WO2010021400A1 - シリカナノ粒子構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

シリカナノ粒子を配列制御させて、シリカナノ粒子の利用分野を従来よりも一段と拡大し得るナノ粒子構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。 コロイド溶液中に分散していたシリカナノ粒子3が一次元配列し、かつ隣接するシリカナノ粒子3が外力を加えても分散し得ない程度の堅さで連結したシリカナノ粒子構造部2を作製できる。かくして、従来においてコロイド溶液中に分散しているシリカナノ粒子3を配列制御させた状態のまま各種用途に利用できるようになり、シリカナノ粒子3の利用分野を従来よりも一段と拡大し得るシリカナノ粒子構造体1を提供できる。

Description

シリカナノ粒子構造体及びその製造方法
 本発明はシリカナノ粒子構造体及びその製造方法に関するものであり、例えばシリカナノ粒子を配列制御させる際に適用して好適なものである。
 高単分散であり、かつサブマイクロオーダーのシリカナノ粒子の合成手法として、Sto..ber法が広く知られている(非特許文献1参照)。このSto..ber法では、水・エタノール溶媒中、アンモニア触媒存在下においてシリカ源であるテトラエトキシシラン(以下、これをTEOS(Tetraethylorthosilicate)と呼ぶ)を加水分解・縮重合させることにより球形のシリカナノ粒子を得ることができる。
 このようなシリカナノ粒子は、工業的需要が高く、触媒担体や吸着剤、コーティング剤、化粧品等の様々な形で用いられている。また、このシリカナノ粒子は、近年注目が集まっているナノテクノロジー分野においても、半導体用研磨剤や液晶ディスプレイ用絶縁膜として利用されており、その応用性は極めて大きいものである。
W. Stober et al., J. Colloid Interface Sci., 26,62-69 (1968)
 しかしながら、これら応用例はシリカナノ粒子の剛性や分散性、界面特性を利用したものであり、粒子単体や凝集体、粒子コロイド溶液を修飾、加工して用いているに過ぎない。一方、近年行われているシリカナノ粒子の合成研究によって、高い単分散性や、ナノレベルでの粒径制御が可能となったことから、その新規機能発現のための手法として、個々の粒子をビルディングユニットとした高次構造体の創製が期待されている。著名な例としては、シリカナノ粒子が充填構造を形成したコロイド結晶と呼ばれる構造体が挙げられ、シリカナノ粒子間に存在するナノサイズで、かつ周期的に配置された空隙を利用したフォトニック結晶等への展開を目指した研究が盛んに行われている。しかしながら、様々な次元や、スケールにおいて、設計された構造体にシリカナノ粒子を配列制御させるための手法は未だ確立されていないのが現状である。
 本発明は以上の点を考慮してなされたもので、シリカナノ粒子を配列制御させて、シリカナノ粒子の利用分野を従来よりも一段と拡大し得るナノ粒子構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。
 本発明の請求項1記載のシリカナノ粒子構造体は、複数のシリカナノ粒子が一次元で連結しているシリカナノ粒子構造部を有することを特徴とするものである。
 本発明の請求項2記載のシリカナノ粒子構造体は、前記シリカナノ粒子構造部が、前記シリカナノ粒子を含有した溶液に、一次元構造体形成能を有する一次元構造体形成物質を溶解し、pH調整剤によってpHを調整することにより作製されることを特徴とするものである。
 本発明の請求項3記載のシリカナノ粒子構造体は、前記一次元構造体形成物質は、ブロックコポリマー及び又はTEOS(テトラエトキシシラン)であることを特徴とするものである。
 本発明の請求項4記載のシリカナノ粒子構造体は、前記シリカナノ粒子が、所定の粒子径からなる第1シリカナノ粒子と、前記第1シリカナノ粒子の粒子径と異なる粒子径からなる第2シリカナノ粒子とからなり、前記シリカナノ粒子構造部は、前記第1シリカナノ粒子と前記第2シリカナノ粒子とが混在して一次元配列されて連結していることを特徴とするものである。
 本発明の請求項5記載のシリカナノ粒子構造体は、前記シリカナノ粒子が、所定の粒子径からなる第1シリカナノ粒子と、前記第1シリカナノ粒子の粒子径と異なる粒子径からなる第2シリカナノ粒子とからなり、前記シリカナノ粒子構造部は、前記第1シリカナノ粒子が一次元配列された状態で連結した第1シリカナノ粒子構造部と、前記第2シリカナノ粒子が一次元配列された状態で連結した第2シリカナノ粒子構造部とにより構成されていることを特徴とするものである。
 本発明の請求項6記載のシリカナノ粒子構造体の製造方法は、シリカナノ粒子を含有した溶液に、一次元構造体形成能を有する一次元構造体形成物質を溶解させて反応溶液を作製する溶解ステップと、前記反応溶液にpH調整剤を添加して該反応溶液のpHを調整することにより、前記シリカナノ粒子を一次元で連結させる連結ステップとを備えることを特徴とするものである。
 本発明の請求項7記載のシリカナノ粒子構造体の製造方法は、前記溶解ステップは、前記一次元構造体形成物質がブロックコポリマー及び又はTEOS(テトラエトキシシラン)であることを特徴とするものである。
 本発明の請求項8記載のシリカナノ粒子構造体の製造方法は、前記溶解ステップにおける前記溶液は、前記シリカナノ粒子として所定の粒子径からなる第1シリカナノ粒子を含有した第1溶液と、前記シリカナノ粒子として前記第1シリカナノ粒子の粒子径と異なる粒子径からなる第2シリカナノ粒子を含有した第2溶液とを混合させることにより作製することを特徴とするものである。
 本発明の請求項9記載のシリカナノ粒子構造体の製造方法は、前記溶解ステップにおける前記溶液は、前記シリカナノ粒子として所定の粒子径からなる第1シリカナノ粒子を含有した第1溶液と、前記シリカナノ粒子として前記第1シリカナノ粒子の粒子径と異なる粒子径からなる第2シリカナノ粒子を含有した第2溶液とからなり、前記溶解ステップは、前記第1溶液にブロックコポリマーを溶解させた第1反応溶液と、前記第2溶液にブロックコポリマーを溶解させた第2反応溶液とを作製し、前記連結ステップは、前記第1反応溶液に前記pH調整剤を添加して該第1反応溶液のpHを調整することにより、前記第1シリカナノ粒子を一次元配列させた状態で連結させると共に、前記第2反応溶液にも前記pH調整剤を添加して該第2反応溶液のpHを調整することにより、前記第2シリカナノ粒子を一次元配列させた状態で連結させ、前記連結ステップの後に、前記前記第1シリカナノ粒子を一次元配列させて連結させた第1シリカナノ粒子構造部と、前記前記第2シリカナノ粒子を一次元配列させて連結させた第2シリカナノ粒子構造部とを混ぜる混合ステップとを備えることを特徴とするものである。
 本発明の請求項10記載のシリカナノ粒子構造体の製造方法は、前記連結ステップが、前記pHを4以上8未満とすることを特徴とするものである。
 本発明の請求項11記載のシリカナノ粒子構造体の製造方法は、前記連結ステップが、前記反応溶液の前記pHを調整した後に、該反応溶液をエージングするエージングステップを備えることを特徴とするものである。
 本発明の請求項1記載のシリカナノ粒子構造体によれば、シリカナノ粒子を配列制御させた状態のまま各種用途に利用できるようになり、シリカナノ粒子の利用分野を従来よりも一段と拡大し得るシリカナノ粒子構造体を提供できる。
 本発明の請求項6記載のシリカナノ粒子構造体の製造方法によれば、溶液中に分散していたシリカナノ粒子が一次元配列し、かつ隣接するシリカナノ粒子が連結したシリカナノ粒子構造部を作製できるので、シリカナノ粒子を配列制御させた状態のまま各種用途に利用できるようになり、シリカナノ粒子の利用分野を従来よりも一段と拡大し得るシリカナノ粒子構造体を提供できる。
本発明によるシリカナノ粒子構造体の全体構成を示すSEM像である。 本発明によるシリカナノ粒子構造体の検証手順を示すフローチャートである。 F127の化学式を示す概略図である。 作製されたシリカナノ粒子構造体を示すSEM像である。 シリカナノ粒子構造体を真空凍結乾燥させたときのSEM像である。 反応溶液のpHを8、7.5及び7にしたときのSEM像である。 反応溶液のpHを6.5及び6にしたときのSEM像である。 反応温度が40℃、60℃及び80℃のときのSEM像である。 エージング時間が1日及び7日のときのSEM像である。 F127の添加量を変化させたときのSEM像である。 超音波照射を行わなかった反応溶液を用いて作製したシリカナノ粒子構造体と、超音波照射を行った反応溶液を用いて作製したシリカナノ粒子構造体とを示すSEM像である。 エージングの際に攪拌した反応溶液を用いて作製したシリカナノ粒子構造体を示すSEM像である。 径大シリカナノ粒の作製手順を示すフローチャートである。 径大シリカナノ粒を用いたシリカナノ粒子構造体の全体構成を示すSEM像である。 他の実施例によるシリカナノ粒子構造体の検証手順(1)を示すフローチャートである。 図15におけるフローチャートによって作製されたシリカナノ粒子構造体の全体構成を示すSEM像である。 他の実施例によるシリカナノ粒子構造体の検証手順(2)を示すフローチャートである。 図17におけるフローチャートによって作製されたシリカナノ粒子構造体の全体構成を示すSEM像である。 アルギニンを用いて作製されたシリカナノ粒子構造部の全体構成を示すSEM像である。 ヒスチジンを用いて作製されたシリカナノ粒子構造部の全体構成を示すSEM像である。 他の実施の形態によるシリカナノ粒子構造体の作製手順を示すフローチャートである。 図21のフローチャートによって作製されたシリカナノ粒子構造体の全体構成を示すSEM像及びTEM像である。 アルギニンの濃度及びエタノールの濃度の条件と、そのときの粒子の形状との関係を示す表である。 アルギニンとエタノールの各濃度条件を示した表と、このとき生成されたシリカナノ粒子構造部のSEM像である。 tert-ブタノールの濃度条件を示した表と、このとき生成されたシリカナノ粒子構造部のSEM像である。
 1、12、16、20、31、41、51 シリカナノ粒子構造体
 2、17、33、43、52 シリカナノ粒子構造部
 3、32、42、53 シリカナノ粒子
 10 径大シリカナノ粒子(第2シリカナノ粒子)
 11 径大シリカナノ粒子構造部(第2シリカナノ粒子構造部)
 15 径小シリカナノ粒子(第1シリカナノ粒子)
 21 径小シリカナノ粒子構造部(第1シリカナノ粒子構造部)
 以下図面に基づいて本発明の実施の形態を詳述する。
 (1)シリカナノ粒子構造体の全体構成
 図1は本発明によるシリカナノ粒子構造体1を走査型顕微鏡により撮影したSEM(Scanning Electron Microscope)像である。図1に示すように、このシリカナノ粒子構造体1は、複数のシリカナノ粒子構造部2から構成されている。各シリカナノ粒子構造部2は、複数のシリカナノ粒子3が直線状又は曲線状に並んでボールチェーン状に配列(以下、これを一次元配列と呼ぶ)されており、隣接するシリカナノ粒子3が連結されている。
 シリカナノ粒子構造部2は、シリカナノ粒子3の配列状態に異方性を有し、作製過程における溶液中のpH変化によりシリカナノ粒子3の配列状態が変化し、特にpHが4以上8未満のとき、シリカナノ粒子3が一次元配列した状態で連結し得るようになされている。すなわち、pHが4未満のときには、無秩序な凝集体の沈殿が生成されてシリカナノ粒子3が一次元配列の状態とならず、pHが8以上のときには、シリカナノ粒子3が分散して一次元配列の状態とならないことから、pHは4以上8未満であることが好ましい。なお、例えばpHを低くしたときでも、シリカナノ粒子構造体2の製造過程において用いられる例えばリシンやブロックコポリマーの添加量(後述する)等を変化させることにより、シリカナノ粒子3を一次元配列した状態で連結させることができる。
 実際上、このシリカナノ粒子3は、球状からなり、粒子径が約10nm~2μm程度のナノサイズにまで粒径制御されている。そして、シリカナノ粒子3は、数個から数十個を1つの単位としてシリカナノ粒子構造部2を形成し、例えば超音波等の外力が加えられても分散し得ない程度の堅さで互いに連結されている。
 (2)シリカナノ粒子構造体の製造方法
 かかる構成のシリカナノ粒子構造体1は以下の手順により作製することができる。ここでは、まず始めにシリカナノ粒子3の作製手順について説明した後、当該シリカナノ粒子3を用いてシリカナノ粒子構造体1を作製する作製手順について順に説明する。
 (2-1)シリカナノ粒子の作製手順
 塩基性アミノ酸を用いた合成法として、先ず始めに水に塩基性アミノ酸を溶解させた水溶液を作製する。ここで、塩基性アミノ酸としては、天然アミノ酸又は非天然アミノ酸のいずれでもよく、分子中にカルボキシル基、又は塩基性置換基を有するものであればよい。ここで塩基性置換基としてはアミノ基、置換アミノ基、又はイミノ基等がある。好ましい塩基性アミノ酸としては、α-アミノ酸のα位に、アミノ基、置換アミノ基、イミノ基等の塩基性置換基を1個又は2個以上有する炭素数1~10、好ましくは炭素数3~6の直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基が1個又は2個、好ましくは1個、置換したα-アミノ酸が挙げられる。
 ここで塩基性置換基としては、例えば、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、又はイミノ基などが挙げられる。ここでモノアルキルアミノ基としては、例えばメチルアミノ基や、エチルアミノ基等が挙げられ、ジアルキルアミノ基としては、例えばジメチルアミノ基や、ジエチルアミノ基等が挙げられ、イミノ基としては、例えばアミジノ基や、グアニジノ基等が挙げられる。置換基としてのアルキル基としては、炭素数1~10、好ましくは1~6の直鎖状又は分枝状の脂肪族炭化水素基、好ましくはアルキル基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
 塩基性置換基としては、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリノ基、ピペラジニル基、ホモピペラジニル基、ピリジル基、イミダゾリル基等の環状アミノ基やイミノ基であってもよいが、好ましくは鎖状のものが挙げられる。また、炭素数1~10、好ましくは炭素数3~6の直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基等が挙げられるが、好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、より好ましくはn-プロピル基、n-ブチル基等の直鎖状のアルキル基が挙げられる。
 好ましい塩基性アミノ酸の例としてはα-アミノ酸のα位に、アミノ基又はグアニジノ基を有するエチル基、n-プロピル基、n-ブチル基等が置換したアミノ酸、例えば、リシンやアルギニン、ヒスチジン等が挙げられる。このような塩基性アミノ酸は、光学活性体でもよく、またラセミ体でもよいが、入手の容易性から市販の光学活性塩基性アミノ酸が好ましい。そして、このような塩基性アミノ酸の水溶液は、塩基性アミノ酸の含有量が、0.1~20質量%、好ましくは0.5~10質量%の広い範囲の濃度で使用することができる。
 次いで、このような塩基性アミノ酸を溶解させた水溶液にアルコキシシランを加えて、40~100℃、好ましくは50~100℃で反応させ、シリカナノ粒子3が溶液中に生成されたコロイド溶液を作製する。ここで反応時間は10~80時間、好ましくは20~80時間程度であるが、通常は30~50時間程度である。この際、最初の10~20時間は、比較的低温、例えば40~80℃、好ましくは50~60℃程度で混合物の均一性を保持するためにプロペラやスターラー等により攪拌することが好ましい。また、反応を完結するために、5時間以上、好ましくは10時間以上高温(例えば70~100℃、好ましくは80~100℃)で静置させておくのが好ましい。なお、使用される塩基性アミノ酸のアルコキシシランに対する量は、アルコキシシラン1モルに対して、0.01~1.0、好ましくは0.015~0.5が挙げられるが、これに限定されるものではない。
 ここで、アルコキシシランとしては、塩基性アミノ酸の水溶液により加水分解されてシリカを形成できるものであれば、特に制限はない。好ましいアルコキシシランとしては、炭素数1~15、好ましくは1~10、より好ましくは1~6の直鎖状又は分枝状のアルキル基からなるアルコキシ基を有するものがある。アルコキシシランの4個のアルコキシ基は異なっていても、同じであってもよいが、好ましくは同じものであるテトラアルコキシシランが挙げられる。好ましいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましいアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)等が挙げられる。
 (2-2)シリカナノ粒子の他の作製手順
 シリカナノ粒子3の作製手順としては、上述した実施の形態に限らず、他の実施の形態を用いるようにしてもよい。他の実施の形態としては、例えば上述したリシンを含む塩基性アミノ酸を水に溶解させた水溶液の代わりに、プロピルアミン等の有機塩基を水に溶解して作製した水溶液を用いてもよく、この場合であっても同程度の粒子径からなるシリカナノ粒子3を作製することができる。
 また、この他の実施の形態としては、エタノール、水及びアンモニアの混合溶液を作成し、この混合溶液中にTEOSを添加し室温で反応させることにより、球状のシリカナノ粒子3を作製することができる。なお、この場合、TEOSの添加量等を変化させることにより、粒子径が約50nm~2μmの範囲内でシリカナノ粒子3の形状を制御することができる。
 (2-3)シリカナノ粒子構造体の作製手順
 次に、上述した作製手順により作製したシリカナノ粒子3を用いて、シリカナノ粒子構造体1を作製する作製手順について以下説明する。この場合、上述した作製手順により得た溶液としてのコロイド溶液に、ブロックコポリマーを添加して溶解させることにより反応溶液を作製する。この際、例えば40~80℃からなる所定の反応温度に維持したままの状態で、所定時間撹拌することによりコロイド溶液にブロックコポリマーを溶解させてもよい。なお、反応温度を80℃にしたときには、ゲル化した反応溶液を作製できる。
 ブロックコポリマーの添加量は、コロイド溶液中のシリカの量を基準とし、シリカ(SiO):ブロックコポリマー=1:x(w:w(質量比))とした場合、xは0.5以上であることが好ましい。すなわち、xが0.5未満のときには一次元配列していないゲルまたは沈殿となることから、xは0.5以上であることが好ましい。
 ここで、ブロックコポリマーとは、相異なる性質を持つポリマーを化学結合させた分子である。具体的にブロックコポリマーとしては、RO-(RO)-(RO)-(RO)-Rで表されるトリブロックコポリマーや、RO-(RO)-(RO)-Rで表されるジブロックコポリマーを適用できる。この場合、R及びRは、H、又は炭素数1~6の低級アルキレン基を表し、R、R及びRは、炭素数2~6の低級アルキレン基を表し、s、t及びuは2~200の数を表す。なお、このようなブロックコポリマーは、例えば、BASF社からPluronicシリーズとして販売されている。
 また、他のブロックコポリマーとしては、親水ブロックをポリエチレンオキシド(以下、PEOと呼ぶ)とし、疎水ブロックをポリスチレン(以下、PSと呼ぶ)又はポリイソプレン(以下、PIと呼ぶ)としたブロックコポリマーを適用でき、この場合、PEO-PS(又はPI)-PEOからなるトリブロックコポリマーと、PEO-PS(又はPI)からなるジブロックブロックコポリマーとがあり、PEOブロックの重合度は2~200で表され、PS(又はPI)ブロックの重合度は2~50で表される。
 次いで、コロイド溶液にブロックコポリマーを溶解させた反応溶液に塩酸(HCl)を添加することによりpHを4以上8未満に調整する。そして、ブロックコポリマー及びシリカナノ粒子の自己組織化を促すために、一定時間(以下、これをエージング時間と呼ぶ)、所定の反応温度で反応溶液を静置するエージングを行う。これにより、数個から数十個のシリカナノ粒子3が一次元配列した状態で連結したシリカナノ粒子構造部2が作製され得る。なお、反応溶液は、エージング時間の経過に伴い、白濁が進行し、粘度が上昇し得る。ここで、複数のシリカナノ粒子構造部2からなるシリカナノ粒子構造体1を作製する際のパラメータと、このパラメータの支配要因との関係は以下の表1のようになっている。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1に示すように、反応溶液のpHを示す溶液pHを調整した場合には、ミセル形状・シリケート種との相互作用やシリカナノ粒子3間の縮合(粒子間縮合)を調整できる。また、反応温度を調整した場合には、ミセル形状やシリカナノ粒子3の縮合速度を調整でき、エージング時間を調整した場合には、シリカナノ粒子3の配列の進行を調整できる。さらに、ブロックコポリマーとして例えばF127を使用したときの添加量を示すF127添加量を調整した場合には、ミセル形状を調整でき、シリカナノ粒子3の粒子径を調整した場合には、シリカナノ粒子3のビルディングユニットとしての働きや、シリカナノ粒子3の表面積(粒子表面積)を調整できる。従って、シリカナノ粒子構造体1は、作製過程において、これらパラメータを適宜調整することにより、所定形状のシリカナノ粒子3を所望の配置状態に調整したシリカナノ粒子構造部2を作製できる。
 (3)動作及び効果
 以上の構成において、シリカナノ粒子3を含有したコロイド溶液中に、ブロックコポリマーを添加すると共に、所定のpHに調整することにより、コロイド溶液中に分散していたシリカナノ粒子3を一次元配列させ、かつ隣接するシリカナノ粒子3が外力を加えても分散し得ない程度の堅さで連結したシリカナノ粒子構造部2を作製できる。かくして、従来においてコロイド溶液中に分散しているシリカナノ粒子3を配列制御させた状態のまま各種用途に利用できるようになり、シリカナノ粒子3の利用分野を従来よりも一段と拡大し得るシリカナノ粒子構造体1を提供できる。
 また、このシリカナノ粒子構造体1では、作製過程において、pHを6~6.5に調整することにより、シリカナノ粒子3を1.5~2本の鎖状に一次元配列させ、この状態のままシリカナノ粒子3を連結させることができる。さらに、シリカナノ粒子構造体1では、作製過程において、pHを7~7.5に調整することにより、シリカナノ粒子3を1本の鎖状に一次元配列した状態でシリカナノ粒子3を連結させることができる。このように、シリカナノ粒子構造体1では、作製過程において、pHを調整することにより、シリカナノ粒子3の一次元配列の状態を変化させることができる。
 そして、シリカナノ粒子構造体1の作製過程において、エージング時間を長くすることにより、エージング時間の経過に伴い、シリカナノ粒子3を一段と多く連結させて一次元配列させることができるので、シリカナノ粒子構造部2自体の長さを伸張させることができる。
 また、このようなシリカナノ粒子構造体1では、シリカナノ粒子3の密度を制御することにより、誘電率や屈折率を容易に制御することができ、さらに低密度の物質であるエアロゲルを容易に作製することができる。
(4)シリカナノ粒子構造体の作製ついて
 次に、上述したシリカナノ粒子構造体1が作製されることについて検証を行った。図2はシリカナノ粒子構造体1の検証手順を示すフローチャートであり、開始ステップRT1からステップSP1に移り、水(HO)に塩基性アミノ酸としてリシン(図2中「-lysine」とする)を溶解させて水溶液を作製した。
 次いで、この水溶液にTEOSを添加し(ステップSP2)、60℃のウォーターバス中において、500rpmの回転速度で24時間撹拌してコロイド溶液を作製した(ステップSP3)。なお、原料モル比は、1(TEOS):154.4(HO):0.02(-lysine)とした。これによりコロイド溶液内に粒子径が約15nmのシリカナノ粒子3が生成された(ステップSP4)。
 次いで、作製したコロイド溶液に、ブロックコポリマーとして、図3に示すようなF127を添加した後(ステップSP5)、反応温度Tを60℃として24時間撹拌し(ステップSP6)、F127をコロイド溶液に完全に溶解させて反応溶液を作製した。なお、図3において、MWは分子量を示し、HLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance:親水疎水比)は界面活性剤の特性を示し、CMC(critical micelle concentration)は臨界ミセル濃度を示す。また、F127の添加量は、コロイド溶液中のシリカ(SiO)の量を基準とし、SiO:F127=1:1(W:W)とした。
 すなわち、この実施例では、水(H0)と、リシンと、TEOSと、F127とを、次の表2に示すような分量とした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 なお、表2における「E-3」は10-3を示し、「E-4」は10-4を示す。
 続いて、塩酸を用いて反応溶液のpHを7に調整し(ステップSP7)、エージングとして反応温度Tを60℃とすると共に、エージング時間を3日として、その間、反応溶液を静置した(ステップSP8)。
 次いで、反応溶液を検証するために、ディップコーティングによって反応溶液中の粒子をSi基板に付着させた後(ステップSP9)、有機成分を除去するためにUVオゾン処理(紫外線波長172nm、圧力50Pa、照射時間30min)を行った(ステップSP10)。次いで、反応溶液中のシリカナノ粒子を付着させたSi基板を走査型顕微鏡により撮影してSEM像を得(ステップSP11)、シリカナノ粒子構造体の検証手順を終了した(ステップSP12)。
 このときのSEM像を図4(A)に示す。図4(A)に示すように、Si基板5には、多くのシリカナノ粒子3が積層されていることが確認できたと共に、数個から数十個のシリカナノ粒子3が一次元配列した状態で連結したシリカナノ粒子構造部2が作製されていることが確認できた。
 次いで、上述したステップSP8におけるエージングの後に反応溶液を蒸留水で4倍に希釈してディップコーティングを行って(ステップSP9)、Si基板上に付着するシリカナノ粒子構造部2の密度を減少させ、シリカナノ粒子3の配列形態を判断し易くした。このときのSEM像を図4(B)に示す。図4(B)からも、シリカナノ粒子3が数個から数十個単位で一次元配列されて連結したシリカナノ粒子構造部2が複数作製されていることが確認できた。
 因みに、図5は、F127の添加量をSiO:F127=1:1とし、ステップSP6及びステップSP8における反応温度Tを60℃とし、ステップSP7におけるpHを7とし、エージング時間を5日として作製したシリカナノ粒子構造体1を真空凍結乾燥させたときのSEM像を示すものである。図5に示すように、複数のシリカナノ粒子3が一次元配列されて連結したシリカナノ粒子構造部2を作製できたと共に、複数のシリカナノ粒子構造部2が積層したシリカナノ粒子構造体1を作製できた。
 (5)各種パラメータの依存性について
 (5-1)溶液pH
 次に、図2におけるシリカナノ粒子構造体1の検証手順において、F127の添加量をSiO:F127=1:1とし、ステップSP6及びステップSP8における反応温度Tを60℃とし、ステップSP8におけるエージング時間を5日とした。また、この条件においてステップSP7におけるpHを8、7.5、7、6.5及び6にそれぞれ調整した5種類の反応溶液を作製し、ディップコーティングによって各反応溶液中のシリカナノ粒子3をSi基板5にそれぞれ付着させて(ステップSP9)、UVオゾン処理を行った(ステップSP10)。このようにして反応溶液中のシリカナノ粒子3を付着させた各Si基板5を走査型顕微鏡により撮影し(ステップSP11)、これにより得られたSEM像の検証を行った。
 pHを8にした場合には、図6(A)に示すように、シリカナノ粒子3が分散した状態のままでシリカナノ粒子構造部2が作製されないことが確認できた。これに対してpHを7.5又は7にした場合には、図6(B)又は(C)に示すように、シリカナノ粒子3が1本の鎖状に一次元配列された状態のまま連結したシリカナノ粒子構造部2を作製できることが確認できた。
 また、pHを6.5又は6にした場合には、図7(A)又は(B)に示すように、シリカナノ粒子3が1.5~2本の鎖状に一次元配列された状態のまま連結したシリカナノ粒子構造部2を作製できることが確認できた。
 (5-2)反応温度
 次に、図2におけるシリカナノ粒子構造体1の検証手順において、F127の添加量をSiO:F127=1:1とし、ステップSP7におけるpHを7とし、ステップSP8におけるエージング時間を7日とした。また、この条件においてステップSP6及びステップSP8における反応温度Tを40℃、60℃又は80℃にした3種類の反応溶液を作製し、ディップコーティングによって各反応溶液中のシリカナノ粒子3をSi基板5にそれぞれ付着させて(ステップSP9)、UVオゾン処理を行った(ステップSP10)。このようにして反応溶液中のシリカナノ粒子3を付着させた各Si基板5を走査型顕微鏡により撮影し(ステップSP11)、これにより得られたSEM像の検証を行った。
 図8(A)は反応温度Tを40℃にした反応溶液を用いたときのSEM像を示し、図8(B)は反応温度Tを60℃にした反応溶液を用いたときのSEM像を示し、図8(C)は反応温度Tを80℃にした反応溶液を用いたときのSEM像を示す。図8(A)~(C)から、シリカナノ粒子3が1本の鎖状に一次元配列された状態のまま連結したシリカナノ粒子構造部2を作製できることが確認できた。また、反応温度Tを高くしてゆくに従ってシリカナノ粒子構造部2の長さが次第に伸張してゆき、ネットワーク化が進むことが確認できた。なお、反応温度Tを80℃にした場合には、エージング中に反応溶液がゲル化することが確認できた。従って、ゲル化した反応溶液を利用する場合には、反応時間Tを80℃以上にすることが好ましいことが確認できた。
 (5-3)エージング時間
 次に、図2におけるシリカナノ粒子構造体1の検証手順において、F127の添加量をSiO:F127=1:1とし、ステップSP6及びステップSP8における反応温度Tを60℃とし、ステップSP7におけるpHを7.5とした。また、この条件においてステップSP8におけるエージング時間を1日又は7日にした2種類の反応溶液を作製し、ディップコーティングによって各反応溶液中のシリカナノ粒子3をSi基板5にそれぞれ付着させて(ステップSP9)、UVオゾン処理を行った(ステップSP10)。このようにして反応溶液中のシリカナノ粒子3を付着させた各Si基板5を走査型顕微鏡により撮影し(ステップSP11)、これにより得られたSEM像の検証を行った。
 図9(A)はエージング時間が1日の反応溶液を用いたときのSEM像を示し、図9(B)はエージング時間が7日の反応溶液を用いたときのSEM像を示す。図9(A)及び(B)から、エージング時間の経過に伴い、シリカナノ粒子構造部2の長さが次第に伸張してゆくことが確認できた。また、反応溶液の物性変化としては、エージング時間の経過に伴い、白濁が進行し、粘度が上昇することが確認できた。
 (5-4)F127の添加量
 次に、図2におけるシリカナノ粒子構造体1の検証手順において、ステップSP6及びステップSP8における反応温度Tを60℃とし、ステップSP7におけるpHを7.2とし、ステップSP8におけるエージング時間を3日とした。また、この条件においてF127の添加量を示すSiO:F127=1:xのxを、0.5、0.8、1.2、1.5又は2.0にした5種類の反応溶液を作製し、ディップコーティングによって各反応溶液中のシリカナノ粒子3をSi基板5にそれぞれ付着させて(ステップSP9)、UVオゾン処理を行った(ステップSP10)。このようにして反応溶液中のシリカナノ粒子3を付着させた各Si基板5を走査型顕微鏡により撮影し(ステップSP11)、これにより得られたSEM像の検証を行った。
 図10(A)~(E)に示すように、xを0.5、0.8、1.2、1.5又は2.0にしたいずれの反応溶液を用いても、シリカナノ粒子3が一次元配列された状態のまま連結したシリカナノ粒子構造部2を作製できることが確認できた。また、xを0.5にした反応溶液を用いた場合には、エージング中に白沈殿が生じたが、図9(A)に示すSEM像から、高度にネットワーク化したシリカナノ粒子3によるものであることが確認できた。
 (6)シリカナノ粒子構造体におけるシリカナノ粒子の連結度合いについて
 次に、図2におけるシリカナノ粒子構造体1の検証手順において、ステップSP8における反応溶液に対し約30min超音波照射を与えた後、ディップコーティングによって反応溶液中のシリカナノ粒子3をSi基板5に付着させて(ステップSP9)、UVオゾン処理を行った(ステップSP10)。次いで、このようにして反応溶液中のシリカナノ粒子3を付着させたSi基板5を走査型顕微鏡により撮影し(ステップSP11)、これにより得られたSEM像の検証を行った。
 ここで、図11(A)は、反応溶液に超音波照射を行わずに、当該反応溶液中のシリカナノ粒子3を付着させたSi基板5を走査型顕微鏡により撮影したSEM像である。これに対して、図11(B)は、反応溶液に超音波照射を行い、当該反応溶液中のシリカナノ粒子3を付着させたSi基板5を走査型顕微鏡により撮影したSEM像である。
 図11(A)及び(B)から、シリカナノ粒子構造部2は、超音波照射等の外力が与えられても、シリカナノ粒子3が分散せずに一次元配列した状態のまま連結し続けることが確認できた。すなわち、シリカナノ粒子構造部2は、隣接するシリカナノ粒子3が外力を加えても分散し得ない程度の堅さで連結していることが確認できた。
 次に、図2におけるシリカナノ粒子構造体1の検証手順において、F127の添加量をSiO:F127=1:1とし、ステップSP6及びステップSP8における反応温度Tを60℃とし、ステップSP7におけるpHを7とし、ステップSP8におけるエージング時間を3日とした。また、この条件においてエージングの際に各反応溶液を200rpm、500rpm又は800rpmの回転速度でそれぞれ攪拌し続けた後、ディップコーティングによって各反応溶液中のシリカナノ粒子3をSi基板5にそれぞれ付着させて(ステップSP9)、UVオゾン処理を行った(ステップSP10)。このようにして反応溶液中のシリカナノ粒子3を付着させた各Si基板5を走査型顕微鏡により撮影し(ステップSP11)、これにより得られたSEM像の検証を行った。
 図12(A)、(B)及び(C)に示すSEM像から、エージングの際に反応溶液を200rpm、500rpm又は800rpmの回転速度でそれぞれ攪拌させても、シリカナノ粒子3が分散せずに一次元配列された状態で連結したシリカナノ粒子構造部2が作製できることが確認できた。
 (7)他の実施例によるシリカナノ粒子構造体について
 (7-1)シリカナノ粒子の粒子径が大きいシリカナノ粒子構造体について
 次に、上述した実施例のシリカナノ粒子構造体1と比べて、粒子径が約2倍の30nm程度からなるシリカナノ粒子(以下、これを径大シリカナノ粒子と呼ぶ)を一次元配列させて連結させたシリカナノ粒子構造部(以下、これを径大シリカナノ粒子構造部と呼ぶ)を作製した。図13は、このシリカナノ粒子構造体の検証手順を示すフローチャートであり、開始ステップRT2からステップSP21に移り、水(HO)に塩基性アミノ酸としてリシン(図13中「-lysine」とする)を溶解させて水溶液を作製した。
 ここで、最終的な原料モル比として、1(TEOS):154.4(HO):0.02(-lysine)の割合で水溶液にTEOSを添加するが、先ず始めにそのうち半分の量のTEOS(図13中に「TEOS(1/2)」とする)を水溶液に添加し(ステップSP22)、60℃のウォーターバス中において、500rpmの回転速度で24時間撹拌した(ステップSP23)。次いで、残り半分の量のTEOSを、さらにこの水溶液に添加し(ステップSP24)、60℃のウォーターバス中において、500rpmの回転速度で24時間撹拌してコロイド溶液を作製した(ステップSP25)。これによりコロイド溶液内に粒子径が約30nmの径大シリカナノ粒子が生成された(ステップSP26)。
 次いで、上述した図2におけるステップSP5以降の検証手順に従うことにより、粒子径が約30nm程度からなる径大シリカナノ粒子を一次元配列させて連結させた径大シリカナノ粒子構造部を反応溶液中に作製できた(ステップSP5~ステップSP8)。続いて、ディップコーティングによって反応溶液中の径大シリカナノ粒子をSi基板5に付着させて(ステップSP9)、UVオゾン処理を行った後(ステップSP10)、当該Si基板5を走査型顕微鏡により撮影し(ステップSP11)、これにより得られたSEM像の検証を行った。
 ここで、図14は反応溶液中のシリカナノ粒子構造体12を付着させたSi基板5を走査型顕微鏡により撮影したSEM像である。図14から、粒子径が約30nm程度の径大シリカナノ粒子10が作製できていることを確認できたと共に、当該径大シリカナノ粒子10が一次元配列した状態のまま連結した径大シリカナノ粒子構造部11を作製できることが確認できた。
 (7-2)粒子径が異なる複数種類のシリカナノ粒子が混在して一次元配列しているシリカナノ粒子構造体について
 次に、粒子径が小さいシリカナノ粒子(以下、これを径小シリカナノ粒子と呼ぶ)と、粒子径が大きい径大シリカナノ粒子とが混在して一次元配列して連結したシリカナノ粒子構造部を作製した。
 図15は、このシリカナノ粒子構造体の検証手順を示すフローチャートであり、開始ステップRT3からサブルーチンSRT1及びサブルーチンSRT2に移り、サブルーチンSRT1において、上述した図2におけるステップSP1~ステップSP4の検証手順に従って、コロイド溶液(第1溶液)内に粒子径が約15nmの径小シリカナノ粒子15を作製した。また、これとは別に上述した図13におけるステップSP21~ステップSP26の検証手順に従って、コロイド溶液(第2溶液)内に粒子径が約30nmの径大シリカナノ粒子10を作製した(サブルーチンSRT2)。
 次いで、サブルーチンSRT1により作製したコロイド溶液と、サブルーチンSRT2により作製したコロイド溶液とを混ぜて攪拌した後(ステップSP31)、F127を添加して溶解させた(ステップSP32)。続いて、塩酸を用いて反応溶液のpHを7に調整し(ステップSP33)、走査型顕微鏡により撮影してSEM像を得(図2におけるステップSP11)、シリカナノ粒子構造体の作製手順を終了した(ステップSP12)。
 図16はこのシリカナノ粒子構造体16を走査型顕微鏡により撮影したSEM像である。図16から、粒子径が約15nm程度の径小シリカナノ粒子15と、粒子径が約30nm程度の径大シリカナノ粒子10とが混在して一次元配列し、かつこの状態のまま連結したシリカナノ粒子構造部17が作製できることが確認できた。
 (7-3)粒子径が異なる複数種類のシリカナノ粒子が同じ粒子径毎に一次元配列しているシリカナノ粒子構造体について
 次に、径小シリカナノ粒子構造部と径大シリカナノ粒子構造部とが混在したシリカナノ粒子構造体を作製した。ここで、径小シリカナノ粒子構造部は、粒子径が小さい径小シリカナノ粒子15が一次元配列した状態のまま連結した構成を有し、径大シリカナノ粒子構造部は、径小シリカナノ粒子構造部における径小シリカナノ粒子15の粒子径よりも粒子径が大きい径大シリカナノ粒子10が一次元配列し、この状態のまま連結した構成を有する。
 図17は、このシリカナノ粒子構造体の検証手順を示すフローチャートであり、開始ステップRT4からサブルーチンSRT1及びサブルーチンSRT2に移り、サブルーチンSRT1において、上述した図2におけるステップSP1~ステップSP4の検証手順に従って、コロイド溶液(第1溶液)内に粒子径が約15nmの径小シリカナノ粒子15を作製した。また、これとは別に上述した図13におけるステップSP21~ステップSP26の検証手順に従って、コロイド溶液(第2溶液)内に粒子径が約30nmの径大シリカナノ粒子10を作製した(サブルーチンSRT2)。
 次いで、サブルーチンSRT1により作製したコロイド溶液にF127を添加して溶解させた後(ステップSP41)、塩酸を用いて反応溶液のpHを7に調整し第1反応溶液を作製した(ステップSP42)。一方、これとは別にサブルーチンSRT2により作製したコロイド溶液にF127を添加して溶解させた後(ステップSP43)、塩酸を用いて反応溶液のpHを7に調整し第2反応溶液を作製した(ステップSP44)次いで、第1反応溶液と第2反応溶液とを混ぜて攪拌した後(ステップSP45)、走査型顕微鏡により撮影してSEM像を得(図2におけるステップSP11)、シリカナノ粒子構造体の検証手順を終了した(ステップSP12)。
 図18はこのシリカナノ粒子構造体20を走査型顕微鏡により撮影したSEM像である。図18から、粒子径が約15nm程度の径小シリカナノ粒子15が一次元配列した状態で連結した径小シリカナノ粒子構造部21が作製されていることが確認できたと共に、粒子径が約30nm程度の径大シリカナノ粒子10が一次元配列した状態で連結した径大シリカナノ粒子構造部17が作製されていることが確認できた。また、このような径小シリカナノ粒子構造部21と径大シリカナノ粒子構造部17とがそれぞれ個別に形成されて混在したシリカナノ粒子構造体20が作製できることが確認できた。
 (8)塩基性アミノ酸としてアルギニン又はヒスチジンを用いた場合について
 次に、塩基性アミノ酸としてリシンに替えてアルギニンを用いて、図2におけるシリカナノ粒子構造体の検証手順に従ってシリカナノ粒子構造体を作製した。具体的には、ステップSP1において水(HO)に塩基性アミノ酸としてアルギニンを溶解させて水溶液を作製した。また、この条件においてステップSP7におけるpHを7.2に調整した反応溶液を作製し、ステップSP8~ステップSP10を経由して反応溶液中のシリカナノ粒子を付着させたSi基板を走査型顕微鏡により撮影し(ステップSP11)、これにより得られたSEM像の検証を行った。
 図19は、これにより作製されたシリカナノ粒子構造体31を走査型顕微鏡により撮影したSEM像である。図19から、塩基性アミノ酸としてアルギニンを用いた場合でも、シリカナノ粒子32を一次元配列させた状態で連結させたシリカナノ粒子構造部33が作製できることが確認できた。
 次に、塩基性アミノ酸としてヒスチジンを用いて、図2におけるシリカナノ粒子構造体の検証手順に従ってシリカナノ粒子構造体を作製した。具体的には、ステップSP1において、塩基性アミノ酸としてヒスチジンを水(HO)に溶解させて水溶液を作製した。また、この条件においてステップSP7におけるpHを7.2に調整した反応溶液を作製し、ステップSP8~ステップSP10を経由して反応溶液中のシリカナノ粒子を付着させたSi基板を走査型顕微鏡により撮影し(ステップSP11)、これにより得られたSEM像の検証を行った。
 図20は、これにより作製されたシリカナノ粒子構造体41を走査型顕微鏡により撮影したSEM像である。図19から、塩基性アミノ酸としてヒスチジンを用いた場合でも、シリカナノ粒子42を一次元配列させた状態で連結させたシリカナノ粒子構造部43が作製できることが確認できた。
 因みに、以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能であり、例えば上述した実施例において粒子径が約15nmや30nmに限らず、種々の粒子径からなる複数種類のシリカナノ粒子を混在させて一次元配列させたり、或いは、粒子径が約15nmや30nm以外のシリカナノ粒子を用いて、第1シリカナノ粒子構造部及び第2シリカナノ粒子構造部を作製するようにしてもよい。
 また、上述した実施の形態においては、pHを調整するpH調整剤として、塩酸を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、反応溶液のpH調整によりシリカナノ粒子を一次元配列させた状態で連結させることができれば、硝酸や、硫酸、酢酸等この他種々のpH調整剤を用いるようにしてもよい。
 さらに、上述した実施の形態においては、シリカナノ粒子3が一次元配列した状態で連結したシリカナノ粒子構造部2とした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、複数のシリカナノ粒子が直線状又は曲線状に並んでボールチェーン状に配列(一次元配列)されずに、複数のシリカナノ粒子が単に凝集する等この他種々の一次元で連結しているシリカナノ粒子構造部であってもよい。
 (9)ブロックコポリマーの替わりにTEOSを用いた場合について
 上述した実施の形態においては、シリカナノ粒子構造体1を作製する際に、一次元構造体形成物質としてブロックコポリマーを用いているが、当該ブロックコポリマーに替えてTEOSを添加してもシリカナノ粒子構造体を作製できる。
 (9-1)シリカナノ粒子構造体の製造方法
 図21は、一次元構造体形成物質としてTEOSを添加しシリカナノ粒子構造体を作製する作製手順を示すフローチャートであり、開始ステップRT51からステップSP51に移り、塩基性アミノ酸としてアルギニン(-Arginine)136.5mg(0.7836mmol)を脱イオン水(HO)103.5gに60℃で溶解させて水溶液を調製した。
 次いで、この水溶液にテトラエトキシシラン(TEOS)7.8125g(37.50mmol)を加え(ステップSP52)、60℃のウォーターバス中において、500rpmの回転速度で24時間撹拌してコロイド溶液を作製した(ステップSP53)。これによりコロイド溶液内に粒子径が約22nmのシリカナノ粒子が生成された(ステップSP54)。
 次いで、作製したコロイド溶液から1.4gのシード溶液を取り出して、0.0518gのアルギニンをそのシード溶液に添加し(ステップSP55)、シード溶液にアルギニンを完全に溶解した後、12.8gのエタノールと3.2gの水を添加して(ステップSP56)、反応溶液を作製した。
 続いて、室温で一日反応溶液を静置してエージングした(ステップSP57)。次いで、反応溶液にテトラエトキシシラン(TEOS)0.4g(2mmol)を添加し(ステップSP58)、60℃のウォーターバス中において、500rpmの回転速度で24時間撹拌して、目的生成物であるシリカナノ粒子構造体を合成した(ステップSP59)。なお、ここでは、ステップSP58において、上述した実施の形態において用いたブロックコポリマーに替えてTEOSを添加している。
 次いで、この目的生成物を検証するために、ディップコーティングによって溶液中の粒子をSi基板に付着させた後(ステップSP60)、アルギニンを除去するためにUVオゾン処理(紫外線波長172nm、圧力50Pa、照射時間20min)を行った。次いで、シリカナノ粒子を付着させたSi基板を走査型顕微鏡により撮影してSEM像を得、得られた生成物を透過型電子顕微鏡で観察し(ステップSP61)、シリカナノ粒子構造体の作製手順を終了した(ステップSP62)。なお、TEM資料は、サンプルをマイクログリッドに滴下し、自然乾燥させることにより作製した。
 このときのSEM像とTEM像を図22に示す。図22に示すように、SEM像では、湾曲した棒状のシリカたるシリカナノ粒子構造部52で構成されたシリカナノ粒子構造体51がSi基板上に確認できた。ここでシリカナノ粒子構造部52は、シード粒子53が連結し、さらにそれらが、TEOSの加水分解、重縮合によって生成したシリカで覆われている構造体であると考えられる。図22に示すように、TEM像からも同じ結果が得られた。
 (9-2)アルギニンとエタノールの濃度
 次に、各種パラメータの依存性について検討を行った。ここでは、ステップSP55において添加したアルギニンの添加量と、ステップSP56において添加したエタノールの添加量とをそれぞれ変化させて多様な反応溶液を作製した。このとき、他の条件は、上述した「(9-1)シリカナノ粒子構造体の製造方法」と同じとし、同様の方法でSEM像による観察を行った。
 アルギニンの濃度及びエタノールの濃度の変化と、そのときの粒子の形状との関係を図23に示す。図23において示す領域(A)では、シード粒子をテンプレートとせず、ステップSP58で加えたTEOSによる新しい粒子の形成が見られた。すなわち、2種類のサイズの粒子が系中に存在し、棒状粒子の生成は見られなかった。領域(B)ではシード粒子をテンプレートとし、ステップSP58で加えたTEOSによる粒子成長が見られ、単分散な粒子が形成されたが、棒状粒子は見られなかった。領域(C)では、領域(B)で見られた単分散な粒子に加え、棒状粒子が見られた。領域(D)では棒状粒子のみが見られた。領域(E)では棒状粒子と、粒子の凝集体が観察された。
 ここで領域(D)における代表的な粒子の写真と添加物濃度条件(すなわちアルギ二ン濃度とエタノール濃度)との関係を図24に示す。図24(a)では、アルギ二ン濃度12.5mM及びエタノール濃度75.0wt%としたときのSEM像であり、棒状粒子たるシリカナノ粒子構造部52が確認できた。また、図24(b)~(f)に示すように、各アルギ二ン濃度及びエタノール濃度の条件のときでも、棒状粒子たるシリカナノ粒子構造部52が確認できた。
 (9-3)アルコールの種類
 次に、ステップSP56において添加するアルコールの種類を変更し、棒状シリカ粒子たるシリカナノ粒子構造部52が生成されるか確認した。上述した実施の形態においては、ステップSP56で添加されるアルコールとして、エタノールを用いたが、当該エタノールに替えて例えばメタノール、イソプロパノール、プロパノール、tert-ブタノールを添加した。そして、メタノール、イソプロパノール、プロパノール、tert-ブタノールについては、例えばそれぞれのアルコール濃度が93%、74.3%、65%、62.5%、50%付近において棒状シリカ粒子たるシリカナノ粒子構造部52が生成されることを確認した。
 ここでtert-ブタノールを添加した場合の代表的な結果を図25に示す。図25では、アルギニン濃度を15.0mMとし、各tert-ブタノールの濃度を変え、これにより生成された各生成物のSEM像を得、その構造を確認した。図25からtert-ブタノールの濃度を48%、49%、50.0%、53.0%、としても、シリカナノ粒子が一次元で連結したシリカナノ粒子構造部が生成されていることが確認できた。tert-ブタノールの濃度を56.0%、69.5%とした場合には粒子は3次元凝集体を形成した。
 なお、複数のシリカナノ粒子が一次元で連結しているシリカナノ粒子構造部を作製できれば、アルギニン濃度やエタノール濃度、TEOSの添加量、アルコールの種類等についてこの他種々の条件に変更してもよい。
             

Claims (11)

  1.  複数のシリカナノ粒子が一次元で連結しているシリカナノ粒子構造部を有する
     ことを特徴とするシリカナノ粒子構造体。
  2.  前記シリカナノ粒子構造部は、
     前記シリカナノ粒子を含有した溶液に、一次元構造体形成能を有する一次元構造体形成物質を溶解し、pH調整剤によってpHを調整することにより作製される
     ことを特徴とする請求項1記載のシリカナノ粒子構造体。
  3.  前記一次元構造体形成物質は、ブロックコポリマー及び又はTEOS(テトラエトキシシラン)である
     ことを特徴とする請求項2記載のシリカナノ粒子構造体。
  4.  前記シリカナノ粒子は、
     所定の粒子径からなる第1シリカナノ粒子と、前記第1シリカナノ粒子の粒子径と異なる粒子径からなる第2シリカナノ粒子とからなり、
     前記シリカナノ粒子構造部は、前記第1シリカナノ粒子と前記第2シリカナノ粒子とが混在して一次元配列されて連結している
     ことを特徴とする請求項1乃至3うちいずれか1項記載のシリカナノ粒子構造体。
  5.  前記シリカナノ粒子は、
     所定の粒子径からなる第1シリカナノ粒子と、前記第1シリカナノ粒子の粒子径と異なる粒子径からなる第2シリカナノ粒子とからなり、
     前記シリカナノ粒子構造部は、
     前記第1シリカナノ粒子が一次元配列された状態で連結した第1シリカナノ粒子構造部と、前記第2シリカナノ粒子が一次元配列された状態で連結した第2シリカナノ粒子構造部とにより構成されている
     ことを特徴とする請求項1乃至3うちいずれか1項記載のシリカナノ粒子構造体。
  6.  シリカナノ粒子を含有した溶液に、一次元構造体形成能を有する一次元構造体形成物質を溶解させて反応溶液を作製する溶解ステップと、
     前記反応溶液にpH調整剤を添加して該反応溶液のpHを調整することにより、前記シリカナノ粒子を一次元で連結させる連結ステップと
     を備えることを特徴とするシリカナノ粒子構造体の製造方法。
  7.  前記溶解ステップは、前記一次元構造体形成物質がブロックコポリマー及び又はTEOS(テトラエトキシシラン)である
     ことを特徴とする請求項6記載のシリカナノ粒子構造体の製造方法。
  8.  前記溶解ステップにおける前記溶液は、
     前記シリカナノ粒子として所定の粒子径からなる第1シリカナノ粒子を含有した第1溶液と、
     前記シリカナノ粒子として前記第1シリカナノ粒子の粒子径と異なる粒子径からなる第2シリカナノ粒子を含有した第2溶液と
     を混合させることにより作製する
     ことを特徴とする請求項6又は7記載のシリカナノ粒子構造体の製造方法。
  9.  前記溶解ステップにおける前記溶液は、
     前記シリカナノ粒子として所定の粒子径からなる第1シリカナノ粒子を含有した第1溶液と、
     前記シリカナノ粒子として前記第1シリカナノ粒子の粒子径と異なる粒子径からなる第2シリカナノ粒子を含有した第2溶液とからなり、
     前記溶解ステップは、
     前記第1溶液にブロックコポリマーを溶解させた第1反応溶液と、前記第2溶液にブロックコポリマーを溶解させた第2反応溶液とを作製し、
     前記連結ステップは、
     前記第1反応溶液に前記pH調整剤を添加して該第1反応溶液のpHを調整することにより、前記第1シリカナノ粒子を一次元配列させた状態で連結させると共に、前記第2反応溶液にも前記pH調整剤を添加して該第2反応溶液のpHを調整することにより、前記第2シリカナノ粒子を一次元配列させた状態で連結させ、
     前記連結ステップの後に、
     前記前記第1シリカナノ粒子を一次元配列させて連結させた第1シリカナノ粒子構造部と、前記前記第2シリカナノ粒子を一次元配列させて連結させた第2シリカナノ粒子構造部とを混ぜる混合ステップとを備える
     ことを特徴とする請求項6又は7記載のシリカナノ粒子構造体の製造方法。
  10.  前記連結ステップは、前記pHを4以上8未満とする
     ことを特徴とする請求項6乃至9のうちいずれか1項記載のシリカナノ粒子構造体の製造方法。
  11.  前記連結ステップは、
     前記反応溶液の前記pHを調整した後に、該反応溶液をエージングするエージングステップを備える
     ことを特徴とする請求項10記載のシリカナノ粒子構造体の製造方法。
                  
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