明 細 書
無機質中空粉体、その製造方法及びそれを用いた組成物
技術分野
[0001] 本発明は、無機質中空粉体、その製造方法及びそれを用いた組成物に関する。
背景技術
[0002] 無機質中空粉体の一つに中空ガラス球状粉体がある。中空ガラス球状粉体は、非 中空無機質粉体に比べて比重が軽ぐ低誘電特性、耐熱性、断熱性等を有している 。軽量ィ匕を利用した用途には、例えば自動車、携帯電子機器等の榭脂成形部品、例 えばシーリング材、外壁材等の建築部材、例えば船舶用浮力材等の構造部材など があり、低誘電特性を利用した用途には、多層プリント基板、電線被覆材、半導体封 止材などがある。中空ガラス球状粉体の今日の要求は、更なる微細化、中空率化と、 ガラス材質以外の無機質中空粉体の出現である。
[0003] 従来、中空ガラス粉体の製造方法として、シリカゲル粉末にガラス形成剤と発泡剤 を担持させて焼成する方法が提案されている (特許文献 1)。これによつて、粒子密度 が 0. 3gZcm3程度、平均粒子径が 70 m程度の粉体が得られた力 発泡剤が残留 するので高純度化には限度があり、し力も更なる微細化、中空率ィ匕が困難であった。 特許文献 1:特公平 4 - 37017号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] 本発明の目的は、高純度にして、更なる微細化と中空率ィ匕のなされた無機質中空 粉体とその容易な製造方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、更な る軽量化と低誘電率化がなされたゴム組成物又は榭脂組成物を提供することである 課題を解決するための手段
[0005] 本発明は、平均中空率が 70体積%超、平均粒子径が 3〜20 μ mである無機質中 空粉体である。また、本発明は、平均中空率が 75〜85体積%、平均粒子径が 5〜1 5 m、最大粒子径が 25 μ m以下、比表面積が 10m2Zg以下、平均球形度が 0. 90
以上、純度 99質量%以上である無機質中空粉体である。これらの無機質中空粉体 においては、無機質中空粉体が非晶質シリカ中空粉体であること、また無機質中空 粉体が表面処理剤で処理されて ヽること、カゝら選ばれた実施態様の少なくとも一つを 備えていることが好ましい。
[0006] また、本発明は、外側から順に、助燃ガス供給管、可燃ガス供給管及び無機質原 料粉末供給管が組まれた三重管部分を少なくとも備えたバーナーを用いて火炎を形 成し、そこに、バーナーの無機質原料粉末供給管から、比表面積が 500m2Zg以上 、平均粒子径が 15 μ m以下の無機質原料粉末を、相対湿度 80〜100%RHのキヤ リアガスに同伴させながら 150mZs以上の吐出速度で噴射し、熱処理を行わせて無 機質中空粉体とした後、必要に応じ分級することを特徴とする無機質中空粉体の製 造方法である。この場合において、無機質原料粉末が、比表面積が 700mソ g以上 のシリカ粉末であることが好まし 、。
[0007] 更に、本発明は、本発明の無機質中空粉体をゴム及び樹脂の少なくとも一方に含 有させてなる組成物に関する。
発明の効果
[0008] 本発明によれば、高純度にして、更なる微細化と高中空率化がなされた無機質中 空粉体が提供される。例えば、純度が 99. 8質量%、平均粒子径が5〜17 111、平 均中空率が 71〜92体積%、平均球形度が 0. 90以上の無機質中空粉体、例えば 非晶質球状シリカ中空粉体が提供される。その結果、これの適量を含有させたゴム 組成物又は榭脂組成物(以下、両者をあわせて「組成物」という。)は、例えばワニス 粘度が 700mPa' s以下、特に 600mPa' s以下の良好な成形性を有し、しかも熱膨 張係数が 30ppm以下、特に 20ppm以下、難燃性が V— 0、比誘電率が 2. 8以下、 特に 2. 5以下(25°C、 1GHz)のものとなる。
発明を実施するための最良の形態
[0009] 本発明の無機質中空粉体の平均中空率は 70体積%超である。平均中空率が 50 〜70体積%であっても、組成物の軽量化、断熱性、低誘電特性の効果は十分に発 現する。し力しながら、例えば多層プリント基板用途では、ワニスの粘度上昇の問題 から、無機質中空粉体の含有率は 60体積%以下に調整されており、このような条件
で更なる低誘電特性を発現させるには、無機質中空粉体の平均中空率が大きいこと が望ましぐ本発明では 70体積%超とした。したがって、平均中空率の上限には特に 制約はないが、 90体積%を超えると粒子の殻厚が薄くなつて粒子強度が弱くなり、粉 体のハンドリング中やゴム又は樹脂との混練中に粒子が破壊する恐れがあるので、 無機質中空粉体の平均中空率は 75〜85体積%が好ましい。
[0010] 平均中空率とは、粒子の理論密度に対する粒子密度の実測値との比であると定義 される。例えば、シリカ中空粒子の密度の実測値が 1. lgZcm3である場合、その平 均中空率は非晶質シリカの理論密度 2. 2gZcm3で割って 50体積%と算出される。 密度は、ピクノメーター法自動粉粒体真密度測定器 (例えばセイシン企業社製商品 名「オートトウルーデンサー MAT— 7000」)で測定される。
[0011] 本発明の無機質中空粉体の平均粒子径は 3〜20 μ mである。平均粒子径が 20 μ mをこえても軽量ィ匕には大きな悪影響を与えないが、表面の平滑性が損なわれるの でそれが強く要求される用途では、外観の悪ィ匕ゃ凹凸部を起点とした劣化の原因と なる。また、厚みの制限のある用途では使用できなくなる。平均粒子径が 3 /z mよりも 小さいと、軽量化と低誘電特性の更なる効果を発現させるには殻厚が薄くなるので、 上記した粒子の破壊問題を起こす恐れがある。
[0012] 本発明の無機質中空粉体は、平均中空率が 75〜85体積%、平均粒子径が 5〜1 5 m、最大粒子径が 25 μ m以下、比表面積が 10m2Zg以下、平均球形度が 0. 90 以上、純度 99質量%以上であることが好ましい。平均中空率が 75〜85体積%、平 均粒子径が 5〜15 μ mが好適である理由は、平均粒子径が 3〜20 μ mである上記 理由と同様に、軽量化、低誘電特性及び粒子の破壊の観点からである。最大粒子径 が 25 m以下となる好適な理由は、上記した表面の平滑性が損なわれるのを軽減 するためである。
[0013] 比表面積が 10m2/g以下が好ましい理由は、これよりも大きいと、中実な微細な粒 子が多くなるので、組成物に高充填させたときに成形性が低下する恐れがあるからで ある。
また、平均球形度が 0. 90以上が好適な理由は、ゴム又は樹脂への充填性、組成 物の成形性が一段と高まるからである。特に好ましい平均球形度は 0. 92以上である
[0014] 無機質中空粉体の平均粒子径、最大粒子径は、レーザー回折散乱法による粒度 分布を測定して求める。粒度分布は、 0. 04〜2000 111の範囲を108 111) =0. 0 4の幅で 116分割にして測定される。測定機には、例えばベックマンコールター社製 「モデル LS— 230」がある。測定は、水と試料を混合し、超音波ホモジナイザーで、 2 OOWの出力で 1分間分散処理してから行う。 PIDS (Polarization Intensity Diff erential Scattering)濃度を 45〜55質量%に調整する。水の屈折率には 1. 33を 用い、試料の屈折率にはその材質の屈折率、例えば非晶質シリカでは 1. 50を用い る。
[0015] 平均球形度は以下のように測定する。実体顕微鏡 (例えばニコン社製商品名「モデ ル SMZ— 10型」)等にて撮影した粒子像を画像解析装置 (例えばマウンテック社製 商品名「MacView」)に取り込み、写真から粒子の投影面積 (A)と周囲長(PM)を測 定する。周囲長 (PM)に対応する真円の面積を (B)とすると、その粒子の真円度は A ZBとなるので、試料の周囲長(PM)と同一の周囲長を持つ真円を想定すると、 PM = 2 π Γ、 Β = π ΐ:2である力 、 Β = π X (ΡΜΖ2 π ) 2となり、個々の粒子の球形度は、 球形度 = AZB= A X 4 π Z (PM) 2となる。このようにして得られた任意の粒子 200 個の球形度を求めその平均値を平均球形度とする。
[0016] 無機質中空粉体の材質には特に制限はなぐ例えばシリカ、アルミナ、ジルコユア、 チタ二了、マグネシア等、更にはこれらの少なくとも一成分を構成成分とする複合酸 化物などを例示することができる。なかでも、非晶質シリカは、強度、低熱膨張性、低 誘電特性に優れるので好ましい。純度は 98質量%以上であることが好ましい。成分 数が 2以上の複合酸化物である場合は、複合酸化物の構成成分は不純物としな!/ヽ。
[0017] 不純物量は、例えば蛍光 X線分析装置 (XRF)、エネルギー分散型蛍光 X線分析 装置 (EDX)、原子吸光光度計 (AAS)、プラズマ発光分光分析装置 (ICP)等によつ て測定する。例えば、シリカの純度は、フッ化水素と過塩素酸の混合溶液(20 : 1の体 積比)で加熱溶解し、純水で稀釈してから例えば島津製作所社製原子吸光光度計 を用いて測定する。
[0018] 非晶質率は、粉末 X線回折装置 (例えば RIGAKU社製商品名「モデル Mini Fie
x」)を用い、 CuK a線の 2 Θ力 S26° 〜27. 5° の範囲において X線回折分析を行い 、特定回折ピークの強度比力も測定する。例えば、シリカの場合、結晶質シリカは 26 . 7° に主ピークがあるが、非晶質シリカではピークはないので、非晶質シリカと結晶 質シリカが混在していると、結晶質シリカの割合に応じた 26. 7° のピーク高さが得ら れる。そこで、結晶質シリカ標準試料の X線強度に対する試料の X線強度の比から、 結晶質シリカ混在比 (試料の X線回折強度 Z結晶質シリカの X線回折強度)を算出し 、式、非晶質率(%) = (1 結晶質シリカ混在比) X 100、力も非晶質率を求める。
[0019] 本発明の無機質中空粉体は、例えばシランカップリング剤等の表面処理剤で処理 されていることが好ましい。通常、無機質粉体の表面は親水性であるので、榭脂、有 機溶剤など疎水性分散媒への分散性が良くないので、表面処理剤で処理しておくと 分散性が改善される。また、ゴム又は樹脂との密着性、ピール強度の向上、耐湿信 頼性等も向上する。表面処理剤の使用率は、無機質中空粉体 100質量部に対して 0 . 05〜2質量部であることが好ましい。
[0020] 表面処理剤としては、シランカップリング剤、 Zrキレート、チタネートカップリング剤、 アルミニウム系カップリングなどを用いることができる。シランカップリング剤を例示す れば、例えば γ—グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、 β - (3, 4—エポキシシクロ へキシル)ェチノレトリメトキシシラン等のエポキシシラン、例えばァミノプロピルトリエト キシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、 Ν フエ-ルァミノプロピルトリメトキシ シラン等のアミノシランや、例えばフエ-ルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、 ォクタデシルトリメトキシシラン等の疎水性シランィ匕合物やメルカプトシランなどである
[0021] 本発明の無機質中空粉体は、例えば本発明の製造方法によって製造することがで きる。この場合において、平均中空率、平均粒子径、最大粒子径、比表面積、平均 球形度、非晶質率の増減法については後述する。無機質中空粉体の純度は、無機 質原料粉末の純度で制御できる。
[0022] 本発明の製造方法の特徴は、無機質原料粉末の比表面積と、その吐出速度と、そ の吐出に用いるキャリアガスの含水率とを特定したことである。これらのうちの一つの でも逸脱すると、純度が 99質量%以上、平均中空率が 70体積%超、平均粒子径が
3〜20 m無機質中空粉体を製造することができない。すなわち、無機質原料粉末 の比表面積が 500m2/g未満である力、又は平均粒子径が 15 mをこえると、平均 中空率が 70体積%超の中空化が困難となる。無機質原料粉末の好ましい比表面積 は 600m2/g以上、特に 700m2/g以上であり、最大比表面積は、 1200m2/gとす ることが好適である。特に好ましい平均粒子径は、 2〜8 /ζ πιである。また、最大粒子 径は 25 μ m以下であることが好ましい。
[0023] 無機質原料粉末は、キャリアガスに同伴させ、その吐出速度を 150mZs以上にし て火炎中に噴射させる。吐出速度が 150mZs未満であると、無機質原料粉末が過 熱状態になり、部分的に中実粒子となって中空率が低下したり、凝集が生じて無機 質中空粉体の粒径が大きくなりすぎたりする。特に好ましい吐出速度は 200〜300m Zsである。
[0024] キャリアガスとしては、例えば空気、酸素、窒素、アルゴン等を用いることができる。
重要なことはキャリアガスの含水率であり、相対湿度が 80〜100%RHのキャリアガス を用いることである。特に 90〜100%RHのキャリアガスを用いることが好ましい。これ によって、無機質原料粉末が水分を含み、火炎で処理するときに水蒸気を発生する ことで無機質原料粉末の膨張効果が高まり、得られる無機質中空粉体の中空率が更 に大きくなる。相対湿度が 80%RH未満であると、無機質原料粉末の内部にまで水 分が入り込まないため、十分な膨張効果が得られない。キャリアガスの含水率の制御 は、純水の充填されたパブリング装置にキャリアガスを供給してパブリングさせる際、 そのパブリング時間によって行うことができる。また、水中にパブリングしたキャリアガ スとパブリングしないキャリアガスとの混合比を変えることによつても行うことができる。
[0025] 無機質原料粉末の材質としては、例えばシリカ、アルミナ、ジルコユア、チタ二了、 マグネシア、力ルシア等、更にはこれらの少なくとも一成分を構成成分とする複合酸 化物などを例示することができる。なかでも、非晶質シリカ中空粉体を製造するため には、比表面積が 700m2/g以上のシリカゲル粉末が好ましい。非晶質シリカ中空粉 体は、特に電気的特性、化学的安定性、組成物の成形性に優れたものである。
[0026] 無機質原料粉末は、外側から順に、助燃ガス供給管、可燃ガス供給管、無機質原 料粉末供給管が組まれた三重管部分を少なくとも備えたバーナーにおいて、その無
機質原料粉末供給管から火炎中に噴射される。ここで、三重管部分を少なくとも備え たバーナーという意味は、この三重管部分に更に隣接させて、可燃ガス供給管、助 燃ガス供給管及び無機質原料粉末供給管から選ばれた 1又は 2以上が配置された バーナーであっても良いということである。火炎は、助燃ガス供給管、可燃ガス供給 管から、それぞれのガスを炉内に噴射させることによって形成させることができる。可 燃ガスとしては、例えばメタン、ェタン、アセチレン、プロパン、ブタン、プロピレン等の 炭化水素ガス、例えば、 LPGガスや、水素ガスなどを例示することができ、また助燃ガ スとしては、例えば空気、酸素などを例示することができる。
[0027] 火炎を形成させる炉 (熱処理の行われる炉)は、竪型炉、横型炉などの ヽずれでも よいが、無機質中空粉体の炉内への付着抑制、火炎の安定性、操業安定性の点か ら、上記バーナーを炉頂に配し、下部が捕集系に接続されてなる堅型炉が好ましい 。捕集系には集塵機が設置されており、製造された無機質中空粉体は、排気側に設 けたブロワ一によつて捕集系に吸引輸送捕集され、必要に応じ分級される。集塵機と しては、例えばサイクロン、電気集塵機、ノッグフィルタ一等がある。このような竪型炉 の構造については、バーナー構造を除き、多くの公知があるのでそれを用いることが できる。
[0028] 無機質中空粉体の平均球形度は、主に可燃ガスの流量制御による炉内の温度制 御によって調整制御できる。また、平均粒子径、最大粒子径、比表面積は、主に無 機質原料粉末の粒度や、無機質原料粉末の吐出速度によって調整制御できる。平 均中空率は、無機質原料粉末の比表面積、無機質原料粉末の吐出速度、特にキヤ リアガスの相対湿度によって調整制御できる。具体的には、可燃ガスの流量を多くす ると、炉内の温度が高くなり、原料が十分に加熱されるため、平均球形度の高い無機 質中空粉体が得られる。また、キャリアガスの相対湿度を 80%RH以上にすることに よって、無機質原料粉末の膨張効果が高まり、中空率の大きい無機質中空粉体が得 られる力 可燃ガスの流量を多くしすぎたり、無機質原料粉末の火炎中への吐出速 度を遅くしすぎると、粉体が過熱状態になり、部分的に中実粒子となって中空率が低 下したり、凝集が生じて無機質中空粉体の粒径が大きくなりすぎたりする。
[0029] 本発明の組成物は、本発明の無機質中空粉体をゴム又は樹脂の少なくとも一方に
含有させたものである。無機質中空粉体の含有率は全く自由であり、例えば 1〜97 質量%である。
[0030] ゴムを例示すれば、天然ゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン—ブタジエン共 重合体ゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、二トリル—ブタジエン共重合体ゴム(N BR)、ブチノレゴム(IIR)などである。
[0031] 榭脂を例示すれば、エポキシ榭脂、シリコーン榭脂、フエノール榭脂、メラミン榭脂、 ユリア榭脂、不飽和ポリエステル、フッ素榭脂、 BTレジン、ポリイミド、ポリアミドイミド、 例えばポリエーテルイミド等のポリアミド、例えばポリブチレンテレフタレート、ポリェチ レンテレフタレート等のポリエステル、ポリフエ-レンスルフイド、全芳香族ポリエステル 、ポリスルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、マレイミド変 成榭脂、 ABS榭脂、 AAS (アクリロニトリル—アクリルゴム'スチレン)榭脂、 AES (ァク リロ-トリル.エチレン.プロピレン.ジェンゴム一スチレン)榭脂などである。
[0032] これらの中、多層プリント基板や半導体封止材料としては、 1分子中にエポキシ基を 2個以上有するエポキシ榭脂が好ましい。その具体例をあげれば、フエノールノボラッ ク型エポキシ榭脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ榭脂、フエノール類とアル デヒド類のノボラック榭脂をエポキシ化したもの、ビスフエノール A、ビスフエノール F及 びビスフエノール Sなどのグリシジルエーテル、フタル酸ゃダイマー酸などの多塩基 酸とェポクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル酸エポキシ榭脂、線 状脂肪族エポキシ榭脂、脂環式エポキシ榭脂、複素環式エポキシ榭脂、アルキル変 性多官能エポキシ榭脂、 β ナフトールノボラック型ェォキシ榭脂、 1, 6 ジヒドロキ シナフタレン型エポキシ榭脂、 2, 7 ジヒドロキシナフタレン型エポキシ榭脂、ビスヒド 口キシビフエ-ル型エポキシ榭脂、更には難燃性を付与するために臭素などのハロ ゲンを導入したエポキシ榭脂などである。特に、耐湿性ゃ耐ノヽンダリフロー性の点か らは、オルソクレゾールノボラック型エポキシ榭脂、ビスヒドロキシビフエ-ル型ェポキ シ榭脂、ナフタレン骨格のエポキシ榭脂が好適である。
[0033] エポキシ榭脂の硬化剤としては、例えばノボラック型榭脂、ポリパラヒドロキシスチレ ン榭脂、フ ノール類、酸無水物、芳香族ァミンなどカゝら選ばれた少なくとも 1種が使 用される。ノボラック型榭脂としては、フエノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシ
ノール、クロ口フエノール、 t ブチルフエノール、ノ-ルフエノール、イソプロピルフエノ ール、ォクチルフヱノール等力 選ばれた少なくとも 1種と、例えばホルムアルデヒド、 ノ《ラホルムアルデヒド、ノ ラキシレン等の少なくとも 1種とを酸化触媒下で反応させて 得られたノボラック型榭脂などが用いられる。フエノール類としては、ビスフエノール A やビスフエノール S等のビスフエノール化合物、ピロガロールゃフロログルシノール等 の 3官能フエノール類などが用いられる。酸無水物としては、無水マレイン酸、無水フ タル酸、無水ピロメリット酸などが用いられ、芳香族ァミンとしては、メタフエ-レンジァ ミン、ジアミノジフエ-ルメタン、ジアミノジフエ-ルスルホンなどが用いられる。
[0034] 本発明の組成物がエポキシ榭脂組成物である場合、エポキシ榭脂とエポキシ榭脂 の硬化剤との反応を促進させるために硬化促進剤を配合することができる。硬化促 進剤としては、例えば 1, 8 ジァザビシクロ(5, 4, 0)ゥンデセンー7、トリフエ-ルホ スフイン、ベンジルジメチルァミン、 2—メチルイミダゾールなどから選ばれた 1種又は 2種以上が使用される。
[0035] 本発明の組成物には、必要に応じ、低応力化剤、難燃助剤、難燃剤、着色剤、離 型剤などを配合することができる。低応力化剤としては、例えばシリコーンゴム、ポリサ ルファイドゴム、アクリル系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレン系ブロックコポリマーゃ飽 和型エラストマ一等のゴム状物質や、例えばァミノシリコーン、エポキシシリコーン、ァ ルコキシシリコーン等で変性された変性エポキシ榭脂、変性フエノール榭脂などが用 いられる。難燃助剤としては、例えば Sb O、 Sb O、 Sb Oなど、難燃剤としては、例
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えばハロゲンィ匕エポキシ榭脂ゃリン化合物など、着色剤としては、例えばカーボンブ ラック、酸化鉄、染料、顔料などが用いられる。離型剤としては、例えば天然ワックス 類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド類、エステル類、パラフィン等の ワックス類などが用いられる。
[0036] 耐湿信頼性と高温放置安定性が要求される用途では、イオントラップ剤の添加が有 効である。イオントラップ剤としては、協和化学社製商品名「DHF— 4A」、「KW- 20 00」、「KW— 2100」や東亜合成化学工業社製商品名「IXE— 600」などがある。
[0037] 本発明の組成物は、例えば上記各材料の所定量をプレンダーゃヘンシェルミキサ 一等によりブレンドした後、加熱ロール、エーダー、一軸又は二軸押し出し機等により
混練したものを冷却後、粉砕すること〖こよって製造することができる。多層プリント基 板用途や塗料用途にお!ヽては、上記各材料と有機溶剤とを混合してワニスとするが
、これにはらいかい擂潰(らいかい)機、ビーズミル、 3本ロール、攪拌ミキサーなどの 混合機が使用される。ワニスとした後は真空脱気によりワニス中の気泡を除去してお くことが好ましい。消泡機能、破泡機能をもたせるために、例えばシリコーン系、アタリ ル系、フッ素系等の消泡剤の添カ卩は有効である。
実施例
[0038] 用いた装置は、外側から順に、助燃ガス供給管、可燃ガス供給管、無機質原料粉 末供給管が組まれた三重管構造ノズルカゝらなるバーナーの 3本を、竪型炉の頂部に 設置する一方、炉の下部を捕集系(サイクロン、ノ ッグフィルター)に接続されており、 無機質中空粉体は燃焼排ガスと共にブロワ一で吸引輸送されサイクロン及びバッグ フィルターで捕集されるものである。
[0039] 実施例 1〜6、比較例 1〜5
バーナー 1本あたり、可燃ガス供給管力 LPGを 3〜5Nm3ZHr、助燃ガス供給管 から酸素を 3〜5Nm3ZHr供給して火炎を形成する一方、表 1に示される無機質原 料粉末 (シリカゲル粉末)の約 2. 5kgZHrを、純水のパブリング装置を通過させて相 対湿度が 50〜100%RHに調湿されたキャリアガス(酸素富化空気) 10〜40Nm3Z Hrに同伴させ、バーナーの無機質原料粉末供給管から火炎の中心部に噴射した。 このときの無機質原料粉末の吐出速度は 100〜300m/sであった。 LPG供給量、 酸素供給量、無機質原料粉末の吐出速度の違いに応じ、特性の異なる種々の無機 質中空粉体 (球状シリカ中空粉体)がサイクロンから捕集された。それらの平均中空 率、平均粒子径、最大粒子径、比表面積、平均球形度、純度を上記に従って測定し た。それらの結果を表 1に示す。なお、シランカップリング剤で表面処理を施す際は、 無機質中空粉体 100質量部に対し 0. 5質量部のビュルシランを用いた。混合には ヘンシェルミキサーを用い、混合時間を 10分とした。
[0040] 得られた無機質中空粉体の特性を評価するため、臭素化ビスフエノール A型液状 エポキシ榭脂 100質量部、ジシアンジアミド 4質量部、 2—ェチル 4ーメチルイミダゾ ール 0. 2質量部をメチルェチルケトン 200質量部に溶解した後、 3—グリシドキシプ
口ピルトリメトキシシラン 1質量部、無機質中空粉体を上記エポキシ榭脂 100体積部 に対して 100体積部を加え、高速ミキサーで 10分間攪拌してワニスを製造した。
[0041] ワニスの粘度を測定してから、ワニスをガラスクロスに含浸させ 150°Cの電気炉で 5 分間加熱した後、切断してプリプレダを得た。このプリプレダを 12枚重ね、圧力 5. 0 MPa、温度 180°Cで 200分の加熱成型プレスをして積層板を製造し、その熱膨張係 数と難燃性と比誘電率を測定した。それらの結果を表 1に示す。
[0042] (1)ワニス粘度:トキメック社製 E型粘度計を用い、 3° R14のコーンローター、温度 3 0°C、ローター回転数 2. 5rpmの条件で測定した。
(2)積層板の熱膨張係数:積層板から、直径 5mm X高さ 10mmのテストピースを切 り出し、島津製作所社製熱機械分析装置 (TMA)を用い、 JIS K7197規格に準じ て測定した。
(3)積層板の難燃性:積層板から、 12. 7mm X I 27mm X lmmのテストピースを切 り出し、 UL— 94規格に準じて測定した。
(4)積層板の比誘電率:積層板から、直径 100mm X厚み 2mmのテストピースを切り 出し、ヒューレット 'パッカード社製誘電率測定器を用いて、 JIS K6911規格に準じ て測定した。
[0043] [表 1]
(続き)
(続き)
[0046] 実施例と比較例の対比から明らかなように、本発明の実施例によれば、ワニス粘度 が 700mPa' s以下、特に 600mPa' s以下の良好な成形性にして、熱膨張係数が 30 ppm以下、特に 20ppm以下、難燃性が V— 0、比誘電率が 2. 8以下、特に 2. 5以下 の積層板と、それに用いる純度が 99質量%以上、平均中空率が 70体積%超、平均 粒子径が 3〜20 μ mの無機質中空粉体を製造することができた。
産業上の利用可能性
[0047] 本発明の無機質中空粉体は、自動車、携帯電子機器、家庭電化製品等のモール
ディングコンパウンドなどの榭脂成形部品、更にはパテ、シーリング材、船舶用浮力 材、合成木材、強化セメント外壁材、軽量外壁材などの充填材として使用される。ま た、本発明の組成物は、ガラス織布、ガラス不織布、その他有機基材に含浸硬化さ せてなる例えばプリント基板用のプリプレダや、プリプレダの 1枚又は複数枚を銅箔等 と共に加熱成型された電子部品、更には電線被覆材、半導体封止材、ワニスなどの 製造に使用される。