WO2009081714A1 - 漂白パルプの製造方法 - Google Patents

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Abstract

 リグノセルロース物質を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白処理し、次いで二酸化塩素処理を含んだ無塩素漂白処理を行う方法において、当該二酸化塩素処理が実施される少なくとも1つの二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用することにより、二酸化塩素の使用量を減らし、漂白パルプの褪色性を改善した漂白パルプの製造方法を提供する。

Description

漂白パルプの製造方法
 本発明は、リグノセルロース物質から漂白パルプを製造する方法に関する。さらに詳しく述べれば、漂白パルプの褪色性が良好でかつより二酸化塩素使用量の少ないECF(エレメンタリークロリンフリー)漂白パルプの製造方法に関する。
 製紙用化学パルプの漂白は、多段にわたる漂白処理により実施されている。従来より、この多段漂白には漂白剤として塩素系漂白薬品が使用されている。具体的には、塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素の組み合わせにより、たとえば、C-E-H-D、C/D-E-H-E-Dなどのシーケンスによる漂白が行われてきた。
 ここで、「C」は、塩素処理段、「H」は、次亜塩素酸塩処理段、「D」は、二酸化塩素処理段、「E」は、アルカリ処理段を意味する。また、「-」は、「-」の直前に記載の処理段の工程の後、洗浄を行い、その後、「-」の直後に記載の処理段の工程を行なうことを意味する。さらに、「/」は、「/」の直前及び直後に記載の薬品等を併用した処理段を意味し、例えば、「C/D」は、塩素と二酸化塩素とを併用した処理段を意味する。
 しかし、これらの塩素系漂白薬品は漂白時に環境に有害な有機塩素化合物を副生し、この有機塩素化合物を含む漂白廃水の環境汚染が問題になっている。有機塩素化合物は一般にAOX法、たとえば米国環境庁(EPA;METHOD-9020号)によって分析、評価される。
 有機塩素化合物の副生を低減・防止するには、塩素系薬品の使用量を低減するか、ないしは使用しない事が最も効果的であり、特に初段に分子状塩素を使用しないことが最も有効な方法である。この方法で製造されたパルプはECF(エレメンタリークロリンフリー)パルプと呼ばれ、更に塩素系薬品を全く用いずに製造されたパルプはTCF(トータリークロリンフリー)パルプと呼ばれている。
 蒸解-酸素脱リグニン処理したパルプを初段に分子状塩素を用いない漂白方法として、初段に二酸化塩素処理段を用いた、D-Eo-D、D-Eop-D或いは、D-Eo-D-D、D-Eop-D-Dシークエンス、D-Eo-P-D、D-Eop-P-Dシークエンスまた初段にオゾン処理段を用いたZ-Eop-D、Z-Eo-P-D、ZD-Eop-Dシークエンスによる漂白が一般に知られている。
 ここで、「Z」は、オゾン処理段を意味し、「P」は、過酸化水素処理段を意味する。また、「p」は、過酸化水素を意味し、「o」は、酸素を意味する。そして、「Eo」は、酸素を併用したアルカリ処理段を意味し、「Eop」は、酸素、過酸化水素を併用したアルカリ処理段を意味する。さらに、「ZD」は、オゾン処理段(Z)と二酸化塩素処理段(D)との間に洗浄を行うことなく処理を連続することを意味する。その他は、前述したとおりである。
 しかしながら、二酸化塩素、オゾンは従来用いられていた塩素と比べると、ヘキセンウロン酸(「HexA」と呼ぶことがある。)の除去能力が低いために、漂白後のパルプに多量のHexAが残存する。この残存HexAがECFあるいはTCF漂白パルプの褪色性悪化の原因となる。
 ヘキセンウロン酸(HexA)とは、パルプ中に存在するヘミセルロースであるキシランに結合しているα-グルクロン酸が蒸解工程にて脱メタノールする事により生じる物質である。HexAは、パルプの白色度への影響は小さいものの、分子内に二重結合を有するため、過マンガン酸カリウムと反応し、K価あるいはkappa価としてカウントされ、二酸化塩素、オゾン等の漂白剤を消費する。
 また、紙を製造する方法として、硫酸バンドを使用する酸性抄紙と炭酸カルシウムを使用する中性抄紙がある。中性紙もHexA含有量の増大とともに褪色性が悪化するがその程度は少なく、特に褪色性が悪化する紙は硫酸バンドを使用した酸性紙である。酸性抄紙した酸性紙の褪色性が悪化する原因については、今のところ分かっていないが、HexAの存在、硫酸バンドの使用が原因の一因と考えられている。
 一般に製紙工場では、一連の漂白設備からでてきた無塩素漂白パルプを多数の抄紙機によって抄紙し、それぞれ中性紙、酸性紙を抄造している。従って、同一漂白工程からでてきた同じ無塩素漂白パルプを使用して、一方では酸性紙を抄造し、他方では中性紙を抄造している。この場合、中性抄紙した中性紙の褪色性は問題なくても、酸性抄紙した酸性紙の褪色性が問題となる場合がある。
 この褪色性悪化を改善する方法としては、脱HexA能力のある二酸化塩素あるいはオゾンの使用量を増やしHexAを除去する方法がある。しかし、この場合、褪色対策の必要のない中性紙用パルプも漂白せざるを得ず、中性紙の白色度が上がり過ぎる、漂白コストが大幅に増大するとの問題が生じている。
 この問題を解決する方法として、以下のようなモノ過硫酸(「MPS」と呼ぶことがある。)を漂白に適用する方法が提案されている。
 塩素漂白処理、または塩素及び二酸化塩素の組み合わせによる脱リグニン処理の代替として、モノ過硫酸処理、次いでアルカリ性過酸化水素処理により、未晒パルプを漂白するTCF漂白法が提案されている(特許文献1参照)。この方法は漂白工程の初段脱リグニンに関する方法であるが、本発明の二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用して処理する方法、またHexA除去、褪色性の改善、粘度低下抑制効果については何ら記載されていない。
 塩素漂白処理、または塩素及び二酸化塩素の組み合わせによる脱リグニン処理の代替として、酵素とモノ過硫酸とを組み合わせた処理により、未晒パルプを漂白する方法が提案されている(特許文献2参照)。この方法は漂白工程の初段脱リグニンに関する方法であるが、本発明の二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用して処理する方法、またHexA除去、褪色性の改善、粘度低下抑制効果については何ら記載されていない。
 塩素漂白処理、または塩素及び二酸化塩素の組み合わせによる脱リグニン処理の代替として、酸素漂白後、キレート剤処理、アルカリ性過酸化水素処理、及びモノ過硫酸処理により、未晒パルプを漂白する方法が提案されている(特許文献3参照)。この方法は漂白工程の初段脱リグニンに関する方法であるが、本発明の二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用して処理する方法、またHexA除去、褪色性の改善、粘度低下抑制効果については何ら記載されていない。
 塩素漂白処理、または塩素及び二酸化塩素の組み合わせによる脱リグニン処理の代替として、モノ過硫酸とオゾンとを組み合わせた処理により、未晒パルプを漂白する方法が提案されている(特許文献4参照)。この方法は漂白工程の初段脱リグニンに関する方法であるが、本発明の二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用して処理する方法、またHexA除去、褪色性の改善、粘度低下抑制効果については何ら記載されていない。
 脱リグニン方法として、キレート剤処理後、モノ過硫酸処理、次いでアルカリ性過酸化水素処理することにより、未晒パルプを漂白する方法が提案されている(特許文献5参照)。この方法は漂白工程の初段脱リグニンに関する方法であるが、本発明の二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用して処理する方法、またHexA除去、褪色性の改善、粘度低下抑制効果については何ら記載されていない。
 未晒パルプを漂白する方法として、漂白の最終段で過酸およびアルカリ土類金属で処理する方法が提案されている(特許文献6参照)。本発明のモノ過硫酸も過酸であるが、二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用して処理する方法であること、モノ過硫酸にアルカリ土類金属を使用しないところで本発明の方法と全く異なっている。また、特許文献6では、過酸として過酢酸が使用されているが、この方法の主な目的は白色度アップであり、HexA除去、褪色性の改善、粘度低下抑制効果については何ら記載されていない。
 漂白後の後処理方法として、漂白処理工程と調成工程の間に漂白剤を添加する方法が提案されている(特許文献7参照)。この特許文献7には、漂白剤として、オゾン、過酸化水素、過酢酸、過炭酸、過硼酸、二酸化チオ尿素が記載されているが、この方法の主な目的は白色度アップであり、HexA除去、褪色性の改善については何ら記載されていない。
 漂白後の後処理方法として、漂白処理工程と調成工程の間にモノ過硫酸処理を行う方法が本発明者等により提案されている(特許文献8参照)。この方法は、完成パルプにモノ過硫酸処理を行い、HexAを除去し褪色性を改善する方法であり、本発明の二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用して処理する方法及びパルプの粘度低下抑制効果については何等示唆されていない。
 モノ過硫酸処理を漂白の初段に使用する方法として、無機ペルオキシ酸で処理した後、さらに二酸化塩素から始まる多段漂白処理を行う方法が本発明者等により提案されている(特許文献9参照)。この方法は、モノ過硫酸処理を漂白の初段に導入することによりHexAを除去し褪色性を改善する方法である。しかし、この方法は、モノ過硫酸処理導入によるパルプの粘度低下が大きく、強度が要求される紙の製造方法として使用し難いとの問題がある。また、この方法は、従来の漂白設備の先頭に新たにモノ過硫酸処理タワーを設置しなければ実施できず、新たな設備費の投資コストが大きいとの問題がある。
 そして、特許文献9には、本発明の二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用して処理する方法については何等示唆されていない。
特表平6-505063号公報 特開平7-150493号公報 特表平8-507332号公報 特表平8-511308号公報 特表平10-500178号公報 特表2001-527168号公報 特開2004-169194号公報 特開2007-169831号公報 国際公開第2007/132836号公報
 本発明の目的は、製紙用化学パルプの製造で、初段に分子状塩素を用いない無塩素漂白において、漂白コストを削減し、かつパルプ粘度を維持しながら、無塩素漂白パルプの褪色性を改善することである。さらに、二酸化塩素の使用量を削減し、有機塩素化合物の生成を抑制し、より環境に好ましい漂白方法を提供することである。
 本発明者等は、蒸解、アルカリ酸素漂白処理後のパルプに、二酸化塩素処理を含んだ無塩素漂白処理を施す場合において、当該二酸化塩素処理が実施される少なくとも1つの二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用した処理(「モノ過硫酸併用二酸化塩素処理」と呼ぶことがある。)について種々検討した結果、キレート処理のような金属イオン除去のための前処理をしなくてもモノ過硫酸によるパルプの粘度低下を抑制でき、二酸化塩素使用量を削減しながらHexAを除去できることを見出した。さらに、二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用することで、二酸化塩素使用量を削減でき、かつ漂白後のパルプのHexA残量も問題のない範囲内に抑えることができ、また有機塩素化合物の排出を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
 すなわち、本願は以下の発明を包含する。
(1)リグノセルロース物質を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白処理し、次いで二酸化塩素処理を含んだ無塩素漂白処理を行う方法において、当該二酸化塩素処理が実施される少なくとも1つの二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用することを特徴とする漂白パルプの製造方法。
(2)モノ過硫酸を併用した二酸化塩素処理段が、アルカリ酸素漂白処理後の初段であることを特徴とする(1)に記載の漂白パルプの製造方法。
(3)モノ過硫酸を併用した二酸化塩素処理段が、過酸化水素処理段の後の段であることを特徴とする(1)に記載の漂白パルプの製造方法。
(4)モノ過硫酸を併用した二酸化塩素処理段が、無塩素漂白処理の最終段であることを特徴とする(1)に記載の漂白パルプの製造方法。
(5)無塩素漂白処理が、二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用した処理をし、次いで酸素及び/又は過酸化水素を併用したアルカリ処理をし、次いで二酸化塩素処理をする無塩素漂白処理であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の漂白パルプの製造方法。
(6)無塩素漂白処理が、二酸化塩素処理をし、次いで酸素及び/又は過酸化水素を併用したアルカリ処理をし、次いで二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用した処理をする無塩素漂白処理であることを特徴とする(1)又は(4)に記載の漂白パルプの製造方法。
(7)無塩素漂白処理が、オゾン漂白処理後、洗浄せずに二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用した処理をし、次いで酸素及び/又は過酸化水素を併用したアルカリ処理をし、次いで二酸化塩素処理をする無塩素漂白処理であることを特徴とする(1)に記載の漂白パルプの製造方法。
(8)モノ過硫酸を併用した二酸化塩素処理段におけるモノ過硫酸の添加順序として、二酸化塩素を添加した後モノ過硫酸を添加すること、二酸化塩素を添加した後モノ過硫酸及びpH調整用の酸を添加すること、又はpH調整用の酸を添加した後二酸化塩素及びモノ過硫酸を添加することを特徴とする(1)~(7)のいずれかに記載の漂白パルプの製造方法。
(9)モノ過硫酸を併用した二酸化塩素処理段において、二酸化塩素及びモノ過硫酸を添加した後アルカリを添加し、または二酸化塩素を添加した後モノ過硫酸添加と同時にアルカリを添加して所望のpHに調整することを特徴とする(1)~(7)のいずれかに記載の漂白パルプの製造方法。
(10)(1)~(9)のいずれかに記載の無塩素漂白処理後の漂白パルプの白色度が70~89%であり、ヘキセンウロン酸残量が10μmol/パルプg以下であることを特徴とする漂白パルプの製造方法。
(11)(1)~(10)のいずれかに記載の漂白パルプの製造方法により製造された漂白パルプを用いて、抄紙pH6以下で製造された紙。
 本発明の第1の特徴は、従来の塩素漂白から無塩素漂白へ転換した場合に紙の褪色性に関係するHexAが多量に残存した結果、特に広葉樹パルプを原料とする酸性紙において褪色性が悪化するとの問題に対して、本発明法によれば二酸化塩素、オゾンを増量せず、無塩素漂白処理の二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用して処理するだけで、HexAを効率的に除去できることである。
 第2の特徴は、モノ過硫酸単独処理ではパルプ粘度の低下が大きく、紙の種類によっては問題となることがあるが、二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用して処理することによりパルプ粘度低下を抑制することができることである。
 第3の特徴は、二酸化塩素処理を含んだ無塩素漂白処理において、モノ過硫酸併用二酸化塩素処理を実施することにより二酸化塩素使用量を削減できることである。その結果、有機塩素化合物の生成を抑制できることから、より環境に好ましいパルプの漂白方法を提供することである。
 第4の特徴は、硫酸と過酸化水素とからオンサイトにて低コストで製造したモノ過硫酸を使用することにより、高価な二酸化塩素を代替できることから、パルプの漂白コストを削減できることである。
 第5の特徴は、無塩素漂白処理の二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用することにより、HexAを効率的に除去できることから、新たな設備投資も必要なく容易に漂白パルプの製造方法を実施できることである。
 以上のように、本発明は、無塩素漂白パルプの褪色性悪化に対する改善策として、安価な硫酸と安価な過酸化水素とから低コストで製造したモノ過硫酸を使用し、優れたパルプ物性を保持し、かつ漂白コストを低く抑えながら、無塩素漂白方法で製造された化学パルプの褪色性を改善できる。また、二酸化塩素の使用量を削減できることから、より環境に好ましい漂白パルプの製造方法を提供できる。
 本発明で用いられるリグノセルロース物質は、ヘキセンウロン酸を生成するメチルグルクロン酸を多く含有する広葉樹材が好適であるが、針葉樹材でもよく、竹や麻のような非木材と呼ばれるものでもよく、さらにこれらの混合物でもよく、特に限定されるものではない。本発明に使用されるパルプを得るための蒸解法としては、クラフト蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、アルカリサルファイト蒸解等の公知の蒸解法を用いることができるが、パルプ品質、エネルギー効率等を考慮すると、クラフト蒸解法、または、ポリサルファイド蒸解が好適に用いられる。
 例えば、広葉樹材100%のリグノセルロースをクラフト蒸解する場合、クラフト蒸解液の硫化度は5~75質量%、好ましくは15~45質量%、有効アルカリ添加率は絶乾木材質量当たり5~30質量%、好ましくは10~25質量%である。また、蒸解温度は130~170℃で、蒸解方式は連続蒸解法あるいはバッチ蒸解法のどちらでもよく、連続蒸解釜を用いる場合は蒸解液を多点で添加する修正蒸解法でもよく、その方式は特に問わない。
 蒸解に際して、使用する蒸解液に蒸解助剤として、公知の環状ケト化合物、例えばベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェナントロキノン及び前記キノン系化合物のアルキル、アミノ等の核置換体、或いは前記キノン系化合物の還元型であるアントラヒドロキノンのようなヒドロキノン系化合物を用いることができる。さらには、ディールスアルダー法によるアントラキノン合成法の中間体として得られる安定な化合物である9,10-ジケトヒドロアントラセン化合物等から選ばれた1種或いは2種以上が添加されてもよい。これら蒸解助剤の添加率は通常の添加率であり、例えば、木材チップの絶乾質量当たり0.001~1.0質量%である。
 公知の蒸解法により得られた未漂白化学パルプは、洗浄、粗選及び精選工程を経て、公知のアルカリ酸素漂白法により脱リグニンされる。本発明に使用されるアルカリ酸素漂白法は、公知の中濃度法あるいは高濃度法がそのまま適用できるが、現在汎用的に用いられているパルプ濃度が8~15質量%で行われる中濃度法が好ましい。
 前記中濃度法によるアルカリ酸素漂白法において、アルカリとしては苛性ソーダあるいは酸化されたクラフト白液を使用することができ、酸素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。
 前記酸素ガスとアルカリは中濃度ミキサーにおいて中濃度のパルプスラリーに添加され混合が十分に行われた後、加圧下でパルプ、酸素及びアルカリの混合物を一定時間保持できる反応塔へ送られ、脱リグニンされる。酸素ガスの添加率は、絶乾(BD;bone dry)パルプ質量当たり0.5~3質量%、アルカリ添加率は0.5~4質量%、反応温度は80~120℃、反応時間は15~100分、パルプ濃度は8~15質量%であり、この他の条件は公知のものが適用できる。本発明では、アルカリ酸素漂白処理工程において、上記アルカリ酸素漂白法による処理を連続して複数回行い、できる限り脱リグニンを進め、重金属の含有量を減らしておくのが好ましい実施形態である。アルカリ酸素漂白処理が実施されたパルプは次いで洗浄工程へ送られる。洗浄後のパルプは、無塩素漂白処理工程へ送られる。
 無塩素漂白シークエンスとしては、D-Ep-D、D-Eop-D、D-Ep-P-D、D-Eop-P-D、D-Ep-D-D、D-Eop-D-D、D-Ep-D-P,D-Eop-D-Pのような二酸化塩素主体のECFシークエンス、Z-Ep-D、Z-Eop-D、Z-Ep-P-D、Z-Eop-P-D、Z-Ep-D-D、Z-Eop-D-D,Z-Ep-D-Pのようなオゾン主体のECFシークエンス、ZD-Ep-D、ZD-Eop-D、ZD-Ep-P-D、ZD-Eop-P-D、ZD-Ep-D-D、ZD-Eop-D-D、ZD-Ep-D-P、ZD-Eop-D-Pのようなオゾンと二酸化塩素を使用したECFシークエンスが考えられるがこの漂白シーケンスの如何は、本発明をいささかも制限するものではない。
 なお、「D」、「E」、「Z」、「P」、「p」、「o」、「-」等の意味は、前述したとおりである。
 本発明に適用されるアルカリ酸素漂白処理後のパルプを無塩素漂白処理する方法として、上記のような種々のシークエンスがあり、本発明の無塩素漂白処理には二酸化塩素処理が含まれ、当該二酸化塩素処理が実施される少なくとも1つの二酸化塩素処理段でモノ過硫酸が併用される。
 上記のシークエンスその例として、D-Eop-D漂白シークエンスにおいて、初段二酸化塩素処理段(初段D)、または最終二酸化塩素処理段(最終D)でモノ過硫酸を併用する場合の漂白方法、およびZD-Eop-D漂白シークエンスおいて、初段オゾン二酸化塩素処理段(初段ZD)、または最終二酸化塩素処理段(最終D)でモノ過硫酸を併用する場合の漂白方法について説明する。
 本発明で使用されるモノ過硫酸は、ペルオキシ一硫酸(peroxymonosulfuric acid)とも呼ばれるものであり、ペルオキシ二硫酸を加水分解して製造することもできるし、過酸化水素と硫酸を任意の割合で混合して製造することもできるが、その製造方法については特に限定するものではない。また、モノ過硫酸の複塩(2KHSO5・KHSO4・K2SO4)であるオキソンのようなものを使用することもできる。ただし、経済性を考慮すると、安価な高濃度の過酸化水素と安価な高濃度の硫酸を混合して低コストでモノ過硫酸を製造し、使用するのが好ましい実施形態である。
 高濃度の過酸化水素と高濃度の硫酸を混合してモノ過硫酸を製造する方法としては、20~70質量%、好ましくは35~70質量%濃度の過酸化水素水に80~98質量%、好ましくは93~98質量%濃度の濃硫酸を滴下、混合する方法が好適である。前記硫酸と過酸化水素の混合モル比は好ましくは1:1~5:1であり、さらに好ましくは2:1~4:1である。過酸化水素水、硫酸共に、濃度の低いものを用いるとモノ過硫酸の製造効率が低下するため適さない。また、これらの濃度が高すぎると、発火等の危険性が大きくなるため適さない。さらに、硫酸と過酸化水素の混合モル比が1:1~5:1から外れる場合にもモノ過硫酸の製造効率が低下するために好ましくない。
 通常の初段二酸化塩素処理段の処理条件として、二酸化塩素添加率は絶乾パルプ質量当たり好ましくは0.2~2.0質量%である。処理pHは好ましくは1.5~6、より好ましくは2~4であり、pH調整用に公知のアルカリおよび酸を使用することができる。処理時間は好ましくは1分~5時間、より好ましくは10~180分である。処理温度は好ましくは20~100℃、より好ましくは40~90℃である。パルプスラリー中のパルプ濃度に関しては特に限定されるものではないが、通常5~30質量%であり、操作性の点から好適には8~15質量%で行われる。
 この初段二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用する場合のモノ過硫酸の添加率は、絶乾パルプ質量当たり好ましくは0.01~2質量%であり、より好ましくは0.1~1質量%である。
 初段二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用する場合の各処理条件は、上記の通常の初段二酸化塩素処理段の処理条件と同様であるが、処理pHは2.5~3.5、処理時間は30~120分、処理温度は60~80℃が、それぞれ、特に好ましい範囲である。
 上記の特に好ましい範囲のpHで処理するためには各薬剤の添加順序も重要であり、モノ過硫酸をアルカリ性のパルプに添加すると分解が促進されて好ましくない。すなわち、パルプに二酸化塩素を添加し混合した後モノ過硫酸を添加して混合する方法、パルプに二酸化塩素を添加し混合した後モノ過硫酸及びpH調整用の酸を添加して混合する方法、又はパルプにpH調整用の酸を添加し混合した後二酸化塩素及びモノ過硫酸を添加して混合する方法が好ましい。
 パルプに二酸化塩素を添加した場合は、この状態でアルカリ性ではなくなるので、そこにモノ過硫酸を添加してもモノ過硫酸が過度に分解することがない。したがって、モノ過硫酸及びpH調整用の酸を添加する場合は、モノ過硫酸とpH調整用の酸との添加順序は特に限定されない。
 また、パルプにpH調整用の酸を添加した場合は、この状態でアルカリ性ではなくなるので、そこにモノ過硫酸を添加してもモノ過硫酸が過度に分解することがない。したがって、二酸化塩素及びモノ過硫酸を添加する場合は、二酸化塩素とモノ過硫酸との添加順序は特に限定されない。
 また、pH調整用にアルカリを添加する場合は、モノ過硫酸の分解の促進を防止するために、パルプに二酸化塩素及びモノ過硫酸を添加して混合した後アルカリを添加すること、またはパルプに二酸化塩素を添加して混合した後モノ過硫酸添加と同時にアルカリを添加することが好ましい。
 pH調整用の酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、蟻酸、シュウ酸等の無機、有機の酸が使用できるが、硫酸が好ましい。pH調整用のアルカリとしては、苛性ソーダ、苛性カリウム、炭酸ソーダ、炭酸カルシウム、アンモニア、アミン類等の無機、有機のアルカリが使用できるが、苛性ソーダが好ましい。
 初段オゾン二酸化塩素処理段におけるオゾン処理段の処理条件として、オゾン添加率は絶乾パルプ質量当たり好ましくは0.05~2質量%、より好ましくは0.1~1質量%である。処理pHは好ましくは1~7、より好ましくは2~5、さらに好ましくは2.5~4であり、pH調整用に公知のアルカリおよび酸を使用することができる。処理時間は数十秒~数十分である。処理温度は好ましくは20~100℃、より好ましくは40~80℃である。パルプ濃度に関しては特に限定されるものではないが、33質量%程度の高濃度、あるいは10質量%程度の中濃度のいずれでも行うことができる。
 オゾン処理されたパルプは洗浄せずに二酸化塩素処理段に送られる。二酸化塩素処理段は上記の通常の初段二酸化塩素処理段の処理条件で行われる。
 この初段二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用する場合は、上記の初段二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用する条件で行われる。
 このように初段で、二酸化塩素処理、二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用した処理、オゾン二酸化塩素処理、またはオゾン二酸化塩素処理における二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用した処理により処理されたパルプは、洗浄工程へ移送される。洗浄においては、パルプ中の残存薬液、COD等が効率よく洗浄できればいずれの洗浄機も使用でき、例えば、ディフュージョンタイプ、プレスタイプ、ワイヤ-タイプの洗浄機が使用できる。
 洗浄されたパルプは、酸素及び/又は過酸化水素を併用したアルカリ処理(「アルカリ/酸素/過酸化水素処理」と呼ぶことがある。)工程に送られる。一般にアルカリ量としては、0.5~3.0質量%であり、酸素量としては、0.05~0.3質量%であり、過酸化水素量としては、0.05~1.0質量%である。処理pHは漂白後のpHとして好ましくは10~12であり、より好ましくは11.0~11.7である。処理時間は好ましくは15分~5時間、より好ましくは、30分~3時間である。
 アルカリ/酸素/過酸化水素処理されたパルプは洗浄工程へ移送される。洗浄においては、パルプ中の残存薬液、COD等が効率よく洗浄できればいずれの洗浄機も使用できる。
 洗浄されたパルプは最終二酸化塩素処理段へ送られる。この処理段の二酸化塩素添加率は、絶乾パルプ質量当たり好ましくは0.05~1.0質量%であり、より好ましくは0.1~0.5質量%である。処理pHは好ましくは1.5~6、より好ましくは3~6、さらに好ましくは4~6である。pH調整用に公知のアルカリおよび酸を使用することができる。処理時間は好ましくは15分~5時間、より好ましくは30~180分である。処理温度は好ましくは20~100℃、より好ましくは50~80℃である。パルプ濃度に関しては特に限定されるものではないが、通常5~30質量%であり、操作性の点から好適には8~15質量%で行われる。
 この最終二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用する場合のモノ過硫酸の添加率は、絶乾パルプ質量当たり好ましくは0.01~2質量%であり、より好ましくは0.1~1質量%である。最終二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を添加する場合の各処理条件は、上記の通常の最終二酸化塩素処理段の処理条件と同様であるが、処理pHは4.0~5.5、処理時間は30~120分、処理温度は60~80℃が、それぞれ、特に好ましい範囲である。
 上記の特に好ましい範囲のpHで処理するためには各薬剤の添加順序も重要であり、モノ過硫酸をアルカリ性のパルプに添加すると分解が促進されて好ましくない。
 したがって、各薬剤の添加順序は、上述した初段二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用する場合の特に好ましい範囲のpHで処理するための各薬剤の添加順序と同じ順序にするのが好ましい。
 上記無塩素漂白シーケンスで漂白されたパルプの白色度は70~89%であることが好ましい。また、パルプの褪色度の指標になるK価、HexA残量は低ければ低いほど好ましいが、そのためには多量の漂白薬剤を必要とし、パルプ粘度低下、コストアップの問題がある。そこで、本発明によりパルプの褪色問題と漂白コストの両方が解決されたパルプ物性としては、K価1.5以下、HexA残量10μmol/パルプg以下であることが好ましい。
 上記無塩素漂白シーケンスで所望の白色度、K価、HexA残量に漂白されたパルプは、貯槽工程をへて抄紙工程へ送られ、例えば、抄紙pH6以下の条件で紙(酸性紙)が製造される。
 モノ過硫酸併用二酸化塩素処理はモノ過硫酸単独処理に比べパルプの粘度低下が少ないとの特徴があるが、更に粘度低下を抑制する場合はモノ過硫酸併用二酸化塩素処理時にキレート剤、多価カルボン酸、またはこれらの混合物を併用使用するのが好ましい。
 本発明で使用されるキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)等のカルボン酸タイプ、1-ヒドロキシルエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDPA)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン)酸(EDTMPA)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン)酸(DTPMPA)、ニトロトリ(メチレンホスホン)酸(NTMPA)等のホスホン酸タイプが使用される。
 キレート剤の使用量としては、0.02~0.3%(対パルプの質量%として)の範囲が好ましい。これ以上添加すると、モノ過硫酸のHexA除去能力が低下し、これ以下ではパルプ粘度低下抑制効果が弱くなるとの問題がある。
 多価カルボン酸として、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、クエン酸、マロン酸、アジピン酸、リンゴ酸等が使用される。
 多価カルボン酸の量としては、0.02~0.3%(対パルプの質量%として)の範囲が好ましい。これ以上の添加量では、モノ過硫酸のHexA除去能力が低下し、これ以下の添加量ではパルプ粘度低下抑制効果が弱くなるとの問題がある。
 キレート剤と多価カルボン酸の混合物を使用する時は、0.02~0.3%(対パルプの質量%として)の範囲が好ましい。これ以上の添加量では、モノ過硫酸のHexA除去能力が低下し、これ以下の添加量ではパルプ粘度低下抑制効果が弱くなるとの問題がある。
 以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下に示す実施例、比較例においては、特に示さない限り、モノ過硫酸の製造、パルプの過マンガン酸カリウム価(K価)の測定、白色度の測定、粘度の測定、褪色性の評価をそれぞれ以下の方法で行った。なお、実施例及び比較例における薬品の添加率は絶乾パルプ質量当たりの質量%示す。
1.モノ過硫酸の製造
 工業用の45質量%過酸化水素水441.8g中に工業用の95%硫酸1809.8gを添加し、モノ過硫酸を製造した。製造したモノ過硫酸水溶液の組成は、モノ過硫酸18.17質量%、過酸化水素3.35質量%、硫酸60.81質量%、水17.77質量%であった。
2.パルプの過マンガン酸カリウム価(K価)の測定
 過マンガン酸カリウム価の測定は、TAPPI UM 253に準じて行った。
3.パルプ粘度の測定
 パルプ粘度の測定は、J.TAPPI No.44法に準じて行った。
4.パルプ白色度の測定
 漂白パルプを離解後、ISO3688-1977に従って坪量400g/m2のシートを2枚作製し、JIS P 8148に従ってパルプの白色度を測定した。
5.パルプの褪色性評価(PC価の算出)
 漂白パルプを離解後、硫酸アルミニウムを加え、pH4.5に調整した後、坪量400g/m2のシート2枚を作製し、送風乾燥機にて乾燥させた。このシートを80℃、相対湿度65%の条件下で、24時間退色させ、退色前後の白色度から下式に従いPC価を算出し、評価した。
 PC価={(1-褪色後白色度)2/(2×褪色後白色度)-(1-褪色前白色度)2/(2×褪色前白色度)}×100
6.パルプのヘキセンウロン酸(HexA)量の測定
 完全洗浄したパルプを絶乾質量で0.8g精秤した。このパルプを耐圧容器に入れ純水80mlを加えた後、蟻酸を加えpH3に調整した。この耐圧容器をオーブンに入れ、120℃で4時間処理し、HexAを酸加水分解した。処理後ろ過を行い、濾別された溶液中に存在するHexAの酸加水分解物である2-フランカルボン酸と5-カルボキシ-2-フランアルデヒドをHPLCにて定量し、そのモル量の合計から元のHexA量を求めた。
7.使用未晒パルプ物性
 使用した未晒パルプの物性を以下に示す。
 未晒パルプ:アルカリ酸素漂白後パルプ
 パルプの白色度:51.2%、K価:6.8、粘度:18.6mPa・s
 HexA量:36.7μmol/パルプg
8.無塩素漂白処理の各段の漂白条件
 無塩素漂白処理の各段の漂白条件を以下に示す。
 ・Aまたは初段MPS:パルプ濃度10%、温度60℃、時間60分
 ・Z:パルプ濃度10%、温度60℃、時間3分
 ・D0またはD0/MPS:パルプ濃度10%、温度60℃、時間60分
 ・Eop:パルプ濃度10%、温度60℃、時間90分
 ・D1またはD1/MPS:パルプ濃度10%、温度60℃、時間120分
 ・最終MPS:パルプ濃度10%、温度60℃、時間120分
 ・各段(Z段を除く)の洗浄条件:洗浄率90%(漂白後パルプ濃度2.5%に中空糸濾過水で希釈し、次いでパルプ濃度20%に脱水した。)
 なお、「D0」は、初段二酸化塩素処理段を意味し、「D1」は、最終二酸化塩素処理段を意味し、「A」は、酸性処理を意味する。また、「Eop」は前述したように、酸素、過酸化水素を併用したアルカリ処理段を意味し、「アルカリ/酸素/過酸化水素処理段」と呼ぶよことがある。その他は、前述したとおりである。
実施例1(D0/MPS処理)
 アルカリ酸素漂白処理後の未晒パルプ30gをポリエチレン袋にサンプリングした。パルプ濃度10%で漂白するために必要な中空糸濾過水を添加後、60℃の恒温水槽に45分間浸漬し未晒パルプを予熱した。このパルプに反応後のpHが3となる量の硫酸を添加してよく混合した後、二酸化塩素0.5質量%、続いてモノ過硫酸0.3質量%を添加し、さらに混合して60分間恒温水槽に浸漬することにより、初段二酸化塩素処理段でモノ過硫酸併用二酸化塩素処理を行った。処理後のパルプを上記の洗浄条件で洗浄した。洗浄後パルプを絶乾(BD)質量で16gサンプリングし純水で2Lに希釈後、亜硫酸水でpH5.5に調整し、ブフナーロート上に2枚のパルプシートを作成した(酸性抄紙)。1夜風乾後パルプの白色度、K価、HexA量、粘度を測定した。
実施例2(D0/MPS処理)
 実施例1のモノ過硫酸添加量を0.3質量%から0.6質量%にした以外、実施例1と同様に行った。
比較例1(MPS-D0処理)
 アルカリ酸素漂白処理後の未晒パルプ30gをポリエチレン袋にサンプリングした。パルプ濃度10%で漂白するために必要な中空糸濾過水を添加後、60℃の恒温水槽に45分間浸漬し未晒パルプを予熱した。このパルプに反応後のpHが3となる量の硫酸を添加してよく混合した後、モノ過硫酸0.3質量%を添加し、混合して60分間恒温水槽に浸漬することにより、初段モノ過硫酸処理を行った。処理後のパルプを上記の洗浄条件で洗浄した。次いで、パルプ濃度10%で漂白するために必要な中空糸濾過水を添加後、60℃の恒温水槽に45分間浸漬しパルプを予熱した。このパルプに反応後のpHが3となる量の硫酸、二酸化塩素0.5質量%をこの順序で添加し、混合して60分間恒温水槽に浸漬することにより、初段二酸化塩素処理を行った。処理後のパルプを上記の洗浄条件で洗浄した後、実施例1と同様に2枚のパルプシートを作成し、1夜風乾後パルプの白色度、K価、HexA量、粘度を測定した。
比較例2(MPS-D0処理)
 比較例1のモノ過硫酸量を0.3質量%から0.6質量%とした以外、比較例1と同様に行った。
 実施例1、2、比較例1、2の結果を表1に示した。
 比較例1、2のモノ過硫酸処理をし、次いで二酸化塩素処理をする場合は漂白後のパルプの粘度が大きく低下するとの問題がある。これに対して、実施例1、2の二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用した処理をすることにより、パルプの粘度低下が大きく抑制された。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
実施例3(D0/MPS-Eop-D1)
 実施例1の条件でモノ過硫酸併用二酸化塩素処理を行ったパルプを上記の洗浄条件で洗浄した後、パルプにNaOH 0.9質量%、酸素0.15質量%、過酸化水素 0.25質量%添加し、上記の条件でアルカリ/酸素/過酸化水素処理を行った。処理後のパルプを上記の洗浄条件で洗浄した。洗浄したパルプに二酸化塩素0.2質量%、所定量の硫酸を加え、2時間恒温水槽に浸漬することにより最終二酸化塩素処理を行った。尚、硫酸は反応終了後のpHが5になる量を添加した。処理後のパルプを上記の洗浄条件で洗浄した後、実施例1と同様に2枚のパルプシートを作成し、1夜風乾後パルプの白色度、K価、HexA量、粘度、PC価を測定した。
比較例3-1(D0-Eop-D1)
 実施例1の初段二酸化塩素処理段において、モノ過硫酸を添加せず、二酸化塩素0.55質量%にて処理したパルプを上記の洗浄条件で洗浄した後、実施例3と同様のアルカリ/酸素/過酸化水素処理、最終二酸化塩素処理を行った。処理後のパルプを上記の洗浄条件で洗浄し、その後、実施例1と同様に2枚のパルプシートを作成し、1夜風乾後パルプの白色度、K価、HexA量、粘度、PC価を測定した。
比較例3-2(D0-Eop-D1)
 比較例3-1の初段二酸化塩素処理段の二酸化塩素添加率を0.55質量%から0.7質量%とした以外は比較例3-1と同様に行った。
比較例4(MPS-D0-Eop-D1)
 実施例3で使用した実施例1の条件で処理したパルプの代わりに、比較例1の初段二酸化塩素処理で漂白し、上記の洗浄条件で洗浄した後のパルプを使用した以外、実施例3と同様に行った。
 実施例3、比較例3-1、3-2、4の結果を表2に示した。
 実施例3では、初段二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用することにより、漂白後パルプの白色度、K価、HexA量、PC価が問題ないレベルになっており、パルプ粘度低下も小さい。これに対して、モノ過硫酸を用いない二酸化塩素主体の無塩素漂白の場合は、比較例3-1のように、実施例3と同等の白色度が得られるような二酸化塩素添加率では、漂白後パルプのK価、残存HexA量が高くパルプの褪色性が悪い(PC価が高い)との問題点がある。また、比較例3-2のように、実施例3と同等の褪色性が得られるようにするには大幅な二酸化塩素添加率のアップが必要な上に、漂白後の白色度が必要以上に高くなってしまう。さらに、比較例4のモノ過硫酸処理、次いで二酸化塩素処理の2段処理は、K価、残存HexA量が低く、パルプの褪色性は問題ないが、粘度低下が大きく紙力を要求される紙には使用できないとの問題点がある。また、実施例3の場合、二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用して処理できるため、比較例4の場合のような新たな漂白タワーが必要なく、既存の二酸化塩素タワーが使用できるとの大きな利点がある。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
実施例4(D0-Eop-D1/MPS)
 アルカリ酸素漂白処理後の未晒パルプ30gをポリエチレン袋にサンプリングした。パルプ濃度10%で漂白するために必要な中空糸濾過水を添加後、60℃の恒温水槽に45分間浸漬し未晒パルプを予熱した。このパルプに反応後のpHが3となる量の硫酸、二酸化塩素0.5質量%をこの順序で添加し、混合した後60分間恒温水槽に浸漬することにより、初段二酸化塩素処理を行った。処理後のパルプを上記の洗浄条件で洗浄した。次いで、このパルプにNaOH 0.9質量%、酸素0.15質量%、過酸化水素0.25質量%を添加し、上記所定条件でアルカリ/酸素/過酸化水素処理を行った。処理後のパルプを上記の洗浄条件で洗浄した。洗浄したパルプに二酸化塩素0.2質量%、モノ過硫酸0.3質量%をこの順序で添加してよく混合した後、所定量の水酸化ナトリウム溶液をパルプに添加し、混合し、2時間恒温水槽に浸漬することにより、最終二酸化塩素処理段でモノ過硫酸併用二酸化塩素処理を行った。尚、水酸化ナトリウムは反応終了後のpHが5になる量を添加した。処理後のパルプを上記の洗浄条件で洗浄し、その後、実施例1と同様に2枚のパルプシートを作成し、1夜風乾後パルプの白色度、K価、HexA量、粘度、PC価を測定した。
比較例5(D0-Eop-D1-MPS)
 アルカリ酸素漂白処理後の未晒パルプ30gをポリエチレン袋にサンプリングした。パルプ濃度10%で漂白するために必要な中空糸濾過水を添加後、60℃の恒温水槽に45分間浸漬し未晒パルプを予熱した。このパルプに反応後のpHが3となる量の硫酸、二酸化塩素0.5質量%をこの順序で添加し、混合した後60分間恒温水槽に浸漬することにより、初段二酸化塩素処理を行った。処理後のパルプを上記の洗浄条件で洗浄した。次いで、このパルプにNaOH 0.9質量%、酸素0.15質量%、過酸化水素0.25質量%を添加し、上記所定条件でアルカリ/酸素/過酸化水素処理を行った。処理後のパルプを上記の洗浄条件で洗浄した。洗浄したパルプに硫酸、二酸化塩素0.2質量%をこの順序でパルプに添加し、混合し、2時間恒温水槽に浸漬することにより、最終二酸化塩素処理を行った。尚、硫酸は反応終了後のpHが5になる量を添加した。処理後のパルプを上記の洗浄条件で洗浄し、その後、パルプに硫酸、モノ過硫酸0.3質量%をこの順序でパルプに添加して、60℃、120分間恒温水槽に浸漬することにより、最終モノ過硫酸処理を行った。尚、硫酸量は反応終了後のpHが5になる量を添加した。処理後のパルプを上記の洗浄条件で洗浄し、その後、実施例1と同様に2枚のパルプシートを作成し、1夜風乾後パルプの白色度、K価、HexA量、粘度、PC価を測定した。
 実施例4、比較例3-1、3-2、比較例5の結果を表3に示した。
 実施例4では、最終二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用することにより、漂白後パルプの白色度、K価、HexA量、PC価が問題ないレベルになっており、パルプ粘度低下も小さかった。これに対して、モノ過硫酸を用いない二酸化塩素主体の無塩素漂白の場合は、比較例3-1のように、実施例4と同等の白色度が得られるような二酸化塩素添加率では、漂白後パルプのK価、残存HexA量が高くパルプの褪色性が悪い(PC価が高い)との問題点がある。また、比較例3-2のように、実施例4と同等の褪色性が得られるようにするには大幅な二酸化塩素添加率のアップが必要な上に、漂白後の白色度が必要以上に高くなってしまう。比較例5の最終二酸化塩素処理後のモノ過硫酸処理は、K価、残存HexA量が低く、パルプの褪色性は問題ないが、粘度低下が大きく紙力を要求される紙には使用できないとの問題点がある。また、実施例4の場合、二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用して処理できるため、比較例5の場合のような新たな漂白タワーが必要なく、既存の二酸化塩素タワーが使用できるとの大きな利点がある。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
実施例5(A-ZD0/MPS-Eop-D1)
 アルカリ酸素漂白処理後の未晒パルプ60gをポリエチレン袋にサンプリングし、所定量の水、硫酸1.25質量%を添加しpH3に調整した。恒温槽に浸漬し上記所定の条件で酸処理を行った。処理後のパルプを上記の洗浄条件で洗浄し、オゾン0.5質量%を添加して3分間オゾン処理を行った。オゾン処理終了後洗浄せずにパルプに二酸化塩素0.2質量%、モノ過硫酸0.5質量%をこの順序で添加し、上記所定の条件の下、初段二酸化塩素処理段でモノ過硫酸併用二酸化塩素処理を行った。処理後のパルプを上記の洗浄条件で洗浄した。次いで、パルプにNaOH 1.0質量%、酸素0.15質量%、過酸化水素 0.3質量%を添加し、上記所定の条件でアルカリ/酸素/過酸化水素処理を行った。処理後のパルプを上記の洗浄条件で洗浄した。洗浄したパルプに硫酸、二酸化塩素0.1質量%をこの順序でパルプに混合し、2時間恒温水槽に浸漬することにより、最終二酸化塩素処理を行った。尚、硫酸は反応終了後のpHが5になる量を添加した。処理後のパルプを上記の洗浄条件で洗浄し、その後、実施例1と同様に2枚のパルプシートを作成し、1夜風乾後パルプの白色度、K価、HexA量、粘度、PC価を測定した。
比較例6(MPS-ZD0-Eop-D1)
 実施例5において、オゾン処理前の酸処理に代えてモノ過硫酸0.5質量%を添加した初段モノ過硫酸処理を行い、初段二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用しなかったこと以外、実施例5と同様に行った。
比較例7-1(A-ZD0-Eop-D1)
 実施例5において、初段二酸化塩素処理段の二酸化塩素添加量を0.2質量%から0.3質量%に代え、初段二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用しなかったこと以外、実施例5と同様に行った。
比較例7-2(A-ZD0-Eop-D1)
 実施例5において、初段二酸化塩素処理段の二酸化塩素添加量を0.2質量%から0.5質量%に代え、初段二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用しなかったこと以外、実施例5と同様に行った。
 実施例5、比較例6、7-1、7-2の結果を表4に示した。
 実施例5では、オゾン処理後の初段二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用することにより、漂白後パルプの白色度、K価、HexA量、PC価が問題ないレベルになっており、パルプ粘度低下も小さかった。これに対して、モノ過硫酸を用いない場合は、比較例7-1のように、実施例5と同等の白色度が得られるような二酸化塩素添加率では、漂白後パルプのK価、残存HexA量が高くパルプの褪色性が悪い(PC価が高い)との問題点がある。また、比較例7-2のように、実施例5と同等の褪色性が得られるようにするには大幅な二酸化塩素添加率のアップが必要であった。比較例6では、K価、残存HexA量が低く、パルプの褪色性は問題ないが、粘度低下が大きく紙力を要求される紙には使用できないとの問題点がある。また、実施例5の場合、二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用して処理できるため、比較例6の場合のような新たな漂白タワーが必要なく、既存の二酸化塩素タワーが使用できるとの大きな利点がある。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
実施例6(D0/MPS)
 実施例2における初段二酸化塩素処理段でのモノ過硫酸併用二酸化塩素処理で、パルプに二酸化塩素を添加してよく混合した後、モノ過硫酸、pH調整用硫酸をこの順序でパルプに添加した以外、実施例2と同様に行った。
実施例7(D0/MPS)
 実施例2における初段二酸化塩素処理段でのモノ過硫酸併用二酸化塩素処理で、パルプにモノ過硫酸を添加してよく混合した後、pH調整用硫酸、二酸化塩素をこの順序でパルプに添加した以外、実施例2と同様に行った。
 実施例2、6、7の結果を表5に示した。
 実施例7のアルカリ性のパルプにモノ過硫酸を添加する方法に比べて、実施例6、2のパルプを酸性状態にしてからモノ過硫酸を添加する方法では、HexA量及びK価が低減でき、白色度が向上した。
 これは、実施例7では、酸性になっていない状態でパルプにモノ過硫酸を添加したので、モノ過硫酸の分解の程度が大きいことによると推測される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
実施例8(D0-Eop-D1/MPS)
 実施例4における最終二酸化塩素処理段でのモノ過硫酸併用二酸化塩素処理で、パルプに水酸化ナトリウム溶液を添加してよく混合した後、モノ過硫酸、二酸化塩素をこの順序でパルプに添加した以外、実施例4と同様に行った。
 実施例4、8の結果を表6に示した。
 実施例8のアルカリ性のパルプにモノ過硫酸を添加する方法に比べて、実施例4のパルプを酸性状態にしてからモノ過硫酸を添加する方法では、HexA量及びK価が低下し、白色度が向上した。
 これは、実施例8では、アルカリ性になっている状態でモノ過硫酸を添加したので、モノ過硫酸の分解の程度が大きいことによると推測される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 本発明の漂白パルプの製造方法は、リグノセルロース物質を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白処理し、次いで二酸化塩素処理を含んだ無塩素漂白処理を行う方法において、漂白コストを削減し、かつパルプ粘度の低下を抑制しながら、無塩素漂白パルプの褪色性を改善することができる。特に、二酸化塩素の使用量を削減し、有機塩素化合物の生成を抑制し、より環境に好ましいパルプの漂白方法を提供することができる。

Claims (11)

  1.  リグノセルロース物質を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白処理し、次いで二酸化塩素処理を含んだ無塩素漂白処理を行う方法において、当該二酸化塩素処理が実施される少なくとも1つの二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用することを特徴とする漂白パルプの製造方法。
  2.  モノ過硫酸を併用した二酸化塩素処理段が、アルカリ酸素漂白処理後の初段であることを特徴とする請求項1に記載の漂白パルプの製造方法。
  3.  モノ過硫酸を併用した二酸化塩素処理段が、過酸化水素処理段の後の段であることを特徴とする請求項1に記載の漂白パルプの製造方法。
  4.  モノ過硫酸を併用した二酸化塩素処理段が、無塩素漂白処理の最終段であることを特徴とする請求項1に記載の漂白パルプの製造方法。
  5.  無塩素漂白処理が、二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用した処理をし、次いで酸素及び/又は過酸化水素を併用したアルカリ処理をし、次いで二酸化塩素処理をする無塩素漂白処理であることを特徴とする請求項1又は2に記載の漂白パルプの製造方法。
  6.  無塩素漂白処理が、二酸化塩素処理をし、次いで酸素及び/又は過酸化水素を併用したアルカリ処理をし、次いで二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用した処理をする無塩素漂白処理であることを特徴とする請求項1又は4に記載の漂白パルプの製造方法。
  7.  無塩素漂白処理が、オゾン漂白処理後、洗浄せずに二酸化塩素処理段でモノ過硫酸を併用した処理をし、次いで酸素及び/又は過酸化水素を併用したアルカリ処理をし、次いで二酸化塩素処理をする無塩素漂白処理であることを特徴とする請求項1に記載の漂白パルプの製造方法。
  8.  モノ過硫酸を併用した二酸化塩素処理段におけるモノ過硫酸の添加順序として、二酸化塩素を添加した後モノ過硫酸を添加すること、二酸化塩素を添加した後モノ過硫酸及びpH調整用の酸を添加すること、又はpH調整用の酸を添加した後二酸化塩素及びモノ過硫酸を添加することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の漂白パルプの製造方法。
  9.  モノ過硫酸を併用した二酸化塩素処理段において、二酸化塩素及びモノ過硫酸を添加した後アルカリを添加し、または二酸化塩素を添加した後モノ過硫酸添加と同時にアルカリを添加して所望のpHに調整することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の漂白パルプの製造方法。
  10.  請求項1~9のいずれかに記載の無塩素漂白処理後の漂白パルプの白色度が70~89%であり、ヘキセンウロン酸残量が10μmol/パルプg以下であることを特徴とする漂白パルプの製造方法。
  11.  請求項1~10のいずれかに記載の漂白パルプの製造方法により製造された漂白パルプを用いて、抄紙pH6以下で製造された紙。
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