室８４が設けられている。弁本体８２には弁孔８３に連通する入口ポート８５、出口ポート８６及び排出ポート８７が形成されている。入口ポート８５と出口ポート８６との間には第１弁座８８が設けられ、出口ポート８６と排出ポート８７との間には第２弁座８９が設けられている。

　ポペット弁９０は、弁孔８３内に摺動可能に挿入して嵌め込まれた弁棒９１を備える。弁棒９１の長手方向のほぼ中央には弁室８４内に位置するように弁体９２が設けられている。弁棒９１の下端は、弁孔８３の下端小径部８３ａ内にシール部材を使用することなく嵌め込まれた状態で直接支持されている。弁棒９１の下端と弁孔８３の下端との間には第１ばね９３が介装されている。また、弁棒９１の上端部には弁棒９１の外径より大きい外径を有する大径部９１ｂが形成されている。この大径部９１ｂの周面にはシール部材９４が嵌着されている。弁棒９１の上端部は、このシール部材９４を介して弁孔８３内に嵌め込まれて支持されている。

　また、弁本体８２には連通孔９５が形成されている。この連通孔９５を介して弁孔８３が入口ポート８５に連通されている。弁棒９１の中心には連通路９１ａが同弁棒９１を貫通するように形成されている。この連通路９１ａを介して弁孔８３の下側空間８３ｂと上側空間８３ｃとが互いに連通されている。ソレノイド部１００は、電磁コイル１０１、コア１０２及びプランジャ１０３を備える。コア１０２とプランジャ１０３との間には第２ばね１０４が介装されている。

　上記構成の電磁弁８０において、入口ポート８５における流体の圧力は弁体９２の下面に作用し、ポペット弁９０には上向きの摺動力が付与される。それと同時に、入口ポート８５の流体圧力が連通孔９５から弁孔８３の下側空間８３ｂに伝わると共に、弁棒９１内の連通路９１ａから弁孔８３の上側空間８３ｃに伝わる。それにより、流体圧力が、シール部材９４の上面に作用し、ポペット弁９０には下向きの摺動力が付与される。このとき、シール部材９４により、弁棒９１と弁孔８３との間のシール性が確保されているため、上側空間８３ｃの流体が弁室８４へ漏れることが防止される。従って、ポペット弁９０は上向き及び下向きの摺動力を同時に受けて平衡状態に維持されている。そのため、第１ばね９３と第２ばね１０４とのばね力差のみにより弁体９２と第１弁座８８との間のシール性が確保されている。

　この状態で電磁コイル１０１が通電されると、プランジャ１０３が第２ばね１０４の作用に抗してコア１０２に吸着される。すると、弁体９２が、第１弁座８８を開放するとともに第２弁座８９を閉鎖する位置に配置される。これにより、流体の流れ方向が切換えられる。この状態においても、ポペット弁９０が平衡状態に維持されている。そのため、第１ばね９３のばね力のみにより弁体９２と第２弁座８９との間のシール性が確保されている。

実公平６－３６３７１号公報

　特許文献１の電磁弁８０においては、弁棒９１に弁体９２を一体に備えたポペット弁９０を弁孔８３内に挿入して嵌め込む際、その組立性に改善の余地がある。即ち、弁棒９１の大径部９１ｂが第２弁座８９に接触して第２弁座８９が損傷を受けないようにする必要があるとともに、弁体９２が弁孔８３の内周面に摺接しないようにする必要がある。特許文献１には図示及び開示されていないが、一般に、ポペット弁９０を弁孔８３内に挿入するために、弁本体８２の下側には、図４の鎖線で示すように、弁室８４から下方に延びるとともに、弁室８４の内径と同じ内径を有する孔１０５が形成されている。この孔１０５は、蓋部材１０６により閉鎖されている。ポペット弁９０は、その上端から弁本体８２の孔１０４へ挿入して嵌め込まれている。このとき、弁棒９１の上端部には、ポペット弁９０を平衡状態に維持するための大径部９１ｂ及びシール部材９４が設けられているが、大径部９１ｂ及びシール部材９４の外径と、弁孔８３の内径とはシール性確保のためにほぼ同じ大きさに設定されている。このため、弁棒９１の上端を弁孔８３に挿入して嵌込むというポペット弁９０の弁部８１への組付けの作業性が悪く、電磁弁８０の組立性が悪いという問題があった。

　本発明の目的は、弁部に対するポペット弁の組付性を向上させて組立性を向上させることができるバランスポペット式電磁弁を提供することにある。

　上記問題点を解決するために、本発明の一態様によれば、流体用の流路を有する弁部と同弁部に接続されたソレノイド部とを含むバランスポペット式電磁弁であって、前記弁部は、第１及び第２端を有し、前記第１及び第２端にそれぞれ第１及び第２開口を有するとともに、中心軸線を有する筒状のボディと、前記ボディ内に区画された第１圧力室及び第２圧力室と、前記ボディの軸方向に沿って移動可能に前記ボディ内に収容されるとともに、弁体を有するポペット弁と、前記ポペット弁に形成され、前記第１圧力室と第２圧力室とを互いに連通する連通路と、前記ボディの前記軸方向において前記弁体の両側に配設された一対の弁座とを備え、前記ポペット弁が前記弁座に対し接触又は離間することにより前記流路を切り換え可能であるバランスポペット式電磁弁において、前記ボディに組付けられ、前記ボディの前記第１端に位置する前記第１開口を封止するとともに、前記一対の弁座のうちの一方の弁座が形成される弁座形成体と、前記ポペット弁に設けられ、前記第１圧力室と前記流路との間をシールするシール部材とを備え、前記シール部材が前記弁体と前記ボディの前記第１端との間に配設されているバランスポペット式電磁弁が提供される。

　前記弁座形成体は筒状をなし、前記シール部材は、前記弁座形成体の内側に配設されるとともに、前記ポペット弁は、前記シール部材を介して前記弁座形成体に摺動可能に支持されていることが好ましい。

　前記弁座形成体は、合成樹脂材料により円筒状に形成されていることが好ましい。
　前記弁座形成体は、前記ボディにおいて前記ソレノイド部とは反対側に組付けられていることが好ましい。

　前記弁座形成体は前記ボディに対し螺合により組付けられていることが好ましい。
　前記ソレノイド部は、磁気カバーに組付けられる固定鉄心を備え、前記固定鉄心は前記磁気カバーに対し位置調節可能に組付けられていることが好ましい。

　前記弁体における前記弁座に対する接触部は平坦面状に形成されていることが好ましい。
　前記弁座形成体には、前記ポペット弁を押圧して移動させる手動軸が設けられるとともに、前記手動軸には前記ポペット弁の押圧時に前記連通路を封止する封止部材が設けられていることが好ましい。

　本発明によれば、電磁弁の弁部に対するポペット弁の組付性を向上させて組立性を向上させることができる。

（ａ）は実施形態のバランスポペット式電磁弁を示す断面図、（ｂ）は弁座形成体を示す側面図。弁座形成体により第２弁座の位置を調節した状態を示す断面図。手動軸により連通路を封止した状態を示す断面図。従来の電磁弁を示す断面図。

　以下、本発明の一実施形態に係るバランスポペット式電磁弁を図１（ａ）～図３にしたがって説明する。なお、図１（ａ）～図３の右側を第１側と定義し、図１（ａ）～図３左側を第２側と定義する。

　図１（ａ）に示すように、バランスポペット式電磁弁１０は、流体としての正圧空気の流路を切り換えるための弁部１１と、弁部１１を駆動するためのソレノイド部３１とを備える。弁部１１及びソレノイド部３１は、螺子止めにより互いに一体化されている。

　まず、弁部１１について説明する。弁部１１は、非磁性材料、例えば合成樹脂材料により筒状に形成されたボディ１２を備える。ボディ１２の両端は開口している。ここで、ボディ１２の中心軸Ｌに沿って延びる方向を軸方向と定義する。ボディ１２における軸方向の第１側には雌ねじ１２ｂが形成されている。また、ボディ１２内には、雌ねじ１２ｂに連続する第１弁孔１２ａが形成されている。さらに、ボディ１２の軸方向の第２側には、第１弁孔１２ａの内径より小さい内径を有する第２弁孔１２ｃが、第１弁孔１２ａに連続するように形成されている。ボディ１２内において、第１弁孔１２ａの内径と第２弁孔１２ｃの内径との間の差により段差が形成されている。その段差には、第２弁孔１２ｃを取り囲むように第１弁座１８が突出して形成されている。また、ボディ１２における軸方向の第２側には、支持部１２ｄが第２弁孔１２ｃの内周面から突出するように形成されている。さらに、支持部１２ｄよりもボディ１２の軸方向の第２側には、第２弁孔１２ｃの内径より大きい内径を有する収容凹部１２ｆが形成されている。ボディ１２は、雌ねじ１２ｂ、第１弁孔１２ａ、第２弁孔１２ｃ、支持部１２ｄ、及び収容凹部１２ｆにより軸方向全体に亘って貫通する筒状に形成されている。また、ボディ１２は軸方向の第１側が雌ねじ１２ｂにより開口し、軸方向の第２側が収容凹部１２ｆにより開口している。

　ボディ１２には、その軸方向の第１端から第２端に向かって、流路を形成する供給ポート１３、出力ポート１４及び排出ポート１５がこの順序で形成されている。供給ポート１３及び出力ポート１４は、ボディ１２内の第１弁孔１２ａに連通するように形成されるとともに、排出ポート１５は、ボディ１２内の第２弁孔１２ｃに連通するように形成されている。供給ポート１３には、正圧空気の正圧供給源（図示せず）が接続されるとともに、出力ポート１４には、エアシリンダ等の空気圧機器（図示せず）が接続されている。また、排出ポート１５には、排気用配管（図示せず）が接続されている。供給ポート１３に供給された正圧空気は、バランスポペット式電磁弁１０の切り換え動作によって出力ポート１４へ出力されなかったり、又は出力ポート１４へ出力されたりする。

　ボディ１２の雌ねじ１２ｂには弁座形成体１７が螺着されるとともに、この弁座形成体１７によりボディ１２の第１端の開口が封止されている。図１（ｂ）に示すように、弁座形成体１７は合成樹脂材料により円筒状に形成されている。第１側の外周面に雄ねじ１７ａが形成されている。弁座形成体１７は、雄ねじ１７ａより第２側に筒状の弁収容部１７ｂを備える。弁収容部１７ｂの最大外径は、第１弁孔１２ａの内径より僅かに小さく設定されている。

　弁収容部１７ｂの外周面において、雄ねじ１７ａ近傍には第１Ｏリング１７ｄが装着されるとともに、弁収容部１７ｂの先端側には第２Ｏリング１７ｅが装着されている。弁収容部１７ｂにおいて、第１Ｏリング１７ｄと第２Ｏリング１７ｅとの間には、弁収容部１７ｂの内外を連通させる複数の連通孔１７ｃが形成されている。また、図１（ａ）に示すように、弁座形成体１７の第１側には、弁座形成体１７の第１側の端面に開口する嵌合孔１７ｆが形成されている。この嵌合孔１７ｆの内径は、弁収容部１７ｂに対応する部位で大径に形成されている。弁座形成体１７の内周面には当接段差１７ｇが形成されている。

　嵌合孔１７ｆには手動軸１６が摺動可能に嵌合されている。手動軸１６は、当接段差１７ｇに当接可能なフランジ部１６ａと、嵌合孔１７ｆに嵌合される嵌合部１６ｂとから形成されている。嵌合部１６ｂは、フランジ部１６ａの外径より小さい外径を有する。フランジ部１６ａの当接段差１７ｇに対する当接により、手動軸１６の弁座形成体１７からの抜け出しが防止されている。

　嵌合部１６ｂの外周面にはＯリング１６ｃが装着されるとともに、このＯリング１６ｃにより弁座形成体１７内（ボディ１２内）からの空気漏れが防止されている。嵌合部１６ｂの端面には操作用凹部１６ｄが形成されている。さらに、フランジ部１６ａの端面には、ゴム材料よりなる封止部材１６ｆが装着されている。この封止部材１６ｆにおいて、弁収容部１７ｂに露出する端面が弧状に湾曲形成されるとともに、弾性変形可能に形成されている。上記構成の手動軸１６は、弁座形成体１７の軸方向に沿って摺動可能に設けられている。

　上記弁座形成体１７において、弁収容部１７ｂが第１弁孔１２ａ内に挿入された状態で、雄ねじ１７ａがボディ１２の雌ねじ１２ｂに螺合されることにより、弁座形成体１７は、ボディ１２に組付けられるとともに、ボディ１２の第１側の開口を封止している。弁座形成体１７がボディ１２に組付けられた状態では、連通孔１７ｃにより供給ポート１３と弁収容部１７ｂ内（第１弁孔１２ａ内）とが連通する。また、第２Ｏリング１７ｅは、供給ポート１３と出力ポート１４との間に位置するボディ１２の内周面に圧接している。第２Ｏリング１７ｅにより、弁座形成体１７の外周面と、ボディ１２内周面との間の境界を介して供給ポート１３と出力ポート１４とが連通することが防止されている。さらに、第１Ｏリング１７ｄにより、弁座形成体１７の外周面とボディ１２の内周面との間の境界を介して、供給ポート１３へ供給された正圧空気がボディ１２の外部へと漏れ出ることが防止されている。

　弁収容部１７ｂの先端面は、ボディ１２の軸方向における出力ポート１４と供給ポート１３との間に配置され、弁収容部１７ｂの先端面により、第２弁座１９が形成されている。第２弁座１９の位置は、雌ねじ１２ｂに対する雄ねじ１７ａの螺合量により、ボディ１２の軸方向に沿って調節可能になっている。第１弁孔１２ａ内において、第１弁座１８と第２弁座１９との間に弁室２０が形成されている。

　ボディ１２及び弁座形成体１７内には、ポペット弁４１がボディ１２の軸方向へ移動可能に収容されている。ポペット弁４１は、第１弁棒４２と、この第１弁棒４２に一体化された第２弁棒４３とから形成されている。第１弁棒４２の第１側の部位が弁収容部１７ｂ内に収容されるとともに、第１弁棒４２の第２側の部位が支持部１２ｄ内に挿通されている。第２弁棒４３は弁座形成体１７の弁収容部１７ｂ内に収容されている。

　第１弁棒４２は、軸部４２ａと、この軸部４２ａの長手方向中央部に形成された弁体取付部４２ｂとから形成されている。弁体取付部４２ｂは軸部４２ａの外径より大きい外径を有する。弁体取付部４２ｂには弁体４４が設けられている。ポペット弁４１における弁体４４の外径は、第２弁孔１２ｃより大径であるとともに第１弁孔１２ａより小径になっている。この弁体４４は、第１弁座１８及び第２弁座１９に対向するように配置されている。すなわち、第１弁座１８及び第２弁座１９は、ボディ１２の軸方向において弁体４４を挟む位置に配設されている。弁体４４の両端面であり、第１弁座１８及び第２弁座１９に対して接触又は離間する面は平坦面状に形成されている。第１弁棒４２には、軸部４２ａの長手方向全体に亘って延びる第１連通路４２ｃが形成されている。第１弁棒４２における第２弁棒４３と反対側の端面には、第１連通路４２ｃと第１弁棒４２の外部とを連通させる連通溝４２ｄが形成されている。

　第２弁棒４３は、軸部４３ａと、この軸部４３ａの長手方向中央部に形成され軸部４３ａの外径より大きい外径を有するシール取付部４３ｂとから形成されている。シール取付部４３ｂの外径は、弁収容部１７ｂの内径より僅かに小さく設定されている。シール取付部４３ｂの外周面には、シール部材４５が装着されている。このシール部材４５は、ポペット弁４１のボディ１２内での移動の際に、弁収容部１７ｂの内周面に対し摺接する。第２弁棒４３には、軸部４３ａの長手方向全体に亘って延びる第２連通路４３ｃが形成されている。ポペット弁４１においては、第１弁棒４２の第１連通路４２ｃと、第２弁棒４３の第２連通路４３ｃとは互いに連通して、一本の連通路を形成している。第２弁棒４３において、第１弁棒４２とは反対側に位置する開口部は、第２連通路４３ｃから外側に向かうに従い徐々に拡径するようにテーパ状に形成されている。

　上記構成のポペット弁４１の第１側の部位、即ち第２弁棒４３に対応する側の部位がシール部材４５を介して弁収容部１７ｂ（弁座形成体１７）に摺動可能に支持されている。ポペット弁４１の第２側の部位、即ち第１弁棒４２に対応する側の部位が支持部１２ｄに摺動可能に支持されている。ポペット弁４１は、両側で支持されることにより、ボディ１２の軸方向に対する傾きが規制されている。すなわち、シール部材４５がポペット弁４１の第１側の軸受として機能し、支持部１２ｄがポペット弁４１の第２側の軸受として機能する。

　ボディ１２内において、ポペット弁４１の第１側となる位置には、第２弁棒４３と弁座形成体１７とによって区画される第１圧力室Ｓ１が設けられている。なお、第２弁棒４３の第２連通路４３ｃは、第１圧力室Ｓ１に向けて開口している。また、第１圧力室Ｓ１には弁用ばね２３が介在されている。ポペット弁４１は、弁用ばね２３のばね力によって弁体４４が第２弁座１９から離間する方向、言い換えると、弁体４４が第１弁座１８に着座する方向へ付勢されている。また、手動軸１６は、弁用ばね２３のばね力によってポペット弁４１から離間する方向へ付勢されている。

　ボディ１２内において、ポペット弁４１の第２側となる位置には、ソレノイド部３１と収容凹部１２ｆとによって区画される第２圧力室Ｓ２が設けられている。第１圧力室Ｓ１と、第２圧力室Ｓ２とは、ポペット弁４１の連通溝４２ｄ、第１連通路４２ｃ、及び第２連通路４３ｃを介して連通しており、同じ圧力を有する。

　次に、ソレノイド部３１について説明する。
　ソレノイド部３１は、ボディ１２における弁座形成体１７とは反対側に螺子止めにより固定されており、弁部１２と一体化されている。ソレノイド部３１は、磁性材料により筒状に形成された磁気カバー３２を備える。磁気カバー３２においてボディ１２と反対側の内周面には、雌ねじ３２ａが形成されている。磁気カバー３２の内側には、コイル３３ａが複数巻回された筒状のボビン３３が配設されている。また、磁気カバー３２の内部であって、ボビン３３よりもボディ１２に近い位置には、ガイドリング３４が設けられている。

　ボビン３３内には略円柱状の固定鉄心３７が収容されている。この固定鉄心３７の先端部には雄ねじ３７ａが形成されている。この雄ねじ３７ａが磁気カバー３２の雌ねじ３２ａに螺合されることにより、固定鉄心３７が磁気カバー３２に組付けられている。また、ガイドリング３４及びボビン３３内には、可動鉄心３５が挿入されている。可動鉄心３５において、ボディ１２に近接する第１側の端面がポペット弁４１（第１弁棒４２）の端面に当接する。可動鉄心３５において、固定鉄心３７と近接する第２側の端面が固定鉄心３７と対向するように配設されている。さらに、可動鉄心３５の第１側の部位は、ボディ１２の収容凹部１２ｆ内に入り込むように延在する。可動鉄心３５の第１側の端部には、径方向外方に突出する鍔部３５ａが形成されている。ガイドリング３４と鍔部３５ａとの間に鉄心用ばね３６が介在されている。可動鉄心３５は、鉄心用ばね３６のばね力により固定鉄心３７から離間する方向へ付勢されている。この鉄心用ばね３６のばね力は、弁用ばね２３のばね力より大きく設定されている。このため、ソレノイド部３１への通電がなされず、鉄心用ばね３６のばね力により可動鉄心３５が付勢された状態では、ポペット弁４１は、弁体４４が第２弁座１９に着座する方向へ付勢されている。

　次に、上記構成のバランスポペット式電磁弁１０の動作について説明する。
　さて、図１（ａ）の拡大図における２点鎖線に示すように、ソレノイド部３１のコイル３３ａへの通電が行われない状態では、鉄心用ばね３６と弁用ばね２３とのばね力の差（付勢力）により可動鉄心３５がボディ１２へ向かって付勢されている。可動鉄心３５の第１側の端面が支持部１２ｄに当接している。可動鉄心３５によりポペット弁４１がボディ１２内に押圧され、弁体４４が第２弁座１９に着座している。

　この非通電状態では、供給ポート１３における正圧空気の圧力は、弁体４４とシール取付部４３ｂに作用する。このとき、弁体４４とシール取付部４３ｂの受圧面積が同じ大きさに設定されているため、弁体４４及びシール取付部４３ｂに作用する圧力同士が相殺される。また、出力ポート１４及び排出ポート１５における圧力（大気圧）は、第２弁孔１２ｃから支持部１２ｄと第１弁棒４２の軸部４２ａとの間を通過し、連通溝４２ｄから第２圧力室Ｓ２に作用する。第２圧力室Ｓ２の圧力は、第１弁棒４２の第１連通路４２ｃ、及び第２弁棒４３の第２連通路４３ｃを介して第１圧力室Ｓ１に作用し、第１圧力室Ｓ１と第２圧力室Ｓ２とが同じ圧力になっている。

　シール部材４５により、第１圧力室Ｓ１と供給ポート１３（流路）との間のシール性が確保され、第１圧力室Ｓ１の正圧空気が供給ポート１３へ漏れることが防止されている。従って、ポペット弁４１はその両側から同じ力を同時に受けて平衡状態に維持される。このため、ポペット弁４１は、鉄心用ばね３６及び弁用ばね２３のばね力の差のみにより第２弁座１９に着座する。また、供給ポート１３と出力ポート１４との間のシール性が確保され、供給ポート１３へ供給された正圧空気は出力ポート１４へ出力されない。

　コイル３３ａへの通電がなされると、可動鉄心３５が固定鉄心３７に向かって吸引される。この吸引力が鉄心用ばね３６のばね力に打ち勝ち、可動鉄心３５が固定鉄心３７に吸着されると、ポペット弁４１は弁用ばね２３の付勢力によりソレノイド部３１に向けて押圧される。すると、図１（ａ）に示すように、弁体４４が第２弁座１９から離間するとともに、第１弁座１８に着座し、正圧空気の流路が切換えられる。その結果、供給ポート１３から出力ポート１４へ正圧空気が供給され、正圧空気が出力ポート１４から空気圧機器に供給される。

　このとき、供給ポート１３における正圧空気の圧力は、弁体４４とシール取付部４３ｂとに作用する。弁体４４とシール取付部４３ｂとの受圧面積が互いに同一に設定されているため、弁体４４及びシール取付部４３ｂに作用する圧力が相殺される。また、排出ポート１５における圧力は、第２弁孔１２ｃから支持部１２ｄと第１弁棒４２の軸部４２ａとの間を通過し、連通溝４２ｄから第２圧力室Ｓ２に作用する。第２圧力室Ｓ２の圧力は、第１弁棒４２の第１連通路４２ｃ、及び第２弁棒４３の第２連通路４３ｃを介して第１圧力室Ｓ１に作用し、第１圧力室Ｓ１と第２圧力室Ｓ２とが同じ圧力になっている。このとき、シール部材４５により、第１圧力室Ｓ１と供給ポート１３との間のシール性が確保され、第１圧力室Ｓ１の正圧空気が供給ポート１３へ漏れることが防止される。よって、ポペット弁４１は弁用ばね２３のばね力のみにより第１弁座１８に着座し、出力ポート１４と排出ポート１５との間のシール性が確保されている。

　次に、上記構成のバランスポペット式電磁弁１０の組立方法について説明する。
　まず、第１弁棒４２、第２弁棒、及び弁体４４を一体化することによりポペット弁４１が組み立てられる。ポペット弁４１は、第１弁棒４２から、ボディ１２内に挿入される。詳しくは、ポペット弁４１は、ボディ１２の第１側、即ち雌ねじ１２ｂによって形成される開口からボディ１２内へ挿入される。このように、ボディ１２にポペット弁４１が組付けられる。このとき、弁座形成体１７がボディ１２にまだ組み付けられていないため、作業者は、ボディ１２内を視認しながらポペット弁４１を組付ける作業を行うことができる。そして、ポペット弁４１の第２側の部分が、第１弁棒４２の外径より大きい内径を有する第２弁孔１２ｃ内に挿入される。また、ポペット弁４１の第１側の部分が、弁体４４及びシール部材４５の外径より大きい内径を有する第１弁孔１２ａ及び雌ねじ１２ｂ内に挿入される。このとき、シール部材４５は、ボディ１２における弁体４４を境に弁座形成体１７の組み付けられる側に配設されている。即ち、シール部材４５は、ポペット弁４１において弁体４４とボディ１２の第１端との間に配設されている。このため、ポペット弁４１をボディ１２内に挿入する際、シール部材４５の設けられたシール取付部４３ｂが第２弁座１９に衝突することが無くなる。また、弁体４４及びシール部材４５がボディ１２の内周面に接触したりすることが防止される。

　次に、ポペット弁４１の第２弁棒４３の第１側の面に弁用ばね２３を配設した状態で、手動軸１６の組み付けられた弁座形成体１７が弁収容部１７ｂからボディ１２内に挿入される。そして、弁座形成体１７の雄ねじ１７ａをボディ１２の雌ねじ１２ｂに螺合される。すると、弁収容部１７ｂがシール部材４５の外側に配設され、シール部材４５が弁収容部１７ｂの内周面に圧接するとともに、弁座形成体１７によってボディ１２の第１側が封止される。そして、このボディ１２において弁座形成体１７と反対側にソレノイド部３１を螺子止めによりボディ１２に一体化すると、バランスポペット式電磁弁１０が組み立てられる。

　バランスポペット式電磁弁１０を組み立てた後、供給ポート１３に正圧空気が供給された状態で、出力ポート１４から出力される流量の計測が行われる。このとき、出力ポート１４から出力される流量が所望する値でない場合、図２に示すように、ボディ１２の雌ねじ１２ｂに対する弁座形成体１７の螺合量を調節して、第２弁座１９の位置を調節することにより、流量が調節される。

　また、バランスポペット式電磁弁１０においては、ソレノイド部３１における固定鉄心３７の磁気カバー３２に対する螺合量を調節することにより、ソレノイド部３１における作動電流の調節が行われる。

　さらに、コイル３３ａに対する通電を行わず、手動でポペット弁４１を移動させることにより、出力ポート１４から出力される流量の計測が行われる場合もある。この場合は、図３に示すように、工具Ｔの先端を手動軸１６の操作用凹部１６ｄに挿入し、その工具Ｔにより手動軸１６がボディ１２内に押し込まれる。すると、ポペット弁４１が押圧され、弁体４４が第１弁座１８に着座し、供給ポート１３へ供給される正圧空気を、出力ポート１４へ出力することが可能になる。

　上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
　（１）ボディ１２が筒状に形成され、ボディ１２の第１側の部分に弁座形成体１７が組み付けられている。弁座形成体１７によりボディ１２内に第２弁座１９が設けられるとともに、その弁座形成体１７によりボディ１２の第１側の開口が封止されている。また、ポペット弁４１の平衡状態を維持するためのシール部材４５が、ボディ１２において弁座形成体１７の組み付けられた側に位置するように、ポペット弁４１がボディ１２に組付けられている。即ち、シール部材４５は、ポペット弁４１の弁体４４とボディ１２の第１端との間に配設されている。そして、バランスポペット式電磁弁１０を組立てる際、ボディ１２にポペット弁４１を組付けた後に、弁座形成体１７がシール部材４５の外側に位置するようにボディ１２に組み付けられる。よって、ポペット弁４１の第２側に位置する部位は、シール部材４５の外径より大きい内径を有する孔に挿入されて組付けられる。そのため、シール部材４５がボディ１２の内周面に接触しにくくなるとともに、シール部材４５の装着されたシール取付部４３ｂが第２弁座１９に衝突することが無くなる。よって、ポペット弁４１をボディ１２に組付ける際、シール部材４５の第２弁座１９への接触や、シール部材４５のボディ１２の内周面への接触を意識して慎重に組付け作業を行う必要がない。その結果として、ポペット弁４１をボディ１２に組み付ける作業を簡単に行うことができ、結果としてバランスポペット式電磁弁１０の組立性を向上させることができる。

　（２）一般に、ソレノイド部３１では、通電に伴い温度上昇するコイル３３ａや、可動鉄心３５の固定鉄心３７に対する接触により摩耗粉が発生する。この点、ポペット弁４１のシール部材４５が、ボディ１２における弁体４４を境にソレノイド部３１の設けられる側ではなく、弁体４４を境にソレノイド部３１とは反対側、即ちソレノイド部３１からより離間する側に位置するように設けられている。このため、シール部材４５を、そのようなソレノイド部３１からより離して配置することができる。よって、シール部材４５を、温度上昇や摩耗粉の影響を受けにくくすることができ、シール部材４５の耐久性を向上させることができる。

　（３）弁座形成体１７における弁収容部１７ｂの内側にシール部材４５が配設され、このシール部材４５によりポペット弁４１の第１側の部位が摺動可能に支持されている。よって、弁座形成体１７は、ボディ１２に第２弁座１９を設けるための機能に加え、ポペット弁４１の軸受としての機能も兼ね備える。したがって、ボディ１２に第２弁座１９を設けるための機能を発揮する部品、ポペット弁４１の軸受としての機能を発揮する部品それぞれを別々にボディ１２に設ける場合と比べると、バランスポペット式電磁弁１０の構成を簡単にすることができる。

　（４）弁座形成体１７は合成樹脂材料により円筒状に形成されている。このため、弁座形成体１７の真円度を高めることができる。弁座形成体１７内ではポペット弁４１のシール部材４５が弁座形成体１７の内周面と摺接することになるが、弁座形成体１７の真円度が高められることで、シール部材４５の摺動性を高め、ポペット弁４１の摺動性を高めることができる。

　（５）弁座形成体１７は、雄ねじ１７ａを備え、その雄ねじ１７ａをボディ１２の雌ねじ１２ｂに螺合することによりボディ１２に組み付けられる。そして、雄ねじ１７ａの螺合量を調節することにより、第２弁座１９の位置を調節することができる。そのため、バランスポペット式電磁弁１０の流量調節を容易に行うことができる。

　（６）ソレノイド部３１において、固定鉄心３７には雄ねじ３７ａが設けられている。その雄ねじ３７ａを磁気カバー３２の雌ねじ３２ａに螺合することにより、固定鉄心３７が磁気カバー３２に一体に組み付けられる。そして、雄ねじ３７ａの螺合量を調節することにより、固定鉄心３７の位置を調節することができるとともに、可動鉄心３５のストローク量を調節することができる。そのため、バランスポペット式電磁弁１０の作動電流の調節を容易に行うことができる。したがって、上記（５）に記載の効果から、バランスポペット式電磁弁１０は、弁座形成体１７による第２弁座１９の位置調節による流量調節と、固定鉄心３７の位置調節による作動電流調節の２つの調節を行うことができる。

　（７）弁体４４において、第１弁座１８及び第２弁座１９に対する接触部は平坦面状に形成されている。このため、弁体４４が第１弁座１８又は第２弁座１９に着座したとき、弁体４４と第１弁座１８又は第２弁座１９との間を確実にシールすることができる。

　（８）弁座形成体１７には、手動軸１６が設けられ、この手動軸１６を操作してポペット弁４１を手動で移動させることができる。手動軸１６は、手動軸１６によりポペット弁４１を移動させたとき、ポペット弁４１の第２連通路４３ｃを封止する封止部材１６ｆを備えている。仮に、手動軸１６によりポペット弁４１が中心軸Ｌに対し傾いて押されてしまい、シール部材４５によるシール機能が低下して供給ポート１３からの正圧空気が第１圧力室Ｓ１に洩れてしまったとする。このとき、手動軸１６の封止部材１６ｆにより、第２連通路４３ｃが封止されるため、第１圧力室Ｓ１の圧力が第２連通路４３ｃから第１連通路４２ｃ及び連通溝４２ｄを介して第２弁孔１２ｃへ漏れてしまうことが防止される。その結果、供給ポート１３へ供給される正圧空気は、第１圧力室Ｓ１から漏れることが防止され、出力ポート１４への出力が低下することが防止される。

　（９）手動軸１６に設けた封止部材１６ｆの端面が弧状に湾曲形成されている。このため、手動軸１６によりポペット弁４１を押圧した際、封止部材１６ｆは第２連通路４３ｃの開口端の形状に沿って密接しやすい。従って、封止部材１６ｆにより第２連通路４３ｃの開口を確実に封止することができる。

　（１０）ボディ１２の第１側の部分に、円筒状に形成された弁座形成体１７が組み付けられている。弁座形成体１７によりボディ１２内に第２弁座１９が設けられている。ポペット弁４１の平衡状態を維持するためのシール部材４５が、ボディ１２において弁体４４を境に弁座形成体１７の組み付けられた側に配置されている。シール部材４５は、ポペット弁４１と一体に移動し、弁座形成体１７の内周面を摺動する。そのため、シール部材４５のシール取付部４３ｂからの潰し代（突出量）は僅かに設定されている。シール部材４５の密接する弁座形成体１７には、高い真円度が要求される。しかし、本実施形態では、弁座形成体１７が合成樹脂材料により円筒状に形成され、高い真円度を容易に実現することができる。そのため、シール部材４５を弁座形成体１７の内周面に全周に亘って密接させてシール機能を十分に発揮させることができる。したがって、本実施形態では、ポペット弁４１の平衡状態を維持するために、シール部材４５をボディ１２の内周面に密接させる必要がなく、ボディ１２を合成樹脂で製造することが可能になる。これに対して、背景技術で説明した装置では、ポペット弁の平衡状態を維持するためのシール部材を全周に亘って弁孔に密接させるために、弁本体が金属で形成され、かつ真円度の高い弁孔が切削により形成されている。その装置と比べると、本実施形態では、ボディ１２の製造コストを抑えることができ、バランスポペット式電磁弁１０の製造コストを低減することができる。

　なお、上記実施形態は以下のように変更されてもよい。
　○　シール部材４５の位置は、弁体４４とポペット弁４１の第１側の端部、即ち先端との間の位置で任意に変更されてもよい。

　○　弁体４４における第１弁座１８又は第２弁座１９への接触部は平坦面状に形成されていなくてもよい。
　○　ソレノイド部３１における固定鉄心３７は磁気カバー３２に対し移動不能に一体化されていてもよい。

　○　弁座形成体１７は、ボディ１２に対して螺合ではなく、圧入、嵌合等の別の手段によりボディ１２に組み付けられていてもよい。
　○　弁座形成体１７は、ボディ１２における第２側の開口部、すなわちソレノイド部３１と隣接する部分に組み付けられていてもよい。

　○　弁座形成体１７は、円筒状に代えて、角筒状に形成されていてもよい。
　○　上記実施形態では、ボディ１２にポペット弁４１を収容した後、ボディ１２に弁座形成体１７が組付けられて、ボディ１２とソレノイド部３１とが一体化されている。これに代えて、上記組み付け手順は以下のように変更されてもよい。すなわり、ボディ１２にソレノイド部３１が組付けられた状態で、ボディ１２にポペット弁４１を組付けた後、ボディ１２に弁座形成体１７が組付けられてもよい。

　○　上記実施形態では、弁部１１とソレノイド部３１とが螺子止めにより一体化されている。これに代えて、弁部１１とソレノイド部３１とは、カシメ、溶接、弾性体を利用した固定方法等の別の手段により一体化されてもよい。

Claims

　流体用の流路を有する弁部と同弁部に接続されたソレノイド部とを含むバランスポペット式電磁弁であって、
　前記弁部は、
　第１及び第２端を有し、前記第１及び第２端にそれぞれ第１及び第２開口を有するとともに、中心軸線を有する筒状のボディと、
　前記ボディ内に区画された第１圧力室及び第２圧力室と、
　前記ボディの軸方向に沿って移動可能に前記ボディ内に収容されるとともに、弁体を有するポペット弁と、
　前記ポペット弁に形成され、前記第１圧力室と第２圧力室とを互いに連通する連通路と、
　前記ボディの前記軸方向において前記弁体の両側に配設された一対の弁座とを備え、
　前記ポペット弁が前記弁座に対し接触又は離間することにより前記流路を切り換え可能であるバランスポペット式電磁弁において、
　前記ボディに組付けられ、前記ボディの前記第１端に位置する前記第１開口を封止するとともに、前記一対の弁座のうちの一方の弁座が形成される弁座形成体と、
　前記ポペット弁に設けられ、前記第１圧力室と前記流路との間をシールするシール部材とを備え、前記シール部材が前記弁体と前記ボディの前記第１端との間に配設されているバランスポペット式電磁弁。
　前記弁座形成体は筒状をなし、前記シール部材は、前記弁座形成体の内側に配設されるとともに、前記ポペット弁は、前記シール部材を介して前記弁座形成体に摺動可能に支持されている請求項１に記載のバランスポペット式電磁弁。
　前記弁座形成体は合成樹脂材料により円筒状に形成されている請求項１又は請求項２に記載のバランスポペット式電磁弁。
　前記弁座形成体は、前記ボディにおいて前記ソレノイド部とは反対側の部位に組付けられている請求項１又は請求項２に記載のバランスポペット式電磁弁。
　前記弁座形成体は前記ボディに対し螺合により組付けられている請求項１又は請求項２に記載のバランスポペット式電磁弁。
　前記ソレノイド部は、磁気カバーと同磁気カバーに組付けられる固定鉄心とを備え、前記固定鉄心は前記磁気カバーに対し位置調節可能に組付けられている請求項１又は請求項２に記載のバランスポペット式電磁弁。
　前記弁体は前記弁座と接触する接触部を有し、前記接触部は平坦面状に形成されている請求項１又は請求項２に記載のバランスポペット式電磁弁。
　前記弁座形成体には、前記ポペット弁を押圧して移動させる手動軸が設けられるとともに、前記手動軸には前記ポペット弁の押圧時に前記連通路を封止する封止部材が設けられている請求項１又は請求項２に記載のバランスポペット式電磁弁。