WO2007094390A1

WO2007094390A1 - ディスプレイおよびそれに用いられる視野角制御装置

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Publication number: WO2007094390A1
Application number: PCT/JP2007/052686
Authority: WO
Inventors: Takehiko Sakai; Tsuyoshi Okazaki; Katsuhiko Morishita; Yoshiharu Kataoka; Chikanori Tsukamura; Takahiro Sasaki
Original assignee: Sharp Kabushiki Kaisha
Priority date: 2006-02-17
Filing date: 2007-02-15
Publication date: 2007-08-23

Abstract

　表示状態を広視野角と狭視野角との間で切替えることにより様々な使用環境や用途に適応可能なディスプレイを提供する。表示装置の背面および前面の少なくとも一方に視野角制御用液晶パネル（２）を備えたディスプレイである。視野角制御用液晶パネル（２）は、透光性基板（２１ａ，２１ｂ）の間にゲストホスト液晶層（２３）を挟持している。視野角制御用液晶パネル（２）において、配向膜（２０４ａ，２０４ｂ）には表面パターン化処理がなされておらず、液晶層（２３）は、透光性基板（２１ａ，２１ｂ）に形成されたリブ（２０３ａ，２０３ｂ）によって配向方向が規制されている。駆動回路が、視野角制御用液晶パネル（２）の液晶層（２３）の配列状態を変化させることにより、表示状態を広視野角と狭視野角との間で切替える。

Description

明細書

ディスプレイおよびそれに用いられる視野角制御装置

技術分野

[0001] 本発明は、ディスプレイの視野角を広視野角と狭視野角との間で切替えられる視野角制御装置と、それを用いたディスプレイに関するものである。

背景技術

[0002] ディスプレイは、一般的には、どの視角から見ても鮮明な画像を見ることができるように、可能な限り広い視野角を有することが求められている。特に、最近広く普及してレ、る液晶ディスプレイは、液晶そのものが視角依存性を有することから、広視野角化に関して様々な技術開発がなされてきた。し力ながら、使用環境によっては、使用者本人にしか表示内容が視認できないよう、視野角が狭い方が好都合であることもある。特に、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯型情報端末 (PDA)、または携帯電話等は、電車や飛行機内など、不特定多数の人間が存在し得る場所で使用される可能性も高い。そのような使用環境においては、機密保持やプライバシー保護等の観点から、近傍の他人から表示内容を視かれたくないので、ディスプレイの視野角が狭いことが望ましい。このように、近年、 1台のディスプレイの視野角を、使用状況に応じて広視野角と狭視野角との間で切替えたいという要求が高まっている。なお、この要求は、液晶ディスプレイに限らず、任意のディスプレイに対して共通の課題である。

[0003] このような要求に対して、画像を表示する表示装置に加えて位相差制御用装置を備え、位相差制御用装置に印加する電圧を制御することによって視野角特性を変化させようとする技術が提案されている (例えば、特許第 3322197号公報)。この特許第 3322197号公報では、位相差制御用液晶表示装置で用いる液晶モードとして、カイラルネマティック液晶、ホモジニァス液晶、ランダム配向のネマティック液晶などが例示されている。

[0004] また、表示用液晶パネル上部に、視野角制御用液晶パネルを設け、これらのパネルを 2枚の偏光板で挟持し、視野角制御用液晶パネルへの印加電圧を調整することによって、視野角制御を行う構成も従来開示されている（例えば、特開平 10— 2682 51号公報）。この特開平 10— 268251号公報では、視野角制御用液晶パネルの液晶モードはッイストネマティック方式である。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0005] 上記特許第 3322197号公報では、位相差制御用液晶素子を用いることによって広視野角と狭視野角との切替えが可能であると述べられてレ、るが、その効果は十分とは言えない。例えば特許第 3322197号公報の図 6には、コントラスト比が 10 : 1の等コントラスト曲線が示されており、狭視野角では、確かに広視野角方向のコントラストが低下している。し力、しながら、この程度の変化では、隣にいる人から表示が十分に視認されてしまう。一般に、コントラスト比が 2 : 1まで低下しても、十分に表示を視認できるカゝらである。

[0006] また、特開平 10— 268251号公報の技術も、視野角制御用液晶パネルへの印加電圧を変化させてコントラストを調整することによって、広視野角と狭視野角との切替えを行うものであり、その効果は十分とは言えない。

[0007] すなわち、特許第 3322197号公報，特開平 10— 268251号公報のいずれの技術も、広視野角方向のコントラストを低下させることによって、広視野角と狭視野角との切替えを行う手法を採用しているが、このような手法では、狭視野角時に広視野角方向の遮蔽が十分ではなぐ他人から画像が見られてしまう可能性があるという問題がある。

[0008] そこで、本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、広視野角と狭視野角とを切替えることにより様々な使用環境や用途に適応可能なディスプレイと、これに用いられる視野角制御装置とを提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

[0009] 上記の目的を達成するために、本発明にかかるディスプレイは、表示すべき画像に応じて駆動される表示装置と、前記表示装置の背面および前面の少なくとも一方に配置され、前記表示装置の視野角を制御する視野角制御装置とを備えたディスプレィであって、前記視野角制御装置は、一対の透光性基板間にゲストホスト型の液晶層を有する液晶セルと、前記液晶層へ電圧を印加する駆動回路とを備え、前記視野角制御装置の背面および前面のいずれかに偏光板が設けられ、前記液晶セルは、前記一対の透光性基板のそれぞれにおいて、透光性電極膜と、表面パターン化処理がなされていない配向膜とを有し、前記液晶セルの液晶層は、前記一対の透光性基板の少なくとも一方に形成された構造物によって配向方向が規制されており、前記駆動回路が、前記視野角制御装置の液晶層の液晶分子の配列状態を変化させることにより、表示状態を、第 1の視野角範囲を提供する第 1の状態と、第 1の視野角範囲内にあり第 1の視野角範囲よりも狭い第 2の視野角範囲を提供する第 2の状態との間で切替え可能とすることを特徴とする。

[0010] 上記の構成によれば、視野角制御装置の液晶層は、前記一対の透光性基板の少なくとも一方に形成された構造物によって配向方向が規制されており、配向膜にはラビング処理等の表面パターン化処理がなされていなレ、。例えばラビング処理を行うと、ラビング布の繊維が液晶層内に残留して配向不良につながることがある力 s、上記の構成によれば、ラビング処理が不要であるため、そのような問題が生じない。なお、上記の構成において、視野角制御装置と偏光板とは、必ずしも隣接している必要はなく、それらの間に何らかの構成要素が介在しても良い。上記の構成では、ゲストホスト液晶層に所定の電圧を印加して液晶分子および二色性色素分子の配列状態を変ィ匕させることにより、前記偏光板との協働作用により、視野角制御装置から観察者側へ出射する光を、視角に応じて透過または遮蔽することができる。すなわち、表示状態を、第 1の視野角範囲を提供する第 1の状態 (広視野角）と、第 1の視野角範囲内にあり第 1の視野角範囲よりも狭い第 2の視野角範囲を提供する第 2の状態 (狭視野角）とのいずれかに切替え可能である。なお、「広視野角」と「狭視野角」とは、特定の絶対的な角度範囲を意味するのではなぐ相対的に広い視野角と、相対的に狭い視野角とを意味する。また、上記の構成では、上記従来の視野角制御技術のように広視野角側の表示のコントラストを低下させるのではなぐ光の透過および遮蔽の切替えによって視野角制御を行うことができる。この結果、様々な使用環境や用途に適応可能なディスプレイを提供することができる。

[0011] 上記のディスプレイにおいて、前記視野角制御装置の液晶層は、垂直配向および水平配向のいずれでも良い。また、前記視野角制御装置の液晶層にネマティック液晶を用いることができる。

[0012] 上記のディスプレイにおいて、前記駆動回路は、表示状態を前記第 1の状態とするときに、前記偏光板の偏光吸収軸に対して、前記液晶層に含まれる二色性色素分子の吸収軸を略平行とし、表示状態を前記第 2の状態にするときに、前記偏光板の偏光吸収軸に対して、前記液晶層に含まれる二色性色素分子の吸収軸を略直交とするよう、前記液晶層への電圧印加を制御することが好ましい。これにより、二色性色素分子の吸収軸に対して垂直な方向において、挟視野角と広視野角とを切り替えることができる。

[0013] 上記のディスプレイにおいて、前記表示装置が、直線偏光を出射する表示装置である場合は、前記偏光板が、前記表示装置に設けられた偏光板であることが好ましレ、。この構成によれば、表示装置に設けられた偏光板を視野角制御装置用の偏光板として兼用できるからである。

[0014] 上記のディスプレイは、前記表示装置が透過型液晶表示装置であり、バックライトをさらに備えた構成であっても良い。この場合、前記視野角制御装置は、前記バックライトと前記透過型液晶表示装置との間に配置されていても良いし、前記透過型液晶表示装置の前面に配置されてレ、ても良レ、。

[0015] 上記のディスプレイは、前記表示装置が、反射型液晶表示装置または半透過型液晶表示装置であっても良い。

[0016] また、上記のディスプレイにおいて、前記表示装置が自発光型表示装置であって、前記偏光板は、前記自発光型表示装置と前記視野角制御装置との間に設けられた構成としても良い。

[0017] また、上記のディスプレイにおいて、前記視野角制御装置が前記表示装置の前面に配置され、前記視野角制御装置の液晶セルと前記表示装置との間に、偏光板と位相差フィルムとをさらに備えたことが好ましい。この構成によれば、上記のさらに設けられた偏光板と位相差フィルムの軸方向に応じて、視野角を広視野角と挟視野角との間で切り替える方向を設定することができる。

[0018] 上記のディスプレイにおいて、前記構造物が、前記一対の透光性基板の少なくとも一方に形成されたリブであることが好ましい。さらに、前記リブは、前記一対の透光性基板の両方に形成され、一方の透光性基板に形成されたリブの一斜面が、他方の透光性基板に形成されたリブの一斜面と対向することが好ましい。

[0019] 上記のディスプレイにおいて、前記構造物が透光性樹脂によって形成されたことが好ましい。任意の形状に加工し易レ、からである。

[0020] 上記のディスプレイにおいて、前記一対の透光性基板の少なくとも一方において、前記透光性電極膜が存在しない領域が局所的に設けられていることが好ましい。さらに、前記構造物が、前記一対の透光性基板の一方にのみ形成され、前記一対の透光性基板の他方において、前記構造物と対向する位置に、前記透光性電極膜が存在しない領域が設けられている構成であっても良い。また、前記透光性電極膜が存在しない領域が、文字または図形パターンを構成していることも好ましい。これにより、狭視野角時に、広視野角方向から見た場合、文字または図形パターンが視認されることとなる。

[0021] 上記のディスプレイにおいて、前記一対の透光性基板の少なくとも一方において、構造物の配置状態が局所的に異なっていることが好ましい。これにより、ディスプレイの表示面の表示状態を、局所的に第 1の状態と第 2の状態に切替えることができる。

[0022] 上記のディスプレイにおいて、前記駆動回路が、前記表示装置の表示内容に応じて、表示状態を前記第 1の状態と第 2の状態との間で切替えることが好ましい。

[0023] 上記のディスプレイにおいて、周囲光の強度を測定する光学センサをさらに備え、前記駆動回路が、前記光学センサの出力が所定の閾値を下回った場合に、表示状態を前記第 2の状態とすることが好ましい。

[0024] また、上記の目的を達成するために、本発明にかかる第 1の視野角制御装置は、表示すべき画像に応じて駆動され直線偏光を出射する表示装置の背面および前面の少なくとも一方に配置され、前記表示装置の視野角を制御するために用レ、られる視野角制御装置であって、一対の透光性基板間にゲストホスト型の液晶層を有する液晶セルと、前記液晶層へ電圧を印加する駆動回路とを備え、前記液晶セルは、前記一対の透光性基板のそれぞれにおいて、透光性電極膜と、表面パターン化処理がなされていない配向膜とを有し、前記液晶セルの液晶層は、前記一対の透光性基板の少なくとも一方に形成された構造物によって配向方向が規制されており、前記駆動回路が、前記液晶層の液晶分子の配列状態を変化させることにより、光の出射範囲を、第 1の視野角範囲と、第 1の視野角範囲内にあり第 1の視野角範囲よりも狭い第 2 の視野角範囲との間で切替え可能とすることを特徴とする。

[0025] また、上記の目的を達成するために、本発明にかかる第 2の視野角制御装置は、表示すべき画像に応じて駆動される自発光型表示装置の前面に配置され、前記自発光型表示装置の視野角を制御するために用いられる視野角制御装置であって、一対の透光性基板間にゲストホスト型の液晶層を有する液晶セルと、前記液晶層へ電圧を印加する駆動回路と、前記自発光型表示装置からの出射光を直線偏光に変換する偏光板とを備え、前記液晶セルは、前記一対の透光性基板のそれぞれにおいて、透光性電極膜と、表面パターンィ匕処理がなされていない配向膜とを有し、前記液晶セルの液晶層は、前記一対の透光性基板の少なくとも一方に形成された構造物によって配向方向が規制されており、前記駆動回路が、前記液晶層の液晶分子の配列状態を変化させることにより、光の出射範囲を、第 1の視野角範囲と、第 1の視野角範囲内にあり第 1の視野角範囲よりも狭い第 2の視野角範囲との間で切替え可能とすることを特徴とする。

発明の効果

[0026] 以上のとおり、本発明によれば、表示状態を広視野角と狭視野角との間で切替えることにより様々な使用環境や用途に適応可能なディスプレイと、これに用いられる視野角制御装置とを提供できる。

図面の簡単な説明

[0027] [図 1]図 1は、本発明の一実施形態に力かるディスプレイの概略構成を示す断面図である。

[図 2]図 2 (a)および (b)は、本発明の一実施形態にかかる視野角制御用液晶パネルの詳細な構成を示す断面模式図である。

[図 3]図 3は、本発明の一実施形態に力かる視野角制御用液晶パネルの動作を示す模式図であり、 (a)は狭視野角時における液晶分子および二色性色素分子の配列状態を示し、 (b)は広視野角時における液晶分子および二色性色素分子の配列状態を示す。

[図 4]図 4は、図 3 (a)および (b)と同じ向きに配置された視野角制御用液晶パネルと表示用液晶パネルの偏光板との積層体に対する、視角の定義を表す模式図である園 5]図 5は、狭視野角による表示時に、法線方向から見た場合の液晶分子および二色性色素分子の配列状態を示す模式図である。

園 6]図 6は、本発明の一実施形態に力かるディスプレイの概略構成を示す断面図である。

園 7]図 7は、本発明の視野角制御用液晶パネルが備える液晶セルの変形例の構成を示す断面模式図である。

園 8]図 8は、本発明の視野角制御用液晶パネルが備える液晶セルの変形例の構成を示す断面模式図である。

園 9]図 9は、本発明の視野角制御用液晶パネルが備える液晶セルの変形例の構成を模式的に示す斜視図である。

[図 10]図 10は、本発明の視野角制御用液晶パネルが備える液晶セルの変形例の構成を模式的に示す斜視図である。

園 11]図 11は、本発明の視野角制御用液晶パネルによる遮光領域の分布例を示す模式図である。

園 12]図 12は、本発明の視野角制御用液晶パネルによる遮光領域の分布例を示す模式図である。

園 13]図 13は、本発明の視野角制御用液晶パネルが備える液晶セルの変形例の構成を模式的に示す斜視図である。

[図 14]図 14は、本発明の視野角制御用液晶パネルによる遮光領域の分布例を示す模式図である。

園 15]図 15は、本発明の実施形態に力かるディスプレイのさらに他の変形例の構成を示す断面図である。

[図 16]図 16は、本発明の実施形態に力かるディスプレイのさらに他の変形例の構成を示す断面図である。発明を実施するための最良の形態

[0028] 以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の一実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明に力かるディスプレイは、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。

[0029] 図 1は、本発明の一実施形態に力かる液晶ディスプレイ 100の概略構成を示す断面図である。図 1に示すように、液晶ディスプレイ 100は、画像を表示する表示用液晶パネル 1 (表示装置）と視野角制御用液晶パネル 2 (視野角制御装置）との 2枚の液晶パネルを備えている。本実施形態における表示用液晶パネル 1は透過型であり、光源としてバックライト 3が用いられる。視野角制御用液晶パネル 2は、表示用液晶パネル 1の前面 (観察者側）に設けられている。液晶ディスプレイ 100は、視野角制御用液晶パネル 2における液晶をスイッチング動作させることにより、表示用液晶パネル 1 の画像が視認できる視野角が広い状態（広視野角）と、表示用液晶パネル 1の画像が視認できる視野角が狭い状態 (狭視野角）との間で、表示状態を切替えることができる。狭視野角は、他人に表示用液晶パネル 1の画像を見られたくない場合に特に好適に用いられ、広視野角は、それ以外の通常の使用時や、表示用液晶パネル 1の画像を複数人で同時に見たい場合等に好適に用レ、られる。

[0030] 表示用液晶パネル 1は、一対の透光性基板間に液晶を挟持した液晶セル 11と、液晶セル 11の表裏に設けられた偏光板 12, 13とを有する。液晶セル 11の液晶モードやセル構造は任意である。また、表示用液晶パネル 1の駆動モードも任意である。すなわち、表示用液晶パネル 1としては、文字や画像あるいは動画を表示できる任意の液晶パネルを用いることができる。従って、図 1においては表示用液晶パネル 1の詳細な構造を図示せず、その説明も省略する。また、表示用液晶パネル 1は、カラー表示可能なパネルであっても良いし、モノクロ表示専用のパネルであっても良レ、。さらに、バックライト 3の構成にも何ら限定がなぐ公知の任意のバックライトを用いることができるので、バックライト 3の詳細な構造の図示および説明も省略する。 [0031] 図 2 (a)および (b)は、視野角制御用液晶パネル 2の構成を示す断面模式図である。視野角制御用液晶パネル 2は、なお、図 2 (a)および (b)は、液晶セル 21に対する印加電圧が 0Vの場合、 V (例えば 5V以上）の場合の液晶分子の状態をそれぞれ

H

示している。

[0032] 図 2 (a)および (b)に示すように、視野角制御用液晶パネル 2は、透光性基板 21a, 21bを、これらの基板の間隔を均一に保っためのスぺーサ（図示せず）を介して貼り合わせ、それらの基板間に液晶を挟持した構成である。本実施形態では、視野角制御用液晶パネル 2の液晶材料として、負の誘電異方性を持つ（ネガ型)ネマティック液晶に二色性色素を含有させたものを用いる。視野角制御用液晶パネル 2の液晶層のリタデーシヨン _d. _{Δ η}は、例えば、 200nm〜350nmである。

[0033] 液晶層 23の液晶材料としては、負の誘電異方性を有する（ネガ型)ネマティック液晶に二色性色素を含有させたものを用いる。図 2 (a)および (b)においては、液晶分子 23aと二色性色素分子 23bとを模式的に示した。配向膜 204a、 204bは、電圧無印加時に液晶分子 23aの分子長軸が基板面に対して略垂直になる（図 2 (a)参照）よう、垂直配向膜が用いられる。すなわち、図 2 (a)および (b)に示した構成においては、液晶層 23は、ホメオト口ピック配向である。電圧が印加されると、液晶分子 23aの分子長軸が同じ方向へ揃って傾きはじめ、印加電圧が所定の電圧値 Vを超えると、液

H

晶分子 23aの分子長軸が基板面に対して略水平になる（図 2 (b)参照）。なお、二色性色素分子 23bは、液晶分子 23aの動きに伴って、液晶分子 23aと分子長軸の向きがー致するように動作する。

[0034] なお、透光性基板 21aは、ガラス基板 201aと、例えば ITO (Indium Tin Oxide)等によって形成された透光性電極 202aと、透光性電極 202aの表面に形成されたリブ 20 3aと、配向膜 204aとを備えている。透光性基板 21bは、これと同様に、ガラス基板 20 lbと、透光十生電極 202bと、リブ 203bと、酉己向膜 204bとを備えてレヽる。酉己向膜 204a , 204bは、リブ 203a, 203bの表面と、透光十生電極 202a， 202bにおレヽてリブ 203a , 203bが形成されていない部分とを覆うよう形成されている。なお、図 2 (a)および（b )に示した構成では、透光性電極 202a, 202bは、ガラス基板 201a， 201bの表面全体に形成されている。また、ここでは、基板材料としてガラスを用いた例を挙げるが、透光性を有する限りにおレ、て、樹脂等を基板材料に用レヽても良レ、。

[0035] なお、表示用液晶パネル 1は、表示単位（画素単位またはセグメント単位）で液晶を駆動することが必要であるので、表示単位に応じた電極構造を有している力視角制御用液晶パネル 2は、電極構造に関しては制限がない。例えば、表示面全体で一様なスイッチングを行うために透光性基板 21a， 21bの全面に一様な透明電極が形成された構成としても良いし、他の任意の電極構造を取り得る。

[0036] 配向膜 204a, 204bは、液晶分子 23aを垂直配向させる垂直配向膜であり、ラビング処理や光配向処理等の配向処理はなされていなレ、。その代わりに、透光性基板 2 la, 21bのそれぞれに設けられたリブ 203a， 203b力 S、液晶分子 205にプレチルト角を与えるよう作用する。リブ 203a， 203bは、透光性電極 202a， 202bの表面に複数本設けられ、互いに平行に配置されている。これにより、液晶セル 21は、ツイスト角 0 ° (ねじれなし）のいわゆるパラレル型セルとなる。なお、配向膜 204a, 204bは、公知の手法（印刷方式）により、形成されている。

[0037] 透光性基板 21a側に設けられたリブ 203aと、透光性基板 21b側に設けられたリブ 2 03bとは、図 2 (a)および（b)に示したように、それぞれのリブの斜面が互いにほぼ対向する位置に設けられていることが好ましい。なお、リブ 203a, 203bは、図 2 (a)および (b)に示した例では、その長手方向に垂直な断面における形状が、二等辺三角形 (ほぼ正三角形）である。ただし、リブ 203a, 203bの断面形状はこれに限定されず、液晶分子 23aのプレチルト角を所望の角度に調整できる限りにおいて、任意の形状をとり得る。また、透光性基板 21a, 21bのそれぞれにおけるリブ間のピッチは、本実施形態ではぉょそ50 111〜60 111とするカこの値は一具体例に過ぎない。リブ 20 3a, 203bは、例えばアクリル樹脂等の透明樹脂を材料とし、例えばフォトリソグラフ法等によって所望のパターンに形成される。

[0038] 上記の構成によれば、液晶分子 23aおよび二色性色素分子 23bは、透光性基板 2 la, 21bの配向膜 204a， 204b (垂直配向膜）に対して分子長軸が垂直になる（ホメオト口ピック配向）が、リブ 203a, 203bの斜面によって、これらの分子にプレチルト角が与えられる。図 2 (a)に示すように、透光性電極 202a, 202b間に電圧が印加されていないときは、液晶分子 23aおよび二色性色素分子 23bは、透光性基板 21a， 21 bの基板表面に対してプレチルト角だけ傾いているがほぼ垂直に配列した状態である。そして、透光性電極 202a, 202b間に電圧が印加されると、液晶分子 23aおよび二色性色素分子 23bは、透光性基板 21a, 21bの法線に平行かつリブ 203a, 203b の長手方向に垂直な面内（すなわち図 2 (a)における紙面に平行な面内）で、印加電圧の大きさに応じて徐々に向きを変える。そして、印加電圧が所定値 V以上となると

H

、液晶分子 23aおよび二色性色素分子 23bは、図 2 (b)に示すように、分子長軸が、透光性基板 21a， 21bの基板面に対してほぼ平行、力、つリブ 203a， 203bの長手方向に対してほぼ垂直な状態で配列する。

[0039] 次に、図 3 (a)および (b)並びに図 4を参照しながら、視野角制御用液晶パネル 2の動作について説明する。図 3において、（a)は狭視野角時、（b)は広視野角時の状態を示す。なお、以下の説明においては、視野角制御用液晶パネル 2と、表示用液晶パネル 1の偏光板 12との積層体に対する、ある視点からの視角を、視野角制御用液晶パネル 2中央 2cを基準とした方位角 Θおよび極角 φによって表す。図 4は、図 3 (a)および (b)と同じ向きに配置された視野角制御用液晶パネル 2および偏光板 12 の積層体に対する、 3つの視点 P〜P力の視角を表したものである。図 4に示すよ

1 3

うに、方位角 Θとは、視点から視野角制御用液晶パネル 2の表面を含む平面へ下ろした垂線の足と、視野角制御用液晶パネル 2の中央 2cとを結ぶ線の回転角である。図 4の例では、方位角 Θは、視点!³の方向の方位角を 0° とし、視野角制御用液晶

1

パネル 2の法線方向上側から見た場合に時計回りに増加するものとする。図 4の例では、視点 Pの方位角 Θ は 90° 、視点!³の方位角は 180° である。極角 φは、視野

2 2 3

角制御用液晶パネル 2の中央 2cと視点とを結ぶ直線が、視野角制御用液晶パネル 2の法線となす角度である。

[0040] 図 3 (a)に示すように、液晶層 23へ電圧が印加されていないときは、液晶分子 23a および二色性色素分子 23bの分子長軸は、基板面に対して略垂直な状態となる。この状態では、二色性色素分子 23bの吸収軸 X は、基板面に対して略垂直である。

23

従って、偏光板 12の偏光吸収軸 X に対して直交する方位（すなわち Θ = 0° , 180

12

° )において、極角 φが比較的大きい視角（例えば 30° ≤ φ < 90° )から視野角制御用液晶パネル 2を見た場合、液晶層 23が偏光板として機能し、その視角に対する光を遮光する。従って、表示用液晶パネル 1から出射して視野角制御用液晶パネル 2へ入射した光は、偏光板 12の偏光吸収軸 X に直交する方位において極角 φが比

12

較的大きい視角力は視認されない。これにより、表示状態が挟視野角となり、他人からの視き見等を防止できる。

[0041] なお、図 3 (a)に示すように液晶層 23へ電圧が印加されていないときに、視野角制御用液晶パネル 2の法線に近レ、方向（極角 φが例えば 0° ≤ φ < 30° の範囲）から見た場合は、図 5に示すように、液晶分子 23aおよび二色性色素分子 23bを分子長軸に平行な方向から見ることとなる。従って、視野角制御用液晶パネル 2の法線に近い方向から見た場合は、全方位角について、液晶層 23による光の吸収がほとんど無ぐ表示用液晶パネル 1の表示画像をほぼ完全に視認することができる。

[0042] 一方、図 3 (b)に示すように、液晶層 23へ電圧が印加されたときは、液晶分子 23a および二色性色素分子 23bの分子長軸は、基板面に対して略平行、かつ偏光板 12 の偏光吸収軸 X に略平行となる。これにより、表示用液晶パネル 1から出射して視野

12

角制御用液晶パネル 2へ入射した光は、視野角制御用液晶パネル 2において遮蔽されることなぐ広い視野角から視認される。また、液晶層 23はゲストホスト液晶であるので、液晶層の複屈折に起因する色付きもなぐ良好な表示が得られる。

[0043] 以上のとおり、視野角制御用液晶パネル 2へ電圧を印加しなレ、状態では、狭レ、視角範囲についてのみ表示用液晶パネル 1の表示を視認でき、所定の電圧を印加したときは、広い視角範囲から表示用液晶パネル 1の表示を視認できる。

[0044] なお、上記の説明では、方位角が主に 0° 付近および 180° 付近からの視角について、広視野角と挟視野角とを切り替えられる構成を例示した。しかし、図 6に示すように、表示用液晶パネル 1と視野角制御用液晶パネル 2との間に、偏光板 12から視野角制御用液晶パネル 2側へ出射された偏光光の偏光方向を 90° 回転させる位相差フィルム 4と、偏光板 12の偏光吸収軸 X に略直交する偏光吸収軸を有する偏光

12

板 5とを設ければ、視野角制御用液晶パネル 2への印加電圧の ON/OFFにより、方位角が主に 90° 付近および 270° 付近からの視角について、広視野角と挟視野角とを切り替えられる。

[0045] 上記の説明では、視野角制御用液晶パネル 2において、透光性基板 21a, 21bの両方にリブを備えた構成を例示した。しかし、図 7に示すように、透光性基板 21a, 21 bのいずれか一方（図 7の例では 21b側）のみにリブを設けることによって十分なプレチルト角を付与できる場合は、他方の透光性基板のリブを省略しても良い。

[0046] また、図 8に示すように、リブが設けられていない透光性基板（ここでは 21a)において、リブにほぼ対向する箇所に、透光性電極 202aが存在しない領域を局所的に設けることも好ましい。すなわち、図 8の構成では、透光性基板 21aの透光性電極 202a において、透光性基板 21bのリブ 202bに対向する位置に、スリットが設けられている。このようなスリットは、透光性電極 202aの電極材料（例えば IT〇）をガラス基板 201 a上に塗布した後、スリット形状に対応するマスクを用いたフォトリソグラフイエ程を実施すること等によって容易に形成できる。図 8に示すように、リブに対向する箇所に、透光性電極が存在しない領域を局所的に設けることにより、視野角制御用液晶パネノレ 2の液晶層 23に電圧を印加したときに上下の透光性基板 21a, 21b間に生じる電界が、液晶層 23に対して斜めになる。従って、図 8の構成では、透光性基板 21b側のリブ 203bと上記の斜め電界との相互作用によって、液晶分子 23aのプレチルト角が決定される。

[0047] また、本実施形態において上述した構成の応用例として、図 9に示すように、透光性基板 21a, 21bの表面を複数の局所領域（この例では、 21a 〜21a · · ·、 21b 〜2

1 6 1 lb · · · )に分割し、互いに隣接する局所領域におけるリブ 203a 〜203a · · ·、 203b

6 1 6

〜203b · · ·の長手方向が直交するように構成しても良い。これにより、視野角制御

1 6

用液晶パネル 2の液晶層 23において、上記の局所領域に対応して、液晶分子 23a の配向方向が互いに異なる領域が形成される。すなわち、ラビング処理によって配向処理を行う場合は、局所的に配向方向を異ならせることは不可能であるが、本実施形態のように、構造物（リブ）によって配向方向を規制する場合は、視野角制御用液晶パネル 2の液晶層 23において、液晶分子 23aの配向方向を局所的に異ならせることが可能である。

[0048] 図 9に示す構成によれば、図 10に示すように、隣接する局所領域間で、電圧印加時に液晶分子 23aが回転する方向が直交する。従って、液晶層 23へ電圧を印加しないときは、図 11に示すように、広視野角方向から見た場合に遮光される領域と遮光されない領域との分布力 S、チェッカーボードパターンとなる。これにより、挟視野角での表示時に広視野角方向から見ると、表示用液晶パネル 1の画像の表示面積の約半分が遮光されて黒表示となり、他人から司見き見されにくい表示状態を実現できる

。なお、図 9〜図 11では、視野角制御用液晶パネル 2の基板面を均等分割した例を示したが、分割比に応じて、例えば図 12に示すような、視覚的に錯覚を生じるようなパターンや、その他の任意のパターンの遮光領域を、挟視野角時に形成することもできる。

[0049] また、図 8に示した構成の応用例として、図 13に示すように、透光性基板 21bの表面領域を複数の局所領域 (この例では、 21b〜21b · · · )に分割し、互いに隣接する

1 6

局所領域におけるリブ 203b〜203b · · ·の長手方向が直交するようにしても良い。

1 6

この場合、図 13に示すように、透光性基板 21a側の透光性電極 202aに、局所領域 2 la〜21a · · ·の境界パターンと略一致するように、スリット S21を形成しても良レ、。図

1 6

13に示す構成によっても、図 11に示したように、広視野角方向から見た場合に遮光される領域と遮光されなレ、領域との分布が、チェッカーボードパターンとなる。

[0050] また、さらなる応用例として、透光性基板 21a側の透光性電極 202aのスリットを、例えば図 14に一例を示すような任意の文字や記号のパターンとすれば、挟視野角での表示時に、広視野角方向から見た場合に、図 14に示すようなパターン以外は遮光された画面が視認され、他人から司見き見されにくい表示状態を実現できる。

[0051] なお、図 1では、視野角制御用液晶パネル 2が、表示用液晶パネル 1の前面 (観察者側）に配置された構成を示したが、視野角制御用液晶パネル 2を偏光板 12と液晶セル 11との間に配置した構成としても、上記と同様の効果が得られる。また、視野角制御用液晶パネル 2は、バックライト 3と表示用液晶パネル 1との間に配置されていても良い。また、図 1では、表示用液晶パネル 1が透過型液晶パネルである例を示した力表示用液晶パネル 1は、半透過型液晶パネルであっても良い。

[0052] なお、本実施形態は、あくまでも本発明の具体例を示すものであって、本発明の技術的範囲をこれらの具体例に限定する意図はない。例えば、上記の説明では、ネガ型ネマティック液晶を用いた垂直配向のゲストホスト液晶層を例示した力 S、ポジ型ネマティック液晶を用いた水平配向のゲストホスト液晶層を用いても上記と同様の効果が得られる。ポジ型ネマティック液晶を用いた場合、ネガ型ネマティック液晶を用いた場合と液晶分子の挙動が異なり、電圧無印加時は液晶分子が基板に対して平行 (ホモジニァス配向）となり、印加電圧に応じて、液晶分子が基板に対して立ち上がる。従って、広視野角時は視野角制御用液晶パネル 2の液晶層 23に電圧を印加せず、狭視野角時は所定の電圧を印加すれば良レ、。

[0053] さらに、上記の説明では、視野角制御用液晶パネル 2の液晶層全体が一様に制御される構成を例示した。しかし、透光性基板 21a, 21bにおける透光性電極 202a， 2 02bの構造を、基板の局所領域毎に異ならせれば、液晶の動作を局所領域毎に制御すること力 Sできる。これにより、表示画面の視野角の広さを局所領域毎に異ならせることも可肯である。

[0054] また、上記の説明では、表示装置の背面または前面に視野角制御装置を配置した例を説明したが、表示装置の背面と前面との両方に視野角制御装置を配置した構成も、本発明の技術的範囲に含まれる。

[0055] また、上記の説明では、表示装置の具体例として、透過型液晶パネルを挙げた力表示装置はこれに限定されない。例えば、反射型または半透過型の液晶表示パネルを表示装置として用いることもできる。また、液晶表示パネルのような非発光型表示装置に限らず、例えば、 CRT (Cathode Ray Tube)、プラズマディスプレイ、有機 EL ( Electronic Luminescence)素子、無機 EL素子、 LED (Light Emitting Diode)ディスフ。レイ、蛍光表示管（Vacuum Fluorescent Display)、電界放出ディスプレイ（Field Emis sion Display)、表界アイスプレイ (Surface-conduction Electron-emitter Display) 等の自発光型表示装置を用いることもできる。

[0056] 図 15は、表示装置として、反射型の液晶表示パネルを用いた場合の構成例である。図 15に示す液晶ディスプレイ 300は、反射型液晶表示パネル 30の前面 (観察者側 )に、視野角制御用液晶パネル 2を配置した構成である。反射型液晶表示パネル 30 は、観察者と反対側の基板に反射板（図示せず)を備えた反射型液晶セル 31と、反射型液晶セル 31の上面に配置された偏光板 32とを備えている。反射型液晶セルの構造および動作は周知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。液晶ディスプレィ 300では、反射型液晶表示パネル 30の偏光板 32と、視野角制御用液晶パネル 2 との積層体が、液晶ディスプレイ 100に関して図 3 (a)および (b)に示した積層体と同等に機能する。従って、図 15に示す液晶ディスプレイ 300においても、液晶ディスプレイ 100と同様に、視野角制御用液晶パネル 2に印加する電圧を少なくとも二段階に切替えることにより、液晶ディスプレイ 300の表示状態を広視野角と狭視野角との間で切替えることができる。

[0057] また、図 16は、表示装置として、例えば EL素子等の自発光型表示装置を用いた場合の構成例である。図 16に示すディスプレイ 400は、自発光型表示装置 40の前面（観察者側）に、視野角制御用液晶パネル 2を配置した構成である。この場合は、視野角制御用液晶パネル 2と自発光型表示装置 40との間に、自発光型表示装置 40から出射される光を偏光に変換するための偏光板 22を備えている。偏光板 22の偏光吸収軸は、図 3 (a)および (b)に示したように、電圧印加時の視野角制御用液晶パネル 2の液晶層 23の偏光吸収軸と平行になるよう配置されている。従って、図 16に示すディスプレイ 400におレ、ても、液晶ディスプレイ 100と同様に、視野角制御用液晶パネル 2の液晶層に印加する電圧を少なくとも二段階に切替えることにより、ディスプレィ 400の表示状態を広視野角と狭視野角との間で切替えることができる。

[0058] なお、上記の実施形態のいずれにおいても、ディスプレイの表示状態が狭視野角であるときに、ユーザにその旨を知らせるためのメッセージ、画像、またはアイコン等を、表示装置の画面に表示するようにしても良い。

[0059] また、上記の実施形態のいずれにおいても、表示装置で表示される画像の内容に応じて視野角制御装置の駆動回路が動作し、狭視野角と広視野角とを自動的に切替えるようにしても良い。例えば、ディスプレイがインターネットのウェブページを見るために用いられる場合、ウェブページの内容に応じて各ページに関連付けられたソフトウェアフラッグを参照し、他人から見られないことが好ましい内容である場合等に、狭視野角の表示状態に自動的に切替えるようにしても良い。また、ブラウザが喑号ィ匕モードで起動された場合に、狭視野角の表示状態へ切替えるようにしても良い。

[0060] また、ディスプレイ力データ入力装置の一部である場合、またはデータ入力装置と関連し、入力されているデータタイプまたは入力されようとするデータタイプが機密性を有するものである場合等に、ディスプレイの表示状態を狭視野角に切替えるよう調整することも可能である。例えば、ユーザが何らかの個人識別番号を入力したとき等に、ディスプレイが自動的に狭視野角に切替わるようにすれば良い。

[0061] なお、上記の実施形態のいずれにおいても、視野角制御装置は、表示装置から取り外しが可能なモジュールまたはカバーとして形成されても良レ、。そのような取り外し可能なモジュールは、表示装置に取り付けられたときに、表示装置に電気的に接続されることによって、適切な電力と制御信号を得ることができる。

[0062] また、上記の実施形態のいずれにおいても、ディスプレイの周囲光を測定する光学センサ（アンビエントセンサ）をさらに備え、光学センサの測定値が所定の閾値を下回るときに、ディスプレイの表示状態を狭視野角とすることも好ましレ、。

[0063] なお、本発明に力、かるディスプレイおよび視野角制御装置の用途は多岐に亘る。

例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯型情報端末 (PDA)、携帯型ゲーム機、または携帯電話等のディスプレイに適用されるだけでなぐ ATM (現金自動受け払い機）、公共の場に設置される情報端末、券売機、および車載用ディスプレイ等、様々な機器のディスプレイに適用される。

[0064] また、本発明に力かる視野角制御装置は、ディスプレイに組み込まれた状態で実施されることもある力ディスプレイの部品として、視野角制御装置単体で製造され、流通する可能'性もある。

産業上の利用分野

[0065] 本発明は、広視野角と狭視野角とを切替えることにより様々な使用環境や用途に適応可能なディスプレイと、これに用レ、られる視野角制御装置として、産業上利用可能である。

Claims

請求の範囲

[1] 表示すべき画像に応じて駆動される表示装置と、

前記表示装置の背面および前面の少なくとも一方に配置され、前記表示装置の視野角を制御する視野角制御装置とを備えたディスプレイであって、

前記視野角制御装置は、一対の透光性基板間にゲストホスト型の液晶層を有する液晶セルと、前記液晶層へ電圧を印加する駆動回路とを備え、

前記視野角制御装置の背面および前面のいずれかに偏光板が設けられ、前記液晶セルは、前記一対の透光性基板のそれぞれにおいて、透光性電極膜と、表面パターン化処理がなされていない配向膜とを有し、前記液晶セルの液晶層は、前記一対の透光性基板の少なくとも一方に形成された構造物によって配向方向が規制されており、

前記駆動回路が、前記視野角制御装置の液晶層の液晶分子の配列状態を変化させることにより、表示状態を、第 1の視野角範囲を提供する第 1の状態と、第 1の視野角範囲内にあり第 1の視野角範囲よりも狭い第 2の視野角範囲を提供する第 2の状態との間で切替え可能とすることを特徴とするディスプレイ。

[2] 前記視野角制御装置の液晶層は垂直配向または水平配向である、請求項 1に記載のディスプレイ。

[3] 前記視野角制御装置の液晶層にネマティック液晶を用いた、請求項 1または 2に記載のディスプレイ。

[4] 前記駆動回路は、表示状態を前記第 1の状態とするときに、前記偏光板の偏光吸収軸に対して、前記液晶層に含まれる二色性色素分子の吸収軸を略平行とし、表示状態を前記第 2の状態にするときに、前記偏光板の偏光吸収軸に対して、前記液晶層に含まれる二色性色素分子の吸収軸を略直交とするよう、前記液晶層への電圧印加を制御する、請求項 1〜3のいずれか一項に記載のディスプレイ。

[5] 前記表示装置が、直線偏光を出射する表示装置であって、

前記偏光板は、前記表示装置に設けられた偏光板である、請求項：!〜 4のいずれか一項に記載のディスプレイ。

[6] 前記表示装置が透過型液晶表示装置であり、バックライトをさらに備えた、請求項 5 に記載のディスプレイ。

[7] 前記視野角制御装置が、前記バックライトと前記透過型液晶表示装置との間に配置された、請求項 6に記載のディスプレイ。

[8] 前記視野角制御装置が、前記透過型液晶表示装置の前面に配置された、請求項

6に記載のディスプレイ。

[9] 前記表示装置が、反射型液晶表示装置または半透過型液晶表示装置である、請求項 5に記載のディスプレイ。

[10] 前記表示装置が、自発光型表示装置であって、

前記偏光板は、前記自発光型表示装置と前記視野角制御装置との間に設けられている、請求項 1〜4のいずれか一項に記載のディスプレイ。

[11] 前記視野角制御装置が前記表示装置の前面に配置され、前記視野角制御装置の液晶セルと前記表示装置との間に、偏光板と位相差フィルムとをさらに備えた、請求項 1〜10のいずれか一項に記載のディスプレイ。

[12] 前記構造物が、前記一対の透光性基板の少なくとも一方に形成されたリブである、請求項 1〜： 11のいずれか一項に記載のディスプレイ。

[13] 前記リブは、前記一対の透光性基板の両方に形成され、一方の透光性基板に形成されたリブの一斜面が、他方の透光性基板に形成されたリブの一斜面と対向する

、請求項 12に記載のディスプレイ。

[14] 前記構造物は透光性樹脂によって形成された、請求項：!〜 13のいずれか一項に記載のディスプレイ。

[15] 前記一対の透光性基板の少なくとも一方において、前記透光性電極膜が存在しない領域が局所的に設けられている、請求項 1〜： 14のいずれか一項に記載のディスプレイ。

[16] 前記構造物が、前記一対の透光性基板の一方にのみ形成され、

前記一対の透光性基板の他方において、前記構造物と対向する位置に、前記透光性電極膜が存在しない領域が設けられている、請求項 15に記載のディスプレイ。

[17] 前記透光性電極膜が存在しなレ、領域が、文字または図形パターンを構成してレ、る

、請求項 15に記載のディスプレイ。

[18] 前記一対の透光性基板の少なくとも一方において、構造物の配置状態が局所的に異なっている、請求項 1〜： 17のいずれか一項に記載のディスプレイ。

[19] 前記駆動回路が、前記表示装置の表示内容に応じて、表示状態を前記第 1の状態と第 2の状態との間で切替える、請求項 1〜： 18のいずれか一項に記載のディスプレイ

[20] 周囲光の強度を測定する光学センサをさらに備え、

前記駆動回路が、前記光学センサの出力が所定の閾値を下回った場合に、表示状態を前記第 2の状態とする、請求項:!〜 19のいずれか一項に記載のディスプレイ。

[21] 表示すべき画像に応じて駆動され直線偏光を出射する表示装置の背面および前面の少なくとも一方に配置され、前記表示装置の視野角を制御するために用いられる視野角制御装置であって、

一対の透光性基板間にゲストホスト型の液晶層を有する液晶セルと、

前記液晶層へ電圧を印加する駆動回路とを備え、

前記液晶セルは、前記一対の透光性基板のそれぞれにおいて、透光性電極膜と、表面パターン化処理がなされていない配向膜とを有し、前記液晶セルの液晶層は、前記一対の透光性基板の少なくとも一方に形成された構造物によって配向方向が規制されており、

前記駆動回路が、前記液晶層の液晶分子の配列状態を変化させることにより、光の出射範囲を、第 1の視野角範囲と、第 1の視野角範囲内にあり第 1の視野角範囲よりも狭い第 2の視野角範囲との間で切替え可能とすることを特徴とする視野角制御装置。

[22] 表示すべき画像に応じて駆動される自発光型表示装置の前面に配置され、前記自発光型表示装置の視野角を制御するために用いられる視野角制御装置であって、一対の透光性基板間にゲストホスト型の液晶層を有する液晶セルと、

前記液晶層へ電圧を印加する駆動回路と、

前記自発光型表示装置からの出射光を直線偏光に変換する偏光板とを備え、前記液晶セルは、前記一対の透光性基板のそれぞれにおいて、透光性電極膜と、表面パターン化処理がなされていない配向膜とを有し、前記液晶セルの液晶層は、前記一対の透光性基板の少なくとも一方に形成された構造物によって配向方向が規制されており、