WO2006090541A1

WO2006090541A1 - インクジェット記録装置、インクジェット記録方法及び紫外線硬化性インク

Info

Publication number: WO2006090541A1
Application number: PCT/JP2006/300927
Authority: WO
Inventors: Atsushi Nakajima
Original assignee: Konica Minolta Medical & Graphic, Inc.
Priority date: 2005-02-24
Filing date: 2006-01-23
Publication date: 2006-08-31
Also published as: JPWO2006090541A1

Abstract

　本発明は、水溶媒等を用いない紫外線硬化性のインクにより形成した画像に、フラッシュ光を用いて硬化する場合に生じる画質劣化の問題を解決し、光沢性が高く、濃度や記録媒体への密着性の劣化のない、迅速に高画質画像が得られ、かつブラックなど赤外線吸収が異なるインクを含むカラー画像においても同様に高画質画像が得られるインクジェット記録装置とインクジェット記録方法と、それに用いられる紫外線硬化性のインクを提供する。このインクジェット記録装置は、フラッシュ光源を備えるインクジェット記録装置であって、フラッシュ光源より発せられるフラッシュ光のうち、赤外の波長域の少なくとも一部の光量を減じる手段を有することを特徴とする。

Description

明細書

インクジェット記録装置、インクジェット記録方法及び紫外線硬化性インク技術分野

[0001] 本発明は、新規なインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法とそれに用いられる紫外線硬化性インクに関するものである。

背景技術

[0002] 紫外線により硬化可能なインク画像をインクジェット方式にて形成し、紫外線を照射し記録固定する記録方法が近年開発されており実用化が進んでいる。用いるインク技術としては、 W099/29787, W099/29788, WO97/31071 ,特開平 5— 2 14280号公報、特開 2002— 188025号公報に記載されたものなどが知られている

[0003] 紫外線硬化性インクは、紫外線等の活性光線の照射により記録媒体上で光重合による硬化反応を起こすため、定着することが出来、インクを吸収しない記録媒体、例えばプラスチック表面等にも密着性よく画像を形成することができる。

[0004] しかしながら、支持体 (記録媒体)上にインクを着弾させた後、硬化反応に充分な紫外線照射するには比較的大きな紫外線源が印字部の近傍に必要であり、通常は高圧水銀ランプ等が使用される。また、これらの紫外線源は紫外線を発するのみでなく、可視光、赤外線等を同時に発するため、光源に近い部分はかなり加熱される。従つて、記録ヘッド周辺や、記録媒体の過熱が起こり、それに対する過熱対策等が必要となる。

[0005] 一方、インクジェット記録方式において、フラッシュ光を用レ、る試みは幾つかなされている。例えば、特許文献 1においては、インクジェット記録方式において、インクの乾燥を速める為にフラッシュ光を用いることが記載されている。

[0006] また、特許文献 2には、水をベースとした軟質ポリ塩ィ匕ビニル樹脂のようなプラスチック樹脂に親和性が高い閃光硬化性のインクジェットインクが記載されており、フラッシュ露光によりインクの硬化を行っている。

[0007] し力ながら、特許文献 1においては、この方式に適したインク組成や特性についての記載はなぐ通常の水系インクや溶剤インクなど、溶媒を主体としたインクに対して、フラッシュ光源を用いて溶剤の乾燥 ·蒸発を速めようとするものである。この場合、インクの乾燥 ·蒸発（水、或いは溶媒の蒸発）には、相当量の熱量が必要であり、フラッシュ光源は、多大な照射回数が必要となる。

[0008] 特許文献 2については、水を含有する紫外線硬化性のインクを用い、フラッシュランプを複数回照射することにより、塩化ビュルなどの軟質なプラスチックフィルム支持体に密着性よく画像を形成する提案がなされている。フラッシュ露光により、通常の高圧水銀灯を用いるより、支持体への発熱量を抑えると共に、親水性で塩化ビニルを軟化させる能力のあるモノマーを配合させ定着性のよいインクを得ている。紫外線硬化性のインクであるため、溶剤である水の蒸発に必要な熱量を要することなくインクを支持体上に定着させることが可能であるとともに、フラッシュ光源による短時間露光であること力ら、支持体への熱拡散を抑えつつ支持体の極表面にエネルギーを与えることができるため、熱変形しやすいプラスチックフィルムなどにおいても、インク中の水分を蒸発させるには有効であると思われる。

[0009] し力ながら、前記の水を含有する紫外線硬化性のインクにおいては、残留する水分の除去には非常に大きな熱量を要する為、フラッシュ露光だけでは、水分が残り充分な画像耐久性を得ることは難しい。また、水分などの溶剤は瞬時の硬化のため気化が間に合わず、硬化膜中に残留し膜物性を低下させる。一度重合した膜から溶剤を除去するには多大な熱量を必要とする。

特許文献 1 :特開 2000— 272101号公報

特許文献 2：特表 2001— 512777号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0010] 水溶媒等を用いない紫外線硬化性のインクをフラッシュ光を用いて硬化する場合には、溶媒を蒸発させる必要がなくなる。し力ながら、実際に行ってみると、フラッシュランプの発光エネルギーは大きぐその発光波長は可視部領域以上にも亘つているために、別の問題を生じ、その解決策が必要であることが判ってきた。

[0011] 水分を含まない紫外線硬化性のインクは、熱容量および蒸発潜熱の大きい水分がないため、フラッシュ光源に含まれる赤外線成分を吸収すると、インク液滴が加熱により変形あるいはインクの成分が蒸発し、画質が劣化する。特にブラックインクは光吸収効率が高いため、インク液が硬化する前後で過熱によりインクの対流、モノマーの沸騰などを生じてしまい、これにより、光沢性の低下、濃度低下、密着性の低下等を招き、画質劣化を起こす度合いが大きい。

[0012] 即ち、発明者の検討では、フラッシュランプの発光は可視部から赤外部にも亘つているため、フラッシュ光により短時間に大きな光エネルギーを与えることで、インク液滴の過熱を引き起こす。これらの熱ネルギ一は光重合が加速されるのに費やされるのが好ましいが、フラッシュ光のエネルギーが、極めて大きいと、インクの加熱速度とインク内部への熱伝達 (熱対流）とのバランスが崩れ、インク表面のみ局部的に過熱状態となり沸騰、或いは、過度の熱対流による、硬化膜のしわ発生や色のむら等を引き起こすと考えられ画質を低下させるという問題を生じた。特に赤外線を強く吸収するブラックインクと、吸収の小さいカラーインクを混在させると全色について同等の紫外線硬化感度を持たせながら、赤外線吸収による画質の劣化を抑えることが大変困難であることがわかった。

[0013] 本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、水溶媒等を用いない紫外線硬化性のインクにより形成した画像に、フラッシュ光を用いて硬化する場合に生じる画質劣化の問題を解決し、光沢性が高ぐ濃度や記録媒体への密着性の劣化のない、迅速に高画質画像が得られ、かつブラックなど赤外線吸収が異なるインクを含むカラー画像においても同様に高画質画像が得られるインクジェット記録方法とインクジェット記録装置と、それに用レ、られる紫外線硬化性のインクを提供するものである。

課題を解決するための手段

[0014] 本発明の上記目的は、下記構成により達成された。

[0015] 1.フラッシュ光源を備えるインクジェット記録装置であって、フラッシュ光源より発せられるフラッシュ光のうち、赤外の波長域の少なくとも一部の光量を減じる手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。

[0016] 2.前記赤外の波長域の光量を減じる手段力 800〜1100nmの波長域の光量を 1/2以下に減じる手段であることを特徴とする前記 1に記載のインクジェット記録装置。

[0017] 3.記録媒体上に、紫外線硬化性インクを着弾させ、その後にフラッシュ光源から発せられるフラッシュ光を用いて硬化'定着させるインクジェット記録方法であって、該フラッシュ光が、赤外光波長域の少なくとも一部の光量が減じられたものであることを特徴とするインクジェット記録方法。

[0018] 4.前記フラッシュ光力 800〜： l lOOnmの波長域の光量が 1/2以下に減じられたものであることを特徴とする前記 3に記載のインクジェット記録方法。

[0019] 5.前記フラッシュ光の、波長域 800〜： l lOOnmにおける光量（B)と、波長域 250

〜450nmにおける光量 (A)の比（BZA)力 1 2より小さいことを特徴とする前記 3 または 4に記載のインクジェット記録方法。

[0020] 6.前記紫外線硬化性インク中の水および水溶性溶剤の総含有量が、紫外線硬化性インクの総質量の 5質量％以下であることを特徴とする前記 3乃至 5のいずれか 1 項に記載のインクジェット記録方法。

[0021] 7.赤外吸収能が異なる 2種以上の紫外線硬化性インクを用いて画像形成することを特徴とする前記 3乃至 6のいずれか 1項に記載のインクジェット記録方法。

[0022] 8.前記 3乃至 7のいずれか 1項記載のインクジェット記録方法に用いられることを特徴とする紫外線硬化性インク。

[0023] 9.水および水溶性溶剤の総含有量が、紫外線硬化性インクの総質量の 5質量％以下であることを特徴とする前記 8に記載の紫外線硬化性インク。

発明の効果

[0024] 本発明により、紫外線硬化性インクをフラッシュ光を用いて硬化する場合に生じる画質劣化の問題を解決し、光沢性が高ぐ濃度や記録媒体への密着性の劣化のなレ、、迅速に高画質画像が得られ、かつブラックなど赤外線吸収が異なるインクを含むカラー画像においても同様に高画質画像が得られるインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法と、それに用いられる紫外線硬化性インクを提供することができた図面の簡単な説明 [0025] [図 1]フラッシュ光源の発光スペクトル図。

[図 2]本発明に係るインクジェット記録装置要部の構成の一例を示す正面図。

[図 3]インクジェット記録装置のその他の一例を示す概略図。

符号の説明

[0026] 1 記録装置

2 ヘッドキャリッジ

3、 19 記録ヘッド

4、 24 フラッシュ光 ¾!

5 プラテン部

6 ガイド部材

20 記録媒体

41 赤外光カットフィルター

発明を実施するための最良の形態

[0027] 次に、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。

[0028] 本発明におレ、ては、紫外線硬化性インクを用い、該紫外線硬化性インクを記録媒体上に着弾させた後、紫外線の照射により硬化して、画像を形成するものであるが、紫外線硬化性インクを硬化するための紫外線源として、フラッシュ光源を用いるものであり、短時間に紫外線硬化性インクの硬化をおこない、記録媒体上に定着するものである。

[0029] 本発明者は、上記課題について鋭意検討を行った結果、記録媒体上に、着弾したインク液滴あるいは形成されたインクジェット画像の過熱を引き起こさなレ、ために、赤外線を減じたフラッシュ光源を用いて硬化させることにより、前記のフラッシュ光による定着の欠点であるインク或いはインク表面の過熱による、沸騰、蒸発、またインク内部との過度の対流による色ムラを生ぜしめることなぐ画像の定着を行うことができることを見出したものである。

[0030] 以下、本発明の詳細について説明する。

[0031] 〔フラッシュ光源〕本発明に係るフラッシュ光源としては、特に制限はないが、例えば、キセノンフラッシュ等が代表的である。紫外線を効率的に用いるためには、光源ランプの管面およびフィルタ一は紫外線透過性のものを用いることが好ましい。前述のようにフラッシュ光源は、一般的には lmsec以下の短時間発光であり、フラッシュ光は、単位面積あたり'単位時間あたりのエネルギー量、即ち、照度が非常に大きい。また、これらのフラッシュ光には、紫外線硬化性インクの重合反応 (硬化反応）に主に寄与する紫外線成分以外にも、可視光〜赤外領域の光も含み、これらの照射光はインクあるいは記録媒体に吸収されることになり、その結果、インクの過熱により、インクが沸騰 (弾ける )したり、あるいはモノマー成分が蒸発して飛散する等の問題を引き起こす。

[0032] インク液滴に、高照度の赤外光を短時間に過度のエネルギーが与えると、赤外光は主にインクの表面領域で吸収されて熱に変換され、かつ、熱エネルギーの内部への拡散はフラッシュ光の照射時間より比較的ゆっくりとしたプロセスであるため、インクの厚み (数 μ m〜十数 μ mの範囲である）方向における熱拡散が充分に起こらずに、その結果、インク表面が過度に加熱され、インク表層部での沸騰、モノマー蒸発等の問題を引き起こす。また、インク表面と内部の温度差に伴い、過度の対流が起こることで、形成した画像のインク濃度ムラや硬化シヮ等を引き起こす。

[0033] 本発明に係るフラッシュ光源の分光発光スペクトルは、例えば、図 1に示す如ぐ紫外線領域の他に赤外光領域にも大きな発光光量を有している。本発明に係る赤外線を減じたフラッシュ光とは、フラッシュ光源から発光された光のうち、 800〜： 1100η mの波長範囲の光を 1/2以下に減じた光をいう。更に、波長域 800〜1100nmにおける光量（B)と、波長域 250〜450nmにおける光量 (A)との比（B/A)が、 1/2 より小さいフラッシュ光にしたものであることが特に好ましい。

[0034] 本発明において、上記の様なフラッシュ光の分光エネルギー測定には、例えば、〇 L一 745紫外一可視一近赤外放射輝度測定器 (旭光通商 (株)社製)を用レ、て測定すること力 Sできる。具体的には、 OL— 745— PMTと〇L— 745— Siで測定した分光スペクトルを合成する。

[0035] 本発明のインクジェット記録装置においては、赤外の波長域の少なくとも一部の光量を減じる手段を有することを特徴とするが、その具体的な手段としては特に制限はないが、可視光領域や赤外光領域の光をカットするフィルターを適用することが好ましぐ可視光領域や赤外光領域の光をカットするフィルタ一としては、例えば、色ガラスフィルター、誘電体膜フィルター、干渉フィルタ一等の各種光学フィルターを適宜用いることができる。特に、熱線吸収ガラスに誘電体膜フィルターをコートしたコールドフィルターが好ましレ、。これらのコールドフィルタ一としては、例えば、シグマ光機株式会社から市販されているものを利用することができる。また、全光量を制御する場合には、 NDフィルターを用いることができる。

[0036] 本発明においては、赤外線を減じたフラッシュ光の発光エネルギーとしては、 0. 1 〜10j/cm² (lフラッシュあたり）の範囲で、またフラッシュ光の発光時間は 0. 5〜5 msとするのが好ましい。

[0037] 本発明に用いられるフラッシュランプとしては、キセノンフラッシュランプが一般的で、キセノン矩形パルス光源等でもよぐ 0. 5msec〜lmsecのものがよレ、。また、各種のストロボ発光源も用いることができる。例えば、キセノンフラッシュランプは、ガラス管に Xeガス等を封入し、ガラス管両端に主電極を、管壁にトリガー電極を備えた放電灯であって、フラッシュ電源部から主電極間に所定の電圧が印加された状態でトリガ一電極にトリガー電圧が印加されると、管内の絶縁が破れて一気に主電極間の主放電を開始し、所定の期間、紫外線〜赤外線領域において閃光を発するものであり、短時間に高照度の発光が得られる。

[0038] フラッシュ光の発光強度は、一般的には、 1フラッシュあたりのランプ入力電力が大きくなると発光時間は長くなり、小さくなると短くなるが、充分なインクの硬化が起こる様にある程度の発光強度をもち、かつ発光時間を比較的長めにとるには、最適のフラッシュ光源を選択する必要がある。また、特開 2001— 142347号公報に記載された様に、フラッシュ光源及びその駆動回路を、入力電力を確保しつつ、フラッシュ光の発光時間を比較的長く設定できるよう、例えば、フラッシュランプ、充電コンデンサの容量、充電電圧等、回路の工夫によって発光時間を制御する方法でもよい。

[0039] これらのフラッシュランプとしては、キセノンフラッシュが代表的である力例えば、浜松フォト二タス (株)製のキセノンランプ、日進電子工業 (株)製のキセノンランプ SXC — 150L等、また、ミヤタエレバム (株）製のコピー機、プリンタ用硬質ガラス製キセノンフラッシュランプ、ノ仆ライト (株)製の XZシリーズが利用できる。

[0040] 〔紫外線硬化性インク〕

本発明に係る紫外線硬化性インクにおいては、インク中の水および水溶性溶剤の総含有量は 5. 0質量％以下であることが好ましい。インク中に水分や水溶性溶剤の量が多く含まれると、インク硬化後もこれらの溶剤が残留し、画像の耐久性が劣化する。加えてインク硬化後ではモノマーがポリマー化しているため、溶剤の拡散性は低下し、揮発させるには多大の熱量を要するため、インク中の水分や水溶性溶剤の含有量が少なレ、ことが好ましレ、。

[0041] なお、インク中に水および水溶性溶剤を添加する場合は、 5. 0質量％以下にするとともに、フラッシュ光を露光する前に、事前にインクを加熱して脱溶剤処理を施すことが好ましい。

[0042] 本発明でレ、う水溶性溶剤とは、水と自由に混合するあるいは水に対して 25°Cにおいて 10質量％以上の溶解度を有する重合性のない溶剤類であり、例えば、アルコール類、アセトン類、エチレングリコール類等が挙げられる。

[0043] 紫外線硬化型インクのタイプとしては、その反応機構によりラジカル重合性とカチォン重合性の 2タイプがあり、本発明においては双方のタイプを用いることができる。しかし、フラッシュ光のように短時間照射における反応性の観点から、重合速度の速いラジカル重合性化合物を用いた紫外線硬化型インクが好ましレ、。

[0044] ラジカル重合性のインクは酸素による硬化阻害がある力 S、本発明の如くフラッシュ光にて短時間高照度露光を行うと、飛躍的に感度を高めることができる。好ましくは、照度は発光時間（半値幅）当たりの入射光エネルギーの平均値が 250W/cm²以上であり、更に好ましくは 500W/cm²である。照度を高めることにより、酸素阻害が低減し、硬化速度を上げることができる。ただし、単純に照度を上げようとすると、赤外光の強度も大きくなり、特にブラック画像形成などでは過熱現象を起こして画質が低下する。

[0045] 本発明に係る紫外線硬化性インクは、光重合性化合物、光重合開始剤等の光重合性組成物に、分散剤、色材及び適宜その他の添加剤を配合、分散して調製される [0046] 重合性化合物ののうち、ラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平 7— 1599 83号公報、特公平 7— 31399号公報、特開平 8— 224982号公報、同 10— 863号公報に記載の化合物を挙げることができる。

[0047] ラジカル重合性を有する化合物としては、具体的には、脂肪族系（メタ）アタリレート、脂環式系（メタ）アタリレート、芳香族系（メタ）アタリレート、エーテル系（メタ）アタリレート、ビュル系モノマー、（メタ）アクリルアミド類等を挙げることができる。尚、（メタ）ァタリレートは、アタリレート、メタアタリレートの何れかを少なくとも 1種類含有するものを意味する。

[0048] ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、ァクリル酸、メタクリル酸、ィタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和力ルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドゃ無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。

具体的には、 2—ェチルへキシルアタリレート、 2—ヒドロキシェチルアタリレート、ブトキシェチルアタリレート、カノレビトーノレアタリレート、シクロへキシルアタリレート、テトラヒドロフルフリルアタリレート、ベンジルアタリレート、ビス（4—アタリロキシポリエトキシフエニル）プロパン、ネオペンチルグリコールジアタリレート、 1, 6—へキサンジオールジアタリレート、エチレングリコールジアタリレート、ジエチレングリコールジアタリレート、トリエチレングリコールジアタリレート、テトラエチレングリコールジアタリレート、ポリエチレングリコールジアタリレート、ポリプロピレングリコールジアタリレート、ペンタエリスリトーノレトリアタリレート、ペンタエリスリトールテトラアタリレート、ジペンタエリスリトールテトラアタリレート、トリメチロールプロパントリアタリレート、テトラメチロールメタンテトラアタリレート、オリゴエステルアタリレート、 N—メチロールアクリルアミド、ジアセトンァクリノレアミド、エポキシアタリレート等のアクリル酸誘導体；メチルメタタリレート、 n—ブチノレメタタリレート、 2 _ェチルへキシルメタタリレート、ラウリノレメタタリレート、ァリルメタクリレート、グリシジルメタタリレート、ベンジルメタタリレート、ジメチルァミノメチルメタタリレート、 1 , 6—へキサンジォーノレジメタクリレート、エチレングリコーノレジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタタリレート、ポリエチレングリコールジメタタリレートポリプロピレングリコールジメタタリレート、トリメチロールェタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタタリレート、 2, 2—ビス（4—メタクリロキシポリエトキシフエニル）プ口パン等のメタクリル酸誘導体；その他、ァリルグリシジルエーテル、ジァリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のァリル化合物の誘導体が挙げられ、更に具体的には、山下晋三編「架橋剤ハンドブック」，（1981年大成社）；加藤清視編「UV'EB硬化ハンドブック (原料編)」，（1985年、高分子刊行会）；ラドテック研究会編「UV'EB硬化技術の応用と巿場」 79頁，（1989年、シーエムシー）；滝山栄一郎著「ポリエステル樹脂ハンドブック」，（1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品又は業界で公知のラジカル重合性ないし架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。

[0049] 紫外線硬化性インクへのラジカル重合性化合物の添加量は、インク全質量に対し、好ましくは 1〜97質量％であり、より好ましくは 30〜95質量％である。

[0050] 本発明において、色材としては、前記光重合性化合物に溶解または分散できる色材が使用できる力耐候性の点から顔料が好ましレ、。

[0051] 本発明で好ましく用いることのできる顔料は、特開 2004— 131588号公報の段落番号（0086)に挙げられている。

[0052] 上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。また、顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、高分子分散剤を用いること力 S好ましく、これらの具体例としては、同様に前記特開 2004— 131588号公報の段落番号 (0088)〜（0093)に記載の分散剤、分散助剤が挙げられる。

[0053] これらの分散剤および分散助剤は、顔料 100質量部に対し、：!〜 50質量部添加することが好ましい。顔料の分散は、溶剤または重合性化合物を用いて行うが、耐溶剤性の劣化、残留する溶剤の揮発による悪影響等を考慮すると、本発明に係る紫外線硬化性インクでは、インク着弾直後に短時間に反応 *硬化させるため、分散媒体として、水または水溶性溶剤の含有量は、 5質量％以下であること、更には、無溶剤であることが好ましい。よって、分散媒体は溶剤ではなく重合性化合物、その中でも最も粘度の低レ、モノマーを選択することが分散適性上好ましレ、。

[0054] 顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を 0· 08-0. 5 _β mとすることが好ましぐ最大粒径は 0. 3〜： 10 μ ΐη、好ましくは 0. 3〜3 μ ΐηとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件は適宜設定される。この粒径管理によって、インクジエツト記録ヘッドのノズノレ詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化の感度を維持することができる。

[0055] 本発明に係る紫外線硬化性インクにおいては、色材量は、インク全体の 1質量％〜 10質量％であることが好ましい。

[0056] 本発明においては、硬化反応をより効率的に行うために、光重合開始剤を添加して硬化させる。光重合開始剤とは、ラジカル発生剤であり、ラジカル発生剤は分子内結合開裂型と分子内水素引き抜き型の 2種に大別できる。

[0057] これらラジカル発生剤として、例えば、特開 2004— 131588号公報の段落番号（0 073)〜（0074)に記載の化合物が挙げられる。

[0058] その添加量は、通常、インク組成物中の 0. 01〜： 10. 00質量％の範囲が好ましい。

しかし、本発明においては、フラッシュ光による高照度露光を行うため、通常の光重合開始剤の添加量では反応開始点が増え、結果として重合度が低下するのを防ぐため、光重合開始剤（ラジカル発生剤）の添カ卩量を、インク組成物中の 0. 01〜3. 0 質量％の範囲とするのがより好ましレ、。

[0059] また、本発明に係る紫外線硬化性インクは、紫外線の照射により硬化するが、硬化反応をより効率的に行うため、光増感剤を併用することもできる。そのような光増感剤としては、特開 2004— 131588号公報の段落番号（0085)に記載の化合物を挙げること力 Sできる。光増感剤の使用量は、インク組成物中 0. 01〜10. 0質量％、さらに好ましくは 0. 01〜3. 0質量％の範囲である。

[0060] 本発明に係る紫外線硬化性インクは、これらの成分の他にも、必要に応じて界面活性剤、レべリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を含有すること力 Sできる。

[0061] また、インク中には、熱や活性光線による重合を抑制する重合禁止剤を添加することも好ましい。重合禁止剤としては、各種酸化防止剤 (AO剤）、ニトロソァミン系化合物、ハイドロキノン系化合物を添カ卩することが好ましい。具体的には、例えば、 MEH Q (P—メトキシフエノール）を用いることができる。

[0062] これらの重合禁止剤の過剰添加は、インクの感度を低下させる要因となるため、ィンクとしての保存安定性を維持しつつ、顔料分散時の重合を防止できる量を適宜設定して配合することが望ましレ、。インク中の重合禁止剤の量は、 200〜20， OOOppm が好ましい。

[0063] なお、紫外線によるインク硬化後の記録媒体 (基材、支持体ともいう）に対する密着性を改善するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。この場合、耐溶剤性や V〇Cの問題が起こらない範囲での添カ卩が可能である力できるだけ使用しなレ、ほうが好ましレ、。必要な場合は、添加量として 0.：!〜 5。/₀が好ましぐより好ましくは 0. 1〜3%である。

[0064] また、インク中の色材による遮光効果に起因する感度低下を防ぐ手段として、開始剤寿命の長いカチオン重合性化合物と開始剤とを組み合わせ、ラジカル'カチオンのハイブリッド型硬化インクとすることも可能である。

[0065] 本発明のインクジェット記録方法においては、本発明の目的効果をいかんなく発揮できる観点力ら、赤外吸収能が異なる 2種以上の紫外線硬化性インクを用いて画像形成することが好ましい。この様に 2種以上の赤外吸収能が異なる紫外線硬化性インクで、例えば、 2次色やブラック画像を形成した場合、インクの色によって赤外吸収能が異なるため、均一な紫外線硬化性を得るためには、インクの発熱ムラを引き起こし、高画質の画像を得ることが難しかったが、本発明で規定する赤外の波長域の少なくとも一部の光量を減じる手段を有するフラッシュ光源を適用することにより、高品位画像をえることができる。

[0066] 本発明でレ、う赤外吸収能が異なる 2種以上の紫外線硬化性インク種としては、例えば、イェロー濃インク、マゼンタ濃インク、シアン濃インク、ブラックインク、ホワイトインク、イェロー淡インク、マゼンタ淡インク、シアン淡インク、オレンジインク、グリーンインク、透明インク等を挙げることができる。

[0067] 〔紫外線硬化性インクの製造方法と特性〕本発明に係る紫外線硬化性インクの製造方法において、染料や顔料等の色材を混合する方法として特に限定はされないが、例えば、顔料の混合については、色材である顔料と、媒体としての重合性化合物、溶剤或いは高分子分散剤等を用い、更に必要な添加剤を混合し、これらを混合、分散することにより行われる。混合分散装置としては、例えば、前述のボールミル、サンドミル等各種のミル、ホモジナイザー等の分散機を挙げることができる。

[0068] 本発明に係る紫外線硬化性インクは、着弾後に記録媒体上でドットが適度にレベリングするように、また、密着性を得るために、 25°Cにおける粘度が 15〜500mPa' s、また、表面張力が 22〜38mNZmの範囲であることが好ましぐ更に好ましくは 24〜 35mNZmの範囲であることが好ましレ、。

[0069] 更に、インク出射時のインク粘度を 6〜20mPa' sとなるよう、加温により温度制御すること力 S、インクジェット記録の観点で好ましい。

[0070] 本発明に係る紫外線硬化性インクのインクジェット記録ヘッドからの吐出条件としては、記録ヘッド及びインクを 35〜： 100°Cに加熱し、その温度範囲に加熱したインクを吐出することが吐出安定性の点で好ましい。紫外線硬化性インクは、温度変動による粘度変動幅が大きぐ粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度を上げながらその温度を一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅としては、設定温度 ± 5°C、好ましくは設定温度 ± 2°C、更に好ましくは設定温度 ± 1°Cである。

[0071] また、本発明では、インクジェット記録ヘッドの各ノズルより吐出するインクの液滴量力 ¾〜40plであることが好ましい。高精細画像を形成するためには、インク液滴量がこの範囲であることが必要である。

[0072] 〔記録媒体〕

本発明のインクジェット記録方法で用いることのできる記録媒体としては、例えば、上質紙、コート紙などの印刷用紙のほかに、非吸収性支持体を用いることができるが、記録媒体として非吸収性支持体を用いることが好ましい。

[0073] 本発明においては、非吸収性支持体としては、各種非吸収性のプラスチック及びそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート（PET)、延伸ポリスチレン（OPS)、延伸ナイロン（〇Ny)、延伸ポリプロピレン (OPP)、ポリ塩化ビエル（PVC)、各種ポリオレフインフィルム、 PEフィルム、 TACフィノレムを挙げること力 sできる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、 ABS、ポリアセタール、 PVA、ゴム類などが使用できる。また、金属類や、ガラス類にも適用可能である。これらの記録材料の中でも、特に熱でシュリンク可能な、 P ETフィルム、〇PSフィルム、〇PPフイノレム、〇Nyフィルム、 PVCフィルムへ画像を形成する場合に本発明の構成は、有効となる。これらの記録媒体は、インクの硬化収縮、硬化反応時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいばかりでなぐインク膜が記録媒体の収縮に追従し難レ、。

[0074] 本発明のインクジェット記録方法において、本発明に係る赤外波長域の光量を減じたフラッシュ光の照射条件として、インク着弾後 0. 001-2. 0秒の間にフラッシュ光が照射されることが好ましぐより好ましくは 0. 001〜： 1. 0秒である。インクのビーディング、記録媒体への滲みなどを防ぎ、高精細な画像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早いことが特に重要となる。フラッシュ光は、好ましくは複数回照射を行い、充分な硬化を施すことが好ましい。

[0075] これによると、記録ヘッドユニットの近傍に高圧水銀ランプ等の光源を設けたものに比べ、短時間で、記録媒体またプラテン等、ヘッド周辺の部材に対し、不要な加熱をすることなぐ短時間で、効率のよいインク定着を行うことができる。また、本発明に係るフラッシュ光源は、高圧水銀ランプに比べ安価で、低質量というメリットがある。

[0076] 〔インクジェット記録装置〕

次いで、本発明のインクジェット記録装置（以下、単に記録装置という）について、図面を適宜参照しながら説明する。尚、図面の記録装置はあくまでも本発明で好ましく用いることができる記録装置の一態様であり、本発明では、ここで例示する記録装置の図面に限定されない。

[0077] 図 2は、本発明で用いることのできるインクジェット記録装置で、シリアルプリント方式で用いる要部構成の一例を示す正面図である。記録装置 1は、ヘッドキャリッジ 2、記録ヘッド 3、照射手段としてのフラッシュ光源 4、プラテン部 5等を備えて構成される。この記録装置 1は、記録媒体 20の下にプラテン部 5が設置されている。フラッシュ光源 4の発光部前面には、赤外線領域の光量を減ずるための赤外光カットフィルター 4 1、例えば近赤外線を反射し、可視光以下の波長を持つ光を透過するコールドフィルターが設置されている。

[0078] プラテン部 5は、紫外線を吸収する機能を有しており、記録媒体 20を通過してきた余分な紫外線を吸収する。その結果、高精細な画像を非常に安定に再現できる。

[0079] 記録媒体 20は、ガイド部材 6に案内され、搬送手段（図示せず）の作動により、図 2 における手前から奥の方向に移動する。ヘッド走查手段（図示せず）は、ヘッドキヤリッジ 2を図 2における Y方向に往復移動させることにより、ヘッドキャリッジ 2に保持された記録へッド 3の走查を行う。

[0080] ヘッドキャリッジ 2は記録媒体 20の上側に設置され、記録媒体 20上の画像印刷に用いる色の数に応じて後述する記録ヘッド 3を複数個、吐出口を下側に配置して収納する。ヘッドキャリッジ 2は、図 2における Y方向に往復自在な形態で記録装置 1本体に対して設置されており、ヘッド走査手段の駆動により、図 2における Y方向に往復移動する。

[0081] 尚、図 2ではヘッドキャリッジ 2がイェロー（Y)、マゼンタ（M)、シアン（C)、ブラック（ K)の記録ヘッド 3を収納するものとして描図を行っている力実施の際にはヘッドキャリッジ 2に収納される記録ヘッド 3の色数は適宜決められるものである。

[0082] 記録ヘッド 3は、インク供給手段（図示せず）により供給された本発明に係る紫外線硬化性インクを、内部に複数個備えられた吐出手段（図示せず）の作動により、吐出口から記録媒体 20に向けて吐出する。記録ヘッド 3により吐出される紫外線硬化性ィンクは色材、光重合性組成物を含んでおり、紫外線の照射を受けることで、重合反応によって硬化する性質を有する。

[0083] 記録ヘッド 3は、記録媒体 20の一端からヘッド走查手段の駆動により、図 2における Y方向に記録媒体 20の他端まで移動するという走査の間に、記録媒体 20における一定の領域 (着弾可能領域）に対して、活性光線硬化型のインクをインク滴として吐出し、該着弾可能領域にインク滴を着弾させる。

[0084] 上記走查を適宜回数行い、 1領域の着弾可能領域に向けて活性光線硬化型のィンクの吐出を行った後、搬送手段で記録媒体 20を図 2における手前から奥方向に適宜移動させ、再びヘッド走査手段による走査を行ないながら、記録ヘッド 3により上記着弾可能領域に対し、図 2における奥方向に隣接した次の着弾可能領域に対して活性光線硬化型のインクの吐出を行う。

[0085] 上述の操作を繰り返し、ヘッド走查手段及び搬送手段と連動して記録ヘッド 3から活性光線硬化型のインクを吐出することにより、記録媒体 20上に活性光線硬化型のインク滴の集合体からなる画像が形成される。

[0086] 本発明において、フラッシュ光源 4としては、キセノンフラッシュの様なフラッシュランプが好ましい。

[0087] フラッシュ光源 4は、ヘッドキャリッジ 2の両脇に、記録媒体 Pに対してほぼ平行に、固定して設置される。ヘッドキャリッジ 2の Y方向への走查（主走查）に伴って、記録へッドからインクが吐出されると、記録媒体上に吐出されたインク滴は、キャリッジの移動方向とは反対側のフラッシュ光源 4により順次、間欠的にフラッシュ光照射をうけることで硬化する。インク吐出部のフラッシュ光強度は、フラッシュ光源 4と記録媒体 20の距離により調整することができる。また、記録ヘッド 3とフラッシュ光源 4の間隔によりフラッシュ光照射のタイミングを調整できる。

[0088] フラッシュ光源は間欠的に照射することになるので、記録ヘッドが記録媒体上を単位時間当たりに進む距離に対し、フラッシュ露光幅 Xフラッシュ周期力以上（即ち、走査距離 (インク着弾領域)を少なくとも 1回のフラッシュ (複数回のフラッシュでカバ一してもよい）でカバーできるようにする）となる設定とする。好ましくは 2以上。この条件はシリアル、ライン、ドラムのいずれの記録方式でも適用する。

[0089] インクが記録媒体に着弾前にフラッシュ光照射を受け、その際、硬化が起こらないように、インク吐出部の照度を抑制するためには、記録ヘッド 3全体を遮光したり、更に加えて、フラッシュ光源と記録媒体 20の距離 hiより、記録ヘッド 3のインク吐出部 3 1と記録媒体 20との距離 h2を大きくしたり（hl <h2)、記録ヘッド 3とフラッシュ光源 4 との距離 dを離したり（dを大きく）して調整することが有効である。又、記録ヘッド 3とフラッシュ光源 4の間を蛇腹構造 7にしてもよい。

[0090] 以上、シリアルプリント方式においては、記録ヘッドから吐出されたインクは、キヤリッジの Y方向への走查により、キャリッジに付設されたフラッシュ光源 4から、インク着弹後 0· 001 -2. 0秒、より好ましくは 0· 001-1. 0秒の間にフラッシュ光が照射される。高精細な画像が形成されるためには、照射タイミングができるだけ早いことが重要であり、また、高速の印字（印画）の場合、キャリッジの移動が速ぐ充分な照射ェネルギ一が得られない場合、複数回のフラッシュとなるよう、フラッシュのタイミング、周期、又フラッシュ露光幅 (主走査幅方向の照射範囲）を調整する。

[0091] 以上の様に、図 2においては、シリアルプリント方式を例として説明した力そのほかにも、図 3に示すような各インクジヱット記録方式のインクジェット記録装置を用いること力 Sできる。

[0092] 図 3において、図 3の a)は、記録ヘッド 19を記録媒体 20の幅手方向に配置し、記録媒体を搬送しながら印字及びフラッシュ光源 24よりフラッシュ光を照射する方法 (ラインヘッド方式）であり、図 3の b)は、記録ヘッド 19が副走查方向に移動しながら印字し、更にフラッシュ光源 24よりフラッシュ光を照射する方法 (フラットヘッド方式)であり、図 3の c)は、上記説明した記録ヘッド 19が記録媒体上の幅手方向を走査しながら印字し、更に両端に設けたフラッシュ光源 24よりフラッシュ光を間欠的に照射する方法（シリアルプリント方式）であり、 V、ずれの方式も用いることができる。

実施例

[0093] 以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、文中特に断りがない限り「部」とは「質量部」を表す。

[0094] 実施例 1

以下に従って、インクジェットインクを調製した。

[0095] 《インクジェットインクの調製》

〈インク 1 (シアン)の調製〉

C. I. pigment Blue 15 : 3 5部

テトラエチレングリコールジアタリレート 43部

ε力プロラタタム変性ジペンタエリスルトールへキサアタリレート 20部フエノキシェチルメタアタリレート 30部

重合開始剤 (ィルガキュア一 907：チバガイギ一社製） 2部

〈インク 2 (マゼンタ）の調製〉 C. I. pigment Red 57 : 1 5部

テトラエチレングリコールジアタリレート 43部

ε力プロラタタム変性ジペンタエリスルトールへキサアタリレ -ト 20部フエノキシェチルメタアタリレート 30部

重合開始剤 (ィルガキュア一 907：チバガイギ一社製） 2部

〈インク 3 (イェロー）の調製〉

C. I. pigment Yellow— 13 5部

テトラエチレングリコールジアタリレート 43部

重合開始剤 (ィルガキュア一 907：チバガイギ一社製） 2部

〈インク⁴ (ブラック）の調製〉

カーボンブラック 5部

テトラエチレングリコールジアタリレート 43部

重合開始剤 (ィルガキュア一 907：チバガイギ一社製） 2部作製した各インク 1〜4について、前記図 2で示される装置に装着し、以下のようにして印字テストを行った。印字テストは、それぞれ前記図 2で示されるインクジェット記録ヘッドを用いて、駆動周期 4kHzで 1周期当たり 4plの液滴を 4ドロップ連続出射することで 5階調を表現可肯に設定し行レヽ、 720dpi X 720dpi (dpiとは、 2. 54cm当たりのドット数である）で、 4パス記録を行った。インク流路、インク室およびノズノレはヒーターによって加熱しインク液温を 55°Cに制御して行った。

[0096] 記録媒体としては王子油化合成紙 (株)製ュポ SGG # 110、厚さ 110 μ mを用いた

[0097] また、印字後、印字によるキャリッジの主走查方向への移動に従って、記録ヘッドから記録媒体上に吐出されたインクは、フラッシュ光源 4 (キセノンフラッシュランプ）によつて順次、間欠的に照射された。キャリッジスピード 500mm/s (主走查）とし、このときの記録媒体上での（1フラッシュあたり）のエネルギーは、 3. Oj/cm²、またフラッシュ光源は、フラッシュ発光時間（半値幅） 0. 8msec,周波数 10Hzで駆動し、またフラッシュ露光幅（光源幅）が 100mmのものを用レ、、前記キャリッジ主走査スピードにおいて、記録ヘッドの単位時間当たりの走查距離に対しフラッシュ露光幅 Xフラッシュ周期が 2となる設定とした。（要するにフラッシュ 2サイクルでフラッシュ露光幅分の主走查を行う）

この時、フラッシュ光源の前に 700nm以上の光をカットするコールドフィルターを設置し、波長が 250〜450nmの光量 (A)と波長が 800〜： l lOOnmの光量（B)の比（A /B)は 0. 6とし、フィルターを設置しな力、つた場合の画像特性と比較した。

[0098] 得られた印字サンプノレを用い以下の点について評価を行った。

[0099] 《インクの突沸》

印字後の記録媒体のベタ画像部を目視により観察し、ベタ画像部の周りにモノマー揮発成分が付着しているものを Xとし、付着していないものを〇、わずかに付着しているものを△とした。

[0100] 《硬化シヮ》

ベタ画像部を目視により観察し、ベタ画像部に硬化シヮによる光沢低下のないものを〇とし、僅かにみられるものを△、明らかに観察されるものを Xとした。

[0101] 《密着性》

ベタ画像部表面上に幅 25mmのセロテープ (登録商標）を張り付けて強く圧着した後、 90° の剥離角度で素早く剥離し剥離があるか無いかを観察した。

〇：画像の剥離が全くなかった

△：画像の剥離がわずかに観察された

X：画像の剥離が観察された

評価結果を表 1に示す。

[0102] [表 1]

[0103] 実施例 2

また、実施例 1で用いたインク 1〜4とインクジェット記録装置を用レ、、 700nm以上の光をカットするコールドフィルターの透過率を調整し、波長が 250〜450nmの光量 (A)と波長が 800〜 1 lOOnmの光量（B)の比（A/B)は 0· 4とした。

[0104] 実施例 1と同様の評価を行った結果を示す。

[0105] [表 2]

以上の表 1また表 2より明らかなように、本発明で規定する条件で赤外線領域の光をカットしたものは、各特性が良好であることがわかる。

Claims

請求の範囲

[1] フラッシュ光源を備えるインクジェット記録装置であって、フラッシュ光源より発せられるフラッシュ光のうち、赤外の波長域の少なくとも一部の光量を減じる手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。

[2] 前記赤外の波長域の光量を減じる手段が、 800〜： l lOOnmの波長域の光量を 1/ 2以下に減じる手段であることを特徴とする請求の範囲第 1項に記載のインクジェット記録装置。

[3] 記録媒体上に、紫外線硬化性インクを着弾させ、その後にフラッシュ光源力発せられるフラッシュ光を用いて硬化'定着させるインクジェット記録方法であって、該フラッシュ光が、赤外光波長域の少なくとも一部の光量が減じられたものであることを特徴とするインクジェット記録方法。

[4] 前記フラッシュ光力 800〜： l lOOnmの波長域の光量が 1/2以下に減じられたものであることを特徴とする請求の範囲第 3項に記載のインクジェット記録方法。

[5] 前記フラッシュ光の、波長域 800〜： l lOOnmにおける光量（B)と、波長域 250〜4

50nmにおける光量 (A)の比（B/A)力 1/2より小さいことを特徴とする請求の範囲第 3項または第 4項に記載のインクジェット記録方法。

[6] 前記紫外線硬化性インク中の水および水溶性溶剤の総含有量が、紫外線硬化性インクの総質量の 5質量％以下であることを特徴とする請求の範囲第 3項乃至第 5項のいずれか 1項に記載のインクジェット記録方法。

[7] 赤外吸収能が異なる 2種以上の紫外線硬化性インクを用いて画像形成することを特徴とする請求の範囲第 3項乃至第 6項のいずれ力 4項に記載のインクジェット記録方法。

[8] 請求の範囲第 3項乃至第 7項のいずれ力、 1項記載のインクジェット記録方法に用いられることを特徴とする紫外線硬化性インク。

[9] 水および水溶性溶剤の総含有量が、紫外線硬化性インクの総質量の 5質量％以下であることを特徴とする請求の範囲第 8項に記載の紫外線硬化性インク。