WO2006046365A1 - 電動ステアリングロック装置 - Google Patents

Abstract

　モータユニットの駆動により解錠方向（Ｒ１）及び施錠方向（Ｒ２）に回転するカム板（５）と、カム板（５）の摺動面（６）に追従してステアリングシャフトの回転を阻止するロック位置とステアリングシャフトの回転を許容するロック解除位置との間で変移するロックシャフト（８）とを備えている。カム板（５）を、回転中心（Ｏ）と重心位置（Ｇ）が一致するよう設定する。

Description

明 細 書

電動ステアリングロック装置

技術分野

[0001] 本発明は、自動車のステアリングシャフトをロック状態にする電動ステアリングロック 装置に関する。

背景技術

[0002] この種の従来の電動ステアリングロック装置としては、特開 2002— 205622号公報 に示すものが提案されている。そして、カム部材を利用して電動ステアリングロック装 置を構成する場合には、駆動源の駆動により回転する回転軸と、この回転軸に固定 され、回転軸と一体に解錠方向及び施錠方向に回転するカム部材と、このカム部材 の摺動面に当接するカム当接面を有し、カム部材の摺動面に追従してステアリングシ ャフトの回転をロックするロック位置とステアリングシャフトの回転を許容するロック解 除位置との間で変移するロック部材と、ロック部材をロック位置側に付勢するパネとを 主要構成部品として構成される。

[0003] 上記構成において、車両駐車中にあっては、ロック部材がロック位置に位置され、 ステアリングシャフトがロックされる。これにより、駐車中における車両盗難を防止でき る。

[0004] 駐車中の車両を駆動する際には、駆動源の駆動によりカム部材が解錠方向に回転 し、ロック部材がロック解除位置とされ、ステアリングシャフトの回転が自由にされる。 発明の開示

[0005] ところで、電動ステアリングロック装置にあっては、駐車中以外ではロック部材をロッ ク解除位置に常に維持する必要があり、駐車中ではロック部材をロック位置に維持す る必要がある力 カム部材の回転位置と重心位置との関係を考慮しな力つた場合に は、次のような不都合が発生する。

[0006] つまり、カム部材の重心位置がカム部材の回転中心に対して偏芯していると、カム 部材に作用する衝撃、振動等によって自己慣性モーメントが発生する。ロック部材を ロック解除位置とするカム部材の位置において、上記した自己慣性モーメントの方向 がカム部材の施錠方向と一致すると、カム部材が施錠方向に回転してロック部材がロ ック位置に移動する可能性がある。又、ロック部材をロック位置とするカム部材の位置 において、上記した自己慣性モーメントの方向がカム部材の解錠方向と一致すると、 カム部材が解錠方向に回転してロック部材がロック解除位置に移動する可能性があ る。

[0007] そこで、本発明は、カム部材が自己慣性モーメントによって変位するのを防止できる 電動ステアリングロック装置を提供することを目的とする。

[0008] 上記目的を達成するため、本発明のアスペクトは、駆動源の駆動により解錠方向及 び施錠方向に回転するカム部材と、このカム部材の摺動面に追従してステアリングシ ャフトの回転を阻止するロック位置と前記ステアリングシャフトの回転を許容するロック 解除位置との間で変移するロック部材とを備え、前記カム部材は、回転中心と重心位 置が一致するよう設定された電動ステアリングロック装置を提供する。

[0009] 前記構成によれば、衝撃、振動等がカム部材に作用してもカム部材には自己慣性 モーメントが発生しない。従って、自己慣性モーメントによる変位を防止できる。

[0010] また、ロック解除位置に位置する前記ロック部材の移動を阻止するステアリングロッ ク防止手段を設けても良い。

[0011] 前記構成によれば、ステアリングロック防止手段によってもロック部材のロック位置 側への移動が阻止されるため、ロック部材のロック解除位置を更に確実に維持できる

図面の簡単な説明

[0012] [図 1]図 1は、本発明の一実施形態を示し、電動ステアリングロック装置の平面図であ る。

[図 2]図 2は、本発明の一実施形態を示し、ロックシャフトがロック解除位置に位置す る場合の図 1の 2— 2線断面図である。

[図 3]図 3は、本発明の一実施形態を示し、図 2の 3— 3線断面図である。

[図 4]図 4は、本発明の一実施形態を示し、ロック解除位置におけるロックシャフトと力 ム板の配置状態を示す概略拡大図である。

[図 5]図 5は、本発明の一実施形態を示し、ロックシャフトがロック位置に位置する場 合の図 1の 2— 2線断面図である。

[図 6]図 6は、本発明の一実施形態を示し、図 5の 6— 6線断面図である。

[図 7]図 7は、本発明の一実施形態を示し、ロック位置におけるロックシャフトとカム板 の配置状態を示す概略拡大図である。

[図 8]図 8は、本発明の一実施形態を示し、（a)はカム板のカム本体側から見た斜視 図、（b)はカム板の重心調整部側から見た斜視図である

発明を実施するための最良の形態

[0013] 以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。

[0014] 電動ステアリングロック装置 1は、図 1、図 2及び図 5に示すように、フレーム 2とこの フレーム 2の上方を被うカバー 3とを有し、カバー 3で被われたフレーム 2上には駆動 源であるモータユニット 4が固定されている。モータユニット 4は減速機構を内蔵し、ュ ニットケースより突出する回転軸 (不図示）にカム部材であるカム板 5が固定されてい る。

[0015] カム板 5は、回転軸の回転によって解錠方向 R1及びその逆の施錠方向 R2に回転 される。カム板 5は、図 8 (a)、 (b)に詳しく示すように、カム本体 5aと、このカム本体 5a に同一材料で一体に形成された略扇状の重心調整部 5bとから構成され、カム本体 5 aの外周面が摺動面 6として形成されている。摺動面 6は、回転中心 Oからの距離が 回転角度の変化と共に徐々に可変するように設定されている。カム板 5は、重心調整 部 5bによって回転中心 Oと重心位置 Gがー致するよう設定されている。

[0016] 図 2及び図 5に戻り、フレーム 2には上下方向に貫通するスライド用孔 7が形成され ており、このスライド用孔 7にロック部材であるロックシャフト 8が移動自在に配置され ている。ロックシャフト 8の上端にはハンガー部 9が固定されている。このハンガー部 9 の下面はカム当接面 10として形成され、カム当接面 10がカム板 5の摺動面 6に当接 されている。ハンガー部 9の上面にはパネ 13のパネ力が作用され、このパネ力によつ てロックシャフト 8がロック位置側に付勢されていると共にカム当接面 10がカム板 5に 押圧されている。

[0017] ロックシャフト 8の下端には係合ピン部 11が設けられている。ロックシャフト 8はカム 板 5の摺動面 6に追従して移動し、図 5〜図 7に示すロック位置と図 2〜図 4に示す口 ック解除位置との間を変移する。ロック位置では、係合ピン部 11がステアリングシャフ ト 12の突起 12a間に入り込み（図 6の状態）、ステアリングシャフト 12の回転を阻止す る。ロック解除位置では、係合ピン部 11がステアリングシャフト 12の突起 12aの回転 軌跡外の位置に位置し（図 3の状態）、ステアリングシャフト 12の回転を許容する。

[0018] また、電動ステアリングロック装置 1は、図 1、図 2及び図 5に示すように、ステアリン グロック防止手段 20を備えている。このステアリングロック防止手段 20は、カバー 3で 被われたフレーム 2上に固定された電磁ソレノイド 21を有し、この電磁ソレノイド 21の 伸縮ロッド 21aにロックプレート 22の一端側が固定されている。このロックプレート 22 の先端はロックシャフト 8の近傍位置まで延びている。そして、ロックシャフト 8がロック 解除位置に位置する場合にあって、電磁ソレノイド 21がオフ時にはパネ 24により、口 ックプレート 22がロックシャフト 8の係止溝 23に入り込み、ロックシャフト 8の移動を阻 止する。電磁ソレノイド 21がオンすると、ロックプレート 22がロックシャフト 8の係止溝 2 3より退出し、ロックシャフト 8の移動を許容する。

[0019] 上記構成において、車両駐車中にあっては、ロックシャフト 8が図 5〜図 7に示す口 ック位置に位置し、ステアリングシャフト 12の回転がロックされている。これにより、車 両の盗難が防止される。

[0020] 次に、運転者がエンジンをスタートさせるべくステアリングロックスィッチ (不図示）を 押下すると、モータユニット 4が駆動してカム板 5が解錠方向 R1に回転される。これに より、ロックシャフト 8が図 2〜図 4に示すロック解除位置に移動し、ステアリングシャフ ト 12の回転が許容される。

[0021] ロックシャフト 8がロック解除位置に移動すると、ステアリングロック防止手段 20の電 磁ソレノイド 21がパネ 24の付勢力によりロックシャフト 8の係止溝 23に係止される。ェ ンジンをスタートして車両走行して 、る間は、ロックシャフト 8はロック解除位置を保持 し、ステアリングシャフト 12の自由な回転が許容される。

[0022] エンジンを停止して LOCK位置とすると、ステアリングロック防止手段 20の電磁ソレ ノイド 21がオンして、ロックプレート 22がロックシャフト 8の係止溝 23から離脱され、次 にモータユニット 4が駆動してカム板 5が施錠方向 R2に回転される。これにより、ロック シャフト 8が図 5〜図 7に示すロック位置に移動し、ステアリングシャフト 12の回転が阻 止される。

[0023] このような動作を行う電動ステアリングロック装置 1にあって、カム板 5に衝撃、振動 等の外力が作用しても、カム板 5は回転中心 Oと重心位置 Gがー致しているために、 カム板 5に衝撃、振動等に起因する自己慣性モーメントが発生することはない。従つ て、ロックシャフト 8をロック解除位置とするカム板 5の位置（図 2〜図 4)において、カム 板 5が自己慣性モーメントによって施錠方向に回転してロックシャフト 8がロック位置に 移動することがない。又、ロックシャフト 8をロック位置とするカム板 5の位置（図 5〜図 7)において、カム板 5が自己慣性モーメントによって解錠方向に回転してロックシャフ ト 8がロック解除位置に移動することがない。

[0024] この実施形態では、ロックシャフト 8がロック解除位置にある場合には、ステアリング ロック防止手段 20によってもロックシャフト 8のロック位置側への移動が阻止される。

[0025] つまり、この実施形態では、カム板 5の上記した構成とステアリングロック防止手段 2 0とによって、車両走行中等においてステアリングシャフト 12がロックしてしまう危険を 2重に防止している。特に、カム板 5は、ステアリングロック防止手段 20が何らかの原 因で正常に作動しない場合等に、ロックシャフト 8がステアリングシャフト 12をロックす るような事態を防止する。ステアリングロック防止手段 20は、例えばモータユニット 4が 誤作動して不意にカム板 5が回転しょうとした場合や、走行中の激しい振動等で不意 にカム板 5からロックシャフト 8が脱落してしまった場合などに、パネ 13により付勢され

[0026] 尚、この実施形態では、カム板 5は、カム本体 5aに同一材料の重心調整部 5bを一 体に付設することにより回転中心 Oと重心位置 Gがー致するよう設定されているが、 重心調整部 5bを異なる材料から形成することにより、又は、カム板 5自体に肉抜き等 を形成し、重心調整部 5bを付設することなく回転中心 Oと重心位置 Gがー致するよう 構成しても良い。

[0027] 尚、この実施形態では、ステアリングロック防止手段 20を設けている力 ステアリン グロック防止手段 20を設けなくても車両走行中におけるステアリングシャフト 12のロッ クを防止できる。ステアリングロック防止手段 20を設けないことにより、電動ステアリン グロック装置 1のコンパクト化、軽量化、低コストィ匕等を図ることができる。

Claims

請求の範囲

[1] 駆動源の駆動により解錠方向及び施錠方向に回転するカム部材と、

このカム部材の回転によりステアリングシャフトの回転を阻止するロック位置と前記ス テアリングシャフトの回転を許容するロック解除位置との間で変移するロック部材とを 備え、

前記カム部材は、回転中心と重心位置が一致するよう設定された電動ステアリング ロック装置。

[2] 請求項 1記載の電動ステアリングロック装置であって、

ロック解除位置に位置する前記ロック部材の移動を阻止するステアリングロック防止 手段を設けた電動ステアリングロック装置。