芳香族炭化水素の製造方法 [技術分野] - 本発明は、 炭素数 2〜7の炭化水素を主成分とする軽質炭化水素を原料として 用い、 これから芳香族炭化水素を製造する方法に関するものである。 明
[背景技術]
従来、 オクタン価の高いガソリンや芳香族炭化水素を得る方法として、 白金 アルミナ系触媒による直留ナフサの接触改質が商業的に広く採用されている。 こ の接触改質における原料ナフサとしては、 自動書車用ガソリン製造を目的とする場 合には、 主に沸点 7 0〜1 8 0 °Cの留分が、 またキシレン等の芳香族留分、 いわ ゆる B T X製造の場合には、 6 0〜 1 5 0 °Cの留分が用いられている。 しかし、 原料炭化水素の炭素数の減少とともに芳香族への転化割合が低くなり、 生成物の ォクタン価も減少してしまうため、 炭素数が 7以下の炭化水素を主成分とする軽 質炭化水素を原料として、 従来の接触改質法で、 高オクタン価ガソリンや芳香族 炭化水素を高収率で製造することは困難であった。 このため、 こうした軽質炭化 水素の用途は石油化学原料や都市ガス製造用原料などに限られていた。
このような軽質炭化水素から芳香族炭化水素を製造する方法として、 ガリゥム を含有する結晶性シリゲート触媒、 例えば、 結晶性ガロシリケート (特開昭 5 9 - 9 8 0 2 0号公報)、結晶性ガロアルミノシリケ一ト (特表昭 6 0— 5 0 1 3 5 7号公報)、水素型の M F I構造結晶性アルミノガロシリケート (特開昭 6 2 - 2 5 4 8 4 7号公報) 等からなる触媒に、 軽質炭化水素を接触させる方法が知られ ている。
ただし、 このような接触改質反応は大きな吸熱反応であるために、 反応層に効 率的に熱を供給することができなければ、 反応温度が低下し反応を十分に進める ことができず、 高収率で芳香族炭化水素が得られないという問題がある。
ガソリン沸点範囲の炭化水素留分を水素の存在下に白金 Zアルミナ系などの従 来公知の触媒を用いて接触的に改質する場合には、 複数の触媒反応層を直列に配
置し、 その間に加熱手段を設ける方法が知られている (米国特許第 3 9 9 2 4 6 5号明細書)。 しかしこれらガソリン留分の接触改質は、上記軽質炭化水素から芳 香族を製造する技術とは原料組成、 触媒系が異なる上、 複数の触媒反応層の容量 配分、 各反応層流出物の組成等については開示がなく、 またこれらの選択により 転化反応生成物中の芳香族収率が大きく向上することの示唆もなされていない。 また、 特開平 1 1— 1 7 2 2 6 1号公報には、 2つの改質ゾーンを設けることに よる B T X増量接触改質法が開示されている。 しかしこの方法では、 2つの改質 ゾーンで異なる触媒種を使用するためプロセスが煩雑となる。
このように、 炭素数が 7以下の炭化水素を主成分とする軽質炭化水素を原料と する芳香族炭化水素の製造においては、 未だ十分に高い収率にて芳香族炭化水素 が得られる方法が知られていないのが現状である。
[発明の開示]
本発明は、 炭素数が 7以下の炭化水素を主成分とする軽質炭化水素を原料とし て、 高い収率で芳香族炭化水素を製造する方法を提供するものである。
本発明者らは、 前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、 転化反応工程に おける 1段目反応層の触媒量を全体の触媒量の 3 0容量%以下にすることにより、 および/または転化反応工程における 1段目反応層からの反応層流出物中の芳香 族収率を 0 . 5〜3 0質量%と制御することにより、 全転化反応工程流出物中の 芳香族炭化水素の収率を従来の方法に比較して大きく向上できることを見出し、 本発明を完成するに至った。
すなわち、 本発明は、 少なく ともガリウム含有結晶性アルミノシリケ一トを含 む触媒組成物に、 炭素数 2〜 7の軽質炭化水素を主成分とする原料を接触させて 芳香族炭化水素を製造する方法において、 芳香族炭化水素への転化反応工程が、 直列に配置された、 前記触媒組成物からなる 2個以上の反応層、 および該反応層 間または該反応層に設けられた加熱手段から少なく とも構成され、 1段目反応層 の触媒量が全体の触媒量の 3 0容量%以下であることを特徴とする芳香族炭化水 素の製造方法に関する。
また本発明は、 少なく ともガリゥム含有結晶性アルミノシリケートを含む触媒 組成物に、 炭素数 2〜 7の軽質炭化水素を主成分とする原料を接触させて芳香族
炭化水素を製造する方法において、 芳香族炭化水素への転化反応工程が、 直列に 配置された、 前記触媒組成物からなる 2個以上の反応層、 および該反応層間また は該反応層に設けられた加熱手段から少なく とも構成され、 1段目反応層からの 反応層流出物中の芳香族収率が 0 . 5〜3 0質量%であることを特徴とする芳香 族炭化水素の製造方法に関する。
また本発明は、 少なくともガリゥム含有結晶性アルミノシリケ一トを含む触媒 組成物に、 炭素数 2〜 7の軽質炭化水素を主成分とする原料を接触させて芳香族 炭化水素を製造する方法において、 芳香族炭化水素への転化反応工程が、 直列に 配置された、 前記触媒組成物からなる 2個以上の反応層、 および該反応層間また は該反応層に設けられた加熱手段から少なく とも構成され、 1段目反応層の触媒 量が全体の 3 0容量%以下であり、 かつ 1段目反応層からの反応層流出物中の芳 香族収率が 0 . 5〜 3 0質量%であることを特徴とする芳香族炭化水素の製造方 法に関する。
[発明を実施するための最良の形態]
以下、 本発明を詳細に説明する。
本発明で原料として用いる軽質炭化水素は、 炭素数 2〜 7の炭化水素を主成分 として含むものであり、その含有量は特に限定されないが、好ましくは 2 0質量% 以上、 より好ましくは 4 0質量。 /0以上、 特に好ましくは 6 0〜 1 0 0質量%であ る。
また、 炭素数 2〜7の炭化水素としては、 特に限定されないが、 直鎖状、 分岐 状、 環状のいずれでもよく、 また、 パラフィン、 ォレフィンのいずれでも構わな い。 さらにはこれらの混合物でも構わない。 このような炭化水素の具体例として は、 炭素数 2から 7の直鎖状脂肪族飽和炭化水素 (ェタン、 プロパン、 ブタン、 ペンタン、 へキサン、 ヘプタン)、 分岐状脂肪族飽和炭化水素 (イソブタン、 2— メチ^^ブタン、 2 , 2—ジメチノレブタン、 2—メチノレペンタン、 3—メチノレペン タン、 2 , 3—ジメチルブタン、 2—メチルへキサン、 3—メチルへキサン、 2 , 2—ジメチルペンタン、 2, 3—ジメチルペンタン、 2 , 4—ジメチルペンタン、 2 , 2, 3 — トリメチルブタン)、 環状脂肪族飽和炭化水素 (シクロプロパン、 シ クロブタン、 シクロペンタン、 1ーメチ^^シクロペンタン、 1 , 1ージメチノレシ
クロペンタン、 1 , 2—ジメチノレシクロペンタン、 1 , 3—ジメチ シクロペン タン、 シクロへキサン、 1—メチルシクロへキサン等)、 直鎖状脂肪族不飽和炭化 水素 (エチレン、 プロピレン、 ブテン、 ペンテン、 へキセン、 ヘプテン等)、 分岐 状脂肪族不飽和炭化水素(イソブテン、 2—メチルブテン、 2—メチルペンテン、 3—メチルペンテン、 2—メチルへキセン、 3 —メチルへキセン等)、 環状脂肪族 不飽和炭化水素 (シクロペンテン、 メチルシクロペンテン、 シクロへキセン、 メ チルシク口へキセン等)、 プロパンやブタンを主成分とする液化石油ガス、炭素数 5〜7のパラフィンを主成分とするナフサ留分中の沸点 1 0 0 °C以下の軽質留分 (ライ トナフサ)、 流動接触分解装置 (F C C ) からの C 4留分、 エチレンクラッ カーのラフイネ一ト等が挙げられる。 本発明で用いる触媒組成物は、 少なくともガリゥム含有結晶性アルミノシリケ ートを含有するものであり、 その含有量は特に制限されないが、 好ましくは 5 0 質量%以上、 より好ましくは 7 0質量%以上が望ましい。
本発明で用いるガリゥム含有結晶性アルミノシリケ一トとしては、 結晶性アル ミノシリケ一トの格子骨格内にガリゥムが組み込まれたもの (結晶性アルミノガ 口シリケート) や、 結晶性アルミノシリゲートにガリウムを担持したもの (G a 担持結晶性アルミノシリケート) や、 その両方を含んだものが使用されるが、 好 ましくは少なくとも結晶性アルミノガロシリケートを含むものが望ましい。
G a担持結晶性アルミノシリケートは、 結晶性アルミノシリゲートにガリウム をイオン交換法、 含浸法等の公知の技術によって担持したものである。 この際に 使用するガリゥム源としては、 硝酸ガリゥム、 塩化ガリゥム等のガリゥム塩や、 酸化ガリゥム等を用いることができる。
結晶性アルミノガロシリケートは、 S i O 4、 A 1 0 4および G a 0 4構造が骨 格中において四面体配位をとる構造のもので、 水熱合成によるゲル結晶化や、 結 晶性アルミノシリゲートの格子骨格中にガリゥムを挿入する方法または結晶性ガ ロシリゲートの格子骨格構造中にアルミニウムを挿入する方法で得ることができ る。
ゲル結晶化法は、 目的とする量のアルミニウムおよびガリゥムを同時に含有さ せて結晶性アルミノガロンリケ一トを調製できるので簡便かつ優れた方法である。
ゲル結晶化法による結晶性アルミノガロシリケート合成には、 必須成分としてァ ルミナ源、 シリカ源、 およびガリア源を含むスラリー状の水性混合物を水熱合成 条件に保持することにより得ることができる。 例えば、 アルミナ源としては、 硫 酸アルミニウム、 硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩、 アルミン酸ソーダ等の アルミン酸塩、 アルミナゲル等を用いることができる。 シリカ源としては、 ケィ 酸ソーダ、 ケィ酸カリウム等のケィ酸塩、 コロイ ド状シリカ、 シリカ粉末、 溶解 シリカ、 水ガラス等を用いることができ、 また、 ガリア源としては、 硝酸ガリ ゥ ム、塩化ガリゥム等のガリゥム塩や酸化ガリゥム等を用いることができる。更に、 アルミナ源、 ガリア源として、 ボーキサイ ト鉱床、 亜鉛鉱床等の鉱床からの抽出 精練の過程で得られるアルミニウム、 ガリゥムを含んだ溶液あるいは水酸化物を 使用することも可能である。 目的とする結晶性アルミノガロシリケ一トの結晶化 速度を速め、 純度を良くするために有機添加物やアルカリ金属、 アルカリ土類金 属源も使用できる。 有機添加物としては、 テトラプロピルアンモニゥム塩、 テト ラブチルアンモニゥム塩、 トリプロピルメチルアンモニゥム塩等の第 4級アンモ ニゥム塩、 プロピルァミン、 ブチルァミン、 ァニリン、 ジプロピルァミン、 ジブ チルァミン、モルホリ ン等のァミン類、エタノールァミン、 ジグリ コールァミン、 ジエタノールァミン等のァミノアルコール、 エタノール、 プロピルアルコール、 エチレングリコール、 ピナコール等のアルコールや、有機酸、エーテル、 ケトン、 アミノ酸、 エステル、 チォアルコールあるいは、 チォエーテル等を用いることが できる。 さらに、 水熱合成条件下で、 上記の有機添加物を生成するような化合物 を使用することもできる。 アルカリ金属源、 アルカリ土類金属源としては、 ナト リウム、 カリウム等のアルカリ金属、 マグネシウム、 カルシウム等のアルカリ土 類金属の水酸化物、 ハロゲン化物、 硫酸塩、 硝酸塩、 炭酸塩等を用いることがで きる。 原料中には、 上記の化合物の他に、 p H調整剤として、 硫酸、 硝酸等の鉱 酸を含んでもよい。 上記の各々の原料となる一種以上の化合物を含む水性原料混 合物は、 1 4 0 °C以上、 好ましくは 1 5 0〜2 5 0 °Cの温度、 自己圧下で、 1時 間〜 7日程度、 好ましくは 2時間〜 5日間撹拌しながら保持することにより結晶 化操作を行う。 このような結晶化条件の採用により、 反応活性にすぐれた結晶性 アルミノガロシリケートを効率よく得ることができる。 1 4 0 °C未満の結晶化温 度でも結晶化時間を長くすることにより反応活性にすぐれた結晶性アルミノガロ
シリケートを得ることができるが、 経済的ではない。 また、 この結晶性アルミノ ガロシリゲートのゼォライ ト結晶相は準安定相にあるので、 一旦生成した結晶が 長時間水熱合成条件に置かれた場合、 目的としない他の相が生成混入する可能性 もあるので、 水熱合成条件下に長時間置くことは好ましくない。
本発明で使用するガリウム含有結晶性アルミノシリゲートの粒子径は、 0. 0 5〜20 μπι、 好ましくは 0. 1〜: 1 0 μηι、 より好ましくは 0. 5〜5 zm、 さらに好ましくは 1〜3 μ mの範囲の粒子含有率が 80質量%以上であることが 望ましい。 反応分子の大きさとゼォライ ト細孔の寸法がほぼ同じである場合、 ゼ オライ ト細孔中では、 分子の拡散速度は遅くなる。 従って、 粒子直径が 20 μ m を超えるよう大きな粒子では、 細孔深部の活性点に反応分子が接近し難く、 活性 点が反応中有効に使用されなくなり、 また外表面でのコーク析出により、 細孔入 口がコークでふさがれて細孔深部が有効に使用されなくなり、 活性 ·選択性が低 下する。
水熱合成によって結晶性アルミノガロシリケ一トゃ結晶性アルミノシリケート を得る場合、 生成粒子の大きさに影響を与える因子としては、 シリカ源の種類、 第 4級アンモニゥム塩等の有機添加物の量、 鉱化剤としての無機塩の量 ·種類、 ゲル中の塩基量、ゲルの p H及び結晶化操作時の温度や撹拌速度等が挙げられる。 これらの条件を適当に調節することにより、 上述した粒径範囲のガリゥム含有結 晶性アルミノシリケートを得ることができる。
ガリゥム含有結晶性アルミノシリケートの反応活性は、 その組成によっても影 響を受け、高い反応活性を得るには、アルミニウム元素を好ましくは 0. 1〜2. 5質量%、 より好ましくは 0. 1〜2. 0質量%含有することが望ましく、 また ガリウム元素を好ましくは 0. 1〜5. 0質量%、 より好ましくは 0. 1〜3. 0質量%含有することが望ましい。 また、 S i 02 (A 1 203 + G a 2O3) モ ル比は 1 7〜600が好ましく、 より好ましくは 1 9〜 250、 さらに好ましく は 25〜200の範囲が、 反応活性を長時間にわたって高く保持する上で望まし レヽ。 また、 S i 02/A 1 203のモル比は 32〜8 70が好ましく、 より好まし くは 35〜300であり、 S i 02/G a 203のモル比は 36〜2000が好ま しく、 より好ましくは 40〜 500であることが望ましい。
ガリゥム含有結晶性アルミノシリケートの組成としては、 500°C以上の焼成
物の酸化物のモル比で表わして、 次式で示されるものが好ましい。
a Mx O · bA l 203 - G a 203 - c S i 02
前記組成式中、 Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を表わし、 Xは Mが アル力リ金属のときは 2を示し、 Mがアル力リ土類金属のときは 1を示す。また、 a〜 cは次の数値を示す。
a : (b + l) ± 3. 0、 好ましくは (b + 1) ±2. 0の正数。
b : 0. 04〜62. 5、 好ましくは 0. 1〜: 14. 0。
c : 36〜 2000、 好ましくは 40〜 500。
MAS NMR (Magic Angle Spinning Nuclear Magnetic Resonance) 分析に より、 結晶性シリケ一トの結晶構造中に存在する元素およびその組成について有 益な情報を直接あるいは間接的に得ることができる。 例えば、 結晶性アルミノシ リケートにおいては、 ァニオン性骨格構造中の四面体配位の A 1についての情報 が27 A 1 — NMRにより得られる。 また、 構造中の (S i 04) に隣接する 4個 の四面体 (T04 ; T = A 1, G a , S i ) に関する情報が29 S i — NMRによ り得られる。 本明細書中に示す結晶性アルミノガロシリケートにおいても、 27 A 1 -NMR, 71G a— NMRにより骨格構造中の四面体配位の A 1 , G aの存在 が示され、 29 S i _NMR分析の情報から結晶構造中の S i 02/ (A 1 2O3 + G a 203) モル比が計算された。 この値は、 元素分析の結果から得られた値と良 く一致した。
結晶性アルミノガロシリゲートの化学的特性の 1つとして酸性質が挙げられる。 一般に酸量はアンモニア、 ピリジン等の塩基性物質を用いた昇温脱離や吸着熱測 定等により測定することができる。 結晶性アルミノガロシリケートでは、 アルミ 二ゥム、 ガリウムの量に見合う酸量が測定されており、 アルミニウム、 ガリウム がゼォライ ト結晶構造中のァニオン性骨格構造中にあることが示されている。 本発明で用いる特に有用な結晶性アルミノガロシリケートは MF Iタイプおよ び/または ME Lタイプの結晶構造体である。 MF Iタイプ、 ME Lタイプの結 晶性ァノレミ ノ ガロ シ リ ケー ト は、 The Structure Commission of the International Zeolite Association により公表された種類の公知ゼォライ ト構造 型に属する (Atlas of Zeolite Structure Types, W.M.Meiyer and D.H.Olson (1978). Distributed by Polycrystal Book Service, Pittsburgh, PA, USA)。
また、 ガリウム含有結晶性アルミノシリケートは、 所望に応じ、 ゼォライ トに 施される種々の活性化処理を施すことができる。 従って、 本明細書でいうガリゥ ム含有結晶性アルミノシリゲートは、 前記水熱合成等の方法によって製造された ものの他、 その変性化処理または活性化処理によって得られるものをも包含する ものである。 例えば、 結晶性アルミノガロシリケ トを塩化アンモニゥム、 弗化 アンモニゥム、 硝酸アンモニゥム、 水酸化アンモニゥム等のアンモニゥム塩を含 む水溶液中でイオン交換してアンモニゥム型とした後に、 アル力リ金属やアル力 リ土類金属以外の他の金属イオンを含む水溶液でイオン交換したり、 あるいはそ の水溶液を含浸させてアルカリ金属やアル力リ土類金属以外の所望金属を導入す ることができる。 また、 前記アンモ-ゥム型のガリウム含有結晶性アルミノシリ ケートを空気、 窒素または水素雰囲気中で 2 0 0〜8 0 0 °C、 好ましくは 3 5 0 〜7 0 0 ° の温度で3〜2 4時間加熱することによりアンモニアを除去して酸型 のものに活性化することができる。 また、 酸型触媒を水素または水素と窒素の混 合ガスにて上記の条件で処理してもよい。 さらに、 酸型触媒をドライ条件下にァ ンモニァと接触させるアンモニア変性を施してもよい。 本発明で用いる触媒組成 物は、 一般的には、 炭化水素原料と接触する前に、 前記の活性化処理を施して使 用するのが好ましい。
本発明の触媒組成物には、 前述したガリゥム含有結晶' liアルミノシリケートの 他に、 結合剤 (バインダー) を含んでもよい。 結合剤とは、 触媒の機械性質 (強 度、 耐摩耗性、 成形性) を高めるための物質をいう。 このようなものには、 例え ば、 アルミナ、 アルミナポリア、 シリカ、 シリカアルミナ等の無機酸化物が挙げ られる。 その添加量は、 特に制限されないが、 触媒組成物中に 5 0質量%以下、 より好ましくは 3 0質量%以下となるよう加えられる。 また、 これらの無機結合 剤に燐を添加することにより成形体の機械的強度を更に向上させることができる。 ガリウム含有結晶性アルミノシリゲートと結合剤との混合物は、 押出し成形、 ス プレードライ、 打錠成形、 転動造粒、 油中造粒等の方法で粒状、 球状、 板状、 ぺ レット状等の各種成形体とすることができる。 また、 成形時には、 成形性を良く するために有機化合物の滑剤を使用するのが望ましい。
一般に、ガリゥム含有結晶性アルミノシリケ一トと結合剤との混合物の成形は、 ガリゥム含有結晶性アルミノシリケートのアンモニゥムイオン等によるイオン交
換工程に先立って行なうこともできるし、 また、 ガリウム含有結晶性アルミノシ リケートをイオン交換した後に行うこともできる。
また、 本発明の触媒組成物には補助成分として金属成分を担持させて用いるこ とができる。 補助成分としての金属成分は、 ガリウム含有結晶性アルミノシリケ 一卜に担持させたり、 成形用のバインダーに担持させたり、 その両方でも構わな い。また、ガリゥム含有結晶性アルミノシリケートをバインダ一で成形する際に、 第 3成分として添加することもできる。 このような補助金属成分としては、 例え ば、 脱水素能を有する金属や炭素析出を抑制する効果のある金属が挙げられる。 補助金属成分の具体例としては、 触媒活性を向上させるものとして、 例えば、 マ グネシゥム、 カルシウム、 ストロンチウム、 ノくリウム、 ランタン、 セリウム、 プ ラセオジム、ネオジム、 サマリウム、 ユーロピウム、 ガドリニウム、 テルビウム、 ジスプロシウム、 ホルミウム、 エノレビゥム、 ツリウム、 イッテルビウム、 ノレテチ ゥム、 チタン、 バナジウム、 クロム、 モリブデン、 タングステン、 マンガン、 レ 二ゥム、 鉄、 ルテニウム、 コバルト、 ロジウム、 イリジウム、 ニッケル、 ノ ラジ ゥム、 白金、 銅、 銀、 亜鉛、 アルミニウム、 インジウム、 ゲルマニウム、 スズ、 鉛、 リン、 アンチモン、 ビスマス、 セレン等が挙げられる。 これらの金属は、 単 独の他、 2種以上を組合せて用いることもでき、 その担持量は金属換算で 0 . 1 〜 1 0質量。 /0である。 金属担持方法としては、 イオン交換法、 含浸法、 物理混合 等の公知の技術をいることができる。 また、 結晶性アルミノガロシリケートゃ結 晶性アルミノシリゲートの合成時に、 補助成分として前記金属成分を添加して結 晶性アルミノガロシリケートを合成することで、 補助成分金属を含有させること もできる。 また、 反応に際してのコークの堆積の抑制効果を持つ補助金属成分と して、 マグネシウム、 カルシウム、 ランタン、 セリウム、 プラセオジム、 ネオジ ム、 サマリウム、 ユーロピウム、 ガドリニウム、 テルビウム、 ジスプロシウム、 ホルミウム、 エルビウム、 ッリゥム、 ィッテルビウム、ルテチウム、 ルテニウム、 ィリジゥムの中から選ばれる 1種以上の金属を担持させることができ、 その担持 量は、 金属換算で 0 . 0 1 〜 5質量。 /0である。 次に、 本発明の方法における各工程について詳述する。
( a ) 転化反応工程
転化反応工程には、 前述した触媒組成物を保持する反応層が少なく とも直列に n個 (nは 2以上の整数) 配列され、 さらに該反応層間に、 または該反応層に、 あるいはこれらの組合わせとして、前段反応層からの流出物への加熱手段として、 加熱炉などの加熱装置が設けられている。 なお、 直列に接続された各反応層を、 上流側から順に 1段目反応層、 2段目反応層、 以下同様にして以後称する。 原料 の軽質炭化水素と、後述するリサイクルガスとの混合物を反応層に通過せしめて、 その混合物を芳香族炭化水素へ転化させる工程である。
本発明における転化反応工程の反応層入り口温度は、 一般的には、 3 5 0〜6 5 0 °Cが好ましい範囲である。 原料の軽質炭化水素が n —パラフィンを主成分と する場合には、 4 5 0〜6 5 0 °C、 イソ一パラフィンを主成分とする場合には、 4 0 0〜6 0 0 °C、 ォレフィンを主成分とする場合には、 3 5 0〜 5 5 0 °Cがさ らに好ましい温度範囲となる。
また水素分圧としては 4 9 0 k P a ( 5 k g f / c m 2 ) 以下の圧力条件が好 ましく採用される。原料のガス空間速度は 1 0 0〜2 0 0 0 h r — 1が好ましく採 用される。
本発明においては、 この転化反応工程の直列に配置された n個の反応層の内、 1段目反応層の触媒量が全体の触媒量の 3 0容量。 /0以下、 好ましくは 1〜3 0容 量。 /0、 より好ましくは 2〜3 0容量%、 さらに好ましくは 2〜2 8容量%になる ように配置する。 直列に配置された反応層の数 nが 3以上の場合には、 1段目反 応層の触媒量が全体の触媒量の 6 O / n容量%以下になるようにするのが好まし い。 これにより、 最終的に得られる芳香族収率が向上する。
また本発明においては、 この転化反応工程の直列に配置された 2個以上の反応 層の内、 1段目反応層からの反応層流出物中の芳香族収率を 0 . 5〜3 0質量%、 好ましくは 2〜 3 0質量。 /0、さらに好ましくは 2〜 2 8質量%になるようにする。 特に反応層の数が 3個以上であって、 かつ 1段目反応層からの反応層流出物中の 芳香族収率が 2〜2 5質量%であることが好ましい。 これにより、 最終的に得ら れる芳香族収率が大きく向上する。
1段目反応層流出物中の芳香族収率を 0 . 5〜3 0質量%とする方法は特に限 定するものではないが、 例えば、 反応層入口温度を調節する方法、 各反応層の触 媒充填比率を調節する方法、 あるいはこれらの組み合わせによる方法を挙げるこ
とができる。
本発明においては、 1段目反応層の触媒量を全体の触媒量の 3 0容量%以下と し、 かつ 1段目反応層からの反応層流出物中の芳香族収率を 0 . 5〜3 0質量。 /0 とすることが特に好ましい。
反応層の数 nは 2以上であれば特に限定されないが、 多過ぎても効果は変わら ず、 経済性が悪くなる。 従って、 nとしては 2以上 8以下が好ましく、 より好ま しくは 3以上 6以下が望ましい。
また、 この転化反応工程では、 一定の反応層入り口温度で運転することもでき るし、 所定の芳香族収率が得られるように、 反応層入り口温度を連続的又は段階 的に上昇させて運転することもできる。 芳香族収率が所定範囲を下回ったり、 反 応層入り口温度が所定温度範囲を超えるようになると、 触媒反応塔を新しい触媒 塔又は再生触媒塔に切り替えて反応を継続するのが好ましい。触媒の再生は空気、 窒素、 水素又は窒素 水素混合ガス等の気流中で 2 0 0〜8 0 0 °C、 好ましくは 3 5 0〜7 0 0 °Cで加熱処理することにより行うことができる。本発明の方法は、 好ましくは、 前記触媒組成物を保持した反応層を含む、 2系列の固定床反応装置 を用いて行われる。 この場合、 各系列の反応装置は直列に並んだ複数の反応層か ら成り立つている。 原料の軽質炭化水素を一方の系列の反応装置に導入して反応 を進めながら、 他方の系列の反応装置中の触媒を再生処理に付する。 これらの 2 系列の反応装置で交互に 1〜1 0日間隔で反応/再生を行わせることにより、 例 えば 1年間の連続運転を行うことができる。 又、 サイクリック運転のように、 反 応に使用されている系列の反応装置の一部又は全部を他系列と切り替えて反応を 継続して行なうことも可能である。 そして各 1〜1 0日の反応の 1サイクルごと に反応温度を 5〜2 0 °C程度連続または段階的に上昇させて、 最終反応層流出物 の芳香族収率を 4 0〜 7 5質量%の所定範囲に保持する。
なお、 前記芳香族収率 (以下の式 (1 ) では Rと表記) は、 次の式で表わされ る。
R = A/ B X 1 0 0 (%) ( 1 )
A :転化反応生成物中の全芳香族炭化水素の重量
B :原料中のエタンを除く炭素数 2〜 7の脂肪族炭化水素の重量
脂肪族炭化水素が芳香族炭化水素へ転化する際には、 脱水素を伴う反応が進行
するので、 反応条件下では水素を添加しなくても反応に見合う水素分圧を有する こととなる。 意図的な水素の添加は、 コークの堆積を抑制し、 再生頻度を減らす 利点があるが、 芳香族の収率は、 水素分圧の増加により急激に低下するため必ず しも有利ではない。 それ故、 水素分圧は 4 9 0 k P a ( 5 k g f / c m 2 ) 以下 に抑えることが好ましい。
本発明における転化反応工程には、 後続の分離工程からリサイクルガスとして 循環されるメタンおよび またはエタンを含む軽質ガスを存在させることが望ま しい。 このメタンおよび Zまたはエタンを含む軽質ガスを存在させて転化反応を 行うことで、 触媒上へのコーク析出を抑制し、 長時間にわたって芳香族収率を高 く維持することができる。 反応系へ循環される全軽質ガス (リサイクルガス) の 循環量は、炭化水素供給原料 1重量部当り、 0 . 1〜 1 0重量部、好ましくは 0 . 5〜 3重量部にするのがよい。
( b ) 反応層流出物の気液分離工程
この工程は、 前記転化反応工程から得られた反応層流出物を、 一個または複数 の気液分離器からなる気液分離帯域に導入し、 比較的高圧下で気液分離し、 芳香 族炭化水素を主成分として含む液体成分 (高圧分離液) と、 水素、 メタン、 エタ ン、 プロパン、 ブタン等の軽質ガス (高圧分離ガス) とに分離する工程である。 分離条件としては、 温度は通常 1 0〜5 0 °C、 好ましくは 2 0〜4 0 °Cであり、 圧力は通常 5〜 8 0気圧、 好ましくは 1 0〜3 0気圧である。 反応器流出物は、 この気液分離工程に導入される以前に、 低温の原料炭化水素と間接熱交換させて 冷却し、 また必要に応じ、 気液分離工程及び軽質ガスからの水素を分離する工程 の負荷を軽減するために、 軽質ガスの一部を分離することができる。
( c ) 分離ガスからの水素分離工程
この工程は、 前記気液分離工程で分離された高圧分離ガスから水素を選択的に 分離し、 メタンおよび Zまたはエタンを含むリサイクルガスを得る工程である。 この場合の水素分離方法としては、 従来公知の方法、 例えば、 膜分離方法や深冷 分離方法等が用いられる。 水素の選択的分離効率の点からは、 膜分離方法の使用 が好ましいが、 リサイクルガスとして、 深冷分離方法からのオフガスを利用する 場合は、 膜分離方法からのオフガスと比べて、 未反応プロパンを最大限に反応さ せることができるので芳香族炭化水素収率で 1〜 3質量%高くできる利点がある。
どちらの方法を採用するかは、経済的見地から判断される。膜分離装置としては、 例えば、 分離膜として、 ポリイミ ドゃ、 ポリスルホン、 ポリスルホンとポリジメ チルシロキサンとのブレンド体を用いたもの等が市販されている。 この工程で得 られたリサイクルガスの一部は、 全循環ガス量を一定範囲に保持するために、 系 外へ排出される。 高純度の水素を回収するために、 好ましくは回収系として膜分 離装置又は P S A (吸 ·脱着分離装置) を膜分離装置の後段に設置する。 後段の 装置の選択は、 経済的見地から決められる。
( d ) 分離液からの芳香族炭化水素の分離工程
この工程は、 前記気液分離工程で得られた高圧分離液から芳香族炭化水素と低 沸点炭化水素ガスとを分離する工程であり、その装置としてはスタビライザー(蒸 留塔) が用いられる。 塔頂留分として分離された低沸点炭化水素ガスは、 C 3〜 C 4の炭化水素からなるもので、 リサイクルガスとして用いられる。
( e ) 原料脂肪族炭化水素とリサイクルガスとの混合工程
この工程は、 原料脂肪族炭化水素に対して、 前記水素ガス分離工程で得られた メタンおよび またはエタンを含むリサイクルガスおよび前記芳香族炭化水素分 離工程で分離された低沸点炭化水素ガスを混合する工程であり、 この混合は配管 内で行うことができる。 この混合物は前記転化反応工程に導入される。 原料脂肪 族炭化水素 1重量部当りの前記リサイクルガスおよび低沸点炭化水素ガスの混合 割合は、 0 . 1〜 1 0重量部、好ましくは 0 . 5〜 3重量部である。 このように、 メタンおよび またはエタンをリサイクルガスとして使用することにより、 次の ような効果が得られる。即ち、脱水素環化による芳香族化反応は吸熱反応であり、 その為、 触媒層温度は低下し芳香族化反応に不利となる。 メタンおよび/または エダンは、 この反応条件下ではほとんど芳香族化しないので不活性ガスと見なせ る。 メタンおよび またはェタンが熱を持つことにより、 これが熱供給媒体とし て働き、 触媒層の温度低下を抑制し、 芳香族化反応を有利に進め、 芳香族炭化水 素収率を向上できる。 また、 リサイクリングにより原料の転化反応で生成する水 素の分圧を低下させ、 芳香族化反応を有利に進めることができ、 その結果、 芳香 族炭化水素収率を向上できる。 更に、 反応層でのガス速度が上がるので (G H S Vが大きくなる)、反応基質と触媒活性点との接触時間が短くなり、 コーク状物質 を与える過剰反応が抑制できる。 その結果、 反応経過時間と共に起こる活性低下
を抑制でき、芳香族炭化水素収率を高い水準で維持できる。商業装置においては、 リサイクルガス比は経済的見地から決められなければならない。 本発明の方法を実施する場合のフローシートの一例を図 1に示す。
原料脂肪族炭化水素とリサイクルガスである軽質炭化水素ガスとの混合物 6は、 触媒組成物が直列に n個 (nは 2以上の整数) 配列された反応層を有する転化反 応工程 1に張り込まれて芳香族炭化水素に転化され、 次いで気液分離工程 2で芳 香族炭化水素を主成分として含む液体成分 (高圧分離液 8 ) と軽質ガス (高圧分 離ガス 9 ) とに分離される。 高圧分離液 8は芳香族炭化水素の分離工程 4で低沸 点炭化水素ガス 1 3を分離除去して、 芳香族炭化水素 1 4が回収される。
また、 転化反応工程 1の一例を図 2に示す。
図 2では、 1段目の反応器 1 6と 2段目の反応器 1 7が直列に配置され、 原料 脂肪族炭化水素とリサイクルガスである軽質炭化水素ガスとの混合物 1 8 (図 1 では混合物 6に該当) は加熱炉などの加熱手段 1 9により加熱され、 1段目の反 応器 1 6に導入されて転化反応が行われる。 1段目の反応器 1 6には、 全体の触 媒量の 3 0質量。 /0以下の触媒が配置されている。 および /または、 1段目の反応 器流出物中の芳香族収率が 0 . 5 〜 3 0質量%となるように制御されている。 1 段目の反応器流出物 2 1は加熱手段 2 0で再加熱され、 2段目の反応器 1 7に導 入されて再び転化反応が行われる。 2段目の反応器 1 7からの反応器流出物 2 2 は、 これを再び加熱炉などの加熱手段で再加熱し、 第 3本目の反応器へと導入し ても良いし、 最終的な反応器流出物として図 1に示した反応器流出物の気液分離 工程 2 へ導入しても良い。 なお、 反応器 1 6と反応器 1 7には、 それぞれもう 1 系列の反応器 1 6 ' および反応器 1 7 ' を設けて、 2系列の反応器で交互に反応 および触媒上に堆積したコークの燃焼除去による再生を行わせることにより連続 運転を実施する事ができる。
[産業上の利用可能性]
本発明の方法によれば、 炭素数 2 〜 7の炭化水素を主成分とする軽質炭化水素 から芳香族炭化水素を従来の方法に比較して高い収率により製造できる。
[実施例]
以下、 実施例および比較例に基いて本発明をより具体的に説明するが、 本発明 はこれらの実施例に限定されるものではない。
<参考例 1 :結晶性アルミノガロシリゲートの製造 >
硅酸ナトリウム 〔 Jケィ酸ソーダ 3号、 S i O2 : 28〜3 0質量0 /0、 N a : 9〜1 0質量%、 残部水、 日本化学工業 (株) 製〕 1 , 706. 1 gおよび水 2, 227. 5 gからなる溶液 (A) と、 A 12 (S 04) 3 · 1 4〜 1 8H20 〔試薬 特級、 和光純薬工業 (株) 製〕 64. 2 g、 G a (NO 3) 3 · nH20 〔G a : 1 8. 5 1 %、 添川理化学 (株) 製〕 32. 8 g、 テトラプロピルアンモニゥム ブロマイ ド 369. 2 g、 H2 S 04 (9 7質量%) 1 5 2. l g、 N a C l 32 6. 6 gおよび水 2, 9 75. 7 gからなる溶液 (B) とをそれぞれ調製した。 次いで、 上記溶液 (A) の中に室温で攪拌しながら溶液 (B) を徐々に加えた。 得られた混合物をミキサーで 1 5分間激しく攪拌し、 ゲルを解砕して乳状の均質 微細な状態にした。 次に、 この混合物をステンレス製のオートクレーブに入れ、 温度 1 65°C、 時間 72 h r、 攪拌速度 100 r p mの条件で自己圧力下に結晶 化操作を行った。この結晶化操作終了後、生成物を濾過して固体生成物を回収し、 約 5リッ トルの水を使用して 5回洗浄と濾過を繰り返した。 濾別して得られた固 形物を 1 20°Cで乾燥し、 更に 650°C、 空気流通下で 3時間焼成した。
得られた焼成物は、 X線回析の結果、 MF I構造を有するものであり、 また M ASNMR分析による、 S i 02ZA l 2O3 (モル比)、 S i Oz/G a 2O3 (モ ル比)、 S i 02/ (A 1 203 +G a 2O3) (モル比) は各々 64. 8、 1 93. 2、 48. 6であった。 またこの結果から計算された骨格構造中に含有されるァ ルミニゥム元素は 1. 32質量%、 ガリウム元素は 1. 1 6質量%であった。 ぐ参考例 2 :触媒の調製 >
参考例 1で得られた結晶性アルミノガロシリケ一トにバインダ一としてのアル ミナパウダー 〔C a t a 1 o i d AP、 触媒化成工業 (株) 製〕 を結晶性アル ミノガロシリケート:アルミナパウダーの重量比が 6 5: 3 5となるように加え、 さらに水を加えて十分に練った後押出成形し、 1 20°Cで 3時間乾燥後、 600°C
で 3時間空気雰囲気下で焼成した。 次いで、 成形物に対し、 その 1グラム当りに 5 m 1の割合で約 2規定の硝酸アンモニゥム水溶液を加え、 100°Cで 2時間ィ オン交換処理を行った。 この操作を 4回繰返した後、 1 20°Cで 3時間乾燥して アンモニゥム型結晶性アルミノガロシリケ一ト成形体を得た。 これを 1 6〜28 メッシュのサイズにそろえ、 さらに、 これを 600°Cで空気雰囲気下に 3時間焼 成することにより、 水素型結晶性アルミノガロシリケート触媒を得た。
<比較例 1〉
ライ トナフサの転化反応流通式反応装置を用い、 参考例 2に記載の水素型結晶 性アルミノガロシリケート触媒 3m 1を一個の反応器に充填して、 ライ トナフサ の転化反応を行った。 反応は反応器の周囲に設置した電気炉にて加熱することに より、 反応器入口温度 550°C、 反応器出口圧力を 294 k P a (3. O k g f /cm2), LHSVO. 8 h r -\ リサイクルガスの模擬ガスとして窒素を重量 換算でフィードのライ トナフサの 0. 7倍導入して実験を行った。 転化反応生成 物は、 装置に直結されたガスクロマトグラフにより分析された。 この時の反応結 果を表 1に示す。 反応は 24時間実施し、 表 1記載の芳香族収率は、 反応開始 2 4時間後の転化反応生成物の分析値より算出した。 使用したライ トナフサの性状 は、初留点 36°C、 終点 9 1°C、 比重 0. 658、硫黄分 1質量 p pmであった。
<比較例 2〜3 >
参考例 2に記載の水素型結晶性アルミノガロシリケート触媒 3m 1を、 一つ目 の反応器に 50質量% ( 1. 5 m 1 )、 二つ目の反応器に 50質量% ( 1. 5m l ) を充填し、 これらを直列に接続した反応装置を用い、 反応器を電気炉により加熱 し、 比較例 1と同一のライ トナフサを原料に用いて転化反応を行った。 反応条件 は、 比較例 2では両反応器の入口温度を 550°C、 比較例 3では 1段目反応器の 入口温度を 600° (:、 2段目反応器の入口温度を 500°Cとし、 比較例 2および 3共に 2段目反応器の出口圧力を 294 k P a ( 3'· O k g f / c m2) とした 以外は比較例 1と同一とし、 24時間の反応を行った。 1段目反応層出口、 およ び転化工程出口の流出物の組成分析を装置に直結されたガスクロマトグラフによ り行った。 24時間後の分析結果より算出した 1段目反応層、 および全転化工程
流出物の芳香族収率を表 1に示す。 <実施例 1 >
参考例 2に記載の水素型結晶性アルミノガロシリケ一ト触媒 3m 1 を、 一つ目 の反応器に 50質量% ( 1. 5 m 1 )、 二つ目の反応器に 50質量% ( 1. 5m l ) を充填し、 これらを直列に接続した反応装置を用い、 比較例 1と同一のライ トナ フサを原料に用いて転化反応を行った。 反応条件は、 1段目反応器の入口温度を 500°C、 2段目反応器の入口温度を 600°C、 最終段反応器の出口圧力 294 k P a (3. O k g f / c m2), LHSVO. 8 h r— 1とし、 リサイクルガスの 模擬ガスとして窒素を重量換算でフィードのライ トナフサの 0. 7倍導入して行 つた。 この時の各反応結果を表 1に示す。 反応は 24時間行い、 流出物の分析は 比較例 2と同様に行った。 結果を表 1に示す。
<実施例 2〜 8〉
各実施例において、 比較例に用いたものと同様の反応装置を用い、 表 1に記載 した各反応層触媒充填比率にてそれぞれの反応器に参考例 2に記載の水素型結晶 性アルミノガロシリケート触媒を充填し(合計の触媒容量 3m 1 )、 これらの反応 器を全て直列に接続し、 かつ各反応器の周囲に加熱用の電気炉を配置して、 比較 例 1と同一のライ トナフサを原料に用い、 転化反応を行った。 反応条件は、 各反 応器の入口温度を全て 5 50°C、 最終段反応器の出口圧力 294 k P a (3. 0 k g f Zc m2)、 LHSVO. 8 h r— 1とし、 リサイクルガスの模擬ガスとして 窒素を重量換算でフィードのライ トナフサの 0. 7倍導入して行った。 この時の 各反応結果を表 1に示す。 反応は 24時間行い、 流出物の分析は比較例 2と同様 に行った。 結果を表 1に示す。 比較例および実施例に示す通り、 少なく ともガリゥム含有結晶性アルミノシリ ケートを含有する触媒組成物に、 炭素数 2〜 7のパラフィンおよび/またはォレ フィンを主成分とする軽質炭化水素を接触させて芳香族炭化水素を製造する方法 において、 n個の反応層を少なく とも直列に接続し、 かつ該反応層間に配置され た加熱装置から構成される転化反応工程を用い、 1段目反応層に充填される触媒
量を全体の触媒量の 3 0容量以下とすることにより、 および または、 1段目反 応層流出物の芳香族収率を 0 . 5〜3 0質量%とすることにより、 全転化工程流 出物中の芳香族炭化水素が高い収率で製造されることが明らかである。
表 1
[図面の簡単な説明]
図 1は、 本発明の方法を実施する場合のフローシートの 1例を示す図である。 図 2は、 本発明における転化反応工程の 1例を示す図である。
(符号の説明)
1 転化反応工程
2 反応器流出物の気液分離工程
3 高圧分離ガスからの水素分離工程
高圧分離液からの芳香族炭化水素の分離工程
原料脂肪族炭化水素
原料脂肪族炭化水素とリサイクルガスである軽質炭化水素ガスとの混合物 反応器流出物
気液分離工程で分離した高圧分離液
気液分離工程で分離した高圧分離ガス
水素分離工程で分離した水素を主成分とするガス
水素分離工程で分離したオフガス
全循環ガス量を一定範囲に保持するために系外に排出されるガス 高圧分離液から分離された低沸点炭化水素ガス
高圧分離液から分離された芳香族炭化水素
リサイクルガス
1段目の反応器
' 1段目の反応器のもう 1系列の反応器
2段目の反応器
' 2段目の反応器のもう 1系列の反応器
原料脂肪族炭化水素とリサイクルガスである軽質炭化水素ガスとの混合物 、 2 0 加熱炉などの加熱手段
1段目の反応器からの反応器流出物
2段目の反応器からの反応器流出物