WO2007013187A1 - レンジフードファン及び調理ガス捕集排気方法 - Google Patents

Abstract

【課題】 　上昇気流が微弱であるＩＨ調理器が設置された調理台における排気にも充分に対応可能な技術を提供すること。 【解決手段】 　調理台２の周辺の空気を、上昇気流Ｕを利用して効率良く捕集して排気するために、フード本体１０と、該フード本体１０内部に収容配置された排気用の第１ファン１１と、該第１ファン１１へ導入される空気の流れ方向の上流側位置に配置された吸気用の第２ファン１２と、を少なくとも備えるレンジフードファン１を提供する。

Description

明 細 書

レンジフードファン及び調理ガス捕集排気方法

技術分野

[0001] 本発明は、調理によって発生する熱気、水蒸気、油煙等の調理ガスの捕集排気技 術に関する。より詳しくは、調理台周辺の空気を、上昇気流により効率良く捕集して 排気できるレンジフードファン及び調理ガス捕集排気方法に関する。

背景技術

[0002] 熱源を有する調理台において調理作業を行うと、熱気 (燃焼ガス)、水蒸気、油煙 等が発生する。このため、調理台力 所定距離力 離れた上方箇所には、調理台周 辺の空気を捕集して外部へ向けて排気するためのレンジフードファンが配置されて いる。

[0003] このレンジフードファンは、一般に、吸排気のためのファン装置と、該ファン装置を 取り囲むフード本体と、を備えており、前記ファン装置の負圧効果によって調理台周 辺の空気を捕集して、これを排気する構成となっている。このため、空気の捕集力を 向上させることを目的に、ファン装置の動力エネルギーを高めたり、フード本体の形 状を工夫したり、空気を整流したりなどの工夫がなされている。

[0004] し力しながら、従来のレンジフードファンは、ファン装置の極近傍範囲の空気を負圧 吸入しているに留まるので、調理台周辺の空気に、ファン装置に至る上昇気流を強 制的に形成することが難しい。即ち、調理台からファン装置へ向けた空気の流れは、 調理器の熱源によって温められた空気の自然上昇に依存するところが多かった。こ のため、従来のレンジフードファンの空気捕集能力は充分ではなぐ室内への熱、水 蒸気、油煙、臭いなどの拡散を有効に防止できな力つた。

[0005] また、近年、電磁誘導力卩熱式（Electromagnetic Induction Heating Type)の調理器 具 (以下、「IH式調理器」と称する。）が、火を使わないので安全性が高い、燃焼ガス が発生しないので空気が汚れ難い、天板が平らで手入れがし易い、温度調節がし易 V、等の理由力 急速に普及し始めて 、る。

[0006] この IH式調理器は、ガス調理器とは異なって、熱源自体によって空気が温められる ことがないので、調理台周辺の空気において発生する上昇気流が微弱である。この ため、従来のレンジフードファンでは、 IH式調理器による調理作業によって発生した 水蒸気、油煙、臭いなどを、上昇気流を活用して捕集してファン装置に導くことが基 本的に難しい。

[0007] 特許文献 1〜3には、 IH式調理器を視野に入れて、渦流形成手段によって上昇気 流捕集効果を向上させるように工夫したレンジフードファンが提案されて 、る。また、 特許文献 4には、上昇気流の不足を補うために、排気ファンの背面側に形成したハイ パス通路に電動ファンを設けた構成のレンジフードファンが開示されている。

特許文献 1 :特開 2003— 097838号公報。

特許文献 2：特開 2002— 033144号公報。

特許文献 3：特開 2004— 077073号公報。

特許文献 4：特開 2004— 060968号公報。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0008] 今後、 IH式調理器が益々普及すると予想されることやオープンキッチンやアイラン ド型キッチンなどのキッチンレイアウトの採用が増加し、キッチンとその周辺空間の境 力 Sなくなる傾向があること、などを踏まえると、従来にも増して、調理台周辺の空気を 効率良く捕集して排気できる技術の開発が必要となる。

[0009] そこで、本発明は、上昇気流が微弱である IH式調理器が設置された調理台におけ る排気にも充分に対応できる技術であって、調理台周辺の空気を上昇気流によって 効率良く捕集して排気可能なレンジフードファン及び調理ガス捕集排気方法を提供 することを主な目的とする。

課題を解決するための手段

[0010] 本発明では、まず、調理台周辺の空気を捕集して排気するためのレンジフードファ ンであって、（1)フード本体と、（2)該フード本体内部に収容配置された排気用の第 1ファンと、（3)該第 1ファンへ導入される空気の流れ方向の上流側位置に配置され た吸気用の第 2ファンと、を少なくとも備えるレンジフードファンを提供する。

[0011] このレンジフードファンを構成する第 1ファンは、フード本体内へ導入されてきた空 気を押し出して排気を行う役割を果たす。第 2ファンは、調理台周辺に存在する空気 に上昇気流を形成しながら前記第 1ファンに向けて空気を導入する（引き込む)役割 や第 1ファンと協働して排気に寄与するため、第 1ファンの動力エネルギーや音量の 低減を達成する役割を果たす。

[0012] この第 2ファンは、好適には、調理台に対向するように配置された構成であり、ファ ン装置としては、プロペラファンを採用することが望ましい。また、調理台に対向する フード本体開口部には、該開口部全域を覆うネットを取り付けておくことによって、開 口部全域力も空気を捕集することができる。上記構成のレンジフードファンは、上昇 気流形成能に優れるので、上昇気流が微弱である IH調理器 (電磁誘導加熱式調理 器)の上方箇所に取り付けるのが、特に好適である。

[0013] 次に、本発明は、調理台周辺の空気を捕集して排気するためのレンジフードファン のフード本体内部に排気用の第 1ファンを設け、さらに、この第 1ファンへ導入される 空気の流れ方向の上流側位置に吸気用の第 2ファンを配設しておき、前記第 1ファン の排気風量と前記第 2ファンの吸気風量を均衡させて流れ抵抗を低減することによつ て、調理台周辺の空気において上昇気流の形成を促進させるように工夫した調理ガ ス捕集排気方法を提供する。なお、本発明において「調理ガス」は、熱源によって発 生する燃焼ガス、水蒸気、油煙、臭いなどをすベて含む。

[0014] 本方法では、フード本体内部に二つのファン装置 (第 1ファンと第 2ファン）が配設さ れた構成であることから、これらのファン装置が空気の流れ抵抗となってしまわな 、よ うに、前記第 1ファンの排気風量と前記第 2ファンの吸気風量とが均衡するように運転 制御し、調理台周辺の空気が円滑に二つのファン装置を通過して排気されるように 工夫している。

発明の効果

[0015] 本発明に係る調理ガス捕集排気技術によれば、調理台周辺の空気に上昇気流を 形成することによって、該空気を効率良く捕集して排気することができる。したがって 、ガスレンジ等と比較して上昇気流が微弱である IH調理器が設置された調理台に ヽ ても、排気を充分に行うことができる。

発明を実施するための最良の形態 [0016] 以下、本発明を実施するための好適な形態について、添付図面を参照しながら説 明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を 示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。

[0017] まず、図 1は、本発明に係るレンジフードファン並びに当該レンジフードファンを使 用した調理ガス捕集排気方法の構成及び概念を説明するための図である。なお、図 1で示されたレンジフードファンは、フード本体内部の主要構成を簡略に示して 、る。

[0018] 図 1の符号 1は、本発明に係るレンジフードファンを示している。このレンジフードフ アン 1は、ガス燃焼式調理器や IH式調理器などの調理器が設置された調理台 2から 所定距離以上離れた上方位置に取り付けられ、熱気 (燃焼ガス)、水蒸気、油煙、臭 Vヽなどを含む調理ガスを排気するために使用される。

[0019] このレンジフードファン 1は、内部に配置されるファン装置群などを取り囲むフード本 体 10と、該フード本体 10内部の中央略上方位置に配置されている排気用の第 1ファ ン 11と、該第 1ファン 11の下方位置に配置された吸気用の第 2ファン 12と、を少なく とも備えている。

[0020] フード本体 10の形状やサイズは、特に限定されず、設置箇所の条件に対応する形 状やサイズを適宜選定可能である。図 1において例示されたフード本体 10は、上方 側の細胴部 101と、該細胴部 101の下方に末広がる裾部 102と、からなつており、裾 部 102の下面には調理台 2に対向する開口部 103が形成されている。この開口部 10 3は、調理台 2上で調理作業が行われたときに発生する調理ガスの吸い込み口として 機能する。

[0021] なお、フード本体 1の材料は、特に限定されないが、耐熱性があり、かつ、運搬や取 り付け作業を考慮してできるだけ軽量の材料であって、さらには、油汚れなどの掃除 力し易い材料を採用するのが望ましぐ例えば、強度的に問題がない程度に薄肉化 されたステンレス板やアルミニウム板などで形成することができる。

[0022] ここで、第 1ファン 11は、前記細胴部 101の内部の所定箇所に固定配置されており 、下方側力 送り込まれてくる空気 Gを引き込んで外部方向へ向けて排気する役割を 担っている。なお、図 1において符号 Wは、第 1ファン 11から排出されてきた排ガスを 示している。 [0023] この第 1ファン 11の具体的なファン装置の構成は、狭く限定はされることはないが、 例えば、図 1に示すような、いわゆる「シロッコファン」を好適に採用することができる。 なお、「シロッコファン」は、遠心力によって導入されてきた空気を押し出す構成を備 えるファン装置の名称である。このシロッコファンは、空気の押し出し力に優れている ため、ダクト 105を通じて排ガス Wを外部まで送り出す場合に好適である。

[0024] 続いて、第 2ファン 12は、裾部 102の開口部 103近傍箇所に配置されている。図 1 に示された実施形態において第 2ファン 12は、調理台 2に対向（対面)するように配 置されている。この第 2ファン 12は、調理台 2周辺の空気を効率良く吸い込むことが できるファン装置であれば適宜採用することが可能であって、一例を挙げると、プロべ ラファンを好適に採用することができる。なお、図 1中の符号 121は、プロペラファンの 動力モータ、符号 122はプロペラファンの翼を示している。

[0025] 図 2は、本発明に係るレンジフードファン 1を開口部 103側力も正面視した平面図で ある。なお、この図 2では、図 1において符号 104で示すネットを取り外して、プロペラ ファン全体が外観視できる状態で示して 、る。

[0026] ここで、第 2ファン 12は、下方の調理台 2での調理作業によって発生した熱気、水 蒸気、油煙等の調理ガスを上昇気流 U (図 1参照）に乗せて吸い込み、より上方に配 置されている第 1ファン 11へ送り込む (押し出す)役割を担っている。即ち、この第 2フ アン 12は、調理台 2の上方空間 A (図 1参照）において、上昇気流 Uを形成しながら 空気を吸 ヽ込む機能及び効果を発揮して ヽる。

[0027] 第 2ファン 12として、例えば、口径 550mm、合計 8翼のプロペラファン（特に図 2参 照）を採用した場合では、毎分 50〜300回転、特に好適には、 100〜200回転程度 の低速運転によって、上記機能及び効果を充分に発揮させることができる。

[0028] ここで、従来一般のレンジフードファンでは、フード本体内に設置された吸排気ファ ン（例えば、シロッコファン）のみに、調理台 2の上方空間 Aの空気を吸い込んで、排 出する（押し出す)役割に担わせる構成が採用されている。しかし、一つの吸排気フ アンだけでは、該ファン装置の周辺の空気を吸い込んで動力しているに留まっており 、調理台 2の上方空間 Aの空気全体に上昇気流 Uを形成することが難しかった。特に 、 IH式調理器では熱源による燃焼ガスが発生しないため、単独の吸排気ファンだけ では充分な上昇気流 Uを形成できず、調理台 2の上方空間 Aの空気全体をレンジフ ードへ引き込むことが難し力つた。

[0029] 一方、本発明では、レンジフードファン 1のフード本体 10の開口部 103近傍に第 2 フードファン 12を付設したことによって、該第 2ファン 12に調理台 2の上方空間 Aに 上昇気流 Uを形成しながら空気を吸い込む役割を担わせ、もう一つの第 1ファン 11 には、第 2ファン 12を介して吸い込まれて送り込まれてくる空気 Gを、専ら外部へ向け て押し出す役割を担わせるように工夫している。即ち、本発明では、二つのファン装 置 (第 1ファン 11,第 2ファン 12)の吸排気に係る役割を分担させていることが特徴で ある。

[0030] この結果、第 1ファン 11の役割の中から上昇気流形成に係る役割を除いて、その負 担を軽減できる。このため、該第 1ファン 11の動力エネルギーを低減することが可能 となるとともに、該第 1ファン 11から発生する騒音を低減することができる。

[0031] より詳しくは、第 1ファン 11のみによって吸排気を行う従来の構成では、流入空気抵 抗が大きぐ負圧分布も一様でないため、第 1ファン 11の高速運転 (高速回転)が必 要になり、かつ流入空気抵抗によって大きな音が発生してしまう。これに対して、本発 明のように、第 1ファン 11の上流側に第 2ファン 12を付設する構成を採用した場合は 、充分な流入空気量を第 2ファン 12によって予め確保できるので、第 1ファン 11での 流入空気抵抗が小さくなつて排気効率が向上し、騒音も大幅に低減することができる 。例えば、第 1ファン 11としてシロッコファンが採用されている場合は、その動力エネ ルギーを 30%以上低減でき、騒音も 10dB以上低減することができる。

[0032] なお、第 1ファン 11と第 2ファン 12の配置関係は、第 1ファン 11へ導入されてくる空 気の流れ方向の上流側位置に第 2ファン 12が配置される関係であればよぐ図 1に 示すような上下の配置関係に狭く限定されない。例えば、第 2ファン 12から送り込ま れてくる空気 Gが方向変換されて流れていく途中箇所に第 1ファン 11を設けるように してちよい。

[0033] 次に、上記構成のレンジフードファン 1では、第 1ファン 11の排気風量と第 2ファン 1 2の吸気風量を均衡させて流れ抵抗を低減することによって、空気の流れの円滑化（ 風量の均一化）が図られ、これによつて上昇気流 Uの形成を促進することできる。 [0034] また、上昇気流 Uをスムーズに形成する観点や第 2ファン 12へ吸い込まれる空気の 風量をできるだけ多く確保する観点などから、開口部 103の下端部に、取り外し可能 に設置されるネット 104については、開口部 103の全域を覆うようにするとよい。

[0035] 即ち、第 2ファン 12 (例えば、プロペラファン）に対向する面のみが空気流通可能な 網目構造とされ、それ以外の面は閉塞されているような構成ではなぐ図 1において X , Xで示された領域 (プロペラファンの周囲領域)からも空気を第 2ファン 12に流入さ せることができる全面網目のネット部材（104)を採用することが望ま 、。

[0036] 本発明に係るレンジフードファン 1は、ネット 104を開口部 103から取り外すと、第 2 ファン 12が露出するので、当該第 2ファン 12の掃除を簡単な拭き掃除により行うこと が可能である。

[0037] なお、本発明に係るレンジフードファン 1には、ファン装置（11、 12)の運転制御手 段 (運転開始及び停止に係る制御や回転数制御などに係る手段）のほかに、グリスフ ィルター、照明器具、延長ダクト、第 1ファン 11の下流側へさらに室外排気ファンなど を付設することは自由である。

産業上の利用可能性

[0038] 本発明は、調理ガスを捕集して排気する技術として利用できる。例えば、 IH式調理 器を用いた調理作業によって発生する調理ガスを効率よく捕集して排気する技術と して利用することができる。

図面の簡単な説明

[0039] [図 1]本発明に係るレンジフードファン（1)と当該レンジフードファン（1)を使用した調 理ガス捕集排気方法の構成及び概念を説明するための図である。

[図 2]本発明に係るレンジフードファン 1を開口部（103)側から正面視した平面図で ある。

符号の説明

[0040] 1 レンジフードファン

2 調理台

10 フード本体

11 第 1ファン 2ファン 開口部 ネット

Claims

請求の範囲

[1] 調理台周辺の空気を捕集して排気するためのレンジフードファンであって、

フード本体と、

前記フード本体内部に収容配置された排気用の第 1ファンと、

前記第 1ファンへ導入される空気の流れ方向の上流側位置に配置された吸気用の 第 2ファンと、

を少なくとも備えるレンジフードファン。

[2] 前記第 2ファンは、調理台周辺に存在する空気に上昇気流を形成しながら前記第 1 ファンへ空気を導入することを特徴とする請求の範囲第 i項記載のレンジフードファ ン。

[3] 前記第 2ファンは、調理台に対向するように配置されて 、ることを特徴とする請求の 範囲第 1項記載のレンジフードファン。

[4] 前記第 2ファンは、プロペラファンであることを特徴とする請求の範囲第 1項記載の レンジフードファン。

[5] 前記第 1ファンは、シロッコファンであることを特徴とする請求の範囲第 1項記載のレ ンジフードファン。

[6] 調理台に対向するフード本体開口部には、該開口部全域を覆うネットが取り付けら れていることを特徴とする請求の範囲第 1項記載のレンジフードファン。

[7] 電磁誘導加熱式調理器具が設けられた調理台の上方箇所に取り付けられることを 特徴とする請求の範囲第 1項記載のレンジフードファン。

[8] 調理台周辺の空気を捕集して排気するためのレンジフードファンのフード本体内部 に排気用の第 1ファンを設け、さらに、該第 1ファンへ導入される空気の流れ方向の 上流側位置に吸気用の第 2ファンを設置しておき、

前記第 1ファンの排気風量と前記第 2ファンの吸気風量を均衡させて流れ抵抗を低 減することによって、上昇気流の形成を促進することを特徴とする調理ガス捕集排気 方法。