明 細 書
高分子、架橋高分子、高分子固体電解質用組成物、高分子固体電解質 及び接着性組成物
技術分野
[0001] 本発明は、電池、キャパシター、センサー、コンデンサー、 EC素子、光電変換素子 等の電気化学用デバイス材料、固定剤等として有用な高分子及び架橋高分子、並 びにこれらの高分子を用いる、高分子固体電解質用組成物、高分子固体電解質及 び接着性組成物に関する。
本願は、 2005年 1月 21日に、 日本に出願された特願 2005— 014195号に基づき優 先権を主張し、その内容をここに援用する。
背景技術
[0002] 従来、ポリアルキレンォキシド鎖をエステル部位に有するアクリル酸エステル誘導体 を繰り返し単位として有する高分子を用いた高分子固体電解質として、例えば、架橋 型高分子のマトリクス成分 (A)と電解質塩 (B)からなり、該マトリクス成分 (A)の重合 反応により作られる高分子固体電解質において、該マトリクス成分 (A)として、少なく ともウレタン (メタ)アタリレート系化合物 (A1)、及び下記式(1)で示される重合性モノ マー (A2)を含有してなることを特徴とする高分子固体電解質が知られてレ、る(特許 文献 1参照)。
[0004] (式中、 R1U1は水素原子又は炭素数:!〜 4のアルキル基を表し、 R101 水素原子、 炭素数 1〜4のアルキル基又は炭素数 1〜4のァシル基を表し、 k'、 1'、 m'は、それ ぞれ独立して、:!〜 20の整数を表す。 )
また、特許文献 2においては、少なくとも、式 (2)
[0006] (式中、 Rm〜R113は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数:!〜 4のアルキル基 を表し、 R1Mは、水素原子、炭素数 1〜4のアルキル基又は炭素数 1〜4のァシル基 を表し、 n'は 1〜20の整数を表す。)で表される単量体 (A3)、及び式(3)
[0007] [化 3]
[0008] (式中、 R115〜R117は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数:!〜 4のアルキル基 を表し、 R118〜R122は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数 1〜4の アルキル基又は炭素数 1〜4のハロアルキル基を表す。ただし、 R118〜R122の少なく とも一つは炭素数 1〜4のひ—ハロアルキル基である。)で表される単量体 (A4)を含 有してなる単量体混合物を共重合して得られる多分岐高分子、及びこれらを用いた 高分子固体電解質が記載されてレ、る。
[0009] また、特許文献 3においては、下記の極性単量体 1、極性単量体 2及び極性単量 体 3からなる群から選ばれる少なくとも 1つの極性単量体を、構成成分として 10〜10 0モル%含有するセグメント (A5)、及び当該極性単量体を構成成分として 10モル% 未満含有するセグメント (A6)からなるブロックコポリマーと、エステルイ匕合物とを含有 することを特徴とするブロックコポリマー組成物及び該組成物を用いた高分子固体電 解質が記載されている。
[0010] 極性単量体 1:少なくとも 1個の重合性不飽和結合と、ヒドロキシ基、二トリル基、カル ボキシル基、アミノ基及びアミド基からなる群から選ばれた少なくとも 1種の官能基とを 有する極性単量体。
極性単量体 2 :式 (4)
[0011] [化 4]
CH^CR^'-COO™ Hf 0》 t— * · (4》
[0012] (式中、 R2Q1及び R2°2はそれぞれ水素原子又は炭素数:!〜 5のアルキル基を表し、 R2 °3は炭素数 1〜5のアルキル基又はフヱニル基を表し、 tは 1〜25の整数を表す。)で 表される極性単量体。
極性単量体 3:式(5)
[0013] [化 5]
CHa=eR"*-COG- CC,H2(-COO> g~R"s - - (δ)
[0014] (式中、 R2°4は炭素数 1〜5のアルキル基を表し、 R2°5は炭素数 1〜: 10のアルキル基 又はフエ二ル基を表し、 f及び gは、それぞれ独立して:!〜 20の整数を表す。)で表さ れる極性単量体。
[0015] し力しながら、上記公報に記載されたいずれの高分子固体電解質も、熱的特性、 物理的特性、イオン伝導度のすべてを満足するものではな力、つた。
[0016] 一方、特許文献 4においては、電池のセパレータの接合方法として、ポリフッ化ビニ リデン力 なる多孔質の接着性樹脂層で接合する方法が記載されている。この文献 においては、用いる接着樹脂は電解液に溶解せず多孔質膜になること、空孔率及び 膜厚を変化させることでイオン導電率を調整できることが開示されている。
[0017] また、特許文献 5においては、電極とセパレータとが接着された電極 Zセパレータ 接合体として接着剤組成物担持電池用セパレータが記載されている。そして、この文 献には、多官能イソシァネートと反応性ポリマーからなる熱架橋性接着剤組成物を多 孔質基材に担持させる方法が開示されている。
[0018] し力しながら、このような接着剤を用いた接着方法は、使用時の接着強度の保持が 困難であり、イオン伝導性のない熱架橋性接着剤に、二トリル化合物、アクリル変性フ ッ素樹脂を導入して電解液特性を付与しなければならないという問題があった。
[0019] 特許文献 1:特開 2002— 216845号公報
特許文献 2:特開 2001— 181352号公報
特許文献 3:特開平 11 240998号公報
特許文献 4:特開平 10— 172606号公報
特許文献 5:特開 2004— 47439号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0020] 本発明は、力かる従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、高分子固体電解 質、接着剤材料の製造原料等として有用な新規高分子、架橋高分子を提供すること を第 1の課題とする。
本発明は、本発明の高分子及び架橋高分子を使用する、熱的特性、物理的特性 及びイオン伝導度が優れ、実用レベルに近い高分子固体電解質、これを製造するた めの高分子固体電解質用組成物等を提供することを第 2の課題とする。
また本発明は、溶剤、薬品、酸塩基、イオン性溶液からなる溶液中においても、優 れた接着能を保持する接着性組成物を提供することを第 3の課題とする。
課題を解決するための手段
[0021] 上記課題を解決すベぐ本発明は第 1に、下記の(1)〜(8)の高分子を提供する。
(1)式 (I)
[0022] [化 6]
[0023] (式中、!^〜 は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数 1〜: 10の炭化水素基を 表し、 R1と R3は結合して環を形成してもよい。
R4a、 R4bはそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、
R5は、水素原子、炭化水素基、ァシル基又はシリル基を表し、
mは 1〜: 100のいずれかの整数を表し、 mが 2以上のとき、 R4a同士、 R4b同士は、同 一であっても相異なってレ、てもよレ、。 )で表される繰り返し単位(I)と、
式 (II)
[0024]
[0025] (式中、 R6、 R8はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数 1〜: 10の炭化水素基を表 し、 R6と R8は結合して環を形成してもよぐ R7は、水素原子、炭素数 1〜: 10の炭化水 素基、水酸基、炭化水素ォキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、エステ ル基、又は、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、酸無水物基及びアミノ基からな る群から選ばれる少なくとも 1種の官能基を有する有機基を表し、 R9は、水酸基、力 ルポキシル基、エポキシ基、酸無水物基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なく とも 1種の官能基を有する有機基を表す。)で表される繰り返し単位 (II)を含むランダ ム共重合体からなるブロック鎖 A、並びに式(III)
[0026] [化 8]
[0027] (式中、 R1(J〜R12は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数 1〜: 10の炭化水素基 を表し、 R13はァリール基又はへテロアリール基を表す。)で表される繰り返し単位(III )を有するブロック鎖 Bを、 B、 A、 Bの配置順序で有することを特徴とする高分子。
[0028] (2)前記ブロック鎖 Aとブロック鎖 Bとが B—A— Bの順序で結合して配列してなる高 分子であることを特徴とする(1)の高分子。
(3)前記繰り返し単位 (I)の重合度が、 5以上であることを特徴とする(1)又は(2)の 高分子。
(4)前記繰り返し単位 (II)の重合度が、 5以上であることを特徴とする(1)〜(3)いず れかの高分子。
[0029] (5)前記ブロック鎖 Aが、該ブロック鎖 A中の繰り返し単位の総モル数に対して、前記 繰り返し単位(I)のモル数の割合が 50〜95%の範囲であり、前記繰り返し単位(II)
のモル数の割合が 50〜5%の範囲であるランダム共重合体からなることを特徴とする ひ)〜(4)いずれかの高分子。
(6)前記高分子中の繰り返し単位の総モル数に対して、前記繰り返し単位 (I)及び (I I)の合計モル数の割合が 10〜80%の範囲であり、前記繰り返し単位(III)のモル数 の割合が 90〜20%であることを特徴とする(1)〜(5)いずれかの高分子。
(7)数平均分子量が 5, 000〜1 , 000, 000の範囲の高分子であることを特徴とする (1)〜(6)いずれかの高分子。
(8)前記繰り返し単位 (II)力 S、式 (IV)
[化 9]
[0031] (式中、 R"〜Rlbは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数 1〜: 10の炭化水素基 を表し、 RMと R16は結合して環を形成してもよぐ R17は炭素数 1〜6のアルキレン基、 炭素数 6〜: 10の 2価芳香族炭化水素基、炭素数 3〜: 10の 2価脂環式炭化水素基、 又はこれらを複合した 2価有機基を表す。)で表される繰り返し単位 (IV)、式 (V)
[0032] [化 10]
(式中、 R18〜 'Rz0uは ' 、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数 1〜: 10の炭化水素基 を表し、 pは:!〜 3のいずれかの整数を表す。)で表される繰り返し単位 (V)、式 (VI)
[0034] (式中、 R21〜R23は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数 1〜: 10の炭化水素基 を表し、 R21と R23は結合して環を形成してもよぐ R24は炭素数 1〜6のアルキレン基、 炭素数 6〜: 10の 2価芳香族炭化水素基、炭素数 3〜: 10の 2価脂環式炭化水素基、 又はこれらを複合した 2価有機基を表し、 R25は、水素原子若しくは炭素数 1〜4のァ ルキル基を表す。)で表される繰り返し単位 (VI)、又は式 (VII)
[0035] [化 12]
[0036] (式中、 R2b〜R2Sは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数 1〜: 10の炭化水素基 を表し、 R26と R28は結合して環を形成してもよぐ R29は、水素原子、又は式 (VIII)
[0037] [化 13]
—— R¾™CO2H (vni)
[0038] (式中、 R3°は、炭素数 1〜6のアルキレン基、炭素数 6〜: 10の 2価芳香族炭化水素 基、炭素数 3〜: 10の 2価脂環式炭化水素基、若しくはこれらを複合した 2価有機基を 表す。)で表される官能基を表す。 }で表されるいずれかの繰り返し単位 (VII)の少な くとも一つであることを特徴とする(1)〜(7)いずれかの高分子。
[0039] 本発明は第 2に、下記(9)〜(12)の架橋高分子を提供する。
(9)前記(1)〜(8)いずれかの高分子と、架橋剤との反応により得られたものであるこ とを特徴とする架橋高分子。
(10)前記架橋剤が、分子内に 2個以上のイソシァネート基を含むポリイソシァネート 化合物、又は分子内に 2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物であること を特徴とする(9)の架橋高分子。
(11)前記(1)〜(8)いずれかの高分子と、該高分子の繰り返し単位 (II) 1モルに対 して、 0. 01〜2モルの架橋剤とを反応させて得られたものであることを特徴とする(9 )又は(10)の架橋高分子。
(12)前記(1)〜(8)いずれかの高分子と、該高分子の繰り返し単位 (II) 1モルに対 して、 0. :!〜 1モルの架橋剤とを反応させて得られたものであることを特徴とする(9) 〜(: 11)いずれかの架橋高分子。
[0040] 本発明は第 3に、下記(13)〜(20)の高分子固体電解質用組成物を提供する。
(13)前記(1)〜(8)レ、ずれかの高分子、及び電解質塩を含有することを特徴とする 高分子固体電解質用組成物。
(14)さらに、架橋剤を含むことを特徴とする(13)の高分子固体電解質用組成物。
(15)前記架橋剤が、分子内に 2個以上のイソシァネート基を含むポリイソシァネート 化合物、又は分子内に 2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物であること を特徴とする(14)の高分子固体電解質用組成物。
(16)架橋剤を、前記高分子中の繰り返し単位(11) 1モルに対して、 0. 01〜2モルの 範囲で含むことを特徴とする(14)又は(15)の高分子固体電解質用組成物。
[0041] (17)架橋剤を、前記高分子中の繰り返し単位(11) 1モルに対して、 0. 1〜:!モルの 範囲で含むことを特徴とする(14)〜(: 16)レ、ずれかの高分子固体電解質用組成物。
(18)前記ブロック鎖 Aとブロック鎖 Bとが B— A— Bの順序で結合して配列してなるこ とを特徴とする(13)〜(: 17)レ、ずれかの高分子固体電解質用組成物。
(19)前記電解質塩が、アルカリ金属塩、 4級アンモニゥム塩、 4級ホスホニゥム塩、遷 移金属塩、及びプロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも 1種であることを特徴と する(13)〜(: 18)レ、ずれかの高分子固体電解質用組成物。
(20)前記電解質塩が、リチウム塩であることを特徴とする(13)〜(19)いずれかの高 分子固体電解質用組成物。
[0042] 本発明は第 4に、下記(2:!)〜(23)の高分子固体電解質を提供する。
(21)前記(1)〜(8)いずれかの高分子、又は(9)〜(12)レ、ずれかの架橋高分子、 及び電解質塩を含むことを特徴とする高分子固体電解質。
(22)前記電解質塩が、アルカリ金属塩、 4級アンモニゥム塩、 4級ホスホニゥム塩、遷 移金属塩、及びプロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも 1種であることを特徴と する(21)の高分子固体電解質。
(23)前記電解質塩が、リチウム塩であることを特徴とする(21)又は(22)の高分子固 体電解質。
[0043] 本発明は第 5に、下記(24)〜(26)の接着性組成物を提供する。
(24)前記(1)〜(8) V、ずれかの高分子及び架橋剤を含有することを特徴とする接着 性組成物。
(25)ォレフィン系ポリマーに対する接着能を有することを特徴とする(24)の接着性 組成物。
(26)導電性を有することを特徴とする(24)又は(25)の接着性組成物。
発明の効果
[0044] 本発明の高分子及びこの高分子を架橋してなる架橋高分子は新規化合物であり、 高分子固体電解質用組成物、高分子固体電解質の製造原料として有用である。 本発明の高分子固体電解質用組成物から得られる高分子固体電解質は、熱的特 性、物理的特性及びイオン伝導性に優れる。
また、本発明の高分子を架橋してなる架橋高分子は接着性能に優れており、電極 部材等の部材間を接着 ·固定する固定剤材料として有用である。
発明を実施するための最良の形態
[0045] 以下、本発明を、 1)高分子、 2)架橋高分子、 3)高分子固体電解質用組成物、 4) 高分子固体電解質、 5)接着性組成物、に項分けして詳細に説明する。
[0046] 1)高分子
本発明の高分子は、前記式 (I)で表される繰り返し単位 (I)と、前記式 (II)で表され る繰り返し単位 (II)とを含むランダム共重合体からなるブロック鎖 A、及び前記式 (III )で表される繰り返し単位(III)を有するブロック鎖 Bを、 B、 A、 Bの配置順序で有する ことを特徴とする。
[0047] ここで、各ブロック鎖力 S B A Bの順で配置しているとは、各ブロック鎖力 直接結 合していても、連結基、重合鎖等の他の構成単位をはさんで結合していてもよいこと を意味する。なかでも、各ブロック鎖力 B— A— Bの順で結合して配列している場合 が好ましい。この場合、結合しているとは、各ブロック鎖が直接結合している場合、酸 素原子、アルキレン基等の低分子の連結基を介して結合してレ、る場合のレ、ずれかを 意味する。また、ブロック鎖 Bは、同一であっても相異なっていてもよい。
[0048] 前記式 (I)中、!^〜 は、それぞれ独立して、水素原子;又はメチル基、ェチル基 n_プロピル基、イソプロピル基、 n_ブチル基、 see ブチル基、イソブチル基、 t —ブチル基、フヱニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数:!〜 10の炭化水素基 ;を表す。
また、 R1と R3は結合して環を形成してもよい。
R4a及び R4bは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。
[0049] R5は、水素原子;メチル基、ェチル基、 n プロピル基、イソプロピル基、 n ブチル 基、 sec ブチル基、イソブチル基、 t ブチル基、 n キシル基、フエニル基、置 換フエニル基、ナフチル基等の炭化水素基;ホルミル基、ァセチル基、プロピオニル 基、プチリル基等のアシノレ基;トリメチルシリル基、 tーブチルジメチルシリル基、ジメチ ルフヱニルシリル基等のシリル基;を表す。
[0050] また、前記!^〜尺5の炭化水素基は、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよ レ、。かかる置換基の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン 原子;メチル基、ェチル基、 n プロピル基、フエ二ル基、ナフチル基、ベンジル基等 の炭化水素基;ァセチル基、ベンゾィル基等のァシル基;シァノ基;ニトロ基;メトキシ 基、フエノキシ基等の炭化水素ォキシ基;メチルチオ基等のアルキルチオ基;メチル スルフィエル基等のアルキルスルフィエル基;メチルスルホニル基等のアルキルスル ホニル基;アミノ基、ジメチルァミノ基等の置換されてレ、てもよレ、ァミノ基;ァニリノ基; 等が挙げられる。
[0051] mは、 1 100のいずれかの整数を表し、 2 50のいずれかの整数であるのが好ま しレ、。また、各繰り返し単位における mの値は、同一であっても相異なっていてもよい
mが 2以上のとき、 R4a同士、 R b同士は同一であっても相異なっていてもよい。 また、前記繰り返し単位 (I)の重合度は、 mの値にもよる力 5以上であるのが好まし く、 10以上であるのがより好ましい。
[0052] 前記繰り返し単位(I)の具体例としては、以下のものが挙げられる。但し、式 (I)で表 される繰り返し単位 (I)に誘導されると考えられる単量体で例示することとする。
[0053] 2—メトキシェチル(メタ)アタリレート、 2_エトキシェチル(メタ)アタリレート、 2—メト キシプロピル (メタ)アタリレート、 2—エトキシプロピル (メタ)アタリレート、メトキシポリエ チレングリコール(エチレングリコールの単位数は 2〜100) (メタ)アタリレート、ェトキ シポリエチレングリコール (メタ)アタリレート、フエノキシポリエチレングリコール (メタ) アタリレート、メトキシポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの単位数は 2〜1 00) (メタ)アタリレート、エトキシポリプロピレングリコール (メタ)アタリレート、フエノキシ ポリプロピレングリコール(メタ)アタリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アタリレ ート、 2—ヒドロキシプロピル(メタ)アタリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)ァク リレート、ポリエチレングリコール ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アタリレート、ォ クトキシポリエチレングリコール一ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アタリレート、ラウ ロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アタリレート、ステアロキシポリエチレングリコ ールモノ(メタ)アタリレート、 「ブレンマー PMEシリーズ」〔式(I)において 1^ = 1^2 =水 素原子、 R3=メチル基、 m = 2〜90に相当する単量体〕(日本油脂 (株)製)、ァセチ ノレォキシポリエチレングリコール(メタ)アタリレート、ベンゾィルォキシポリエチレングリ コール(メタ)アタリレート、トリメチルシリルォキシポリエチレングリコール(メタ)アタリレ ート、 t ブチルジメチチルシリルォキシポリエチレングリコール(メタ)アタリレート、メト キシポリエチレングリコールシクロへキセン一 1 _カルボキシレート、メトキシポリエチレ ングリコーノレ一シンナメ一ト。
これらの化合物は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができ る。
[0054] 前記式 (II)中、 R6及び R8は、それぞれ独立して、水素原子;又は、メチル基、ェチ ル基、 n_プロピル基、イソプロピル基、 n_ブチル基、 sec_ブチル基、イソブチル基 、 t_ブチル基、フヱニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数:!〜 10の炭化水素
基;を表す。
R6と R8は結合して環を形成してもよレ、。
[0055] R7は、水素原子;炭素数:!〜 10の炭化水素基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、フ ヱノキシ基等の炭化水素ォキシ基;カルボキシル基;酸無水物基;アミノ基;エステル 基;又は、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、酸無水物基、及びアミノ基からなる 群から選ばれる少なくとも 1種の官能基を有する有機基;を表す。
[0056] R9は、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、酸無水物基、及びアミノ基からなる群 力 選ばれる少なくとも 1種の官能基を有する有機基を表す。
[0057] また、 R6〜R9は、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよい。かかる置換基の 具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、ェ チノレ基、 n_プロピル基、フヱニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭化水素基;ァ セチル基、ベンゾィル基等のァシル基;シァノ基;ニトロ基;メトキシ基、フエノキシ基等 の炭化水素ォキシ基;メチルチオ基等のアルキルチオ基;メチルスルフィニル基等の アルキルスルフィニル基;メチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;アミノ基、 ジメチルァミノ基等の置換されてレ、てもよレ、ァミノ基;ァニリノ基;等が挙げられる。
[0058] 本発明においては、前記式 (II)で表される繰り返し単位 (II)の中でも、以下に示す 式 (IV)、(V)、(VI)、又は (VII)で表される繰り返し単位が好ましい。
[0059] [化 14]
[0060] [化 15]
[0061] [化 16]
[0062] [化 17]
[0063] 前記式 (IV)中、 RM〜R16は、それぞれ独立して、水素原子;又はメチル基、ェチル 基、 n_プロピル基、イソプロピル基、 n_ブチル基、 sec_ブチル基、イソブチル基、 t_ブチル基、フヱニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数:!〜 10の炭化水素 基;を表す。また、 R14と R16は結合して環を形成していてもよい。
[0064] R17は、メチレン基、エチレン基、 1 _メチルエチレン基、プロピレン基等の炭素数 1 〜6のアルキレン基;フヱニレン基、ナフチレン基等の炭素数 6〜: 10の 2価芳香族炭 化水素基;シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロへキシレン基、シクロへキシ レン基、ァダマンタンジィル基等の炭素数 3〜: 10の 2価脂環式炭化水素基;又は、ァ ルキレン基、 2価芳香族炭化水素基、 2価脂環式炭化水素基を 2以上複合した 2価の 有機基;を表す。
[0065] また、 RM〜R17は、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよい。置換基の具体 例としては、フッ素原子、クロル原子、又はブロム原子等のハロゲン原子;メチル基、 ェチル基、 n—プロピル基、フエ二ル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭化水素基; ァセチル基、ベンゾィル基等のァシル基;二トリル基;ニトロ基;メトキシ基、フヱノキシ 基等の炭化水素ォキシ基;メチルチオ基;メチルスルフィエル基;メチルスルホニル基 ;アミノ基、ジメチルァミノ基等の置換基を有してレ、てもよレ、ァミノ基;ァニリノ基;等が 挙げられる。
[0066] 式 (IV)で表される繰り返し単位(IV)の具体例を下記にいくつか示す。但し、前記 繰り返し単位 (IV)に誘導されると考えられる単量体で例示することとする。これらの 化合物は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
[0067] [化 18]
[0068] 前記式 (V)中、 R1S〜R^は、それぞれ独立して、水素原子;又はメチル基、ェチル 基、 n—プロピル基、イソプロピル基、 n—ブチル基、 sec—ブチル基、イソブチル基、 tーブチル、フエ二ル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数:!〜 10の炭化水素基; を表し、 pは:!〜 3のいずれかの整数を表す。水酸基の置換位置は特に限定されない
[0069] また、 R18〜R2°、及びフエニル基の適当な炭素上には置換基を有していてもよい。
そのような置換基としては、前記 R"〜R17の置換基として例示したものと同様のもの が挙げられる。
[0070] 式 (V)で表される繰り返し単位 (V)の具体例を下記にいくつか示す。但し、前記繰
り返し単位 (V)に誘導されると考えられる単量体で例示することとする。これらの化合 物は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
[0071] [化 19]
[0072] 前記式 (VI)中、 R 1〜! ^は、それぞれ独立して、水素原子;又はメチル基、ェチル 基、 n_プロピル基、イソプロピル基、 n_ブチル基、 sec_ブチル基、イソブチル基、 t_ブチル基、フヱニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数:!〜 10の炭化水素 基;を表す。また、 R21と R23は結合して環を形成してもよい。
[0073] R24は、メチレン基、エチレン基、 1 _メチルエチレン基、プロピレン基等の炭素数 1 〜6のアルキレン基;フヱニレン基、ナフチレン基等の炭素数 6〜: 10の 2価芳香族炭 化水素基;シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロへキシレン基、ァダマンタン ジィル基等の炭素数 3〜: 10の 2価脂環式炭化水素基;アルキレン基、 2価芳香族炭 化水素基、 2価脂環式炭化水素基を 2以上複合した 2価の有機基;を表す。
[0074] R25は、水素原子;又はメチル基、ェチル基、 n—プロピル基、イソプロピル基、 n—
ブチル基、 sec ブチル基、イソブチル基、 t ブチル基等の炭素数 1〜4のアルキル 基;を表す。
R21〜R25は、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよぐそのような置換基とし ては、前記 RM〜R17の置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
[0075] 式 (VI)で表される繰り返し単位 (VI)の具体例を下記にいくつか示す。但し、前記 繰り返し単位 (VI)に誘導されると考えられる単量体で例示することとする。これらの 化合物は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
[0076] [化 20]
前記式 (VII)中、 R b〜R sは、それぞれ独立して、水素原子;又はメチル基、ェチ ル基、 n_プロピル基、イソプロピル基、 n_ブチル基、 sec_ブチル基、イソブチル基
、 t ブチル基、フエ二ル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数:!〜 10の炭化水素 基;を表す。
また、 R26と R28は結合して環を形成してもよい。
R29は、水素原子、又は式 (VIII)
[0078] [化 21]
— ^-COsH (職)
[0079] 式 (VIII)中、 R3°は、メチレン基、エチレン基、 1—メチルエチレン基、プロピレン基 等の炭素数 1〜6のアルキレン基;フエ二レン基、ナフチレン基等の炭素数 6〜10の 2 価芳香族炭化水素基;シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロへキシレン基、 ァダマンタンジィル基等の炭素数 3〜: 10の 2価脂環式炭化水素基;アルキレン基、 2 価芳香族炭化水素基、 2価脂環式炭化水素基を 2以上複合した 2価の有機基;を表 す。
[0080] また、 R26〜R3°は、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよい。そのような置 換基としては、前記 RM〜R17の置換基として例示したものと同様のものが挙げられる
[0081] 式 (VII)で表される繰り返し単位 (VII)の具体例を下記にいくつか示す。但し、前記 繰り返し単位 (VII)に誘導されると考えられる単量体で例示することとする。これらの 化合物は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
[0082] [化 22]
[0083] 本発明の高分子は、前記繰り返し単位(IV)〜(VII)以外の繰り返し単位(II)として 、下記に示すものを有していてもよい。但し、前記繰り返し単位 (II)に誘導されると考 えられる単量体で例示することとする。これらの化合物は一種単独で、あるいは二種 以上を組み合わせて用いることができる。
[0084] [化 23]
[0085] また、前記繰り返し単位 (II)の重合度は、特に制限されなレ、が、 5以上であるのが 好ましい。
[0086] 本発明の高分子のブロック鎖 Aは、ブロック鎖 A中の繰り返し単位の総モル数に対 して、前記繰り返し単位(I)のモル数の割合が 50〜95%の範囲であり、前記繰り返し 単位(II)のモル数の割合が 50〜5%の範囲であるランダム共重合体からなることが 好ましい。このようなブロック鎖 Aを有する高分子は、熱的特性、物理的特性及びィォ ン伝導度に優れる高分子固体電解質の製造原料として好適である。
[0087] 前記式 (III)中、 R1G〜R12は、それぞれ独立して、水素原子;又はメチル基、ェチル 基、 n プロピル基、イソプロピル基、 n ブチル基、 sec ブチル基、イソブチル基、 t ブチル基、フエ二ル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数:!〜 10の炭化水素 基;を表す。
R13は、フエニル基、ナフチル基、アントラセニル基等のァリール基;2—ピリジノレ基、 4_ピリジル基等のへテロアリール基;を表す。
[0088] また、 R1Q〜R13は、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよい。そのような置 換基として、前記 R"〜R17の置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
[0089] 前記式 (III)で表される繰り返し単位 (III)の具体例を下記にいくつか示す。但し、 前記繰り返し単位 (III)に誘導されると考えられる単量体で例示することとする。これ らの化合物は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
[0090] スチレン、 o—メチルスチレン、 p—メチルスチレン、 p_t—ブチルスチレン、 ひ一メ チノレスチレン、 p_t—ブトキシスチレン、 m_t—ブトキシスチレン、 2, 4—ジメチノレス チレン、 m—クロロスチレン、 p—クロロスチレン、 1—ビニノレナフタレン、 9—ビニノレア ントラセン、 2—ビュルピリジン、 4—ビュルピリジン等。
[0091] 前記繰り返し単位 (III)の重合度は、特に制限されないが、ミクロ相分離構造を形成 する上では、 5以上であるのが好ましい。
[0092] 本発明の高分子においては、該高分子中の繰り返し単位の総モル数に対して、前 記繰り返し単位 (I)及び (II)の合計モル数の割合が 10〜80%の範囲であり、前記繰 り返し単位(III)のモル数の割合が 90〜20%であることが好ましレ、。このような高分 子は、熱的特性、物理的特性及びイオン伝導度に優れる高分子固体電解質の製造 原料として好適である。
[0093] 本発明の高分子は、その分子中に、前記繰り返し単位 (1)、(11)、及び (III)の他に 、異なる繰り返し単位を構成単位として含むことができる。
そのような繰り返し単位として以下の化合物を例示することができる。但し、繰り返し 単位に誘導されると考えられる単量体で例示することとする。これらの単量体は一種 単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
[0094] (メタ)アクリル酸メチル、 (メタ)アクリル酸ェチル、 (メタ)アクリル酸 n—ブチル、 (メタ )アクリル酸 t—ブチル、 (メタ)アクリル酸シクロへキシル、 (メタ)アクリル酸ベンジル、 ( メタ)アクリル酸イソボルニル、 (メタ)アクリル酸ジシクロペンテュル、 (メタ)アクリル酸 1 —ァダマンチル、 (メタ)アクリル酸 2 _メチル _ 2—ァダマンチル、 (メタ)アクリル酸 1 —メチレンァダマンチル、 (メタ)アクリル酸 1 _エチレンァダマンチル、 (メタ)アタリノレ 酸 3, 7—ジメチル _ 1—ァダマンチル、 (メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、 (メタ)ァ クリル酸ノルボルナン、 (メタ)アクリル酸メンチル 、 (メタ)アクリル酸 n—プロピル、 (メ
タ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸 2—ェチルへキシル、 (メタ)アクリル酸ィ ソデシル、 (メタ)アクリル酸イソォクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シ クロへキシノレ、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフラニル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロビラ二 ノレ、(メタ)アクリル酸 3—ォキソシクロへキシル、(メタ)アクリル酸ブチロラタトン、 (メタ) アクリル酸メバロニックラタトン等の(メタ)アクリル酸エステル類; 1, 3 _ブタジエン、ィ ソプレン、 2、 3—ジメチル _ 1、 3—ブタジエン、 1、 3 _ペンタジェン、 2_メチル_ 1、 3_ペンタジェン、 1、 3_へキサジェン、 1, 6 _へキサジェン、 4、 5 _ジェチノレ一 1、 3—ォクタジェン、 3_ブチル _ 1、 3—ォクタジェン、クロ口プレン等の共役ジェン類; N_メチルマレイミド、 N_フエニルマレイミド等のひ, β—不飽和カルボン酸イミド類 ; (メタ)アクリロニトリル等のひ, β—不飽和二トリル類。
[0095] 本発明の高分子の数平均分子量は、特に制限されなレ、が、 5, 000〜1, 000, 00 0の範囲が好ましい。数平均分子量が 5, 000より大きい場合には、熱的特性、物理 的特性が向上し、 1, 000, 000より小さい場合には、成形性又は成膜性が向上する
[0096] また、本発明の高分子の重量平均分子量 (Mw)と数平均分子量 (Mn)の比(Mw /Mn)は、特に制限されないが、後述するミクロ相分離構造を形成する上では、 1. 0 1~2. 50、さらに 1. 01〜: 1. 50の範囲力 S好ましレ、。
[0097] 本発明の高分子は、公知の重合法により製造することができる。重合法として具体 的には、下記式 (IX)、式 (X)及び式 (XI)で表される化合物の少なくとも一種を単量 体として用い、遷移金属錯体を重合触媒、ハロゲン原子を 1又は複数含む有機ハロ ゲン化合物を重合開始剤とするリビングラジカル重合法、安定ラジカルによるリビング ラジカル重合法、リビングァニオン重合法等が挙げられる力 効率よく目的とする高 分子を得ることができることからリビングラジカル重合法が好ましい。
[0099] 式 (IX)〜(XI)中の 〜 3は、前記と同じ意味を表す。
本発明の高分子の製造方法をさらに詳細に説明すると、
(ィ)前記式 (IX)、(X)で表される化合物を、リビングラジカル重合法において、 2官 能開始剤を用いて反応させることにより得られる 2官能ブロック鎖等の各ブロック鎖を 含むマクロ開始剤に、さらに他のブロック鎖を構成する単量体を反応させて遂次にブ ロック鎖を伸長して製造する方法、
(口)前記式 (IX)、 (X)で表される化合物を、単官能開始剤を用い、他は (ィ)と同様 に行い、端力 順次ブロック鎖を伸長して製造する方法、
(ハ)各ブロック鎖、又は、各ブロック鎖の一部を所定の配列で重合した後、カップリン グ反応により製造する方法、等を例示することができる。
[0100] 前記遷移金属錯体を構成する中心金属としては、マンガン、レニウム、鉄、ルテユウ ム、ロジウム、ニッケル、銅等の周期律表第 7〜: 11族元素(日本化学会編「化学便覧 基礎編 I改訂第 4版」(1993年)記載の周期律表による)が好ましく挙げられる。なか でもノレテニゥムが好ましい。
[0101] これらの金属に配位して錯体を形成する配位子としては、特に限定されないが、例
えば、トリフエニルホスフィン、トリナフチルホスフィン等の炭素数 18〜54のトリアリー ノレホスフィン;トリェチルホスフィン、トリブチルホスフィン等の炭素数 3〜 18のトリアル キルホスフィン;トリフエニルホスファイト等のトリァリールホスファイト;ジフエ二ルホスフ イノェタン;ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子等のハロゲン原子;一酸化炭素;水素原 子;シクロペンタジェン、シクロへキサジェン、シクロォクタジェン、シクロォクタテトラ ェン、インデン、ノルボルナジェン等のジェン化合物;ベンゼン、シメン、フエノール、 4_イソプロピルトノレェン、シクロペンタジェニルトノレェン、インデニルトノレェン等の芳 香族炭化水素;サリシリデン; 2—メチルペンテン、 2—ブテン等のアルケン;アレン;フ ラン;カルボン酸;含窒素系配位子;カルコゲナイド;等が挙げられる。
[0102] 前記遷移金属錯体の好ましい具体例としては、ジカルボニルシクロペンタジェニル ヨウ化鉄(I)、ジカルボニルシクロペンタジェニルヨウ化ルテニウム(II)、カルボニルシ クロペンタジェニルヨウ化ニッケル(Π)等が挙げられる。これらの遷移金属錯体は一 種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。
[0103] 有機ハロゲン化合物は、:!〜 4個又はそれ以上のハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素 、ヨウ素等)を含み、遷移金属錯体と作用してラジカル種を発生させることにより重合 を開始させる開始剤として用いられる。このような有機ハロゲン化合物は 1種単独で、 又は 2種以上組み合わせて使用できる。
[0104] 有機ハロゲン化合物の好ましレ、具体例としては、ハロゲン化炭化水素、ハロゲンィ匕 エステル(ハロゲン含有エステノレ)、ハロゲン化ケトン(ノヽロゲン含有ケトン)、スルホ二 ルハライド(ハロゲン化スルホ二ルイ匕合物)等が挙げられる。
[0105] リビングラジカル重合法においては、さらに、金属錯体に作用することにより、ラジカ ル重合を促進させる活性化剤を併用することができる。力、かる活性化剤としては、ル イス酸及び Z又はアミン類が挙げられる。前記ルイス酸及びアミン類は 1種単独で、 あるいは 2種以上を組み合わせて使用することができる。
[0106] ルイス酸の種類は特に制限されず、例えば、アルミニウム系ルイス酸、スカンジウム 系ルイス酸、チタン系ルイス酸、ジルコニウム系ルイス酸、スズ系ルイス酸等を使用す ること力 Sできる。
[0107] アミン類としては、 2級ァミン、 3級ァミン、含窒素芳香族複素環化合物等、含窒素
化合物であれば、特に制限されないが、 2級ァミン、 3級ァミンが好ましい。また、同一 分子内に、 1級ァミン部分、 2級ァミン部分、及び 3級ァミン部分から選ばれる少なくと も 2つ以上を有する化合物も使用することができる。
[0108] 遷移金属錯体と、ルイス酸及び Z又はアミン類との使用割合は、遷移金属錯体/ ルイス酸 Zアミン類(モル比)で、通常、 0. 05〜0. 2/1〜: 10/1、好ましくは 0. 1/ 1〜 5/1程度である。
[0109] リビングラジカル重合は、安定ラジカルを用いて行うこともできる。
安定ラジカル系開始剤としては、安定フリーラジカル化合物とラジカル重合開始剤 との混合物、又は各種アルコキシァミン類が挙げられる。
[0110] 安定フリーラジカル化合物は、室温又は重合条件下で単独で安定な遊離基として 存在し、また重合反応中には生長末端ラジカルと反応して再解離可能な結合を生成 することができる化合物である。例えば、 2, 2, 6, 6—テトラメチル _ 1—ピペリジニル ォキシ(TEMPO)、 4—ァミノ一 2, 2, 6, 6 テトラメチル一 1—ピベリジニルォキシ、 4ーヒドロキシー 2, 2, 6, 6 テトラメチルー 1ーピペルジニルォキシ、 4 ォキソー2 , 2, 6, 6—テトラメチルー 1ーピペリジニルォキシ、 4, 4' ジメチルー 1, 3—ォキサ ゾリンー 3 ィルォキシ、 2, 2, 5, 5 テトラメチルー 1 ピロジニルォキシ、ジー t— ブチルニトロキシド、 2, 2—ジ(4— tーォクチルフエニル) 1ーピクリルヒドラジル等 のニトロキシドラジカルやヒドラジニルラジカルを 1個から複数個生成する化合物が例 示される。
[0111] ラジカル重合開始剤としては、分解してフリーラジカルを生成する化合物であれば
、特に制限されず、例えば、ァゾ化合物類、ケトンパーオキサイド類、パーォキシケタ ール類、ハイド口パーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーォキシエステ ル類等の有機過酸化物が挙げられる。また、ジメチルァニリンやナフテン酸コバルト 等有機過酸化物と組み合わせて用いられる公知の重合促進剤を併用してもよい。
[0112] こららのラジカル重合開始剤は、前述の安定フリーラジカル化合物 1モルに対して 通常 0. 05〜5モノレ、好ましくは 0. 2〜2モルの範囲で用いられる。
[0113] アルコキシァミン類としては、ラジカル重合ハンドブック、 107頁(1999年)ェヌティ エス社、 J. Am. Chem. Soc. , 121, 3904 (1999)等の文献に記載されてレヽるィ匕
合物を例示することができ、特に、下記に示す化合物を好ましく例示することができる
[0114] [化 25]
[0115] リビングラジカル重合法による高分子の製造方法として、具体的には、例えば、
(a)第 1の単量体の転化率が 100%に達した後、第 2の単量体を添加して重合を完 結させ、これを繰り返すことによりブロック共重合体を得る単量体を逐次的に添加する 方法、
(b)第 1の単量体の転化率が 100%に達しなくとも目標の重合度又は分子量に達し た段階で第 2の単量体をカ卩えて重合を継続し、ブロック鎖間にランダム部分が存在す るグラジェント共重合体を得る方法、
(c)第 1の単量体の転化率が 100%に達しなくとも目標の重合度又は分子量に達し た段階で一旦反応を停止、系外に重合体を取りだし、得られた重合体をマクロ開始 剤として他の単量体を加えて共重合反応を断続的に進行させて、ブロック共重合体 を得る方法、
等を例示することができる。
[0116] 重合形態は、特に制限されず、慣用の重合形態、例えば、塊状重合、溶液重合、
懸濁重合、又は乳化重合等が採用できるが、溶液重合が特に好ましい。
[0117] 溶液重合を行う場合、溶媒としては特に制限されず、慣用の溶媒、たとえば、芳香 族炭化水素類 (ベンゼン、トルエン、キシレン等)、脂環族炭化水素類 (シクロへキサ ン等)、脂肪族炭化水素類 (へキサン、オクタン等)、ケトン類 (アセトン、メチルェチノレ ケトン、シクロへキサノン等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジォキサン等)、エステ ル類(酢酸ェチル、酢酸ブチル等)、アミド類(N, N—ジメチルホルムアミド、 N, N— ジメチルァセトアミド等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アルコール類(メ タノ一ノレ、エタノール等)、多価アルコール誘導体類(エチレングリコールモノメチルェ 一テル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)等が使用できる。このよ うな溶媒は 1種単独で、あるいは 2種以上を混合して用いることができる。
[0118] 重合反応は、通常、真空、又は窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気中、温度 0 〜200°C、好ましくは 40〜: 150°Cの反応温度、常圧又は加圧下において行なうこと ができる。
[0119] また、本発明の高分子の重合方法として、リビングラジカル重合法を用レ、、分子内 に水酸基、カルボキシル基等の活性水素を有する化合物を用いる方法を採用する 場合には、必要に応じて、シリル化、ァセタール化、 BOC化等公知の保護化反応に より活性水素を保護してから重合反応に供し、重合後、酸、アルカリ等により脱保護 化反応を行うことができる。
[0120] 重合反応の追跡及び重合反応終了の確認は、公知の分析手段、例えば、ガスクロ マトグラフィー、液体クロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、膜浸透圧法、 N MR等により容易に行うことができる。
[0121] 重合反応終了後は、カラム精製、あるいは、反応液を水や貧溶媒中に投入して析 出したポリマー分を濾過、乾燥する方法等、通常の分離精製方法を適用することによ り、 目的とする高分子を単離することができる。
[0122] 2)架橋高分子
本発明の架橋高分子は、本発明の高分子と架橋剤との反応により得られたもので あることを特徴とする。
[0123] 用いる架橋剤としては、前記繰り返し単位 (II)に含まれる水酸基等の反応点と反応
して架橋するものであれば、特に制限はされなレ、。なかでも、分子内に 2個以上のィ ソシァネート基を含むポリイソシァネートィヒ合物、又は分子内に 2個以上のエポキシ 基を有するポリエポキシ化合物が好ましレ、。
[0124] 前記ポリイソシァネートイ匕合物として、具体的には、トリレンジイソシァネート (TDI)、 ジフヱニルメタンジイソシァネート(MDI)、水添化ジフエニルメタンジイソシァネート( H_MDI)、トリフエニルメタントリイソシァネート、ポリフエニルメタンポリイソシァネート (クルード MDI)、変性ジフヱニルメタンジイソシァネート(変性 MDI)、水添化キシリレ ンジイソシァネート(H_XDI)、キシリレンジイソシァネート(XDI)、へキサメチレンジ イソシァネート(HMDI)、トリメチルへキサメチレンジイソシァネート(TMHMDI)、テ トラメチルキシリレンジイソシァネート(m_TMXDI)、イソホロンジイソシァネート(IP DI)、ノルボルネンジイソシァネート(NBDI)、 1, 3 _ビス(イソシアナトメチル)シクロ へキサン(H6XDI)、 1, 5 _ナフタレンジイソシァネート等のポリイソシァネートあるい ははこれらポリイソシァネートの三量体化合物、これらポリイソシァネートとポリオール の反応生成物等を例示することができる。
[0125] また、イソシァネート基の一部又は全部を、フエノール化合物ゃォキシム類等の公 知のブロック化剤を用いてブロックしたブロックイソシァネート類を用いてもよい。また 、必要に応じて、エチレングリコール、プロピレングリコール、へキサメチレン 1, 6— ジオール、ポリエチレングリコール等の鎖伸長剤を併用することもできる。
[0126] ポリイソシァネートイ匕合物を用いる場合には、必要に応じて、硬化促進剤として、トリ ェチルァミン、トリエチレンジァミン、へキサメチレンテトラミン等のアミン類、ナフテン 酸コバルト、テトラー n—ブチルチン、ジブチルチンジラウレート等の重金属化合物類 等を併用することができる。
[0127] また、前記ポリエポキシ化合物としては、ビスフエノール A型エポキシ樹脂、ビスフエ ノール F型エポキシ樹脂、水添ビスフエノール A型エポキシ樹脂、フエノールノボラッ ク型エポキシ樹脂、クレゾ一ルノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型ェポ キシ樹脂、ポリダリコール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、グリシジノレアミン型 エポキシ樹脂、イソシァヌル酸型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフエノール A型ェポキ シ樹脂等の 2以上のエポキシ基を含む化合物等が例示できる。
[0128] ポリエポキシ化合物を用いる場合には、必要に応じて、硬化促進剤として、ベンジ ルジメチルァミン等の 3級ァミン類、 2—ェチルイミダゾール等のイミダゾール類を併 用すること力 Sできる。
[0129] また、本発明においては、他の架橋剤として、エポキシ樹脂用硬化剤として常用さ れているもの、例えば、トリエチレンジァミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミ ン類、ジアミノジフエニルメタン等の芳香族ポリアミン類; N—アミノエチルピペラジン 等の脂環族ポリアミン類 ; 4—メチルへキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無 水ピロメリット酸等の酸無水物類;フヱノールノボラック樹脂、タレゾ一ルノボラック樹脂 、ポリ _p—ヒドロキシスチレン等のポリフエノール類;ジシアンジアミド、ポリアミド樹脂 ;三フッ化ホウ素ァミンコンプレックス;各種ォニゥム塩;等を使用することもできる。
[0130] また、前記酸無水物類やポリフエノール類を架橋剤として用いるとき、必要に応じて 公知の硬化促進剤、例えば前記した 3級アミン類ゃイミダゾール類を併用することも できる。
[0131] これらの架橋剤、硬化剤及び硬化促進剤はそれぞれ 1種単独で、あるいは 2種以 上を併用して用いることができる。また、繰り返し単位 (II)中にエポキシ基を有する場 合には、見かけ上、エポキシ硬化剤を架橋剤とすることができる。
[0132] 前記繰り返し単位 (II)中に含まれる反応性基と架橋剤との組み合わせは、反応す るものであれば、特に制限はされなレ、。例えば、前記繰り返し単位 (II)中の反応性基 が水酸基である場合には、架橋剤としてポリイソシァネートイ匕合物を使用し、反応性 基がカルボキシル基、アミノ基、又はフエノール性水酸基の場合には、架橋剤として ポリエポキシ化合物を使用することができる。
[0133] 架橋剤の使用量は特に制限されないが、架橋点を有する繰り返し単位 (II) 1モル に対して、 0. 01〜2モルの範囲が好ましぐ 0. 1〜:!モルの範囲がより好ましい。架 橋剤を 0. 01モル〜 2モルの範囲で使用するときは、十分な熱的特性、物理的特性 が得られ、かつ十分な導電率を有する架橋高分子を得ることができる。
[0134] 架橋反応は、本発明の高分子と架橋剤との混合物を加熱する方法や、前記混合物 に、紫外線、赤外線、遠赤外線、マイクロ波等の各種エネルギー線を照射する方法 により行うことができる。
[0135] 3)高分子固体電解質用組成物
本発明の高分子固体電解質用組成物は、本発明の高分子及び電解質塩を含有 することを特徴とする。本発明の高分子固体電解質用組成物は、本発明の高分子と 電解質塩を含むことを特徴とし、さらに、架橋剤を含むのが好ましい。
[0136] 本発明の高分子固体電解質用組成物においては、用いる高分子は一種単独であ つても、構成単位が異なる 2種以上のものであってもよレ、が、少なくともミクロ相分離構 造を有する共重合体であることが好ましぐブロック鎖 Aとブロック鎖 Bと力 SB— A—B の順序で結合して配列してなるブロック共重合体であることがより好ましい。
[0137] 本発明の高分子固体電解質用組成物としては、イオン伝導性を有するポリマーセ グメント(P1)、イオン伝導性を有さないポリマーセグメント(P2)、架橋点を有するポリ マーセグメント(P3)が、 P2、 Pl/P3、 P2の順の配置を有する高分子(本発明の高 分子)、架橋剤及び電解質塩を含むものであれば特に制限されない。
[0138] イオン伝導性を有するポリマーセグメント(P1)と架橋点を有するポリマーセグメント( P3)としては前記ブロック鎖 Aを、イオン伝導性を有さないポリマーセグメント(P2)とし ては前記ブロック鎖 Bを具体的に例示することができ、また、上記 P2、 Pl/P3、 P2 の順の配置を有するポリマーとしては、ミクロ相分離構造を有しているものが好ましい
[0139] 本発明の高分子固体電解質用組成物において、用いる架橋剤の具体例としては、 分子内に 2個以上のイソシァネート基を含むポリイソシァネートイ匕合物、又は分子内 に 2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシィ匕合物であることが好ましい。
[0140] これら架橋剤の具体例としては、上述した架橋剤と同様のものが挙げられる。
また、架橋剤の配合量は、前記高分子の繰り返し単位 (11) 1モルに対して、 0. 01 〜2モルの範囲が好ましぐ 0.:!〜 1モルの範囲がより好ましい。
[0141] 本発明の高分子固体電解質用組成物において、用いる電解質塩は特に限定され ず、電荷によりキャリア一としたレ、イオンを含む電解質を用いればよい。なかでも、硬 化して得られる高分子固体電解質中での解離定数が大きいものの使用が望ましい。 電解質塩は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
[0142] 本発明に用いる電解質塩としては、アルカリ金属塩、(CH ) NBF等の 4級アンモ
ニゥム塩、 (CH ) PBF等の 4級ホスホニゥム塩、 AgCIO等の遷移金属塩、あるい
3 4 6 4
は塩酸、過塩素酸、ホウフッ化水素酸等のプロトン酸が挙げられ、アルカリ金属塩、 4 級アンモニゥム塩、 4級ホスホニゥム塩又は遷移金属塩が好ましぐアルカリ金属塩が より好ましい。
[0143] アルカリ金属塩の具体例としては、 LiCF SO、 LiN (CF SO ) 、 LiC (CF SO )
3 3 3 2 2 3 2 3
、 LiC (CH ) (CF SO ) 、 LiCH (CF SO ) 、 LiCH (CF SO )、 LiC F SO、 Li
3 3 2 2 3 2 2 2 3 2 2 5 3
N (C F SO ) 、 LiB (CF SO ) 、 LiPF、 LiCIO、 Lil、 LiBF、 LiSCN, LiAsF、
2 5 2 2 3 2 2 6 4 4 6
NaCF SO、 NaPF、 NaCIO、 Nal、 NaBF、 NaAsF、 KCF SO、 KPF、 KI、
3 3 6 4 4 6 3 3 6
LiCF CO、 NaCIO、 NaSCN、 KBF、 Mg (C10 ) 、 Mg (BF ) 等が挙げられ、リ
3 3 3 4 4 2 4 2 チウム塩が特に好ましい。
[0144] 電解質塩の添加量は、前記繰り返し単位(I)のアルキレンオキサイドユニットに対し て、 0. 005〜80モノレ0 /0、好ましく ίま 0. 01〜50モノレ0 /0の範囲である。
[0145] 本発明の高分子固体電解質用組成物は、本発明の高分子、架橋剤及び電解質塩 を添加混合 (複合)させることにより製造することができる。
[0146] 本発明の高分子、架橋剤及び電解質塩を添加混合 (複合)する方法には特に制限 なぐ例えば、本発明の高分子、架橋剤及び電解質塩を、テトラヒドロフラン、メチル ェチルケトン、ァセトニトリル、エタノール、ジメチルホルムアミド等の適当な溶媒に溶 解させる方法;本発明の高分子、架橋剤及び電解質塩を、常温又は加熱下に機械 的に混合する方法;等が挙げられる。
[0147] 4)高分子固体電解質
本発明の高分子固体電解質は、本発明の高分子又は架橋高分子、及び電解質塩 を含むことを特徴とする。
[0148] 本発明の高分子固体電解質の製造方法としては、(i)前述した本発明の高分子固 体電解質用組成物を、シート状、膜状、フィルム状等の形状に成形後、前記各種ェ ネルギーを用いて架橋させて、イオン伝導性の、シート .膜.フィルム状の架橋高分子 体とする方法、 (Π)本発明の高分子と架橋剤からなる組成物を、熱等の各種エネルギ 一を用いて完全に架橋する手前まで架橋させ、さらに電解質塩を添加して、完全に 架橋、固化させる方法、(m)架橋条件の異なる 2種以上の本発明の高分子、及び 1
種以上の架橋剤からなる組成物を、一方の高分子のみが架橋する条件の下に架橋 させた後、電解質塩を添加して、さらに、他方の高分子を架橋、固化させる方法、(iv )架橋条件の異なる 2種以上の本発明の高分子、 1種以上の架橋剤及び電解質塩か らなる組成物を、一方の高分子のみが架橋する条件の下に架橋させた後、さらに、 他方の高分子を架橋、固化させる方法、等を例示することができる。これらの方法の 中でも、 (i)の方法が、加工面の自由度が広がり、応用上の大きな利点を有すること 力、ら好ましい。
[0149] シート状等の高分子固体電解質を製造する手段としては、例えば、支持体上に、口 一ルコーター法、カーテンコーター法、スピンコート法、ディップ法、キャスト法等の各 種コーティング手段により前記高分子固体電解質用組成物を成膜させ、次いで前記 エネルギーにより架橋反応を行レ、、その後支持体を剥離除去する方法が挙げられる
[0150] シート状等の高分子固体電解質は、イオン伝導性を有するポリマーセグメント(P1) 、イオン伝導性を有さなレ、ポリマーセグメント(P2)及び架橋ポリマーセグメント(P4)を 有するポリマーを含む膜であって、膜中にネートワーク型ミクロ相分離構造を含む膜 や、イオン伝導性を有するポリマーセグメント(P1)、イオン伝導性を有さないポリマー セグメント(P2)、架橋点を有するポリマーセグメント(P3)を有するポリマーと架橋剤と の反応により得られた架橋高分子を含む膜であって、膜中にネートワーク型ミクロ相 分離構造を含む膜であれば、特に制限されないが、上記 Pl、 P2、 P3を有するポリマ 一がミクロ相分離構造を形成しているものが好ましい。
[0151] ここで、イオン伝導性を有するポリマーセグメント(P1)と架橋点を有するポリマーセ グメント(P3)としては前記ブロック鎖 Aを、イオン伝導性を有さないポリマーセグメント (P2)としては前記ブロック鎖 Bを具体的に例示することができる。
[0152] 本発明のシート状等の高分子固体電解質は、膜中にネットワーク型のミクロ相分離 構造を含む構造を有するので、イオン導電性 (伝導性)を維持すると共に、物理的特 性、熱的特性、特に膜強度が改善された膜である。
[0153] 本発明の高分子固体電解質は、高分子固体電解質電池に好ましく用いることがで きる。
高分子固体電解質電池は、例えば、本発明の高分子固体電解質を予めフィルム 等の成形体として使用し電極間に組み込む方法;又は電極上に先に述べた共重合 体等のポリマーと電解質塩を含む組成物を、ロールコーター法、カーテンコーター法
、スピンコート法、ディップ法、キャスト法等の各種コーティング手段により正極上に前 記高分子固体電解質を成膜し、さらに、もう一方の電極を配置する方法、等により製 造すること力 Sできる。
[0154] 5)接着性組成物
本発明の接着性組成物は、本発明の高分子及び架橋剤を含有することを特徴とす る。
本発明の接着性組成物においては、架橋剤を、本発明の高分子の繰り返し単位 (I 1) 1モルに対して、 0. 01〜2モル含有するものが好ましぐ 0. 1〜:!モル含有するも のがより好ましい。
用いる架橋剤としては、分子内に 2個以上のイソシァネート基を含むポリイソシァネ 一トイヒ合物や分子内に 2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物が挙げら れる。
[0155] 本発明の接着性組成物は、ォレフィン樹脂等のプラスチック、金属、無機化合物、 セラミックス、これらのコーティング基板に対して高い接着力を有し、耐溶剤性に優れ ているので、溶剤中での使用が可能であり、接着力の劣化のない部材間の接着剤と しての使用が期待されるものである。また、本発明の接着性組成物に用いる高分子 は、ポリアルキレンォキシ基を有する繰り返し単位 (I)を有するので、導電性を有する 接着性組成物として用いることができる。
[0156] 本発明の接着性組成物の使用方法としては、(i)本発明の高分子と架橋剤とを溶 媒に溶解し、基材に塗布し、架橋、固化させる方法、(ii)架橋条件の異なる 2種以上 の本発明の高分子、及び 1種以上の架橋剤を溶媒に溶解し、基材に塗布し、本発明 の高分子の一種のみが架橋する条件の下に架橋させた後、さらに、架橋、固化させ る方法、(iii)架橋条件の異なる 2種以上の本発明の高分子、 1種以上の架橋剤を、 本発明の高分子の一種のみが架橋する条件の下に架橋させた後、さらに、架橋、固 化させる方法、等が挙げられる。
実施例
[0157] 以下、本発明を実施例を用いて、詳細に説明するが、本発明は実施例に限定され るものではない。
[0158] (実施例 1)
(1) B— A1— B共重合体の合成
アルゴン雰囲気下において、メトキシポリエチレングリコールモノメタタリレート(日本 油脂社製、ブレンマー PME— 400、前記式 (I)において、 ^ = ^ = ^ = ^ = 7] 素原子、 R3=R5=メチル基、 m= 9である高分子。以下「PME— 400」と略す) 30. 0 g (60. 4ミリモル)、メタクリル酸 2—ヒドロキシェチル(以下、「HEMA」と略す) 3· 3g ( 25. 6ミリモノレ)、トノレェン 100gをフラスコに取り、均一に混合後、脱気処理を行った。 この混合溶液にジクロロトリス(トリフエニルホスフィン)ルテニウム 0· 16g (0. 17ミリモ ノレ)、ジー n—ブチノレアミン 0· 09g (0. 67ミリモノレ)をカロえ、さらに 2, 2—ジクロロアセ トフエノン 0. 06g (0. 33ミリモル)を加え、攪拌下、 80°Cに加温して重合反応を開始 させた。
[0159] 重合反応を開始して 22時間経過後、反応系の温度を 0°Cに冷却して重合反応を 停止させた。反応液のカラム精製を行って金属錯体と未反応モノマーを除去した。 減圧下に揮発分を除去して得られた粘稠な残渣を 60°Cで 5時間減圧乾燥した。用 いたモノマー総量に対する重合収率は、 68%であった。
[0160] 以上により、 PME— 400と HEMAとのランダム共重合体を得た。得られた共重合 体の GPC— MALLS分析を行ったところ、 Mn= 129, 000、 Mw/Mn= l . 37で あった。以上により得られた高分子を、「P _ PMEZHEMA_ 1」と略す。
[0161] 次いで、アルゴン雰囲気下において、 P— PME/HEMA—1 20. 0g (0. 15ミリ モノレ)、スチレン(以下、「St」と略す) 8. 6g (82. 3ミリモノレ)、トノレエン 115gをフラス に取り、均一に混合後、脱気処理を行った。この混合溶液に、クロ口ペンタメチノレシク 口ペンタジェニルビス(トリフエニルホスフィン)ノレテニゥム(以下、「CPS」と略す) 0· 0 5g (0. 06ミリモノレ)、ジー n—ブチノレアミン 0. 04g (0. 3ミリモノレ)をカロ免、 100oCにカロ 温して共重合反応を開始させた。
共重合反応を開始してから 42時間後に反応系の温度を 0°Cに冷却して、共重合反
応を停止させた。スチレンの重合収率は、 28%であった。大量の n—へキサンで再沈 して得られた粘稠な残渣を 60°Cで 5時間減圧乾燥した。
[0162] 以上のようにして、ポリスチレン(PSt)力 なるブロック鎖 Bと、 P-PME/HEMA _ 1からなるブロック鎖 A1とが、 B—A1—Bの順序で結合してなる共重合体を得た。
[0163] この共重合体の1 H— NMR分析の結果、ポリマー組成比は、 PME_400/HEM A/St = 80Z9Zll (wt%)であり、 PEO (ポリエチレンォキシド)含有量は 64%で あった。
以上のようにして得られた高分子(PSt_b_ (P-PME/HEMA- 1) _b_PSt )を、「R_ 1」と略す。
[0164] (2)高分子固体電解質用組成物(1)の調製
アルゴン雰囲気下において、(R—D sgと、架橋剤としてトリレン— 2, 4—ジイソシ ァネート(以下、「TDI」と略す) 0. 15gとを、 THFとァセトニトリルの混合溶媒 (THF /ァセトニトリル =8g/10g) 18gに溶解させ、さらに LiPF 0. 15gを加えて均一に 溶解させることにより、高分子固体電解質用組成物(1)を調製した。
[0165] (3)固体電解質膜の作製、及び特性評価
アルゴン雰囲気下において、上記組成物(1)をポリテトラフルォロエチレン製の板 上に流延し、室温で 24時間放置後、 60°Cで 5時間、更に 100°Cで 10時間減圧乾燥 して均一な固体電解質膜を得た (膜厚 100 μ m)。
アルゴン雰囲気下、この固体電解質膜を白金板にはさみ、周波数 5〜: 10MHzのィ ンピーダンスアナライザー(Solartron— 1260型)を用いて複素インピーダンス解析 によりイオン伝導度を測定した。
[0166] その結果、イオン伝導度は、 20°Cで 9. 4 X 10— Zcm、 30。Cで 2. 0 X 10— 5S/c m、 40。Cで 3. 9 X 10— 5S/cm、 50°Cで 6. 5 X 10— 5SZcm、 60。Cで 9. 7 X 10— 5S
[0167] (実施例 2)
(1) B— A2— B共重合体の合成
アルゴン雰囲気下において、メトキシポリエチレングリコールモノメタタリレート(日本 油脂社製、ブレンマー PME— 1000、前記式 (I)において、!^ = =1 43 = 1 413 =水
素原子、 R3=R5=メチノレ基、 m= 23、以下、「PME— 1000」と略す) 30. 0g (60. 4 ミリモノレ)、 HEMA 3. 3g (25. 6ミリモノレ)、トノレェン 100gをフラスコ【こ取り、均一 ίこ 混合後、脱気処理を行った。
[0168] この混合溶液に、ジクロロトリス(トリフエニルホスフィン)ルテニウム 0. 16g (0. 17ミリ モノレ)、ジ _n_ブチノレアミン 0. 09g (0. 67ミリモノレ)をカロえ、さらに 2, 2_ジクロロア セトフヱノン 0. 06g (0. 33ミリモル)をカ卩え、攪拌下、 80°Cに加温して重合反応を開 始させた。
[0169] 重合反応を開始して 62時間経過後、反応系の温度を 0°Cに冷却して重合反応を 停止させた。反応液のカラム精製を行って金属錯体と未反応モノマーを除去した。減 圧下に揮発分を除去して得られた粘稠な残渣を 60°Cで 5時間減圧乾燥した。用いた モノマー総量に対する重合収率は、 76%であった。
[0170] 以上のようにして、 PME—1000と HEMAとのランダム共重合体を得た。得られた 高分子の GPC— MALLS分析を行ったところ、 Mn= 169, 000、 Mw/Mn= l. 7 1であった。この高分子を「P— PME/HEMA— 2」と略す。
[0171] 次いで、アルゴン雰囲気下において、 P— PME/HEMA—2 22. 4g (0. 14ミリ モノレ)、 St 14. 9g (143. 4ミリモノレ)、卜ノレェン 112gをフラスコ ίこ取り、均一【こ混合 後、脱気処理を行った。この混合溶液に、 CPS 0. 05g (0. 06ミリモル)、ジ—n—ブ チルァミン 0· 04g (0. 3ミリモル)をカ卩え、 100°Cに加温して共重合反応を開始させ た。
共重合反応を開始してから 68時間後に反応系の温度を 0°Cに冷却して共重合反 応を停止させた。スチレンの重合収率は、 26%であった。大量のへキサンで再沈し て得られた粘稠な残渣を 30°Cで 20時間減圧乾燥した。
[0172] 以上のようにして、ポリスチレン(PSt)力、らなるブロック鎖 Bと、 P-PME/HEMA _ 2からなるブロック鎖 A2と力 B—A2— Bの順序で結合してなる共重合体を得た。
[0173] 得られた共重合体は、 iH— NMR分析の結果、ポリマー組成比が PME_ 1000Z HEMA/St = 77Z8Zl5 (wt%)であり、 PEO (ポリエチレンォキシド)の含有量 70 %であった。以上のようにして得られた共重合体を、「R_ 2」と略す。
[0174] (2)高分子固体電解質用組成物(2)の調製
アルゴン雰囲気下において、(R— 2) 2gと、架橋剤として TDI 0. 25gとを、 THFと ァセトニトリルの混合溶媒 (THF/ァセトニトリル = 8g/10g) 18gに溶解させ、さらに LiPF 0. 15gを加えて均一に溶解させることにより、高分子固体電解質用組成物(
6
2)を調製した。
[0175] (3)固体電解質膜作製、及び特性評価
アルゴン雰囲気下におレ、て、上記組成物(2)をポリテトラフルォロエチレン製の板 上に流延し、室温で 24時間放置後、 60°Cで 5時間、更に 100°Cで 10時間減圧乾燥 して均一な固体電解質膜を得た (膜厚 100 μ m)。
アルゴン雰囲気下、この固体電解質膜を白金板にはさみ、周波数 5〜: 10MHzのィ ンピーダンスアナライザー(Solartron— 1260型)を用いて複素インピーダンス解析 によりイオン伝導度を測定した。
[0176] その結果、イオン伝導度は、 20°Cで 1. 7 X 10"5S/cm, 30。Cで 3. 6 X 10"5S/c m、 40。Cで 6. 6 X 10_5S/cm、 50。Cで 1. 2 X 10_4S/cm、 60。Cで 1. 9 X 10"4S
[0177] (比較例 1)
( 1 ) B— A3— B型ブロック共重合体の合成
アルゴン雰囲気下において、予めアルゴン脱気処理を行ったトルエン 1143. 7gに 、ジクロロトリス(トリフエニルホスフィン)ルテニウム 1 · 44g (l . 5ミリモル)、 PME— 10 00 630g (566. 0ミリモノレ)をカロ免て均一に昆合後、ジー n—ブチノレアミン 0. 81g (6 • 2ミリモノレ)、 2, 2—ジクロロアセトフエノン 0. 83g (4. 4ミリモノレ)をカロえ、攪拌下、 80 °Cに加温して重合反応を開始させた。
[0178] 重合反応を開始して 22時間経過後、反応系の温度を 0°Cに冷却して重合反応を 停止させた。反応液の GPC分析の結果、 PME— 1000の重合転化率は 50。/。であつ た。次に、反応液のカラム精製を行って金属錯体と未反応モノマーを除去した。減圧 下に揮発分を除去して、ポリ PME_ 1000 (以下、「P_PME_ 1」と略す)を得た。 得られた P— PME—1の GPC分析を行ったところ、 Mn= 115, 000の単分散ポリマ 一であった。
[0179] 次いで、アルゴン雰囲気下において、予め脱気処理を行ったトルエン 475. 4gに、
CPS 0. 53g (0. 65ミリモノレ)、 P— PME— 1 110. lg (l . 10ミリモノレ)、 St 50. 1 g (480ミリモノレ)、 n—才クタン 0. 57g (5. 0ミリモノレ)をカロ免て均一に昆合後、ジー n —プチルァミン 0. 32g (2. 5ミリモル)を加え、攪拌下、 100°Cに加温して共重合反 応を開始させた。共重合反応を開始して力も 45時間後に反応系の温度を 0°Cに冷 却して、共重合反応を停止させた。
[0180] GC分析の結果、 Stの重合転化率は 36%であった。この反応液を前記同様カラム 精製及び減圧精製を行った。
[0181] 以上のようにして、 P— PME—1からなるブロック鎖 A3、ポリスチレン(PSt)のブロッ ク鎖 Bと力 B—A3— Bの順序で結合してなるブロック共重合体を得た。
この共重合体について GPC分析を行ったところ、 Mn= 149, 000の単分散ポリマ 一であった。この共重合体を「BL_ 1」と略す。
[0182] (2)高分子固体電解質用組成物(3)の調製
アルゴン雰囲気下において、(81^—1) 2§を丁11?20§に溶解させ、さらに1^ 10 (
4 以下、「LiPC」と略す) 0. 21gをカ卩えて均一に溶解させて高分子固体電解質用組成 物(3)を調製した。
[0183] (3)固体電解質膜作製、及び特性評価
アルゴン雰囲気下におレ、て、上記組成物をポリテトラフルォロエチレン製の板上に 流延し、室温で 24時間放置後、 60°Cで 5時間、更に 100°Cで 10時間減圧乾燥して 均一な固体電解質膜を得た (膜厚 100 μ m)。
[0184] アルゴン雰囲気下、この固体電解質膜を白金板にはさみ、周波数 5〜: 10MHzのィ ンピーダンスアナライザー(Solartron— 1260型)を用いて複素インピーダンス解析 によりイオン伝導度を測定した。
[0185] その結果、イオン伝導度は、 20°Cで 6. 3 X 10— 5SZcm、 30。Cで 1. 7 X 10_4S/c m、 40。Cで 3. 8 X 10— 4S/cm、 50°Cで 6. 4 X 10— 4SZcm、 60。Cで 1. 2 X 10—ソ cm、であった。
[0186] (比較例 2)
(D C-B-A3-B- C型ブロック .グラフト共重合体の合成
アルゴン雰囲気下において、予めアルゴン脱気処理を行ったトルエン 78gに、ジク
口ロトリス(トリフエニルホスフィン)ノレテニゥム 0· 1ミリモル、 ΡΜΕ— 1000 30ミリモノレ を加えて均一に混合後、ジ一 η—ブチルァミン 0· 4ミリモノレ、 2, 2—ジクロロアセトフエ ノン 0. 2ミリモルを加え、攪拌下、 80°Cに加温して重合反応を開始させた。
[0187] 重合反応を開始して 22時間経過後、反応系の温度を 0°Cに冷却して重合反応を 停止させた。反応液の GPC分析の結果、 PME_ 1000の重合転化率は 50。/。であつ た。次に、反応液のカラム精製を行って金属錯体と未反応モノマーを除去した。減圧 下に揮発分を除去して、ポリ PME_ 1000 (以下、「P_PME_ 1」と略す)を得た。 P — PME—1の GPC分析を行ったところ、 Mn= 83, 000の単分散ポリマーであった。
[0188] 次いで、アルゴン雰囲気下において、予め脱気処理を行ったトルエン 43gに、 CPS
0. 04ミリモノレ、 P— PME—1 0. 2ミリモノレ、 St 17ミリモノレ、 n—才クタン 5ミリモノレ を加えて均一に混合後、ジ— n—ブチルァミン 0. 4ミリモノレをカロえ、攪拌下、 100°C に加温して共重合反応を開始させた。
[0189] 共重合反応を開始してから 45時間後に反応系の温度を 0°Cに冷却して、共重合反 応を停止させた。重合反応液の GC分析の結果、 Stの重合転化率は 60%であった。 この反応液を前記同様カラム精製及び減圧精製を行い、高分子を単離した。
[0190] 以上のようにして、 P— PME— 1からなるブロック鎖 A3、ポリスチレン(PSt)のブロッ ク鎖 Bと力 S、 B— A3— Bの順序で結合してなるブロック共重合体を得た。
この共重合体について GPC分析を行ったところ、 Mn= 88, 000の単分散ポリマー であった。この共重合体を、「PSt—b— P— PME—l—b— PSt」と略記する。この共 重合体は、前記 BL— 1と同じ組成の高分子である。
[0191] 次いで、アルゴン雰囲気下において、予め脱気処理を行ったトルエン 45gに、 CPS
0. 04ミリモノレ、 PSt_b_P_PME_ l _b_PSt 0. 2ミリモノレ、 クリノレ酸 2—ヒ ドロキシェチル(以下、「HEA」と略す) 9ミリモル、 n—オクタン 5ミリモノレをカロえて均 一に混合後、ジ _n_プチルァミン 0. 4ミリモルを加え、 80°Cに加温して共重合反 応を開始させた。共重合反応を開始して力も 22時間後に反応系の温度を 0°Cに冷 却して共重合反応を停止させた。 GC分析の結果、 HEAの重合転化率は 40%であ つた。この反応液を前記同様カラム精製及び減圧精製を行った。
[0192] 以上のようにして、 P— PME—1からなるブロック鎖 A3、ポリスチレンからなるブロッ
ク鎖 B、及び HEAの繰り返し単位からなるブロック鎖 C力 C— B— A3— B— Cの順 序で結合してなるブロック'グラフト共重合体を得た。
[0193] 得られた共重合体について GPC分析を行ったところ、 Mn= 91, 000の単分散ポリ マーであった。また、 13C_NMRを測定したところ、共重合体中の繰り返し単位総モ ル数に対する PME_ 1000繰り返し単位モル数の比率が 52%、 St繰り返し単位モ ル数の比率が 35。/。、 HEA繰り返し単位モル数の比率が 13 %であつた。
以上のようにして得られた高分子を「BL_ 2」と略す。
[0194] (2)高分子固体電解質用組成物 (4)の調製
アルゴン雰囲気下において、(BL_ 2) 2gと、架橋剤として TDI 0. 04gとを THF2 Ogに溶解させ、さらに LiCIO 0. 21gをカ卩えて均一に溶解させて高分子固体電解
4
質用組成物 (4)を調製した。
[0195] (3)固体電解質膜作製、及び特性評価
アルゴン雰囲気下におレ、て、上記組成物をポリテトラフルォロエチレン製の板上に 流延し、室温で 24時間放置後、 60°Cで 5時間、更に 100°Cで 10時間減圧乾燥して 均一な固体電解質膜を得た (膜厚 100 μ m)。
[0196] アルゴン雰囲気下、この固体電解質膜を白金板にはさみ、周波数 5〜: 10MHzのィ ンピーダンスアナライザー(Solartron— 1260型)を用いて複素インピーダンス解析 によりイオン伝導度を測定した。
[0197] その結果、イオン伝導度は、 20°Cで 7. 0 X 10_5S/cm、 30°Cで、 1. 2 X 10"4S
/cm、 40。Cで、 3. 0 X 10— 4S/cm、 50。Cで、 4. 2 X 10— 4S/cm、 60。Cで、 6. 3
X 10— 4S/cmであった。
[0198] (実施例 3)
実施例 1、 2で得た B_A_B共重合体: R_ l、 R_ 2、ランダム共重合体: P_PM E/HEMA_ 1、 P— PME/HEMA—2に、 TDIの 10重量0 /0テトラヒドロフラン溶 液を架橋剤として、それぞれ所定量混合した。得られた混合物を加熱して試験用共 重合体をそれぞれ製造した。
[0199] (1)共重合体の耐溶剤性試験
エチレンカーボネート Zジエチレンカーボネート = 3/7 (容量比)混合溶媒を調製
し、試験用共重合体各 5gを該混合溶媒 100ml中に放置して共重合体の溶解性を観 測した。試験条件は、室温放置、 80°C X lhr、室温一夜放置である。
測定の結果、不溶である場合を◎、ほとんど不溶である場合を〇、一部溶解した場 合を△、溶解した場合を Xで評価した。評価結果を下記第 1表にまとめて示す。なお 、第 1表中、架橋率は、共重合体中の架橋点の TDIによる架橋の程度を示す。
[表 1]
[0201] 第 1表より、実施例 3で得られた実施例 1及び 2の架橋高分子は、比較例の高分子 ( P-PME/HEMA- 1 , P-PME/HEMA- 2, PVdF (ポリビニリデンフロライド) )と同等の耐溶剤特性を有していることがわかる。
[0202] (2)共重合体の接着試験
アルゴン雰囲気下において、実施例 1 2で得た B—A—B共重合体: R_ l 2を、 それぞれ 2gと、架橋剤として TDI 0. 15gとを、 THFとァセトニトリルの混合溶媒 (T HF/ァセトニトリル = 8g/10g) 18gに溶解させ、さらに LiPF 0. 15gを加えて均
6
一に溶解させて接着性組成物溶液を調製した。
[0203] また、 PVdF、比較例 1のブロック共重合体(BL—1)のそれぞれ 2gを THF20gに 溶解させ、さらに LiPF 0. 21gを加えて均一に溶解させて、比較例の接着性組成
6
物溶液をそれぞれ調製した。
[0204] さらに、比較例 2のブロック 'グラフト共重合体 (BL— 2) 2g、及び架橋剤としてトリレ ン一 2, 4—ジイソシァネート 0. 04gを THF20gに溶角军させ、 LiPF 0. 21gをカロえ
6
て均一に溶解させて、比較例の接着性組成物溶液を調製した。
なお、接着性組成物に電解質塩を配合する場合、電解質塩は共重合体中の PEO との当量比 [Li]/[E〇]を 0. 03とした。
[0205] 次に、アルミニウム箔に上記で得た接着性組成物溶液を塗布し、ポリエチレン ば 製マイクロポーラスフイルム (厚み: 20 μ m)を貼り合わせて、加熱真空乾燥(25°C X 0. 5h、 65°C X 4h)して試験体をそれぞれ作製した。
得られた各試験体を 25°Cにおける 1 Omm/minの速度での弓 |つ張り試験を JIS K
6850 999に準拠して実施した。
測定結果を下記第 2表にまとめて示す。
第 2表中、架橋率は共重合体中の架橋点の TDIによる架橋の程度を示す。
[0206] [表 2]
第 2表より、実施例 1及び 2の架橋高分子は、 LiPFを含有しない場合及び含有す
6
る場合のいずれにおいても、優れた接着性を有しており、比較例の高分子(BL_ 1, BL- 2, PVdF)に比して破断応力が大きいことが示された。
産業上の利用可能性
[0207] 本発明の高分子及びこの高分子を架橋してなる架橋高分子は新規化合物であり、 高分子固体電解質用組成物、高分子固体電解質の製造原料として有用である。 本発明の高分子固体電解質用組成物から得られる高分子固体電解質は、熱的特 性、物理的特性及びイオン伝導性に優れる。
また、本発明の高分子を架橋してなる架橋高分子は接着性能に優れており、電極 部材等の部材間を接着'固定する固定剤材料として有用である。