明 細 書
コイル部品
技術分野
[0001] 本発明は、例えば自動車のリモートキーレスエントリシステム等に用いられるアンテ ナコイルが備えるコイル部品に関する。
背景技術
[0002] 自動車等のドアの解錠、施錠およびその他各種動作を行うために、リモートキーレ スエントリシステムやスマートエントリシステムが普及して 、る。かかるリモートキーレス エントリシステム等では、ユーザが携帯する送信装置から、所定のコード情報を有す る電波を自動車等に設けられている受信装置に向けて送信する。そして、受信装置 では、この電波を受信し、自動車等に取り付けられている制御装置で予め記憶され ているコード情報と上述の所定のコード情報とがー致する場合に、ドアの解錠および 施錠等の動作を行って 、る。
[0003] ここで、上述の受信装置には、 3軸方向の電波を受信可能なアンテナコイルを具備 するものがある。力かる 3軸方向の電波を受信可能なアンテナコイルに関する先行技 術としては、例えば特許文献 1に開示されて ヽる構成がある。
[0004] 特許文献 1 :WO2OO5ZO88767 ( 1、図 5、図 6等参照)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] ところで、上述の特許文献 1に開示されて!ヽるアンテナコイルが具備するコアは、十 字型コアであるため、コアに対して卷線作業を行い難い、という問題がある。例えば、 特許文献 1に開示されて ヽるタイプの十字型コアでは、例えば X軸方向に延伸する X 軸アームの一端側力 他端に向けて卷線を順次卷回させる場合、 X軸アームの中心 部位に Y軸アームが設けられているため、当該中心部位では、卷線機のノズルを、 X 軸アームに近接することができな 、。
[0006] このように、 X軸アームに対して卷線を卷回させる場合、 Y軸アームの存在が支障と なる。そのため、 X軸アームの中心部位を挟んで反対側に位置する X軸アームの他
方側に卷線を卷回させる場合には、 X軸アームの一方側への卷線作業が終了した後 に、 X軸アームを 180度回転させてチャックし直し、当該チャックの終了後に再び X軸 アームの他方側に卷線を卷回させている。
[0007] このため、上述の十字型コアに卷線を卷回させる場合、 X軸アームの一方側、 X軸 アームの他方側、 Y軸アームの一方側および Y軸アームの他方側という具合に、合 計 4回チャックをする必要があり、アンテナコイルの生産効率が悪い、という問題が生 じている。
[0008] また、アンテナコイルにおいても、一層の感度の向上が求められている力 同時に アンテナコイルの小型化の要請もあるため、従来の構成では、感度の向上が難しくな つている。
[0009] 本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、生産効率 を良好にすることが可能となると共に、感度の向上を図ることが可能な、アンテナコィ ルに用いられるコイル部品を提供しょう、とするものである。
[0010]
課題を解決するための手段
[0011] 上記課題を解決するために、本発明は、アンテナコイルに用いられるコイル部品で あって、第 1の方向に延伸すると共にコイルが配置される第 1卷枠部、および第 1の方 向とは交差する第 2の方向に延伸すると共にコイルが配置される第 2卷枠部を有する 十字型コアを具備し、この十字型コアは、第 1卷枠部を有する第 1コアと、第 2卷枠部 を有する第 2コアとの嵌め合いにより構成されるものである。
[0012] このように構成した場合には、第 1卷枠部を有する第 1コアと、第 2卷枠部を有する 第 2コアとが、嵌め合わされることにより、十字型コアが構成されている。このため、第 1コアと、第 2コアとが分離された状態で、第 1卷枠部および第 2卷枠部に、それぞれ 卷線を卷回してコイルを形成可能となる。
[0013] それにより、第 1卷枠部および第 2卷枠部に卷線を卷回するに際して、卷線機のノ ズルが、第 1卷枠部および第 2卷枠部に近接可能となり、卷線機のノズルが近接する のが妨げられない。すなわち、第 1卷枠部に対する第 2コアの存在、および第 2卷枠 部に対する第 1コアの存在力 それぞれの卷枠部への卷線の卷回に際して邪魔とな
ることがない。それにより、従来のように、第 2コアまたは第 1コアの存在により、卷線機 のノズルが第 1卷枠部または第 2卷枠部に近接できずに、十字型コアをチャックし直 す等の必要がなくなり、作業工数を少なくすることが可能となる。それにより、コイル部 品の生産効率を向上させることが可能となる。
[0014] また、十字型コアが、第 1コアと第 2コアとに分割可能であり、卷線機のノズルがそれ ぞれの卷枠部に近接可能であるため、非分割の十字型コアでは不可能であった、第 1コアおよび第 2コアのそれぞれの端部に、長さ寸法の長い鍔部を設けることが可能 となる。そのため、コイル部品の感度を良好にしつつ、コイル部品の大型化を防ぐこと が可能となる。
[0015] また、それぞれのコアに、独立して卷線を卷回可能であるため、非分割の十字型コ ァでは不可能であった、端部側が大径となると共に中心側が小径となるように卷線を 卷回することが可能となる。また、第 1コアと第 2コアとが嵌め合わされる前は、それぞ れ独立した状態で存在している。このため、収納手段の内部に第 1コアおよび第 2コ ァを収納して搬送する場合、当該収納手段の単位体積当たりにおける、第 1コアおよ び第 2コアの収納密度を増大させることが可能となる。それにより、搬送効率を良好に することが可能となる。
[0016] また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、第 1の方向と第 2の方向とが直交す る状態で、第 1コアと第 2コアとが嵌め合わされると共に、第 1コアには、第 1嵌合部が 設けられていて、この第 1嵌合部は、凹形状に設けられる第 1凹部、および凸形状に 設けられる第 1凸部を有すると共に、第 2コアには、第 2嵌合部が設けられていて、こ の第 2嵌合部は、第 1凹部と嵌合すると共に凸形状に設けられる第 2凸部、および第 1凸部と嵌合すると共に凹形状に設けられる第 2凹部を有するものである。
[0017] このように構成した場合には、第 1コアと第 2コアとが、それぞれ直交する状態で嵌 め合わされるため、第 1コアと第 2コアとを嵌め合わせた後の十字型コアは、それぞれ の方向の電波を効率良く (感度良く)受信することが可能となる。また、第 1凹部と第 2 凸部とが嵌め合わされ、第 1凸部と第 2凹部とが嵌め合わされることにより、第 1コアと 第 2コアとが位置ずれしない十字型コアを実現可能となる。
[0018] さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、第 1コアと第 2コアとは、同一形状
に設けられて 、るものである。
[0019] このように構成した場合には、第 1コアと第 2コアとが同一形状であるため、コイル部 品を生産する際に、両者を区別する必要がなくなる。そのため、生産工程の簡略ィ匕を 図ることが可能となり、一層の生産能率の向上を図ることが可能となる。また、第 1コア と第 2コアとが同一形状であるため、搬送および収納に際しても、 2種類のコアとして 区別する必要がなくなると共に、これらコアの管理も容易となる。
[0020] また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、第 1コアと第 2コアの少なくとも一方 には、その両端部のうち少なくとも一方に鍔部が設けられているものである。
[0021] このように構成した場合、鍔部が設けられることにより、第 1卷枠部と第 2卷枠部の少 なくとも一方に配置されるコイルの位置決めが可能となる。また、鍔部の存在により、 卷線を卷回し易くなり、コイルを形成し易くなる。力 tlえて、コアのボリュームを増やすこ とにより、感度が向上する。
[0022] さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、第 1卷枠部に配置されるコイル、 および第 2卷枠部に配置されるコイルとは別体である周回コイルが設けられると共に 、この周回コイルは、十字型コアを内包する状態で設けられるものである。
[0023] このように構成した場合、周回コイルが設けられ、この周回コイルが十字型コアを内 包する状態で設けられる。それにより、周回コイルは、第 1卷枠部に配置されるコイル 、および第 2卷枠部に配置されるコイルとに対して、巻軸方向を直交させる配置とす ることが可能となる。それにより、周回コイルと、第 1卷枠部に配置されるコイル、およ び第 2卷枠部に配置されるコイルとを備えるコイル部品の実装により、 3軸方向の電 波を良好に受信可能なアンテナコイルを構成することが可能となる。また、アンテナコ ィルを構成する場合、 3軸方向の電波を良好に受信する構成でありながらも、当該ァ ンテナコイルの薄型化が可能となる。 発明の効果
[0024] 本発明によると、アンテナコイルに用いられるコイル部品において、生産効率を良 好にすることが可能となると共に、感度の向上を図ることが可能となる。
図面の簡単な説明
[0025] [図 1]本発明の第 1の実施の形態に係るコイル部品の構成を示す斜視図である。
[図 2]図 1のコイル部品の構成を示す分解斜視図である。
[図 3]図 1のコイル部品の構成を示す平面図である。
[図 4]図 1のコイル部品のうちコイルが卷回されている第 1コアまたは第 2コアの構成を 示す平面図である。
[図 5]図 1のコイル部品のうちコイルが卷回されている第 1コアまたは第 2コアの構成を 示す底面図である。
[図 6]図 1のコイル部品のうちコイルが卷回されている第 1コアまたは第 2コアの構成を 示す側面図である。
[図 7]図 1のコイル部品のうちコイルが卷回されている第 1コアまたは第 2コアの構成を 示す正面図である。
[図 8]図 1のコイル部品を構成する第 1コアまたは第 2コアの構成を示す側面図である
[図 9]図 1のコイル部品を構成する第 1コアまたは第 2コアの構成を示す平面図である
[図 10]図 8等の第 1コアまたは第 2コアのうち、中心嵌合部の形状を示す部分的な斜 視図である。
[図 11]図 1のコイル部品の変形例に係るコイル部品を示す平面図であり、鍔部が長く 設けられて 、るコイル部品を示す図である。
[図 12]図 1のコイル部品の変形例に係るコイル部品を示す平面図であり、コイルの卷 数力 端部に向かうにつれて増大しているコイル部品を示す図である。
[図 13]本発明の第 2の実施の形態に係るアンテナコイルの構成を示す平面図である
[図 14]図 13のアンテナコイルの構成を示す側断面図である。
[図 15]図 13うのアンテナコイルで用いられるケース体の構成を示す斜視図である。 符号の説明
10, 10A…コイル部品
20· ··コア
20a…第 1コア
20b…第 2コア
20J…十字型コア
21 · · ·中心嵌合部 (第 1嵌合部または第 2嵌合部に対応)
22· · ·卷枠部 (第 1卷枠部または第 2卷枠部に対応)
23…鍔部
30· · ·コィノレ
40…ケース体
41…底壁
411…ランド部
412· · ·十字溝
413…周回溝
42…側壁
50…周回コィノレ
60· · ·接続端子
211…平面接合部
212…上方凸部 (第 1凸部または第 2凸部に対応)
213…側方接合部
214…上方凹部
215…側方凹部 (第 1凹部または第 2凹部に対応)
発明を実施するための最良の形態
[0027] (第 1の実施の形態)
以下、本発明の一実施の形態に係る、アンテナコイルに用いられるコイル部品 10 について、図 1から図 12に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、図 4に おける X軸方向を長手方向(第 1の方向に対応)とすると共に、 Y軸方向を短手方向( 幅方向;第 2の方向に対応)とする。
[0028] 図 1〜図 3等に示すように、コイル部品 10は、第 1コア 20aと、第 2コア 20bと、第 1コ ァ 20aまたは第 2コア 20bに卷回されるコイル 30と、を有している。
[0029] これらのうち、第 1コア 20aと、第 2コア 20bとは、その形状が等しく設けられて!/、る。
これら第 1コア 20aおよび第 2コア 20bは、中心嵌合部 21と、卷枠部 22と、鍔部 23と、 を具備している。これらのうち、中心嵌合部 21は、第 1コア 20aと第 2コア 20bとが互い に嵌まり合う部分である。
[0030] なお、本実施の形態では、第 1コア 20aと第 2コア 20bとの形状が同じであるため、 以下の説明においては、第 1コア 20aと第 2コア 20bとを総称する場合、単にコア 20と 称して説明する。また、第 1コア 20aと第 2コア 20bとが嵌まり合うことにより構成される 十字形状を為すコアを、十字型コア 20Jとする。また、第 1コア 20aにおける中心嵌合 部 21は、第 1嵌合部に対応すると共に、第 2コア 20bにおける中心嵌合部 21は、第 2 嵌合部に対応する。また、第 1コア 20aにおける卷枠部 22は、第 1卷枠部に対応する と共に、第 2コア 20bにおける卷枠部 22は、第 2卷枠部に対応する。
[0031] 図 3〜図 6等に示すように、中心嵌合部 21は、その平面形状が略正方形状となるよ うに設けられている。すなわち、中心嵌合部 21の長手方向の寸法 P (図 4参照)と、中 心嵌合部 21の短手方向の寸法 Qとが等しく設けられている。また、中心嵌合部 21は 、卷枠部 22よりも幅広となるように設けられていて、卷線 31を卷枠部 22に卷回する 際に、位置決めの機能を果たすように設けられている。
[0032] 力かる中心嵌合部 21を平面視する場合における中央部分(図 5、図 9等参照)には 、平面接合部 211が設けられている。平面接合部 211は、本実施の形態では、その 平面形状が略正方形状となるように設けられている。また、本実施の形態では、平面 接合部 211の端辺の各寸法は、卷枠部 22と略同一の寸法となっている。また、平面 接合部 211の厚み方向(図 4における X軸および Y軸と直交する方向、図 10の Z軸方 向)の寸法は、卷枠部 22の厚み方向の寸法の略半分となるように設けられている。
[0033] 図 4〜図 10等に示すように、中心嵌合部 21のうち、平面接合部 211と卷枠部 22の 間の部位には、上方凸部 212が設けられている。なお、本実施の形態では、中心嵌 合部 21を平面視する場合において、平面接合部 211が中央部分に設けられている ため、上方凸部 212は、平面接合部 211の両端側に配置される構成となっている。こ の上方凸部 212は、その幅寸法が平面接合部 211の幅寸法と略同一となるように設 けられている。また、本実施の形態では、上方凸部 212の上面(図 10において、ベー ス部 216から見て、上方凸部 212が存在する側の面;以下同様。)は、卷枠部 22の
上面と略面一となるように設けられている。また、上方凸部 212の厚み方向の寸法は 、卷枠部 22の厚み方向の寸法の略半分となるように設けられて 、る。
[0034] また、中心嵌合部 21には、側方接合部 213が設けられている。側方接合部 213は 、上方凸部 212と長手方向(X軸方向)における同一の部位から、短手方向側 (Y軸 方向側)に向力つて延伸している。また、側方接合部 213の上面は、平面接合部 211 の上面と同一の高さ位置となっており、さらに側方接合部 213の下面も、平面接合部 211と同一の高さ位置となる(面一となる)ように設けられている。そのため、側方接合 部 213は、その厚み方向の寸法が、卷枠部 22の厚み方向の寸法の略半分となるよう に設けられている。また、側方接合部 213は、本実施の形態では、短手方向におけ る一方の側の平面接合部 211の両端部、および短手方向における他方の側の平面 接合部 211の両端部に、合計 4つ設けられている。
[0035] なお、短手方向に位置する一方の側方接合部 213の突出端部と、他方の側方接 合部 213の突出端部との間の寸法は、上述の寸法 Q (=寸法 P)となっている。また、 以下の説明では、一対の上方凸部 212の間に位置する、側面視する場合に凹形状 となっている部分(図 6、図 8および図 10参照)を、上方凹部 214とすると共に、側方 接合部 213の間に位置する、平面視する場合に凹形状となっている部分(図 4、図 5 、図 9および図 10参照)を、側方凹部 215とする。また、平面接合部 211には、上方 凸部 212および側方接合部 213の突出の基点となる、ベース部 216が設けられてい る(図 10参照)。このベース部 216と、上述の上方凸部 212および一対の側方接合 部 213により、正面視すると略凸形状の部分が設けられている。
[0036] ここで、第 1コア 20aにおける上方凸部 212は、第 1凸部に対応すると共に、第 1コ ァ 20aにおける側方凹部 215は、第 1凹部に対応する。また、第 2コア 20bにおける 上方凸部 212は、第 2凸部に対応すると共に、第 2コア 20bにおける側方凹部 215は 、第 1凹部に対応する。
[0037] また、中心嵌合部 21のうち、長手方向(X軸方向)に沿う両端側からは、卷枠部 22 が延伸している。卷枠部 22は、コイル 30が配置される部分である。この卷枠部 22は 、上述の平面接合部 211と略同等の幅寸法を有している。また、卷枠部 22は、その 上面が上方凸部 212と面一となるように設けられている。また、本実施の形態では、
卷枠部 22は、中心嵌合部 21よりも、長手方向 (X軸方向)に沿う長さ寸法が長くなる ように設けられている。
[0038] また、卷枠部 22のうち、中心嵌合部 21から離間する端部側には、鍔部 23が設けら れている。鍔部 23は、卷枠部 22よりも幅寸法 (Y軸方向における長さ寸法)が大きく なるように設けられている。この鍔部 23の幅寸法は、卷枠部 22に卷回される卷線 31 の位置決めを良好に行える程度に設定されている。また、本実施の形態では、鍔部 2 3の上面は、卷枠部 22の上面と面一となるように設けられている。そのため、鍔部 23 の厚み方向における寸法は、卷枠部 22の厚み寸法と等しくなつて 、る。
[0039] また、卷枠部 22には、卷線 31を所定の卷数だけ卷回することにより形成される、コ ィル 30が配置されている。本実施の形態では、卷線 31の一端側は、一方側の鍔部 2 3よりも長手方向に沿う外方側に位置していると共に、卷線 31の他端側は、他方の鍔 部 23よりも長手方向に沿う外方側に位置している。そして、卷線 31の一端側および 他端側は、不図示の接続端子に接続可能となっている。
[0040] また、図 1〜図 4等に示すように、卷線 31は、中心嵌合部 21を挟んで、反対側の卷 枠部 22に位置するコイル 30を結ぶように掛け渡される。このとき、卷線 31は、中心嵌 合部 21のうち、下面側に位置しており、短手方向の一方側から他方側に向かうように 、斜めに掛け渡される。
[0041] なお、上述のように、各コア 20a, 20bにコイル 30が卷回された状態で、中心嵌合 部 21同士が嵌め合わされる。このとき、 2つのコア 20a, 20bの長手方向同士が、垂 直を為す状態に配置されると共に、平面接合部 21の上面同士、および側方接合部 2 13の上面同士が、互いに面接合する状態で嵌め合わされる。このとき、側方凹部 21 5に対して、上方凸部 212が入り込む状態で嵌め合わされる。
[0042] ここで、中心嵌合部 21同士を嵌め合わせる場合、当該中心嵌合部 21に接着剤等 を塗布した後に嵌め合わせ、第 1コア 20aと第 2コア 20bとを固定するようにしても良く 、また、中心嵌合部 21同士を嵌め合わせた後に、その外部を榭脂等で覆う等により、 第 1コア 20aと第 2コア 20bとを固定するようにしても良い。このようにして、図 3等に示 すような十字型を為す、コイル部品 10が形成される。
[0043] 以上のような構成を有するコイル部品 10においては、第 1コア 20aの中心嵌合部 2
1と、第 2コア 20bの中心嵌合部 21とが嵌め合わされることにより、十字型コア 20Jが 構成される。このため、第 1コア 20aと、第 2コア 20bとが分離された状態で、それぞれ の卷枠部 22に卷線 31を卷回して、コイル 30を形成可能となる。
[0044] それにより、それぞれの卷枠部 22に、卷線 31を卷回するに際して、卷線機のノズ ルが、卷枠部 22に近接可能となる。すなわち、従来の十字型コア 20Jでは、例えば X 軸方向に延伸する第 1コアの卷枠部に、卷線 31を卷回する場合、 Y軸方向に延伸す る第 2コアが卷線機のノズルを妨げて 、たが、本実施の形態の十字型コア 20Jでは、 第 1コア 20aと第 2コア 20bとに分割可能であるため、第 1コア 20aの卷枠部 22に対す る第 2コア 20bの存在、および第 2コア 20bの卷枠部 22に対する第 1コア 20aの存在 力 それぞれの卷枠部 22への卷線 31の卷回に際して邪魔となることがない。それに より、従来のように、卷線機のノズルが、それぞれの卷枠部 22に近接できずに、十字 型コア 20Jをチャックし直す等の必要がなくなり、作業工数を少なくすることが可能と なる。そのため、コイル部品 10の生産効率を向上させることが可能となる。
[0045] また、十字型コア 20J力 第 1コア 20aと第 2コア 20bとに分割可能であり、卷線機の ノズルがそれぞれの卷枠部 22に近接可能であるため、非分割の十字型コアでは不 可能であった、第 1コア 20aおよび第 2コア 20bのそれぞれの端部に、長さ寸法の長 い鍔部を設けることが可能となる。この状態を、図 11に示す。図 11に示すような、長 さ寸法の長い鍔部 23Lを設けることにより、コイル部品 10の大型化を防ぎながら、感 度を良好にすることが可能となる。
[0046] また、それぞれのコア 20a, 20bに、独立して卷線 31を卷回可能であるため、非分 割の十字型コア 20Jでは不可能であった、端部側が大径となると共に中心側が小径 となるように卷線 31を卷回することが可能となる。この状態を、図 12に示す。図 12に 示すように、卷線 31の卷数を、図 3等に示す構成と比較して多くする場合、コイル部 品 10の大型化を防ぎながら、コイル部品 10の感度を良好にすることが可能となる。ま た、図 12に示すコイル部品 10では、図 3等に示すコイル部品 10における四隅部分 に、コイル 30を張り出させることが可能となり、コイル部品 10における空間利用の効 率を良好にすることが可能となる。
[0047] また、本実施の形態におけるコイル部品 10では、第 1コア 20aと第 2コア 20bとが嵌
め合わされる前は、それぞれ独立している。このため、収納手段の内部に第 1コア 20 aおよび第 2コア 20bを収納して搬送する場合、当該収納手段の単位体積当たりにお ける、第 1コア 20aおよび第 2コア 20bの収納密度を増大させることが可能となる。そ れにより、搬送効率を良好にすることが可能となる。
[0048] また、第 1コア 20aと第 2コア 20bとが、それぞれ直交する状態で嵌め合わされるた め、嵌め合わせ後に設けられる十字型コア 20Jは、それぞれの方向の電波を効率良 く受信することが可能となる。また、上方凸部 212と側方凹部 215とが嵌め合わされる ことにより、第 1コア 20aと第 2コア 20bと力 位置ずれしない十字型コア 20Jを実現可 能となる。
[0049] さらに、本実施の形態では、第 1コア 20aと第 2コア 20bとが、同一形状に設けられ ているため、コイル部品 10を生産する際に、両者を区別する必要がなくなる。そのた め、生産工程の簡略ィ匕を図ることが可能となり、一層の生産能率の向上を図ることが 可能となる。また、第 1コア 20aと第 2コア 20bとが同一形状であるため、搬送に際して も 2種類のコア 20a, 20bとして区別する必要がなくなると共に、これらコア 20a, 20b の管理も容易となる。
[0050] また、本実施の形態では、第 1コア 20aおよび第 2コア 20bのそれぞれ両端部には、 鍔部 23, 23Lが設けられている。そのため、それぞれの卷枠部 22において、コイル 3 0の位置決めを良好に行うことが可能となっている。また、鍔部 23, 23Lの存在により 、卷線 31を卷枠部 22に卷回し易くなり、コイル 30を形成し易くなる。力!]えて、感度が 良好となる。
[0051] (第 2の実施の形態)
以下、本発明の第 2の実施の形態について、図 13から図 15に基づいて説明する。 なお、本実施の形態では、上述の第 1の実施の形態で述べたのと同様の部分につい ては、同一の符号を用いて説明する。
[0052] 本実施の形態におけるアンテナコイル 100は、上述の第 1の実施の形態におけるコ ィル部品 10と同様のコイル部品 1 OAを用 、て構成されて!、る。
[0053] また、図 14に示すように、コア 20の卷枠部 22Aは、上方凸部 212とは略面一に設 けられている。し力しながら、卷枠部 22Aの厚み寸法は、上述の第 1の実施の形態に
おける卷枠部 22よりも薄くなるように設けられている。そのため、卷枠部 22Aの下面 は、中心嵌合部 21の下面に対して面一には設けられていなぐ図 14において上方 側に向かい、凹むように設けられている。
[0054] なお、コイル部品 10Aにおけるその他の部分は、上述の第 1の実施の形態におけ るコイル部品 10と、基本的には同様となっている。
[0055] また、図 13および図 14に示すように、本実施の形態におけるアンテナコイル 100は 、ケース体 40と、周回コイル 50と、接続端子 60と、を具備している。これらのうち、ケ ース体 40は、図 15に示すように、底壁 41と、一対の側壁 42と、を有している。これら のうち、底壁 41は、その下面が、不図示の外装ケースまたは実装基板等に対して接 触または対向する、ケース体 40の中では面積の大きな部分である。この底壁 41には 、ランド部 411が設けられている。ランド部 411は、底壁 41の上面から、上方に向かつ て、所定の高さだけ隆起している部分である。なお、本実施の形態では、ランド部 41 1の高さ寸法は、側壁 42よりも小さくなるように設けられている。
[0056] また、ランド部 411は、本実施の形態では、その平面形状が円形状または多角形状 を 4等分した状態に設けられている。また、 4つのランド部 411は、互いに一定の距離 だけ離間して設けられている。それにより、底壁 41の上面には、ランド部 411の間に 、平面形状が略十字形状となる十字溝 412が設けられている。なお、この十字溝 412 には、上述のコイル部品 10Aが配置される力 その際、コイル部品 10Aは、 4つのラ ンド部 411によって位置決めされる。そのため、ランド部 411同士が離間している距 離は、上述のコイル部品 10Aの幅寸法よりも、若干大きく設けられている。
[0057] また、ランド部 411と側壁 42とは、互いに所定の距離だけ離間している。それにより 、ランド部 411の周縁部 411aと側壁 42の間にも、その平面形状が周回形状を為す 周回溝 413が設けられている。なお、この周回溝 413は、上述の十字溝 412と連通 するように設けられている。
[0058] また、この周回溝 413には、図 13に示すような周回コイル 50が配置される。周回コ ィル 50は、上述のコイル 30とは独立して(別体に)設けられている。また、本実施の 形態では、周回コイル 50は、略四角形状を為す枠形状に設けられている。また、周 回コイル 50は、十字型コア 20J、およびこの十字型コア 20Jを有するコイル部品 10A
を内包する状態で設けられて 、る。
[0059] また、ケース体 40の外周側には、接続端子 60が設けられている。接続端子 60は、 外部の回路基板等に対して、例えば半田付け等の手法により実装される部分である 。また、接続端子 60は、ケース体 40の内部における卷線 31, 51に対して電気的に 接続されている。
[0060] 以上のような構成を有するアンテナコイル 100では、コイル部品 10Aは、上述の第 1の実施の形態におけるコイル部品 10と同様の効果を実現可能となっている。すな わち、卷線 31の卷回が容易となり、コイル部品 10Aの生産効率を向上させることが可 能となると共に、搬送効率を良好にすることができる等の、第 1の実施の形態におけ るコイル部品 10と同様の効果を得ることが可能となる。
[0061] また、本実施の形態におけるアンテナコイル 100は、十字型コア 20Jを具備するコィ ル部品 10A以外に、ケース体 40および周回コイル 50を具備している。このため、本 実施の形態のアンテナコイル 100においては、周回コイル 50は、第 1コア 20aの卷枠 部 22に配置されるコイル 30、および第 2コア 20bに配置されるコイル 30に対して、卷 軸方向を直交させる配置とすることが可能となる。それにより、 3軸方向で電波を受信 可能となり、 V、ずれの方向にぉ 、ても偏りなく良好に電波を受信することが可能となる 。それにより、アンテナコイル 100では、電波の受信感度が良好となる。また、本実施 の形態におけるアンテナコイル 100では、 3軸方向の電波を受信する構成でありなが らも、薄型化が可能となる。
[0062] 以上、本発明のコイル部品 10およびこのコイル部品 10を用いたアンテナコイル 10 0について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、そ れについて述べる。
[0063] 上述の各実施の形態における第 1コア 20aおよび第 2コア 20bは、中心嵌合部 21 の長手方向に沿う両端側にそれぞれ卷枠部 22を有している。し力しながら、第 1コア 20aおよび第 2コア 20bは、中心嵌合部 21の長手方向に沿う両端側に卷枠部 22を 必ずしも有しなくても良ぐいずれか一端側にのみ、卷枠部 22が存在する構成を採 用しても良い。
[0064] また、上述の第 2の実施の形態では、アンテナコイル 100は、 3軸コイルとなってい
る。しかしながら、アンテナコイル 100は、 3軸コイルには限られず、 2軸コイル等であ つても良い。
[0065] さらに、上述の各実施の形態では、第 1コア 20aおよび第 2コア 20bには、それぞれ 上方凸部 212および側方凹部 215が設けられていて、互いに嵌まり合う構成となって いる。し力しながら、この凹凸関係を逆にして、第 1コア 20aおよび第 2コア 20bを構成 しても良い。
[0066] また、上述の各実施の形態では、第 1コア 20aの上方凸部 212は、第 1凸部に対応 し、第 1コア 20bの側方凹部 215は、第 1凹部に対応していると共に、第 2コア 20aの 上方凸部 212は、第 2凸部に対応し、第 2コア 20bの側方凹部 215は、第 2凹部に対 応している。し力しながら、第 1凸部、第 1凹部、第 2凸部および第 2凹部は、これらに は限られず、第 1凸部と第 2凹部、および第 1凹部と第 2凸部とが良好に嵌め込まれる ものであれば、どのような凹凸形状を具備する構成であっても良い。
[0067] また、第 1コア 20aの側方接合部 213を第 1凸部に対応させると共に、第 1コア 20a の中心嵌合部 21のうち側方接合部 213に隣接するコーナ部分に存在する凹部を、 第 1凹部に対応させるようにしても良い。このとき、第 2コア 20bの側方接合部 213は 第 2凸部に対応すると共に、第 2コア 20bの中心嵌合部 21のうち側方接合部 213に 隣接するコーナ部分に存在する凹部は第 2凹部に対応する。
[0068] さらに、上述の各実施の形態では、第 1コア 20aと第 2コア 20bとは、直交する状態 で嵌合されている。し力しながら、第 1コア 20aと第 2コア 20bとは、直交せずに所定の 角度を為して傾斜する状態で嵌合する構成を採用しても良 ヽ。
[0069] また、上述の実施の形態では、第 1コア 20aと第 2コア 20bとの嵌合により、十字型コ ァ 20Jが構成されている。し力しながら、第 1コア 20aと第 2コア 20bとが、それぞれ複 数のコアの嵌め合 、によって構成されて 、ても良 、。
[0070] さらに、上述の実施の形態では、第 1コア 20aと第 2コア 20bとは、同一形状に設け られている。しかしながら、第 1コア 20aと第 2コア 20bとは、同一形状でなく異なる形 状であっても良い。
[0071] また、上述の各実施の形態では、鍔部 23, 23Lは、第 1コア 20aおよび第 2コア 20 bのそれぞれ両端部に設けられている。しかしながら、鍔部 23, 23Lは、第 1コア 20a
と第 2コア 20bの少なくとも一方のうち、少なくとも一端部に設けられている構成を採 用することも可能である。このようにしても、その鍔部 23, 23Lが設けられている部位 において、コイル 30の位置決めを行うことが可能であり、感度を向上させることができ る。
産業上の利用可能性
本発明のコイル部品は、電気機器の分野において利用することができる。