WO2006117941A1

WO2006117941A1 - 疑似象嵌加飾体およびその製造方法

Info

Publication number: WO2006117941A1
Application number: PCT/JP2006/305582
Authority: WO
Inventors: Yoichi Nagashima
Original assignee: Nagashimakougei Co., Ltd.
Priority date: 2005-04-26
Filing date: 2006-03-20
Publication date: 2006-11-09
Also published as: KR20080005572A; DE112006001088B4; JP4519847B2; DE112006001088T5; KR100944568B1; CN101166635A; CN101166635B; JPWO2006117941A1; US20090305003A1; US8252379B2

Abstract

　　　基材面にレーザー加工による線状刻が形成され、この線状刻を境界として第１加飾面と第２加飾面とが区画形成され、前記線状刻の内面に被覆層が形成されたことを特徴とする疑似象嵌加飾体。

Description

明細書

疑似象嵌加飾体およびその製造方法

技術分野

[0001] 本発明は、象嵌を施した木製品などと同様の高級感を与える疑似象嵌加飾体およびその製造方法に関するものである。

背景技術

[0002] 超高級乗用車の内装パネルに象嵌が施された美しい木目模様を持つ木製品が使われているのが知られている。このような木製品を大量生産される乗用車の部品に使用して需要を喚起したい要望がある。し力ながら、自然のものは、品質が一定しておらず、また大量に揃えることが難しいという問題があり、これを解決するために大量生産されるプラスチック等の基材に木目模様を液圧転写処理する技術が知られている（特許文献 1参照)。

[0003] 特許文献 1 :特開平 11 321663号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0004] 前記特許文献 1の木目模様を施したものに、象嵌を模して、例えば文字や図形等を印刷した境界線を境に印刷しても、単に該文字や模様が印刷されているようにしか見えず、象嵌のような高級な質感に欠けるという問題があった。

[0005] 本発明は、前記問題を解消することを課題とし、人間の視覚は、象嵌によって境界線が実際に生じている力、線が単に印刷されているかの相違を識別できるもので、この識別能力を利用して、前記課題を解決した疑似象嵌加飾体およびその製造方法を提供することを目的する。

課題を解決するための手段

[0006] 上記目的を達成するために、本発明の疑似象嵌加飾体は、基材面にレーザー加ェによる線状刻が形成され、前記線状刻を境界として第 1加飾面と第 2加飾面とが区画形成され、前記線状刻の内面に被覆層が形成されたことを特徴とするものである。第 1加飾面および第 2加飾面のそれぞれは、液圧転写膜および金属皮膜のレ、ずれ力により形成されている。前記金属皮膜は、メツキ、スパッタリング、金属蒸着、銀鏡反応塗装およびイオンプラズマエバポレーシヨンのいずれかである。前記線状刻は、例えば、 70〜： 150ミクロンの幅である。

[0007] また、本発明の第 1実施形態に係る疑似象嵌加飾体の製造方法は、基材面に第 1 加飾面を形成し、この第 1加飾面上を全面的にマスク材でマスキングした後に、所望の境界にレーザー加工により線状刻を前記マスク材から前記基材中に達するように形成し、前記線状刻の内面に被覆層を形成し、前記線状刻で区画される何れか一方の部分の前記マスク材および第 1加飾面を取り除き、この取り除かれた第 1加飾面の部分に第 2加飾面を形成し、残っている前記マスク材を取り除き前期第 1加飾面を現出させたことを特徴とするものである。

[0008] 本発明の第 2実施形態に係る疑似象嵌加飾体の製造方法は、基材面に第 1加飾面を形成し、この第 1加飾面上を全面的にマスク材でマスキングした後に、所望の境界にレーザー加工により線状刻を前記マスク材から前記基材中に達するように形成し、前記線状刻の内面に被覆層を形成し、前記線状刻で区画される何れか一方の部分の前記マスク材を取り除き、この取り除かれた前記第 1加飾面の部分上に第 2加飾面を形成し、残っている前記マスク材を取り除き前記第 1加飾面を現出させたことを特徴とするものである。

[0009] また、本発明の第 3実施形態に係る疑似象嵌加飾体の製造方法は、基材面に第 1 マスク材でマスキングし、前記第 1マスク材に所望の境界に沿ってレーザー加工により線状刻を前記第 1マスク材力前記基材中に達するように形成し、前記線状刻で区画される何れか一方の部分の前記第 1マスク材を取り除き、取り除かれた前記基材面および残っている前記第 1マスク材上に第 1加飾面を形成し、前記第 1マスク材および前記第 1マスク材上の前記第 1加飾面を取り除き、残っている前記第 1加飾面および前記基材面上に第 2マスク材をマスキングし、前記第 2マスク材および前記第 1加飾面に前記線状刻位置に沿ってレーザー加工で前記基材中に達する線状刻を再度形成し、前記線状刻内に被覆層を形成し、前記第 1加飾面および前記第 1加飾面上の第 2マスク材を残して残りの前記第 2マスク材を取り除き、前記基材面を現出させ、前記第 1加飾面、前記線状刻および現出させられた前記基材面上に第 2加飾面を形成し、前記第 2マスク材および前記第 2マスク材上の第 2加飾面を取り除いて前記第 1加飾面と前記第 2加飾面とを面一に形成したことを特徴とするものである。

[0010] これら製造方法において、前記第 1加飾面および第 2加飾面のそれぞれは、液圧転写膜および金属皮膜のレ、ずれかにより形成されてレ、る。

[0011] さらに、前記金属皮膜は、メツキ、スパッタリング、金属蒸着、銀鏡反応塗装およびィオンプラズマエバポレーシヨンのいずれかの方法で形成されることを特徴とするものでる。

発明の効果

[0012] 上述の疑似象嵌加飾体によれば、レーザー加工による細い線状刻の内面に被覆層を形成してなる境界を第 1加飾面と第 2加飾面との間に存在させることによって、本物の象嵌で現れる境界線が生じ、象嵌されているように見える。この境界線は、両カロ飾面の境にレーザー加工による線状刻を現出させることにより、あた力もいずれかの面が嵌め込まれているように見せている。すなわち、背景部となる一方の加飾面に例えば文字または図形部分である他の加飾面があた力も象嵌されているように見えるとレ、う効果を奏することができる。

[0013] また、前記疑似象嵌加飾体は、加飾面として、液圧転写膜とすることによって木目模様も複雑な形状面にも形成でき、また高級感を与える金属メツキなどの金属皮膜も形成でき、これらの組み合わせでデザインに自由度を与えることができる。また、この疑似象嵌加飾体では、金属皮膜は、皮膜品質、後加工の容易さから加工を選択できる。さらに、疑似象嵌加飾体は、立体的な線状刻の幅が狭ぐ本物象嵌に現れる 2つの加飾面の境目と同じように見え、印刷物を並べたようなものと雲泥の差の効果を奏すること力 Sできる。

[0014] また、本発明に係る第 1〜第 3実施形態の疑似象嵌加飾体の製造方法は、大量生産に対応する均質な疑似象嵌加飾体を提供することができ、その品質は本物象嵌に見紛ぅ程のものである。そして、その製造工数は本物象嵌の手間暇をかける時間からすれば非常に短時間に製造することができる。

[0015] この第 1実施形態の製造方法では、マスク材以外に基材に形成された余分な加飾面を除去しなければならないが、面一にできる。また、第 2実施形態の製造方法では、最終の両加飾面間に段差ができるので、より立体感が生じる。更に、第 3実施形態の製造方法では、マスキングして全体を槽に漬け、必要な面を加飾面に形成してレ、くことが可能でメツキ面を形成するのに適している。

[0016] 更に、本発明の疑似象嵌加飾体のこれら製造方法は、液圧転写膜と金属皮膜のそれぞれ同士、あるいは両者の種々の組合わせができ、デザインの自由度を増すことができる。

図面の簡単な説明

[0017] [図 1]本発明の一例を示す内装パネルの部分平面図である。

[図 2]疑似象嵌加飾体の加飾方法の一例を示す液圧転写処理の概略説明図である

[図 3]本願発明の第 1実施形態の製造工程 1を示す部分拡大端面図である。

[図 4]本願発明の第 1実施形態の製造工程 2を示す部分拡大端面図である。

[図 5]本願発明の第 1実施形態の製造工程 3を示す部分拡大端面図である。

[図 6]本願発明の第 1実施形態の製造工程 4を示す部分拡大端面図である。

[図 7]本願発明の第 1実施形態の製造工程 5を示す部分拡大端面図である。

[図 8]本願発明の第 1実施形態の製造工程 5を示す部分拡大端面図である。

[図 9]本願発明の第 1実施形態の製造工程 5を示す部分拡大端面図である。

[図 10]本願発明の第 1実施形態の製造工程 5を示す部分拡大端面図である。

[図 11]本願発明の第 2実施形態の製造工程 5を示す部分拡大端面図である。

[図 12]本願発明の第 2実施形態の製造工程 6を示す部分拡大端面図である。

[図 13]本願発明の第 2実施形態の製造工程 7を示す部分拡大端面図である。

[図 14]本願発明の第 3実施形態の製造工程 1を示す部分拡大端面図である。

[図 15]本願発明の第 3実施形態の製造工程 1を示す部分拡大端面図である。

[図 16]本願発明の第 3実施形態の製造工程 2を示す部分拡大端面図である。

[図 17]本願発明の第 3実施形態の製造工程 2を示す部分拡大端面図である。

[図 18]本願発明の第 3実施形態の製造工程 3を示す部分拡大端面図である。

[図 19]本願発明の第 3実施形態の製造工程 3を示す部分拡大端面図である。

[図 20]本願発明の第 3実施形態の製造工程 4を示す部分拡大端面図である。園 21]本願発明の第 3実施形態の製造工程 4を示す部分拡大端面図である。

[図 22]本願発明の第 3実施形態の製造工程 5を示す部分拡大端面図である。

符号の説明

i a、 l b、 l c 内装パネル

2 基材

3 第 1加飾面

4 転写層

5 転写フィルム

oa、 o b、 DC マスク材

7 線状刻

8 被覆層

9a 第 2加飾面

10 カラーコート

11 トップコート

発明を実施するための最良の形態

[0019] 次に、本発明を自動車の内装パネル等に適用した好適な実施形態を、添付図面の図 1〜図 22に基づいて詳細に説明する。ここにおいて、添付図面の図 1は第 1実施形態の内装パネルの平面図、図 2は疑似象嵌加飾体の加飾方法の一例を示す液圧転写処理の概略説明図、図 3〜図 6は第 1 ,第 2実施形態の製造工程 1〜製造工程 4 を示す部分拡大端面図、図 7〜図 10は第 1実施形態の製造工程 5〜製造工程 8を示す部分拡大端面図、図 11〜図 13は第 2実施形態の製造工程 5〜製造工程 7を示す部分拡大端面、図 14〜図 22は、第 3実施形態の製造工程 1〜製造工程 5を示す部分拡大端面図である。

[0020] 図 1に示す疑似象嵌加飾体の一例としての内装パネル laは、例えば、自動車の内装部品であるインストルメントパネル、ドアパネルなどの車室内側に取り付けられるもので、第 1加飾面 3と第 2加飾面 9aとが境界 aで区画形成されている。これらの加飾面 3, 9aは、文字、図形、記号などを含む模様若しくは色彩又はこれらの結合などで構成されている。 [0021] この疑似象嵌加飾体は、図 10、図 13,図 22に示すような断面をしており、それぞれ第 1実施形態による内装パネル la、第 2実施形態による内装パネル lb、第 3実施形態による内装パネル lcである。そして、この疑似象嵌加飾体は、基材 2の面にレーザ一加工による極細の線状刻 7が形成され、線状刻 7を境界 aとして第 1加飾面 3と第 2加飾面 9aとが区画形成され、線状刻 7の内面に被覆層 8が形成され、さらに、これらの上にカラーコート 10,トップコート 11が形成されている。また、疑似象嵌加飾体は、パネル等の平板に限ることなぐ立体的なものにも適用することができる。

[0022] 基材 2は、木製であっても良いが、一般的には、均一性、変形性、大量生産性等を考慮して自然木を使用せずアクリル、ポリカーボネート、 ABSなどの合成樹脂製としている。この基材 2の面に形成されたレーザー加工による線状刻 7を境界 aとした第 1 加飾面 3および第 2加飾面 9aのそれぞれは、液圧転写膜および金属皮膜のレ、ずれ力、により形成されている。液圧転写膜は木目模様、カーボンフェース調、無模様などの表面であり、金属皮膜は、金属光沢を持った、あるいは艷消しされた表面である。

[0023] この液圧転写膜は公知の処理方法で形成される。すなわち、図 2に示すように、水を満たした転写槽 4に転写フィルム 5を浮かしておき、その転写フィルム 5の上から転写を必要としない部分をマスキングした基材 2を押しつけて水中に沈め、水圧によつて基材 2に液圧転写膜を転写させる。この方法による転写は、基材 2の複雑な立体形状にも対応できる。この転写フィルム 5も木製象嵌材に代え、大量生産に適し、複雑な形状に対応できるものとして用いられている。

[0024] また、金属皮膜は、メツキ、スパッタリング、金属蒸着、銀鏡反応塗装およびイオンプラズマエバポレーシヨンなどによって形成されるものである。

[0025] さらに、線状刻 7は、本象嵌の嵌め込みによる突き合わせ位置の境界を模するもので毛髪あるいはそれ以下であるほどに細い。そこで、加工細さ、加工速度、加工の再現性等からレーザー加工が適当であり、種々のレーザーのうち、例えば炭酸ガスレーザ一で、パワーを調整することにより、線状刻 7は象嵌と認識しやすい 70〜： 150ミクロンの極細の幅に形成されている。この線状刻 7の内面には、第 1加飾面 3と第 2加飾面 9aと異なる色調の有色あるいは無色のインキや塗料が充填されて被覆層 8が形成されている。 [0026] まず、この発明の第 1実施形態を添付図面の図 1〜図 10に基づいて説明する。内装パネル laは、所定の表面形状に形成された例えば合成樹脂製の基材 2に背景となる例えば木目パターンの液圧転写膜である第 1加飾面 3と、文字又は図形の形状を有し、第 1加飾面 3より薄い色調の液圧転写膜である第 2加飾面 9aとを公知の液圧転写処理により形成されてレ、る。この第 1加飾面 3と第 2加飾面 9aとの境界 aには、基材 2の面に比較的弱いパワーの炭酸ガスレーザーによる加工で線状刻 7が形成されている。

[0027] この線状刻 7は、その太さが 70〜： 150ミクロンであり、この内面に、第 1加飾面 3と第 2加飾面 9aの色調より濃い色調を持ったインキ、塗料、充填材などの被覆層 8が形成されている。このように被覆層 8が濃い色調であるとき、仮に製造時に発生したピンホールが目立たないうえ、境界 aが濃いので線状刻 7の立体的認識は確実なものとなる

[0028] しかし、被覆層 8を他の色調、例えば、この被覆層 8は、第 1加飾面 3と第 2加飾面 9 aと同色あるいは白色などにしても良い。同色であっても線状刻 7は立体的に認識されるが、白色など明るい色調にした場合は、境界 aが同色の場合よりも目立って線状亥 IJ 7がより立体的に認識される。被覆層 8は、その材料等により厚みが異なり、線状刻 7内に充填される力、その内面に形成される。そして、最後にカラーコート 10及びトツプコート 11を塗装して疑似象嵌加飾体が形成されて内装パネル laが完成される。上述したように、線状刻 7内に被覆層 8が充填等されることにより、空気が閉じこめられることが少なくなり、後のカラーコート 10やトップコート 11の塗装に際しても気泡の発生で塗装品質等を落とすことがない。または、液圧転写膜の厚みは、：!〜 2ミクロンである。

[0029] 次に、この発明の第 1実施形態である疑似象嵌加飾体の内装パネル laを製造するための製造工程を図 3〜図 6及び図 7〜図 10に基づいて詳細に説明する。

(製造工程 1)

図 3に示すように、内装パネル laとしての所定の形状に形成された合成樹脂製の、ここでは平板状の基材 2に対して第 1次液圧転写処理を施し、木目模様を持った転写フィルム 5から基材 2上に半透明の木目模様を持った第 1加飾面 3を形成する。このことは、図 2で示すように液圧転写処理として公知の技術手法であって、水を入れた転写槽 4に転写フィルム 5を浮遊させた状態において、基材 2を水中に沈め、水圧により転写フィルム 5が基材 2に張り付き、全面的に第 1加飾面 3を形成する。

[0030] (製造工程 2)

図 4に示すように、基材 2の面に形成された第 1加飾面 3上に全面的にマスク材 6でマスキングする。

[0031] (製造工程 3)

図 5に示すように、所定の図形の輪郭を形成する境界 aに沿って、炭酸ガスレーザ一のパワーを調節してレーザー加工により約 70〜： 150ミクロンの幅の線状刻 7をマスク材 6から基材 2中に達するように形成する。次に、マスク材 6上から第 1加飾面 3より濃い色調のインキをヘラでならすように押し込んで線状刻 7の内面に被覆層 8を形成する。この被覆層 8は、図 5に示すよりインキの押し込み量がもっと多く第 1加飾面 3の表面近くまで充填されるようであるならば、空気の入る余地がより少なくなるので、ピンホールなどの発生が少なくなる。

[0032] (製造工程 4)

図 6に示すように、線状刻 7で区画される何れか一方の部分、ここでは図 1の境界 a で囲まれた内側の前記マスク材 6を取り除く。

[0033] (製造工程 5)

図 7に示すように、マスク材 6を取り除いて現出した第 1加飾面 3を取り除き、基材 2 の面を現出させる。この第 1加飾面 3である第 1転写膜を取り除くには、例えば、基材 2を侵さなレ、溶剤で拭き取ったり洗ったり、あるいはビーズブラストで行う。

[0034] (製造工程 6)

図 8に示すように、ちょうどマスク材 6でマスキングした状態の現出させた基材 2の面の部分に、第 2次液圧転写処理によって、第 1加飾面 3の第 1転写膜よりも薄い色調の木目模様を持った半透明の第 2転写膜である第 2加飾面 9aを形成する。この第 2 加飾面 9aは基材 2の面だけでなぐ被覆層 8、マスク材 6の上にも形成される。

[0035] (製造工程 7)

図 9に示すように、残っているマスク材 6をマスク材 6の上に形成されている第 2加飾面とともに取り除いて第 1加飾面 3を現出させ、周辺が線状刻 7に被った半透明の第

2加飾面 9aを第 1加飾面 3の内側に形成している。

[0036] (製造工程 8)

図 10に示すように、第 1加飾面 3と第 2加飾面 9aとの上側全体に、色落ちを阻止するための透視可能な材質からなるカラーコート 10と、表面保護のための透視可能な材質からなるトップコート 11とを順次施す。これによつて、線状刻 7が第 1加飾面 3と第

2加飾面 9aとの間に本物象嵌の突き合わせ状態に見え、疑似象嵌加飾体である内装パネル lbを完成させる。

[0037] 次に、この発明の第 2実施形態を添付図面の図 1〜図 6、図 11〜図 13に基づいて説明する。

図 13に示されるように内装パネル lbは、ほぼ第 1実施形態による内装パネル laと同じで、線状刻 7で区画され、囲まれた内側が第 1加飾面 3と第 2加飾面 9aとが重なつている点で相違する。その他は第 1実施形態と同じであり、説明を省略する。

[0038] 次に、この発明の第 2実施形態である疑似象嵌加飾体の内装パネル lbを製造するための製造工程を詳細に説明する。この製造工程 1〜4は、第 1実施形態の内装パネル laの製造工程と同一であるので、それらの詳しい説明は省略し、製造工程 5以降を図 11〜図 13に基づいて説明する。

[0039] (製造工程 1〜製造工程 4)

]前述の第 1実施形態と同一で、図 6に示すように基材 2の面に被覆層 8が形成された線状刻 7と、線状刻 7で区画された一方、ここでは線状刻 7に囲まれた範囲に第 1カロ飾面 3と、外側の範囲に第 1加飾面 3に重なったマスク材 6が形成されている。

[0040] (製造工程 5)

図 6に示すようにマスキングされた状態で、図 11に示すように、第 2加飾面 9aを形成する。この第 2加飾面 9aには、第 1加飾面 3に形成した例えば第 1転写膜とは異なる色調の木目模様などの第 2転写膜を形成している。この場合、第 1加飾面 3と第 2加飾面 9aとが重なってこの部分は第 1加飾面 3より濃い色調となる。なお、第 1加飾面 3 を薄レ、色の木目模様とし、その上に重なる第 2加飾面 9aを濃レ、色の木目模様にしたとき、下の模様は上に形成した模様で見えなくなる。また、第 2加飾面 9aに半透明の転写膜を用いることにより、被覆層 8を設けた線状刻 7は、第 2加飾面 9aを通して視認できる。

[0041] (製造工程 6)

図 12に示すように、図 11でマスキングしているマスク材 6を剥がし、線状刻 7で区画され、囲まれた外側部分に第 1加飾面 3を現出させる。線状刻 7で区画され、囲まれた内側部分には、第 2加飾面 9aが第 1加飾面 3の上側に形成される。

[0042] (製造工程 7)

図 13に示すように、第 1加飾面 3と第 2加飾面 9aとの上側全体に、色落ちを阻止するための透視可能な材質からなるカラーコート 10と、表面保護のための透視可能な材質からなるトップコート 11とを順次施す。これによつて、線状刻 7が第 1加飾面 3と第 2加飾面 9aとの間に本物象嵌の突き合わせ状態に見え、疑似象嵌加飾体である内装パネル lbを完成させる。

[0043] さらに、この発明の第 3実施形態を添付図面の図 14〜図 22に基づいて説明する。

図 22に示されるように内装パネル lcは、ほぼ第 1実施形態による内装パネル l aと同じで、線状刻 7で区画され、囲まれた内側が第 1加飾面 3であり、外側が第 2加飾面 9aとなっている点で相違する。その他は第 1実施形態と同じであり、説明を省略する

[0044] 次に、この発明の第 3実施形態である疑似象嵌加飾体の内装パネル lcを製造するための製造工程を詳細に説明する。

[0045] (製造工程 1)

図 14および図 15に示す。図 14において、基材 2の面に第 1マスク材 6aでマスキングし、この第 1マスク材 6aに所望の図形または文字等の輪郭を形成する境界 aに沿つてレーザー加工で第 1マスク材 6aの上から基材 2の中に少なくとも少し入る程度にまでカットして線状刻 7を形成する。これにより、第 1マスク材 6aを完全にカットし、次の第 1マスク材 6aの取り除きの際、残すべき側に影響を与えない。この線状刻 7で区画される何れか一方の部分、ここでは線状刻 7で囲まれた内側部分の第 1マスク材 6aを取り除き、例えば図 15のように基材 2の面を現出させる。

[0046] (製造工程 2) 図 16および図 17に示す。図 16に示すように、第 1マスク材 6aが取り除かれ、現出させられた基材 2の面 (線状刻 7を含む）および残っている第 1マスク材 6a上に全体にわたって第 1加飾面 3を形成する。そして、第 1マスク材 6aを取り除き、したがって第 1 マスク材 6a上の第 1加飾面 3も必然的に取り除かれ、図 17に示すように一部に第 1加飾面 3を残し、他は基材 2の面を現出させる。

[0047] (製造工程 3)

図 18および図 19に示す。残っている第 1加飾面 3および基材 2の面上に全体にわたって第 2マスク材 6bを図 18のようにマスキングする。その後、第 2マスク材 6bおよび第 1加飾面 3にその上から既に基材 2上に浅く形成されている線状刻 7に沿ってレーザ一加工で基材 2の中に深く達する線状刻 7を形成する。形成された線状刻 7内に被覆層 8を形成する。

[0048] (製造工程 4)

図 20および図 21に示す。図 19の状態から第 1加飾面 3と第 1加飾面 3上の第 2マスク材 6bとを残して残りの第 2マスク材 6bを取り除き、基材 2の面を現出させ、第 1加飾面 3、線状刻 7および現出している基材 2の面上全面に第 2加飾面 9aを形成し、図 20 のようにする。次に、突出している第 2マスク材 6bを取り除き、結局、第 2マスク材 6b 上の第 2加飾面 9aをも取り除くことになり、図 21のように第 1加飾面 3と第 2加飾面 9a とを面一に形成し、線状刻 7の被覆層 8がー部に現出し、第 1加飾面 3と第 2加飾面 9 aとを区画する。

[0049] (製造工程 5)

図 22に示す。面一にされた第 1加飾面 3と第 2加飾面 9aの上に色落ちを阻止し、第 1加飾面 3および第 2加飾面 9aが見えるように透明あるいは半透明のカラーコート 10 およびトップコート 11を順次施す。これにより線状刻 7が第 1加飾面 3と第 2加飾面 9a との間に本物象嵌の突き合わせ状態に見え、疑似象嵌加飾体である内装パネル lc を完成させる。

[0050] この第 3実施形態の製造方法は、基材 2全体を浸すようなメツキなどに対してより適切である。また、上記各実施形態では、疑似象嵌加飾体を自動車の内装パネルに適用したが、これに限るものではなぐ広く装飾を目的とするものに適用できる。産業上の利用可能性

本発明の疑似象嵌加飾体及びその製造方法は、自動車など乗り物の内装品ゃェンブレム、衝立、机、椅子、飾棚などの家具、盆、茶器、花器などの工芸品、ブローチ、櫛、指輪などの装身具等々広範囲の分野に利用可能である。

Claims

請求の範囲

[1] 基材面にレーザー加工による線状刻が形成され、前記線状刻を境界として第 1加飾面と第 2加飾面とが区画形成され、前記線状刻の内面に被覆層が形成されたことを特徴とする疑似象嵌加飾体。

[2] 請求項 1において、

第 1加飾面および第 2加飾面のそれぞれは、液圧転写膜および金属皮膜のレ、ずれかにより形成されていることを特徴とする疑似象嵌加飾体。

[3] 請求項 2において、

前記金属皮膜は、メツキ、スパッタリング、金属蒸着、銀鏡反応塗装およびイオンプラズマエバポレーシヨンのいずれかであることを特徴とする疑似象嵌加飾体。

[4] 請求項 1において、

前記線状刻は、 70〜： 150ミクロンの幅であることを特徴とする疑似象嵌加飾体。

[5] 請求項 2において、

[6] 基材面に第 1加飾面を形成し、この第 1加飾面上を全面的にマスク材でマスキングした後に、所望の境界にレーザー加工により線状刻を前記マスク材から前記基材中に達するように形成し、前記線状刻の内面に被覆層を形成し、前記線状刻で区画される何れか一方の部分の前記マスク材および第 1加飾面を取り除き、この取り除かれた前記基材面の部分に第 2加飾面を形成し、残っている前記マスク材を取り除き前記第 1加飾面を現出させたことを特徴とする疑似象嵌加飾体の製造方法。

[7] 基材面に第 1加飾面を形成し、この第 1加飾面上を全面的にマスク材でマスキングした後に、所望の境界にレーザー加工により線状刻を前記マスク材から前記基材中に達するように形成し、前記線状刻の内面に被覆層を形成し、前記線状刻で区画される何れか一方の部分の前記マスク材を取り除き、この取り除かれた第 1加飾面の部分上に第 2加飾面を形成し、残っている前記マスク材を取り除き前記第 1加飾面を現出させたことを特徴とする疑似象嵌加飾体の製造方法。

[8] 基材面に第 1マスク材でマスキングし、前記第 1マスク材に所望の境界に沿ってレ一ザ一加工により線状刻を前記第 1マスク材から前記基材中に達するように形成し、前記線状刻で区画される何れか一方の部分の前記第 1マスク材を取り除き、取り除かれた前記基材面および残っている前記第 1マスク材上に第 1加飾面を形成し、前記第 1マスク材および前記第 1マスク材上の前記第 1加飾面を取り除き、残っている前記第 1加飾面および前記基材面上に第 2マスク材をマスキングし、前記第 2マスク材および前記第 1加飾面に前記線状刻位置に沿ってレーザー加工で前記基材中に達する線状刻を再度形成し、前記線状刻内に被覆層を形成し、前記第 1加飾面および前記第 1加飾面上の第 2マスク材を残して残りの前記第 2マスク材を取り除き、前記基材面を現出させ、前記第 1加飾面、前記線状刻および現出させられた前記基材面上に第 2加飾面を形成し、前記第 2マスク材および前記第 2マスク材上の第 2加飾面を取り除いて前記第 1加飾面と前記第 2加飾面とを面一に形成したことを特徴とする疑似象嵌加飾体の製造方法。

請求項 6において、

第 1加飾面および第 2加飾面のそれぞれは、液圧転写膜および金属皮膜のレ、ずれかにより形成されていることを特徴とする疑似象嵌加飾体の製造方法。

請求項 7において、

請求項 8において、

請求項 9において、

前記金属皮膜は、メツキ、スパッタリング、金属蒸着、銀鏡反応塗装およびイオンプラズマエバポレーシヨンのいずれかの方法で形成されることを特徴とする疑似象嵌カロ飾体の製造方法。

請求項 10において、

前記金属皮膜は、メツキ、スパッタリング、金属蒸着、銀鏡反応塗装およびイオンプラズマエバポレーシヨンのいずれかの方法で形成されることを特徴とする疑似象嵌カロ飾体の製造方法。請求項 11において、

前記金属皮膜は、メツキ、スパッタリング、金属蒸着、銀鏡反応塗装およびイオンプラズマエバポレーシヨンのいずれかの方法で形成されることを特徴とする疑似象嵌加飾体の製造方法。