明 細 書
光透過性電磁波シールド部材およびその製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、電磁波を発生する電気製品であるプラズマディスプレイパネル (PDP)、 陰極線管 (CRT)、など画像表示部分等に利用する、透視可能な光透過性電磁波シ 一ルド部材およびその製造方法、ならびにそれを用いたフィルターおよびディスプレ ィに関する。
背景技術
[0002] 近年、電気製品から発生する電磁波は、各種精密機器、計器、デジタル機器類へ の電波障害や人体への影響から、規制が厳しくなつてきている。このため、電磁波放 出は法的に規制されてきており、例えば VCCI (Voluntary Control Council for Interf erence by data processing equipment electronic office machine)による規制カある。 そのため、特に強い電磁波を画像表示部から装置外に放出する PDPでは、光透過 性の電磁波シールドシートを反射防止や近赤外線遮蔽など他の機能のあるシートと 合わせ、前面フィルタ一として画像表示部に直接貼り付ける力、、前面フィルター用の ガラスまたはプラスチックなどの透明基板に貼り付け、画像表示部に設置して、上記 規制を遵守できるように電磁波を遮蔽して!/、る。
[0003] この光透過性の電磁波シールドシートとしては、従来、透明基材に銅箔などの金属 層を接着層を介して積層した後、レジストフイルムを貼り付け、露光、現像、エツチン グ、レジスト剥離するフォトリソグラフィ一法を利用して、透明基材上にパターン化した 導電性金属層を設けたものが提案されている(特許文献 1)。
[0004] また、透明基材上にパターン化した導電性金属層を設ける別の方法としては、スク リーン印刷法またはオフセット印刷法によりエッチングレジストパターンを形成し、その 後導電性金属層をエッチングし、最後にレジストを剥離する方法も提案されている( 特許文献 2、特許文献 3)。
[0005] しかしながら、透明基材上に積層した導電性金属層を用いて光透過性電磁波シー ノレドシートを製造するフォトリソグラフィ一法は、基材の格子状の導電性金属層(銅箔
層)が規則的な間隔の大きな網目構造を有しており、かつ網目交点部の細線の太り があるため、モアレ現象が発生すると!/、う問題を有して!/、る。
[0006] モアレ現象とは、「点または線が幾何学的に規則正しく分布したものを重ね合せた 時に生ずる縞状の斑紋」であり、また広辞苑によれば、「点または線が幾何学的に規 制正しく分布したものを重ね合わせた時に生ずる縞模様の斑紋。網版印刷物を原稿 として網版を複製する時などに起こりやすい」との記載があり、プラズマディスプレイで 言えば、画面上に縞模様状の模様が発生する。これは、ディスプレイの前面に設けら れる電磁波シールド基板に格子状などの規則的なパターンが設けられている場合、 ディスプレイ背面版の、 RGB各色の画素を仕切る規則正しい格子状の隔壁などとの 相互作用により、該モアレ現象が生じるものである。また、電磁波シールド基板に格 子状などの規則的なパターンが設けられている場合、この格子の線幅が太いほど、こ のモアレ現象が発生しやす!/、とレ、う問題がある。
[0007] またフォトリソグラフィ一の工程は複雑かつ長ぐ低コスト化の市場要求に対して満 足いく方法ではなかった。なお、電磁波シールド性とディスプレイ画面の視認性を両 立させるためには、パターン化させた導電金属層上に黒色レジスト層を積層させ、そ の黒色レジストを剥離せずに残すとレ、うことも提案されて!/、るが(特許文献 4)、これも 結局フォトリソグラフィ一法によるものであるので、工程は複雑かつ長ぐ低コスト化の 巿場要求に対して満足!/、く方法と!/、えるものではなかった。
[0008] 一方、スクリーン印刷またはオフセット印刷により光透過性電磁波シールドシートの エッチングパターンを形成する方法は、簡易な装置と単純なプロセスで形成でき、か つコントラスト性能を阻害する金属光沢のある導電性金属層上に直接黒色樹脂層を 形成し、ぎらつき感を押さえること力 Sできる。そのため、低コスト化の市場要求に十分 に答えられるプロセスといえる。し力もながら、これら印刷法では、高精細な線幅を印 刷することが難しぐ網目パターンの非視認性の点で好ましい 20 m以下の細線パ ターン形成をすることが困難で、表示画面上にモアレ現象が発生しやすかつた。また 、得られる電磁波シールド部材も光透過性の点で課題の残るものであった。
[0009] また、導電性繊維で網目構造を作製することで透明電磁波シールドを作製する方 法について提案されている(特許文献 5)。しかし、この方法で作製した電磁波シール
ド部材は導電性繊維の線径が太レ、ため,十分なシールド性能を得ようとする場合、開 口率が低下し、画面の視認性が低下する欠点があった。
[0010] また、無電解めつき触媒を透明フィルム上に印刷することで網目パターンを形成し、 続いて無電解めつき処理を施すことで電磁波シールドを作製する方法が提案されて いる(特許文献 6)。この方法は無電解めつきの触媒層を印刷で作製するため,網目 の線幅を細くすることが困難であるため,めっき後に得られる網目の線幅が 25〜30 μ mと太ぐ十分な視認性を得るための開口率が得ることは困難であった。
[0011] また、感光材料である銀塩をフィルム上に塗工しマスクパターンを通して紫外線で 感光することにより網目パターンを描画し,透明支持体上に網目パターンを作製する 方法が提案されている(特許文献 7)力 工程が複雑である欠点がある。また、作製し た銀塩網目だけでは十分なシールド性能を得ることは困難であり,網目パターンを作 製した後、めっきにより導電層を厚付けする必要があるため工程が一層複雑化する 欠点があった。
特許文献 1:特許第 3388682号公報
特許文献 2 :特開 2000— 315890号公報
特許文献 3:特開 2000— 323889号公幸
特許文献 4:特開平 9 293989号公報
特許文献 5 :特開 2005— 311189号公報
特許文献 6:特開 2002— 38095号公報
特許文献 7:特開 2006— 12935号公報
特許文献 8:特開 2000— 223886号公幸
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0012] 本発明の目的は、上記した欠点を解消し、従来技術と比較してモアレ現象の発生 を抑制した、高い電磁波シールド性能と適切な網目構造による十分な全光線透過率 を両立した光透過性電磁波シールド部材およびその製造方法を提供することにある 。また本発明のより好ましい態様の目的は、ディスプレイに取り付けた際の視認性を 低下させることの無い光透過性電磁波シールド部材およびその製造方法を提供する
ことにある。
課題を解決するための手段
[0013] 本発明は、上記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。す なわち、本発明は以下の(1)から(4)などである。
(1)幾何学形状を有する網目構造の金属層が、透明基材上に形成されてなる光透 過性電磁波シールド部材を製造する方法であって、
厚み 2 μ m以下の金属層を設ける工程、該金属層をレーザーアブレーシヨンにより 除去する工程を有し、
網目構造の間隔が 200 a m以下、かつ網目構造の開口率が 84%以上の網目構造 の金属層を形成する、光透過性電磁波シールド部材の製造方法。
(2)金属層の少なくとも一方の面側に金属酸化物層を形成する工程を有する、(1) に記載の光透過性電磁波シールド部材の製造方法。
(3)幾何学形状を有する網目構造の金属層が、透明基材上に形成されてなる光透 過性電磁波シールド部材であって、
網目構造の間隔が 200 m以下、網目構造の開口率が 84%以上、かつ、金属層の 厚みが 2 μ m以下である光透過性電磁波シールド部材。
(4)透明基材上に、幾何学形状を有する網目構造に形成された金属層と、金属層の 少なくとも一方の面側に設けられた厚さ 0. 01 -0. 1 mの第 1の金属酸化物層とを 有する、 (3)に記載の光透過性電磁波シールド部材。
発明の効果
[0014] 本発明によれば、モアレ現象が発生せず、高!/、電磁波シールド性能と適切な網目 構造による十分な全光線透過率を両立した光透過性電磁波シールド部材を得ること 力 Sできる。また本発明の好ましい実施態様によれば、さらに画像劣化の少ない光透 過性電磁波シールド部材をえることができる。
図面の簡単な説明
[0015] [図 1]本発明の光透過性電磁波シールド部材の概略断面図の一例である。
[図 2]本発明の光透過性電磁波シールド部材の概略断面図の一例である。
[図 3]本発明の光透過性電磁波シールド部材の概略断面図の一例である。
[図 4]本発明の光透過性電磁波シールド部材の作製工程を説明する概略断面図で ある。
符号の説明
[0016] 1 :透明基材
2 :金属層
3 :接着層
4 :金属酸化物層
5 :第 2の金属酸化物層
発明を実施するための最良の形態
[0017] 本発明は、前記課題、つまり従来技術では解決が困難であったモアレ現象が発生 せず、高い電磁波シールド性能と適切な網目構造による十分な全光線透過率を両 立した光透過性電磁波シールド部材について、鋭意検討し、透明電磁波シールド部 材の網目構造の間隔を狭ぐかつ線幅を小さくしてみたところ、前記課題を見事に解 決し、高い開口率を有し、かつ、モアレの問題も生じず,十分なシールド性能を効果 的に達成することができることを見いだし、本発明を完成するに至ったものである。そ して、本発明の電磁波シールド部材に力、かる網目構造を形成するに際し、レーザー ブレーシヨンを用いるのが特に有効であることを見いだしたものである。以下に図;!〜 4を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。
[0018] 本発明の光透過性電磁波シールド部材を構成する透明基材 1の材質としては、ガ ラス、プラスチックスなど特に限定されないが、取り扱い性の観点あるいは、巻物形態 での製造および加工時に望まれる可とう性の点ではプラスチックスフイルムが好まし い。
[0019] 力、かるプラスチックスフイルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(以降 PET )、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボ ネート樹脂、或いは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等 のポリオレフイン系樹脂、或いは、トリァセチルセルロース、ジァセチルセルロース等 のセルロース系樹脂、ポリ塩化ビュル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂 、ポリウレタン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアクリロニトリル
系樹脂等を溶融または溶液製膜したものを使用することができる。これらの中でも、 透明性、耐熱性、耐薬品性、コスト等の点から、 PETフィルムが最も好ましく使用され
[0020] 力、かる透明基材には、これらプラスチックフィルムの単体又は 2種以上の混合物から なる、単層フィルム或いは 2層以上の積層フィルムなどを用いることができる力 好ま しくは透明基材として全光線透過率が 85%以上であるものがよい。
[0021] 力、かる透明基材の厚みは用途に応じたものとすればよぐ特に限定されない。本発 明に力、かる電磁波シールド性ディスプレイが一般的な光学フィルタ一として用いられ る場合には、好ましくは 25 m以上、さらに好ましくは 50 m以上であるのがよい。 一方、上限に関しては、好ましくは 250 m以下、さらに好ましくは 150 m以下であ るのがよい。
[0022] 力、かる透明基材上に金属層を設けるためには、該透明基材にも相応の強度が必要 であり、それには 25 ,1 m以上の厚みとすることが好まし!/、。厚みが 50 μ m以上である と、さらにコシが強くなり、加工時の作業性が増すので好ましい。なお、 50 111未満 の PETフィルム等を透明基材として用いる場合は、他のフィルム、例えば紫外線およ び/または赤外線カット機能付きの PETフィルム、ハードコート PETフィルムなどと積 層して厚みを厚くしてもよい。
[0023] また、力、かる透明基材としてのフィルムは、通常ロールから巻き出して使用する。そ のため、フィルム厚が一定以上であれば巻き出した時にフィルムが平面とならずカー ルした状態となり易ぐ平面に直すための工程が必要となる。しかしながら、 250 ^ 111 以下の厚みで有れば、特別な工程を必要としないで、そのフィルムを用いることがで きるので好ましい。さらに、 150 m以下の厚みであれば、ディスプレイとしたときに十 分な輝度を容易に得ることができるので、透明基材として高透明 PETフィルム等、高 コストな基材を用いる必要がなぐより好ましい。
[0024] また、透明基材 1には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン吹付処理、プラズマ 処理、易接着プライマー塗工処理等の公知の易接着処理を、透明基材 1を形成中ま たは形成した後に施しても良い。例えば、 PETフィルム等では、市販の易接着処理フ イルムを用いれば、更なる易接着処理を省略する事もできる。
[0025] 本発明の光透過性電磁波シールド部材は、かかる透明基材の上に幾何学形状を 有する網目構造の金属層が形成されてなるものである。なお、透明基材上に直接に 金属層が形成されていてもよいし、後述するように透明基材と金属層の間に金属酸 化物層が形成されてレ、ても構わなレ、。
[0026] 力、かる金属層 2は、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄など導電性が高い 金属のうち 1種または 2種以上を組み合わせた合金を用いることが出来るが,作製し た構造の外的要因に対する安定性から、白金、金、銀、銅が望ましく使用される。 力、る金属の中でも、さらにコスト、導電率の観点から銅が最も好ましく使用される。
[0027] 力、かる金属層を透明基材上に形成する方法としては、接着層 3を介して金属箔を 貝占り合わせる方法 (以降金属箔ラミ法)、または、真空蒸着法、スパッタリング法、ィォ ンプレート法、化学蒸着法などのドライプロセス,無電解および電解めつき法などのゥ エツトプロセスのどれ力、 1つの方法、または 2つ以上の方法を組合せる方法など特に 限定されない。しかしながら、金属箔ラミ法を用いた場合、接着剤層を介して金属層 を貼り合わせているため、網目構造を形成した後の開口部分に接着剤が残存し、透 明性が低下する場合がある(例えば図 2)。また、無電解めつき、電解めつき法ではあ らかじめ透明基材上に導通層やめつき触媒層を形成する必要があり、プロセスが複 雑になる。以上の観点から導電金属層を透明基材上に形成するプロセスとしては、 真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティングおよび化学蒸着法(CVD)など を用いることが好ましい。さらには、金属膜の密着性、電気特性などの観点から真空 蒸着法、もしくはスパッタリング法を用いることがより好まし!/、。
[0028] 本発明にかかる金属層 2は、透明基材上に設けられた導電性を有する層であり、こ の表面抵抗が低い(導電性が高い)ほど、優れた電磁波シールド性を有する。後述 するような方法で、この金属層の一部を除去し、例えば格子状などにパターン化する ことにより、幾何学形状を有する網目構造の金属層とすることができ、電磁波シール ド性とディスプレイに取り付ける際に必要な光透過性を両立することができる。
[0029] 金属層 2の種類について、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、ステンレス、クロ ム、チタンなどの金属の内、 1種または 2種以上を組合せた合金あるいは多層のもの を使用すること力できる。良好な電磁波シールド性を有するための導電性、パターン
加工の容易さ、価格面などから、銅、アルミニウムが好ましい。
[0030] また、金属層の厚みは 0· 00001 H m以上 2 μ m以下であることが必要である。金 属層は厚いほど電磁波シールド性能が高くなり好ましいが、厚みが 2 mを越えると 金属を除去する処理に時間が力、かり生産性が低下することや、アブレーシヨン処理 時に透明基材自身にも熱がかかり、透明基材が損傷を受け、表面の平滑性、透明性 が悪化してしまう。また、金属層の厚みが 0. 00001 m未満であるとシールド性能が 発現せず、また、めっき処理等を施す場合においても電解めつきを行う場合において も電解めつきを行う場合は電気伝導度が不足し、また無電解めつきを行う場合にぉレ、 ても金属層がめっき触媒として作用しなくなる。金属層の厚みは好ましくは 0. 02〜2 μ mであり、より好ましくは 0. 02〜1 μ mである。金属層の厚みが 0· 1 μ m以上であ れば、十分な電磁波シールド性が得られるので好ましレ、。
[0031] 本発明の光透過性電磁波シールド部材の製造方法は、厚み 2 μ m以下の金属層 を設ける工程、および金属層をレーザーアブレーシヨンにより除去する工程を有する 力 S 好ましくは金属層の少なくとも一方の面側に金属酸化物層を形成する工程を有 することである(例えば図 1、図 4)。本発明に力、かる第 1の金属酸化物層 4は、金属層 2の少なくとも一方の面側に設けられた層で、後述するような方法で金属層 2とともに パターン形状(幾何学形状)を有する網目構造の金属層に形成され、金属層 2の金 属光沢による表示画像の視認性低下を抑えるものである。第 1の金属酸化物層は、 金属層 2の透明基材 1側の面とは反対の面側に設けられていることが好ましい。この ように金属酸化物層をディスプレイに設置する際の視聴者側の層に設けることにより 、表示画像の視認性低下を軽減することができる。
[0032] 本発明に力、かる第 1の金属酸化物層 4は、光透過性電磁波シールド部材をデイス プレイに設置した際に、 目的とする表示画像の視認性低下の軽減効果が得られるも のであれば、その種類、形成方法は特に限定されないが、銅、アルミニウム、ニッケ ノレ、鉄、金、銀、ステンレス、クロム、チタン、すずなどの金属酸化物の内、 1種または 2種以上を組合せた合金を使用する。中でも価格や膜の安定性などの点から銅の酸 化物、つまり酸化銅が好ましい。
[0033] 第 1の金属酸化物層 4の厚みは 0. 01 -0. 1 mである必要がある。厚みが 0. 01
未満であると十分な視認性低下の軽減効果が得られず、また厚みが 0. l fi mを 超過しても十分な視認性低下の軽減効果が得られないとともに、金属層 2とともに、 後述する方法でその一部を除去してパターン形状に形成する工程にお!/、て、加工 時間が長くなることやディスプレイに設置した際の視野角が狭くなることから好ましく な!/、。これら視認性低下の軽減効果と加工性などの観点から第 1の金属酸化物層の 厚みは 0. 02—0. 06〃mであること力 S好ましい。
[0034] 第 1の金属酸化物層 4を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、ィ オンプレート法、化学蒸着法、無電解および電解めつき法などの薄膜形成技術の 1 つの方法、または 2以上の方法を組合せる方法など特に限定されないが、真空蒸着 法、スパッタリング法、イオンプレート法、化学蒸着法が、製造コスト、容易性の点に おいて好ましい。
[0035] また、第 1の金属酸化物層 4は、金属層 2のいずれかの面に、金属層 2とは別の層と して設けることが出来る力 本発明はこれに限定されるものではない。例えば、金属 層 2を形成しながら、金属層 2の透明基材側の面のみ、あるいはその反対側の面の みの一部を酸化処理する方法や、金属層 2を形成後、その表面を酸化、あるいは水 酸化処理する方法でも得られる。
[0036] また、本発明の電磁波シールド部材では、金属層 2の、第 1の金属酸化物層 4を設 けた面側とは反対の面側に、第 2の金属酸化物層 5を設けるのが好ましい (例えば図 3)。第 2の金属酸化物層 5を設けることにより、パターン形状(幾何学形状を有する網 目構造)に形成された金属層の金属光沢による視聴者側からの反射 (外光や蛍光灯 などが金属層に反射する)だけでなく、ディスプレイ側からの反射(ディスプレイからの 画像が金属層に反射する)も低減することがで、さらに画像視認性の低下を低減する こと力 Sできる。第 2の金属酸化物層の厚みは、 0. 01 -0. 1 mであることが好ましい 。厚みが 0. O l ^ m以上であれば、金属部の金属光沢による画像視認性の低下をデ イスプレイ側からも抑えることができる。厚みが 0. 1 m以下であれば、金属層の金属 光沢による画像視認性の低下を抑えられるとともに、金属層、および第 1の金属酸化 物層とともに、その一部を除去してパターン形状を形成する工程において、加工時間 が長くなることもない。第 2の金属酸化物層 5の種類や形成方法は、第 1の金属酸化
物層 4と同様の種類、形成方法を用いることができる。
[0037] 本発明にかかる金属層を、幾何学形状 (パターン形状)を有する網目構造に形成 する方法としては、網目構造の細線が効率よく形成でき、かつ導網目の交点部の交 点太りが少ないことから、レーザーアブレーシヨン法で行うことが好ましい。
[0038] レーザーアブレーシヨンとは、レーザー光を吸収する固体表面へエネルギー密度の 高いレーザー光を照射した場合、照射された部分の分子間の結合が切断され、蒸発 することにより、照射された部分の固体表面が削られる現象である。この現象を利用 することで固体表面を加工することが出来る。レーザー光は直進性、集光性が高い 為、アブレーシヨンに用いるレーザー光の波長の約 3倍程度の微細な面積を選択的 に加工することが可能であり、レーザーアブレーシヨン法により高い加工精度を得るこ とが出来る。
[0039] 力、かるアブレーシヨンに用いるレーザーは金属が吸収する波長のあらゆるレーザー を用いることが出来る。例えばガスレーザー、半導体レーザー、エキシマレーザー、ま たは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーを用いることが出来る。また 、これら固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせることにより得られる第二高調 波光源(SHG)、第三高調波光源 (THG)、第四高調波光源 (FHG)を用いることが 出来る。
[0040] かかる固体レーザーの中でも、透明基材を加工しないという観点から、波長が 204 nmから 533nmの紫外線レーザーを用いることが好ましい。中でも好ましくは Nd: YA G (ネオジゥム:イットリウム .アルミニウム .ガーネット) などの固体レーザーの SHG (波 長 533nm)、さらに好ましくは Nd :YAGなどの固体レーザーの THG (波長 355nm) の紫外線レーザーを用いることが好ましレ、。
[0041] かかる気体レーザーの中でもエキシマレーザーを用いることも好ましい。中でも XeF
(キセノンフロライド)、 XeCl (キセノンクロライド)、 KrF (クリプトンフロライド)を用いた エキシマレーザーは波長がそれぞれ 351、 305、 248nmと加工に適した波長である のみならず、ノ ルスあたりのエネルギーが高いため、大面積の加工に適している。こ の場合、金属層に形成する幾何学形状 (パターン形状)を有する網目構造のマスクを 通してレーザーを照射する方法が望ましレ、。作製する形状の数倍の大きさの形状を
有するマスクを作製し、縮小投影する方法が望ましい。使用するマスクはレーザーの エネルギーを吸収しないとうの点から石英ガラス上にクロム膜を形成したものにパタ 一ユングを形成する方法が用いられる力 このほかのあらゆるマスクを用いることが出 来る。
[0042] 力、かるレーザーの発振方式としてはあらゆる方式のレーザーを用いることが出来る 力 加工精度の点からパルスレーザーを用い,さらに望ましくはパルス幅が ns以下の パルスレーザーを用いることが好ましレ、。
[0043] なお、本発明において幾何学形状を有する網目構造とは、最終的に得られる電磁 波シールドシートの光を透過する領域内に存在する金属層で形成された図形のこと をいう。
[0044] かかる幾何学形状を有する網目構造における開口部の形状は、ディスプレイの仕 様に応じて任意の形状でよぐ例えば直線的な線形状で形成される正三角形、二等 辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形な どの四角形、六角形、八角形、十二角形などその他多角形、または曲線的線形状で 形成される円形、楕円形、それ以外の環状形などの幾何学形状が例示でき、さらに これらの形状の組合せを例示できる。また、開口部の形状は、シート全面に亘つて均 一もしくは周期的な形状である必要はなぐそれぞれの大きさ、形状が異なる開口部 から構成されていても良い。
[0045] しかしながら、幾何学形状の網目構造を形成するのが容易であることから、直線的 な線形状で構成される開口部が好ましぐより好ましくは三角形、四角形である。
[0046] 最終的に電磁波シールド部材に形成される幾何学形状を有する網目構造の形状 は、シート周縁部への導通が十分確保される形状で有れば、特に限定されない。たと えば幾何学図形を例示することができる。
[0047] 本発明に力、かる網目構造の開口率は 84%以上であることが必要である。ここで、本 発明における「開口率」とは、透明基材全体の面積に対する網目開口部分の面積の 割合、すなわち、光を透過する面積の割合のことである。この開口率が高いほど全光 線透過率が高ぐ高輝度な視認性の良い画像表示装置の作製が可能となる。開口 率が 84%未満であると、全光線透過率が低くなり、画像視認性が劣ってしまう。また
網目構造の網目部分の割合が多ぐつまり網目の線幅が太くなると、モアレ現象が発 生し易くなる。また、開口率は好ましくは 84〜95%であり、より好ましくは 88〜90% の範囲である。開口率が 95%以下であれば、全光透過率を高くしつつも、網目部分 の割合が小さ過ぎることもなぐ良好な電磁波シールド性能となり好ましい。
[0048] ここで、上記網目構造の開口率の測定方法につ!/、て説明する。すなわち、顕微鏡 で観察した写真を輝度分布により 2階調化し,開口部の面積を全体の面積で除算す ることにより、開口率を計算し、この測定をランダムに 20箇所行い,その平均 を開 口率としたものである。
[0049] また、かかる網目構造の間隔は 200 m以下であることが必要である。網目構造の 間隔は好ましくは 150 01以下、さらに好ましくは 75 m以下である。網目構造の間 隔が 200 inより大きくなると、モアレが発生し易くなる。また、格子状に金属を配列 した網目構造の場合、金属の細線間隔、すなわち網目構造の間隔はシールド性能 を決定する重要な要素であり、この間隔が狭いほど高いシールド性能を有する。網目 構造の間隔はより細かいほうが望ましいが、加工の精度の点から 40 m以上である 事が望ましい。
[0050] ここで、本発明における「網目構造の間隔」について説明する。先ずある網目構造 の開口部 Aと、この開口部 Aと少なくとも 1辺を共有し隣接する開口部に着目する。次 いで、開口部 Aの重心とこれら隣接する開口部の重心との距離を測定する。これら測 定した距離の中で、最短距離を開口部 Aの網目の間隔とする。そして、 20cm四方の 電磁波シールド部材カも任意に 100箇所の開口部を選択し、これら開口部の網目の 間隔の平均値をこの電磁波シールド部材の「網目構造の間隔」とする。
[0051] かかる網目構造の網目の線幅は、前述の網目間隔と開口率から望まし!/、線幅が規 定されるものである力 パターンの連続性を確保するために、線幅の下限は 3 111以 上であることが好ましい。また、ディスプレイに用いた際の画像の輝度を十分なものと するためには、力、かる網目の線幅の上限は 12 m以下であることが好ましい。さらに 電磁波シールド性とモヮレ防止、非視認性などディスプレイの画質品質も考慮すると 、さらに好ましくは 9 m以下、最も好ましくは 6 m以下であるのがよい。なお、レー ザ一アブレーシヨンによれば、力、かる線幅や、網目間隔を容易に変更することができ
る禾 lj点がある。
[0052] 本発明において、電磁波シールド性をより高めるためには、最終的な電磁波シー ルド部材におレ、て、金属層の網目の線が分断せずに連続してレ、ることが好ましレ、。
[0053] さらに、電磁波シールド部材は、ディスプレイ等に組み込んだ場合に、外周の部分 がディスプレイ等の枠体に覆われることがある。この場合、外周の部分は光透過性の 必要ない部分となる。そのため、このように枠体に覆われる場合には、電磁波シール ド部材の外周部において、開口部の形状、開口率は特に限定されず、アースが取り やす!/、ように開口部がなくてもよ!/、
力、くして作製された電磁波シールド部材は十分なシールド性能を発揮するが,さら に高い電磁波シールド性能が要求される場合は,レーザーにより加工した網目構造 の金属層の上に、電界めつき,無電解めつきなどあらゆる既知の方法でめっき処理を 施してもよい。かかるめっき金属層を構成する金属は特に限定されないが、銅、ニッ ケル、クロム、亜鉛、金、銀、アルミニウム、錫、白金、パラジウム、コバルト、鉄、インジ ゥムなどを用いることができ、 1種または 2種以上の金属を組み合わせて用いることが できる。これらの中でも、導電性、電解めつき性などの点で、銅を用いることが好まし い。また、その場合めつき後に既知のあらゆる黒化処理を用いてめっき後金属表面を 黒化させる(金属表面を酸化する)ことで視認性を向上させる措置をとることが出来る
[0054] 以上のようにして製造される本発明の電磁波シールドシートは、反射防止層とともに プラズマディスプレイなどに取り付けられるフィルタ一として好適に用いられる。
[0055] ディスプレイは、たとえば PDP、フィルター、電源回路、ビデオ信号から PDPに合つ た電気信号に変換する回路、等が 1つ筐体のなかに収められてなり、 PDPとフィルタ 一の位置関係は後述する通りである。なお、ディスプレイの筐体には、音声を出すた めのスピーカーおよびスピーカーの駆動回路、テレビ電波受信回路等を併設するこ とも可能である。
[0056] 本発明の電磁波シールド部材を用いたフィルタ一は、 PDPに一般的に次の 2つの 形態のいずれかで装着される。 1つは PDPの前面ガラス板に直接電磁波シールド部 材をはりあわせる形態であり、もう 1つは別途用意したガラス板などに電磁波シールド
部材を貼り合わせ、その貼り合わせ体を PDPの前に若干の空隙をあけて置く形態で ある。本発明の電磁波シールド部材は、前者の形態で好ましく用いられる。
[0057] フィルターの構成は、上記 2つの形態において、それぞれ以下のようになる。前者 の形態では、たとえば、 PDP側から、衝撃吸収層、電磁波シールド部材(PDP側に 透明基材)、色調調整層、近赤外線カット層、および反射防止層、となる。後者の形 態では、電磁波シールド部材 (PDP側にパターンを有する樹脂層)、ガラス、色調調 整層、近赤外線カット層、および反射防止層、となる。
[0058] 上記各機能を有する層は、各々独立した層であってもよいし、 1つの層で複数の機 能を発揮するものであってもよい。これらは、限定されるものではないが、それぞれ以 下のような構成、組成を有する物を用いることができる。
[0059] 反射防止層は、低屈折率層と高屈折率層の少なくとも 2層からなり、高屈折率層を PDP側に配置する。低屈折率層を形成するには、シランカップリング剤、アルコキシ シリル基を有するフッ素樹脂を用いることができる。高屈折率層を形成するには、金 属化合物粒子を含有したアクリル系樹脂を用いることができる。金属化合物粒子を併 用することは帯電防止効果を得ることができ、塵埃力 Sフィルターに付着することを抑え るので好ましい。それぞれの樹脂は公知の有機溶媒に溶解し、電磁波シールドシー トもしくはそれとは別に用意された基材に塗布すればよい。
[0060] 近赤外線カット層は、ジィモユウム系化合物など、近赤外線吸収能を有する色素を 電磁波シールドシートの透明基材もしくはそれとは別に用意された基材に塗布するこ とで形成できる。このとき、フタロシアニン系化合物、シァニン系化合物、ジチオール ニッケル錯体系化合物を併用すると、吸収能を高めることができるので好ましレ、。
[0061] 色調調整層は、例えばボルフイラジン系化合物など、波長 590nm付近の可視光線 を吸収する色素を電磁波シールドシートの透明基材もしくはそれとは別に用意された 基材に塗布して形成することができる。なお、当該色素は、近赤外線吸収能を有する 色素とあわせて用い、近高分子樹脂バインダーとともに公知の有機溶媒をもちいて 基材に塗布してもよい
実施例
[0062] 各実施例、比較例の評価方法について説明する。
(1)網目構造の線幅、および間隔 (ピッチ)
(株)キーエンス製 デジタルマイクロスコープ (VHX— 200)を用いて、倍率 450倍 で表面観察を行った。その測長機能を用いて、格子状導電性パターンの線幅、およ び間隔(ピッチ)(対向する線幅と線幅の間隔)を測長した。各実施例 ·比較例につ!/ヽ て、 20cm X 20cmサイズのサンプル 1枚から、任意の 25箇所(各箇所につき、細線 4 本と細線間隔 1箇所)、計 100本の線幅、および 25箇所の間隔(ピッチ)について計 測し、その平均値をそれぞれの寸法とした。
(2)網目構造の開口率
(株)キーエンス製 デジタルマイクロスコープ (VHX— 200)を用いて、倍率 200倍 で表面観察を行った。その輝度抽出機能(ヒストグラム抽出、輝度レンジ設定 0— 170 )を用いて、網目構造の金属層が形成されてレ、なレ、部分(開口部)と網目構造の金属 層が形成されている部分とに 2値化した。次いで、面積計測機能を用いて、全体の面 積、および開口部分の面積を算出、開口部面積を全体の面積で除算することにより 開口率を得た。各実施例'比較例について、 20cm X 20cmサイズのサンプル 1枚か ら任意の 20箇所について開口率を算出、その平均値を開口率とした。
(3)金属層、金属酸化物層の厚み
FIB (集束イオンビーム)マイクロサンプリングシステム((株)日立製 FB— 2000A) にてサンプル断面を切り出し、その断面を透過型電子顕微鏡((株)日立製 H— 900 0UHRII、加速電圧 300kV、観察倍率 20万倍)にて観察し、 0. 1 μ m未満の金属層 、および金属酸化物層の厚みを測長した。各実施例 ·比較例について、 20cm X 20 cmサイズのサンプル 1枚から、任意の 3箇所について計測し、その平均値を金属酸 化物層の厚みとした。
また、 0. 1 m以上の金属層及び、金属/金属酸化物層の厚みについては (株) キーエンス製 表面形状測定顕微鏡 (VF— 7500)を用いて、倍率 2500倍で表面形 状測定を実施、網目構造細線の厚みを計測した。 20cm X 20cmサイズのサンプル 1 枚から、任意の 20箇所について計測し、その平均値をそのサンプルにおける金属層 の厚みとした。
(4)電磁波シールド性
アドバンテスト (株)製スペクトラムアナライザシステム、シールド評価機器 (TR1703 1Aを用い、 KEC (関西電子工業振興センター)法で、 1MHz〜; 1GHzの周波数範 囲の電界波減衰(dB)を測定し、以下の基準で評価した。各実施例'比較例につい てサンプルは 3枚測定した。
周波数 50MHzでの電界波減衰: 3枚全て 40dB以上である · · ·〇
周波数 50MHzでの電界波減衰: 1枚でも 40dB未満がある · · · X
電界波減衰(dB)は値が大きいほど電磁波シールド性に優れている。「〇」であれば 良好な電磁波シールド性を示す。
(5)画像視認性 (ディスプレイ画面の視認性)
光透過性電磁波シールド部材を PDP (プラズマディスプレイパネル)画面の最前面 に貼りつけ、正面、上下、左右方向から目視観察を行い、以下基準で評価した。各 実施例 ·比較例についてサンプルは 3枚評価した。また、 目視観察を行った人数は 1 人である。
3枚全て画面にムラ、またはぎらつきが発生しない · · ·〇
1枚または 2枚に画面にムラ、またはぎらつきが発生する · · ·△
3枚すべてに画面ムラ、またはぎらつきが発生する。 · · · X
「〇」であれば画像視認性の低下がなぐ良好な視認性を示す。
[0064] なお、画像視認性の評価は反透明基材側から観察して行った (透明基材側を PDP 画面の最表面に張付けて、反透明基材側を視認側として観察評価した。)。
[0065] また、光透過性電磁波シールド部材が金属酸化物層を有して!/、る場合は、金属酸 化物層側から観察した (金属酸化物層を反透明基材側に有する場合は、反透明基 材側を視認側として観察評価した。一方、金属酸化物層を透明基材側に有する場合 は、透明基材側を視認側として観察評価した。また、金属酸化物層を反透明基材側 と透明基材側の 2層有する場合は、反透明基材側と透明基材側からの両方の評価も 行った。)。
(6)レーザー加工性
レーザーアブレーシヨンによるパターン化の際に発生する熱により、透明基材が白 濁し透明性が損なわれてレ、なレ、かどうか目視で判断した。評価基準は以下のとおり。
各実施例 ·比較例についてサンプルは 3枚評価した。また、 目視観察を行った人数は 1人である。
3枚全て透明基材に白濁がない · · · ·〇
1枚でも透明基材に白濁がある · · · · X
「〇」であればレーザー加工時の熱の影響がなぐ良好な透明性を示す。
(7)モアレ
作製した電磁波シールド部材をプラズマテレビ (松下電気産業 (株)製 VIERA (登 録商標) PX50)に密着させながら 90° 回転させ、モアレの発生し易さを評価した。 モアレが視認されな!/、角度範囲が 60° 以上のものを〇(良好:モアレが発生しにくい )、 60。 未満 40° 以上のものを△ (普通:ややモアレが発生しやすい)、 40° 未満の ものを X (不良:モアレが発生し易い)とした。また、その他の理由で計測不能な場合 は「―」とした。なお、各実施例'比較例についてそれぞれサンプルを 3枚測定し、下 記の基準に基づいて各実施理絵 '比較例におけるモアレ評価とした。
〇(良好:モアレが発生しにくい) :3枚のサンプルの評価結果が全て「〇」である。 △ (普通:ややモアレが発生しにくい) :評価結果が「X」「一」のサンプルは無いが、 少なくもと 1枚のサンプルの評価結果が「△」である。
X (不良:モアレが発生し易い) :評価結果が「一」のサンプルは無いが、少なくとも 1 枚のサンプルの評価結果が「 X」である。
(計測不能) :少なくとも 1枚のサンプルが計測不能である。
[0066] 以下の各実施例'比較例において、金属層に対して、透明基材がある方向を「透明 基材側」、その反対の方向を「反透明基材側」と称する。レーザー以外の加工法を用 いた場合は「一」とした。
[0067] また、金属酸化物層の作製方法については、スパッタリング法 (真空度: 0· 5Pa、タ ーゲット:銅、導入ガス分率:酸素 100%)にて作製した場合は「スパッタ」、メルテック ス社製黒化処理剤(メルテックス(株)製 ェンプレート MB— 438A/Bを A/B/ 純水 = 8/13/79の割合で調整)につ!/、ては「ウエット」と記載した。
(実施例 1)
厚み 100 mの PETフィルム(東レ (株)製 ルミラー(登録商標) U34)の片面に銅
をスパッタリング (真空度:0· 5Pa、ターゲット:銅、導入ガス分率:アルゴン 100%)す ることにより、厚み 0· 08 mの銅層が PET上に形成されたフィルムを作製した。
[0068] 次いでスパッタリング法(真空度: 0· 5Pa、ターゲット:銅、導入ガス分率:酸素 100 %)にて、銅の上に厚み 0. Οδ ΐηの酸化銅を形成した(第 1の金属酸化物層)。作
; ^^し/
[0069] フィルムの反透明基材側(スパッタリング面)へ、波長 355nmの YAGレーザーの第 3高調波を照射することで、一辺 70 mの正方形部分内の銅層のみをアブレーシヨン した構造を基本とする、線幅 5 m、網目構造間隔が 75 a mの網目構造が表面に形 成された光透過性電磁波シールド部材を作製した。
[0070] 表 1に示すとおり、視認性、電磁波シールド性能、モアレとも良好であった。
[0071] (実施例 2)
実施例 1と同様の PETフィルム上へ、銅を厚み 0. 3 a m分だけ真空蒸着 (真空度: 3 X 10_3Pa)した後、さらに酸化銅を厚み 0· 03 m分だけスパッタリングすることに より、厚み 0. 33 mの金属層が PET上に形成されたフィルムを作製した。
[0072] 作製したフィルムの反透明基材側(金属層形成面)へ波長 355nmの YAGレーザ 一の第 3高調波を照射することで,一辺 70 mの正方形部分内の金属層のみをアブ レーシヨンした構造を基本とする線幅 5 m、網目構造の間隔が 75 mの網目構造が 表面に形成された光透過性電磁波シールド部材を作製した。
[0073] 表 1に示すとおり、視認性、電磁波シールド性能、モアレとも良好であった。
[0074] (実施例 3)
実施例 2と同様に PETフィルム上へ、銅を厚み 0. 5 m分だけ真空蒸着した後、さ らに酸化銅を厚み 0· 03 m分だけスパッタリングすることにより、厚み 0· δ3 μ ΐη(Ό 金属層が PET上に形成されたフィルムを作製した。
[0075] 作製したフィルムの反透明基材側(金属層形成面)へ波長 355nmの YAGレーザ 一の第 3高調波を照射することで、一辺 142 mの正方形部分内の金属層のみをァ ブレーシヨンした構造を基本とする線幅 8 m,網目構造の間隔が 150 μ mの網目構 造が表面に形成された光透過性電磁波シールド部材を作製した。
[0076] 表 1に示すとおり、視認性、電磁波シールド性能、モアレとも良好であった。
[0077] (実施例 4)
実施例 1と同様の PETフィルム上へ銅をスパッタリング(真空度: 0. 5Pa、ターゲット
:銅、導入ガス分率:アルゴン 100%)することにより、厚み 0· 04 111の銅層が PET 上に形成されたフィルムを作製した。
[0078] 作製したフィルムの反透明基材側(スパッタリング面)へ波長 248nmの KrFエキシ マレーザーすることで、一辺 144 πιの正方形部分内の金属層のみをアブレーシヨン した構造を基本とする線幅 6 m、網目構造の間隔が 150 mの網目構造が表面に 形成されたフィルムを作製した。
[0079] このフィルムを下記の電解銅めつき液に浸し、フィルム 100cm2あたり 0. 3Aの電流 を流し、 5分間電解 Cuめっきを行い、胴層の厚みを 2. O ^ mとした。その後フィルム を取り出し、水洗した後、水分を飛ばすためにフィルムを 120°Cで 1分間乾燥した。
[0080] 作製したフィルムを酸化処理剤(メルテックス(株)製 ェンプレート MB— 438A/
Bを A/B/純水 = 8/13/79の割合で調整)で、 60°C、 5minの浸せき処理を行つ た(金属表面の黒化処理)。
[0081] 最終的な Cuメツキ後の網目構造は、線幅 10 H m、厚み 2· 0 m (金属酸化物層の 厚み: 0· 2 ^ 111,金属層の厚み: 1 · 8 111)、網目構造の間隔150 111となった。
[0082] 表 1に示すとおり、視認性、電磁波シールド性能、モアレとも良好であった。
[0083] 電解銅メツキ液 : 7Lの水に硫酸銅溶液 SG (メルテックス (株)製)を 6L入れて撹 拌した。次に、 97%硫酸 (石津製薬 (株)製 硫酸 97% 試薬特級)を 2. 1L添加した 後、 1Nの塩酸 (ナカライテスタ (株)製 N/;i-塩酸)を 28mL添加した。さらに、この 溶液に硫酸銅めつき光沢剤としてロール'アンド '·ハース電子材料 (株)製力パーダリ ーム CLX-A、 CLX-Cを各 lOOmLずつこの順で添加し、最後に水を加えて溶液全 体を 20Lにした。
(実施例 5)
実施例 1と同様の PETフィルム上に、スパッタリング法(真空度: 0· 5Pa、ターゲット :銅、導入ガス分率:酸素 100%)にて、厚み 0. 04 111の酸化銅を形成した(第 1の 金属酸化物層)。
[0084] 次いで、スパッタリング法(真空度: 0· 5Pa、ターゲット:銅、導入ガス分率:アルゴン
100%)にて、酸化銅の上に厚み 0· 2 πιの銅を形成した(金属層)。
[0085] さらにスパッタリング法(真空度: 0. 5Pa、ターゲット:銅、導入ガス分率:酸素 100%
)にて、銅の上に厚み 0. 1 11 mの酸化銅を形成した(第 2の金属酸化物層)。
[0086] 作製したフィルムの反透明基材側(酸化銅/銅/酸化銅面側)へ、波長 355nmの Nd :YAGレーザーの第 3高調波を照射し、線幅 10 111、間隔(ピッチ) 150 m、開 口率 87%の格子状導電性パターンの光透過性電磁波シールド部材を得た。なお、 画像視認性については透明基材側、透明基材版対面側、両方から観察して評価し た。
[0087] 表 1に示すとおり、視認性、電磁波シールド性能、モアレとも良好であった。
(実施例 6)
実施例 5のサンプルについて、反透明基材側の酸化銅 (厚み 0· 1 111)を第1の金 属酸化物層となるようにスパッタリング (実施例 5の第 2の金属酸化物層の酸化銅を、 実施例 6の第 1の金属酸化物層となるようにスパッタリング)し、透明基材側の酸化銅( 厚み 0· 04 m)を第 2の金属酸化物層となるようにスパッタリング(実施例 5の第 1の 金属酸化物層の酸化銅を、実施例 6の第 2の金属酸化物層となるようにスパッタリン グ)して、その後は実施例 5と同様にすることで、光透過性電磁波シールド部材を得 た。
[0088] 実施例 1と同様に評価した。なお、画像視認性につ!/、ては透明基材側、反透明基 材側両方から観察して評価した。表 1に示すとおり、視認性、電磁波シールド性能、 モアレとも良好であった。
(実施例 7)
厚み 100 mの PETフィルム(東レ (株)製 ルミラー(登録商標) U34)の片面に銅 をスパッタリング (真空度:0· 5Pa、ターゲット:銅、導入ガス分率:アルゴン 100%)す ることにより、厚み 0· 08 mの銅層が PET上に形成されたフィルムを作製した。
[0089] フィルムの反透明基材側(スパッタリング面)へ、波長 355nmの YAGレーザーの第
3高調波を照射することで、一辺 70 mの正方形部分内の銅層のみをアブレーシヨン した構造を基本とする、線幅 5 m、網目構造間隔が 75 a mの網目構造が表面に形 成された光透過性電磁波シールド部材を作製した。
[0090] 表 1に示すとおり、視認性は劣るものの、電磁波シールド性能、モアレとも良好であ つた。
(実施例 8)
実施例 2と同様に PETフィルム上へ、銅を厚み 0. 3 μ m分だけ真空蒸着 (真空度: 3 X 10_3Pa)した (銅層のみ形成し、金属酸化物層は形成しなかった。)。
[0091] 作製したフィルムの反透明基材側(金属層形成面)へ波長 355nmの YAGレーザ 一の第 3高調波を照射することで,一辺 70 mの正方形部分内の金属層のみをアブ レーシヨンした構造を基本とする線幅 5 m、網目構造の間隔が 75 mの網目構造が 表面に形成された光透過性電磁波シールド部材を作製した。
[0092] 表 1に示すとおり、視認性は劣るものの、電磁波シールド性能、モアレとも良好であ つた。
(実施例
実施例 2と同様にして PETフィルム上へ、銅を厚み 0. 5 m分だけ真空蒸着した( 銅層のみ形成し、金属酸化物層は形成しなかった。)。
[0093] 作製したフィルムの反透明基材側(金属層形成面)へ波長 355nmの YAGレーザ 一の第 3高調波を照射することで、一辺 142 mの正方形部分内の金属層のみをァ ブレーシヨンした構造を基本とする線幅 8 m,網目構造の間隔が 150 μ mの網目構 造が表面に形成された光透過性電磁波シールド部材を作製した。
[0094] 表 1に示すとおり、視認性は劣るものの、電磁波シールド性能、モアレとも良好であ つた。
(実施例 10)
実施例 1と同様の PETフィルム上へ銅をスパッタリング(真空度: 0· 5Pa、ターゲット: 銅、導入ガス分率:アルゴン 100%)することにより、厚み 0· 04 mの銅層が PET上 に形成されたフィルムを作製した (銅層のみ形成し、金属酸化物層は形成しなかった
[0095] 作製したフィルムの反透明基材側(スパッタリング面)へ波長 248nmの KrFエキシ マレーザーすることで、一辺 144 πιの正方形部分内の金属層のみをアブレーシヨン した構造を基本とする線幅 6 m、網目構造の間隔が 150 mの網目構造が表面に
形成されたフィルムを作製した。
[0096] このフィルムを下記の電解銅めつき液に浸し、フィルム 100cm2あたり 0. 3Aの電流 を流し、 5分間電解 Cuめっきを行った(銅層の厚みは 2. 0 m、網目構造の間隔は 1
C^ mとなった。)。その後フィルムを取り出し、水洗した後、水分を飛ばすためにフィ ルムを 120°Cで 1分間乾燥した。
[0097] 表 1に示すとおり、視認性は劣るものの電磁波シールド性能、モアレとも良好であつ た。
[0098] 電解銅メツキ液 : 7Lの水に硫酸銅溶液 SG (メルテックス (株)製)を 6L入れて撹 拌した。次に、 97%硫酸 (石津製薬 (株)製 硫酸 97% 試薬特級)を 2. 1L添加した 後、 1Nの塩酸 (ナカライテスタ (株)製 N/;i-塩酸)を 28mL添加した。さらに、この 溶液に硫酸銅めつき光沢剤としてロール'アンド '·ハース電子材料 (株)製力パーダリ ーム CLX-A、 CLX-Cを各 lOOmLずつこの順で添加し、最後に水を加えて溶液全 体を 20Lにした。
(比較例 1)
実施例 1と同様の方法で銅層と酸化銅層を作製したフィルムの反透明基材側 (銅蒸 着面)へ、波長 355nmの YAGレーザーの第 3高調波を照射することで,一辺 230 mの正方形部分内の銅層のみをアブレーシヨンした構造を基本とする、線幅 20 μ m、 網目構造間隔が 25011 mの銅網目構造が表面に形成された光透過性電磁波シール ド部材を作製した。
[0099] 表 1に示すとおり、本比較例に示す方法では網目構造の間隔が 200 ^ 01より広い為 、視認性はよい物の、良好なシールド性能が発揮できないことが確認された。また、 モアレの発生頻度も高力、つた。
(比較例 2)
厚み 100 mの PETフィルム(東レ (株)製 ノレミラー(登録商標) U34)上へ、 12 mの電界銅箔(三井金属, SQ— VLP)をラミネート処理により添合し、 PETと銅のラミ ネートフィルムを作製した。
[0100] 得られたフィルムの反透明基材側(銅側)表面に、線幅 25 m、 150 m間隔(ピッ チ)の網目パターンを水無し平版法で印刷した。インキは紫外線硬化インキ( (株)テ
ィーアンドケィ東華製 ベストキュア (登録商標) UV171墨インキ)を用い、印刷後 、塩化第 2鉄溶液でエッチングすることにより、光透過性電磁波シールドフィルムを作
; ^^し/
[0101] 作製した網目の線幅は 20 H mであった。エッチング法で作製したフィルムは十分な シールド性能を有しているものの、線幅や交点が太く十分な開口率が得られなかつ た。この為 PDPディスプレイフィルタ一として十分な視認性を得ることが出来な力 た
[0102] (比較例 3)
厚み 100 mの PETフィルム(東レ (株)製 ノレミラー(登録商標) U34)上へ、 12 mの電界銅箔(三井金属, SQ— VLP)をラミネート処理により添合し、 PETと銅のラミ ネートフィルムを作製した。
[0103] 得られたフィルムの反透明基材側(銅側表面)に線幅 25 m 300 μ m間隔(ピッ チ)の網目パターンを水無し平版法で印刷した。インキは紫外線硬化インキ( (株)テ ィーアンドケィ東華製 ベストキュア (登録商標) UV171墨インキ)を用い、印刷後 、塩化第 2鉄溶液でエッチングすることにより、光透過性電磁波シールドフィルムを作
; ^^し/
[0104] エッチング後の線幅は 20 μ mであった。エッチング法で作製したフィルムは十分な シールド性能を有しているものの、網目構造の間隔が 300〃 mと高い為、モアレの発 生頻度が高ぐ PDPディスプレイの良好な視認性を確保することが難し力、つた。 (比較例 4)
実施例 1と同様の PETフィルム上へ、銅を厚み 2. 5 πι分だけ真空蒸着した後(真 空度: 3 X 10_3Pa)、作製したフィルムの反透明基材側 (銅蒸着面)へ波長 355nm の YAGレーザーの第 3高調波を照射することで,一辺 142 μ mの正方形部分内の銅 層のみをアブレーシヨンした構造を基本とする、線幅 8 m、網目構造間隔が 150 mの銅網目構造が表面に形成された光透過性電磁波シールド部材を作製した。
[0105] シールド性能は良好であった力 Cuの膜厚が 2 m以上と厚い為,基材の PETフ イルムがアブレーシヨン時の熱ダメージにより変形、変色し, PDPディスプレイの良好 な視認性を確保することが難し力、つた。この為モアレ発生の確認は困難であった。
[0106] (実施例 11)
厚み 100 mの PETフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標) U34)にスパッタリ ング法 (真空度: 0· 5Pa、ターゲット:銅、導入ガス分率:酸素 100%)にて、厚み 0· 1
5 11 mの酸化銅を形成した(第 1の金属酸化物層)。
[0107] 次いで、抵抗加熱による真空蒸着法 (真空度: 3 X 10— 3Pa)にて銅蒸着を行い、 酸化銅の上に厚み 0. 3 11 mの銅を形成した(金属層)。
[0108] 作製したフィルムの反透明基材側(酸化銅/銅面側)へ、波長 355nmの Nd: YAG レーザーの第 3高調波を照射し、線幅 10 m、間隔(ピッチ) 150 m、開口率 87% の格子状導電性パターンの光透過性電磁波シールド部材を得た。
[0109] 得られた光透過性電磁波シールド部材から、 20cm X 20cmサイズのサンプルを切 り出し、実施例 1と同様に評価した。なお、画像視認性については透明基材側から観 察して評価した。電磁波シールド性、モアレ、レーザー加工性は良好であったものの 画像視認性は低かったが、問題のな!/、レベルであった。
(実施例 12)
厚み 100 mの PETフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標) U34)に、スパッタ リング法 (真空度: 0. 5Pa、ターゲット銅、導入ガス分率:酸素 100%)にて、厚み 0. 1 1 11 mの酸化銅を形成した(第 2の金属酸化物層)。
[0110] 次いで、スパッタリング法(真空度: 0· 5Pa、ターゲット:銅、導入ガス分率:アルゴン
100%)にて、酸化銅の上に厚み 0. 3 πιの銅を形成した(金属層)。
[0111] さらにスパッタリング法 (真空度: 0· 5Pa、ターゲット:銅、導入ガス分率:酸素 100% )にて、銅の上に厚み 0. 005 a mの酸化銅を形成した(第 1の金属酸化物層)。
[0112] 作製したフィルムの反透明基材側(酸化銅/銅/酸化銅面側)へ、波長 355nmの Nd : YAGレーザーの第 3高調波を照射し、線幅 10 111、間隔(ピッチ) 150 m、開 口率 87%の格子状導電性パターンの光透過性電磁波シールド部材を得た。
[0113] 得られた光透過性電磁波シールド部材から、 20cm X 20cmサイズのサンプルを切 り出し、実施例 1と同様に評価した。なお、画像視認性については透明基材側、反透 明基材側両方から観察して評価した。電磁波シールド性、モアレ、レーザー加工性 は良好であったものの画像視認性は低かった力 問題のな!/、レベルであった。
(実施例 13)
実施例 12のサンプルについて、実施例 12の透明基材側の酸化銅 (厚み 0. 11 m)を実施例 13の第 1の金属酸化物層となるようにスパッタリング(実施例 12の透明 基材側の酸化銅と同様の膜を、実施例 13の反透明基材側の酸化銅の膜として形成 した。)し、実施例 12の反透明基材側の酸化銅 (厚み 0. 005 ^ 111)を実施例 13の第 2の金属酸化物層となるようにスパッタリング (実施例 12の反透明基材側の酸化銅と 同様の膜を、実施例 13の透明基材側の酸化銅の膜として形成した。)して、実施例 1 と同様に評価した。なお、画像視認性については透明基材側、半透明基材側両方か ら観察して評価した。電磁波シールド性、モアレ、レーザー加工性は良好であったも のの画像視認性は低かったが問題のないレベルであった。
(実施例 14)
厚み 100 mの PETフィルム(東レ(株)製"ルミラー"(登録商標) U34)にスパッタ リング法 (真空度: 0. 5Pa、ターゲット銅、導入ガス分率:酸素 100%)にて、厚み 0. 0
05 ^ 111の酸化銅を形成した(第 1の金属酸化物層)。
[0114] 次いで、抵抗加熱による真空蒸着法 (真空度: 3 X 10— 3Pa)にて銅蒸着を行い、 酸化銅の上に厚み 0. 3 11 mの銅を形成した(金属層)。
[0115] 作製したフィルム酸化銅/銅面側へ、波長 355nmの Nd : YAGレーザーの第 3高 調波を照射し、線幅 10 m、間隔(ピッチ) 150 m、開口率 87%の格子状導電性 ノ ターンの光透過性電磁波シールド部材を得た。
[0116] 得られた光透過性電磁波シールド部材から、 20cm X 20cmサイズのサンプルを切 り出し、実施例 1と同様に評価した。なお、画像視認性については透明基材側から観 察して評価した。電磁波シールド性、モアレ、レーザー加工性は良好であったものの 画像視認性は低かったが、問題のな!/、レベルであった。
[0117] [表 1-1]
【表 1-1】
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【表 1-2】
〕 〔〔〕
産業上の利用可能性
本発明は、従来技術と比較してモアレ現象の発生を抑制した、高い電磁波シール ド性能と適切な網目構造による十分な全光線透過率を両立し、かつディスプレイに 取り付けた際、視認性を低下させることの無!/、光透過性電磁波シールド部材および その製造方法を提供することにある。