WO2010087076A1 - スパークプラグ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

 接地電極に設けられたメッキ被膜を、コストの増大を招くことなく、比較的容易に除去することができ、着火性の低下を防止することができるスパークプラグ、及び、その製造方法を提供する。スパークプラグ1は、主体金具3と、Ni合金からなる接地電極27とを備え、少なくとも接地電極27の基端部及び主体金具3の表面にNiを主成分とするNiメッキ層28を有する。接地電極27の屈曲予定部位のうち中心電極5側の部位に形成されたNiメッキ被膜41に対して、レーザー光等を照射することにより、屈曲予定部位の中心電極5側の部位に、Niメッキ被膜41を構成する金属成分及び接地電極27を構成する金属成分が溶融した溶融層29が形成される。接地電極27のうちレーザー光等が照射された部位以外には、Niメッキ層28が形成される。

Description

スパークプラグ及びその製造方法
 本発明は、内燃機関等に使用されるスパークプラグ、及び、その製造方法に関する。
 自動車エンジン等の内燃機関等に用いられるスパークプラグは、例えば軸線方向に延びる中心電極と、その外側に設けられた絶縁体と、絶縁体の外側に設けられた筒状の主体金具と、基端部が前記主体金具の先端部に接合された接地電極とを備える。また、接地電極は、その先端部が中心電極と対向するように曲げ返されて配置され、中心電極及び接地電極間で火花放電間隙が形成される。
 ところで、一般的に主体金具は低炭素鋼等の鉄系材料によって構成されることから、耐食性の向上を図るべく、その表面にはニッケルメッキ層が形成される。主体金具に前記メッキ層を形成するにあたっては、いわゆるバレルメッキ処理を用いることが、生産性の向上を図る点で有利である。しかしながら、上述の通り、主体金具には接地電極が接合されるが、一般的に両者は抵抗溶接によって接合される。そのため、主体金具の表面にメッキ層が形成されていると、主体金具に対して接地電極を接合することが難しくなってしまう。また、両者を接合できたとしても、溶接部分においてはメッキ層が破損してしまうため、耐食性の低下を招いてしまうおそれがある。従って、主体金具に対して予め接地電極を接合した後、主体金具及び接地電極の双方に対してメッキ処理を施すことが一般的に行われる。この場合には、主体金具及び接地電極の表面全域にメッキ被膜が形成されることとなる。
 ところが、接地電極にメッキ被膜が形成された状態で、接地電極を中心電極側へと屈曲させると、屈曲に伴いメッキ被膜が剥離してしまうおそれがある。ここで、接地電極のうち中心電極側の部位のメッキ被膜が剥離したプラグを使用すると、メッキ被膜の剥離部分と中心電極との間での火花放電(いわゆる横飛火)が生じてしまい、着火性が低下してしまうおそれがある。
 そこで、接地電極の表面全域に形成されたメッキ被膜のうち所定範囲(例えば、屈曲予定部位等)に位置するメッキ被膜を除去(剥離)する手法が考えられる。ここで、前記メッキ被膜を除去する方法としては、主体金具を所定の治具によって保持した上で、各接地電極の前記所定範囲を酸性剥離液に浸漬させるものが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
特開2001-68250号公報
 しかしながら、上記技術を用いた場合には、酸性剥離液の処理や管理が必要となり、また、酸性剥離液による前記治具の消耗等が発生してしまうことから、多大な製造コストを要してしまうおそれがある。また、接地電極の所定範囲にマスキング処理を施した上で、メッキ処理を施すことにより、前記所定範囲におけるメッキ被膜の形成を防止する手法も提案されているが、当該手法においてもコストの増大や、作業性の低下といった不具合は依然として懸念される。
 本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、接地電極に設けられたメッキ被膜を、コストの増大を招くことなく、比較的容易に除去することができ、着火性の低下を防止することができるスパークプラグ、及び、その製造方法を提供することにある。
 以下、上記目的を解決するのに適した各構成につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。
 構成1.本構成のスパークプラグは、軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
 前記軸線方向に延びる軸孔を有するとともに、前記中心電極が前記軸孔に設けられた円筒状の絶縁体と、
 前記絶縁体の外周に設けられた円筒状の主体金具と、
 前記主体金具の先端部から延びるとともに、自身の略中間部分が屈曲され、自身の先端部が前記中心電極の先端部との間で火花放電間隙を形成する、ニッケルを主成分とする合金からなる接地電極とを備えたスパークプラグであって、
 少なくとも前記接地電極の屈曲予定部位のうち前記中心電極側の部位に形成されたニッケルを主成分とするメッキ被膜に対して、レーザー光、又は、電子ビームを照射することにより、前記屈曲予定部位の前記中心電極側の部位に、前記メッキ被膜を構成する金属成分及び前記接地電極を構成する金属成分が溶融した溶融層が形成されているとともに、前記接地電極のうち前記レーザー光、又は、電子ビームが照射された部位以外には、ニッケルを主成分とするメッキ層が形成されていることを特徴とする。
 尚、中心電極の先端部に貴金属合金からなる貴金属チップを設けることとしてもよい。この場合に、前記火花放電間隙は、当該貴金属チップと接地電極との間に形成されることとなる。
 上記構成1によれば、少なくとも接地電極の屈曲予定部位のうち中心電極側の部位に形成されたニッケルを主成分とするメッキ被膜に対して、レーザー光や電子ビームを照射することにより、屈曲予定部位の中心電極側の部位に、接地電極を構成する金属成分(Ni合金)とメッキ被膜を構成する金属成分とが溶融した溶融層が形成される。すなわち、レーザー光等の照射によって、接地電極に対しての密着性が比較的低いメッキ被膜は除去されるとともに、接地電極の表面には、溶融層が形成される。この溶融層は、接地電極を構成するNi合金やメッキ被膜を構成していたNi等が溶融して形成されたものであるため、接地電極に対しての密着性に比較的優れている。従って、接地電極を屈曲させたときであっても、屈曲部位のメッキ被膜は除去されていることから、メッキ被膜の剥離といった事態は生じ得ず、また、密着性に優れる溶融層の剥離はほとんど生じない。そのため、中心電極と接地電極との間の異常な火花放電を抑制することができ、着火性の低下をより確実に防止することができる。
 加えて、本構成1によれば、メッキ除去に際して、レーザー光や電子ビームが照射される。従って、上記従来技術のように、接地電極の先端部を酸性剥離液に浸漬させたり、接地電極にマスキングを施した上でメッキ層を設けたりする手法と比較して、コストの大幅な低減を図ることができるとともに、作業性の飛躍的な向上を図ることができる。
 構成2.本構成のスパークプラグは、上記構成1において、前記接地電極の先端部のうち前記中心電極との間で前記火花放電間隙を形成する部位には、当該部位に形成されたニッケルを主成分とするメッキ被膜に対して、レーザー光、又は、電子ビームを照射することにより、前記メッキ被膜を構成する金属成分及び前記接地電極を構成する金属成分が溶融した溶融層が形成されるとともに、前記溶融層に貴金属チップが接合されることを特徴とする。
 耐久性や着火性等の向上を図るという観点から、接地電極に対して貴金属合金よりなる貴金属チップが接合され得る。しかしながら、接地電極のうち貴金属チップが接合される部位(接合予定部位)にメッキ被膜が形成されていると、抵抗溶接を用いた場合における、接地電極に対する貴金属チップの強固な接合が困難なものとなってしまうおそれがある。
 この点、本構成2によれば、接地電極のうち貴金属チップの接合予定部位に形成されたメッキ被膜に対してレーザー光や電子ビームを照射することによって、当該接合予定部位の表面には溶融層が形成されている。従って、貴金属チップは接地電極への密着性に優れた溶融層を介し接地電極へと接合されるため、貴金属チップの強固な接合を実現することができる。換言すれば、抵抗溶接による接地電極への貴金属チップの強固な接合を、レーザー光や電子ビームを照射するといった比較的簡易な手法を用いることによって実現することができる。
 また、レーザー光や電子ビームが照射されることで形成された溶融層は、その表面に微細な凹凸を有することとなるが、これは、本構成2のように、貴金属チップを接地電極に設ける場合に有意に作用する。すなわち、レーザー光等の照射により形成された溶融層は表面が凹凸状をなすことから、接地電極に貴金属チップを接合するにあたり、抵抗溶接に際しての溶融層と貴金属チップとの接触面積を低減させることができ、ひいては両者の接触抵抗を増大させることができる。従って、接地電極側へと貴金属チップを押し付けるときの加圧力や、印加電流を比較的小さくしたとしても、貴金属チップを十分な強度をもって接合することができる。
 構成3.本構成のスパークプラグは、上記構成1又は2において、前記接地電極は、ニッケルを主成分とし、クロムを含有する合金からなるとともに、
 前記メッキ層は、ニッケルを主成分とし、クロムを3質量%以上30質量%以下含有することを特徴とする。
 耐酸化性の向上を図るべく、接地電極にはクロム(Cr)が含有され得る。ところが、接地電極にCrが含有されていると、高温下において、Niを主成分とするメッキ層側へと接地電極中のCrが拡散(移動)してしまいやすくなる。その結果、Crの拡散に伴いNiが粒成長してしまい、耐酸化性の向上効果が十分に発揮されないおそれがある。
 この点、上記構成3によれば、メッキ層には、Crが3質量%以上30質量%以下含有されているため、高温下におけるメッキ層側への接地電極中のCrの拡散を効果的に抑制することができる。その結果、Niの粒成長を抑制することができ、耐酸化性の向上効果を十分に発揮させることができる。
 尚、メッキ層のCr含有量を3質量%未満とすると、接地電極中のCrの拡散を十分に抑制することができないおそれがある。一方で、メッキ層のCr含有量が30質量%を超えてしまうと、接地電極に対するメッキ層の密着性が損なわれてしまい、メッキ層(メッキ被膜)が剥離しやすくなってしまう。メッキ層が剥離してしまうと、剥離したメッキ層と中心電極との間で異常な火花放電(横飛火等)が生じやすくなってしまい、着火性が低下してしまうおそれがある。
 構成4.本構成のスパークプラグは、軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
 前記軸線方向に延びる軸孔を有するとともに、前記中心電極が前記軸孔に設けられた円筒状の絶縁体と、
 前記絶縁体の外周に設けられた円筒状の主体金具と、
 前記主体金具の先端部から延びるとともに、自身の略中間部分が屈曲され、自身の先端部が前記中心電極の先端部との間で火花放電間隙を形成する接地電極とを備え、
 前記接地電極が、ニッケルを主成分とし、クロムを含有する合金からなるスパークプラグであって、
 少なくとも前記接地電極の屈曲予定部位のうち前記中心電極側の部位に形成されたニッケルを主成分とするメッキ被膜と当該メッキ被膜上に位置するクロメート被膜とからなる複層被膜に対して、レーザー光、又は、電子ビームを照射することにより、前記屈曲予定部位の前記中心電極側の部位に、前記複層被膜を構成する金属成分及び前記接地電極を構成する金属成分が溶融した溶融層が形成されているとともに、前記接地電極のうち前記レーザー光、又は、電子ビームが照射された部位以外には、ニッケルを主成分とするメッキ層と当該メッキ層上に位置するクロメート被膜とが形成されていることを特徴とする。
 上記構成4によれば、接地電極のうちレーザー光等が照射された部位以外には、Niを主成分とするメッキ層と当該メッキ層上に位置するクロメート被膜とが形成される。従って、使用時においては、接地電極の内部に比べて表面の温度がより上昇しやすいところ、接地電極の表面側に位置するクロメート被膜中のCrが、接地電極中のCrに先んじてNiを主成分とするメッキ層側へと拡散することとなる。その結果、接地電極中のCrのメッキ層側への拡散をより確実に抑制することができ、耐酸化性を十分に向上させることができる。
 尚、接地電極のCr含有量が多いほど、Crの拡散による影響は大きくなる。換言すれば、上記構成3,4は、Cr含有量の多い接地電極に対して特に有効であり、Cr含有量を10質量%以上とした接地電極に適用することがより望ましく、Cr含有量を20質量%以上とした接地電極に適用することがより一層望ましい。
 構成5.本構成のスパークプラグは、上記構成4において、前記接地電極の先端部のうち前記中心電極との間で前記火花放電間隙を形成する部位には、当該部位に形成されたニッケルを主成分とするメッキ被膜と当該メッキ被膜上に位置するクロメート被膜とからなる複層被膜に対して、レーザー光、又は、電子ビームを照射することにより、前記複層被膜を構成する金属成分及び前記接地電極を構成する金属成分が溶融した溶融層が形成されるとともに、前記溶融層に貴金属チップが接合されることを特徴とする。
 上記構成5によれば、基本的には上記構成2と同様の作用効果が奏されることとなる。
 構成6.本構成のスパークプラグは、上記構成1乃至5において、前記メッキ層のうち前記溶融層に最も近接する部位の表面から、前記溶融層のうち前記表面とは反対側の部位までの、前記接地電極の厚み方向に沿った最大長さが200μm以下とされることを特徴とする。
 上記構成6によれば、メッキ層のうち溶融層に最も近接する部位の表面から、溶融層のうちメッキ層の表面とは反対側の部位までの、接地電極の厚み方向に沿った最大長さ(以下、「見掛け溶融層厚さ」と称す)が200μm以下と比較的薄いものとされる。そのため、接地電極に対する溶融層の密着性が損なわれてしまうことをより確実に防止することができる。また、接地電極側に貴金属チップを設ける場合において、見掛け溶融層厚さを200μm以下とすれば、貴金属チップが溶融層のみならず、接地電極に対してより確実に接合されることとなる。その結果、貴金属チップを一層優れた接合強度をもって接合することができ、貴金属チップの剥離を効果的に抑制することができる。
 構成7.本構成のスパークプラグの製造方法は、軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
 前記軸線方向に延びる軸孔を有するとともに、前記中心電極が前記軸孔に設けられた円筒状の絶縁体と、
 前記絶縁体の外周に設けられた円筒状の主体金具と、
 前記主体金具の先端部から延びるとともに、自身の略中間部分が屈曲され、自身の先端部が前記中心電極の先端部との間で火花放電間隙を形成する、ニッケルを主成分とする合金からなる接地電極とを備え、
 前記接地電極及び前記主体金具の表面の一部にニッケルを主成分とするメッキ層を有してなるスパークプラグの製造方法であって、
 前記接地電極が設けられた前記主体金具に対してニッケルメッキ処理を施すことによって、前記主体金具及び前記接地電極の表面略全域に前記メッキ層となるメッキ被膜を形成するメッキ被膜形成工程と、
 少なくとも前記接地電極の屈曲予定部位のうち前記中心電極側の部位に対して、レーザー光、又は、電子ビームを照射することにより、前記メッキ被膜を構成する金属成分及び前記接地電極を構成する金属成分が溶融した溶融層を形成する溶融層形成工程と、
 前記接地電極の前記屈曲予定部位に曲げ加工を施し、前記接地電極の先端部と前記中心電極の先端部との間の前記火花放電間隙を形成する火花放電間隙形成工程とを含み、
 前記溶融層形成工程においては、前記メッキ層のうち前記溶融層に最も近接する部位の表面から、前記溶融層のうち前記表面とは反対側の部位までの、前記接地電極の厚み方向に沿った最大長さが、前記メッキ層の厚さ以上となるように、前記レーザー光、又は、電子ビームを照射することを特徴とする。
 上記構成7によれば、溶融層形成工程においては、メッキ層のうち溶融層に最も近接する部分の表面から、溶融層のうちメッキ層の表面とは反対側の部位までの、接地電極の厚み方向に沿った最大長さが、メッキ層の厚さ以上となるように、レーザー光や電子ビームが照射される。そのため、溶融層としては、メッキ被膜を構成する金属成分と、接地電極を構成する金属成分(Ni合金)とが溶融したものが形成されることとなり、上記構成1と同様の作用効果が奏されることとなる。
 構成8.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成7において、前記接地電極の先端部に、前記中心電極との間で前記火花放電間隙を形成する貴金属チップが設けられるスパークプラグの製造方法であって、
 前記溶融層形成工程においては、前記接地電極のうち前記貴金属チップの接合予定位置に対して前記レーザー光、又は、電子ビームを照射し、その後、前記接合予定位置に形成された溶融層に前記貴金属チップを接合することを特徴とする。
 上記構成8によれば、上記構成2と同様の作用効果が奏されることとなる。
 構成9.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成7又は8において、前記溶融層形成工程においては、前記メッキ層のうち前記溶融層に最も近接する部位の表面から、前記溶融層のうち前記表面とは反対側の部分までの、前記接地電極の厚み方向に沿った最大長さが200μm以下となるように、前記レーザー光、又は、電子ビームを照射することを特徴とする。
 上記構成9によれば、上記構成6と同様の作用効果が奏されることとなる。
 構成10.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成7乃至9のいずれかにおいて、前記溶融層形成工程においては、酸素分圧が103Pa以下の雰囲気で、前記レーザー光、又は、電子ビームを照射することを特徴とする。
 上記構成10によれば、酸素分圧が103Pa以下の雰囲気で、レーザー光や電子ビームを照射する。そのため、形成される溶融層の酸化を効果的に防止することができ、耐久性の向上を図ることができる。
 尚、「酸素分圧が103Pa以下の雰囲気でレーザー光等を照射する」手法としては、例えば、真空中においてレーザー光等を照射したり、加工面に窒素やヘリウム、アルゴンガス等のアシストガスを吹き付けながらレーザー光等を照射したりする手法を挙げることができる。
スパークプラグの構成を示す一部破断正面図である。 スパークプラグの先端部の構成を示す一部破断正面図である。 溶融層の構成等を示す部分拡大断面図である。 (a)~(c)は、接地電極の先端部における、溶融層の形成方法について説明するための拡大模式図であり、(d)は、接地電極に対する貴金属チップの接合状態を示す部分拡大断面図である。 見掛け溶融層厚さと、酸化スケール進展割合との関係を示すグラフである。 (a)~(c)は、別の実施形態における接地電極の先端部の構成を示すための部分拡大断面図である。 別の実施形態における、レーザー加工の手法について説明するための平面模式図である。 (a),(b)は、別の実施形態における接地電極等を示すための部分拡大正面図である。 第2実施形態におけるクロメート被膜等の構成を示す部分拡大断面図である。 第3実施形態におけるNiメッキ層等の構成を示す部分拡大断面図である。
〔第1実施形態〕
 以下に、実施形態について図面を参照して説明する。図1は、スパークプラグ1を示す一部破断正面図である。尚、図1では、スパークプラグ1の軸線CL1方向を図面における上下方向とし、下側をスパークプラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
 スパークプラグ1は、筒状をなす絶縁体としての絶縁碍子2、これを保持する筒状の主体金具3などから構成されるものである。
 絶縁碍子2は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その外形部において、後端側に形成された後端側胴部10と、当該後端側胴部10よりも先端側において径方向外向きに突出形成された大径部11と、当該大径部11よりも先端側においてこれよりも細径に形成された中胴部12とを備えている。また、絶縁碍子2は、前記中胴部12よりも先端側に、これよりも細径に形成された脚長部13を備えている。尚、脚長部13と中胴部12との連接部にはテーパ状の段部14が形成されており、当該段部14にて絶縁碍子2が主体金具3に係止されている。
 さらに、絶縁碍子2には、軸線CL1に沿って軸孔4が貫通形成されており、当該軸孔4の先端側には中心電極5が挿入、固定されている。当該中心電極5は、全体として棒状(円柱状)をなし、その先端面が平坦に形成されるとともに、絶縁碍子2の先端から突出している。また、中心電極5は、銅又は銅合金からなる内層5Aと、ニッケル(Ni)を主成分とするNi合金からなる外層5Bとを備えている。さらに、前記中心電極5の先端部には、貴金属合金(例えば、イリジウム合金や白金合金等)よりなる円柱状の貴金属チップ31が接合されている。
 また、軸孔4の後端側には、絶縁碍子2の後端から突出した状態で端子電極6が挿入、固定されている。
 さらに、軸孔4の中心電極5と端子電極6との間には、円柱状の抵抗体7が配設されている。当該抵抗体7の両端部は、導電性のガラスシール層8,9を介して、中心電極5と端子電極6とにそれぞれ電気的に接続されている。
 加えて、前記主体金具3は、低炭素鋼等の金属により筒状に形成されており、その外周面にはスパークプラグ1を燃焼装置(例えば、内燃機関)に取付けるためのねじ部(雄ねじ部)15が形成されている。また、ねじ部15の後端側の外周面には座部16が形成され、ねじ部15後端のねじ首17にはリング状のガスケット18が嵌め込まれている。さらに、主体金具3の後端側には、主体金具3を燃焼装置に取付ける際にレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部19が設けられるとともに、後端部において絶縁碍子2を保持するための加締め部20が設けられている。
 また、主体金具3の内周面には、絶縁碍子2を係止するためのテーパ状の段部21が設けられている。そして、絶縁碍子2は、主体金具3の後端側から先端側に向かって挿入され、自身の段部14が主体金具3の段部21に係止された状態で、主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって固定される。尚、絶縁碍子2及び主体金具3双方の段部14,21間には、円環状の板パッキン22が介在されている。これにより、燃焼室内の気密性を保持し、燃焼室内に晒される絶縁碍子2の脚長部13と主体金具3の内周面との間の空間に入り込む燃料空気が外部に漏れないようになっている。
 さらに、加締めによる密閉をより完全なものとするため、主体金具3の後端側においては、主体金具3と絶縁碍子2との間に環状のリング部材23,24が介在され、リング部材23,24間にはタルク(滑石)25の粉末が充填されている。すなわち、主体金具3は、板パッキン22、リング部材23,24及びタルク25を介して絶縁碍子2を保持している。
 加えて、図2に示すように、主体金具3の先端部26に対して、Ni合金で形成された接地電極27が接合されている。当該接地電極27の先端部には、貴金属合金(例えば、白金合金)からなり、中心電極5側へと突出する円柱状の貴金属チップ32が設けられている。当該貴金属チップ32は、抵抗溶接によって接地電極27に対して接合されている。加えて、前記貴金属チップ31及び貴金属チップ32の間には、火花放電間隙33が形成され、当該火花放電間隙33において、前記軸線CL1にほぼ沿った方向で火花放電が行われる。
 さらに、本実施形態においては、接地電極27のうち中心電極5側の側面の先端側を除いた部位、及び、主体金具3の表面には、Niを主成分とするメッキ層としてのNiメッキ層28(図中、散点模様を付した部位)が形成されている。ここで、Niメッキ層28は、次のようにして形成される。すなわち、主体金具3及び接地電極27の表面全域に、Niを主成分とするメッキ被膜としてのNiメッキ被膜を形成した上で、接地電極27のうち中心電極5側の側面の先端側部位に対してレーザー光を照射し、当該部位のNiメッキ被膜を除去することにより、残存するNiメッキ被膜がNiメッキ層28を構成することとなる。尚、前記Niメッキ層28は、比較的薄肉(例えば、約10μm)とされている。
 また、前記レーザー光が照射された接地電極27の中心電極5側の側面の表面には、溶融層29が形成されている(尚、図2においては、便宜上、溶融層29を厚肉にして示している)。当該溶融層29は、前記Niメッキ被膜を構成する金属成分と、前記接地電極27を構成する金属成分(Ni合金)とが溶融することで形成されている。加えて、図3に示すように、前記Niメッキ層28の表面(Niメッキ層28のうち、特に溶融層29に最も隣接する部位の表面)から、前記溶融層29のうちNiメッキ層28の表面とは反対側の部位までの、接地電極27の厚さ方向に沿った最大長さ(見掛け溶融層厚さ)Dpは、前記Niメッキ層28の厚さ以上200μm以下とされている。尚、前記レーザー光を照射する加工(レーザー加工)を施すことによって、Niメッキ被膜や接地電極27を構成する金属のアブレーション(気化、蒸発)が生じるため、前記溶融層29の表面は、前記Niメッキ層28の表面よりも没した状態となっており、また、その表面には、微細な凹凸が形成されている。
 次に、上記のように構成されてなるスパークプラグ1の製造方法について説明する。まず、主体金具3を予め加工しておく。すなわち、円柱状の金属素材(例えばS17CやS25Cといった鉄系素材やステンレス素材)に冷間鍛造加工を施すことにより貫通孔を形成し、概形を製造する。その後、切削加工を施すことで外形を整え、主体金具中間体を得る。
 続いて、主体金具中間体の先端面に、Ni合金からなる直棒状の接地電極27が抵抗溶接される。当該溶接に際してはいわゆる「ダレ」が生じるので、その「ダレ」を除去した後、主体金具中間体の所定部位にねじ部15が転造によって形成される。これにより、接地電極27の溶接された主体金具3が得られる。
 次に、メッキ被膜形成工程においては、バレルメッキ装置(図示せず)により、図4(a)に示すように、主体金具3及び接地電極27の表面全域にNiを主成分とするNiメッキ被膜41が形成される。その後、溶融層形成工程においては、図4(b)に示すように、レーザービームの照射位置を移動させながら、前記接地電極27のうち中心電極5側に位置される側面の先端側部分に対してレーザー加工が施される。これにより、図4(c)に示すように、レーザー加工が施された部位のNiメッキ被膜41が除去され、当該部位に溶融層29が形成されるとともに、残存するNiメッキ被膜41がNiメッキ層28を構成することとなる。尚、レーザー加工に際しては、前記見掛け溶融層厚さDpが、Niメッキ層29(Niメッキ被膜41)の厚さ以上となるように、比較的大きな溶融エネルギーをもってレーザービームが照射される。そのため、前記溶融層29は、前記Niメッキ被膜41を構成するNiだけが溶融されて形成されるのではなく、前記Niメッキ被膜41を構成する金属成分と接地電極27を構成する金属成分(Ni合金)とが溶融して形成される。一方で、レーザービームの溶融エネルギーは過度に大きくならないように調整されるため、形成される溶融層29についての見掛け溶融層厚さDpは、200μm以下とされている。
 次いで、接地電極27の先端部に形成された溶融層29の所定位置に貴金属チップ32を押し当てた上で、当該貴金属チップ32が抵抗溶接される。このとき、前記溶融層29は、上述の通り比較的薄肉(200μm以下)に形成されているため、図4(d)に示すように、貴金属チップ32は、溶融層29に対してだけでなく、接地電極27に対しても溶接されることとなる。
 一方、前記主体金具3とは別に、絶縁碍子2を成形加工しておく。例えば、アルミナを主体としバインダ等を含む原料粉末を用い、成型用素地造粒物を調製し、これを用いてラバープレス成形を行うことで、筒状の成形体が得られる。得られた成形体に対し、研削加工が施され整形される。そして、整形されたものが焼成炉へ投入され、焼成されることで、絶縁碍子2が得られる。
 また、前記主体金具3、絶縁碍子2とは別に、中心電極5を製造しておく。すなわち、中央部に放熱性向上を図るための銅合金を配置したNi合金を鍛造加工して中心電極5を作製する。次に、中心電極5の先端部に対して貴金属チップ31がレーザー溶接等により接合される。
 そして、上記のようにして得られた絶縁碍子2及び中心電極5と、抵抗体7と、端子電極6とが、ガラスシール層8,9によって封着固定される。ガラスシール層8,9としては、一般的にホウ珪酸ガラスと金属粉末とが混合されて調製されており、当該調製されたものが抵抗体7を挟むようにして絶縁碍子2の軸孔4内に注入された後、後方から前記端子電極6が押圧された状態とした上で、焼成炉内にて焼き固められる。尚、このとき、絶縁碍子2の後端側胴部10の表面には釉薬層が同時に焼成されることとしてもよいし、事前に釉薬層が形成されることとしてもよい。
 その後、上記のようにそれぞれ作製された中心電極5及び端子電極6を備える絶縁碍子2と、接地電極27を備える主体金具3とが組付けられる。より詳しくは、比較的薄肉に形成された主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって固定される。
 そして最後に、接地電極27を中心電極5側へと屈曲させることで、貴金属チップ31,32間の前記火花放電間隙33を調整する加工が実施され、上述のスパークプラグ1が得られる。
 以上詳述したように、本実施形態によれば、少なくとも接地電極27の屈曲予定部位のうち中心電極5側の部位に形成されたニッケルを主成分とするNiメッキ被膜41に対して、レーザー光を照射することにより、屈曲予定部位の中心電極5側の部位に、接地電極27を構成する金属成分(Ni合金)とメッキ被膜41を構成する金属成分とが溶融した溶融層29が形成されている。すなわち、レーザー光の照射によって、接地電極27に対しての密着性が比較的低いNiメッキ被膜41は除去されるとともに、接地電極27の表面には、溶融層29が形成される。この溶融層29は、接地電極27を構成するNi合金やNiメッキ被膜41を構成していたNi等が溶融して形成されたものであるため、接地電極27に対しての密着性に比較的優れている。従って、接地電極27を屈曲させたときであっても、屈曲部位のNiメッキ被膜41は除去されていることから、Niメッキ被膜41の剥離といった事態は生じ得ず、また、密着性に優れる溶融層29の剥離はほとんど生じない。そのため、中心電極5と接地電極27との間の異常な火花放電を抑制することができ、着火性の低下をより確実に防止することができる。
 加えて、Niメッキ被膜41の除去は、レーザー光の照射により行われる。従って、接地電極の先端部を酸性剥離液に浸漬させたり、接地電極にマスキングを施した上でメッキ層を設けたりする手法と比較して、コストの大幅な低減を図ることができるとともに、作業性の飛躍的な向上を図ることができる。
 さらに、貴金属チップ32を設けるにあたっては、レーザー光の照射により形成された溶融層29は表面が凹凸状をなすことから、抵抗溶接に際しての溶融層29と貴金属チップ32との接触面積を低減させることができ、ひいては両者の接触抵抗を増大させることができる。従って、接地電極27側へと貴金属チップ32を押し付けるときの加圧力や、印加電流を比較的小さくしたとしても、貴金属チップ32を十分な強度をもって接合することができる。
 併せて、見掛け溶融層厚さが200μm以下と比較的薄いものとされる。そのため、接地電極27に対する溶融層29の密着性が損なわれてしまうことをより確実に防止することができる。また、見掛け溶融層厚さを200μm以下とすることで、貴金属チップ32が溶融層29のみならず、接地電極27に対してより確実に接合されることとなる。その結果、貴金属チップ32を一層優れた接合強度をもって接合することができ、貴金属チップ32の剥離を効果的に抑制することができる。
〔第2実施形態〕
 次に、第2実施形態について、図9を参照して、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
 本第2実施形態においては、接地電極27AがNiを主成分とし、クロム(Cr)を所定量(例えば、10質量%以上)含有してなる合金〔例えば、Crを約22質量%含有してなるインコネル(商標名)601等〕により構成されている。
 また、接地電極27Aのうち中心電極5側の側面の先端側を除いた部位、及び、主体金具3の表面には、Niを主成分とするメッキ層としてのNiメッキ層28と、当該Niメッキ層28上に位置するクロメート被膜30とが形成されている。ここで、Niメッキ層28及びクロメート被膜30は、次のようにして形成される。すなわち、主体金具3及び接地電極27Aの表面全域にメッキ被膜としてのNiメッキ被膜を形成した上で、さらに、主体金具3及び接地電極27Aの表面全域にクロメート処理を施し、Niメッキ被膜にクロメート被膜が積層してなる複層被膜を形成する。そして、接地電極27のうち中心電極5側の側面の先端側部位に形成された複層被膜に対してレーザー光を照射し、当該部位の複層被膜を除去することにより、前記接地電極27Aの所定部位や主体金具3の表面にNiメッキ層28及びクロメート被膜30が形成される。
 以上、本第2実施形態によれば、使用時の高温下において、接地電極27Aの表面側に位置するクロメート被膜30中のCrが、接地電極27A中のCrに先んじてNiメッキ層28側へと拡散することとなる。その結果、接地電極27A中のCrのNiメッキ層28側への拡散をより確実に抑制することができ、耐酸化性の向上効果が十分に発揮されることとなる。
〔第3実施形態〕
 次に、第3実施形態について、図10を参照して、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
 本第3実施形態においては、接地電極27BがNiを主成分とし、Crを所定量(例えば、10質量%以上)含有してなる合金により構成されている。
 さらに、接地電極27Bのうち中心電極5側の側面の先端側を除いた部位、及び、主体金具3の表面には、Niメッキ層28Aが形成されている。ここで、Niメッキ層28Aは、次のようにして形成される。すなわち、主体金具3及び接地電極27Bの表面全域にNiを主成分とし、Crを3質量%以上30質量%以下含有してなるNiメッキ被膜を形成する。その上で、接地電極27のうち中心電極5側の側面の先端側部位に対してレーザー光を照射し、当該部位に形成されたNiメッキ被膜を除去することにより、Niを主成分とし、Crを3質量%以上30質量%以下含有してなるNiメッキ層28Aが形成される。
 以上、本第3実施形態によれば、Niメッキ層28Aには、Crが3質量%以上30質量%以下含有されているため、高温下において、接地電極27B中のCrがNiメッキ層28側へと拡散してしまうことを効果的に抑制できる。その結果、接地電極27BにCrを含有することによる耐酸化性の向上効果が十分に発揮されることとなる。
 次に、上記実施形態によって奏される作用効果を確認すべく、メッキ剥離性試験を行った。メッキ剥離性試験の概要は、次の通りである。すなわち、接地電極のサンプルの表面全域に厚さ10μmのNiメッキ被膜を形成した上で、レーザービームの出力を変更することによって、見掛け溶融層厚さを種々変更した直棒状の接地電極のサンプルをそれぞれ5本ずつ作製した。そして、各サンプルをバーナーで加熱し、900℃の状態で1分間保持した。その後、加熱されたサンプルを常温まで自然冷却させた後、当該サンプルを直角状に屈曲させ、屈曲部分にNiメッキ被膜の剥離が生じているか否かを目視により確認した。ここで、見掛け溶融層厚さの等しい5本のサンプルのうち、全てのサンプルにおいて屈曲部分にNiメッキ被膜の剥離が認められた場合には、「×」の評価を下すこととし、5本のサンプルのうち少なくとも1本のサンプルにおいてNiメッキ被膜の剥離が認められた場合には、「△」の評価を下すこととした。一方で、見掛け溶融層厚さの等しい5本のサンプルのいずれについてもNiメッキ被膜の剥離が認められなった場合には、「○」の評価を下すこととした。表1に、見掛け溶融層厚さと、評価結果とを示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1に示すように、見掛け溶融層厚さが10μm未満のサンプル、すなわち、見掛け溶融層厚さがNiメッキ被膜の厚さよりも小さいサンプルについては、Niメッキ被膜の剥離が発生してしまうことが明らかとなった。これは、レーザービームの出力を比較的弱くしたことから、接地電極を構成するNi合金まで溶融されることなく、溶融層は、Niメッキ被膜を構成するNiのみが溶融することで形成されたため、当該溶融層の内側に、接地電極に対する密着性が十分ではないNiメッキ被膜が残存してしまったことに起因すると考えられる。
 これに対して、見掛け溶融層厚さを10μm以上としたサンプル、すなわち、見掛け溶融層厚さがNiメッキ被膜の厚さ以上のサンプルについては、Niメッキ被膜の剥離は全く発生しないことがわかった。これは、レーザービームの出力を比較的大きくしたことから、溶融層が、接地電極を構成するNi合金と、Niメッキ被膜を構成するNiとが溶融して形成され、ひいては接地電極に対する密着性の不十分なNiメッキ被膜が消失したこと、及び、接地電極を構成するNi合金を含有してなる溶融層が、接地電極に対して優れた密着性を有していたことに起因すると考えられる。
 以上、メッキ剥離性試験の結果から、溶融層を形成するにあたっては、見掛け溶融層厚さが、Niメッキ被膜(Niメッキ層)の厚さ以上となるように、レーザービームの出力等を調整することが望ましいといえる。
 次に、見掛け溶融層厚さを種々変更しつつ、抵抗溶接によって接地電極側に貴金属チップを接合してなるスパークプラグのサンプルをそれぞれ5本ずつ作製するとともに、各サンプルについてチップ剥離性試験を行った。チップ剥離性試験の概要は次の通りである。すなわち、直列6気筒、排気量2000ccのDOHCエンジンにサンプルを組付けた上で、1分間のアイドリング状態の後、1分間の負荷状態(エンジン回転数=6000rpm)とすることを1サイクルとして、1000サイクルに亘ってエンジンを動作させた。そして、1000サイクル終了後に、サンプル断面を観察し、貴金属チップと当該貴金属チップが接合される部位との境界面領域の長さに対する、形成された酸化スケールの長さの割合(酸化スケール進展割合)を計測した。図5に、各サンプルについての、見掛け溶融層厚さと酸化スケール進展割合との関係を表すグラフを示す。尚、見掛け溶融層厚さが0μmのサンプルは、溶融層が形成される(つまり、レーザー加工が施される)ことなく、接地電極の表面全域にNiメッキ層が形成されてなるものである。また、溶融層を有してなるサンプルについては、接地電極の表面に厚さ10μmのNiメッキ被膜を形成した上で、前記溶融層を形成するためのレーザー加工を行うこととした。
 図5に示すように、見掛け溶融層厚さが0μm(未加工)のサンプルは、酸化スケール進展割合が85%を超えてしまうことがわかった。これは、接地電極表面にNiメッキ被膜が存在していたことから、貴金属チップの接合部分の大部分が、接地電極に対しての密着性が十分ではないNiメッキ被膜に対して接合されてしまい、また、この状態で加熱されたことによって、耐酸化性に劣るNiメッキ被膜の急速な酸化を招いてしまったことによると考えられる。
 また、見掛け溶融層厚さが250μm以上のサンプルについては、未加工サンプルと比較して良好な結果が得られたものの、酸化スケール進展割合が50%を超え得ることが明らかとなった。これは、溶融層が比較的厚肉であったため、貴金属チップが溶融層のみに接合され(つまり、貴金属チップが接地電極に対して接合されず)、ひいては接地電極に対する貴金属チップの接合強度が若干ながら低下してしまったことによるものと考えられる。
 これに対して、見掛け溶融層厚さを10μm(Niメッキ被膜の厚さ)以上200μm以下としたサンプルは、酸化スケール進展割合が50%未満となり、非常に優れた貴金属チップの耐剥離性能を有することがわかった。これは、接地電極表面のNiメッキ被膜が十分に除去されたとともに、溶融層が比較的薄肉であったため、貴金属チップが溶融層だけでなく、接地電極に対しても接合されたことによるものと考えられる。
 以上、接地電極の屈曲に伴うメッキの剥離を防止しつつ、貴金属チップを設けた場合において、優れた貴金属チップの耐剥離性能を実現するという観点から、見掛け溶融層厚さをNiメッキ被膜の厚さ以上200μm以下とするように、レーザー加工を施すことが有意であるといえる。
 次いで、接地電極にCrを含有するとともに、Niメッキ層上にクロメート被膜を設けたスパークプラグのサンプル(サンプルA)と、Niメッキ層上にクロメート被膜を設けることなく構成したスパークプラグのサンプル(サンプルB)とを作製し、両サンプルについて机上バーナー試験を行った。机上バーナー試験の概要は次の通りである。すなわち、サンプルに対して、接地電極の温度が950℃となるようバーナーで2分間加熱後、1分間徐冷することを1サイクルとして1000サイクル実施し、1000サイクル終了後に接地電極の断面を観察した。そして、当該断面においてNiの粒成長が生じているか否かを確認した。表2に、両サンプルについての机上バーナー試験の試験結果を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表2に示すように、Niメッキ層上にクロメート被膜を設けなかったサンプルBは、接地電極内においてNiの粒成長が生じてしまい、耐酸化性に劣ることが分かった。これは、高温下において、Niメッキ層側へと接地電極中のCrが拡散(移動)してしまったことに起因すると考えられる。
 これに対して、Niメッキ層上にクロメート被膜を設けたサンプルAは、Niの粒成長が生じることなく、耐酸化性に優れることが明らかとなった。これは、高温下において、接地電極の表面側に位置するクロメート被膜中のCrが、接地電極中のCrに先んじてNiメッキ層側へと拡散したため、接地電極中のCrがNiメッキ層側へと拡散してしまうことをより確実に抑制できたためであると考えられる。
 次に、接地電極にCrを含有するとともに、Niメッキ層中のCr含有量を種々変更してなるスパークプラグのサンプルを複数作製し、各サンプルについて上述の机上バーナー試験、及び、密着性評価試験を行った。
 尚、密着性評価試験は、直棒状の接地電極にNiメッキを施した上で、当該接地電極を屈曲させ、接地電極のうち中心電極とは反対側に形成されたNiメッキ層に剥離が生じるか否かを判断するものである。ここで、Niメッキ層の剥離が生じなかったサンプルは、「○」の評価を下す一方で、Niメッキ層の剥離が生じてしまったサンプルは、異常な放電が生じてしまうおそれがあるとして「×」の評価を下すこととした。表3に、机上バーナー試験の試験結果、及び、密着性評価試験の試験結果を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表3に示すように、Niメッキ層におけるCrの含有量を3質量%未満としたサンプルは、Niの粒成長が生じてしまい、耐酸化性が不十分となってしまうことが明らかとなった。これは、Niメッキ層におけるCr含有量が過度に少なかったため、接地電極中のCrがNiメッキ層側へと拡散してしまうことを十分に抑制できなかったためであると考えられる。
 また、Niメッキ層におけるCrの含有量が30質量%を超えるサンプルは、Niの粒成長を抑制できていたものの、Niメッキ層の剥離が生じやすいことが確認された。これは、Crの含有量が過度に多かったため、接地電極に対するNiメッキ層の密着性が損なわれてしまったことによると考えられる。
 これに対して、Niメッキ層におけるCrの含有量を3質量%以上30質量%以下としたサンプルは、Niの粒成長及びNiメッキ層の剥離の双方を効果的に抑制できることが分かった。
 以上、上記各試験の結果を勘案して、接地電極にCrを含有した場合には、接地電極中のNiの粒成長を抑制するという観点から、Niメッキ層上にクロメート被膜を形成したり、Niメッキ層に3質量%以上のCrを含有することが好ましいといえる。
 また、Niメッキ層にCrを含有するにあたっては、Niメッキ層の耐剥離性を十分に確保すべく、Crの含有量を30質量%以下とすることが好ましいといえる。
 尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
 (a)上記実施形態において、溶融層29は、レーザー加工によって形成されているが、電子ビームを照射することによって溶融層29を形成することとしてもよい。
 (b)上記実施形態では特に記載していないが、真空中においてレーザー加工等を施したり、加工面に窒素やヘリウム、アルゴンガス等のアシストガスを吹き付けながらレーザー加工等を施したりすることによって溶融層29を形成することとしてもよい。この場合には、溶融層29の酸化を効果的に防止することができ、耐久性の向上を図ることができる。
 (c)上記実施形態では、Niメッキ被膜41の厚さが10μmとされているが、Niメッキ被膜41の厚さについては、Niメッキ層28が十分な耐腐食性を有するものとなれば、その厚さは特に限定されるものではない。尚、Niメッキ被膜41の厚さを変更した場合には、見掛け溶融層厚さが前記Niメッキ層28の厚さ以上となるように、レーザービームの出力等を適宜調整することが必要である。
 (d)上記実施形態では、接地電極27側に貴金属チップ32を設けることとしているが、図6(a)〔尚、図6(a)~(c)は、それぞれ屈曲前の接地電極27を示す〕に示すように、貴金属チップ32を省略して構成することとしてもよい。また、上記実施形態では、貴金属チップ32を抵抗溶接により接合することとしているが、図6(b)に示すように、抵抗溶接に代えて、又は、抵抗溶接と合わせて、レーザー溶接を施すことにより溶融部43を形成し、貴金属チップ42を接合することとしてもよい。
 さらに、上記実施形態においては、貴金属チップ32を接地電極27に対して直接的に接合することとしているが、図6(c)に示すように、緩和層チップ44を介して、貴金属チップ45を接地電極27に間接的に接合することとしてもよい。尚、接地電極27及び緩和層チップ44の接合部分や、貴金属チップ45及び緩和層チップ44の接合部分において、熱膨張の程度の差異に伴い生じる応力を抑制するという観点から、緩和層チップ44を、接地電極27を構成するNi合金と、貴金属チップ45を構成する貴金属合金との間の線膨張係数を有する金属材料によって形成することが好ましい。このように、緩和層チップ44を、接地電極27を構成するNi合金と貴金属チップ45を構成する貴金属合金との間の線膨張係数を有する金属材料によって形成することで、貴金属チップ45の耐剥離性のより一層の向上を図ることができる。
 (e)上記実施形態においては、接地電極27の中心電極5側の側面にレーザー加工が施されているが、図7に示すように、接地電極27を、その中心軸を回転軸として若干回転させた上でレーザー加工を施すことにより、接地電極27の中心電極5側の側面と、当該側面に隣接する側面とに対してレーザー加工を施すこととしてもよい。
 (f)上記実施形態においては、基端部が軸線CL1に沿って延びる1本の接地電極27を有するスパークプラグ1に対して、本発明の技術思想が適用されているが、本発明の技術思想を適用可能な接地電極の形状や本数についてはこれに限定されるものではない。従って、図8(a)に示すように、軸線CL1に対して斜方に延びる接地電極47を有してなるスパークプラグ101に対して本発明の技術思想を適用することとしてもよい。さらに、図8(b)に示すように、軸線CL1側へと屈曲された接地電極48を複数備えてなるスパークプラグ102に対して本発明の技術思想を適用することとしてもよい。また、この場合においては、主体金具3の内部を通ってレーザービームや電子ビームを照射することにより、レーザー加工や電子ビーム加工を比較的容易に施すことができる。尚、このようなスパークプラグ101,102についても、火花放電間隙の大きさの微調整に際して、接地電極47,48が若干ながら曲げられるため、この曲げ加工に伴うNiメッキ被膜の剥離をより確実に防止することができる。
 (g)上記実施形態では特に記載していないが、溶融層29の表面に対して平滑化加工(例えば、再度のレーザー加工等)を施すことにより、溶融層29表面を平滑化することとしてもよい。すなわち、電界強度が比較的高くなりやすい凹凸部分を平滑化することで、中心電極5(貴金属チップ31)と溶融層29との間での異常な火花放電の発生を効果的に抑制することができ、ひいては着火性の一層の向上を図ることができる。
 (h)上記実施形態では、中心電極5の先端部には貴金属チップ31が設けられているが、当該貴金属チップ31を省略して構成することとしてもよい。
 (i)上記実施形態では、主体金具3の先端面に、接地電極27が接合される場合について具体化しているが、主体金具の一部(又は、主体金具に予め溶接してある先端金具の一部)を削り出すようにして接地電極を形成する場合についても適用可能である(例えば、特開2006-236906号公報等)。また、主体金具3の先端部26の側面に接地電極27を接合することとしてもよい。
 (j)上記実施形態では、工具係合部19は断面六角形状とされているが、工具係合部19の形状に関しては、このような形状に限定されるものではない。従って、例えば、Bi-HEX(変形12角)形状〔ISO22977:2005(E)〕等とされていてもよい。
 (k)上記実施形態では、燃焼装置として内燃機関を例示しているが、スパークプラグ1を使用可能な燃焼装置は内燃機関に限定されるものではない。従って、例えば、燃料改質器やボイラーのバーナー等に点火するためにスパークプラグ1を用いることとしてもよい。
 1,101,102…スパークプラグ、2…絶縁碍子(絶縁体)、3…主体金具、4…軸孔、5…中心電極、27,47,48…接地電極、28…Niメッキ層(メッキ層)、29…溶融層、41…Niメッキ被膜(メッキ被膜)、CL1…軸線。

Claims (10)

  1.  軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
     前記軸線方向に延びる軸孔を有するとともに、前記中心電極が前記軸孔に設けられた円筒状の絶縁体と、
     前記絶縁体の外周に設けられた円筒状の主体金具と、
     前記主体金具の先端部から延びるとともに、自身の略中間部分が屈曲され、自身の先端部が前記中心電極の先端部との間で火花放電間隙を形成する、ニッケルを主成分とする合金からなる接地電極とを備えたスパークプラグであって、
     少なくとも前記接地電極の屈曲予定部位のうち前記中心電極側の部位に形成されたニッケルを主成分とするメッキ被膜に対して、レーザー光、又は、電子ビームを照射することにより、前記屈曲予定部位の前記中心電極側の部位に、前記メッキ被膜を構成する金属成分及び前記接地電極を構成する金属成分が溶融した溶融層が形成されているとともに、前記接地電極のうち前記レーザー光、又は、電子ビームが照射された部位以外には、ニッケルを主成分とするメッキ層が形成されていることを特徴とするスパークプラグ。
  2.  前記接地電極の先端部のうち前記中心電極との間で前記火花放電間隙を形成する部位には、当該部位に形成されたニッケルを主成分とするメッキ被膜に対して、レーザー光、又は、電子ビームを照射することにより、前記メッキ被膜を構成する金属成分及び前記接地電極を構成する金属成分が溶融した溶融層が形成されるとともに、前記溶融層に貴金属チップが接合されることを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
  3.  前記接地電極は、ニッケルを主成分とし、クロムを含有する合金からなるとともに、
     前記メッキ層は、ニッケルを主成分とし、クロムを3質量%以上30質量%以下含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のスパークプラグ。
  4.  軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
     前記軸線方向に延びる軸孔を有するとともに、前記中心電極が前記軸孔に設けられた円筒状の絶縁体と、
     前記絶縁体の外周に設けられた円筒状の主体金具と、
     前記主体金具の先端部から延びるとともに、自身の略中間部分が屈曲され、自身の先端部が前記中心電極の先端部との間で火花放電間隙を形成する接地電極とを備え、
     前記接地電極が、ニッケルを主成分とし、クロムを含有する合金からなるスパークプラグであって、
     少なくとも前記接地電極の屈曲予定部位のうち前記中心電極側の部位に形成されたニッケルを主成分とするメッキ被膜と当該メッキ被膜上に位置するクロメート被膜とからなる複層被膜に対して、レーザー光、又は、電子ビームを照射することにより、前記屈曲予定部位の前記中心電極側の部位に、前記複層被膜を構成する金属成分及び前記接地電極を構成する金属成分が溶融した溶融層が形成されているとともに、前記接地電極のうち前記レーザー光、又は、電子ビームが照射された部位以外には、ニッケルを主成分とするメッキ層と当該メッキ層上に位置するクロメート被膜とが形成されていることを特徴とするスパークプラグ。
  5.  前記接地電極の先端部のうち前記中心電極との間で前記火花放電間隙を形成する部位には、当該部位に形成されたニッケルを主成分とするメッキ被膜と当該メッキ被膜上に位置するクロメート被膜とからなる複層被膜に対して、レーザー光、又は、電子ビームを照射することにより、前記複層被膜を構成する金属成分及び前記接地電極を構成する金属成分が溶融した溶融層が形成されるとともに、前記溶融層に貴金属チップが接合されることを特徴とする請求項4に記載のスパークプラグ。
  6.  前記メッキ層のうち前記溶融層に最も近接する部位の表面から、前記溶融層のうち前記表面とは反対側の部位までの、前記接地電極の厚み方向に沿った最大長さが200μm以下とされることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  7.  軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
     前記軸線方向に延びる軸孔を有するとともに、前記中心電極が前記軸孔に設けられた円筒状の絶縁体と、
     前記絶縁体の外周に設けられた円筒状の主体金具と、
     前記主体金具の先端部から延びるとともに、自身の略中間部分が屈曲され、自身の先端部が前記中心電極の先端部との間で火花放電間隙を形成する、ニッケルを主成分とする合金からなる接地電極とを備え、
     前記接地電極及び前記主体金具の表面の一部にニッケルを主成分とするメッキ層を有してなるスパークプラグの製造方法であって、
     前記接地電極が設けられた前記主体金具に対してニッケルメッキ処理を施すことによって、前記主体金具及び前記接地電極の表面略全域に前記メッキ層となるメッキ被膜を形成するメッキ被膜形成工程と、
     少なくとも前記接地電極の屈曲予定部位のうち前記中心電極側の部位に対して、レーザー光、又は、電子ビームを照射することにより、前記メッキ被膜を構成する金属成分及び前記接地電極を構成する金属成分が溶融した溶融層を形成する溶融層形成工程と、
     前記接地電極の前記屈曲予定部位に曲げ加工を施し、前記接地電極の先端部と前記中心電極の先端部との間の前記火花放電間隙を形成する火花放電間隙形成工程とを含み、
     前記溶融層形成工程においては、前記メッキ層のうち前記溶融層に最も近接する部位の表面から、前記溶融層のうち前記表面とは反対側の部位までの、前記接地電極の厚み方向に沿った最大長さが、前記メッキ層の厚さ以上となるように、前記レーザー光、又は、電子ビームを照射することを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  8.  前記接地電極の先端部に、前記中心電極との間で前記火花放電間隙を形成する貴金属チップが設けられるスパークプラグの製造方法であって、
     前記溶融層形成工程においては、前記接地電極のうち前記貴金属チップの接合予定位置に対して前記レーザー光、又は、電子ビームを照射し、その後、前記接合予定位置に形成された溶融層に前記貴金属チップを接合することを特徴とする請求項7に記載のスパークプラグの製造方法。
  9.  前記溶融層形成工程においては、前記メッキ層のうち前記溶融層に最も近接する部位の表面から、前記溶融層のうち前記表面とは反対側の部分までの、前記接地電極の厚み方向に沿った最大長さが200μm以下となるように、前記レーザー光、又は、電子ビームを照射することを特徴とする請求項7又は8に記載のスパークプラグの製造方法。
  10.  前記溶融層形成工程においては、酸素分圧が103Pa以下の雰囲気で、前記レーザー光、又は、電子ビームを照射することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
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