WO2007004626A1

WO2007004626A1 - 平版刷版の自動供給装置

Info

Publication number: WO2007004626A1
Application number: PCT/JP2006/313256
Authority: WO
Inventors: Kazuoki Komiyama; Kikuo Matsuba; Yoshinori Kawamura; Toru Itakura
Original assignee: Fujifilm Corporation
Priority date: 2005-07-04
Filing date: 2006-07-04
Publication date: 2007-01-11
Also published as: US20090205524A1; JP2007008715A; EP1908712A1; EP1908712A4

Abstract

　平版刷版の自動供給装置が、平版刷版が所定複数枚重ねられて束にされたものを載置する保管棚と、平版刷版を搬出する搬送ユニットと、摺擦低減用部材と、前記保管棚上に載置された前記平版刷版の束における最も上に位置する平版刷版と、その下の平版刷版との間に隙間を開かせて、前記摺擦低減用部材を挿入させるための引き離し操作ユニットとを備えている。

Description

平版刷版の自動供給装置

技術分野

[0001] この発明は、複数の平版刷版だけを束ねたものを装填し、各平版刷版を 1枚づっ分離して搬出する枚葉供給装置を供えた平版刷版の自動供給装置に関する。背景技術

[0002] 一般に、オフセット印刷には、平版刷版としての感光性印刷版 (いわゆる PS版)が利用されている。また、この平版印刷の分野では、未露光の感光性印刷版の供給を受けて、この感光性印刷版に対しコンピュータ等のデジタルデータに基づいてレーザ露光処理をし、自動現像機で感光性印刷版上に形成された潜像を顕像に変換する現像処理をして直接印刷版を製版する CTP (Computer to Plate)システムが実用化されている。

[0003] CTPシステムに用いられる感光性印刷版は、図 10に例示するように、薄いアルミ- ゥム基板 12の表面上へ感光剤を層状に塗布して感光層 14が構成されている。さらに、このような感光性印刷版 (PS版） 10には、アルミニウム基板 12に塗布する感光剤を外力に対し強い特性 (例えば、通常の PS版の 20倍以上の強度特性)とした、合紙の保護を必要とせず、じかに重ねて束ねた状態で取り扱っても傷が問題とならない程度に記録層側の表面を強化した、表面強化型のフォトポリマ PS版 (いわゆる合紙レス平版刷版)がある。

[0004] また、この合紙レス感光性印刷版では、酸素による感光層 14の減感現象防止のため、感光性印刷版 (PS版)の感光層 14の最外表面上にオーバーコート層（、わゆる OC層と呼ばれる PVA:ポリビニールアルコール） 16が塗布されている。この合紙レス感光性印刷版の OC層 16は、画像記録 (露光)完了までは必要だが、現像に対しては障害となるために、現像前の水洗工程で完全に除去できるように、 OC層 16を水溶性材料で構成している。

[0005] このような合紙レス感光性印刷版 (合紙レス PS版)を使用する CTPシステムには、平版刷版の自動供給装置を備えたものがある。この平版刷版の自動供給装置は、一方の感光性印刷版 10表面の感光面上に他方の感光性印刷版 10裏面を直接接触させて積層し、所定複数枚重ねた束を、遮光された自動供給装置のハウジング内に装填し、製版作業の開始と共に自動供給装置の枚葉供給装置によって感光性印刷版の束から感光性印刷版 10を 1枚ずつ分離して、露光処理部側へ搬出する。

[0006] この平版刷版の自動供給装置は、合紙レス感光性印刷版の取り出し機構と PS版搬送機構で構成する。この平版刷版の自動供給装置では、合紙レス平版刷版の枚葉供給ユニットとして構成するため、合紙取り出し機構、合紙搬送機構及び合紙集積部が不要となり、高生産性、低価格、省スペースな構成をとることが可能である。

[0007] さらに、この合紙レス平版刷版を使用する平版刷版の自動供給装置は、複数枚重ねられた感光性印刷版 10の束における最も上にある感光性印刷版 10表面にゴム製ローラを転接させることによって感光性印刷版 10を一枚づっ分離して搬出する、いわゆるローラピック方式で構成することが考えられる。

[0008] しかし、このような合紙レス平版刷版を使用する CTPシステムにおけるローラピック方式の平版刷版の自動供給装置では、自動供給装置のハウジング内に複数枚重ねられた状態で感光性印刷版 10の束が装填されるため、梅雨時に稼動する場合等のように自動供給装置のハウジング内が高温多湿 (例えば、気温 30°C、湿度 50%以上 )になると、 OC層が空気中の水分を吸水し、溶け出して接着性が増加する傾向がある。

[0009] その結果、ローラピック方式の平版刷版の自動供給装置では、図 11に示すように、 OC層が吸水し溶けて接着性が増加した部分 16Aがその上に重ねられている最も上にある感光性印刷版 10のアルミニウム基板 12の裏面に接着してしまい、この最も上にある感光性印刷版 10をその下の感光性印刷版 10から引き剥がして搬出するための搬送負荷 Rが増加するので、ピックアップ用のローラを強く押し当てて-ップカを増加し搬送力 Fを大きくしなければならなくなる。

[0010] また、このローラピック方式の平版刷版の自動供給装置では、接着性が増カロした部分 16Aの接着力が大きくなると、ピックアップ用のローラで一時に複数枚の感光性印刷版 10を搬出する状態や、搬送負荷 Rが増力!]して搬送不可の状態にもなりかねない [0011] さらに、このローラピック方式の平版刷版の自動供給装置では、ピックアップ用の口ーラを強く押し当てて搬送力 Fを増加した場合に、図 12に示すように、最も上にある感光性印刷版 10の裏面に接着性が増力!]した部分 16Aが通常は部分的に又は全体的に付着した状態で搬出されることとなり、感光性印刷版 10に、 OC層 16の剥れによる傷を生じる虞がある。

[0012] そこで、このような平版刷版の自動供給装置では、積層された複数枚の平版刷版から 1枚の平版刷版を持ち上げて搬送する際に、平版刷版の感光層、 OC層等の表面に損傷を与えないようにする平版刷版の供給装置として、吸着パッドを利用してハンドリングするユニットを利用することが考えられる。

[0013] 従来の吸着パッドを利用してハンドリングするユニットには、吸着パッド部の吸着パッドで、カセットに積層収納された複数枚の平版刷版の内、最上位の平版刷版の前端部を吸着して持ち上げる刷版供給装置が提案されている。

[0014] この刷版供給装置では、刷版支持機構のローラ支持体のローラ群を、この持ち上げられた平版刷版と下の平版刷版との間隙に挿入し、これら平版刷版を分離した状態で、持ち上げられた平版刷版の下面を支持する。そしてこの状態で、搬送機構は、吸着パッド部を上方に移動して、吸着パッドが吸着支持して、る平版刷版を画像処理装置の搬入口に搬送し、平版刷版を画像処理装置に供給するユニットが提案されている（例えば、特許文献 1参照。 ) o

[0015] しかし、上述のような従来の刷版供給装置では、吸着パッドで平版刷版を吸着支持した状態で、搬送機構により、この平版刷版を吸着支持した状態の吸着パッド部を上方に移動し、さらに画像処理装置の搬入口に搬送する作業を行うため、この搬送機構が複雑で大きく高価なものとなるという問題がある。

[0016] さらに、この従来の刷版供給装置では、吸着パッド部が平版刷版の束から一枚の平版刷版を吸着支持してから平版刷版を画像処理装置の搬入口に搬送し終えるまでの長い時間、平版刷版を吸着支持した状態を保持するために、大型で高価な真空ポンプを用いなれければならな、ので刷版供給装置が高価になると、う問題がある。

[0017] また、この従来の刷版供給装置では、所定部所に固定して配置された真空ポンプと、搬送機構で長い範囲を移動操作される吸着パッドとの間を、真空ホースで接続して構成するため、真空ホースが常に大きく動力されることになるので劣化しやす、ので、頻繁にメンテナンスをする必要があり、メンテナンスコストが高くなるという問題がある。

特許文献 1 :特開平 7— 172607号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0018] 本発明は、上述の問題に鑑み、複数の合紙レス平版刷版を束にしたものを装填し搬送ユニットにより平版刷版を 1枚づっ分離して搬出する際に、搬出する平版刷版の下となる平版刷版表面の記録層を保護でき、装置の構成が簡素で廉価に製造可能であり、さらに小型化可能である、平版刷版の自動供給装置を新たに提供する。課題を解決するための手段

[0019] 本発明の 1つの態様は、一方の平版刷版表面の記録面側上に他方の平版刷版の裏面側を直接接触させて積層することにより前記平版刷版が所定複数枚重ねられて束にされたものを載置する保管棚と、前記平版刷版の束における最上部の前記平版刷版を押圧しつつ搬送方向へ力を作用させることにより、前記平版刷版を搬出する搬送ユニットと、前記搬送ユニットによって押圧する荷重が最上部の前記平版刷版を通して、その下の前記平版刷版を押圧する範囲に関して介在される摺擦低減用部材と、前記保管棚上に載置された前記平版刷版の束における最も上に位置する前記平版刷版と、その下の前記平版刷版との間に隙間を開力せて、前記摺擦低減用部材を挿入させるための引き離し操作ユニットとを備えた、平版刷版の自動供給装置である。

[0020] 本発明の他の態様は、一方の平版刷版表面の記録面側上に他方の平版刷版の裏面側を直接接触させて積層することにより前記平版刷版が所定複数枚重ねられて束にされたものを載置する保管棚と、前記平版刷版の束における最上部の前記平版刷版を押圧しつつ搬送方向へ力を作用させることにより、前記平版刷版を搬出する搬送ユニットと、前記搬送ユニットによって押圧する荷重が最上部の前記平版刷版を通して、その下の前記平版刷版を押圧する範囲に関して介在される摺擦低減用部材と、前記保管棚上に載置された前記平版刷版の束における最も上に位置する前記平版刷版と、その下の前記平版刷版との間に隙間を開力せて、前記摺擦低減用部材を挿入させるための引き離し操作ユニットとを備え、前記摺擦低減用部材を、弾性を有するシート状の材料で形成し、前記摺擦低減用部材の表面と最も上に位置する第 1の前記平版刷版の裏面との間の摩擦係数 1を、前記摺擦低減用部材の裏面と第 1の前記平版刷版の下に位置する第 2の前記平版刷版記録面側の表面との間の摩擦係数 2よりも小さく構成し、前記引き離し操作ユットが、前記保管棚に載置された前記平版刷版の束における最も上に位置する前記平版刷版を持ち上げて力も離すことにより、その下の前記平版刷版との間に空気を入れる、捌きユニットを兼用するように構成した、平版刷版の自動供給装置である。

[0021] 本発明の他の態様、特徴および利益は、添付図面に関連してなされる下記の説明力明ら力とあるであろう。

発明の効果

[0022] 本発明の平版刷版の自動供給装置によれば、複数の合紙レス平版刷版を束にしたものを装填し、搬出する平版刷版とその下の平版刷版との間に摺擦低減用部材を介在させて力搬送ユニットにより平版刷版を 1枚づっ分離して搬出するので、摺擦低減用部材の下側の平版刷版表面の記録層を保護でき、装置の構成が簡素で廉価に製造可能であり、さらに小型化できるという効果がある。

図面の簡単な説明

[0023] [図 1]本発明の実施の形態に係わる平版刷版の自動供給装置を備えた CTPシステムの全体を示す斜視図である。

[図 2]本発明の実施の形態に係わる平版刷版の自動供給装置を備えた CTPシステム内部の全体的な概略構成図である。

[図 3]本発明の実施の形態に係わる平版刷版の自動供給装置内に装填された平版刷版の束力各平版刷版を搬出する枚葉供給装置の一部を取り出して示す拡大斜視図である。

圆 4]本発明の実施の形態に係わる平版刷版の自動供給装置内に装填された平版刷版の束力各平版刷版を搬出する枚葉供給装置のサッカー部分を取り出して示す要部の拡大斜視図である。

[図 5A]本発明の実施の形態に係わる平版刷版の自動供給装置に装着された、搬出される平版刷版とその直下の平版刷版との間に介在させる摺接低減ユニットと、搬出用ローラと、サッカーとの動作を示す要部概略説明図である。

[図 5B]本発明の実施の形態に係わる平版刷版の自動供給装置に装着された、搬出される平版刷版とその直下の平版刷版との間に介在させる摺接低減ユニットと、搬出用ローラと、サッカーとの動作を示す要部概略説明図である。

[図 5C]本発明の実施の形態に係わる平版刷版の自動供給装置に装着された、搬出される平版刷版とその直下の平版刷版との間に介在させる摺接低減ユニットと、搬出用ローラと、サッカーとの動作を示す要部概略説明図である。

圆 5D]本発明の実施の形態に係わる平版刷版の自動供給装置に装着された、搬出される平版刷版とその直下の平版刷版との間に介在させる摺接低減ユニットと、搬出用ローラと、サッカーとの動作を示す要部概略説明図である。

[図 6A]本発明の実施の形態に係わる平版刷版の自動供給装置に装着された、搬出される平版刷版とその直下の平版刷版との間に介在させる他の構成の摺接低減ュ- ットと、搬出用ローラと、サッカーとの動作を示す要部概略説明図である。

[図 6B]本発明の実施の形態に係わる平版刷版の自動供給装置に装着された、搬出される平版刷版とその直下の平版刷版との間に介在させる他の構成の摺接低減ュ- ットと、搬出用ローラと、サッカーとの動作を示す要部概略説明図である。

[図 6C]本発明の実施の形態に係わる平版刷版の自動供給装置に装着された、搬出される平版刷版とその直下の平版刷版との間に介在させる他の構成の摺接低減ュ- ットと、搬出用ローラと、サッカーとの動作を示す要部概略説明図である。

圆 7]本発明の実施の形態に係わる平版刷版の自動供給装置に装着された摺接低減ユニットにおける摺擦低減用部材が待機位置にあるときの要部正面図である。圆 8]本発明の実施の形態に係わる平版刷版の自動供給装置に装着された摺接低減ユニットにおける摺擦低減用部材が使用位置にあるときの要部正面図である。圆 9]本発明の実施の形態に係わる平版刷版の自動供給装置に装着された、他の構成の摺接低減ユニットを備えた枚葉供給装置の一部を取り出して示す要部拡大斜視図である。

[図 10]合紙レス平版刷版の束における平版刷版の積層状態を例示する要部概略説明図である。

[図 11]合紙レス平版刷版の束における平版刷版における平版刷版の OC層が吸水して接着しているときの積層状態を例示する要部概略説明図である。

[図 12]合紙レス平版刷版の束における平版刷版における平版刷版の OC層が吸水して、搬出される平版刷版の裏に接着して剥がれる状態を例示する要部概略説明図である。

発明を実施するための最良の形態

[0024] 本発明の平版刷版の自動供給装置に関する実施の形態について図 1乃至図 9により説明する。本実施の形態に係わる平版刷版の自動供給装置は、例えば、現在巿販されている一般の感光性印刷版 (PS版)と比較して、感光性印刷版の表面に感光剤を塗布して形成された感光面が外力に対し強く（20倍以上)、合紙の保護を必要としな！/、フォトポリマ PS版である、 V、わゆる合紙レス感光性印刷版 (合紙レス PS版)を所定複数枚束にしたものを装置内に装填し、枚葉供給装置で各平版刷版である感光性印刷版を 1枚づっ分離して搬出する送給作業を可能に構成する。

[0025] すなわち、この平版刷版の自動供給装置に用いる合紙レス平版刷版 (合紙無し感光性印刷版）は、所定サイズの長方形の板状に形成された薄いアルミニウム板である支持体上に、感光材料を含有する感光面 (画像記録層である感光剤面）を塗布して形成された感光面が設けられて、る。

[0026] この平版刷版の自動供給装置に用いる合紙レス感光性印刷版は、これを製造して力も所定複数枚の感光性印刷版を、合紙を廃止して、感光性印刷版の表面に当たる感光面 (感光剤面である Em面）〖こ感光性印刷版の裏面に当たる（PS版アルミ面である Back面)を直接接触させる状態で積層して束にした状態で、運搬や保管を行ヽ、さらに感光性印刷版の母材であるアルミ面で感光面を擦りながら感光性印刷版を 1 枚づっ分離して搬出しても、傷や圧力カプリ等を生じないという特性を持つ。

[0027] また、この平版刷版の自動供給装置に用いる合紙レス感光性印刷版は、感光性印刷版の裏面に当たるアルミ-ユウム材料面である Back面に、その下に積み重ねられた感光性印刷版表面の記録面に対して擦れ傷を付けることを防止するためのオーバ一コート層を塗布したものであっても良い。

[0028] この合紙レス感光性印刷版は、製造後、合紙無しで所定複数枚積み重ねられることにより直方体の束にされて梱包され、搬送及び保管等の取り扱いが容易な状態とされる。この合紙レス感光性印刷版は、梱包を解いて力ゝら合紙無しで所定複数枚積み重ねられた束の状態で、 CTPシステムに設けた平版刷版の自動供給装置の内部へ遮光状態で供給する。

[0029] この CTP (Computer to Plate)システムは、コンピュータ等のデジタルデータに基づヽてレーザ露光処理をし、自動現像機で感光性印刷版上に形成された潜像を顕像に変換する現像処理をして直接印刷版を製版する。

[0030] 図 1及び図 2に示すように、この CTPシステムは、合紙無しで所定複数枚積み重ねられた平版刷版 111の束が供給される自動供給装置 110と、この自動供給装置 110 に連続して平版刷版 111の束力平版刷版 111 (PS版)を 1枚づっ分離して供給する枚葉供給装置 112と、インナードラム露光装置 (モノゴンスキャナー） 114と、ノッファ装置 116と、現象処理装置 118とを備える。

[0031] この CTPシステムにおける自動供給装置 110は、その内部で枚葉供給装置 112と連続するように構成されている。この枚葉供給装置 112を構成するため、自動供給装置 110の扉 142を開けた内部には、保管棚 144を設置する。この保管棚 144は、自動供給装置 110の床面からインナードラム露光装置 114側の上部へかけて所定角度 Θで斜めに配置した支持台 160に、高さ位置を調整可能なように棚部材 162を装着して構成する。この保管棚 144では、支持台 160を水平に対して角度 60度から角度 80度の範囲、好ましくは角度 70度で傾斜させる。

[0032] このように構成した保管棚 144に、合紙無しで所定複数枚積み重ねられた平版刷版 111の束を載置するには、図 2及び図 3に示すように、この束の搬送方向上流側端部を棚部材 162の上に載せて支持台 160の表面に斜めに持たせ掛けるようにして載置する。

[0033] このように構成することにより、所定角度で斜めに配置した支持台 160上に載置された合紙無しで所定複数枚積み重ねられた平版刷版 111の束にぉヽて、最も表面側に位置する平版刷版 111は、その自重によりその下にある平版刷版 111に圧接する力を、保管棚 144を水平に配置する場合と比較して減少させることができる。

[0034] さらに、このように構成する場合には、保管棚 144を水平に配置する場合と比較して自動供給装置 110の水平方向の大きさを削減して装置の小型化を図ることができる。

[0035] また、この枚葉供給装置 112には、保管棚 144の上側の位置に、複数の合紙レス平版刷版 111の束における最上部位置にある搬出される平版刷版 111を捌いて隣接する平版刷版との接着力を低減させると共に、最上部の平版刷版 111と、その直下の平版刷版 111との間に隙間を開力せて摺接低減ユニットを搬出用ローラの-ップ対応位置に介在させるための捌きユニットと、この捌かれた平版刷版 111を 1枚づつ分離して搬出するための積層された平版刷版 111の最上部の平版刷版 111を押圧しつつ搬送方向へ力を作用させることにより、この平版刷版 111を搬出する搬送ュニットとしてのローラピック方式等に構成された搬出ユニットとを配置する。

[0036] なお、ここで、「捌き」とは、複数の合紙レス平版刷版 111の束 (スタック版）における最上部位置にある搬出される平版刷版 111を持ち上げて、その下にある平版刷版 1 11との間に空気を入れることを意味する。

[0037] さらに、この枚葉供給装置 112では、捌きユニットを設ける他に、最上部の平版刷版 111と、その直下の平版刷版 111との間に隙間を開力せて摺接低減ユニットを搬出用ローラの-ップ対応位置に介在させるための引き離し操作ユニットを設けて構成しても良い。

[0038] また、この枚葉供給装置 112では、捌き動作を行わせる構成を簡素化して廉価に製造可能とするため、捌き動作の際に可能な限り平版刷版 111を持ち上げる量を少なくし、かつ最上部位置にある搬出される平版刷版 111とその下にある平版刷版 11 1との間に入る空気の量を増大させてより広い範囲に空気を入れることが肝要である

[0039] 図 3に示すように枚葉供給装置 112では、捌きユニットとローラピック方式の搬出ュニットとを単一の操作部材 206上に装着して一体的に構成したピックアップユニット 2 00を配置する。このピックアップユニット 200では、操作部材 206に、捌きユニットとしてサッカー（真空サッカー） 202と、ローラピック方式の搬出ユニットとしてのゴムローラ製の搬出用ローラ 146とを装着する。

[0040] この操作部材 206は、長板の中央部を U字状に切欠した所定の変形板状に形成し、その長手方向両端部から回転軸棒 208を突設する。この操作部材 206は、その長手方向を搬送方向に直交する方向に向けた状態で、その両端部から突出した回転軸棒 208をそれぞれ図示しない制御装置で駆動制御される回動操作機に接続して、全体が回転軸棒 208を軸に所定角度回動制御可能なように構成する。

[0041] この操作部材 206には、その長手方向両端部に、それぞれ昇降装置 210を介して、いわゆる首振り可能な状態で各サッカー 202を装着する。この昇降装置 210は、制御装置で駆動制御されるァクチエータ等を利用してサッカー 202を、平版刷版 111の表面に密着させる吸着位置力所定距離離間するよう持ち上げた捌き操作位置まで昇降操作可能に構成する。

[0042] サッカー 202は、図 4に示すように、真空吸着用の吸盤装置として構成するもので、真空吸着用の吸盤部を長円状に形成する。このサッカー 202は、平版刷版 111に当接するスカート部 202Aを比較的小さな波形状に形成する。このようにスカート部 202 Aを比較的小さな波形状に形成した場合には、スカート部 202Aを平版刷版 111の表面に吸着させたとき、平版刷版 111がスカート部 202Aの波形状に沿うように弾性変形するので、この吸着された平版刷版 111とその下にある平版刷版 111との隙間から容易に空気を流入させて真空密着を解除する捌き動作を適切に行わせることができる。

[0043] また、このサッカー 202のスカート部 202Aの平版刷版 111に当接する内側中央部には、空気を吸引するための吸引口部 224を開口する。この吸引口部 224には、真空ホース 226の一端部を接続する。さらに、この真空ホース 226の他端部は、図示しな、真空ポンプに接続して、この制御装置で真空ポンプを駆動制御し真空ホース 22 6を介してサッカー 202のスカート部 202Aの吸引口部 224力も空気を吸引することにより、スカート部 202Aを平版刷版 111の表面に吸着させるように構成する。

[0044] なお、このサッカー 202は、保管棚 144に載置された平版刷版 111の束における最も上に位置する平版刷版 111を、保管棚 144から引き離すように持ち上げて力も離す捌き動作を行うためのものであるので、真空ポンプの一回の駆動時間が短ぐ空気の吸引能力も小さくて良いため、比較的小型で低出力の廉価な真空ポンプを利用することがでさる。

[0045] 図 3に示すように、操作部材 206には、その長手方向中央部に設けた U字状の切欠部内に臨むように、搬出用ローラ 146を配置する。この搬出用ローラ 146は、その回転軸 212の両端部をそれぞれ操作部材 206の裏面に突設された図示しない軸受部材に回動自由に支受させて装着する。

[0046] この搬出用ローラ 146を回転駆動するため、搬出用ローラ 146の一方の端部から突出した回転軸 212には、プーリ 214を同軸に固着する。さらに、操作部材 206の一部に突設した台座 216には、制御装置で駆動制御される駆動モータ 218を設置する。この駆動モータ 218の出力軸には、駆動プーリ 220を同軸に固着する。

[0047] そして、この駆動モータ 218の駆動プーリ 220と、搬出用ローラ 146のプーリ 214との間に巻き掛け伝動機構用の無端ベルト 222を巻き掛けて、駆動モータ 218によつて搬出用ローラ 146を回転駆動可能に構成する。

[0048] 図 5A乃至図 8に示すように、この枚葉供給装置 112では、保管棚 144に載置された平版刷版 111の束における搬送方向下流側端部で、平版刷版 111の束の裏側に当たる所定位置に摺接低減ユニットを配置する。

[0049] この摺接低減ユニットは、積層された平版刷版 111の束カゝら搬出する第 1の平版刷版 111をその直下にある第 2の平版刷版 111表面の記録面で受けた状態で搬出する動作を行う際に、最も表面側に位置する第 1の平版刷版 111とその直下に重なる第 2の平版刷版 111との間に入り、搬送中の第 1の平版刷版 111とその下の第 2の平版刷版 111との擦れにより、第 2の平版刷版 111の記録層に傷が付くことを防止するよう構成する。

[0050] この図 5乃至図 8に示す摺接低減ユニットでは、薄くて弾性に富み、耐磨耗性を有する合成樹脂等の材料で、フレキシブルなシート状に形成した挿入部材である摺擦低減用部材 250を用いる。

[0051] この摺擦低減用部材 250は、搬出用ローラ 146を平版刷版 111の束の最も表面側の位置にある第 1の平版刷版 111上に、所定の-ップ力で圧接したとき、その直下の第 2の平版刷版 111に記録面 (Em面)を傷つける程の所定の-ップカが掛かる周辺範囲部分 (ローラピックアップ機構の搬出用ローラ 146による荷重が第 2の平版刷版 111の Em面に掛カる範囲、すなわち、搬送ユニットである搬出用ローラ 146によって押圧する荷重が最上位置の平版刷版 111を通して、その下の平版刷版 111を押圧する範囲）に対応したサイズ及び形状に形成する。

[0052] また、この摺擦低減用部材 250は、摺擦低減用部材 250の表面と平版刷版 111の束の最も表面側の位置にある第 1の平版刷版 111の裏面との間の摩擦係数 1を、摺擦低減用部材 250の裏面と第 1の平版刷版 111の直下に位置する第 2の平版刷版 111の表面である記録面との間の摩擦係数 μ 2よりも小さくするように構成する。

[0053] このように構成することにより、第 1の平版刷版 111の表面に搬出用ローラ 146が所定のニップ力で転接して搬出する動作を行う際に、摺擦低減用部材 250の表面側と摺接する第 1の平版刷版 111との摩擦抵抗が、摺擦低減用部材 250の裏側と当接する第 2の平版刷版 111との摩擦抵抗よりも小さくなるので、第 1の平版刷版 111の搬出動作につられて摺擦低減用部材 250が搬送方向下流側へ引き出されることを防止できる。

[0054] このように構成された摺擦低減用部材 250では、その一方の端辺部に軸部材 252 を一体的に設置する。この回転軸部材 252は、摺擦低減用部材の両端からそれぞれ軸部材 252の両端部が突出するように形成し、この突出した各端部を図示しない軸受で軸着することにより、図 5Α及び図 7に示すように、保管棚 144に続く搬送路上に配置された平版刷版 111の搬出用ガイド部材 252に沿う待機位置と、図 5C、図 5 D、図 6B、図 6C及び図 8に示す平版刷版 111の束の最も表面側の位置にある第 1 の平版刷版 111とその直下に位置する第 2の平版刷版 111との間に挟まれる使用位置との間を移動可能に支受される。

[0055] さらに、この図 5に示す摺接低減ユニットでは、回転軸部材 252を、図示しない制御装置で制御されるァクチエータ又はモータ等の駆動操作ユニットで回動操作されることにより、摺擦低減用部材 250を待機位置と使用位置とに選択的に移動操作可能に構成する。

[0056] また、この摺接低減ユニットでは、摺擦低減用部材 250を駆動操作ユニットで移動操作する代わりに、重力の作用で自動的に使用位置にセットされるように構成しても良い。

[0057] この場合には、図 6〜6Cに示すように、摺擦低減用部材 250を軸着する回転軸部材 252を図示しない軸受部材で回動自由に支受すると共に、図 6Aに示すように摺擦低減用部材 250の自由端部が自重で平版刷版 111の束の最も表面側の位置にある第 1の平版刷版 111の先端側に被さるように臨む状態となるよう構成する。

[0058] この図 6〜6Cに示すように構成した場合には、平版刷版 111の束の最も表面側の位置にある第 1の平版刷版 111がサッカー 202で捌き操作位置まで第 2の平版刷版 111の表面力も所定距離離間するよう持ち上げられたときに、摺擦低減用部材 250 の自由端部が持ち上げられた第 1の平版刷版 111の先端力外れ、図 6Bに示すように、自重で落ちて第 2の平版刷版 111の表面上に被さるセット状態に自動的に移行させることがでさる。

[0059] また、摺擦低減用部材 250は、図 9に示すように構成しても良い。この図 9に示す構成では、摺擦低減用部材 250を、平版刷版 111の横幅 (搬送方向に直交する方向の幅)以上の幅寸法を持つ可撓性平板部材の搬出用ローラ 146に対応する所定範囲を切欠して緩衝部 256を設ける。

[0060] この緩衝部 256を設けた摺擦低減用部材 250は、その自由端部を平版刷版 111の束の最も表面側の位置にある第 1の平版刷版 111とその直下に位置する第 2の平版刷版 111との間に挟ませた使用位置にされたときに、緩衝部 256の範囲内に対応する第 1の平版刷版 111の部分を摺擦低減用部材 250の肉厚分だけ宙に浮く状態とする。

[0061] この状態で、第 1の平版刷版 111の緩衝部 256の範囲内に対応する部分に搬出用ローラ 146を圧接させた場合には、第 1の平版刷版 111における緩衝部 256の範囲内の部分が弾性変形して、その直下の第 2の平版刷版 111の表面に当たる記録面上に圧接することになる。

[0062] このため、搬出用ローラ 146が第 1の平版刷版 111と緩衝部 256とを介して第 2の平版刷版 111の記録面上に及ぼす-ップカは、第 1の平版刷版 111が弾性変形するときの反力分だけ軽減される。 [0063] よって、搬出用ローラ 146を所定の-ップ力で第 1の平版刷版 111上に転接させて搬出する動作を行う際に、この第 1の平版刷版 111における緩衝部 256の範囲内の部分が弾性変形して第 2の平版刷版 111表面の記録面に摺擦する強さを低減し、第 2の平版刷版 111の記録面に傷が付くことを防止できる。

[0064] この摺擦低減用部材 250の緩衝部 256による第 2の平版刷版 111の記録面に第 1 の平版刷版 111の裏面が摺擦する強さを低減する作用の程度は、摺擦低減用部材 250の肉厚を変えることによって調整することができる。

[0065] なお、上述した図 9に示す摺擦低減用部材 250では、摺擦低減用部材 250の一部を切欠して緩衝部 256を構成したものについて説明した力この緩衝部 256を、摺擦低減用部材 250における搬出用ローラ 146に対応する所定範囲部分の肉厚が、他の部分の肉厚よりも所定量薄くなる構造にしても良い。

[0066] 次に、図 3に示す構成のピックアップユニット 200と図 5乃至図 9で説明した摺接低減ユニットとを利用して、複数の合紙レス平版刷版 111の束における最上部位置にある搬出される平版刷版 111を捌く動作と、この捌かれた平版刷版 111を 1枚づっ分離して搬出する搬出動作にっ、て説明する。

[0067] このピックアップユニット 200は、図示しない回動操作機によって、ピックアップ位置と、摺接低減ユニットを挿入できる捌き操作位置と、退避位置との間を移動操作される。

[0068] このピックアップユニット 200の退避位置は、複数の合紙レス平版刷版 111の束から、搬出用ローラ 146とサッカー 202とが所定距離離間して、複数の合紙レス平版刷版 111の束を保管棚 144へ補給する動作等の邪魔にならない位置に設定する。

[0069] ピックアップユニット 200は、この退避位置において、制御装置で昇降装置 210を駆動制御してサッカー 202を搬出用ローラ 146の平版刷版 111に対する当接レベル力離間した所定の上昇位置に移動させた状態で待機する。

[0070] このピックアップユニット 200は、平版刷版 111の搬出動作を開始するときに捌き動作を行うため、退避位置で待機している状態から、図示しない制御装置で駆動制御される回動操作機によって合紙レス平版刷版 111の束上面に移動される。

[0071] この動作のとき、ピックアップユニット 200を駆動制御する制御装置は、昇降装置 21 0を駆動制御して図 5A及び図 6Aに示すように、最も上に位置する第 1の平版刷版 1 11の表面に搬出用ローラ 146を当接させると共に、サッカー 202を平版刷版 111の表面に圧接させた状態とする。

[0072] 次に、この制御装置は、真空ポンプを駆動させ真空ホースを介してサッカー 202のスカート部 202Aの吸引口部 224から空気を吸引することにより、スカート部 202Aを平版刷版 111の搬送方向先端側端部近くの表面に吸着させる。この動作により、平版刷版 111の搬送方向先端側端部近くの部分は、スカート部 202Aの波型形状に沿つて弾性変形するので、その下にある平版刷版 111の表面との間に空気が流入可能な比較的小さな開口が開いて密着が部分的に解除された状態となる。

[0073] 次に、制御装置は、昇降装置 210を駆動制御して、サッカー 202を搬出用ローラ 1 46の平版刷版 111に対する当接レベル力離間した所定の上昇位置に移動させた図 5Bに示す状態とする。この状態では、平版刷版 111の搬送方向先端側端部近くの部分が、スカート部 202Aの波型形状に沿った比較的小さな開口が開くと共に、平版刷版 111の搬送方向先端側端部近くの部分が、その中央部で搬出用ローラ 146 に当接し、その両側部分で格サッカー 202によって持ち上げられて比較的大きなゥヱーブを描くように弾性変形して湾曲した状態となり、搬出される平版刷版 111とその下にある平版刷版 111との間に搬送方向先端の幅方向全体に渡って密着が全面的に解除された状態となる。

[0074] さらに、このピックアップユニット 200を捌き操作位置へ移動させる動作の際に、搬出される平版刷版 111は、その先端部が比較的小さな波型形状と比較的大きなゥェーブ形状とを同時に成すように弾性変形した状態で隙間を開けているので、その下にある平版刷版 111の表面に対して全幅に渡り離間した隙間から大量の空気を容易に流入可能な状態で引き剥がされることにより、搬出される平版刷版 111の搬送方向後端側に向けて急速に空気が流入し離間する範囲が広がる。

[0075] なお、この動作の際に、サッカー 202が首振り可能に装着されているので、平版刷版 111に無理な曲げカが働くことを防止できる。

[0076] また、この枚葉供給装置 112では、図示しない制御装置で制御された駆動操作ュニットで回転軸部材 252を回動操作することにより、摺擦低減用部材 250を待機位置から使用位置に移動操作する。なお、図 6A〜6Cに示す摺擦低減用部材 250に係わる構成では、摺擦低減用部材 250の自重により自動的に使用位置にセットされる。

[0077] 次に、この制御装置は、図示しない真空ポンプを停止して、サッカー 202の平版刷版 111に対する吸着力を解除する。すると、保管棚 144上に斜めに立て掛けられている搬出される平版刷版 111は、その搬送方向先端部が弾性復帰力と自重とによりその下にある平版刷版 111の表面側に倒れ力かる動作を行う。この倒れかかる動作の際、搬出される平版刷版 111とその下の平版刷版 111との間にある空気が搬送方向下流側から搬送方向上流側へ向けて押し出されるため、搬出される平版刷版 111 における搬送方向上流側部分とその下の平版刷版 111の表面との間に空気が流れて、これら両者を全面的に分離し空気層を介在させて隣接させた状態、すなわち接着力を低減させて隣接した状態とする。

[0078] なお、上述した捌き動作は、これを複数回行!、又は捌き動作として、揺する動作や煽る動作を付随させるようにしても良、。

[0079] また、上述のようなピックアップユニット 200による捌き動作は、合紙無しで所定複数枚積み重ねられた平版刷版 111の束を所定角度で斜めに配置した支持台 160上に載置した構成にして良好な効果が得られるようにしてある。

[0080] 次に、制御装置は、昇降装置 210を駆動制御して、サッカー 202を搬出用ローラ 1 46の平版刷版 111に対する当接レベル力離間した所定の上昇位置に移動させる。さらに制御装置は、図示しない回動操作機を駆動制御して、ピックアップユニット 20 0をピックアップ位置へ移動させた図 5Dに示す状態とする。

[0081] この後、制御装置は、駆動モータ 218を駆動制御して搬出用ローラ 146を回転駆動して平版刷版 111の表面に圧接させて転動させることにより所要の-ップカを働かせて、平版刷版 111を搬送ベルト巻き掛け機構へ向けて搬出する。

[0082] このとき、搬出される平版刷版 111は、捌かれて接着力が低減され、搬送負荷が低減されて!、るので、搬出用ローラ 146が平版刷版 111を搬出するのに必要な搬送力も軽減されるため、搬出用ローラ 146の二ップカを低減できる。

[0083] これと共に、この枚葉供給装置 112では、搬出される第 1の平版刷版 111とその直下の第 2の平版刷版 111との間に介在された摺擦低減用部材 250の作用により、搬出される第 1の平版刷版 111の裏面が第 2の平版刷版 111表面の記録面に摺擦して傷付けることを防止できる。

[0084] すなわち、搬出用ローラ 146が転接して搬出する平版刷版 111とその直下の平版刷版 111間の真空密着を解除して搬送負荷を軽減し、装置を包む雰囲気が高温多湿であるときのオーバーコート層 16や感光層 14の摩擦係数が上昇しても搬送負荷が増大することを低減し、搬送負荷の増大に対応して搬出用ローラ 146の-ップ荷重を増やすことを低減し、搬出用ローラ 146の-ップ力が働く範囲において、搬出される第 1の平版刷版 111が摺擦低減用部材 250の表面に摺擦するようにし、第 2の平版刷版 111の表面の記録層を保護することができる。

[0085] 次に、上述した一枚の平版刷版 111の搬出動作が完了すると、制御装置は、図示しない回動操作機を駆動制御して、ピックアップユニット 200を退避位置に復帰させて次の搬送動作に備える。

[0086] なお、上述したピックアップユニット 200の構成例では、図 3に示す如く制御装置が昇降装置 210を駆動制御してサッカー 202を昇降操作するよう構成したが、操作部材 206に対して、図示しないリンク機構を利用した機械的な連動操作機構を介して搬出用ローラ 146とサッカー 202とに所要の動作を行わせるように構成しても良い。

[0087] 上述のように構成した枚葉供給装置 112では、搬出用ローラ 146を保管棚 144に載置された平版刷版 111の束の 1番上にある平版刷版 111に転接させて、 1枚だけ分離して搬出した平版刷版 111を、搬送ベルト巻き掛け機構へ送給する。

[0088] 図 2に示すように、搬送ベルト巻き掛け機構には、各平版刷版 111を保管棚 144からインナードラム露光装置 114まで搬送するために、主搬送ベルト 148を張架した主搬送ベルト巻き掛け機構 150と、副搬送ベルト 152を張架した副搬送ベルト巻き掛け機構 154とを設置する。

[0089] この主搬送ベルト巻き掛け機構 150は、保管棚 144上部に当たる平版刷版 111の搬入位置から、インナードラム露光装置 114への搬出位置との間に搬送ベルト 148 を張架して搬送路を構成する。

[0090] また、副搬送ベルト巻き掛け機構 154は、主搬送ベルト巻き掛け機構 150における主搬送ベルト 148の下側に設定される搬送路の一部を共用して搬送中の平版刷版 1 11が脱落することを防止するよう構成する。

[0091] このため、副搬送ベルト巻き掛け機構 154は、主搬送ベルト 148における、保管棚 144から搬出された各平版刷版 111の先端が突き当てられるガイド範囲より搬送方向下流側の中間ローラ 156から、主搬送ベルト 148の下側に設定される搬送路の出口に近い中間ローラ 158の区間で、主搬送ベルト 148と畐 IJ搬送ベルト 152と力 S添うようになって走行するよう巻き掛けて構成する。

[0092] このように構成された主搬送ベルト巻き掛け機構 150では、搬出用ローラ 146によつて 1枚だけ分離されて搬出された平版刷版 111の先端が、主搬送ベルト 148における先端の第 1ローラ 151と中間ローラ 156との間に張架された部分に相当するガイド範囲 148Aに当たり、主搬送ベルト 148の走行動作に従って中間ローラ 156側へ搬送される。

[0093] この枚葉供給装置 112では、搬出用ローラ 146によって搬出された平版刷版 111 の先端が、ガイド範囲 148Aに張架されている主搬送ベルト 148に当たり、主搬送べルト 148が弾力的に容易に変形して平版刷版 111に衝撃を与えな、ように受けると共に、平版刷版 111の先端が当たった部分の主搬送ベルト 148が略への字状に変形し、平版刷版 111が橈んでその先端部が中間ローラ 156の位置で主搬送ベルト 1 48と副搬送ベルト 152との間にスムーズに挟み込まれるようにできる。このように平版刷版 111は、その先端が主搬送ベルト 148に当たったときに、弾力的に柔らかく受けられるので、感光面 10Aを形成する感光層に外傷を与えな、ようにできる。

[0094] また、この枚葉供給装置 112では、平版刷版 111の束力も何枚目の平版刷版 111 を搬出する場合であっても、搬出用ローラ 146が転接して引き上げられる平版刷版 1 11の先端が必ずガイド範囲 148A内で主搬送ベルト 148に当たるようにして適切に搬出可能とする。

[0095] よって、この枚葉供給装置 112では、平版刷版 111の束力も平版刷版 111が引き出される毎に、その引き出し位置が変わっても適切に搬出できるため、保管棚 144に平版刷版 111の引き出し位置を調整するための複雑な装置を設ける必要がないので、構成を簡素化し、装置を小型化することができる。

[0096] そして、先端を主搬送ベルト 148にガイドされた平版刷版 111は、中間ローラ 156 の位置で、主搬送ベルト 148と副搬送ベルト 152との間に挟み込まれて挟持された状態で搬送路上を搬送され、出口に近い中間ローラ 158の位置で挟持状態を開放され、インナードラム露光装置 114へ搬入される。

[0097] この CTPシステムにおけるインナードラム露光装置 114は、円弧内周面形状（円筒内周面の一部を構成する形状)の支持体 134を母体として構成されており、この支持体 134の内周面に沿って平版刷版 111を支持するようになっている。

[0098] このインナードラム露光装置 114では、図示しない真空吸着ユニットによって、未記録の記録媒体である平版刷版 111を支持体 134の内周面に確実に密着させて沿わせた状態に保持してから露光処理を行う。

[0099] このインナードラム露光装置 114では、支持体 134の円弧中心位置に、光ビーム偏向器としてのスピナ一ミラー装置 136を配設する。このスピナ一ミラー装置 136は、反射鏡部材 (スピナ一ミラー） 138を頂面に配置した回転軸 140を、図示しない制御装置のスピナ一ドライバによって回転制御がされる駆動源としてのモータによって高速回転可能に構成する。このスピナ一ミラー装置 136では、回転軸 140の回転中心軸を支持体 134の円弧中心軸と一致するように構成する。

[0100] このスピナ一ミラー装置 136では、光源側の光学系から投射された光ビームを、回動する反射鏡部材 138の反射鏡面に反射させて平版刷版 111の感光面に対して主走査方向への走査露光を行う。

[0101] このスピナ一ミラー装置 136は、図示しない副走査移動ユニットによって、支持体 1

34の円弧中心軸の軸線方向（図 2の表面から裏面に貫通する方向）に等速度で移動制御されることにより副走査する。

[0102] このためスピナ一ミラー装置 136では、制御装置のスピナ一ドライバによって、そのモータの回転制御がされると共に、図示しない副走査移動ユニットにより副走査方向に移動制御される。

[0103] このように構成されたスピナ一ミラー装置 136は、光源側の光学系から投射され画像情報に応じて変調された光ビームを、回動する反射鏡部材 138の反射鏡面に反射させて主走査方向への走査露光を行いながら、スピナ一ミラー装置 136を副走査方向へ移動することによって、平版刷版 111の記録面全面に対して 2次元の画像を記録する処理を行う。

[0104] この CTPシステムに設けるバッファ装置 116は、インナードラム露光装置 114で露光処理された平版刷版 111を、搬送速度を調整することによって所要のタイミングで現象処理装置 118へ搬入する機能を有する。

[0105] 現象処理装置 118は、搬入されて来た露光済の平版刷版 111に対する現像処理を行って潜像を顕像化して印刷版を製版する。

[0106] なお、前述した平版刷版の自動供給装置は、前述した合紙の保護を必要としな!、フォトポリマ PS版以外に、例えば、いわゆるサーマル PS版で、表面に形成された画像を形成する記録層に傷が付くことを防止するため、記録層の最外表面上にオーバ一コート層（現像前の水洗工程で完全に除去できる水溶性材料で構成された OC層等)が塗布されているものを利用することができる。さらに、平版刷版の自動供給装置は、合紙の保護を必要とせず、じかに重ねて束ねた状態で取り扱っても傷が問題とならない程度に記録層側の表面を強化した表面強化型のサーマル PS版を利用することがでさる。

[0107] また、この平版刷版の自動供給装置の構成は、一般に平版印刷の分野で用いられる製版方式に対応した平版刷版である、光を利用して記録層に画像を記録する (光モード)の平版刷版、熱を利用して記録層に画像を記録する (熱モード)の平版刷版、記録層中で光を熱に変換させて画像を記録する (光、熱モード)の平版刷版、化学反応を利用した平版刷版、物理的な現象を利用した平版刷版を一枚づっ分離して供給することに利用できることは勿論である。

[0108] さらに、この平版刷版の自動供給装置では、枚葉供給装置 112の保管棚 144を所定角度 Θで斜めに配置した構成について説明したが、平版刷版 111の束を載置する保管棚を、水平方向に配置して構成しても良い。

符号の説明

[0109] 110自動供給装置

111平版刷版

112枚葉供給装置

146搬出用ローラ 200ピックアップユニット 202サッカー

202 Aスカート部 250摺擦低減用部材

Claims

請求の範囲

[1] 一方の平版刷版表面の記録面側上に他方の平版刷版の裏面側を直接接触させて積層することにより前記平版刷版が所定複数枚重ねられて束にされたものを載置する保管棚と、

前記平版刷版の束における最上部の前記平版刷版を押圧しつつ搬送方向へ力を作用させることにより、前記平版刷版を搬出する搬送ユニットと、

前記搬送ユニットによって押圧する荷重が最上部の前記平版刷版を通して、その下の前記平版刷版を押圧する範囲に関して介在される摺擦低減用部材と、前記保管棚上に載置された前記平版刷版の束における最も上に位置する前記平版刷版と、その下の前記平版刷版との間に隙間を開力せて、前記摺擦低減用部材を挿入させるための引き離し操作ユニットと、

を備えた、平版刷版の自動供給装置。

[2] 前記摺擦低減用部材を、弾性を有するシート状の材料で形成した、請求項 1に記載の平版刷版の自動供給装置。

[3] 前記摺擦低減用部材の表面と最も上に位置する第 1の前記平版刷版の裏面との間の摩擦係数 1を、前記摺擦低減用部材の裏面と第 1の前記平版刷版の下に位置する第 2の前記平版刷版記録面側の表面との間の摩擦係数； z 2よりも小さく構成した

、請求項 1に記載の平版刷版の自動供給装置。

[4] 前記摺擦低減用部材の表面と最も上に位置する第 1の前記平版刷版の裏面との間の摩擦係数 1を、前記摺擦低減用部材の裏面と第 1の前記平版刷版の下に位置する第 2の前記平版刷版記録面側の表面との間の摩擦係数； z 2よりも小さく構成した

、請求項 2に記載の平版刷版の自動供給装置。

[5] 前記引き離し操作ユニットが、前記保管棚に載置された前記平版刷版の束における最も上に位置する前記平版刷版を持ち上げて力離すことにより、その下の前記平版刷版との間に空気を入れる、捌きユニットを兼用するように構成した、請求項 1に記載の平版刷版の自動供給装置。

[6] 前記引き離し操作ユニットが、前記保管棚に載置された前記平版刷版の束における最も上に位置する前記平版刷版を持ち上げて力離すことにより、その下の前記平版刷版との間に空気を入れる、捌きユニットを兼用するように構成した、請求項 2に記載の平版刷版の自動供給装置。

[7] 前記引き離し操作ユニットが、前記保管棚に載置された前記平版刷版の束における最も上に位置する前記平版刷版を持ち上げて力離すことにより、その下の前記平版刷版との間に空気を入れる、捌きユニットを兼用するように構成した、請求項 3に記載の平版刷版の自動供給装置。

[8] —方の平版刷版表面の記録面側上に他方の平版刷版の裏面側を直接接触させて積層することにより前記平版刷版が所定複数枚重ねられて束にされたものを載置する保管棚と、

前記搬送ユニットによって押圧する荷重が最上部の前記平版刷版を通して、その下の前記平版刷版を押圧する範囲に関して介在される摺擦低減用部材と、

前記保管棚上に載置された前記平版刷版の束における最も上に位置する前記平版刷版と、その下の前記平版刷版との間に隙間を開力せて、前記摺擦低減用部材を挿入させるための引き離し操作ユニットと、

を備え、

前記摺擦低減用部材を、弾性を有するシート状の材料で形成し、

前記摺擦低減用部材の表面と最も上に位置する第 1の前記平版刷版の裏面との間の摩擦係数 1を、前記摺擦低減用部材の裏面と第 1の前記平版刷版の下に位置する第 2の前記平版刷版記録面側の表面との間の摩擦係数； z 2よりも小さく構成し前記引き離し操作ユニットが、前記保管棚に載置された前記平版刷版の束における最も上に位置する前記平版刷版を持ち上げて力離すことにより、その下の前記平版刷版との間に空気を入れる、捌きユニットを兼用するように構成した、平版刷版の自動供給装置。