明 細 書
抗 CD14抗体融合蛋白質
技術分野
[0001] 本発明は、抗 CD14抗体と蛋白分解酵素阻害物質とを含有する新規蛋白質、それ をコードするポリヌクレオチド、新規蛋白質の製造方法および敗血症等における新規 蛋白質等の医薬用途に関する。
背景技術
[0002] 敗血症は、感染素因があり全身性炎症性症候群 (SIRS)の病態を呈する疾患と定 義される (非特許文献 1参照)。初期症状として悪寒、発汗、発熱や血圧低下が認め られる力 各種の炎症性メディエーターおよび血液凝固系因子の亢進が全身性に起 こると、微小循環障害を惹起し、組織障害、臓器障害へと病態が重症化し、しばしば 多臓器不全あるいは敗血症性ショックを続発して死亡に至る疾患である。
敗血症発症のトリガー段階は、感染細菌の構成成分、例えば、グラム陰性細菌に おけるリポ多糖 (LPS)やグラム陽性細菌におけるリポタイコ酸 (LTA)などが白血球 ( 単球 Zマクロファージおよび好中球)や血管内皮細胞に作用し、各種炎症メディエー ターの産生を惹起するイベントである。近年の研究により、細菌構成成分によるこれら 標的細胞の活性化には、本来白血球の分ィ匕抗原として見出された CD14 (非特許文 献 2参照)、および自然免疫系におけるパターン認識分子として位置付けられる ToU- like-receptors (TLR)が重要な働きをして 、ることが明らかにされて 、る(非特許文献 3参照)。
[0003] CD14は膜結合型と可溶型の 2つの形態で存在する。膜結合型はグリコシルフォス ファチジルイノシノトールにより細胞膜上にアンカリングされて存在し、可溶型には肝 臓で合成されたものと、白血球上でフォスファチジルイノシトール特異的フォスフオリ パーゼによって切り出されて血中に存在する(非特許文献 4参照)ものがある。例えば LPSによる標的細胞の活性ィ匕は、血中に存在する LPS結合蛋白質 (LBP)による触 媒的作用を受けて LPSの CD14への結合が促進され、細胞膜上の TLRに結合して 活性ィ匕シグナルを標的細胞に伝える。活性ィ匕シグナルを受けた標的細胞からは、 T
NF- a、 IL-1、 IL- 6、 IL-8等のサイト力イン産生や組織因子の発現など、炎症反応 に関わる各種のメディエーターが産生される。代表的なメディエーターであるサイト力 インは好中球やマクロファージを活性ィ匕し、血管内皮への接着、組織内遊走、好中 球エラスターゼに代表される中性プロテアーゼの放出、および活性酸素種の産生が 起こる。これには凝固'線溶系の活性化、補体系の活性化、カリクレインの活性化も 関与する。このように分子レベルおよび細胞レベルでは、多数のメディエーター分子 およびエフェクター分子が病態形成に関わっており、一連の反応が過剰に亢進した 場合には、全身的な傷害作用が現れる結果となり、前述の通り、微小循環障害から、 組織障害、臓器障害へと病態が重症化する。
[0004] このように複雑な病態を呈する敗血症に関して、その治療薬に関する研究が数多く なされている。治療薬開発のアプローチとしては、発症起因物質である細菌構成物 質の作用を阻害する方法と発症起因物質のシグナルに応答して生体側が応答して 発現する各種の因子を阻害する方法とに大別することができる。
[0005] グラム陰性細菌由来のエンドトキシンの作用を阻害することによる治療法としては、
(1)抗エンドトキシン抗体を用いる方法 (非特許文献 5〜6参照) (2)エンドトキシンァ ンタゴ-ストを用いる方法 (非特許文献 7参照)、 (3)ポリミキシン Bを用いる方法 (非特 許文献 8参照)、および (4) BPIを用いる方法 (非特許文献 9参照)等が考案されて ヽ る。エンドトキシンは、グラム陰性細菌の菌体成分であり、グラム陽性細菌や真菌など の敗血症起因細菌には存在しない物質であるため、エンドトキシンを標的とした敗血 症治療薬はグラム陰性細菌以外の原因菌の場合には適応できないという問題を抱え ている。
[0006] グラム陰性細菌の構成物質である LPSの受容体として機能する CD14を標的とす る敗血症治療薬も考案されている。近年、 CD14は LPS受容体としてのみならず、グ ラム陽性細菌の構成物質であるリポタイコ酸ゃペプチドダリカン等の細菌構成物質の 受容体としても機能していることが判明しており(非特許文献 10参照)、 CD14を標的 とする敗血症治療薬の適用範囲がグラム陰性細菌敗血症にとどまらないことが示唆 される。具体的な治療薬として抗 CD14抗体 (特許文献 1〜2参照)や可溶型 CD14 ( 非特許文献 11参照、特許文献 3〜4参照)が考案されているが、実用には至ってい
ない。敗血症病態は、原因菌構成物質による炎症反応のトリガー段階力 シーケン シャルにかつ複合的に形成され、重症化へと進展していくものと推定される。 CD14 標的治療薬の短所は、その作用が病態形成の初期のトリガー段階にフォーカスされ るため、重症化した病態後期への効果が懸念されることである。
[0007] 一方、生体側の過剰産生因子を標的とする治療法のうち、サイト力イン等の炎症メ ディエーターを阻害することによる治療法としては、 (1)抗 TNF抗体を用いる方法( 非特許文献 12参照)、 (2)可溶型 TNF受容体を用いる方法 (非特許文献 13参照)、 (3) IL-1受容体アンタゴ-ストを用いる方法 (非特許文献 14参照)、(4) PAF阻害剤 を用いる方法 (非特許文献 15参照)、 (5) NO阻害剤を用いる方法 (非特許文献 16 参照)などが考案されている。これらの治療法は、実験動物および小規模の臨床試 験段階ではその効果が示されて 、るものの、大規模な臨床試験段階ではその有効 性、有用性を明確に実証するには至っていない。前述の通り、サイト力イン等の炎症 メディエーターは、各々が複数の活性を持ち、各々が作用を補完し、また相互に発現 を誘導するなど、複雑なネットワークを形成してイベントを発生させているため、一つ の因子を阻害することによる治療には限界があるものと推察されている(非特許文献 17参照)。
[0008] 一連の敗血症病態形成に関るメディエーターの相互作用の過程で亢進する血液 凝固系因子を標的とする治療法も考案されている。血液凝固系の亢進は、微小血液 循環系障害を招き、これが末梢組織への酸素供給低下、組織障害、さらには多臓器 不全へと至るため治療薬の重要ターゲットの一つと考えられて 、る。具体的な方法と して、(1)活性ィ匕プロテイン Cを用いる方法(非特許文献 18参照)、(2)アンチトロン ビン IIIを用いる方法 (非特許文献 19参照)、および (3)TFPIを用いる治療法 (非特 許文献 20参照)などがある。活性ィ匕プロテイン Cによる重症敗血症治療は大規模な 臨床試験においても有意な治療効果を示し (非特許文献 21参照)、臨床の場に提供 されているが、出血傾向のある患者への適用禁忌など、実践的に利用する場面では 大きな制限があることが問題とされている。
[0009] 特許文献 1:特許第 2744130号公報
特許文献 2:国際公開第 02Z42333号パンフレット
特許文献 3:特表平 10— 512142号公報
特許文献 4:国際公開第 01Z72993号パンフレット
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非特許文献 3:Zhang G., Ghosh S., Endotxin Res. ,2000,6,453-457
非特許文献 4 : Stelter F., Structure/ Function relationship of CD14; in Jack R.S.(ed
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発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 力かる状況において、本発明者らは、抗 CD14抗体と蛋白分解酵素阻害物質とを 結合させた新規蛋白質が従来技術の問題を解決し得ることを着想し、新規蛋白質を 作製してその効果を確認した。本発明の目的は、抗 CD14抗体と蛋白分解酵素阻害 物質とを含有する新規蛋白質、それをコードするポリヌクレオチド、新規蛋白質の製 造方法および新規蛋白質を含有する敗血症予防治療剤等を提供することにある。 課題を解決するための手段
[0011] 本発明の代表的な態様を以下に示す。本発明の第一の態様は、(I)抗 CD14抗体 もしくはその活性断片またはそれらの誘導体、および、(II)蛋白分解酵素の阻害物 質もしくはその活性断片またはそれらの誘導体を含有する、新規な蛋白質である。す なわち、
(1) (I)抗 CD14抗体もしくはその活性断片またはそれらの誘導体、および、(II)蛋白 分解酵素の阻害物質もしくはその活性断片またはそれらの誘導体を含有する蛋白質
(2)前記 (II)の阻害物質が蛋白性阻害物質である、前記(1)の蛋白質、
(3)前記 (II)の阻害物質が多価酵素阻害物質である、前記(1)〜 (2)の蛋白質、
(4)前記 (II)の蛋白分解酵素が血液凝固因子 (血液凝固系蛋白分解酵素)または炎 症性プロテアーゼである、前記(1)〜(3)の蛋白質、
(5)前記 (II)の蛋白分解酵素が FXaおよび Zまたは FXIaである、前記(1)〜 (4)の 蛋白質、
(6)前記 (II)の蛋白分解酵素がトロンビンである、前記(1)〜 (4)の蛋白質、
(7)前記 (II)の阻害物質が UTI由来である、前記(1)〜 (6)の蛋白質、
(8)前記 (II)の阻害物質がトロンボモジュリン由来である、前記(1)〜(6)の蛋白質、
(9)前記 (II)の阻害物質が UTIの第二ドメイン由来である、前記(1)〜 (6)の蛋白質
(10)前記 (II)の阻害物質がトロンボモジュリンの機能ドメイン由来、特に EGF様ドメイ ン由来である、前記(1)〜(8)の蛋白質、
(11)前記 (II)の蛋白分解酵素がエラスターゼである、前記(1)〜 (4)の蛋白質、
(12)前記 (II)の阻害物質が分泌性白血球プロテアーゼインヒビターである、前記(1 )〜 (4)または(11)の蛋白質、
(13)前記(II)の阻害物質が UTI第二ドメインの 1〜4の何れかの数のアミノ酸置換変 異体である、前記(1)〜(11)の蛋白質、
(14)前記 (I)の抗 CD 14抗体が中和能を有する抗体である、前記(1)〜(13)の蛋 白質、
(15)前記(I)の抗 CD 14抗体力ヒト CD14のアミノ酸番号 269〜315の領域の少なく とも一部を認識する抗体である、前記(1)〜(14)の蛋白質、
( 16)前記 (I)の抗 CD 14抗体がキメラ抗体である、前記( 1)〜( 15)の蛋白質、
(17)前記 (I)の抗 CD14抗体がヒト化抗体である、前記(1)〜(16)の蛋白質、また は、
(18)前記(I)の抗 CD14抗体力 表 2に記載の重鎖 CDR1、 CDR2および CDR3を 重鎖可変領域の CDR1、 CDR2および CDR3として、または、表 2に記載の軽鎖 CD Rl、 CDR2および CDR3を軽鎖可変領域の CDR1、 CDR2および CDR3として含 有する、前記(1)〜(17)の蛋白質である。
本発明の第二の態様は、第一の態様の蛋白質の少なくとも一部をコードするポリヌ クレオチドである。すなわち、
(19)前記(1)〜(18)の蛋白質の少なくとも一部をコードするポリヌクレオチドである。 本発明の第三の態様は、本発明の第二の態様のポリヌクレオチドを含有するべクタ 一である。すなわち、
(20)前記(19)のポリヌクレオチドを含有するベクターである。
本発明の第四の態様は、本発明の第二の態様のポリヌクレオチドまたは本発明の第 三の態様のベクターを含有する細胞である。すなわち、
(21)前記(19)のポリヌクレオチドまたは前記(20)のベクターを含有する細胞である 本発明の第五の態様は、本発明の第二の態様のポリヌクレオチド、本発明の第三 の態様のベクターまたは本発明の第四の態様の細胞の少なくともいずれか一つを用 いることを特徴とする、本発明第一の態様の蛋白質の製造方法である。すなわち、
(22)前記(19)のポリヌクレオチド、前記(20)のベクターまたは前記(21)の細胞の 少なくとも 、ずれか一つを用いることを特徴とする、前記(1)〜(18)の蛋白質の製造 方法である。
本発明の第六の態様は、本発明第一の態様の蛋白質、本発明の第二の態様のポ リヌクレオチド、本発明の第三の態様のベクターまたは本発明の第四の態様の細胞 の少なくともいずれか一つを含有することを特徴とする、疾患の予防および Zまたは 治療剤である。すなわち、
(23)前記(1)〜(18)の蛋白質、前記(19)のポリヌクレオチド、前記(20)のベクター または前記(21)の細胞の少なくともいずれか一つを含有することを特徴とする、疾患 の予防および Zまたは治療剤、または、
(24)前記疾患が敗血症、重症敗血症もしくは敗血症ショック、 SIRS関連疾患、ェン ドトキシンショック、または ARDSである、前記(23)の予防および Zまたは治療剤で ある。
発明の効果
[0013] 本発明に係る新規蛋白質は、抗 CD14抗体または蛋白分解酵素阻害物質等がそ れぞれ単独では無効または効果が不充分な、疾患もしくは病態、またはそれらにお ける特定の症状もしくは治療指標に対して、有効である。該蛋白質は、 in vivoにおけ る安定した抗炎症作用ならびに抗凝固作用および Zまたはエラスターゼ阻害作用を 併せ持つことにより、たとえば、敗血症の予防および Zまたは治療薬として有用であ る。
図面の簡単な説明
[0014] [図 1]F1024抗体重鎖可変領域の DNA配列とアミノ酸配列を示す。
[図 2]F1024抗体軽鎖可変領域の DNA配列とアミノ酸配列を示す。
[図 3]F1031— 13— 2抗体重鎖可変領域の DNA配列とアミノ酸配列を示す。
[図 4]F1031— 13— 2抗体軽鎖可変領域の DNA配列とアミノ酸配列を示す。
[図 5]F1031— 13— 2抗体重鎖可変領域の DNA配列とアミノ酸配列を示す。
[図 6]F1031— 13— 2抗体軽鎖可変領域の DNA配列とアミノ酸配列を示す。
[図 7]融合蛋白質 F1024D- D1D2の全アミノ酸配列構造の説明図である。
[図 8]融合蛋白質 F1024D- D2の全アミノ酸配列構造の説明図である。
[図 9]融合蛋白質 F1024D- D2 (3)の全アミノ酸配列構造の説明図である。
[図 10]融合蛋白質 F1024S-D1D2の全アミノ酸配列構造の説明図である。
[図 11]融合蛋白質 F1024S-D2の全アミノ酸配列構造の説明図である。
[図 12]融合蛋白質 F1024S-D2(3)の全アミノ酸配列構造の説明図である。
[図 13]融合蛋白質 F1024D-SLP1 (D1D2)の全アミノ酸配列構造の説明図である
[図 14]融合蛋白質 F1024D-SLP1 (D2)の全アミノ酸配列構造の説明図である。
[図 15]融合蛋白質 F1024S-SLP1 (D1D2)の全アミノ酸配列構造の説明図である。
[図 16]融合蛋白質 F1024S-SLP1 (D2)の全アミノ酸配列構造の説明図である。
[図 17]融合蛋白質 F1031-13S-D2 (3)の全アミノ酸配列構造の説明図である。
[図 18]F1024 (抗 CD14抗体)または抗体融合蛋白質の LPS刺激 U373MG細胞の IL-6産生に対する抑制作用を示す図である。
[図 19]F1024 (抗 CD14抗体)または抗体融合蛋白質の LPS刺激 U373MG細胞の IL-6産生に対する抑制作用を示す図である。
圆 20]抗体融合蛋白質各の IL-6産生に対する抑制活性を示す図である。
圆 21]UTI由来蛋白質および抗 CD14抗体融合蛋白質のトリプシン阻害活性を示す 図である。
[図 22]抗 CD14抗体融合蛋白質の FactorXa阻害活性を示す。
[図 23]抗 CD14抗体融合蛋白質の FactorXIa阻害活性を示す。
圆 24]抗 CD14抗体融合蛋白質のヱラスターゼ阻害活性を示す。
圆 25]抗 CD14抗体融合蛋白質の血漿カリクレイン阻害活性を示す。
[図 26]LPS負荷ゥサギ敗血症モデルでの融合蛋白質 F1024S-D2 (3)の生存率改 善効果を示す。
[図 27]LPS負荷ゥサギ敗血症モデルでの融合蛋白質 F1024S-D2 (3)が白血球数 に及ぼす影響 (LPS負荷ゥサギ敗血症モデルにおける LPS初回投与後 28時間の白 血球数)を示す。
[図 28]LPS負荷ゥサギ敗血症モデルでの融合蛋白質 F1024S-D2 (3)が血小板数
に及ぼす影響 (LPS負荷ゥサギ敗血症モデルにおける LPS初回投与後 26時間の血 小板数)を示す。
[図 29]LPS負荷ゥサギ敗血症モデルでの融合蛋白質 F1024S-D2 (3)がアンチトロ ンビン (AT) III活性減少に及ぼす影響 (LPS負荷ゥサギ敗血症モデルにおける LPS 初回投与後 28時間の ΑΤΠΙ活性の減少)を示す。
[図 30]LPS負荷ゥサギ敗血症モデルでの融合蛋白質 F1024S-D2 (3)の血圧低下 改善効果を示す。
[図 31]F1024抗体に対する結合競合実験の結果を示す。
[図 32]融合蛋白質 F1024— D2の UTI第 2ドメインの各改変体のアミノ酸配列を示す
[図 33]融合蛋白質 F1024— D2の UTI第 2ドメインの各改変体のアミノ酸配列を示す
[図 34]融合蛋白質 F1024— D2の UTI第 2ドメインの各改変体のアミノ酸配列を示す
[図 35]融合蛋白質 F1024— D2の UTI第 2ドメインの各改変体のアミノ酸配列を示す
[図 36]融合蛋白質 F1024S- D2 (4) (R11S/R15T/Q19K/Y46D)の全アミノ酸配 列構造の説明図を示す。
[図 37]融合蛋白質 F1024— TMの TMの各種機能ドメインの各改変体のアミノ酸配 列を示す。
[図 38]融合蛋白質 F1024— TMの TMの各種機能ドメインの各改変体のアミノ酸配 列を示す。
[図 39]融合蛋白質 F1024— TMの TMの各種機能ドメインの各改変体のアミノ酸配 列を示す。
[図 40]融合蛋白質 F1024— TMの TMの各種機能ドメインの各改変体のアミノ酸配 列を示す。
[図 41]融合蛋白質 F1024— TMの TMの各種機能ドメインの各改変体のアミノ酸配 列を示す。
[図 42]融合蛋白質 F1024— TMの TMの各種機能ドメインの各改変体のアミノ酸配 列を示す。
[図 43]融合蛋白質 F1024— TMの TMの各種機能ドメインの各改変体のアミノ酸配 列を示す。
[図 44]融合蛋白質 F1024— TMの TMの各種機能ドメインの各改変体のアミノ酸配 列を示す。
[図 45]融合蛋白質 F1024S-TM23456Lの全アミノ酸配列構造の説明図を示す。
[図 46]融合蛋白質 F1024S— TMの TMの各種機能ドメインの各改変体のトロンボモ ジュリン活性を示す。
[図 47]ヒト化 F1024S— D2 (3)の全アミノ酸配列構造の説明図を示す。
[図 48]F1024— 1—3ラット抗体の重鎖および軽鎖可変領域のアミノ酸配列およびヒ ト化 F1024S— D2 (3)の重鎖および軽鎖可変領域と相同性の高いヒト抗体のァミノ 酸配列を示す。
[図 49]ヒト化抗体の重鎖の発現および結合活性維持が可能なアミノ酸配列を示す。
[図 50]APTT試薬惹起ヒト血漿中ブラジキュン産生に対する抑制作用を示す。
[図 51]APTT試薬惹起ゥサギ血漿中ブラジキニン産生に対する抑制作用を示す。
[図 52]トロンボプラスチン惹起ヒト血漿中トロンビン産生に対する抑制作用を示す。
[図 53]トロンボプラスチン惹起ゥサギ血漿中トロンビン産生に対する抑制作用を示す
[図 54]F1024S— D2 (3)投与後の LPS惹起ゥサギ全血 TNF— α産生に対する抑 制作用の経時変化を示す。
[図 55]ゥサギ F1024S— D2 (3)投与後の ΑΡΤΤの経時変化を示す。
[図 56]ゥサギ盲腸穿刺腹膜炎 (CLP)モデル F1024S— D2 (3)投与後の生存率の 変化を示す。
[図 57]ゥサギ盲腸穿刺腹膜炎 (CLP)モデル F1024S— D2 (3)投与後の血漿中の Dダイマーの変化を示す。
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明第一の態様の蛋白質は、その種類については特に制限されず、単純蛋白 質 (またはポリペプチド)および複合蛋白質 (糖蛋白質他)等を含む。
本発明第一の態様の蛋白質において、(I)抗 CD14抗体もしくはその活性断片また はそれらの誘導体と (II)蛋白分解酵素阻害物質もしくはその活性断片またはそれら の誘導体の結合様式は、特に限定されず、通常共有結合であるが、化学的方法 (ィ匕 学合成法もしくはケミカルコンジユゲーシヨン)または遺伝子組換技術の何れによる結 合であっても良い。本発明第一の態様の蛋白質は、好ましくは遺伝子工学的に作製 される融合蛋白質である。
[0016] 前記 (II)の蛋白分解酵素阻害物質は、抗体の重鎖もしくは軽鎖の何れか、または 双方に結合しても良いが、通常、抗体の重鎖、特に、重鎖の C末端側に融合させる。 前記 (II)の蛋白分解酵素阻害物質の結合数は必ずしも限定されず、抗体あたり 1分 子でも複数分子でも良い。また、必要に応じて、適当なリンカ一またはスぺーサ一等 を用いてもよい。これらの方法、リンカ一またはスぺーサ一等は当業者に周知であり、 具体的な例は実施例に示されて 、る。
[0017] 本発明の蛋白質にぉ 、て、 (I)抗 CD14抗体または (II)蛋白分解酵素阻害物質の 活性断片とは、 (I)抗 CD14抗体または (II)蛋白分解酵素阻害物質が本来有する活 性または機能の少なくとも一つを発現または保持し得る部分を含有する断片であり、 活性領域または機能ドメインを包含する。また、本発明の蛋白質において、(I)抗 CD 14抗体もしくは (II)蛋白分解酵素の阻害物質またはそれらの活性断片の誘導体とは 、(I)抗 CD14抗体もしくは (II)蛋白分解酵素の阻害物質またはそれらの活性断片に 何らかの修飾もしくは変異または付加等を伴うもので、例えば、他の化学物質 (例え ば、ポリエチレングリコール等)を含有するもの、または、 1以上、好ましくは 1ないし数 個のアミノ酸の変異、例えば、付加、欠失、挿入または置換を伴うものが含まれ、変異 体、改変体および修飾体を包含する。これらは、(I)抗 CD14抗体もしくは蛋白分解 酵素阻害物質またはその活性断片が本来有する活性または機能の少なくとも一つ、 好ましくは全てを発現または保持し得る。
[0018] 本発明第一の態様の蛋白質は、(I)抗 CD14抗体または (II)蛋白分解酵素阻害物 質が本来有する活性の各々少なくとも一つ、好ましくは全てを発現または保持する。
本発明第一の態様の蛋白質は、 (I)抗 CD14抗体および (II)蛋白分解酵素阻害物 質の本来の活性の各々少なくとも一つ、好ましくは全てを併せ持つことにより、(I)抗 CD14抗体または (II)蛋白分解酵素阻害物質等単独では無効または効果が不充分 な、疾患もしくは病態、またはそれらにおける特定の症状もしくは治療指標に対しても 、有効である。
本発明第一の態様の蛋白質にぉ 、て (II)蛋白分解酵素の阻害物質は必ずしも限 定されず、非蛋白性阻害物質または低分子化合物等であっても良いが、好ましくは 蛋白性阻害物質である。
[0019] (II)は特定の酵素に特異的であっても良いが、複数の酵素を阻害する多価酵素阻害 物質が好ましい。多価酵素阻害作用を有する物質としては、クニッッ型プロテアーゼ インヒビター、例えば、尿トリプシンインヒビター(UTI)、分泌性白血球プロテア一ゼィ ンヒビター(SLPI : Secretory Leucocyte Protease Inhibitor)、組織因子経路インヒビタ 一(TFPI : tissue Factor pathway inWbitor)およびァプロチュン等が挙げられ、好まし くは、 UTI、 SLPIおよび TFPIである。
UTIは、ビクニンまたはゥリナスタチンと同一であり、トリプシン、プラスミンおよび好 中球エラスターゼ等に対するプロテアーゼインヒビターである。
SLPIは、好中球エラスターゼおよびカテブシン等に対するインヒビターである。 TFPIは、リポ蛋白結合性凝固インヒビター(LACI : lipoprotein- associated coagulati on inhibitor)または外因系凝固インヒビター(EPI : extrinsic pathway inhibitor)とも呼 ばれ、血液凝固第 Xa因子 (FXa)と結合して、第 Vila因子一組織因子 (第 III因子)複 合体を阻害し、外因系血液凝固の開始を抑制する。
[0020] その他の多価酵素阻害物質としては、 a 2-マクログロブリン( a 2-MG)、アンチトロ ンビン III (ATIII)および α 1-アンチトリプシン( α 1- AT: a 1 -antitrypsin)がある。 α 2 - MGは、約 770,000の巨大な分子量を持つ血漿蛋白の 1つで、トロンビン、 FXa、 プラスミン、トリプシン、キモトリブシンおよびエラスターゼ等を阻害する。 ΑΤΠΙは、 FX aやトロンビンなどのセリンプロテアーゼと 1対 1の複合体を形成し、凝固反応を制御 する。 ΑΤΠΙは、 N末端にへノ^ン結合ドメインを、 C末端にトロンビンとの反応部位を 有し、へノ リンとの結合によりその抗トロンビン活性が約 1000倍に増強する。 a l-A
Tは、分子量 51000、 394個のアミノ酸からなる糖蛋白で、トロンビン、プラスミン、トリ プシン、キモトリブシンおよびエラスターゼ等の種々のセリンプロテアーゼを阻害する
[0021] 本発明の蛋白質における前記 (II)は、抗凝固作用もしくはブラジキュン産生をもた らす因子を含む血液凝固因子 (血液凝固系蛋白分解酵素)阻害作用、特に活性ィ匕 血液凝固因子阻害作用、または、抗炎症作用もしくは炎症性プロテアーゼ阻害作用 を有する阻害物質が好ましい。ここで、血液凝固因子としては、具体的にはカリクレイ ン、トロンビン、 FVa、 FVIIa、 FVIIIa、 FIXa、 FXa、 FXIa、 FXIIaおよび FXIIIa等が挙 げられ、それらの内、特に、カリクレイン、トロンビン、 FVa、 FVIIIa、 FIXa、 FXa、 FXIa および FXIIIaが重要な、さらに、トロンビン、または FXaおよび FXIaが最も重要な標 的酵素である。また、炎症性プロテアーゼとしては、具体的にはエラスターゼ、トリプ シン、キモトリブシンおよびカテブシン類が挙げられ、特にエラスターゼ、具体的には 好中球エラスターゼおよび脾エラスターゼ、特に好中球エラスターゼが重要な標的 酵素である。本発明の蛋白質または本発明の蛋白質における前記 (II)の阻害物質 の蛋白分解酵素阻害活性は、公知の材料および方法を利用して測定し得るが、具 体例は実施例に記載されて 、る。
[0022] 抗凝固作用または血液凝固因子阻害作用を有する阻害物質としては、公知の物 質を利用し得る。具体的には TFPI、 ΑΤΠΙ、 a 1-ATおよび α 2-MG、ならびに、 U TIおよびトロンボモジュリン (TM)、それらの活性断片およびそれらの誘導体等が挙 げられ、好ましくは、 TMまたは UTI、それらの活性断片もしくはそれらの誘導体、より 好ましくは、 TM機能ドメインまたは FXaおよび Zまたは FXIaに対する阻害活性を有 する UTIの第二ドメイン (UTI-D2)もしくはその改変体、特にその 3アミノ酸置換変異 体(UTI- D2(3))である。 UTI、 UTI- D2および UTI- D2 (3)のアミノ酸配列およびヌ クレオチド配列ならびに調製方法等は、特開平 5— 84083、特開平 5— 308988、特 開平 6— 25289および特開平 6— 321989等に記載されており、これらを参考とし得 る。
トロンボモジュリン (TM)は、血管内皮細胞が産生する抗凝固因子の 1つであり、細 胞膜上でトロンビンと複合体を作り、続いてプロテイン Cが活性化され、血液凝固反
応が抑制される。 TMは 1981年に発見され、血管内皮細胞上に存在し、トロンビンを 凝固酵素から抗凝固酵素に変換する。また、トロンビン活性を直接阻害するとともに、 プロテイン C (PC)の活性ィ匕を促進し、生じた活性ィ匕プロテイン C (APC)は、活性ィ匕 血液凝固因子第 V因子 (FVa)、第 VIII因子 (FVIIIa)を不活性ィ匕することによって血 液凝固カスケード反応にネガティブフィードバックをかけ、トロンビンの生成を抑制す る。つまり TMはトロンビン依存性に凝固 ·線溶活性の双方を阻害する。この作用には 、 へパリンのようにアンチトロンビン IIIを必要とせず、出血傾向の助長が少ないとされ ている。
本発明で用いる TM、その活性断片および誘導体は、 TMのアミノ酸配列およびそ れをコードする核酸配列、ならびに TMのドメイン構造と機能が公知(例えば、黒澤晋 一郎、別冊'医学のあゆみ 血液疾患 state of arts (Ver. 2) , 1998年、 205 — 207頁)であることから、それらを基に、公知の方法で調製し、また、活性を測定しう る(例えば、特開平 1 6219及び WO88/5053)。 TMは 5つのドメイン、すなわち、 細胞外の N末端より、レクチン様ドメイン、 Epidermal growth factor (EGF)様ドメ イン、 O型糖鎖結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメイン (Kurosawa, S et al. ,J.Biol.Chem.,263,5993,1988)からなりそのひとつ EGF様ドメインは 6つの繰り返し単 位からなる(本明細書では EGF1— 6または TM123456のように記載することがある ) oその活性最小単位は、 EGF様ドメインの第 4〜6番目の繰り返し単位、すなわち E GF4— 6とされている。
TMの好ましい活性断片、誘導体または機能ドメインの例としては、 EGF様ドメイン 、それを含有する TMの活性断片もしくはその誘導体、または EGF様ドメインの活性 断片もしくはその誘導体、好ましくは EGF4— 6、さらに好ましくは EGF3— 6、特に好 ましくは EGF2— 6、それを含有する TMの活性断片もしくはその誘導体、具体的に は、実施例で作製された TMの活性断片もしくはその誘導体であり、特に、 TM2345 6M、 TM234567Mまたはそれらの活性断片もしくは誘導体である。誘導体の好ま しい例としては、 TMのアミノ酸番号 388番目のメチォニンをロイシンに置換した変異 体(M388L)が挙げられ、 TM23456Lおよび TM234567Lである。これらの作製 方法および活性測定方法は、公知の方法に従ってもよぐ具体的には、実施例に記
載されている。
[0023] 抗炎症作用または炎症性プロテアーゼ阻害作用を有する阻害物質としては、種々 のものが知られている力 特にエラスターゼ阻害物質が好ましぐ公知の物質を利用 し得る。具体的には、 UTI、 UTI- D2、 SLPI、 a 1- ATおよび α 2- MGもしくはこれ らの活性断片もしくは誘導体、好ましくは UTI、特にエラスターゼ阻害活性を有する UTI第二ドメイン改変体、具体的には UTI— D2の 3アミノ酸置換変異体、 UTI— D2 の 4アミノ酸置換変異体 (UTI— D2 (4)のように記載することもある)および、 SLPI、 特にその後半部分 (C末端ポリペプチド)である。 SLPIおよびその後半部分 (C末端 ポリペプチド)のアミノ酸配列およびヌクレオチド配列ならびに調製方法等は、特開平 6— 80697等に記載されており、これらを参考とし得る。
UTI D2の 3アミノ酸または 4アミノ酸置換変異体の具体例は、実施例 7の表 9に 示されており、特に、 UTI— D2 (4) (Rl 1 S/Rl 5T/Q 19K/Y46D)が好ましい。
FXaおよび Zまたは FXIaに対する阻害活性ならびにエラスターゼ阻害活性を有す る、 UTI第二ドメイン改変体、具体的には UTI- D2 (3)は特に好ましい。
[0024] 本発明第 1の態様の蛋白質において、抗 CD14抗体は、 CD14、好ましくはヒト CD 14に結合するものであれば、特定の抗体に限定されない。本発明の蛋白質におい て、前記 (I)の抗 CD14抗体は、蛋白分解酵素阻害物質と相乗的に作用し、または、 該蛋白質もしくは該阻害物質の機能もしくは効果を向上させる。本発明第 1の態様の 蛋白質における前記 (I)の抗 CD14抗体は、 CD14阻害作用の有無によっては限定 されないが、好ましくは CD14阻害作用を有する抗体である。ここで、 CD14阻害作 用とは、 CD14の機能、例えば、 LPSとの結合能、 TLRとの相互作用、 TLR発現細 胞の活性化、具体的には NF- κ Bの活性化もしくは IL-8産生、または内皮細胞のサ イト力イン産生、例えば、 IL-6産生等の少なくとも 1つを阻害する作用を言い、好まし くは、 CD14と TLR、特に、 TLR2または TLR4との結合を阻害する作用である。
[0025] 好適な例として、公知の抗 CD14抗体、特に、 WO02Z42333等に開示された抗 体、および、公知の方法、特に、 WO02Z42333等に開示された方法により取得さ れる抗体が挙げられる。また、それらの抗体力も作製されるキメラ抗体およびヒト化抗 体も本発明の蛋白質における、前記 (I)の抗 CD14抗体に含まれる。
[0026] 本発明の蛋白質において、前記(I)の抗 CD14抗体は、 CD14、好ましくはヒト CD 14に結合するものであれば、その認識領域または結合領域は必ずしも限定されな!ヽ 力 好ましくは、ヒト CD14の C末端側領域、特に、アミノ酸番号 269〜315、より好ま しくはアミノ酸番号 285〜307、さらに好ましくは、アミノ酸番号 294〜296の少なくと も一部を認識または結合するものであり、具体的には、これらのいずれかを含有する CD14の部分または CD14上の抗原決定領域を認識または結合する抗体である。ま た、表 5に記載の CD14アミノ酸置換変異体 (以下、アミノ酸置換体、アミノ酸置換改 変体またはアミノ酸改変体と記載することがある)の内、 P294H、 Q295A、 P296H および P294Z296Aの少なくとも 1つ、好ましくは全てとの結合性力ヒト CD14との結 合性と比較して有意に低下している抗体であり、より好ましくは、該結合性の低下に カロえて、他の変異体との結合性が実質的に変化していない抗体である。本発明の蛋 白質における (I)の抗 CD14抗体の認識領域または結合領域は、公知の材料および 方法、例えば、 WO02Z42333に記載の材料および方法を利用して確認し得る力 好適な例は実施例に記載されて 、る。
また、表 5に記載の変異体の内、特定のもの、特に、 P294H、 Q295A、 P296Hお よび P294Z296Aの少なくとも 1つ、好ましくは全てとの結合性力ヒト CD14との結合 性と比較して有意に低下していること、より好ましくは、該特定の変異体に対する結合 性の低下に加えて、他の変異体との結合性が実質的に変化していないことを指標と して、 CD14阻害活性を有する抗 CD14抗体を簡便にスクリーニングもしくは同定ま たは調製することができ、本発明はそのような方法をも提供する。
[0027] 本発明第一の態様の蛋白質において、前記 (I)の抗体は、ポリクローナル抗体であ つても良いが、モノクローナル抗体が好ましい。また、由来する動物種は特に限定さ れない。抗体作製の容易さの面では、マウスまたはラットが好ましい。医薬品組成物 の構成物の面では、キメラ抗体、 CDR移植抗体、ヒトイ匕抗体またはヒト抗体であること が好ましい。ヒト抗体には、ヒト抗体遺伝子組換トランスジエニックマウスに免疫して作 製したヒト抗体も含まれる。この他にもファージ抗体等も本発明の抗体に含まれる。ヒ ト化抗体は、定常領域と、フレームワーク領域 (FR)がヒト由来で、相補性決定領域( CDR)が非ヒト由来である CDR移植抗体、または、その FRにさらに変異を導入した
抗体である。ファージ抗体は繊維状ファージのコート蛋白質に抗体を融合させること によってファージ粒子表面上に抗体を提示させ、作製する抗体であり、単鎖 Fv (scF V)フォームあるいは Fabフォームが主に使用される。キメラ抗体は、ヒト以外の哺乳動 物、例えば、ラットまたはマウスのモノクローナル抗体の可変領域と、ヒト抗体の定常 領域とからなる抗体である。本発明第一の態様の蛋白質において、前記 (I)の抗体 はその分子種は特に限定されない。いずれのクラス(例えば、 IgG、 IgM、 IgA、特に 、 IgG)、サブクラス(例えば、 IgGl、 IgG2、 IgG3、 IgG4、特に、 IgG4)およびイソタ イブに分類される抗体であってもよい。抗体軽鎖については、カッパ一鎖およびラム ダ鎖のいずれも使用可能である。また、生物学的に活性のある Fab (fragment of antig en binding )、 Fab'、(Fab') 2、抗体の活性断片をリンカ一等で結合したものとして例 えば一本鎖抗体(single chain Fv: scFv) (Bird, R.E.ら, Science, 1988;242:423-426) 、ンスノレフイド安定ィ匕抗体 (disulfide stabilized Fv: dsFv) (Reiterら, Protein Engineeri ng,1994;7:697)、 ダイァボディー (diabody) (Holliger P.ら, Proc Natl Acad Sci USA 1 993;90:6444- 8)、単一ドメイン抗体(dAb) (Ward E.S.ら, Nature., 1989;341:544- 6)等 の活性断片および誘導体も、本発明に含まれる。これらは、遺伝子組換技術または 適当な蛋白分解酵素で抗体を処理する方法等、公知技術を用いることにより作製で きる。
[0028] キメラ抗体は、軽鎖遺伝子および重鎖遺伝子が、典型的には遺伝子工学により、 異なった種に属する抗体遺伝子セグメントから構成されて 、る抗体である。例えば、 ラットまたはマウスモノクローナル抗体力もの遺伝子の可変 (V)セグメントは、ヒト定常 (C)セグメント、例えば、 γ 1および γ 4と連結され得る。従って、他の哺乳動物種も 用いられ得るけれども、典型的な治療用キメラ抗体は、ラットまたはマウス抗体力もの V又は抗原結合ドメインおよびヒト抗体からの C又はエフェクタードメイン力 成るハイ ブリツド蛋白質である。
本発明第一の態様の蛋白質における前記 (I)の抗体の可変領域配列の好ま 、 例を図 1および図 2 (配列番号 123〜126)に、および、該抗体がキメラ抗体である融 合蛋白質の好ま 、例を図 7〜 17および実施例に示した。
[0029] また、通常抗体は抗原結合に関して多価 (IgGであれば、 2価)であるが、本発明の
蛋白質における前記 (I)の抗体は、ある局面においては、一価であることが好ましい。 例えば、 Fab,または、抗体の定常領域、特に重鎖の定常領域 (CH)においてァミノ 酸変異を導入することによって、通常の重鎖間ジスルフイド結合を形成し得な 、ような 変異、具体的には、 Cys残基、特に抗体重鎖のヒンジ領域の Cys残基を他のアミノ酸 残基に置換等行なうことによって、作製される一価の抗体が挙げられる。好適な例を 実施例に示した。
[0030] 「相補性決定領域 (CDR)」の定義およびその位置を決定する方法は複数報告され ており、これらの何れも採用し得る力 代表的なものとして Kabatの定義(Sequences o f proteins or immunological interest, 5th ed.,U.¾. Department of Healtn and Human Services, 1991)と Chothiaの定義(チヨシァおよびレスク, J. Mol. Biol., 198 7 ; 196 : 901-917)がある。本発明においては、 Kabatの定義による CDRを好適な例と して採用する力 必ずしもこれに限定されない。また、場合によっては、 Kabatの定義 と Chothiaの定義の両方を考慮して決定しても良ぐ例えば、各々の定義による CDR の重複部分を、または、各々の定義による CDRの両方を含んだ部分を CDRとするこ ともできる。そのような方法の具体例としては、 Kabatの定義と Chothiaの定義の折衷 桌 る、 Oxford Molecular s AbM antioody modeling softwareを用 ヽた Martinり の方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 1989;86:9268-9272)がある。
[0031] 「フレームワーク領域」とは、 Kabat等による定義の如ぐ単一種中の種々の抗体の内 で、比較的保存されている(すなわち、 CDR以外の)抗体軽鎖および重鎖可変領域 の部分を云う。本明細書において、「ヒトフレームワーク領域」とは、自然に生じるヒト 抗体のフレームワーク領域と又はいくつかのこのような抗体の共通配列と実質的に同 一(約 85%又はそれ以上)であるところのフレームワーク領域である。
「ヒト化抗体」とは、ヒトフレームワーク、非ヒト抗体からの少なくとも一つの CDRを含 む抗体を云い、その中に存在する何らかの定常領域は、ヒト抗体定常領域と実質的 に同一である、すなわち少なくとも約 85〜90%、好ましくは少なくとも 95%同一であ る。従って、恐らく CDRを除ぐヒトイ匕抗体の全ての部分は、 1以上の天然のヒト抗体 配列の対応する部分と実質的に同一である。例えば、ヒトイ匕抗体は、キメラマウス可 変領域 Zヒト定常領域抗体を含まな ヽ。
[0032] これらの抗体は、より特異的には、本発明における(I)の抗体は、複数の、好ましく は一つのヒト受容体(ァクセプター)抗体からのフレームワーク領域 (FR)の少なくとも 一つ、好ましくは一方の鎖の全て (4つ)、より好ましくはすべて (各鎖について 4つ)を 含有し、そして、 F1024抗体からの 1以上、好ましくはすべて(各鎖について 3つ)の 相補性決定領域 (CDR)を含有するヒト化抗体である。該抗体は、軽鎖 Z重鎖複合 体の 2つのペアを有することができ、少なくとも一つの鎖、特に重鎖は、ヒトフレームヮ ーク領域セグメントに機能的に連結された、 1以上、好ましくは全て(3つ)の供与体( 例えばラットまたはマウス、以下同様)抗体の相補性決定領域を含む。例えば、供与 体相補性決定領域は、追加の自然に随伴する供与体アミノ酸残基と共に又はなしで 、ヒトフレームワーク領域中に導入する。さらに明確な例としては、本発明のヒト化抗 体は、各々、表 2に記載された CDRのいずれかのアミノ酸配列を含有するまたは該 アミノ酸配列からなる CDRの少なくとも一つ、好ましくはすべて (各鎖 3つ)を含有する ものである。ヒトイ匕抗体における各 CDRおよびフレームワークの位置は元の供与体抗 体における位置と対応して 、ることが望まし 、。
[0033] 一般に、本発明における (I)のヒト化抗体は、ヒト化抗体重鎖可変領域フレームヮー クおよび供与体抗体重鎖可変領域フレームワーク間において、 65%以上 95%以下 、好ましくは 70%以上 90%以下の相同性 (すなわち、配列同一のパーセント)が好ま しい。標準的には、同じヒト抗体からの重鎖および軽鎖が、フレームワーク配列を提 供するために選択されて、 2つの鎖の集合における非適合性の可能性を減少させる 力 異なる 2以上のヒト抗体から由来してもよい。
[0034] ヒトフレームワーク領域に関しては、 CDRを得る非ヒト抗体のフレームワークまたは 可変領域アミノ酸配列をヒト抗体配列コレクション中の対応する配列と比較し相同性 の高い配列を選び用いる。好ましくは、フレームワークアミノ酸配列の相同性は 60% 以上、より好ましくは 65%以上である。また、好ましくは、受容体抗体重鎖可変領域 のアミノ酸配列は、供与体抗体重鎖可変領域のアミノ酸配列と最も相同なヒト抗体重 鎖可変領域配列の代表的コレクション中の 5つ、より好ましくは 3つの中にある。ヒトイ匕 抗体の設計は、以下のように行うことができる。
[0035] 1)アミノ酸が以下の(a)〜(c)のカテゴリーに該当する場合は、用いられるヒト抗体(
受容体抗体)のフレームワークアミノ酸は CDRを供与する非ヒト抗体 (供与体抗体)由 来のアミノ酸で置換される。
(a)受容体抗体のヒトフレームワーク領域中の該アミノ酸がヒト抗体のその位置に稀で あり、そして供与体抗体中の対応するアミノ酸がヒト抗体中のその位置に典型的であ る;
(b)該アミノ酸が CDRの 1つに一次配列上近接もしくは隣接して 、る;または、
(c)該アミノ酸が供与体もしくはヒトイ匕抗体の三次元モデルにおいて CDRの約 5、好 ましくは 4、より好ましくは 3オングストローム以内に原子を有する(Coら, Proc, Natl. A cad. Sci. USA, 1991 ;88:2869)。
[0036] 2)受容体抗体のヒトフレームワーク領域中の該アミノ酸および供与体抗体の対応す るアミノ酸がヒト抗体中のその位置に稀である場合、ヒトフレームワークのその位置に 典型的であるアミノ酸に置換する。
ヒト化抗体の製造の詳細な説明については、 Queenら, Proc, Natl. Acad. Sci. USA , 1989;86 : 10029、 WO90/07861, WO92/11018, Coら, Proc, Natl. Acad. Sci. USA, 1991;88:2869、 Coおよび Queen, Nature, 1991;351:501頁、ならびに、 Coら, J. Immunol, 1992;148:1149 (これらの引例をもって本明細書の一部と成す)が参照され る。
[0037] 一般に、全ての又は殆どのアミノ酸の置換が上記基準を満たして 、るのが望ま ヽ 。し力しながら、個々のアミノ酸が上記基準にあっているかどうかについては曖昧であ ることもあり、そして、代わりの様々な抗体が製造され、その内の一つはその特定の置 換を有するものもあるが、有さないものもある。このため、コンピューターモデリングに よる CDRと FRの最適化を行えばよ!、。
[0038] 相同性の高いヒト抗体 V領域が見出された後、そのフレームワーク部分に供与体、 特に F1024抗体の CDR配列を移植し、コンピューター分子モデリングで立体構造を シミュレーションする。このときに使用するプログラムとしては ABMODや ENCAD (Bi ochemistry, 1990 ;29: 10032)が用いられる。この立体構造のシミュレーションにより、 CDR領域のアミノ酸の配置が CD14との結合活性を最適に有するように、 CDR近傍 の FRのアミノ酸を他のアミノ酸に置換することにより、最適化が行える。
[0039] また、 CDRと FRの最適化には、供与体、特に F1024抗体の FRの一部のアミノ酸 配列をそのまま用いて、ヒト抗体 V領域に移植する方法も可能である。ヒト抗体 V領域 に F1024抗体の CDRと FRの一部の配列を移植し、コンピューター分子モデリング で立体構造をシユミレーシヨンする。このときに使用するプログラムとしては、 Modeler および QUANTAZCHARMm (MolecularSumilations社)等が用いられる。
軽鎖では 3〜4箇所を、重鎖では 7〜8箇所を供与体、例えばラット由来のアミノ酸 に変更することにより FRカ^ット抗体の構造に近くなり、 CDR領域のアミノ酸の配置 力 SCD14との結合活性を最適にすることが容易になる場合がある。
[0040] また、抗 CD 14抗体としての結合活性が維持されて ヽれば、 CDR領域のアミノ酸の 1または 2以上のアミノ酸の欠失、置換、挿入もしくは付加をしてもよい。この場合、例 えば Glyと Ala、 Val、 Leuと Ile、 Asnと Gln、 Cysと Metまたは Lysと Arg等、同族に 分類されるアミノ酸同士の置換は、抗 CD 14抗体としての結合活性が維持されて ヽ やすいと理解される。また、フレームワーク領域中のいくつかの位置のアミノ酸は抗原 と直接相互作用、例えば非共有結合的に接触することができ、これらの位置も上記 置換の対象となるが、特に、重鎖の 26から 30の位置のアミノ酸は立体構造上超可変 ループに含まれるとされており(チヨシァおよびレスク, J. Mol. Biol, 1987 ; 196 : 901-9 17)、その意味では CDRと同様に移植することも可能である。
[0041] 得られたアミノ酸配列に基づき、ヒト化抗体を作成する。例えば、上記より決定した アミノ酸配列より、ヒト化抗体遺伝子配列を決定し、ヒトイヒモノクローナル抗体をコード する遺伝子を作製する。具体的にはヒト V領域の遺伝子より CDRをエンコードする D NAを削除し、かわりに供与体、例えばラット由来の CDRをエンコードする DNAを揷 入する。さらに、分子モデリングにより変更するアミノ酸に応じて、対応する DNA配列 を PCRを用いた部位特異的突然変異導入法等により改変し、組換ヒト V領域遺伝子 を作製する。これをヒト抗体の重鎖、軽鎖の C領域を含むベクターにクローユングし発 現ベクターを得る。このとき使用するヒト由来の配列を変更することにより、ヒ HgGl、 I gG3、好ましくは、 IgG4等の抗体のサブクラスを得ることができる。発現ベクターはマ ウスミエローマ細胞 Sp2- 0- agl4 (ATCC CRL1581)やハムスター卵巣細胞 CH Oに遺伝子導入し、発現を行う。
[0042] ヒト化抗体は、ヒトの治療における使用のために、非ヒト抗体、例えばマウスまたはラ ット抗体に比べ、そしていくつかの場合にはキメラ抗体に比べ、少なくとも 3つの潜在 的な利点を有する。
1)エフェクター部分がヒトであるので、ヒト免疫系の他の部分とより良好に相互作用し うる(例えば、補体依存性細胞障害 (CDC)又は抗体依存性細胞障害 (ADCC)によ る、より効率的な標的細胞の破壊)。
2)ヒト免疫系は、ヒトイ匕抗体のフレームワーク又は C領域を異物として認識せず、従つ て、このような投与された抗体に対する抗体応答は、全部が異物であるマウス抗体又 は一部分が異物であるキメラ抗体より少な 、。
3)投与されたラットまたはマウス抗体は、通常の抗体の半減期よりも非常に短い、ヒト 体内での循環における半減期を有すると報告されている(ショー D.ら、 J.Immunol., 1 987 ; 138 : 4534-4538) o投与されたヒト化抗体は、恐らぐ 自然に生じるヒト抗体の半 減期とより近い半減期を有し、より少量、又はより少ない頻度の投与で有効である。
[0043] また、前記 (I)の抗 CD14抗体は、実施例に示される抗体、特に、 F1024抗体の C DRの少なくとも 1つ、好ましくは重鎖可変領域 (VH)もしくは軽鎖可変領域 (VL)の 3 つ、さらに好ましくは 6つ全ての CDRを対応する位置に有し、具体的には、表 2に記 載の重鎖 CDR1、 CDR2および CDR3を重鎖可変領域の CDR1、 CDR2および CD R3として、および Zまたは、表 2に記載の軽鎖 CDR1、 CDR2および CDR3を軽鎖 可変領域の CDR1、 CDR2および CDR3として含有する抗体、特に、ヒト化抗体であ る。
[0044] 前記 (I)の抗 CD14抗体がヒト抗体の場合、体外免疫によるヒトリンパ球の活性ィ匕を 利用してハイプリドーマを作製する方法、ヒト抗体ファージライブラリーを用いる方法 およびヒト抗体遺伝子を組み換えた非ヒト動物、特にトランスジエニックマウス、例えば 、 KMマウスを用いてハイプリドーマを作製する方法等が挙げられる(WO2002Z07 0648 (特表 2005- 504507)、 WO2002Z043478 (特表 2004- 515230) )。
[0045] ヒト抗体ファージライブラリ一は、ヒト B細胞力も調製した抗体遺伝子をファージ遺伝 子に挿入することにより Fab、一本鎖抗体等の抗体の活性断片をファージ表面に発 現させたライブラリーである。これらのライブラリーをスクリーニングすることによつても
本発明の抗体は入手され得る。これらの方法および他の方法は、当業者に周知であ る(Huseら, Science,246:1275— 1281 (1989)、 Winterおよび Harris'Immunol.Today 14: 243- 246 (1993)、 Wardら, Nature 341:544- 546 (1989)、 Harlowおよび Lane (1988),前 出)、 Hilyardら, Protein Engineering:A practical approach (IRL Press 1992)、 Borrabe ck, Antibody Engineering,弟 2版 (Oxford University Press 1995)、 Barbas, C.F.I. , B urton, D.R., Scott, J.K., and Silverman, G.J. 2001. Phage display: a laboratory manu al. Cold Spring Harbor Laboratory Press. Cold Spring Harbor, New York, USA. 736 PP.) o該ライブラリーより、抗原を固定化した基質に対する結合活性を指標として所望 の抗原結合活性を有する抗体の活性断片を発現しているファージを回収することが できる。該抗体の活性断片は、更に遺伝子工学的手法により、 2本の完全な H鎖およ び 2本の完全な L鎖力もなるヒト抗体分子へも変換することができる。
[0046] 本発明第二の態様のポリヌクレオチドは、いずれの分子種のものであっても良ぐ核 酸を包含する。すなわち、 DNAおよび RNA、ならびに、ポリデォキシリボヌクレオチ ドおよびポリリボヌクレオチドが含まれ、本発明第一の態様の蛋白質の少なくとも一部 をコードするものであれば、それらの混合型および修飾体であっても良い。本発明の 第二の態様のポリヌクレオチドは、前記 (I)および Zまたは(Π)を産生する細胞力も公 知の方法、特に遺伝子工学的手法で取得できる。具体例は実施例に記載されてい る。
[0047] 本発明の第二の態様は、第一の態様の蛋白質、好ましくは融合蛋白質、具体的に は、抗体を含有する融合蛋白質をコードするポリヌクレオチドである力 抗体が本来 複数のポリペプチド鎖力 なる蛋白質であるため、本発明のポリヌクレオチドは、単一 分子上で本発明の蛋白質をコードする場合、および、複数、例えば、 2または 3の分 子上にコードする場合があり、それらの何れをも含む。具体例は実施例に記載されて いる。ここで、本発明第一の態様の蛋白質の少なくとも一部としては、例えば、抗体の 重鎖、特に重鎖可変領域 (VH)部分、もしくは重鎖部分と阻害物質部分、好ましくは それらの融合蛋白質をコードするポリヌクレオチド、または、抗体の軽鎖、特に軽鎖可 変領域 (VL)部分もしくは軽鎖部分と阻害物質部分、好ましくはそれらの融合蛋白質 をコードするポリヌクレオチドが挙げられる。好適なポリヌクレオチドの例として、配列
表の配列番号 1、 3、 5、 7、 9、 11、 13、 15、 17、 19、 21、 23および 25で示されるも のが挙げられる。
[0048] 本発明第三の態様のベクターは、第二の態様のポリヌクレオチドを単一ベクター上 に含有する場合、および、複数、例えば、 2または 3のベクター上に含有する場合が あり、それらの何れをも含む。また、本発明第三の態様のベクターは、第二の態様の ポリヌクレオチド以外に、ベクターの複製に必要な成分、および、第二の態様のポリヌ クレオチドの発現制御に必要な成分等を含有するが、これらの成分は当業者に周知 である。
第二の態様のポリヌクレオチドを組み込むベクターとしては、必ずしも限定されな!ヽ 力 蛋白質遺伝子等の発現に汎用され、特に抗体または抗体を含有する融合蛋白 質等の遺伝子発現に適合するベクターまたは高発現用ベクターが好まし 、。好適な 例としては、ヒトェロンゲーシヨンファクター(EF) 1 αプロモーターおよび Zまたは C MVェンハンサーを含有するベクターが挙げられ、例えば、 pEF-BOSまたは実施例 で用いたベクターがある。また、通常、 VH部分もしくは VH部分と阻害物質部分、好 ましくはそれらの融合蛋白質をコードするポリヌクレオチド、および、 VL部分もしくは VL部分と阻害物質部分、好ましくはそれらの融合蛋白質をコードするポリヌクレオチ ドを組み込んだ発現ベクターをそれぞれ作製し、宿主細胞に cotransfectする力 単 一の発現ベクターに組み込んでも良 、。以上につ!、ては公知の材料および方法を 利用し得るが、具体例は実施例に記載されて ヽる。
[0049] 本発明第三の態様のベクターを適当な宿主細胞に公知方法に従って導入すること により、本発明第四の態様の細胞を作製し得る。そのような細胞の例としては、ハイブ リドーマ、形質転換体、または本発明のポリヌクレオチドまたはベクターを導入した遺 伝子組換え細胞等がある。用いる宿主細胞としては、必ずしも限定されないが、蛋白 質遺伝子等の発現に汎用され、特に抗体または抗体を含有する融合蛋白質等の発 現に適合する細胞が好ましい。例えば、細菌(大腸菌等)、放線菌、酵母、昆虫細胞 (SF9等)、好ましくは、哺乳類細胞 (COS-l、 CHO、ミエローマ細胞等)が挙げられ る。以上については公知の材料および方法を利用し得るが、具体例は実施例に記載 されている。
本発明第一の態様の蛋白質は、本発明の第二の態様のポリヌクレオチドまたは第 三の態様のベクターを用いた in vitro翻訳により、または、本発明の第四の態様の細 胞を適当な条件下で培養することにより生産することができる (本発明の第五の態様) 。生産された蛋白質は公知の適当な精製方法を組み合わせることにより単離すること ができる。好適な例は実施例に記載されて ヽる。
[0050] 本発明の第六の態様の疾患の予防および Zまたは治療剤は、本発明第一の態様 の蛋白質、本発明の第二の態様のポリヌクレオチド、本発明の第三の態様のベクタ 一または本発明の第四の態様の細胞の少なくともいずれか一つを有効成分として含 有する医薬組成物であり、本発明のポリヌクレオチドおよびベクターは例えば遺伝子 治療に、形質転換細胞は細胞治療に応用することができる。これらは、必要に応じて 、製剤学的に許容される添加剤を含有しても良い。
[0051] 本発明の第六の態様の疾患の予防および Zまたは治療剤の適用となる疾患もしく は病態、またはそれらにおける特定の治療指標としては、種々のものが含まれ、必ず しも限定されないが、好ましくは、 CD14の分布もしくは機能、蛋白質分解酵素の分 布もしくは機能または細菌感染と関連する疾患等である。例えば、敗血症およびその 関連疾患、全身性もしくは心循環疾患、感染性疾患、炎症性疾患、呼吸器疾患もし くは呼吸不全、自己免疫疾患、多臓器不全 (MODS)または個々の臓器の不全もし くは障害等の疾患等が挙げられる。具体的には、敗血症、重症敗血症、敗血症性 A RDSもしくは敗血症性ショック等の敗血症およびその関連疾患、 SIRS関連疾患、ェ ンドトキシンショック、ェキソトキシンショック、出血性ショックもしくは術中 ·術後ショック 等の各種ショック、虚血性再灌流臓器障害、虚血性脳障害、急性虚血性脳卒中、急 性期脳血栓症、急性冠微小血管塞栓、ショック性血管塞栓、散在性血管内血液凝 固症候群 (DIC)、心筋梗塞およびその後遺症、低血圧等の全身性もしくは心循環 疾患、歯周病、急性バクテリア髄膜炎、侵襲製ブドウ球菌感染症、感染性心内膜炎、 急性ウィルス脳炎もしくは AIDS等の感染性疾患、乾癬、胃炎、消化性潰瘍、脾炎、 腎炎、心筋炎、肺炎、肝炎、肝硬変、脳炎、骨関節炎、アトピー性皮膚炎、アレルギ 一性接触皮膚炎、アレルギー性鼻炎、逆流性食道炎もしくは硬化性脊椎炎等の炎 症性疾患、急性呼吸促迫症候群 (ARDS)、幼児性呼吸窮迫症候群 (IRDS)、慢性
閉塞性肺疾患 (COPD)、肺気腫および喘息等の呼吸器疾患もしくは呼吸不全、慢 性関節リウマチ、難治性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、糸球体腎炎、 SLE、強 皮症、多発性硬化症もしくはシ ーダレン症候群等の自己免疫疾患、多臓器不全、 臓器移植後の臓器障害もしくは拒絶反応、または、心不全、不安定狭心症、心弁膜 炎、腎不全、心筋症、腎アト-一、肝不全、もしくは劇症肝炎等の個々の臓器不全が 挙げられる。
[0052] 好ましくは対象疾患として、敗血症、重症敗血症、敗血症性 ARDSもしくは敗血症 性ショック、 SIRS,エンドトキシンショックまたは ARDS等の疾患が挙げられる。
また、これらの疾患に伴う炎症性サイト力イン、特に血中の TNF濃度の上昇に伴う 症状の改善または予防に有用である。さらに、 LPSが関与するグラム陰性細菌感染 、 LTA若しくはペプチドダリカン等が関与するグラム陽性細菌感染、またはマイコプラ ズマ感染に伴う敗血症の治療または予防、すなわち、これらの疾患の症状が表れた とき若しくは進行したときの治療効果のみならず、血中に LPS、 LTAもしくはマイコプ ラズマ等が高値である患者、特定の CD14分子種 (WO01Z22085および WO200 4Z44005参照)の血中濃度が高値である患者または以上のような状況に置かれる ことが予想される細菌感染者における予防効果が期待できる。
[0053] 製剤学的に許容される添加物としては、例えば、担体、賦形剤、安定剤、滑沢剤、 着色剤、崩壊剤、防腐剤、等張化剤、安定化剤、分散剤、酸化防止剤、緩衝剤、保 存剤、懸濁化剤、乳化剤、一般的に用いられる適当な溶媒の類 (滅菌水や植物油等 )、さらには生理学的に許容しえる溶解補助剤などを適宜含んでいてもよい。
また、本発明の医薬組成物は、抗生物質、ステロイド、各種サイト力イン抗体もしくは 抗凝固因子等を含んでいてもよい。これらは、有効成分である本発明の蛋白質と相 加効果もしくは相乗効果を示し、より有効な医薬組成物と成ることができる。
[0054] 本発明の医薬組成物を薬剤として投与するときの投与量は、特に限定されず、患 者の症状、体重、年齢や性別等を考慮して適宜決定されるが、例えば、本発明の蛋 白質を有効成分とするときには、 O.lmgZkg以上が好ましい。より好ましくは 1〜10 mgZkgの投与量である。
[0055] 本発明の医薬組成物を薬剤として用いるときの剤形は、必ずしも限定されないが、
錠剤、注射剤、散剤、坐剤、吸入剤等、特に注射剤および吸入剤等が好適である。 また種々の投与経路が可能であるが、非経口投与が好ましい。非経口投与としては 例えば、静脈内投与 (ボーラス投与、連続点滴、間欠的点滴)、動脈内投与、皮下投 与、筋肉内投与等の注射が一般的であり、吸入も好ましぐその他に、直腸内投与、 経皮吸収、関節内投与、経鼻投与、経粘膜吸収等が挙げられる。また、投与時期も しくは回数は、患者の状態にも依存するが、予防投与、単回投与もしくは連続投与等 が例示される。
[0056] 本発明の第六の態様の疾患の予防および Zまたは治療剤の適用となる疾患もしく は病態に、本発明の医薬組成物を主成分とする薬剤を使用した治療方法。
実施例
[0057] 次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定さ れるものではない。
(実施例 1)キメラ抗体および抗体融合蛋白質の構築
1-1)キメラ抗体および抗体融合蛋白質の構築 (F1024)
(1)材料
用いた主な材料および装置は以下のとおりである。すなわち、
プライマー:表 1に記載のプライマー(SIGMA Genosys Japanにて合成)、
PCR反応用酵素: Ex Taq (TAKARA BIO INC.)、
制限酵素: Eco RI、 Bam HI、 Not I、 Nhe I、 Eco RV、 Stu I、 Bgl II等(TAKARA BIO IN C.)ゝ
ゲノム DNA:HeLa genome (lot. N34707— 1、 BD Biosciences Clontech)、
PCR装置: DNA Engine (MJ RESEARCH, INC.) ,
ァガロース電気泳動ゲル: SeaKem GTG Agarose (TAKARA BIO INC.)、
50xTAE (2mol/L Tris— acetate, 0.05mol/L EDTA) (NIPPON GENE)、 分子量マーカー(Sty I消化 λ DNA断片)、
ゲルからの DNA断片抽出キット QIAEX II (QIAGEN K. )、
哺乳細胞用発現ベクター: pEF2cew (pEF_BOSの改良型ベクター)、
ヒ HgG4重鎖定常領域 (C y 4)遺伝子を有するプラスミド: pTK-2232,
TAクロー-ング用ベクター: pT7BlueT (NOVAGEN)およびライゲーシヨン用試薬: Ta
KaRaライゲーシヨン Kit ver.2 (TAKARA BIO INC.)、
E. coli Competent cell :JM 109 (TAKARA BIO INC.) ,
プラスミド DNAおよびゲノム DNA精製キット(QIAGEN K.K.)、
シ' ~~クエンス用3 rット: DYEnamic ET Terminator Cycle Sequencing Premix Kit lot.17
67 (Amersham Biosciences)および解析装置: ABI3100 genetic analyzer (Applied Bi osystems)ゝ
トータル RNA分離試薬: TRIzoKGIBCO BRL)、
5'RACE用キット: 5'RACE system for Rapid Amplification of cDNA Ends, v.2.0 (Inv itrogen)、
ダルベッコ MEM培地(SIGMA)、
トランスフエクシヨン用試薬: FuGENE6 (ロシュダイァグノスティックス)
等を用いた。
[表 1]
プライマー配列
(2)実験方法
用いた主な実験方法を以下に示す。
•PCR反応
酵素付属の取り扱い説明書に従って行った。
•ァガロースゲル電気泳動
まず、 0.8%濃度のァガロースゲルを作製し、これを IxTAEを満たした泳動槽に置 き、ゥエルにサンプル 5 /z Lをアプライ後、 135Vで 15分間泳動を行った。泳動終了
後、ゲルをェチジゥムブロマイドで染色し、さらに UV照射することでバンドを検出した
•ゲルからの DNA断片抽出
目的とするバンドを剃刀で切り出し、付属の取扱説明書に従い、 QIAEX IIキットを 用いてゲル片カゝら DNA断片を抽出した。抽出された DNA断片を 20 Lの滅菌水に 溶解した。
[0060] ·ライゲーシヨン反応
抽出を終えた DNA断片 1 μ Lとクローユング用ベクターの pT7BlueTを 1 μ L、およ びライゲーシヨン kit ver.2の I液 2 μ Lを混和し、室温で 15分間静置することでライゲ ーシヨンを行った。
•大腸菌への形質転換
コンビテント大腸菌 50 μ Lを氷上で融解し、ライゲーシヨン反応産物 4 μ Lを加え、 そのまま氷上に 30分間静置した。 42°Cで 45秒熱ショックを与え、終濃度 50 /z gZm Lアンピシリン含有 LBプレート上に塗布し、 37°Cでー晚インキュベートした。
•プラスミドの精製およびシークェンス反応
キットの取り扱い説明書に従って行った。
•ハイブリドーマからのトータル RN Aの分離と 5 'RACE
キットの取り扱い説明書に従って行った。なお、ハイプリドーマは 5 X 107個使用した
•トランスフエクシヨン
FuGENE6の取り扱い説明書に従って行った。すなわち、 6穴プレートの場合、トラン スフエクシヨン前日に COS- 1細胞を 1.5 X 105cellsZmLの密度で各ゥエルに 2mL植 え込んだ。翌日、 97 Lのダルベッコ MEM培地に 3 μ Lの FuGENE6と 1 μ gの発現 プラスミドを混和し 15分以上静置した後、 2mLの無血清ダルベッコ- MEM培地に滴 下し、この培養液と交換することで、トランスフエクシヨンを行った。
[0061] (3)ハイプリドーマ抗体遺伝子可変領域のクローニングおよび配列決定 (F1024)
WO02Z42333に記載の方法で得られたハイプリドーマ F1024 (1 X 107細胞)を 、 PBS— (SIGMA)で洗浄後、 TRIzoKGIBCO BRL)を用いてトータル RNAを抽出した
o次に、 5 μ gのトータル RNAを、 5'RACE system for Rapid Amplification of cDNA Ends, v.2.0 (Invitrogen)を用いて 5'RACEを行い、重鎖および軽鎖可変領域をコー ドする遺伝子断片をそれぞれ増幅した。尚、操作手順はキット付属のマニュアルに従 い、重鎖可変領域は rlgH-cプライマーで逆転写反応を行った後、ターミナルデォキ シヌクレオチドトランスフェラーゼで末端に dCを付カ卩し、 rlgH-cプライマーと AAPプ ライマー (キット付属)とで 1回目の PCRを行った。軽鎖可変領域も同様に、 rlgK-bプ ライマーで逆転写反応後、 rlgK-bプライマーと AAPプライマーとで 1回目の PCRを 行った。つづいて、各反応産物を铸型とした 2回目の PCR反応を、重鎖可変領域は r IgH-bプライマーと AUAPプライマー(キット付属)とで、軽鎖可変領域は rlgK-aプラ イマ一と AUAPプライマーとで行 、、それぞれ特異的に増幅された DNA断片をァガ ロースゲルでの電気泳動で確認した。 DNA断片をゲルカゝら抽出後、塩基配列を決 定し、各領域のアミノ酸配列を決定した(図 1および 2)。なお、表 2に Kabatの定義に 従った場合の CDR配列を示す。また、表 2に示した配列は、配列番号 173〜178に 示す。
[0062] [表 2]
[0063] (4)各種キメラ抗体融合蛋白質発現プラスミドの構築
抗原結合活性を有する可変領域カ 、イブリドーマ抗体由来、すなわちラット抗体由 来であり、定常領域がヒト由来の抗体であるキメラ抗体を作製することにより、ヒトへの 抗原性が少ない抗体を得ることが出来る。キメラ抗体は 1984年の Morrisonら(Proc, N atl. Acad. Sci. USA, 81 : 6851, 1984)の報告以来多くのものが開発されている。
各可変領域の開始コドンの直前に、制限酵素 Eco RIの認識配列を付した 5'側ブラ イマ一(重鎖は 1024H- a、軽鎖は 1024K-a)と、各可変領域の 3'側配列のアミノ酸 配列を変えることなぐヒト定常領域との連結可能な制限酵素認識部位 (重鎖は Nhe I 認識配列、軽鎖は Bsi WI認識配列)を付した 3'側プライマー(重鎖は HchainEco47Nh
el、軽鎖は rlgK-BsiWI)を設計した。これらのプライマーを用いて、本実施例 1— 1) - (3)で調製した逆転写反応後の重鎖および軽鎖各サンプルを铸型とした PCRをあら ためて行った。増幅された PCR産物と pT7BlueTベクター(NOVAGEN)を混和し、 Ta KaRaライゲーシヨン Kit ver.2 (TAKARA BIO INC.)を用いて室温 15分でライゲーシ ヨン反応を行った。その反応液を用いてコンビテントセル E. coli (JM109、 TAKARA BI O INC.)にトランスフォーメーションを行った。
[0064] 出現したコロニーをピックアップし、 Ex Taq polymerase (TAKARA BIO INC.)、 M4 プライマーおよび T7プライマーを用いて、コロニーダイレクト PCRでインサートがベタ ターに挿入されて ヽることを確認した。
次に、インサートが確認されたコロニーを LB培地でー晚培養し、 QIAGEN plasmid midi kit (QIAGEN)を用いてプラスミドを精製した (重鎖可変領域をコードする遺伝子 断片をもつプラスミドを ρΤ7-1024Η、軽鎖可変領域をコードする遺伝子断片をもつプ ラスミドを pT7- 1024Kとした。)。精製したプラスミドは、 Μ4プライマーおよび Τ7プライ マーを用いて塩基配列を確認した。
[0065] ρΤ7-1024Ηを制限酵素 Eco RIおよび Nhe Iで切断し、重鎖可変領域をコードする遺 伝子断片 Aを調製した。同様に、 pT7-1024Kを制限酵素 Eco RIおよび Bsi WIで切断 し、軽鎖可変領域をコードする遺伝子断片 Bを調製した。
[0066] ヒ HgG4重鎖定常領域(C γ 4)遺伝子を有するプラスミド ρΤΚ- 2232 (WO2005/7 800を参照)を铸型とし、プライマー対(IgG4-mと IgG4-v)で PCRを行うことで、 C y 4 の 5'末端に制限酵素 Nhe Iの認識配列を、 3'末端に、停止コドンを除去し、代わりに 制限酵素 Bam HIの認識配列を有する遺伝子断片を増幅した。この断片を制限酵素 Nhe Iおよび Bam HIで切断し、遺伝子断片 Cを調製した。
[0067] pTK- 2232を铸型とした PCRを行 、、 2種類のプライマー対(IgG4- mと IgG4- s)およ び (IgG4-rと IgG4-v)で各遺伝子断片をそれぞれ増幅した。これらの遺伝子断片を混 合して铸型とし、再度プライマー対 (IgG4-mと IgG4-v)で PCRを行うことで、重鎖間の 2量体ィ匕に必要な 2つのシスティン残基をグリシン残基に置換し、 5'末端に制限酵素 Nhe Iの認識配列を、 3'末端には停止コドンの代わりに制限酵素 Bam HIの認識配列 を有する遺伝子断片を増幅した。この断片を制限酵素 Nhe Iおよび Bam HIで切断し
、遺伝子断片 Dを調製した。
[0068] HeLaゲノム DNAを铸型とし、プライマー(BsiWI- hlgKおよび IgK- e)による PCRを 行い、ヒト軽鎖定常領域 (C κ )を増幅し、さらにこの増幅産物を pT7BlueTベクターへ クロー-ングし、 PT7-hIgKを構築した。このプラスミドから、ヒト軽鎖定常領域を切り出 すことができる適当な制限酵素 (Bsi WIと Bam HI)を用いて、断片 Eを調製した。
[0069] ヒト UTI第 1ドメインおよび第 2ドメイン (D1D2)を有するプラスミド pM1213を铸型とし 、プライマー対(UTI-aと UTI- c)による PCRで、 D1D2の 5'末端に制限酵素 Bam HI の認識配列を、 3'末端は停止コドンの直後に制限酵素 Not I認識配列を有する遺伝 子断片を増幅した。この断片を Bam HIおよび Not Iで切断し、遺伝子断片 Fを調製し た。
[0070] pM1213を铸型とし、プライマー対(UTI-bと UTI- c)による PCRで、 D2の 5'末端に 制限酵素 Bam HIの認識配列を、 3'末端は停止コドンの直後に制限酵素 Not I認識配 列を有する遺伝子断片を増幅した。この断片を Bam HIおよび Not Iで切断し、遺伝子 断片 Gを調製した。
[0071] ヒト UTI第 2ドメイン 3アミノ酸改変体 {D2(3)}を有するプラスミド pM765 (特開平 6— 3 21989参照)を铸型とし、プライマー対(UTI- bと UTI- c)による PCRで、 D2(3)の 5' 末端に制限酵素 Bam HIの認識配列を、 3'末端は停止コドンの直後に制限酵素 Not I 認識配列を有する遺伝子断片を増幅した。この断片を Bam HIおよび Not Iで切断し、 遺伝子断片 Hを調製した。
[0072] pM1213を铸型とし、プライマー対(UTI- aと UTI- f)による PCRで、 D1D2の 5'末端 に制限酵素 Bam HIの認識配列を、 3'末端は停止コドンを除去し、グリシン 4残基から なるリンカ一を付加し、さらにその直後に制限酵素 Eco RV認識配列を有する遺伝子 断片を増幅した。この断片を Bam HIおよび Eco RVで切断し、遺伝子断片 Iを調製し た。
[0073] pM1213を铸型とし、プライマー対(UTI- bと UTI- f)による PCRで、 D2の 5'末端に 制限酵素 Bam HIの認識配列を、 3'末端は停止コドンを除去し、グリシン 4残基力もな るリンカ一を付加し、さらにその直後に制限酵素 Eco RV認識配列を有する遺伝子断 片を増幅した。この断片を Bam HIおよび Eco RVで切断し、遺伝子断片 Jを調製した。
[0074] pM1213を铸型とし、プライマー対(17Π- hと ΙΓΠ- c)による PCRで、 D1D2の 5'末 端にグリシン 4残基力もなるリンカ一を付加し、さらにその直前に制限酵素 Eco RVの 認識配列を、 3'末端は停止コドンの直後に制限酵素 Not I認識配列を有する遺伝子 断片を増幅した。この断片を Eco RVおよび Not Iで切断し、遺伝子断片 Kを調製した
[0075] pM1213を铸型とし、プライマー対(17Π- iと ΙΓΠ- c)による PCRで、 D2の 5'末端に グリシン 4残基力もなるリンカ一を付加し、さらにその直前に制限酵素 Eco RVの認識 配列を、 3'末端は停止コドンの直後に制限酵素 Not I認識配列を有する遺伝子断片 を増幅した。この断片を Eco RVおよび Not Iで切断し、遺伝子断片 Lを調製した。
[0076] pM1213を铸型とし、プライマー対(17Π- hと ΙΓΠ- g)による PCRで、 D1D2の 5'末 端にグリシン 4残基力もなるリンカ一を付加し、さらにその直前に制限酵素 Eco RVの 認識配列を、 3'末端は停止コドンを除去し、グリシン 4残基カゝらなるリンカ一を付加し、 さらにその直後に制限酵素 Stu I認識配列を有する遺伝子断片を増幅した。この断片 を pT7BlueTベクターへクローユングした後、 Eco RVと Bam HIで切断し、そこへ遺伝 子断片 Iを結合させ、 D1D2D1D2配列をもつ中間体プラスミドを構築した。さらに Ba m HIと Stu Iで切断し、遺伝子断片 Mを調製した。
[0077] pM1213を铸型とし、プライマー対(UTI- iと UTI- g)による PCRで、 D2の 5'末端に グリシン 4残基力もなるリンカ一を付加し、さらにその直前に制限酵素 Eco RVの認識 配列を、 3'末端は停止コドンを除去し、グリシン 4残基力もなるリンカ一を付加し、さら にその直後に制限酵素 Stu I認識配列を有する遺伝子断片を増幅した。この断片を p T7BlueTベクターへクローニングした後、 Eco RVと Bam HIで切断し、そこへ遺伝子断 片 Jを結合させ、 D2D2配列をもつ中間体プラスミドを構築した。さらに Bam HIと Stu I で切断し、遺伝子断片 Nを調製した。
[0078] HeLaゲノム DNAを铸型とし、以下のプライマー対で PCR反応を行った。その結果 、 SLPI- cおよび SLPI- eで PCR増幅産物 0、 SLPI- dおよび SLPI- gで PCR増幅産 物 P、 SLPI-aおよび SLPI-gで PCR増幅産物 Rがそれぞれ得られた。
Oと Pを混合して铸型とし、再度プライマー SLPI- cおよび SLPI- gで PCR反応を行 うことで、両断片が連結された増幅産物 Qを得た。
この増幅産物 Qおよび Rを、それぞれ pT7BlueTベクターにクローユングし、ヒト SLPI の Ser1— Ala107 (SLPI (D1D2)と記載することがある)および Arg58— Ala107 (SLPI ( D2)と記載することがある)をコードする配列であることを確認し、 pT7-SLPI (D1D2) および pT7- SLPI (D2)とした。いずれも、 SLPIの 5'側には制限酵素 Bgl IIの認識配 列、 3'側の停止コドンの直後には Not Iの認識配列を有するように構築した。各プラス ミドをそれぞれ制限酵素 Bgl IIおよび Not Iで切断し、 SLPKD1D2)断片 Sと SLPI (D 2)断片 Tを調製した。
[0079] 以上の遺伝子断片を、 Eco RIおよび Not I、あるいは Eco RIおよび Bam HIで切断 して調製した発現ベクター pEF2cewの EF1 aプロモーター下流に適切な組み合わせ で連結し、各発現プラスミドを構築した。表 3に、各発現プラスミド名とベクターに組み 込んだ遺伝子断片名をまとめて示す。なお、キメラ抗体軽鎖発現プラスミド pTK-2344 はすべての重鎖に対し、共通で使用した。また、各融合蛋白質の構造ならびにヌクレ ォチド配列および推定アミノ酸配列を図 7〜17ならびに配列表(配列番号 1〜26)に 示す。なお、配列番号 2、 4、 6、 8、 10、 12、 14、 16、 18、 20および 24のアミノ酸配 列において、それぞれアミノ酸番号 1— 19はシグナルペプチド配列に対応し、配列 番号 22及び 26のアミノ酸配列にお!、て、それぞれアミノ酸番号 1 20はシグナルぺ プチド配列に対応する。よって、実際の本発明の融合蛋白質の推定アミノ酸配列は これらのシグナルペプチドを除いたアミノ酸配列である。
[0080] [表 3]
表 3 キメラ抗体重鎖融合蛋白質及びキメラ抗体軽鎖発現プラスミド
[0081] (5)各融合蛋白質の小スケールでの発現および精製
COS- 1細胞は 10%牛胎児血清入りのダルベッコ MEM培地で継代し、トランスフ ェクシヨン前日に、 1.5 X 105cells/mLの密度で培養容器に植え込んだ。翌日、軽 鎖発現プラスミド (pTK-2344)と各重鎖発現プラスミドを 1: 1の重量比で混合後、トラ ンスフエクシヨン試薬(FuGENE6、ロシュダイァグノスティックス)と適当量混和した後に 、無血清のダルベッコ MEM培地に滴下し、これを培養液と交換することで、トランス フエクシヨンを行った。 5% CO存在下、 37°Cで 2〜3日間培養し、上清を回収した。
2
精製は Prosep- Aカラム(MILLIPORE)を用いて行い、 PBS (pH7.4)で透析後、 280 nmの吸光度より濃度を算出した。
[0082] 1-2)キメラ抗体および抗体融合蛋白質の構築 (F1031)
(1)ハイプリドーマ抗体遺伝子可変領域のクローユングおよび配列決定 (F1031)
CD14に結合する力 CD14阻害活性のない抗ヒト CD14抗体、 F1031- 13- 2抗 体 (マウス IgG2bZ κ )の CDR配列を以下の方法で決定した。
まず、 F1031- 13- 2発現ハイプリドーマより、 TRIzolを用いて total RNAを調製し、 buperbcnpt III First— Strand Synthesis system for RT— PCR (Invitrogen) 用 ヽて一 本鎖 cDNAの合成を行った。
一方、マウス IgG2b重鎖の可変領域増幅用としセンスプライマー 1031H- aおよび mIgG2b-c、アンチセンスプライマー mIgG2b-a、を合成し、 κ鎖可変領域増幅用と してセンスプライマー IGKV4- 1- aおよび IgK- d、アンチセンスプライマー rlgK- a、を それぞれ合成した (表 1参照)。
次に合成したノヽイブリドーマー本鎖 cDNAを铸型に、プライマーは重鎖 (i) 1031H — aと mIgG2b— a、重鎖(ii) mIgG2b— cと mIgG2b— a、軽鎖(i) IGKV4— 1— aと rlgK— a 、軽鎖 (ii) IgK-dと rlgK-aとの組み合わせで PCRを行った。 PCR反応条件は反応液 を 96。Cで 2分熱した後に、 96。C 30秒、 55°C 30秒、 72°C 30秒のサイクルを 25 回繰り返した。
得られた産物について直接配列を決定した結果、重鎖 (i) (ii)、軽鎖 (i) (ii)共に同 一の配列であった。尚、軽鎖については 5'端が不完全で翻訳開始コドンが確定でき なかったため、これまで報告のあるマウス κ鎖において、フレーム領域で相同性を示 す配列を検索した。図 3および 4 (配列番号 127〜130)に F1031-13-2抗体の可変 領域重鎖および軽鎖配列 (核酸およびアミノ酸)を示す。尚、下線はプライマー由来 の配列である。
(2)キメラ抗体発現プラスミドの構築 (F1031)
F103卜 13-2キメラ抗体発現プラスミドは実施例 1— 1) (F1024キメラ抗体発現プ ラスミド構築)と同様の方法で構築した。すなわち、上記 1— 2) ( 1)で得られた配列を 参考に、重鎖発現プラスミド構築用プライマーとして、可変領域の開始コドン直前に 制限酵素 EcoRI認識配列を付カ卩した 5'側プライマー 13HcS-EcoRおよび可変領域の 3'側配列のアミノ酸配列を変えることなぐヒト定常領域との連結可能な制限酵素 Nhe I認識部位を付加した 3'側プライマー 13HcA-Nheを合成した。軽鎖の 5'側の配列は 確定していないが、相同性検索力 5'端側の配列を予想し、可変領域の開始コドン
直前に制限酵素 EcoRI認識配列を付カ卩した 5'側プライマー 13LcS-EcoRおよび可変 領域の 3'側配列のアミノ酸配列を変えることなぐヒト定常領域との連結可能な制限 酵素 BsiWI認識部位を付加した 3'側プライマー 13LcA_BsiWを合成した (表 1参照)。
[0084] 次に、上記 1— 2) (1)で合成した 1本鎖 cDNAを铸型に、 PCRを行った。反応条件 は 90°C 2分間で熱した後、(1) 94°C 30秒、(2) 50°C 30秒、(3) 72°C 1分のサ イタルを 30回繰り返した。得られた重鎖構築用 PCR産物を EcoRIおよび Nhelで、軽 鎖構築用 PCR産物は EcoRIおよび BsiWIで消化し、それぞれ約 0.4kbの断片を回収 した。
次に実施例 1— 1)で構築した F1024キメラ抗体重鎖発現プラスミド pTK-2370あ るいは軽鎖発現プラスミド ρΤΚ-2344をそれぞれ EcoRIおよび Nhelあるいは EcoRIお よび BsiWIで消化し、それぞれ約 5.7kbあるいは 4.8kbの断片を回収した。これらに 先の PCR産物由来断片をそれぞれ挿入し、定法に従い JM109大腸菌コンビテント セルを形質転換して F1031-13-2重鎖発現プラスミド pF31-13HUあるいは軽鎖発 現プラスミド pF31- 13Lを得た。 F1031- 13- 2軽鎖の 5'端配列については、本構築 において新たに確定した配列もあるため、図 5および 6 (配列番号 131〜134)に発 現プラスミドの重鎖可変領域および軽鎖可変領域配列について再度示した。尚、下 線は構築用のプライマー由来の配列である。
[0085] (3)各種キメラ抗体融合蛋白質の発現確認
上記 1 2) (2)で構築した重鎖発現プラスミドおよび軽鎖発現プラスミドを COS-1 細胞へ導入し、キメラ抗体融合蛋白質の発現を確認した。
まず、 COS-1細胞を 10%非働化 FBS含有 DMEM培地にて、 2.0— 2.4 X 105cell sZwellで 6ゥエルプレートへ植え込み、 37°C、 5%CO条件下でー晚培養した。翌日
2
、 FUGENE6 6 μ Lと重鎖発現プラスミド 1 μ g +軽鎖発現プラスミド 1 μ gを混合し、 F UGENE6添付プロトコールに従い、 COS- 1細胞へ滴下した。尚、 FBS由来ィムノグロ ブリンの混入を防ぐために、 FuGENEZplasmid混合液を細胞に滴下する前に以下の 操作を行った。 COS-1細胞を一晩培養後、細胞の上清を除去し、生産培地 (Hybrid oma— SFM (Invitrogenノ ¾しく ίま Cellgro Complete Serum Free Meaium (Mediatech) ) で 2回洗浄を行った。その後、 2mLZwellの生産培地をプレートに添カ卩し、 FuGENE
Zplasmid混合液を細胞に滴下した。 37°C、 5%COで 3〜4日間培養を続けた後、
2
上清を回収し、上清中に含まれるキメラ抗体融合蛋白質の量を実施例 2に記載する EIA法と同様の操作により確認した。但し、検出に用いた HRP標識抗体として、ペル ォキシダーゼ標識 UTI抗体の代わりに、 HRP標識抗ヒト κ軽鎖抗体 (DAKO)を用い た。その結果、キメラ抗体は 10— 20 gZmL程度の発現であった。なお、本実験で 調製した培養上清を、実施例 1— 3) (1)の IL-6産生抑制活性実験に用いた。
[0086] 1 3)活性確認試験
(l) IL-6産生抑制活性確認試験
実施例 1 1)および 1 2)で調製した抗体融合蛋白質の抗体機能ドメインの活性 について調べるために、以下の実験を行った。
ヒト膠腫由来細胞株 U-373 MGを、 2%非働化 FBSを含む MEM培地(SIGMA)に て 96- well plateに、 1 X 104cells/wellで植え込み、 5%CO、 37°Cでー晚培養を行
2
つた。翌日、以下の溶液をそれぞれ調製した。
1) 0.2%ヒト血清アルブミン(SIGMA)を含む生理食塩水(大塚製薬)(以下 0.2%HS AZ生理食塩水と表記)
2) 0.2%ヒト血清アルブミン(SIGMA)を含む MEM培地(以下 0.2%HSAZMEMと 表, C)
3) 0.2%HSAZ生理食塩水と 0.2%HSAZMEMを 1: 1の割合で混合した溶液 ( 以下 0.1%HSAZl/2MEMと表記)
4) 4%ヒト血清を含む MEM培地(以下 4%HSZMEMと表記)
5) LPS (E.Coli 0111:B4、 SIGMA)を生理食塩水で lmgZmLに調製した溶液を 10 分間ソ-ケーシヨンした後に、 0.2%HSAZMEMにて 200ngZmLに希釈した溶液 (以下 200ngZmL LPS B4と表記)
6) 4%HSZMEMと 200ngZmL LPS B4を 9 : 1の割合で混合した溶液(以下 2 X (HS +LPS)と表記)
[0087] 被験試料を 0.2%HSAZ生理食塩水で目的濃度の 2倍濃度に希釈し、サンプルを 調製した。ー晚培養を行った U- 373MG細胞の培養上清を捨て、 0.1%HSAZlZ 2MEMで二度洗浄し、上記サンプルと 2 X (HS+LPS)とを等量混合した液を 100
LZwellずつ添カロし、さら〖こ 5%CO
2、 37°Cで約 18時間培養を行った。その後、培養 上清中の IL- 6量をヒ HL- 6検出キット(Eli-PAIR hIL-6; Invitorgen社)にて定量した。 図 18ないし図 20に典型的な試験結果を示す。
その結果、 CD14阻害活性を示す抗体の場合、キメラ抗体融合蛋白質においても 抗体活性は維持されており、 CD14阻害活性を示さない F103卜 13-2抗体の場合、 キメラ抗体融合蛋白質にしても抑制活性を示さなカゝつた。なお、図 20中、試料未添 加の IL- 6産生量を 100% (lL-6%Control)として表記した。
[0088] (2)酵素阻害活性確認試験
実施例 1 1)および 1 2)で調製した抗体融合蛋白質の酵素阻害機能ドメインの 活性を確認するためにトリプシン阻害活性を以下のように測定した。
被験試料を 0.1molZLNaClZ5mmolZL CaC12/20mmol/L Tris- HCl (pH7.4) ( 以下、希釈液)にて終濃度の 10倍濃度となるように希釈調製した。これと併行してヒト 脾由来トリプシン(Athens Research and Technology)を 0.1wZv%BSAZlmmolZL HCLにて: gZmL調製し、また合成基質 S2222 (テストチーム、第一化学薬品)を 水にて 4mmolZLに希釈調製した。
各試薬類を調製後、 96ウェルマイクロタイタ一プレート(Nunc)に希釈液 70 L、 1 /z g/mLヒトトリプシン溶液を 10 レおよび被験試料溶液 10 Lを添加し、 37°Cに て 3分間インキュベーションした。次いで、合成基質 S2222溶液を各ゥエルに 10 L 添加して、さらに 37°Cにて 60分間インキュベーションした。その後、 20vZv%酢酸水 溶液にて反応を停止させ、反応液の 405nmにおける吸光度を測定した。図 21に典 型的な試験結果を示す。その結果、キメラ抗体融合蛋白質においても酵素阻害活性 はほぼ維持されていた。
[0089] (実施例 2)抗体融合蛋白質の大量調製
(1) F1024S- D2(3)および F1031- 13S- D2(3)の大量生産
F1024S-D2(3)を大量生産するために COS-1細胞を利用した一過性発現の系を 用いた。すなわち、 CellsTACK-10 Chamber (Corning)に 10%非働化 FBSおよび 1 OmM HEPES (pH7.0— 7.6)を含む DMEM培地 1700mLを添カ卩し、これに 21 X 106の COS- 1細胞を植え込んだ。 CellsTACK- 10 Chamber内を 5%COを含む混
合ガスに置換した後、密栓し、 37°Cでインキュベーションした。
4日後に以下の手順にてトランスフエクシヨンを行った。
まず、 DMEM培地 63.6mLに FuGENE6トランスフエクシヨン試薬(ロシュ ·ダイァグ ノスティックス株式会社) 2.12mLを添カ卩 ·混合した。 5分後に実施例 1で調製した重 鎖をコードするプラスミド PTK2370および軽鎖をコードするプラスミド pTK2344を各 5 30 gずつ添加し、混合後、 15分間室温で静置した。一方、 CellsTACK- 10 Chamb erの培地を 10mM HEPES (pH7.0— 7.6)を含む Hybridoma- SFM (インビトロジェ ン株式会社)(以下、生産培地) 1300mLに交換し、調製したトランスフエクシヨン試薬 'プラスミド混合溶液を添加した。 37°Cで 3日間インキュベーションした後、生産培地 を回収した。さらに、 CellsTACK-10 Chamberに新しい生産培地 1300mLを添カロし、 4日後に再度生産培地を回収した。
また、 F1031-13S-D2(3)についても、実施例 1で調製した重鎖をコードするプラス ミド PF31-13HUおよび軽鎖をコードするプラスミド F31-13Lを用いて同様に生産し た。
(2) F1024S- D2(3)および F1031- 13S- D2(3)の測定系(EIA)
サンドイッチ EIA法により F1024S- D2(3)濃度を測定した。
固相化蛋白質として、実施例 6と同様の方法で調製した、ヒト CD14の全長 356アミ ノ酸カもなる組換ヒト CD14、および、標識抗体として、特開 2002— 14104に記載さ れた手順に従って作製したペルォキシダーゼ標識 UTI抗体を用いたサンドイッチ EI A系を作製した。
標準品として実施例 1にて調製した F1024S-D2(3)を用いた。すなわち、組換ヒト C D14を PBS (pH7.4)で 4 μ gZmLに希釈し、 NUNC— Immuno plate Maxisorp (NUN C)の各ゥエルに 50 /z L添カ卩した。 4°Cでー晚反応後、 0.05%Tween20Z0.9%塩化 ナトリウム溶液で 3回洗浄し、 2%StabilGuard (SurModics, Inc.)を含む PBS (pH7.4) を各ゥエルに 100 /z L添加し、ブロッキングした。次に 0.1%BSAを含む PBS (pH7.4 )を希釈液として測定試料および標準品の希釈検体を調製した。同時に 10%ゥサギ 血清を含む PBS (pH7.4)で希釈したペルォキシダーゼ標識 UTI抗体を調製した。 各ゥエルに、希釈したペルォキシダーゼ標識抗体 25 μ Lおよび希釈検体 25 μ Lを添
加し、 37°Cで 1時間反応させた。反応終了後、 0.05%Tween20Z0.9%塩ィ匕ナトリウ ム溶液で 3回洗浄し、テトラメチルベンジジン溶液 (BioFX)を各ゥエルに 50 μ Lずつ 添加した。室温で約 20分反応後、 ImolZL塩酸溶液 50 /z Lで反応停止し、プレート 分光光度計で 450nmの吸光度を測定した。
また、 F1031-13S-D2(3)についても同様に濃度を測定した。ただし、標準品とし て濃度既知の F1031- 13S- D2(3)を用いた。
[0091] (3) F1024S- D2(3)大量精製
以下の操作は特に記載のない限り、 4°Cにて実施した。
実施例 2 (1)で生産された COS培養上清を 1 μ mのカプセルカートリッジフィルター (アドバンテック東洋)に、 0.22 μ mのフロロダイン II- DFLPフィルター(日本ポール)を 接続し、培養上清中の不溶物を除去した。このろ過液を予め PBS (シグマ)にて平衡 化した ProSep-vAカラム(日本ミリポア株式会社)に供し、非吸着成分を PBSにて洗 い流した。更に非特異的に吸着している成分を 10 X PBS (シグマ)にて洗い流した 後、 25mM Glycine- HCl (pH2.5)にて溶出し、 F1024S- D2(3)を回収した。得られ た溶出画分は Macllvaineバッファーをカ卩ぇ pH5に調製した。溶出液に認められた沈 殿を遠心分離により除去後、遠心上清液を分子量カットオフ 10, 000の透析チュー ブ (SPECTRUM社)を用い生理食塩液に対して透析し、得られた透析液を精製標品 とした。
[0092] (4) F1031- 13S- D2(3)の大量精製
以下の操作は特に記載のない限り、 4°Cにて実施した。
実施例 2 (1)で生産された COS培養上清を 1 μ mのカプセルカートリッジフィルター (アドバンテック東洋)に、 0.22 μ mのフロロダイン II- DFLPフィルター(日本ポール)を 接続し、培養上清中の不溶物を除去した。このろ過液を予め PBS (シグマ)にて平衡 化した ProSep-vAカラムに供し、非吸着成分を PBSにて洗い流した。更に非特異的 に吸着している成分を 1M塩ィ匕ナトリウム溶液にて洗い流した後、 lOOmM Glycine- HCl (pH2.7)にて溶出し、 F1031-13S-D2(3)を回収した。得られた溶出画分は 1 Mトリス塩酸 pH8.0をカ卩ぇ中和した。これを分子量カットオフ 3,500の透析チューブ( SPECTRUM社)を用い生理食塩液に対して透析した。さらに YM10限外ろ過膜(日
本ミリポア株式会社)を用いて濃縮し、得られた濃縮液を精製標品とした。
[0093] (実施例 3)効力評価 (in vitro)
3— 1)抗体活性の確認
(1)ヒト血管内皮細胞の LPS誘導 IL-6産生に対する阻害活性の確認
ヒト臍帯静脈血管内皮細胞 (HUVEC、三光純薬社)を 0.05%トリプシン、 0.02% E DTAを含む PBS (―)で剥離後、ヒト血清(TENNESSEE BLOOD SERVICE社)を 10 %含む RPM卜 1640培地(SIGMA社)にて懸濁し、 96ゥエルプレートに 2 X 104細胞 Zwellで播種し、 37°C、 5%COの条件下でー晚培養した。培養後、 LPS (WE.coli 0
2
55 : B5、 DIFCO社)を終濃度が lOngZmLとなるように添カ卩すると同時に、 F1024S — D2(3)を終濃度力 0.03、 0.1、 0.3、 1、 3、 10 g/mLとなるように添カロした。 37°C 、 5%COの条件下で 6時間培養した後、培養上清中の IL-6を、添付のプロトコール
2
に従い、ヒト IL- 6 EIAキット(DIACLONE Research社)で測定した。 F1024S- D2(3) の IL- 6産生阻害の IC 値は、 0.38 μ gZmLであった。この結果より、 F1024S- D2(
50
3)がグラム陰性菌の菌体成分である LPSにより誘導される、ヒト血管内皮細胞のサイト 力イン産生を抑制することが示された。
F1031— 13S— D2(3)および F1024D— SLPI (D1D2)、 F1024D— SLPI (D2)、 F1 024S-SLPI (D1D2)または F1024S- SLPI (D2)の阻害活'性を同様のアツセィ系 を用いて評価する。
[0094] (2)ヒト血管内皮細胞の LPS誘導 E— Selectin発現に対する阻害活性の確認
ヒト臍帯静脈血管内皮細胞 (HUVEC、三光純薬社)を実施例 3— 1) (1)に示す方 法で播種し、培養後、 LPS (WE.coli 055 : B5、 DIFCO社)を終濃度が lOngZmLと なるように添カロすると同時に、 F1024S— D2(3)を終濃度力 0.03、 0.1、 0.3、 1、 3、 10 gZmLとなるように添加した。 37°C、 5%COの条件下で 6時間培養した後に、培
2
養液を除去し、 PBS ( -)で 2回洗浄した。ドライヤーで乾燥させた後に、 2%ノ ラホル ムアルデヒドを含有する PBS (―)を 100 μ LZwellで添カ卩した。室温で 20分間インキ ュベーシヨンした後に、 PBS (—)で 3回洗浄した。 1%ヒト血清を含有する RPMI164 0で希釈したピオチン化抗ヒト E- Selectin抗体(コスモ'バイオ社)を 100 μ LZwellで 添加し、室温で 60分間インキュベーションした。その後、 PBS (―)で 3回洗浄し、ぺ
ルォキシダーゼ標識したストレプトアビジン溶液(DAKO Cytomation社)を 100 μ L/ wellで添カ卩し、室温で 30分間インキュベーションした。洗浄後、発色基質 (TMB)を 1 00 μ LZwellで添カ卩し、室温で 30分間反応させた後に、 2N硫酸を 100 μ LZwellで 加えて反応を停止した。 450nmと 650nmの波長での吸光度を測定し、 Δ Οϋ (450 nm- 650nm)を E- Selectinの発現量とした。 F1024S- D2(3)の E- Selectin発現阻 害の IC 値は、 0.43 μ gZmLであった。この結果より、 F1024S- D2(3)が LPSによ
50
り誘導されるヒト血管内皮細胞の接着分子発現を抑制することが示された。
F1031— 13S— D2(3)および F1024D— SLPI (D1D2)、 F1024D— SLPI (D2)、 F1 024S-SLPI (D1D2)または F1024S- SLPI (D2)の阻害活'性を同様のアツセィ系 を用いて評価する。
[0095] (3)ヒト末梢血単核球の LPS誘導 TNF- a産生に対する阻害活性の確認
正常ヒト末梢血単核球(hPBMC、 Bio Whittaker社)を、 10%ヒト血清および 25mM HEPES (SIGMA社)を含有する RPMI 1640で懸濁し、 96ゥエルプレートに 2.5 X 1 05糸田胞/ wellで播種した。 F1024S— D2(3)を終濃度力0.1、 0.3、 1、 3、 10、 ZmLとなるように添カ卩し、室温で 20分間静置した後に、 LPS (WE.coli 055 : B5、 DIF CO社)を終濃度が O. lng/mLとなるように添カ卩した。 37°C、 5%COの条件下で 6
2
時間培養した後、培養上清中の TNF- o;を、添付のプロトコールに従い、ヒト TNF- a EIAキット(DIACLONE Research社)で測定した。
F1024S- D2(3)の TNF- a産生阻害の IC 値は、 0.58 μ gZmLであった。この結
50
果より、 F1024S-D2(3)が LPSにより誘導されるヒト白血球のサイト力イン産生を抑制 することが示された。
F1031— 13S— D2(3)および F1024D— SLPI (D1D2)、 F1024D— SLPI (D2)、 F1 024S-SLPI (D1D2)または F1024S- SLPI (D2)の阻害活'性を同様のアツセィ系 を用いて評価する。
[0096] (4)ヒト末梢血単核球の LPS誘導 Procoagulant Activity (PCA)促進に対する阻害活 性の確認
正常ヒト末梢血単核球(hPBMC、 Bio Whittaker社)を実施例 3— 1) (3)に示す方 法で播種し、 F1024S— D2(3)を終濃度力 0.1、 0.3、 1、 3、 10、 30 g/mLとなるよ
うに添加し、室温で 20分間静置した後に、 LPS (WE.coli 055 : B5、 DIFCO社)を終濃 度が O. lngZmLとなるように添カ卩した。 37°C、 5%COの条件下で 6時間培養し、細
2
胞懸濁液の PCAを正常ヒト血漿 (DADE BEHRING社)を用いて測定した。すなわち、 0.15M NaClおよび 0.1 %BSAを含有する 50mM 1¾3-1« 1 ( 117.4)溶液で2.5 倍希釈した後、 20秒間超音波破砕 (SIMAZU社)し、このサンプルを血液凝固測定装 置 (AMAX CS 190、ェム 'シー 'メディカル社)にセットした。血液凝固測定装置に てサンプルを 20 μ L分取し、 25mM CaClを 20 μ L添カ卩して、 37°Cで 3分間インキ
2
ュペートした。正常ヒト血漿を 90 L添加して凝固反応を開始し、凝固時間を測定し た。凝固時間力も算出した F1024S- D2(3)の PCA阻害の IC 値は、 20.86 μ g/m
50
であった。この結果より、 F1024S- D2(3)が LPSに誘導されるヒト白血球の PCA促 進を抑制することが示された。
F1031— 13S— D2(3)および F1024D— SLPI (D1D2)、 F1024D— SLPI (D2)、 F1 024S-SLPI (D1D2)または F1024S- SLPI (D2)の阻害活'性を同様のアツセィ系 を用いて評価する。
(5) LPSによるゥサギ全血の TNF- a産生に対する阻害活性の確認
雄性ゥサギ (ニュージーランドホワイト種、 3.4kg、北山ラベス)の耳動脈よりへノリン (持田製薬)を lOunitZmL添カ卩して採血した全血をマイクロチューブに移し、 F1024 S— D2(3)を終濃度力0.3、 1、 3、 10、 30 g/mLとなるように添カロした。室温で 30分 間静置した後に、 LPS (WE.coli 055 : B5、 DIFCO社)を終濃度が O. lngZmLとなる ように添加した。
37°Cで 6時間インキュベーションした後、 4°C、 8000rpm (TOMY社)の条件で 10 分間遠心して血漿分離し、血漿中の TNF- aを抗ゥサギ TNF- a抗体を用いたサン ドイッチ ELISAで測定した。すなわち、 1 %BSAを含有する PBS (—)で希釈した血 漿 100 μ Lを抗ゥサギ TNF- a抗体(BD Biosciences社)を 4 μ gZmLで固相化し たプレートに移し、室温で 2時間インキュベーションした。 0.05%Tween20を含む PB S (— ) 400 LZwellで 3回洗浄し、ピオチンィ匕抗ゥサギ TNF- a抗体溶液 (2 μ g/ mL、 BD Biosciences社)を 100 μ LZwellで添カ卩し、室温で 1時間インキュベートし た。洗浄後、ペルォキシダーゼ標識したストレプトアビジン溶液(Invitrogen社)を 100
LZwellで添加し、室温で 30分間インキュベーションを行った。洗浄後、発色基質( TMB)を 100 /z LZwellで添カ卩し、室温で 30分間反応させた後に、 2N硫酸を 100 LZwellでカ卩えて反応を停止した。 450nmと 650nmの波長での吸光度を測定し、サ ンプル中の TNF- a産生量を算出した。 F1024S- D2(3)の TNF- a産生阻害の IC5 0値は、 0.83 μ gZmLであった。この結果より、 F1024S- D2(3)が LPSにより誘導さ れるゥサギ全血のサイト力イン産生を抑制することが示された。
F1031— 13S— D2(3)および F1024D— SLPI (D1D2)、 F1024D— SLPI (D2)、 F1 024S-SLPI (D1D2)または F1024S- SLPI (D2)の阻害活'性を同様のアツセィ系 を用いて評価する。
[0098] 3— 2)酵素阻害活性の確認
F1024S- D2(3)および F1024D- D2(3)の酵素阻害機能ドメインの活性を確認する ために、各種酵素に対する阻害活性を以下のように測定した。また、各測定系にお いて、活性測定用サンプルの蛋白質濃度は、ゥシ γグロブリン(日本バイオ'ラッドラ ボラトリーズ株式会社)をスタンダードとしてプロテインアツセィ染色液(日本バイオ'ラ ッドラボラトリーズ株式会社)を用いて測定し、抗体融合蛋白質の推定分子量よりモ ル濃度に換算した。試験結果を図 22ないし 25に示す。各図の縦軸は各種酵素の残 存活性、横軸は活性測定用サンプルの反応液中の濃度を示す。
[0099] (1) FactorXa阻害活性
F1024S- D2(3)および F1024D- D2(3)を 0.14M塩化ナトリウム Z5mM塩化カル シゥム /20mMトリス塩酸緩衝液 (pH7.4)と 10%BSAを 99: 1の比率で混合した希 釈液 (以下、希釈液)で段階希釈し、阻害活性測定用サンプルとした。これと併行して 、 Human FactorXa (Enzyme Research LaDoratones) 希釈揿.にて O. lUz mLとなる よう調製し、 FactorXa溶液とした。また、合成基質 S-2222 (第一化学薬品株式会社) を希釈液にて 2mMとなるよう調製し、 S-2222溶液とした。各試薬類を調製後、 96ゥ エルマイクロタイタープレート(Nunc)に、阻害活性測定用サンプル 10 L、希釈液 5 0 μ Lおよび FactorXa溶液 20 μ Lを添カ卩し、 37°Cで 5分間インキュベーションした。 次いで、 S- 2222溶液を各ゥエル〖こ 20 L添加して、さらに 37°Cで 30分間インキュ ベーシヨンした。その後、各ゥエルに 20%酢酸溶液 50 Lを添加して反応を停止し、
反応液の波長 405nmにおける吸光度を測定した。
[0100] なお、コントロールとして、希釈液 60 μ Lに FactorXa溶液 20 μ Lを混合し、 37°Cで 5分間インキュベーションした後、 S- 2222溶液 20 Lを加え、 37°Cで 30分間インキ ュベーシヨン後、 20%酢酸溶液 50 Lをカ卩えたものを使用した。図 22に示す結果よ り、 FXa阻害活性を保持していることが確認された。
F1031- 13S- D2(3)の阻害活性を同様のアツセィ系を用いて評価する。
[0101] (2) FactorXIa阻害活性
F1024S- D2(3)および F1024D- D2(3)を希釈液 (既出)で段階希釈し、阻害活性 測定用サンプノレとした。これと併行して、 Human FactorXIa (American Diagnostics In c.)を希釈液にて 750ngZmLとなるよう調製し、 FactorXIa溶液とした。また、合成基 質 S-2366 (第一化学薬品株式会社)を水にて 5mMとなるよう調製し、 S-2366溶液 とした。
各試薬類を調製後、 96ウェルマイクロタイタ一プレート (Nunc)に、阻害活性測定用 サンプル 10 μ L、希釈液 60 μ Lおよび FactorXIa溶液 10 μ Lを添カ卩し、 37°Cで 5分 間インキュベーションした。次いで、 S- 2366溶液を各ウエノレ〖こ 20 L添加して、さら に 37°Cで 30分間インキュベーションした。その後、各ゥエルに 20%酢酸溶液 100 Lをカ卩えて反応を停止させ、反応液の波長 405nmにおける吸光度を測定した。
[0102] なお、コントロールとして、希釈液 70 μ Lに FactorXIa溶液 10 μ Lを混合し、 37°Cで 5分間インキュベーションした後、 S- 2366溶液 20 Lを加え、 37°Cで 30分間インキ ュベーシヨン後、 20%酢酸溶液 100 Lを加えたものを使用した。
図 23に示す結果より、 D2(3)が FXIa阻害活性を有することが判明した。
F1031- 13S- D2(3)の阻害活性を同様のアツセィ系を用いて評価する。
[0103] (3)エラスターゼ阻害活性
F1024S- D2(3)および F1024D- D2(3)を希釈液 (既出)で段階希釈し、阻害活性 測定用サンプルとした。これと併行して、 500mM塩ィ匕ナトリウム Z50mM酢酸ナトリ ゥム(pH5.5)に溶解して凍結保存していた Elastase, Human Neutrophil (Athens Res earch & Technology)を希釈液にて 20 gZmLとなるよう調製し、エラスターゼ溶液 とした。また、合成基質 S-2484 (第一化学薬品株式会社)はジメチルスルホキシドに
溶解して冷蔵保存し、使用時に水にて 2mMとなるよう調製し、 S-2484溶液とした。 各試薬類を調製後、 96ウェルマイクロタイタ一プレート (Nunc)に、阻害活性測定用 サンプル 10 μ L、希釈液 70 μ Lおよびエラスターゼ溶液 10 μ Lを添カ卩し、 37°Cで 3 分間インキュベーションした。次いで、 S-2484溶液を各ゥエルに 10 L添カ卩して、さ らに 37°Cで正確に 10分間インキュベーションした。その後、各ゥエルに 20%酢酸溶 液 50 Lをカ卩えて反応を停止させ、反応液の波長 405nmにおける吸光度を測定し た。
[0104] なお、コントロールとして、希釈液 80 μ Lにエラスターゼ溶液 10 μ Lを混合し、 37°C で 3分間インキュベーションした後、 S- 2484溶液 10 Lを加え、 37°Cで正確に 10 分間インキュベーション後、 20%酢酸溶液 50 Lを加えたものを使用した。図 24に 示す結果より、エラスターゼ阻害活性を保持していることが確認された。
F1031— 13S— D2(3)および F1024D— SLPI (D1D2)、 F1024D— SLPI (D2)、 F1 024S-SLPI (D1D2)または F1024S- SLPI (D2)のの融合蛋白質の阻害活性を同 様のアツセィ系を用 V、て評価する。
[0105] (4)血漿カリクレイン
F1024S- D2(3)および F1024D- D2(3)を希釈液 (既出)で段階希釈し、阻害活性 測定用サンプルとした。これと併行して、 Kallicrein from Human plasma (SIGMA-Aldri ch Co.)を希釈液にて 20mU/mLとなるよう調製し、血漿カリクレイン溶液とした。ま た、合成基質 S-2302 (第一化学薬品株式会社)を水にて 4mMとなるよう調製し、 S- 2302溶液とした。
各試薬類を調製後、 96ウェルマイクロタイタ一プレート (Nunc)に、阻害活性測定用 サンプル 10 μ L、希釈液 70 μ Lおよび血漿カリクレイン溶液 10 μ Lを添カ卩し、 37°C で 3分間インキュベーションした。次いで、 S-2302溶液を各ゥエルに 10 L添カ卩して 、さらに 37°Cで 30分間インキュベーションした。その後、各ゥエルに 20%酢酸溶液 5 0 Lをカ卩えて反応を停止させ、反応液の波長 405nmにおける吸光度を測定した。
[0106] なお、コントロールとして、希釈液 80 μ Lに血漿カリクレイン溶液 10 μ Lを混合し、 3 7°Cで 3分間インキュベーションした後、 S- 2302溶液 10 Lを加え、 37°Cで 30分間 インキュベーション後、 20%酢酸溶液 50 Lを加えたものを使用した。図 25に示す。
F1031- 13S- D2(3)の阻害活性を同様のアツセィ系を用いて評価する。
[0107] 3— 3)凝固阻害作用の確認
(1)ヒトおよびゥサギにおける活性ィ匕部分トロンボプラスチン時間 (APTT)延長作用 の確認
正常ヒト血漿は、ディドサイトロールレベル 1 (DADE BEHRING社)を使用した。 ゥサギ血漿は、雄性ゥサギ (ニュージーランドホワイト種、 2.6〜2.7kg、北山ラベス) の耳動脈より 1Z10容の 3.8%クェン酸ナトリウム (血沈用チトラート、岩城製薬)を含 むシリンジを用いて採血し、 4°C、 3000rpm (05PR-22、日立社)の条件で 10分間 遠 、すること〖こより取得した。
ヒトあるいはゥサギ血漿 113 Lに、 F1024S- D2(3))溶液 20 /z Lを終濃度が 0、 1. 56、 3.13、 6.25、 12.5、 25、 50、 100 /z g/mLとなるように添カロし、血液凝固柳』定 装置 (AMAX CS190、ェム 'シー 'メディカル社)にセットした。血液凝固測定装置 にて混合液から 50 μ Lを分取し、 ΑΡΤΤ測定用試薬(DADE BEHRING社) 50 L を加え、 2分間インキュベーションした後に、 25mM CaClを 50 L添加して、凝固
2
時間を測定した。その結果、 F1024S-D2(3)は、濃度に依存してヒトおよびゥサギ A PTTを延長し、ヒトおよびゥサギの APTT1.5倍延長濃度は、それぞれ 9.06 gZm Lおよび 40.96 μ gZmLであった。
F1031-13S- D2(3)の APTT延長を同様のアツセィ系を用いて評価する。
[0108] (実施例 4) in vivoにおける有効性の評価
4 1) LPS負荷ゥサギ敗血症モデルにおける融合蛋白質の生存率改善効果
LPS負荷ゥサギ敗血症致死モデルを作製し、融合蛋白質の後投与での生存率改 善を検討した。
LPS負荷ゥサギ敗血症モデルを、 Schimkeらの方法(Pro Natl. Acad. Sci. USA, 9 5:13875, 1998)に準じ、ニュージーランドホワイト種(1.8— 2.6kg、北山ラベス)に LP S (Salmonella Minnesota Re595、 SIGMA社)を 15 gZkgで 0、 5および 24時間に耳 静脈内投与して作製した。 F1024S- D2(3)を lmgZkgの用量で 2、 8および 23時間 に耳介静脈内投与した。対照群には融合蛋白質の替わりにヒト免疫グロブリンを投与 した。 48時間まで生死を観察し、力プランマイヤー生存曲線を描いた。その結果、 F1
024S-D2(3)投与により、対照群に比べて生存率が改善された(図 26)。 同試験系において、 F1024D- SLPI (D1D2)、 F1024D- SLPI (D2)、 F1024S- SLPI (D1D2)または F1024S- SLPI (D2)の投与も生存率改善作用を示す。
[0109] 4 2) LPS負荷ゥサギ敗血症モデルにおける融合蛋白質の炎症および凝固パラメ 一ター改善効果
LPS負荷ゥサギ敗血症モデルを作製し、融合蛋白質の後投与での炎症および凝 固パラメーターへの影響を検討した。
LPS負荷ゥサギ敗血症モデルは、 Schimkeらの方法(Pro Natl. Acad. Sci. USA, 9 5: 13875, 1998)に準じ、ニュージーランドホワイト種(1.8— 2.6kg、北山ラベス)に LP S (Salmonella Minnesota Re595、 SIGMA社)を 10 μ gZkgで 0、 5および 24時間に耳 静脈内投与して作製した。 F1024S- D2(3)を 0.3、 1および 3mgZkgの用量で 2、 8 および 23時間に耳介静脈内投与した。対照群には融合蛋白質の替わりにヒト免疫グ ロブリンの 3mgZkgを投与した。
[0110] LPS投与前、ならびに投与 1.5、 25、 26および 28時間後に耳介動脈採血(タエン 酸加血)し、炎症パラメーターおよび凝固パラメーターを測定した。
炎症パラメータ一は白血球数および血漿中 TNF 濃度、凝固パラメーターは血小 板数および血漿中アンチトロンビン III活性とした。
血球数は Sysmex F- 820 (シスメッタス株式会社)を用いて計数した。 TNF- a濃度 ίま Purified uoat Anti-rabbit TNF polyclonal Antiboay (BD Biosciences)および Bioti nylated Mouse Anti-rabbit TNF— monoclonal Antibody (BD Biosciences)による サンドイッチ ELISA法にて測定した。
アンチトロンビン ΠΙ活性はテストチーム ΑΤΠΙ · 2キット (第一化学薬品株式会社)を用 いて測定した。
[0111] なお,血漿中 TNF— α濃度はサンドイッチ ELISAの検出感度である 0.4ngZmL 以上および未満をそれぞれ陽性および陰性とした。その結果、 F1024S-D2(3)投与 群は対照群と比較して、用量依存的な白血球数の減少(図 27)、血漿中 TNF- α濃 度の上昇 (表 4)、血小板数の減少(図 28)およびアンチトロンビン III活性の減少(図 2 9)を改善した。以上の結果より、 F1024S-D2(3)による炎症および凝固パラメーター
の改善が明ら力となった。
同試験系において F1031-13S-D2(3)投与群は対照群と比較して、白血球数の 減少、血漿中 TNF- o;濃度の上昇、血小板数の現象およびアンチトロンビン III活性 の減少に対して改善作用を示す。
[0112] [表 4]
表 4 L P S負荷ゥサギ敗血症モデルにおける L P S初回投与後 2 5時間の血漿中 TN F «濃度
[0113] 4-3) LPS負荷ゥサギ敗血症モデルにおける融合蛋白質の血圧低下改善効果
LPS負荷ゥサギ敗血症モデルを作製し、融合蛋白質の後投与での血圧低下改善 効果を検討した。
LPS負荷ゥサギ敗血症モデルは、 Schimkeらの方法(Pro Natl. Acad. Sci. USA, 9 5:13875, 1998)に準じ、ニュージーランドホワイト種(1.8- 2.6kg、北山ラベス)に LPS (Salmonella Minnesota Re595、 SIGMA社)を 5 μ gZkgで 0および 5時間に耳静脈内 投与して作製した。 F1024S-D2(3)は lmgZkgの用量で LPS初回投与後 2時間に 耳介静脈内投与した。対照群には融合蛋白質の替わりにヒト免疫グロブリンの lmg Zkgを投与した。
LPS投与前、ならびに投与 4、 6および 8時間後に頸動脈に挿入したカテーテルを 血圧トランスデューサー(DT-XX、日本 BDメディカルシステムズ)に接続して平均動 脈血圧を測定した。その結果、 F1024S-D2(3)投与群は対照群と比較して血圧低 下が改善された (図 30)。
同試験系において F1031-13S-D2(3)投与群は対照群と比較して血圧低下を改 善することが確認される。
[0114] (実施例 5)抗体融合蛋白質の安定生産株の榭立
5— D F1024S- D2(3)および F1024D- D2(3)生産株用発現プラスミドの構築
F1024S- D2(3)および F1024D- D2(3)を生産する安定生産株の樹立に用いる発
現プラスミドは以下の方法で構築した。
実施例 1で構築した F1024S- D2(3)重鎖発現プラスミド pTK- 2370あるいは F102 4D- D2(3)重鎖発現プラスミド ρΤΚ- 2368をそれぞれ EcoRIおよび Kpnlで消化し、 約 1.7kbの断片を回収した。また、マウス DHFR発現ユニット、 EF1 αプロモーター を持つ発現プラスミド pMl 103 (W097Z42319参照)を、同様に EcoRIおよび Kpn Iで消化し、約 7.9kbの断片を回収した。それぞれの重鎖発現プラスミドの消化断片と 、 pMl 103消化断片をライゲーシヨンした後、定法に従い JM109コンビテントセルを 形質転換することで、生産株作製用 F1024S- D2(3)重鎖発現プラスミド pEFD2370 あるいは F1024D- D2(3)重鎖発現プラスミド pEFD2368を得た。一方、軽鎖発現プ ラスミドは F1024S- D2(3)、 F1024D- D2(3)で共通であり、以下の方法で構築した。 一過性用発現プラスミド pTK-2344を BamHIで消化後、末端を平滑化し、さらに Ec oRIで消化することにより、 0.7kbの断片を回収した。また、 pMl 103を Kpnlで消化 後、末端を平滑ィ匕した後に、 EcoRI消化して約 7.9kbの断片を回収した。 pTK-2344 消化断片と pMl 103消化断片をライゲーシヨンした後、定法に従い JM109コンビテ ントセルを形質転換することで、生産株作製用軽鎖発現プラスミド PEFD2344を得た 5- 2) F1024S- D2(3)および F1024D- D2(3)を生産する形質転換株の榭立
DHFR遺伝子欠損 CHO細胞に実施例 5— 1)で構築した重鎖および軽鎖発現プ ラスミドを co-transfectionし、キメラ抗体融合蛋白質産生形質転換 CHOを榭立した。 すなわち、 HT media Supplement (50 X ) Hybri-Max(SIGMA;終濃度l Xで使用)ぉ よび 200mM -Glutamine (SIGMA;終濃度 4mMで使用)を含む EX- CELL 325 PF
L
CHO (JRH Bioscience)にて馴化培養した CHO DXB11 ransfection当日に遠 心後、 8 X 106cells/150Rouxの濃度でフラスコに植え込んだ。 FuGENE6 (ロッシュ ダイァグノテイクス) 125 μ Lを用いて、重鎖発現プラスミド 12.5 gと軽鎖発現プラス ミド 12.5 ;z g (すなわち、 pEFD2370+pEFD2344あるいは pEFD2368+pEFD2 344)を FuGENE6添付プロトコールに準じ調製し、先の CHO DXB11へ co- transfe ctionした。 5%COで 37°C、 2日間培養した後に、細胞を回収し、 HT不含 4mM -
2 L
Glutamine含有 EX- CELL 325 PF CHO培地(以下 EX- CELL (HT—)と記載)で一
度、 PBS—で一度洗浄し、 EX-CELL (HT-)に再度懸濁した。次に 3,000〜48,00 OcellsZwellで 96ゥエルプレートに細胞を蒔き直し、 5%CO、 37°Cで培養を続け、 3
2
日あるいは 4日毎に培地の半量を新しい EX-CELL (HT—)に交換した。約 1ヶ月間 培養を続けた後、コロニーが発生したゥエル内の細胞を新しいプレートに移し、培養 上清中のキメラ抗体量を実施例 2に記載の EIA方で測定した。上清中にキメラ抗体 の発現が確認された細胞をキメラ抗体融合蛋白質産生形質転換株として得た。
[0116] 5- 3) Methotrexateを用いた遺伝子増幅
実施例 5— 2)で得られたキメラ抗体融合蛋白質発現形質転換 CHO株を、 Methotr exate (以下 MTXと表記)を含む EX-CELL (HT—)培地で選択培養することにより、 遺伝子増幅作業を行 、目的のキメラ抗体融合蛋白質の生産量が上昇して!/、るクロー ンの選択を行った。
[0117] (l) CHO— F1024SC93t3Llの榭立
上記 5— 2)で得られたF1024S-D2(3)産生形質転換株を100nM MTX含有 EX - CELL (HT—)培地に懸濁し、 96ゥエルプレートに巻き込んだ。 3日あるいは 4日毎 に培地の半量を新しい lOOnM MTX含有 EX- CELL (HT—)に交換し、コロニー が生じるまで 5%CO、 37°Cで培養を続けた。得られたコロニーの発現量を EIA法で
2
確認し、生産量の増加しているクローンを選択し、引き続き 300nM MTX含有 EX- CELL (HT—)培地にて懸濁し、 96ゥエルプレートに巻き込み選択培養を行った。そ の後、 lOOnM MTXの選択培養と同様の操作を行い、生産量が約 20倍上昇した 形質転 ·を得ることができた。尚、 MTXの濃度を 3〜10倍段階的に上げた培地で 選択培養を繰り返すことで、さらに生産量が増加するクローンを得ることができる。
[0118] (2) CHO- F1024DC78ulの榭立
上記 5 - 2)で得られた F1024D- D2(3)産生形質転^ ¾を実施例 5— 2)と同様の 方法で処理し高生産株を得た。 MTX選択培養は 1回目が ΙΟΟηΜの濃度で、 2回目 は ΙΟΟΟηΜの濃度で行った。その結果、生産量が EIA値で約 60 gZmLのクロー ンを得ることができた。
[0119] (実施例 6) F1024抗体の結合に重要な配列の解析
6- 1)可溶型ヒト CD 14アミノ酸置換体発現プラスミド構築
F1024抗体の認識領域を解析するため、表 5に記載した可溶型ヒト CD14アミノ酸 置換体 31種をそれぞれ作製した。尚、可溶型 CD14分子の N末端より 263番目の A snを Ginに置換した 1アミノ酸置換体を「N263Q」と記載し、他の 1アミノ酸置換体も 同様に記載した。但し、 294番目の Proおよび 296番目の Proの両方を Alaに置換し た 2アミノ酸置換体は「P294Z296A」と記載した。これらの置換体発現プラスミドは 以下の方法で構築した。
[0120] まず、 WO02Z42333または US2004Z0092712に記載のアミノ酸置換体ポリ ペプチド発現プラスミドの構築と同様の方法で sCD 14 (1— 307)アミノ酸置換改変 体発現プラスミドの構築を行った。例えば、 P294H、 P294/296A, Q295Aあるい は P296Hの置換を導入した sCD14 (1— 307)アミノ酸置換改変体発現プラスミドの 構築には、ァミノ置換配列をコードする、表 6に記載したプライマーセットを設計し、 P CRに用いた。なお、アミノ酸置換部分をコードするコドンは太字(下線)で示した (表 6
) o
[0121] 次にリコンビナント PCR法を用いて、アミノ酸置換 (コドン変異)導入 DNA断片を調 製し、可溶型ヒト CD14アミノ酸置換体発現プラスミドを構築した。具体的には、例え ば P294H、 P294/296A, Q295Aあるいは P296H発現プラスミドの構築は以下 の方法で行った。センスプライマー S 1 (5'— GCG GCA GTA TGC TGA CA C GG— 3')、センスプライマー S2 (5,一 GAT AAC CTG ACA CTG GAC GGG AAT CCC TTC— 3')、センスプライマー S3 (5,一 GCC ATC CAG A AT CTA GCG CT— 3')およびアンチセンスプライマー Α1 (5'— GAA GGG ATT CCC GTC CAG TGT CAG GTT ATC— 3,)、アンチセンスプライマ — A2 (5' -ATT AGC CAG AAG TCA GAT GCT C— 3')、アンチセンス プライマー Α3 (5'— GGG CAT TGG CCA CAC CAG C— 3')を合成し、先 に得られた各 sCD 14 (1— 307)アミノ酸置換改変体発現プラスミドを铸型として、セ ンスプライマー S1と A1で PCRを行った。増幅産物については電気泳動により、分離 精製した(PCR産物 A)。また、 pCAG356を铸型にセンスプライマー S2と A2で PCR を行い、増幅産物を電気泳動により、分離精製した (PCR産物 B)。さらに PCR産物 Aと PCR産物 Bの混合物を铸型に、センスプライマー S3と A3で PCRを行い、 PCR
産物を電気泳動により、分離精製した (PCR産物 C)。次に、 PCR産物 Cを PvuIIおよ び Kpnlで消化し、電気泳動により、約 0.2kbの断片を分離回収した。一方、 pCAG3 56を同様に PvuIIおよび Kpnlで消化し、約 5.8kbの断片を電気泳動により回収し、 先に得られた約 0.2kbの断片をライゲーシヨンした。定法に従い、大腸菌 XLl-Blue (STRATGENE)を形質転換し、 目的の発現プラスミドを得た。尚、 pCAG356は pCA GGS (GENE、 Vol.15 (1989) pp269-277)〖こ WO02Z42333に記載の sCD14発現プ ラスミド PM1656由来の CD14遺伝子(GPIアンカーリングサイトに変異を導入)を揷 入したプラスミドである。
[表 5]
表 5 可溶型ヒ ト C D 1 4アミノ酸置換体
表 6]
表 6 _プライマー配列
置換体 プライ 配列 Seq. ID センス P294H-S1 5'-AGA CTG C AGG GCG CAC CAG CCT GAC GAG-31 179
P294H
P294H-A1 5'-CAG CTC GTC AGG CTG CTG CGC CCT GTT CAG-3' 180 センス H1043Sdmt 5'-C AGG GCG GCG CAG GCT GAC GA-3' 181
P294/296A
H1043Admt 5'-TC GTC AGC CTG COC CGC CCT G-3' 182 センス Q295A-S1 5'-AGG GCG CCG GCT CCT GAC GAG CTG CCC GAG-31 183
Q295A
Q295A-A1 5 '-CTC GTC AGG AGC CGG CGC CCT GTT CAG TCT-3' 184 センス P296H-S1 5'-AAC AGG GCG CCG CAG CAC GAC GAG CTG CCC-31 185
P296H
P296H-A1 5 '-CTC GGG CAG CTC GTC CTG CTG CGG CGC CCT-3' 186
[0124] 6— 2)可溶型ヒト CD 14アミノ酸置換体の発現
上記 7— 1)で作製した各発現プラスミドを下記の方法で COS-1細胞に導入した。 すなわち、 FuGENE6 (ロシュ'ダイァグノスティックス社) 50 μ Lを上記プラスミド DNA 各 12.5 μ gと添付プロトコールに従い混合し、 150cm2フラスコにセミコンフルェント に増殖した COS-1細胞に添カ卩した。引き続き、 5%CO、 37°Cの条件下で 3〜4日
2
間培養行い、上清中にヒト CD14アミノ酸置換体を発現させた。発現の有無の確認は WO02Z42333に記載の CD14抗体を用いた EIA法にて行った。その結果、表 5に 記載の置換体の内、 N263Q、 L276A、 L283A、 N288Aおよび L290A以外の全 ての発現が確認できた。
[0125] 6— 3)可溶型ヒト CD 14アミノ酸置換体の精製
可溶型ヒト CD14アミノ酸置換体を以下の方法で精製した。上記 6 - 2)で得られた 培養上清を、抗ヒト CD14抗体(3C10)を結合したァフィユティー精製用カラム (NH S- activated Sepharose4 Fast Flow;アマシャム バイオサイエンス)に供して選択的 に吸着させ、 10mM HC1にて溶出した。得られた溶出画分は、直ちに 10 X PBS_ ( SIGMA)を終濃度 2 Xになるように加え、中和した。その後、生理食塩水に対して透 祈し、得られた透析液を精製標品とした。
[0126] 6—4) F1024抗体に対する競合実験
各可溶型ヒト CD14アミノ酸置換体の F1024抗体に対する反応性を確認するため に、以下の競合実験を行った。まず、可溶型 CD14分子(356 (CHO);調製方法は 下記 6— 5)に記載)を1¾3
_にて4
96ゥエルプレート(F8 MaxiS orp ;NUNC)に 50 μ L/wellで添カ卩し、 4°Cでー晚静置した。その後、 0.05%Tween2 0を含む PBS—で 3回洗浄し、 2%StabilGuard (SurModics, Inc.)を含む PBS—を各ゥ エル〖こ 200 LZwell添加し、 37°Cで 30分インキュベーションした後に、 4°Cで保存し た。一方、実施例 6— 3)で精製した各可溶型ヒト CD 14アミノ酸置換体を 0.1 %BS A 含有 PBS—で 2〜0.02 /ζ
8/πΛに希釈した。また、 HRP標識 F1024抗体を 0.1%Β SA含有 PBS—で 2 μ gZmLに希釈し、先のヒト CD14アミノ酸置換体と等量(25 μ L + 25 L)混合した。次に可溶型 CD14固相化プレートの wellから液を除去し、 CD1 4アミノ酸置換体 ZHRP標識 F1024混合液を 50 LZwell添カ卩し、 37°Cで 2時間ィ
ンキュベーシヨンした。 0.05%Tween20含有 PBS—で 5回洗浄後、発色基質として T MB溶液 (BioFX)を各ゥエルに 50 /z LZwellずつ添カ卩した。室温で 5分間反応後、 1 M 塩酸溶液 50 LZwellで反応を停止し、プレート分光光度計で 450nmの吸光 度を測定した。
[0127] アミノ酸置換体未添カ卩時の吸光度を 100%として、結果を図 31に示す。なお、図中 の 356 (CHO)は、固相化に用いた可溶型 CD14分子を添加した場合の吸光度推 移を示す。
その結果、多くのアミノ酸置換体は添加濃度依存的に吸光度が低下しており、 356 (CHO)と競合して、 F1024抗体に結合しているのが確認された力 P294H、 P294 Z296A、 Q295Aおよび P296Hでは、添加濃度に関わらず、吸光度の低下が確認 されず、 F1024抗体への結合が起きていないと判断した(図 31)。すなわち、 CD14 の 294、 295、 296番目の Pro、 Gln、 Proが F1024抗体の結合に重要な領域である ことが明らかになった。
[0128] 6- 5)可溶型ヒト CD14分子(356 (CHO) )の調製
CHO細胞を用いて可溶型ヒト CD14分子(356 (CHO) )を以下の方法で調製した
(1)発現プラスミドの構築
WO02Z42333に記載の pM1656を Hindlllで消ィ匕し、 DNA Blunting Kit (タカラ ノィォ)を用いて、末端を平滑化した。次に Xbalで消化を行い、電気泳動により、約 1 .4kbの断片を分離回収した。また、マウス DHFR発現ユニット、 EF1 αプロモーター を持つ発現プラスミド PM1103を Notlで消化し、 DNA Blunting Kit (タカラバイオ)を用 いて、末端を平滑化した。次に Xbalで消化を行い、電気泳動により、約 8.0kbの断片 を分離回収した。この約 8.0kbの断片に pM 1656由来の約 1.4kb断片を挿入ライゲ ーシヨンし、大腸菌 JM109を形質転換することで、 356 (CHO)発現プラスミドを得る ことができた。
[0129] (2) 356 (じ110)発現形質転^^の榭立
DHFR遺伝子欠損 CHO細胞にこの発現プラスミドを導入し、 356 (CHO)を発現 する形質転^ を榭立した。すなわち、すなわち FuGENE6 (ロシュ'ダイァグノスティ
ッタス) 50 μ Lを上記プラスミド DNA12.5 μ gと添付プロトコールに従い混合し、 150 cm2フラスコにセミコンフルェントに増殖した CHO DXB 11細胞(増殖培地は 10% 非働化 FBS含有 Ham's F-12培地(Invitrogen)を使用)に添カ卩し、 5%COで 37°C
2
、一晩培養した。翌日、細胞をトリプシンで剥離回収し、 10%非働化透析 FBS含有 a -MEM (リボヌクレオシド ·デォキシリボヌクレオシド不含)(Invitrogen)培地(以下、 選択培地と記載)にて、 96ゥエルプレートに細胞を蒔き直した。 5%CO
2、 37°Cで培 養を続け、 3日あるいは 4日毎に培地の半量を新しい選択培地に交換した。 3〜4週 間培養を続けた後、コロニーが発生したゥエル内の細胞を新しいプレートに移し、培 養上清中の可溶型 CD14産生量を WO02Z42333に記載の CD14抗体を用いた E IA法にて行った。発現量の高いクローン No.P3を可溶型 CD14発現株として樹立し た。
[0130] (3) Methotrexate (MTX)を用いた遺伝子増幅
356 (CHO)発現量を増加させるために、 MTXを含む選択培地で P3クローンを選 択培養し、遺伝子増幅により 356 (CHO)の生産量を増加させた。すなわち、実施例
6 - 5) (2)で得られた P3クローンを、 15nMの MTXを含む選択培地に懸濁し、 10c m培養 dishに巻き込んだ。 3日あるいは 4日毎に培地を新しい 15nM MTX含有選 択培地に交換し、コロニーが生じるまで 5%CO
2、 37°Cで培養を続けた。得られたコ 口-一をプレートに植え継ぎ、上清中の 356 (CHO)発現量を EIA法で確認し、発現 量の増加して 、るクローン P3-54を得た。
[0131] (4) 356 (CHO)の生産および精製
上記 6— 5) (3)で得られた P3-54クローンを選択培地で培養し、その上清中に発 現している 356 (CHO)を実施例 6— 3)と同様の方法で精製した。
[0132] (実施例 7) 抗体融合蛋白質 (F1024S— D2)の UTI第 2ドメインの改変
7— 1) 10243— 02の1711第2ドメィンの改変体の作製
UTIドメインの 15番目のアルギニンをァラニンに置換 (R15Aと表記)した場合を例 にとると、先ず、変異を導入したい部分およびその近傍 10アミノ酸前後をコードする プライマー (表 7)を設計し、合成を行った。
[0133] [表 7]
Primer Name Base Sequence Seq. ID
Sense D2-R15A-S 5' GGC CCC TGC GCA GCC TTC ATC CAG CTC 3' 187
Antisense D2-R15A-a 5' GAT GAA GGC TGC GCA GGG GCC CCG GAC 3' 188
[0134] 次に、 pTK— 2355を铸型として、プライマー対(IgG4— w,D2— R15A— s)およ び(pEF2ce— 27,D2— R15A— a)でそれぞれ PCRを行!、、得られた増幅産物を混 合し、プライマー対 (IgG4— w,pEF2ce— 27) (表 8)で再度 PCRを行った。
この増幅産物を制限酵素 BamHIおよび Notlで切断後、ァガロースゲル電気泳動 し、その断片を抽出した後に、予め同様に BamHIおよび Notlで切断しておいた pT Κ— 2355のベクター部分と T4DNAリガーゼで連結することにより、 R15A変異を導 入した F1024S— D2改変体重鎖を発現可能なプラスミド (pTK— 2730)を構築する ことができた。このプラスミドを COS— 1細胞に、軽鎖発現プラスミド (pTK— 2344)と コトランスフエクシヨンさせることで、培養上清中に F1024S - D2 (R15A)改変体が 発現されるのを確認し、 Prosep— Αカラムで発現産物の精製を行った。
同様の方法を用いることで、表 9に示す 80種類の F1024S— D2の UTI第 2ドメイン 改変体を作製し、 CD14抗原に対し、結合能を保持していることを確認した。また、表 9に示す各改変体の UTI第 2ドメインのアミノ酸配列は、図 32〜図 35に示す。
[0136] [表 9]
[表 10]
pTK-2881 (R11S R15T 019T Y46D) 33 65
pTK-2882 ( 11S/ 15T/Q1 V/Y46D) 33 66
ρΤΚ-2883 ( 11S/ 15T/Q1 W/Y46D) 33 67
ρΤΚ-2884 (R11S R15T 019Y Y46D) 33 68
ρΤΚ-2889 ( 11S/ 15T/F17A/Y46D) 34 69
ρΤΚ-2890 ( 11 S/ 15T/F17C/Y46D) 34 70
ρΤΚ-2891 (R11S R15T F17D/Y46D) 34 71
ρΤΚ-2892 ( 11S/ 15T/F17E/Y46D) 34 72
ρΤΚ-2893 (R11S R15T F17G/Y46D) 34 73
ρΤΚ-2894 (R11 S/R15T F17H/Y46D) 34 74
ρΤΚ-2895 ( 11S/ 15T/F17I/Y46D) 34 75
ρΤΚ-2896 (R11S R15T F17K/Y46D) 34 76
ρΤΚ-2897 ( 11S/ 15T/F17L/Y46D) 34 77
ρΤΚ-2898 ( 11S/ 15T/F17M/Y46D) 34 78
ρΤΚ-2899 (R11S R15T F17N/Y46D) 34 79
ρΤΚ-2900 ( 11S/ 15T/F17P/Y46D) 34 80
ρΤΚ-2901 (R11S R15T F170 Y46D) 34 81
ρΤΚ-2902 ( 11S/ 15T/F17R/Y46D) 34 82
ρΤΚ-2903 ( 11S/ 15T/F17S/Y46D) 34 83
ρΤΚ-2904 (R11S R15T F17T/Y46D) 34 84
ρΤΚ-2905 ( 11S/ 15T/F17V/Y46D) 34 85
ρΤΚ-2906 (R11S R15T F17W Y46D) 34 86
ρΤΚ-2907 (R11S R15T F17Y/Y46D) 34 87
ρΤΚ-2932 (R11A R15T Y46D) 35 88
ρΤΚ-2933 ( 11C/ 15T/Y46D) 35 89
ρΤΚ-2934 (R11 D/R15T Y46D) 35 90
ρΤΚ-2935 ( 11 E/R15T/Y46D) 35 91
ρΤΚ-2936 ( 11 F/R15T/Y46D) 35 92
ρΤΚ-2937 (R11G/R15T Y46D) 35 93
ρΤΚ-2938 ( 11 H/ 15T/Y46D) 35 94
ρΤΚ-2939 (R11I R15T/Y46D) 35 95
ρΤΚ-2940 (R11K R15T Y46D) 35 96
ρΤΚ-2941 ( 11L/R15T/Y46D) 35 97
ρΤΚ-2942 (R11M/R15T/Y46D) 35 98
ρΤΚ-2943 ( 11 N/ 15T/Y46D) 35 99
ρΤΚ-2944 (R11P R15T Y46D) 35 100
ρΤΚ-2945 (R110/R15T/Y46D) 35 101
ρΤΚ-2946 ( 15T/Y46D) 35 102
ρΤΚ-2947 (R11T R15T Y46D) 35 103
ρΤΚ-2948 ( 11V/ 15T/Y46D) 35 104
ρΤΚ-2949 ( 11W/R15T/Y46D) 35 105
ρΤΚ-2950 (R11Y R15T Y46D) 35 106
7-2) F1024S— D2改変体のエラスターゼ阻害活性
実施例 3— 2)の(3)と同様の方法により、上記で作製した 80種類の F1024S— D2 改変体及び F1024— D2(3)のエラスターゼ阻害活性を測定した。ただし、 S— 248 4溶液添加後の 37°Cインキュベーションは 5分間とした。その結果、以下の発現ブラ スミド由来融合蛋白質 (F1024S— D2改変体)は F1024S— D2(3)と同等のエラス ターゼ阻害活性を示すことが確認された。
pTK— 2730 (R15A)、 pTK— 2737 (R151)、 pTK—2739(R15L)、 pTK— 2740 (R15M)、 pTK— 2745(R15T)、 pTK— 2746(R15V)、 pTK-2866(RHS/R15 T/Q19A/Y46D) pTK-2867(RHS/R15T/Q19C/Y46D), pTK— 28 68(R11S/R15T/Q 19D/Y46D), pTK— 2869(R11 S/R15T/Q 19E/Y
46D)、 pTK- 2870(R11 S/Rl 5T/Q 19F/Y46D), pTK- 2871(RHS/Rl 5T/Q19G/Y46D), pTK- 2872(RHS/R15T/Q19H/Y46D), pTK— 2 873(R11S/R15T/Q 19I/Y46D)、 pTK - 2874(R11 S/R15T/Q 19L/Y 46D)、 pTK- 2875(RHS/R15T/Q19M/Y46D), pTK- 2876(RHS/R 15T/Q19N/Y46D), pTK- 2877(RHS/R15T/Q19P/Y46D), pTK— 2878(R11S/R15T/Y46D), pTK- 2879(RHS/R15T/Q19R/Y46D), pTK- 2880(R11 S/Rl 5T/Q 19S/Y46D), pTK- 2881(RHS/R15T/Q 19T/Y46D), pTK- 2882(RHS/R15T/Q19V/Y46D), pTK— 2883(R1 1S/R15T/Q 19W/Y46D)、 pTK - 2884(R11 S/R15T/Q 19Y/Y46D) pTK- 2889(R11S/R15T/F17A/Y46D), pTK- 2890(RHS/R15T/F 17C/Y46D), pTK- 2891(RHS/R15T/F17D/Y46D), pTK— 2892(R1 1S/R15T/F17E/Y46D)、 pTK—2932(Rl lA/R15T/Y46D) pTK— 28 93(R11S/R15T/F17G/Y46D), pTK- 2933(R11C/R15T/Y46D), pT K- 2895(R11S/R15T/F17H/Y46D), pTK— 2934(R11D/R15T/Y46 D) pTK- 2896(RHS/R15T/F17l/Y46D), pTK- 2935(R11E/R15T ZY46D)、 pTK- 2897(RHS/R15T/F17L/Y46D), pTK— 2936(R11F /R15T/Y46D), pTK- 2898(RHS/R15T/F17M/Y46D), pTK— 293 7(R11G/R15T/Y46D)、 pTK- 2899(RHS/R15T/F17N/Y46D), pT K- 2938(R11H/R15T/Y46D), pTK- 2900(RHS/R15T/F17P/Y46 D)、 pTK— 2939(R11I,R15T,Y46D)、 pTK- 2901(RHS/R15T/F17Q ZY46D)、 pTK- 2940(R11K/R15T/Y46D), pTK- 2902(R11S/R15T /F17R/Y46D) pTK— 2941(R11L/R15T/Y46D) pTK— 2903(R11S /R15T/F17S/Y46D)、 pTK— 2942(R11M/R15T/Y46D)、 pTK— 290 4(R11 S/Rl 5T/F17T/Y46D), pTK- 2943(R11N/R15T/Y46D), pT K- 2905(R11S/R15T/F17V/Y46D), pTK- 2944(R11P/R15T/Y46 D) pTK- 2906(R11S/R15T/F17W/Y46D)、 pTK- 2945(R11Q/R15T/Y46 D)、 pTK- 2907(R11S/R15T/F17Y/Y46D)、 pTK- 2946(R15T/Y46D)、 pT K-2947(R11T/R15T/Y46D), pTK- 2948(R11V/R15T/Y46D)、 pTK- 2949
(R11W/R15T/Y46D)ゝ pTK- 2950(R11Y/R15T/Y46D)ゝ pTK- 2824(R11S/ R15I/Q19K/Y46D), pTK-2825(Rl 1 S/Rl 5L/Q 19K/Y46D), pTK-2826( R11S/R15T/Q19K/Y46D), pTK- 2827(R11S/R15V/Q19K/Y46D)
[0138] 特に、発現プラスミド pTK- 2826(R11S/R15T/Q19K/Y46D)由来融合蛋白質 の 50%阻害濃度は 4.43 μ gZmLであり、 F1024S— D2 (3)の 50%阻害濃度が 8. 90 μ gZmLであるのに比べて、 D2 (3)部分の 15番目のアルギ-ンをスレオニンに 置換することによりエラスターゼ阻害活性が増強された。
融合蛋白質 F1024— D2 (4) (Rl 1 S/R15T/Q 19K/Y46D)の全アミノ酸配列の 説明図を示したものを図 36に示す。
[0139] (実施例 8) 抗体融合蛋白質 (F1024S—トロンボモジュリン (TM)機能ドメイン) 8— l) F1024S- TM発現プラスミドの構築
抗 CD14抗体 (F1024S)と TMの各種機能ドメインとの融合蛋白質を作製するため 、 HeLaゲノム DNAを铸型とし、プライマー対 (TM- b,TM- g)による PCRを行って、ヒ トのトロンボモジュリン(以下 TM)遺伝子全長を増幅し、 pT7- Blueベクターへ TAク ローニングした。配列を確認後、 PT7-TMとした。
次に pT7- TMを铸型とし、プライマー対 (TMD 123456 ,TMdomain2- Not 1 Bgl2 )で PCRを行い、得られた増幅断片を制限酵素 BamHIおよび Bglllで切断後、予め 調製しておいたベクター(実施例 1表 3に記載の pTK-2354を、制限酵素 BamHIで 切断後、脱リン酸ィ匕処理を行って調製)と混合し、 T4DNAリガーゼによる結合反応 を行うことで、 TMのアミノ酸番号 227番目のシスティン〜 462番目のシスティン (Cys 227〜Cys462)を F1024Sに付カ卩した融合蛋白質(F1024S- TM123456Mと表記) の重鎖を発現可能なプラスミド pTK-2754を構築した。同様の方法で、プライマー対 (TMD123456,TMdomain3-NotlBgl2)を用いることで、アミノ酸番号 227番目 のシスティン〜 497番目のセリン (Cys227〜Ser497)を付カ卩した融合蛋白質 (F1024S - TM1234567Mと表記)の重鎖を発現可能なプラスミド pTK- 2755を、プライマー 対(TMD23456,TMdomain2- NotlBgl2)を用いることで、 263番目のトレオ-ン 〜462番目のシスティン (Thr263〜Cys462)を付カ卩した融合蛋白質(F1024S- TM2 3456Mと表記)の重鎖を発現可能なプラスミド pTK-2756を、プライマー対 (TMD2
3456 ,TMdomain3-Not 1 Bgl2)を用いることで、 263番目のトレオ-ン〜 497番目 のセリン (Thr263〜Ser497)を付カ卩した融合蛋白質 (F1024S- TM234567Mと表記) の重鎖を発現可能なプラスミド pTK- 2757を、プライマー対 (TMD3456,TMdomai n2-NotlBgl2)を用いることで、 306番目のグルタミン〜 462番目のシスティン(Glu 3 6〜Cys462)を付加した融合蛋白質 (F1024S-TM3456Mと表記)の重鎖を発現可 能なプラスミド pTK- 2758を、プライマー対 (TMD3456,TMdomain3-NotlBgl2 )を用いることで、 306番目のグルタミン〜 497番目のセリン(Glu3°6〜Ser497)を付カロ した融合蛋白質 (F1024S-TM34567Mと表記)の重鎖を発現可能なプラスミド pTK -2759を、プライマー対(TMD456,TMdomain2- NotlBgl2)を用いることで、 34 5番目のノ リン〜 462番目のシスティン (Val345〜Cys462)を付加した融合蛋白質 (F 1024S- TM456Mと表記)の重鎖を発現可能なプラスミド pTK- 2760を、プライマ 一対(TMD456,TMdomain3- NotlBgl2)を用いることで、 345番目のパリン〜 49 7番目のセリン (Val345〜Ser497)を付カ卩した融合蛋白質 (F1024S- TM4567Mと表 記)の重鎖を発現可能なプラスミド pTK- 2761をそれぞれ構築した。
一方、 ΤΜの酸ィ匕による活性低下を抑制する為に、アミノ酸番号 388番目のメチォ ニン (Met388)をロイシン (Leu)に置換した変異体 (M388L)も、以下の方法で作製し た [Clarke, JH.ら、 J.Biol.Chem.268, 6309- 6315(1993)〕。すなわち、 pT7-T Μを铸型とし、各プライマー対〔TMD123456, TM(M388L)- a〕および〔TMdoma in2-NotlBgl2, TM(M388L)_s〕による PCR反応後に、各増幅産物を混合し、プラ イマ一対(TMD123456, TMdomain2- NotlBgl2)で再度 PCRすることで、 M38 8Lの変異を有した 227番目のシスティンから 462番目のシスティン(Cys227〜Cys462 )をコードする遺伝子断片を増幅することができた。上記と同様に、この断片を制限酵 素 BamHIおよび Bglllによる切断およびリガーゼ反応によるベクターへの結合によつ て、 M388Lの変異を有する TMの 227番目のシスティンから 462番目のシスティン( Cys227〜Cys462)領域を、抗体分子 F1024Sに付加した融合蛋白質 (F1024S- TM 123456Lと表記)の重鎖を発現可能なプラスミド pTK-2762を構築した。最終的に、 pTK- 2755に M388Lの変異を導入した融合蛋白質(F1024S- TM1234567Lと 表記)の重鎖を発現可能な ρΤΚ-2763、 ρΤΚ-2756に M388Lの変異を導入した
融合蛋白質 (F1024S-TM23456Lと表記)の重鎖を発現可能な pTK-2764、 ρΤ Κ- 2757に M388Lの変異を導入した融合蛋白質(F1024S-TM234567Lと表記) の重鎖を発現可能な ρΤΚ-2765、ρΤΚ-2758に M388Lの変異を導入した融合蛋 白質 (F1024S-TM3456Lと表記)の重鎖を発現可能な ρΤΚ-2766、 ρΤΚ- 2759 に M388Lの変異を導入した融合蛋白質 (F1024S-TM34567Lと表記)の重鎖を発 現可能な ρΤΚ- 2767、 ρΤΚ- 2760に M388Lの変異を導入した融合蛋白質 (F102 4S— TM456Lと表記)の重鎖を発現可會な ρΤΚ— 2768、 ρΤΚ— 2761に M388Lの 変異を導入した融合蛋白質 (F1024S-TM4567Lと表記)の重鎖を発現可能な ρΤΚ -2769をそれぞれ構築した。
表 10に使用したプライマーの配列、表 11に、各抗 CD14抗体 (F1024S)融合蛋白 質と各発現プラスミドを示す。
なお、各抗 CD14抗体 (F1024S)融合蛋白質のアミノ酸配列は、図 37〜44並び に配列表に示す。
また、融合蛋白質 F1024— TM23456Lの全アミノ酸配列の説明図を示したものを 図 45に示す。
[0140] [表 11]
[0141] [表 12]
「表 1 1
[0142] 各プラスミドを、 COS-1細胞に軽鎖発現プラスミド (pTK— 2344)とコトランスフエク シヨンさせることで、培養上清中に F1024S— ΤΜが発現された。この上清を、 Prose p— Aカラムによる精製を行い、以後のアツセィに供した。
尚、各融合蛋白質力 SCD14抗原に対し結合活性があることを、 EIAによる結合実験 で確認した。
[0143] 8- 2)トロンボモジュリン (TM)活性測定
トロンボモジュリン (TM)力 血中でトロンビンと複合体を形成し、血液凝固阻害因 子のプロテイン Cを活性ィ匕する作用を指標として以下のように TM活性を測定した。 反応 (活性測定)はマルチチューブにて実施した。希釈は 0. 14molZL塩ィ匕ナトリ ゥム、 lOmmolZL塩化カルシウム及び lmgZmL牛血清アルブミンを含む 25mmol ZLトリス—塩酸緩衝液 (pH7. 4)で行った。検体 40 Lに 6UZmLヒトトロンビン(S IGMA) 10 μ Lを加え、 37°Cで 10分間プレインキュペートした。次いで、 24 μ g/m Lプロテイン C (american diagnostica inc.) 10 Lを加え、 37°Cで 5分間インキュ ペートした。 0. 15U/mLアンチトロンビン ΠΙ(ミドリ十字)一 15U/mLへパリン (持田 製薬)混合液 40 Lを加え、 37°Cで 10分間インキュベートした。 3. 2mmol/L活性 化プロテイン C基質 S— 2366(第一化学薬品) 100 Lを加え 37°Cで 10分間インキュ ベート後、 50%酢酸 200 Lを加え反応を停止した。反応液 300 Lを 96穴平底プ レートに移し、プレートリーダー(Molecular Devices)にて 405nmの吸光度を測定 した。ポジティブコントロールとしてはヒトトロンボモジュリン MR— 33(持田製薬)を使 用した。その結果、すべての F1024S— TM融合蛋白質はプロテイン C活性ィ匕促進
活'性を有して ヽた。特【こ、 F1024S— TM23456M、 F1024S-TM234567M, F 1024S— TM23456Lおよび F1024S— TM234567Lは高いプロテイン C活性化 促進活性を有していた。また、 M388L型の置換変異体の活性が相対的に高力つた (図 46)。
(実施例 9) 抗体融合蛋白質 (F1024S— SLPI)のリンカ一部分の改変
9 1)発現プラスミドの構築
LinkerSG— 4— s (5, pGATCTGGAGGTGGAG 3,: 5,端はリン酸化)およ び Linker SG— 4— a (5, pGATCCTCCACCTCCA 3,: 5,端はリン酸ィ匕)を混 合後、 96°Cで 2分間インキュベートし、ゆっくり室温にもどしァニールさせた。その適 量を予め調製してぉ 、たベクター断片〔実施例 1に記載の pT7— SLPI (D2)を、制 限酵素 Bglllで切断し、さらに脱リン酸ィ匕処理を行って、ァガロースゲル電気泳動お よびゲルからの断片抽出を行ったもの〕と混合し、 T4DNAリガーゼで結合させた。こ の作業によって、 SLPI (D2)に 1コピーの GGGGSリンカ一が付加されたプラスミド p TK— 2729を構築した。さら〖こ、この pTK— 2729を制限酵素 Bglllで切断し、上記と 同様の作業を繰り返すことで、 SLPI (D2)に 2コピーの GGGGSリンカ一が付加され た pTK— 2749と 3コピーが付カ卩された pTK— 2750を構築した。
次に、 pTK— 2729、 pTK— 2749および pTK— 2750を制限酵素 Bglllおよび No tlで切断し、リンカ一 + SLPI (D2)部分をコードする遺伝子断片を調製した (それぞ れ、断片 断片 2および断片 3)。実施例 1 (表 3)に記載の pTK-2396構築時と同 様、遺伝子断片 Αおよび Dと各断片とを T4DNAリガーゼによりひとつにつなげ、抗 体分子と SLPI (D2)との間にリンカ一として GSGGGGS或いは GSGGGGSGGGG S、 GSGGGGSGGGGSGGGGSを有する F1024S— SLPI (D2)リンカ一改変体 重鎖発現プラスミド(それぞれ pTK— 2751、 pTK— 2752、 pTK— 2753)を構築し た。
これらのプラスミドを COS— 1細胞に、軽鎖発現プラスミド (pTK— 2344)とコトラン スフエクシヨンさせることで、培養上清中に F1024S-SLPI (D2)リンカ一改変体が発 現され、 Prosep—Aカラムで発現産物の精製を行った。
精製産物は、いずれも CD 14抗原に対して結合活性があることを確認した。
なお、表 12および表 13に各プライマーおよびリンカ一の配列番号を示す。
[表 14]
[0146] 9- 2) F1024S- SLPIのエラスターゼ阻害活性
実施例3— 2)の(3)と同様の方法にょり10240—31^1 (0102)、?10240—31^ PI (D2)、 F1024S— SLPI (D1D2)および F1024S— SLPI (D2)、さらには、 SLPI (D2)に 1、 2および 3コピーの GGGGSリンカ一が付カ卩された融合蛋白質のェラスタ ーゼ阻害活性を測定した。ただし、 S— 2484溶液添加後の 37°Cインキュベーション は 5分間とした。
なお、コントロールとして、希釈液 80 Lにエラスターゼ溶液 10 Lを混合し、 37°C で 3分間インキュベーションした後、 S— 2484溶液 10 Lを加え、 37°Cで正確に 5分 間インキュベーション後、 20%酢酸溶液 50 Lを加えたものを使用した。その結果、 F1024S SLPI (D1D2)、 F1024S SLPI (D2)の 50%阻害濃度はそれぞれ 22 .5 μ
μ gZmLであった。また、 SLPI (D2)に 1、 2および 3コピー の GGGGSリンカ一が付加された融合蛋白質の 50%阻害濃度はそれぞれ 11.6 g /mし、 11·9 μ g/mしお Jび 11·6 μ g/mしであった。
[0147] (実施例 10) ヒトイ匕抗体 (hF1024S- D2 (3) )の作製
F1024-1-3ラット抗体の重鎖および軽鎖可変領域の各アミノ酸配列をデータべ一 ス上でサーチした結果、それぞれヒト抗体である IGHV7-81 ( BC032733)および HUMIGRFFM (L48242)と相同性が高いと判断した。そこで、 F1024抗体両鎖の 3つの相補性決定領域(CDR)を、( IGHV7- 81および HUMIGRFFM (以下 RF と表記)の、あるいは (2)結晶構造解析が詳細に行われている NEW、 Euおよび REI の、各フレームワーク (FR)に移植することで、ヒト化を行った(図 47参考)。各アミノ酸
配列(図 48)を基に、塩基配列を設計し、いくつかに分割して合成することで、全 6種 類の遺伝子断片をそれぞれ調製した。各断片を、重鎖は pTK-2370、軽鎖は ρΤΚ- 2344の各可変領域と置換し、発現プラスミド(重鎖: IGHV7- 81- ΗΑは ρΤΚ- 2887 、 NEW- HAは ρΤΚ - 2679、 Eu- HAは ρΤΚ- 2685、軽鎖: RF- ΚΑは ρΤΚ- 2955 、 REI— ΚΑは ρΤΚ— 2680、 Eu— ΚΑは ρΤΚ— 2681)を構築した。これらの各プラスミド と、キメラ抗体発現プラスミド (重鎖は ρΤΚ-2370、軽鎖は ρΤΚ-2344)とを COS-1 細胞に様々な組み合わせでコトランスフエクシヨンし、その上清中に分泌された抗体 の、 GPVI抗原に対する結合活性を比較した。
重鎖に関しては、ヒトイ匕したことによって、いずれも発現量が著しく低下していた。そ こで、各 FRにいくつかの変異を導入して検討を行なった。一方、軽鎖はいずれも発 現および結合活性が確認できた。
3種類のヒト化重鎖発現プラスミドに関しては、 FR中のヒト特異的配列のいくつかを ラット由来の配列に戻して作製した変異体を多数構築し、詳細に解析したことで、最 終的に発現および結合活性を維持した配列(IGHV7-81-HCは pTK-2909、 IGH V7- 81- HXは pTK- 3007、 NEW- ΗΒは ρΤΚ- 2803、 Eu- ΗΒは ρΤΚ- 2811)を 得ることができた。 (図 49にアミノ酸配列を記載)
最後に、ヒト化重鎖およびヒト化軽鎖の組み合わせを検討し、最も発現および結合 活性の高 、組み合わせ力 IGHV7-81-HXと RF-KAその他の軽鎖との組合せで めつに。
同様の手法を用いて、他の抗体融合蛋白質につ!、ても抗体部分をヒト化する。
[0148] (実施例 11) 抗体融合蛋白質 F1024S-D2 (3)の安定高生産株の作製
1 - 1 F1024S-D2 (3)安定高発現プラスミド(pTK- 2671)の構築
F1024S-D2 (3)重鎖一過性発現プラスミド (ρΤΚ-2370:実施例 1に記載)を铸型 とし、表 14に示すプライマー対(F1024H- kozak,IgG4- 1)で PCRを行った。この増 幅産物を制限酵素 EcoRIおよび Nhelで切断後、ァガロースゲルで電気泳動し、 F1 024抗体重鎖可変領域を含む遺伝子断片 (断片 U)を抽出した。なお、表 14に使用 プライマーの配列番号を示す。
[0149] [表 15]
Primer Name Base Sequence Seq. ID
F1024H-kozak 5' GGGGAATTCGCCGCCACCATGGATTGGTTGTGGAA 3, 207
IgG4-l 5' GCTGTGCTCTCGGAGGTGCT 3' 208
[0150] pTK-2370を制限酵素 Nhelおよび Sse8387Iで切断後、ァガロースゲルで電気 泳動し、 F1024S-D2 (3)の重鎖定常領域および D2 (3)をコードする遺伝子配列と SV40 polyAシグナルを含む遺伝子断片(断片 V)を抽出した。 F1024軽鎖発現プ ラスミド (pTK- 2344:実施例 1に記載)を制限酵素 BsiWIおよび Ncolで切断後、ァ ガロースゲルで電気泳動し、 F1024抗体軽鎖可変領域を含む遺伝子断片(断片 W) を抽出した。
EFプロモーター、ヒト軽鎖定常領域およびマウス DHFR発現ユニット〔プロモータ 一として SV40プロモーター(ェンハンサー領域は含まない)、 polyAシグナルも SV4 0由来〕を有するプラスミド (pTK-2577)を、制限酵素 BsiWIおよび EcoRIで切断後 、ァガロースゲルで電気泳動し、 目的とするベクター断片(断片 X)を抽出した。一方 、 Sse8387Iおよび Ncolで切断後、ァガロースゲルで電気泳動し、 EFプロモーター 領域を含む遺伝子断片 (断片 Y)も抽出した。
各遺伝子断片 U〜Yを、 T4DNAリガーゼ (タカラノィォ株式会社)で、ひとつにつ なげ、 F1024S-D2 (3)の重鎖、軽鎖を同時に発現可能であり、導入細胞でのマー カーとなるマウス DHFR発現ユニットを有する安定発現用プラスミド (pTK-2671)を 構築した。
他の抗体融合蛋白質についても同様の手法を用いて、安定高発現プラスミドを構 築する。
[0151] (実施例 12)効力評価 (in vitro)
12- 1)ブラジキュン産生阻害作用の確認
(l)APTT試薬惹起ヒトおよびゥサギ血漿中ブラジキニン産生に対する抑制作用の 確認
正常ヒト血漿はディドサイトロールレベル 1 (DADE BEHRING社)を使用した。ゥ サギ血漿は、雄性ゥサギ (ニュージーランドホワイト種、北山ラベス)の耳動脈より 1Z 10容の 3. 8%クェン酸ナトリウム (血沈用チトラート、岩城製薬)を含むシリンジを用 いて採血し、 4°C、 3000rpm (05PR— 22、 日立)の条件で 10分間遠心して取得し
た。ヒトあるいはゥサギ血漿 80 /z Lに o— phenanthroline溶液を添加後、希釈液で 段階希釈した F1024S— D2(3)溶液を終濃度が 0、 1、 3、 10および g/mLとな るように、あるいはヒト免疫グロブリン (hlg)は終濃度が 30 gZmLになるように添加し 、混合した後に、 37°Cで 10分間インキュベーションした。ミリ Q水で希釈した APTT 試薬を 80 μ L添加し、 37°Cで 10分間インキュベーションした。採取した 100 μ Lにブ ラジキュン測定キット (マーキット Μブラジキュン、大日本製薬)に付属の除蛋白剤を 20 μ L添カ卩した後、 4°C、 10000rpm(MRX— 150、 TOMY)、 10分間の遠心で取 得した上清中のブラジキン濃度をブラジキュン測定キットを用いて測定した。その結 果、 F1024S— D2(3)は濃度に依存してヒトおよびゥサギの APTT試薬惹起血漿中 ブラジキュン産生を抑制した(図 50〜51)。
[0152] 12— 2)凝固阻害作用の確認
(1)トロンボプラスチン惹起 (FactorXI依存性)ヒト血漿中トロンビン産生に対する抑 制作用の確認
ヒト血小板 3 X 10V μ Lを含むヒト血漿およびゥサギ血小板 3 X 10V μ Lを含むゥ サギ血獎のそれぞれに F1024S— D2(3)溶液を終濃度力 0、 3、 10、 30、 100、 300 μ gZmLになるように、あるいはヒト免疫グロブリン (hlg)は終濃度が 300 gZmL になるように加え、 37°Cにて 10分間プレインキュペートした。その後、 25mmol/L C aCl溶液にて 8000倍に希釈したトロンボプラスチン(シンプラスチンエタセル、 BIOM
2
ERIEUX)溶液を添カ卩し、 37°Cでインキュベートを開始した。トロンボプラスチン溶液 添加前および添加後は経時的にインキュベート溶液を 5 /z Lずつ採取し、 Buffer B ( (0. 5mg/mL BSA、 0. lmol/L NaCl、 20mmol/L EDTAを含む 50mmol /L Tris— HC1緩衝液 (pH7.9》 100 Lと 2mmolZL S— 2238 25 Lの混 合液に添カ卩して、 37°Cにて 10分間インキュベートした。 50vol% 酢酸 100 Lを 添カロした後、反応液を 200 μ LZwellずつ 96穴プレートに移し、 405nmにおける吸 光度をプレ ~~トリ ~~タ' ~~、丄、 hermomax microplate reader^ Molecular Device) にて測定した。その結果、 F1024S— D2(3)は濃度に依存してトロンボプラスチン惹 起ヒトおよびゥサギ血漿中トロンビン産生を抑制した(図 52〜53)。
[0153] 12— 3)凝固阻害作用の確認
(1)ヒト APTT延長作用の確認
実施例 8で作製した F1024S— TM23456M、 F1024S-TM23456L, F1024 S—TM234567Mおよび F1024S—TM234567Lの APTT延長作用を終濃度と してそれぞれ 2.00、 2.00、 1.95および 2.29 /z g/mL【こお!ヽて、実施 f列 3— 3)の(1 )と同様の方法でヒト正常ヒト血漿を用いて評価した。その結果、上記の 4つの融合蛋 白質は APTTをそれぞれ 26、 32、 42および 57%延長した。
[0154] (実施例 13) ex vivo試験における有効性の評価
13— 1) F1024S— D2(3)の抗炎症作用の確認
ゥサギ、ニュージーランドホワイト種(1. 8- 2. 6kg,北山ラベス)に F1024S— D2( 3)の lOmgZkgを耳介静脈内投与し、経時的にクェン酸加採血した。採取した血液 に LPS (WE.Coli 055 : B5、 DIFCO)を終濃度 IngZmLで添カ卩し、 37°Cで 4時間 インキュベーションした。 4°C、 10000rpm (MRX— 150、TOMY)、 10分間の遠心 で取得した血漿中の TNF— α濃度を抗ゥサギ TNF— α抗体を用いた ELISAにより 測定した。その結果、 LPS刺激血液の TNF— α産生は F1024S— D2(3)投与後 24 時間まで抑制された(図 54)。
[0155] 13 - 2) F1024S— D2(3)の抗凝固作用の確認
実施例 6— 1)の採血直後に遠心分離により取得した血漿を活性化トロンボプラスチ ン時間 (APTT)の測定に供した。 APTTの測定は実施例 3— 3)と同様に実施した。 その結果、 F1024S— D2(3)投与後 8時間まで APTT延長がみられた(図 55)。
[0156] (実施例 14) in vivoにおける有効性の評価
14 1)ゥサギ盲腸穿刺腹膜炎(CLP : Cecal Ligation and Puncture)モデル ゥサギ盲腸穿刺腹膜炎モデルを作製し、 F1024S— D2(3)投与後での生存率およ び凝固パラメーターの改善を確認した。
ゥサギ盲腸穿刺腹膜炎モデルは、 Keith Aらの方法(Journal of Surgical Resear ch,29:189,1980)に準じ,ニュージーランドホワイト種(1. 8— 2. 6kg,北山ラベス)に 麻酔下で盲腸に穴を開け、盲腸内容物を腹腔に播種することにより作製した. 2時間 後に F1024S— D2(3)の lOmgZkgを耳介静脈内投与し、以後は 1日 2回の同投与 を 3日間続けた。対照群には F1024S— D2(3)の替わりにヒト免疫グロブリン (hlg)を
投与した。 72時間まで生死の観察、記録を行い、力プランマイヤー生存曲線を描い た。さらに盲腸穿刺後 8時間にクェン酸加採血し、血漿中の凝固パラメータ一として D ダイマーを測定した。その結果、生存率(図 56)および Dダイマー(図 57)ともに F10 24S— D2(3)群は対照群に比べて改善された。
なお、図 56および図 57の対照群の概要を表 15に示す。
[表 16]
.「表 151
群 処置 抗生剤 被検物質 用;^ 例数
1 Sham 9
ヒト免疫グロブリン製剤
2 60mg/kg 10mg/kg 2回、 3日間 9
盲腸穿刺腹膜炎
3 FR1024S-D2O) S