JP5334826B2 - 中空メソポーラスシリカ粒子の製造方法 - Google Patents

中空メソポーラスシリカ粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、中空メソポーラスシリカ粒子の製造方法に関する。
多孔材料は高い表面積を有するので、触媒担体、酵素や機能性有機化合物等を分散させ保持するための担体として広く使用されている。多孔材料の中でも、多孔質構造を形成する細孔の細孔径の分布がシャープである多孔材料は、分子ふるい機能を有するので、物質分離剤等への応用が可能である。近年、均一で微細な細孔を有する多孔材料として、その径がメソ領域の細孔を有するメソポーラスシリカが開発され、物質分離剤、および触媒担体等の他に、徐放性材料、電子材料、光学材料等への応用展開が注目されている。
メソポーラスシリカの形態は、球状、ファイバー状、膜状等様々であるが、そのうちの一つとして、メソポーラスシリカの膜を外殻とし、内部に中空部を有するシリカ粒子である“中空メソポーラスシリカ粒子”がある。
特許文献1は、平均粒子径が0.05μm〜10μm、平均細孔径が1〜10nmの中空メソポーラスシリカ粒子の製造方法を開示している。この製造方法では、界面活性剤と疎水性有機化合物と加水分解によりシラノール化合物を生成するシリカ源とを含む混合液を撹拌することにより、疎水性有機化合物を含む油滴を形成するとともに、油滴の周囲にシリカを含むメソポーラス層を形成している。そして、メソポーラス層と、当該メソポーラス層より内側に配置された上記油滴とを含む複合シリカ粒子から、上記油滴を除去することにより、中空メソポーラスシリカ粒子が得られる。
特開2008−150229号公報
しかし、特許文献1に記載の製造方法では、平均粒子径が小さく、粗大粒子が少ない中空メソポーラスシリカ粒子の製造が容易でないことがわかった。
本発明では、平均粒子径が小さく、粗大粒子が少ない、例えば、平均粒子径が0.2μm以下であり、粒子径が0.2μmを超える粒子の割合が10%以下である、中空メソポーラスシリカ粒子を容易に製造できる、中空メソポーラスシリカ粒子の製造方法を提供する。
本発明の中空メソポーラスシリカ粒子の製造方法は、
シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部と、前記外殻部よりも内側に存在する中空部とを含む中空メソポーラスシリカ粒子の製造方法であって、
疎水性有機化合物と界面活性剤と水系溶媒とを含む混合液を高圧乳化法により加圧して、前記疎水性有機化合物を含む乳化滴を含んだ乳濁液を形成する工程と、
前記乳濁液にシリカ源を添加し、前記乳化滴表面に、シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部を形成し、前記外殻部と前記外殻部よりも内側に存在する前記乳化滴とを含む複合シリカ粒子を析出させる工程と、
前記複合シリカ粒子から前記乳化滴を除去する工程とを含む。
本発明によれば、平均粒子径が小さく、粗大粒子が少ない、例えば、平均粒子径が0.2μm以下であり、粒子径が0.2μmを超える粒子の割合が10%以下である、中空メソポーラスシリカ粒子を容易に提供できる。
図1は、実施例1で得られた中空メソポーラスシリカ粒子のTEM像である。
本願において「メソ細孔構造」とは、細孔径が1〜10nmであって、規則的に配列された複数の細孔を有する構造である。メソ細孔構造は、例えば、カチオン性界面活性剤とシリカ源とを混合することにより生じる、シリカの自己組織化によって形成される。
本願において「中空メソポーラスシリカ粒子」とは、シリカを含むメソ細孔構造の外殻部を有し、外殻部の内側が中空である粒子である。
本願の発明者らによって、特許文献1に記載の製造方法では、上記のとおり、平均粒子径が小さく、且つ、粗大粒子が少ない、中空メソポーラスシリカ粒子の製造が容易でないことがわかった。また、本願の発明者らによって、平均粒子径が小さく、且つ、粗大粒子が少ない、中空メソポーラスシリカ粒子の製造が容易でない理由が、平均粒子径が小さく、且つ、粒子径分布が狭い油滴を、混合液の攪拌により形成することが容易でないことにあることが分かった。
本発明は、シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部と、前記外殻部よりも内側に存在する中空部とを含む中空メソポーラスシリカ粒子の製造方法において、乳化滴の形成方法として、撹拌による方法に代えて、高圧乳化法を採用することにより、平均粒子径が小さく、且つ、粒子径分布が狭い乳化滴を容易に得ることができるという知見に基づく。
次に、本発明の中空メソポーラスシリカ粒子の製造方法(以下「本発明の製造方法」と略する場合もある。)について説明する。本発明の製造方法によれば、例えば、平均細孔径が1〜3nm、平均粒子径が0.005〜0.2μmの中空メソポーラスシリカ粒子を容易に製造できる。
[混合液の調整]
本発明の製造方法では、まず、疎水性有機化合物と界面活性剤と水系媒体とを含む混合液を調整する。
混合液の調整は、例えば、疎水性有機化合物および界面活性剤を水系媒体へ添加することで行える。疎水性有機化合物と界面活性剤はこの順で添加されてもよいし、同時に添加されてもよい。また、水系媒体は、疎水性有機化合物および/または界面活性剤の添加の最中に撹拌されていてもよいし、添加後に撹拌されてもよい。
撹拌時間は、用いられる撹拌機の種類等に応じて異なるが、全体が均一に混合されている状態において、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、さらに好ましくは5分以上である。
上記撹拌に使用される撹拌機の種類について特に制限はない。撹拌機としては、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機等が挙げられる。市販の撹拌機としては、例えば、ディスパー(PRIMIX社製)、クリアミクス(M−テクニック社製)、キャビトロン(太平洋機工社製)等が使用できる。
撹拌最中の混合液の温度は、水系媒体の蒸発を防いで、混合液中の疎水性有機化合物および界面活性剤の濃度の変動を抑制する観点から、0〜90℃に保たれていると好ましい。
(疎水性有機化合物)
疎水性有機化合物は、水に対する溶解性が低く、水と分相を形成するものを意味する。疎水性有機化合物は、界面活性剤の存在下で分散可能であると好ましく、界面活性剤の一例である第四級アンモニウム塩の存在下で分散可能であると好ましい。
水系溶媒として水を用いる場合、疎水性有機化合物が液体状態にある温度域が、0〜100℃であると好ましく、20〜90℃であるとより好ましい。
疎水性有機化合物は、LogPOWが1以上であると好ましく、2〜25であるとより好ましい。ここで、LogPOWとは、化学物質の1−オクタノール/水分配係数であり、logKOW法により計算で求められた値をいう。具体的には、化合物の化学構造を、その構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数を積算して求められる(Meylan, W.M. and P.H. Howard. 1995. Atom/fragment contribution method for estimating octanol-water partition coefficients. J. Pharm. Sci. 84: 83-92参照)。
疎水性有機化合物としては、例えば、炭化水素化合物、エステル化合物、炭素数6〜22の脂肪酸、及びシリコーンオイルなどの油剤が挙げられる。
炭化水素化合物としては、炭素数5〜18のアルカン、炭素数5〜18のシクロアルカン、液状パラフィン、液状石油ゼリー、スクワラン、スクアレン、ペルヒドロスクワレン、トリメチルベンゼン、キシレン、ベンゼン等が挙げられる。これらの中では、炭素数5〜18のアルカンおよび炭素数5〜18のシクロアルカンが好ましい。
エステル化合物としては、炭素数6〜22の脂肪酸のグリセリンエステル等の油脂類が挙げられ、具体的には、ミンク油、タトール油、大豆油、スイートアーモンド油、ビューティリーフオイル、パーム油、グレープシード油、ゴマ種油、トウモロコシ油、パーレアムオイル、アララ油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、アプリコット油、ひまし油、アボガド油、ホホバ油、オリーブ油、又は穀物胚芽油等が挙げられる。
また、エステル化合物としては、炭素数4〜22の脂肪酸と炭素数1〜22の一価又はグリセリン以外の多価アルコールとの縮合物が挙げられ、具体的には、ミリスチン酸イソプロピル、パルチミン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、イソノナン酸イソノニル、パルチミン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−ヘキシルデシル、パルチミン酸2−オクチルデシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル等が挙げられる。その他のエステル化合物としては、多価カルボン酸化合物とアルコールとのエステルが挙げられ、具体的には、アジピン酸ジイソプロピル、乳酸2−オクチルドデシルエステル、琥珀酸2−ジエチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられる。
炭素数6〜22の脂肪酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、又はイソステアリン酸等が挙げられる。
シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、脂肪酸、脂肪族アルコール、又はポリオキシアルキレンで変性されたポリシロキサン、フルオロシリコーン、パーフルオロシリコーンオイル等が挙げられる。
ポリジメチルシロキサン(PDMS)はフェニル化されていてもよく、例えば、フェニルトリメチコン、又は任意的に脂肪族基及び/又は芳香族基で置換されていてもよい。また、それらは、利用率が高いという理由から、炭化水素をベースとするオイル又はシリコーンオイルであって、シリコーン鎖のペンダント状であるか又は末端に存在するアルキル基又はアルコシキ基を任意的に含み2〜7の珪素原子を含む直鎖又は環状シリコーンが好ましく、特に、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン等が好ましい。上記利用率とは、混合液の調整に使用される疎水性有機化合物の量のうちの、外殻部により包含される疎水性有機化合物の量の割合を意味する。
これらの疎水性有機化合物は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
これらの疎水性有機化合物の中でも、後述する一般式(1)及び一般式(2)で表される第四級アンモニウム塩から選ばれる1種以上の界面活性剤によって乳化されやすく、利用率が高いという理由から、炭素数5〜18のアルカンおよび炭素数5〜18のシクロアルカンが好ましく、炭素数5〜10のアルカンおよび炭素数5〜10のシクロアルカンがより好ましい。
混合液における疎水性有機化合物の含有量は、疎水性有機化合物の利用率の向上の観点から、0.1〜100ミリモル/Lであると好ましく、1〜100ミリモル/Lであるとより好ましく、5〜80ミリモル/Lであるとさらに好ましい。
(水系溶媒)
本発明の製造方法で用いられる水系溶媒としては、例えば、水、又は、水と水溶性有機溶剤とからなる混合溶媒等が挙げられるが、乳化滴の安定性の点から、水系溶媒は水のみからなると好ましい。水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、アセトン、プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。水系溶媒に水溶性有機溶剤が含まれる場合、水系溶媒中における水溶性有機溶剤の含有量は、乳化滴の安定性の観点から、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは、1〜30重量%である。
(界面活性剤)
本発明の製造方法で用いられる界面活性剤としては、疎水性有機化合物の利用率の向上の観点から、下記一般式(1)及び一般式(2)で表される第四級アンモニウム塩から選ばれる1種以上の界面活性剤が好ましい。
[R1(CH33N]+- (1)
[R12(CH32N]+- (2)
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数4〜22の直鎖状又は分岐状アルキル基を示し、Xは1価陰イオンを示す。)
上記一般式(1)及び一般式(2)におけるR1及びR2は、疎水性有機化合物の利用率の向上の観点から、それぞれ独立して、好ましくは炭素数6〜18、さらに好ましくは炭素数8〜16の直鎖状又は分岐状アルキル基である。炭素数4〜22のアルキル基としては、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種エイコシル基等が挙げられる。
一般式(1)及び一般式(2)におけるXは、規則性の高いメソ細孔を形成させるという観点から好ましくはハロゲンイオン、水酸化物イオン、硝酸化物イオン、硫酸化物イオン等の1価陰イオンから選ばれる1種以上である。Xとしては、より好ましくはハロゲンイオンであり、さらに好ましくは塩素イオン又は臭素イオンであり、より一層好ましくは臭素イオンである。
一般式(1)で表されるアルキルトリメチルアンモニウム塩としては、ブチルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ブチルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
一般式(2)で表されるジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、ジブチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムブロミド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロミド、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
これらの第四級アンモニウム塩の中でも、規則的なメソ細孔を形成させる観点から、特に一般式(1)で表されるアルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましく、アルキルトリメチルアンモニウムブロミドまたはアルキルトリメチルアンモニウムクロリドがより好ましい。
これらの界面活性剤は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
混合液における界面活性剤の含有量は、混合液を高圧乳化法により加圧して得られる乳濁液中の乳化滴の表面積等に応じて適宜調整すればよいが、中空メソポーラスシリカ粒子の収率および分散性を向上させ、粒子径分布の狭い中空メソポーラスシリカ粒子を得る観点から、0.1〜100ミリモル/Lであると好ましく、0.2〜80ミリモル/Lであるとより好ましく、0.5〜70ミリモル/Lであるとさらに好ましい。
乳化滴の平均粒子径が0.004〜0.15μmであり、当該乳化滴を核として形成される中空メソポーラスシリカ粒子の平均粒子径が0.005〜0.2μmである場合、混合液における界面活性剤の含有量は、中空メソポーラスシリカ粒子の収率および分散性を向上させる観点から、0.1〜100ミリモル/Lであると好ましく、0.2〜80ミリモル/Lであるとより好ましく、0.5〜70ミリモル/Lであるとさらに好ましい。
[乳化滴を含む乳濁液の調整]
本発明の製造方法では、以上のようにして調整された混合液を高圧乳化法により加圧して、疎水性有機化合物を含む乳化滴を含んだ乳濁液を形成する。
乳化滴の平均粒径は、平均粒子径が小さく、且つ、粒子径分布が狭い中空メソポーラスシリカ粒子を形成する観点から、好ましくは0.004〜0.15μmであり、より好ましくは0.005〜0.13μmであり、さらに好ましくは0.007〜0.12μmである。乳化滴の平均粒径が上記範囲内にあれば、その平均粒子径が可視光線の波長よりも短い中空メソポーラスシリカ粒子の形成、例えば、平均粒子径が0.005〜0.2μm、平均細孔径が1〜3nmの中空メソポーラスシリカ粒子の形成が容易に行える。故に、本発明の製造方法の一例によって製造される、小粒径且つ高空孔率の中空メソポーラスシリカ粒子は、例えば、低屈折率膜等の光学フィルムに使用される低屈折率材料として好適に使用できる。
尚、乳化滴の平均粒子径は、本発明の製造方法で得られる中空メソポーラスシリカ粒子の中空部の径から推察できる。具体的には、本発明の製造方法により得られた中空メソポーラスシリカを透過型電子顕微鏡で観察し、それぞれ20〜30個の粒子が含まれる5視野中の全粒子の中空部径を写真上で実測して、平均値を算出することで乳化滴の平均粒子径は得られる。
混合液の高圧乳化は、例えば、高圧乳化分散機の高圧分散部で行う。高圧分散部は、細い流路を備える。混合液が高圧分散部内に所定の圧力で押し込まれて上記流路を通過する際、混合液にせん断力等が加わることによって、混合液が、乳化滴を含む乳濁液となる。
上記流路の断面形状は、混合液を所定の圧力で加圧できれば特に制限はないが、例えば、円形である場合、その径は、例えば、好ましくは20〜200μmであり、より好ましくは50〜100μmである。
使用できる高圧乳化分散機について特に制限はないが、取り扱い操作の簡便性の観点から、マイクロフルイダイザー(みづほ工業社製 M−110EHi)、スターバースト(スギノマシン社製)、ナノマイザー(吉田機械工業社製)等が好ましく挙げられる。
高圧分散部の形態としては、対抗衝突型、貫通型等のいずれであってもよい。対抗衝突型は、例えば、流路を途中で複数に分岐させ、再度合流する部分で各分岐路を流れる流体を衝突可能とする構造をしている。貫通型は、例えば、径が均一な複数の貫通孔が集積された構造をしている。
混合液を高圧乳化する際に、混合液に加わる圧力は、平均粒子径が小さく、且つ、粒子径分布が狭い乳化滴を形成する観点から、好ましくは20〜250MPaであり、より好ましくは30〜220MPaであり、さらに好ましくは40〜200MPaである。混合液に加わる圧力を調整することにより、平均粒子径が所望の大きさを有し、且つ、粒子径分布が狭い乳化滴を形成できる。上記圧力は、高圧乳化分散機が備える圧力表示部によって確認できる。
高圧乳化処理の処理回数は、上記圧力および希望する乳化滴の平均粒子径等に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは1〜10回であり、より好ましく1〜5回である。
[シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部の形成]
本発明の製造方法では、以上のようにして調整された乳濁液にシリカ源を添加し、乳化滴表面に、シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部を形成して、外殻部と外殻部よりも内側に存在する疎水性有機化合物(乳化滴)とを含む複合シリカ粒子を析出させる。
シリカ源は、そのまま乳濁液に添加してもよいが、シリカ源を所定の溶媒に添加して得たシリカ源含有液を上記乳濁液に添加してもよい。当該溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、プロパノール、イソプロパノール等の水溶性有機溶剤が挙げられ、好ましくはメタノールが挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、脱水処理されていると好ましい。
(シリカ源)
シリカ源としては、加水分解によりシラノール化合物を生成するものが好ましく、具体的には、下記一般式(3)〜(7)で示される化合物が挙げられる。
SiY4 (3)
3SiY3 (4)
3 2SiY2 (5)
3 3SiY (6)
3Si−R4−SiY3 (7)
(式中、R3はそれぞれ独立して、ケイ素原子に直接炭素原子が結合している有機基を示し、R4は炭素原子を1〜4個有する炭化水素基又はフェニレン基を示し、Yは加水分解によりヒドロキシ基になる1価の加水分解性基を示す。)
一般式(3)〜(7)において、より好ましくは、R3がそれぞれ独立して、水素原子の一部がフッ素原子に置換していてもよい炭素数1〜22の炭化水素基であり、具体的には炭素数1〜22、好ましくは炭素数4〜18、より好ましくは炭素数6〜18、特に好ましくは炭素数8〜16のアルキル基、フェニル基、又はベンジル基であり、R4が炭素数1〜4のアルカンジイル基(メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、テトラメチレン基等)又はフェニレン基であり、Yが炭素数1〜22、より好ましくは炭素数1〜8、特に好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基、またはフッ素を除くハロゲン基である。
シリカ源の好適例としては、次の化合物が挙げられる。
・一般式(3)において、Yが炭素数1〜3のアルコキシ基であるか、又はフッ素を除くハロゲン基であるシラン化合物。
・一般式(4)又は(5)において、R3がフェニル基、ベンジル基、又は水素原子の一部がフッ素原子に置換されている炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基であるトリアルコキシシラン又はジアルコキシシラン。
・一般式(7)において、Yがメトキシ基であって、R4がメチレン基、エチレン基又はフェニレン基である化合物。
これらの中では、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、1,1,1−トリフルオロプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。これらのシリカ源は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
シリカ源の乳濁液への添加は、全量を一度にしてもよいが、連続的にしてもよいし、断続的にしてもよい。生成する各粒子の凝集を防ぐためには、シリカ源の反応終了まで、乳濁液を撹拌し続けることが好ましく、シリカ源の添加終了後も、所定時間(例えば、10〜80℃で0.01〜24時間)撹拌し続けると好ましい。
シリカ源の乳濁液への添加速度は、反応系の容量や、シリカ源の種類、乳濁液中に添加されるシリカ源の濃度の上昇速度等を考慮して適宜調整することが望ましい。
シリカ源を添加している最中の乳濁液の温度は、乳化滴の安定性、混合液中の疎水性有機化合物および界面活性剤の濃度の変動を抑制する観点から、好ましくは10〜90℃であり、より好ましくは10〜80℃である。
シリカ源を添加している最中の乳濁液のpHは、シリカ源を効率的に加水分解・脱水縮合させる観点から、好ましくは8.5〜12.0、より好ましくは9.0〜11.5に調整されると好ましい。乳濁液のpHの調整には、例えば、水酸化ナトリウム、アンモニア、またはテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド等を用いると好ましい。これらのpH調整剤は、界面活性剤と疎水性有機化合物と水系溶媒とを含む混合液の調整の際に、混合液に添加されると好ましい。混合液のpHは、好ましくは8.5〜12.0であり、より好ましくは9.0〜11.5であり、さらに好ましくは9.5〜11.5である。
[疎水性有機化合物(乳化滴)の除去]
本発明の製造方法では、例えば、複合シリカ粒子を分散媒から分離した後、複合シリカ粒子を、電気炉等を用いて焼成して、複合シリカ粒子内の疎水性有機化合物を除去する。本発明の製造方法では、必要に応じて、分散媒から分離された複合シリカ粒子に対して、焼成前に、酸性液への接触、水洗、および乾燥かなる群から選ばれる少なくとも1つの処理を行ってもよい。複合シリカ粒子を酸性液に接触させると、複合シリカ粒子のメソ細孔内の第四級アンモニウム塩等の界面活性剤を低減または除去できる。
焼成温度は、疎水性有機化合物を確実に除去するとともにメソ細孔構造の強度を向上させる観点から、好ましくは350〜800℃、より好ましくは450〜700℃であり、焼成時間は、好ましくは1〜10時間である。
分離方法としては、ろ過法、遠心分離法等が挙げられる。これらの方法で複合シリカ粒子を分離した後、焼成前に行われる乾燥処理において、乾燥機内の温度は、複合シリカ粒子に付着した有機物の炭化を抑制する観点から、好ましくは50〜150℃であり、より好ましくは80〜120℃である。
酸性液としては、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸;酢酸、クエン酸等の有機酸;カチオン交換樹脂等を水やエタノール等に加えた液等が挙げられるが、塩酸が特に好ましい。酸性液のpHは、好ましくは1.5〜5.0である。
次に、本発明の製造方法により得られる本発明の中空メソポーラスシリカ粒子について説明する。
本発明の中空メソポーラスシリカ粒子は、疎水性有機化合物と界面活性剤と水系溶媒とを含む混合液を高圧乳化法により加圧して得られる、疎水性有機化合物を含む乳化滴が分散された乳濁液に、シリカ源を添加し、これらを攪拌して、シリカを含みメソ細孔構造を有する外殻部と外殻部よりも内側に配置された乳化滴とを含む複合シリカ粒子を析出させ、複合シリカ粒子から乳化滴を除去することにより得られる。
本発明の製造方法によれば、外殻部のメソ細孔構造の平均細孔径が、好ましくは1〜3nm、より好ましくは1.2〜3nm、さらに好ましくは1.3〜2.8nmである中空メソポーラスシリカ粒子を製造できる。
メソ細孔構造の平均細孔径は、窒素吸着測定を行い、窒素吸着等温線からBJH法により求めることができる。
また、本発明の製造方法によれば、好ましくはメソ細孔径が揃った中空メソポーラスシリカ粒子を製造でき、より好ましくは、メソ細孔の70%以上が、平均細孔径±30%の範囲内の細孔径を有する中空メソポーラスシリカ粒子を製造できる。メソ細孔の細孔径分布については、BJH法により求めた細孔径のピークトップを基準にし、所定の範囲の微分細孔容量から求めることができる。
メソ細孔構造を有する外殻部の構造は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察でき、その細孔径、細孔の配列の規則性、外殻部の外から外殻部よりも内側への細孔の繋がり具合等を観察できる。
外殻部におけるメソ細孔の配列の規則性は、粉末X線回折(XRD)によって得られるスペクトルからも評価できる。具体的には、CuKα1線(λ=0.154050nm)を照射することにより得られる中空メソポーラスシリカ粒子の粉末X線回折スペクトル中において、結晶格子面間隔(d)が2〜6nmの範囲に相当する回折角(2θ)の領域に頂点があるピークが1つ以上存在していると、外殻部におけるメソ細孔の配列の規則性が高いと評価できる。
また、本発明の製造方法によれば、BET比表面積が、好ましくは500〜1500m2/g、より好ましくは600〜1400m2/g、さらに好ましくは650〜1300m2/gである中空メソポーラスシリカ粒子を製造できる。
また、本発明の製造方法によれば、平均粒子径が、好ましくは0.005〜0.2μm、より好ましくは0.008〜0.15μm、さらに好ましくは0.010〜0.12μm、特に好ましくは0.040〜0.10μmの中空メソポーラスシリカ粒子を製造できる。また、本発明の製造方法によれば、粒子径が0.2μmよりも大きい粗大粒子の存在個数の百分率は、全中空メソポーラスシリカ粒子個数の10%以下であり、好ましくは8%以下、より好ましくは5%以下である。
また、本発明の製造方法によれば、中空部分の平均径が、好ましくは0.004〜0.15μm、より好ましくは0.005〜0.1μm、さらに好ましくは0.01〜0.08μm、特に好ましくは0.02〜0.06μmの中空メソポーラスシリカ粒子を製造できる。
本発明の製造方法によれば、本発明の製造方法によって得られた、好ましくは中空メソポーラスシリカ粒子全体の80%以上、より好ましくは82%以上、さらに好ましくは85%以上が、平均粒子径±30%の範囲内の粒子径を有しており、本発明の製造方法によれば、非常に揃った粒子径の粒子群から構成されている中空メソポーラスシリカ粒子を製造できる。また、本発明の製造方法によれば、中空メソポーラスシリカ粒子のメソ細孔が、好ましくはその75%以上、より好ましくはその80%以上が、平均細孔径±30%の範囲内の細孔径を有する、中空メソポーラスシリカ粒子を製造できる。
中空メソポーラスシリカ粒子の平均粒子径は、高圧乳化時に乳濁液に加わる圧力、界面活性剤や疎水性有機化合物の選択、混合時の撹拌力、原料の濃度、液の温度等によって調整できるが、例えば、平均粒子径が0.005〜0.2μmの中空メソポーラスシリカ粒子を形成する場合は、主として高圧乳化時に乳濁液に加わる圧力によって調整できる。
本発明の製造方法によれば、外殻部の平均厚みが、好ましくは3〜30nm、より好ましくは5〜20nm、さらに好ましくは5〜15nmである中空メソポーラスシリカ粒子を製造できる。
本願において、中空メソポーラスシリカ粒子の平均粒子径および粒子径分布の程度、粒子径が0.2μmを超える粒子の存在率(%)、中空部分の径、並びに外殻部の平均厚み(平均外殻厚み)は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により測定された値である。具体的には、透過型電子顕微鏡下で、20〜30個の中空メソポーラスシリカ粒子が含まれる視野中の全粒子の直径、中空部分の径、および外殻厚みを写真上で実測する。この操作を、視野を5回変えて行う。得られたデータから、平均粒子径および粒子径分布の程度、粒子径が0.2μmを超える粒子の存在率(%)、中空部分の径、並びに平均外殻厚みを求める。透過型電子顕微鏡の倍率の目安は1万〜10万倍であるが、透過型電子顕微鏡の倍率は、シリカ粒子の大きさによって適宜調節される。測定にあたっては、少なくとも100個以上の中空メソポーラスシリカ粒子についてデータを取る。
以下、実施例により本発明の製造方法の一例を説明する。後述する実施例および比較例において、中空メソポーラスシリカ粒子についての各種測定は、以下の方法で行った。
(1)平均粒子径、中空部分の径の測定
日本電子株式会社製の透過型電子顕微鏡(TEM)JEM−2100を用いて加速電圧160kVで測定を行い、それぞれ20〜30個の粒子が含まれる5視野中の全粒子の直径、及び中空部分の径を写真上で実測し平均して、平均粒子径、及び中空部分の平均径を求めた。観察に用いた試料は高分解能用カーボン支持膜付きCuメッシュ(200−Aメッシュ、応研商事株式会社製)に付着させ、余分な試料をブローで除去して作成した。
(2)BET比表面積、平均細孔径の測定
株式会社島津製作所製、比表面積・細孔分布測定装置、商品名「ASAP2020」を使用し、液体窒素を用いて吸着測定を行い、吸着等温線の直線性がよく、BET定数Cが正となるような範囲における多点法よりBET比表面積を導出した(S.Brunauer他,J.Amer.Chem.Soc.,第60巻、第309頁、1938年)。平均細孔径の導出にはBJH法(E.P.Barrett他、J.Amer.Chem.Soc.,第73巻、第373頁、1951年)を採用し、ピークトップを平均細孔径とした。前処理として、中空メソポーラスシリカ粒子を、250℃で5時間加熱した。
(3)粉末X線回折(XRD)測定
理学電機工業株式会社製、粉末X線回折装置、商品名「RINT2500VPC」を用いて、X線源:Cu-kα、管電圧:40mA、管電流:40kV、サンプリング幅:0.02°、発散スリット:1/2°、発散スリット縦:1.2mm、散乱スリット:1/2°、受光スリット:0.15mmの条件で粉末X線回折測定を行った。走査範囲は回折角(2θ)1〜20°、走査速度は4.0°/分で連続スキャン法を用いた。なお、試料は、粉砕した後、アルミニウム板に詰めて測定した。
(4)粒子径が0.2μmを超える粒子の存在率(%)
上記「(1)平均粒子径、中空部分の平均径の測定」の際に測定した、5視野中の粒子の粒子径についての結果を用いて下記式より求めた。
存在率(%)=粒子径が0.2μmを超える粒子の数/5視野中の全粒子数×100
(実施例1)
ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(東京化成製)2gと、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(関東化学製)0.83gとを、水400gに溶解した水溶液にドデカン(関東化学製)1gを添加し攪拌して混合液(pH11.0)を得た。攪拌機には、ペンシルミキサーを用い、撹拌時間は5分とした。尚、混合液におけるドデシルトリメチルアンモニウムクロリドの濃度は、19ミリモル/Lであり、ドデカンの濃度は、15ミリモル/Lである。
得られた混合液を、流路径が75μmのY型チャンバー(MicrofluidicsTM製)を装着した高圧乳化装置(Microfluidizer M-110EHi (MicrofluidicsTM製))に供給し、混合液に150MPaの圧力をかけることにより、混合液に対して乳化処理を1回行った。
得られた乳濁液を25℃、pH11.0とし、乳濁液にシリカ源としてテトラメトキシシラン(東京化成製)1gを加えた後、これらをマグネティックスターラーで5時間攪拌した。得られた沈殿を分散液からろ別し、100℃の雰囲気下で一晩乾燥して複合シリカ粒子を得た。その後、複合シリカ粒子を600℃で2時間焼成して、中空メソポーラスシリカ粒子を得た。
図1に、実施例1で得られた中空メソポーラスシリカ粒子のTEM像を示している。
(実施例2)
ドデシルトリメチルアンモニウムクロリドの添加量を2gから3gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、中空メソポーラスシリカ粒子を合成した。尚、混合液におけるドデシルトリメチルアンモニウムクロリドの濃度は、28ミリモル/Lである。
(実施例3)
ドデシルトリメチルアンモニウムクロリドの添加量を2gから4gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、中空メソポーラスシリカ粒子を合成した。尚、混合液におけるドデシルトリメチルアンモニウムクロリドの濃度は、38ミリモル/Lである。
(実施例4)
高圧乳化の際に混合液に付与される圧力を150MPaから100MPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして、中空メソポーラスシリカ粒子を合成した。
(実施例5)
高圧乳化の際に混合液に付与される圧力を150MPaから50MPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして、中空メソポーラスシリカ粒子を合成した。
(比較例1)
高圧乳化装置に代えてホモジナイザーを用いて混合液を乳化させたこと以外は実施例1と同様にして、中空メソポーラスシリカ粒子を合成した。
表1に示された結果から、その製造過程において、高圧乳化法を採用して乳化滴が形成された実施例1〜実施例5の中空メソポーラスシリカ粒子は、その製造過程においてホモジナイザーを用いて乳化滴が形成された比較例1の中空メソポーラスシリカ粒子よりも、その平均粒子径が小さく、粒子径が0.2μmよりも大きい粒子の存在割合が少ないことが確認できた。また、実施例1〜実施例5の中空メソポーラスシリカ粒子の、平均細孔径およびメソ細孔の配列の規則性についは、比較例1の中空メソポーラスシリカ粒子のそれと同様であることが確認できた。
以上のとおり、本発明の製造方法によれば、小粒径且つ高空孔率の中空メソポーラスシリカ粒子を容易に製造できるので、本発明は、例えば、低屈折率膜等の光学フィルムを扱う分野において有用である。

Claims (7)

  1. シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部と、前記外殻部よりも内側に存在する中空部とを含む中空メソポーラスシリカ粒子の製造方法であって、
    疎水性有機化合物と界面活性剤と水系溶媒とを含む混合液を高圧乳化法により加圧して、前記疎水性有機化合物を含む乳化滴を含んだ乳濁液を形成する工程と、
    前記乳濁液にシリカ源を添加し、前記乳化滴表面に、シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部を形成し、前記外殻部と前記外殻部よりも内側に前記乳化滴が含まれた複合シリカ粒子を析出させる工程と、
    前記複合シリカ粒子から前記乳化滴を除去する工程とを含む、中空メソポーラスシリカ粒子の製造方法。
  2. 前記中空メソポーラスシリカ粒子の平均細孔径が1〜3nm、平均粒子径が0.005〜0.2μmである請求項1に記載の中空メソポーラスシリカ粒子の製造方法。
  3. 前記界面活性剤が、下記一般式(1)及び一般式(2)で表される第四級アンモニウム塩から選ばれる1種以上の界面活性剤である請求項1または2に記載の中空メソポーラスシリカ粒子の製造方法。
    [R1(CH33N]+- (1)
    [R12(CH32N]+- (2)
    (式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数4〜22の直鎖状又は分岐状アルキル基を示し、Xは1価陰イオンを示す。)
  4. 前記シリカ源が、加水分解によりシラノール化合物を生成するシリカ源である請求項1〜3のいずれかの項に記載の中空メソポーラスシリカ粒子の製造方法。
  5. 前記中空メソポーラスシリカ粒子の中空部分の平均径が0.004〜0.15μmである請求項1〜4のいずれかの項に記載の中空メソポーラスシリカ粒子の製造方法。
  6. CuKα1線(λ=0.154050nm)を照射することにより得られる前記中空メソポーラスシリカ粒子の粉末X線回折スペクトル中において、結晶格子面間隔(d)が2〜6nmの範囲に相当する回折角(2θ)の領域に頂点があるピークが1つ以上存在する請求項1〜5のいずれかの項に記載の中空メソポーラスシリカ粒子の製造方法。
  7. 前記中空メソポーラスシリカ粒子のBET比表面積は、500〜1500m2/gである請求項1〜6のいずれかの項に記載の中空メソポーラスシリカ粒子の製造方法。
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