WO2010061450A1

WO2010061450A1 - 紐固定具

Info

Publication number: WO2010061450A1
Application number: PCT/JP2008/071538
Authority: WO
Inventors: 慶吉田; 謙一吉江
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2008-11-27
Filing date: 2008-11-27
Publication date: 2010-06-03
Also published as: TW201020417A; CN102105077A; TWI367288B; CN102105077B

Abstract

　プラグ（１０）と、このプラグ（１０）が挿入される開口（２０Ｆ）を有する筒状のソケット（２０）と、このソケット（２０）内に収納され前記プラグ（１０）を前記ソケット（２０）から押し出す方向へ付勢するばね部（１７）とを備える。プラグ（１０）の周壁には、第１挿通孔（１２）が貫通形成され、ソケット（２０）の周壁には、プラグ（１０）がばね部（１７）に抗してソケット（２０）内に押し込まれた際に第１挿通孔（１２）と連通可能な第２挿通孔（２２）が形成されている。開口（２０Ｆ）が形成されたソケット（２０）の端面は、プラグ（１０）の押込方向に対して傾斜する傾斜面に形成されている。

Description

紐固定具

　本発明は、衣服、帽子、バック、テント、リュックサック等に取り付けられた紐の締付状態や係止位置を調整するために、紐に取り付けられる紐固定具に関する。

　ジャケット等に設けられた紐を締め付けるための紐固定具として、例えば、特許文献１記載の紐固定具や、特許文献２記載の紐固定具などが知られている。
　特許文献１記載の紐固定具は、一端を開口した断面矩形箱状のソケットと、このソケット内に収納されソケットの内部形状に対応する角柱状でかつ先端にばねを有するプラグとを備え、これらソケットおよびプラグに紐を挿通するための紐挿通孔が形成された構成である。
　特許文献２に記載された紐固定具は、一端を開口した円筒状のソケットと、このソケット内に収納されソケットの内部形状に対応する円柱状のプラグと、ソケットの底部に収納されプラグをソケットから押し出す方向へ付勢するばねとを備え、これらソケットおよびプラグに紐を挿通するための紐挿通孔が形成された構成である。

　これらの紐固定具は、プラグをソケット内に押し込んで、プラグの紐挿通孔とソケットの紐挿通孔とが連通した状態において、これらの紐挿通孔に紐を挿通させたのち、プラグの押し込みを解除すると、ばねによりプラグがソケットから押し出される。すると、プラグの紐挿通孔がソケットの紐挿通孔に対してずれるため、紐が係止される。
　紐の長さなどを調整するには、プラグを再びソケット内に押し込み、プラグの紐挿通孔とソケットの紐挿通孔とを連通させ、この状態において、紐の長さを調節したのち、プラグの押し込みを解除すれば、紐が係止される。

特開昭５９－１４８５１８号公報実公昭５４－１１２１０号公報

　上述した構造において、ソケットは、プラグの円滑な押し込み動作を確保するため、ある程度のプラグの押し込み方向寸法が必要とされる。
　また、プラグがソケットに収納された状態において、紐の係止状態を解除する際、プラグをソケット内に押し込む操作が必要となるため、ソケットの開口端からプラグがある程度突出する長さが必要とされる。とくに、プラグの押し込みストロークを長く確保しようとすると、ソケットの開口端からのプラグの突出量も大きくしなければならない。
　従って、紐固定具の長さ寸法は、プラグの円滑な押し込み動作を確保するためのソケットの長さに、プラグを押し込むための突出長さを加えた長さに設定されているが、より短い紐固定具が要望されている。

　本発明の目的は、プラグの円滑な押し込み動作、および、プラグの押し込み操作を確保しつつ、全長寸法を短くできる紐固定具を提供することにある。

　本発明の紐固定具は、プラグと、このプラグが挿入される開口を有する筒状のソケットと、このソケット内に収納され前記プラグを前記ソケットから押し出す方向へ付勢する付勢体とを備え、前記プラグの周壁には、第１挿通孔が貫通形成され、前記ソケットの周壁には、前記プラグが前記付勢体に抗して前記ソケットに押し込まれた際に前記第１挿通孔と連通可能な第２挿通孔が形成された紐固定具において、前記開口が形成された前記ソケットの端面が、前記プラグの押込方向に対して傾斜する傾斜面に形成されている、ことを特徴とする。

　このような構成において、プラグをソケット内に押し込んで、プラグの第１挿通孔とソケットの第２挿通孔とが連通した状態において、これら第１、第２挿通孔に紐を挿通させたのち、プラグの押し込みを解除すると、付勢手段によりプラグがソケットから押し出される。すると、プラグの第１挿通孔とソケットの第２挿通孔との連通部分が狭まるため、これによって紐が係止される。
　紐の長さなどを調整するには、プラグを付勢手段に抗して再びソケット内に押し込み、プラグの第１挿通孔とソケットの第２挿通孔とを連通させる。すると、プラグの第１挿通孔とソケットの第２挿通孔との連通部分が拡がるため、この状態において、紐の長さを調節できる。紐の長さを調節したのち、プラグの押し込みを解除すれば、プラグの第１挿通孔とソケットの第２挿通孔との連通部分が狭まるため、これによって紐が係止される。

　本発明によれば、プラグを挿入するための開口が形成されたソケットの端面が、プラグの押込方向に対して傾斜する傾斜面に形成されているから、傾斜面の傾斜方向上部側の壁によってプラグをガイドできる。従って、プラグを円滑に押し込み動作させることができる。
　また、傾斜面の傾斜方向下部からプラグを突出させることによって、プラグの押込部分を確保できる。従って、プラグの押込部分を確保するために、ソケットの傾斜方向上部側よりもプラグを大きく突出させなくてもよいから、プラグの押込部分も確保しつつ、紐固定具の全長も短くできる。従って、プラグの円滑な押し込み動作、および、プラグの押し込み操作を確保しつつ、全長寸法を短くできる。

　本発明の紐固定具において、前記第１挿通孔は、プラグ押込側に前記プラグの押込方向に対して略直交する第１係止面を有する形状に形成され、前記第２挿通孔は、前記開口側に前記ソケットの傾斜面と略平行な第２係止面を有する形状に形成されている、ことが好ましい。
　このような構成において、紐の係止動作時に、付勢手段によってプラグがソケットから押し出されると、第１挿通孔の第１係止面によって紐が押し上げられ、第２挿通孔の第２係止面との間に挟持される。
　本発明では、第１挿通孔の第１係止面がプラグの押込方向に対して略直交、また、第２挿通孔の第２係止面がソケットの傾斜面と略平行に形成されているから、つまり、第１挿通孔の第１係止面と第２挿通孔の第２係止面とが交差しているから、その第１係止面と第２係止面とが交差した角部で紐を係止することができる。そのため、係止した紐がずれにくく、確実に係止できる。

　本発明の紐固定具は、前記プラグは、表面、裏面および第１，第２側面を有する角柱状に形成され、前記ソケットは、前記プラグの表面、裏面および第１，第２側面と対向する表壁、裏壁および第１，第２側壁を有し、かつ、これらの底面を塞ぐ底壁を有する角筒状に形成されているとともに、前記底壁と対向し前記開口を有する端面が前記第１側壁から前記第２側壁に向かって傾斜する傾斜面に形成され、前記第１挿通孔は、前記表面から前記裏面に貫通して形成され、前記プラグ押込側に前記第１係止面を有する断面矩形孔に形成され、前記第２挿通孔は、前記表壁から前記裏壁に貫通して形成され、前記開口側に前記第２係止面を有する断面平行四辺形孔に形成されている、ことが好ましい。

　このような構成によれば、プラグは角柱状に形成され、ソケットは角筒状に形成され、第１挿通孔は表面から裏面に貫通して形成された断面矩形孔に、また、第２挿通孔は表壁から裏壁に貫通して形成された断面平行四辺形孔に形成されているから、第１挿通孔と第２挿通孔とが連通した状態において、各種断面形状の紐を挿通させやすい。例えば、紐の断面が丸紐に限らず、平らな平紐などでも挿通させやすい。

　本発明の紐固定具は、前記プラグは、表面、裏面および第１，第２側面を有する角柱状に形成され、前記ソケットは、前記プラグの表面、裏面および第１，第２側面と対向する表壁、裏壁および第１，第２側壁を有し、かつ、これらの底面を塞ぐ底壁を有する角筒状に形成されているとともに、前記底壁と対向し前記開口を有する端面が前記第１側壁から前記第２側壁に向かって傾斜する傾斜面に形成され、前記第１挿通孔は、前記第１側面から第２側面に貫通して形成され、前記プラグ押込側に前記第１係止面を有する断面矩形孔に形成され、前記第２挿通孔は、前記第１側壁から前記第２側壁に貫通して前記傾斜面と略平行に形成され、前記開口側に前記第２係止面を有する傾斜孔によって形成されている、ことが好ましい。

　このような構成によれば、プラグは角柱状に形成され、ソケットは角筒状に形成され、第１挿通孔は第１側面から第２側面に貫通して形成された断面矩形孔に形成され、また、第２挿通孔は第１側壁から第２側壁に貫通して形成された傾斜孔によって形成されているから、第１挿通孔と第２挿通孔とが連通した状態において、各種断面形状の紐を挿通させやすい。また、傾斜孔のうち、傾斜方向下部側（第２側壁側）に形成された傾斜孔の内端角部と、これに対向するプラグの断面矩形孔の角部とで紐が係止されるので、紐に対する係止力を高めることができる。

　本発明の紐固定具において、前記プラグは、前記第１挿通孔を有し前記ソケットに挿入される挿入部と、この挿入部の端部に一体的に形成され前記ソケットの前記開口から突出し前記プラグ押込方向に対して略直交する押圧面を有する頭部とを含む、ことを特徴とする。
　このような構成によれば、ソケットの傾斜面を利用して、プラグの頭部までもソケット内に押し込むことができるから、紐固定具の全長寸法をより短くできる。

　本発明の紐固定具において、　前記プラグと前記ソケットとの間には、前記プラグを前記ソケットの傾斜面傾斜方向下部へ傾けることができるクリアランスが形成されている、ことが好ましい。
　このような構成によれば、プラグをソケット内に押し込む際、プラグとソケットとの間にクリアランスが形成されているから、プラグをソケットの傾斜面の傾斜方向下部へ傾けることができる。プラグがソケットの傾斜面傾斜方向下部へ傾くと、第１挿通孔の第１係止面と第２挿通孔の第２係止面との交差角部の空間が拡がるため、紐の係止状態を解除できる。つまり、プラグをソケット内に大きく押し込まなくても、単に、プラグをソケットの傾斜面の傾斜方向下部へ傾ければよいから、係止解除操作が極めて簡単にできる。

本発明の第１実施形態を示す斜視図。第１実施形態の正面図。図１のIII－III線断面図。図１のIV－IV線断面図。第１実施形態の解除状態を示す断面図。本発明の第２実施形態を示す断面図。第２実施形態の解除状態を示す断面図。本発明の第３実施形態を示す斜視図。第３実施形態の正面図。図８のX－X線断面図。図８のXI－XI線断面図。第３実施形態の解除状態を示す断面図。

符号の説明

　１，２，３…紐固定具、１０…プラグ、１１…挿入部、１２…第１挿通孔、１２Ｂ…下面（第１係止面）、１５…頭部、１７…ばね部（付勢手段）、２０…ソケット、２０Ａ…表壁、２０Ｂ…裏壁、２０Ｃ…第１側壁、２０Ｄ…第２側壁、２０Ｅ…底壁、２０Ｆ…開口、２２…第２挿通孔、２２Ａ…上面（第２係止面）、３１…クリアランス。

　以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
　なお、以下の説明にあたって、同一構成要件または同一機能を有する部材については、同一符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。

＜第１実施形態＞
　図１～図５に、第１実施形態の紐固定具１を示す。
　同紐固定具１は、プラグ１０と、プラグ１０が挿入されるソケット２０とを備える。なお、これらのプラグ１０およびソケット２０は、ポリアミド、ポリアセタール、ポリプロピレン等の合成樹脂材料を用いた射出成形や押出成形等で一体成形されている。

　プラグ１０は、ソケット２０内に挿入される挿入部１１と、この挿入部１１の上端に一体的に形成された頭部１５と、挿入部１１の下端に一体的に形成されたばね部１７とを備える。
　挿入部１１は、表面、裏面および第１，第２側面を有し、横断面が略横長長方形状を有する角柱状に形成されているとともに、これらの周壁、つまり、表面から裏面に貫通して、第１挿通孔１２が形成されている。第１挿通孔１２は、プラグ１０の押込方向（つまり、ばね部１７を縮める方向）に対して傾斜（表面から見て左下がりに傾斜）した上面１２Ａ、プラグ１０の押込方向に対して略直交する第１係止面としての下面１２Ｂ、および、プラグ１０の押込方向と平行な第１，第２側面１２Ｃ，１２Ｄを有する変形四角形孔に形成されている。また、挿入部１１の表面および裏面において、挿入部１１の下部でかつ第１挿通孔１２の第１側面１２Ｃ寄りに突起１３が形成されている。突起１３は、先端に向かうに従って細くなった略円錐状の突起で、後述するソケット２０の第２挿通孔２２内に突出しプラグ１０がソケット２０から抜け出るのを防止する役目を果たす。

　頭部１５は、上面からみて、挿入部１１の横断面形状よりも一回り大きな輪郭形状で、かつ、ソケット２０の上面輪郭形状と同じ横長長方形状を有し、表面からみて、三角形状に形成されている。具体的には、上面１５Ａがプラグ１０の押込方向に対して直交する平坦面状の押圧面に、底面１５Ｂがプラグ１０の押込方向に対して傾斜（表面から見て左下がりに傾斜）する傾斜面に形成されている。
　ばね部１７は、ソケット２０内に収納された状態において、プラグ１０をソケット２０から押し出す方向へ付勢する付勢体を構成するもので、一定幅および厚みの弾性脚片１８が、挿入部１１の下端面からソケット２０の後述する第１側壁２０Ｃと第２側壁２０Ｄとの間でこれら側壁間方向に沿って複数回蛇行しながら下方へ伸びて形成されている。ばね部１７の下端は、ソケット２０の内底面に当接されている。

　ソケット２０は、プラグの表面、裏面および第１，第２側面と対向する表壁２０Ａ、裏壁２０Ｂおよび第１，第２側壁２０Ｃ，２０Ｄを有し、かつ、これらの底面を塞ぐ底壁２０Ｅを有する角筒状に形成されている。つまり、上面にプラグ１０が挿入される開口２０Ｆを有する角筒状に形成されている。開口２０Ｆが形成されたソケット２０の端面は、プラグ１０の頭部１５の底面１５Ｂと同じく、プラグ１０の押込方向に対して傾斜する傾斜面、つまり、第１側壁２０Ｃから第２側壁２０Ｄへ向かうに従って底壁２０Ｅ側へ傾斜する傾斜面に形成されている。具体的には、第１側壁２０Ｃと傾斜面とのなす角度が５０度から８０度の角度範囲内になるように形成されている。そのため、第２側壁２０Ｄよりも第１側壁２０Ｃの方が高い（底壁２０Ｅからの寸法が大きい）。

　また、ソケット２０の周囲壁、つまり、表壁２０Ａから裏壁２０Ｂに貫通して、プラグ１０がばね部１７に抗してソケット２０に押し込まれた際に第１挿通孔１２と連通可能な第２挿通孔２２が形成されている。第２挿通孔２２は、プラグ１０の押込方向に対して傾斜（表面から見て左下がりに傾斜）しかつソケット２０の上端傾斜面と略平行な第２係止面としての上面２２Ａ、この上面２２Ａと平行な下面２２Ｂ、プラグ１０の押込方向と平行な第１，第２側面２２Ｃ，２２Ｄを有する断面平行四辺形孔に形成されている。

　プラグ１０とソケット２０との間には、プラグ１０をソケット２０の傾斜面傾斜方向下部へ傾けることができるクリアランスが形成されている。つまり、図５に示すように、プラグ１０の頭部１５をソケット２０の傾斜面傾斜方向下部へ傾けることができる程度のクリアランス３１が形成されている。

　このような構成において、プラグ１０をソケット２０内に押し込んで、プラグ１０の第１挿通孔１２とソケット２０の第２挿通孔２２とが連通した状態において、これら第１挿通孔１２および第２挿通孔２２に紐５を挿通させる。こののち、プラグ１０の押し込みを解除すると、ばね部１７によりプラグ１０がソケット２０から押し出される。すると、プラグ１０の第１挿通孔１２とソケット２０の第２挿通孔２２との連通部分が狭まるため、紐５が係止される。

　このとき、第１挿通孔１２の下面１２Ｂがプラグ１０の押込方向に対して略直交、また、第２挿通孔２２の上面２２Ａがソケット２０の傾斜面と略平行に形成されているから、つまり、第１挿通孔１２の第１係止面と第２挿通孔２２の第２係止面とが交差しているから、第１係止面と第２係止面とが交差した角部で紐５が係止される。そのため、係止した紐５がずれにくく、確実に係止できる。

　紐５の長さなどを調整するには、プラグ１０をばね部１７に抗して再びソケット２０内に押し込む。すると、プラグ１０の第１挿通孔１２とソケット２０の第２挿通孔２２との連通部分が拡大するので、この状態において、紐５の長さを任意の長さに調節できる。紐５の長さを調節したのち、プラグ１０の押し込みを解除すれば、上記と同様にして紐５が係止される。

　また、図５に示すように、プラグ１０をソケット２０内に押し込む際、プラグ１０とソケット２０との間にクリアランス３１が形成されているから、プラグ１０をソケット２０の傾斜面傾斜方向下部へ傾けることができる。プラグ１０がソケット２０の傾斜面傾斜方向下部へ傾くと、第１挿通孔１２の第１係止面である下面１２Ｂと第２挿通孔２２の第２係止面である上面２２Ａとの交差角部の空間が拡がるため、紐５の係止状態を解除できる。
　つまり、プラグ１０をソケット２０内に大きく押し込まなくても、単に、プラグ１０をソケット２０の傾斜面傾斜方向下部へ傾ければよいから、係止解除操作が極めて簡単にできる。

　本実施形態では、プラグ１０を挿入するための開口２０Ｆが形成されたソケット２０の端面が、プラグ１０の押込方向に対して傾斜する傾斜面に形成されているから、傾斜面の傾斜方向上部側の壁（第１側壁２０Ｃ）によってプラグ１０をガイドできる。従って、プラグ１０を円滑に押し込み動作させることができる。
　また、傾斜面の傾斜方向下部からプラグ１０を突出させることによって、プラグ１０の押込部分を確保できる。従って、プラグ１０の押込部分を確保するために、ソケットの傾斜方向上部側よりもプラグ１０を大きく突出させなくてもよいから、プラグ１０の押込部分も確保しつつ、紐固定具１の全長も短くできる。従って、プラグ１０の円滑な押し込み動作、および、プラグ１０の押し込み操作を確保しつつ、全長寸法を短くできる。

　また、プラグ１０は角柱状に形成され、ソケット２０は角筒状に形成され、第１挿通孔１２は表面から裏面に貫通して形成された断面矩形孔に、また、第２挿通孔２２は表壁２０Ａから裏壁２０Ｂに貫通して形成された断面平行四辺形孔に形成されているから、第１挿通孔１２と第２挿通孔２２とが連通した状態において、これら第１挿通孔１２、第２挿通孔２２に各種断面形状の紐５を挿通させやすい。

＜第２実施形態＞
　図６および図７に、第２実施形態の紐固定具２を示す。
　同紐固定具２は、第１実施形態の紐固定具１に対して、プラグ１０のみが異なる。
　第２実施形態のプラグ１０は、頭部１５が挿入部１１と同じ断面形状で、挿入部１１から上方に延長されている。
　従って、図６に示す状態において、係止状態の解除時、プラグ１０の頭部１５を押し込むと、紐５の係止状態が解除される。更に、図７に示すように、ソケット２０に対してプラグ１０の頭部１５を更に押し込むと、第１挿通孔１２と第２挿通孔２２との連通部分が拡大されるから、紐５の一部に断面形状が大きな部分があっても、紐５を任意の位置に調整することができる。

　従って、第２実施形態によれば、ソケット２０の傾斜面を利用して、プラグ１０の頭部１５までもソケット２０内に押し込むことができるから、第１実施形態の紐固定具１よりも全長寸法を短くできるうえ、紐５の断面形状が長さ方向において一様でない場合でも、長さ調整を支障なく行うことができる。

＜第３実施形態＞
　図８～図１２に、第３実施形態の紐固定具３を示す。
　同紐固定具３は、プラグ１０に貫通形成される第１挿通孔１２と、ソケット２０に貫通形成される第２挿通孔２２が、第１実施形態の紐固定具１とは異なる。

　第３実施形態の第１挿通孔１２は、プラグ１０の第１側面から第２側面に貫通して形成され、プラグ１０の押込方向（つまり、ばね部１７を縮める方向）に対して直交する上面１２Ａ、この上面１２Ａと平行な第１係止面としての下面１２Ｂ、および、プラグ１０の押込方向に対して平行で上面１２Ａ、下面１２Ｂの幅方向両端を接続する第１，第２側面１２Ｃ，１２Ｄを有する断面矩形孔に形成されている。
　第３実施形態の第２挿通孔２２は、ソケット２０の第１側壁２０Ｃから第２側壁２０Ｄに貫通してかつ開口２０Ｆを有する上端傾斜面と略平行に形成され、開口２０Ｆ側にソケット２０の傾斜面と平行な第２係止面としての上面２２Ａ、この上面２２Ａと平行な下面２２Ｂ、および、プラグ１０の押込方向と平行でプラグ１０の表面および裏面と対向する第１側面２２Ｃ、第２側面２２Ｄを有する傾斜孔によって形成されている。具体的には、第１側壁２０Ｃと傾斜面とのなす角度が５０度から８０度の角度範囲内になるように形成されている。そのため、第２側壁２０Ｄよりも第１側壁２０Ｃの方が高い（底壁２０Ｅからの寸法が大きい）。

　このような構成において、プラグ１０をソケット２０内に押し込んで、プラグ１０の第１挿通孔１２とソケット２０の第２挿通孔２２とが連通した状態において、これら第１挿通孔１２、第２挿通孔２２に紐５を挿通させる。つまり、紐５を、ソケット２０の傾斜面と平行にして、第１挿通孔１２、第２挿通孔２２に挿通させる。こののち、プラグ１０の押し込みを解除すると、ばね部１７によりプラグ１０がソケット２０から押し出される。すると、プラグ１０の第１挿通孔１２とソケット２０の第２挿通孔２２との連通部分が狭まるため、紐５が係止される。

　このとき、第１挿通孔１２の第１係止面である下面１２Ｂが、プラグ１０の押込方向に対して略直交、また、第２挿通孔２２の第２係止面である上面２２Ａが、ソケット２０の傾斜面と略平行に形成されているから、つまり、第１挿通孔１２の第１係止面と第２挿通孔２２の第２係止面とが交差しているから、第１係止面と第２係止面とが交差した角部で紐５が係止される。そのため、係止した紐５がずれにくく、確実に係止できる。
　とくに、第２挿通孔２２の傾斜孔のうち、傾斜方向下部側（第２側壁２０Ｄ側）に形成された傾斜孔の内端角部と、これに対向する第１挿通孔１２の断面矩形孔の角部とで紐５が係止されるので、紐５に対する係止力を高めることができる。

　紐５の長さなどを調整するには、プラグ１０をばね部１７に抗して再びソケット２０内に押し込む。すると、プラグ１０の第１挿通孔１２とソケット２０の第２挿通孔２２とが連通するので、この状態において、紐５の長さを任意の長さに調節できる。紐５の長さを調節したのち、プラグ１０の押し込みを解除すれば、上記と同様にして紐５が係止される。

　また、図１２に示すように、プラグ１０をソケット２０内に押し込む際、プラグ１０とソケット２０との間にクリアランス３１が形成されているから、プラグ１０をソケット２０の傾斜面傾斜方向下部へ傾けることができる。プラグ１０がソケット２０の傾斜面傾斜方向下部へ傾くと、第１挿通孔１２の第１係止面である下面１２Ｂと第２挿通孔２２の第２係止面である上面２２Ａとの交差角部の空間が拡がるため、紐５の係止状態を解除できる。
　つまり、プラグ１０をソケット２０内に大きく押し込まなくても、単に、プラグ１０をソケット２０の傾斜面傾斜方向下部へ傾ければよいから、係止解除操作が極めて簡単にできる。

　従って、第３実施形態でも、第１実施形態と同様な効果が期待できる。

＜変形例＞
　なお、本発明は、前記実施形態で説明した構造の紐固定具に限定されるものでなく、次のような変形例も含む。
　前記実施形態では、開口２０Ｆが形成されたソケット２０の端面をプラグ１０の押し込み方向に対して、表面から見て直線状に傾斜する傾斜面としたが、必ずしも直線状に限られない。例えば、第１側壁２０Ｃから第２側壁２０Ｄへ向かうに従って底壁２０Ｅ側へ緩やかな曲面で傾斜する形状であってもよい。

　前記各実施形態では、付勢体としてのばね部１７をプラグ１０と一体的に成形したが、これらは別体であってもよい。従って、付勢体は、プラグ１０とは異なる材料によって、プラグ１０とは別体として構成されていてもよい。例えば、金属製の材料によって構成されたコイルスプリングなどであってもよい。

　第１実施形態において、第１挿通孔１２を断面矩形孔、第２挿通孔２２を断面平行四辺形に形成したが、これに限れない。
　例えば、第１挿通孔１２については、プラグ押込側にプラグ１０の押込方向に対して略直交する第１係止面を有する形状であれば、三角形状であってもよい。第２挿通孔２２についても、開口２０Ｆ側にソケット２０の傾斜面と略平行な第２係止面を有する形状であれば、三角形以上の多角形であってもよい。あるいは、これらに限らず、任意の形状であってもよい。
　また、第３実施形態についても、第１挿通孔１２は断面矩形孔、第２挿通孔２２は傾斜孔に形成したが、これに限らず、第１実施形態と同様、任意の形状であってもよい。

　前記各実施形態では、丸紐を対象とした紐固定具１，２，３について説明したが、紐５の形状としては、これに限られない。断面が平らな平紐であってもよく、また、材質も、ある程度柔らかく柔軟性のある材質であれば、繊維状の紐に限られない。

　本発明の紐固定具は、衣服、帽子、バック、テント、リュックサック等に取り付けられた紐の締付状態や係止位置を調整するために利用できる。

Claims

　プラグ１０と、このプラグ１０が挿入される開口２０Ｆを有する筒状のソケット２０と、このソケット２０内に収納され前記プラグ１０を前記ソケット２０から押し出す方向へ付勢する付勢体１７とを備え、
　前記プラグ１０の周壁には、第１挿通孔１２が貫通形成され、前記ソケット２０の周壁には、前記プラグ１０が前記付勢体１７に抗して前記ソケット２０内に押し込まれた際に前記第１挿通孔１２と連通可能な第２挿通孔２２が形成された紐固定具において、
前記開口２０Ｆが形成された前記ソケット２０の端面が、前記プラグ１０の押込方向に対して傾斜する傾斜面に形成されている、ことを特徴とする紐固定具。
　前記第１挿通孔１２は、プラグ押込側に前記プラグ１０の押込方向に対して略直交する第１係止面１２Ｂを有する形状に形成され、
　前記第２挿通孔２２は、前記開口２０Ｆ側に前記ソケット２０の傾斜面と略平行な第２係止面２２Ａを有する形状に形成されている、ことを特徴とする請求項１に記載の紐固定具。
　前記プラグ１０は、表面、裏面および第１，第２側面を有する角柱状に形成され、
　前記ソケット２０は、前記プラグ１０の表面、裏面および第１，第２側面と対向する表壁２０Ａ、裏壁２０Ｂおよび第１，第２側壁２０Ｃ，２０Ｄを有し、かつ、これらの底面を塞ぐ底壁２０Ｅを有する角筒状に形成されているとともに、前記底壁２０Ｅと対向し前記開口２０Ｆを有する端面が前記第１側壁２０Ｃから前記第２側壁２０Ｄに向かって傾斜する傾斜面に形成され、
　前記第１挿通孔１２は、前記表面から前記裏面に貫通して形成され、前記プラグ押込側に前記第１係止面１２Ｂを有する断面矩形孔に形成され、
　前記第２挿通孔２２は、前記表壁２０Ａから前記裏壁２０Ｂに貫通して形成され、前記開口２０Ｆ側に前記第２係止面２２Ａを有する断面平行四辺形孔に形成されている、ことを特徴とする請求項２に記載の紐固定具。
　前記プラグ１０は、表面、裏面および第１，第２側面を有する角柱状に形成され、
　前記ソケット２０は、前記プラグ１０の表面、裏面および第１，第２側面と対向する表壁２０Ａ、裏壁２０Ｂおよび第１，第２側壁２０Ｃ，２０Ｄを有し、かつ、これらの底面を塞ぐ底壁２０Ｅを有する角筒状に形成されているとともに、前記底壁２０Ｅと対向し前記開口２０Ｆを有する端面が前記第１側壁２０Ｃから前記第２側壁２０Ｄに向かって傾斜する傾斜面に形成され、
　前記第１挿通孔１２は、前記第１側面から第２側面に貫通して形成され、前記プラグ押込側に前記第１係止面１２Ｂを有する断面矩形孔に形成され、
　前記第２挿通孔２２は、前記第１側壁２０Ｃから前記第２側壁２０Ｄに貫通して前記傾斜面と略平行に形成され、前記開口２０Ｆ側に前記第２係止面２２Ａを有する傾斜孔によって形成されている、ことを特徴とする請求項２に記載の紐固定具。
　前記プラグ１０は、前記第１挿通孔１２を有し前記ソケット２０に挿入される挿入部１１と、この挿入部１１の端部に一体的に形成され前記ソケット２０の前記開口２０Ｆから突出し前記プラグ押込方向に対して略直交する押圧面を有する頭部１５とを含む、ことを特徴とする請求項１～請求項４のいずれかに記載の紐固定具。
　前記プラグ１０と前記ソケット２０との間には、前記プラグ１０を前記ソケット２０の傾斜面傾斜方向下部へ傾けることができるクリアランス３１が形成されている、ことを特徴とする請求項１～請求項５のいずれかに記載の紐固定具。