WO2010044438A1 - 熱センサ、非接触温度計装置、及び非接触温度測定方法 - Google Patents

熱センサ、非接触温度計装置、及び非接触温度測定方法 Download PDF

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Abstract

 検出感度及び応答性が高く、製造が容易で、表面実装可能な小型の熱センサ及び非接触温度測定方法を提供する。  熱センサ(104)は、NTCサーミスタセラミックスのセラミック素体(10)、熱検知部電極(1,2)、温度補償部電極(6,7)、外部電極(3,4,8)、及び空洞部(5)を備えている。セラミック素体(10)の表層部である熱検知部は例えば輻射伝熱により発熱し、熱検知部電極(1,2)間のサーミスタセラミック層の抵抗値が低下する。セラミック素体(10)の熱検知部の熱は空洞部(5)で断熱され、拡散が阻止されるので、熱検知部の熱容量は小さく、高感度化、高速応答性が得られる。

Description

熱センサ、非接触温度計装置、及び非接触温度測定方法
 この発明は、非接触型で温度を検知するセンサや人体を検知するセンサ等に利用される、サーミスタボロメータ型の熱センサ、非接触温度計装置、及び非接触温度測定方法に関するものである。
 一般に、赤外線センサには、半導体の光電効果を用いた量子型センサと、輻射熱を吸収して温度が上昇することを利用した熱型センサの2種類に分類される。前者は、測定精度が高く、応答性が良い反面、波長域が狭いことや常温で使用できないなどの欠点がある。後者は、感度、応答性ともに量子型センサより劣るが、構造が簡単で、広い範囲の波長を感知でき、常温でも使用可能である。
 代表的な熱型センサには、サーモパイルを用いた熱電堆タイプ、圧電体の焦電効果を用いた焦電タイプ、抵抗変化を利用したボロメータがある。
 ボロメータ型の赤外線センサには、高感度・高速応答性・小型・低コストであることが求められる。
 従来のサーミスタボロメータ型の赤外線センサには特許文献1,2が開示されている。
 特許文献1は、キャップを封止するステム上に絶縁体を介して温度補償用サーミスタチップと赤外線検知用サーミスタチップとを備えたものである。
 図1は特許文献1の赤外線センサの構成を示す図である。この赤外線センサは、ステム11、キャップ12、赤外線入射窓13、絶縁基板14、サーミスタチップ15,16、熱的・電気的絶縁体17、ピン18、電極19、リード線20を備えている。
 また、特許文献1に類似の構造として特許文献2には、平面状の絶縁性セラミック基板の両面に、下地電極膜、サーミスタ膜、及び温度補償部電極膜が形成された赤外線センサが示されている。
実全昭60-11042号公報 特開平10-90073号公報
 特許文献1の構成では、温度補償用サーミスタチップ16上に熱的・電気的絶縁体17を介して赤外線検知用サーミスタチップ15を取り付けているので、赤外線検知用サーミスタチップ15のステム11に対する熱抵抗が高く、赤外線検知用サーミスタチップ15と温度補償用サーミスタチップ16との温度差を大きくすることができ、検出感度を高められるとしている。しかし、検知部は0.5mm×1.0mm×0.2mmという所定の厚みを有する赤外線検知用サーミスタチップ15であるため、熱容量が大きい。また、赤外線検知用サーミスタチップ15と温度補償用サーミスタチップ19との間に熱的・電気的絶縁体17とを設けており、熱的分離が十分になされず、十分な感度を得にくい。ここで、熱的・電気的絶縁体17の断熱性が有効に作用するのは、赤外線検知用サーミスタチップ15自体の熱容量が小さい場合である。そのためには赤外線検知用サーミスタチップ15を単体で非常に薄く形成することになる。そのような場合に、熱的・電気的絶縁体17を空気とし、リード線20a,20bだけで支持するようなことは非現実的である。また、ピン端子18付きの部品に成らざるを得ないので、小型で表面実装可能な赤外線センサとして構成できない。
 特許文献2の構成については、アルミナウエハの両面に下地電極を形成し、その上にゾル・ゲル法により薄膜サーミスタを形成している。この場合、赤外線吸収膜が薄膜で形成されているので、熱容量を小さくできるが、赤外線吸収膜をゾル・ゲル法等の薄膜形成法は工程が煩雑であり、量産に向かない。また、低コスト化及び小型化が難しい。
 そこで、この発明の目的は、検出感度及び応答性が高く、製造が容易で、表面実装可能な小型の熱センサ及び非接触温度測定方法を提供することにある。
 上記課題を解決するために、この発明の熱センサ、非接触温度計装置、及び非接触温度測定方法は次のように構成する。
(1)少なくとも第1の主面側に形成された熱検知部がサーミスタ材料からなるセラミック素体と、前記熱検知部に設けられた、前記熱検知部の抵抗値を検出するための熱検知部電極と、を備えた熱センサであって、
 前記セラミック素体の前記熱検知部より内部に断熱部が形成された構造とする。
 この構造により、熱検知部の熱容量を小さくでき、対流伝熱や輻射伝熱による温度上昇率が高まり、検出感度が向上する。
 また、一般的な積層セラミック部品と同様の方法により容易に製造でき低コスト化が図れる。また、セラミック素体に外部電極を形成することによって表面実装可能な熱センサが構成できる。
(2)前記断熱部は、前記セラミック素体に設けられた空洞で構成する。
 空気は全ての物質の中で最も熱伝導率が低いため、空洞を形成することにより断熱作用が最も大きくなる。
(3)前記セラミック素体のうち前記断熱部の周縁を構成している周縁部が多孔質の部材で構成されていてもよい。
 この構成により、前記断熱部の周囲に配置される多孔質の層によって断熱作用が高まり、熱検知部の実質的な熱容量がより小さくなる。
(4)前記断熱部の全体が多孔質の部材で構成されていてもよい。
 この構成により、空洞を形成する場合に比べて、サーミスタ素体の抗折強度が高くなる。
(5)前記セラミック素体は複数のサーミスタ層を備え、前記熱検知部電極は、前記サーミスタ層を介して部分的に重なり合っているものとする。
 このように異なる電位に接続される熱検知部電極が、間にセラミック層を挟んで厚み方向に重なるように対向配置すると、熱検知部電極間の抵抗値を低く設定できるため、高いSN比特性を得られる。
(6)前記セラミック素体の第2の主面側であり、前記断熱部を挟んで前記熱検知部と対向する温度補償部はサーミスタ材料からなり、前記温度補償部に、前記温度補償部の抵抗値を検出するための温度補償部電極を設ける。
 これにより、温度補償ができ、広い温度範囲で安定した感度特性が得られる。しかも、温度補償素子を設けることによる大型化も殆どない。特に、熱検知部と温度補償部とが一体焼成により一体化されていることにより、熱検知部と温度補償部との間で生じるばらつき(例えば材料のロット、製造工程でのロット間の素子間の特性ばらつき)を低減することができ、均一な温度特性を有するために好ましい。
(7)前記熱検知部電極に導通する外部電極と、前記温度補償部電極に導通する外部電極とは、熱的に分離された状態で前記セラミック素体の外面に配置されたものとする。
 この構造により、熱検知部の熱容量が小さくなり、さらに熱検知部と温度補償部との間の断熱がより向上する。
(8)前記熱検知部電極に導通するビア電極及び前記温度補償部電極に導通するビア電極は、前記セラミック素体の上下方向(前記熱検知部と前記温度補償部間の方向)に非接続状態に配置されたものとする。
 この構造により、熱検知部の熱容量が小さくなり、さらに熱検知部と温度補償部との間の断熱がより向上する。
(9)厚み方向に互いに対向する前記熱検知部電極同士の層間距離をDcで表し、前記熱検知部電極のうち、前記外部電極の先端と、前記外部電極とは異なる電位に接続された熱検知部のうち、最も表層側に形成されている熱検知部電極の先端と、の最短距離をDbで表すと、 Db/Dc≧1の関係に定める。
 この構造により、抵抗値のばらつきを抑えることができる。
(10)前記セラミック素体の厚みをTで表し、熱検出部の厚みをDで表すと、D/Tが1/3以下の関係とする。
 この構成により、出力向上効果が高くなる。
(11)前記熱検知部は被測定対象物からの輻射伝熱を受けて、非接触温度計用の熱センサとして用いられるようにする。
(12)前記熱検知部は人体からの輻射伝熱を受けて、人体検知用の熱センサとして用いられるようにする。
(13)本発明の非接触温度計装置は、
 前記熱センサと、
 前記熱センサが実装基板に実装された状態で、前記熱検知部電極により検出される電気量と前記温度補償部電極により検出される電気量とによって、被測定対象物に対する前記熱検知部の受熱又は放熱に関する量を検出する手段と、
 前記温度補償部電極により検出される電気量で、前記実装基板の温度に関する量を検出し、前記熱検知部の受熱又は放熱に関する量と前記実装基板の温度に関する量とによって、被測定対象物の温度を演算する演算手段と、を備えている。
(14)この発明の非接触温度測定方法は、
 前記熱検知部電極により検出される電気量と前記温度補償部電極により検出される電気量とによって、被測定対象物に対する前記熱検知部の受熱又は放熱に関する量を検出し、前記温度補償部電極により検出される電気量で、実装基板の温度に関する量を検出し、前記熱検知部の受熱又は放熱に関する量と実装基板の温度に関する量とによって被測定対象物の温度を検知する。
 これにより、非接触で、被測定対象物の温度変化を相対的検知するだけでなく絶対的な温度を測定できる。
 この発明によれば、検出感度及び応答性が高く、製造が容易で、表面実装可能な小型の熱センサが構成でき、非接触で温度測定が可能となる。
特許文献1の赤外線センサの構成を示す図である。 第1の実施形態に係る熱センサ101の断面図である。 熱センサ101を用いた熱センサ回路の一例である。 第2の実施形態に係る熱センサ102の断面図である。 第3の実施形態に係る熱センサ103の断面図である。 第4の実施形態に係る熱センサ104の断面図である。 熱センサ104と検知対象物との関係及び熱センサの実装状態を示す図である。 図8(A)は、熱センサへの熱源接近時及び離間時における、被測定対象物の温度、熱センサによる出力温度、及び実装基板の温度の変化を示す図である。図8(B)は、前記熱センサを用いた熱センサ回路による差分電圧の変化を示す図である。 実装基板の温度Tbと被測定対象物(熱源)の温度Thを変化させたときの差分電圧ΔVの変化を示す図である。 図9を基にして、実装基板の温度Tbと被測定対象物の温度Thとの差ΔTを横軸にとり、差分電圧ΔVを縦軸にとった図である。 第6の実施形態に係る非接触温度計装置の構成を示す図である。 図12(A),図12(B)は第7の実施形態に係る熱センサ105,106の断面図である。 第8の実施形態に係る熱センサをセラミックの積層構造で構成する際の各セラミックグリーンシートの構成図(積み図)である。 図13に示したセラミックグリーンシートを積層し、焼成することによって構成されたセラミック素体の断面図である。 図14に示したセラミック素体に対する外部電極の形成前後の状態の斜視図である。 第9の実施形態に係る熱センサをセラミックの積層構造で構成する際の各セラミックグリーンシートの構成図(積み図)である。 図16に示したセラミックグリーンシートを積層し、焼成することによって構成されたセラミック素体の断面図である。 図17に示したセラミック素体に対する外部電極の形成前後の状態の斜視図である。 4つの熱センサの構成を示す断面図である。 4つの熱センサの感度と応答性を示す図である。 人体検知に用いる熱センサの二つの構成例を示す図である。 図21に示した二つの熱センサ107,108の人体(熱源)接近時の検出電圧の変化を示す図である。 人体検知に用いる熱センサの二つの構成例を示す図である。 図23に示した二つの熱センサ109,110の人体(熱源)接近時の検出電圧の変化を示す図である。 空洞部を備えた熱センサの熱源接近時及び離間時の検出電圧の変化を示す図である。 図25の比較例であり、空洞部を備えない熱センサの熱源接近時及び離間時の検出電圧の変化を示す図である。 図25に示した特性を有する熱センサ(空洞部を備えた熱センサ)と、図26に示した特性を有する熱センサ(空洞部を備えない熱センサ)とについて、熱検知対象物(熱源)の温度に対する差分電圧の関係を示す図である。 温度補償素子を一体に設けた熱センサの特性を示す図であり、図25に示した熱センサについて、その特性をもう一度示した図である。 温度補償素子を別の素子で用意し、実装基板に実装した場合について示す図である。 熱センサの斜視図、分解斜視図、及び空洞部の横断面図を示す図である。 熱センサの斜視図、分解斜視図、及び空洞部の横断面図を示す図である。 熱センサの斜視図、分解斜視図、及び空洞部の横断面図を示す図である。 図30,図31,図32の各熱センサについて、熱源接近時及び離間時の正規化した差分出力の変化を示す図である。 セラミック素体の厚みTに対する熱検出部の厚みDの比を横軸、正規化差分出力を縦軸にとった図である。 熱センサの熱検知部における電極構造を示す断面図である。 セラミック素体表面から熱検知部電極1までの距離が5μmと30μmの場合について、電極構造比率Db/Dcを変化させた場合の素子抵抗の変化を示す図である。
《第1の実施形態》
 図2は第1の実施形態に係る熱センサ101の断面図である。熱センサ101は、熱センサ本体となる負特性(NTC)サーミスタセラミックスで構成されるセラミック素体10、熱検知部電極1,2、外部電極3,4、及び空洞部5を備えている。
 セラミック素体10のうち、熱源の対流熱又は輻射熱等が伝熱することによって発熱する第1の主面側の表層部付近が熱検知部である。熱検知部電極1,2は、セラミック素体10の前記表層部付近で前記熱検知部のサーミスタの抵抗値を検出する位置に設けられている。すなわち、一方の熱検知部電極1は、熱源の対流熱又は輻射熱等が伝熱するセラミック素体10の表面から一定深さで面状に広がり、他方の熱検知部電極2は一部が熱検知部電極1と対向する関係で、サーミスタセラミック層の厚み方向にサーミスタセラミック層を介して積層され、表面から一定深さで面状に広がる。
 セラミック素体10のサーミスタセラミックスは温度変化により抵抗値が変化する半導体セラミックスであって、例えばマンガン、ニッケル、コバルト、鉄、銅、アルミ、チタン、亜鉛など複数の遷移金属酸化物を焼結したNTCサーミスタ材料を用いてもよいし、例えば希土類元素をドナーとして添加したBaTiO3系のPTCサーミスタ材料を用いてもよい。
 熱検知部電極1,2はサーミスタセラミックスとオーミック接合する電極材料であれば、いずれの材料を選択することができる。例えば、セラミック素体に用いられるサーミスタセラミックスがNTCサーミスタ材料であれば、Ag,Pd,Ptまたはそれらの合金等で構成され、PTCサーミスタ材料であれば、Ni,Cu,Alまたはそれらの合金等で構成される。
 熱検知部電極1,2は、その対向距離とセラミック素体10の平面視での重なり面積とによって抵抗調整することができるため、所望の抵抗値を得るために、サーミスタセラミックスの抵抗率(比抵抗)に合わせて上記熱検知部電極1,2のパターンと層位置を定める。
 外部電極3,4はセラミック素体10の両端面に形成され、熱検知部電極1,2とそれぞれ電気的に導通する。
 空洞部5は、セラミック素体10のうち、前記表層部の熱検知部と、それより下部(セラミック素体本体)とを熱的に分離する。この空洞部5は、セラミック素体10を形成する際にグリーンシートを複数層積み重ねて焼成され形成されるが、サーミスタセラミックグリーンシートの幾つかを、開口部に有機物等を充填したセラミックグリーンシートとし、それらを積層し焼成することにより有機物が揮発することによって構成されるものである。
 以上のような構成の熱センサ101において、熱検知部電極1,2が形成されたセラミック素体10の表面に、熱源からの対流伝熱又は輻射伝熱により熱検知部のサーミスタセラミック層の温度が上昇する。
 被測定対象物からの輻射熱(赤外線)を検知する場合、赤外線は熱検知部電極1,2を殆ど透過しないので、上部の熱検知部電極1より前記表層部のサーミスタセラミック層が赤外線を吸収して発熱する。この熱は熱検知部電極1より内部方向に伝達され、熱検知部電極1と熱検知部電極2とで挟まれるサーミスタセラミック層の抵抗値が低下する。
 また、対流伝熱により被測定対象物の温度を検知する場合、熱検知部電極1と熱検知部電極2とで挟まれるサーミスタセラミック層が対流伝熱により加熱され、その抵抗値が低下する。
 図3(A),図3(B)は前記熱センサ101を用いた熱センサ回路の二つの例である。図3(A),図3(B)において、抵抗Rsは熱検知部のサーミスタによる抵抗、抵抗Rnは温度補償部のサーミスタの抵抗である。この抵抗Rs,Rnと抵抗Ro,Roとによって抵抗ブリッジ回路を構成している。増幅回路AMPは抵抗ブリッジ回路の出力電圧を差動増幅する。
 図3に示した熱センサ回路によれば、温度補償部のサーミスタRnで周囲の温度変化による影響分を補償しているため、増幅回路AMPの出力電圧Voutは、熱検知部のサーミスタRsの加熱量に応じた値となる。したがって、出力電圧Voutを熱検知信号として利用できる。
 このように温度上昇による抵抗変化を熱検知部電極1,2および外部電極3,4を通じて測定することで、熱検知できる。
 図3(A)に示す熱センサ回路のように、二つの電流経路の一方を、熱検知部のサーミスタによる抵抗Rsと、温度補償部のサーミスタの抵抗Rnとの直列回路で構成し、他方を二つの抵抗Roの直列回路で構成すると、高いSN比が得られる。
 すなわち、図3(B)に示した回路構成では、抵抗Roの抵抗値を、熱検知部のサーミスタによる抵抗Rs及び温度補償部のサーミスタの抵抗Rnの抵抗値にほぼ等しくしないと大きな差動電圧が得られないが、図3(A)に示した回路構成では、抵抗Roの抵抗値が前記Rs及びRnの抵抗値に近似する値である必要がないので、回路構成上の自由度が高く、SN比の高い回路が構成できる。例えば抵抗Roの抵抗値を充分に小さくして、増幅回路AMPへの入力インピーダンスを低くすることができる。
 上記熱は熱検知部電極2より下部のサーミスタセラミック層にも伝達されるが、それより更に下部(内部)には空洞部5があるので、ここで熱的に分離され、セラミック素体10の全体に熱が広がろうとするのが阻止される。換言すると、空洞部を設けることで熱検知部の熱容量が小さくなる。そのため、対流伝熱または輻射伝熱による熱検知部の温度上昇率が高まり、高感度に検出できる。
 また、この熱センサは積層セラミック部品であるので製造が容易であり、低コスト化が図れる。さらに、外部電極3,4を用いて表面実装が可能であるので、金属ケースを用いてパッケージ化された従来の熱センサや、基板に素子を組込んだ熱センサと比較して、小型化および低コスト化を図ることができる。
 図2に示したように、2つの熱検知部電極1,2を対向配置すると、その2つの熱検知部電極1,2間の抵抗値を低く設定でき、検出回路の構成上、高いSN比特性を得やすい。
 具体的な製造方法は次のとおりである。ここではNTCサーミスタ材料を用いたサーミスタセラミックスからなるセラミック素体の事例を説明する。
 先ず、遷移金属酸化物であるMn3O4、NiO、Co3O4、Fe2O3等を所定量秤量し、次いで該秤量物をジルコニア等の粉砕媒体が内有されたボールミルに投入して十分に湿式粉砕し、その後、所定の温度で仮焼してセラミック粉末を作製する。
 次に、上記セラミック粉末に有機バインダを加え、湿式で混合処理を行ってスラリー状とし、その後、ドクターブレード法等を使用して成形加工を施し、セラミックグリーンシートを作製する。
 次いで、セラミックグリーンシートのうち熱検知部または温度補償部に位置するセラミックグリーンシートにAg-Pdを主成分とした内部電極用ペーストを使用し、セラミックグリーンシート上にスクリーン印刷を施して内部電極パターンを形成する。また、空洞部に位置するセラミックグリーンシートには、レーザー加工等によって上記セラミックグリーンシートに穴を開け、その穴へ焼成することによって揮発する材料、例えば、バインダ等の有機物やカーボンペースト等の充填を行い、空洞パターンを形成する。
 次に、内部電極パターンがスクリーン印刷されたセラミックグリーンシートと、空洞パターンを加工したグリーンシートを積層した後、電極パターンがスクリーン印刷されていないセラミックグリーンシートで上下挟持し、圧着して積層体を作製する。次いで、この積層体を所定寸法に切断してジルコニア製の匣に収容し、脱バインダ処理を行った後、所定温度(例えば1000℃~1300℃)で焼成処理を施す。これにより、バインダ等の有機物やカーボンペースト等が揮発し、セラミック素体の中央部付近に空洞部が形成される。これにより、熱検知部電極1,2と空洞部5を備えるセラミック素体10を構成する。
 この後、セラミック素体10の両端部にAg等を含む外部電極用ペーストを塗布して焼付けし、外部電極3,4を形成する。なお、外部電極3,4は密着性が良好であればよく、例えばスパッタリング法や真空蒸着法等の薄膜形成法で形成してもよい。
 この第1の実施形態では、セラミック素原料としてMn3O4等の酸化物を使用したが、Mnの炭酸塩、水酸化物等を使用することもできる。
《第2の実施形態》
 図4は第2の実施形態に係る熱センサ102の断面図である。熱センサ102は、NTCサーミスタセラミックスのセラミック素体10、熱検知部電極1A,1B,2、外部電極3,4、及び空洞部5を備えている。
 熱検知部電極1A,1B,2は、熱検知部の熱検知部電極1A,1Bで挟まれたサーミスタ層の抵抗値を検出する位置に設けられている。被測定対象物からの輻射熱(赤外線)を検知する場合、熱検知部電極1A,1Bは、赤外線が入射するセラミック素体10の表面から一定深さの層に面状に広がり、他方の熱検知部電極2は一部が熱検知部電極1A,1Bとサーミスタセラミック層を介してそれぞれ対向するように、表面から一定深さの層に面状に広がる。
 熱検知部電極2は外部電極3,4には導通せず、熱検知部電極1A,1Bが外部電極3,4にそれぞれ導通する。
 その他の部分の構成は図2に示した熱センサ101と同じである。また、基本的な製造方法は第1の実施形態で示したものと同様である。
 図4に示した構造によると、セラミック素体の表面から下部の熱検知部電極2までの体積が比較的大きくなるので、同等の熱容量を有する図2の熱センサに比べて赤外線の吸収効率が高まり、同時に抵抗値を測定しようとするサーミスタセラミック層を直接発熱することになるので、高感度で高速応答性が得られる。
 なお、熱検知部電極及び温度補償用電極部の内部電極のパターン設計は種々の内部電極構造を適用することができる。例えば、熱検知部電極及び温度補償用電極部については、一対の内部電極を同一平面上に対向するように設けた対向電極のみの構造(図4の熱検知部用電極2が形成されていない構造)であってもよい。
《第3の実施形態》
 図5は第3の実施形態に係る熱センサ103の断面図である。熱センサ103は、NTCサーミスタセラミックスのセラミック素体10、熱検知部電極1,2、外部電極3,4、空洞部5、及び多孔質部9を備えている。
 上記多孔質部9は、空洞部5の周縁を構成するサーミスタセラミック素体の周縁部であり、焼成によって多孔質になったものである。すなわち、空洞部5を形成する開口を設けたセラミックグリーンシートは、焼成時に消失する有機物を予め分散させたものである。
 例えば第1の実施形態で図2に示した構造では、空洞部5の幅を大きくする程、断熱効果は高まるが、空洞部5を確保するために空洞部5の周囲を支える周縁部を残しておく必要がある。そこで、図5に示したように、空洞部5の周囲を支える周縁部を多孔質にすることにより、熱検知部電極2より下部は空洞部5だけでなく多孔質部9によってより効果的に断熱される。そのため、熱検知部の熱容量をさらに小さくできる。
《第4の実施形態》
 図6は第4の実施形態に係る熱センサ104の断面図である。熱センサ104は、NTCサーミスタセラミックスのセラミック素体10、熱検知部電極1,2、温度補償部電極6,7、外部電極3,4,8、及び空洞部5を備えている。
 温度補償部電極6,7及び外部電極8以外の構成は図2に示した熱センサ101と同じである。また、基本的な製造方法は第1の実施形態で示したものと同様である。
 被測定対象物からの輻射熱(赤外線)を検知する場合、セラミック素体10のうち第1の主面側の表層部である熱検知部は、赤外線の入射によって発熱する。また、セラミック素体10のうち、空洞部5を挟んで熱検知部と対向する第2の主面側の表層部である温度補償部には赤外線が入射しない。この温度補償部に温度補償部電極6,7を設ける。
 温度補償部電極6,7の対向面積及び間隔は、熱検知部電極1,2の対向面積及び間隔とほぼ同じである。熱検知部電極1,2の対と温度補償部電極6,7の対との間には空洞部5が介在しているので、セラミック素体10に赤外線が入射して熱検知部の温度が上昇しても、空洞部がその熱を断熱する。そのため、温度補償部電極6,7部分は周囲の環境温度を保つことができる。
 また、対流伝熱により被測定対象物の温度を検知する場合、熱検知部は被測定対象物からの対流伝熱により加熱されるが、温度補償部は、空洞部5により断熱されているので、被測定対象物からの熱を殆ど受けない。
 熱検知部電極1,2間の抵抗値は外部電極3,4で検出し、温度補償部電極6,7間の抵抗値は外部電極4,8で検出する。
 熱検知部電極1,2間のサーミスタセラミック層による抵抗を、図3に示した抵抗Rs、温度補償部電極6,7間のサーミスタセラミック層による抵抗を、図3に示した抵抗Rnとすれば、周囲環境温度の変動の影響を殆ど受けずに、被測定対象部からの対流伝熱または輻射伝熱に対する出力電圧Voutの特性を一定に保つことができる。
 なお、以上に示した各実施形態では、サーミスタ材料であるサーミスタセラミックの層を積層し、焼結させることによってセラミック素体を構成したが、少なくとも熱検知部電極を設ける第1主面側と、温度補償部電極を設ける第2主面側をサーミスタセラミックの層で構成し、その他の層を別の材料の層で構成して、一体焼結して形成してもよい。
 また、図6に示した例では、空洞部5で断熱部を構成したが、空洞部5に相当する領域を、または空洞部5を形成した層全体を多孔質部材で構成してもよい。
 また、以上に示した例では、単一の空洞部5を備えたが、上下方向または横方向に複数個配置してもよい。空洞部の形状はセラミック素体内に閉じられた空間を構成していてもよいし、一部で又は複数箇所で開口していてもよい。さらにはハニカム構造や細胞構造であってもよい。これらの構成によって熱抵抗の調整が可能である。
《第5の実施形態》
 第5の実施形態では、図7~図10を参照して、非接触で被測定物の温度を測定する非接触温度測定方法について示す。
 第5の実施形態で示す非接触温度測定方法では、図6に示した熱センサ104を用いる。図7は、熱センサ104と検知対象物との関係及び熱センサの実装状態を示す図である。
 熱センサ104は実装基板21に対して表面実装されている。熱センサ104の熱検知部に対して検知対象物22が所定距離Lだけ離間した状態で近接することによって検知対象物22の温度を測定する。例えば、実装基板21はマザーボード、検知対象物22はメモリ基板であり、マザーボード上のCPU周辺回路がメモリ基板またはメモリチップの温度を検知して、その検知結果に応じた制御を行う。
 図8(A)は、被測定対象物の温度、熱センサの検出温度、及び実装基板の温度の変化を示す図である。図8(A)は、20[sec]で被測定対象物からの輻射を開始し、170[sec]で被測定対象物からの輻射を終了した例である。
 図8(B)は、前記熱センサを用いた熱センサ回路による検出電圧の変化を示す図である。熱センサ回路の構成は図3に示したとおりである。すなわち、熱検知部のサーミスタによる抵抗Rs、温度補償用のサーミスタの抵抗Rn、及び二つの固定抵抗Ro,Roによる抵抗ブリッジ回路を構成し、増幅回路AMPで抵抗ブリッジ回路の出力電圧を差動増幅する。
 図9は、温度Tbの実装基板に対し、温度Thの被測定対象物を接近させ、熱的に平衡させたときの差分電圧(差動増幅出力電圧)ΔVの変化を示している。なお、ここで実装基板の温度Tb及び被測定対象物の温度Thは一般的な温度計で測定されており、差分電圧ΔVは本発明の熱センサの出力を示す。
 図9に表れているように、被測定対象物の温度Thが高いほど差分電圧ΔVは高く、実装基板の温度Tbが高いほど差分電圧ΔVは小さくなる。
 図10は、図9を基にして、実装基板の温度Tbと被測定対象物の温度Thとの差ΔTを横軸にとり、差分電圧ΔVを縦軸にとった図である。
 このときの関係式は、次の(1)式を満たす。
 ΔT=Th-Tb       …(1)
 図10の結果より、被測定対象物の温度Thと実装基板の温度(すなわち温度補償部の温度)Tbとの温度差であるΔTは差分電圧ΔVにほぼ比例する。したがって、(2)式が成り立ち、kが求められる。
 ΔT≒kΔV (k:係数)  …(2)
 なお、比例係数kは、熱センサ及び熱センサ回路の特性及び距離Lで変化する。
 すなわち、熱的に平衡状態で、被測定対象物の温度Thから実装基板の温度Tbを差引いた温度差ΔTが、差分電圧ΔVにほぼ比例する。
 上記のようにして求められたkを用いれば、差分電圧ΔV及び温度補償部電極間の出力電圧Vbから、本発明の熱センサにて被測定対象物の温度Tsを求めることができる。
 また、実装基板については、別途温度計を用いなくても、熱センサの温度補償部にて検知できる。熱センサの温度補償部にて検知される実装基板の温度Txは、温度補償部電極間の出力電圧Vbの関数であり、
 Tx=f(Vb)       …(3)
と表すことができる。
 ここで、
 (1)式、(2)式、及び(3)式を用いて、本発明の熱センサにより検知できるTs及びTxを求めると、
 Ts=ΔT+Tx       …(4)
   =kΔV+Tx      …(5)
   =kΔV+f(Vb)   …(6)
が成り立つ。この(6)式から被測定対象物の温度Tsを求めることができる。
《第6の実施形態》
 図11は第6の実施形態に係る非接触温度計装置の構成を示す図である。
 図11において、抵抗Rsは熱検知部のサーミスタによる抵抗、抵抗Rnは温度補償部のサーミスタの抵抗である。この抵抗Rs,Rnと抵抗Ro,Roとによって抵抗ブリッジ回路を構成している。定電流回路(定電流源)CCSは前記抵抗ブリッジ回路へ定電流を通電する。増幅回路AMPは抵抗ブリッジ回路の出力電圧を差動増幅する。
 演算処理部31は、増幅回路AMPの出力電圧、及び抵抗Rnの両端電圧を入力し、前述の(6)式の演算によって被測定対象物の温度を求める。また、その演算結果を外部へ出力する。
《第7の実施形態》
 図12(A),図12(B)は第7の実施形態に係る熱センサ105,106の断面図である。熱センサ105は、NTCサーミスタセラミックスのセラミック素体10、熱検知部電極1,2、外部電極33,34,35,8及び空洞部5を備えている。図12(B)においては、空洞部5の周囲に多孔質部9を設けている。
 図6に示した熱センサ104とは異なり、熱検知部の電極1,2に導通する外部電極33,34と、温度補償部電極6,7に導通する外部電極35,8とは電気的にも熱的にも分離して配置されている。すなわち、セラミック素体の側面には上下方向に連なる外部電極が形成されていない。また、ビア電極はセラミック素体の上下方向に非接続状態(非貫通状態)に配置されている。
 そのため、熱検知部と温度補償部とをさらに断熱することができ、熱検知部の熱容量をさらに小さくできる。そのため、前記差分電圧ΔVの値を大きくし且つその立ち上がりを急峻にできる。
《第8の実施形態》
 図13は第8の実施形態に係る熱センサをセラミックの積層構造で構成する際の各セラミックグリーンシートの構成図(積み図)である。図13において、層S1には後の焼成によって熱検知部電極1になる内部電極用ペースト1P、層S2には後の焼成によって熱検知部電極2になる内部電極用ペースト2Pがそれぞれ形成されている。層S7には後の焼成によって温度補償部電極6になる内部電極用ペースト6P、層S8には後の焼成によって温度補償部電極7になる内部電極用ペースト7Pがそれぞれ形成されている。また、層S4,S5には穴が形成され、その穴内に焼成することによって揮発する材料、例えば、バインダ等の有機物やカーボンペースト等の充填物5Pが形成されている。
 図14は、図13に示したセラミックグリーンシートを積層し、焼成することによって構成されたセラミック素体の断面図である。セラミック素体の内部に熱検知部電極1,2、温度補償部電極6,7、及び空洞部5が形成されている。
 図15は、図14に示したセラミック素体に対する外部電極の形成前後の状態の斜視図である。すなわち、図15(A)は外部電極形成前のセラミック素体の斜視図、図15(B)は外部電極形成後の斜視図である。
 外部電極3は熱検知部電極1に導通し、外部電極4は熱検知部電極1及び温度補償部電極6に導通する。また、外部電極8は温度補償部電極7に導通する。
 このように、内部電極用ペースト7Pの焼成による温度補償部電極7が直方体形状のセラミック素体の二つの側面に露出するように形成することによって、外部電極8を形成する際にセラミック素体の向きが揃う確率が高くなり、製造効率が高まる。
 なお、内部電極用ペースト7Pは、必ずしも層S8にセラミック素体の両側面に引き出す必要はなく、一側面へ引き出した構造でもよい。また、図15(B)においては、一側面に外部電極8が形成されているが、内部電極用ペースト7Pが層S8の両側面に引き出されていることから、外部電極8を両側面に形成してもよい。
《第9の実施形態》
 図16は第9の実施形態に係る熱センサをセラミックの積層構造で構成する際の各セラミックグリーンシートの構成図(積み図)である。図16において、層S1には後の焼成によって熱検知部電極1になる内部電極用ペースト1P、層S2には後の焼成によって熱検知部電極2になる内部電極用ペースト2Pがそれぞれ形成されている。層S7には後の焼成によって温度補償部電極6になる内部電極用ペースト6P、層S8には後の焼成によって温度補償部電極7になる内部電極用ペースト7Pがそれぞれ形成されている。さらに層S9にはビア電極用の電極ペースト23Pが形成されている。また、層S4,S5には穴が形成され、その穴内に焼成することによって揮発する材料、例えば、バインダ等の有機物やカーボンペースト等の充填物5Pが形成されている。
 図17は、図16に示したセラミックグリーンシートを積層し、焼成することによって構成されたセラミック素体の断面図である。セラミック素体の内部に熱検知部電極1,2、温度補償部電極6,7、ビア電極23、及び空洞部5が形成されている。
 図18は、図17に示したセラミック素体に対する外部電極の形成前後の状態の斜視図である。すなわち、図18(A)は外部電極形成前のセラミック素体の斜視図、図18(B)は外部電極形成後の斜視図、図18(C)は図18(B)に示した状態の反対面側を見た斜視図である。
 外部電極3は熱検知部電極1に導通し、外部電極4は熱検知部電極1及び温度補償部電極6に導通する。また、外部電極8はビア電極23に導通する。温度補償部電極7は、その中央部が熱的にも外部電極23に対して低い熱抵抗で結合している。
 このように、温度補償部電極7に導通するビア電極23を直方体形状のセラミック素体の底面の中央部に露出するように形成し、そのビア電極23に導通する外部電極8を底面から対向する2側面にかけて形成したことにより、温度補償部と基板との接触面積が増えるので、温度補償部の熱を効果的に基板側へ放熱することができる。これにより、熱検知部と温度補償部との熱容量差がより大きくなり、感度が向上する。
 各実施形態で示した熱センサの空洞部および多孔質部の効果を確認するために行ったシミュレーションの結果を図19及び図20に示す。
 図19は4つの熱センサの構成を示す断面図、図20はその4つの熱センサの感度と応答性を示す図である。図19(A)は熱検知部電極1,2の下部に空洞部を設けていない熱センサ、図19(B)は熱検知部電極1,2の下部に外部電極3,4間方向の幅の比較的狭い空洞部5を設けた熱センサ、図19(C)は熱検知部電極1,2の下部に外部電極3,4間方向の幅の比較的広い空洞部5を設けた熱センサ、図19(D)は熱検知部電極1,2の下部に空洞部5及び多孔質部9を設けた熱センサをそれぞれ示している。
 図20において横軸は経過時間、縦軸は図3に示した熱センサ回路の抵抗Rn=Roとし、抵抗ブリッジ回路への印加電圧を3[V]としたときの抵抗ブリッジ回路の差分電圧である。図20は、計測開始から4秒後に輻射熱(赤外線)を照射し、12秒後に輻射熱(赤外線)を遮断した例である。
 このシミュレーションの条件は次のとおりである。
 [共通パラメータ]
 セラミック素体のサイズ:2.0[mm]×1.2[mm] × 0.5[mm]
 熱検知部電極1の位置(表面からの深さ):30 [μm]
 熱検知部電極2の位置(電極間距離):30 [μm]
 [熱センサ(B)]
 空洞部5のサイズ:1.4[mm]× 0.6[mm]× 0.14[mm]
 [熱センサ(C)]
 空洞部5のサイズ:1.8[mm]× 1.0[mm]× 0.14[mm]
 [熱センサ(D)]
 空洞部5のサイズ:1.8[mm]× 1.0[mm]× 0.14[mm]
 図20に示したとおり、図19の熱センサ(A)(B)(C)(D)の、定常状態に達したときの差分電圧の大きさ(すなわち感度)は、(A)<(B)<(C)<(D)の関係にある。また、赤外線が照射されてからの差分電圧の立ち上がりの急峻度(すなわち応答性に相当する時定数)は(A)<(B)<(C)<(D)の関係にある。このように、空洞部5のサイズが大きくなるほど感度・時定数がともに向上し、また、空洞部の周囲を多孔質にすることによって感度・時定数が更に向上するのが分かる。
 人体検知に用いる熱センサの実施例について、図21,図22を参照して説明する。
 熱センサは図7に示したものと同様に実装基板に対して表面実装されている。熱センサの熱検知部に対して検知対象物が近接することによって検知対象物の近接が検知される。
 図21は人体検知に用いる熱センサの二つの構成例を示す図である。図21(A)は空洞部5を備えた熱センサ107の断面図、図21(B)は空洞部を備えない熱センサ108の断面図である。熱センサ107の基本的な構成は図2に示したものと同様である。また、熱センサ108は熱センサ107の空洞部5を設けないものである。
 図22は、図21に示した二つの熱センサ107,108の人体(熱源)接近時の検出電圧の変化を示す図である。曲線Aは熱センサ107の特性。曲線Bは熱センサ108の特性である。熱センサ回路の構成は図3に示したとおりである。すなわち、熱検知部のサーミスタによる抵抗Rs、温度補償用のサーミスタの抵抗Rn、及び二つの固定抵抗Ro,Roによる抵抗ブリッジ回路を構成し、増幅回路AMPで抵抗ブリッジ回路の出力電圧を差動増幅する。前記温度補償用のサーミスタは熱センサ107,108とは別に用意されたサーミスタ素子であり、実装基板に実装されている。
 図22の縦軸は、前記差動増幅回路の出力電圧、横軸は時刻である。この例では時刻5[sec]で人体が近接している。
 この実測結果を得た各条件は次のとおりである。
 距離L:10cm
 熱源温度:40℃
 実装基板の温度:28℃
 差動増幅回路の増幅率:200倍
 印加電圧:3.0V
 素子サイズ:2.0×1.2×0.5mm
 空洞サイズ:1.6×0.8×0.15mm
 上述の条件で、無風状態下で測定した。その結果、空洞部5を設けたことにより、出力電圧の立ち上がりが急峻になり、人体検知に用いる場合にも応答性が高まることが分かる。
 人体検知に用いる別の熱センサの実施例について、図23,図24を参照して説明する。
 図23は人体検知に用いる熱センサの二つの構成例を示す図である。図23(A)は空洞部5及び温度補償部電極6,7を備えた熱センサ109の断面図、図23(B)は空洞部を備えない熱センサ110の断面図である。熱センサ109の基本的な構成は図6に示したものと同様である。また、熱センサ110は熱センサ109の空洞部5を設けないものである。
 図24は、図23に示した二つの熱センサ109,110の人体(熱源)接近時の検出電圧の変化を示す図である。曲線Aは熱センサ107の特性。曲線Bは熱センサ108の特性である。熱センサ回路の構成は図3に示したとおりである。
 図24の縦軸は、差動増幅回路の出力電圧、横軸は時刻である。この例では時刻0.5[sec]で人体が近接している。
 この実測結果を得た各条件は次のとおりである。
 距離L:10cm
 熱源温度:40℃
 実装基板の温度:28℃
 差動増幅回路の増幅率:2000倍
 印加電圧:3.0V
 素子サイズ:2.0×1.2×0.5mm
 空洞サイズ:1.6×0.8×0.15mm
 上述の条件で、無風状態下で測定した。その結果温度補償素子を一体に設けた構造では、空洞部5が無いと大きな出力電圧が得られないのに対し、空洞部5を設ければ、出力電圧が非常に大きくなる。そのため人体検知に用いる場合に高感度化が図れることが分かる。
 人体検知用を含む非接触熱センサの実施例について、図25~図27を参照して説明する。
 この熱センサは温度補償素子を一体に備えている。図25は空洞部を備えた熱センサの熱源接近時及び離間時の検出電圧の変化を示す図である。
 図25において、曲線Aは熱検知部電極両端の電圧、曲線Bは温度補償部電極両端の電圧、曲線Cは熱センサ検出回路の差動増幅回路の出力電圧である。熱センサ回路の構成は図3に示したとおりである。
 この例では時刻10[sec]で熱源からの輻射を受け、時刻180[sec]で熱源からの輻射を遮断している。
 図25に表れているように、熱検知部電極両端の電圧及び温度補償部電極両端の電圧は熱源からの輻射を受けることによって加熱され、徐々に安定する。一方、差分電圧の立ち上がりは、熱検知部電極両端の電圧及び温度補償部電極両端の電圧の立ち上がりに比べて急峻である。すなわち、差分電圧は熱源からの輻射を受けると速やかに安定した電圧になる。したがった、差分電圧が例えば所定にしきい値を超えたか否かによって熱検知を行うことによって応答性の高い熱センサ回路が構成できる。
 この実測結果を得た各条件は次のとおりである。
 距離L:3mm
 熱源温度:60℃
 実装基板の温度:28℃
 差動増幅回路の増幅率:1倍
 印加電圧:3.0V
 素子サイズ:2.0×1.2×0.5mm
 空洞サイズ:1.6×0.8×0.15mm
 図26は、上述の図25の比較例であり、空洞部を備えない熱センサの熱源接近時及び離間時の検出電圧の変化を示す図である。
 図26において、曲線Aは熱検知部電極両端の電圧、曲線Bは温度補償部電極両端の電圧、曲線Cは熱センサ検出回路の差動増幅回路の出力電圧である。
 図26に表れているように、熱検知部電極両端の電圧及び温度補償部電極両端の電圧は熱源からの輻射を受けることによって加熱され、徐々に安定するが、この二つの出力電圧は近似したものとなり、差分電圧の値が小さい。
 図27は、図25に示した特性を有する熱センサ(空洞部を備えた熱センサ)と、図26に示した特性を有する熱センサ(空洞部を備えない熱センサ)とについて、熱検知対象物(輻射する熱源)の温度に対する差分電圧の関係を示す図である。近似直線Aは空洞部を備えた熱センサ、近似直線Bは空洞部を備えない熱センサの特性である。
 このように、前記空洞部を備えることによって、対象物温度に対する検出電圧を大きくすることができるので、前記空洞部はSN比の高い検知を行う上でも効果的である。
 実施例5で測定に用いた熱センサの構造は図23(A)に示したものと同様である。ここで各部の寸法は次のとおりである。
 素子外形サイズ:2.0mm×1.2mm×0.5mm
 空洞部のサイズ:1.6mm×0.8mm×0.15mm
 この熱センサを用いて、図3(B)に示した熱センサ回路を構成した。
 比較対照の熱センサの構造は、図21(A)に示した構成の熱センサを2つ用意し、一方をそのままの構造で熱検知用として用い、もう一方は熱センサのうち熱検知電極が形成されている側の上方に赤外線を遮断する遮断部材を設けた構成とし、温度補償用として用いる。すなわち、熱検知電極の上方に赤外線を遮断する遮蔽部材を設けた熱センサ(温度補償用素子)を図3(B)に示した熱センサ回路の抵抗Rnとし、遮蔽部材を設けていない熱センサ(熱検知用素子)を抵抗Rsとなるように回路を構成した。なお、熱検知用の素子と温度補償用の素子、及び固定抵抗値R0の室温(25℃)の抵抗値は一致している。また、これらの素子と、図23(A)に用いられる素子の室温(25℃)での抵抗値も一致している。
 図28は、温度補償素子を一体に設けた熱センサの特性を示す図であり、図25に示した熱センサについて、その特性をもう一度示した図である。図28(A)において、曲線Aは熱検知部電極両端の電圧、曲線Bは温度補償部電極両端の電圧である。図28(B)は、熱センサ検出回路の差動増幅回路の出力電圧である。
 図28(A)において、曲線Aは熱検知部電極両端の電圧、曲線Bは温度補償部電極両端の電圧である。図28(B)は、熱センサ検出回路の差動増幅回路の出力電圧である。
 図29は、温度補償素子を別の素子で用意し、実装基板に実装した場合について示す図である。図29(A)において、曲線Aは熱検知部電極両端の電圧、曲線Bは温度補償用素子の電圧である。図29(B)は、熱センサ検出回路の差動増幅回路の出力電圧である。
 図28(B)と図29(B)とを比較すれば明らかなように、熱検知部と温度補償素子とを一体に設けた熱センサを用いて差分電圧を発生するようにした場合は、熱検知部と温度補償部とを別々に設けた熱センサを用いて差分電圧を発生するようにした場合に比べると、図28(B)は同一のセラミックス素体からなるため熱検知部と温度補償部が熱的平衡状態に達するまでの時間が早くなるので、応答性が高い熱センサが得られることがわかる。
 図30、図31、図32は、それぞれ異なる熱センサに関する図であり、何れも斜視図、分解斜視図、及び空洞部の横断面図を示している。但し、電極については図示を省略している。
 図30は、熱検知部41と温度補償部43との間に、角筒状の空洞形成部42Aが設けられている。各部の寸法は次のとおりである。
 A:2.0mm
 B:1.2mm
 T:0.6mm
 Av:1.6mm
 Bv:0.8mm
 Dv:0.2mm
 図31は、熱検知部41と温度補償部43との間に、横方向に延びる部分と縦方向に延びる部分からなる空洞形成部42Bが設けられている。各部の寸法は次のとおりである。
 A:2.0mm
 B:1.2mm
 T:0.6mm
 Av1:1.6mm
 Bv1:1.2mm
 Dv1:0.1mm
 Av2:2.0mm
 Bv2:0.8mm
 Dv2:0.1mm
 図32は、熱検知部41と温度補償部43との間に、四つの柱状の部分からなる空洞形成部42Cが設けられている。各部の寸法は次のとおりである。
 A:2.0mm
 B:1.2mm
 T:0.6mm
 Av1:1.6mm
 Bv1:1.2mm
 Av2:2.0mm
 Bv2:0.8mm
 Dv:0.2mm
 図30、図31、図32の各熱センサを比較すると、空洞形成部の熱容量は、図30の熱センサが最大、図32の熱センサが最小である。
 図33は、熱検知部41と温度補償部43との、熱源接近時及び離間時の正規化した差分出力の変化を示す図である。測定回路は図3(B)に示した回路と同一である。また、測定系は図7に示したものと同一である。図33の縦軸は、図3(B)に示した回路で測定した出力電圧(差分電圧)Voutを図30の構造で得られた差分出力を1として正規化したものである。この例では、10[sec]で被測定対象物からの輻射を開始し、20[sec]で被測定対象物からの輻射を終了した例である。
 図33において、曲線A,B,Cは、図30,図31,図32のそれぞれ対応する各熱センサの特性である。このように空洞形成部の熱容量が小さい程、差分出力が大きくなる。そのため、空洞形成部の熱容量が小さい程、感度が高まることがわかる。
 測定対象の熱センサとして、図23に示した構造の熱センサを用いる。
 ここで、各部の寸法は次のとおりである。
 素子サイズ:2.0mm×1.2mm×0.6mm
 熱検知部電極面積(熱検知部電極1,2の重なり面積):1.5mm×0.5mm
 空洞サイズ:1.6mm×0.8mm×0.2mm
 このような熱センサを用いて、素体の厚みTに対する熱検出部の厚み(セラミック素体表面から空洞部までの距離)Dの比率と差分出力との関係を求めた。
 図34は、セラミック素体の厚みTに対する熱検出部の厚みDの比を横軸、差分出力を縦軸にとった図である。ここで縦軸は、空洞部の無い熱センサの差分出力で正規化している。測定回路は図3(B)に示した回路と同一である。また、測定系は図7に示したものと同一である。但し、測定開始時における各抵抗値の関係は、Rs=Rn=Ro とする。
 素体の厚みTに対して熱検知部Dの厚みが変わると、差分出力は変化する。図34に表れているように、D/Tの値が小さい程、差分出力は向上する。特に、D/Tが1/3以下の構造では、出力向上の効果が大きい。
 図35は、熱センサの熱検知部における電極構造を示す断面図である。各部の寸法は次のとおりである。
 素子サイズ:2.0mm×1.2mm×0.6mm
 熱検知部電極面積(熱検知部電極1,2の重なり面積):1.5mm×0.5mm
 ここで、厚み方向に互いに対向する熱検知部電極1,2同士の層間距離をDcで表し、外部電極4とは異なる電位に接続された熱検知部のうちの最も表層側に形成されている熱検知部電極1の先端と外部電極4の先端との最短距離をDbで表す。そして電極構造比率をDb/Dcで表す。
 素体表面から熱検知部電極1までの距離が5μmと30μmの場合について、電極構造比率を変化させた場合の素子抵抗値の変化を図36(A)と図36(B)に示す。いずれの場合においても、電極構造比率が1以下になると抵抗値の変化が大きくなるが、1以上では変化の度合いが小さい。特に、層間距離が50μm以下についての変化は少なくなっている。
 実施例7で示したように、出力を上げるためには、熱検知部(セラミック素体表面から空洞部までの距離)を薄くすることが有効である。しかし、熱検知部を薄くすると、検知部内に存在する内部電極が、セラミック素体の表面に近づき、熱検知部における抵抗特性において、前記距離Dbによる影響を大きく受ける。その結果、距離Dbのばらつきが抵抗ばらつきとなって現れることになる。
 空洞部の形状を最適化し、熱検知部の熱容量を小さくする事で感度向上が図れるが、感度を向上させようとする程、熱検知部電極が素体の表面に近づく。そのため、セラミック素体の上面への外部電極のかぶさり寸法Lのばらつきの影響により、抵抗値のばらつきが大きくなってしまう。そこで、Db/Dcを1以上にする。これにより、距離Dbの影響が相対的に小さくなるため、抵抗値のばらつきを小さくできる。
 実施例7の結果と併せると、出力が大きく且つ抵抗値ばらつきが小さい構造は、
 熱検出部の厚みD / 素体の厚みT < 1/3 且つ、Db/Dc ≧ 1 という関係で表される。
 なお、Db/Dc ≧ 1の関係は少なくとも熱検知部側に適用すればよいが、温度補償部側にも適用すれば抵抗ばらつきをより小さくできるため、好ましい。
 1,2…熱検知部電極
 1A,1B…熱検知部電極
 3,4…外部電極
 5…空洞部
 6,7…温度補償部電極
 8,33,34,35…外部電極
 9…多孔質部
 10…セラミック素体
 21…実装基板
 22…検知対象物
 23…ビア電極
 31…演算処理部
 41…熱検知部
 42A,42B,42C…空洞形成部
 43…温度補償部
 101~110…熱センサ

Claims (14)

  1.  少なくとも第1の主面側に形成された熱検知部がサーミスタ材料からなるセラミック素体と、前記熱検知部に設けられた、前記熱検知部の抵抗値を検出するための熱検知部電極と、を備えた熱センサであって、
     前記セラミック素体の前記熱検知部より内部に断熱部が形成された熱センサ。
  2.  前記断熱部は前記セラミック素体に設けられた空洞である、請求項1に記載の熱センサ。
  3.  前記セラミック素体のうち前記断熱部の周縁を構成している周縁部は多孔質の部材である、請求項2に記載の熱センサ。
  4.  前記断熱部は多孔質の部材で構成された、請求項1に記載の熱センサ。
  5.  前記セラミック素体は複数のサーミスタ層を備え、前記熱検知部電極は、前記サーミスタ層を介して部分的に重なり合っている、請求項1~4のうちいずれかに記載の熱センサ。
  6.  前記セラミック素体の第2の主面側であり、前記断熱部を挟んで前記熱検知部と対向する位置に設けられた温度補償部はサーミスタ材料からなり、前記温度補償部に、前記温度補償部の抵抗値を検出するための温度補償部電極が設けられた、請求項1~5のいずれかに記載の熱センサ。
  7.  前記熱検知部電極に導通する外部電極と、前記温度補償部電極に導通する外部電極とは、熱的に分離された状態で前記セラミック素体の外面に配置された、請求項6に記載の熱センサ。
  8.  前記熱検知部電極に導通するビア電極及び前記温度補償部電極に導通するビア電極は、前記セラミック素体の上下方向に非接続状態に配置された、請求項6に記載の熱センサ。
  9.  厚み方向に互いに対向する前記熱検知部電極同士の層間距離をDcで表し、前記熱検知部電極のうち、前記外部電極の先端と、前記外部電極とは異なる電位に接続された熱検知部のうち、最も表層側に形成されている熱検知部電極の先端と、の最短距離をDbで表すと、 Db/Dc ≧ 1の関係に定めた、請求項1~8のいずれかに記載の熱センサ。
  10.  前記セラミック素体の厚みをTで表し、熱検出部の厚みをDで表すと、D/Tが1/3以下の関係とした、請求項9に記載の熱センサ。
  11.  請求項1~10のいずれかにおいて、前記熱検知部は被測定対象物からの輻射伝熱を受ける、非接触温度計用の熱センサ。
  12.  請求項1~10のいずれかにおいて、前記熱検知部は人体からの輻射伝熱を受ける、人体検知用の熱センサ。
  13.  請求項6に記載の熱センサと、
     前記熱センサが実装基板に実装された状態で、前記熱検知部電極により検出される電気量と前記温度補償部電極により検出される電気量とによって、被測定対象物に対する前記熱検知部の受熱又は放熱に関する量を検出する手段と、
     前記温度補償部電極により検出される電気量で、前記実装基板の温度に関する量を検出し、前記熱検知部の受熱又は放熱に関する量と前記実装基板の温度に関する量とによって、被測定対象物の温度を演算する演算手段と、を備えた非接触温度計装置。
  14.  請求項6に記載の熱センサを用いた非接触温度測定方法であって、前記熱センサが実装基板に実装された状態で、前記熱検知部電極により検出される電気量と前記温度補償部電極により検出される電気量とによって、被測定対象物に対する前記熱検知部の受熱又は放熱に関する量を検出し、
     前記温度補償部電極により検出される電気量で、前記実装基板の温度に関する量を検出し、前記熱検知部の受熱又は放熱に関する量と前記実装基板の温度に関する量とによって被測定対象物の温度を検知する、非接触温度測定方法。
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