明 細 書
架橋性ポリテトラフルォロエチレン組成物、ポリテトラフルォロエチレン架 橋体粉末、ポリテトラフルォロエチレン成形体、樹脂ブレンド組成物、および樹脂 ブレンド成形体
技術分野
[0001] 本発明は、架橋構造を形成可能であるポリテトラフルォロエチレン組成物および架 橋構造を有するポリテトラフルォロエチレン榭脂に関する。また、本発明は、ポリテトラ フルォロエチレン組成物あるいは架橋構造を有するポリテトラフルォロエチレン榭脂 との榭脂ブレンド組成物にも関する。また、本発明は、榭脂ブレンド組成物から得ら れる榭脂ブレンド成形体にも関する。
背景技術
[0002] ポリテトラフルォロエチレン (以下、 PTFEと略する)榭脂は、耐薬品性、耐摩擦性、 耐候性、電気絶縁性、難燃性などに優れており、摺動材、難燃性添加剤、低誘電率 膜材料などとして広く利用されている。しかし、 PTFE榭脂は摺動環境下や高温での 圧縮環境下において磨耗やクリープが大きいという問題がある。このため、産業界で は PTFE榭脂の摩耗特性やクリープ特性などの一層の向上が望まれている。この問 題を解決する手法としては、「PTFE榭脂に添加剤を配合する」という手法や「PTFE 榭脂に電離性放射線を照射して PTFE榭脂を架橋化させる (例えば、特許文献 1お よび 2参照)」という手法などが当業者に広く知られている。また、他にも「カルボキシ ル基などが導入されている PTFE榭脂を熱処理することにより PTFE榭脂を架橋する (例えば、特許文献 3参照)」という手法や、「フッ化ピッチと PTFE榭脂とを混合した 後、加熱または電離性放射線の照射により PTFE榭脂を架橋化させる (例えば、特許 文献 4参照)」という手法、「PTFE榭脂に比表面積が 1. 0〜2. Om2/gの炭素繊維 を配合する(例えば、特許文献 5参照)」と 、う手法などが報告されて 、る。
特許文献 1 :特開平 7—118423号公報
特許文献 2:特開 2001— 329069号公報
特許文献 3:特開平 3 - 234753号公報
特許文献 4:特開平 2003— 119293号公報
特許文献 5 :特開 2003— 41083号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0003] ところが、「添加剤や炭素繊維を配合する」 t ヽぅ手法では PTFE榭脂の成形体の 諸物性に異方性が生じるおそれがあるとともに PTFE榭脂の表面特性 (低摩擦性な ど)に悪影響を及ぼすおそれがある。また、「PTFE榭脂に電離性放射線を照射して 架橋化させる」 ヽぅ手法によれば低摩耗性を有する PTFE榭脂が得られると報告さ れている力 この手法により得られる PTFE榭脂成形体には電離性放射線による PT FE主鎖の切断に起因する強度低下や結晶性低下が見られるという問題があるのに 加え、非結晶部分が先に架橋されることによる架橋の不均一性といった放射線架橋 物そのものに由来する問題もある。また、この手法では、 PTFEの融点以上の高温下 における PTFE成形体の熱処理が必要となり、それに加えて、その上下 20°C、好まし くは 5°Cといった精密な温度管理が必要となり、さらに、良好な架橋効率を得るために は熱処理を低酸素濃度下で行う必要がある。このため、この手法を採用するために は必然的に高価な装置が必要となるという問題がある。また、この手法では、装置の 構成上、 PTFE成形体に電離性放射線を均一に照射することが困難であるため、粉 末の場合は不均一に架橋構造が導入される t ヽぅ問題があり、フィルムの場合はしわ が生じる等の問題がある。なお、熱による架橋の場合では、性能向上効果が乏しい。 また、「フッ化ピッチを利用して PTFEを架橋させる」という手法では、架橋反応中に おいて有毒な HFガスや Fガスなどが生じるという問題がある。さらに、上記のようにし
2
て得られる架橋 PTFEの粉末 (以下、架橋 PTFE粉末という)の圧縮成形には、特開 平 2001— 240682号公報、特開 2002— 114883号公報など【こ示されるよう【こ、架 橋 PTFE粉末のみでの圧縮成形が困難であるため圧縮成形前に未架橋 PTFEと混 合することが必要であるという問題、架橋 PTFEの含有率が向上すると圧縮成形が困 難となるという問題、および圧縮成形時に融点以上の温度から加圧冷却するホットコ イニング法を用いる必要があるため生産性が悪 、と 、う問題などが存在する。
[0004] 本発明の課題は、高価な装置や生産性の悪いホットコイニング法などを必要とする
ことなく圧縮成形などの通常の成形方法により製造可能であり、かつ、製造中に有毒 な物質を生じず、かつ、従来の強度、結晶性、および表面特性などを維持しており、 かつ、異方性も不均一性もなぐかつ、従来の PTFE榭脂よりも変形しにくい PTFE 榭脂を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0005] 本発明に係る架橋性ポリテトラフルォロエチレン組成物は、ポリテトラフルォロェチ レンおよび架橋剤を含有する。ポリテトラフルォロエチレンは、シァノ基(一 CN)、力 ルボキシル基(― COOH)、アルコキシカルボ-ル基(― COOR(Rは 1価の有機基) 、および酸ハライド基 (一 COX(Xはハロゲン原子))より成る群力 選択される少なくと も 1種の反応性官能基を、主鎖および側鎖末端の少なくとも一方に有する。架橋剤は 、 1または複数の反応性官能基と反応して環状構造を形成可能である。
上記架橋剤は、アミドキシム系架橋剤、アミドラゾン系架橋剤、ァミノフエノール系架 橋剤、アミノチォフエノール系架橋剤、およびァミノフエ-ル系架橋剤より成る群から 選択される少なくとも 1種の架橋剤であることが好ましい。
また、上記架橋剤は、一般式(1)で示される架橋性反応基を少なくとも 2個含む化 合物、ならびに一般式 (2)、(3)および (4)で示される化合物より成る群力 選択され る少なくとも 1種の化合物であることがより好ましい。
[0007] (式中、 R1は、同一であるか又は相違し、— NH、— NHR2、— OH、又は— SHであ
2
り、 R2は、フッ素原子または 1価の有機基である)
(式中、 R3は、—SO—、—O—、—CO—、炭素数 1〜6のアルキレン基、炭素数 1
2
〜 10のパーフルォロアルキレン基、又は単結合手であり、
R4は、一 である)
[0010] [化 3]
[0011] (式中、 Rは、炭素数 1〜 10のパーフルォロアルキレン基である)
f
[0012] [化 4]
NH, NH
H0N=C- CF, -C=N0H (4)
[0013] (式中、 nは 1〜10の整数である)
また、上記架橋剤は、一般式 (5)で示される化合物であってもよい。
[0014] [化 5]
(5)
[0015] (式中、 R1は、上記 R1と同一であり、 R5は、—SO—、— O—、— CO—、炭素数 1〜6
2
のアルキレン基、炭素数 1〜10のパーフルォロアルキレン基、単結合手、または、 [0016] [化 6]
[0017] で示される基である)
そして、上記架橋性ポリテトラフルォロエチレン組成物を加熱するなどして架橋反応 させれば、本願の目的のポリテトラフルォロエチレン成形体やポリテトラフルォロェチ レン架橋体粉末を得ることができる。
また、上記ポリテトラフルォロエチレン架橋体粉末を圧縮成形や、ラム押出成形、ぺ 一スト押出成形するなどしても、本願の目的のポリテトラフルォロエチレン成形体を得 ることがでさる。
さらに、上記の架橋性ポリテトラフルォロエチレン組成物およびポリテトラフルォロェ チレン架橋体粉末は、成形用榭脂 ·エラストマ一等の他の榭脂あるいは榭脂前駆体 に改質材として分散ある 、はブレンドされることもできる。このようなブレンド成形体を 得る方法としては、上記架橋性ポリテトラフルォロエチレン組成物と榭脂または榭脂 前駆体とを混合したものを加熱成形する方法や、上記ポリテトラフルォロエチレン架 橋体粉末と他の榭脂または榭脂前駆体とを混合したものを成形する方法などが挙げ られる。なお、前者の方法においては、加熱成形中に架橋性ポリテトラフルォロェチ レン組成物中の架橋剤がポリテトラフルォロエチレンと反応し架橋構造を形成する。 なお、ここにいう「榭脂」としては、特に限定されることなぐポリエチレン榭脂、ポリプロ ピレン樹脂、エチレン '酢酸ビュル共重合体榭脂、エチレン'ェチルアタリレート共重 合体榭脂、エチレン 'ビュルアルコール共重合体榭脂、ポリシクロォレフィン榭脂、ポ リイソブチレン榭脂、ポリオレフイン榭脂、ポリメチルペンテン榭脂、ポリ塩化ビニル榭 脂、ポリスチレン榭脂、アクリロニトリル 'スチレン共重合榭脂 (AS榭脂)、スチレン'メ チルメタアタリレート共重合体榭脂、アクリロニトリル 'ブチレン'スチレン共重合体榭脂 (ABS榭脂)、アクリロニトリル'アタリレート'スチレン共重合体榭脂 (AAS榭脂)、ァク リロ-トリル.エチレン一プロピレン一ジェンゴム ·スチレン共重合体榭脂( AES榭脂) 、アクリロニトリル.スチレン.アタリレート共重合体榭脂 (ASA榭脂)、シリコーン'アタリ 口-トリル.スチレン共重合体榭脂(SAS榭脂)、アクリル榭脂、メタタリル榭脂、ポリア ミド榭脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアセタール榭脂、変性ポリフエ-レンエーテル榭 脂、ポリブチレンテレフタレート榭脂、ポリエチレンテレフタレート榭脂、ポリエチレンナ フタレート榭脂、ポリフエ-レンサルファイド榭脂、ポリスルホン樹脂、フッ素榭脂、ポリ エーテルスルホン榭脂、ポリエーテルイミド榭脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテ ルエーテルケトン樹脂、ポリイミド榭脂、ポリアリレート榭脂、シリコーン榭脂、ポリ乳酸 榭脂、ポリウレタン榭脂、ポリエステル榭脂、芳香族ポリエステルアミド榭脂、芳香族ァ ゾメチン榭脂、ポリアリーレンサルファイド榭脂、ポリケトン樹脂、ポリアミドイミド榭脂、
およびポリエーテル-トリル榭脂などが挙げられる。また、ここでは、フッ素榭脂には、 ポリテトラフルォロエチレン、テトラフルォロエチレン一へキサフルォロプロピレン共重 合体、テトラフルォロエチレン パーフルォロアルキルビュルエーテル共重合体、お よびポリクロ口トリフルォロエチレン等が含まれる。また、ここにいう「榭脂前駆体」とし ては、特に限定されることなぐエポキシ榭脂、フエノール榭脂、尿素樹脂、メラミン榭 脂、不飽和ポリエステル榭脂、アルキド榭脂、およびジァリルフタレート榭脂などの硬 化前の液や、溶液、固体粉末などが挙げられる。
発明の効果
[0018] 本発明に係る架橋性ポリテトラフルォロエチレン組成物を架橋反応させれば、従来 の強度、結晶性、表面特性を維持しており、かつ、異方性も不均一性もなぐかつ、 従来のポリテトラフルォロエチレン榭脂よりも変形しにくいポリテトラフルォロエチレン 榭脂を提供することができる。また、この架橋反応を行わせるには、高価な装置や生 産性の悪いホットコイニング法などは必要なく圧縮成形などの通常の成形方法で足り る。また、この架橋反応中に有毒な物質は生じない。
また、上記架橋性ポリテトラフルォロエチレン組成物およびポリテトラフルォロェチレ ン架橋体粉末は単体でも成形可能であり、例えばポリテトラフルォロエチレン等の他 のフッ素榭脂と混合する際にも、高重量比で成形可能である。さらに、上記架橋性ポ リテトラフルォロエチレン組成物およびポリテトラフルォロエチレン架橋体粉末は、圧 縮成形の際、フリーべ一キング法により成形できるという特徴を有する。そして、このよ うにしてできた成形体は、従来の表面特性を維持しつつ異方性もなく従来のポリテト ラフルォロエチレン榭脂よりも変形しにく 、ものとなって 、る。
[0019] さらに、本発明に係るポリテトラフルォロエチレン架橋体粉末または架橋性ポリテトラ フルォロエチレン組成物は、成形用榭脂'エラストマ一などの他の材料に、難燃性、 非粘着性、摺動性、撥水撥油性、電気特性、耐汚染性、耐蝕性、耐候性などを向上 させる改質材として分散あるいはブレンドされることもできる。
発明を実施するための最良の形態
[0020] 〔架橋性ポリテトラフルォロエチレン組成物〕
本発明の実施の形態に係る架橋性ポリテトラフルォロエチレン組成物は、ポリテトラ
フルォロエチレンおよび架橋剤を含有する。以下に、本実施の形態において採用さ れるポリテトラフルォロエチレンおよび架橋剤をそれぞれ説明する。なお、以下、ポリ テトラフルォロエチレンを PTFEと略する。
[PTFE]
本実施の形態に係る PTFEとしては、架橋剤と反応可能な架橋部位として、シァノ 基( CN基)、カルボキシル基( COOH基)、アルコキシカルボ-ル基( COOR7 基、 R7は一価の有機基)、酸ハライド基(一 COX:Xはハロゲン)を、主鎖および Zま たは側鎖末端に有するものが好ましく挙げられる。これらの中でも、反応性の点から はシァノ基あるいは酸ノヽライド基がより好ましい。また、製造が容易な点からはカルボ キシル基、あるいはアルコキシカルボニル基がより好ましぐ特にカルボキシル基であ ることが好ましい。
[0021] 架橋剤と反応可能な架橋部位は PTFEへ高分子反応により導入されるものであつ てもよいし、架橋部位を与える単量体とテトラフルォロエチレン (以下、 TFEと略する) との共重合により導入されるものであってもよい。高分子反応により PTFEに官能基 を導入する手法としては、 PTFEを放射線や、レーザー、電子線、プラズマ、コロナ放 電などにより処理して官能基を導入する乾式法や、電気化学的に又は Li金属 Zナフ タレン錯体により還元する湿式法などが従来より知られている。なお、製造容易であ ることから後者の手法を採用することが好ましい。
本実施の形態に係る PTFEにおいて、架橋部位を与える単量体の含有量は、必須 の単量体となる TFEに対して、好ましくは 0. 01モル%以上、より好ましくは 0. 03モ ル%以上、更に好ましくは 0. 06モル%以上、好ましくは 50モル%以下、より好ましく は 20モル%以下、更に好ましくは 5モル%以下である。架橋部位を与える単量体の 含有量が 0. 01モル%以下であれば十分な効果が得られず、単量体の含有量が 50 モル%以上であれば重合体を得るのが困難になる力もである。
[0022] 本実施の形態において、架橋部位を与える単量体としては、エチレン性不飽和結 合をもち、かつ、官能基としてシァノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボ-ル基、 酸ハライド基を有するものであり、かつ、 TFEと共重合性をもつものであれば任意の 化合物を用いることができる。単量体としては、鎖状および環状のいずれの化合物も
用いることができる。単量体が環状ィ匕合物であれば、上記官能基を有するシクロペン テンおよびその誘導体、ノルボルネンおよびその誘導体、多環ノルボルネンおよびそ の誘導体、ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ならびにこれらの化合物の水素 原子の一部または全部を、ハロゲン原子、特にはフッ素原子や、含フッ素アルキル基 に置換したィ匕合物などを一例として挙げることができる。なお、重合性の観点から、単 量体は鎖状ィ匕合物であるのが好ましい。また、鎖状化合物の中でも特に、下記の一 般式で示される単量体が好まし ヽ。
CY ^ CY' CO) (R8) Z1 (7)
m n
(式中、 ^〜Υ3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、 - CH、または— CFで
3 3 あり、 R8は 2価の有機基であり、 ηは 0または 1であり、 mは、 nが 0である場合は 0、 nが 1である場合は 0または 1であり、 Z1はシァノ基( CN基)、カルボキシル基( COO H)、アルコキシカルボ-ル基(一 COOR9基、 R9は 1価の有機基)、酸ノヽライド基(一 C OX基、 Xはハロゲン基)である)
上記の中でも、重合性の観点から、 ^〜Υ3が水素原子またはハロゲン原子である ものが望ましぐハロゲン原子の中でも特にフッ素原子が好ましい。具体的には、 CH
2
= CH―、 CH = CF―、 CFH = CF―、 CFH = CH―、 CF = CF が好ましい構
2 2
造として挙げられる。特に、 CH 二 CH—、 CH = CF—、 CF = CF の構造がより好
2 2 2
ましい。なお、 n= 0の場合、 CH =CHCN、 CH =CHCOOR、 CF =CFCN、 CF
2 2 2 2
= CFCOORといったィ匕合物が架橋可能な単量体として例示し得る。
n=0の場合は m=0である力 n= 1の場合は mは 0であっても 1であってもよい。 m 力 1である場合は、 CH = CHO—、 CH = CFO—、 CFH = CFO—、 CFH = CHO
2 2
―、 CF = CFO が好ましい構造として挙げられる。特に、 CH = CHO—、 CH =
2 2 2
CFO 、および CF = CFO が好ましい構造として挙げられる。
2
R8としては、 2価の有機基から任意のものを選ぶことができるが、合成や重合の容 易性の観点から、炭素数 1〜: L00のエーテル結合を含んでいてもよいアルキレン基 が好ましい。なお、炭素数は、 1〜50であることがより好ましぐ 1〜20であることがさ らに好ましい。そのようなアルキレン基は、水素原子の一部または全部がハロゲン原 子、特にはフッ素原子に置換されていてもよい。炭素数が 100以上であれば、重合
が困難になり、架橋を行っても好ましい特性を得ることができないからである。上記ァ ルキレン基は、直鎖型や分岐型のアルキレン基でよい。そのような直鎖型や分岐型 のアルキレン基を構成する最小構造単位の一例を下記に示す。
(i)直鎖型の最小構造単位:
- CH 一、 一 CH CCCFII —、 - CF 一、 一 CHC1—、 一 CFC1—、 一 CC1 一
2 H Fト,.I 2 2
(ii)分岐型の最小構造単位:
[0024] [化 7]
c c C—— I
F Fト3,
CH, CH, CF, ひ;
に に ί 3
ト、 ~ecFト、 ~ ci fト、 ~ cFト
CH,
I '
- c
I
ひ
CH、 C
に I
-ic ト、 ~ cciト
[0025] R8で表されるアルキレン基がエーテル基を含有しない場合、 R8で表されるアルキレ ン基は、これらの最小構造単位単独で、または、直鎖型 (i)同士、分岐鎖型 (ii)同士 、もしくはこれらを適宜組み合わせて構成される。また、 R8で表されるアルキレン基が エーテル基を含有する場合、 R8で表されるアルキレン基は、これらの最小構造単位 単独と酸素原子で、または、直鎖型 (i)同士、分岐鎖型 (ii)同士と酸素原子で、もしく はこれらを適宜組み合わせて構成することができるが、酸素原子同士が結合すること はない。なお、 R8で表されるアルキレン基は、以上の例示のなかでも、塩基による脱 HC1反応が起こらず、より安定なことから、 C1を含有しない構成単位カゝら構成されるこ とが好ましい。
また、 R8は、— R1Q—、—(OR10)―、または—(R1QO) - (R1Qは炭素数 1〜6のフッ素 を含んで!/、てもよ 、アルキレン基)で示される構造を有することがさらに好まし 、。 R10 の好ま 、具体例としては、つぎの直鎖型または分岐鎖型のものが例示できる。
[0026] 直鎖型のものとしては、一 CH ―、 一 CHF―、 一 CF―、 一 CH CH ―、 一 CF C
H CF CF - CH CF - CH CH CH - CH CH CF - CH
CF CH - -、 一 CH CF CF - ―、 一 CF CH CH - — CF CF CH―、 CF CH
2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2
CF 一、 - CF CF CF 、 一 - CH CF CH CF - - CH CF CF CF - CH C
2
H CF CF - — CH CH CH CH - - CH CF CH CF CH - - CH CF CF
2 2 2 2 2 2 2 2 2 5
CF CH 一、 -CH CF CF CH CH - -CH CH CF CF CH - — CH CF C
2 2
H CF CH - -CH CF CH CF CH CH - - CH CH CF CF CH CH -
-CH CF CH CF CH CH一などが例示でき、分岐鎖型のものとしては、
[0027] [ィ匕 8]
CF, CH, CF, CH,
I J I - ' I 1 —,
一 CH— 、 — CH― 、― - CF— 、 一 CF—
CF, CH, CH ,
I I I ■' 1 .,
- c—
― | 一 、
I ~~ C\ I ~ 、― 1
1
CF, CH ¾
CF, CR CF CFL
I , 1 3 1 .'
― CFCF,一 、一 CFCH 2— 、一 CHCH2- ―、 —— CHCH2—
CH , CH , CR
| -、 I 1 ■' 1
― CFCH,一 、一 CFCF2— 、— CHCF,- ―、 — CHCF2—
[0028]
CR CH, CI L CIし
I 3 1 -
I 1 、 1
1
― CF7C— — CF,C— 、 — CRC— — CF,C— CH7-
2 I ¼
I 1 1 v 1
― CH C— - CH2C- 、 — CH 2C—
I I 、 I 1
CF, CF, —、 CH, などを挙げることができる。また、上記の構成から、下記の化合物が一例として例示し 得る。
CH =CH- (CF ) -Z2 (8)
2 2 n
(式中、 nは 2〜8の整数)
CY4 =CY* (CF ) -Z2 (9)
(()) ( ) CFCFOCFCFCFoCF = ( ( )) ( cn CFCF〇CFCF CF〇 CF MM (( ))( CFCF〇CF CFCF OCF CF = ( ( ) CFCFOCFc Hz = I l (( CFCF〇CF〇CFCFz = l
(( ) )( CF CFOCFCFCFOCF CF = ( ( CF CFOCF CFCF Z MM I-
(())() CFCF〇CFCFCF〇CFz = l
(( ) )(OCFCFCF OCFCFz l
( ) CFCFCF〇cn CF CF =
( (〇cn CF CF〇cn CFz11 l"
(( ) ) CFCFCFOCFCFCF =
星0
CH =CFCF OCF(CF)OCF(CF ) Z (21)
2 2 3 3
CH =CFCF OCH CF Z2 (22)
2 2 2 2
CF = CFO (CF CF (CF ) O) CF CF (CF ) Z (23)
2 2 3 m 2 3
(式中、 mは 0以上の整数である)
CF =CFOCF(CF )CF 0(CF ) Z2 (24)
2 3 2 2 n
(式中、 nは 1以上の整数である)
CF =CFOCF OCF CF(CF )OCF— Z2 (25)
2 2 2 3 2
CF =CF-(CFC(CF)F) Z2 (26)
2 2 3 n
(式中、 nは、 1〜5の整数である)、
CF =CFO-(CFY5) Z2 (27)
(式中、 Yは Fまたは— CFであり、 nは 1〜10の整数である)
3
CF =CFO- (CF CFYeO) - (CF ) — Z2 (28)
(式中、 Y6は Fまたは CFであり、 mは 1〜10の整数であり、 nは 1〜3の整数である
)
CH =CFCF O— (CF(CF)CF O) —CF(CF ) -Z (29)
2 2 3 3 n 3
(式中、 nは 0〜10の整数である)
CF =CFCF O— (CF(CF )CF O) CF(CF ) Z2 (30)
2 2 3 2 n 3
(式中、 nは 1〜10の整数である)
(一般式(8)〜(30)中、 Z2は、シァノ基(一 CN基)、カルボキシル基(一 COOH)、ァ ルコキシカルボ-ル基(一 COOR11基、 R11は 1価の有機基)、酸ハライド基(一 COX 基、 Xはハロゲン基)である)
なお、上記 R11は水素原子または一価の有機基である力 COOR11基が架橋部 位として作用するためには、 COOR11基が架橋剤の反応性官能基と反応しやすい 構造であることが好ましい。つまり、 R11が脱離しやすいことが好ましい。そのような R11 としては、トルエンスルホン酸、ニトロトルエンスルホン酸、およびトリフルォロメタンス ルホン酸などのスルホ-ルエステル、リン酸エステル、ならびに有機リン酸エステルな どが挙げられる。しかし、スルホニルエステルは、脱離するスルホン酸の酸性度が高く 金属 (例えば成形器の金型)を腐食するおそれがあるため好ましくない。また、リン酸
エステルや有機リン酸エステルは、脱離するリン酸および有機リン酸が環境に悪影響 を与えることが懸念されるため好ましくない。したがって、 R11はエーテル結合や芳香 環を含んでもよいアルキル基であることが好ましい。この場合、炭素数は、 1〜20であ ることが好ましぐ 1〜10であることがより好ましぐ 1〜6であることがさらに好ましい。 また、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されているものは脱離性が高いことから 好ましい。 R11がエーテル結合や芳香環を含んでもよいアルキル基である場合、 R11と しては、具体的に、メチル基、ェチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フエ -ル基、 1, 1, 1—トリフルォロェチル基、 1, 1, 1, 2, 2—ヘプタフルォロプロピル基 、 1, 1, 1, 3, 3, 3 へキサフルォロイソプロピル基などが挙げられる。また、反応性 が高い点では COXで示される酸ノヽライド基が好ましい。しかし、 PTFEの重合は水 系で行われる場合、酸ノヽライド基は水中では不安定であるため好ましくない。なお、 P TFEの重合が非水溶液系で行われる場合、酸ハライド基は好ま 、。
[0032] 一般式(8)〜(30)で示される単量体では、そのシァノ基、カルボキシル基、アルコ キシカルボニル基、または酸ハライド基が、架橋部位となり、架橋剤と架橋反応が進 行する。
一般式(9)で示される単量体としては、具体的には、
CF =CF— CF— CN、 CF =CF— CF CF CN、
2 2 2 2 2
CF =CF— CF— COOH、 CF =CF— CF CF COOH、
2 2 2 2 2
CF =CF— CF— COOCH、 CF =CF— CF CF COOCH、
2 2 3 2 2 2 3
などが挙げられるが、架橋反応性の点で、
CF =CF— CF— CN、 CF =CF— CF CF CN
2 2 2 2 2
であることが好ましぐ重合反応性が優れて 、る点で、
CF =CF— CF— COOH、 CF =CF— CF CF COOH、
2 2 2 2 2
CF =CF— CF -COOCH、 CF =CF— CF CF -COOCH、
2 2 3 2 2 2 3
であることが好ましい。
[0033] 一般式(26)で示される単量体としては、具体的には、
CF =CFCF C (CF ) FCN, CF =CF (CF C (CF ) F) CN、
2 2 3 2 2 3 2
CF =CFCF C (CF ) FCOOH、
CF =CF(CF C(CF )F) COOH、
2 2 3 2
CF =CFCF C(CF )FCOOCH、
2 2 3 3
CF =CF(CF C(CF )F) COOCH、
2 2 3 2 3
などが挙げられるが、重合反応性という点で、 CF =CFCFC(CF )FCOOH、
2 2 3
であることが好ましい。
一般式(27)で示される単量体としては、具体的には、
CF =CFOCF CF CF CN、 CF =CFOCF CF CN、
2 2 2 2 2 2 2
CF =CFOCF CN、
2 2
CF =CFOCF CF CF COOH、 CF =CFOCF CF COOH、
2 2 2 2 2 2 2
CF =CFOCF COOH、
2 2
CF =CFOCF CF CF COOCH、
2 2 2 2 3
CF =CFOCF CF COOCH、 CF =CFOCF COOCH
2 2 2 3 2 2 3
などが挙げられるが、架橋反応性、重合反応性という点で、
CF =CFOCF CF CF COOH、 CF =CFOCF CF COOH、
2 2 2 2 2 2 2
CF =CFOCF CF CF COOCH、
2 2 2 2 3
CF =CFOCF CF COOCH、
2 2 2 3
であることが好ましい。
[0034] 一般式(28)で示される単量体としては、具体的には、
CF =CFOCF CF(CF )OCF CF CN、
2 2 3 2 2
CF =CFOCF CF(CF )OCF CF COOH、
2 2 3 2 2
CF =CFOCF CF(CF )OCF CF COOCH、
2 2 3 2 2 3
などが挙げられるが、反応性の点で、
CF =CFOCF CF(CF )OCF CF CN、
2 2 3 2 2
であることが好ましぐ製造が容易な点で、
CF =CFOCF CF(CF )OCF CF COOH、
2 2 3 2 2
CF =CFOCF CF(CF )OCF CF COOCH、
2 2 3 2 2 3
であることが好ましい。
[0035] 一般式(29)で示される単量体としては、具体的には、
CH =CFCF OCF(CF )CN、
2 2 3
CH =CFCF OCF(CF)CF OCF(CF)CN,
2 2 3 2 3
CH = CFCF O (CF (CF ) CF O) CF (CF ) CN、
2 2 3 2 2 3
CH =CFCF OCF(CF )COOH、
2 2 3
CH =CFCF OCF(CF)CF OCF(CF )COOH、
2 2 3 2 3
CH = CFCF O (CF (CF ) CF O) CF (CF ) COOH、
2 2 3 2 2 3
CH =CFCF OCF(CF) COOCH、
2 2 3 3
CH =CFCF OCF(CF)CF OCF(CF) COOCH、
2 2 3 2 3 3
CH = CFCF O (CF (CF ) CF O) CF (CF ) COOCH、
2 2 3 2 2 3 3
などが挙げられるが、重合反応性という点で、 CH =CFCF OCF(CF )CN、
2 2 3
CH =CFCF OCF(CF)CF OCF(CF)CN,
2 2 3 2 3
CH =CFCF OCF(CF )COOH、
2 2 3
CH =CFCF OCF(CF)CF OCF(CF )COOH、
2 2 3 2 3
CH =CFCF OCF(CF) COOCH、
2 2 3 3
CH =CFCF OCF(CF)CF OCF(CF) COOCH、
2 2 3 2 3 3
であることが好ましい。
[0036] 一般式(30)で示される単量体としては、具体的には、
CF =CFCF OCF(CF )CF OCF(CF )CN、
2 2 3 2 3
CF =CFCF OCF(CF )CF OCF(CF )COOH、
2 2 3 2 3
CF =CFCF OCF(CF )CF OCF(CF ) COOCH、
2 2 3 2 3 3
などが挙げられるが、反応性の点で、
CF =CFCF OCF(CF )CF OCF(CF )CN、
2 2 3 2 3
であることが好ましぐ製造が容易な点で、
CF =CFCF OCF(CF )CF OCF(CF )COOH、
2 2 3 2 3
CF =CFCF OCF(CF )CF OCF(CF ) COOCH、
2 2 3 2 3 3
であることが好ましい。
[0037] また、一般的に、上記反応性官能基は、 CF(CF ) CNや CF(CF ) COO
3 3
Rのように分岐アルキレン基に結合しているよりも、 CF— CNや— CF— COORの
ように直鎖アルキレン基に結合して 、る方が高 、反応性を示すため好ま 、。
なお、本実施の形態に係る PTFEでは、上述の反応性官能基含有単量体を共重 合成分として用いると同時に、任意の単量体も共重合成分として用いることができる。 架橋部位を与える単量体以外の単量体は、特に限定されず、例えば、 TFE以外のフ ッ素含有単量体やフッ素非含有単量体などが挙げられる。このような共重合可能な 単量体は架橋剤と反応しな!ヽ官能基を有して!/ヽてもよ!ヽ。架橋剤と反応しな!ヽ官能 基としては、ヒドロキシル基、スルホン酸基、リン酸基、スルホン酸イミド基、スルホン酸 アミド基、リン酸イミド基、リン酸アミド基、カルボン酸アミド基、およびカルボン酸イミド 基などが挙げられる。架橋剤と反応しな!ヽ官能基を有する単量体を共重合成分に用 いた場合は、接着性改善、分散性改善などの効果が期待される。また、このような官 能基を含有しない単量体を共重合成分として導入した場合は、粒径の調整、融点の 調整、および力学特性の調整などを行うことができる。また、上記「フッ素含有単量体 」としては、例えば、フルォロォレフイン、環式のフッ素化された単量体、およびフッ素 化アルキルビュルエーテル等が挙げられる。上記フルォロォレフインとしては、例え ば、へキサフルォロプロピレン(HFP)、フッ化ビュル、フッ化ビ-リデン(VDF)、トリ フルォロエチレン、へキサフルォロイソブチレン、パーフルォロブチルエチレン等が 挙げられる。また、上記環式のフッ素化された単量体としては、パーフルオロー 2, 2 ジメチルー 1, 3 ジォキソール(PDD)、パーフルオロー 2—メチレン 4 メチル - 1, 3—ジォキソラン (PMD)等が挙げられる。また、上記フッ素化アルキルビニル エーテルとしては、例えば、一般式 CY7 =じ 01^12又は CY7 =CY8 (OR13) OR12 (
2 2 n
Y7は同一若しくは異なって Hまたは Fであり、 Y8は H又は Fであり、 R12は水素原子の 一部又は全てがフッ素原子で置換されてもよい炭素数 1〜8のアルキル基または末 端に官能基をもつアルキル基であり、 R13は同一若しくは異なって、水素原子の一部 又は全てがフッ素原子で置換されてもよい炭素数 1〜8のアルキレン基であり、 nは 0 〜10の整数である)で表されるものが挙げられる。なお、上記フッ素化アルキルビ- ルエーテルとしては、例えば、パーフルォロ(メチルビ-ルエーテル)(PMVE)、パー フノレオ口(ェチノレビニノレエーテノレ) (PEVE)、パーフルォロ(プロピルビュルエーテル ) (PPVE)が好ましい。また、上記「フッ素非含有単量体」としては、上記 TFEと共重
合性を有するものであれば特に限定されず、例えば炭化水素系単量体等が挙げら れる。上記炭化水素性単量体は、フッ素以外のハロゲン原子、酸素、窒素等の元素 、各種置換基等を有するものであってもよい。上記炭化水素系単量体としては、例え ば、アルケン類、アルキルビュルエーテル類、ビュルエステル類、アルキルァリルェ 一テル類、アルキルァリルエステル類等が挙げられる。
[0038] 本発明に用いられる TFEは、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法などの通常の 重合法により製造することができる。重合時の温度、時間などの重合条件としては、 モノマーの種類などを考慮して適宜決定すればょ 、。 乳化重合に使用される乳化剤としては、広範囲なものが使用可能であるが、重合中 におこる乳化剤分子への連鎖移動反応を抑制する観点から、フルォロカーボン鎖ま たは、フルォロポリエーテル鎖を有するカルボン酸の塩類が好まし!/、。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモ-ゥム (APS)等の過硫酸塩や、ジコハ ク酸パーォキシド (DSP)、ジダルタル酸パーォキシド等の有機過酸ィ匕物を、単独で 又はこれらの混合物の形で使用することができる。また、上記重合開始剤として、亜 硫酸ナトリウム等の還元剤と共用し、レドックス系にしたものを用いてもよい。好ましく はカルボキシル基またはカルボキシル基を生成し得る基 (例えば、酸フルオライド、酸 クロライド、 CF OHなどが挙げられる。これらはいずれも水の存在下、カルボキシ
2
ル基を生ずる)を主鎖末端に存在させ得るものが好ましい。具体例としては、過硫酸 アンモ-ゥム (APS)、過硫酸カリウム (KPS)などが挙げられる。
[0039] また、分子量の調整に通常使用される連鎖移動剤を使用してもよい。そのような連 鎖移動剤として作用する化合物は、炭化水素、ハロゲンィ匕炭化水素、および水溶性 有機化合物の少なくとも 1つから成るものである。上記連鎖移動剤は、炭化水素から 成りハロゲンィ匕炭化水素を含まないもの、ハロゲン化炭化水素力も成り炭化水素を含 まないもの、および、炭化水素とフッ化炭化水素と力 成るもののいずれであってもよ ぐまた、炭化水素、ハロゲンィ匕炭化水素、および水溶性有機化合物は、それぞれ 1 種又は 2種以上を用いることができる。上記連鎖移動剤としては、反応系内で分散性 および均一 ¾が良好である点で、メタン、ェタン、ブタン、 HFC—134a、 HFC— 32 、メタノール、およびエタノールより成る群力 選択される少なくとも 1つ力 成るもので
あることが好ましい。
また、さらには、ヨウ素や臭素原子をもつ化合物を利用することにより、分子量分布 が狭いものが得られ、分子量の調整が容易になる。そのようなヨウ素原子をもつ連鎖 移動剤としては一般式(31)〜(39)で表される下記の化合物が一例として例示し得 る。
I (CF CF ) I
2 2 n
ICH CF CF (OCF (CF ) CF ) OCF (CF )
2 2 2 3 2 m 3
ICH CF CF (OCH CF CF ) OCH CF—Z3
2 2 2 2 2 2 m 2 2
I (CF ) Z3
2 n
I (CH CF ) Z3
2 2 n
ICF CF OCF CF (CF ) OCF CF Z3
2 2 2 3 2
ICH CF CF OCH CF Z3
2 2 2 2 2
ICF CF OCF CF Z3
2 2 2 2
ICF CF O (CF ) OCF CF— Z
(式中、 Z3はシァノ基(一 CN基)、カルボキシル基(一 COOH基)、アルコキシカルボ -ル基( COOR14基、 R"は炭素数 1〜: L0のフッ素原子を含んで 、てもよ 、アルキ ル基)であり、 mは 0〜5の整数であり、 nは 1以上の整数である)で示される化合物な どを用いることができる。これらの中でも、架橋剤と反応可能な架橋部位を有する点 から、一般式 (32)〜(39)で示される連鎖移動剤が好ま 、。
乳化重合で得られた重合反応混合物力 重合生成物を単離する方法としては、酸 処理により凝析する方法や、凍結乾燥または超音波などにより凝析する方法などが 採用できるが、工程の簡略ィ匕の点から機械力により凝析する方法が好ましい。機械 力により凝析する方法では、通常水性分散液が、 10〜20重量%のポリマー濃度に なるように希釈され、場合によっては pH調整された後、攪拌機付きの容器中で激しく 攪拌される。また、インラインミキサー等を使用して連続的に凝析を行ってもよい。さら に、凝析前ゃ凝析中に着色のための顔料や機械的性質を改良するための充填剤を 添加すれば、顔料や充填剤が均一に混合された PTFEファインパウダーを得ること ができる。
凝析された PTFEの乾燥は、湿潤粉末をあまり流動させない状態、好ましくは静置 の状態を保ちながら、減圧や、高周波、熱風等の手段を用いて行う。粉末同士の、特 に高温での摩擦は、一般に PTFEファインパウダーに好ましくない影響を与える。こ れは、この種の PTFE粒子が小さなせん断力でも簡単にフィブリル化して、元の安定 な粒子構造の状態を失う性質を持って 、る力らである。乾燥温度は 10〜250°C好ま しくは100〜200。。でぁる。
本発明で用いる PTFEは、重合生成物を酸処理することにより、重合生成物に存在 しているカルボン酸の金属塩やアンモ-ゥム塩などの基をカルボキシル基に変換す ることができる。酸処理法としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸などにより洗浄する力、こ れらの酸で重合反応後の混合物の系を PH3以下にする方法が適当である。
また、ヨウ素や臭素を含有する PTFEを発煙硝酸により酸ィ匕してカルボキシル基を 導人することちでさる。
さらに、シァノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボ-ル基の導入方法としては、 国際公開第 OOZ05959号パンフレットに記載の方法も用いることができる。
〔架橋剤〕
本発明の実施の形態に係る架橋剤は、 1または複数の上記反応性官能基と反応し て環状構造を形成可能なものである。この架橋剤は、架橋反応可能な官能基のなか でも、 1または複数の上記の反応性官能基と反応して複素環を形成することが好まし い。なお、この架橋剤としては、特に π電子欠乏型複素環環化反応を引き起こすもの が好ましい。そして、この場合、架橋反応中に、耐酸ィ匕性および耐薬品性などに優れ た π電子欠乏型複素環(ァゾール、トリァゾール、ァジン、ジァジン、トリアジンなど) が形成される。これにより、従来にない強固な架橋構造を形成することができる。この ような、 π電子欠乏型複素環を形成する架橋反応としては、例えば、「新編へテロ環 化合物 基礎編、応用編、山中ら、講談社サイエンティフィック 2004」に記載の公 知の反応が利用できる。最終的に形成される架橋構造としては、例えば、シァノ基を 含有する PTFEとシァノ基を複数個含有する架橋剤とからトリァジン環化反応を経て 形成される架橋構造、シァノ基を含有する PTFEとヒドラジン基を複数個含有する架 橋剤とからトリァゾール環化反応を経て形成される架橋構造、酸ハライド基、カルボキ
シル基、ある!/、はアルコキシカルボ-ル基を含有する PTFEとグァ-ジンを複数個含 有する架橋剤とからトリァゾール環化反応を経て形成される架橋構造、酸ハライド基 、カルボキシル基、あるいはアルコキシカルボ-ル基を含有する PTFEとアミドラゾン を複数個含有する架橋剤とから成るトリァゾール環化による架橋構造などが挙げられ る。この中でもとりわけ、 1, 2結合形成による閉環反応を利用した 1, 3ァゾールの環 合成反応を架橋反応として利用することが好ましい。また、複素環を架橋点として導 入することにより、 PTFEの他材との密着性が向上するという効果もある。
[0042] そのような架橋剤としては、下記の一般式(1)で示される架橋性反応基を少なくとも 2個含むビスジァミノフエ-ル系化合物、ビスアミノフエノール系化合物、およびビスァ ミノチオフヱノール系化合物、ならびに一般式(2)で示されるビスアミドラゾン系化合 物およびビスアミドキシム系化合物、一般式(3)で示されるビスアミドラゾン系化合物 、一般式 (4)で示されるビスアミドキシム系化合物より成る群力 選択される少なくとも 1種の化合物であることが好まし 、。
[0044] (式中、 R1は、同じかまたは異なり、 -NH 、 一 NHR2、 ー011またはー311でぁり、1^:
2
は、フッ素原子または 1価の有機基である)
[0046] (式中、 Rは、—SO —、—O—、—CO—、炭素数 1〜6のアルキレン基、炭素数]
2
10のパーフルォロアルキレン基、又は単結合手であり、
である)
[0047] [化 12]
NH NH
H2NHN ~ C II— Rr ]― C II— HNH2 (3)
[0048] (式中、 R1は炭素数 1〜10のパーフルォロアルキレン基である)
f
[0049] [化 13]
NH. 謹,
HON=C- -CF?¾-C=NOH (4)
[0050] (式中、 nは 1〜10の整数である)
一般式 (1)で示される架橋性反応基を少なくとも 2個有する化合物は、架橋性反応 基を 2〜3個有することが好ましぐより好ましくは 2個有するものである。一般式(1)で 示される架橋性反応基が 2個未満であると、架橋することができな!/ヽ。
一般式(1)で示される架橋性反応基における置換基 R2は、水素原子以外の 1価の 有機基またはフッ素原子である。 N— R2結合は、 N— H結合よりも耐酸ィ匕性が高いた め好ましい。
1価の有機基としては、限定されるものではないが、脂肪族炭化水素基、フエニル 基またはべンジル基が挙げられる。具体的には、例えば、 R2の少なくとも 1つが— CH 、一 C H、一 C Hなどの炭素数 1〜10、特に 1〜6の低級アルキル基;—CF、—C
3 2 5 3 7 3
F、 -CH F、 -CH CF、 -CH C Fなどの炭素数 1〜10、特に 1〜6のフッ素原
2 5 2 2 3 2 2 5
子含有低級アルキル基;フエ-ル基;ベンジル基; C F、一 CH C Fなどのフッ素
6 5 2 6 5
原子で 1〜5個の水素原子が置換されたフエ-ル基またはべンジル基;—C H (CF
6 5-n
) 、 -CH C H (CF ) (nは 1〜5の整数)などの、 CFで 1〜5個の水素原子が
3 n 2 6 5-n 3 n 3
置換されたフエ-ル基またはべンジル基などが挙げられる。
[0051] これらのうち、耐熱性が特に優れており、架橋反応性が良好であり、さらに合成が比 較的容易である点から、フエ-ル基、 CHが好ましい。
3
また、架橋剤としては、下記の一般式 (5)で示される化合物が、合成が容易な点か ら好ましい。
[0052] [化 14]
C C—
[0053] (式中、 R1は上記 R1と同じ、 R5は、—SO―、— O—、— CO—、炭素数 1〜6のアル
2
キレン基、炭素数 1〜10のパーフルォロアルキレン基、単結合手、または、
[0054] [化 15]
[0055] で示される基である)
炭素数 1〜6のアルキレン基の好ましい具体例としては、メチレン基、エチレン基、 プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基などを挙げることができ、炭 素数 1〜10のパーフルォロアルキレン基としては、
[0056] [化 16]
C
[0057] などが挙げられる。なお、これらの架橋剤は、特公平 2— 59177号公報、特開平 8— 120146号公報などで、ビスジァミノフエ-ル化合物の例示として知られて!/、るもので ある。
これらの中でもより好ましい架橋剤としては、一般式 (6)で示される化合物である。
[0058] [化 17]
[0059] (式中、 R6は、同一であるか又は相違し、いずれも水素原子、炭素数 1〜10のアルキ
ル基;フッ素原子を含有する炭素数 1〜 10のアルキル基;フエ-ル基;ベンジル基;フ ッ素原子および Zまたは CFで 1〜5個の水素原子が置換されたフエ-ル基または
3
ベンジル基である)
なお、本実施の形態に係る架橋剤としては、上述したような、 1, 2結合形成による 閉環反応を利用した 1, 3ベンゾァゾ ルの環合成反応を架橋反応として利用できる ものが特に好ましい。ベンゾァゾールおよび芳香環が導入されることにより、 PTFEの 他材との密着性が向上する力 である。
具体例としては、限定的ではないが、例えば、 2, 2 ビス(3, 4 ジァミノフエ-ル) へキサフルォロプロパン、 2, 2 ビス [3 アミノー 4—(N—メチルァミノ)フエ-ル]へ キサフルォロプロパン、 2, 2 ビス [3 アミノー 4—(N—ェチルァミノ)フエ-ル]へ キサフルォロプロパン、 2, 2 ビス [3 アミノー 4— (N—プロピルァミノ)フエ-ル]へ キサフルォロプロパン、 2, 2 ビス [3 アミノー 4— (N—フエ-ルァミノ)フエ-ル]へ キサフルォロプロパン、 2, 2 ビス [3 アミノー 4— (N—パーフルオロフェ-ルァミノ )フエ-ル]へキサフルォロプロパン、 2, 2 ビス [3 アミノー 4— (N—ベンジルァミノ )フエ-ル]へキサフルォロプロパンなどが挙げられる。これらの中でも、耐熱性が優 れており、架橋反応性が特に良好である点から、 2, 2 ビス(3, 4 ジァミノフエ-ル )へキサフルォロプロパンがさらに好まし 、。
これらのビスアミドキシム系架橋剤、ビスアミドラゾン系架橋剤、ビスアミノフエノール 系架橋剤、ビスアミノチォフエノール系架橋剤、またはビスジァミノフエ-ル系架橋剤 などは、本発明に用いられる PTFEが有するシァノ基、カルボキシル基、アルコキシ カルボニル基、酸ハライド基と反応し、ォキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール 環を形成し、 PTFE架橋体を与える。
上記説明した架橋剤は、従来の強度、結晶性、および表面特性などを維持しており 、かつ、異方性も不均一性もなぐかつ、従来の PTFE榭脂よりも変形しにくい PTFE 架橋体を与えるものである。また、本実施の形態では、上述の架橋剤を採用すること により、 PTFEと他材との密着性が向上するという効果もある。
架橋剤の添加量は、 PTFE 100重量部に対して、 0. 01〜20重量部であることが 好ましぐ 0. 03〜: L0重量部であることがより好ましい。架橋剤が、 0. 01重量部未満
であると、実用上充分な機械的強度、耐熱性、耐薬品性が得られない傾向があり、 2 0重量部を超えると、架橋に多大な時間が力かる上、 PTFE架橋体が脆くなる傾向が あるカゝらである。また、架橋剤の添加量を調整することにより、 PTFE成形体の物性を 変化させることができる。例えば、上記 PTFEに導入されている反応性官能基の全て と反応し得る量の架橋剤を添加してもよ ヽし、上記 PTFEに導入されて ヽる反応性官 能基の全てと反応させることなく未架橋部位を残し他材との密着性改善など、官能基 由来の効果を意図した量の架橋剤を添加するようにしてもょ 、。
[0061] 〔架橋性 PTFE組成物の調整方法〕
本発明に係る架橋性 PTFE組成物は、上記各成分を、密閉式混合機などを用いて 混合する等の乾式の混合方法により調製することができる。また、この架橋性 PTFE 組成物は、架橋剤を水もしくは有機溶媒に溶解もしくは分散させた液に PTFEを浸 潰させる若しくは浸潰した後に溶液を攪拌する、または水もしくは有機溶媒に分散し た PTFEデイスパージヨン液と架橋剤を混合して攪拌する等の湿式の混合方法により 調製することも可能である。なお、湿式の混合手法を採用する場合には、さらに架橋 剤と PTFEの接触性を高めるため、超音波振動を利用することが好ましい。また、重 合後、一次粒子を保持したデイスパージヨン溶液を攪拌しつつ、 NMP、 DMF、ある いは DMSOと ヽつた極性の高 、有機溶媒に溶解させた架橋剤溶液を滴下すること により、架橋密度を向上させることができる。
[0062] 〔PTFE架橋体粉末の調製方法〕
本発明に係る PTFE架橋体粉末は、適宜適切であると思われる条件下で処理され て得られる。例えば、ォキサゾール架橋を行なう場合は、架橋性 PTFE組成物あるい は PTFE架橋体粉末を空気循環炉に入れ、 120〜320°Cで 1〜300分間保持するこ とによって PTFE架橋体を得ることができる。また、イミダゾール架橋行なう場合は、比 較的低い架橋温度(例えば、 120〜280°C、好ましくは 120〜250°C)で良好な物性 をもつ PTFE架橋体を得ることができる。なお、加熱温度は一定でなぐ段階的に変 化させるようにしてもよい。例えば、架橋剤の融点付近の温度で保持して架橋剤を P TFEに十分含浸させた後に昇温し架橋反応を行わせる手法なども考えられる。また 、生成した PTFE架橋体粉末を 100°C以上で一定時間保持することにより、内在する
未反応の架橋剤や架橋反応時の副生物などの不純物を除去することができる。かか る場合、 200°C以上で 1時間以上保持することが好ましい。
[0063] 〔成形体の調製方法〕
架橋性 PTFE組成物あるいは PTFE架橋体粉末から成形体を得る方法は通常の 方法でよぐ例えば、圧縮成形法や、ラム押出成形法、ペースト押出成形法などの公 知の方法が挙げられる。圧縮成形法により成形体を得る場合は、ホットコイニング法 での成形も可能である力 ホットコイニング法よりも生産性の高いフリーべ一キング法 での成形も可能である。上記架橋性 PTFE組成物あるいは PTFE架橋体粉末を金 型に充填し、 2〜: LOOMPa、好ましくは 10〜70MPaの圧力で圧縮して予備成形体 を得た後に、得られた予備成形体を空気循環炉中において融点〜 420°C、好ましく は融点〜 380°Cの温度で 10分間〜 10日間、好ましくは 30分〜 5時間焼成すればよ い。この際、昇温速度、冷却速度は、任意であってもかまわないが、 10〜: LOO°C/hr が好ましぐ 20〜60°C/hrがより好ましい。また、例えば、 300°Cまでは昇温速度を高 くし、 300°C以上で昇温速度を低くし、 300°Cまでは冷却速度を低くし、 300°C以下 で冷却速度を高めるといった段階的な温度調整方法を採用することもできる。
[0064] 本発明に係る架橋性 PTFE組成物を架橋成形することにより、本発明に係る PTFE 成形体を得ることができる。本発明に係る PTFE成形体は、従来の強度、結晶性、お よび表面特性などを維持しており、かつ、異方性も不均一性もなぐかつ、従来の PT FE榭脂よりも変形しにくいものである。また、この PTFE成形体は、耐熱性ゃ耐薬品 性にも優れる。
本発明に係る PTFE架橋体は粉末あるいは成形体として利用可能である。粉末とし て利用される具体例としては、改質材が挙げられる。 PTFE粉末を汎用榭脂、特にェ ンジニアリングプラスチックや、フッ素榭脂、フッ素ゴムに添加し、改質材として利用す ることは、特開昭 60— 110749号公報、特開昭 62— 72751号公報、特開 2000—1 09668号公報、特開 11— 269350号公報、および特開 10— 9270号公報などの特 許文献に開示されており公知であるが、本発明に係る PTFE架橋体粉末もまた適宜 用途に合わせて改質材として用いることができる。 PTFE架橋体を粉末で改質材とし て用いる場合、 PTFEは低分子量であることが好ま 、。
また、本発明に係る PTFE架橋体粉末を成形用榭脂 ·エラストマ一などの他の材料 に分散あるいはブレンドすることにより、難燃性、非粘着性、摺動性、撥水撥油性、電 気特性、耐汚染性、耐蝕性、耐候性、力学特性などを向上させることができる。なお 、 PTFE架橋体粉末の代わりに、架橋性 PTFE組成物を他の材料に分散あるいはブ レンドさせた後に、その分散物ある!/、はブレンド物を加熱して PTFEを架橋してもかま わない。
他の材料の具体例としては、限定的ではないが、ポリエチレン榭脂、ポリプロピレン 榭脂、エチレン '酢酸ビュル共重合体榭脂、エチレン'ェチルアタリレート共重合体榭 脂、エチレン 'ビュルアルコール共重合体榭脂、ポリシクロォレフィン榭脂、ポリイソブ チレン榭脂、ポリオレフイン榭脂、ポリ塩化ビュル榭脂、およびポリスチレン榭脂など の汎用プラスチックや、ポリメチルペンテン榭脂、アクリロニトリル 'スチレン共重合榭 脂 (AS榭脂)、スチレン'メチルメタアタリレート共重合体榭脂、アクリロニトリル'ブチレ ン 'スチレン共重合体榭脂 (ABS榭脂)、アクリロニトリル'アタリレート'スチレン共重 合体榭脂(AAS榭脂)、アクリロニトリル 'エチレン一プロピレン一ジェンゴム'スチレン 共重合体榭脂 (AES榭脂)、アクリロニトリル 'スチレン 'アタリレート共重合体榭脂 (A SA榭脂)、シリコーン'アクリロニトリル 'スチレン共重合体榭脂(SAS榭脂)、アクリル 榭脂、メタタリル榭脂、ポリアミド榭脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアセタール榭脂、ポ リフエ-レンエーテル榭脂、ポリブチレンテレフタレート榭脂、ポリエチレンテレフタレ ート榭脂、ポリエチレンナフタレート榭脂、ポリフエ-レンサルファイド榭脂、フッ素榭 脂、ポリエーテルスルホン榭脂、ポリエーテルイミド榭脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポ リエ一テルエーテルケトン樹脂、ポリイミド榭脂、ポリアリレート榭脂、芳香族ポリエステ ル榭脂、ポリフエ-レンスルフイド、ポリスルホン樹脂、芳香族ポリエステルアミド榭脂、 芳香族ァゾメチン榭脂、ポリアリーレンサルファイド榭脂、ポリケトン樹脂、ポリアミドイミ ド榭脂、およびポリエーテル-トリル榭脂などのエンジニアリングプラスチックや、 PTF E、ポリクロロトリフノレオ口エチレン、テトラフノレォロエチレン一パーフノレオ口(ァノレキノレ ビュルエーテル)系共重合体(PFA)、テトラフルォロエチレン一へキサフルォロプロ ピレン系共重合体(FEP)、などのフッ素榭脂や、テトラフルォロエチレン一パーフル ォロ(アルキルビュルエーテル)系共重合エラストマ一、ビ-リデンフルオライド一へキ
サフルォロプロピレン共重合エラストマ一、ビ-リデンフルオライドーテトラフルォロェ チレン一へキサフルォロプロピレン共重合エラストマ一などのフッ素ゴムが挙げられる 。また、他の材料は、エポキシ榭脂、フエノール榭脂、尿素樹脂、メラミン榭脂、不飽 和ポリエステル榭脂、アルキド榭脂、およびジァリルフタレート榭脂などの硬化前の液 や、溶液、固体粉末などであっても力まわない。かかる場合、硬化過程 (例えば、熱 硬化過程)を経て成形体を得ることができる。本発明に係る PTFE架橋体粉末を改質 材として利用する場合、添加量としては相手材に対して l〜80wt%であることが好ま しぐ 5〜50wt%であることがさらに好ましい。
[0066] なお、本発明にお ヽて、 PTFE架橋体粉末あるいは架橋性 PTFE組成物の分散対 象あるいはブレンド対象となる榭脂としては、結晶融点またはガラス転移温度が 150 °C以上の熱可塑性榭脂が好ましく挙げられる。熱可塑性榭脂としては、例えば、ポリ ァセタール樹脂、ポリアミド榭脂、ポリカーボネート榭脂、ポリフエ二レンエーテル榭脂
、芳香族ポリエステル榭脂、芳香族ポリエステルアミド榭脂、芳香族ァゾメチン榭脂、 ポリアリーレンサルファイド樹脂、ポリサルホン榭脂、ポリエーテルサルホン榭脂、ポリ ケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド榭脂、ポリアミドイミド榭脂、ポ リメチルペンテン榭脂、およびポリエーテル-トリル榭脂などである。
これらの中でも好ましい榭脂は、(1)耐熱性が高いもの、つまり PTFE架橋体粉末と のブレンドの際、ブレンド物の熱安定性を低下させないことが必要でありまた、熱可 塑性榭脂自体の耐熱性が高 ヽために、熱可塑性榭脂の耐衝撃性ゃ耐薬品性を改 良する目的で、一般的な改質剤、添加剤を用いると、ブレンド物の耐熱性が低下して しまうため、耐熱性の高い含フッ素榭脂の添加が望まれているような榭脂、(2)機械 的強度および寸法安定性に優れて 、るもので、フッ素榭脂のそれらの物性を改質で きるもの、(3)成形性に優れたもので、含フッ素榭脂とのブレンド物に優れた力卩ェ性 を与えうるもの等であり、例えば、芳香族ポリエステル榭脂、ポリアミド榭脂、ポリアミド イミド榭脂、ポリアリーレンサルファイド榭脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテル二トリル榭 脂、ポリカーボネート榭脂、ポリフエ-レンエーテル榭脂、ポリサルホン榭脂、ポリエー テルイミド榭脂、ポリイミド榭脂などは本発明の好まし ヽ対象として挙げられる。
[0067] さらに具体的には、一般的に耐熱性、耐薬品性を損なわずに耐衝撃性の改良が強
く望まれているポリアリーレンサルファイド榭脂や、自動車部品用材料として使用され る際に耐溶剤性、特に耐ガソホール性などの改良が望まれているポリアミド榭脂、添 加によりフッ素榭脂の成形性および機械的物性の向上が期待できる芳香族ポリエス テル榭脂、その中でも特に高弾性率で成形加工性や寸法安定性に優れて ヽるため 、フッ素榭脂との相溶性を向上させることにより、フッ素榭脂の機械的物性、成形性、 寸法安定性、荷重たわみ温度の大巾なる向上を期待できる異方性溶融相を形成す る液晶ポリエステル榭脂が特に好ましい対象として挙げることができる。
一方、本発明の PTFE架橋体粉末と熱可塑性榭脂との親和性を考慮した場合、ポ リフエ-レンサイファイド榭脂はチォレート基 (またはチオール基)を、ポリアミド榭脂は アミノ基およびカルボキシ基ならびにアミド結合を、芳香族ポリエステル榭脂はヒドロ キシ基およびカルボキシル基ならびにエステル結合を含んで ヽるため、本発明の PT FE架橋体粉末中の官能基との親和性が高ぐその意味でも好ましい対象と言える。
[0068] なお、本発明に係る PTFE架橋体粉末の表面には官能基が露出していると考えら れるため、その官能基が熱可塑性榭脂の主鎖や末端の一部分と反応すること、その 官能基と熱可塑性榭脂の官能基の一部分が化学反応を起こしその反応生成物が未 反応物を含むブレンド物の相溶性改質剤として作用すること、熱可塑性榭脂との間 で界面親和性や界面接着性が現れること等が想定される。なお、 PTFE架橋体粉末 が架橋性 PTFE組成物である場合は、さらにこの傾向が強まることが想定される。 以上のように PTFE架橋体粉末と熱可塑性榭脂とのブレンドにより互いに良好な分 散性がえられるメカニズムは明瞭ではないが、このことにより本発明が限定されるもの ではない。
本発明に係る PTFE架橋体粉末との親和性あるいは反応性を高めるため、熱可塑 性榭脂を常法に従って変性することも本発明から排除されるものではない。また、本 発明の榭脂ブレンド物には、 PTFE架橋体粉末および熱可塑性榭脂以外の榭脂成 分が含まれて!/、ても力まわな!/、。
[0069] PTFE架橋体粉末のブレンド対象となるポリフエ-レンスルフイド榭脂としては、特 公昭 45 - 3368号公報に記載されて 、るような公知の方法により得られたものであれ ば特に制限はないが、下式 (40):
[0070] [化 18]
[0071] で示される繰り返し単位を 70モル%以上含むものが好ましい。さらに、繰り返し単位 として p フエ-レンスルフイド単位を 70モル0 /0以上含有するポリフエ-レンスルフイド 榭脂が特に好ましい。この際、残りの繰り返し単位としては共重合可能な単位であれ ば制限はなぐ例えば o フエ-レンスルフイド単位、 m—フエ-レンスルフイド単位、 ジフエ-ルスルフイドエーテル単位、ジフエ-ルスルフイドスルホン単位、ジフエ-ルス ルフイドケトン単位、ビフエ-ルスルフイド単位、ナフタレンスルフイド単位、 3官能フエ 二レンスルフイド単位などが挙げられる。これらの共重合体は、ブロック共重合されて Vヽてもランダム共重合されて 、てもよ 、。
好ましいポリフエ-レンスルフイド榭脂の具体例としては、ポリ(p フエ-レンスルフ イド)榭脂、ポリ(ρ—フエ-レンスルフイド) ポリ(m—フエ-レンスルフイド)ブロック共 重合体榭脂、ポリ(p フエ-レンスルフイド)—ポリスルホンブロック共重合体榭脂、ポ リ(p—フエ-レンスルフイド) ポリフエ-レンスルフイドスルホン共重合体榭脂などが 挙げられる。
[0072] また、直鎖状のものであっても、酸素共存下酸素架橋させたものであっても、また不 活性ガス雰囲気下、加熱処理を施したものであってもかまわないし、さらにこれらの構 造の混合物であってもかまわな 、。
また、本発明に係る PTFE架橋体粉末との相溶性をさらに高めるために反応性の 高 、官能基をポリフエ-レンスルフイド榭脂中に導入してもよ ヽ。導入される官能基と しては、アミノ基、カルボン酸基、水酸基などが適当であり、その導入方法としてはこ れら官能基を含有するハロゲン化芳香族化合物を共重合する方法やポリフエ二レン スルフイド榭脂と官能基を含有する低分子量化合物との高分子反応により導入する 方法などが挙げられる。
また、ポリフ -レンスルフイド榭脂は、脱イオン処理 (酸洗浄や熱水洗浄など)を行 なうことによりナトリウムイオンを低減させたものであってもよい。
[0073] 上記のようにして得られたポリフエ-レンサルファイド榭脂と PTFE架橋体粉末から
成る榭脂ブレンド物は単に官能基を含まない含フッ素榭脂をブレンドしただけでは得 られな ヽような優れた機械的特性、特に耐衝撃性を成形体に与えることができる。 また含フッ素榭脂が本来有する耐熱性、耐薬品性、摺動性、ポリフエ二レンスルフィ ド榭脂が本来有する耐熱性、機械特性を兼ね供えることができるため、この榭脂ブレ ンド物は、耐熱性、電気特性を利用した電気 ·電子部品、摺動性を利用した自動車 用部品、耐薬品性を利用した化学プラント用パイプ、バルブポンプ用ギヤ部品などの 成形材料としてとくに有用である。
ところで、ポリアミド榭脂は、高強度、高靭性、加工性、耐油性に優れており、ホース 、チューブ、パイプ等に広く応用されている。しかし、ポリアミド榭脂は、アルコール系 の溶剤に対して弱く特に低級アルコールを含むガソリンを用いた場合の耐ガソホー ル性に劣り、体積膨潤ゃ燃料透過が大きくなり強度低下などの材料劣化を起こすた め、この点について改善が求められている。さらには、摩耗係数の低下も求められて いる。
しかし、本発明に係る PTFE架橋体粉末をこのポリアミド榭脂とブレンドすることによ り、また、官能基を有しないフッ素榭脂とポリアミド榭脂とのブレンド物に本発明に係る PTFE架橋体粉末あるいは架橋性 PTFE組成物を添加することによりポリアミド榭脂 の耐溶剤性、耐ガソホール性を改良した榭脂を得ることができる。
ポリアミド榭脂は、通常下記式:
H N- (CH ) -NH
2 2 p" 2
(式中、 p" は 3〜12の整数)により示される線状ジァミンと下記式:
HO C- (CH ) -CO H
2 2 q" 2
(式中、 は 2〜12の整数)により示される線状カルボン酸との縮合により製造され たものや、ラタタムの開環重合により製造されたものが使用できる。これらのポリアミド 榭脂の好ましい例としては、ナイ口 6, 6、ナイロン 6, 10、ナイロン 6, 12、ナイロン 4, 6、ナイロン 3, 4、ナイロン 6, 9、ナイロン 6、ナイロン 12、ナイロン 11、ナイロン 4等力 S 挙げられる。また、ナイロン 6Z6, 10、ナイロン 6Z6, 12、ナイロン 6Z4, 6、ナイ口 ン 6Z12、ナイロン 6Z6, 6、ナイロン 6Z6, 6/6, 10、ナイロン 6,4, 6/6, 6、ナ ィロン 6Z6, 6/6, 12、ナイロン 6Z4, 6/6, 10、ナイロン 6Z4, 6Z12等の共重
合ポリアミド類も使用可能である。
[0075] さらにナイロン 6Z6, T(Tはテレフタル酸成分)、テレフタル酸、イソフタル酸のよう な芳香族ジカルボン酸とメタキシレンジァミンまたは脂環族ジァミン力 得られる半芳 香族ポリアミド類、メタキシレンジァミンと線状カルボン酸力 得られるポリアミド類を挙 げることができる。
上記のような PTFE架橋体粉末とポリアミド榭脂とから成る榭脂ブレンド物または官 能基を含まないフッ素榭脂とポリアミド榭脂とのブレンド物に PTFE架橋体粉末を添 カロした榭脂ブレンド物は、単に官能基を含まな 、フッ素榭脂をブレンドしただけでは 得られないような、耐薬品性、低温耐衝撃性、機械的特性を成形品に与えることがで き、特にアルコール(例えばメタノール、エタノールなど)メチルー t—ブチルエーテル などを含む改質ガソリン、酸などに対する優れた耐薬品性、不透過性を有する材料と して有用であり、成形体、例えば、ホース、チューブ、パイプ、シール、ガスケット、パ ッキング、シート、フィルム等に有用である。また、特にガソリン、メタノール混合ガソリ ンに対する耐薬品性ゃ不透過性を要求される自動車部品、例えば、燃料配管ホース 、チューブ、ガスケットなどに有用な材料となり得る。
[0076] 従来の含フッ素榭脂に代えて本発明に係る PTFE架橋体粉末と、耐熱性熱可塑性 榭脂、その中でも特に芳香族ポリエステル榭脂またはポリカーボネート榭脂とをブレ ンドすることにより、また従来の含フッ素榭脂と芳香族ポリエステル榭脂またはポリ力 ーボネート榭脂をブレンドする際、 PTFE架橋体粉末を添加することによりフッ素榭脂 単体がもつ機械的特性、荷重たわみ温度、寸法安定性を改良した榭脂ブレンド物を 得ることができる。
ところで、ポリカーボネートは、その機械的強度、耐衝撃性、および耐候性などの特 徴のため自動車あるいは建築分野に利用が広まっている力 耐薬品性、特に耐アル カリ性ゃ耐溶剤性に劣る欠点を有する。
ポリアミド榭脂の耐薬品性の改良と同様の方法でポリカーボネート榭脂に本発明に 係る PTFE架橋体粉末のうち、ヒドロキシ基を有する PTFE架橋体粉末をブレンドす ることにより機械的物性を著しく低下させずに耐薬品性をより効果的に改良した榭脂 ブレンド物を得ることができる。
[0077] 本発明に係る榭脂ブレンド物にお!ヽて用いる芳香族ポリエステル榭脂としては、例 えば、アジピン酸、テレフタル酸、 2, 6 ナフタレンジカルボン酸、 4, 4 'ービフエ-ル ジカルボン酸などの二塩基酸とェチンダリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレ ングリコーノレ、ペンタメチレングリコーノレ、へキサメチレングリコーノレ、 1, 4ーシクロへ キサンジメタノール、ビスフエノール Aなどの 2価アルコールとの縮合物(例えば、ポリ エチレンテレフタレート榭脂、ポリブチレンテレフタレート榭脂、ポリ 1, 4ーシクロへキ サンジメチレンテレフタレート榭脂、ポリ [2, 2 プロパンビス(4 フエ-ルテレ Zイソ フタレート)]榭脂など)および異方性溶融相を形成する芳香族ポリエステル (液晶コ ポリエステル)等が挙げられる。
また、本発明に係る榭脂ブレンド物にお!、て用いられるポリカーボネート榭脂はビス フエノールイ匕合物とホスゲンまたは炭酸ジエステルとの反応により得られるものである 。ビスフエノール化合物としては 2, 2 ビス(4ーヒドロキシフエ-ル)プロパン(以下、 ビスフエノール Aと略す)が特に好ましいが、ビスフエノール Aの一部または全部を他 のビスフエノール化合物で置換してもよ 、。ビスフエノール A以外のビスフエノール化 合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、 4, 4,一ジヒドロキシジフエ-ル、 ビス(4—ヒドロキシフエ-ル)アルカン、ビス(4—ヒドロキシフエ-ル)シクロアルカン、 ビス(4 ヒドロキシフエ-ル)スルフイド、ビス(4 ヒドロキシフエ-ル)エーテル、ビス( 4 -ヒドロキシフエ-ル)ケトン、ビス(4 -ヒドロキシフエ-ル)スルフォン、ビス(4 -ヒド ロキシフエ-ル)スルフォキシド、またはこれらのアルキル置換体、ァリール置換体、ハ ロゲン置換体などが挙げられる。
[0078] なお、これらの中でも、液晶ポリエステルは、それ自体の配向性により強度、弾性率 などの機械的特性、荷重たわみ温度などの熱的性質、寸法安定性などに最も優れた 性能を有し、溶融時には高流動性を示す。さらに、液晶ポリエステルは、その他の榭 脂と溶融ブレンドすることにより榭脂ブレンド物中で配向し、榭脂ブレンド物に上記と 同様な優れた特性を与えることができ、フッ素榭脂の機械的特性、荷重たわみ温度、 寸法安定性、成形性の改良組成物や、熱可塑性エラストマ一組成物を得るための最 も好ましい対象となり得る。本発明に用いる液晶ポリエステルとしては、例えば、芳香 族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸の 1種または 2種以上、芳香族ジオール、脂環
式ジオール、脂肪族ジオールの 1種または 2種以上、芳香族ヒドロキシカルボン酸の 1種または 2種以上力 選ばれた成分で構成される液晶コポリエステルが挙げられる 。代表的な組合せとしては、例えば、ノラヒドロキシ安息香酸、ビフエニルジオール、 テレフタル酸を主成分とするもの(例えば、住友ィ匕学工業 (株)製のェコノール E200 0, E6000, E7000, 曰本石油ィ匕学 (株)製の Xydar RC/FC400, 300、ポジプラ スチックス(株)製のベクトラ Cシリーズ、上野製薬 (株)製の UENO LCP2000、出 光石油化学 (株)製の出光 LCP300)、パラヒドロキシ安息香酸、 6 ヒドロキシナフト ェ酸を主成分とするもの(例えば、アイ 'シ一 ·アイ 'ジャパン (株)製の VICTREX S RP、上野製薬 (株)製の UENO LCP1000、ポリプラスチックス(株)製のベクトラ A シリーズ、三菱ィ匕成 (株)製のノバキュレート E324、出光石油化学 (株)製の出光 LC P300、ュニチカ (株)製のロッドラン LC 5000)、パラヒドロキシ安息香酸、テレフタ ル酸、脂肪族ジオールを主成分とするもの(例えば、三菱ィ匕成 (株)製のノバキユレ一 ト E310、出光石油化学 (株)製の出光 LCP100、ュニチカ (株)製のロッドラン LC— 3000、イーストマンコダック (株)製の X7G)等が挙げられる。
[0079] 上記のようにして得られた芳香族ポリエステル榭脂またはポリカーボネート榭脂を含 む榭脂ブレンド物のうち上記の含フッ素榭脂の機械的特性、荷重たわみ温度、寸法 安定性および成形性を改良した榭脂ブレンド物は、それに加えて含フッ素榭脂本来 の優れた耐熱性、耐薬品性、電気特性を合わせ持ち、その結果、寸法安定性、耐熱 性、電気特性を必要とする電気、電子部品、例えば、コネクター、チップ、キヤリャ、ソ ケット、プリント配線基板、電線被覆材、耐薬品性を必要とする半導体関連品、特に 成形性、強度不足でフッ素榭脂単体では困難であった大型ウェハーバスケット、また はバルブ、ケミカルポンプ部品、耐熱性、摺動性などを必要とする機械関係、例えば 自動車用燃料廻りの部品、ギヤ、軸受けなどに特に有用な材料となり得る。また、こ のような榭脂ブレンド物は、当然熱可塑性エラストマ一としての射出成形などによる成 形性、リサイクル性をももっている。
[0080] したがって、本発明に係る榭脂ブレンド物は、チューブ、薬栓、ガスケット、注射器 などの医療'生化学分野、チューブ、 Oリング、シール材などの半導体工業分野、耐 熱電線被覆材、シール材などの電気'電子分野、ホース、シール材などの食品工業
分野、燃料系ホース、チューブ、ガスケット、等速ショインドブーツ、ラックアンドピ-ォ ンブーツ等の自動車関連分野、耐圧ホース、ダイヤフラム、 ッキング、ガスケット、ホ ース等の化学工業分野、シーリング材などの建材分野などの用途に有用な材料であ る。
さらに、本発明に係る榭脂ブレンド物は、その効果を損なわない範囲において、例 えば、ガラス繊維、カーボン繊維、ァラミド繊維、グラフアイトウィスカー、チタン酸カリ ゥムゥイスカー、塩基性硫酸マグネシウムゥイスカー、マグネシウムゥイスカー、ホウ酸 マグネシウムゥイスカー、炭酸カルシウムゥイスカー、硫酸カルシウムゥイスカー、酸化 亜鉛ウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、アルミナウイスカー、炭化珪素ウイスカ 一、窒化珪素ウイスカー、ウォラスナイト、ゾノライト、セピオライト、石膏繊維、スラグ繊 維などの繊維状の強化剤、カーボン粉末、グラフアイト粉末、炭酸カルシウム粉末、タ ルク、マイ力、クレイ、ガラスビーズ等の無機充填剤、ポリイミド榭脂などの耐熱性榭脂 、さらに二硫ィ匕モリブデンのような固体潤滑剤やその他の着色剤、難燃剤など通常 使用される無機または有機の充填剤を含んでいてもよぐその配合量は組成物全体 の通常 1〜30重量%である。このとき、本発明に係る榭脂ブレンド物に含まれる未反 応の官能基が存在することによってこれらの充填効果が一層向上する場合もあり得る また、本発明に係る架橋性 PTFE組成物や PTFE架橋体粉末を単独で用いること により、従来の PTFEを用いた成形体よりも、力学特性、摺動性、耐熱性、および耐 候性に優れた PTFE成形体を容易に得ることができる。そして、このような PTFE成形 体は、ノ ツキン、ガスケット、チューブ、ライニング、コーティング、絶縁テープ、軸受け 、エアドームの屋根膜、気体'液体分離膜、セパレータ、担持膜などの広い用途に利 用することができる。成形体の形状としては、特に限定されないが、チューブ、フィル ム、シート、繊維、多孔膜などの形状が挙げられる。当該形状への成形方法としては 、公知の手法を用いることができる。具体的には、架橋性 PTFE組成物を成形した後 に PTFEを架橋すると ヽぅ方法や、 PTFE架橋体粉末そのものを成形すると ヽぅ方法 などが挙げられるが、これらの方法は状況に応じて適宜選択することができる。例え ば、繊維に成形する場合であれば、架橋性 PTFE組成物の成形体を延伸し繊維状
に成形した後に架橋処理してもよ!/ヽし、架橋処理済みの PTFE成形体を延伸し繊維 化してもよい。また、他材をライニング 'コーティングする材料として本架橋性 PTFE組 成物を用いる場合であれば、未架橋 PTFEデイスパージヨンを塗布した後に架橋す るという方法や、架橋処理済みの PTFEデイスパージヨンを塗布するという方法、架 橋性 PTFE組成物をライニング 'コーティングした後に架橋するという方法、架橋処理 済みの PTFE成形体を用いてライニング 'コーティングするという方法などを採用する ことができる。ただし、一般的には、未架橋体を成形した後に架橋することが好ましい
[0082] 本発明において、特に高純度かつ非汚染性が要求されない分野では、必要に応じ て PTFE成形体に配合される通常の添加物、例えば充填剤、加工助剤、可塑剤、着 色剤、安定剤、接着助剤などを配合することができ、上記のものとは異なる常用の架 橋剤や架橋助剤を 1種またはそれ以上配合してもよ ヽ。
本発明に係る架橋性 PTFE組成物は、必要に応じて、架橋処理後にさらに別の処 理が加えられてもよい。架橋処理後の PTFEにさらに処理をカ卩えることにより、特定の 性能を向上させる手法は数多く紹介されているが、本発明に係る PTFE架橋体につ いても適宜公知の諸手法を利用することによりその性能を向上させることができる。例 えば、本発明の PTFE架橋体に親水性を付与したい場合であれば、(l) PTFE架橋 体に、放射線や、レーザー、電子線、プラズマ、コロナ放電などを照射したり、 (2) PT FE架橋体を電気化学的に、あるいは Li金属 Ζナフタレン錯体により還元したり、 (3) PTFE架橋体に界面活性剤を添加したり、(4) PTFE架橋体にポリビュルアルコール やポリエチレングリコールなどの親水性高分子を含浸させたり、 (5) PTFE架橋体に 金属酸化物を付着させたり、 (6) PTFE架橋体に無機粉末を混合充填したりすれば よい。
[0083] 以下に、本発明について実際に行われた例を述べる。
〔実施例〕
(1)反応性官能基を有する PTFEの製造方法
(合成例 1)
内容量 6Lの撹拌機付きステンレススチール製反応器に、 3560gの脱イオン水、 94
gのパラフィンワックス及び 5. 4gのパーフルォロオクタン酸アンモ-ゥム分散剤を入 れた。次 ヽで反応器の内容物を 70°Cまで加熱しながら吸引すると同時に TFE単量 体でパージして反応器内の酸素を除いた。その後、 0. 17gのェタンガスと 16. 6gの パーフルォロブテン酸 (PFBA)とを反応器にカ卩え、内容物を 280rpmで攪拌した。 反応器中に TFE単量体を 0. 73MPaの圧力となるまで加えた。 20gの脱イオン水に 溶解した 0. 36gの過硫酸アンモ-ゥム (APS)開始剤を反応器に注入し、反応器を 0 . 83MPaの圧力にした。開始剤の注入後に圧力の低下が起こり重合の開始が観測 された。 TFE単量体を反応器にカ卩えて圧力を保ち、約 1. lKgの TFE単量体が反応 し終わるまで重合を続けた。その後に、反応器を排気し、内容物を反応器カゝら取り出 して冷却した。上澄みのパラフィンワックスを PTFE水性分散液から取り除 ヽた。
[0084] 得られた PTFE水性分散液の固形分濃度は 23. 7重量%であり、平均一次粒子径 は 0. 22 mであった。なお、この平均一次粒子径は、固形分 0. 15重量%に調製さ れた PTFE水性分散液が注入された所定のセルに 550nmの光を入射したときの透 過率と、透過型電子顕微鏡写真により定方向径を測定して算出した数平均一次粒子 径との相関関係を求めた後に、得られた試料について測定した上記の透過率を上記 の相関関係に当てはめることにより求めた (検量線法)。
得られた PTFE水性分散液を脱イオン水で固形分濃度が約 15重量%となるように 希釈し、高速撹拌条件下で凝固させた。凝固した粉末を 145°Cで 18時間乾燥した。 このときの PTFE粉末の PFBA変性量は 0. 28mol%であった。なお、変性量は、プ ローブ直径: 4. Omm,測定時回転数: 13〜15KHz、測定雰囲気:窒素、測定温度 : 150°Cの測定条件を採用した19 F?MASNMR(BRUKER社製)測定法により、 TF E由来のピークと変性剤由来のピーク(PFBAの場合は 179〜一 190ppmのピー ク、 CBVEおよび CNVEの場合は— 77〜― 88ppmのピーク)とを検出し、それらの ピークの面積比から求めた。
(合成例 2)
合成例 1における PFBAの量を 6. 6gとした以外は合成例 1と同様に重合を行った [0085] このとき得られた PTFE水性分散液の固形分濃度は 23. 8重量%であり、平均一次
粒子径は 0. 20 μ mであった。また、このときの PTFE粉末の PFBA変性量は 0. 14 mol%であった。
(合成例 3)
合成例 1における PFBAの量を 6. 6gとし、ェタンの量を 3. Omlとした以外は合成 例 1と同様に重合を行った。
このとき得られた PTFE水性分散液の固形分濃度は 23. 7重量%であり、平均一次 粒子径は 0. 23 /z mであった。また、このときの PTFE粉末の PFBA変性量は 0. 12 mol%であった。
なお、本合成例では、連鎖移動剤としてのェタンの添加量が合成例 1および 2のそ れよりも少な 、ため、本合成例で得られる PTFEは合成例 1および 2で得られる PTF Eの分子量よりも大きいものになる。ちなみに、このことは ASTM D 4895— 89に準 拠して作製されたサンプルを用いて水中置換法により測定した標準比重〔SSG〕によ り確認されている。
(合成例 4)
合成例 1における PFBAの量を 1. 7gとし、ェタンの量を 3. Omlとした以外は合成 例 1と同様に重合を行った。
このとき得られた PTFE水性分散液の固形分濃度は 23. 2重量%であり、平均一次 粒子径は 0. 20 μ mであった。また、このときの PTFE粉末の PFBA変性量は 0. 03 mol%であった。
(合成例 5)
内容量 6Lの撹拌機付きステンレススチール製反応器に、 3380gの脱イオン水を入 れた。次 ヽで反応器の内容物を 70°Cまで加熱しながら吸引すると同時に TFE単量 体でパージして反応器内の酸素を除いた。その後、 0. 51gのェタンガスと 6. 6gの P FBAとを反応器に加え、内容物を 700rpmで攪拌した。反応器中に TFE単量体を 0 . 73MPaの圧力となるまでカ卩えた。 20gの脱イオン水に溶解した 0. 68gの APS開始 剤を反応器に注入し、反応器を 0. 83MPaの圧力にした。開始剤の注入後に圧力の 低下が起こり重合の開始が観測された。 TFE単量体を反応器に加えて圧力を保ち、 約 0. 8Kgの TFE単量体が反応し終わるまで重合を続けた。そして、反応器を排気し
室温まで冷却した後、得られた PTFE粉末を脱イオン水で洗浄した上で濾別した。
[0087] 得られた PTFE粉末を 145°Cで 18時間乾燥した。このときの PTFE粉末の PFBA 変性量は 0. 20mol%であった。
(合成例 6)
合成例 5における 6. 6gの PFBAを 15. 2gの CBVEとした以外は合成例 5と同様に 重合を行った。
このとき得られた PTFE粉末を 145°Cで 18時間乾燥した。また、このときの PTFE粉 末の CBVE変性量は 0. 45mol%であった。
(合成例 7)
合成例 5における 6. 6gの PFBAを 15. 2gの CBVEとし、 APS開始剤の量を 0. 07 gとし、エタンを用いな力つた以外は合成例 5と同様に重合を行った。
[0088] このとき得られた PTFE粉末を粗く粉砕した後に 145°Cで 18時間乾燥した。その後 、微粉砕機で平均粒径が 10〜 150 mになるまで粉砕して、成形用の PTFE粉末を 得た。このときの PTFE粉末の CBVE変性量は 0. 35mol%であった。
(合成例 8)
合成例 1における 16. 6gの PFBAを 14. 6gのパーフルォロ [3—(1ーメチルー 2— ビュルォキシ一エトキシ)プロピオ-トリル] (以下、 CNVEと略する)とした以外は合成 例 1と同様に重合を行った。
このとき得られた PTFE水性分散液の固形分濃度は 23. 1重量%であり、平均一次 粒子径は 0. 17 /z mであった。また、このときの PTFE粉末の CNVE変性量は 0. 14 mol%であった
(合成例 9)
合成例 1における 16. 6gの PFBAを 15. 7gのパーフルォロ [3— (1—メチルー 2— ビュルォキシ一エトキシ)プロピオン酸メチル] (以下、 RVEEと略する)、ェタンガスの 量 0. 17gを 0. 07gとした以外は合成例 1と同様に重合を行った。
[0089] このとき得られた PTFE水性分散液の固形分濃度は 23. 5重量%であり、平均一次 粒子径は 0. 18 mであった。また、このときの PTFE粉末の RVEE変性量は 0. 25 mol%であった。
(2)架橋性 PTFE組成物、 PTFE架橋体粉末、および PTFE成形体の調製、なら びに物性測定
実施例 1
[0090] 合成例 1で得られた lOOgの PTFE粉末と 0. 12gの 2, 2—ビス(3, 4—ジァミノフエ -ル)へキサフルォロプロパン(以下、 BDHFと略する)とを 200gの THF溶媒中で混 合し、室温下でよく攪拌した。 THF溶媒を 30°Cで減圧下 7時間静置することにより取 り除き、架橋性 PTFE組成物を調製した。
得られた架橋性 PTFE組成物を空気循環炉に入れ、 220°Cで 2時間加熱処理した 後ゆっくり室温まで冷却して PTFE架橋体粉末を得た。
(耐摩耗性の測定)
42gの PTFE架橋体粉末を直径 32mmの円筒形の金型に室温で充填した。次に 徐々に加圧し 19. 6MPaで 5分間保持した後、金型から取り出して予備成形体を得 た。この予備成形体を 200°Cの空気循環炉に入れ、 25°CZ時間の昇温速度で 380 °Cまで加熱して 1時間焼結した後、 60°CZ時間の冷却速度で 200°Cまで冷却して炉 内から取り出し室温までゆっくりと冷却した。得られた成形体から、外径 25. 6mm, 内径 20. Omm、高さ 15. Ommの摺動試験片を削り出した。
[0091] オリエンテック (株)社製 EFM— III— Fを使用し、相手材は SUS304製を用い、圧力 0. 4MPa、速度 lmZsec、試験時間 7時間の条件下で摩擦摩耗試験を行い、摩擦 係数および比摩耗量を調べた。結果は表 1に記載する。
(耐クリープ性の測定)
15gの PTFE架橋体粉末を直径 29. Ommの円筒形の金型に室温で充填した。次 に徐々に加圧し 14. OMPaで 2分間保持した後、金型から取り出して予備成形体を 得た。この予備成形体を、 290°Cの空気循環炉に入れ、 120°CZ時間の昇温速度で 380°Cまで加熱して 30分間焼結した後、 60°CZ時間の冷却速度で 294°Cまで冷却 し、 294°Cで 24分間保持した後、炉内から取り出して室温までゆっくりと冷却した。得 られた成形体から、直径 11. Omm、高さ 10. Ommの円筒状の圧縮クリープ試験片 を削り出した。
[0092] ASTM D621— 64に準拠し、得られた試験片の室温(23 ± 2°C)における圧縮ク
リーブを調べた。圧力 13.7MPaで 24時間加重した後の変形量を全変形とした。次 に荷重を開放して 24時間経過した後の変形率を永久歪みとした。結果は表 1に記載 する。
(引張試験)
12gの PTFE架橋体粉末を直径 29. Ommの円筒形の金型に室温で充填した。次 に徐々に加圧し 14. OMPaで 2分間保持した後、金型から取り出して予備成形体を 得た。この予備成形体を、 290°Cの空気循環炉に入れ、 120°CZ時間の昇温速度で 380°Cまで加熱して 30分間焼結した後、 60°CZ時間の冷却速度で 294°Cまで冷却 し、 294°Cで 24分間保持した後、炉内から取り出して室温までゆっくりと冷却した。得 られた成形体を厚み 0. 5mmのフィルム状に切削加工した後、空気循環炉中 380°C で 5分間ァニール処理を行 、、 60°CZ時間の冷却速度で 250°Cまで冷却し 5分間 保持した後炉内から取り出し、室温まで冷却した。得られたフィルムから ASTM D 4895— 94に記載のミクロダンベルを打ち抜き、引張試験片とした。
[0093] 引張試験は (株)島津製作所社製オートグラフ AG— 300kNIを用いて、引張速度 5 OmmZ分で行い、降伏点強度および弾性率を求めた。結果は表 1に記載する。
(接着性試験)
PTFE架橋体粉末を圧縮成形してシート状にした後、そのシート状の成形体を 2枚 のアルミ箔にはさみ、 350°Cに設定したプレス機にセットし、 3MPaで 10分間加圧し た。得られた積層体を幅 lcmに切断し、 T字剥離試験を行った。結果は表 1に記載 する。
実施例 2
[0094] 実施例 1における BDHFの量を 0. 24gとして架橋性 PTFE組成物を調製した以外 は実施例 1と同様に PTFE架橋体粉末を調製し、試験を行った。結果は表 1に記載 する。
実施例 3
[0095] 実施例 1における BDHFの量を 0. 48gとして架橋性 PTFE組成物を調製した以外 は実施例 1と同様に PTFE架橋体粉末を調製し、試験を行った。結果は表 1に記載 する。
実施例 4
[0096] 実施例 1における PTFE粉末を合成例 2で得られたものに代えた以外は実施例 1と 同様に PTFE架橋体粉末を調製し、試験を行った。結果は表 2に記載する。
実施例 5
[0097] 実施例 1における PTFE粉末を合成例 2で得られたものに代え、さら〖こ BDHFの量 を 0. 24gとして架橋性 PTFE組成物を調製した以外は実施例 1と同様に PTFE架橋 体粉末を調製し、試験を行った。結果は表 2に記載する。
実施例 6
[0098] 実施例 1における PTFE粉末を合成例 2で得られたものに代え、さら〖こ BDHFの量 を 0. 48gとして架橋性 PTFE組成物を調製した以外は実施例 1と同様に PTFE架橋 体粉末を調製し、試験を行った。結果は表 2に記載する。
実施例 7
[0099] 実施例 1における PTFE粉末を合成例 3で得られたものに代え、さら〖こ BDHFの量 を 0. 24gとして架橋性 PTFE組成物を調製した以外は実施例 1と同様に PTFE架橋 体粉末を調製し、試験を行った。結果は表 3に記載する。
実施例 8
[0100] 実施例 1における PTFE粉末を合成例 4で得られたものに代え、さら〖こ BDHFの量 を 0. 24gとして架橋性 PTFE組成物を調製した以外は実施例 1と同様に PTFE架橋 体粉末を調製し、試験を行った。結果は表 3に記載する。
(3) PTFEと架橋性 PTFE組成物と混合成形体の調製および物性測定 実施例 9
[0101] ダイキン工業社製 PTFE粉末 (F— 104) 100重量部に対し、実施例 2で得られた P TFE架橋体粉末 4. 7重量部をカ卩え、ロッキングミキサーにより十分に混合させた後、 実施例 1と同様に各測定用の試験片を作製し、試験を行った。結果は表 4に記載す る。
実施例 10
[0102] ダイキン工業社製 PTFE粉末 (F— 104) 100重量部に対し、実施例 2で得られた P
TFE架橋体粉末 25. 0重量部をカ卩え、ロッキングミキサーにより十分に混合させた後 、実施例 1と同様に各測定用の試験片を作製し、試験を行った。結果は表 4に記載 する。
実施例 11
[0103] ダイキン工業社製 PTFE粉末 (F— 104) 100重量部に対し、実施例 2で得られた P TFE架橋体粉末 42. 9重量部をカ卩え、ロッキングミキサーにより十分に混合させた後 、実施例 1と同様に各測定用の試験片を作製し、試験を行った。結果は表 4に記載 する。
(比較例 1)
実施例 1における PTFE架橋体粉末をダイキン工業社製 PTFE粉末 (F— 104)に 代えた以外は実施例 1と同様に各測定用の試験片を作製し、試験を行った。結果は 表 5に記載する。
(比較例 2)
実施例 1における PTFE架橋体粉末をダイキン工業社製 PTFE粉末 (F— 104)に 代え、実施例 1と同様に各測定用の試験片を作製した後、その試験片に真空下で 1 OOkGyのガンマ線を照射した。その後、実施例 1と同様に試験を行った。結果は表 5 に記載する。
(比較例 3)
実施例 1における PTFE架橋体粉末をダイキン工業社製 PTFE粉末 (F— 104)に 代え、実施例 1と同様に各測定用の試験片を作製した後、その試験片に真空下で 1 OOOkGyのガンマ線を照射した。その後、実施例 1と同様に試験を行った。結果は表 5に記載する。
実施例 12
[0104] 実施例 3で得られた PTFE架橋体粉末 210gを直径 50mmの金型に充填し、成形 圧力が 29. 4MPaになるまで徐々に圧力を加え、さらに 5分間その圧力を保持し予 備成形体を作製した。得られた予備成形体を金型から取り出して電気炉に入れ、 50 °CZhrの昇温速度で室温から 300°Cまで昇温し、続!、て 25°CZhrの昇温速度で 34 0°Cまで昇温した。 340°Cで 5時間保持した後、 25°CZhrの降温速度で 300°Cまで
冷却し、続いて 50°CZhrの降温速度で冷却した。得られた成形体から実施例 1と同 様に各測定用の試験片を作製し、試験を行った。結果は表 6に記載する。
実施例 13
[0105] ダイキン工業社製 PTFE粉末 (M— 111) 100重量部に対し、実施例 3で得られた P TFE架橋体粉末 100重量部を加え、カッターミキサー(愛工舎製作所社製 K 55 型)を用いて 3000回転 Z分で 1分間十分に混合した。得られた混合粉末 210gを直 径 50mmの金型に充填し、成形圧力が 29. 4MPaになるまで徐々に圧力を加え、さ らに 5分間その圧力を保持し予備成形体を作製した。得られた予備成形体を金型か ら取り出して電気炉に入れ、 50°CZhrの昇温速度で室温から 300°Cまで昇温し、続 いて 25°CZhrの昇温速度で 365°Cまで昇温した。 365°Cで 5時間保持した後、 25 °CZhrの降温速度で 300°Cまで冷却し、続、て 50°CZhrの降温速度で冷却した。 得られた成形体から実施例 1と同様に各測定用の試験片を作製し、試験を行った。 結果は表 6に記載する。
実施例 14
[0106] ダイキン工業社製 PTFE粉末 (M— 111) 100重量部に対し、実施例 3で得られた P TFE架橋体粉末 400重量部を加えたこと以外は実施例 13と同様に行った。得られ た成形体力 実施例 1と同様に各測定用の試験片を作製し、試験を行った。結果は 表 6に記載する。
実施例 15
[0107] 実施例 1における PTFE粉末を合成例 5で得られたものに代え、さら〖こ BDHFの量 を 0. 35gとして架橋性 PTFE組成物を調製した以外は実施例 1と同様に PTFE架橋 体粉末を調製した。
実施例 16
[0108] 実施例 1における PTFE粉末を合成例 6で得られたものに代え、さら〖こ BDHFの量 を 0. 80gとして架橋性 PTFE組成物を調製した以外は実施例 1と同様に PTFE架橋 体粉末を調製した。
実施例 17
[0109] 実施例 1における PTFE粉末を合成例 7で得られたものに代え、さら〖こ BDHFの量 を 0. 62gとして架橋性 PTFE組成物を調製した後、実施例 1と同様に PTFE架橋体 粉末を調製した。
(比較例 4)
ダイキン工業社製 PTFE粉末 (M— 111) 210gを直径 50mmの金型に充填し、成 形圧力が 29. 4MPaになるまで徐々に圧力を加え、さらに 5分間その圧力を保持し 予備成形体を作製した。得られた予備成形体を金型から取り出して電気炉に入れ、 5 0°CZhrの昇温速度で室温から 365°Cまで昇温した。そして、 365°Cで 5時間保持し た後、 50°CZhrの降温速度で冷却した。得られた成形体から実施例 1と同様に各測 定用の試験片を作製し、試験を行った。結果は表 6に記載する。
実施例 18
[0110] 実施例 3で得られた架橋性 PTFE組成物 500gをカッターミキサー(愛工舎製作所 社製 K— 55型)を用いて 3000回転 Z分の回転速度で 1分間十分に粉砕した後、目 開き 300ミクロンのメッシュを用いて篩い、篩上に残った粉末を除去して架橋性 PTF E組成物を調製した。
そして、得られた架橋性 PTFE組成物 210gを直径 50mmの金型に充填し、成形 圧力が 29. 4MPaになるまで徐々に圧力を加え、さらに 5分間その圧力を保持し予 備成形体を作製した。その後、得られた予備成形体を金型から取り出して電気炉に 入れ、 50°CZhrの昇温速度で室温から 220°Cまで昇温した。次いで、 220°Cで 2時 間保持した後、 50°CZhrの昇温速度で 300°Cまで昇温し、続いて、 25°CZhrの昇 温速度で 365°Cまで昇温した。そして、 365°Cで 5時間保持した後、 25°C/hrの降 温速度で 300°Cまで冷却し、引き続いて 50°CZhrの降温速度で冷却した。得られた 成形体力 実施例 1と同様に各測定用の試験片を作製し、試験を行った。結果は表 7に記載する。
実施例 19
[0111] 実施例 18における成形圧力を 49. OMPaとした以外は実施例 18と同様に予備成 形体を作製し、試験を行った。結果は表 7に記載する。
実施例 20
[0112] 実施例 1における PTFE粉末を合成例 8で得られたものに代え、さら〖こ BDHFの量 を 0. 25gとして架橋性 PTFE組成物を調製した後、実施例 1と同様に PTFE架橋体 粉末を調製した。
実施例 21
[0113] 実施例 1における PTFE粉末を合成例 9で得られたものに代え、さら〖こ BDHFの量 を 0. 44gとして架橋性 PTFE組成物を調製した後、実施例 1と同様に PTFE架橋体 粉末を調製した。
実施例 22
[0114] 実施例 1における 0. 12gの BDHFを 0. 72gの 6, 6—ジァ-リノ一 3, 3— [2, 2, 2
-トリフルオロー 1— (トリフルォロメチル)ェチリデン]ジァ-リンとして架橋性 PTFE組 成物を調整した以外は実施例 1と同様に PTFE架橋体粉末を調製した。
実施例 23
[0115] 実施例 1における 0. 12gの BDHFを 0. 50gの 2, 2—ビス(3—アミノー 4—ヒドロキ シフエニル)へキサフルォロプロパンとして架橋性 PTFE組成物を調整した以外は実 施例 1と同様に PTFE架橋体粉末を調製した。
実施例 24
[0116] 実施例 1における 0. 12gの BDHFを 0. 30gの 3, 3'—ジァミノべンジジンとして架 橋性 PTFE組成物を調整した以外は実施例 1と同様に PTFE架橋体粉末を調製した 実施例 25
[0117] 実施例 1における 0. 12gの BDHFを 0. 26gの 2, 3, 6, 7—テトラアミノナフタレンし て架橋性 PTFE組成物を調整した以外は実施例 1と同様に PTFE架橋体粉末を調 製した。
実施例 26
[0118] 55. Ogのポリカーボネート榭脂(帝人化成株式会社製 パンライト L— 1125WP)を 280°Cに設定した内容積 60cm3のブラベンダーミキサー (東洋精機株式会社製 ラ ボプラストミル)に投入し、回転数 50rpmで 5分間溶融させたのち実施例 3で得られた
6. Ogの架橋性 PTFE組成物を加え、回転数 50rpmで 10分間混鍊して榭脂ブレンド 組成物を得た。
実施例 27
[0119] 実施例における 55. Ogのポリカーボネート榭脂を 57. Ogのナイロン 66 (旭化成株 式会社製 レオナ 1300S)とした以外は実施例 26と同様に混鍊して榭脂ブレンド組 成物を得た。
実施例 28
[0120] 実施例における 55. Ogのポリカーボネート榭脂を 72. Ogの液晶ポリエステノレ (ポリ プラスチックス株式会社製 ベクトラ A130)に代え、さらに架橋性 PTFE組成物 6. 0 gを 7. 9gとし、 280°Cから 320°Cに設定温度を代えた以外は実施例 26と同様に混鍊 して榭脂ブレンド組成物を得た
実施例 29
[0121] 実施例における 55. Ogのポリカーボネート榭脂を 77. Ogのフッ素榭脂(ダイキンェ 業株式会社製 ネオフロン EFEP RP— 5000)に代え、さらに架橋性 PTFE組成物 6. Ogを 8. 5gとした以外は実施例 26と同様に混鍊して榭脂ブレンド組成物を得た。 実施例 30
[0122] 実施例における 55. Ogのポリカーボネート榭脂を 93. Ogのテトラフルォロエチレン 一へキサフルォロプロピレン共重合体 (ダイキン工業株式会社製 ネオフロン FEP NP— 30)に代え、さらに架橋'性 PTFE糸且成物 6. Ogを 10. 3gとし、 280。C力ら 300 °Cに設定温度を代えた以外は実施例 26と同様に混鍊して榭脂ブレンド組成物を得 た。
実施例 31
[0123] 実施例における 55. Ogのポリカーボネート榭脂を 93. Ogのテトラフルォロエチレン 一パーフルォロアルキルビュルエーテル共重合体 (ダイキン工業株式会社製 ネオ フロン PFA AP— 231)に代え、さらに架橋性 PTFE組成物 6. Ogを 10. 3gとし、 28 0°Cから 320°Cに設定温度を代えたこと以外は実施例 26と同様に混鍊して榭脂ブレ ンド組成物を得た。
実施例 32
[0124] 実施例における 55. Ogのポリカーボネート榭脂を 92. Ogのポリクロ口トリフルォロェ
1
チレン (ダイキン工業株式会社製 ネオフロン PCTFE M— 300)に代え、さらに架 橋性 PTFE組成物 6. Ogを 10. 3gとし、 280°Cから 320°Cに設定温度を代えた以外 は実施例 26と同様に混鍊して榭脂ブレンド組成物を得た。
実施例 33
[0125] 実施例における 55. Ogのポリカーボネート榭脂を 82. Ogのテトラフルォロエチレン エチレン共重合体 (ダイキン工業株式会社製 ネオフロン ETFE EP— 610)に代 え、さらに架橋性 PTFE組成物 6. Ogを 9. lgとした以外は実施例 26と同様に混鍊し て榭脂ブレンド組成物を得た。
[0126] [表 1]
( ;■ 1 ) I ' ;. Vハカ 'ぃ : シル に' <寸十ろ一''ミノ! ' '1 ί ¾¾
〔0131
表 6
[0132] [表 7]
i: i ) vハカ' i vシ 'し ' ノ ¾ ¾
[0133] 表 1〜5から明らかなように、本発明に係る PTFE成形体は、従来の表面特性を維 持している。また、本発明に係る PTFE成形体は、従来の PTFE榭脂と比べると、引 張弾性率やクリープ特性が向上しており、変形しに《なっていることが窺える。 なお、表 5には電離性放射線で架橋処理されたポリテトラフルォロエチレンの諸物 性も併せて記載されて!ヽるが (比較例 2および 3参照)、電離性放射線による架橋処 理方法は、高価な専用装置が必要であるという問題、大面積や粉末を均一に架橋す
ることができないという問題、また、架橋処理される部分が表面に偏るという問題を抱 えており、必ずしも好ま 、架橋処理方法であるとは言えな 、。
また、表 6および表 7から明らかなように、本発明に係る PTFE架橋体粉末は、未改 質の PTFEの改質剤として有効に作用することが窺える。
産業上の利用可能性
本発明に係る架橋性ポリテトラフルォロエチレン組成物は従来の強度、結晶性、お よび表面特性などを維持しており、かつ、異方性も不均一性もなぐかつ、従来の PT FE榭脂よりも変形しにく 、ポリテトラフルォロエチレン榭脂を提供することができ、そ の架橋性ポリテトラフルォロエチレン組成物を架橋して得られるポリテトラフルォロェ チレン架橋体粉末は改質材などとして有用であり、ポリテトラフルォロエチレン成形体 は摺動材などとして有用である。