WO2009001603A1 - 偏光レンズ及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

本発明は、サングラス等に使用される高品質の偏光レンズが得られる偏光レンズの製造方法を提供する。詳しくは、凸面に偏光膜を有する樹脂製のレンズをインサート成形法により得る工程、前記レンズの凸面側をマスキングする工程、前記レンズの非マスキング面を染色する工程、を有している偏光レンズの製造方法である。

Description

明細書 偏光レンズ及びその製造方法 技術分野

本発明は、 サングラス等に使用される偏光レンズ及びその製造方法に関する。 背景技術

偏光レンズは、 レンズと偏光膜が一体化されたもので、 路面、 水面、 雪面等 のぎらつきや、 自動車のガラス、 ビルの窓ガラスからの眩しい反射光を除去す る効果を持っているため、 サングラス等に使用されている。

偏光レンズを製造する過程で染色するとき、 レンズを高温の染色液に浸漬す る方法が採用されるが、 このとき、 染色液の成分による環境応力破壊等により、 偏光膜のあるレンズ表面にクラック等の欠陥が生じて、 品質を低下させること 力 ^Sある。

樹脂より形成したレンズは JP- A 6 - 2 8 9 3 2 8 , JP-A 9— 2 3 0 1 0 9に記載されている。 発明の開示

本発明は、 製造過程における品質低下や欠陥が生じることがない、 偏光レン ズ及びその製造方法を提供することを課題とする。

本発明は、 課題の解決手段として、 凸面に偏光膜を有し、 反対面が 1又は 2 以上の色で着色されており、 前記着色面に階調が付けられている、 樹脂製の偏 光レンズを提供する。

本発明において 「階調 (gradation) 」 とは、 着色面において、 色の濃度が 連続的又は段階的に変化していることを意味するものであり、 「階調を付け る」 とは、 着色面の色の濃度を連続的又は段階的に変化させることを意味する。 本発明は、 他の課題の解決手段として、 凸面に偏光膜を有する樹脂製のレン ズを得る工程、 前記レンズの凸面側をマスキングする工程、 前記レンズの非マ スキング面を表面処理する工程、 を有している偏光レンズの製造方法を提供す る。

本発明の製造方法によれば、 欠陥のない、 高品質の偏光レンズを得ることが できる。 発明の詳細な説明

ぐ樹脂製の偏光レンズ >

本発明の樹脂製レンズは、 凸面に偏光膜を有し、 反対面が 1又は 2以上の色 で着色されているものであり、 更に前記着色面には所望の階調が付けられてい る。 着色面の色は特に制限されず、 要望に応じた所望の色を選択することがで きる。 偏光膜は、 偏光機能を有する膜であり、 予め着色されていてもよい。

<偏光レンズの製造方法 >

最初の工程にて、 凸面に偏光膜を有する樹脂製のレンズを得る。 この工程で は、 インサート成形法を適用することが好ましい。

具体的には、 所定の金型内に偏光膜を形成するための偏光シートを装着した 状態で、 熱可塑性樹脂を注入して固化させることで、 凸面に偏光膜を有するレ ンズを得ることができる。

偏光膜を形成するための偏光シートは、 特に制限されず、 偏光レンズの用途 や機能等に応じて、 市販品の中から適宜選択して用いることができる。 また、 本発明で偏光膜を形成するために用いる偏光シートは、 例えば、 WO 2 0 0 6 / 0 4 0 9 5 4に開示されている偏光シートを用いることもできる。 なお、 偏 光シートは、 着色されていてもよい。

樹脂製のレンズは、 用途に応じて形状や大きさを適宜設定することができる が、 凸面と凹面を有するものを用いる。

レンズ材料となる樹脂は、 J P— A 6— 2 8 9 3 2 8等にも記載されてい る公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。 この熱可塑性樹脂としては、 ポ リカーボネート、 ポリアミ ド、 ポリウレタン、 ポリエステル、 環状ポリオレフ イン、 ポリメチルメタタリレート等のメタクリル樹脂、 ポリジエチレングリコ 一ルビスァリルカーボネート等のポリジァリルダリコールカーボネート類、 ポ リスチレン、 アクリロニトリル一スチレン共重合体、 メチルメタクリ レートー スチレン共重合体、 ゴム強化メタクリル樹脂、 セルロースアセテート等のセル ロースエステル類、 ポリ塩化ビニル、 A B S樹脂等を挙げることができる。 更 に透明熱硬化樹脂も使用することができる。

次の工程にて、 前記レンズの偏光膜側 （凸面側） をマスキングする。 このェ 程のマスキングは、 偏光膜を次工程の表面処理から保護するためのものである から、 前記保護の目的が達成できる方法であれば特に制限されない。

マスキング方法としては、 J P—A 6— 2 8 9 3 2 8に記載された方法か ら選択して適用することができ、 例えば、 マスキングフィルム、 圧着ゴムシー リング法、 保護コートを形成する方法、 粘着テープを貼り付ける方法等を適用 することができる。

次の工程にて、 前記レンズの非マスキング面を表面処理する。 表面処理は、 偏光レンズの用途や機能等に応じて適宜選択することができる。 例えば、 レン ズに 1又は 2以上の色を付ける染色処理、 反射防止機能を付与するノングレア 処理、 汚れ防止処理、 レンズにァアルミニウム等の金属層を形成させる蒸着処 理等を挙げることができる。

染色は、 マスキング処理したレンズを染色液に浸漬する方法を適用するが、 2色以上に染色するときは、 色を代えて複数回の染色をする。 例えば、 偏光膜 の色が黄色系であるとき、 レンズの非マスキング面を青色系で染色する方法を 適用できる。

レンズの着色面に階調が付けられている樹脂製の偏光レンズを製造するとき には、 表面処理工程において、 非マスキング面に階調を付けるように染色する。 階調が付くように染色する方法は、 特に制限されるものはなく、 例えば、 次の (I) 〜 （III) 又はこれらを適宜改変した方法を適用できる。 また、 上記の複 数色の染色と階調を付ける操作を一度にすることもできる。

(I) レンズを染色液中に完全に浸漬した後、 一定速度で徐々に引き上げて 行くことで、 レンズの一端側 （染色液面から一番近い側であり、 一番先に引き 上げられる部分） から他端側 （染色液面から一番遠い側であり、 一番後で引き 上げられる部分） にかけて、 連続的な色の濃淡を付ける方法。

(II) 上記 （I) の方法において、 一端側から他端側にかけて、 段階的 （例 えば、 全体の 1ノ 1 0ずつ） に引き上げることで、 複数分割された色の濃淡を 付ける方法。

(III) レンズの全体を染色した後、 再度 （I) 又は （II) の方法を適用して 色の濃淡を付ける方法。

その後、 必要に応じて乾燥等した後、 マスキングを除去することで、 目的と する偏光レンズを得ることができる。 更に、 必要に応じてレンズ両面をハード コート処理、 防水処理等をすることができる。 本発明の製造方法により得られ た偏光レンズは、 サングラス、 眼鏡又はゴーグル用として適している。 実施例

実施例 1

(第 1工程）

偏光シート （偏光フィルムを両側からポリカーボネートシ一トで挟んだもの で、 厚みが 0 . 7 mmのもの） をレンズの寸法に合わせて打ち抜き加工した後、 目的とする凹凸レンズの曲率に合うように熱加工した。

射出成形機 （Sodic Plastech社， Tuparl TR150S) の金型に、 得られた偏光 シートを金型凸面側になるように装着し、 ポリカーボネートを射出してィンサ ート成形し、 凸面側に偏光膜を有するレンズを得た。 金型温度は 9 0 °C、 樹脂 温度は約 2 9 0 °Cであった。

(第 2工程）

第 1工程で得られたレンズの偏光膜面側 （レンズの凸面側） に、 ォレフィン 系マスキングフィルム （ビッグテクノス社製， # 3060) を貼り付けた。

(第 3工程）

偏光膜面側 （レンズの凸面側） がマスキングされたレンズを、 下記組成の染 色液 （85°C) 中に 1 0分間浸漬した後、 引き上げ、 そのまま自然乾燥させた。 その後、 マスキングフィルムを剥ぎ、 凸面に偏光膜を有し、 凹面のみが染色さ れた偏光レンズを得た。 得られた偏光レンズは、 目視による観察の結果、 欠陥 等は認められなかった。

〔染色液の組成〕

(1) 染色助剤

東邦化学工業製の商品名 「トーホーソルト」 と 「キャリアント」 の混合物

1. 50質量％

(2) 染料

アントラキノン系分散染料ズピンク） 0. 04質量％ アントラキノン系分散染料 （ブルー） 0. 01質量。 /₀

( 3 ) 純水 98. 46質量％

100. 00質量％ 比較例 1

第 2工程のマスキングをしない他は実施例 1と同様にして、 偏光レンズを得 た。 得られたレンズは、 凸面の表面に小さなひび割れや歪みが認められた。

実施例 2

実施例 1の第 3工程において、 （I) の方法により、 着色面に階調が付くよ うにして染色した他は実施例 1と同様にして、 凹面のみが染色された偏光レン ズを得た。 得られた偏光レンズは、 目視による観察の結果、 欠陥等は認められ なかった。

Claims

請求の範囲

1 . 凸面に偏光膜を有し、 反対面が 1又は 2以上の色で着色されており、 前 記着色面に階調が付けられている、 樹脂製の偏光レンズ。

2 . 凸面に偏光膜を有する樹脂製のレンズを得る工程、 前記レンズの凸面側 をマスキングする工程、 前記レンズの非マスキング面を表面処理する工程、 を 有している偏光レンズの製造方法。

3 . 凸面に偏光膜を有する樹脂製のレンズを得る工程が、 インサート成形を 適用する工程である、 請求項 2記載の偏光レンズの製造方法。

4 . 前記マスキング工程が、 前記レンズの凸面側をプラスチックフィルムで 覆う工程である、 請求項 2又は 3記載の偏光レンズの製造方法。

5 . 前記表面処理工程が 1又は 2以上の色で着色する染色工程である、 請求 項 2〜 4のいずれか 1項記載の偏光レンズの製造方法。

6 . 前記染色工程が、 非マスキング面に階調を付けるように染色する工程で ある、 請求項 5記載の偏光レンズの製造方法。

7 . 前記染色工程が、 非マスキング面に階調を付けるように染色し、 かつ複 数の色で染色する工程である、 請求項 5記載の偏光レンズの製造方法。

8 . 前記偏光レンズが、 サングラス、 眼鏡又はゴーグル用のものである、 請 求項 2〜 7のいずれか 1項記載の偏光レンズの製造方法。