JPH09230109A - プラスチックレンズおよびその製造方法 - Google Patents

プラスチックレンズおよびその製造方法

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JPH09230109A
JPH09230109A JP8329999A JP32999996A JPH09230109A JP H09230109 A JPH09230109 A JP H09230109A JP 8329999 A JP8329999 A JP 8329999A JP 32999996 A JP32999996 A JP 32999996A JP H09230109 A JPH09230109 A JP H09230109A
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JP
Japan
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plastic lens
coating
meth
masking
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JP8329999A
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English (en)
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Shunpu Haga
舜布 羽賀
Yoshio Kizawa
嘉夫 鬼沢
Ehira Shimizu
江平 清水
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Daicel Amiboshi Sangyo Kk
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Daicel Amiboshi Sangyo Kk
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチックレンズの外面に高い耐擦傷性を
付与し、内面には防曇性などの他の機能性膜を形成す
る。 【解決手段】 アクリル系ハードコート剤でプラスチッ
クレンズ基材の両面を被覆処理し、外面を剥離可能なマ
スキング剤(ポリ塩化ビニル又は塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体を含む塗布剤など)でマスキングし、少くと
も内面を防曇剤で被覆処理した後、マスキング層を除去
することにより、プラスチックレンズ基材の外面にアク
リル系ハードコート層が形成され、内面に、前記ハード
コート層を介して、防曇性塗膜が形成されたプラスチッ
クレンズを得る。ハードコート剤や防曇剤には、紫外線
硬化型樹脂組成物が使用でき、マスキング剤には、ポリ
塩化ビニル又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を含む
塗布剤が使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一方の面に耐擦傷
性、他方の面に防曇性などの他の機能を兼ね備えたプラ
スチックレンズおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】メガネやゴーグルをつけて、スキー、ス
ケート、登山、ハイキングなどの陸上スポーツやマリン
スポーツを行なったり、自転車、オートバイなどを運転
すると、メガネやゴーグルが曇る場合がある。特に、温
湿度差の大きな環境に出入りする場合には、メガネやゴ
ーグルが曇り易い。例えば、外気温が低温である場合に
は、メガネなどの外面が低温に晒され、内面では体温に
より温度が上昇するとともに、発汗により湿度が高くな
るため、湿度が露点以上となりメガネやゴーグルが曇
る。また、吐息によりメガネが曇る。中でも、ゴーグル
を装着すると、ほぼ密閉空間を形成するため、曇りを除
去することが困難である。
【0003】特開昭61−165724号公報には、眼
鏡の表面を清浄化処理するとともに、防曇処理する方法
に関し、保持部に含浸保持された処理剤を毛細管現象に
より塗布部に流出させ、この塗布部でメガネの表面を清
浄化するとともに処理剤で処理する方法が開示されてい
る。しかし、この方法では、防曇剤としてポリオキシエ
チレンノニルフェノールなどの界面活性剤を用いるた
め、メガネレンズを恒久的に防曇処理することが困難で
ある。特開昭58−74169号公報には、二重焦点や
三重焦点などの多重焦点レンズをハードコート剤や防曇
コート剤でコーティングする方法において、レンズ境目
部分にコーティング液が溜まるのを抑制するため、境目
のあるプラスチックレンズ基材を浸漬によりコーティン
グする際、境目を液面に対して垂直若しくは垂直に対し
て20°以内の角度で支持するコーティング方法が開示
されている。
【0004】特開平2−294339号公報には、レン
ズ、鏡板などのプラスチック成形品を、水溶性モノマ
ー、このモノマーと共重合可能なモノマーおよび重合開
始剤を含む重合性塗布液に浸漬し、硬化させることによ
り、防曇処理することが提案されている。
【0005】しかし、これらの防曇処理を施しても耐擦
傷性を改善することは困難である。すなわち、防曇剤に
よる防曇性と耐擦傷性との関係は、防曇性を高めると、
耐擦傷性が低下し、耐擦傷性を高めると防曇性が低下す
るという二律背反する関係にあるため、高い防曇性と高
い耐擦傷性とを両立することが困難である。そのため、
防曇性を高めると、前記メガネやゴーグルには塵芥など
が衝突したり、取扱い中に他の物品と接触又は擦れる
と、前記メガネやゴーグルが傷付きやすい。
【0006】一方、防曇性と耐擦傷性とを両立させるた
めには、レンズの内面を防曇剤で処理し、レンズの外面
をハードコート剤で処理することが考えられる。しか
し、前記ディッピング法ではレンズの両面がコーティン
グされるため、レンズの内面に防曇機能を付与し、レン
ズの外面に耐擦傷性を付与することが困難である。ま
た、スプレーコートやフローコートを利用してレンズ基
材を片面ずつコートすることが考えられる。しかし、こ
の方法は、高価な設備を必要とするとともに、生産性が
低下しやすい。なお、両面で機能が異なるレンズは、例
えば、プラスチックレンズ基材の内面をマスキング剤で
マスキングして外面を浸漬によりハードコートし、前記
マスキングを剥離させて除去した後、ハードコート面を
マスキングして内面に浸漬により防曇剤を塗布し、前記
マスキング剤を剥離により除去することによっても得る
ことができる。しかし、このような方法は、多くの工程
を必要とし、煩雑であるだけでなく、レンズの生産性を
高めることが困難である。また、プラスチックに有機溶
剤型マスキング剤を直接塗布すると、プラスチックレン
ズ基材に対するマスキング剤の密着力が大きいため、剥
離によるマスキング剤の除去が困難である。一方、マス
キング剤として水性ラテックス塗料を用いると、プラス
チック基材から剥離可能であるものの、有機溶剤型ハー
ドコート剤や防曇剤による浸漬工程、洗浄工程などの後
工程でマスキング塗膜が剥離又は部分剥離したり、溶出
する。そのため、浸漬工程中ではプラスチック基材に対
して密着力が大きく、浸漬工程の後では剥離可能な適度
な密着力を有するマスキング剤を見いだすことが困難で
ある。
【0007】また、マスキング剤に代えてマスキングフ
ィルムを用いることも考えられるものの、フィルムはレ
ンズの凹凸面に沿わず、平面に対しても作業性が低下す
るだけでなく、ハードコート剤で処理されていない面が
貼合せ作業中で傷付きやすく、剥離後においては貼り跡
ができるため外観を損なう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、一方の面(外面)に高い耐擦傷性が付与され、他方
の面(内面)に耐擦傷性以外の他の機能性が付与された
プラスチックレンズ(すなわち異種の機能が両面に付与
されたプラスチックレンズ)およびその製造方法を提供
することにある。本発明の他の目的は、耐擦傷性および
防曇性の高いプラスチックレンズおよびその製造方法を
提供することにある。本発明のさらに他の目的は、前記
の如き異種の機能を備えたプラスチックレンズを、少い
工程数で効率よく製造できる方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成するため鋭意検討した結果、アクリル系ハードコー
ト層に対するオーバーコート膜の密着力が小さいと考え
られていたが、アクリル系ハードコート剤の硬化の程度
を小さくすると、プラスチックレンズ基材との高い密着
性を維持しつつ、ハードコート層に対するオーバーコー
ト膜の密着性を大きく向上できることを見いだし、本発
明を完成した。すなわち、本発明のプラスチックレンズ
は、一方の面にアクリル系ハードコート層が形成され、
他方の面に、前記ハードコート層を介して、ハードコー
ト層以外の機能性膜が形成されている。このプラスチッ
クレンズにおいて機能性膜には防曇性塗膜などが含まれ
る。
【0010】本発明の方法では、アクリロイル基又はメ
タクリロイル基を有する重合性化合物を含むアクリル系
ハードコート剤でプラスチックレンズ基材の両面を被覆
処理するハードコート工程、ハードコート処理の後、レ
ンズ基材の外面の被覆層を剥離可能なマスキング剤でマ
スキングするマスキング工程、マスキングの後、少くと
もレンズ基材の内面の被覆層を防曇剤で被覆処理する防
曇処理工程、および防曇被覆の後、マスキング層を除去
する除去工程を含む方法によりプラスチックレンズを製
造する。この方法において、アクリル系ハードコート剤
は、例えば、紫外線硬化型ハードコート剤であってもよ
い。また、紫外線硬化型ハードコート剤を用いる場合、
ハードコート工程において、紫外線硬化型ハードコート
剤でプラスチックレンズ基材の両面を被覆処理し、外面
よりも内面の被覆層に対する照射量を同等又は少なくし
て紫外線を照射して硬化膜を形成し、マスキング工程に
おいて、レンズ基材の外面の硬化膜をマスキング剤でマ
スキングしてもよい。マスキング剤は、少くとも塩化ビ
ニル単位で構成された塩化ビニル系重合体を含む塗布剤
で構成でき、防曇剤は紫外線硬化型アクリル系防曇剤な
どで構成できる。
【0011】本発明の方法には、紫外線硬化型アクリル
系ハードコート剤でプラスチックレンズ基材の両面を被
覆処理し、レンズ基材の内面の被覆層に対する紫外線照
射量Iiと外面の被覆層に対する紫外線照射量Ioとを
Io/Ii=1/1〜20/1(倍)の割合で紫外線を
照射してハードコート層を硬化させるハードコート工
程、レンズ基材の外面の硬化層をマスキング剤でマスキ
ングするマスキング工程、マスキングの後、少くともレ
ンズ基材の内面の硬化層を紫外線硬化型アクリル系防曇
剤で被覆処理し、処理面に紫外線を照射して防曇剤を硬
化させる防曇処理工程、およびマスキング層を硬化膜か
ら除去する除去工程を含むプラスチックレンズの製造方
法も含まれる。なお、本明細書において、「レンズ」と
はメガネ用レンズの他、サングラスレンズ、ゴーグルな
ども含む広い意味に用い、凸レンズ、凹レンズなどの球
面レンズや非球面レンズおよびシート状(板状体)など
であってもよい。また、「外面」とは、球面レンズでは
凸面、平面レンズでは最終的に外面となる面を意味す
る。また、アクリル系単量体とメタクリル系単量体を
「(メタ)アクリル系単量体」として総称する。
【0012】
【発明の実施の形態】
[プラスチックレンズ]前記プラスチックレンズ基材の
一方の面(外面)にはアクリル系ハードコート層が形成
され、他方の面(内面)には、前記ハードコート層を介
して、機能性膜が形成されている。この機能性膜は、ハ
ードコート層以外の機能性膜であればよく、例えば、紫
外線吸収層、赤外線吸収層、反射防止層、反射層、フォ
トクロミック層などであってもよいが、温湿度差などに
よりレンズが曇るのを防止するためには、防曇性塗膜で
あるのが好ましい。以下の説明においては、代表的な機
能性膜として主に防曇性塗膜を例にとって説明する。
【0013】プラスチックレンズ基材 プラスチックレンズ基材は、光線透過率が高く、成形可
能なポリマー、例えば、ポリメチルメタクリレートなど
の(メタ)アクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリジ
エチレングリコールビスアリルカーボネートなどのポリ
ジアリルグリコールカーボネート類;ポリスチレンなど
で形成できる。これらのプラスチックのうち、透明性、
成形性、および機械的強度の高いポリカーボネートやポ
リジアリルグリコールカーボネート類などが好ましい。
なお、プラスチックレンズ基材は、射出成形法、キャス
ト法などの慣用の方法で得ることができる。なお、レン
ズ基材は、種々の添加剤、例えば、染料、顔料、酸化防
止剤などの安定剤、可塑剤、重合調節剤、剥離剤などを
含んでいてもよい。
【0014】ハードコート層 前記アクリル系ハードコート層は、耐擦傷性を付与する
ため、架橋した硬質のアクリル系樹脂被膜で形成でき
る。好ましい架橋した硬質被膜は、アクリロイル基又は
メタクリロイル基を有する重合性化合物を含む重合性ハ
ードコート剤で形成できる。
【0015】このハードコート剤において、重合性化合
物としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオ
リゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、
オリゴエステル(メタ)アクリレートなどの2以上の
(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー;エチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール
ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレートなどのアルキレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
トなどの(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレー
ト、ビスフェノールAにアルキレンオキサイド(エチレ
ンオキサイドやプロピレンオキサイド)が付加した付加
体のジ(メタ)アクリレート[例えば、2,2−ビス
[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フ
ェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−(メタ)
アクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]プロパンな
ど]などの2官能性(メタ)アクリレート;トリメチロ
ールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリト
ールヘキサ(メタ)アクリレート、ホスファゾ基−P=
N−と(メタ)アクリロイル基とを有する(メタ)アク
リレートなどの多官能性(メタ)アクリレートが含まれ
る。
【0016】前記ホスファゾ基を有する(メタ)アクリ
レートには、ホスファゾ基−P=N−を有する鎖状又は
環状化合物が含まれ、ホスファゾ基と(メタ)アクリロ
イル基との結合様式は、例えば、式 −N=P(X)a
(Y)b(XおよびYの少くとも一方は(メタ)アクリ
ロイル基を有する重合性基を示し、a+b=2である)
で表すことができる。ホスファゾ基を有する(メタ)ア
クリレートは、環状化合物である場合が多く、例えば、
五塩化リンと塩化アンモニウムとの反応により生成する
ホスファゼン環(例えば、3量体,4量体など)化合物
(PNCl2n(nは3〜5程度の整数を示す)と、ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有
(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られ
るホスファゼン環を有する(メタ)アクリレートなどが
含まれる。好ましいホスファゾ基を有する(メタ)アク
リレートは、下記式(I)で表すことができる。
【0017】
【化2】 (式中、R1 は、同一又は異なって、水素原子、C1-6
アルキル基、(メタ)アクリロイル基を有する重合性基
を示し、少なくとも1つのR1 は(メタ)アクリロイル
基を有する重合性基である) 前記式(I)で表される化合物において、R1 で表され
る重合性基の数は、例えば、3〜6個、好ましくは4〜
6個程度である。好ましい重合性基R1 は、例えば、下
記式(II)で表すことができる。
【0018】
【化3】 (式中、R2 およびR3 は、同一又は異なって、水素原
子又はメチル基を示し、mは1〜10、特に1〜5の整
数を示す) また、硬化塗膜の特性を調整するため、単官能性(メ
タ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチル
ヘキシル(メタ)アクリレートなどのC1-18アルキル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロ
キシル基含有(メタ)アクリレート、グリシジル(メ
タ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メ
タ)アクリレートなどの塩基性窒素原子含有(メタ)ア
クリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレー
ト、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレートなど
のハロゲン含有(メタ)アクリレートなどを併用しても
よい。
【0019】このような重合性ハードコート剤は、熱重
合開始剤(ベンゾイルパーオサイド、クメンヒドロパー
オキサイド、ジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化
物など)を含む熱硬化性樹脂組成物で構成してもよい。
好ましい重合性ハードコート剤は、生産性を向上させる
ため、光重合開始剤を含む光硬化型樹脂組成物、特に紫
外線硬化型樹脂組成物(紫外線硬化型ハードコート剤)
で構成できる。
【0020】光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイ
ン又はその誘導体(ベンゾイン,ベンゾインイソプロピ
ルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなど)、ケ
トン類(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト
ン、アセトフェノンやその誘導体(アルコキシアセトフ
ェノンなど)、プロピオフェノン又はその誘導体(2−
ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンなど)、ベン
ゾフェノン又はその誘導体(4,4′−ジメトキシベン
ゾフェノン、4,4′−ビス(4−ジエチルアミノフェ
ニル)ケトンなど)、ベンジル又はその誘導体(ベンジ
ルおよびベンジルメチルケタールなど)、チオキサント
ン又はその誘導体(2,4−ジエチルチオキサントン、
2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサ
ントン、2−クロロチオキサントンなど)などの慣用の
光重合開始剤が使用できる。これらの光重合開始剤は単
独で使用してもよく、二種以上組み合わせて使用しても
よい。
【0021】熱重合開始剤や光重合開始剤の量は、前記
重合性化合物100重量部に対して、0.1〜10重量
部程度の範囲から選択できる。なお、光重合開始剤は、
光重合促進剤(例えば、トリエチルアミン、トリエタノ
ールアミン、ジメチルアミノエタノール、p−ジメチル
アミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸、
4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジエチルアミ
ノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソア
ミルなどの第3級アミン、トリフェニルホスフィンなど
のホスフィン類など)と組み合わせて使用してもよい。
ハードコート剤は、必要に応じて、炭化水素類、アルコ
ール類、エステル類、ケトン類、エーテル類などの有機
溶媒を含む有機溶媒含有塗布剤であってもよい。
【0022】前記ハードコート層の厚みは、耐擦傷性な
どを損なわない範囲で選択でき、例えば、1〜50μ
m、好ましくは2〜30μm、さらに好ましくは3〜1
5μm(例えば、3〜10μm)程度である。
【0023】なお、ハードコート層を熱硬化性シロキサ
ン系組成物で形成することが行なわれている。しかし、
シロキサン系組成物の塗膜にオーバーコート剤を塗布す
ると、オーバーコート剤がはじかれ均一な被膜を形成す
ることが困難である。また、平滑な被膜を形成できたと
しても、乾燥・硬化後の被膜は、基材に対する密着性が
不十分である。さらに、オーバーコート層の表面処理に
より被膜との密着力を高めたとしても、経時的に被膜の
密着力や耐候性が低下し易い。
【0024】防曇性塗膜 前記防曇性塗膜は、種々の親水性高分子(例えば、ポリ
ビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合
体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、
セルロースエステルやセルロースエーテル、カルボキシ
ル基含有アクリル樹脂、ヒドロキシル基含有アクリル樹
脂など)で形成してもよいが、恒久的に防曇性を確保す
るためには、親水基を有する化合物を含む架橋性樹脂組
成物(例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテル
ポリオール、アクリルポリオールなどのポリオールとメ
ラミン樹脂などの架橋剤とを含む熱硬化性樹脂組成物、
前記ポリオールとポリイソシアネートを含む熱硬化性樹
脂組成物、ポリエーテル型エポキシ樹脂と硬化剤とを含
む熱硬化性樹脂など)や、(メタ)アクリル系親水性重
合性化合物を含む光硬化型樹脂組成物(特に紫外線硬化
型樹脂組成物で構成された防曇剤)で形成するのが有利
である。特に、ハードコート層に対する密着性を高める
ためには(メタ)アクリル系樹脂組成物(熱硬化性樹脂
組成物や光硬化型樹脂組成物)を用いるのが有利であ
り、生産性などを高めるためには、光硬化型樹脂組成物
を用いて防曇性塗膜を形成するのが有利である。
【0025】前記(メタ)アクリル系親水性重合性化合
物には、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エーテル基
などの親水基を有する(メタ)アクリレートが含まれ、
例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート、重合度n=3
〜50程度のポリエチレングリコールのモノ(メタ)ア
クリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)ア
クリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリレ
ート、ノニルフェノールなどのアルキルフェノールに対
してアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドなど)
が付加した付加体の(メタ)アクリレート、(メタ)ア
クリル酸、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、N−
ビニルピロリドンなどの親水性の単官能性(メタ)アク
リレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、
重合度n=3〜50程度のポリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセ
リンに対してアルキレンオキサイド(エチレンオキサイ
ドなど)が付加した付加体のジ−又はトリ−(メタ)ア
クリレート、ポリエーテル単位を有するウレタン(メ
タ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル単位を有す
るオリゴエステル(メタ)アクリレートなどの2又は3
以上の重合性官能基を有する(メタ)アクリレートなど
が挙げられる。これらの親水性重合性化合物は単独で又
は二種以上混合して使用でき、前記ハードコート剤の項
で例示の重合性化合物と併用してもよい。防曇塗膜を形
成するための光重合性樹脂組成物は、強靭な塗膜を形成
するため、2又は3以上の重合性官能基を有する(メ
タ)アクリレートを含む場合が多い。
【0026】防曇性光硬化型樹脂組成物は、前記重合性
化合物とともに親水性高分子(例えば、前記ヒドロキシ
ル基、カルボキシル基、エーテル基などの親水基を有す
る(メタ)アクリレートの単独又は共重合体、上記親水
基を有する(メタ)アクリレートと他の共重合性単量体
との共重合体など)を併用してもよい。共重合性単量体
としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、ジ
エチルアミノ(メタ)アクリレートなどのアルキルアミ
ノ(メタ)アクリレート、スチレン系単量体などが含ま
れる。
【0027】なお、前記防曇性光硬化型樹脂組成物は、
通常、前記と同様に、光重合開始剤を含んでいる。ま
た、防曇剤は、必要に応じて、炭化水素類、アルコール
類、エステル類、ケトン類、エーテル類などの有機溶媒
を含む有機溶媒含有塗布剤であってもよい。
【0028】レンズ基材の内面に、前記ハードコート層
を介して形成された防曇塗膜の厚みは、防曇性を付与で
きる範囲、例えば、1〜30μm、好ましくは2〜20
μm程度の範囲から選択でき、3〜15μm程度であっ
てもよい。
【0029】なお、機能性膜が紫外線吸収層、赤外線吸
収層である場合には、これらの機能性膜は、紫外線吸収
剤や赤外線吸収剤を含む樹脂組成物(特に、上記と同様
のハードコート剤や(メタ)アクリル系の熱又は光硬化
性樹脂組成物に紫外線吸収剤や赤外線吸収剤を添加した
組成物)を用いることにより形成できる。また、機能性
膜が反射防止層である場合には、二酸化ケイ素、酸化ケ
イ素、酸化アルミニウム、フッ化マグネシウム、金など
の無機化合物の微粉末(サブミクロンオーダーの微粉
末)を含む樹脂組成物などにより形成できる。機能性膜
が、フォトクロミック層である場合には、慣用のフォト
クロミック材料、又はフォトクロミック材料を含む樹脂
組成物(特に、上記と同様のハードコート剤や(メタ)
アクリル系の熱又は光硬化性樹脂組成物にフォトクロミ
ック材料を添加した組成物)を用いて形成できる。
【0030】[プラスチックレンズの製造方法]本発明
のプラスチックレンズは、前記アクリル系ハードコート
剤でプラスチックレンズ基材を被覆処理するハードコー
ト工程、ハードコート処理の後、マスキング剤でマスキ
ングするマスキング工程、マスキングの後、前記防曇剤
などの機能材料で被覆処理する被覆処理工程、および被
覆処理の後、マスキング層を除去する除去工程を経るこ
とにより得ることができる。なお、以下の説明において
は、機能材料が防曇剤である場合について主に説明す
る。
【0031】[ハードコート工程]ハードコート工程で
は、前記アクリル系ハードコート剤でプラスチックレン
ズ基材の両面を被覆処理する。被覆処理は、慣用の方
法、例えば、ディッピング(浸漬)法、スプレーコート
法、フローコート法、スピンコート法などが利用でき
る。好ましい方法では、なお、フローコート法、スピン
コート法では、高価な設備を必要とし、生産性が低下し
やすく、経済的に不利であり、スプレーコート法は、両
面の被覆層の均一性が低下する場合がある。そのため、
好ましくは、プラスチックレンズ基材の両面を効率よく
被覆処理できる浸漬法を採用する場合が多い。
【0032】アクリル系ハードコート剤の種類によって
は、硬化の程度の如何に拘らずオーバーコート剤(防曇
剤)との密着力が低下しないハードコート剤もあるが、
一般的には、ハードコート層の硬化の程度が大きくなる
につれて、耐擦傷性が向上するものの、オーバーコート
層との密着力が低減する傾向を示す。換言すれば、ハー
ドコート層の硬化の程度が小さくなるにつれて、オーバ
ーコート剤(防曇剤)との密着力が向上する傾向を示
す。そのため、光硬化型ハードコート剤(紫外線硬化型
ハードコート剤など)を用いてプラスチックレンズ基材
の両面を被覆処理する場合、マスキング剤で被覆処理さ
れる外面よりも、内面の被覆層に対する照射量を同等又
は少なくして光線(紫外線)を照射し、外面には十分な
硬度のハードコート層を形成し、内面には防曇膜に対す
る密着力の大きなハードコート層を形成するのが有利で
ある。すなわち、外面の被覆層に対しては十分に紫外線
を照射して硬化反応を進行させ、内面の被覆層に対して
は紫外線照射量を低減して硬化させるのが有利である。
【0033】外面の被覆層と内面の被覆層に対する紫外
線照射量は、アクリル系ハードコート剤の種類に応じて
選択できるが、飽和硬度の98〜100%の硬度を与え
るのに必要な照射光量を100とするとき、内面の被覆
層に対する照射量は50〜100程度、好ましくは70
〜100程度である。なお、飽和硬度の98〜100%
の硬度を与えるのに必要な照射光量は、縦軸に硬度、横
軸に照射光量をとり、硬度と照射光量との関係をグラフ
化し硬度の飽和レベルを基準に求めることができる。
【0034】また、飽和硬度のレベルでは、硬化被膜中
の残存モノマー量は、重合性化合物全体の0〜1重量
%、好ましくは0〜0.5重量%程度である。そのた
め、飽和硬度に代えて残存モノマー量を基準として(す
なわち残存モノマー量が0〜1重量%、好ましくは0〜
0.5重量%とするのに必要な照射光量を基準とし
て)、内面の被覆層に対する照射光量を求めることもで
きる。なお、残存モノマー量は、抽出操作を利用して抽
出前後の重量を測定する方法、赤外線吸収スペクトルに
よる吸収ピークの高さ(吸収強度)と残存モノマー量と
の関係(検量線)に基づいて測定する方法などにより測
定できる。好ましい方法には、赤外線吸収スペクトルを
利用する方法、例えば、二重結合の吸収域1620〜1
640cm-1とカルボニル基の吸収域における吸収強度
の比率に基づいて、残存モノマー量と硬化度を評価でき
る。
【0035】レンズ基材の内面の被覆層に対する光線
(紫外線)照射量Iiと外面の被覆層に対する光線(紫
外線)照射量Ioとの割合は、ハードコート剤の種類や
組成などに応じて選択でき、例えば、Io/Ii=1/
1〜20/1(倍)、好ましくは1/1〜10/1
(倍)、さらに好ましくは1/1〜5/1(倍)程度で
ある。なお、主波長300〜380nm程度の紫外線を
利用する場合、レンズ基材の内面の被覆層に対する紫外
線照射量Iiは、ハードコート剤を硬化可能な範囲で選
択でき、例えば、紫外線照射量10〜2000mj/c
2 、好ましくは20〜1000mj/cm2 (例え
ば、50〜1000mj/cm2 )程度の範囲から選択
できる。紫外線の照射には、慣用の紫外線照射装置、例
えば、ピーク波長365nm程度の高圧水銀灯などが利
用できる。
【0036】[マスキング工程]マスキング工程では、
レンズ基材の外面に位置するハードコート膜を、剥離可
能なマスキング剤でマスキングする。マスキング剤は、
ハードコート層の種類に応じて、ハードコート層に対し
て剥離可能であればよいが、防曇処理剤により剥離や溶
出が生じないのが好ましい。このようなマスキング剤に
は、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共
重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、溶剤可溶性ポ
リエステル、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタンなどの
熱可塑性樹脂、熱硬化性ポリウレタン、シリコーン樹脂
などの熱硬化性樹脂などを含む樹脂組成物が含まれる。
マスキング剤は、通常、炭化水素、エステル、ケトン、
エーテルなどの有機溶媒を含む塗布剤(例えば、前記樹
脂の有機溶媒溶液や、着色剤含有樹脂溶液など)として
用いる場合が多い。アクリル系ハードコート層に対して
剥離可能な好ましいマスキング剤には、塩素含有樹脂、
例えば、少くとも塩化ビニル単位で構成された塩化ビニ
ル系重合体(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、プロピレン
−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル
共重合体など)、塩化ビニリデン系重合体、塩素化ポリ
オレフィン(塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレ
ンなど)を含む塗布剤が含まれる。これらの塩素含有樹
脂は単独で又は二種以上混合して使用できる。好ましい
マスキング剤は、ポリ塩化ビニル又は塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体を含んでいる。
【0037】マスキング剤によるマスキングは、レンズ
基材の形状に応じた方法で行なうことができ、例えば、
ゴーグル用レンズのように、円形ではない不特定の球面
又は非球面レンズでは、コーティング装置を用いて自動
的又は半自動的に行ってもよいが、刷毛塗りなどにより
行なう場合が多い。なお、プラスチックレンズ基材全体
は既にハードコート処理されているため、マスキング工
程およびその後の工程で、傷付くことがなく、作業を円
滑化でき、レンズの生産性を向上できる。
【0038】[防曇処理工程]防曇処理工程では、少く
ともレンズ基材の内面を防曇剤で被覆処理すればよく、
レンズ基材の両面を防曇剤で被覆処理してもよい。な
お、レンズ基材の外面も防曇剤で処理する場合、レンズ
基材外面の防曇剤は、マスキング剤とともに除去工程で
除去される。
【0039】前記のように、ハードコート層と防曇剤と
の密着性は、ハードコート層の硬化の程度を調整するこ
とにより容易に高めることができるものの、ハードコー
ト剤の種類やハードコート層の硬化の程度などによって
は、防曇剤との密着性が十分でない場合がある。そのよ
うな場合、レンズ基材の内面において防曇剤とハードコ
ート層との密着性を向上させるため、防曇剤による被覆
処理に先だって、レンズ基材の内面のハードコート層
(硬化層)を表面処理してもよい。ハードコート層(硬
化層)の表面処理は、例えば、レンズ基材の内面のハ
ードコート層をコロナ放電処理又はプラズマ放電処理す
る方法、低圧水銀灯などを用い短波長(例えば、20
0〜300nm程度の波長、特に波長ピーク波長254
nm程度の波長)の紫外線をレンズ基材の内面のハード
コート層に照射して活性化する方法、浸漬などの方法
により、レンズ基材の内面のハードコート層を酸(塩
酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、酢酸、トリクロ
ロ酢酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸)やアル
カリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩
基など)で処理する方法などが挙げられる。コロナ放電
処理,プラズマ放電処理に加えて、好ましい方法には前
記紫外線照射処理やアルカリ処理が含まれる。紫外
線照射処理において、前記短波長の紫外線の照射時間
は、例えば、30〜180秒程度、好ましくは50〜1
00秒程度であり、アルカリ処理において、無機塩基の
濃度は1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%程度
であり、生産性や安全性などを考慮して温度および時間
を選択できる。
【0040】前記防曇剤は、ハードコート剤の種類に応
じて選択でき、ハードコート剤に対して経時的にも高い
密着性を維持するためには、ハードコート剤と親和性を
有する樹脂、特に同種の樹脂(例えば、共通する化学的
構造を有する樹脂)を用いるのが有利である。アクリル
系ハードコート層に対して高い密着性を有する防曇剤に
は、(メタ)アクリル系熱硬化型樹脂組成物又は光硬化
型樹脂組成物(特に紫外線硬化型樹脂組成物で構成され
た防曇剤)が含まれる。そのため、防曇処理工程におい
ては、少くともレンズ基材の内面のハードコート層(硬
化層)を紫外線硬化型防曇剤で被覆処理し、処理面に紫
外線を照射して防曇性塗膜を硬化させるのが好ましい。
なお、前記防曇性樹脂組成物に紫外線吸収剤や赤外線吸
収剤を添加した組成物を用いると、防曇性と紫外線吸収
性又は赤外線吸収性との双方の機能を備えた機能膜を形
成できる。防曇剤による処理は、種々の方法、例えば、
浸漬法、スプレーコート法、フローコーティング法、ス
ピンコーティング法などが採用でき、防曇剤として光硬
化型樹脂組成物を用いる場合、防曇性塗膜の硬化には、
前記と同様の光照射装置が利用できる。
【0041】[除去工程]除去工程において、レンズの
内面に位置するマスキング層を硬化膜から除去すること
により、外面にハードコート層を有し、内面に防曇膜を
有するプラスチックレンズが得られる。なお、レンズ基
材の外面のハードコート層も防曇剤で処理する場合、マ
スキング剤を除去することにより、プラスチック基材の
外面にハードコート層が露出する。マスキング層の除去
は、有機溶媒による溶出などの化学的方法、剥離などの
機械的方法、これらを組み合わせた方法などで行なうこ
とができ、通常、マスキング層をハードコート層から剥
離により除去する場合が多い。
【0042】なお、ハードコート剤以外の機能材料を用
いる被覆処理工程において、機能性膜として防曇性以外
の機能性膜(紫外線吸収性膜など)を形成する場合、前
記のように、紫外線吸収剤や赤外線吸収剤を含む樹脂組
成物を用いることにより紫外線吸収性膜や赤外線吸収性
膜を形成でき、フォトクロミック材料、又はフォトクロ
ミック材料を含む樹脂組成物を用いることにより、フォ
トクロミック層を形成できる。また、二酸化ケイ素、酸
化ケイ素、酸化アルミニウム、フッ化マグネシウム、金
などの無機化合物の微粉末(サブミクロンオーダーの微
粉末)を含む樹脂組成物などを用いることにより反射防
止層を形成できる。
【0043】このようにして得られたプラスチックレン
ズは、外面にハードコート層を有しているので、耐擦傷
性が高いだけでなく、内面に防曇性塗膜などの他の機能
性膜を有しているため、防曇性などの他の機能も高い。
そのため、陸上スポーツやマリンスポーツ、自転車、オ
ートバイなどの運転などのように屋外で装着するメガネ
やゴーグルなどとして有用である。
【0044】なお、本発明のプラスチックレンズは、必
要に応じて、前記のハードコート層や塗膜以外に、近赤
外線などの赤外線吸収層、赤外線反射層、紫外線吸収
層、偏光層、フォトクロミック層、帯電防止層、耐薬品
性などを高めるための保護層などを備えていてもよい。
【0045】
【発明の効果】本発明のプラスチックレンズは、外面に
ハードコート層が形成され、内面には耐擦傷性以外の他
の機能性膜が形成されているため、両面において異種の
機能(高い耐擦傷性と他の機能)を兼ね備えている。ま
た、外面に耐擦傷性の塗膜が形成され、内面に防曇性塗
膜が形成されたプラスチックレンズでは、高い耐擦傷性
および耐久性と高い防曇性とを備えており、温湿度差が
大きくても曇ることがない。本発明の方法では、ハード
コート、マスキング、機能性材料の被覆処理およびマス
キングの除去という少い工程数で前記の如き異種の機能
を備えたプラスチックレンズを効率よく製造できる。
【0046】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。 実施例1 ポリカーボネート樹脂を射出成形により成形したゴーグ
ルレンズ(80mm×150mm,中心厚2mm、球
面)の両面に、硬化性樹脂(共栄社化学(株)製,PP
Z−1000−N[前記式(I)においてR1 が重合性
基であり、前記式(II)においてR2 およびR3 がそれ
ぞれ水素原子である、ホスファゼン環に6つのアクリロ
イル基が置換した樹脂]100重量部に対して熱重合開
始剤ベンゾイルパーオキサイド0.8重量部の割合で含
む固形分濃度40重量%の塗布液(有機溶媒:酢酸エチ
ル/セロソルブ/イソプロピルアルコール混合溶媒)を
浸漬法により塗布し、120℃で2.5時間熱硬化させ
ることにより、厚み7μmのハードコート層を形成し
た。レンズ外面のハードコート層にマスキング剤(電気
化学(株)製,デンカラックM21)を刷毛塗りにより
マスキングコートした後、前記ハードコート層上に紫外
線硬化型アクリル系防曇剤(共栄社化学(株)製,U−
LIGHT 171)を浸漬法により塗布し、両面を高
圧水銀灯(アイグラフィックス(株)製,高圧水銀灯H
01−L212,80W/cm,1Kw、ピーク波長3
65nm)を用いて距離50mmから4秒間紫外線照射
し、防曇性塗膜を形成した。そして、レンズ外面のマス
キングを剥離してハードコート層を露呈させ、内面が防
曇コートされたゴーグル用レンズを得た。
【0047】ハードコート後の耐擦傷性、ハードコート
層に対する防曇剤の濡れ性、防曇性塗膜の密着性および
防曇性を下記のようにして調べた。耐擦傷性:#000
0スチールウールを用いてハードコート層を荷重200
gで10回擦り、傷の程度を下記の基準で評価した。 5:傷がつかない 4:傷が若干つく 3:傷がつく 2:傷の程度が大きい 1:傷の程度が著しい 防曇剤の濡れ性:ハードコート層に対する防曇剤の濡れ
性を、以下の基準で評価した。 優:均一に塗布できる 良:部分的に塗膜がはじかれる 不可:塗膜が著しくはじかれる 防曇性塗膜の密着性:鋭利なナイフを用い、縦横方向に
1mm間隔の碁盤目100個を形成し、セロハンテープ
R を貼付けた後、テープを剥離させ、残存する碁盤目の
数を測定した。 防曇性塗膜の防曇性:80℃の熱湯にかざす方法、又は
吐息にかざす方法により、曇りの程度を下記の基準で評
価した。 優:曇らない 良:曇ってもすぐ曇りがなくなる 不可:曇りがとれず、結露する その結果、耐擦傷性「5」、ハードコート層に対する防
曇剤の濡れ性「5」、防曇性塗膜の密着性「100」お
よび防曇性「優」であった。
【0048】実施例2 ポリカーボネート樹脂を射出成形したゴーグルレンズ
(80mm×150mm,中心厚2mm、球面)の両面
に、紫外線硬化性樹脂[共栄社化学(株)製,PPZ−
1000−U:PPZ−1000−N[前記式(I)に
おいてR1 が重合性基であり、前記式(II)においてR
2 およびR3 がそれぞれ水素原子である、ホスファゼン
環に6つのアクリロイル基が置換した樹脂]に光重合開
始剤を加えた紫外線硬化性樹脂]を固形分濃度40重量
%で含む塗布液(有機溶媒:酢酸エチル・セロソルプ・
イソプロピルアルコール)を浸漬法により厚み7μmに
塗布した。レンズの両面の塗膜を、距離50mmから高
圧水銀灯(アイグラフィックス(株)製,高圧水銀灯H
01−L212,80W/cm、ピーク波長365n
m)により4秒間紫外線を照射し、ハードコート層を形
成した。レンズ外面のハードコート層にマスキング剤
(電気化学(株)製,デンカラックM21)を刷毛塗り
によりマスキングコートした後、紫外線硬化型アクリル
系防曇剤(共栄社化学(株)製,U-LIGHT 171-U)に浸
漬してコートし、前記高圧水銀灯にて照射(照射距離5
0mm,照射時間4秒)して硬化させ防曇性被膜を形成
した。そして、レンズ外面のマスキングを剥離してハー
ドコート層を露呈させ、内面が防曇コートされたゴーグ
ル用レンズを得た。その結果、ハードコート層の耐擦傷
性「5」、80℃の熱湯にかざしたときの内面の防曇性
「優」、ハードコート層および防曇性塗膜の密着性「1
00」であった。
【0049】実施例3 ハードコート剤の塗膜に対する紫外線の照射量を表1に
示す照射量とする以外、実施例2と同様にして、外面に
ハードコート層を有し、内面に防曇性塗膜を形成したゴ
ーグル用レンズを得た。そして、ハードコート剤の塗膜
に対する照射量と、ハードコート層の耐擦傷性、ハード
コート層に対する防曇剤の濡れ性、防曇性塗膜の密着性
および防曇性との関係を調べたところ、表1に示す結果
を得た。
【0050】
【表1】 実施例4 ポリカーボネート樹脂製射出成形品であるゴーグルレン
ズ(80mm×150mm,中心厚2mm、球面)の両
面に、紫外線硬化型アクリル系ハードコート剤(藤倉化
成(株)製,フジハードHO−U)を浸漬法により厚み
6μmに塗布し、高圧水銀灯を用いて、外面に対して
3.5秒間、内面に対して1.3秒間紫外線を照射して
ハードコート層を形成した。外面のハードコート層にマ
スキング剤(関西ペイント(株)製,ストリップペイン
ト)を刷毛塗りにてマスキングコートした後、実施例1
で用いた紫外線硬化型アクリル系防曇剤(共栄社化学
(株)製,U-LIGHT 171-U)にて浸漬コートし、高圧水
銀灯にて照射(照射距離50mm,照射時間4秒)して
硬化させ防曇性被膜を形成した。そして、レンズ外面の
マスキングを剥離してハードコート層を露呈させ、内面
が防曇コートされたゴーグル用レンズを得た。塗膜の特
性を調べたところ、ハードコート層の耐擦傷性「5」、
80℃の熱湯にかざしたときの内面の防曇性「優」、ハ
ードコート層および防曇性塗膜の密着性「100」であ
った。
【0051】実施例5 実施例4において、レンズの両面のハードコート剤の塗
膜に対して3.0秒間と3.5秒間紫外線を照射し、外
面をマスキングした後、5重量%水酸化ナトリウム水溶
液に、35℃で40秒間浸漬処理し、内面に防曇剤を塗
布する以外、実施例4と同様にして防曇性塗膜を形成し
たところ、表2に示す結果を得た。
【0052】
【表2】 実施例6 ポリカーボネート樹脂を射出成形により成形した80m
mφ球面レンズの両面に、紫外線硬化型アクリル系ハー
ドコート剤(大日精化(株)製,DP−10)を浸漬法
により厚み5μmで塗布し、レンズの両面の塗膜を、高
圧水銀灯(80W/cm、距離50mm)にて2.6秒
間照射し、ハードコート層を形成する以外、実施例3と
同様にして、外面にハードコート層が形成され、内面に
防曇塗膜が形成されたレンズを得た。塗膜の特性を調べ
たところ、ハードコート層の耐擦傷性「4」、80℃の
熱湯にかざしたときの内面の防曇性「優」、ハードコー
ト層および防曇性塗膜の密着性「100」であった。
【0053】実施例7 実施例6において、レンズの両面のハードコート剤の塗
膜に対して紫外線を表3に示す時間(秒)照射し、マス
キングした後、5重量%水酸化ナトリウム水溶液に、3
5℃で40秒間浸漬処理し、内面に防曇剤を塗布する以
外、実施例3と同様にして防曇性塗膜を形成したとこ
ろ、表3に示す結果を得た。
【0054】
【表3】 実施例8 ポリカーボネート樹脂製の80mmφ球面レンズの両面
に、紫外線硬化型アクリル系ハードコート剤(大日精化
(株)製,DP−20)を厚み4μmで塗布し、高圧水
銀灯(120W/cm、距離50mm)で外面に7秒
間、内面に3秒間紫外線を照射してハードコート層を形
成した。レンズの内面のハードコート層を、低圧水銀灯
(セン特殊光源(株)製)を用いて距離70mmで90
秒間照射し、レンズ外面のハードコート層にマスキング
剤(関西ペイント(株)製,ストリップペイント)を刷
毛塗りしてマスキングコートした後、実施例1で用いた
紫外線硬化型アクリル系防曇剤(共栄社化学(株)製,
U-LIGHT 171-U)にて浸漬コートし、高圧水銀灯にて照
射(照射距離50mm,照射時間4秒)して硬化させ防
曇性被膜を形成した。そして、レンズ外面のマスキング
を剥離してハードコート層を露呈させ、内面が防曇コー
トされたレンズを得た。塗膜の特性を調べたところ、ハ
ードコート層の耐擦傷性「5」、80℃の熱湯にかざし
たときの内面の防曇性「優」、ハードコート層および防
曇性塗膜の密着性「100」であった。
【0055】実施例9 実施例8において、レンズ両面のアクリル系ハードコー
ト剤(大日精化(株)製,DP−20)の塗膜を、それ
ぞれ高圧水銀灯(120W/cm、距離50mm)で表
4に示す時間紫外線を照射してハードコート層を形成す
る以外、実施例8と同様にして、防曇性塗膜を形成し、
塗膜の性能を調べた。
【0056】
【表4】 比較例1 ポリカーボネート樹脂製80mmφ球面レンズに、メチ
ルトリエトキシシランの部分加水分解縮合物を含むハー
ドコート溶液を浸漬法によりコートし、加熱硬化し、厚
み5μmのハードコート層を形成した。ハードコート層
を、下記表に示す方法で前処理した後、実施例1で用い
た紫外線硬化型アクリル系防曇剤(共栄社化学(株)
製,U-LIGHT 171-U)にて浸漬コートし、高圧水銀灯に
て照射(照射距離50mm,照射時間4秒)して硬化さ
せ防曇性被膜を形成した。そして、ハードコート層に対
する防曇剤の塗れ性、防曇性被膜の密着性を調べたとこ
ろ、表8に示す結果を得た。なお、前記密着性試験方法
では、防曇性被膜がいずれも剥離したため、100個の
碁盤目を形成することなく、被膜にセロハンテープR
貼付けた後、テープを剥離させ、被膜の剥離の程度を下
記の基準で評価した。 優:被膜の剥離がない 良:部分的に被膜が剥離する 不可:殆どの被膜が剥離する
【0057】
【表5】 比較例2 プラスチックレンズ基材に対する剥離性を調べるため、
下記プラスチックレンズ基材に、下記の高分子樹脂塗料
をコートして、塗膜の剥離性を調べた。その結果、いず
れの組み合わせにおいても、塗膜がレンズ基材と密着
し、剥離することができなかった。 プラスチックレンズ基材:ポリメチルメタアクリレー
ト、ポリカーボネート、ポリアリルジグリコールカーボ
ネート 樹脂塗料:関西ペイント(株)製,ストリップペイン
ト、電気化学(株)製,デンカラックM21
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02C 7/02 G02C 7/02 7/10 7/10

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックレンズ基材の一方の面にア
    クリル系ハードコート層が形成され、他方の面に、前記
    ハードコート層を介して、ハードコート層以外の機能性
    膜が形成されているプラスチックレンズ。
  2. 【請求項2】 機能性膜が防曇性塗膜である請求項1記
    載のプラスチックレンズ。
  3. 【請求項3】 プラスチックレンズ基材がポリカーボネ
    ートまたはポリジアリルグリコールカーボネート類で形
    成され、ハードコート層がホスファゼン環を有する(メ
    タ)アクリレートを含む紫外線硬化型ハードコート剤か
    らなり、前記機能性膜が、ヒドロキシル基、カルボキシ
    ル基及びエーテル基からなる群より選ばれた少なくとも
    一種の親水性基を有する(メタ)アクリレートを含む紫
    外線硬化型樹脂組成物で形成された防曇膜である請求項
    1記載のプラスチックレンズ。
  4. 【請求項4】 重合性化合物を含むアクリル系ハードコ
    ート剤でプラスチックレンズ基材の両面を被覆処理する
    ハードコート工程、ハードコート処理の後、外面を剥離
    可能なマスキング剤でマスキングするマスキング工程、
    マスキングの後、少くとも内面をハードコート剤以外の
    機能性膜で被覆処理する工程、および被覆処理の後、マ
    スキング層を除去する除去工程を含むプラスチックレン
    ズの製造方法。
  5. 【請求項5】 プラスチックレンズ基材がポリカーボネ
    ートまたはポリジアリルグリコールカーボネートで形成
    された請求項4記載のプラスチックレンズの製造方法。
  6. 【請求項6】 ハードコート剤が紫外線硬化型ハードコ
    ート剤である請求項4記載のプラスチックレンズの製造
    方法。
  7. 【請求項7】 ハードコート剤がホスファゾ基を有する
    (メタ)アクリレートを含む重合性ハードコート剤であ
    る請求項4記載のプラスチックレンズの製造方法。
  8. 【請求項8】 ハードコート剤がホスファゼン環を有す
    る(メタ)アクリレートを含む重合性ハートコート剤で
    ある請求項7記載のプラスチックレンズの製造方法。
  9. 【請求項9】 ホスファゾ基を有する(メタ)アクリレ
    ートが、下記式(I)で表される化合物である請求項7
    記載のプラスチックレンズの製造方法。 【化1】 (式中、R1 は、同一又は異なって、水素原子、C1-6
    アルキル基、(メタ)アクリロイル基を有する重合性基
    を示し、少なくとも1つのR1 は(メタ)アクリロイル
    基を有する重合性基である)
  10. 【請求項10】 ハードコート工程において、紫外線硬
    化型ハードコート剤でプラスチックレンズ基材の両面を
    被覆処理し、外面の被覆層に対する照射量以下の照射量
    で内面の被覆層に紫外線を照射することにより硬化膜を
    形成する請求項4記載のプラスチックレンズの製造方
    法。
  11. 【請求項11】 マスキング剤が、少くとも塩化ビニル
    単位で構成された塩化ビニル系重合体を含む塗布剤であ
    る請求項4記載のプラスチックレンズの製造方法。
  12. 【請求項12】 機能性膜が防曇剤で形成された防曇膜
    である請求項4記載のプラスチックレンズの製造方法。
  13. 【請求項13】 防曇剤が紫外線硬化型アクリル系防曇
    剤である請求項12記載のプラスチックレンズの製造方
    法。
  14. 【請求項14】 防曇剤が、ヒドロキシル基、カルボキ
    シル基及びエーテル基からなる群より選ばれた少なくと
    も一種の親水性基を有する(メタ)アクリレートを含む
    紫外線硬化型樹脂組成物からなる請求項7記載のプラス
    チックレンズの製造方法。
  15. 【請求項15】 紫外線硬化型アクリル系ハードコート
    剤でプラスチックレンズ基材の両面を被覆処理し、レン
    ズ基材の内面の被覆層に対する紫外線照射量Iiと外面
    の被覆層に対する紫外線照射量IoとをIo/Ii=1
    /1〜20/1(倍)の割合で紫外線を照射してハード
    コート層を硬化させるハードコート工程、レンズ基材の
    外面の硬化層をマスキング剤でマスキングするマスキン
    グ工程、マスキングの後、少くともレンズ基材の内面の
    硬化層を紫外線硬化型アクリル系防曇剤で被覆処理し、
    処理面に紫外線を照射して防曇剤を硬化させる防曇処理
    工程、およびマスキング層を硬化膜から除去する除去工
    程を含むプラスチックレンズの製造方法。
  16. 【請求項16】 マスキング剤が、ポリ塩化ビニル又は
    塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を含む請求項15記載
    のプラスチックレンズの製造方法。
  17. 【請求項17】 レンズ基材の内面の硬化層を表面処理
    して活性化した後、少くとも内面の硬化層を紫外線硬化
    型防曇剤で被覆処理する請求項15記載のプラスチック
    レンズの製造方法。
  18. 【請求項18】 表面処理が、コロナ放電処理、プラズ
    マ放電処理、短波長の紫外線照射処理およびアルカリ処
    理から選ばれた少なくとも一種の処理である請求項17
    記載のプラスチックレンズの製造方法。
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