WO2011081027A1 - 着用物品 - Google Patents

Abstract

　前後ウエスト域に生じる皺を伸ばしやすくすることができる着用物品を提供する。　おむつ１０は、前後ウエスト部材２０，３０と、これら前後ウエスト部材２０，３０をつなぐクロッチ部材４０とを含む。前後ウエスト部材２０，３０は、ウエスト端縁２２，３２からクロッチ域１３側へと延びるとともに、前後フラップ４６，４７に重なる第１領域７１と、第１領域７１に隣接する第２領域７２とを含む。前後ウエスト部材２０，３０には、各内外面シート２４，２５および３４，３５の間において、第１ウエスト弾性体８１および第２ウエスト弾性体８２が、第１領域７１および第２領域７２にそれぞれ取り付けられている。第２領域７２には、コア４２に重なる非弾性領域７２ａと、非弾性領域７２ａの横方向両外側に位置する弾性領域７２ｂとが形成されている。第１領域７１の締め付け力が、第２領域７２の締め付け力よりも小さくなるようにしている。

Description

着用物品

　この発明は、着用物品に関し、さらに詳しくは使い捨てのおむつ、排泄トレーニングパンツ、失禁ブリーフ等の着用物品に関する。

　従来、ウエスト開口部およびレッグ開口部が形成され、ウエスト開口部の周縁部にウエスト用弾性部材が配置された使い捨ておむつが知られている。例えば、特許文献１によれば、おむつは、ウエスト開口部に形成されたウエストギャザー部と、ウエストギャザー部のクロッチ域側に位置する胴まわりギャザー部と、胴まわりギャザー部にその一部が重なる吸液性を有する吸収体とを有している。

特開平１０－３１４２２０号公報（ＪＰ　１０－３１４２２０　Ａ）

　ウエストギャザー部および胴まわりギャザー部は、表裏面シートと、これらシートの間に取付けられた弾性部材とによって形成されている。したがって、各ギャザー部では、表裏面シートによって縦方向に延びる皺が形成されやすい。おむつは、上記のような皺を伸ばしながら着用するが、ウエスト開口部から吸収体までの距離が大きく、縦方向に亘ってその皺を伸ばすのは困難であった。

　この発明は、前後ウエスト域に生じる皺を伸ばしやすくすることができる着用物品を提供することを課題とする。

　この発明は、縦方向および横方向と、身体側およびその反対側と、前ウエスト域、後ウエスト域および前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域を含むシャーシと、前記クロッチ域から前記前後ウエスト域へと延びる吸液構造体と、前記前後ウエスト域に前記横方向に伸長状態で収縮可能に取り付けられたウエスト弾性体とを含み、前記吸液構造体は、吸液性のコアと、前記コアを覆う被覆シートと、前記コアの前後端縁の前記縦方向外側に位置し前記被覆シートによって形成される前後フラップとを含む着用物品の改良に関わる。

　この発明は、前記着用物品において、前記前後ウエスト域に重なる前記吸液構造体の前記縦方向長さ寸法は、前記前後ウエスト域の前記縦方向長さ寸法の７０～９０％であり、前記前後ウエスト域は、ウエスト開口端から前記クロッチ域側へと延びるとともに少なくとも前記前後フラップの一部に重なる第１領域と、前記第１領域に隣接する第２領域とを含み、
　前記第１領域は、第１ウエスト弾性体によってその全域において前記横方向に弾性化され、前記第２領域は、前記コアに重なる非弾性領域と前記非弾性領域の横方向両外側に位置するとともに第２ウエスト弾性体によって弾性化された弾性領域とを含み、前記第１領域の締め付け力は、前記第２領域のそれよりも小さくされることを特徴とする。

　この発明の実施態様のひとつとして、前記第１領域の締め付け力は、前記第２領域の締め付け力の７０～９０％である。

　他の実施態様のひとつとして、前記前後ウエスト域は、前記第１領域と前記第２領域とによって区画される。

　他の実施態様のひとつとして、前記前後ウエスト域は、前記第２領域の前記クロッチ域側に隣接する第３領域を含み、前記前後ウエスト域は、前記第１領域、第２領域および第３領域によって区画されるとともに、前記第３領域の締め付け力は、前記第２領域のそれよりも小さくされる。

　他の実施態様のひとつとして、前記第２領域の締め付け力は、前記第３領域のそれよりも２０～５０％大きくされる。

　この発明は、前記前後ウエスト域に重なる前記吸液構造体の前記縦方向長さ寸法は、前記前後ウエスト域の前記縦方向長さ寸法の７０～９０％であり、前後ウエスト域がウエスト開口側に位置する第１領域と、第１領域から前記クロッチ域側へと延びる第２領域とに区画され、第１領域の締め付け力は、第２領域のそれよりも小さくされることとした。したがって、ウエスト開口を広げると、第１領域の皺を容易に伸ばすことができる。第２領域には吸液性のコアが重なって位置し、コアと重なる部分において非弾性領域が形成されているので、第２領域の皺が形成されにくくすることができる。

着用物品の一例として示す使い捨ておむつの斜視図。 第１の実施態様のおむつの身体側から見た展開平面図。 図２のＩＩＩ－ＩＩＩ線断面図。 図２のＩＶ－ＩＶ線断面図。 図２の分解組立図。 第２の実施態様のおむつの身体側から見た展開平面図。

（第１の実施態様）
　図１～５は、この発明の第１の実施態様を示すものであり、着用物品として使い捨ておむつを例に挙げて説明する。

　図１は、おむつ１０のウエスト開口およびレッグ開口が環状に保たれた状態の斜視図であり、図２は、おむつ１０の身体側から見た展開平面図であって、おむつの各弾性体をその収縮力に抗して伸長させ、おむつ１０を平面に保った状態を示したものであり、図３は、図２のＩＩＩ－ＩＩＩ線断面図、図４は、図２のＩＶ－ＩＶ線断面図、図５は、図２の分解組立図である。図３および図４において、仮想縦中心線Ｐ-Ｐよりも図の右側は、各弾性体が収縮した状態を表している。

　おむつ１０は、縦方向Ｙおよび横方向Ｘと、身体側およびその反対側である着衣側と、前ウエスト域１１、後ウエスト域１２、前後ウエスト域１１，１２の間に位置するクロッチ域１３とを含む。おむつ１０は、横方向Ｘの長さ寸法を二等分する仮想縦中心線Ｐ－Ｐと、縦方向Ｙの長さ寸法を二等分する仮想横中心線Ｑ－Ｑとを有し、仮想縦中心線Ｐ－Ｐに対してほぼ対称に形成されている。

　おむつ１０は、縦方向Ｙに互いに離間する前後ウエスト部材２０，３０と、これら前後ウエスト部材２０，３０をつなぐクロッチ部材４０とを含む。前後ウエスト部材２０，３０は、横方向Ｘに離間する両側縁２１，３１を互いに接合してシーム部１４を形成している。シーム部１４によって、ウエスト開口および一対のレッグ開口が形成される。前後ウエスト部材２０，３０は、ウエスト開口端を形成するウエスト端縁２２，３２と、クロッチ域１３側に位置しレッグ開口の一部を形成するクロッチ端縁２３，３３とを含む。前後ウエスト部材２０，３０は、身体側に位置する内面シート２４，３４と、着衣側に位置する外面シート２５，３５とをそれぞれ含む。

　後ウエスト部材３０は、両側縁２１，３１を接合した際に前ウエスト部材２０に重なって着用者のウエストに位置するウエストフィット領域３０ａと、ウエストフィット領域３０ａからクロッチ域１３へと延出する延出領域３０ｂとを含む。ウエストフィット領域３０ａと延出領域３０ｂとは仮想線７０によって画成されている。ウエスト端縁３２から仮想線７０までの縦方向Ｙの長さ寸法は、前ウエスト部材２０のウエスト端縁２２からクロッチ端縁２３までのそれとほぼ等しくされている。

　前ウエスト部材２０のウエスト端縁２２からクロッチ端縁２３までを前ウエスト域１１とし、後ウエスト部材３０のウエスト端縁３２から仮想線７０まで、すなわち、ウエストフィット領域３０ａを後ウエスト域１２とし、仮想線７０から前ウエスト部材２０のクロッチ端縁２３までをクロッチ域１３としている。前後ウエスト部材２０，３０およびクロッチ部材４０の一部によって、この発明のシャーシを形成している。

　クロッチ部材４０は、吸液構造体４１と、ガスケットカフ５０と、漏れバリアカフ６０とを含む。吸液構造体４１は、吸液性のコア４２と、コア４２の内面を覆い身体側に位置する内装シート４３と、コア４２の外面を覆う漏れ防止シート４４と、漏れ防止シート４４の外面であって着衣側に位置する外装シート４５とを含む。コア４２としては、フラッフパルプや高吸収性ポリマー粒子等を用いることができる。このようなコア４２は、横方向Ｘの長さ寸法が仮想横中心線Ｑ－Ｑに向かって小さくなってくびれた形状を有している。

　コア４２は、その縦方向Ｙの長さ寸法を約３００～４００ｍｍ、好ましくは約３３５～３８０ｍｍとされている。内装シート４３および漏れ防止シート４４は、コア４２の縦方向Ｙの長さ寸法よりも大きく、その寸法を約３５０～４５０ｍｍ、好ましくは約３７５～４３０ｍｍとされている。このような吸液構造体４１には、コア４２の縦方向Ｙ外側において、内装シート４３、漏れ防止シート４４および外装シート４５のみで形成された前後フラップ４６，４７が形成される。これら前後フラップ４６，４７において、内装シート４３、漏れ防止シート４４および外装シート４５は、ホットメルト接着剤等の接着手段によって互いに接合されている。

　コア４２の横方向Ｘ外側には、これらコア４２から延出した内装シート４３、漏れ防止シート４４および外装シート４５によって形成された両側フラップ４８（またはガスケットカフ、以下同じ）が形成されている。これらシートは、ホットメルト接着剤等の接着手段によって互いに接合されている。両側フラップ４８の横方向Ｘの長さ寸法は、約１７０～２２０ｍｍ、好ましくは約１９０ｍｍとされている。

　内装シート４３として、透液性の繊維不織布等を用いることができる。この内装シート４３は、例えば、単位面積当たりの質量が約１０～２５ｇ／ｍ^２のエアースルー繊維不織布、ポイントボンド繊維不織布、スパンボンド繊維不織布等を用いることができる。

　漏れ防止シート４４として、透湿性かつ不透液性のプラスチックフィルムを用いることができ、少なくともこのシート４４で吸液構造体４１全体を覆って、尿等の体液がおむつ１０外に漏れないようにしている。

　外装シート４５は、透湿性かつ不透液性の繊維不織布等を用いることができる。この外装シート４５は、例えば、単位面積当たりの質量が約１０～２５ｇ／ｍ^２のスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド（ＳＭＳ）繊維不織布、ポイントボンド繊維不織布、スパンボンド繊維不織布等を用いることができる。

　ガスケットカフ５０は、両側フラップ４８に位置する内装シート４３と、外装シート４５と、外装シート４５で形成されたスリーブ内に取付けられたガスケット弾性体５１とを含む。ガスケット弾性体５１は、複数の弾性糸によって構成され、縦方向Ｙに延びるとともに、伸長状態で収縮可能に取り付けられている。

　漏れバリアカフ６０は、ガスケットカフ５０から延出した外装シート４５が吸液構造体４１上でほぼＺ字状に折り畳まれることによって形成される。折り畳まれた外装シート４５の間には、複数の弾性糸から構成されるバリア弾性体６１が、縦方向Ｙに延びるとともに、伸長状態で収縮可能に取り付けられている。漏れバリアカフ６０は、縦方向Ｙの前後端部のみがガスケットカフ５０側に接合され、その他の領域では接合されていない。したがって、バリア弾性体６１の収縮力によって、ガスケットカフ５０から起立するように離間する。

　ガスケットカフ５０および漏れバリアカフ６０は、図３に示したように、おむつ１０の着用時には、漏れバリアカフ６０が内装シート４３から離間するように起立して、着用者の脚の付け根近傍に密着するとともに、ガスケットカフ５０もガスケット弾性体５１によって、縦方向Ｙに弾性化され、着用者側へ湾曲するようにしてこれを着用者の太股の周囲に密着させることができる。したがって、漏れバリアカフ６０とガスケットカフ５０とによって二重のカフを形成し、脚回りからの尿等の漏れを防止することができる。

　クロッチ部材４０の前後端縁４０ａ，４０ｂにおける外装シート４５は、前後ウエスト部材２０，３０の内面シート２４，３４に接合され、前後ウエスト部材２０，３０とクロッチ部材４０とが連結される。クロッチ部材４０の吸液構造体４１は、前後ウエスト域１１，１２に重なって取り付けられる。前後ウエスト域１１，１２に重なった吸液構造体４１の縦方向Ｙの長さ寸法は、前後ウエスト域１１，１２の縦方向Ｙの長さ寸法の約７０～９０％とされている。

　図２に示したように、クロッチ部材４０の前後端縁４０ａ，４０ｂは、仮想横中心線Ｑ－Ｑ側に向かってクロッチ部材４０の上面に折り返された内外面シート２４，２５および３４，３５によって覆われている。前後端縁４０ａ，４０ｂがこれらシートで覆われることによって、コア４２の構成材料がこぼれるのを防止し、前後端縁４０ａ，４０ｂが着用者の身体に接触することによる肌トラブルを防止することができる。

　前後ウエスト部材２０，３０は、ウエスト端縁２２，３２からクロッチ域１３側へと延びるとともに、前後フラップ４６，４７に重なる第１領域７１と、第１領域７１に隣接する第２領域７２とを含む。第１領域７１と第２領域７２とは、仮想線７３によって画成されている。第１領域７１および第２領域７２は、前後ウエスト域１１，１２に亘って環状に形成された領域である。

　この実施態様において、ウエスト端縁２２，３２から前後フラップ４６，４７までの縦方向Ｙの長さ寸法は約２０ｍｍとされ、前後フラップ４６，４７の縦方向Ｙの長さ寸法は約２０ｍｍとされている。第１領域７１の縦方向Ｙの長さ寸法は約２３ｍｍとされ、第２領域７２のそれは約６７ｍｍとされている。これら第１および第２領域７１，７２の長さ寸法の和が前後ウエスト域１１，１２の長さ寸法であり約９０ｍｍとされている。したがって、第１領域７１の縦方向Ｙの長さ寸法は、前後ウエスト域１１，１２の約２６％である。

　前後ウエスト部材２０，３０には、各内外面シート２４，２５および３４，３５の間において、第１ウエスト弾性体８１および第２ウエスト弾性体８２が、第１領域７１および第２領域７２にそれぞれ取り付けられている。第１ウエスト弾性体８１は、一方の側縁２１，３１から他方の側縁２１，３１まで連続して延びる複数の弾性糸によって形成されている。この実施態様では、約４７０ｄｔｅｘの４本の弾性糸を、約５．５ｍｍのピッチで縦方向Ｙに離間させて取付けている。第１ウエスト弾性体８１を横方向Ｘに伸長状態で収縮可能に取り付けることによって、第１領域７１を横方向Ｘに弾性化している。

　第２領域７２には、コア４２に重なる非弾性領域７２ａと、非弾性領域７２ａの横方向両外側に位置する弾性領域７２ｂとが形成され、弾性領域７２ｂに第２ウエスト弾性体８２が取付けられている。第２ウエスト弾性体８２は、内端８２ａがコア４２に重なって位置し、外端８２ｂが側縁２１，３１に位置するように取付けられている。この実施態様では、第２ウエスト弾性体８２として約４７０～６２０ｄｔｅｘの１１本の弾性糸を用い、約５．５ｍｍのピッチで縦方向Ｙに離間させて取付けている。第２ウエスト弾性体８２を横方向Ｘに伸長状態で収縮可能に取り付けることによって、第２領域７２の弾性領域７２ｂを横方向Ｘに弾性化している。非弾性領域７２ａには、第２ウエスト弾性体８２を取付けていないので、弾性化されることがない。

　後ウエスト部材３０の延出領域３０ｂには、延出弾性体３７が取付けられている。延出弾性体３７は、内端３７ａがコア４２に重なって位置し、外端３７ｂが側縁２１，３１に位置するように取付けられている。この実施態様では、延出弾性体３７として約４７０ｄｔｅｘの２本の弾性糸を用い、約２５ｍｍのピッチで縦方向Ｙに離間させて取付けている。延出弾性体３７を横方向Ｘに伸長状態で収縮可能に取り付けることによって、延出領域３０ｂを横方向Ｘに弾性化している。延出領域３０ｂにおいても、第２領域７２と同様に一方の内端３７ａから他方の内端３７ａにおいては、弾性体が配置されず、弾性化されていない。

　上記のような前後ウエスト域１１，１２では、第１領域７１の締め付け力が、第２領域７２の締め付け力よりも小さくなるようにしている。

　締め付け力は、以下の方法によって測定した。
　おむつ１０は、両側縁２１，３１が互いに接合された状態で第１および第２領域７１，７２をそれぞれ切り取り、サンプルとして用いた。各領域を切り取る際、吸液構造体４１が存在する領域では、吸液構造体４１も同時に切り取ってサンプルに含まれるようにしている。各サンプルにおいて、弾性体によって収縮した状態の一方のシーム部１４の内端から他方のシーム部１４の内端までの距離をＳＷとし、各弾性体の伸張力に抗して横方向Ｘに伸長させた状態の一方のシーム部１４の内端から他方のシーム部１４の内端までの距離をＰＷと規定している。各領域の縦方向Ｙの長さ寸法をＬとしている。

　サンプルをオートグラフ（株式会社　島津製作所）のチャック間をＳＷに設定したものに固定し、チャック速度１００ｍｍ／ｍｉｎで、０．８５×ＰＷの距離まで伸張させ、その点から移動方向を逆転させて同じ速度で戻す。チャック間の距離が０．６５×ＰＷとなった時点の収縮力を全体の締め付け力Ｆａ（Ｎ）とする。全体の締め付け力Ｆａ（Ｎ）／Ｌ×１０により単位面積当たりの締め付け力Ｆを求めた。全体の締め付け力Ｆａを０．６５×ＰＷとしたのは、ＰＷの６５％がおむつの着用者における平均的なウエストサイズであることから規定している。

　測定の結果、第１領域７１の締め付け力Ｆは、約０．２２であり、第２領域７２の締め付け力Ｆは、約０．３０であった。第１領域７１の締め付け力Ｆは、約０．２０～０．３２、第２領域７２の締め付け力Ｆは、約０．２８～０．３６であって、第１領域７１の締め付け力は、第２領域７２の締め付け力の約７０～９０％、好ましくは約７４～７６％にすることができる。

　上記のように、第１領域７１の締め付け力を第２領域７２のそれよりも小さくしているので、前後ウエスト部材２０，３０を広げておむつ１０を着用者にはかせようとした場合には、第１領域７１を広げ易い。したがって、特にウエスト開口を大きく広げることができ、おむつ１０をはかせ易くすることができる。特に、このおむつ１０は、寝ている状態の乳幼児等の着用者に対してはかせ易い。寝ている状態の着用者にはかせる場合に、前後ウエスト域１１，１２に皺があると、その皺が着用者にこすれて刺激になるから、なるべく皺を伸ばして着用させる必要があるからである。

　第１領域７１は、前後ウエスト域１１，１２の約２６％と、その縦方向Ｙの長さ寸法を小さくしているので、ウエスト開口を挟持して広げると、第１領域７１全体を横方向Ｘに広げることができ、容易に第１領域７１の皺を伸ばすことができる。第１領域７１の縦方向Ｙの長さ寸法は、この数値に限定されることはなく、前後ウエスト域１１，１２の２０～３０％に設定することによって、皺を伸ばしやすく、かつ、着用時には着用者の身体に密着するという効果を奏することができる。

　おむつ１０の着用状態において、第１領域７１では内外面シートに発生した皺は着用者の肌に直接接触するが、この締め付け力が小さくされているので、着用者に対して柔軟に接触することができる。したがって、第１領域７１に発生した皺によって、肌に皺の痕が深くつくのを防止することができる。第１領域７１において、吸液構造体４１の前後フラップ４６，４７に第１ウエスト弾性体８１が少なくとも一条重なって位置するようにしている。したがって、前後フラップ４６，４７が着用者の肌側へと密着し、前後端縁４０ａ，４０ｂからの尿等の漏れを防止することができる。

　第２領域７２では、第１領域７１よりも締め付け力を大きくすることによって、前後ウエスト部材２０，３０を着用者に密着させることができる。このように締め付け力を大きくしても、第２ウエスト弾性体８２が取付けられた内外面シート２４，２５および３４，３５の内側には吸液構造体４１が形成されているから、少なくとも吸液構造体４１と重なる位置においては、シートに発生した皺が直接着用者の肌に接触することはなく、肌に皺の痕が残るのを防止し、皺による肌への刺激を低減することができる。また、第２領域７２には、非弾性領域７２ａを形成しているので、この非弾性領域７２ａでの皺の発生を抑制することもできる。

　この発明は、おむつ１０の縦方向Ｙの長さ寸法が小さい、特に乳幼児に最適なおむつを対象とすることができる。おむつ１０の縦方向Ｙの長さ寸法を小さくした場合であっても、尿等の吸収量が少なくならないように、吸液構造体４１は小さくしないようにすることが好ましい。そうすると、おむつ１０に対する吸液構造体４１の占める割合が大きくなり、特に、前後ウエスト域１１，１２においては縦方向Ｙの長さ寸法の約７０～９０％を吸液構造体４１が占めるようになる。吸液構造体４１はその剛性が一般的に大きいから、吸液構造体４１が占める割合が大きくなると、おむつ１０を横方向Ｘに広げ難く、着用者にはかせにくくなる。しかし、この実施態様では、ウエスト開口に近い第１領域７１の締め付け力を小さくすることによって、横方向Ｘに広げ易く、特に寝ている幼児にはかせ易くすることができる。

　この実施態様において、第１領域７１の縦方向Ｙの長さ寸法を約２３ｍｍとしているが、この数値に限定されるものではなく、約１５～３５ｍｍとすることができる。同様に第２領域７２の縦方向Ｙの長さ寸法を約５５～１２０ｍｍとすることができる。

　この発明のおむつ１０の縦方向Ｙの長さ寸法は、約４００～５２０ｍｍであり、好ましくは約４１０～４５０ｍｍ、この実施態様では４１５ｍｍとしている。同様にクロッチ部材４０の縦方向Ｙの長さ寸法は、約３５０～４５０ｍｍ、好ましくは約３７０～３８０ｍｍ、この実施態様では約３７５ｍｍとしている。前ウエスト域１１を形成する前ウエスト部材２０の縦方向Ｙの長さ寸法は約８０～１３０ｍｍ、好ましくは約８５～１２５ｍｍ、この実施態様では約９０ｍｍである。後ウエスト域１２を形成する後ウエスト部材３０の縦方向Ｙの長さ寸法は約１５０～１９０ｍｍ、好ましくは約１５５～１８５ｍｍ、この実施態様では約１５５ｍｍである。

　前後ウエスト部材２０，３０を横方向Ｘに弾性化するために、複数条の弾性糸を用いているが、これに限られることなく、弾性シートや帯状の弾性体等の種々の弾性体を用いることができる。同様に、ガスケット弾性体５１およびバリア弾性体６１も、種々の弾性体を用いることができる。コア４２として、中間部の横方向Ｘの長さ寸法が、前後部のそれよりも小さいものを用いているが、横方向Ｘの長さ寸法がすべて同寸法のものを用いることも可能である。

（第２の実施態様）
　図６は、この発明の第２の実施態様を示したものであり、第２領域７２のクロッチ域側にさらに第３領域７４が隣接することを特徴とする。この特徴以外の構成要素は、第１の実施態様と同様である。同様の構成要素については、詳細な説明を省略し、第１の実施態様と同じ符号を用いて説明する。

　前後ウエスト域１１，１２は、第１領域７１、第２領域７２および第３領域７４で区画されるとともに、第２領域７２と第３領域７４とは、仮想線７６によって区画されている。第２領域７２の縦方向Ｙの長さ寸法は約４４ｍｍ、第３領域７４の縦方向Ｙの長さ寸法は約２７．５ｍｍとされている。ただし、各寸法はこの数値に限定されることなく、第２領域７２の縦方向Ｙの長さ寸法は約２７～５０ｍｍ、第３領域７４のそれは約２５～３６ｍｍの間で適宜変更可能である。なお、第１領域７１の縦方向Ｙの長さ寸法は、第１の実施態様と同じである。

　第１および第２領域７１，７２の締め付け力は、第１の実施態様と同様である。第３領域７４の締め付け力Ｆは約０．１６～０．２８、この実施態様では約０．１８とされている。締め付け力の測定方法は、第１の実施態様と同様である。第２領域７２の締め付け力は、第３領域７４のそれよりも約２０～５０％、この実施態様では約４０％大きくされている。

　第２領域のクロッチ域１３側において、第３領域７４を形成することによって、着用者への着用感を向上させることができる。第３領域７４は、着用者の脚付け根部分に接触するが、この脚付け根部分での締め付け力を大きくすると、特に前ウエスト部材２０の内外面シート２４，２５が付け根部分に食い込む可能性がある。しかし、第３領域７４を形成することによってこの食い込みを抑制することができる。また、第２領域７２によって、着用者の身体に密着させることができるから、フィット性や漏れ防止の機能を損なうことがない。第２領域７２の締め付け力は、第３領域７４のそれよりも約２０～５０％大きくされ、この範囲にすることによって、第２領域７２においては身体に密着させ、第３領域７４においては食い込みを防止するという、両者の効果を発揮することが可能となる。

　第１実施態様および第２実施態様において、第１領域および第２領域の締め付け力は、前ウエスト部材２０と後ウエスト部材３０とで等しくなるようにしているが、前後ウエスト部材２０，３０で異なるようにしてもよい。例えば、第１領域の締め付け力を、前ウエスト部材２０よりも後ウエスト部材３０の方が小さくなるようにすることによって、後ウエスト域１２を横方向Ｘへとより一層広げ易くすることができる。この場合には、仰向けに寝ている着用者に対して着用させ易い。ウエスト端縁２２，３２からコア４２の前後端縁４２ａ，４２ｂまでの離間距離を等しくなるようにしているが、これも異なるようにすることもできる。

　１０　　おむつ（着用物品）
　１１　　前ウエスト域
　１２　　後ウエスト域
　１３　　クロッチ域
　４１　　吸液構造体
　４２　　コア
　４２ａ　前端縁
　４２ｂ　後端縁
　４３　　内装シート（被覆シート）
　４５　　外装シート（被覆シート）
　４６　　前フラップ
　４７　　後フラップ
　７１　　第１領域
　７２　　第２領域
　７２ａ　非弾性領域
　７２ｂ　弾性領域
　７４　　第３領域
　８１　　第１ウエスト弾性体
　８２　　第２ウエスト弾性体
　Ｘ　　　横方向
　Ｙ　　　縦方向

Claims (5)

1. 　縦方向および横方向と、身体側およびその反対側と、前ウエスト域、後ウエスト域および前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域を含むシャーシと、前記クロッチ域から前記前後ウエスト域へと延びる吸液構造体と、前記前後ウエスト域に前記横方向に伸長状態で収縮可能に取り付けられたウエスト弾性体とを含み、前記吸液構造体は、吸液性のコアと、前記コアを覆う被覆シートと、前記コアの前後端縁の前記縦方向外側に位置し前記被覆シートによって形成される前後フラップとを含む着用物品において、
   　前記前後ウエスト域に重なる前記吸液構造体の前記縦方向長さ寸法は、前記前後ウエスト域の前記縦方向長さ寸法の７０～９０％であり、前記前後ウエスト域は、ウエスト開口端から前記クロッチ域側へと延びるとともに少なくとも前記前後フラップの一部に重なる第１領域と、前記第１領域に隣接する第２領域とを含み、
   　前記第１領域は、第１ウエスト弾性体によってその全域において前記横方向に弾性化され、前記第２領域は、前記コアに重なる非弾性領域と前記非弾性領域の横方向両外側に位置するとともに第２ウエスト弾性体によって弾性化された弾性領域とを含み、前記第１領域の締め付け力は、前記第２領域のそれよりも小さくされることを特徴とする前記着用物品。
2. 　前記第１領域の締め付け力は、前記第２領域の締め付け力の７０～９０％である請求項１記載の着用物品。
3. 　前記前後ウエスト域は、前記第１領域と前記第２領域とによって区画される請求項１または２記載の着用物品。
4. 　前記前後ウエスト域は、前記第２領域の前記クロッチ域側に隣接する第３領域を含み、前記前後ウエスト域は、前記第１領域、第２領域および第３領域によって区画されるとともに、前記第３領域の締め付け力は、前記第２領域のそれよりも小さくされる請求項１または２記載の着用物品。
5. 　前記第２領域の締め付け力は、前記第３領域のそれよりも２０～５０％大きくされる請求項４記載の着用物品。

Images