明 細 書
Streptococcus pneumoniaeの検出方 fe、 恢出用プライマーセット 及び検出用キット 技術分野
本発明は Streptococcus pneumoniaeの検出方法、 Streptococcus pneumoniae 検出用プライマ一セット及び Streptococcus pneumoniae検出用キッ卜に関し、 特に特異性に優れた検出方法、 検出用プライマーセット及び検出用キットに関す る。 背景技術
月巿炎球菌 (ス トレプトコッカス'ニューモニァェ (Streptococcus pneumoniae)、 以下 「S. pneumoniae と略すこともある。) は、 肺炎、 心内膜炎、 菌血症、 敗血 症、 髄膜炎、 中耳炎の原因菌の 1つであり、 通常ヒ トの体内で共生している他の ひ溶血レンサ球菌と区別して S. pneumoniae による感染を検出することは臨床 研究や診断において重要である。
従来、この S. pneumoniaeによる感染を検出、診断するために、コロニー形態、 ォプトヒン感受性、 胆汁溶解性や血清反応等の培養による選別及び生化学的検査 法が用いられている。
しかし、上述のような培養による選別及び生化学的検査法を併用した場合には、 感染が判明するまでに 3日以上を要するのに加え、 コロニ一をその形状や色の相 違などから精確に選別するためには熟練した技術が必要であり、 臨床診断及びそ の後の処置に支障をきたすおそれがあった。
—方、 近年においては、 PCR(polymerase chain reaction)法を用いた S. • pneumoniaeの検出法も提案されている (特開平 9-327300号公報)。 PCR法によ る検出では、 S. pneumoniaeに特異的なプライマーを用い、 採取した DNAサン プルを铸型に核酸増幅を行わせることで、 この核酸増幅の有無によ り S.
pneumoniae の有無を検知することができる。 この方法では、 培養による選別と 生化学的検査法を併用した場合に比べ短時間で簡便に、 一定の信頼性のある検出 が可能である ό 発明の開示
PCR法を用いて検出する場合には、 上述したように S. pneumoniaeに特徴的 な遺伝子を標的と して増幅反応を行うのが一般的であり、 このような S. pneumoniaeに特徴的な遺伝子として、 例えば autolysinをコードする lytA遺伝 子や、 pneumolysinをコードする ply遺伝子が知られている。 しかしながら、 最 近では、 S. pneumoniae 以外の菌であって、 遺伝子型及び表現型からは S. pneumoniae と近嫁のス トレフ 卜コッカス'ミチス (Streptococcus mitis) (以下、
「S. mitis」 と略すこともある) に分類される菌の中に、 autolysin あるいは pneumolysin をコードする遺伝子を保持するものの存在が報告されている (参 照: Whatmore A.M., 他 7名 , "Genetic relationships between clinical isolates of Streptococcus pneumoniae, Streptococcus oralis, and Streptococcus mitis: characterization of "atypical" pneumococci and organisms allied to S.mitis harboring S. pneumoniae virulence factor-encoding genes.", Infect. Immun., 2000, vol.68, ρ.1374-1382)。 このため、 lytA遺伝子や ply遺伝子を標的として PCRを行った場合にも、 口腔常在菌である S. mitisゃストレプトコッカス ·オラ リス (Streptococcus oralis) (以下、 「S. oralis」 と略すこともある) 等の一部の 菌とは区別が困難であった。
また、 PCR法による遺伝子增幅を行う場合には、 サーマルサイクラ一等の設備 が必要でありコストと手間がかかる等の問題もあった。
本発明は上述のような問題点に鑑みてなされたものであり、 迅速かつ簡便で、 特異性に優れた S. pneumoniaeの検出方法、 S. pneumoniae検出用プライマーセ ット及び S. pneumoniae検出用キットを提供することを課題とする。 上記課題に鑑みてより特異性に優れた検出方法を開発するために、 本発明者ら
は、 まず 4種の S. pneumoniae の lytA 遺伝子 (GenBank ァクセッション番 号: AE008540, AE007483, M13812, AF467249)と、 その他の autolysinをコード する 9種の菌株 (S. mitisの lytA遺伝子 (EMBLァクセッション番号: AJ617815, AJ617816), Streptococcus 属の lytA 遺伝子(EMBL ァクセッショ ン番 号 : AJ252190, AJ252191, AJ252192, AJ252193, AJ252194, AJ252195, AJ252196))の塩基配列を比較した。 その結果、 S. pneumoniaeのみに共通する特 異的な塩基配列を解明した。そして、 これらの塩基配列から LAMP法用プライマ 一を設計し、 lytA遺伝子を特異的に増幅することにより S. pneumoniaeを検出 し得ることを見出し、 本発明を完成するに至った。
すなわち、 本発明は、 以下の通りである。
( 1 ) Streptococcus pneumoniae由来の lytA遺伝子の塩基配列領域のうち第 40 番目から第 450番目の領域中の部分配列と同一又は相補的な塩基配列からなる 1 種以上のプライマーを備えた LAMPプライマーセットを用いて当該 lytA遺伝子 を増幅し、 得られる増幅産物を検出することを特徴とする Streptococcus pneumoniaeの検出方法。
上記検出方法において、 LAMP プライマ一セッ トは、 例えば Streptococcus pneumoniae由来の lytA遺伝子の塩基配列のうち第 40番目力ゝら第 450番目の領 域から設計される FIPプライマー、 BIPプライマー、 F3プライマー及び B3プ ライマーからなるものを使用することができる。 さらに、 これらの LAMPプライ マーセットには、 さらにループプライマーを含めることが可能である。
ここで、 FIPプライマーは、 lytA遺伝子の塩基配列のうち第 76番目から第 132 番目、 又は第 239番目から第 308番目の領域から設計することができ、 BIPブラ イマ一は、 lytA遺伝子の塩基配列のうち第 153番目から第 216番目、又は第 332 番目から第 413番目の領域から設計することができる。また、 F3プライマーは、 lytA遺伝子の塩基配列のうち第 47番目から第 76番目、 又は第 221番目から第 237番目の領域から設計することができ、 B3プライマーは、 lytA遺伝子の塩基 配列のうち第 226番目から第 240番目、 又は第 417番目から第 434番目の領域 から設計することができる。 本発明においては、 ループプライマーを含めること
ができるが、 そのループプライマーは、 lytA遺伝子の塩基配列のうち第 178番目 力 ら第 195番目の領域から設計することができる。
本発明において好ましいプライマーセットとしては、例えば以下の (a)〜(e)に示 される塩基配列の組み合わせからなる群から選ばれる少なくとも 1つを挙げるこ とができる。
(a) 配列番号 1、 配列番号 2、 配列番号 3及び配列番号 4で表される塩基配列 の組み合わせ
(b) 配列番号 5、 配列番号 2、 配列番号 3及び配列番号 4で表される塩基配列 の組み合わせ
(c) 配列番号 6、 配列番号 7、 配列番号 8及び配列番号 4で表される塩基配列 の組み合わせ
(d) 配列番号 9、 配列番号 10、 配列番号 11及び配列番号 12で表される塩基配 列の組み合わせ
(e) 配列番号 23、 配列番号 24、 配列番号 15、 配列番号 4及び配列番号 25で表 される塩基配列の組み合わせ
( 2 )以下の (a)〜(e)に示される塩基配列の組み合わせからなる群から選ばれる少 なくとも 1つを含む、 Streptococcus pneumoniaeの検出用プライマーセッ ト。 (a) 配列番号 1、 配列番号 2、 配列番号 3及び配列番号 4で表される塩基配列 の組み合わせ
(b) 配列番号 5、 配列番号 2、 配列番号 3及び配列番号 4で表される塩基配列 の組み合わせ
(c) 配列番号 6、 配列番号 7、 配列番号 8及び配列番号 4で表される塩基配列 の組み合わせ
(d) 配列番号 9、 配列番号 10、 配列番号 11及び配列番号 12で表される塩基配 列の組み合わせ
(e) 配列番号 23、 配列番号 24、 配列番号 15、 配列番号 4及び配列番号 25で表 される塩基配列の組み合わせ
( 3 ) 上記 ( 2 ) に記載のプライマーセッ トを含.む、 Streptococcus pneumoniae
の検出用キット 図面の簡単な説明
図 1は、 lytA遺伝子の塩基配列、 並びに S. pneumoniaeに特異的な塩基部分 及び実施例 1の LAMPプライマーの設計領域を示す図である。
図 2は、 実施例 1の各 LAMPプライマーの構成及び lytA遺伝子上の対応位置 を説明する図である。
図 3は、 感度試験における電気泳動結果を示す写真である。
図 4は、 リアルタイム濁度測定結果を示すグラフである。 (実施例 1及び 2の比 較)
図 5は、 リアルタイム濁度測定結果を示すグラフである。 (実施例 1及び 4の比 較)
図 6は、 実施例 1についてリアルタイム濁度測定結果を示すグラフである。 図 7は、 濁度と铸型 D N A濃度の常用対数の関係を示すグラフである。
図 8は、 実施例 4についてリアルタイム濁度測定結果を示すグラフである。 図 9は、 実施例 5についてリアルタイム濁度測定結果を示すグラフである。 図 1 0は、 実施例 5についてスレッシュホールドタイムと铸型 DNAコピー数 の常用対数との関係を示すグラフである。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明を詳細に説明する。
なお、 本明細書において引用した刊行物及び特許文献は、 参照として本明細書 に組み込むものとする。
本発明は、 S. pneumoniaeの lytA遺伝子において、 種特異的領域に着目して LAMPプライマーセットを設計することにより S. pneumoniaeを特異的に検出 することを可能としたものである。
ここで、 「LAMP プライマーセッ ト」 とは、 Loop-mediated isothermal amplification(LAMP)法による核酸增幅に用いられるプライマーセッ トである
(参照文献: Nucleic Acid Research, 2000, Vol.28, No.12, e63)。
LAMPプライマーは、 PCR法で用いられる PCRプライマーよりも多くの領域 に対して設定されることから、 標的の選択性も高いと考えられ、 かつ本発明では lytA遺伝子のうち S. pneumoniaeに特異的な領域に対してプライマーを設定す ることから、 S. pneumoniaeを特異的に検出することが可能である。
lytA遺伝子の塩基配列の一例 (GenBankァクセッション番号: AE008540) を 図 1及び配列番号 26に示す。 なお、 図 1中、 「番号」 と付された行は塩基の位置 を、 「プライマー」 と付された行は FIP、 BIP、 F3及び B3プライマー (後述) を設計するための領域の位置の一例を示す。 また、 「塩基」 と付された行は配列番 号 26と同様に lytA遺伝子の塩基配列を左側から右側に向かつて 5 '→ 3 '方向とな るように示しており、 「共通」 と付された行は 「*」 により当該位置の塩基が前記 4種の S. pneumoniaeにのみ共通することを示している。 なお、 図 1の 「プライ マー」 行中の矢印は実施例 1のプライマーの 5 '→ 3 '方向を示す。 従って、 左矢印 で範囲指定した領域は、 当該領域に相補的な領域がプライマーとされることを示 す。
本発明では 1種以上のプライマーが第 40番目から第 450番目の領域の少なく とも一部分と同一又は相補的な塩基配列からなっている。 本発明においては、 さ らに共通塩基が多く分散して存在する第 84番目から第 180番目の領域の全部又 は一部が、 増幅される領域 (プライマー部分も含む) に内包されることが好まし い。
本発明のプライマーを用いた場合には、 S. pneumoniaeの検出において、 特異 性に優れるのみでなく、 検出感度及び検出の迅速性に優れると共に、 さらに、 増 幅曲線に線形性が認められ、 定量性も良好である。
次に、 図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図 2に示すように、 LAMPプライマーセットは、 標的遺伝子 (lytA遺伝子)上の 異なる 6領域 ( 5 '末端側から順に F3, F2, Fl, Blc, B2c, B3c) 及びこれに相補的 な領域 (5 '末端側から順に B3, B2, Bl, Flc, F2c, F3c) から設計されるプライマ —を組み合わせて構成されるものである。本発明において使用される LAMPプラ
イマ一セットは、 lytA遺伝子の塩基配列の 5 '末端側から、 Flc領域及び F2領域 のヌクレオチドを連結してなる Forward Inner Primer (以下、 「FIP」 と略すこ ともある。) と、 5'末端側から Blc領域及び B2領域のヌクレオチドを連結してな る Backward Inner Primer (以下、 「: BIP」 と略すこともある。) と、 F3領域の ヌクレオチドからなる F3プライマーと、 B3領域のヌクレオチドからなる B3プ ライマーと、 からなつている。 なお、 所望によりさらにループプライマー (Loop Primer F及び/または Loop Primer B) を設計し、 これらを用いて DNAの増幅 を行い、 増幅産物を検出してもよい。 ループプライマーは、 B1領域と B2領域と の間、あるいは F1領域と F2領域との間において形成される 1本鎖部分に相補的 な配列をもつプライマーである。表 1中、実施例 5の欄には、 Loop Primer B (LB) の一例を示した。
本発明においては、 FIPプライマーは、 lytA遺伝子の塩基配列 (配列番号 26) のうち第 76番目から第 132番目(以下、「76-132」のように表示することもある。 他のプライマーについても同様。)、又は第 239番目から第 308番目の領域から設 計することができ、その内訳は、例えば実施例 1では F2として 76-94の領域(F2c はその相補鎖領域)、 F1として 108-131の領域 (Flcはその相補鎖領域) から設 計したもの (配列番号 1 ) が好ましい。 BIPプライマーは、 lytA遺伝子の塩基配 列のうち 153-216、 又は 332-413の領域から設計することができ、 その內訳は、 例えば実施例 1では Blcとして 153-176 (B1の 153-176の相補鎖)、 B2として 196-216の領域から設計したもの (配列番号 2 ) が好ましい。 F3プライマ一は、 lytA遺伝子の塩基配列のうち 47-76の領域又は 221-237の領域から設計すること ができ、 例えば実施例 1では 55-74の領域から設計したもの (配列番号 3 ) が好 ましレ、。 B3プライマーは、 lytA遺伝子の塩基配列のうち 226-240の領域、 又は 417-434の領域から設計することができ、 例えば実施例 1では 226-240の領域か ら設計したもの (配列番号 4 ) が好ましい。 実施例 2〜 5についても、 各プライ マーを設計するために好ましい領域として表 1の実施例の欄 (実 2〜実 5 ) に記 載の領域を選択することができる。
さらに、 本発明において、 ループプライマーを使用すると、 検出までの時間を
さらに短縮することが可能である。 したがって、 ループプライマー F (LF)及びル ーププライマー B (LB)の一方又は両方を使用して、検出の効率化を図ることがで さる。
LFとしては、例えば lytA遺伝子の塩基配列のうち 95-110の領域又は 256-283 の領域から設計することができる。
LBとしては、例えば lytA遺伝子の塩基配列のうち 176-195の領域から設計す ることができ、 178-195の領域から設計したもの (配列番号 25) が好ましい。
本発明の一例である実施例 1の LAMPプライマーセッ トの lytA遺伝子におけ る位置を図 1及び図 2に、本発明の一例である実施例 1〜 5の LAMPプライマー セットについてプライマーの種類と配列番号との対応を表 1に示す。
表 1
表 1において、 「F2」、 「F1」、 「B1」、 「B2」、 「F3」 及び 「B3」 の欄に記載の数 字は、 「F3」、 「F2」 及び 「F1」 については、 それぞれ図 2に示すセンス鎖の F3 領域、 F2領域及び F1領域の位置を示し、 「B1」、 「B2」、及び「B3」 については、
それぞれ図 2に示すセンス鎖の Blc領域、 B2c領域及び B3c領域の位置を示して いる。 従って、例えば、実施例 1における FIPプライマーにおいて、表 1の 「F1」 の欄に記載された領域 (108-131の領域) は、 FIPプライマーの構成要素の一部 である Flcの領域 (F1 に対して相補鎖側) であることを意味する。 また、 表 1 の「B3」の欄に記載された領域は、図 2に示すセンス鎖の B3cの領域を意味する。 このような領域の位置番号の意味は、 他のプライマーについても同様である。 上記表 1に示す各プライマーの塩基配列を以下の表 2及び表 3に示す。 表 2
実施例 プライマー 配列 配列 番号 実施例 1 FIP cgccaetgat aatccgcttc attccactca actgggaatc cgc 1
BIP tttctcgcac attgttggga acggccaggc accattatca acagg 2
F3 ccatataggc aagtacacgc 3
B3 agcattccaa ccgcc 4 実施例 2 FIP gccagtgata atccgcttca ttctgcactc aactgggaat ccgc 5
BIP tttctcgcac attgttggga acggccaggc accattatca acagg 2
F3 ccatataggc aagtacacgc 3
B3 agcattccaa ccgcc 4 実施例 3 FIP cgccagtgat aatccgcttc attctactca actgggaatc cgc 6
BIP tttctcgcac attgttggga acggcaggca ccattatcaa caggtc 7
F3 aggcaagtac acgcac 8
B3 agcattccaa ccgcc 4 実施例 4 FIP cggtagtccg tcatgaactc ttcttctgag acctatgcag eg 9
BIP atctagcaga tgaagcaggt ttgccttcgt gcaatactcg tgc 10
F3 ttgggggcgg ttggaat 11
B3 gagtggttgt ttggttgg 12 実施例 5 FIP ccgccagtga taatccgctt cacactcaac tgggaatccg c 23
BIP tctcgcacat tgttgggaac ggccaggcac cattatcaac agg 24
F3 gcgtgcaacc atataggcaa 15
B3 agcattccaa ccgcc 4
LB tgcatcatgc aggtagga 25
表
.3
上述のような S. pneumoniae検出用 LAMPプライマーセットは、例えば DNA 自動合成機を用いて化学的に合成することで調製することができる。 なお、 本発 明においてプライマーは、 前述したような所定の塩基配列を有し、 他の塩基と塩 基対形成が可能なオリゴヌクレオチドであって、 その 3'末端において相補鎖合成 の基点となる- 0H基を備えるものを意味する。 したがって、 この条件を満たす限 り、そのバックボーンは必ずしもホスホジエステル結合によるものに限定されず、 例えば Pでなく Sをバックボーンとしたホスホチォエート体ゃぺプチド結合に基 づくぺプチド核酸からなるものであってもよい。
本発明で用いることができる铸型依存性核酸合成酵素は、 鎖置換活性を有する ものであれば特に限定されない。 このような酵素としては、 Bst DNAポリメラー
ゼ (ラージフラグメント)、 Bca(exo-)DNAポリメラーゼ、 大腸菌 DNA ポリメラ ーゼ Iのクレノウフラグメント、 Vent(Exo-)DNAポリメラーゼ (Vent DNAポリ メラーゼからェクソヌクレアーゼ活性を除いたもの)、 DeepVent(Exo-)DNAポリ メラーゼ (DeepVent DNAポリメラーゼからェクソヌクレアーゼ活性を除いたも の) および KOD DNAポリメラ一ゼ等が挙げられ、 好ましくは Bst DNAポリメ ラーゼ (ラージフラグメント) が挙げられる。 Bst DNAポリメラーゼを用いる場 合は、 その反応至適温度である 60~65°C付近で反応を行うのが望ましい。
また、 増幅産物の検出には公知の技術が適用できる。 例えば増幅された遺伝子 配列を特異的に認識する標識オリゴヌクレオチドを用いたり、 あるいは、 反応終 了後の反応液をそのままァガロース電気泳動にかけても容易に検出できる。また、 本発明によるプライマーは、 例えば DNAチップのようにそれ自身を固相に結合 させておくこともできる。 固相化プライマーを合成開始点とする場合には、 核酸 の合成反応生成物が固相に捕捉されることから、 分離、 検出が容易となる。
さらに、 LAMP 法による遺伝子増幅は加速度的かつ効率的に行なわれるので、 反応液中にあらかじめ二本鎖核酸の分子内に特異的に取り込まれるィンタ一力レ 一ターであるェチジゥムブ口マイ ドゃ SYBR (登録商標) Green l等を添加する ことにより增幅を確認できる。 また、 LAMP法では核酸の合成により基質が大量 に消費され、 副産物であるピロリン酸が、 共存するマグネシウムと反応してピロ リン酸マグネシウムとなり、 肉眼でも確認できる程に白濁する。 この白濁を反応 終了後の観察、 もしくは反応中の濁度の上昇を経時的に光学的に観察できる測定 機器、 例えば 650nm の吸光度の変化を通常の分光光度計を用いて増幅の確認が 可能である。
これらの LAMP 反応に必要な各種の試薬類は、 予めパッケージングして S. pneumoniae検出用キットとして供給することができる。 具体的には、 本発明の キットは、 前記 S. pneumoniae検出用の LAMPプライマーセットを含むが、 そ の他に、 相補鎖合成の基質となる dNTP、 鎖置換型の相補鎖合成を行う DNAポ リメラ一ゼ、 酵素反応に好適な条件を与える緩衝液など、 さらに必要に応じて合 成反応生成物の検出のために必要な試薬類を含めることができる。 また、 核酸の
2重鎖を不安定にするための試薬 (例えばべタイン) を含めることもできる。 このように、 LAMP法では、 酵素活性を維持しうる温度で、 等温のままインキ ュペートするだけで、 増幅反応を進行させることが可能である。 このため、 PCR 法のような温度調節のための設備が不要であり低コストかつ簡便に検出を行うこ とができるとともに、 温度変化に伴う時間ロスもないので迅速に検出が可能であ る。 実施例
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、 本発明はこれらの実施例 に限定されるものではない。
[特異性確認試験について]
本発明に係る S. pneumoniaeの検出方法を実施し、本発明の検出方法の特異性 を確認したので説明する。
( 1 ) 染色体 DNAの準備
まず、 試験に供する各種の菌から染色体 DNAを精製し、 増幅反応の錶型とな る DNAを準備した。
染色体 DNAは、 酵母用の Dr.GenTLE (登録商標、 タカラバイオ株式会社製) を用いて各種の菌体から抽出し、 QIAamp (登録商標) DNAミニキッ ト (キア ゲン社製) を用いて精製することで得た。 抽出及び精製の操作は、 添付のマニュ アルに従って行った。
本試験では、 10種のレンサ球菌及び Ί種のレンサ球菌以外の菌に分類される計 32種の菌株から染色体 DNAを抽出して用いた。 これら 32種の菌株を表 4に示 す。
表 4
菌種 実施例 1 実施例 2 実施例 3 実施例 4 実施例 5
Streptococcus mitis ATCC903 a
Streptococcus oralis ATCC98 ) I a
Streptococcus oralis ATCC10557 fl
Streptococcus gordonii ATCC 12396
Streptococcus agalactiae IID1 25
Streptococcus illeri NCTC 10703
Streptococcus sobrinus "N1DR6715 a
Streptococcus sobrinus OM2176
Streptococcus mutans XC47
Streptococcus mutans P i―
Streptococcus mutans JC2 3
Streptococcus sanguinis ATCC 10556 a
Streptococcus salivarius ATCC7073 a
Streptococcus salivarius ATCC9222 a
Streptococcus salivarius HH1 - - - -
Streptococcus pneumoniae R6 -h + + +
Streptococcus pneumoniae ATCC6305 + + +
Streptococcus pneumoniae GTC261 ( CTC7465)b + +
Streptococcus pneumoniae IID553 (NYSDH DP-2)C + + + +
Streptococcus pneumoniae JJD554 (NYSDH DP-3, 5A)( + + + +
Haemophilus influenzae RD
Escherichia coli DH5a
Actinobacillus act omycetemcomitans Y-4
Porphyromonas gingiv lis ATCC33277
Porphyromonas gingiv lis 381 a
Porphyromonas gingivalis ATCC49417 a
A ctinomyces naeslundii ATCC 12104 a
Actinomyces naeslundii T14 a
Actinomyces naeslundii WVU6273
Prevotell intermedia ATCC2561 1 a
Prevotella nigrescens ATCC2526 I a
Prevotella nigrescens ATCC33563 a 表中、 aは菌の出所が日本大学歯学部細菌学講座であることを示す。
表中、 bは菌の出所が岐阜大学医学部微生物学教室であることを示す。
表中、 cは菌の出所が東京大学医科学研究所であることを示す。
( 2 ) LAMP反応について
次に、 実施例 1 5の LAMPプライ セッ ト (表 1参照) を用いて、 (1 ) で調整した各種の菌由来の染色体 DNAを踌型に LAMP反応を行つた。
LAMP反応液 (25 " 1)は、 FIP及び BIP各 40pmol F3プライマー及び B3プラ
イマ一各 5pmol, 8U の BstDNA ポリメラーゼラージフラグメント (New England Biolabs社製), デォキシヌクレオシド トリフォスフェート各 1.4mM, ベタイン 0.8M, Tris-HCl緩衝液 (pH8.8)20mM, KC1 lOmM, (NH4)2S04 10mM, MgS04 8mM, ツイーン 20を 0.1%, 及び, 上記 (1 ) のようにして生成された 铸型 DNA溶液 2 ju lを添加して調製した。
そして、 この LAMP反応液を、 63°Cで 35分間又は 60分間インキュベートす ることで LAMP反応を進行させ、 最後に 80°Cで 2分間加温することで反応を終 了させた。 ( 3 ) 増幅の有無の確認について
増幅の有無は、 反応チューブを直接目視し、 LAMP反応液の白濁の有無を観察 することで検出した。 すなわち、 複製配列が存在する場合には反応の副産物とし て複製配列の量に比例した量のピロリ ン酸マグネシウムが産生されるので LAMP反応液が白濁し、 一方存在しない場合には LAMP反応液は透明のままで あるため、 その白濁を指標として增幅産物の検出を行った。
また、増幅の有無は、増幅産物のァガロースゲル電気泳動によっても確認した。 この際、 增幅産物そのままのものと、 増幅産物を制限酵素 TasKFermentas社製) により消化したものとをそれぞれ 3 %のァガロースゲル中で電気泳動し、 ェチジ ゥムブ口ミ ドで染色して泳動パターンを確認した。 なお、 増幅産物をそのまま電 気泳動した場合には、複製配列は LAMP反応に特徴的なラダー状のパターンとし て現われる。 また、 制限酵素により消化したものを電気泳動した場合には、 複製 配列は 102bp及び lllbpの断片として現われる。
( 4 ) 試験結果について
上述の試験結果を表 4に示す。 結果は、 35分間又は 60分間のインキュベーシ ヨンにより目視によって増幅 (白濁) が確認された場合を 「十」、 60分間のイン キュベーシヨン後目視によって増幅が確認できなかった場合を 「一」 とした。 こ の結果、表 4にも示すように、実施例 1〜5のいずれの LAMPプライマーセット
を用いても、 S. pneumoniaeを铸型とした場合には、 35分間又は 60分間のイン キュベ一シヨンにより多量の増幅産物が確認された。 対照的に、他の菌種では 60 分間のィンキュベーシヨンを行っても増幅産物は確認されなかった。この結果は、 電気泳動の結果とも一致し、実施例 1においては 102bp及び lllbpの断片が確認 された。 また、 増幅産物のシークェンスも行ったが、 LAMP反応により増幅され た配列は期待した配列と一致した。
このことから、本発明に係る S. pneumoniaeの検出方法は、特異性に優れるこ とが確認された。 [感度確認試験について]
次に、上記実施例 1〜5の LAMPプライマ一セットを用いた場合の検出感度を 確認したので説明する。
( 1 ) 染色体 DNAの調製
本試験では、 S. pneumoniae ATCC6305から特異性確認試験と同様にして染色 体 DNAを精製し、 铸型とした。 反応液中の鎳型 DNAの濃度 (コピー数) は、 Ultrospec 3300 pro(Amersham Biosciences社製)を用い、分子サイズを 2Mbpと して定量した。
( 2 ) LAMP法及び PCR法について
上記 ( 1 ) のように予め定量された铸型 DNA溶液を 10倍ずつ希釈して 1〜 1,000,000倍の溶液を調製し、 これを LAMP反応の铸型 DNA溶液として用いる ことで、 検出限界を確認した。 LAMP反応液は、 銬型 DNA溶液の濃度が異なる 以外、 铸型 DNA溶液の添加量及びその他の添加物の添加量において前記特異性 確認試験と同様であり、 LAMP反応の条件も同様とした。
また、 本発明の検出方法と比較するために、 PCR法による増幅、 検出も行った (比較例 1 )。
PCRプライマーセッ 卜は、 autolysinをコ一ドする遺伝子 (lytA遺伝子)を標的 とするもの (lytA-F, lytA-R) を用いた (Nagai,K.,他 6名, "Evaluation of PCR
primers to screen for Streptococcus pneumoniae isolates and β -lactam resistance, and to detect common macrolide resistance determinants", JAntimicrob. Chemoth., 2001, vol.48, p.915_918)。 その配列を以下に示す。
lytA-F: caaccgtaca gaatgaagcg g (酉己歹 IJ番号 27)
lytA-R: ttattcgtgc aatactcgtg eg (配列番号 28)
PCR反応液 (lO /i 1)は、 デォキシヌクレオシド トリフォスフェート各 0.2mM、 Tris-HCl緩衝液 (pH8.3)10mM, KCl 50ml, MgCl2 2mM, 1Uの ExTaq DNAポリ メラ一ゼ (タカラバイオ株式会社製)、 フォワードプライマー (lytA-F) 及びリバ ースプライマー(lytA-R)各 0.5 μ Μ及び铸型 DNA溶液 1 1を加えて調製した。
PCR反応は、 サーマルサイクラ一 (MJ research社製)を用いて 30サイクル行 つた。 各サイクルでは、 94°C15秒間の変性、 53°C15秒間のアニーリング、 72°C 15秒間の合成を順に行った。
( 3 ) 増幅の有無の確認について
LAMP反応による増幅の有無は、 前記特異性確認試験と同様に、 白濁の有無を 目視により確認することにより判定した。
さらに、 比較例 1における PCR による増幅産物の有無とともに、 増幅産物 (2 u 1)を 3 %ァガロースゲル中に電気泳動することで確認した。 ( 4 ) 試験結果について
試験結果は、上記のように電気泳動により増幅産物が確認された場合には「十」 とし、 増幅産物が確認されなかった場合は 「一」 とした。 試験結果を、 表 5及び 図 3に示す。
錁型 DNA濃度(コピー数)
1 ,0 I00.00C ) 100,000 10,000 1 ,000 100 10 1 0 実施例 1 + + + + 一 一 一 一
(35分)
実施例 1 + + + + + + 一 一 (60分)
実施例 2 + 一 一 一 一 一 ― ― (35分)
実施例 2 + + + + .一 一 — 一 (60分)
実施例 3 - (35分)
実施例 3 + + + + 一 一 一 一 (60分)
実施例 4 - (35分)
実施例 4 + + 一 一 一 一 ― (60分)
実施例 5 + + + + + + 一 ― (35分)
実施例 5 + + + + + + 一 一 (60分)
比較例 1 + + + ― 一 一 一 一 (PCR) 表 5に示すように、 実施例 1の LAMP プライマーを用いた検出方法では、 LAMP反応を 60分間行うことで、铸型 DNA濃度が 10コピーの場合にも検出す ることができた。 また、 実施例 5の LAMP プライマーを用いた場合は、 LAMP 反応が 35分間であっても、 銬型 DNA濃度が 10コピーのものを検出することが できた。 一方、 PCR法を用いた検出においては、 铸型 DNA濃度が 10,000コピ 一でなければ検出することができなかった。 このため、 実施例 1及び 5では LAMP反応を利用することで、検出の感度が比較例 1よりも 1,000倍も優れてい ることが確認された。 また、 表 5に示すように、 錡型 DNA濃度が 1,000コピー である場合には、 実施例 1及び 5では 35分で検出可能であり、 また、 実施例 2 及び 3では 60分で検出可能であったことから、 感度及び迅速性に優れることが 確認された。
また、 図 3は、 LAMP反応後の増幅産物を電気泳動したゲルを撮影した写真で ある。 紙面両端のレーン Mは lOObpの間隔を示すためのマーカーを流したレー ンであり、 レーン 1は铸型 DNAを 1,000,000コピーとした場合の増幅産物、 以 後同様にレーン 2は 100,000コピー、レーン 3は 10,000コピー、レーン 4は 1,000
コピー、 レーン 5は 100 コピー、 レーン 6は 10 コピー、 レーン 7は 1 コピー、 レーン 8は 0コピーを铸型とした場合の増幅産物を流したものとなっている。
また、 レーン 9は、 レーン 1の増幅産物を Tasl で消化後に泳動したレーンで ある。 Tasl部位は標的部位の中央部付近 (Fl, Blcの間) に存在するため、 Tasl で処理すると增幅断片が標的部位の中央部付近 (Fl, Blcの間) で切断され、 ル ープとループとの間の長さに断片化される。 このため、 レーン 9では 102bp及び lllbpの位置にバンドが現われることが予測される。
レーン 1〜6では、 増幅産物がラダー状の泳動パターンを示しており、 これよ り増幅産物が反転部分を有し、 LAMP反応に特徴的なステム一ループ構造をとつ ていることが確認される。 また、 レーン 9には 102bp及び lllbpに切断片が現わ れており、 標的となる部分が増幅されていることが確認された。
[臨床的な検出について]
次に、実施例 1〜 5の LAMPプライマーセッ トを用いて臨床的な検出を行った ので説明する。
まず、 健康児 (5〜6歳) の口腔粘膜のサンプルを採取し、 PCR 法によって pneumolysin又は autolysinをコードする遺伝子を有する 25種類の α溶血レン サ球菌を単離した。この autolysinをコードする遺伝子を標的とする PCRプライ マーセットは前述の感度試験と同様のものを用いた。 また、 pneumolysinをコー ドする遺伝子を標的とする PCRプライマーセットとしては、以下の PCRプライ マーセット(ply-F及び ply-R)を用いた (Salo, P.,他 2名," Diagnosis of bacteremic pneumococcal pneumonia by ampliiication oi pneumolysin gene fragment in serum", J. Infect. Dis., vol.171, p.479-482)。 プライマーの塩基配列を以下に示す, ply -F: atttctgtaa cagctaccaa cga (酉己歹リ番号 29)
ply R: gaattccctg tcttttcaaa gtc (配列番号 30)
また、 PCR反応液の組成及び反応条件は、 autolysinをコードする遺伝子を標 的とする PCR反応では前記感度試験と同様であり、 pneumolysinをコ一ドする 遺伝子を標的とする PCR反応では、 反応液の組成は前記感度試験と同様で、 反
応条件はサ一マルサイクラ一 (MJ research社製)を用いて 30サイクルを行い、各 サイクルでは 94°C 1分間の変性、 55°C 1分間のァニーリング、 72°C 1分間の合 成を順に行った。
単離された 25種類のひ溶血レンサ球菌は、 4種の S. pneumoniaeと、 通常は 肺炎球菌に見られる病原性因子の pneumolysin又は autolysinをコードする遺伝 子を有する 21種の Streptococcus属の菌株 ( 3種の S.oralis、 17種の S.mitis、 1種の Streptococcus属の未識別の菌株) であった。 単離された菌種を表 6に示 す。
表 6
PCR
単離 APIによる ォプトヒン 胆汁 (1)~(3)による
lytA ply 1 2 3 4 5 識別 ¾¾¾ 溶解性識別結果
1 S. oralis - S. oralis
2 S. mitis · S. mitis
3 S. mitis - S. mitis
4 S. mitis - S. mitis
5 S. mitis - S. mitis
6 S. oralis - S. oralis
7 S. mitis - S. mitis
8 S. mitis - S. mitis
9 S. mitis - S. mitis
10 S. mitis · S. mitis
11 S. mitis - S. mitis -
12 S. pneumoniae + S. pneumoniae
13 S. pneumoniae + S. pneumoniae
14 S. pneumoniae + S. pneumoniae
15 not identified - S. species
16 S. mitis - S. mitis
17 S. mitis - S. mitis
18 S. oralis - S. oralis
19 S. pneumoniae + S. pneumoniae 十 + + +
20 S. mitis - S. mitis
21 S. mitis - S. mitis
22 S. mitis - S. mitis
23 S. mitis - S. mitis
24 S. mitis · S. mitis
25 S. mitis - S. mitis 次に、 , 上記 25種の菌に .ついて、 口腔内のレンサ球菌 ίこ通常適用される下記 判定基準 (1) 〜 (3) を用いて、 同定を行った。
(1) ォプトヒン感受性試験を、 直径 6.5mm、 ォプトヒン含量 5 gのディスク (栄研化学株式会社製) を用いて、 5%の C02存在下で行った。 そして、 少なく とも直径 13mm の阻止円がない場合は感受性なし 「一」 とし、 少なくとも直径
13mmの阻止円が形成されている場合には感受性あり 「十」 とした。
( 2 )胆汁溶解試験を、 Hawnと Beebeの方法に従って行った (参照: Hawn C.V.Z., E. Beebe., "Rapid method for demonstrating bile solubility of Diplococcus pneumoniae.", J. Bacteriol.,1965, vol.90, p.549)。 そして、 胆汁溶解性の場合に は 「十」、 胆汁非溶解性の場合には 「一」 とした。
( 3 ) 商業用のキット API 20 Strep(bio Merieux社製)を用い、 酵素活性及び糖 発酵性等に基づいて同定を行った。
上記 (1 ) 〜 (3 ) のそれぞれの結果、 及び、 (1 ) 〜 (3 ) より総合的に判断 した識別結果を表 6に示す。
さらに、 PCR法及び LAMP法をそれぞれ用いて、 25種の菌についてスクリー ユングを行った。 この際、 PCR法及び LAMP法の比較を行うために、 铸型 DNA のコピ一数が等しくなるように、反応チューブ 1本当たり 106コピーに調製した。 PCR プライマ一は上述したものであり、 LAMP プライマーは実施例 1〜 5のも のを用いた。 LAMP法における反応時間は 60分とした。
その結果、 LAMP法では 4種の菌(S. pneumoniae)がポジティブ反応を示し、 21種の菌がネガティブ反応を示した。 これに対し、 PCR法では、 lytA遺伝子に 関しては 8種がポジティブ反応を示し 17種がネガティブ反応を示した。 また、 ply遺伝子に関しては 21種がポジティブ反応を示し 4種がネガティブ反応を示し た。
このように、 LAMP法を用いた場合には、他の 21種の菌を検出することなく、 4種の S. pneumoniaeを完全に検出することができたのに対し、 PCR法を用い た場合には、 lytA遺伝子に関しては 4種の菌を誤ってポジティブとして検出し、 ply遺伝子に関しては 17種の菌を誤って検出したことになる。
従って、 本発明の検出方法を用いれば、 口腔咽頭において共生し、 かつ、 16SrRNAの配列が 99%以上一致するなど最も S. pneumoniaeと近縁な S. mitis 及び S. oralisなどとの区別も可能であり、 S. pneumoniae感染の臨床診断にも有 効であることが確認された。
[リアルタイム濁度測定試験について]
次に、 実施例 1 、 2、 及び、 実施例 4 (表 2に配列を示す) の LAMPプライマ ーセットを用いた LAMP反応についてリアルタイム濁度測定を行った。
( 1 ) 検出の迅速性について
本試験では、 実施例 1 、 2及び実施例 4の LAMP プライマ一セットを用い、 LAMP反応液組成及び LAMP反応条件を前述と同様とし、铸型 DNAの濃度(コ ピ一数) を反応チューブ 1本当たり所定コピー数となるように調製し、 LAMP反 応を 60分間行った。 この LAMP反応の間、 Loopamp (登録商標) リアルタイム 濁度測定装置(テラメックス株式会社製、型番 LA-200)を用いて 6秒毎に 650nm の吸光度を読み取った。
結果を、 図 4及び図 5に示す。 なお、 図 4中、 Aは実施例 1のプライマーを用 いコピー数 10 7の DNAを铸型とした増幅結果、 Bは実施例 1のプライマーを用 いコピー数 0の DNAを铸型とした増幅結果、 Cは実施例 2のプライマーを用い コピー数 107の DNAを踌型とした増幅結果、 Dは実施例 2のプライマーを用い コピー数 0の DNAを铸型とした増幅結果を示す。 また、 図 5中、 Aは実施例 1 のプライマーを用いコピー数 107の DNAを铸型とした増幅結果、 Bは実施例 1 のプライマーを用いコピー数 0の DNAを铸型とした増幅結果、 Cは実施例 4の プライマーを用いコピー数 107の DNAを铸型とした増幅結果、 Dは実施例 4の プライマーを用い、 コピー数 0の DNAを铸型とした増幅結果を示す。
これらの図に示すように、铸型 DNA濃度が同じでも LAMPプライマーによつ て、 濁度が立ち上がる時間 (増幅効率) は異なっていたが、 いずれの実施例にお いても検出が可能であり、実施例 1の LAMPプライマーセッ トを用いた場合に最 も迅速に検出可能であることが確認された。 特に実施例 1と実施例 2とでは、 プ ライマーの配列上の違いは微差であり(FIPの Flc領域の 5'末端の一塩基及び 3' 末端の二塩基)、 特異性や感度の性能はほぼ互角である。
Flc領域の微差により迅速性が異なるのは、 LAMP反応特有の伸長反応起点(ル ープ部分) を形成する Flc領域が、 LAMP反応の速度を決定するのに重要な役割 を果たしているためであると考えられる。 中でも、 実施例 1及び実施例 2におけ
る試験結果から Flc領域の 5 '末端側で、 S. pneumoniaeに特異的な三つの塩基に 隣接した C (lytA遺伝子上の 131番目)がループ部分形成における Flc/Flァニー ルの迅速性に重要な役割を果たしているものと推測される。
次に、 反応チューブ 1本当たりの铸型 DNA濃度を 0〜: L06コピーに調製し、 実 施例 1及び実施例 4の LAMPプライマーセットをそれぞれ添加して LAMP反応 を行い、 この反応中に上記リアルタイム濁度測定装置を用いて 6秒毎に 650nm の吸光度を測定した。
実施例 1におけるリアルタイム濁度測定の結果を図 6に示す。
図 6に示すように、 铸型 DNA濃度が 10コピー以上であれば、 60分以内に濁 度が 0.1以上になることが確認され、 この結果は前記感度試験における目視及び 電気泳動による増幅の有無の判別結果と一致した。また、最初に用いた铸型 DNA 濃度の増加に伴い、 スレッシュホールドタイム (濁度が 0.1を超えるまでの時間) が短くなることが確認された。
図 7には、実施例 1の場合のスレッシュホールドタイム (Tt)と当初の铸型 DNA 濃度の常用対数の関係を示す。 これらの間には線形性が認められ、 相関係数 r2=0.986と高い相関を示した。これは、 2004年森らが示すように、 S. pneumoniae 由来の錄型 DNAの初期濃度が未知の場合に、 その存在の有無のみでなくその濃 度も定量可能であることを意味する (Mori,Y.,他 3名," Rea time turbidimetry of LAMP reaction for quantifying template DNA", J. Biochem. Biophys. Methods, vol.59, p.145-157)D すなわち、 例えば、 濃度未知のサンプルについても、 同様に 希釈倍率の異なる希釈液を調製し、各希釈液を用いて LAMP反応を行った場合の スレツシュホールドタイムを測定することで回帰直線を作成すれば、 この回帰直 線から、 未知の铸型 DNAの初期濃度を特定することができる。
実施例 4の LAMPプライマーセットを用いた場合には、図 8に示すように濁度 の立ち上がり曲線を描いた。 10,000 コピーのスレッシュホールドタイムは約 85 分であつたが、 十分検出することができた (図 8 )。 また、 図 8に示すように、 得 られた 3つのサンプルのスレッシュホールドタイムに若干の相関性の傾向が確認 された。
以上のことから、 各実施例において S.pneumoniaeを検出することができ、 中 でも実施例 1のプライマーセットは、 検出の迅速性 び定量性に極めて優れてい た。 [ループプライマーを用いた LAMP法による検出]
染色体 DNAの調製は前記と同様にし、 LAMPプライマーセットは表 1の 「実 施例 5」 の欄に記載のもの (配列番号 23、 配列番号 24、 配列番号 15、 配列番号 4及び配列番号 25) を用い、 染色体 DNAを铸型に LAMP反応を行った。
結果を表 1並びに図 9及び 10に示す。
ループプライマーを使用したときの検出時間は 13分 42秒であり (表 1 )、 実 施例 1よりもさらに迅速に検出することができた。
図 9は、リアルタイム濁度測定装置を用いた LAMP反応速度の測定結果を示す グラフである。 図 9に示すように、铸型 DNA濃度が 10コピー以上であれば、 30 分以内に濁度が 0.1以上になることが確認された。铸型 DNAの濃度が 10コピー から 106コピーまで 10倍ごとに增加するに従い、 スレッシュホールドタイムが 短縮された。
図 10は、 反応時間と DNA濃度との関係を示すものであり、 両者は、 r2値が 0.999という直線関係を示した。 産業上の利用可能性
本発明の検出方法によれば、 従来の PCR法などと比べても特異性に優れ、 検出 感度が高ぐ、 かつ、 迅速に検出可能であると共に、 S. pneumoniaeの定量も可能 である。 また、 LAMP反応は等温条件下でも進行し、 また結果を目視により確認 することができるため、 設備もシンプルで、 病院の検査室等でも簡易、 迅速に行 うことができる。 配列表フリーテキスト
配列番号 1 :合成 DNA
配列番号 2 :合成 DNA 配列番号 3 :合成 DNA 配列番号 4 :合成 DNA 配列番号 5 :合成 DNA 配列番号 6 :合成 DNA 配列番号 7 :合成 DNA 配列番号 8 :合成 DNA 配列番号 9 :合成 DNA 配列番号 1 0 :合成 DNA 配列番号 1 1 :合成 DNA 配列番号 1 2 :合成 DNA 配列番号 1 3 :合成 DNA 配列番号 1 4 :合成 DNA 配列番号 1 5 :合成 DNA 配列番号 1 6 :合成 DNA 配列番号 1 7 :合成 DNA 配列番号 1 8 :合成 DNA 配列番号 1 9 :合成 DNA 配列番号 2 0 :合成 DNA 配列番号 2 1 :合成 DNA 配列番号 2 2 :合成 DNA 配列番号 2 3 :合成 DNA 配列番号 2 4 :合成 DNA 配列番号 2 5 :合成 DNA 配列番号 2 7 :合成 DNA 配列番号 2 8 :合成 DNA 配列番号 2 9 :合成 DNA 配列番号 3 0 :合成 DNA