WO2009128292A1

WO2009128292A1 - 洗浄水吐出水栓システム

Info

Publication number: WO2009128292A1
Application number: PCT/JP2009/053560
Authority: WO
Inventors: 仁史北村; 尚紀柴田; 重行山口; 良泰伊藤; 康成前田; 哲二新山; 恭子堤; 芳朗松下
Original assignee: パナソニック電工株式会社
Priority date: 2008-04-18
Filing date: 2009-02-26
Publication date: 2009-10-22

Abstract

　洗浄水吐出水栓システムは、洗剤供給部、気体混入部及び排出口を含む。洗剤供給部は、水が沿って流れることができる洗浄水流路に洗剤を供給することによって洗剤洗浄水を生成するように構成される。気体混入部は、洗浄水流路に気体を混入するように構成される。排出口は、洗浄水流路の下流端に設けられ、洗浄水流路からの洗剤洗浄水が排出口を通過して流出することができる。システムは、洗浄水流路の下流端側に設けられ洗浄水流路内の水を排出口から均一に放出するように構成される整流部を更に含む。

Description

洗浄水吐出水栓システム

　本発明は一般に洗浄水吐出水栓システム、より詳細には例えば、水道管からの水及び洗剤から得られる洗浄水（洗剤洗浄水）の供給を制御するシステム（例えばキッチン用洗浄水吐出水栓システム）に関するものである。

　流し台に設置した通常の水栓は、水道水をそのまま排出口から吐出するだけなので、その洗浄力は低く、キッチンシンクの表面や食器等の被洗浄物を綺麗に洗浄できない（例えば日本国特許出願公開番号２０００－３４５５９５Ａ参照）。

　また、従来、水に気体を混入して気泡入り水（以下「気泡水」という）を吐出するように構成される気泡水吐出水栓システムも存在する。このシステムから吐出される洗浄水としての気泡水は、含有する気泡により見かけの体積を増やし、また吐出速度を高めるので、通常の、気泡を含まない水と比較して、高衝撃力及び高洗浄力を有する。

　従って、上記気泡水吐出水栓システムからの洗浄水（気泡水）をキッチンシンクに吐出するようにすれば、被洗浄物を綺麗に洗浄することができる。しかしながら、気泡水は、高い吐出速度を有し、また気泡を含むために、その水流は乱れやすい。このため、気泡水がキッチンシンクの表面や食器等の被洗浄物に当たった際に大きく水はねし周囲を濡らすという問題が生じる。

　日本国特許出願公開番号Ｈ５－１９２２６５Ａは、洗剤ポンプを通じて洗剤を吐出する装置を開示する。この装置では、被洗浄物を高い洗浄力の洗剤で綺麗に洗浄することができる。しかし、洗剤ポンプを使用するので、コストが増大する。

　日本国特許出願公開番号２００７－１１７３１４Ａは、微細気泡発生部を含む水栓を開示する。この水栓からの微細気泡水は、微細気泡が被洗浄物に衝突して破裂する際の衝撃によって、被洗浄物に付着した汚れを剥がしたりできる。しかしながら、水栓から吐出される微細気泡水は、白濁するので、調理に使用されると、水に混ぜた調味料の溶け具合が見づらい等の不便さがある。また、微細気泡水は、見かけの比重（嵩比重）の低下による節水効果を有しているが、流水量の不足から被洗浄物の洗浄の最後に行うすすぎに時間がかかるなどの不便さがある。

　日本国実用新案登録番号Ｕ３１３１５２８は、減圧室及び通気管を含む導管を有し、減圧室で発生された負圧によって通気管から気体を取り込む技術を開示する。気体は、導管内の水に混入され、超微細気泡水が導管から吐出される。超微細気泡水は、洗浄効果の高い気泡を含むが、上記したような不便さがある。

　日本国特許出願公開番号２００１－２５９４８８Ａは、薬剤と水とを別々に吐出することができるように構成されるシャワーヘッドを開示する。

　洗剤タンクを水道管に通じる内部流路と連通させて設ける場合、水道管側への洗剤の逆流を防止する必要がある。水道管側への水道水の逆流が止水時或いは断水等に起因する負圧現象によって起きたとき、洗浄水が水道上水に混じって家庭の飲料水を汚染する可能性があるからである。そのため、水道管側への洗浄水の逆流を確実に防止する必要がある。しかし、このシャワーヘッドは、２つの逆流防止弁を有するが、シャワーヘッド内の流路に残留した薬剤を効果的に排出することができない。

　本発明の目的は、被洗浄物を効率良く且つ効果的に洗浄できる高い洗浄効果を持つ洗浄水を生成し、水はねが少ない洗浄水を吐出することにある。

　本発明の洗浄水吐出水栓システムは、洗剤供給部、気体混入部及び排出口を備える。洗剤供給部は、水が沿って流れることができる洗浄水流路に洗剤を供給することによって洗剤洗浄水を生成するように構成される。気体混入部は、洗浄水流路に気体を供給するように構成される。排出口は、洗浄水流路の下流端に設けられ、洗浄水流路からの洗剤洗浄水が排出口を通過して流出することができる。システムは、洗浄水流路の下流端側に設けられ洗浄水流路内の水を排出口から均一に放出するように構成される整流部を更に備える。

　この構成（以下「第１構成」という）では、洗浄水流路に気体を混入するための気体混入部を設けているので、高い洗浄効果を持つ洗剤洗浄水を排出口から吐出することができる。整流部を洗浄水流路の下流端側に設けているので、洗剤洗浄水が被洗浄物に当たった際に水はねが生じることを少なくすることができる。

　第１構成において、整流部は、洗浄水流路の内部横断面に対応する平形状であり、洗浄水流路内の流れ方向に形成された多数の整流孔を有する。この構成（以下「第２構成」という）では、洗剤洗浄水を、整流部を通じて排出口から均一に放出することができ、洗剤洗浄水が被洗浄物に当たった際に水はねが生じることを特に少なくすることができる。

　第２構成において、整流部の各整流孔の直径に対する長さの比は２から５の範囲内である。この構成（以下「第３構成」という）では、整流効果を特に向上させることができる。

　第１構成において、洗浄水吐出水栓システムは、微細気泡発生器を更に備える。微細気泡発生器は、洗浄水流路における気体混入部及び洗剤供給部よりも下流に設けられ、気体混入部を通じて気体を洗浄水流路における水又は洗剤洗浄水に混入することにより得られる気泡から微細気泡を発生するように構成される。この構成（以下「第４構成」という）では、汚れへの付着性、浸透性及び剥離の高い効果を持つ洗浄水（微細気泡入り水又は微細気泡入り洗剤洗浄水）を排出口から吐出でき、被洗浄物に付着した油汚れをより効果的に落とすことができる。特に微細気泡は泡径が非常に小さいために洗浄水の水流を乱しにくく、このため水はねを一層防止できる。

　第１構成において、洗浄水流路の上流側は、水道上水に接続され、気体及び洗剤の少なくとも一方が、水が水道圧によって洗浄水流路に沿って流れるときに発生する負圧によって、洗浄水流路に供給される。この構成（以下「第５構成」という）では、水道圧を利用して、気体及び洗剤の少なくとも一方を洗浄水流路に供給でき、ポンプを使用しない、または少ないポンプの使用数で洗浄水を供給することができる。

　第１構成において、気体混合部を通じて水又は洗剤洗浄水に気体を混入することにより得られる気泡入り水又は気泡入り洗剤洗浄水のボイド率は１０－３０％の範囲内に設定される。この構成（以下「第６構成」という）では、気泡による洗浄効果を高めると共に気泡により洗浄水の流れが乱れるのを防止できる。また、洗剤による粘性を高めて水はね防止効果を高めることができる。

　第１構成において、前記洗剤洗浄水における洗剤の希釈濃度は５０００－１００００倍の範囲内に設定される。この構成（以下「第７構成」という）では、多量の気泡又は微細気泡を含むムース状の洗浄水を生成することができ、洗浄効果を高めることができる。また、適度の粘性を有する洗剤を含む洗浄水を吐出でき、水はね防止効果を高めることができる。

　第１構成において、洗浄水吐出水栓システムは、排出口を持つ吐出ノズルと、吐出ノズルに設けられ、洗剤を貯留するように構成される洗剤貯留部とを更に備える。洗剤供給部は、吐出ノズルに設けられ、洗剤貯留部の洗剤を洗浄水流路に供給するように構成される。この構成（以下「第８構成」という）では、洗剤供給部を、水道管から最も離れた位置に設けることができるので、洗剤洗浄水が水道管に逆流するのを確実に防止できる。更に、洗剤貯留部を排出口に近い部分に設けることができ、残留洗剤の排出を確実に行うことができる。

　第１構成または第８構成において、好ましくは、洗浄水吐出水栓システムは、止水弁及び通気弁を更に備える。止水弁は、洗浄水流路における洗剤供給部よりも上流に設けられ、上流側からの水の供給を停止するように構成される。通気弁は、外気を取り込み可能なものであり、洗浄水流路における止水弁よりも下流で且つ洗剤供給部よりも上流に設けられる。通気弁は排出口よりも上方に位置される。以下、この構成を「第９構成」という。

　第９構成では、止水弁を閉じて洗浄水流路への洗浄水の供給を停止している間に通気弁を開けば、洗浄水流路における通気弁よりも下流側に溜まった洗浄水を排出口から排出できる。特に、洗剤洗浄水を吐出した後、洗浄水流路に残った洗剤等を洗浄水流路から排出でき、未使用時に誤って洗剤を含む洗浄水が排出口から吐出したり、水道管側に逆流することを防止できる。

　第１構成または第８構成において、好ましくは、洗浄水吐出水栓システムは、吐出ノズル、通気弁及び規制手段を更に備える。吐出ノズルは、排出口を持ち、可動自在である。通気弁は、外気を取り込み可能なものであり、止水操作に連動して開閉するように構成され、洗浄水流路における洗剤供給部よりも上流に設けられ且つ排出口よりも上方に位置される。規制手段は、排出口が通気弁よりも下方に位置するように吐出ノズルの可動領域の上限を規制するように構成される。以下、この構成を「第１０構成」という。

　第１０構成では、止水時には吐出ノズル側と水道上水（水道管）側との通水が通気弁で遮断され、負圧が破壊された状態となる。このとき、排出口が通気弁よりも下方に位置するように規制されるので、吐出ノズル側の洗浄水が通気状態にある洗浄水流路の高低差を乗り越えて水道管側へ逆流することを確実に防止できる。

　第１０構成において、好ましくは、通気弁は、上流側の水圧低下に応じて洗浄水流路の空気を大気に開放するように開閉するように構成される。規制手段は、吐出ノズルの角度を吐出ノズルの可動領域内の角度に変えるための機構を備える。この構成（以下「第１１構成」という）では、通気弁を、簡易な構造によって水道水の圧力変化に応じて開閉するように構成できる。吐出ノズルの角度を吐出ノズルの可動領域内の角度に変えることができるので、洗浄水の吐出範囲を広げることができる。

　第１構成において、好ましくは、洗浄水吐出水栓システムは、通気弁及び排水弁を更に備える。通気弁は、外気を取り込み可能なものであり、止水操作に連動して開閉するように構成され、洗浄水流路における洗剤供給部よりも上流に設けられる。排水弁は、通気弁の開放時に排水路を開放するように構成され、洗浄水流路における洗剤供給部と通気弁との間に設けられ且つ通気弁よりも下方に位置される。以下、この構成を「第１２構成」という。第１２構成では、止水時には洗剤供給部側と上水道（水道管）側との通水が通気弁で遮断され、負圧が破壊された状態となる。このように通気弁が開いていると、吐出ノズル側の洗浄水が排水路から排水される。それ故に、吐出ノズル側の洗浄水が洗浄水流路の高低差を乗り越えて水道管側へ逆流することを確実に防止できる。

　第１２構成において、好ましくは、排水弁は、上流側の水圧低下に応じて排水路を開放するように開くか閉じるように構成される。この構成では、排水弁を、簡易な構造によって水道水の圧力変化に応じて開閉するように構成できる。

　本発明の好ましい実施形態をさらに詳細に記述する。本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な記述及び添付図面に関連して一層良く理解されるものである。
本発明の一実施形態による洗浄水吐出水栓システムの概要図である。該洗浄水吐出水栓システムが設置された流し台の斜視図である。該洗浄水吐出水栓システムの吐出ノズルの断面図である。該吐出ノズルの斜視図である。該洗浄水吐出水栓システムの具体例を例示する。図６Ａ及び６Ｂは図５の要部の拡大図であり、図６Ａは開閉弁の開状態を示し。図６Ｂは開閉弁の閉状態を示す。本発明の一実施形態による洗浄水吐出水栓システムの概要図である。本発明の一実施形態による洗浄水吐出水栓システムの概要図である。本発明の一実施形態による洗浄水吐出水栓システムの概要図である。本発明の一実施形態による洗浄水吐出水栓システムの概要図である。図１１Ａ－１１Ｃは該洗浄水吐出水栓システムにおける排水弁の具体例を例示し、図１１Ａは排水弁の配置例を示し、図１１Ｂは排水弁で排水ドレン側を閉じた状態を示し、図１１Ｃは排水弁で通気弁側を閉じた状態を示す。本実施形態の洗浄水吐出水栓システムにおける吐出ノズルの断面図である。該吐出ノズルにおける整流部の拡大断面図である。本発明の一実施形態による洗浄水吐出水栓システムにおける吐出ノズルの断面図である。本発明の一実施形態による吐出ノズルの断面図である。本発明の一実施形態による洗浄水吐出水栓システムの概要図である。該洗浄水吐出水栓の斜視図である。図１８Ａは該洗浄水吐出水栓における吐出ノズルの側断面図であり、図１８Ｂは図１８ＡのＡ－Ａ線から見た断面図である。該吐出ノズルにおける流入管の側断面図である。該流入管の要部断面図である。該流入管に形成された突起を持つ洗浄水吐出水栓システムと突起を持たないシステムとの比較実験結果を示す。本発明の一実施形態による洗浄水吐出水栓システムの要部断面図である。該実施形態における洗浄水吐出水栓の要部の水平断面図である。該洗浄水吐出水栓の要部の縦断面図である。該洗浄水吐出水栓の要部の一部断面図である。図２６Ａは該洗浄水吐出水栓における連結管の斜視図であり、図２６Ｂは該洗浄水吐出水栓における屈曲管の斜視図である。図２７Ａは本発明の一実施形態による洗浄水吐出水栓システムにおける吐出ノズルの縦断面図であり、図２７Ｂは図２７ＡのＡ－Ａ線から見た断面図である。該実施形態における洗剤タンクの斜視図である。本発明の一実施形態が設置された流し台の斜視図である。図３０Ａ－３０Ｃは本発明の一実施形態における吐出ノズルと水栓との結合の説明図である。図３１Ａ－３１Ｃは本発明の一実施形態における吐出ノズルと水栓との結合の説明図である。

　図１及び２は、本発明の一実施形態による洗浄水吐出水栓システムを示す。洗浄水吐出水栓システム１は、例えばキッチンシンク１３に使用され、洗浄水が流れる流路であり台所の流し台２に設けられる洗浄水流路３を備えている。洗浄水流路３の上流端は水道上水４（所謂水道水を供給するための水道管）に連通接続され、洗浄水流路３には水源となる水道上水４から水道水が供給される。洗浄水流路３には、定流量弁５（減圧弁）、開閉弁６及び通気弁７が上流側から順に設けられ、更に図３に示すように、気体混入部８、洗剤供給部９、微細気泡発生部１０及び整流部１１が、通気弁７の下流側に設けられる。これらを順に通過して生成される洗浄水は、洗浄水流路３の下流端に設けた排出口１２から流し台２に設けたキッチンシンク１３に吐出される。即ち、本実施形態では、水道上水４との接続口、及び排出口１２が、それぞれ洗浄水流路３の上流端及び下流端に設けられ、それらの間に洗剤供給部９並びに気体混入部８及び微細気泡発生部１０が設けられて、微細気泡入り水（以下「微細気泡水」ともいう）又は微細気泡入り洗剤洗浄水が生成される。本発明の洗剤供給部は、図１－３の位置に限らず、例えばその位置よりも上流に設けられてもよい。また、本発明の洗浄水は、微細気泡水及び微細気泡入り洗剤洗浄水に限らず、洗剤のみを含む洗剤洗浄水でもよい。

　定流量弁５及び開閉弁６は、流し台２内を通る洗浄水流路３に設けられ、流し台２に内装されている。定流量弁５は、水道上水４からの水圧を減圧して水道水を一定の流量で下流側に送るように構成される。開閉弁６は、電磁弁６ａからなり、開閉弁６を開閉することで排出口１２から洗浄水を吐出するか否かを切り替えるのに使用される。

　洗浄水流路３の開閉弁６よりも下流側の流路は、上流側から順に設けた立上管１５、ホース１６及び吐出ノズル１４で構成される。立上管１５は、流し台２の上面を構成するカウンタ１８から上方に伸び、充分な高さで下方に折り返した逆Ｕ字状の管からなり、通気弁７が立上管１５の上端部に設けられる。通気弁７は、洗浄水流路３内の水圧の変化により開閉するフロート弁であって、開閉弁６を開いて洗浄水が洗浄水流路３を流れている時には閉成して洗浄水流路３を密閉状態とし、また、開閉弁６を閉じて洗浄水の流れが停止している時には開成して洗浄水流路３を通気状態として、洗浄水流路３内に外気を導入する。

　立上管１５の下流端は、カウンタ１８から流し台２に入り、流し台２の内部において屈曲自在なホース１６の一端（上流端）と接続される。ホース１６の下流端側は流し台２から引き出され、ホース１６の下流端には図４に示すように、吐出ノズル１４の流入口が接続される。これにより吐出ノズル１４は流し台２に対して移動自在である。また、この吐出ノズル１４は図２に示すように流し台２のキッチンシンク１３の開口縁部に設けた水道水をそのまま吐出する水栓２７とは別体であり、水栓２７とは異なる位置に設けられる。このため、吐出ノズル１４及び水栓２７を使い勝手の良い位置に配置できる。また、ホース１６の長さは、最大限上方に位置するように吐出ノズル１４を移動しても、吐出ノズル１４の排出口１２及び洗剤供給部９が通気弁７よりも下方に位置するように設定される。

　なお、ホース１６は、可撓性を有することで屈曲自在なものであってもよいし、また蛇腹ホースのように伸縮自在且つ屈曲自在であってもよい。また、ホース１６は流し台２のキッチンシンク１３の周縁部等から引き出し自在としたものであってもよい。ホース１６を流し台２に対して引き出し自在とすれば、未使用時にホース１６を流し台２に収納できて収まりが良い。

　図３に示すように、吐出ノズル１４の内部には、上流部１９ａ、中流部１９ｂ及び下流部１９ｃで構成される内部流路１９が形成され、直線状の内部流路１９の流入口はホース１６の下流端に連通接続される。内部流路１９の上流部１９ａ内には絞り部（絞り管）２０が設けられ、絞り部２０の下流側の管径は上流側の管径よりも短い。内部流路１９の上流部１９ａの内周面において、気体取込口８ａからなる気体混入部８及び洗剤（液体洗剤）取込口９ａからなる洗剤供給部９が、絞り部２０の外周面に対向する位置又は絞り部２０よりも若干下流側の位置に設けられる。図３の例では、気体混入部８が絞り部２０の外周面に対向する位置に設けられ、洗剤供給部９が絞り部２０の若干下流側の位置に設けられている。なお、これに限らず、洗剤供給部９を気体混入部８よりも上流側に設けてもよい。

　気体混入部８は、吐出ノズル１４の外部に連通されて大気に開放される。従って、開閉弁６を開いて水が絞り部２０を通過すると、内部流路１９の気体混入部８近傍で負圧が発生し、この負圧により外気が気体混入部８を通じて内部流路１９に取り込まれ、気泡入り水（気泡水）又は気泡入り洗剤洗浄水が生成される。このように、気体混入部８がエジェクタ効果を利用して気泡に変換される気体を供給できるので、別途ポンプ等の供給手段を設ける必要がなく、コストを削減できる。気体混入部８から洗浄水流路３に供給される空気の供給量は、空気を混合して得られる気泡水又は気泡入り洗剤洗浄水のボイド率（気泡混入率）が１０～３０％の範囲内になるように設定される。これにより気泡による洗浄効果を高めると共に気泡により洗浄水の流れが乱れることを防止でき、また、洗剤による粘性を高めて水はね防止効果を高めることができる。

　また、洗剤供給部９は洗剤貯留部２１に連通される。洗剤貯留部２１は吐出ノズル１４に設けた洗剤タンク２１ａからなり、洗剤タンク２１ａには洗剤補給口３５（図４参照）を介して洗剤を補給できるようになっている。キャップ１７が洗剤補給口３５に着脱自在に取り付けられ、洗剤補給口３５はキャップ１７で閉塞される。切替手段２２としての開閉弁２２ａが、洗剤貯留部２１の出口と洗剤供給部９の洗剤取込口９ａとの間に設けられて、洗剤貯留部２１から洗浄水流路３に洗剤を供給するか否かを切り替える。図４に示すように、開閉弁２２ａの操作部２６は、吐出ノズル１４に設けられ、操作部２６を操作することで開閉弁２２ａの開閉を切り替えるように構成される。

　図６に示すように、操作部２６は押釦スイッチ２６ａからなり、吐出ノズル１４に設けた開閉弁２２ａは、押釦スイッチ２６ａに接続されて、押釦スイッチ２６ａの操作に連動する。吐出ノズル１４には、押釦スイッチ２６ａ又は開閉弁２２ａに対して開閉弁２２ａが閉じる方向に付勢するばね４０が設けられる。これにより、開閉弁２２ａは押釦スイッチ２６ａを押圧した時に開き、非押圧時にはばね４０の付勢により開閉弁２２ａを閉じる。即ち、洗剤は、押釦スイッチ２６ａの押圧時にのみ洗剤供給部９から供給され、非押圧時には洗剤供給部９からの洗剤の供給は停止される。これにより、微細気泡水と微細気泡入り洗剤洗浄水とを切り替えて使用することができる。

　洗剤タンク２１ａにはキッチンシンク１３の表面や食器等の被洗浄物を洗浄するための洗剤が貯留される。この洗剤としては洗剤原液又は洗剤原液を水で希釈したもの等が挙げられる。この洗剤は、洗浄水流路３に設けられた開閉弁６を開き且つ吐出ノズル１４に設けられた開閉弁２２ａを開くことで、洗浄水流路３の一部を構成する内部流路１９に供給できる。即ち、開閉弁６を開いて水が図３に示すように絞り部２０を通過した時に、内部流路１９の洗剤取込口９ａ近傍で負圧が発生する。この負圧により洗剤タンク２１ａ内の洗剤が洗剤供給部９から内部流路１９に供給される。これにより、洗剤が水道水に混入されて、洗剤洗浄水が生成される。このように、洗剤供給部９は、エジェクタ効果を利用して洗剤を供給できるので、別途ポンプ等の供給手段を設ける必要がなく、コストを削減することができる。洗剤供給部９から洗浄水流路３に供給される洗剤の量は、洗剤洗浄水の洗剤の希釈濃度が５０００～１００００倍の範囲内になるように設定される。このように、気泡入り洗剤洗浄水における洗剤の希釈濃度を高めれば、多量の微細気泡を含むムース状の微細気泡入り洗剤洗浄水が排出口１２から流出するので、洗浄効果を特に高めることができる。また、適度の粘性を有する洗剤を含む微細気泡入り洗剤洗浄水を吐出でき、水はね防止効果を特に高めることができる。

　内部流路１９の上流部１９ａに連通する中流部１９ｂはベンチュリ管状の流路であり、上流側の減圧部２３と下流側の増圧部２４で構成される。減圧部２３は、下流側に向かって流路径を縮小した流路からなる。増圧部２４は、下流側に向かって流路径を拡大した流路からなる。中流部１９ｂに流入する気泡水又は気泡入り洗剤洗浄水は、比較的大きな気泡を含有し、これらは、減圧部２３及び増圧部２４を通過する際に生じる圧力変動に伴って剪断及び微細化される。また、中流部１９ｂ（増圧部２４）の下流端側にはメッシュ部材２５が設けられ、剪断された気泡は、このメッシュ部材２５を通過することで更に微細化される。これにより、微細気泡入り水（微細気泡水）又は微細気泡入り洗剤洗浄水が生成され、本実施形態の洗浄水として使用される。即ち、本実施形態では、内部流路１９の中流部１９ｂとメッシュ部材２５が微細気泡発生部１０を構成する。

　内部流路１９の中流部１９ｂに連通する下流部１９ｃは、流れ方向において断面が同一の円形となった整流部１１である。整流部１１の流路長さ“Ｌ”は、整流部１１の直径“ａ”の２～５倍の範囲内が好ましい。洗浄水流路３の排出口１２から吐出される洗浄水の水圧が１～１．５ｋｇ／ｍであり、流量が５～８Ｌ／ｍｉｎの場合は、排出口１２の直径は４～１０ｍｍ（より好ましくは６ｍｍ程度）に設定するのが好ましい。これにより、微細気泡発生部１０を通過した微細気泡水又は微細気泡入り洗剤洗浄水は、断面円形で流路長さの長い整流部１１を通過することで整流され、吐出量の偏りが防止される。

　整流部１１は吐出ノズル１４の先端に設けた排出口１２に連続し、洗浄水流路３の下流端側に位置し、整流部１１で整流された洗浄水が排出口１２から直線状に吐出される。

　洗浄水吐出水栓システム１を用いてキッチンシンク１３の表面や食器等の被洗浄物を洗浄するには、吐出ノズル１４を移動して排出口１２を被洗浄物に向け、この状態で流し台２等に設けた操作部（図示せず）を操作して開閉弁６を開く。これにより、水道上水４からの水道水が、洗浄水流路３に供給され、定流量弁５及び開閉弁６を通過する。その後、水道上水４からの水は、立上管１５及びホース１６を介して吐出ノズル１４に供給され、吐出ノズル１４の内部流路１９を通過し、微細気泡水が生成される。微細気泡水は、洗浄水として吐出ノズル１４の先端の排出口１２から吐出される。詳しくは、吐出ノズル１４の内部流路１９において、内部流路１９を流れる水に気体混入部８から気体（空気）が混入されて気泡水が生成される。この後、気泡水に含まれる気泡が、微細気泡発生部１０を通じて微細化され、微細気泡水が生成される。該微細気泡水は、整流部１１で整流されて、排出口１２から吐出される。このように排出口１２から吐出された微細気泡水を被洗浄物に当てることで洗浄を行うことができる。

　また、洗浄水流路３に設けた上記開閉弁６を開いた状態で吐出ノズル１４に設けた操作部２６を操作して開閉弁２２ａを開けば、洗剤貯留部２１の液体洗剤が、洗剤供給部９から吐出ノズル１４の内部流路１９を流れる気泡水に供給される。これにより、整流部１１を通じて整流された微細気泡入り洗剤洗浄水が、吐出ノズル１４の排出口１２から吐出される。

　また、排出口１２からの洗浄水の吐出を停止するには前述の操作部を操作して開閉弁６を閉じる。これにより、水道上水４から洗浄水流路３への水の供給が停止され、また通気弁７が開き、洗浄水流路３内は大気開放される。ここで、吐出ノズル１４の排出口１２は通気弁７よりも下方に位置するように設定されているので、通気弁７が開いた際には洗浄水流路３の通気弁７よりも下流側部分に溜まった洗浄水が排出口１２から排出される。これにより、微細気泡入り洗剤洗浄水を吐出した後に洗浄水流路３に残った洗剤等を洗浄水流路３から排出でき、未使用時に誤って洗剤を含む洗浄水が排出口１２から吐出したり、開閉弁６側に逆流することを防止できる。また、洗剤貯留部２１が移動自在の吐出ノズル１４に設けられるので、洗剤貯留部２１に通じる洗剤供給部９を排出口１２に近い吐出ノズル１４に簡単に設けることができ、前記残留洗剤の排出を確実に行うことができる。

　本実施形態では、洗浄水を整流するための整流部１１が、洗浄水流路３の下流端側に設けられるので、整流部１１を通じて洗浄水を整流して排出口１２から吐出できる。このように洗浄水を整流することで、洗浄水が被洗浄物に当たった際に水はねが生じることを少なくすることができる。

　また、洗浄水吐出水栓システム１が洗浄水流路３に気体を混入する気体混入部８並びに気泡を微細化する微細気泡発生部１０を有するので、高い洗浄効果を持つ洗浄水（微細気泡水又は微細気泡入り洗剤洗浄水）を排出口１２から吐出でき、被洗浄物を効率良く且つ効果的に洗浄できる。この洗浄水に含まれる微細気泡は泡径が非常に小さく、汚れへの付着性、浸透性及び剥離効果が高いため、被洗浄物に付着した油汚れをより効果的に落とすことができる。また、この微細気泡は泡径が非常に小さく均一に含まれるために洗浄水の水流を乱しにくく、このため前述の水はねを一層防止できるという効果もある。また、微細気泡発生部１０は洗剤供給部９よりも下流側に設けてあるので、洗剤を含むことで泡立ちが良い気泡入り洗剤洗浄水を微細気泡発生部１０で微細化でき、気泡を一層微細化できるといった効果もある。

　また、洗剤を供給するための洗剤供給部９が洗浄水流路３に設けられるので、微細気泡入り洗剤洗浄水を排出口１２から吐出でき、洗剤の効果により洗浄効果を一層高めることができる。また、洗剤の粘性により水はねを一層防止できる。また、洗剤供給部９から洗浄水流路３への洗剤の供給を、切替手段２２により制御できるので、微細気泡水又は微細気泡入り洗剤洗浄水を選択して排出口１２から吐出できる。例えば、微細気泡入り洗剤洗浄水を吐出して洗浄を行った後、洗剤を含まない微細気泡水を吐出してすすぎ等をすることができる。

　また、本実施形態の洗浄水吐出水栓システム１は、水道水をそのまま吐出する水栓２７とは別体として設けられているため、調理作業を台所で行うとき、水道水と、微細気泡水又は微細気泡入り洗剤洗浄水を選択して使用することができる。水道水は、微細気泡を含まず、白濁しないので、調味料の混ざり具合等を見易くできる。食器などの被洗浄物を洗浄するとき、洗浄水吐出水栓システム１の洗浄水を使用することができる。例えば、被洗浄物の汚れを、先ず洗浄水吐出水栓システム１の洗浄水によって効果的に落とした後、被洗浄物のすすぎを洗浄水吐出水栓システム１の洗浄水によって短時間で行うことができる。即ち、調理作業及び洗浄作業の両方を良好に行うことができる。

　なお、上記の実施形態は、開閉弁６として電磁弁６ａを用いたが、操作レバーを人が操作することで洗浄水流路３の止水及び通水を切り替えるような開閉弁６でも良い。この場合、電気系統を排除することができる。また、上記の実施形態は、吐出ノズル１４に設けた操作部２６を操作して開閉弁２２ａを開いたときに、洗剤貯留部２１の液体洗剤が、洗剤供給部９から吐出ノズル１４の内部流路１９を流れる気泡水に供給される形態を示したが、スライドスイッチを吐出ノズル１４の２面に突出するように設け、どちらか一方の突出部を吐出ノズル１４側に押し込むことにより、液体洗剤の内部流路１９への供給を入り切りするようにしても良い。

　また、スライドスイッチを、多段階に切り替え可能に形成し、スライド毎に穴の径を変更して形成することにより、スライドスイッチの位置で、液体洗剤の流量を調整するように形成しても良い。この場合、スライドスイッチを円形に形成しておき、それを回転させることで切り替えるようにすると、吐出ノズルに収まりよく設けることができる。なお、同様な流量調整用のスライドスイッチを気体取込口８ａに隣接して設け、外気の取り込み量を調整できるように形成しても良い。

　図７は、本発明の一実施形態による洗浄水吐出水栓システム１を示す。この洗浄水吐出水栓システム１は、流し台２内の洗浄水流路３における開閉弁６よりも下流側に設けられる通気弁７を有する点で、図１の洗浄水吐出水栓システム１と異なる。この通気弁７は、流し台２内の上端部に配置され、カウンタ１８上に露出される。洗浄水流路３は、通気弁７から下方に伸びた後、上方に折り返され、流し台２のカウンタ１８の上方に突出した位置でホース１６の一端（上流端）に接続される。また、洗剤及び気体を混入するための洗剤・気体混入部３３が、洗浄水流路３における通気弁７から下方に伸びる部分に設けられる。

　洗剤・気体混入部３３は、流路（図示しない）を含み、これは、図１の洗浄水吐出水栓システム１における吐出ノズル１４の内部に形成される内部流路１９（図３参照）と略同様の構成を有する。即ち、洗剤・気体混入部３３の流路は、図３と同様に、内部流路１９における上流部１９ａ及び中流部１９ｂで構成され、洗剤供給部９及び気体混入部８が上流部１９ａに設けられる。中流部１９ｂは、ベンチュリ管状の流路となっている。なお、洗剤・気体混入部３３は、図３に示すような整流部１１、即ち下流部１９ｃを有していない。洗剤貯留部２１は流し台２に内装した洗剤タンク２１ａからなり、洗剤タンク２１ａの洗剤補給口３５はカウンタ１８上に露出している。

　また、図７の洗剤貯留部２１は、流し台２内の洗剤供給路３４を介して洗剤・気体混入部３３の洗剤供給部９に接続される。洗剤供給路３４には、洗剤供給部９を介して洗剤貯留部２１内の洗剤を洗剤・気体混入部３３内に供給するポンプ３６が設けられる。ポンプ３６は、電磁弁６ａからなる開閉弁６の開閉に連動して開閉弁６の開成時に駆動し、また開閉弁６の閉成時に停止する。また、洗剤供給路３４には電磁弁２２ｂが設けられる。流し台２等に設けた操作部（図示せず）を操作して電磁弁２２ｂを開閉すれば、洗剤を洗剤供給部９から洗剤・気体混入部３３内に供給するか否かを切り替えることができる。即ち本実施形態では、電磁弁２２ｂが切替手段２２に対応する。

　また、図７の吐出ノズル１４は、図３の吐出ノズル１４の内部流路１９を持たず、吐出ノズル１４の内部には、先端の排出口１２とホース１６の一端（下流端）を接続する流路（図示しない）が形成される。この流路の下流端側には、図３の整流部１１と同様の整流部が設けられる。また、ホース１６は、吐出ノズル１４の排出口１２が通気弁７よりも下方に位置するまで吐出ノズル１４を移動できる長さを持つが、排出口１２を通気弁７よりも下方に配置するように設定されている。このため、本実施形態でも、開閉弁６を閉じると通気弁７が既述の洗浄水吐出水栓システム１と同様に開く。この状態で吐出ノズル１４を移動して排出口１２を通気弁７よりも下方に配置すれば、洗浄水流路３の通気弁７よりも下流側に溜まった洗浄水を排出口１２から排出できる。

　本実施形態の洗浄水吐出水栓システム１では、定流量弁５、開閉弁６、洗剤・気体混入部３３、ポンプ３６及び洗剤貯留部２１の全てが流し台２の内部に配置され、収まりが良い。また、洗剤貯留部２１を吐出ノズル１４に設けずに、吐出ノズル１４を簡単に構成できるので、吐出ノズル１４の小型化及び軽量化を図ることができ、使い勝手の良い手持ち式の吐出ノズル１４を提供できる。

　図８は、本発明の一実施形態による洗浄水吐出水栓システム１を示す。この洗浄水吐出水栓システム１は、立上管１５がカウンタ１８から立ち上げた立上部３２に内装され、通気弁７が立上部３２の上端に配置される点で、図１の洗浄水吐出水栓システム１と異なる。洗剤及び気体を混入するための洗剤・気体混入部３３は、立上管１５における通気弁７から下方に伸びる部分に設けられる。

　洗剤・気体混入部３３は、流路を含み、これは、図１の洗浄水吐出水栓システム１における吐出ノズル１４の内部に形成される内部流路１９（図３参照）と略同様の構成を有する。即ち、洗剤・気体混入部３３の流路は、図３と同様に、内部流路１９における上流部１９ａ及び中流部１９ｂで構成され、洗剤供給部９及び気体混入部８が上流部１９ａに設けられる。中流部１９ｂは、ベンチュリ管状の流路となっている。なお、洗剤・気体混入部３３は、図３に示すような整流部１１、即ち下流部１９ｃを有していない。洗剤貯留部２１は流し台２の立上部３２に内装した洗剤タンク２１ａからなり、洗剤タンク２１ａの洗剤補給口は立上部３２の外部に露出している。洗剤貯留部２１は、立上部３２内の洗剤供給路３４を介して洗剤・気体混入部３３の洗剤供給部９に接続される。洗剤供給路３４には電磁弁２２ｂが設けられる。流し台２等に設けた操作部（図示せず）を操作して電磁弁２２ｂを開閉することで、洗剤を洗剤供給部９から内部流路１９に供給するか否かを切り替えることができる。即ち本実施形態では、電磁弁２２ｂが切替手段２２に対応する。

　立上部３２には供給管３０の上流端が接続され、供給管３０は縦軸回りに回動自在（首振り可能）となっている。吐出ノズル１４は、供給管３０の先端（下流端）に設けられる。吐出ノズル１４は、図１の洗浄水吐出水栓システム１の吐出ノズル１４の内部流路１９を有さない。吐出ノズル１４の内部には、先端の排出口１２と供給管３０の先端を接続する流路（図示しない）が形成される。流路の下流端側には、図３の整流部１１と同様の整流部が設けられる。このように、回動自在な供給管３０を流し台２上に立ち上げた立上部３２に接続し、吐出ノズル１４を供給管３０の先端に設けることで、供給管３０を回動して吐出ノズル１４を移動でき、使い勝手が良い。また、吐出ノズル１４の排出口１２は通気弁７よりも下方に位置するように設定されている。このため本実施形態でも、開閉弁６を閉じると通気弁７が図１の洗浄水吐出水栓システム１と同様に開き、洗浄水流路３における通気弁７よりも下流側に溜まった洗浄水が排出口１２から排出される。

　本実施形態では、立上管１５、洗剤・気体混入部３３及び洗剤貯留部２１を流し台２のカウンタ１８上に立ち上げた立上部３２の内部に配置でき、収まりが良い。また、吐出ノズル１４に洗剤貯留部２１を設けず、吐出ノズル１４を簡単な構成できるので、吐出ノズル１４の小型化及び軽量化を図ることができ、手で持って使用される吐出ノズル１４を使いやすいものとできる。

　図９は本発明の一実施形態による洗浄水吐出水栓システム１を示す。本実施形態の通気弁７は、立上管１５内の水圧の変化により開閉するフロート弁からなり、水道管４側の水圧低下に応じて洗浄水流路３内の空間を大気に開放するように開閉し、負圧破壊装置として機能する。

　立上管１５の下流は、立上管１５の高さの略１／２以下の高さ“Ｈ”でホース１６の一端（上流端）に接続される。ホース１６は、可撓性を有する屈曲自在な材料からなり、立上管１５に一体形成されたホルダー８７内に引き出し自在にガイドされる。ホース１６の下流端は、ホルダー８７の先端に連結される吐出ノズル１４の上流端に接続されている。本実施形態のホルダー８７は、先端が前下方に向くようなアーチ型に形成され、ホース１６の長さは、ホルダー８７の長さと略同一に設定される。ホース１６及びホルダー８７は、規制手段を構成する。吐出ノズル１４の上流端は、吐出ノズル１４の角度が上下左右に可変自在となるように、ホルダー８７の先端近傍に連結される。また、吐出ノズル１４の角度は、吐出ノズル１４の排出口１２が通気弁７よりも常時下方に位置するように規制される。つまり、排出口１２の可動領域の上限“Ａ”は、通気弁７よりも上方に位置しないように規制されている。

　吐出ノズル１４には、気体混入部８、洗剤供給部９、微細気泡発生部１０及び整流部１１が設けられている（図３参照）。これらは、図１の実施形態と同様に構成され、ここでは詳細に説明しない。

　洗浄水吐出水栓システム１を用いてキッチンシンク１３の表面や食器等の被洗浄物を洗浄するには、吐出ノズル１４の角度を変えて排出口１２を被洗浄物に向け、または、ホース１６を引き出して吐出ノズル１４の排出口１２を被洗浄物に向け、この状態で開閉弁６を開く。これにより、水道管４から水道水が、洗浄水流路３に供給され、定流量弁５及び開閉弁６を経て立上管１５内を通過する。このとき、通気弁７（フロート弁）が浮き上がって通気口を塞ぎ、洗浄水流路３内の空間が密閉される。この状態で、水道水は、立上管１５を通過し、ホース１６を経て吐出ノズル１４に供給され、吐出ノズル１４の内部流路１９を通過する。その後、水道水は、吐出ノズル１４の排出口１２から吐出される。このとき、空気が水道圧によって気体混入部８から水道水に混入される。吐出ノズル１４に設けた操作部２６を操作して開閉弁２２を開けば、洗剤貯留部２１の液体洗剤が洗剤供給部９から自給引き込みされて、微細気泡入り洗剤洗浄水が生成されて、排出口１２から吐出される。

　ここで、開閉弁６を閉じた時或いは断水等によって水道管４側で負圧（例えば－５４ＫＰａ）が発生した時は、通気弁７が開いて洗浄水流路３内の空間が大気に開放される。それ故に、吐出ノズル１４側と水道管４側との通水が遮断され、負圧が破壊された状態となる。その結果、水道管４への洗浄水の逆流現象が防止される。

　しかも、可動自在な吐出ノズル１４の上流端は、立上管１５の略１／２の高さ“Ｈ”に位置し、且つ吐出ノズル１４の排出口１２の可動領域の上限“Ａ”が、常に通気弁７よりも低い位置となるように規制されている。このため、吐出ノズル１４側からの洗浄水が、通気状態の洗浄水流路３の高低差を乗り越えて水道管４側に達することもなくなる。従って、通気弁７による負圧破壊効果と吐出ノズル１４の上限規制効果とによって、水道管４への洗浄水の逆流を確実に防止できる。その結果、水道上水の汚染を防止するための逆流防止対策を施すことができ、水道法を遵守するシステム構成を容易に実現できる。

　また、本実施形態では、ホース１６は、ホルダー８７とほぼ同じ長さに定められる。これにより、吐出ノズル１４は、吐出ノズル１４の上流端がホルダー８７から離れないように、上下左右に可変自在となる。また、規制手段を、ホース１６及びホルダー８７から簡易に構成できる。また、洗浄水吐出水栓システム１を使用しないときは、ホルダー８７が吐出ノズル１４を収まりよく保持できるので、使い勝手がよくなる。そのうえ、ホルダー８７が吐出ノズル１４を保持するための部材も不要なので、システム構成をより単純化できる。

　また、本実施形態では、通気弁７は、水道管４側の水圧低下に応じて洗浄水流路３内の空間を大気に開放するように開閉する。それ故に、水道水圧の変化により開閉する簡易なフロート弁で通気弁７を構成できる。

　なお、上記ホース１６は、可撓性を有していれば、蛇腹等の伸縮自在なホースでもよい。また、ホース１６に代えて、吐出ノズル１４の上流端を、規制手段であるヒンジ８８を介して、立上管１５の上部に回動自在に連結及び支持するようにしても良い。この場合ヒンジ８８は、吐出ノズル１４が水平方向と下向き略垂直方向との間で可変であり且つ水平方向よりも上方には回動できないように、吐出ノズル１４を規制するように設ける。

　図１０は本発明の一実施形態を示す。本実施形態は、図９の実施形態と同様に構成されるキッチンシンク１３用の洗浄水吐出水栓システム１であり、水道水をそのまま吐出する水栓２７とは別に流し台２に設けられ、洗剤洗浄水の逆流防止機構によって特徴付けられる。

　本実施形態において、洗浄水流路３の上流端は水道上水（水道管）４に接続され、洗浄水流路３には水源となる水道水が供給される。図１０に示すように、洗浄水流路３には、定流量弁５（減圧弁）、開閉弁６、通気弁７及び排水弁８９が上流側から順に設けられ、更に吐出ノズル１４が立上管１５及びホース１６介して下流側に接続されている。これらを通過した洗浄水は、吐出ノズル１４の先端に設けられた排出口１２からキッチンシンク１３内に吐出される。

　排水弁８９は通気弁７の下流側に配置され、立上管１５内のホース１６が、排水弁８９よりも下流側の流路となる。立上管１５は、カウンタ１８上に立設され、ホルダー８７が立上管１５の上端に取り付けられる。このホルダー８７は、先端が前下方に向くようなアーチ型に形成され、ホース１６が内部に収納されている。ホース１６の一端（上流端）は、立上管１５の下流に接続され、他端（下流端）がホルダー８７の外部に配置される吐出ノズル１４の上流端に接続される。

　図１１Ａ－１１Ｃは、排水弁８９の一例を示す。図１０に示すように、排水弁８９は、洗剤供給部９側の最下部“Ｈ２”よりも高く、且つ通気弁７の高さ“Ｈ”よりも低い位置“Ｈ１”に配置される。排水弁８９は、水道管４側の水圧低下に応じて洗浄水流路３の主として下流側を排水路９０に開放するように開閉する。図１１Ａ－１１Ｃでは、洗浄水流路３には、三方分岐路が通気弁７と立上管１５との間に設けられ、三方分岐路は、洗剤供給部９側（３ａ側）、通気弁７側（３ｂ側）及び排水路９０側の各々に通じる。排水弁８９は、三方分岐路に配置されて、弁バネ９１で通気弁７側の弁座９２に向かって常に付勢されている。通水時には弁バネ９１が水圧で押されて収縮して排水路９０側の弁座９３に押圧される。これにより、三方分岐路の排水路９０側が閉じられて、水道水が、矢印“α”で示すように、通気弁７側（３ｂ側）から洗剤供給部９側（３ａ側）に流れる。一方、止水時には、弁バネ９１が復帰して排水弁８９が通気弁７側の弁座９２に向かって押圧される。これにより、三方分岐路の通気弁７側が閉じられて、三方分岐路の排水路９０側が開放され、吐出ノズル１４からの洗浄水を、矢印“β”に示すように排水路９０に排水することができる。

　ここで、開閉弁６を閉じた時或いは断水等により水道管４側で負圧（例えば－５４ＫＰａ）が発生した時は、通気弁７が開いて洗浄水流路３内の空間が大気に開放される。それ故に、洗剤供給部９側と水道管４側との通水が遮断され、負圧が破壊された状態となる。その結果、水道管４への洗浄水の逆流現象が防止される。

　しかも、三方分岐路の通気弁７側が閉じられて排水路９０が開放されるので、吐出ノズル１４側の洗浄水を、外部に通じる排水路９０に排出することができる。このため、吐出ノズル１４側からの洗浄水が、通気弁７側の通気状態にある洗浄水流路３の高低差（Ｈ２、Ｈ１、Ｈ）を乗り越えて水道管４側に達することもなくなる。従って、通気弁７による負圧破壊効果と排水弁８９による洗浄水の排出効果とによって、水道管４側への洗浄水の逆流を確実に防止できる。その結果、水道上水の汚染を防止するための逆流防止対策を施すことができ、水道法を遵守するシステム構成を容易に実現できる。

　また本例の排水弁８９は水道水の水圧低下に応じて開閉作動する簡易な弁構造で済む利点がある。

　なお、水道管４側で負圧が発生した時に、排水弁８９を通気弁７側の弁座９２に接触させず、通気弁７側の弁座９２と排水路９０側の弁座９３の中間位置（例えば、図１１Ａに示す位置）に止まるよう、三方分岐路内に中央弁座を設けても良い。これにより、三方分岐路における通気弁７側、洗剤供給部９側及び排水路９０側の三方を同時に開き、吐出ノズル１４からの洗浄水及び通気弁７側からの残存水が排水路９０に排水され、洗浄水流路３における通気弁７の下流側の残存水をすべて排水できる。

　図１２及び１３は本発明の一実施形態の吐出ノズル１４の要部を示す。図１２に示すように、吐出ノズル１４の内部には、上流部１９ａ、中流部１９ｂ及び下流部１９ｃで構成される内部流路１９が形成され、直線状の内部流路１９の上流端はホース１６の下流端に連通接続される。上流部１９ａ及び中流部１９ｂは、図３と同様に構成される。それ故に、同様の要素には、図３で表されたのと同じ符号を割り当て、ここでは詳細に説明しない。

　本実施形態では、吐出ノズル１４はメッシュ部材２５を有さないが、整流部１１が、図３と同様に洗浄水流路３の下流部１９ｃに形成され、多孔排出器９８の整流部が整流部１１に更に設けられる。それ故に、多孔排出器９８について詳細に説明する。多孔排出器９８は、多数の整流孔９８ａが形成された所定厚みの板状の部材からなり、流路断面の全面に亘って流路の流れ方向に垂直となるように、洗浄水流路３の下流端側に設けられる。各整流孔９８ａは、流路の流れ方向と平行に形成される。図１３に示すように、整流孔９８ａの直径“Ｄ”に対する長さ“Ｌ”（多孔排出器９８の厚み）の比“Ｒ”（＝Ｌ／Ｄ）を２－５の範囲内に設定すれば、整流効果が得られる。本実施形態では、整流孔９８ａの断面は略円形状であり、整流孔９８ａの直径はφ１ｍｍである。

　また、各整流孔９８ａの上流縁には、上流側ほど径が大きくなるように面取り９８ｂが形成される。これにより、洗浄水が整流孔９８ａに流入する際の圧力損失を低減することができる。

　多孔排出器９８は、吐出ノズル１４の先端に設けた排出口１２に嵌入され、洗浄水流路３の下流端側に位置し、多孔排出器９８で整流された洗浄水が排出口１２から直線状に吐出される。このように板状の多孔排出器９８が洗浄水流路３の下流端側に設けられるので、整流部１１及び多孔排出器９８を通じて洗浄水を排出口１２から均一に放出することができる。該洗浄水の整流により、洗浄水が被洗浄物に当たった際に水はねが生じるのを更に防止できる。

　図１４は、本発明の一実施形態による洗浄水吐出水栓システムにおける吐出ノズル１４を示す。本実施形態は、図１２と同様に構成され、吐出ノズル１４に設けられるバッファ空間９９によって特徴付けられる。同様の要素には、図１２で表されたのと同じ符号を割り当て、ここでは詳細に説明しない。

　拡大流路９９は、洗浄水流路３における微細気泡発生部１０よりも下流側に設けられ、拡大流路９９の断面積が、拡大流路９９以外の洗浄水流路３のそれよりも大きくなるように形成される。そして、拡大流路９９の排出口１２側に、整流部１１として多孔排出器９８が設けられている。このように、整流部１１を設けた拡大流路９９を吐出ノズル１４に設けることで、洗浄水を排出口１２から均一に吐出することができる。

　図１５は本発明の吐出ノズル１４の一実施形態を示す。本実施形態の洗浄水吐出水栓システム１は、例えば図１の実施形態と同様に、微細気泡水に加えて微細気泡入り洗剤洗浄水を吐出することができる。微細気泡入り洗剤洗浄水は、微細気泡の洗浄効果に加えて洗剤の洗浄効果を有するので、洗浄能力を高めることができる。

　吐出ノズル１４に設けられた洗剤貯留部２１は、洗剤を貯留するための洗剤タンク２１ａを有し、洗剤タンク２１ａの洗剤は、洗剤供給部９（洗剤取込口）を介して洗浄水流路３に供給される。洗剤貯留部２１は、吐出ノズル１４に設けられた微細気泡発生装置の側面に着脱自在に設けられる。それ故に、洗剤タンク２１ａへの洗剤の補充等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。例えば、洗剤タンク２１ａを吐出ノズル１４から取外して、洗剤を洗剤タンク２１ａに容易に補充することができる。

　洗剤タンク２１ａの洗剤は、洗剤供給部９を介して、減圧部２３に供給され、そこが、洗剤混入部となり、気体混入部８よりも下流側に配置される。従って、洗剤は、減圧部２３で発生する負圧によって洗剤タンク２１ａから吸引して洗浄水流路３内の気泡水に混入可能である。詳しくは、気体混入部８に通じる気体取込口８ａは、洗剤タンク２１ａの側に形成され、絞り部２０の近傍に配置される。

　微細気泡発生部１０の入力部としての減圧部２３が洗剤混入部となるので、気泡水に洗剤を混入して得られる気泡入り洗剤洗浄水が、続いて微細気泡発生部１０を通じて微細化される。これにより、微細気泡入り洗剤洗浄水が生成される。洗剤はいわゆる界面活性剤であって含有した水の粘度（表面張力）を低下させる性質を有するから、微細気泡の径を小さく且つ個数を増やして洗浄効果を向上させるという効果も有する。

　洗剤供給部９には、図５、６Ａ及び６Ｂと同様に、開閉弁２２ａが設けられる。押釦スイッチ２６ａは、開閉弁２２ａで洗剤供給部９の洗剤流路を遮断する方向にばねで付勢されている。押釦スイッチ２６ａをばねに抗して押し込めば、開閉弁２２ａを開くことができる。これにより、洗浄水を、微細気泡水又は微細気泡入り洗剤洗浄水に切り替えることができる。

　また、吐出ノズル１４には、洗浄水流路３を開閉するための開閉弁１０１が設けられる。開閉弁１０１は、スプール式の手動操作弁である。即ち、弁１０２は、操作部（操作レバー）９７の操作に連動して軸方向（矢印“ａ”）にスライドすることにより、洗浄水流路３に設けられた弁孔１０３を開閉する。それ故に、操作部９７及び吐出ノズル１４を、操作部９７の先端が吐出ノズル１４に近づくように手で握れば、洗浄水流路３を開けることができる。手を離せば、洗浄水流路３を閉じることができる。そのため、洗浄水を手で簡単に出したり止めたりすることができる。それ故に、洗浄作業の利便性を向上させることができ、また、洗浄水を簡単に止めることができるので、節水効果も向上できる。

　このように、開閉弁１０１及び開閉弁６は、洗浄水流路３における気体混入部８及び洗剤供給部９の上流側に設けられる。つまり、気体混入部８及び洗剤供給部９は、洗浄水流路３における開閉弁１０１の下流側、即ち排出口１２側に位置する。従って、開閉弁１０１の開閉動作による水撃現象等に起因する洗浄水流路３内の圧力変動は、気体混入部８及び洗剤供給部９に影響し難く、気体混入部８における水及び洗剤供給部９における洗剤洗浄水が逆流するのを防止できる。

　なお、開閉弁６として電磁弁６ａを用いる場合、開閉弁６を開いてから所定時間（例えば１５分間）の経過後に開閉弁６を自動的に閉じるように構成すると好ましい。

　操作部９７によって操作される開閉弁１０１により洗浄水流路３を遮断した場合、開閉弁６が開き続けた状態となり、開閉弁６から吐出ノズル１４の流量調整機構までの流路に水道圧がかかって水漏れや破損が生じるおそれがあるが、所定時間経過後に開閉弁６を自動的に閉じるようにすると、これを防止できる。

　図１６は本発明の一実施形態を示す。本実施形態の洗浄水吐出水栓システム１は、十分な量の気泡を水道水に混入してボイド率を高めるように構成される。システム１は、水道水をそのまま吐出する水栓２７とは別に流し台２に設けられ、微細気泡水又は微細気泡入り洗剤洗浄水をキッチンシンク１３内に吐出するように構成される。洗浄水吐出水栓システム１は、洗浄水流路３を含み、排出口１２が洗浄水流路３の下流端に設けられる。洗浄水流路３は、水道水をそのまま供給する水栓２７に水道水を供給するための水道上水（水道管）から分岐した流路であり、水道水は、水道管からの水圧によって供給される。給湯器（図示しない）を水道管の上流側に設置し、温水を、または水道水と温水の混合水を、洗浄水流路３に供給するようにしても良い。

　洗浄水流路３の上流部３ａは、流し台２の内部に配されている。上流部３ａには、上流側から順に、止水栓１０７、逆止弁９６、定流量弁５及び開閉弁６が設けられる。定流量弁５は、水道管からの水圧を減圧し一定流量の水を下流側に送る。開閉弁６は電磁弁からなる。図１６及び２２に示すように、立上管１５、供給管８７、連結管１０８及び吐出ノズル１４が上流側から順に設けられ、これらは、洗浄水吐出水栓１ａを構成する。

　立上管１５は、キッチンシンク１３の後縁部から上方に向けて突設される。供給管８７は、立上管１５の上部から前方に向けて突設される。立上管１５及び供給管８７は、流し台２の外部に位置している。供給管８７は、平面視でキッチンシンク１３の周縁部からキッチンシンク１３内に向けて突出している。立上管１５及び供給管８７が給水管部を構成する。なお、これに限らず、給水管部は、例えばキッチンシンク１３の後方に立設した壁から前方に突出する横管等で構成されてもよい。

　連結管１０８の上流端は、供給管８７の下流端に連結される。吐出ノズル１４の上流端は連結管１０８の下流端に接続される。吐出ノズル１４は、キッチンシンク１３の上方に配置される。吐出ノズル１４は、連結管１０８に対して略鉛直下方に延び、吐出ノズル１４の下部が供給管８７よりも下方に位置している。

　縦流路１０９、横流路１１０、連結流路１１１及び吐出流路１１２が、それぞれ立上管１５、供給管８７、連結管１０８及び吐出ノズル１４の内部に形成されている。縦流路１０９の上流端は、上流部３ａの下流端に連通接続される。縦流路１０９の下流端は、横流路１１０の上流端に連通接続される。横流路１１０の下流端は、連結流路１１１を介して吐出流路１１２の上流端に連通接続される。縦流路１０９、横流路１１０、連結流路１１１及び吐出流路１１２が、洗浄水流路３の下流部３ｂを構成する。上流部３ａ及び下流部３ｂが洗浄水流路３を構成する。

　図１６及び１７に示すように、吐出切替用の操作部２８及び流量調整用の操作部１０６が立上管１５の下部に設けられる。操作部２８及び１０６は、制御部１１３に電気的に接続される。操作部１０６が操作されると、制御部１１３は流量調整弁１０５の開度を変更する。これにより、洗浄水の吐出量を調節できる。操作部２８が操作されると、制御部１１３は開閉弁６を開閉する。これにより、洗浄水を吐出したり止めたりできる。

　図１８Ａ及び１８Ｂに示すように、ノズル本体及び洗剤貯留部２１が、略円筒形状の吐出ノズル１４を構成する。一例において、吐出ノズル１４は、例えば略角筒形状などでもよい。洗剤貯留部２１は、ノズル本体に着脱自在に取り付けられる洗剤タンク２１ａを有する。ノズル本体は、屈曲管１４ｆ、流入管１４ａ、主管１４ｂ及び流出管１４ｃから構成される。Ｌ形状の屈曲管１４ｆの上流端は、連結管１０８の下流端に接続される。屈曲管１４ｆの下流端は、流入管１４ａの上流部に挿入及び固定される。流入管１４ａの下流端は、主管１４ｂの上流部に挿入及び固定される。主管１４ｂの下流端は、流出管１４ｃに接続され、流出管１４ｃが排出口１２を有する。

　図１８及び１９に示すように、流入管１４ａは、絞り部２０及び排出口１４ａ１を有する。絞り部２０は、流入管１４ａの先端側に形成され、絞り部２０の内面は、先端側が徐々に狭くなるように先細りされている。排出口１４ａ１は、円筒状の内面１４ａ２及び縁部１４ａ３を持つ。内面１４ａ２は、一定の内径を持つ。縁部１４ａ３は、ラッパ形状であり、先端側が徐々に広くなっている。水道管からの水（又は温水）は、流入管１４ａの排出口１４ａ１から主管１４ｂ内に吐出される。絞り部２０が流入管１４ａに形成されることで、洗浄水が洗浄水流路３に流れているときに負圧が主管１４ｂの上流側で発生する。それ故に、主管１４ｂの上流部１９ａが負圧発生部となる。

　主管１４ｂは、気体混入部８を有し、これは、上流部１９ａを外部に連通させるための気体取込口を持つ。洗浄水が洗浄水流路３に流れて負圧が負圧発生部に発生したとき、気体がその負圧によって気体取込口から洗浄水流路３内の水道水に混入される。これにより気泡水が生成される。

　主管１４ｂは、減圧部２３及び増圧部２４を有し、これらは、ベンチュリ管状の流路であり、気体混入部８の下流に形成される。減圧部２３は、縮径部２３ａ及び咽喉部２３ｂから構成される。縮径部２３ａの内径は徐々に狭くなり、咽喉部２３ｂは、ほぼ一定の内径を持つ。咽喉部２３ｂの内径は徐々に広くなる。

　吐出ノズル１４は、洗剤供給部９を有し、これは、縮径部２３ａを貫通する洗剤取込口を持ち、洗剤が洗剤取込口を介して洗剤タンク２１ａから減圧部２３に供給可能である。洗浄水が洗浄水流路３を流れているとき、洗剤タンク２１ａが洗剤供給部９に通じると、洗剤が減圧部２３で発生した負圧によって洗剤タンク２１ａから洗浄水流路３に供給される。これにより、洗剤が気泡水に混入されて、気泡入り洗剤洗浄水が生成される。一例において、洗剤供給部９は、気体混入部８よりも上流に設けてもよい。また、洗剤供給部９は、負圧発生部に対応する主管１４ｂの部分に設けてもよい。

　気泡入り洗剤洗浄水は、減圧部２３及び増圧部２４を通過するときに圧力の変動を受けて気泡が剪断される。これにより、微細気泡入り洗剤洗浄水が生成される。即ち、減圧部２３及び増圧部２４は、微細気泡発生部を構成する。

　流出管１４ｃは吐出ノズル１４の下端部を構成する。流出管１４ｃは、円筒状の内面を持つ拡大流路１４ｃ１を含み、これは、屈曲管１４ｆ、流入管１４ａ及び主管１４ｂの何れの内径よりも大きい内径を有する。詳しくは、図１８Ｂに示すように、屈曲管１４ｆ、流入管１４ａ及び主管１４ｂの各々は、円筒状の吐出ノズル１４の半円内に収納されるので、吐出ノズル１４の内径の半分よりも小さな内径を持つ。流出管１４ｃの拡大流路１４ｃ１は、吐出ノズル１４の内径よりも若干小さな内径を持つ。流出管１４ｃの排出口１２には、図１４と同様に多孔排出器が設けられる。

　流出管１４ｃは、凹所１１４及び連通孔１１５を有する。凹所１１４は、流出管１４ｃの上流部に形成される。連通孔１１５は、凹所１１４の底に形成され、流出管１４ｃの拡大流路１４ｃ１に連通する。従って、主管１４ｂを凹所１１４に挿入しながら、流出管１４ｃを吐出ノズル１４の下端に取り付ければ、主管１４ｂの下流端が流出管１４ｃの拡大流路１４ｃ１に連通する。これにより、吐出流路１１２が、屈曲管１４ｆ、流入管１４ａ、主管１４ｂ及び流出管１４ｃから形成される。

　止水栓１０７が開いているとき、操作部２８を操作して開閉弁６を開き、操作部２６を操作して開閉弁２２ａを開けば、水（又は温水）が洗浄水流路３に供給されて、気体及び洗剤が、それぞれ気体混入部８及び洗剤供給部９通じて、洗浄水流路３に供給される。これにより気泡入り洗剤洗浄水が生成される。気泡入り洗剤洗浄水が減圧部２３及び増圧部２４を通過すれば、該洗浄水の気泡が剪断される。これにより微細気泡入り洗剤洗浄水が生成され、排出口１２から吐出される。微細気泡入り洗剤洗浄水は高い洗浄効果を持つので、食器等の被洗浄物を綺麗に洗浄することができる。また、操作部２８を操作して開閉弁６を開き、操作部２６を操作して開閉弁２２ａを閉じれば、洗剤を含まない微細気泡水を排出口１２から吐出させることができる。

　本実施形態の特徴において、図２０に示すように、洗浄水の流れを乱すための突起１１６が、絞り部２０の内面（絞り面）に形成される。突起１１６は、絞り部２０の内面の下流端に周方向に亘って一体に形成される。突起１１６は、上流端面１１６ａと、内周側面１１６ｂとを有する。上流端面１１６ａは、洗浄水流路３内の水の流れと垂直に形成される。内周側面１１６ｂは、洗浄水流路３内の水の流れ方向に形成され、流入管１４ａの排出口１４ａ１の内面１４ａ２と面一になっている。つまり、内周側面１１６ｂの直径“ａ₄”は、洗浄水流路３内の水の流れ方向（流入管１４ａの軸方向）において一定であり、且つ、排出口１４ａ１の内面１４ａ２の内径と同じである。

　好ましくは、絞り部２０の内面（絞り面）からの上流端面１１６ａの突出長さ“ａ₁”は、内周側面１１６ｂの半径（即ち、ａ₄／２）の９～１５％の範囲内に設定される。この場合、気体混入部８から混入される気体の量を増大することができる。

　図２１は、突起１１６を持つ洗浄水吐出水栓システム１と突起１１６を持たないシステムとの比較実験結果、即ち洗浄水流路３内の水流の量とボイド率との関係を示す。ボイド率は、気体混入部８からの空気の吸気流量及び気泡水中の気泡の率を表す。突起１１６を持たないシステムは、突起１１６を持たない点でのみ突起１１６を持つ洗浄水吐出水栓システム１と異なり、実験は、同一の条件で行った。

　例えば、図１９及び２０における“ａ₁”－“ａ₄”、“ｂ₁”－“ｂ₃”、及び“ｃ₁”－“ｃ₂”の各パラメータは、以下のように設定される：
　ａ₁＝０．２２５ｍｍ；
　ａ₂＝０．８４ｍｍ；
　ａ₃＝３．５５ｍｍ；
　ａ₄＝３．１ｍｍ；
　ｂ₁＝４．１１ｍｍ；
　ｂ₂＝１．９４ｍｍ；
　ｂ₃＝２．１６ｍｍ；
　ｃ₁＝８．８ｍｍ；及び
　ｃ₂＝９．８ｍｍ。

　図２１から明らかなように、本実施形態のシステム１では、洗浄水を吐出するとき、気体混入部８から混入される気体の流量を増やしてボイド率を高めることができる。このため、洗浄水の洗浄効果を一層高めることができる。

　吐出ノズル１４の洗剤タンク２１が水道管に通じる内部流路と連通される場合、水道管側への洗剤洗浄水の逆流を防止する必要がある。水道管側への水道水の逆流が止水時或いは断水等に起因する負圧現象によって起きたとき、該洗浄水が水道上水に混じって家庭の飲料水を汚染する可能性があるからである。そこで、水道管側への洗浄水の逆流を確実に防止する必要がある。そこで、本実施形態の立上管１５には、通気弁７が設けられる。通気弁７は、フロート弁であり、縦流路１０９の下流端部を構成する弁収納部１１７に上下方向に移動自在に収納される。

　弁収納部１１７は、立上管１５の下流端（上端）に形成された通気口１１８を介して外部に連通し、また底に形成された流入口１１９を介して縦流路１０９に連通している。流入口１１９の上端は、略水平な横流路１１０の内面の下端よりも上方に位置している。このため、横流路１１０内の水は、流入口１１９内に逆流し難くなる。

　洗浄水が洗浄水流路３内を流れているとき、通気弁７は、水圧により上昇して通気口１１８を閉塞する。これによって、洗浄水流路３を流れる洗浄水が通気口１１８から流出することが防止される。

　洗浄水流路３内の洗浄水の流れが停止したとき、通気弁７は、図２２に示すように、下降して流入口１１９を閉じる。これによって、通気口１１８が開放されて、洗浄水流路３における弁収納部１１７よりも下流側が大気に開放され、その部分に残った洗浄水を排出口１２から確実に排出することができる。また、流入口１１９が通気弁７で閉じられるので、洗浄水の逆流を防止することができる。

　図２２及び２３に示すように、供給管８７は、立上管１５の上部に水平方向に固定される水平管であり、半球状の保持凹部１２０が供給管８７の下流端に設けられる。保持凹部１２０は、水平方向に配置された２つの軸受け１２１を含む。軸受け１２１は、保持凹部１２０の内面に形成される。

　連結管１０８は、球状の嵌合部１２２を有し、これは、連結管１０８の上流端に形成され、連結管１０８の他の部分の外径よりも大きな直径を持つ。嵌合部１２２は、水平方向に配置された２つの回動軸１２３を有し、これらは、嵌合部１２２の両側から外側に突出される。嵌合部１２２は、軸受け１２１が回動軸１２３を支持するように保持凹部１２０に填め込まれる。これにより、連結管１０８は、回動軸１２３回りに回転することができる。つまり、連結管１０８は、横流路１１０に対して上下方向にのみ回動可能となる。

　連結管１０８の下流端は、吐出ノズル１４における屈曲管１４ｆの上流端に挿入及び固定される。これにより、吐出ノズル１４は、嵌合部１２２の回動軸１２３回りに回転することができるので、供給管８７に対して前後方向に回動可能となり、吐出ノズル１４の排出口１２を上又は下方向に動かすことができる。

　本実施形態の特徴において、洗浄水吐出水栓１ａは、第１及び第２規制手段を個別に有する。第１規制手段は、給水管部（立上管１５及び供給管８７）に対して上下方向における連結管１０８の回動範囲を規制するように構成される。第２規制手段は、連結管１０８に対して左右方向における吐出ノズル１４の回動範囲を規制するように構成される。第１及び第２規制手段は、可動範囲規制手段を構成する。この可動範囲規制手段は、洗剤供給部９（詳しくは洗剤供給部９の洗浄水流路３側の端）が通気弁７よりも下方に位置するように吐出ノズル１４の可動範囲を規制する。

　図２４及び２５に示すように、キャップ１３１は、横流路１１０の下流端に取り付けられて、供給管８７の先端部に設けられる。横流路１１０の下流端は、半球（球帯）状の曲面１２０ａを有する。２つの軸受け１２１は、曲面１２０ａの開口縁における左右両側に形成された２つの凹部１２１ａをそれぞれ含む。キャップ１３１は、基部及び周側部を持ち、連結管１０８の嵌合部１２２の最大外径よりも小さい内径を持つ孔１３２が基部に形成されている。

　連結管１０８の嵌合部１２２は、回動軸１２３が軸受け１２１（凹部１２１ａ）に収納されるように保持凹部１２０（曲面１２０ａ）に収納される。その後、連結管１０８の下流側がキャップ１３１の孔１３２に挿入されて、キャップ１３１が横流路１１０の下流端に取り付けられる。これにより、キャップ１３１の基部が、凹部１２１ａの前方を閉塞する。それ故に、凹部１２１ａ及びキャップ１３１の基部が、軸受け１２１を構成する。孔１３２の内面及び曲面１２０ａが、保持凹部１２０を構成する。

　供給管８７に保持された連結管１０８の排出口１２を最大限上方に回動したとき、ノズル本体（屈曲管１４ｆ）及び連結管１０８の少なくとも一方が、キャップ１３１の基部の上部（当接部１３３）に当たる。つまり、連結管１０８の上回動範囲は、当接部１３３で規制される。同様に、連結管１０８の排出口１２を最大限下方に回動したとき、ノズル本体（屈曲管１４ｆ）及び連結管１０８の少なくとも一方が、キャップ１３１の基部の下部（当接部１３４）に当たる。つまり、連結管１０８の下回動範囲は、当接部１３４で規制される。従って、第１規制手段は、ノズル本体（屈曲管１４ｆ）及び連結管１０８の少なくとも一方、当接部１３３及び当接部１３４から構成される。このように、連結管１０８の上下の回動範囲は、当接部１３３及び当接部１３４で規制され、吐出ノズル１４の排出口１２の可動範囲は、前斜め下方と後斜め下方との間の鈍角又は鋭角範囲（以下「第１範囲」という）内に制限される。

　図２６Ａに示すように、連結管１０８は、２つのストッパ１３５を有し、これらは、連結管１０８の下流端面の上下に一体に形成される。図２６Ｂに示すように、屈曲管１４ｆは、凹所１３６及び突起１３７を含み、これらは屈曲管１４ｆに一体に形成される。凹所１３６は、屈曲管１４ｆの上流端に形成され、連結管１０８の下流端が凹所１３６内に挿入される。吐出流路１１２の上流開口は、凹所１３６の底の中央部に形成される。突起１３７は、凹所１３６の底の周部から上流側に突出される。図２５に示すように、屈曲管１４ｆを連結管１０８に対して最大限右回りに回動させたとき、突起１３７が一方のストッパ１３５に当接する。これにより、吐出ノズル１４の右回りの回動が規制される。同様に、屈曲管１４ｆを連結管１０８に対して最大限左回りに回動させたとき、突起１３７が他方のストッパ１３５に当接する。これにより、吐出ノズル１４の左回りの回動が規制される。従って、第２規制手段は、２つのストッパ１３５及び突起１３７から構成される。このように、屈曲管１４ｆの左右の回動範囲は、ストッパ１３５及び突起１３７で規制され、吐出ノズル１４の排出口１２の可動範囲は、左斜め下方と右斜め下方との間の鈍角又は鋭角範囲（以下「第２範囲」という）内に制限される。

　本実施形態では、洗浄水吐出水栓１ａの側面（例えば図２２参照）から見て、連結管１０８を、右回り又は左回りに供給管８７の保持凹部１２０回りに回動することができる。また、洗浄水吐出水栓１ａの正面（図２２の左側）から見て、吐出ノズル１４を、右回り又は左回りに連結管１０８回りに回動することができる。これにより、吐出ノズル１４の排出口１２の向きを、第１及び第２範囲内の任意の向きに変更することができる。

　本実施形態では、可動範囲規制手段の第１及び第２範囲は、吐出ノズル１４の洗剤供給部９が常に流入口１１９の上端（通気弁７の最下限位置）よりも下方に位置するように設定される。これにより、洗剤供給部９からの洗剤の逆流を防止することができる。

　本実施形態では、第１及び第２規制手段が個別に設けられるので、第１規制手段による回動規制と、第２規制手段による回動規制を確実なものとすることができる。

　洗剤貯留部２１について補説する。図２７に示すように、洗剤貯留部２１は、吐出ノズル１４の下流端である流出管１４ｃを除く吐出流路１１２の側部に配置される。つまり、吐出流路１１２の上流側は、流出管１４ｃの上流部における後側部に配置され、洗剤貯留部２１は、主として前側部に配置される。

　洗剤タンク２１ａは、屈曲管１４ｆ及び流入管１４ａの前側部側に配置される。洗剤タンク２１ａは、タンク本体１２４及び蓋１２５から構成される。図２３及び２７、２８に示すように、タンク本体１２４は、Ｃ状断面を持つ縦長容器であり、洗剤補給口３５を有する。洗剤補給口３５は、タンク本体１２４の上端に形成される。蓋１２５は、洗剤補給口３５を開閉することができるように、タンク本体１２４の上端の後部に設けられた軸（図示しない）に枢支される。蓋１２５を開けることで、洗剤を洗剤補給口３５からタンク本体１２４内に補充できる。タンク本体１２４は、Ｃ状断面によって凹所１２６を有するので、洗剤タンク２１ａがノズル本体に取り付けられたとき、ノズル本体における屈曲管１４ｆ及び流入管１４ａが凹所１２６内に配置される。

　図２７に示すように、タンク本体１２４は、洗剤供給口１２７を有し、これは、タンク本体１２４の底から下方に突出する。流出管１４ｃは、タンク接続部１２８を持ち、これは、凹状の洗剤受口１２９を持つ。洗剤受口１２９は、タンク接続部１２８の上面における前部に形成される。洗剤タンク２１ａは、洗剤供給口１２７を洗剤受口１２９に上方から嵌め込んだ状態で、ノズル本体に取り付けられる。このように、洗剤タンク２１ａをノズル本体に取り付けることにより、屈曲管１４ｆ及び流入管１４ａが凹所１２６内に配置されて、略円筒形状の吐出ノズル１４が構成される。

　図２８に示すように、タンク本体１２４は、洗剤供給口１２７及び２つの脚部１４３を有する。洗剤供給口１２７は、タンク本体１２４の底の前部から突出される。脚部１４３は、タンク本体１２４の底の後部から突出される。

　洗剤供給口１２７及び脚部１４３の突出量は略同一となっている。このため、洗剤供給口１２７及び脚部１４３がタンク本体１２４を支えることができるから、洗剤タンク２１ａを水平な面に置くことができる。このとき、蓋１２５を開ければ、洗剤を洗剤補給口３５からタンク本体１２４内に容易に補充することができる。なお、タンク本体１２４が１又は複数の脚部１４３を有し、脚部１４３が、洗剤供給口１２７よりも突出され、タンク本体１２４を支えることができるように形成されてもよい。

　洗剤供給口１２７を、タンク接続部１２８の洗剤受口１２９に嵌め込み、また脚部１４３を挿入孔１４１に挿入すれば、洗剤タンク２１ａをノズル本体に取り付けることができる。このとき、主管１４ｂは、脚部１４３間に配置される。このように、洗剤供給口１２７を洗剤受口１２９に嵌め込み、主管１４ｂを脚部１４３間に配置すれば、洗剤タンク２１ａをノズル本体に位置決めして強固に取り付けることができる。

　流出管１４ｃは、洗剤受口１２９を洗剤供給部９に連通させる洗剤供給路３４を更に含む。洗剤供給路３４には、手動弁からなる切替手段２２が設けられ、これは、流出管１４ｃに設けられた操作部２６を通じて開閉可能である。つまり、洗剤タンク２１ａを、洗剤供給路３４を介して洗剤供給部９に連通させれば、洗剤タンク２１ａの洗剤を洗剤供給部９に供給して、微細気泡入り洗剤洗浄水を排出口１２から吐出可能である。洗剤タンク２１ａを、切替手段２２を通じて洗剤供給部９から切り離せば、微細気泡水を排出口１２から吐出可能である。また、切替手段２２、即ち開閉弁２２ａが、主管１４ｂの縮径部２３ａに設けられた洗剤供給部９を直接開閉することができる位置に設けられているので、洗剤供給部９に残った洗剤を、洗浄水流路３における弁収納部１１７よりも下流側に残った洗浄水とともに排出口１２から排出することができる。

　洗剤タンク２１ａは、弁１３０を更に含む。弁１３０は、洗剤タンク２１ａが吐出ノズル１４から取り外されているときに、洗剤タンク２１ａ内の洗剤が洗剤供給口１２７から漏れ出すのを防止するように、洗剤供給口１２７に設けられる。

　図２９は、本発明の一実施形態における吐出ノズル１４を示す。吐出ノズル１４は、図３とほぼ同様に構成され、キッチンシンク１３の開口縁部に設置された水道水をそのまま吐出する、Ｕ状の水栓２７の排出口２７ｂに取り付けられる。同様の要素には、図３の実施形態で表されたのと同じ符号を割り当て、ここでは詳細に説明しない。

　吐出ノズル１４は、内部流路１９（洗浄水流路３）を形成するように軸方向に貫通された筒形状になっており、円筒状の接続口１４５を有する。接続口１４５は、吐出ノズル１４の上流端に形成され、水栓２７の排出口２７ｂに着脱自在に取り付けられる。本実施形態では、接続口１４５は、自己の内周面に形成された内部（雌）ねじ山を有する一方、水栓２７の排出口２７ｂは、自己の外周面に形成された外部（雄）ねじ山を有する。ねじ山１４６のサイズは、例えばＧ１／２（ＩＳＯ２２８）である。それ故に、吐出ノズル１４の接続口１４５を水栓２７の排出口２７ｂに螺合することができ、吐出ノズル１４を水栓２７に着脱自在に取り付けることができる。

　本実施形態では、吐出ノズル１４を水道水をそのまま吐出する水栓２７から取り外せば、水栓２７の排出口２７ｂから通常の水道水を使用することができる。吐出ノズル１４を水栓２７に取り付ければ、吐出ノズル１４からの洗浄水（微細気泡水又は微細気泡入り洗剤洗浄水）を使用することができる。食器等の被洗浄物を例えば微細気泡水で洗浄すれば、使用者の手荒れを防止することができる。専用の洗浄水吐出水栓システムを水栓２７とは別に設置する必要がないので、導入価格を低減することができ、追加の設置スペースが不要である。

　図３０Ａ－３０Ｃは、水栓２７と吐出ノズル１４との連結構造の、他の実施形態であり、水栓２７及び吐出ノズル１４は、それぞれ、排出口２７ｂ及び接続口１４５の結合形状が合致するときに限り、排出口２７ｂ及び接続口１４５が水密に結合可能となるように形成された第１及び第２適合形状を持つ。

　例えば、水栓２７は、第１適合形状として、溝１４７及び１４８を有する。溝１４７及び１４８は、排出口２７ｂにおける中央の孔２７ｃの両側に平行に形成される。溝１４７は、スライド係合用の溝であり、一端側から他端側に近づく程に幅広となる表面開口を持ち、表面側から奥側に近づく程にその開口幅が広がるように形成されている。溝１４８は、位置合わせ用の溝であり、長さ方向に亘って同一の幅を持ち、表面側から底側にかけても同一の幅を持つ。

　吐出ノズル１４は、第２適合形状として、凸部１４９及び１５０を有する。凸部１４９及び１５０は、接続口１４５における中央の孔１４５ａ（内部流路１９）の両側に平行に形成される。凸部１４９は、スライド係合用の凸部であり、一端側から他端側に近づく程に幅広となり、底部から上部に近づく程に幅が広がるように形成される。凸部１５０は、位置合わせ用の凸部であり、一端側から他端側にかけて同一の幅を持ち、底部から上部にかけても同一の幅を持つように形成される。凸部１４９及び１５０の高さは、それぞれ溝１４７及び１４８の深さよりも短い。接続口１４５は、Ｏリング状の防水部材１５１を更に有し、これは、孔１４５ａの縁部に嵌合される。

　溝１４７及び１４８並びに凸部１４９及び１５０を軸方向に僅かにずらした位置で、排出口２７ｂ及び接続口１４５を対向させ、溝１４７の広い幅側及び凸部１４９の狭い幅側を一致させる。その後、凸部１４９を溝１４７に挿入するとともに、凸部１５０を溝１４８に挿入する。孔２７ｃ及び１４５ａ全体が連通するまで、吐出ノズル１４を流路方向と（略）直交する方向にスライドさせたとき、凸部１４９が溝１４７に嵌合及び係止される。これにより、吐出ノズル１４を水栓２７に水密に連結することができる。

　一実施形態において、図３１Ａ－３１Ｃに示すように、水栓２７は、第１適合形状として、凹部１５２及び凸部１５３を有する筒状のアタッチメントが水栓２７の先端に着脱自在に装着されており、吐出ノズル１４は、第２適合形状として、凸部１５４及び凹部１５５を有する。凹部１５２及び凸部１５３は、排出口２７ｂにおける中央の孔２７ｃの両側に形成される。凹部１５２は円状の嵌合凹部であり、凸部１５３は三角柱状の嵌合凸部である。凸部１５４及び凹部１５５は、接続口１４５における中央の孔１４５ａの両側に形成される。凸部１５４は円柱状の嵌合凸部であり、凹部１５５は三角状の嵌合凹部である。排出口２７ｂは、接続凹所１５６を更に有し、これは、排出口２７ｂの中央部に形成され、孔２７ｃが接続凹所１５６の底の中央に形成されている。接続口１４５は、接続突部１５７を更に有し、これは、接続口１４５の中央部に形成され、孔１４５ａが接続突部１５７の端面の中央に形成されている。接続口１４５は、Ｏリング状の防水部材１５１を更に有し、これは、接続突部１５７の外周面に填められている。なお、本実施形態のようにアタッチメントを用いれば、吐出ノズル１４を、多様な規格の水栓２７に装着することができ好ましい。

　排出口２７ｂと接続口１４５を対向させ、接続突部１５７を接続凹所１５６に圧入する。このとき、凸部１５４を凹部１５２に嵌合し、また凸部１５３を凹部１５５に嵌合する。これにより、吐出ノズル１４を水栓２７に水密に連結することができる。

　なお、上記の実施形態は、吐出ノズル１４と水栓２７を直接取り付けたが、吐出ノズル１４を、ホースを介して水栓２７に連結するようにしても良い。このように、可撓性のホースを接続口１４５と吐出ノズル１４との間に設けることにより、排出口１２を狙いの箇所に容易に近づけて、洗浄水を吹き付けることができる。

　図２９－３１の各実施形態の吐出ノズル１４は、キッチンシンク１３に設けられる水栓２７に限らず、洗面化粧台やバスの水栓等に装着することができる。

　本発明を幾つかの好ましい実施形態について記述したが、この発明の本来の精神及び範囲を逸脱することなく、当業者によって様々な修正及び変形が可能である。

Claims

　水が沿って流れることができる洗浄水流路に洗剤を供給することによって洗剤洗浄水を生成するように構成される洗剤供給部と、
　洗浄水流路に気体を供給するように構成される気体混入部と、
　洗浄水流路の下流端に設けられ、洗浄水流路からの洗剤洗浄水が通過して流出することができる排出口と
　を備える洗浄水吐出水栓システムであって、
　システムは、洗浄水流路の下流端側に設けられ洗浄水流路内の水を排出口から均一に放出するように構成される整流部を更に備える
　洗浄水吐出水栓システム。
　整流部は、洗浄水流路の内部横断面に対応する平形状であり、洗浄水流路内の流れ方向に形成された多数の整流孔を有する請求項１記載の洗浄水吐出水栓システム。
　整流部の各整流孔の直径に対する長さの比は２から５の範囲内である請求項２記載の洗浄水吐出水栓システム。
　洗浄水流路における気体混入部及び洗剤供給部よりも下流に設けられ、気体混入部を通じて気体を洗浄水流路における水又は洗剤洗浄水に混入することにより得られる気泡から微細気泡を発生するように構成される微細気泡発生器を更に備える請求項１記載の洗浄水吐出水栓システム。
　洗浄水流路の上流側は、水道上水に接続され、
　気体及び洗剤の少なくとも一方が、水が水道圧によって洗浄水流路に沿って流れるときに発生する負圧によって、洗浄水流路に供給される
　請求項１記載の洗浄水吐出水栓システム。
　気体混合部を通じて水又は洗剤洗浄水に気体を混入することにより得られる気泡入り水又は気泡入り洗剤洗浄水のボイド率は１０－３０％の範囲内に設定される請求項１記載の洗浄水吐出水栓システム。
　前記洗剤洗浄水における洗剤の希釈濃度は５０００－１００００倍の範囲内に設定される請求項１記載の洗浄水吐出水栓システム。
　排出口を持つ吐出ノズルと、
　吐出ノズルに設けられ、洗剤を貯留するように構成される洗剤貯留部と
を更に備え、
　洗剤供給部は、吐出ノズルに設けられ、洗剤貯留部の洗剤を洗浄水流路に供給するように構成される
　請求項１記載の洗浄水吐出水栓システム。
　洗浄水流路における洗剤供給部よりも上流に設けられ、上流側からの水の供給を停止するように構成される止水弁と、
　洗浄水流路における止水弁よりも下流で且つ洗剤供給部よりも上流に設けられる外気を取り込み可能な通気弁と
　を更に備え、
　通気弁は排出口よりも上方に位置される
　請求項１または８に記載の洗浄水吐出水栓システム。
　排出口を持つ可動自在の吐出ノズルと、
　止水操作に連動して開閉するように構成され、洗浄水流路における洗剤供給部よりも上流に設けられ且つ排出口よりも上方に位置される外気を取り込み可能な通気弁と、
　排出口が通気弁よりも下方に位置するように吐出ノズルの可動領域の上限を規制するように構成される規制手段と
　を更に備える請求項１または８に記載の洗浄水吐出水栓システム。
　通気弁は、上流側の水圧低下に応じて洗浄水流路の空気を大気に開放するように開閉するように構成され、
　規制手段は、吐出ノズルの角度を吐出ノズルの可動領域内の角度に変えるための機構を備える
　請求項１０記載の洗浄水吐出水栓システム。
　止水操作に連動して開閉するように構成され、洗浄水流路における洗剤供給部よりも上流に設けられる外気を取り込み可能な通気弁と、
　通気弁の開放時に排水路を開放するように構成され、洗浄水流路における洗剤供給部と通気弁との間に設けられ且つ通気弁よりも下方に位置される排水弁と
を更に備える請求項１に記載の洗浄水吐出水栓システム。
　排水弁は、上流側の水圧低下に応じて排水路を開放するように開くか閉じるように構成される請求項１２記載の洗浄水吐出水栓システム。