WO2007102312A1 - 流体軸受装置 - Google Patents

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Abstract

 高い軸受性能を具備する流体軸受装置を低コストに提供する。  軸受部材6は、ラジアル軸受面を有する内径部8と、ブラケット5との取り付け面を有する外径部7とを備え、内径部8と外径部7の双方は樹脂製である。内径部8は、好ましくは含油樹脂、さらに好ましくは多孔質樹脂で形成され、外径部7は非孔質樹脂で形成されている。

Description

明 細 書
流体軸受装置
技術分野
[0001] 本発明は、流体軸受装置に関するものである。
背景技術
[0002] 流体軸受装置は、軸受部材と軸部材の相対回転により、軸受隙間に形成される油 膜で軸部材を回転自在に支持する軸受装置である。この流体軸受装置は、高速回 転、高回転精度、低騒音等の特徴を有するものであり、近年ではその特徴を活かし て、情報機器、例えば HDD、 FDD等の磁気ディスク装置、 CD— ROM、 CD-R/ RW、 DVD— ROMZRAM等の光ディスク装置、 MD、 MO等の光磁気ディスク装 置等に搭載するスピンドルモータ用、レーザビームプリンタ (LBP)などに搭載するポ リゴンスキャナモータ用、パーソナルコンピュータ(PC)などに搭載するファンモータ 用、あるいは軸流ファンなどの電気機器に搭載する小型モータ用の軸受として広く用 いられている。
[0003] この種の流体軸受は、軸受隙間内の流体 (例えば、潤滑油)に動圧を発生させる動 圧発生部を備えた動圧軸受と、動圧発生部を備えていない、いわゆる真円軸受 (軸 受面が真円形状である軸受)とに大別される。
[0004] 例えば、 HDD等のスピンドルモータに組み込まれる流体軸受装置では、軸部材を ラジアル方向に支持するラジアル軸受部と、軸部材をスラスト方向に支持するスラスト 軸受部とが設けられる。ラジアル軸受部の軸受としては、ラジアル軸受隙間を介して 対向する二面 (軸部材の外周面、あるいは軸受部材の内周面)に動圧発生用の溝を 設けた動圧軸受が用いられる場合が多い。一方、スラスト軸受部としては、動圧軸受 が用いられる場合と、軸部材の一端を接触支持する構造の軸受 (いわゆる、ピボット 軸受)が用いられる場合とがある。
[0005] この種の流体軸受装置に組み込まれる軸受部材は、ラジアル軸受面を有する内径 部(軸受スリーブ)と、外周面に他部材との取り付け面を有する外径部 (ハウジング)と を備えており、近年では低コストィ匕を図る目的で、例えば特開 2005— 114164号公 報 (特許文献 1)に開示されているように、外径部を榭脂製とした軸受装置が提案され ている。
特許文献 1:特開 2005— 114164号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] 近年の情報機器の急速な低価格ィ匕に伴って、流体軸受装置には一層の低コスト化 が望まれている。特許文献 1に記載の軸受装置では、内径部と外径部とが別体構造 とされ、内径部は、軸部材との摺動接触に起因した潤滑不良や摩耗等を防止して高 ぃ軸受性能を長期に亘つて維持するため、内部に潤滑油を保持可能な焼結金属の 多孔質体で形成される場合が多い。しかしながら、焼結金属製の内径部を高精度に 形成するには多くの工程が必要で、一般にその製造コストは高騰し易い。特に内径 部に動圧溝等の動圧発生部を設ける場合には一層多くの工程が必要である。
[0007] 本発明の課題は、高い軸受性能を具備する流体軸受装置を低コストに提供するこ とである。
課題を解決するための手段
[0008] 上記課題を解決するため、本発明は、ラジアル軸受面を有する内径部、および他 部材との取り付け面を有する外径部を備えた軸受部材と、ラジアル軸受面が面するラ ジアル軸受隙間に形成される油膜で支持すべき軸をラジアル方向に支持するラジア ル軸受部とを備える流体軸受装置において、軸受部材は、内径部および外径部が 何れも榭脂製であることを特徴とする流体軸受装置を提供する。なお、上記の「他部 材」として、モータのベースとなるブラケットゃステータコイル等を挙げることができる。
[0009] 上記のように、本発明において、軸受部材は内径部と外径部の双方が榭脂製とな る力ら、内径部を焼結金属製とした従来構成と比べ、製造工程の簡略化と材料コスト の低減とにより製造コストの低廉ィ匕が図られる。
[0010] ところで、内径部と外径部を相互に固定するための手段としては、接着によるものが 考えられる。し力しながら、接着では十分な固定力が得られず、過度の衝撃荷重が加 わった際に内径部が外径部力 抜脱するおそれが、すなわち軸受として機能しなく なるおそれがある。力かる抜脱を防止する構成として、内径部と外径部を一体成形す ることも考えられるが、これでは内径部力 軸受隙間への油の補給が期待できないた め、軸受隙間の油量が不足して潤滑不良を招くおそれがある。これに限らず、内径 部と外径部とでは、それぞれに求められる機能が異なるため、これらを共通の材料で 一体成形すれば、どうしても双方の必要機能を満足させるのが難しくなり、軸受性能 の向上に限界が生じる。
[0011] この点、上記のように、軸受部材の内 ·外径部を別部品とし、何れも榭脂で形成した 場合、溶着等の手段で両者を強固に固定することができる。これにより、内径部と外 径部との間で高い抜去力を確保して、流体軸受装置の耐衝撃荷重性を高めることが できる。
[0012] 軸受部材の内径部と外径部とは異なる榭脂で形成することができる。力かる構成と すれば、内径部および外径部のそれぞれについて、両者に求められる特性に適合し た榭脂組成物を選択使用することができ、これにより軸受装置全体での軸受性能向 上を図ることができる。なお、上記の「異なる榭脂」というのは、「ベース榭脂が異なる」 もののみならず、「充填材等を含めた榭脂組成物全体の組成が異なる」ものも含む意 である。すなわち、内径部と外径部を構成するベース榭脂を同一としつつ、充填材の 種類や配合比を異ならせた榭脂組成物も「異なる榭脂」に含まれる。また、ベース榭 脂 ·充填材の種類や配合比が全て同じでも、その密度を異ならせた場合 (非多孔質 榭脂と多孔質榭脂等)も「異なる榭脂」に含まれる。
[0013] 例えば、ラジアル軸受面を有する内径部を含油榭脂、特に多孔質の含油榭脂で形 成すれば、内径部の空孔が保持する油の表面への滲み出しにより、ラジアル軸受隙 間ゃスラスト軸受隙間等の軸受隙間に潤沢な油を供給することが可能となり、高い潤 滑性能を得ることが可能となる。多孔質の含油榭脂は、例えば気孔形成材を混合し た榭脂材料を射出成形し、その後、気孔形成材を除去し、さらに油を含浸させること によって形成される。
[0014] さらに外径部を、空孔を有しないソリッドな榭脂組成物 (非多孔質榭脂)で形成すれ ば、空孔力 の油の滲み出しによる軸受外部への油漏れあるいは他部材との接着強 度低下等の悪影響を回避することが可能となる。
[0015] また、軸受部材の内径部と外径部を何れも榭脂製とした場合、この軸受部材は、内 径部または外径部の何れか一方をインサートして射出成形することができる。インサ ート成形であれば、型精度を高めておくだけで内径部と外径部の組み付け精度を高 めることができるだけでなぐ内径部あるいは外径部の成形と、両者の組み付けとを 一工程で行うことができるので、製造コストの低廉ィ匕を図ることができる。
[0016] ところで、インサート部品の一部がキヤビティに露出する部材を射出成形 (インサー ト成形)する場合、インサート成形時の熱による精度悪化を回避するため、インサート 部品は射出材料よりも高融点のものを用いるのが一般的であるが、これだとインサー ト部品を高精度に形成しつつ、高精度な射出成形型も準備しなければならないため 、インサート成形によるコストメリットを十分に享受できな 、おそれがある。
[0017] かかる問題は、内径部と外径部を異なる榭脂で形成し、内径部および外径部のうち 、融点の低い方をインサート部品として用いることで解消することが可能である。すな わち、力かる構成とすれば、インサート部品となる側の部材表面をインサート成形時 の熱や加圧力で変形させ、インサート成形型の表面 (例えば、内型の表面)に倣わせ ることができる。したがってインサート成形型を高精度に形成しておけば、インサート 部品の成形段階ではその部品精度をラフなものとすることができるので、製造コストの 更なる低廉ィ匕を図ることができる。
[0018] 上記構成において、内径部のラジアル軸受面には、ラジアル軸受隙間に流体動圧 を発生させる動圧発生部を設けることができ、これによりラジアル軸受部を回転精度 に優れた動圧軸受で構成することが可能となる。特に、軸受部材を、内径部または外 径部の何れか一方をインサート部品とした射出成形品とする場合、例えば、内径部を 外径部よりも低融点の榭脂組成物で成形し、これをインサート部品として用いれば、 予め内型に動圧発生部の形状に対応した成形型を形成しておくことにより、上記の 特徴を利用して、内径部のラジアル軸受面に、インサート成形と同時に動圧発生部 を設けることもできる。この場合、焼結金属にこの種の動圧発生部を予め設ける場合 に比べ、工程数を減じることができる。
[0019] また、このとき、インサート成形時に付与される熱によってインサート部品の表面が 溶融して溶融結合の状態となる、もしくは成形側部材との結合界面が凹凸状となるの で、いわゆるアンカー効果によって内径部と外径部の結合強度は強固なものとなる。 [0020] 軸受部材を、内径部または外径部の何れか一方をインサート部品とした射出成形 品とする場合においても、内径部は、軸受隙間に潤滑油を供給することができる含油 榭脂で形成するのが望ましぐ特に、焼結金属同様の多孔質体で、十分量の潤滑油 を保持可能な榭脂の多孔質体 (多孔質榭脂)で形成するのがより望ま ヽ。榭脂の多 孔質体は、上述したように、気孔形成材を含有した榭脂を用いて射出成形を行い、 その後気孔形成材を除去することによって形成可能で、焼結金属に比べ、その製造 工程は簡易なものとなるからである。
[0021] 上記構成の流体軸受装置は、ロータマグネットとステータコイルとを有するモータ、 例えば HDD用のスピンドルモータ等に好ましく用 、ることができる。
発明の効果
[0022] 以上より、本発明によれば、高い軸受性能を具備する流体軸受装置を低コストに提 供することができる。
発明を実施するための最良の形態
[0023] 以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[0024] 図 1は、流体軸受装置を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念 的に示している。このスピンドルモータは、 HDD等のディスク駆動装置に用いられる もので、ディスクハブ 3を取付けた軸部材 2を回転自在に支持する流体軸受装置 1と 、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル 4aおよびロータマグ ネット 4bと、ブラケット 5とを備えている。ステータコイル 4aはブラケット 5の外周に取付 けられ、ロータマグネット 4bはディスクハブ 3の外周に取付けられている。流体軸受装 置 1の軸受部材 6は、ブラケット 5の内周に固定される。ディスクハブ 3には、磁気ディ スク等のディスク状情報記録媒体 (以下、単にディスクという。)Dがー又は複数枚保 持される。このように構成されたスピンドルモータにおいて、ステータコイル 4aに通電 すると、ステータコイル 4aとロータマグネット 4bとの間に発生する電磁力でロータマグ ネット 4bが回転し、これに伴って、ディスクハブ 3およびディスクハブ 3に保持されたデ イスク Dが軸部材 2と一体に回転する。
[0025] 図 2は、上記スピンドルモータで使用される流体軸受装置の一例を示すもので、本 発明に係る流体軸受装置の第 1実施形態の一例 (第 1構成例)を示すものである。同 図に示す流体軸受装置 1は、回転側の軸部材 2と、固定側の軸受部材 6とを主要な 構成部品として備える。なお、以下説明の便宜上、軸受部材 6の開口部から軸部材 2 の端部が突出している側を上側、その軸方向反対側を下側として説明を進める。
[0026] 本構成例では、軸受部材 6を構成する内径部 8の内周面 8aと軸部材 2の外周面 2a との間に第 1ラジアル軸受部 R1と第 2ラジアル軸受部 R2とが軸方向に離隔して設け られる。また、内径部 8の上側端面 8bと第 1フランジ部 9の下側端面 9bとの間に第 1ス ラスト軸受部 T1が設けられ、内径部 8の下側端面 8cと第 2フランジ部 10の上側端面 10bとの間に第 2スラスト軸受部 T2が設けられる。
[0027] 軸部材 2は、ステンレス鋼等の金属材料、ある!/、は、金属と榭脂のノ、イブリツド構造 とされる。軸部材 2は全体として概ね同径の軸状をなし、その中間部分には、他所より も僅かに小径の逃げ部 2bが形成されている。軸部材 2の外周面 2aのうち、第 1およ び第 2フランジ部 9、 10の固定位置には、凹部、例えば円周溝 2cが形成されている。
[0028] 軸受部材 6は、榭脂の多孔質体 (多孔質榭脂)で形成され、従来構成における軸受 スリーブに相当する円筒状の内径部 8と、榭脂の非多孔質体で形成され、内周に内 径部 8を固定可能な従来構成におけるハウジングに相当する略円筒状の外径部 7と で構成される。多孔質榭脂からなる内径部 8は、例えば、気孔形成材を配合した榭脂 組成物を用いて射出成形した後、気孔形成材を水、アルコール等の溶媒で除去して 形成される。なお内径部 8の成形には、上記の射出成形の他、内径部 8の形状や選 定される榭脂の材質等に応じて圧縮成形、押出し成形、ブロー成形、真空成形、トラ ンスファ成形などの手法を用いることもできる。
[0029] 内径部 8の内周面 8aには、第 1ラジアル軸受部 R1と第 2ラジアル軸受部 R2のラジ アル軸受面となる上下 2つの領域が軸方向に離隔して設けられ、該 2つの領域には 動圧発生部として、例えば図 3 (A)に示すようなヘリングボーン形状の動圧溝 8al、 8 a2がそれぞれ形成される。図示例では、動圧溝 8al、 8a2の双方を軸方向中心に対 して対称形状としているが、例えば上側の動圧溝 8alのうち軸方向中心に対して上 側領域の溝の軸方向幅を下側領域の溝のそれよりも長大化させることにより、軸部材 2の回転時、潤滑油に軸方向下方の押し込み力(ボンビング力)を付与することもでき る。動圧溝 8al、 8a2はラジアル軸受隙隙間を介して対向する軸部材 2の外周面 2a に形成してもよい。動圧溝は、公知のその他の形状、例えばスパイラル形状等に形 成することちでさる。
[0030] 内径部 8の上側端面 8bの一部または全部環状領域には、第 1スラスト軸受部 T1の スラスト軸受面が形成され、当該スラスト軸受面となる領域には動圧発生部として、例 えば図 3 (B)に示すようなスパイラル形状の動圧溝 8blが形成される。同様に、内径 部 8の下側端面 8cの一部または全部環状領域には、第 2スラスト軸受部 T2のスラスト 軸受面が形成され、当該スラスト軸受面となる領域には動圧発生部として、例えば図 3 (C)に示すようなスパイラル形状の動圧溝 8clが形成される。動圧発生部は、スラス ト軸受隙間を介して対向する面、すなわち第 1フランジ部 9の下側端面 9bおよび第 2 フランジ部 10の上側端面 10bに形成してもよい。なお、動圧溝形状は、上記スパイラ ル形状の他、例えばへリングボーン形状等に形成することもできる。
[0031] なお、上記の動圧溝 8al、 8a2、 8bl、 8clは、内径部 8の成形と同時に型成形する ことができる。これらは、例えば、内径部 8を成形する成形型のうち、動圧溝に対応す る領域にこれらの型部を形成しておけば容易かつ低コストに形成することができる。
[0032] 内径部 8の形成に用いるベース榭脂としては、射出成形可能で、かつ求められる耐 熱性、耐油性、機械的強度等を満足できれば熱可塑性榭脂、熱硬化性榭脂を問わ ず使用可能で、例えば、以下例示する汎用プラスチック、汎用エンジニアリングブラ スチックおよびスーパーエンジニアリングプラスチック力も選定された一または複数種 混合したものが使用可能である。上記の要求特性に優れたスーパーエンジニアリン グプラスチックを少なくとも一種混合するのが望ましい。ベース榭脂には、強化材ゃ 潤滑剤、導電材等の各種充填材をーまたは複数種配合させることもできる。
[0033] 使用可能な汎用プラスチックとして、例えば、ポリエチレン (PE)、ポリプロピレンに P)、ポリスチレン (PS)、エポキシ (EP)等を挙げることができ、また汎用エンジニアリ ングプラスチックとして、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンテレフタレート (PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)等を挙げることが できる。
[0034] また、使用可能なスーパーエンジニアリングプラスチックとして、例えば、ポリフエ二 レンサルファイド(PPS)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(P EEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミドイミド(P AI)、熱可塑性ポリイミド (TPI)、熱硬化性ポリイミド、ポリアミド(PA)、ポリアミド 6T、 ポリアミド 9Τ等の芳香族ポリアミド、テトラフルォロエチレン ·へキサフルォロプロピレ ン共重合体(PFA)、エチレン.テトラフルォロエチレン共重合体 (ETFE)等のフッ素 系共重合体榭脂等が挙げられる。
[0035] 上記のベース榭脂に、ドライブレンド、溶融混鍊等、榭脂の混合に一般に使用する 混鍊法で気孔形成材、充填材を混合させることにより、内径部 8の成形に用いる榭脂 組成物 (射出材料)が生成される。気孔形成材としては、成形時の融解を防止するた め、選定されるベース樹脂の成形温度よりも高い融点を有し、ベース榭脂に配合して 内径部 8を成形した後、ベース榭脂を溶解しな!、溶媒を用いて除去可能なものを使 用することができる。この中でも、特に、成形後の除去作業を容易に行い得る水溶性 で、また、防鲭剤として使用できる弱アルカリ性物質を好ましく使用することができる。
[0036] 気孔形成材としては、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、セバシン酸ナトリウム、コ ノ、ク酸ナトリウム、あるいはステアリン酸ナトリウム等に代表される有機アルカリ金属塩 や、炭酸カリウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、タングステン酸ナトリ ゥム、三リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等に代表される無機アルカリ金属塩等を 使用することができる。この中でも、高融点で、ベース榭脂の選定自由度を高められ 、かつ水溶性に優れる安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、セバシン酸ナトリウムが特 に好ましい。これらの金属塩は一種のみ使用する他、二種以上混合して使用しても 良い。なお、使用する気孔形成材の平均粒径は、 0. 1〜500 mとするのが望まし い。気孔形成材の粒径、すなわち内径部 8に形成される空孔径が 0. 1 μ m以下とな ると、潤滑油の表面張力によって軸受隙間への潤滑油の供給が円滑に行われず、 空孔径が 500 m以上となると、表面積が小さくなつて所期の軸受剛性が得られない 力 である。
[0037] また、気孔形成材の配合比は、ベース榭脂、気孔形成材および充填材などを含め た全量に対して、 30vol%〜90vol%とするのが好ましぐ 40vol%〜60vol%とする のが一層好ましい。 30vol%以下では十分量の空孔を確保することができず、 90vol %以上では所期の機械的強度が得られないからである。 [0038] 外径部 7は、榭脂の非多孔質体 (ソリッド榭脂)で略円筒状に形成される。この外径 部 7の外周面には図 1に示すブラケット 5の取り付け面が形成され、この取り付け面が ブラケット 5の内周面に接着、圧入、圧入接着等の手段で固定される。
[0039] 外径部 7を構成するベース榭脂は、内径部 8同様射出成形可能で、かつ求められ る耐熱性、耐油性、機械的強度等を満足できれば熱可塑性榭脂、熱硬化性榭脂を 問わず使用可能で、上述した汎用プラスチック、汎用エンジニアリングプラスチックお よびスーパーエンジニアリングプラスチック等力 選定された一または複数種混合し たものが使用可能である。ベース榭脂には、強化材 (繊維状、粉末上等の形態は問 わな ヽ)や潤滑剤、導電材等の各種充填材が一種または二種以上配合される。
[0040] この外径部 7の内周に、上記の内径部 8が固定される。両者の固定は、溶着、接着 、圧入、圧入接着等適宜の手段で行い得るが、本構成例では、界面(内径部 8の外 周面 8dおよび外径部 7の内周面 7aの一部領域)を溶融させることで両者間に高い結 合強度が得られ、かつ固定に要する時間が短い溶着で固定されている (溶着部は、 図中点線で示している)。具体的な溶着法としては、超音波溶着、レーザー溶着、振 動溶着、高周波誘導加熱溶着、あるいは熱板溶着等、公知の溶着法を用いることが でき、外径部 7および内径部 8の組成や形状等に応じて適宜選択される。
[0041] 第 1フランジ部 9および第 2フランジ部 10は、何れも黄銅等の軟質金属材料やその 他の金属材料、あるいは榭脂材料で軸部材 2とは別体のリング状に形成され、軸部 材 2の所定位置に接着固定される。このとき、軸部材 2に塗布した接着剤が、接着剤 溜りとしての円周溝 2cに充填されて固化することにより、フランジ部 9、 10の軸部材 2 に対する接着強度が向上する。
[0042] 第 1フランジ部 9の外周面 9aは、外径部 7の上端開口部の内周面 7aとの間に所定 容積の第 1シール空間 S1を形成し、また第 2フランジ部 10の外周面 10aは、外径部 7の下端開口部の内周面 7aとの間に所定容積の第 2シール空間 S2を形成する。本 実施形態において、第 1フランジ部 9の外周面 9aおよび第 2フランジ部 10の外周面 1 Oaは、それぞれ軸受装置の外部側に向力つて漸次縮径したテーパ面状に形成され る。そのため、両シール空間 S l、 S2は、互いに接近する方向(軸受部材 6の内部方 向)に漸次縮径したテーパ形状となる。軸部材 2の回転時、両シール空間 Sl、 S2内 の潤滑油は毛細管力による弓 Iき込み作用と、回転時の遠心力により引き込み作用と により、シール空間が狭くなる方向(軸受部材 6の内部方向)に向けて引き込まれる。 これにより、装置内部からの潤滑油の漏れ出しが効果的に防止される。油漏れを確 実に防止するため、図 2の拡大図(図中、左側の拡大図)に示すように、外径部 7の 上側端面 7bと下側端面 7c、第 1フランジ部 9の上側端面 9c、および第 2フランジ部 1 0の下側端面 10cにそれぞれ撥油剤カゝらなる被膜 11を形成することもできる。
[0043] 第 1および第 2シール空間 Sl、 S2は、軸受部材 6の内部空間に充満された潤滑油 の温度変化に伴う容積変化量を吸収するバッファ機能を有する。想定される温度変 化の範囲内では、油面は常時両シール空間 Sl、 S2内にある。これを実現するため に、両シール空間 Sl、 S2の容積の総和は、少なくとも内部空間に充満された潤滑油 の温度変化に伴う容積変化量よりも大きく設定される。
[0044] 上記のようにして、軸受部材 6 (内径部 8)の内周に軸部材 2を挿入した後、内径部 8 を挟むように第 1フランジ部 9および第 2フランジ部 10を軸部材 2の所定箇所に接着 固定する。このようにして組立が完了すると、両フランジ部 9、 10で密閉された軸受部 材 6の内部空間に、内径部 8の内部気孔も含め、潤滑流体として例えば潤滑油を充 満させる。
[0045] 流体軸受装置における潤滑油の注油は、例えば未注油状態の流体軸受装置を真 空槽内で潤滑油中に浸潰した後、大気圧に開放することにより行われる。本構成例 の流体軸受装置 1は、軸受部材 6の両端が開放されているので、その一端を閉じた 構成 (特許文献 1参照)に比べ、内部空間のエアを確実に潤滑油で置換することがで き、残存エアによる弊害、例えば高温時の油漏れ等を確実に回避することができる。 また、このような減圧を利用した注油方法だけでなぐ常圧下での注油(例えば、潤滑 油の加圧注油)も可能となり、注油装置および工程を簡略化して製造コストの低廉ィ匕 を図ることができる。
[0046] なお、本実構成例のように軸受部材 6 (外径部 7)が軸方向中心に対して略対称形 状をなす場合、上下を誤って組立を行うおそれがある。そのため、図示は省略するが 、外径部 7の外周面等には、上下を区別し得る識別記号を形成しておくのが望ましい 。このような識別記号は、例えば外径部 7の成形と同時に形成することができる。 [0047] 上記構成の流体軸受装置 1において、軸部材 2が回転すると、内径部 8の内周面 8 aのラジアル軸受面となる上下 2箇所に離隔して設けられる領域は、それぞれ軸部材 2の外周面 2aとラジアル軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材 2の回転に伴い 、ラジアル軸受隙間に形成された油膜は、動圧溝の動圧作用によってその油膜剛性 が高められ、軸部材 2がラジアル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、 軸部材 2をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第 1ラジアル軸受部 R1と第 2 ラジアル軸受部 R2とが形成される。
[0048] また、軸部材 2が回転すると、内径部 8の上側端面 8bのスラスト軸受面となる領域が 第 1フランジ部 9の下側端面 9bと所定のスラスト軸受隙間を介して対向し、内径部 8の 下側端面 8cのスラスト軸受面となる領域が第 2フランジ部 10の上側端面 10bと所定 のスラスト軸受隙間を介して対向する。そして軸部材 2の回転に伴い、上記スラスト軸 受隙間に形成された油膜は、動圧溝の動圧作用によってその油膜剛性が高められ、 軸部材 2がスラスト方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材 2をスラ スト方向に回転自在に非接触支持する第 1スラスト軸受部 T1と第 2スラスト軸受部 T2 とが形成される。
[0049] 以上に示すように、本発明では、内径部 8と外径部 7とが何れも榭脂製であるから、 内径部を焼結金属製とした従来構成に比べ、製造工程の簡略化と材料コストの低減 とにより製造コストの低廉ィ匕が図られる。また、内径部を焼結金属、外径部を榭脂で 形成し、両者を接着固定した従来構成に場合に比べ、溶着で界面を溶融させること により、両者間の結合強度を容易に高めることができ、耐衝撃荷重性に優れた流体 軸受装置 1を提供することができる。
[0050] また、特に本構成例では、ラジアル軸受面およびスラスト軸受面を有する内径部 8 を多孔質の含油榭脂で形成しているから、軸受運転時には、内部空孔に保持された 潤滑油のラジアル軸受隙間ゃスラスト軸受隙間への滲み出しにより、これらの軸受隙 間に潤沢な潤滑油を供給することが可能となり、高い潤滑性能を得ることができる。こ の多孔質榭脂製の内径部 8は、例えば気孔形成材を混合した榭脂組成物を射出成 形し、その後気孔形成材を除去するだけで形成可能であるから、内径部 8を焼結金 属製とした従来構成に比べ、製造工程を簡略化して流体軸受装置 1の低コスト化を 図ることもできる。さらに、外径部 7を非多孔質榭脂で形成しているから、内径部 8の 空孔からの潤滑油の滲み出しによる軸受外部への油漏れ、また、これに起因したブ ラケット 5との固定強度低下を回避することができる。
[0051] 以上に示すように、本発明に力かる流体軸受装置 1では、軸受部材 6が低コストに 得られ、し力もこの軸受部材 6は高い耐衝撃荷重性を有するものである一方で、内径 部 8と外径部 7を構成する榭脂組成物を適切に選択することにより、潤滑性能の向上 や周辺環境の汚染防止を図ることができる。
[0052] なお、以上では、内径部 8を多孔質の含油榭脂で形成する場合について説明を行 つたが、内径部 8を多孔質ではない非多孔質の含油榭脂で形成することもできる。非 多孔質の含油榭脂としては、例えば、潤滑成分 (潤滑油または潤滑グリース)をべ一 ス榭脂中に分散保持した状態で固化 (硬化)させたものが使用可能であり、その成分 となる榭脂ゃ潤滑油、潤滑グリースの種類は特に限定しないで採用できる。このよう な含油榭脂の榭脂成分の具体例としては、超高分子量ポリオレフイン、ポリフエ-レン サルファイド (PPS)、液晶ポリマー (LCP)などの熱可塑性榭脂が、また、潤滑成分の 具体例としては、鉱油、合成炭化水素油、エステル油などの潤滑油が挙げられる。ま た、榭脂として熱可塑性榭脂を使用し、かつ潤滑成分として潤滑グリースを使用する 場合には、熱可塑性榭脂の融点より高い滴点を有する潤滑グリースを採用することが 好ましい。これらの榭脂材料には、必要に応じて強化材 (繊維状、粉末上等の形態は 問わな!/ヽ)や潤滑剤、導電材等等の各種充填材がー又は複数種配合される。
[0053] また、図示は省略するが、更なる低コストィ匕を図るため、外径部 7の成形時、図 1に 示すブラケット 5を一体に成形することもできる。この場合、図 1に示すステータコイル 4aは外径部 7に固定されることとなるが、外径部 7を非多孔質榭脂で形成すれば油 漏れを防止して、ステータコイル 4aの脱落を防止することができる。
[0054] 以上、本発明に係る流体軸受装置の一構成例について説明を行ったが、本発明 は上記の流体軸受装置 1に限定適用されるものでなぐ他の形態の流体軸受装置に も好ましく適用できる。以下、流体軸受装置の他の構成例について説明を行うが、図 2に示すものと同一の機能 ·作用を有する構成部材*要素には同一の参照番号を付 与し、重複説明を省略する。 [0055] 図 4は、本発明に係る流体軸受装置の第 1実施形態の第 2構成例を示している。同 図に示す流体軸受装置 1が図 2に示す構成例と異なる主な点は、第 1フランジ部 9お よび第 2フランジ部 10の何れか一方(図 4では第 2フランジ部 10)を軸部材 2と一体形 成した点にある。これにより、フランジ部 10の固定時における軸部材 2とフランジ部 10 との間の組み付け精度 (例えば直角度)のばらつきを抑えることができ、組立時の精 度管理を容易化することが可能となる。
[0056] 図 5は、本発明に係る流体軸受装置の第 1実施形態の第 3構成例を示している。同 図に示す流体軸受装置が図 2に示す構成例と異なる主な点は、内径部 8を上側の内 径部 81と下側の内径部 82とで構成し、さらに両内径部 81、 82の間の空間を埋める スぺーサ部 83を設けた点にある。本構成例では、上側内径部 81の内周面 81aと軸 部材 2の外周面 2aとの間に第 1ラジアル軸受部 R1が設けられ、下側内径部 82の内 周面 82aと軸部 2aの外周面 2aとの間に第 2ラジアル軸受部 R2が設けられる。また、 上側内径部 81の上側端面 81bと第 1シール部材 9の下側端面 9bとの間に第 1スラス ト軸受部 T1が設けられ、下側内径部 82の下側端面 82cと第 2シール部材 10の上側 端面 10bとの間に第 2スラスト軸受部 T2が設けられる。
[0057] 図 6は、本発明に係る流体軸受装置の第 1実施形態の第 4構成例を示している。同 図に示す流体軸受装置が上記構成例と異なる主な点は、軸部材 2に設けられたフラ ンジ部 10の両端に第 1、第 2スラスト軸受部 Tl、 Τ2が設けられた点、およびシール 空間 Sが、軸部材 2の外周面 2aと外径部 7の上端側内周面 7aに固定されたシール部 材 13の内周面 13aとの間にのみ設けられ、軸受部材 6の下端側は蓋部材 12で封口 された点にある。なお、この構成例では、軸部材 2の下端側を凸球状に形成し、この 軸端を蓋部材 12の上端面で接触支持する、いわゆるピボット軸受でスラスト軸受部を 構成することちできる。
[0058] 図 7は、本発明に係る流体軸受装置の第 1実施形態の第 5構成例を示している。同 図に示す流体軸受装置 1は、主に、第 2スラスト軸受部 T2が、軸部材 2に固定された ハブ部 14の下側端面 14aと外径部 7の上側端面 7bとの間に設けられた点、およびシ ール空間 Sが外径部 7の外周面 7dとハブ部 14の内周面 14bとの間に形成された点 で以上に示す構成例と構成を異にして ヽる。 [0059] 以上では、内径部 8と外径部 7とを溶着固定することにより軸受部材 6を形成した構 成について説明を行ったが、軸受部材の形成手段は力かる手法に限定されるもので はない。具体的に述べると、軸受部材は、内径部および外径部を何れも榭脂で形成 すると共に、内径部または外径部の何れか一方をインサートして射出成形することが できる。軸受部材を力かる構成とした場合の流体軸受装置の具体的な構成例にっ 、 て以下説明を行う。
[0060] 図 8は、本発明にかかる流体軸受装置の第 2実施形態の第 1構成例を示すもので ある。同図に示す流体軸受装置 21は、回転側の軸部材 22と、固定側の軸受部材 26 とを主要な構成部品として備える。
[0061] 軸部材 22は、ステンレス鋼等の金属材料で形成される。軸部材 22は全体として概 ね同径の軸状をなし、その中間部分には、他所よりも僅かに小径の逃げ部 22bが形 成されている。軸部材 22の外周面 22aのうち、第 1および第 2フランジ部 29、 30の固 定位置には、凹部、例えば円周溝 22cが形成されている。
[0062] 軸受部材 26は、榭脂の多孔質体 (多孔質榭脂)で形成された円筒状の内径部 28 と、該内径部 28をインサートして榭脂で射出成形された外径部 27とで構成される。 多孔質榭脂からなる内径部 28は、例えば、気孔形成材を配合した榭脂組成物を用 いて射出成形した後、気孔形成材を水、アルコール等の溶媒で除去して形成される 。なお内径部 28の成形には、上記の射出成形の他、内径部 28の形状や選定される 榭脂の材質等に応じて圧縮成形、押出し成形、ブロー成形、真空成形、トランスファ 成形などの手法を用いることもできる。
[0063] 内径部 28の内周面 28aには、第 1ラジアル軸受部 R1と第 2ラジアル軸受部 R2のラ ジアル軸受面となる上下 2つの領域が軸方向に離隔して設けられ、該 2つの領域に は動圧発生部として、例えば図 9 (A)に示すようなヘリングボーン形状の動圧溝 28a 1、 28a2がそれぞれ形成される。図示例では、動圧溝 28al、 28a2を軸方向中心に 対して対称形状としているが、例えば上側の動圧溝 28alのうち軸方向中心に対して 上側領域の溝を下側領域の溝よりも軸方向幅を長大化することにより、軸部材 22の 回転時、潤滑油に軸方向下方の押し込み力(ボンビング力)を付与することもできる。 動圧溝 28al、 28a2はラジアル軸受隙隙間を介して対向する軸部材 22の外周面 22 aに形成することもできる。動圧溝はへリングボーン形状だけでなぐその他の形状、 例えばスパイラル形状等など任意の形状に形成することもできる。
[0064] また、内径部 28の上側端面 28bの一部または全部環状領域には、第 1スラスト軸受 部 T1のスラスト軸受面が形成され、当該スラスト軸受面となる領域には動圧発生部と して、例えば図 9 (B)に示すようなスパイラル形状の動圧溝 28blが形成される。同様 に、内径部 28の下側端面 28cの一部または全部環状領域には、第 2スラスト軸受部 T2のスラスト軸受面が形成され、当該スラスト軸受面となる領域には動圧発生部とし て、例えば図 9 (C)に示すようなスパイラル形状の動圧溝 28clが形成される。動圧発 生部は、スラスト軸受隙間を介して対向する面、すなわち第 1フランジ部 29の下側端 面 29bおよび第 2フランジ部 30の上側端面 30bに形成することもできる。なお、動圧 溝形状は、上記スパイラル形状の他、例えばへリングボーン形状等任意の形状に形 成することちでさる。
[0065] 内径部 28を形成するのに用いるベース榭脂としては、射出成形可能で、かつ求め られる耐熱性、耐油性、機械的強度等を満足できれば熱可塑性榭脂、熱硬化性榭 脂を問わず使用可能で、例えば、以下例示する汎用プラスチック、汎用エンジニアリ ングプラスチックおよびスーパーエンジニアリングプラスチック力 選定された一また は複数種混合したものが使用可能で、上記の要求特性に優れたスーパーェンジ- ァリングプラスチックを少なくとも一種混合するのが望ましい。ベース榭脂には、強化 材ゃ潤滑剤、導電材等の各種充填材をーまたは複数種配合させることもできる。
[0066] 使用可能な汎用プラスチックとして、例えば、ポリエチレン (PE)、ポリプロピレンに P)、ポリスチレン (PS)、エポキシ (EP)等を挙げることができ、また汎用エンジニアリ ングプラスチックとして、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンテレフタレート (PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)等を挙げることが できる。
[0067] また、使用可能なスーパーエンジニアリングプラスチックとして、例えば、ポリフエ二 レンサルファイド(PPS)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(P EEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミドイミド(P AI)、熱可塑性ポリイミド (TPI)、熱硬化性ポリイミド、ポリアミド(PA)、ポリアミド 6T、 ポリアミド 9T等の芳香族ポリアミド、テトラフルォロエチレン ·へキサフルォロプロピレ ン共重合体(PFA)、エチレン.テトラフルォロエチレン共重合体 (ETFE)等のフッ素 系共重合体榭脂等が挙げられる。
[0068] 上記のベース榭脂に、ドライブレンド、溶融混鍊等、榭脂の混合に一般に使用する 混鍊法で気孔形成材、充填材を混合させることにより、榭脂組成物 (射出材料)が生 成される。気孔形成材としては、成形時の融解を防止するため、選定されるベース榭 脂の成形温度よりも高い融点を有し、該ベース榭脂に配合して内径部 28を成形した 後、ベース榭脂を溶解しない溶媒を用いて除去可能なものを使用することができる。 この中でも、特に、成形後の除去作業を容易に行い得る水溶性で、また、防鲭剤とし て使用できる弱アルカリ性物質を好ましく使用することができる。
[0069] 気孔形成材としては、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、セバシン酸ナトリウム、コ ノ、ク酸ナトリウム、あるいはステアリン酸ナトリウム等に代表される有機アルカリ金属塩 や、炭酸カリウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、タングステン酸ナトリ ゥム、三リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等に代表される無機アルカリ金属塩等を 使用することができる。この中でも、高融点で、ベース榭脂の選定自由度を高められ 、かつ水溶性に優れる安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、セバシン酸ナトリウムが特 に好ましい。これらの金属塩は一種のみ使用する他、二種以上混合して使用しても 良い。なお、使用する気孔形成材の平均粒径は、 0. 1〜500 mとするのが望まし い。気孔形成材の粒径、すなわち内径部 28に形成される空孔径が 0. 1 μ m以下と なると、潤滑油の表面張力によって軸受隙間への潤滑油の供給が円滑に行われず、 空孔径が 500 m以上となると、表面積が小さくなつて所期の軸受剛性が得られない 力 である。
[0070] また、気孔形成材の配合割合は、ベース榭脂、気孔形成材および充填材などを含 めた全量に対して、 10vol%〜90vol%とするのが好ましぐ含油量を最低限に抑え たい場合には 10vol%〜30vol%、また、含油量を多くする場合には 40vol%〜60v ol%とするのが一層好ましい。 10vol%以下では十分量の空孔を確保することができ ず、 90vol%以上では所期の機械的強度が得られな 、からである。
[0071] 外径部 27は、上記内径部 28をインサートして射出成形された榭脂の非孔質体で、 略円筒状に形成される。この外径部 27の外周面には図 1に示すブラケット 5の取り付 け面が形成され、この取り付け面がブラケット 5の内周面に圧入、接着、圧入接着等 の手段で固定される。
[0072] 外径部 27を構成するベース榭脂は、内径部 28同様射出成形可能で、かつ求めら れる耐熱性、耐油性、機械的強度等を満足できれば熱可塑性榭脂、熱硬化性榭脂 を問わず使用可能で、上述した汎用プラスチック、汎用エンジニアリングプラスチック およびスーパーエンジニアリングプラスチック等力も選定された一または複数種混合 したものが使用可能である。ベース榭脂には、強化材 (繊維状、粉末上等の形態は 問わない)や潤滑剤、導電材等の各種充填材が一種または二種以上配合され、これ により外径部 27を形成する榭脂組成物が生成される。本構成例では、外径部 27を 形成する榭脂組成物が、内径部 28を形成する榭脂組成物よりも高融点となるように 生成される。
[0073] 上記のように、外径部 27を内径部 28よりも高融点の榭脂組成物で形成すれば、外 径部 27の成形時、インサート部品として金型内に配置した内径部 28の表面 (外周面 28d)は溶融して溶融結合の状態となるか、もしくは図 8の拡大図(図中、右側の拡大 図)に示すような凹凸面となる。そのため、射出された榭脂組成物は外周面 28dの凹 凸に入り込み、いわゆるアンカー効果によって外径部 27と内径部 28とは相互に強固 に固着する。これにより、耐衝撃性に優れた軸受部材 26が得られる。
[0074] なお、外径部 27と内径部 28の結合強度を一層高めるため、外径部 27の成形時、 内径部 28の上下端面 28b、 28cを被覆するように榭脂を射出することもできる。また、 両者間の結合強度を一層高めるため、例えば外周面 28dに、間欠的あるいは連続 的に円環溝を設けた内径部 28をインサート部品として用いることもできる(図示省略)
[0075] また、図示は省略するが、本構成例では、内径部 28の内周面 28a、上側端面 28b 、および下側端面 28cの各動圧溝形状に対応した型部を内面に設けた射出成形型 を用いて外径部 27を射出成形した。上記のように外径部 27は内径部 28よりも高融 点の榭脂組成物で形成されるから、内径部 28を成形型に投入した際には、外周面 2 8d同様、内径部 28の各面 28a〜28cを溶融 (軟化)させて成形型の表面形状に倣わ せることができる。このようにして外径部 27の成形と同時に上述した各動圧溝 28al、 28a2、 28b 1, 28clを形成することができる。このように本構成例では、求められる軸 受部材 6の形状を、全てインサート成形時に確保したので、内径部 28の成形段階で その成形精度はラフなものであっても問題なく、内径部 28は低コストに形成すること ができる。
[0076] 第 1フランジ部 29および第 2フランジ部 30は、何れも黄銅等の軟質金属材料やそ の他の金属材料、あるいは榭脂材料で軸部材 22とは別体のリング状に形成され、軸 部材 22の所定位置に接着固定される。このとき、軸部材 22に塗布した接着剤力 接 着剤溜りとしての円周溝 22cに充填されて固化することにより、フランジ部 29、 30の 軸部材 22に対する接着強度が向上する。
[0077] 第 1フランジ部 29の外周面 29aは、外径部 27の上端開口部の内周面 27aとの間に 所定容積の第 1シール空間 S1を形成し、また第 2フランジ部 30の外周面 30aは、外 径部 27の下端開口部の内周面 27aとの間に所定容積の第 2シール空間 S2を形成 する。本構成例において、第 1フランジ部 29の外周面 29aおよび第 2フランジ部 30の 外周面 30aは、それぞれ軸受装置の外部側に向かって漸次縮径したテーパ面状に 形成される。そのため、両シール空間 Sl、 S2は、互いに接近する方向(軸受部材 6 の内部方向)に漸次縮径したテーパ形状となる。軸部材 22の回転時、両シール空間 S l、 S2内の潤滑油は毛細管力による引き込み作用と、回転時の遠心力により引き 込み作用とにより、シール空間が狭くなる方向(軸受部材 26の内部方向)に向けて引 き込まれる。これにより、装置内部からの潤滑油の漏れ出しが効果的に防止される。 油漏れを確実に防止するため、図 8の拡大図(図中、左側の拡大図)に示すように、 外径部 27の上側端面 27bと下側端面 27c、第 1フランジ部 29の上側端面 29c、およ び第 2フランジ部 30の下側端面 30cにそれぞれ撥油剤力もなる被膜 31を形成するこ とちでさる。
[0078] 第 1および第 2シール空間 S l、 S2は、軸受部材 26の内部空間に充満された潤滑 油の温度変化に伴う容積変化量を吸収するバッファ機能を有する。想定される温度 変化の範囲内では、油面は常時両シール空間 S l、 S2内にある。これを実現するた めに、両シール空間 Sl、 S2の容積の総和は、少なくとも内部空間に充満された潤滑 油の温度変化に伴う容積変化量よりも大きく設定される。
[0079] 上記のようにして、軸受部材 26 (内径部 28)の内周に軸部材 22を挿入した後、内 径部 28を挟むように第 1フランジ部 29および第 2フランジ部 30を軸部材 22の所定箇 所に接着固定する。このようにして組立が完了すると、両フランジ部 29、 30で密閉さ れた軸受部材 26の内部空間に、内径部 28の内部気孔も含め、潤滑流体として例え ば潤滑油を充満させる。
[0080] 流体軸受装置 21における潤滑油の注油は、例えば未注油状態の動圧軸受装置を 真空槽内で潤滑油中に浸潰した後、大気圧に開放することにより行われる。本構成 例の流体軸受装置 21は、軸受部材 26の両端が開放されているので、その一端を閉 じた構成 (特許文献 1参照)に比べ、内部空間のエアを確実に潤滑油で置換すること ができ、残存エアによる弊害、例えば高温時の油漏れ等を確実に回避することができ る。また、このような減圧を利用した注油方法だけでなぐ常圧下での注油(例えば、 潤滑油の加圧注油)も可能となり、注油装置および工程を簡略化して製造コストの低 廉ィ匕を図ることができる。
[0081] なお、本構成例のように軸受部材 26 (外径部 27)が軸方向中心に対して略対称形 状をなす場合、上下を誤って組立を行うおそれがある。そのため、図示は省略するが 、外径部 27の外周面等には、上下を区別し得る識別記号を形成しておくのが望まし い。このような識別記号は、例えば外径部 27の成形と同時に形成することができる。
[0082] 上記構成からなる流体軸受装置 21において、軸部材 22が回転すると、内径部 28 の内周面 28aのラジアル軸受面となる上下 2箇所に離隔して設けられる領域は、それ ぞれ軸部材 22の外周面 22aとラジアル軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材 22の回転に伴い、上記ラジアル軸受隙間に形成された油膜は、動圧溝の動圧作用 によってその油膜剛性が高められ、軸部材 22がラジアル方向に回転自在に非接触 支持される。これにより、軸部材 22をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第 1 ラジアル軸受部 R1と第 2ラジアル軸受部 R2とが形成される。
[0083] また、軸部材 22が回転すると、内径部 28の上側端面 28bのスラスト軸受面となる領 域が第 1フランジ部 29の下側端面 9bと所定のスラスト軸受隙間を介して対向し、内径 部 28の下側端面 28cのスラスト軸受面となる領域が第 2フランジ部 30の上側端面 30 bと所定のスラスト軸受隙間を介して対向する。そして軸部材 22の回転に伴い、上記 スラスト軸受隙間に形成された油膜は、動圧溝の動圧作用によってその油膜剛性が 高められ、軸部材 22がスラスト方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸 部材 22をスラスト方向に回転自在に非接触支持する第 1スラスト軸受部 T1と第 2スラ スト軸受部 T2とが形成される。
[0084] 以上に示すように、本発明では、内径部 28と外径部 27とが何れも榭脂となるから、 内径部 28を焼結金属製とした従来構成に比べ、製造工程の簡略化と材料コストの低 減とにより軸受部材 26の低コストィ匕を図ることができる。また、軸受部材 26は、内径 部 28をインサートして外径部 27を射出成形したものである。インサート成形であれば 、型精度を高めておくだけで内径部 28と外径部 27の組み付け精度を高めることがで き、さらに外径部 27の成形と両者の組み付けとを一工程で行うことができるので、こ の点からも流体軸受装置 21の低コストィ匕を図ることができる。
[0085] また、本構成例では内径部 28が榭脂の多孔質体で形成されており、この樹脂の多 孔質体は、上述したように、気孔形成材を含有した榭脂を用いて射出成形を行い、 その後気孔形成材を除去することによって形成可能で、焼結金属よりも簡易な工程 で製造することができる。したがって内径部 28を榭脂の多孔質体で形成すれば、こ れを焼結金属で形成した従来構成に比べ製造コストの低廉ィ匕を図ることができる。ま た榭脂の多孔質体は、焼結金属同様内部空孔に潤滑油等を保持可能であるから、 高い回転性能を長期に亘つて維持可能な流体軸受装置 21を低コストに提供すること ができる。
[0086] なお、以上の説明では、内径部 28を多孔質榭脂で形成する場合について説明を 行ったが、内径部 28を非孔質榭脂で形成することもできる。この場合、内径部 28は、 多孔質榭脂同様軸受隙間に潤滑油を供給可能な、いわゆる含油榭脂で形成するの が望ましい。含油榭脂としては、例えば、潤滑成分 (潤滑油または潤滑グリース)をべ 一ス榭脂中に分散保持した状態で固化 (硬化)したものが使用可能であり、その成分 となる榭脂ゃ潤滑油、潤滑グリースの種類は特に限定しないで採用できる。このよう な含油榭脂の榭脂成分の具体例としては、超高分子量ポリオレフイン、ポリフエ-レン サルファイド (PPS)、液晶ポリマー (LCP)などの熱可塑性榭脂が、また、潤滑成分の 具体例としては、鉱油、合成炭化水素油、エステル油などの潤滑油が挙げられる。ま た、榭脂として熱可塑性榭脂を使用し、かつ潤滑成分として潤滑グリースを使用する 場合には、熱可塑性榭脂の融点より高い滴点を有する潤滑グリースを採用することが 好ましい。これらの榭脂材料には、必要に応じて強化材 (繊維状、粉末上等の形態は 問わな!/ヽ)や潤滑剤、導電材等等の各種充填材がー又は複数種配合される。
[0087] また、以上の説明では、内径部 28を外径部 27よりも低融点の榭脂組成物で成形し 、これをインサート部品として外径部 27を射出成形する構成としたが、外径部 27を内 径部 28よりも低融点の榭脂組成物で成形し、これをインサート部品として内径部 28 を射出成形することもできる。
[0088] さらに、図示は省略するが、更なる低コストィ匕を図るため、外径部 27を射出成形す る際、図 1に示すブラケット 5を一体に成形することもできる。
[0089] 本発明は上記構成の流体軸受装置 21に限定適用されるものでなぐ他の形態の 流体軸受装置にも好ましく適用できる。以下、流体軸受装置の他の構成例について 説明を行うが、図 8に示すものと同一の機能,作用を有する構成部材,要素には同一 の参照番号を付与し、重複説明を省略する。
[0090] 図 10は、本発明に係る流体軸受装置の第 2実施形態の第 2構成例を示して ヽる。
この構成例の流体軸受装置 21が図 8に示すものと異なる主な点は、第 1フランジ部 2 9および第 2フランジ部 30の何れか一方(図 10では第 2フランジ部 30)を軸部材 22と 一体形成した点にある。これにより、フランジ部 30の固定時における軸部材 22とフラ ンジ部 30との間の組み付け精度 (例えば直角度)のばらつきを抑えることができ、組 立時の精度管理を容易化することが可能となる。この場合、軸部材 22と第 2フランジ 部 30とは金属材料で一体形成する他、軸部材 22を金属材料で、第 2フランジ部 30 を榭脂材料で形成したハイブリッド構造とすることもできる。
[0091] 図 11は、本発明に係る流体軸受装置の第 2実施形態の第 3構成例を示して ヽる。
この流体軸受装置が図 8に示すものと異なる主な点は、内径部 28を上側の内径部 9 1と下側の内径部 92とで構成し、外径部 27に両内径部 91、 92の間の空間を埋める スぺーサ部 93を設けた点にある。本構成例では、上側内径部 91の内周面 91aと軸 部材 22の外周面 22aとの間に第 1ラジアル軸受部 R1が設けられ、下側内径部 92の 内周面 92aと軸部 22aの外周面 22aとの間に第 2ラジアル軸受部 R2が設けられる。 また、上側内径部 91の上側端面 9 lbと第 1シール部材 29の下側端面 29bとの間に 第 1スラスト軸受部 T1が設けられ、下側内径部 92の下側端面 92cと第 2シール部材 30の上側端面 30bとの間に第 2スラスト軸受部 T2が設けられる。
[0092] 図 12は、本発明に係る流体軸受装置の第 2実施形態の第 4構成例を示している。
この流体軸受装置 21が図 8、図 10、および図 11に示すものと異なる主な点は、軸部 材 22に設けられたフランジ部 30の両端に第 1、第 2スラスト軸受部 Tl、 Τ2が設けら れた点、およびシール空間 Sが、軸部材 22の外周面 22aと外径部 27の上端側内周 面 27aに固定されたシール部材 33の内周面 33aとの間にのみ設けられ、軸受部材 2 6の下端側は蓋部材 32で封口された点にある。なお、本構成例では、軸部材 32の 下端側を凸球状に形成し、この軸端を蓋部材 32の上端面で接触支持するピボット軸 受でスラスト軸受部を構成することもできる。
[0093] 図 13は、本発明に係る流体軸受装置の第 2実施形態の第 5構成例を示している。
同図に示す流体軸受装置 21は、主に、第 2スラスト軸受部 T2が、軸部材 22に固定さ れたノ、ブ部 34の下側端面 34aと外径部 27の上側端面 27bとの間に設けられた点、 およびシール空間 Sが外径部 27の外周面 27dとハブ部 34の内周面 34bとの間に形 成された点で以上に示す形態と構成を異にしている。
[0094] 以上の説明では、ラジアル軸受部 Rl、 R2として、ヘリングボーン形状やスパイラル 形状の動圧溝により潤滑油の動圧作用を発生させる構成を例示しているが、ラジア ル軸受部 Rl、 R2として、いわゆる多円弧軸受ゃステップ軸受を採用しても良い。多 円弧軸受ゃステップ軸受は、ラジアル軸受面となる領域に、それぞれ複数の円弧面 や軸方向溝を設けた構成の軸受である(図示省略)。
[0095] また、以上の説明では、ラジアル軸受部 Rl、 R2のように、ラジアル軸受部を軸方向 の 2箇所に設けた構成としたが、軸方向の 1箇所、あるいは 3箇所以上のラジアル軸 受部を設けた構成としても良い。
[0096] また、スラスト軸受部 Tl、 Τ2の一方又は双方は、例えば、スラスト軸受面となる領域 に、複数の半径方向溝形状の動圧溝を円周方向所定間隔に設けた、いわゆるステツ プ軸受、いわゆる波型軸受 (ステップ型が波型になったもの)等で構成することもでき る(図示省略)。
[0097] また、以上の説明では、ラジアル軸受部 Rl、 R2の双方を動圧軸受で構成する形 態を示したが、ラジアル軸受部 Rl、 R2の何れか一方または双方を真円軸受で構成 することもできる(図示省略)。
[0098] 以上の説明では、流体軸受装置 1, 21の内部に充満し、内径部と軸部材との間の ラジアル軸受隙間や、内径部と軸部材 (両フランジ部)との間のスラスト軸受隙間に充 満される流体として潤滑油を例示したが、潤滑油以外にも、例えば空気等の気体や、 磁性流体等を使用することもできる。
図面の簡単な説明
[0099] [図 1]本発明に係る流体軸受装置を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの断面 図である。
[図 2]本発明に係る流体軸受装置の第 1実施形態の第 1構成例を示す断面図である
[図 3] (A)図は図 2に示す内径部の断面図、(B)図は図 2に示す内径部の上側端面 を示す図、 (C)図は図 2に示す内径部の下側端面を示す図である。
[図 4]流体軸受装置の第 1実施形態の第 2構成例を示す断面図である。
[図 5]流体軸受装置の第 1実施形態の第 3構成例を示す断面図である。
[図 6]流体軸受装置の第 1実施形態の第 4構成例を示す断面図である。
[図 7]流体軸受装置の第 1実施形態の第 5構成例を示す断面図である。
[図 8]流体軸受装置の第 2実施形態の第 1構成例を示す断面図である。
[図 9] (A)図は図 8に示す内径部の断面図、(B)図は図 8に示す内径部の上側端面 を示す図、 (C)図は図 8に示す内径部の下側端面を示す図である。
[図 10]流体軸受装置の第 2実施形態の第 2構成例を示す断面図である。
[図 11]流体軸受装置の第 2実施形態の第 3構成例を示す断面図である。
[図 12]流体軸受装置の第 2実施形態の第 4構成例を示す断面図である。
[図 13]流体軸受装置の第 2実施形態の第 5構成例を示す断面図である。
符号の説明
[0100] 1、 21 流体軸受装置 2、 22 軸部材
4a ステータコィノレ 4b ロータマグネット 5 ブラケット
6、 26 軸受部材
7、 27 外径部
8、 28 内径部
9、 29 第 1フランジ部
10、 30 第 2フランジ咅 R1、R2 ラジアル軸受部 T1、T2 スラスト軸受部 Sl、 S2 シーノレ空間

Claims

請求の範囲
[1] ラジアル軸受面を有する内径部、および他部材との取り付け面を有する外径部を 備えた軸受部材と、ラジアル軸受面が面するラジアル軸受隙間に形成される油膜で 支持すべき軸をラジアル方向に支持するラジアル軸受部とを備える流体軸受装置に おいて、
軸受部材は、内径部および外径部が何れも榭脂製であることを特徴とする流体軸 受装置。
[2] 内径部と外径部とを異なる榭脂で形成した請求項 1記載の流体軸受装置。
[3] 内径部と外径部とが溶着で固定された請求項 1記載の流体軸受装置。
[4] 軸受部材は、内径部または外径部の何れか一方をインサート部品とした射出成形 品である請求項 1記載の流体軸受装置。
[5] 内径部と外径部とを異なる榭脂で形成し、内径部および外径部のうち、融点の低い 方をインサート部品として用 1、た請求項 4記載の流体軸受装置。
[6] 内径部のラジアル軸受面に、ラジアル軸受隙間に流体動圧を発生させる動圧発生 部を設けた請求項 1記載の流体軸受装置。
[7] 内径部が含油榭脂で形成された請求項 1記載の流体軸受装置。
[8] 内径部が多孔質体である請求項 1記載の流体軸受装置。
[9] 外径部が非多孔質体である請求項 1記載の流体軸受装置。
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