WO2010032586A1 - 発光パネル及び発光パネル用基板 - Google Patents

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Abstract

 複数の面発光素子で構成した大サイズの発光パネルであって、面発光素子同士の境界が、視覚的に認識されにくい発光パネルを提供する。また、複数の面発光素子で構成した大サイズの発光パネルであって、発光パネルの面内輝度むらを低減できる発光パネルを提供する。更に、当該発光パネルに用いる発光パネル用基板を提供する。  本発明の発光パネルは、少なくとも一方の面に凹凸構造を有する基板上に複数の面発光素子を配置した発光パネルであって、当該凹凸構造の凹部内及び凸部上に面発光素子が配置されていることを特徴とする。

Description

発光パネル及び発光パネル用基板
 本発明は、発光パネル、及び発光パネル用基板に関する。より詳しくは、少なくとも一方の面に凹凸構造を有する基板上に複数の面発光素子を配置した発光パネルに関する。
 照明用あるいはディスプレイ用として、近年、大サイズの発光パネルへの要請が高まってきている。大サイズの発光素子の開発は、特にその製造や装置コストの増大や、大面積における面内の輝度ムラ抑制が難しいなど、困難な問題を抱えていた。
 一方で、小サイズ発光パネルを継ぎ合わせて大サイズの発光パネルを構成する検討が進められてきた。しかし、小サイズ発光パネル同士の継ぎ目が非発光部と存在するため、視認性に劣るとして、その繋ぎ目を目立たなくする技術検討が従来行われてきた。
 接合する個々のエレクトロルミネッセンス素子(以下「EL素子」ともいう。)の封止ヘリ部分で、EL層の端部に外側に向けた丸みをもたせ、封止のヘリ部分から接合部へ向けて斜め方向にも発光させるようにする素子構造が報告されている(例えば特許文献1参照)。また、複数のEL素子の側面同士を貼り合わせた光出射面側に色変換フィルタを設置する構成が報告されている(例えば特許文献2参照)。さらに側面の封止に薄膜の接合板を用いた発光パネルを複数接合し、個々の発光パネル間の距離を狭めた構成が報告されている(例えば特許文献3参照)。接合部近傍のパネルを小サイズかつ高輝度発光として複数接続したディスプレイ構成も報告されている(例えば特許文献4参照)。
 しかし、これらの従来技術は、いずれも継ぎ目が非発光部として存在したままであり、特に近年、開発が進んでいる有機エレクトロルミネッセンス素子(以下「有機EL素子」ともいう。)を用いる場合には、個々の素子に封止を十分に施すことが必要で、隣接する素子同士の発光面間の間隔を確保する必要があり、素子を面内横方向に配列させる方法では依然として視認性の改良には限界があった。
 また、複数の面発光素子を配置して大サイズ発光パネルを構成する際、通常は同一面内に面発光素子を並置する構成が用いられるが、当該構成は、素子間を電気的に接続する配線領域を確保する必要があり、この配線領域が発光パネルにおける非発光部分として視覚的に認識されやすいという難点を有していた。
特開2001-57288号公報 特開2006-164618号公報 特開2007-200627号公報 特開2007-304584号公報
 本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、複数の面発光素子で構成した大サイズの発光パネルであって、面発光素子同士の境界が、視覚的に認識されにくい発光パネルを提供することである。また、複数の面発光素子で構成した大サイズの発光パネルであって、発光パネルの面内輝度むらを低減できる発光パネルを提供することである。更に、当該発光パネルに用いる発光パネル用基板を提供することである。
 本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
 1.少なくとも一方の面に凹凸構造を有する基板上に複数の面発光素子を配置した発光パネルであって、当該凹凸構造の凹部内及び凸部上に面発光素子が配置されていることを特徴とする発光パネル。
 2.前記凹部及び凸部の面積が、配置される前記面発光素子の発光面積の1~3倍であることを特徴とする前記1に記載の発光パネル。
 3.前記凹部内に配置された面発光素子が、当該凹部内に埋没していることを特徴とする前記1又は前記2に記載の発光パネル。
 4.前記面発光素子が、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする前記1から前記3までのいずれか一項に記載の発光パネル。
 5.前記凹部内に配置された面発光素子と、前記凸部上に配置された面発光素子とが、交互に電気的に直列接続されていることを特徴とする前記1から前記4までのいずれか一項に記載の発光パネル。
 6.前記1から前記5までのいずれか一項に記載の発光パネルに用いる発光パネル用基板であって、少なくとも一方の面に、その内部に面発光素子を配置するための複数の凹部と、その上部に面発光素子を配置するための複数の凸部とを交互に有することを特徴とする発光パネル用基板。
 本発明の上記手段により、複数の面発光素子で構成した大サイズの発光パネルであって、面発光素子同士の境界が、視覚的に認識されにくい発光パネルを提供することができる。また、複数の面発光素子で構成した大サイズの発光パネルであって、発光パネルの面内輝度むらを低減できる発光パネルを提供することができる。更に、当該発光パネルに用いる発光パネル用基板を提供することができる。
 すなわち、本発明の発光パネルによれば、素子間を電気的に接続する配線領域を光出射面垂直方向に傾斜させて設けることができるため、光出射面垂直方向から発光パネルを見た際に、素子間の間隔を低減させることができ、面発光素子同士の境界を視覚的に認識され難くすることができる。また凹部の開口部を狭めた形状とすると、光出射面垂直方向から発光パネルを見た際に、凹部上の素子と、凸部上の素子とが、部分的に重なりを持つ配置をとることができ、面発光素子同士の境界をさらに視覚的に認識され難くすることができる。
 なお、複数の面発光素子で構成される発光パネルにおいて、素子同士を並列接続で接続すると、一部の素子が短絡した場合に、この個所に特に電流が流れやすくなり、発光パネル自体が発光しなくなる可能性がある。この一部の短絡素子の個所のみを非発光部分に限定し、発光パネルへの影響を最小限に抑えるには、素子同士を直列接続することが好ましい。この点に関し、本発明の発光パネルは、凹部に配置された面発光素子と、凸部に配置された面発光素子とにより、面発光素子同士の境界を視覚的に認識され難くしたうえで、これら面発光素子を交互に電気的に直列接続する構成を容易にとることができる。
本発明の発光パネルに用いられる基板の断面図の一例 本発明の発光パネルに用いられる基板の断面図の一例 本発明の発光パネルに用いられる基板の断面図の一例 本発明の発光パネルに用いられる基板の断面図の一例 本発明の発光パネルに用いられる基板の断面図の一例 本発明の発光パネルに用いられる基板の断面図の一例 本発明の発光パネルの断面図の例 本発明の発光パネルを光出射面垂直方向からみた図の一例 図8のA-A’部分の断面図 本発明の発光パネルの断面図の一例;凹部及び凸部の縁が丸みを帯びているか、欠けている形状の場合 従来の発光パネルを光出射面垂直方向から見た図の一例 図11に示した発光パネルのB-B’部分の断面図 従来の発光パネルを光出射面垂直方向から見た図の一例 図13に示した発光パネルのC-C’部分の断面図 図11及び図12で示される発光パネルにおいて、パネルを構成する複数の面発光素子を電気的接続した模式図の一例 図13及び図14で示される従来の発光パネルにおいて、パネルを構成する複数の面発光素子を電気的接続した模式図の一例 図9で示される本発明の発光パネルを構成する複数の面発光素子を電気的接続した模式図の一例;凹部内に配置された面発光素子が、当該凹部内に埋没していない場合 図9で示される本発明に係る発光パネルを構成する複数の面発光素子を電気的接続した模式図の一例;凹部の底部に配置された面発光素子が、当該凹部内に埋没している場合 図17の拡大図の例 図18の拡大図の例
 本発明の発光パネルは、少なくとも一方の面に凹凸構造を有する基板上に複数の面発光素子を配置した発光パネルであって、当該凹凸構造の凹部内及び凸部上に面発光素子が配置されていることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項6までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
 本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記凹部及び凸部の面積が、配置される前記面発光素子の発光面積の1~3倍であることが好ましい。また、前記凹部内に配置された面発光素子が、当該凹部内に埋没していることが好ましい。
 本発明においては、当該面発光素子が、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)であることが好ましい。また、前記凹部内に配置された面発光素子と、前記凸部上に配置された面発光素子とが、交互に電気的に直列接続されている態様であることが好ましい。
 従って、本発明の発光パネルに用いる発光パネル用基板としては、少なくとも一方の面に、その内部に面発光素子を配置するための複数の凹部と、その上部に面発光素子を配置するための複数の凸部とを交互に有することを要する。
 なお、本願でいう「面発光素子」とは、面形態の光学分布を有する光を発生する素子(光源)をいう。また、当該面発光素子の「発光面積」とは、発光させた面発光素子を光出射面垂直方向から見た面内において発光している領域が占める面積をいう。
 一方、凹凸構造を有する基板の「凹部及び凸部の」面積とは、基板を光出射面垂直方向から見た面内において、各凹部及び各凸部がそれぞれ占める面積のことである。前記「発光面積」及び、「凹部及び凸部の」面積は、例えば画像をスキャナーで取り込み、画像処理装置を用いる等の方法を用いて測定することができる。
 以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための最良の形態・態様について詳細な説明をする。
 (基板と発光パネルの構造)
 以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。尚、本発明の実施形態はこれらに限定されない。
〈基板の構造〉
 図1は、本発明の発光パネルに用いられる基板の断面図の一例である。基板の面発光素子形成側に凹部1及び凸部2が交互に形成されている。凹部1及び凸部2の断面の形状は四角形、台形、及びこれらの一部に曲線を含む形状など様々の形状をとることができる。図2~図6に凹部1及び凸部2の形状の例を示す。
 本発明に係る少なくとも一方の面に凹凸構造を有する基板の形成方法としては、例えば、
(1)基板に設ける凹部及び凸部の形状を反転させた形状を有する金型に溶融樹脂を注入し射出成型により成形する方法。
(2)シート状に成形した樹脂を加熱した状態で、基板に設ける凹部及び凸部の形状を反転させた形状を有する金型と金属板との間でプレスして、あるいは加熱した金型を用いてプレスすることにより凹凸形状を転写する方法。
(3)基板に設ける凹部及び凸部の形状を反転させた形状を構成したシート型に樹脂を充填し、基板上に貼り付け、その後、シート型を剥離することで基板の表面に凹凸部を成形する方法、
(4)基板に設ける凹部及び凸部の形状を反転させた形状をその周面に有するロールを用い、他のロールとの間に溶融状態のシート状の樹脂を通し、押し出すことにより、凹凸形状を転写する方法。
 等が挙げられる。その他、フォトリソグラフィー、レーザー加工等、当業界において、樹脂、ガラス等のシート、あるいは基板の表面にパターンを形成、転写する各種の方法を適宜用いることができるが、特に樹脂基板の場合は、前記(1)~(4)の方法が好ましい。
 〈発光パネルの構造〉
 図1に示した基板を用いて構成した本発明の発光パネルの断面図の例を図7に示す。凹凸構造の凹部内及び凸部上に交互に面発光素子3が形成されている。各凹部及び各凸部に面発光素子は1つずつ配置されることが好ましい。凹部及び凸部において、面発光素子が配置される面は平面であることが好ましい。
 図8は、本発明の発光パネルを光出射面垂直方向からみた図の一例である。凹凸構造の凹部1内部及び凸部2上に交互に面発光素子3が交互に配置されている。本発明において、発光パネルを光出射面垂直方向から見た凹部1及び凸部2の形状は、例えば三角形や五角形等、他の形状であってもよい。
 図9は、図8のA-A’部分の断面図である。基板7は、配置される面発光素子を構成する共通の基板であり、基板7の凹部及び凸部上に第1電極4、発光層を含む機能層5、第2電極6がそれぞれ形成され、面発光素子が形成される。図示していないが、通常はこの上に封止膜または封止層が設けられる。
 本発明において、各凹部1及び各凸部2の面積は、配置される面発光素子の発光面積の1~3倍であることが好ましく、1~2倍であることがより好ましく、1~1.5倍であることが好ましい。
 本発明の発光パネルにおいて、凹部1及び凸部2の面積が、配置される面発光素子3の発光面積に近いほど、素子間を電気的に接続する配線領域をより光出射面垂直方向に傾斜させて設けることができ、光出射面垂直方向から発光パネルを見た際に、素子間の間隔を低減させて、面発光素子同士の境界を視覚的に認識され難くする効果が大きい。また基板7が、図3に示すように開口部を凹部底面より狭めた断面形状であるとより一層効果的である。
 本発明においては、凹部内に配置された面発光素子が、当該凹部内に埋没していることが好ましい。本発明において、凹部内に配置された面発光素子が、当該凹部内に埋没しているとは、凹部に配置された面発光素子の厚さをLとし、前記凹部の深さをHとしたとき、L/H<1であることであり、面発光素子同士を接続する配線抵抗も考慮すると、0.1<L/H<0.8であることが好ましい。
 本発明において、前記Lは下部電極の下端から上部電極の上端までの長さであり、図9においては、第1電極の下端から第2電極の上端までの長さである。本発明の発光パネルにおいて、L/H<1であると、凹部内に配置された面発光素子と隣接する凸部上に配置された面発光素子間での短絡の危険を低減させた絶縁構造を構成しやすい。
 凹部、凸部の縁が丸みを帯びているか、欠けている形状の場合、図10に示すように前記Hは凹部内に配置された面発光素子の下部電極の下端から凸部上に配置された面発光素子の下部電極の下端までの高さとする。
 図11に基板7の同一面上に複数の面発光素子3を配置した従来の発光パネルを光出射面垂直方向から見た図の1例を示す。図12は、図11に示した発光パネルのB-B’部分の断面図である。
 図13は、障壁構造を設けた基板8の障壁間に各々面発光素子3を形成した従来の発光パネルを光出射面垂直方向から見た図の1例を示す。図14は、図13に示した発光パネルのC-C’部分の断面図である。基板8上には隔壁9が設けられ、その間に各々第1電極4、発光層を含む機能層5、第2電極6が形成され、面発光素子3が配置されている。
 図15は、図11及び図12で示される従来の発光パネルにおいて、パネルを構成する複数の面発光素子を電気的接続した模式図である。複数の面発光素子3の間を導電膜を用いた配線10で接続しているが、面発光素子間の基板上に素子間の絶縁領域と配線領域とを面内方向に確保する必要があり、素子間の間隔を通常2~5mm以上確保する必要があり、この配線領域が発光パネルにおける非発光部分として視覚的に認識されやすい。
 図16は、図13及び図14で示される従来の発光パネルにおいて、パネルを構成する複数の面発光素子を電気的接続した模式図である。複数の面発光素子3の間を導電膜を用いた配線10で接続しているが、面発光素子間の隔壁上に配線領域を面内方向に確保する必要があり、この配線領域が発光パネルにおける非発光部分として視覚的に認識されやすい。
 本発明のように有機EL素子等の複数の面発光素子で構成される発光パネルにおいて、素子同士を電気的に並列接続で接続すると、一部の素子が短絡した場合に、発光パネル自体が発光しなくなる可能性がある。この一部の短絡素子の個所のみを非発光部分に限定し、発光パネル全体への影響を最小限に抑えるには、素子同士を電気的に直列接続することが好ましい。
 図17及び図18は、図9で示される本発明の発光パネルを構成する複数の面発光素子を電気的接続した模式図である。複数の面発光素子3の間を配線10で接続しているが、配線方向が基板面内方向に対してほぼ垂直方向となる為、配線領域が発光パネルにおける非発光部分として視覚的に認識されにくい。図17は、凹部内に配置された面発光素子が、当該凹部内に埋没していない場合を示し、図18は凹部の底部に配置された面発光素子が、当該凹部内に埋没している場合を示す。
 図19は、図17の拡大図の例である。基板7の凹凸に各々、複数の面発光素子3が配置されている。各々の面発光素子3は、基板7上に第1電極4、発光層を含む機能層5、第2電極6で構成されている。隣接する面発光素子3は、第1電極4と第2電極6とが交互に導電膜を用いた配線10で接続されている。第1電極4と第2電極6との短絡防止の為、絶縁部11が設けられている。尚、図示していないが、凹凸に各々配置された複数の面発光素子3は、第2電極6の上を封止膜で覆われている。図18の構成においては、光出射垂直方向から見て、隣接する面発光素子間の間隔は、配線10や絶縁部11の厚さを考慮しても2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい。
 図20は、図18の拡大図の例である。基板7の凹凸に各々、複数の面発光素子3が配置されている。各々の面発光素子3は、基板7上に第1電極4、発光層を含む機能層5、第2電極6で構成されている。隣接する面発光素子3は、第1電極4と第2電極6とが交互に導電幕を用いた配線10で接続されている。第1電極4と第2電極6との短絡防止の為、絶縁部11が設けられている。尚、図示していないが、凹凸に各々配置された複数の面発光素子3は、第2電極6の上を封止膜で覆われている。図20の構成においては、凹部の底部に配置された面発光素子の厚さが、前記凹部の深さより小さい為、図19で示される構成に対して、絶縁部11の一部を省略することができ、面発光素子間の間隔をさらに狭めることが可能である。
 尚、図18及び図20に示した発光パネルにおいては、基板7の凹凸に各々、複数の面発光素子3の第1電極4、発光層を含む機能層5、第2電極6を直接形成する例を示しているが、本発明においては、予め支持基板上に電極や発光層を含む機能層等を積層して作製した複数の面発光素子を用い、これらの面発光素子を基板7の凹凸に各々、接着剤や粘着剤等を用いて配置、貼付することにより発光パネルを構成することもできる。
 以上の説明から分かるように、本発明の発光パネルによれば、素子間を電気的に接続する配線領域を光出射面垂直方向に傾斜させて設けることができる為、光出射面垂直方向から発光パネルを見た際に、素子間の間隔を低減させることができ、面発光素子同士の境界を視覚的に認識され難くすることができる。また、凹部の開口部を狭めた形状とすると、光出射面垂直方向から発光パネルを見た際に、凹部上の素子と、凸部上の素子とが、部分的に重なりを持つ配置をとることができ、面発光素子同士の境界をさらに視覚的に認識され難くすることができる。
 複数の面発光素子で構成される発光パネルにおいて、素子同士を並列接続で接続すると、一部の素子が短絡した場合に、この個所に特に電流が流れやすくなり、発光パネル自体が発光しなくなる可能性がある。この一部の短絡素子の個所のみを非発光部分に限定し、発光パネルへの影響を最小限に抑えるには、素子同士を直列接続することが好ましい。
 本発明の発光パネルは、凹部に配置された面発光素子と、凸部に配置された面発光素子とにより、面発光素子同士の境界を視覚的に認識され難くしたうえで、これら面発光素子を交互に電気的に直列接続する構成を容易にとることができる。
 (有機EL素子)
 本発明の発光パネルに用いられる面発光素子に制限はないが、EL素子であることが好ましく、有機EL素子であることがより好ましい。
 以下、本発明の発光パネルを有機EL素子で構成する場合の好ましい態様を説明するが、本発明はこれに限定されない。
 有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示す。
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
 ここで、発光層は、少なくとも発光色の異なる2種以上の発光材料を含有していることが好ましく、単層でも複数の発光層からなる発光層ユニットを形成していてもよい。また、正孔輸送層には正孔注入層、電子阻止層も含まれる。
《発光層》
 本発明に係る発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
 本発明に係る発光層は、含まれる発光材料が前記要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。
 また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。
 各発光層間には非発光性の中間層を有していることが好ましい。
 本発明における発光層の膜厚の総和は1~100nmの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは、より低い駆動電圧を得ることができることから30nm以下である。なお、本発明でいうところの発光層の膜厚の総和とは、発光層間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む膜厚である。
 個々の発光層の膜厚としては1~50nmの範囲に調整することが好ましく、更に好ましくは1~20nmの範囲に調整することである。青、緑、赤の各発光層の膜厚の関係については、特に制限はない。
 発光層の作製には、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。
 本発明においては、各発光層には複数の発光材料を混合してもよく、また燐光発光材料と蛍光発光材料を同一発光層中に混合して用いてもよい。
 本発明においては、発光層の構成として、ホスト化合物、発光材料(発光ドーパント化合物ともいう)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
 本発明に係る有機EL素子の発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)における燐光発光の燐光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。更に好ましくは燐光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
 ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
 本発明に用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもいい。
 公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、なお且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS-K-7121に準拠した方法により求められる値である。
 公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。例えば、特開2001-257076号公報、同2002-308855号公報、同2001-313179号公報、同2002-319491号公報、同2001-357977号公報、同2002-334786号公報、同2002-8860号公報、同2002-334787号公報、同2002-15871号公報、同2002-334788号公報、同2002-43056号公報、同2002-334789号公報、同2002-75645号公報、同2002-338579号公報、同2002-105445号公報、同2002-343568号公報、同2002-141173号公報、同2002-352957号公報、同2002-203683号公報、同2002-363227号公報、同2002-231453号公報、同2003-3165号公報、同2002-234888号公報、同2003-27048号公報、同2002-255934号公報、同2002-260861号公報、同2002-280183号公報、同2002-299060号公報、同2002-302516号公報、同2002-305083号公報、同2002-305084号公報、同2002-308837号公報等が挙げられる。
 次に、発光材料について説明する。
 本発明に係る発光材料としては、蛍光性化合物、燐光発光材料(燐光性化合物、燐光発光性化合物等ともいう)を用いる。
 本発明において、燐光発光材料とは励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にて燐光発光する化合物であり、燐光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましい燐光量子収率は0.1以上である。
 上記燐光量子収率は第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明において燐光発光材料を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて上記燐光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
 燐光発光材料の発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーを燐光発光材料に移動させることで燐光発光材料からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つは燐光発光材料がキャリアトラップとなり、燐光発光材料上でキャリアの再結合が起こり燐光発光材料からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、燐光発光材料の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
 燐光発光材料は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8~10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
 以下に燐光発光材料として用いられる化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704~1711に記載の方法等により合成できる。
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 本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子には、蛍光発光体を用いることもできる。蛍光発光体(蛍光性ドーパント)の代表例としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
 また、従来公知のドーパントも本発明に用いることができ、例えば、国際公開第00/70655号パンフレット、特開2002-280178号公報、同2001-181616号公報、同2002-280179号公報、同2001-181617号公報、同2002-280180号公報、同2001-247859号公報、同2002-299060号公報、同2001-313178号公報、同2002-302671号公報、同2001-345183号公報、同2002-324679号公報、国際公開第02/15645号パンフレット、特開2002-332291号公報、同2002-50484号公報、同2002-332292号公報、同2002-83684号公報、特表2002-540572号公報、特開2002-117978号公報、同2002-338588号公報、同2002-170684号公報、同2002-352960号公報、国際公開第01/93642号パンフレット、特開2002-50483号公報、同2002-100476号公報、同2002-173674号公報、同2002-359082号公報、同2002-175884号公報、同2002-363552号公報、同2002-184582号公報、同2003-7469号公報、特表2002-525808号公報、特開2003-7471号公報、特表2002-525833号公報、特開2003-31366号公報、同2002-226495号公報、同2002-234894号公報、同2002-235076号公報、同2002-241751号公報、同2001-319779号公報、同2001-319780号公報、同2002-62824号公報、同2002-100474号公報、同2002-203679号公報、同2002-343572号公報、同2002-203678号公報等が挙げられる。
 本発明においては、少なくとも一つの発光層に2種以上の発光材料を含有していてもよく、発光層における発光材料の濃度比が発光層の厚さ方向で変化していてもよい。
《中間層》
 本発明において、各発光層間に非発光性の中間層(非ドープ領域等ともいう)を設ける場合について説明する。
 非発光性の中間層とは、複数の発光層を有する場合、その発光層間に設けられる層である。
 非発光性の中間層の膜厚としては1~20nmの範囲にあるのが好ましく、更には3~10nmの範囲にあることが隣接発光層間のエネルギー移動等相互作用を抑制し、且つ素子の電流電圧特性に大きな負荷を与えないということから好ましい。
 この非発光性の中間層に用いられる材料としては、発光層のホスト化合物と同一でも異なっていてもよいが、隣接する2つの発光層の少なくとも一方の発光層のホスト材料と同一であることが好ましい。
 非発光性の中間層は非発光層、各発光層と共通の化合物(例えば、ホスト化合物等)を含有していてもよく、各々共通ホスト材料(ここで、共通ホスト材料が用いられるとは、燐光発光エネルギー、ガラス転移点等の物理化学的特性が同一である場合やホスト化合物の分子構造が同一である場合等を示す。)を含有することにより、発光層-非発光層間の層間の注入障壁が低減され、電圧(電流)を変化させても正孔と電子の注入バランスが保ちやすいという効果を得ることができる。更に、非ドープ発光層に各発光層に含まれるホスト化合物と同一の物理的特性または同一の分子構造を有するホスト材料を用いることにより、従来の有機EL素子作製の大きな問題点である素子作製の煩雑さをも併せて解消することができる。
 本発明で有機EL素子を用いる場合、ホスト材料はキャリアの輸送を担うため、キャリア輸送能を有する材料が好ましい。キャリア輸送能を表す物性としてキャリア移動度が用いられるが、有機材料のキャリア移動度は一般的に電界強度に依存性が見られる。電界強度依存性の高い材料は正孔と電子注入・輸送バランスを崩しやすいため、中間層材料、ホスト材料は移動度の電界強度依存性の少ない材料を用いることが好ましい。
 また、一方では正孔や電子の注入バランスを最適に調整するためには、非発光性の中間層は後述する阻止層、即ち正孔阻止層、電子阻止層として機能することも好ましい態様として挙げられる。
《注入層:電子注入層、正孔注入層》
 注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
 注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123~166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
 陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9-45479号公報、同9-260062号公報、同8-288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
 陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6-325871号公報、同9-17574号公報、同10-74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm~5μmの範囲が好ましい。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
 阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11-204258号公報、同11-204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
 正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係る正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
 一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の膜厚としては好ましくは3~100nmであり、更に好ましくは5~30nmである。
《正孔輸送層》
 正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
 正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
 正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
 芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′-テトラフェニル-4,4′-ジアミノフェニル;N,N′-ジフェニル-N,N′-ビス(3-メチルフェニル)-〔1,1′-ビフェニル〕-4,4′-ジアミン(TPD);2,2-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)プロパン;1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′-テトラ-p-トリル-4,4′-ジアミノビフェニル;1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン;ビス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′-ジフェニル-N,N′-ジ(4-メトキシフェニル)-4,4′-ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′-テトラフェニル-4,4′-ジアミノジフェニルエーテル;4,4′-ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N-トリ(p-トリル)アミン;4-(ジ-p-トリルアミノ)-4′-〔4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4-N,N-ジフェニルアミノ-(2-ジフェニルビニル)ベンゼン;3-メトキシ-4′-N,N-ジフェニルアミノスチルベンゼン;N-フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′-ビス〔N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4-308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″-トリス〔N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
 更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型-Si、p型-SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
 また、特開平11-251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような所謂、p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
 正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm~5μm程度、好ましくは5~200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
 また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4-297076号公報、特開2000-196140号公報、同2001-102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
 本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《電子輸送層》
 電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
 従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
 また、8-キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8-キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7-ジクロロ-8-キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7-ジブロモ-8-キノリノール)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-キノリノール)アルミニウム、トリス(5-メチル-8-キノリノール)アルミニウム、ビス(8-キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型-Si、n型-SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
 電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm~5μm程度、好ましくは5~200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
 また、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4-297076号公報、同10-270172号公報、特開2000-196140号公報、同2001-102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
 本発明においては、このようなn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《支持基板》
 本発明に係る有機EL素子に係る支持基板(以下、基板、基体、基盤、基材、支持体等ともいう。)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また、透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
 樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
 樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド皮膜が形成されていてもよく、JIS K 7129-1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(40℃、90%RH)が0.01g/m・day・atm以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更にはJIS K 7126-1992に準拠した方法で測定された酸素透過度(20℃、100%RH)が10-3g/m/day以下、水蒸気透過度が10-3g/m/day以下の高バリア性フィルムであることが好ましく、前記の水蒸気透過度、酸素透過度がいずれも10-5g/m/day以下であることが更に好ましい。
 バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に当該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
《バリア膜の形成方法》
 バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ-イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004-68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
 不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板・フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
《封止》
 本発明に係る有機EL素子の封止に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
 封止部材としては有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に限定されない。
 具体的には、ガラス板、ポリマー板、フィルム、金属板、フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。
 本発明においては、素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。更にはポリマーフィルムは酸素透過度10-3g/m/day以下、水蒸気透過度10-3g/m/day以下のものであることが好ましい。また、前記の水蒸気透過度、酸素透過度がいずれも10-5g/m/day以下であることが更に好ましい。
 封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2-シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
 なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
 また、有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に、当該電極と有機層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、当該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に当該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造をもたせることが好ましい。これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ-イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
 封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
 吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
《保護膜、保護板》
 有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜、あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けてもよい。特に封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量且つ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
《電極》
本発明に係る面発光素子においては、少なくとも第1電極と第2電極とを有する。有機EL素子を用いる場合、通常は一方が陽極、他方が陰極で構成される。以下に好ましい陽極、及び陰極の構成について述べる。
《陽極》
 有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性光透過性材料が挙げられる。また、IDIXO(In-ZnO)等非晶質で光透過性の導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式製膜法を用いることもできる。陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10~1000nm、好ましくは10~200nmの範囲で選ばれる。《陰極》
 一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
 これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm~5μm、好ましくは50~200nmの範囲で選ばれる。
 なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方は、光透過性となるよう構成される。
《有機EL素子の作製方法》
 本発明に係る有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
 まず適当な支持基板上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10~200nmの膜厚になるように蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層の有機化合物薄膜を形成させる。
 この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、前記の如く蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等があるが、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法が特に好ましい。更に層毎に異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50~450℃、真空度10-6~10-2Pa、蒸着速度0.01~50nm/秒、基板温度-50~300℃、膜厚0.1nm~5μm、好ましくは5~200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
 これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下好ましくは50~200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
 また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の液晶表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を-の極性として電圧2~40V程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
 有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折率1.6~2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15~20%程度の光しか取り出せないと一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は全反射を起こし、素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
 この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(例えば、米国特許第4,774,435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(例えば、特開昭63-314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(例えば、特開平1-220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(例えば、特開昭62-172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(例えば、特開2001-202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11-283751号公報)等がある。
 本発明においては、これらの方法を本発明に係る面発光素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
 透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚さで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど外部への取り出し効率が高くなる。
 低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5~1.7程度であるので、低屈折率層は屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。また更に1.35以下であることが好ましい。
 また、低屈折率媒質の厚さは媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは、低屈折率媒質の厚さが光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
 全反射を起こす界面またはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は回折格子が1次の回折や2次の回折といった、所謂ブラッグ回折により光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち、層間での全反射等により外に出ることができない光をいずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
 導入する回折格子は二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
 回折格子を導入する位置としては、前述のとおりいずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。
 このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2~3倍程度が好ましい。回折格子の配列は正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
 本発明に係る面発光素子は支持基板の光取出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせることにより特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
 マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10~100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚さが厚くなり好ましくない。
 集光シートとしては、例えば、液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして、例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば、基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
 また、発光素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることができる。
 本発明に係る面発光素子を、光出射面垂直方向から見た面発光素子の発光領域の一部が互いに重なる素子積層部をもつように複数配置して発光パネルを構成する際、素子積層部に粘着剤及び接着剤を用いることができる。
 本発明における粘着剤とは、広く工業分野において、粘着剤、接着剤、或いは粘着材、接着材等の呼称で用いられる剤或いは材のうち、加圧により接着しその際に接着部分の硬化を伴わないものを意味する。
 粘着剤及び接着剤の種類は特に限定されないが、光透過性にすぐれた粘着剤及び接着剤を用いることが好ましい。接着剤においては塗布し、貼り合わせた後に、種々の化学反応により高分子量体または架橋構造を形成する硬化型接着剤が好適に用いられる。本発明で用いることのできる粘着剤及び接着剤の具体例としては、例えば、ウレタン系、エポキシ系、水性高分子-イソシアネート系、アクリル系等の硬化型接着剤及び粘着剤、湿気硬化ウレタン接着剤、ポリエーテルメタクリレート型、エステル系メタクリレート型、酸化型ポリエーテルメタクリレート等の嫌気性粘着剤、シアノアクリレート系の瞬間接着剤、アクリレートとペルオキシド系の2液型瞬間接着剤等が挙げられる。
 上記素子積層部への粘着剤層及び接着剤層の形成方法としては特に限定されず、一般的方法、例えば、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、コンマコーター、バーコーター、スプレー塗布、インクジェット法等の方法が挙げられる。
《用途》
 本発明に係る面発光体、及び発光パネルは、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特にカラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
 カラーフィルターと組み合わせてディスプレイのバックライトとして用いる場合には、輝度を更に高めるため、集光シートと組み合わせて用いるのが好ましい。
 1 凹部
 2 凸部
 3 面発光素子
 4 第1電極
 5 発光層を含む機能層
 6 第2電極
 7 基板
 8 基板
 9 隔壁
 10 導電膜を用いた配線
 11 絶縁部

Claims (6)

  1.  少なくとも一方の面に凹凸構造を有する基板上に複数の面発光素子を配置した発光パネルであって、当該凹凸構造の凹部内及び凸部上に面発光素子が配置されていることを特徴とする発光パネル。
  2.  前記凹部及び凸部の面積が、配置される前記面発光素子の発光面積の1~3倍であることを特徴とする請求項1に記載の発光パネル。
  3.  前記凹部内に配置された面発光素子が、当該凹部内に埋没していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光パネル。
  4.  前記面発光素子が、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の発光パネル。
  5.  前記凹部内に配置された面発光素子と、前記凸部上に配置された面発光素子とが、交互に電気的に直列接続されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の発光パネル。
  6.  請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の発光パネルに用いる発光パネル用基板であって、少なくとも一方の面に、その内部に面発光素子を配置するための複数の凹部と、その上部に面発光素子を配置するための複数の凸部とを交互に有することを特徴とする発光パネル用基板。
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